説明

撮影システム

【課題】運転者にさらなる負担を強いることなく、車線変更に必要な前方確認を容易にすることができる撮影システム10を提供する。
【解決手段】本発明の撮影システム10は、車両11の前側方の画像を撮影するカメラ20と、車両11の挙動に基づいて、当該車両11が走行レーンを変更する可能性が高いか否かを判定するレーン変更判定部31と、レーン変更判定部31によって、車両11が走行レーンを変更する可能性が高いと判定された場合に、カメラ20によって撮影された画像を出力する表示制御部32と、表示制御部32から出力された画像を表示する表示装置40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、車両のサイドミラーに取り付けられ、車両の側方を撮影する車両用周辺確認装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−62531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、渋滞などにより前の車両で前景が遮られていると、運転者は、走行中のレーン以外の他のレーンの先の状況を視認できない。特に、右ハンドル車の場合、渋滞などにより前の車両で前景が遮られていると、左隣のレーンの先の状況を視認することが難しい。そのため、例えば、左隣のレーンの先に駐車中の他の車両が存在していたり、工事中で車線が規制されているとしても、その状況がわからないために、渋滞中のレーンから左隣のレーンに車線変更をしてしまい、再び渋滞中のレーンに戻ることを余儀なくされる場合がある。
【0005】
また、交差点で左折する場合、交差点の手前から予め左端のレーンに車線変更する必要があるが、左端のレーンに駐車中の車両がある場合にはその駐車車両の位置を過ぎてから左端のレーンに車線変更を行う必要がある。しかし、前述のように、渋滞などにより前の車両で前景が遮られていると、左端のレーンの先を視認できないため非常に不便である。
【0006】
上記の特許文献1の技術では、隣のレーンの前方を撮影することは可能であるが、車線変更を行う都度、車両用周辺確認装置を運転者が操作する必要がある。渋滞中の車線変更では、ブレーキやアクセルペダル、方向指示器等を操作しなければならず、マニュアル車の場合にはさらにシフトレバーやクラッチペダルを操作する必要があり、さらに、ドアミラー等によりバイク等の追い抜きがないかを確認する等、運転者が行うべき作業は多い。そのため、車線変更時に車両用周辺確認装置を操作させることは、運転者に更なる負担を強いることになる。
【0007】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、運転者にさらなる負担を強いることなく、車線変更に必要な前方確認を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、例えば、本発明では、車両に搭載される撮影システムであって、
前記車両の前側方の画像を撮影するカメラと、
前記車両の挙動に基づいて、当該車両が走行レーンを変更する可能性が高いか否かを判定するレーン変更判定部と、
前記レーン変更判定部によって、前記車両が走行レーンを変更する可能性が高いと判定された場合に、前記カメラによって撮影された画像を出力する表示制御部と、
前記表示制御部から出力された画像を表示する表示部と
を備えることを特徴とする撮影システムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の撮影システムによれば、運転者にさらなる負担を強いることなく、車線変更に必要な前方確認を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る撮影システム10の構成を示すシステム構成図である。
【図2】カメラ20の取り付け位置の一例を示す概念図である。
【図3】第1の実施形態における表示制御装置30の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【図4】表示継続時間格納33に格納されるデータの構造の一例を示す図である。
【図5】カメラ20によって撮影される画像50の一例を示す概念図である。
【図6】第1の実施形態における表示制御装置30の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】表示継続時間格納33に格納されるデータの他の例を示す図である。
【図8】レーン変更判定の他の例を説明するための概念図である。
【図9】第2の実施形態における表示制御装置30の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【図10】表示継続距離格納部34に格納されるデータの構造の一例を示す図である。
【図11】左隣のレーンとの境界までの距離の算出方法を説明するための概念図である。
【図12】左隣のレーンとの境界をまたぐまでの時間の予測方法を説明するための概念図である。
