説明

撮影用コンパクト蛍光ランプ及び撮影用コンパクト蛍光ランプの蛍光体及び撮影用照明装置

【課題】 幅の狭い熱に強い蛍光体の中から、その種類をうまく選択することにより、自然光の発光分布と大きく異なる分光分布ながら、自然光と同様な画像が得られ、かつ劣化に強い撮影用コンパクト蛍光ランプを得ることを目的とする。
【解決手段】 蛍光体を、ユーロピウム付活アルミン酸塩蛍光体、あるいは、ユーロピウム、マンガン付活アルミン酸塩蛍光体、あるいは、ユーロピウム付活ハロ燐酸塩蛍光体の少なくともいずれか1種類と、セリウム、テルビウム付活燐酸ランタン蛍光体、あるいは、テルビウム付活アルミン酸セリウム、マグネシウム蛍光体、あるいは、セリウム、テルビウム付活硼酸ガドリニウム、マグネシウム蛍光体の少なくともいずれか1種類と、セリウム、マンガン付活ホウ酸ガドリニウム、亜鉛、マグネシウム蛍光体とを含み、光色がuv色度座標上でu=0.218、v=0.316を中心として、半径0.004の円内にはいるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カラー撮影時に被写体を照明するために用いる撮影用コンパクト蛍光ランプ及び撮影用コンパクト蛍光ランプの蛍光体及び撮影用照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1で示されるような3波長形蛍光ランプにおいては、ガラス管の内面に蛍光面を形成し、両端にフィラメントを装着して、内部に希ガスと水銀を入れて密封する。両端のフィラメント間で水銀放電を起こし、その放電で励起した水銀原子の紫外線放射を蛍光面で可視光に変換し、照明に利用するようになっているが、その蛍光面を構成する蛍光体に特徴があり、比較的半値幅(最大発光強度の50%の発光強度で測定した発光スペクトルの幅)の狭い、赤、緑、青3種類の蛍光体を混合して用いている。
【0003】
人間の目の3種類の錐体の感度に対応して、450nm(青)、540nm(緑)、610nm(赤)近傍にピークがある狭い分光分布をもつと、演色性(照明された物体の色が自然光の下と大差なく見える)と効率を両立させることができるといわれており、前記3種類の蛍光体はそれに近い波長にピークを持つものを選択している。このため3波長形蛍光ランプは演色性が一定以上で、高効率を特徴としており、その発光の分光分布の一例を図14に示す。
【0004】
使用する蛍光体の一例としては、450〜460nmにピークのあるユーロピウム付活アルミン酸バリウム、マグネシウム蛍光体、540〜545nmにピークのあるセリウム、テルビウム付活燐酸ランタン蛍光体、610〜615nmにピークのあるユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体を選択するものである。あるいは青の蛍光体として、445〜455nmにピークのあるユーロピウム付活ハロ燐酸バリウム、ストロンチウム、カルシウム蛍光体を使用する例も多い。
【0005】
一方、写真や映画のカラーフィルム、テレビカメラやデジタルカメラ等の撮像素子も目と同様に通常3種類の分光感度を持つ化学物質あるいはセンサからなる。しかしながら、ほとんどの場合、目の分光感度と異なっており、目の3種類の錐体の分光感度に対応させた3個のピークを持つ3波長蛍光ランプの発光が適切ではないことが多い。このため、撮影用の蛍光ランプとしては通常、特許文献2に示されるような高演色蛍光ランプを用いる。このような蛍光ランプは太陽光など自然光の分光分布に近い図15に示すような分光分布を持っているため、物体に照射したときに自然光とほとんど同じ反射光が得られるので、どのような組み合わせの分光感度の化学物質あるいはセンサにも対応できることになる。
【0006】
このような、高演色蛍光ランプに用いる蛍光体は、3波長蛍光ランプの場合と異なり、自然光に近づけるために半値幅が広い蛍光体を用いる。一例では、ユーロピウム付活ホウ酸燐酸ストロンチウム蛍光体と、スズ付活燐酸ストロンチウム、マグネシウム蛍光体を組み合わせ、場合によっては、さらにアンチモン、マンガン付活ハロ燐酸蛍光体などを加えて、蛍光面を形成する。
【特許文献1】特開2001−222975号公報
