撮影レンズ系
【課題】小型で、非点収差、球面収差、コマ収差などの諸収差を良好に補正して優れた光学性能を持つとともに、ミラーレスのレンズ交換式カメラに用いて好適な撮影レンズ系を得る。
【解決手段】物体側から順に、正の屈折力の前群GF、開口絞りS、及び正の屈折力の後群GRからなる撮影レンズ系において、前群GFは、物体側から順に、少なくとも1枚の負レンズ1、及び少なくとも2組の正の屈折力の接合レンズC1、C2からなり、次の条件式(1)及び(2)を満足することを特徴とする撮影レンズ系。
(1)0.35<fF/fR<1.5
(2)−1.4<fL1/f<−0.9
但し、
fF:前群の焦点距離、
fR:後群の焦点距離、
fL1:前群中の少なくとも1枚の負レンズの焦点距離または合成焦点距離、
f:全系の焦点距離。
【解決手段】物体側から順に、正の屈折力の前群GF、開口絞りS、及び正の屈折力の後群GRからなる撮影レンズ系において、前群GFは、物体側から順に、少なくとも1枚の負レンズ1、及び少なくとも2組の正の屈折力の接合レンズC1、C2からなり、次の条件式(1)及び(2)を満足することを特徴とする撮影レンズ系。
(1)0.35<fF/fR<1.5
(2)−1.4<fL1/f<−0.9
但し、
fF:前群の焦点距離、
fR:後群の焦点距離、
fL1:前群中の少なくとも1枚の負レンズの焦点距離または合成焦点距離、
f:全系の焦点距離。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の撮像機器、特に光学ファインダー用分岐ミラーを省略した、ミラーレスのレンズ交換式カメラに用いて好適な撮影レンズ系に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ等の撮像機器に用いられる撮影レンズ系には、より小型で高性能であることが求められている。撮影レンズ系として、物体側から順に正の前群と正の後群からなるものが知られている(特許文献1−4)。これらは一眼レフカメラ用の撮影レンズ系なので、撮影レンズ系と撮像面との間の、光学ファインダー用分岐ミラーとの干渉を避けるため、焦点距離に対して長めのバックフォーカスを確保しようと前群の最も物体側に、負レンズを配置するのが普通である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−86221号公報
【特許文献2】特開2009−198855号公報
【特許文献3】特開2010−191069号公報
【特許文献4】特開2004−101880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献4の撮影レンズ系は、後群のレンズ枚数が5枚と多いために光学系の大型化を招いている。また、後群の最も像側に負レンズを配置して周辺の光線が大きく発散しているため、球面収差、コマ収差、非点収差が増大し、テレセントリック性も損なわれる。
【0005】
特許文献3、4の撮影レンズ系は、前群と後群のパワーバランスが不適切であるために、球面収差、コマ収差、非点収差などの諸収差が大きく発生して光学性能が劣化している。例えば、特許文献3の撮影レンズ系は、前群のパワーに対して後群のパワーが強すぎて、非点収差が発生している。特許文献4の撮影レンズ系は、後群のパワーに対して前群のパワーが強すぎて、大きな球面収差、コマ収差が発生している。
【0006】
そして、特許文献1−4のいずれの撮影レンズ系も、バックフォーカス(撮像面と撮影レンズ系の最も像側のレンズの像側面との間の距離)が長過ぎるため、ミラーレスのレンズ交換式カメラに流用すると大型化してしまって好ましくない。一方、ミラーレスのレンズ交換式カメラに用いる撮影レンズ系にあっては、小型化を達成しつつ、レンズ交換時に最も像側のレンズに付着したゴミ等が写りこむ強さ(シャープさ)を緩和するために、撮像面と撮影レンズ系の最も像側の面との間の距離をある程度確保する必要があるので、無闇にバックフォーカスを短縮すれば良いというものではない。
【0007】
本発明は以上の問題意識に基づいて完成されたものであり、小型で、非点収差、球面収差、コマ収差などの諸収差を良好に補正して優れた光学性能を持つとともに、ミラーレスのレンズ交換式カメラに用いて好適な撮影レンズ系を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の撮影レンズ系は、物体側から順に、正の屈折力の前群、開口絞り、及び正の屈折力の後群からなる撮影レンズ系において、前群は、物体側から順に、少なくとも1枚の負レンズ、及び少なくとも2組の正の屈折力の接合レンズからなり、次の条件式(1)及び(2)を満足することを特徴としている。
(1)0.35<fF/fR<1.5
(2)−1.4<fL1/f<−0.9
但し、
fF:前群の焦点距離、
fR:後群の焦点距離、
fL1:前群中の少なくとも1枚の負レンズの焦点距離または合成焦点距離、
f:全系の焦点距離、
である。
【0009】
正の屈折力の後群は、具体的に、物体側から順に、負の屈折力の接合レンズ、及び正レンズで構成することができる。
【0010】
後群中の負の屈折力の接合レンズは、物体側から順に、負レンズ及び正レンズで構成し、次の条件式(3)を満足することが好ましい。
(3)|νd6−νd7|>20
但し、
νd6:後群中の接合レンズの負レンズのd線に対するアッベ数、
νd7:後群中の接合レンズの正レンズのd線に対するアッベ数、
である。
【0011】
フォーカス機構系の小型化と迅速なフォーカシングのためには、後群中の最も像側の正レンズをフォーカシング時に移動するフォーカスレンズとすることが好ましい。
【0012】
本発明の撮影レンズ系は、次の条件式(4)を満足することが好ましい。
(4)νd8>40
但し、
νd8:後群中の最も像側の正レンズのd線に対するアッベ数、
である。
【0013】
前群は、具体的に、物体側から順に、像側に凹の負レンズ、及び2組の正の屈折力の接合レンズで構成するのが実際的である。
前群中の物体側の接合レンズは、物体側から順に、物体側に凹の負レンズ及び正レンズで構成することができる。
前群中の像側の接合レンズは、物体側から順に、物体側に凸の正レンズ及び像側に凹の負レンズで構成することができる。
【0014】
本発明の撮影レンズ系は、別の態様では、物体側から順に、正の屈折力の前群、開口絞り、及び正の屈折力の後群からなる撮影レンズ系において、前群は実質的に、物体側から順に、1枚の負レンズ、及び2組の正の屈折力の接合レンズからなり、後群は実質的に、物体側から順に、負の屈折力の接合レンズ、及び1枚の正レンズからなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、小型で、非点収差、球面収差、コマ収差などの諸収差を良好に補正して優れた光学性能を持つとともに、ミラーレスのレンズ交換式カメラに用いて好適な撮影レンズ系が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による撮影レンズ系の数値実施例1の無限遠物体合焦時のレンズ構成図である。
【図2】図1の構成における縦収差図である。
【図3】図1の構成における横収差図である。
【図4】本発明による撮影レンズ系の数値実施例2の無限遠物体合焦時のレンズ構成図である。
【図5】図4の構成における縦収差図である。
【図6】図4の構成における横収差図である。
【図7】本発明による撮影レンズ系の数値実施例3の無限遠物体合焦時のレンズ構成図である。
【図8】図7の構成における縦収差図である。
【図9】図7の構成における横収差図である。
【図10】本発明による撮影レンズ系の数値実施例4の無限遠物体合焦時のレンズ構成図である。
【図11】図10の構成における縦収差図である。
【図12】図10の構成における横収差図である。
【図13】本発明による撮影レンズ系の数値実施例5の無限遠物体合焦時のレンズ構成図である。
【図14】図13の構成における縦収差図である。
【図15】図13の構成における横収差図である。
【図16】本発明による撮影レンズ系の数値実施例6の無限遠物体合焦時のレンズ構成図である。
【図17】図16の構成における縦収差図である。
【図18】図16の構成における横収差図である。
【図19】本発明による撮影レンズ系の数値実施例7の無限遠物体合焦時のレンズ構成図である。
【図20】図19の構成における縦収差図である。
【図21】図19の構成における横収差図である。
【図22】本発明による撮影レンズ系の数値実施例8の無限遠物体合焦時のレンズ構成図である。
【図23】図22の構成における縦収差図である。
【図24】図22の構成における横収差図である。
【図25】本発明による撮影レンズ系の数値実施例9の無限遠物体合焦時のレンズ構成図である。
【図26】図25の構成における縦収差図である。
【図27】図25の構成における横収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施形態の撮影レンズ系は、図1、図4、図7、図10、図13、図16、図19、図22、及び図25の各数値実施例1−9に示すように、物体側から順に、正の屈折力の前群GF、開口絞りS、及び正の屈折力の後群GRからなる。Iは像面である。
【0018】
前群GFは、全数値実施例1−9を通じて、物体側から順に、負レンズ(像側に凹の負レンズ)1、及び2組の正の屈折力の接合レンズC1、C2からなる。
負レンズ(像側に凹の負レンズ)1は、物体側に凸の負メニスカスレンズ(数値実施例1、5、7−9)、両凹負レンズ(数値実施例2、4、6)又は像側に凹の平凹負レンズ(数値実施例3)である。
物体側の接合レンズC1は、全数値実施例1−9を通じて、物体側から順に、両凹負レンズ(物体側に凹の負レンズ)2、及び両凸正レンズ3からなる。
像側の接合レンズC2は、全数値実施例1−9を通じて、物体側から順に、両凸正レンズ(物体側に凸の正レンズ)4、及び両凹負レンズ(像側に凹の負レンズ)5からなる。
【0019】
後群GRは、全数値実施例1−9を通じて、物体側から順に、負の屈折力の接合レンズC3、及び正レンズ8からなる。
接合レンズC3は、全数値実施例1−9を通じて、物体側から順に、両凹負レンズ6及び両凸正レンズ7からなる。両凸正レンズ7はその像側の面が非球面である。
正レンズ8は、全数値実施例1−9を通じて、両凸正レンズであり、その両面が非球面である。また両凸正レンズ8は、フォーカシング時に移動するフォーカスレンズである(無限遠物体から有限距離物体へ合焦させるに際し両凸正レンズ8を物体側に繰り出してフォーカシングを行う)。
【0020】
後群GR(正レンズ8)と像面Iとの間に位置する光学フィルタOPとカバーガラスCGは、図示しないカメラボディ側に設けられている。
【0021】
本実施形態では、前群GF中の最も物体側の負レンズ1は、撮像面と後群GR中の最も像側の正レンズ8の像側面との間の距離(バックフォーカス)を確保する役割を持ち、この負レンズ1より像側の2組の正の屈折力の接合レンズC1、C2は、色収差を補正する役割を持つ。
