説明

撮影装置および方法、並びにプログラム

【課題】任意の位置の被写体に、より簡単にフォーカスを合わせる。
【解決手段】コントラスト計算部71は、分割された画像の領域毎にコントラスト値を計算し、フォーカス制御部73は、表示された画像において、ユーザによって所定の領域が指定されたとき、領域毎に記憶された、コントラスト値が最大となるフォーカス位置である合焦フォーカス位置のうちの、ユーザによって指定された領域に対応する合焦フォーカス位置へのフォーカス位置の移動を制御する。本発明は、例えば、デジタルカメラに適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置および方法、並びにプログラムに関し、特に、任意の位置の被写体にフォーカスを合わせることができるようにする撮影装置および方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラ等の撮影装置で被写体を撮影する際、ユーザは、フォーカスリングやシーソーボタン、ノブ、フェーダー、または、これらを模したGUIとしてのコントローラを操作することによって、被写体にフォーカスを合わせる。
【0003】
例えば、デジタルカメラでの撮影において、電子ビューファインダの中央部分の領域の画像をずらして表示させることで、手動で焦点調節を行う際に、スプリットイメージを利用する焦点調節と同様の感覚で焦点調節を行うようにしたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−309210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、手動でフォーカスを合わせるには、フォーカスリング等の操作を正確に行う必要があった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、特に、任意の位置の被写体に、より簡単にフォーカスを合わせるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面の撮影装置は、撮影された画像を表示する表示手段と、前記画像を分割する分割手段と、前記分割手段によって分割された前記画像の領域毎にコントラスト値を計算する計算手段と、フォーカス位置を順次移動させたときに、前記領域毎に、前記コントラスト値が最大となるフォーカス位置である合焦フォーカス位置を記憶する記憶手段と、前記表示手段により表示された前記画像において、ユーザによって所定の領域が指定されたとき、前記記憶手段によって記憶されている前記合焦フォーカス位置のうちの、前記ユーザによって指定された前記領域に対応する前記合焦フォーカス位置へのフォーカス位置の移動を制御するフォーカス制御手段とを備える。
【0008】
前記撮影装置には、前記合焦フォーカス位置が同一である前記領域を結合する結合手段をさらに設け、前記記憶手段には、前記結合手段により前記領域が結合された結合領域毎に、前記合焦フォーカス位置を記憶させることができる。
【0009】
前記撮影装置には、前記画像とともに、前記画像の前記領域毎の、前記合焦フォーカス位置の分布を表す合焦フォーカス位置分布の、前記表示手段への表示を制御する表示制御手段をさらに設けることができる。
【0010】
前記フォーカス制御手段には、前記合焦フォーカス位置分布において前記ユーザによって指定された前記合焦フォーカス位置へのフォーカス位置の移動を制御させることができる。
【0011】
前記合焦フォーカス位置分布は、フォーカスレンズから無限遠までの距離を表す軸上に、前記合焦フォーカス位置に対応する被写体の位置を表すアイコンが表示されるようにできる。
【0012】
前記表示制御手段には、前記ユーザによって指定された前記領域を強調して前記表示手段に表示させることができる。
【0013】
前記分割手段には、前記画像をブロック単位の前記領域に分割させることができる。
【0014】
前記分割手段には、前記画像における被写体を検出することで、前記画像を前記被写体毎の領域に分割させることができる。
【0015】
前記フォーカス制御手段には、前記ユーザによって指定された前記領域に対応する前記合焦フォーカス位置へのフォーカス位置の移動の速度を制御する速度制御手段を含むようにできる。
【0016】