【特許文献2】特開昭54−102073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような撮影用に用いる蛍光ランプに0.12 W/cm2以上の管壁負荷の高いコンパクト蛍光ランプを用いると、光源が小さくなり、輝度が上がるため、強い照度が得られる、配光の自由度が増すなどの長所がある。ところが、上記高演色蛍光ランプに用いる蛍光体、ユーロピウム付活ホウ酸燐酸ストロンチウム蛍光体、スズ付活燐酸ストロンチウム、マグネシウム蛍光体、アンチモン、マンガン付活ハロ燐酸塩蛍光体は、熱に弱く、このような高管壁負荷では点灯中、蛍光面が高温になり、劣化が大きいという問題点があった。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、幅の狭いかつ熱に強い蛍光体の中から、ほとんどの写真や映画のカラーフィルム、テレビカメラやデジタルカメラ等の撮像素子の化学物質あるいはセンサの分光感度にあうように、その種類をうまく選択することによって、自然光の発光分布と大きく異なる分光分布ながら、自然光と同様な画像が得られ、かつ劣化に強い撮影用コンパクト蛍光ランプ及び撮影用コンパクト蛍光ランプの蛍光体及び撮影用照明装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る撮影用コンパクト蛍光ランプは、ガラス管の内面に蛍光面を備え、通常点灯時の電力をガラス管の内面積で割った管壁負荷が0.12W/cm2を越える撮影用コンパクト蛍光ランプにおいて、蛍光面を構成する蛍光体には、ユーロピウム付活アルミン酸塩蛍光体、あるいは、ユーロピウム、マンガン付活アルミン酸塩蛍光体、あるいは、ユーロピウム付活ハロ燐酸塩蛍光体の少なくともいずれか1種類と、セリウム、テルビウム付活燐酸ランタン蛍光体、あるいは、テルビウム付活アルミン酸セリウム、マグネシウム蛍光体、あるいは、セリウム、テルビウム付活硼酸ガドリニウム、マグネシウム蛍光体の少なくともいずれか1種類と、セリウム、マンガン付活ホウ酸ガドリニウム、亜鉛、マグネシウム蛍光体とを含み、光色がuv色度座標上でu=0.218、v=0.316を中心として、半径0.004の円内にはいることを特徴とする。
【0010】
この発明に係る撮影用コンパクト蛍光ランプの蛍光体は、ユーロピウム付活アルミン酸塩蛍光体、あるいは、ユーロピウム、マンガン付活アルミン酸塩蛍光体、あるいは、ユーロピウム付活ハロ燐酸塩蛍光体の少なくともいずれか1種類と、セリウム、テルビウム付活燐酸ランタン蛍光体、あるいは、テルビウム付活アルミン酸セリウム、マグネシウム蛍光体、あるいは、セリウム、テルビウム付活硼酸ガドリニウム、マグネシウム蛍光体の少なくともいずれか1種類と、セリウム、マンガン付活ホウ酸ガドリニウム、亜鉛、マグネシウム蛍光体とを含み、光色がuv色度座標上でu=0.218、v=0.316を中心として、半径0.004の円内にはいることを特徴とする。
【0011】
この発明に係る撮影用照明装置は、高周波電圧を発生するインバータで撮影用コンパクト蛍光ランプを点灯させ、反射板により撮影用コンパクト蛍光ランプから放射される光を被写体に照射する撮影用照明装置において、撮影用コンパクト蛍光ランプは、ガラス管の内面に蛍光面を備え、通常点灯時の電力をガラス管の内面積で割った管壁負荷が0.12W/cm2を越え、蛍光面を構成する蛍光体には、ユーロピウム付活アルミン酸塩蛍光体、あるいは、ユーロピウム、マンガン付活アルミン酸塩蛍光体、あるいは、ユーロピウム付活ハロ燐酸塩蛍光体の少なくともいずれか1種類と、セリウム、テルビウム付活燐酸ランタン蛍光体、あるいは、テルビウム付活アルミン酸セリウム、マグネシウム蛍光体、あるいは、セリウム、テルビウム付活硼酸ガドリニウム、マグネシウム蛍光体の少なくともいずれか1種類と、セリウム、マンガン付活ホウ酸ガドリニウム、亜鉛、マグネシウム蛍光体とを含み、光色がuv色度座標上でu=0.218、v=0.316を中心として、半径0.004の円内にはいることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る撮影用コンパクト蛍光ランプは、上記構成により、色に関して自然光と同様な画像が得られ、かつ劣化に強い撮影用コンパクト蛍光ランプが得られる。
【0013】
この発明に係る撮影用コンパクト蛍光ランプの蛍光体は、上記構成により、色に関して自然光と同様な画像が得られ、かつ劣化に強い撮影用コンパクト蛍光ランプの蛍光体が得られる。
【0014】
この発明に係る撮影用照明装置は、上記構成により、色に関して自然光と同様な画像が得られ、かつ劣化に強い撮影用照明装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実施の形態1.