この役割を維持したまま、前群GF中の最も物体側の負レンズ1を2枚以上の負レンズに分けることができる。
【0022】
撮影レンズ系を小型化するためには正の屈折力の前群GFのパワーを強くする必要があるが、撮像面と撮影レンズ系の最も像側のレンズ8の像側面との間の距離(バックフォーカス)も適切に確保するために最も物体側の負レンズ1のパワーを強くすると、負レンズ1で負の歪曲収差が大きく発生する。そこで本実施形態では、開口絞りSより物体側に位置する接合レンズC1、C2に厚みのある正レンズ3、4を含ませることで、負レンズ1で発生した負の歪曲収差を良好に補正している。
【0023】
物体側の接合レンズC1の負レンズ2を物体側に凹とすることで、非点収差を良好に補正することができる。物体側の接合レンズC2の正レンズ3を物体側に凸とすることで、球面収差、コマ収差を良好に補正することができる。
【0024】
本実施形態では、後群GR中の負レンズ6は、軸外収差に与える影響を小さく保ったまま全系で発生する球面収差を補正するために、負の球面収差を発生させる役割を持つ。また後群GR中の正レンズ7、8は、球面収差、コマ収差の発生を抑える役割を持つ。
高次の球面収差を良好に補正するために、後群GR中の負レンズ6と正レンズ7を接合して接合レンズC3としている。また少ないレンズ枚数でさらに諸収差を良好に補正するため、接合レンズC3の正レンズ7の像側の面を非球面とし、その非球面を、近軸球面に比して、光軸から離れるに従って正のパワーを弱める性質としている。
【0025】
条件式(1)は、前群GFの焦点距離と、後群GRの焦点距離との比を規定している。条件式(1)を満足することで、撮影レンズ系を小型化するとともに、球面収差、コマ収差、歪曲収差を良好に補正して優れた光学性能を得ることができる。
条件式(1)の上限を超えると、前群GFのパワーに対して後群GRのパワーが強すぎて、大きな歪曲収差が発生する。この歪曲収差を補正するためにはレンズ枚数を増加する必要があり、撮影レンズ系が大型化する。
条件式(1)の下限を超えると、撮影レンズ系の小型化には有利であるが、後群GRのパワーに対して前群GFのパワーが強すぎて、大きな球面収差、コマ収差が発生する。
【0026】
条件式(2)は、前群GF中の最も物体側の負レンズ1の焦点距離(負レンズ1を2枚以上の負レンズに分けた場合にはこの2枚以上の負レンズの合成焦点距離)と、全系の焦点距離との比を規定している。条件式(2)を満足することで、撮影レンズ系を小型化するとともに、非点収差、歪曲収差を良好に補正することができる。
条件式(2)の上限を超えると、前群GF中の最も物体側の負レンズ1のパワーが強すぎて、小型化の達成と負の歪曲収差の補正を両立させることが困難になる。
条件式(2)の下限を超えると、前群GF中の最も物体側の負レンズ1のパワーが弱すぎて、撮像面と撮影レンズ系の最も像側のレンズ8の像側面との間の距離(バックフォーカス)を確保するためにはレンズ全長を長くして光線を発散させる必要があり、小型化の達成と非点収差の補正を両立させることが困難になる。
【0027】
上述したように、前群GF中の最も物体側の負レンズ1は、撮影レンズ系をレンズ鏡筒に搭載したときに撮像面と後群GR中の最も像側の正レンズ8の像側面との間の距離(バックフォーカス)を確保する役割を持つ。本実施形態では、前群GF中の最も物体側の負レンズ1のパワーを条件式(2)を満足する範囲に規定することで、撮影レンズ系の小型化を達成するとともに、撮像面と後群GR中の最も像側の正レンズ8の像側面との間の距離(バックフォーカス)をある程度確保して、正レンズ8の像側の面にゴミ等が付着した場合でも、撮影した画像にそのゴミが強く(シャープに)写りこむのを防止することができる。
条件式(2)の上限を超えると、前群GF中の最も物体側の負レンズ1のパワーが弱すぎて、撮像面と後群GR中の最も像側の正レンズ8の像側面との間の距離(バックフォーカス)が大きくなりすぎる結果、撮影レンズ系が大型化する。
条件式(2)の下限を超えると、前群GF中の最も物体側の負レンズ1のパワーが強すぎて、撮像面と後群GR中の最も像側の正レンズ8の像側面との間の距離(バックフォーカス)が小さくなりすぎる結果、正レンズ8の像側の面にゴミ等が付着すると、そのゴミが強く(シャープに)写りこんで撮影画像が劣化してしまう。
【0028】
上述したように、後群GR中の負の屈折力の接合レンズC3は、物体側から順に、負レンズ6及び正レンズ7からなる。条件式(3)はこの構成において、負レンズ6と正レンズ7のd線に対するアッベ数の差を規定している。条件式(3)を満足することで、前群GFで補正し切れなかった色収差を更に良好に補正することができる。
条件式(3)の下限を超えると、負レンズ6と正レンズ7のd線に対するアッベ数の差が十分に確保されず、色収差が残存してしまう場合がある。
【0029】
後群GRにはテレセントリック性を保つために軸外光線が光軸に対して高い位置を通るので、後群GRの全体をフォーカスレンズ群とすると、撮影レンズ系の大型化や高重量化に繋がり、フォーカス機構系の小型化と迅速なフォーカシングの妨げとなる。そこで本実施形態のように、後群GR中の最も像側の正レンズ(正単レンズ)8をフォーカシング時に移動するフォーカスレンズとすることで、フォーカス機構系の小型化と迅速なフォーカシングを達成することができる。
これに対し、レンズ全系を繰り出してフォーカシングを行う全体繰り出し方式では、光学系全体でフォーカシングするため重量が大きくなり、フォーカス機構系であるモータやアクチュエータが大型化する。その結果、鏡筒を含むレンズの最大径が大きくなってしまい撮影レンズ系の小型化が困難である。
上述の特許文献1、2では、前群と後群を別々に移動させてフォーカシングを行っているため、フォーカスレンズ群を制御するための鏡枠構成の複雑化や大型化を招く。またレンズの構成枚数が多いため、モータへの負担が大きく、迅速なフォーカシングを達成することができない。
上述の特許文献3では、1つのレンズ群のみでフォーカシングを行っているので、特許文献1、2と比較すると鏡枠構成の簡素化が図られている。しかしレンズの構成枚数が多いため、モータへの負担が大きく、迅速なフォーカシングを達成することができない。
【0030】
また本実施形態では、フォーカシング時の球面収差、コマ収差、非点収差を良好に補正するために、フォーカスレンズである正レンズ8の少なくとも片面を非球面とし、その非球面を、近軸球面に比して、光軸から離れるに従って正のパワーを弱める性質とするのがよい。勿論、フォーカスレンズである正レンズ8の両面をそのような性質の非球面とすればなおよいことは言うまでもない。
【0031】
条件式(4)は、フォーカスレンズである正レンズ8のd線に対するアッベ数を規定している。条件式(4)を満足することで、軸上色収差と倍率色収差を良好に補正(フォーカシング時の色収差の変動を抑制)することができる。
条件式(4)の下限を超えると、軸上色収差と倍率色収差の補正が困難になる。
【0032】
また、本実施形態の撮影レンズ系は、物体側から順に、正の屈折力の前群GF、開口絞りS、及び正の屈折力の後群GRからなり、前群GFは実質的に、物体側から順に、1枚の負レンズ1、及び2組の正の屈折力の接合レンズC1(レンズ2、3)、C2(レンズ4、5)からなり、後群GRは実質的に、物体側から順に、負の屈折力の接合レンズC3(レンズ6、7)、及び1枚の正レンズ8からなる。
このレンズ構成は、本願発明の目的である、小型で、非点収差、球面収差、コマ収差などの諸収差を良好に補正して優れた光学性能を持つとともに、ミラーレスのレンズ交換式カメラに用いて好適な撮影レンズ系を得るための最小枚数の基本構成である。
すなわち、この基本レンズ構成(5枚のレンズ1−5からなる前群GF、絞りS、3枚のレンズ6−8からなる後群GR)を必須としたことで、最小のレンズ枚数で非点収差、球面収差、コマ収差などの諸収差を良好に補正できるレンズタイプとなる。
また、この基本レンズ構成を必須としたことで、上述した特許文献1−4と比較して飛躍的に、撮影レンズ系の小型化を達成するとともに、撮像面と後群GR中の最も像側のレンズ8の像側面との間の距離(バックフォーカス)を確保して、レンズ8の像側の面にゴミ等が付着した場合でも、撮影した画像にそのゴミが強く(シャープに)写りこむのを防止することができる。
【実施例】
【0033】
次に具体的な数値実施例1−9を示す。縦収差図及び横収差図並びに表中において、d線、g線、C線はそれぞれの波長に対する収差、Sはサジタル、Mはメリディオナル、FNO.はFナンバー、fは全系の焦点距離、Wは半画角(゜)、Yは像高、dB はレンズ最終面から撮像面までの距離、Lはレンズ全長、Rは曲率半径、dはレンズ厚またはレンズ間隔、N(d)はd線に対する屈折率、ν(d)はd線に対するアッベ数、「E-a」は「×10-a」を示す。長さの単位は例えばmmである。
回転対称非球面は次式で定義される。
x=cy2/[1+[1-(1+K)c2y2]1/2]+A4y4+A6y6+A8y8 +A10y10+A12y12・・・
(但し、cは曲率(1/r)、yは光軸からの高さ、Kは円錐係数、A4、A6、A8、・・・・・は各次数の非球面係数、xはサグ量)
【0034】
[数値実施例1]
図1〜図3と表1〜表3は、本発明による撮影レンズ系の数値実施例1を示している。図1は無限遠物体合焦時のレンズ構成図、図2はその縦収差図、図3はその横収差図である。表1はその面データ、表2はその非球面データ、表3はその各種データである。
【0035】
本数値実施例1の撮影レンズ系は、物体側から順に、正の屈折力の前群GF、開口絞りS、及び正の屈折力の後群GRからなる。
【0036】
前群GFは、物体側から順に、負レンズ(像側に凹の負レンズ)1、及び2組の正の屈折力の接合レンズC1、C2からなる。
負レンズ(像側に凹の負レンズ)1は、物体側に凸の負メニスカスレンズである。
物体側の接合レンズC1は、物体側から順に、両凹負レンズ(物体側に凹の負レンズ)2、及び両凸正レンズ3からなる。
像側の接合レンズC2は、物体側から順に、両凸正レンズ(物体側に凸の正レンズ)4、及び両凹負レンズ(像側に凹の負レンズ)5からなる。
【0037】
後群GRは、物体側から順に、負の屈折力の接合レンズC3、及び正レンズ8からなる。
接合レンズC3は、物体側から順に、両凹負レンズ6及び両凸正レンズ7からなる。両凸正レンズ7はその像側の面が非球面である。
正レンズ8は、両凸正レンズであり、その両面が非球面である。また両凸正レンズ8は、フォーカシング時に移動するフォーカスレンズである(無限遠物体から有限距離物体へ合焦させるに際し両凸正レンズ8を物体側に繰り出してフォーカシングを行う)。
【0038】
後群GR(正レンズ8)の後方(像面Iとの間)に位置する光学フィルタOPとカバーガラスCGは、図示しないカメラボディ側に設けられている。