本発明の一側面の撮影方法は、撮影された画像を表示する表示ステップと、前記画像を分割する分割ステップと、前記分割ステップの処理によって分割された前記画像の領域毎にコントラスト値を計算する計算ステップと、フォーカス位置を順次移動させたときに、前記領域毎に、前記コントラスト値が最大となるフォーカス位置である合焦フォーカス位置を記憶する記憶ステップと、前記表示ステップの処理により表示された前記画像において、ユーザによって所定の領域が指定されたとき、前記記憶ステップの処理によって記憶されている前記合焦フォーカス位置のうちの、前記ユーザによって指定された前記領域に対応する前記合焦フォーカス位置へのフォーカス位置の移動を制御するフォーカス制御ステップとを含む。
【0017】
本発明の一側面のプログラムは、撮影された画像を表示する表示ステップと、前記画像を分割する分割ステップと、前記分割ステップの処理によって分割された前記画像の領域毎にコントラスト値を計算する計算ステップと、フォーカス位置を順次移動させたときに、前記領域毎に、前記コントラスト値が最大となるフォーカス位置である合焦フォーカス位置を記憶する記憶ステップと、前記表示ステップの処理により表示された前記画像において、ユーザによって所定の領域が指定されたとき、前記記憶ステップの処理によって記憶されている前記合焦フォーカス位置のうちの、前記ユーザによって指定された前記領域に対応する前記合焦フォーカス位置へのフォーカス位置の移動を制御するフォーカス制御ステップと含む処理をコンピュータに実行させる。
【0018】
本発明の一側面においては、撮影された画像が表示され、画像が分割され、分割された画像の領域毎にコントラスト値が計算され、フォーカス位置を順次移動させたときに、領域毎に、コントラスト値が最大となるフォーカス位置である合焦フォーカス位置が記憶され、表示された画像において、ユーザによって所定の領域が指定されたとき、記憶されている合焦フォーカス位置のうちの、ユーザによって指定された領域に対応する合焦フォーカス位置へのフォーカス位置の移動が制御される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一側面によれば、任意の位置の被写体に、より簡単にフォーカスを合わせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を適用した撮影装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】AF処理部の構成例を示すブロック図である。
【図3】フォーカス位置情報取得処理について説明するフローチャートである。
【図4】AF処理について説明するフローチャートである。
【図5】合焦フォーカス位置が同一である領域の結合について説明する図である。
【図6】合焦フォーカス位置分布の表示例について説明する図である。
【図7】フォーカス制御処理について説明するフローチャートである。
【図8】画像と合焦フォーカス位置分布の表示について説明する図である。
【図9】画像と合焦フォーカス位置分布の表示について説明する図である。
【図10】ポップアップメニューの表示について説明する図である。
【図11】撮影された被写体の画像とテンプレートについて説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0022】
[撮影装置の構成例]
図1は、本発明を適用した撮影装置の一実施の形態の構成例を示している。図1の撮影装置11は、例えば、デジタルカメラ等の、動画像または静止画像を撮影する撮影機能を有する電子機器である。
【0023】
図1の撮影装置11は、レンズ部31、撮像素子32、画像処理部33、レンズ駆動部34、入力部35、表示部36、記録部37、および制御部38から構成される。
【0024】
レンズ部31は、被写体からの光を集光するレンズやフォーカスの調整をするためのフォーカスレンズ、絞りなどの光学系その他から構成されている。
【0025】
撮像素子32は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)センサにより構成され、図示せぬタイミングジェネレータから供給されるタイミング信号にしたがって動作する。撮像素子32は、レンズ部31を介して入射する被写体からの光を受光して光電変換を行い、(光の)受光量に応じた電気信号としてのアナログの画像信号を、画像処理部33に供給する。なお、撮像素子32は、CCDセンサに限らず、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなど、画素を単位として画像の信号を生成する撮像素子であればよい。