【図13】左隣のレーンとの境界をまたぐまでの時間の予測方法を説明するための概念図である。
【図14】第2の実施形態における表示制御装置30の動作の一例を示すフローチャートである。
【図15】表示継続距離格納部34に格納されるデータの他の例を示す図である。
【図16】表示制御装置30の機能を実現するコンピュータ70の構成の一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る撮影システム10の構成を示すシステム構成図である。撮影システム10は、車両11に搭載され、カメラ20、表示制御装置30、および表示装置40を備える。
【0013】
カメラ20は、車両11の前側方を撮影し、撮影した画像を表示制御装置30および表示装置40に供給する。また、カメラ20は、例えば、図2に示すように、運転席14側のサイドミラー13と反対側のサイドミラー12に取り付けられ、車両11が走行中のレーンの左隣のレーンの前方を撮影することができる。
【0014】
図3は、第1の実施形態における表示制御装置30の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。表示制御装置30は、レーン変更判定部31、表示制御部32、および表示継続時間格納33を有する。
【0015】
表示継続時間格納33には、例えば図4に示すように、車両11の車速の範囲を示す車速330に対応付けて、表示継続時間331が予め格納されている。なお、図4において、「〜30km/h」は、車速が時速30km未満の範囲を示しており、「30km/h〜」は、車速が時速30km以上の範囲を示している。
【0016】
レーン変更判定部31は、カメラ20から供給された車両11の左前方の画像を参照して、車両11がレーン変更を行う可能性が高いか否かを判定する。そして、レーン変更を行う可能性が高いと判定した場合、レーン変更判定部31は、その旨を表示制御部32に通知する。
【0017】
車両11がレーン変更を行う可能性が高いか否かを判定する方法としては、例えば、自車両11から、自車両11が走行中のレーンと左隣のレーンとの境界までの距離が予め定められた距離(例えば30cm)未満の状態で、予め定められた時間(例えば3秒間)以上走行を続けた場合に、車両11がレーン変更を行う可能性が高いと判定する方法がある。
【0018】
より詳細には、下記のような手順で判定を行う。ここで、例えば、レーン変更判定部31には、カメラ20によって撮影された図5に示すような画像50が供給されており、レーン変更判定部31には、自車両11から予め定められた距離(例えば30cm)にある路面上の位置が表示されるべき画像50上の位置を示す線分51が予め設定されている。また、レーン変更判定部31は、カメラ20から供給された画像50内において、例えば画像認識により、走行レーンの境界を示す白線52を認識する。
【0019】
レーン変更判定部31は、所定時間毎(例えば1秒毎)に、カメラ20から供給された画像50を参照して、白線52の少なくとも一部が、線分51と自車両画像53との間の領域に表示されているか否かを判定し、白線52の少なくとも一部が、線分51と自車両画像53との間の領域に表示されている状態を連続して所定回数(例えば3回)検出した場合に、車両11がレーン変更を行う可能性が高いと判定する。
【0020】
表示制御部32は、車両11がレーン変更を行う可能性が高い旨をレーン変更判定部31から通知された場合に、カメラ20によって撮影された画像の表示を表示装置40に指示する。表示装置40は、表示制御部32からの指示に従って、カメラ20によって撮影された画像を表示する。
【0021】
また、表示制御部32は、車両11から出力される所定期間内の車速パルスの数に基づいて現在の車速を逐次算出しており、カメラ20によって撮影された画像の表示を表示装置40に指示した場合に、現在の車速が含まれる範囲に対応付けられている表示継続時間を表示継続時間格納33から取得する。ここで、車速パルスとは、車両11の車輪の一定の回転に応じて出力されるパルス信号である。
【0022】
そして、表示制御部32は、カメラ20によって撮影された画像の表示を表示装置40に指示してからの経過時間を測定し、当該経過時間が、表示継続時間格納33から取得した表示継続時間以上となった場合に、カメラ20によって撮影された画像の表示を停止するよう表示装置40に指示する。表示装置40は、表示制御部32からの指示に従って、カメラ20によって撮影された画像の表示を停止する。
【0023】
図6は、第1の実施形態における表示制御装置30の動作の一例を示すフローチャートである。例えば、車両11のエンジンが始動する等の所定のタイミングで、表示制御装置30は本フローチャートに示す動作を開始する。なお、前提として、カメラ20は、車両11のエンジン始動後に画像を表示制御装置30に供給している。
【0024】
まず、レーン変更判定部31は、変数Nの値を0に初期化し(S100)、レーン変更の監視タイミングか否かを判定する(S101)。本実施形態において、レーン変更の監視タイミングは、例えば1秒毎である。