【0039】
(表1)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 1072.616 0.800 1.51680 64.2
2 5.896 2.461
3 -19.039 0.800 1.59551 39.2
4 7.534 3.646 1.88300 40.8
5 -20.795 0.100
6 9.939 2.278 1.77250 49.6
7 -19.654 0.800 1.58144 40.9
8 16.145 2.572
9絞 ∞ 2.205
10 -6.986 1.000 1.76182 26.6
11 7.766 2.792 1.75501 51.2
12* -11.214 1.232
13* 14.507 2.818 1.80610 40.7
14* -21.008 4.194
15 ∞ 0.550 1.51680 64.2
16 ∞ 2.020
17 ∞ 0.500 1.51680 64.2
18 ∞ -
*は回転対称非球面である。
(表2)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8
12 0.000 0.5422E-04 0.9393E-05 0.1579E-07
13 0.000 -0.2804E-03 0.1077E-05 0.5386E-07
14 0.000 -0.1145E-03 -0.3647E-05 0.1262E-06
(表3)
各種データ
FNO. 1.9
f 8.5
W 30.8
Y 4.65
dB 0.53
L 31.30
【0040】
[数値実施例2]
図4〜図6と表4〜表6は、本発明による撮影レンズ系の数値実施例2を示している。図4は無限遠物体合焦時のレンズ構成図、図5はその縦収差図、図6はその横収差図である。表4はその面データ、表5はその非球面データ、表6はその各種データである。
【0041】
この数値実施例2のレンズ構成は、負レンズ(像側に凹の負レンズ)1が両凹負レンズである点を除き、数値実施例1のレンズ構成と同様である。
【0042】
(表4)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 -267.683 0.800 1.69680 55.5
2 6.686 2.574
3 -20.119 0.800 1.59551 39.2
4 9.840 5.000 1.88300 40.8
5 -22.603 0.100
6 8.746 2.869 1.77250 49.6
7 -14.146 0.800 1.59551 39.2
8 179.564 1.230
9絞 ∞ 1.800
10 -9.165 0.828 1.76182 26.6
11 5.895 3.856 1.75501 51.2
12* -30.522 1.600
13* 17.583 1.964 1.80610 40.7
14* -25.872 3.532
15 ∞ 0.550 1.51680 64.2
16 ∞ 2.020
17 ∞ 0.500 1.51680 64.2
18 ∞ -
*は回転対称非球面である。
(表5)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8
12 0.000 0.3741E-03 0.2196E-04 -0.1959E-06
13 0.000 -0.2686E-03 0.6949E-05 0.9156E-07
14 0.000 -0.1532E-03 -0.1453E-05 0.2549E-06
(表6)
各種データ
FNO. 1.9
f 8.5
W 30.5
Y 4.65
dB 0.53
L 31.35
【0043】
[数値実施例3]
図7〜図9と表7〜表9は、本発明による撮影レンズ系の数値実施例3を示している。図7は無限遠物体合焦時のレンズ構成図、図8はその縦収差図、図9はその横収差図である。表7はその面データ、表8はその非球面データ、表9はその各種データである。
【0044】
この数値実施例3のレンズ構成は、負レンズ(像側に凹の負レンズ)1が像側に凹の平凹負レンズである点を除き、数値実施例1のレンズ構成と同様である。
【0045】
(表7)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 ∞ 0.800 1.69680 55.5
2 6.285 2.275
3 -17.783 0.800 1.59551 39.2
4 8.130 4.102 1.88300 40.8
5 -21.070 0.100
6 8.733 3.089 1.77250 49.6
7 -16.024 0.800 1.59551 39.2
8 52.481 1.485
9絞 ∞ 1.811
10 -8.207 0.880 1.76182 26.6
11 6.072 3.115 1.75501 51.2
12* -19.702 1.385
13* 15.955 2.895 1.80610 40.7
14* -22.945 3.601
15 ∞ 0.550 1.51680 64.2
16 ∞ 2.020
17 ∞ 0.500 1.51680 64.2
18 ∞ -
*は回転対称非球面である。
(表8)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8
12 0.000 0.2862E-03 0.2036E-04 -0.1228E-06
13 0.000 -0.2531E-03 0.6753E-05 0.4319E-07
14 0.000 -0.1068E-03 -0.1795E-05 0.2020E-06
(表9)
各種データ
FNO. 1.9
f 8.5
W 30.7
Y 4.65
dB 0.53
L 30.74
【0046】
[数値実施例4]
図10〜図12と表10〜表12は、本発明による撮影レンズ系の数値実施例4を示している。図10は無限遠物体合焦時のレンズ構成図、図11はその縦収差図、図12はその横収差図である。表10はその面データ、表11はその非球面データ、表12はその各種データである。
【0047】
この数値実施例4のレンズ構成は、数値実施例2のレンズ構成と同様である。
【0048】
(表10)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 -185.626 0.800 1.80420 46.5
2 7.056 1.870
3 -23.960 0.800 1.59551 39.2
4 7.808 3.422 1.88300 40.8
5 -15.577 0.100
6 8.846 2.653 1.77250 49.6
7 -48.559 0.800 1.58144 40.9
8 12.233 2.145
9絞 ∞ 2.435
10 -6.621 1.000 1.76182 26.6
11 11.577 2.300 1.75501 51.2
12* -9.976 1.232
13* 15.612 2.322 1.72903 54.0
14* -16.856 6.335
15 ∞ 0.550 1.51680 64.2
16 ∞ 0.620
17 ∞ 0.500 1.51680 64.2
18 ∞ -
*は回転対称非球面である。
(表11)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8
12 0.000 0.5306E-04 0.1225E-04 -0.2065E-07
13 0.000 -0.3359E-03 0.2201E-05 0.5267E-07
14 0.000 -0.1177E-03 -0.4555E-05 0.1583E-06
(表12)
各種データ
FNO. 1.9
f 8.5
W 30.6
Y 4.65
dB 0.53
L 30.42
【0049】
[数値実施例5]
図13〜図15と表13〜表15は、本発明による撮影レンズ系の数値実施例5を示している。図13は無限遠物体合焦時のレンズ構成図、図14はその縦収差図、図15はその横収差図である。表13はその面データ、表14はその非球面データ、表15はその各種データである。
【0050】
この数値実施例5のレンズ構成は、数値実施例1のレンズ構成と同様である。
【0051】
(表13)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 44.123 0.800 1.69680 55.5
2 5.948 2.538
3 -16.881 0.800 1.59551 39.2
4 8.290 4.343 1.88300 40.8
5 -23.576 0.100
6 8.550 2.294 1.77250 49.6
7 -14.546 0.800 1.59551 39.2
8 47.953 1.747
9絞 ∞ 1.891
10 -7.882 0.817 1.76182 26.6
11 6.300 3.180 1.75501 51.2
12* -20.513 1.271
13* 15.599 2.109 1.80610 40.7
14* -22.666 3.940
15 ∞ 0.550 1.51680 64.2
16 ∞ 2.020
17 ∞ 0.500 1.51680 64.2
18 ∞ -
*は回転対称非球面である。
(表14)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8
12 0.000 0.2481E-03 0.2089E-04 -0.1062E-06
13 0.000 -0.3323E-03 0.5321E-05 0.1007E-06
14 0.000 -0.1224E-03 -0.4211E-05 0.2702E-06
(表15)
各種データ
FNO. 1.9
f 8.5
W 30.2
Y 4.65
dB 0.53
L 30.23
【0052】
[数値実施例6]
図16〜図18と表16〜表18は、本発明による撮影レンズ系の数値実施例6を示している。図16は無限遠物体合焦時のレンズ構成図、図17はその縦収差図、図18はその横収差図である。表16はその面データ、表17はその非球面データ、表18はその各種データである。
【0053】
この数値実施例6のレンズ構成は、数値実施例2のレンズ構成と同様である。
【0054】
(表16)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 -169.547 0.800 1.80420 46.5
2 7.023 1.884
3 -24.406 0.800 1.59551 39.2
4 7.793 3.543 1.88300 40.8
5 -15.079 0.100
6 8.925 2.521 1.77250 49.6
7 -59.476 0.800 1.58144 40.9
8 11.999 2.286