【0026】
画像処理部33は、撮像素子32から供給されたアナログの画像信号をA/D変換し、得られたデジタルの画像データ(以下、単に画像という)に対して、所定の画像処理を施す。画像処理部33は、所定の処理を施した画像を、制御部38に供給する。
【0027】
レンズ駆動部34は、制御部38の制御に基づいて、図示せぬアクチュエータ(モータ)を駆動する。アクチュエータが駆動されることにより、レンズ部31を構成する絞りの調整や、レンズ部31を構成するフォーカスレンズの移動が行われる。レンズ駆動部34は、制御部38の制御に基づいて、フォーカスレンズの移動する移動範囲内を所定の間隔で、フォーカスレンズを移動させる。
【0028】
入力部35は、撮影装置11に対する指示を入力するためにユーザに操作される。入力部35は、例えば、各種の操作ボタン、キー、タッチパネル、マイクロホンなどから構成され、ユーザからの操作を受け付け、その操作内容を示す信号(情報)を制御部38に供給する。また、入力部35は、表示部36に重畳されたタッチパネルとして構成されてもよい。
【0029】
表示部36は、LCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro Luminescence)などの表示デバイスからなり、制御部38の制御に基づいて、各種の画像を表示する。
【0030】
記録部37は、ハードディスクドライブ、所定のドライブに駆動されるDVD(Digital Versatile Disk)などの光ディスクおよびそのドライブ、またはメモリカードなどの半導体メモリなどからなり、撮影された被写体の画像を記録する。
【0031】
制御部38は、例えば、マイクロプロセッサなどからなり、撮影装置11全体を制御する。例えば、制御部38は、画像処理部33からの画像に所定の処理を施し、得られた画像データを表示部36に表示させたり、記録部37に供給し記録させる。
【0032】
制御部38は、コンピュータプログラムを実行することにより、領域分割部51、AF(Auto Focus)処理部52、領域結合部53、フォーカス位置記憶部54、入力制御部55、表示制御部56、および記録制御部57を実現する。
【0033】
領域分割部51は、画像処理部33から供給された画像を所定の形状の領域に分割し、AF処理部52に供給する。
【0034】
AF処理部52は、領域分割部51から供給された画像において、分割された各領域について、コントラスト検出方式により、その領域に含まれる被写体にフォーカスを合わせる(合焦させる)、いわゆる、オートフォーカス(AF)処理を行う。
【0035】
ここで、図2を参照して、AF処理部52の構成について説明する。
【0036】
図2のAF処理部52は、コントラスト計算部71、コントラスト記憶部72、フォーカス制御部73、および最大コントラスト抽出部74から構成される。
【0037】
コントラスト計算部71は、領域分割部51から供給された画像において、分割された領域毎に、その各領域における画素の画素値に基づいて、コントラスト値を計算し、コントラスト記憶部72に供給する。コントラスト値の計算の詳細については後述する。
【0038】
また、コントラスト計算部71は、フォーカスレンズが、その移動範囲内において所定の位置にあるときのコントラスト値の計算を終了したとき、その旨を表す情報をフォーカス制御部73に供給する。
【0039】
コントラスト記憶部72は、コントラスト計算部71から供給されたコントラスト値と、フォーカス制御部73から供給されてくる、コントラスト値が計算されたときのフォーカスレンズの位置(以下、フォーカス位置ともいう)を表すフォーカス位置情報とを対応付けて記憶する。すなわち、コントラスト記憶部72には、分割された画像の各領域についての、フォーカス位置毎のコントラスト値が記憶される。
【0040】
フォーカス制御部73は、コントラスト計算部71から供給された情報に基づいて、レンズ駆動部34に対して、フォーカスレンズを、その移動範囲内における次のフォーカス位置へ移動するよう指示する。また、フォーカス制御部73は、フォーカスレンズが、その移動範囲内における全てのフォーカス位置への移動を終えた場合、全てのフォーカス位置への移動を終えた旨を表す情報を、最大コントラスト抽出部74に供給する。