【0025】
レーン変更の監視タイミングである場合(S101:Yes)、レーン変更判定部31は、カメラ20によって撮影された画像50を参照して、左隣のレーンとの境界を示す白線52の位置を画像50内で認識する(S102)。
【0026】
そして、レーン変更判定部31は、当該白線52の少なくとも一部が、予め設定された線分51と自車両画像53との間の領域に表示されているか否かを判定することにより、当該白線52と車両11との距離が所定距離未満か否かを判定する(S103)。
【0027】
白線52と車両11との距離が所定距離以上である場合(S103:No)、レーン変更判定部31は、変数Nの値を0に初期化して(S112)、再びステップS101に示した処理を実行する。
【0028】
一方、白線52と車両11との距離が所定距離未満である場合(S103:Yes)、レーン変更判定部31は、変数Nの値を1増やし(S104)、変数Nの値が予め定められた定数N0(例えば3)に達したか否かを判定する(S105)。変数Nの値が定数N0に達していない場合(S105:No)、レーン変更判定部31は、再びステップS101に示した処理を実行する。
【0029】
一方、変数Nの値が定数N0に達した場合(S105:Yes)、レーン変更判定部31は、変数Nの値を0に初期化して(S106)、車両11がレーン変更を行う可能性が高い旨を表示制御部32に通知する。表示制御部32は、カメラ20によって撮影された画像の表示を表示装置40に指示し(S107)、表示装置40は、カメラ20によって撮影された画像を表示する。
【0030】
次に、表示制御部32は、車両11から出力されている車速パルスに基づいて現在の自車両11の車速を算出し、当該車速が含まれる範囲に対応付けられている表示継続時間T0を表示継続時間格納33から取得する(S108)。そして、表示制御部32は、内蔵タイマをリセットスタートさせ(S109)、タイマの値Tが、ステップS108において取得した表示継続時間T0以上となったか否かを判定する(S110)。
【0031】
タイマの値Tが表示継続時間T0以上となった場合(S110:Yes)、表示制御部32は、カメラ20によって撮影された画像の表示を停止するよう表示装置40に指示する(S111)。表示装置40は、表示制御部32からの指示に従って、カメラ20によって撮影された画像の表示を停止し、レーン変更判定部31は、再びステップS101に示した処理を実行する。
【0032】
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
【0033】
上記説明から明らかなように、本実施形態の撮影システム10によれば、車両11がレーン変更を行う可能性が高いことを検出して、車両11の前側方の画像を自動的に表示するため、運転者にさらなる負担を強いることなく、車線変更に必要な前方確認を容易にすることができる。
【0034】
なお、上記した第1の実施形態では、カメラ20によって撮影された画像の表示継続時間を車速に応じて定めたが、本発明はこれに限られず、道路種別に応じて表示継続時間を定めてもよい。
【0035】
より詳しく説明すると、表示継続時間格納33には、図4で説明した情報に代えて、例えば図7に示すように、表示継続時間331を道路種別332に対応付けた情報を予め格納させる。そして、表示制御部32は、車両11がレーン変更を行う可能性が高い旨をレーン変更判定部31から通知された場合に、GPS信号等に基づいて、道路地図上に自車両11の現在位置を算出する機能を有するナビゲーション装置から、自車両11が現在走行中の道路の種別を示す情報を取得して、現在走行中の道路の種別に対応する表示継続時間を表示継続時間格納33から取得する。
【0036】
また、上記した第1の実施形態において、レーン変更判定部31は、走行中のレーンと左隣のレーンとの境界の白線から自車両11までの距離が予め定められた距離未満の状態で、予め定められた時間以上継続して走行した場合に、車両11がレーン変更を行う可能性が高いと判定するが、本発明はこれに限られない。
【0037】
例えば、レーン変更判定部31は、上記ナビゲーション装置から、自車両11が現在走行中の道路の幅員L0を示す情報を取得する。そして、レーン変更判定部31は、例えば図8に示すように、予め登録されている、自車両11の車幅L1の半分と、走行中のレーンと左隣のレーンとの境界を示す白線55から自車両11までの距離L2との合計距離L3を求める。
【0038】
そして、レーン変更判定部31は、自車両11が現在走行中の道路の幅員L0から、求めた距離L3を差し引いて、走行中のレーンの右端を示す白線56までの距離L4を求める。そして、レーン変更判定部31は、距離L3に対する距離L4の比率を算出し、算出した比率が予め定められた比率(例えば2倍)を超えているか否かを判定する。予め定められた比率を超えた状態で、車両11が予め定められた時間以上走行を続けた場合、レーン変更判定部31は、車両11が領域60を越えて走行レーンを変更する可能性が高いと判定するようにしてもよい。