9絞 ∞ 2.391
10 -6.591 1.000 1.76182 26.6
11 13.278 2.334 1.69680 55.5
12* -8.902 1.230
13* 15.516 2.318 1.72903 54.0
14* -17.241 6.515
15 ∞ 0.550 1.51680 64.2
16 ∞ 0.620
17 ∞ 0.500 1.51680 64.2
18 ∞ -
*は回転対称非球面である。
(表17)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8
12 0.000 0.4509E-04 0.1269E-04 -0.3638E-07
13 0.000 -0.3303E-03 0.1786E-05 0.5489E-07
14 0.000 -0.1389E-03 -0.4295E-05 0.1551E-06
(表18)
各種データ
FNO. 1.9
f 8.5
W 30.6
Y 4.65
dB 0.53
L 30.72
[数値実施例7]
図19〜図21と表19〜表21は、本発明による撮影レンズ系の数値実施例7を示している。図19は無限遠物体合焦時のレンズ構成図、図20はその縦収差図、図21はその横収差図である。表19はその面データ、表20はその非球面データ、表21はその各種データである。
【0055】
この数値実施例7のレンズ構成は、数値実施例1のレンズ構成と同様である。
【0056】
(表19)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 104.823 0.800 1.65160 58.4
2 6.090 3.259
3 -17.678 0.800 1.59551 39.2
4 8.839 2.591 1.88300 40.8
5 -23.146 0.100
6 9.315 2.577 1.80420 46.5
7 -14.474 0.800 1.62004 36.3
8 95.055 1.552
9絞 ∞ 1.800
10 -8.124 0.800 1.76182 26.6
11 6.147 3.097 1.65160 58.4
12* -14.373 1.271
13* 17.877 2.017 1.88300 40.8
14* -23.315 5.837
15 ∞ 0.550 1.51680 64.2
16 ∞ 0.620
17 ∞ 0.500 1.51680 64.2
18 ∞ -
*は回転対称非球面である。
(表20)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8
12 0.000 0.2232E-03 0.1714E-04 0.2565E-07
13 0.000 -0.2522E-03 0.2475E-05 0.6534E-07
14 0.000 -0.1420E-03 -0.3601E-05 0.1560E-06
(表21)
各種データ
FNO. 1.9
f 8.5
W 30.6
Y 4.65
dB 0.53
L 29.50
【0057】
[数値実施例8]
図22〜図24と表22〜表24は、本発明による撮影レンズ系の数値実施例8を示している。図22は無限遠物体合焦時のレンズ構成図、図23はその縦収差図、図24はその横収差図である。表22はその面データ、表23はその非球面データ、表24はその各種データである。
【0058】
この数値実施例8のレンズ構成は、数値実施例1のレンズ構成と同様である。
【0059】
(表22)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 60.952 0.800 1.69680 55.5
2 6.340 2.841
3 -17.785 0.800 1.59551 39.2
4 10.006 5.450 1.88300 40.8
5 -24.662 0.100
6 8.651 3.127 1.77250 49.6
7 -14.882 0.800 1.59551 39.2
8 247.553 1.222
9絞 ∞ 1.800
10 -9.067 0.936 1.76182 26.6
11 5.614 3.526 1.75501 51.2
12* -54.579 1.390
13* 14.110 2.126 1.80610 40.7
14* -27.416 4.985
15 ∞ 0.550 1.51680 64.2
16 ∞ 0.620
17 ∞ 0.500 1.51680 64.2
18 ∞ -
*は回転対称非球面である。
(表23)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8
12 0.000 0.2843E-03 0.2922E-04 -0.3328E-06
13 0.000 -0.3866E-03 0.7369E-05 0.8788E-07
14 0.000 -0.1519E-03 -0.5426E-05 0.3112E-06
(表24)
各種データ
FNO. 1.9
f 8.5
W 30.5
Y 4.65
dB 0.53
L 32.10
【0060】
[数値実施例9]
図25〜図27と表25〜表27は、本発明による撮影レンズ系の数値実施例9を示している。図25は無限遠物体合焦時のレンズ構成図、図26はその縦収差図、図27はその横収差図である。表25はその面データ、表26はその非球面データ、表27はその各種データである。
【0061】
この数値実施例9のレンズ構成は、数値実施例1のレンズ構成と同様である。
【0062】
(表25)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 62.928 0.800 1.69680 55.5
2 6.395 3.089
3 -18.134 0.800 1.59551 39.2
4 10.028 5.000 1.88300 40.8
5 -24.786 0.100
6 8.659 3.378 1.77250 49.6
7 -14.254 0.800 1.59551 39.2
8 130.121 1.240
9絞 ∞ 1.808
10 -8.493 0.800 1.76182 26.6
11 5.628 3.439 1.75501 51.2
12* -40.577 1.297
13* 14.756 2.170 1.80610 40.7
14* -23.985 5.088
15 ∞ 0.550 1.51680 64.2
16 ∞ 0.620
17 ∞ 0.500 1.51680 64.2
18 ∞ -
*は回転対称非球面である。
(表26)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8
12 0.000 0.3135E-03 0.2607E-04 -0.2321E-06
13 0.000 -0.3426E-03 0.6564E-05 0.6307E-07
14 0.000 -0.1363E-03 -0.4885E-05 0.2545E-06
(表27)
各種データ
FNO. 1.9
f 8.5
W 30.5
Y 4.65
dB 0.53
L 32.01
【0063】
各数値実施例の各条件式に対する値を表28に示す。
(表28)
実施例1 実施例2 実施例3
条件式(1) 1.44 0.40 0.62
条件式(2) -1.35 -1.10 -1.06
条件式(3) 24.6 24.6 24.6
条件式(4) 40.7 40.7 40.7
実施例4 実施例5 実施例6
条件式(1) 1.49 0.45 1.48
条件式(2) -0.99 -1.17 -0.98
条件式(3) 24.6 24.6 28.85
条件式(4) 54.0 40.7 54.0
実施例7 実施例8 実施例9
条件式(1) 0.59 0.38 0.88
条件式(2) -1.17 -1.20 -1.21
条件式(3) 31.8 24.6 24.6
条件式(4) 40.8 40.7 40.7
【0064】
表28から明らかなように、数値実施例1〜数値実施例9は、条件式(1)〜(4)を満足しており、また諸収差図から明らかなように諸収差は比較的よく補正されている。
【符号の説明】
【0065】
GF 正の屈折力の前群
GR 正の屈折力の後群
1 負レンズ(像側に凹の負レンズ)
2 物体側に凹の負レンズ
3 正レンズ
4 物体側に凸の正レンズ
5 像側に凹の負レンズ
6 負レンズ
7 正レンズ
8 正レンズ(フォーカスレンズ)
C1 正の屈折力の接合レンズ
C2 正の屈折力の接合レンズ
C3 負の屈折力の接合レンズ
S 開口絞り
OP 光学フィルタ
CG カバーガラス
I 像面
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の撮像機器、特に光学ファインダー用分岐ミラーを省略した、ミラーレスのレンズ交換式カメラに用いて好適な撮影レンズ系に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ等の撮像機器に用いられる撮影レンズ系には、より小型で高性能であることが求められている。撮影レンズ系として、物体側から順に正の前群と正の後群からなるものが知られている(特許文献1−4)。これらは一眼レフカメラ用の撮影レンズ系なので、撮影レンズ系と撮像面との間の、光学ファインダー用分岐ミラーとの干渉を避けるため、焦点距離に対して長めのバックフォーカスを確保しようと前群の最も物体側に、負レンズを配置するのが普通である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−86221号公報
【特許文献2】特開2009−198855号公報
【特許文献3】特開2010−191069号公報
【特許文献4】特開2004−101880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献4の撮影レンズ系は、後群のレンズ枚数が5枚と多いために光学系の大型化を招いている。また、後群の最も像側に負レンズを配置して周辺の光線が大きく発散しているため、球面収差、コマ収差、非点収差が増大し、テレセントリック性も損なわれる。
【0005】
特許文献3、4の撮影レンズ系は、前群と後群のパワーバランスが不適切であるために、球面収差、コマ収差、非点収差などの諸収差が大きく発生して光学性能が劣化している。例えば、特許文献3の撮影レンズ系は、前群のパワーに対して後群のパワーが強すぎて、非点収差が発生している。特許文献4の撮影レンズ系は、後群のパワーに対して前群のパワーが強すぎて、大きな球面収差、コマ収差が発生している。
【0006】