図1〜9は実施の形態1を示す図で、図1は撮影用コンパクトランプ(8本柱)を示す図、図2は撮影用コンパクトランプ(6本柱)を示す図、図3は撮影用コンパクトランプ(4本柱)を示す図、図4は撮影用コンパクトランプ(2本柱)を示す図、図5は撮影用コンパクトランプの発光分布を示す図、図6は寿命試験における光束維持率の変化を示す図、図7は寿命試験における光色の経時変化を示す図、図8は撮影用コンパクトランプのuv色度座標図(全体図)、図9は撮影用コンパクトランプのuv色度座標図(拡大図)である。
【0016】
図1〜4は撮影用コンパクト蛍光ランプで、8本から2本の直線状のガラスの円筒を平行に並べてつなぎ合わせたかたちのガラス管1の内面に蛍光面3を形成し、両端にフィラメント2を装着して、内部に希ガスと水銀を入れて密封している。両端のフィラメント2間で水銀放電を起こし、その放電で励起した水銀原子の紫外線放射を蛍光面3で可視光に変換し、照明に利用するようになっている。このランプの消費電力をガラス管1の内表面積で割った管壁負荷は、0.12W/cm以上であり、一例では消費電力57W、内表面積が305cmで、0.19W/cmである。なお、このガラス管1の内表面積は端部を含む全体の内表面積である。
【0017】
この蛍光面は、赤、緑、青の3領域のカテゴリーの蛍光体の混合されたものからなる。青のカテゴリーの蛍光体としては、ユーロピウム付活アルミン酸塩蛍光体、あるいは、ユーロピウム、マンガン付活アルミン酸塩蛍光体、あるいは、ユーロピウム付活ハロ燐酸塩蛍光体の少なくともいずれか1種類を用いている。一例では、ユーロピウム付活アルミン酸塩蛍光体の一種である、ユーロピウム付活アルミン酸バリウム、マグネシウム蛍光体を用いる。
【0018】
緑のカテゴリーの蛍光体としては、セリウム、テルビウム付活燐酸ランタン蛍光体、あるいは、テルビウム付活アルミン酸セリウム、マグネシウム蛍光体、あるいは、セリウム、テルビウム付活硼酸ガドリニウム、マグネシウム蛍光体の少なくともいずれか1種類を用いている。
【0019】
赤のカテゴリーの蛍光体としては、セリウム、マンガン付活ホウ酸ガドリニウム、亜鉛、マグネシウム蛍光体を用いている。なお、この赤の蛍光体のピーク波長は約620nmで、半値幅は100nm程度である。
【0020】
さらにこの3領域のカテゴリーの蛍光体の比率を調整して、光色がuv色度座標上でu=0.218、v=0.316を中心として、半径0.004の円内にはいるようにしてあり、その分光分布を図5に示す。
【0021】
このコンパクト蛍光ランプは、コンパクト形であることに加えて管壁負荷を0.12W/cm2と大きくしたため輝度が大きく、照明装置の光学的設計がしやすく、照射面に対して高い照度を得ることができる。また、このランプと自然光を種々の被写体に照射しておこなった比較撮影テストの結果、その違いが十分小さく問題がないことが確かめられた。
【0022】
また、寿命試験を行い、1000時間後に光束の劣化と、光色のずれが小さく、上記と同様な比較撮影テストをおこなったが結果は同様であり、問題ないことが確かめられた。
【0023】
図6は寿命試験における光束維持率の変化を示す図で、本実施の形態1の撮影用コンパクトランプと、従来の高演色蛍光ランプを用いて光束維持率を比較したものである。従来の高演色蛍光ランプでは、1000時間後において光束維持率が50%強であるのに対し、本実施の形態1の撮影用コンパクトランプは、約90%であり光束維持率が大幅に改善されていることが解る。
【0024】
図7は寿命試験における光色の経時変化を示す図で、本実施の形態1の撮影用コンパクトランプと、比較例の、Sn付活燐酸Sr,Mg(比較例1)、Mn付活アンチモン酸Mg(比較例2)、Mn付活フロロゲルマニウム酸Mg(比較例3)について光色の経時変化を観察した。図から明らかなように、本実施の形態1の撮影用コンパクトランプは、他の比較例に比べ、uv色度座標空間での偏差距離が、1000時間、2000時間点灯後も小さく光色の経時変化が少ないことが解る。
【0025】
また、種々のカラーフィルム、テレビカメラおよびデジタルカメラを用いて、同様な比較撮影テストを行ったが同様な良好な結果が得られた。
【0026】