【0039】
次に、本発明の第2の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0040】
図9は、第2の実施形態における表示制御装置30の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。本実施形態における表示制御装置30は、レーン変更判定部31、表示制御部32、および表示継続距離格納部34を有する。
【0041】
表示継続距離格納部34には、例えば図10に示すように、車両11の車速の範囲を示す車速340に対応付けて、表示継続距離341が予め格納されている。
【0042】
レーン変更判定部31は、カメラ20から供給された車両11の左前方の画像を参照して、車両11がレーン変更を行う可能性が高いか否かを判定する。そして、レーン変更を行う可能性が高いと判定した場合、レーン変更判定部31は、その旨を表示制御部32に通知する。
【0043】
本実施形態において、車両11がレーン変更を行う可能性が高いか否かを判定する方法としては、例えば、自車両11から、自車両11が走行中のレーンと左隣のレーンとの境界までの距離の減少速度を算出し、算出した減少速度を元に、当該距離が0になる(すなわち、車両11が左隣のレーンとの境界を越える)までの時間を予測する。そして、予測した時間が、予め定められた時間(例えば5秒)未満である場合に、車両11がレーン変更を行う可能性が高いと判定する方法を用いる。
【0044】
より詳細には、下記のような手順で判定を行う。ここで、例えば、レーン変更判定部31には、カメラ20によって撮影された図5に示したような画像50が供給されており、レーン変更判定部31には、例えば図11に示すように、自車両11から予め定められた距離毎に、当該距離にある路面上の位置が表示されるべき画像50上の位置を示す複数の線分61が予め設定されている。また、レーン変更判定部31は、カメラ20から供給された画像50内において、例えば画像認識により、走行レーンの境界を示す白線52を認識する。
【0045】
レーン変更判定部31は、所定時間毎(例えば1秒毎)に、カメラ20から供給された画像50を参照して、自車両画像53に最も近い白線52の部分が表示されている領域62を特定する。そして、レーン変更判定部31は、特定した領域を挟んでいるいずれか一方(例えば左側)の線分61に対応付けられた距離を、自車両11から白線52までの距離として算出する。
【0046】
なお、レーン変更判定部31は、レーンの境界までの距離を測定するための専用のカメラを車両11に別途設け、そのカメラからの画像を元にレーンの境界までの距離を算出するようにしてもよい。
【0047】
そして、レーン変更判定部31は、所定時間毎に測定した過去所定回数分(例えば過去3回分)の測定結果を用いて、レーンの境界までの距離の時間軸上での変化量を、例えば図12に示すように直線63で近似し、レーンの境界までの距離が0になるまでの時間Δtを予測する。そして、予測したΔtが予め定められた時間未満である場合、レーン変更判定部31は、車両11がレーン変更を行う可能性が高いと判定し、その旨を表示制御部32に通知する。
【0048】
なお、図12に示す例において、D(t-2)は2回前に測定されたレーンの境界までの距離を示し、D(t-1)は1回前に測定されたレーンの境界までの距離を示し、D(t)は直前に測定されたレーンの境界までの距離を示している。
【0049】
また、本実施形態では、レーンの境界までの距離の変化速度に応じて、車両11がレーン変更を行う可能性が高いか否かを判定するため、急にハンドルを切って早い速度でレーンの境界に近づく場合には、例えば図12に示すように、レーンの境界から比較的遠い距離D1において、車両11がレーン変更を行う可能性が高いと判定される。
【0050】
一方、緩やかにハンドルを切って遅い速度でレーンの境界に近づく場合には、例えば図13に示すように、レーンの境界に比較的近い距離D2において、車両11がレーン変更を行う可能性が高いと判定される。従って、車両11が左隣のレーンとの境界に近づく速度に関わり無く、実際にレーン変更を行う充分前に、車両11がレーン変更を行う可能性が高いと判定することができる。
【0051】
表示制御部32は、車両11がレーン変更を行う可能性が高い旨をレーン変更判定部31から通知された場合に、カメラ20によって撮影された画像の表示を表示装置40に指示する。表示装置40は、表示制御部32からの指示に従って、カメラ20によって撮影された画像を表示する。
【0052】
また、表示制御部32は、車両11から出力される所定期間内の車速パルスの数に基づいて現在の車速を逐次算出しており、カメラ20によって撮影された画像の表示を表示装置40に指示した場合に、現在の車速が含まれる範囲に対応付けられている表示継続距離を表示継続時間格納33から取得する。
【0053】