【0041】
また、フォーカス制御部73は、入力部35に対するユーザの操作に応じた入力制御部55からの情報に基づいて、レンズ駆動部34に対して、フォーカスレンズを、所定のフォーカス位置へ移動するよう指示する。
【0042】
さらに、フォーカス制御部73は、速度制御部73aを備えており、速度制御部73aは、入力部35に対するユーザの操作に応じた入力制御部55からの情報に基づいて制御される、フォーカスレンズの所定のフォーカス位置への移動の速度を制御する。
【0043】
最大コントラスト抽出部74は、フォーカス制御部73からの、全てのフォーカス位置への移動を終えた旨の情報に基づいて、コントラスト記憶部72に記憶されている、画像の各領域についての、フォーカス位置(フォーカス位置情報)毎のコントラスト値の中から、領域毎に、コントラスト値の最大値を抽出する。そして、最大コントラスト抽出部74は、抽出した領域毎のコントラスト値の最大値に対応付けられているフォーカス位置情報と、その領域を表す領域情報とを対応付けて、領域結合部53(図1)に供給する。
【0044】
ここで、図1に戻り、領域結合部53は、AF処理部52の最大コントラスト抽出部74(図2)からの、領域情報に対応付けられたフォーカス位置情報のうち、同一のフォーカス位置を表すフォーカス位置情報に対応付けられている領域情報を結合(合成)する。領域結合部53は、結合された領域(結合領域)の領域情報と、同一とされたフォーカス位置情報とを、フォーカス位置記憶部54に供給する。また、領域結合部53は、結合された領域情報を、表示制御部56に供給する。
【0045】
フォーカス位置記憶部54は、領域結合部53からの領域情報およびフォーカス位置情報を記憶する。フォーカス位置記憶部54に記憶されているフォーカス位置情報は、必要に応じて、適宜、AF処理部52に読み出される。
【0046】
入力制御部55は、入力部35を制御し、ユーザの操作に応じた、入力部35からのユーザの操作を示す信号を取得し、AF処理部52に供給する。
【0047】
表示制御部58は、画像処理部33からの画像を表示部36に表示させる他、領域結合部53からの領域情報およびフォーカス位置情報に基づいて、画像に対しての所定の表示を表示部36に行わせる。
【0048】
記録制御部57は、画像処理部33からの画像を、記録部37に記録させる。
【0049】
[撮影装置のフォーカス位置情報取得処理]
次に、図3のフローチャートを参照して、撮影装置11によるフォーカス位置情報取得処理について説明する。
【0050】
ステップS11において、撮像素子32は、レンズ部31を介して入射する被写体からの光を受光して光電変換を行い、すなわち、被写体を撮影し、受光量に応じた電気信号としてのアナログの画像信号を、画像処理部33に供給する。画像処理部33は、撮像素子32から供給されたアナログの画像信号をA/D変換し、得られたデジタルの画像データ(画像)に対して、デモザイク処理、ホワイトバランス調整処理、ガンマ補正処理等の画像処理を施して、制御部38の領域分割部51および表示制御部56に供給する。
【0051】
ステップS12において、領域分割部51は、画像処理部33から供給された画像を所定の形状の領域に分割し、AF処理部52に供給する。より具体的には、領域分割部51は、画像処理部33からの画像を、N×N画素のブロックに分割する。
【0052】
ステップS13において、AF処理部52は、領域分割部51から供給された画像において、分割された領域(ブロック)毎に、コントラスト検出方式により、オートフォーカス(AF)処理を行う。
【0053】
ここで、図4のフローチャートを参照して、AF処理の詳細について説明する。
【0054】
ステップS31において、コントラスト計算部71は、領域分割部51から供給された画像において、分割された領域(ブロック)毎に、その各領域における画素の画素値に基づいて、コントラスト値を計算し、コントラスト記憶部72に供給する。より具体的には、例えば、コントラスト計算部71は、各ブロックの中心に位置するn×n画素の小領域に含まれる画素それぞれを注目画素とし、注目画素の画素値と、その左方向に隣接する隣接画素の画素値との左方向差分絶対値和を算出する。同様に、コントラスト計算部71は、注目画素の画素値と、その上方向に隣接する隣接画素の画素値との上方向差分絶対値和を算出する。そして、コントラスト計算部71は、小領域に含まれる全画素についての左方向差分絶対値和と上方向差分絶対値和との合計をコントラスト値として出力する。