この高管壁負荷のコンパクト蛍光ランプを撮影用に設計するに当たって、劣化の少ない蛍光体として、通常の3波長の蛍光体を選択し、フィルムを用いたカメラによる比較撮影テストを行ったが、特に赤が弱く、全体が緑味を帯びる傾向があった。このときに用いた赤のカテゴリーの蛍光体である、ユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体の比率を上げていったが、ほとんど赤の発光色となっても、この現象は解消されなかった。これは、この蛍光体の中心波長が613nmで、かつ、半値幅が5nm以下であり、これに対して、フィルムの赤に感光する化学物質の分光感度は、ピーク波長が約650nmで半値幅が30nmであり、ほとんど重なり合わないことによることが確かめられた。このため、赤色の蛍光体で、ピーク波長がより650nmに近いもの、あるいは、半値幅が広いものを捜し、ランプに用いて試験した。例えば、スズ付活燐酸ストロンチウム、マグネシウム蛍光体、マンガン付活アンチモン酸マグネシウム蛍光体、マンガン付活フロロゲルマニウム酸マグネシウム蛍光体を用い、その混合比率を調整して上記のカメラによる比較撮影テストをおこない、よい結果を得ることはできたが、劣化が大きく、10時間から500時間で使用できないレベルまで色がずれた。
【0027】
3波長蛍光ランプを通常このような撮影に用いない理由のひとつは、以下の通りである。カラーフィルム、テレビカメラやデジタルカメラ等の撮像素子の化学物質あるいはセンサの分光感度がお互いに異なることがありうる。このためその装置の分光感度ごとに異なるピーク波長の蛍光体を用いたり、あるいはその蛍光体の混合比を変えたりし、違うランプを用いなければならないことが予想され、この場合ほとんど実用にならないことになるためである。しかしながら、上記のように、このランプを用いたテストではいずれも良好な結果が得られた。これは、結局、ほとんどのカラーフィルム、テレビカメラやデジタルカメラ等の撮像素子の化学物質あるいはセンサの分光感度が大きくは違わないことによるものと考えられる。
【0028】
さらに、この理由として、以下のようなことが推察できる。撮影時受光する3種類の素子あるいは化学物質と対応関係にある、表示するための発光あるいは発色素子について、この表現できる色の領域を大きくとらなくてはならないため、その分光分布の中心波長は離れていなければならず、一方、人間の目の視感度のピーク波長から離れると表示素子としての効率が下がるため、最適なピーク波長の組み合わせが存在し、これは、素子あるいは化学物質によらない。その表示する3種類の色と、受光する3種類の色は同じような対応関係にあるはずで、これから、どの受光素子、あるいは化学物質でも、類似のピーク波長を持つということが推測できる。
【0029】
画像での発光あるいは発色素子の3種類のピーク波長の最適な組み合わせと、一般照明用の3波長形蛍光ランプの3種類のピーク波長の最適な組み合わせと異なる理由は、前者はそれ自身が発光あるいは発色して、そのまま人間の目でその色を感じるのに対し、後者は物体に照射してその反射光を目で感じるというように、プロセスあるいは人間が判定するものが異なるため、微妙にその最適ピーク波長が異なることによる。特に、蛍光ランプと異なり、画像では、ピーク波長より外側の波長に対応する色はまったく作ることができないから、3種類のピーク波長の波長差を3波長形蛍光ランプのそれより大きめにする必要性が高い。
【0030】
図8、9に示すように、この実施の形態1におけるランプの光色はuv色度座標において、u=0.218,v=0.316を中心とする半径0.004の円の範囲内で、忠実な撮影が可能である。撮影した画像が、この領域より左の若干上の領域では緑味、下の若干左の領域では青味、右の領域では赤味、右下の領域では紫味を、それぞれ帯びる。従って上記の範囲であればよい。この範囲には、青、緑、赤のカテゴリーの蛍光体の比率を調整すれば入れることができる。
ランプの光色はuv色度座標において、u=0.218,v=0.316を中心とする半径0.004の円の範囲内であればよいが、半径0.003の円の範囲内であればさらによい。
【0031】
蛍光体は、上記のように青のカテゴリーの蛍光体としては、ユーロピウム付活アルミン酸塩蛍光体、あるいは、ユーロピウム、マンガン付活アルミン酸塩蛍光体、あるいは、ユーロピウム付活ハロ燐酸塩蛍光体いずれでもよく、また混合して用いてもよい。