そして、表示制御部32は、カメラ20によって撮影された画像の表示を表示装置40に指示してからの車速パルスの数を計測し、計測した車速パルス数に、車両11の車輪の外周等に基づいて予め設定された係数を乗じて、カメラ20によって撮影された画像の表示を表示装置40に指示してから自車両11が走行した距離を算出する。
【0054】
そして、表示制御部32は、算出した走行距離が、表示継続距離格納部34から取得した表示継続距離以上となった場合に、カメラ20によって撮影された画像の表示を停止するよう表示装置40に指示する。表示装置40は、表示制御部32からの指示に従って、カメラ20によって撮影された画像の表示を停止する。
【0055】
図14は、第2の実施形態における表示制御装置30の動作の一例を示すフローチャートである。例えば、車両11のエンジンが始動する等の所定のタイミングで、表示制御装置30は本フローチャートに示す動作を開始する。なお、前提として、カメラ20は、車両11のエンジン始動後に画像を表示制御装置30に供給している。
【0056】
まず、レーン変更判定部31は、レーンの境界を示す白線と自車両11との距離を格納する変数D(t)、D(t-1)、およびD(t-2)をそれぞれ0に初期化し(S200)、レーン変更の監視タイミングか否かを判定する(S201)。本実施形態において、レーン変更の監視タイミングは、例えば1秒毎である。
【0057】
レーン変更の監視タイミングである場合(S101:Yes)、レーン変更判定部31は、D(t-1)の値をD(t-2)に代入し(S202)、D(t)の値をD(t-1)に代入する(S203)。そして、レーン変更判定部31は、カメラ20によって撮影された画像50を参照して、左隣のレーンとの境界までの距離を測定してD(t)に設定する(S204)。
【0058】
次に、レーン変更判定部31は、例えば図12を用いて説明した方法で、境界までの距離が0になるまでの時間Δtを予測し(S205)、予測した時間Δtが、予め設定されている基準時間Δt0以下か否かを判定する(S206)。予測した時間Δtが基準時間Δt0よりも長い場合(S206:No)、レーン変更判定部31は、再びステップS201に示した処理を実行する。
【0059】
一方、予測した時間Δtが基準時間Δt0以下である場合(S206:Yes)、レーン変更判定部31は、車両11がレーン変更を行う可能性が高い旨を表示制御部32に通知する。表示制御部32は、カメラ20によって撮影された画像の表示を表示装置40に指示し(S207)、表示装置40は、カメラ20によって撮影された画像を表示する。
【0060】
次に、表示制御部32は、車両11から出力されている車速パルスに基づいて現在の自車両11の車速を算出し、当該車速が含まれる範囲に対応付けられている表示継続距離を表示継続時間格納33から取得する(S208)。そして、表示制御部32は、車速パルスの数の計測を開始し、計測した車速パルス数に予め設定された係数を乗じて、カメラ20によって撮影された画像の表示を表示装置40に指示してからの自車両11の走行距離の算出を開始する(S209)。
【0061】
次に、表示制御部32は、算出した走行距離が、ステップS208において取得した表示継続距離以上となったか否かを判定する(S210)。算出した走行距離が、取得した表示継続距離以上となった場合(S210:Yes)、表示制御部32は、カメラ20によって撮影された画像の表示を停止するよう表示装置40に指示する(S211)。表示装置40は、表示制御部32からの指示に従って、カメラ20によって撮影された画像の表示を停止し、レーン変更判定部31は、再びステップS200に示した処理を実行する。
【0062】
以上、本発明の第2の実施形態について説明した。
【0063】
上記説明から明らかなように、本実施形態の撮影システム10においても、車両11がレーン変更を行う可能性が高いことを検出して、車両11の前側方の画像を自動的に表示するため、運転者にさらなる負担を強いることなく、車線変更に必要な前方確認を容易にすることができる。
【0064】
なお、上記した第2の実施形態では、カメラ20によって撮影された画像の表示継続距離を、車速に応じて定めたが、本発明はこれに限られず、道路種別に応じて表示継続距離を定めてもよい。
【0065】
より詳しく説明すると、表示継続距離格納部34には、図10で説明した情報に代えて、例えば図15に示すように、表示継続距離341を道路種別342に対応付けた情報を予め格納させる。そして、表示制御部32は、車両11がレーン変更を行う可能性が高い旨をレーン変更判定部31から通知された場合に、GPS信号等に基づいて、道路地図上に自車両11の位置を算出する機能を有するナビゲーション装置から、自車両11が現在走行中の道路の種別を示す情報を取得して、現在走行中の道路の種別に対応する表示継続距離を表示継続距離格納部34から取得する。
【0066】