【0055】
また、コントラスト計算部71は、そのときのフォーカス位置におけるコントラスト値の計算を終了した旨を表す情報をフォーカス制御部73に供給する。そして、フォーカス制御部73は、コントラスト計算部71からの情報に応じて、そのときのフォーカス位置を表すフォーカス位置情報を、コントラスト記憶部72に供給する。
【0056】
ステップS32において、コントラスト記憶部72は、分割された画像の領域毎に、コントラスト計算部71からのコントラスト値と、フォーカス制御部73からのフォーカス位置情報とを対応付けて記憶する。
【0057】
ステップS33において、フォーカス制御部73は、レンズ部31のフォーカスレンズの移動範囲内において所定の間隔毎に設定されている全てのフォーカス位置について、コントラスト値の計算および記憶の処理を行ったか否かを判定する。
【0058】
ステップS33において、全てのフォーカス位置について処理を行っていないと判定された場合、処理はステップS34に進み、フォーカス制御部73は、レンズ駆動部34に対して、フォーカスレンズの位置を次のフォーカス位置へ移動するよう指示する。レンズ駆動部34は、フォーカス制御部73からの指示を受けると、フォーカスレンズの位置を次のフォーカス位置へ移動する。その後、処理はステップS31に戻り、ステップS31乃至S33の処理が繰り返される。
【0059】
一方、ステップS33において、全てのフォーカス位置について処理を行ったと判定された場合、処理はステップS35に進み、フォーカス制御部73は、フォーカスレンズの移動範囲内における全てのフォーカス位置への移動を終えた旨を表す情報を、最大コントラスト抽出部74に供給する。
【0060】
ステップS35において、最大コントラスト抽出部74は、フォーカス制御部73からの情報に基づいて、コントラスト記憶部72に記憶されている、分割された画像の各領域(ブロック)についてのフォーカス位置毎のコントラスト値から、領域毎に、コントラスト値の最大値を抽出する。最大コントラスト抽出部74は、抽出した領域毎のコントラスト値の最大値に対応付けられているフォーカス位置情報(以下、合焦フォーカス位置情報ともいう)と、その領域を表す領域情報とを対応付けて、領域結合部53に出力する。各領域において、コントラスト値が最大となるときのフォーカス位置(合焦フォーカス位置)は、その領域に含まれる被写体に合焦させるフォーカスレンズの位置となる。
【0061】
以上の処理により、AF処理部52は、画像を分割した領域毎に、その領域に含まれる被写体に合焦するフォーカス位置のフォーカス位置情報を出力することができる。
【0062】
なお、以上においては、AF処理の方式として、コントラスト検出方式を適用するようにしたが、これに限らず、位相差検出方式やその他の方式を適用するようにしてもよい。
【0063】
図3のフローチャートに戻り、ステップS14において、領域結合部53は、最大コントラスト抽出部74からの、領域情報に対応付けられた合焦フォーカス位置情報のうち、同一のフォーカス位置を表す合焦フォーカス位置情報に対応付けられている領域情報を結合する。領域結合部53は、結合された領域情報と、対応付けられている合焦フォーカス位置情報とを、フォーカス位置記憶部54および表示制御部56に供給する。
【0064】
ここで、図5を参照して、合焦フォーカス位置が同一である領域の結合について説明する。
【0065】
図5は、撮影装置11によって撮影された画像の一例を示している。図5の画像において、4つの置物が右手前から左奥に向かって並んでおり、さらにその奥には背景が示されている。すなわち、図5の画像においては、被写体として4つの置物と背景とが存在し、撮影装置11は、その被写体のいずれかにフォーカスを合わせる(合焦させる)ようにできる。ここで、図5の画像を所定の数のブロックに分割したとき、例えば、手前から(右から)2番目の置物が含まれるブロックの合焦フォーカス位置は同一となる。したがって、領域結合部53は、図5の画像における、手前から(右から)2番目の置物が含まれるブロックを結合した領域101を表す領域情報を得ることができる。
【0066】
図3のフローチャートに戻り、ステップS15において、フォーカス位置記憶部54は、領域結合部53からの合焦フォーカス位置情報と、結合された領域情報とを対応付けて記憶する。
【0067】