そして、特許文献1−4のいずれの撮影レンズ系も、バックフォーカス(撮像面と撮影レンズ系の最も像側のレンズの像側面との間の距離)が長過ぎるため、ミラーレスのレンズ交換式カメラに流用すると大型化してしまって好ましくない。一方、ミラーレスのレンズ交換式カメラに用いる撮影レンズ系にあっては、小型化を達成しつつ、レンズ交換時に最も像側のレンズに付着したゴミ等が写りこむ強さ(シャープさ)を緩和するために、撮像面と撮影レンズ系の最も像側の面との間の距離をある程度確保する必要があるので、無闇にバックフォーカスを短縮すれば良いというものではない。
【0007】
本発明は以上の問題意識に基づいて完成されたものであり、小型で、非点収差、球面収差、コマ収差などの諸収差を良好に補正して優れた光学性能を持つとともに、ミラーレスのレンズ交換式カメラに用いて好適な撮影レンズ系を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の撮影レンズ系は、物体側から順に、正の屈折力の前群、開口絞り、及び正の屈折力の後群からなる撮影レンズ系において、前群は、物体側から順に、少なくとも1枚の負レンズ、及び少なくとも2組の正の屈折力の接合レンズからなり、次の条件式(1)及び(2)を満足することを特徴としている。
(1)0.35<fF/fR<1.5
(2)−1.4<fL1/f<−0.9
但し、
fF:前群の焦点距離、
fR:後群の焦点距離、
fL1:前群中の少なくとも1枚の負レンズの焦点距離または合成焦点距離、
f:全系の焦点距離、
である。
【0009】
正の屈折力の後群は、具体的に、物体側から順に、負の屈折力の接合レンズ、及び正レンズで構成することができる。
【0010】
後群中の負の屈折力の接合レンズは、物体側から順に、負レンズ及び正レンズで構成し、次の条件式(3)を満足することが好ましい。
(3)|νd6−νd7|>20
但し、
νd6:後群中の接合レンズの負レンズのd線に対するアッベ数、
νd7:後群中の接合レンズの正レンズのd線に対するアッベ数、
である。
【0011】
フォーカス機構系の小型化と迅速なフォーカシングのためには、後群中の最も像側の正レンズをフォーカシング時に移動するフォーカスレンズとすることが好ましい。
【0012】
本発明の撮影レンズ系は、次の条件式(4)を満足することが好ましい。
(4)νd8>40
但し、
νd8:後群中の最も像側の正レンズのd線に対するアッベ数、
である。
【0013】
前群は、具体的に、物体側から順に、像側に凹の負レンズ、及び2組の正の屈折力の接合レンズで構成するのが実際的である。
前群中の物体側の接合レンズは、物体側から順に、物体側に凹の負レンズ及び正レンズで構成することができる。
前群中の像側の接合レンズは、物体側から順に、物体側に凸の正レンズ及び像側に凹の負レンズで構成することができる。
【0014】
本発明の撮影レンズ系は、別の態様では、物体側から順に、正の屈折力の前群、開口絞り、及び正の屈折力の後群からなる撮影レンズ系において、前群は実質的に、物体側から順に、1枚の負レンズ、及び2組の正の屈折力の接合レンズからなり、後群は実質的に、物体側から順に、負の屈折力の接合レンズ、及び1枚の正レンズからなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、小型で、非点収差、球面収差、コマ収差などの諸収差を良好に補正して優れた光学性能を持つとともに、ミラーレスのレンズ交換式カメラに用いて好適な撮影レンズ系が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による撮影レンズ系の数値実施例1の無限遠物体合焦時のレンズ構成図である。
【図2】図1の構成における縦収差図である。
【図3】図1の構成における横収差図である。
【図4】本発明による撮影レンズ系の数値実施例2の無限遠物体合焦時のレンズ構成図である。
【図5】図4の構成における縦収差図である。
【図6】図4の構成における横収差図である。
【図7】本発明による撮影レンズ系の数値実施例3の無限遠物体合焦時のレンズ構成図である。
【図8】図7の構成における縦収差図である。
【図9】図7の構成における横収差図である。
【図10】本発明による撮影レンズ系の数値実施例4の無限遠物体合焦時のレンズ構成図である。
【図11】図10の構成における縦収差図である。
【図12】図10の構成における横収差図である。
【図13】本発明による撮影レンズ系の数値実施例5の無限遠物体合焦時のレンズ構成図である。
【図14】図13の構成における縦収差図である。
【図15】図13の構成における横収差図である。
【図16】本発明による撮影レンズ系の数値実施例6の無限遠物体合焦時のレンズ構成図である。
【図17】図16の構成における縦収差図である。
【図18】図16の構成における横収差図である。
【図19】本発明による撮影レンズ系の数値実施例7の無限遠物体合焦時のレンズ構成図である。
【図20】図19の構成における縦収差図である。
【図21】図19の構成における横収差図である。
【図22】本発明による撮影レンズ系の数値実施例8の無限遠物体合焦時のレンズ構成図である。
【図23】図22の構成における縦収差図である。
【図24】図22の構成における横収差図である。
【図25】本発明による撮影レンズ系の数値実施例9の無限遠物体合焦時のレンズ構成図である。
【図26】図25の構成における縦収差図である。
【図27】図25の構成における横収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施形態の撮影レンズ系は、図1、図4、図7、図10、図13、図16、図19、図22、及び図25の各数値実施例1−9に示すように、物体側から順に、正の屈折力の前群GF、開口絞りS、及び正の屈折力の後群GRからなる。Iは像面である。
【0018】
前群GFは、全数値実施例1−9を通じて、物体側から順に、負レンズ(像側に凹の負レンズ)1、及び2組の正の屈折力の接合レンズC1、C2からなる。
負レンズ(像側に凹の負レンズ)1は、物体側に凸の負メニスカスレンズ(数値実施例1、5、7−9)、両凹負レンズ(数値実施例2、4、6)又は像側に凹の平凹負レンズ(数値実施例3)である。
物体側の接合レンズC1は、全数値実施例1−9を通じて、物体側から順に、両凹負レンズ(物体側に凹の負レンズ)2、及び両凸正レンズ3からなる。
像側の接合レンズC2は、全数値実施例1−9を通じて、物体側から順に、両凸正レンズ(物体側に凸の正レンズ)4、及び両凹負レンズ(像側に凹の負レンズ)5からなる。
【0019】
後群GRは、全数値実施例1−9を通じて、物体側から順に、負の屈折力の接合レンズC3、及び正レンズ8からなる。
接合レンズC3は、全数値実施例1−9を通じて、物体側から順に、両凹負レンズ6及び両凸正レンズ7からなる。両凸正レンズ7はその像側の面が非球面である。
正レンズ8は、全数値実施例1−9を通じて、両凸正レンズであり、その両面が非球面である。また両凸正レンズ8は、フォーカシング時に移動するフォーカスレンズである(無限遠物体から有限距離物体へ合焦させるに際し両凸正レンズ8を物体側に繰り出してフォーカシングを行う)。
【0020】
後群GR(正レンズ8)と像面Iとの間に位置する光学フィルタOPとカバーガラスCGは、図示しないカメラボディ側に設けられている。
【0021】
本実施形態では、前群GF中の最も物体側の負レンズ1は、撮像面と後群GR中の最も像側の正レンズ8の像側面との間の距離(バックフォーカス)を確保する役割を持ち、この負レンズ1より像側の2組の正の屈折力の接合レンズC1、C2は、色収差を補正する役割を持つ。
この役割を維持したまま、前群GF中の最も物体側の負レンズ1を2枚以上の負レンズに分けることができる。
【0022】
撮影レンズ系を小型化するためには正の屈折力の前群GFのパワーを強くする必要があるが、撮像面と撮影レンズ系の最も像側のレンズ8の像側面との間の距離(バックフォーカス)も適切に確保するために最も物体側の負レンズ1のパワーを強くすると、負レンズ1で負の歪曲収差が大きく発生する。そこで本実施形態では、開口絞りSより物体側に位置する接合レンズC1、C2に厚みのある正レンズ3、4を含ませることで、負レンズ1で発生した負の歪曲収差を良好に補正している。
【0023】
物体側の接合レンズC1の負レンズ2を物体側に凹とすることで、非点収差を良好に補正することができる。物体側の接合レンズC2の正レンズ3を物体側に凸とすることで、球面収差、コマ収差を良好に補正することができる。
【0024】
本実施形態では、後群GR中の負レンズ6は、軸外収差に与える影響を小さく保ったまま全系で発生する球面収差を補正するために、負の球面収差を発生させる役割を持つ。また後群GR中の正レンズ7、8は、球面収差、コマ収差の発生を抑える役割を持つ。
高次の球面収差を良好に補正するために、後群GR中の負レンズ6と正レンズ7を接合して接合レンズC3としている。また少ないレンズ枚数でさらに諸収差を良好に補正するため、接合レンズC3の正レンズ7の像側の面を非球面とし、その非球面を、近軸球面に比して、光軸から離れるに従って正のパワーを弱める性質としている。
【0025】
条件式(1)は、前群GFの焦点距離と、後群GRの焦点距離との比を規定している。条件式(1)を満足することで、撮影レンズ系を小型化するとともに、球面収差、コマ収差、歪曲収差を良好に補正して優れた光学性能を得ることができる。
条件式(1)の上限を超えると、前群GFのパワーに対して後群GRのパワーが強すぎて、大きな歪曲収差が発生する。この歪曲収差を補正するためにはレンズ枚数を増加する必要があり、撮影レンズ系が大型化する。
条件式(1)の下限を超えると、撮影レンズ系の小型化には有利であるが、後群GRのパワーに対して前群GFのパワーが強すぎて、大きな球面収差、コマ収差が発生する。
【0026】
条件式(2)は、前群GF中の最も物体側の負レンズ1の焦点距離(負レンズ1を2枚以上の負レンズに分けた場合にはこの2枚以上の負レンズの合成焦点距離)と、全系の焦点距離との比を規定している。条件式(2)を満足することで、撮影レンズ系を小型化するとともに、非点収差、歪曲収差を良好に補正することができる。
条件式(2)の上限を超えると、前群GF中の最も物体側の負レンズ1のパワーが強すぎて、小型化の達成と負の歪曲収差の補正を両立させることが困難になる。
条件式(2)の下限を超えると、前群GF中の最も物体側の負レンズ1のパワーが弱すぎて、撮像面と撮影レンズ系の最も像側のレンズ8の像側面との間の距離(バックフォーカス)を確保するためにはレンズ全長を長くして光線を発散させる必要があり、小型化の達成と非点収差の補正を両立させることが困難になる。
【0027】
上述したように、前群GF中の最も物体側の負レンズ1は、撮影レンズ系をレンズ鏡筒に搭載したときに撮像面と後群GR中の最も像側の正レンズ8の像側面との間の距離(バックフォーカス)を確保する役割を持つ。本実施形態では、前群GF中の最も物体側の負レンズ1のパワーを条件式(2)を満足する範囲に規定することで、撮影レンズ系の小型化を達成するとともに、撮像面と後群GR中の最も像側の正レンズ8の像側面との間の距離(バックフォーカス)をある程度確保して、正レンズ8の像側の面にゴミ等が付着した場合でも、撮影した画像にそのゴミが強く(シャープに)写りこむのを防止することができる。