なお、上記第1または第2の実施形態における表示制御装置30は、例えば図16に示すような構成のコンピュータ70によって実現される。図16は、表示制御装置30の機能を実現するコンピュータ70の構成の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ70は、CPU(Central Processing Unit)71、RAM(Random Access Memory)72、ROM(Read Only Memory)73、入力インターフェイス(I/F)74、および出力インターフェイス(I/F)75を備える。
【0067】
ROM73は、コンピュータ70の起動時にCPU71によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ70のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。CPU71は、ROM73に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。
【0068】
CPU71は、入力インターフェイス74を介して、カメラ20を制御し、入力インターフェイス74を介してカメラ20からデータを取得する。CPU71は、出力インターフェイス75を介して表示装置40を制御する。
【0069】
コンピュータ70のCPU71は、コンピュータ70から読み出されてRAM72上にロードされたプログラムを実行することにより、レーン変更判定部31および表示制御部32の各機能を実現する。ROM73には、表示継続時間格納33または表示継続距離格納部34内のデータが格納される。
【0070】
また、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0071】
例えば、上記した各実施形態において、車両11に車間センサを設け、表示制御部32は、車両11がレーン変更を行う可能性が高い旨をレーン変更判定部31から通知された場合に、走行中のレーンの前方所定距離(例えば5m)以内に他の車両11が存在するならば、カメラ20によって撮影された画像を表示させるように表示装置40に指示するようにしてもよい。これにより、前方の見通しがよい場面において、カメラ20によって撮影された画像が無駄に表示装置40に表示されることを防止することができる。
【0072】
また、上記した各実施形態において、表示制御部32は、カメラ20によって撮影された画像の表示を表示装置40に指示してから所定時間経過した場合、あるいは、所定距離走行した場合に、カメラ20によって撮影された画像の表示を停止するよう表示装置40に指示するが、本発明はこれに限られない。
【0073】
表示制御部32は、例えば、カメラ20によって撮影された画像を参照して、左隣のレーンとの境界を示す白線と、自車両11との距離が0となった場合に、カメラ20によって撮影された画像の表示を停止するよう表示装置40に指示するようにしてもよい。また、カメラ20によって撮影された画像の表示を停止するよう表示装置40に指示した後に、左側の方向指示器が起動した場合、あるいは、左側の方向指示器が起動後に停止した場合に、表示制御部32は、カメラ20によって撮影された画像の表示を停止するよう表示装置40に指示するようにしてもよい。
【0074】
また、上記した各実施形態において、カメラ20は、運転席14と反対側のサイドミラー12に設けられているが、本発明はこれに限られず、運転席14側のサイドミラー13に設けられ、右隣のレーンに車線変更する場合に、右隣のレーンの前方を撮影した画像を表示するようにしてもよい。これにより、雨のため運転席側の窓が開けられない場合等であっても、運転者は前方確認を容易に行うことができる。
【0075】
また、上記した各実施形態では、進行方向右側に運転席が存在する車両11を例に説明したが、本発明はこれに限られず、運転席が左側に存在する車両11においても、上記した各実施形態の説明において左右を逆にすることで、同様に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
10・・・撮影システム、11・・・車両、12・・・サイドミラー、13・・・サイドミラー、14・・・運転席、20・・・カメラ、30・・・表示制御装置、31・・・レーン変更判定部、32・・・表示制御部、33・・・表示継続時間格納、34・・・表示継続距離格納部、40・・・表示装置、50・・・画像、51・・・線分、52・・・白線、53・・・自車両画像、70・・・コンピュータ、71・・・CPU、72・・・RAM、73・・・ROM、74・・・入力インターフェイス、75・・・出力インターフェイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される撮影システムであって、
前記車両の前側方の画像を撮影するカメラと、
前記車両の挙動に基づいて、当該車両が走行レーンを変更する可能性が高いか否かを判定するレーン変更判定部と、
前記レーン変更判定部によって、前記車両が走行レーンを変更する可能性が高いと判定された場合に、前記カメラによって撮影された画像を出力する表示制御部と、
前記表示制御部から出力された画像を表示する表示部と
を備えることを特徴とする撮影システム。
【請求項2】
請求項1に記載の撮影システムであって、