【0032】
緑のカテゴリーの蛍光体も同様で、セリウム、テルビウム付活燐酸ランタン蛍光体、あるいは、テルビウム付活アルミン酸セリウム、マグネシウム蛍光体、あるいは、セリウム、テルビウム付活硼酸ガドリニウム、マグネシウム蛍光体のいずれでもよく、混合して用いてもよい。
【0033】
赤のカテゴリーの蛍光体としては、セリウム、マンガン付活ホウ酸ガドリニウム、亜鉛、マグネシウム蛍光体を用いる必要があるが、他の、例えば、ユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体などを少量、混合して用いてもよい。この場合、この発光は撮影用にはほとんど効果がないため、分光分布からこの発光分を切り取って色度を計算し、上記の色度範囲に入れる必要があり、この範囲に入っていれば、同様な効果が得られる。このような少量の撮影には影響しない発光によって目で被写体を見たときの違和感を緩和する効果がある場合がある。
【0034】
上述の実施の形態による撮影用コンパクト蛍光ランプは、ガラス管1の内面に蛍光面3を備え、通常点灯時の電力をガラス管1の内面積で割った管壁負荷が0.12W/cm2を越え、蛍光面3を構成する蛍光体には、ユーロピウム付活アルミン酸塩蛍光体、あるいは、ユーロピウム、マンガン付活アルミン酸塩蛍光体、あるいは、ユーロピウム付活ハロ燐酸塩蛍光体の少なくともいずれか1種類と、セリウム、テルビウム付活燐酸ランタン蛍光体、あるいは、テルビウム付活アルミン酸セリウム、マグネシウム蛍光体、あるいは、セリウム、テルビウム付活硼酸ガドリニウム、マグネシウム蛍光体の少なくともいずれか1種類と、セリウム、マンガン付活ホウ酸ガドリニウム、亜鉛、マグネシウム蛍光体とを含み、光色がuv色度座標上でu=0.218、v=0.316を中心として、半径0.004の円内にはいるように構成することにより、色に関して自然光と同様な画像が得られ、かつ劣化に強い撮影用コンパクト蛍光ランプあるいは撮影用照明装置を得ることができる。
【0035】
実施の形態2.
図10〜12は実施の形態2を示す図で、図10は撮影用照明装置の断面平面図、図11はランプが2本の撮影用照明装置の断面平面図、図12は照射する光軸とランプの軸が垂直な撮影用照明装置の断面平面図である。
【0036】
図10において、撮影用照明装置は、上記実施の形態1による撮影用コンパクト蛍光ランプ11を用い、インバータ12でこの撮影用コンパクト蛍光ランプ11を点灯させる。インバータ12は、商用電源13と接続されて電力を得、高周波電圧を発生し、ソケット14などを介して撮影用コンパクト蛍光ランプ11に接続されて、点灯させるようになっている。反射板15により、撮影用コンパクト蛍光ランプ11から放射される光を適切に被写体に照射するようにコントロールしている。
【0037】
撮影用コンパクト蛍光ランプ11の管壁負荷が高く、輝度が高いため、配光制御の自由度が大きくなっており、また大きい照度が得られる。さらに実施の形態1のランプを用いているため、光色に関しても適切な撮影が可能になる。
【0038】
図10においては、ランプを1本のみ用いた例を示しているが、図11に示すように2本以上用いてもよいし、また、照射する光軸とランプの軸とを平行にしているが、図12のような垂直にするようなタイプでも同様な効果が得られるのはもちろんである。さらに、図13のような形態でも同様な効果が得られるのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施の形態1を示す図で、撮影用コンパクトランプ(8本柱)を示す図である。
【図2】実施の形態1を示す図で、撮影用コンパクトランプ(6本柱)を示す図である。
【図3】実施の形態1を示す図で、撮影用コンパクトランプ(4本柱)を示す図である。
【図4】実施の形態1を示す図で、撮影用コンパクトランプ(2本柱)を示す図である。
【図5】実施の形態1を示す図で、撮影用コンパクトランプの発光分布を示す図である。
【図6】実施の形態1を示す図で、寿命試験における光束維持率の変化を示す図である。
【図7】実施の形態1を示す図で、寿命試験における光色の経時変化を示す図である。
【図8】実施の形態1を示す図で、撮影用コンパクトランプのuv色度座標図(全体図)である。