条件式(2)の上限を超えると、前群GF中の最も物体側の負レンズ1のパワーが弱すぎて、撮像面と後群GR中の最も像側の正レンズ8の像側面との間の距離(バックフォーカス)が大きくなりすぎる結果、撮影レンズ系が大型化する。
条件式(2)の下限を超えると、前群GF中の最も物体側の負レンズ1のパワーが強すぎて、撮像面と後群GR中の最も像側の正レンズ8の像側面との間の距離(バックフォーカス)が小さくなりすぎる結果、正レンズ8の像側の面にゴミ等が付着すると、そのゴミが強く(シャープに)写りこんで撮影画像が劣化してしまう。
【0028】
上述したように、後群GR中の負の屈折力の接合レンズC3は、物体側から順に、負レンズ6及び正レンズ7からなる。条件式(3)はこの構成において、負レンズ6と正レンズ7のd線に対するアッベ数の差を規定している。条件式(3)を満足することで、前群GFで補正し切れなかった色収差を更に良好に補正することができる。
条件式(3)の下限を超えると、負レンズ6と正レンズ7のd線に対するアッベ数の差が十分に確保されず、色収差が残存してしまう場合がある。
【0029】
後群GRにはテレセントリック性を保つために軸外光線が光軸に対して高い位置を通るので、後群GRの全体をフォーカスレンズ群とすると、撮影レンズ系の大型化や高重量化に繋がり、フォーカス機構系の小型化と迅速なフォーカシングの妨げとなる。そこで本実施形態のように、後群GR中の最も像側の正レンズ(正単レンズ)8をフォーカシング時に移動するフォーカスレンズとすることで、フォーカス機構系の小型化と迅速なフォーカシングを達成することができる。
これに対し、レンズ全系を繰り出してフォーカシングを行う全体繰り出し方式では、光学系全体でフォーカシングするため重量が大きくなり、フォーカス機構系であるモータやアクチュエータが大型化する。その結果、鏡筒を含むレンズの最大径が大きくなってしまい撮影レンズ系の小型化が困難である。
上述の特許文献1、2では、前群と後群を別々に移動させてフォーカシングを行っているため、フォーカスレンズ群を制御するための鏡枠構成の複雑化や大型化を招く。またレンズの構成枚数が多いため、モータへの負担が大きく、迅速なフォーカシングを達成することができない。
上述の特許文献3では、1つのレンズ群のみでフォーカシングを行っているので、特許文献1、2と比較すると鏡枠構成の簡素化が図られている。しかしレンズの構成枚数が多いため、モータへの負担が大きく、迅速なフォーカシングを達成することができない。
【0030】
また本実施形態では、フォーカシング時の球面収差、コマ収差、非点収差を良好に補正するために、フォーカスレンズである正レンズ8の少なくとも片面を非球面とし、その非球面を、近軸球面に比して、光軸から離れるに従って正のパワーを弱める性質とするのがよい。勿論、フォーカスレンズである正レンズ8の両面をそのような性質の非球面とすればなおよいことは言うまでもない。
【0031】
条件式(4)は、フォーカスレンズである正レンズ8のd線に対するアッベ数を規定している。条件式(4)を満足することで、軸上色収差と倍率色収差を良好に補正(フォーカシング時の色収差の変動を抑制)することができる。
条件式(4)の下限を超えると、軸上色収差と倍率色収差の補正が困難になる。
【0032】
また、本実施形態の撮影レンズ系は、物体側から順に、正の屈折力の前群GF、開口絞りS、及び正の屈折力の後群GRからなり、前群GFは実質的に、物体側から順に、1枚の負レンズ1、及び2組の正の屈折力の接合レンズC1(レンズ2、3)、C2(レンズ4、5)からなり、後群GRは実質的に、物体側から順に、負の屈折力の接合レンズC3(レンズ6、7)、及び1枚の正レンズ8からなる。
このレンズ構成は、本願発明の目的である、小型で、非点収差、球面収差、コマ収差などの諸収差を良好に補正して優れた光学性能を持つとともに、ミラーレスのレンズ交換式カメラに用いて好適な撮影レンズ系を得るための最小枚数の基本構成である。
すなわち、この基本レンズ構成(5枚のレンズ1−5からなる前群GF、絞りS、3枚のレンズ6−8からなる後群GR)を必須としたことで、最小のレンズ枚数で非点収差、球面収差、コマ収差などの諸収差を良好に補正できるレンズタイプとなる。
また、この基本レンズ構成を必須としたことで、上述した特許文献1−4と比較して飛躍的に、撮影レンズ系の小型化を達成するとともに、撮像面と後群GR中の最も像側のレンズ8の像側面との間の距離(バックフォーカス)を確保して、レンズ8の像側の面にゴミ等が付着した場合でも、撮影した画像にそのゴミが強く(シャープに)写りこむのを防止することができる。
【実施例】
【0033】
次に具体的な数値実施例1−9を示す。縦収差図及び横収差図並びに表中において、d線、g線、C線はそれぞれの波長に対する収差、Sはサジタル、Mはメリディオナル、FNO.はFナンバー、fは全系の焦点距離、Wは半画角(゜)、Yは像高、dB はレンズ最終面から撮像面までの距離、Lはレンズ全長、Rは曲率半径、dはレンズ厚またはレンズ間隔、N(d)はd線に対する屈折率、ν(d)はd線に対するアッベ数、「E-a」は「×10-a」を示す。長さの単位は例えばmmである。
回転対称非球面は次式で定義される。
x=cy2/[1+[1-(1+K)c2y2]1/2]+A4y4+A6y6+A8y8 +A10y10+A12y12・・・
(但し、cは曲率(1/r)、yは光軸からの高さ、Kは円錐係数、A4、A6、A8、・・・・・は各次数の非球面係数、xはサグ量)
【0034】
[数値実施例1]
図1〜図3と表1〜表3は、本発明による撮影レンズ系の数値実施例1を示している。図1は無限遠物体合焦時のレンズ構成図、図2はその縦収差図、図3はその横収差図である。表1はその面データ、表2はその非球面データ、表3はその各種データである。
【0035】
本数値実施例1の撮影レンズ系は、物体側から順に、正の屈折力の前群GF、開口絞りS、及び正の屈折力の後群GRからなる。
【0036】
前群GFは、物体側から順に、負レンズ(像側に凹の負レンズ)1、及び2組の正の屈折力の接合レンズC1、C2からなる。
負レンズ(像側に凹の負レンズ)1は、物体側に凸の負メニスカスレンズである。
物体側の接合レンズC1は、物体側から順に、両凹負レンズ(物体側に凹の負レンズ)2、及び両凸正レンズ3からなる。
像側の接合レンズC2は、物体側から順に、両凸正レンズ(物体側に凸の正レンズ)4、及び両凹負レンズ(像側に凹の負レンズ)5からなる。
【0037】
後群GRは、物体側から順に、負の屈折力の接合レンズC3、及び正レンズ8からなる。
接合レンズC3は、物体側から順に、両凹負レンズ6及び両凸正レンズ7からなる。両凸正レンズ7はその像側の面が非球面である。
正レンズ8は、両凸正レンズであり、その両面が非球面である。また両凸正レンズ8は、フォーカシング時に移動するフォーカスレンズである(無限遠物体から有限距離物体へ合焦させるに際し両凸正レンズ8を物体側に繰り出してフォーカシングを行う)。
【0038】
後群GR(正レンズ8)の後方(像面Iとの間)に位置する光学フィルタOPとカバーガラスCGは、図示しないカメラボディ側に設けられている。
【0039】
(表1)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 1072.616 0.800 1.51680 64.2
2 5.896 2.461
3 -19.039 0.800 1.59551 39.2
4 7.534 3.646 1.88300 40.8
5 -20.795 0.100
6 9.939 2.278 1.77250 49.6
7 -19.654 0.800 1.58144 40.9
8 16.145 2.572
9絞 ∞ 2.205
10 -6.986 1.000 1.76182 26.6
11 7.766 2.792 1.75501 51.2
12* -11.214 1.232
13* 14.507 2.818 1.80610 40.7
14* -21.008 4.194
15 ∞ 0.550 1.51680 64.2
16 ∞ 2.020
17 ∞ 0.500 1.51680 64.2
18 ∞ -
*は回転対称非球面である。
(表2)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8
12 0.000 0.5422E-04 0.9393E-05 0.1579E-07
13 0.000 -0.2804E-03 0.1077E-05 0.5386E-07
14 0.000 -0.1145E-03 -0.3647E-05 0.1262E-06
(表3)
各種データ
FNO. 1.9
f 8.5
W 30.8
Y 4.65
dB 0.53
L 31.30
【0040】
[数値実施例2]
図4〜図6と表4〜表6は、本発明による撮影レンズ系の数値実施例2を示している。図4は無限遠物体合焦時のレンズ構成図、図5はその縦収差図、図6はその横収差図である。表4はその面データ、表5はその非球面データ、表6はその各種データである。
【0041】
この数値実施例2のレンズ構成は、負レンズ(像側に凹の負レンズ)1が両凹負レンズである点を除き、数値実施例1のレンズ構成と同様である。
【0042】
(表4)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 -267.683 0.800 1.69680 55.5
2 6.686 2.574
3 -20.119 0.800 1.59551 39.2
4 9.840 5.000 1.88300 40.8
5 -22.603 0.100
6 8.746 2.869 1.77250 49.6
7 -14.146 0.800 1.59551 39.2
8 179.564 1.230
9絞 ∞ 1.800
10 -9.165 0.828 1.76182 26.6
11 5.895 3.856 1.75501 51.2
12* -30.522 1.600
13* 17.583 1.964 1.80610 40.7
14* -25.872 3.532
15 ∞ 0.550 1.51680 64.2
16 ∞ 2.020
17 ∞ 0.500 1.51680 64.2
18 ∞ -
*は回転対称非球面である。
(表5)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8
12 0.000 0.3741E-03 0.2196E-04 -0.1959E-06
13 0.000 -0.2686E-03 0.6949E-05 0.9156E-07
14 0.000 -0.1532E-03 -0.1453E-05 0.2549E-06
(表6)
各種データ
FNO. 1.9
f 8.5