前記レーン変更判定部は、
前記車両が走行中のレーンの境界までの距離が予め定められた距離未満の状態で、前記車両が予め定められた時間以上走行を続けた場合に、当該車両が走行レーンを変更する可能性が高いと判定することを特徴とする撮影システム。
【請求項3】
請求項1に記載の撮影システムであって、
前記レーン変更判定部は、
前記車両が走行中のレーンの幅員を規定する一方の端から当該車両の中心線までの距離に対する、他方の端から当該車両の中心線までの距離の比率が、予め定められた比率を超えた状態で、前記車両が予め定められた時間以上走行を続けた場合に、当該車両が前記一方の端を越えて走行レーンを変更する可能性が高いと判定することを特徴とする撮影システム。
【請求項4】
請求項1に記載の撮影システムであって、
前記レーン変更判定部は、
前記車両が走行中のレーンの境界までの距離の減少速度から、前記車両が前記境界をまたぐまでの時間を予測し、予測した時間が予め定められた時間未満となった場合に、当該車両が走行レーンを変更する可能性が高いと判定することを特徴とする撮影システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の撮影システムであって、
前記表示制御部は、
前記カメラによって撮影された画像を前記表示部に表示させてから、予め定められた表示継続時間が経過した場合に、前記表示部に前記カメラによって撮影された画像の表示を停止させることを特徴とする撮影システム。
【請求項6】
請求項5に記載の撮影システムであって、
前記表示継続時間を、車速毎に格納する表示継続時間格納部をさらに備え、
前記表示制御部は、
前記カメラによって撮影された画像を前記表示部に表示させた場合に、前記車両の車速に対応する表示継続時間を前記表示継続時間格納部から抽出し、抽出した表示継続時間が経過した場合に、前記表示装部に前記カメラによって撮影された画像の表示を停止させることを特徴とする撮影システム。
【請求項7】
請求項5に記載の撮影システムであって、
前記表示継続時間を、道路種別毎に格納する表示継続時間格納部をさらに備え、
前記表示制御部は、
前記カメラによって撮影された画像を前記表示部に表示させた場合に、前記車両が走行中の道路の種別に対応する表示継続時間を前記表示継続時間格納部から抽出し、抽出した表示継続時間が経過した場合に、前記表示部に前記カメラによって撮影された画像の表示を停止させることを特徴とする撮影システム。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか一項に記載の撮影システムであって、
前記表示制御部は、
前記カメラによって撮影された画像を前記表示部に表示させてから、前記車両が予め定められた表示継続距離を走行した場合に、前記表示部に前記カメラによって撮影された画像の表示を停止させることを特徴とする撮影システム。
【請求項9】
請求項8に記載の撮影システムであって、
前記表示継続距離を、車速毎に格納する表示継続距離格納部をさらに備え、
前記表示制御部は、
前記カメラによって撮影された画像を前記表示部に表示させた場合に、前記車両の車速に対応する表示継続距離を前記表示継続距離格納部から抽出し、前記車両が、抽出した表示継続距離を走行した場合に、前記表示部に前記カメラによって撮影された画像の表示を停止させることを特徴とする撮影システム。
【請求項10】
請求項8に記載の撮影システムであって、
前記表示継続距離を、道路種別毎に格納する表示継続距離格納部をさらに備え、
前記表示制御部は、
前記カメラによって撮影された画像を前記表示部に表示させた場合に、前記車両が走行中の道路の種別に対応する表示継続距離を前記表示継続距離格納部から抽出し、前記車両が、抽出した表示継続距離を走行した場合に、前記表示部に前記カメラによって撮影された画像の表示を停止させることを特徴とする撮影システム。
【請求項11】
請求項1から4のいずれか一項に記載の撮影システムであって、
前記表示制御部は、
前記カメラによって撮影された画像を前記表示部に表示させた後に、前記車両が前記境界をまたいだ場合に、前記表示部に前記カメラによって撮影された画像の表示を停止させることを特徴とする撮影システム。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の撮影システムであって、
車間センサをさらに備え、
前記レーン変更判定部は、
前記車間センサによって前方所定距離以内に他の車両が存在すると検出されている場合に、自車両が走行レーンを変更する可能性が高いか否かを判定することを特徴とする撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−121524(P2012−121524A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275934(P2010−275934)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】