【図9】実施の形態1を示す図で、撮影用コンパクトランプのuv色度座標図(拡大図)である。
【図10】実施の形態2を示す図で、撮影用照明装置の断面平面図である。
【図11】実施の形態2を示す図で、ランプが2本の撮影用照明装置の断面平面図である。
【図12】実施の形態2を示す図で、照射する光軸とランプの軸が垂直な撮影用照明装置の断面平面図である。
【図13】実施の形態2を示す図で、他の撮影用照明装置を示す図(写真)である。
【図14】従来の蛍光ランプの発光分光分布を示す図である。
【図15】従来の別の蛍光ランプの発光分光分布を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ガラス管、2 フィラメント、3 蛍光面、11 撮影用コンパクト蛍光ランプ、12 インバータ、13 商用電源、14 ソケット、15 反射板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス管の内面に蛍光面を備え、通常点灯時の電力をガラス管の内面積で割った管壁負荷が0.12W/cm2を越える撮影用コンパクト蛍光ランプにおいて、
前記蛍光面を構成する蛍光体には、ユーロピウム付活アルミン酸塩蛍光体、あるいは、ユーロピウム、マンガン付活アルミン酸塩蛍光体、あるいは、ユーロピウム付活ハロ燐酸塩蛍光体の少なくともいずれか1種類と、セリウム、テルビウム付活燐酸ランタン蛍光体、あるいは、テルビウム付活アルミン酸セリウム、マグネシウム蛍光体、あるいは、セリウム、テルビウム付活硼酸ガドリニウム、マグネシウム蛍光体の少なくともいずれか1種類と、セリウム、マンガン付活ホウ酸ガドリニウム、亜鉛、マグネシウム蛍光体とを含み、光色がuv色度座標上でu=0.218、v=0.316を中心として、半径0.004の円内にはいることを特徴とする撮影用コンパクト蛍光ランプ。
【請求項2】
ユーロピウム付活アルミン酸塩蛍光体、あるいは、ユーロピウム、マンガン付活アルミン酸塩蛍光体、あるいは、ユーロピウム付活ハロ燐酸塩蛍光体の少なくともいずれか1種類と、セリウム、テルビウム付活燐酸ランタン蛍光体、あるいは、テルビウム付活アルミン酸セリウム、マグネシウム蛍光体、あるいは、セリウム、テルビウム付活硼酸ガドリニウム、マグネシウム蛍光体の少なくともいずれか1種類と、セリウム、マンガン付活ホウ酸ガドリニウム、亜鉛、マグネシウム蛍光体とを含み、光色がuv色度座標上でu=0.218、v=0.316を中心として、半径0.004の円内にはいることを特徴とする撮影用コンパクト蛍光ランプの蛍光体。
【請求項3】
高周波電圧を発生するインバータで撮影用コンパクト蛍光ランプを点灯させ、反射板により前記撮影用コンパクト蛍光ランプから放射される光を被写体に照射する撮影用照明装置において、
前記撮影用コンパクト蛍光ランプは、ガラス管の内面に蛍光面を備え、通常点灯時の電力をガラス管の内面積で割った管壁負荷が0.12W/cm2を越え、前記蛍光面を構成する蛍光体には、ユーロピウム付活アルミン酸塩蛍光体、あるいは、ユーロピウム、マンガン付活アルミン酸塩蛍光体、あるいは、ユーロピウム付活ハロ燐酸塩蛍光体の少なくともいずれか1種類と、セリウム、テルビウム付活燐酸ランタン蛍光体、あるいは、テルビウム付活アルミン酸セリウム、マグネシウム蛍光体、あるいは、セリウム、テルビウム付活硼酸ガドリニウム、マグネシウム蛍光体の少なくともいずれか1種類と、セリウム、マンガン付活ホウ酸ガドリニウム、亜鉛、マグネシウム蛍光体とを含み、光色がuv色度座標上でu=0.218、v=0.316を中心として、半径0.004の円内にはいることを特徴とする撮影用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−32116(P2006−32116A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−209317(P2004−209317)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(591015625)オスラム・メルコ株式会社 (123)
【出願人】(390021267)株式会社エル・ピー・エル (2)
【Fターム(参考)】