W 30.5
Y 4.65
dB 0.53
L 31.35
【0043】
[数値実施例3]
図7〜図9と表7〜表9は、本発明による撮影レンズ系の数値実施例3を示している。図7は無限遠物体合焦時のレンズ構成図、図8はその縦収差図、図9はその横収差図である。表7はその面データ、表8はその非球面データ、表9はその各種データである。
【0044】
この数値実施例3のレンズ構成は、負レンズ(像側に凹の負レンズ)1が像側に凹の平凹負レンズである点を除き、数値実施例1のレンズ構成と同様である。
【0045】
(表7)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 ∞ 0.800 1.69680 55.5
2 6.285 2.275
3 -17.783 0.800 1.59551 39.2
4 8.130 4.102 1.88300 40.8
5 -21.070 0.100
6 8.733 3.089 1.77250 49.6
7 -16.024 0.800 1.59551 39.2
8 52.481 1.485
9絞 ∞ 1.811
10 -8.207 0.880 1.76182 26.6
11 6.072 3.115 1.75501 51.2
12* -19.702 1.385
13* 15.955 2.895 1.80610 40.7
14* -22.945 3.601
15 ∞ 0.550 1.51680 64.2
16 ∞ 2.020
17 ∞ 0.500 1.51680 64.2
18 ∞ -
*は回転対称非球面である。
(表8)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8
12 0.000 0.2862E-03 0.2036E-04 -0.1228E-06
13 0.000 -0.2531E-03 0.6753E-05 0.4319E-07
14 0.000 -0.1068E-03 -0.1795E-05 0.2020E-06
(表9)
各種データ
FNO. 1.9
f 8.5
W 30.7
Y 4.65
dB 0.53
L 30.74
【0046】
[数値実施例4]
図10〜図12と表10〜表12は、本発明による撮影レンズ系の数値実施例4を示している。図10は無限遠物体合焦時のレンズ構成図、図11はその縦収差図、図12はその横収差図である。表10はその面データ、表11はその非球面データ、表12はその各種データである。
【0047】
この数値実施例4のレンズ構成は、数値実施例2のレンズ構成と同様である。
【0048】
(表10)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 -185.626 0.800 1.80420 46.5
2 7.056 1.870
3 -23.960 0.800 1.59551 39.2
4 7.808 3.422 1.88300 40.8
5 -15.577 0.100
6 8.846 2.653 1.77250 49.6
7 -48.559 0.800 1.58144 40.9
8 12.233 2.145
9絞 ∞ 2.435
10 -6.621 1.000 1.76182 26.6
11 11.577 2.300 1.75501 51.2
12* -9.976 1.232
13* 15.612 2.322 1.72903 54.0
14* -16.856 6.335
15 ∞ 0.550 1.51680 64.2
16 ∞ 0.620
17 ∞ 0.500 1.51680 64.2
18 ∞ -
*は回転対称非球面である。
(表11)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8
12 0.000 0.5306E-04 0.1225E-04 -0.2065E-07
13 0.000 -0.3359E-03 0.2201E-05 0.5267E-07
14 0.000 -0.1177E-03 -0.4555E-05 0.1583E-06
(表12)
各種データ
FNO. 1.9
f 8.5
W 30.6
Y 4.65
dB 0.53
L 30.42
【0049】
[数値実施例5]
図13〜図15と表13〜表15は、本発明による撮影レンズ系の数値実施例5を示している。図13は無限遠物体合焦時のレンズ構成図、図14はその縦収差図、図15はその横収差図である。表13はその面データ、表14はその非球面データ、表15はその各種データである。
【0050】
この数値実施例5のレンズ構成は、数値実施例1のレンズ構成と同様である。
【0051】
(表13)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 44.123 0.800 1.69680 55.5
2 5.948 2.538
3 -16.881 0.800 1.59551 39.2
4 8.290 4.343 1.88300 40.8
5 -23.576 0.100
6 8.550 2.294 1.77250 49.6
7 -14.546 0.800 1.59551 39.2
8 47.953 1.747
9絞 ∞ 1.891
10 -7.882 0.817 1.76182 26.6
11 6.300 3.180 1.75501 51.2
12* -20.513 1.271
13* 15.599 2.109 1.80610 40.7
14* -22.666 3.940
15 ∞ 0.550 1.51680 64.2
16 ∞ 2.020
17 ∞ 0.500 1.51680 64.2
18 ∞ -
*は回転対称非球面である。
(表14)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8
12 0.000 0.2481E-03 0.2089E-04 -0.1062E-06
13 0.000 -0.3323E-03 0.5321E-05 0.1007E-06
14 0.000 -0.1224E-03 -0.4211E-05 0.2702E-06
(表15)
各種データ
FNO. 1.9
f 8.5
W 30.2
Y 4.65
dB 0.53
L 30.23
【0052】
[数値実施例6]
図16〜図18と表16〜表18は、本発明による撮影レンズ系の数値実施例6を示している。図16は無限遠物体合焦時のレンズ構成図、図17はその縦収差図、図18はその横収差図である。表16はその面データ、表17はその非球面データ、表18はその各種データである。
【0053】
この数値実施例6のレンズ構成は、数値実施例2のレンズ構成と同様である。
【0054】
(表16)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 -169.547 0.800 1.80420 46.5
2 7.023 1.884
3 -24.406 0.800 1.59551 39.2
4 7.793 3.543 1.88300 40.8
5 -15.079 0.100
6 8.925 2.521 1.77250 49.6
7 -59.476 0.800 1.58144 40.9
8 11.999 2.286
9絞 ∞ 2.391
10 -6.591 1.000 1.76182 26.6
11 13.278 2.334 1.69680 55.5
12* -8.902 1.230
13* 15.516 2.318 1.72903 54.0
14* -17.241 6.515
15 ∞ 0.550 1.51680 64.2
16 ∞ 0.620
17 ∞ 0.500 1.51680 64.2
18 ∞ -
*は回転対称非球面である。
(表17)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8
12 0.000 0.4509E-04 0.1269E-04 -0.3638E-07
13 0.000 -0.3303E-03 0.1786E-05 0.5489E-07
14 0.000 -0.1389E-03 -0.4295E-05 0.1551E-06
(表18)
各種データ
FNO. 1.9
f 8.5
W 30.6
Y 4.65
dB 0.53
L 30.72
[数値実施例7]
図19〜図21と表19〜表21は、本発明による撮影レンズ系の数値実施例7を示している。図19は無限遠物体合焦時のレンズ構成図、図20はその縦収差図、図21はその横収差図である。表19はその面データ、表20はその非球面データ、表21はその各種データである。
【0055】
この数値実施例7のレンズ構成は、数値実施例1のレンズ構成と同様である。
【0056】
(表19)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 104.823 0.800 1.65160 58.4
2 6.090 3.259
3 -17.678 0.800 1.59551 39.2
4 8.839 2.591 1.88300 40.8
5 -23.146 0.100
6 9.315 2.577 1.80420 46.5
7 -14.474 0.800 1.62004 36.3
8 95.055 1.552
9絞 ∞ 1.800
10 -8.124 0.800 1.76182 26.6
11 6.147 3.097 1.65160 58.4
12* -14.373 1.271
13* 17.877 2.017 1.88300 40.8
14* -23.315 5.837
15 ∞ 0.550 1.51680 64.2
16 ∞ 0.620
17 ∞ 0.500 1.51680 64.2
18 ∞ -
*は回転対称非球面である。
(表20)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8
12 0.000 0.2232E-03 0.1714E-04 0.2565E-07
13 0.000 -0.2522E-03 0.2475E-05 0.6534E-07
14 0.000 -0.1420E-03 -0.3601E-05 0.1560E-06
(表21)
各種データ
FNO. 1.9
f 8.5
W 30.6
Y 4.65
dB 0.53
L 29.50
【0057】
[数値実施例8]
図22〜図24と表22〜表24は、本発明による撮影レンズ系の数値実施例8を示している。図22は無限遠物体合焦時のレンズ構成図、図23はその縦収差図、図24はその横収差図である。表22はその面データ、表23はその非球面データ、表24はその各種データである。
【0058】
この数値実施例8のレンズ構成は、数値実施例1のレンズ構成と同様である。
【0059】
(表22)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 60.952 0.800 1.69680 55.5
2 6.340 2.841
3 -17.785 0.800 1.59551 39.2
4 10.006 5.450 1.88300 40.8
5 -24.662 0.100
6 8.651 3.127 1.77250 49.6
7 -14.882 0.800 1.59551 39.2
8 247.553 1.222
9絞 ∞ 1.800
10 -9.067 0.936 1.76182 26.6
11 5.614 3.526 1.75501 51.2
12* -54.579 1.390
13* 14.110 2.126 1.80610 40.7
14* -27.416 4.985
15 ∞ 0.550 1.51680 64.2
16 ∞ 0.620
17 ∞ 0.500 1.51680 64.2
18 ∞ -
*は回転対称非球面である。
(表23)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8
12 0.000 0.2843E-03 0.2922E-04 -0.3328E-06
13 0.000 -0.3866E-03 0.7369E-05 0.8788E-07
14 0.000 -0.1519E-03 -0.5426E-05 0.3112E-06
(表24)
各種データ
FNO. 1.9
f 8.5
W 30.5
Y 4.65
dB 0.53
L 32.10
【0060】
[数値実施例9]
図25〜図27と表25〜表27は、本発明による撮影レンズ系の数値実施例9を示している。図25は無限遠物体合焦時のレンズ構成図、図26はその縦収差図、図27はその横収差図である。表25はその面データ、表26はその非球面データ、表27はその各種データである。
【0061】
この数値実施例9のレンズ構成は、数値実施例1のレンズ構成と同様である。
【0062】
(表25)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 62.928 0.800 1.69680 55.5
2 6.395 3.089
3 -18.134 0.800 1.59551 39.2
4 10.028 5.000 1.88300 40.8
5 -24.786 0.100
6 8.659 3.378 1.77250 49.6
7 -14.254 0.800 1.59551 39.2
8 130.121 1.240
9絞 ∞ 1.808
10 -8.493 0.800 1.76182 26.6
11 5.628 3.439 1.75501 51.2
12* -40.577 1.297
13* 14.756 2.170 1.80610 40.7
14* -23.985 5.088
15 ∞ 0.550 1.51680 64.2
16 ∞ 0.620
17 ∞ 0.500 1.51680 64.2
18 ∞ -
*は回転対称非球面である。
(表26)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8
12 0.000 0.3135E-03 0.2607E-04 -0.2321E-06
13 0.000 -0.3426E-03 0.6564E-05 0.6307E-07
14 0.000 -0.1363E-03 -0.4885E-05 0.2545E-06
(表27)
各種データ
FNO. 1.9
f 8.5
W 30.5
Y 4.65
dB 0.53
L 32.01
【0063】
各数値実施例の各条件式に対する値を表28に示す。
(表28)
実施例1 実施例2 実施例3
条件式(1) 1.44 0.40 0.62
条件式(2) -1.35 -1.10 -1.06
条件式(3) 24.6 24.6 24.6
条件式(4) 40.7 40.7 40.7
実施例4 実施例5 実施例6
条件式(1) 1.49 0.45 1.48
条件式(2) -0.99 -1.17 -0.98
条件式(3) 24.6 24.6 28.85
条件式(4) 54.0 40.7 54.0
実施例7 実施例8 実施例9
条件式(1) 0.59 0.38 0.88
条件式(2) -1.17 -1.20 -1.21
条件式(3) 31.8 24.6 24.6
条件式(4) 40.8 40.7 40.7
【0064】
表28から明らかなように、数値実施例1〜数値実施例9は、条件式(1)〜(4)を満足しており、また諸収差図から明らかなように諸収差は比較的よく補正されている。
【符号の説明】
【0065】
GF 正の屈折力の前群
GR 正の屈折力の後群
1 負レンズ(像側に凹の負レンズ)
2 物体側に凹の負レンズ
3 正レンズ
4 物体側に凸の正レンズ
5 像側に凹の負レンズ
6 負レンズ
7 正レンズ
8 正レンズ(フォーカスレンズ)
C1 正の屈折力の接合レンズ
C2 正の屈折力の接合レンズ
C3 負の屈折力の接合レンズ
S 開口絞り
OP 光学フィルタ
CG カバーガラス
I 像面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、正の屈折力の前群、開口絞り、及び正の屈折力の後群からなる撮影レンズ系において、
前群は、物体側から順に、少なくとも1枚の負レンズ、及び少なくとも2組の正の屈折力の接合レンズからなり、
次の条件式(1)及び(2)を満足することを特徴とする撮影レンズ系。
(1)0.35<fF/fR<1.5
(2)−1.4<fL1/f<−0.9
但し、
fF:前群の焦点距離、
fR:後群の焦点距離、
fL1:前群中の少なくとも1枚の負レンズの焦点距離または合成焦点距離、
f:全系の焦点距離。
【請求項2】
請求項1記載の撮影レンズ系において、後群は、物体側から順に、負の屈折力の接合レンズ、及び正レンズからなる撮影レンズ系。
【請求項3】
請求項2記載の撮影レンズ系において、後群中の負の屈折力の接合レンズは、物体側から順に、負レンズ及び正レンズからなり、次の条件式(3)を満足する撮影レンズ系。
(3)|νd6−νd7|>20
但し、
νd6:後群中の接合レンズの負レンズのd線に対するアッベ数、
νd7:後群中の接合レンズの正レンズのd線に対するアッベ数。
【請求項4】
請求項2または3記載の撮影レンズ系において、後群中の最も像側の正レンズは、フォーカシング時に移動するフォーカスレンズである撮影レンズ系。
【請求項5】
請求項4記載の撮影レンズ系において、次の条件式(4)を満足する撮影レンズ系。
(4)νd8>40
但し、
νd8:後群中の最も像側の正レンズのd線に対するアッベ数。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項記載の撮影レンズ系において、前群は、物体側から順に、像側に凹の負レンズ、及び2組の正の屈折力の接合レンズからなる撮影レンズ系。
【請求項7】
請求項6記載の撮影レンズ系において、前群中の物体側の接合レンズは、物体側から順に、物体側に凹の負レンズ及び正レンズからなる撮影レンズ系。
【請求項8】
請求項6または7記載の撮影レンズ系において、前群中の像側の接合レンズは、物体側から順に、物体側に凸の正レンズ及び像側に凹の負レンズからなる撮影レンズ系。
【請求項9】
物体側から順に、正の屈折力の前群、開口絞り、及び正の屈折力の後群からなる撮影レンズ系において、
前群は実質的に、物体側から順に、1枚の負レンズ、及び2組の正の屈折力の接合レンズからなり、
後群は実質的に、物体側から順に、負の屈折力の接合レンズ、及び1枚の正レンズからなることを特徴とする撮影レンズ系。
【請求項1】
物体側から順に、正の屈折力の前群、開口絞り、及び正の屈折力の後群からなる撮影レンズ系において、
前群は、物体側から順に、少なくとも1枚の負レンズ、及び少なくとも2組の正の屈折力の接合レンズからなり、
次の条件式(1)及び(2)を満足することを特徴とする撮影レンズ系。
(1)0.35<fF/fR<1.5
(2)−1.4<fL1/f<−0.9
但し、
fF:前群の焦点距離、
fR:後群の焦点距離、
fL1:前群中の少なくとも1枚の負レンズの焦点距離または合成焦点距離、
f:全系の焦点距離。
【請求項2】
請求項1記載の撮影レンズ系において、後群は、物体側から順に、負の屈折力の接合レンズ、及び正レンズからなる撮影レンズ系。
【請求項3】
請求項2記載の撮影レンズ系において、後群中の負の屈折力の接合レンズは、物体側から順に、負レンズ及び正レンズからなり、次の条件式(3)を満足する撮影レンズ系。
(3)|νd6−νd7|>20
但し、
νd6:後群中の接合レンズの負レンズのd線に対するアッベ数、
νd7:後群中の接合レンズの正レンズのd線に対するアッベ数。
【請求項4】
請求項2または3記載の撮影レンズ系において、後群中の最も像側の正レンズは、フォーカシング時に移動するフォーカスレンズである撮影レンズ系。
【請求項5】
請求項4記載の撮影レンズ系において、次の条件式(4)を満足する撮影レンズ系。
(4)νd8>40
但し、
νd8:後群中の最も像側の正レンズのd線に対するアッベ数。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項記載の撮影レンズ系において、前群は、物体側から順に、像側に凹の負レンズ、及び2組の正の屈折力の接合レンズからなる撮影レンズ系。
【請求項7】
請求項6記載の撮影レンズ系において、前群中の物体側の接合レンズは、物体側から順に、物体側に凹の負レンズ及び正レンズからなる撮影レンズ系。
【請求項8】
請求項6または7記載の撮影レンズ系において、前群中の像側の接合レンズは、物体側から順に、物体側に凸の正レンズ及び像側に凹の負レンズからなる撮影レンズ系。
【請求項9】
物体側から順に、正の屈折力の前群、開口絞り、及び正の屈折力の後群からなる撮影レンズ系において、
前群は実質的に、物体側から順に、1枚の負レンズ、及び2組の正の屈折力の接合レンズからなり、
後群は実質的に、物体側から順に、負の屈折力の接合レンズ、及び1枚の正レンズからなることを特徴とする撮影レンズ系。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2012−226248(P2012−226248A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95966(P2011−95966)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(311015207)ペンタックスリコーイメージング株式会社 (81)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(311015207)ペンタックスリコーイメージング株式会社 (81)
【Fターム(参考)】
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