ステップS16において、表示制御部58は、画像処理部33からの画像とともに、領域結合部53からの合焦フォーカス位置情報に基づいて、合焦フォーカス位置の分布を表す合焦フォーカス位置分布を表示部36に表示させ、処理は終了する。
【0068】
ここで、図6を参照して、表示部36に表示される合焦フォーカス位置分布の表示例について説明する。
【0069】
図6においては、図5で示された画像と同様の画像の右側に、合焦フォーカス位置分布が示されている。この合焦フォーカス位置分布は、レンズ部31のフォーカスレンズ(図中下端)から無限遠(図中上端)までの距離を表す軸A上に、合焦フォーカス位置に対応する被写体の位置を表すアイコン(丸印)f1乃至f5が表示されている。つまり、撮影装置11(フォーカスレンズ)に近い被写体ほど、そのアイコンは軸の下の方に表示され、撮影装置11(フォーカスレンズ)から遠い被写体ほど、そのアイコンは軸の上の方に表示される。
【0070】
前述したように、図6(図5)の画像においては、4つの置物と背景とが被写体として存在するが、合焦フォーカス位置分布において、アイコンf1は、一番手前(一番右側)の置物に対応し、アイコンf2は、手前から(右から)2番目の置物に対応している。同様に、アイコンf3は、手前から(右から)3番目の置物に対応し、アイコンf4は、手前から(右から)4番目(一番奥)の置物に対応している。また、アイコンf5は、背景に対応している。
【0071】
以上の処理によれば、撮影している(しようとしている)画像において、その画像に含まれる被写体毎のフォーカス位置を記憶、表示することができる。
【0072】
また、図示はしないが、図6の画像において、領域情報を基にして被写体毎の領域を枠で囲う等した上に、その領域に対応するアイコンとを線分で結ぶようにしてもよい。これにより、被写体とフォーカス位置との対応関係を、ユーザにとってより判りやすくすることができる。
【0073】
[撮影装置のフォーカス制御処理]
次に、図7のフローチャートを参照して、図6のように表示された画像または合焦フォーカス位置分布から、画像における所望の領域への合焦を制御するフォーカス制御処理について説明する。
【0074】
ステップS51において、入力制御部55は、ユーザの入力部35に対する操作によって、より具体的には、ユーザにより入力部35としての所定のボタンが押下される等して、表示部36に表示されている所定の領域が指定されたか否かを判定する。
【0075】
ステップS51において、所定の領域が指定されなかったと判定された場合、所定の領域が指定されるまで、ステップS51の処理は繰り返される。
【0076】
一方、ステップS51において、所定の領域が指定されたと判定された場合、入力制御部55は、指定された領域を表す領域情報をAF処理部52のフォーカス制御部73に供給し、処理はステップS52に進む。
【0077】
ステップS52において、フォーカス制御部73は、入力制御部55からの、指定された領域の領域情報に対応付けられている合焦フォーカス位置情報を、フォーカス位置記憶部54から読み出して取得する。ここで、取得される合焦フォーカス位置情報は、表示部36においてユーザにより指定された領域に含まれる被写体に合焦させるフォーカス位置情報である。
【0078】
ステップS53において、フォーカス制御部73は、フォーカス位置記憶部54より取得した合焦フォーカス位置情報に基づいて、レンズ駆動部34に対して、フォーカスレンズの位置を合焦フォーカス位置へ移動するよう指示する。レンズ駆動部34は、フォーカス制御部73からの指示を受けると、フォーカスレンズの位置を合焦フォーカス位置へ移動する。
【0079】
例えば、図6で示された画像および合焦フォーカス位置分布が表示部36により表示されているとき、ユーザにより入力部35が操作され、被写体を指定するためのポインタが、画像上の所定の領域に位置すると、表示制御部56は、その位置を含む領域全体を強調表示(例えば、ハイライト表示等)する。より具体的には、図8に示されるように、ポインタpが画像上を動き、手前から(右から)2番目の被写体に位置すると、その被写体が含まれるブロックを結合した領域101が強調表示(縁取り)される。なお、図8では、合焦フォーカス位置分布において、強調表示されている被写体(領域101)に対応するアイコンf2もまた、他のアイコンより明るい色等により強調表示される。
【0080】
図8に示される状態から、ユーザにより入力部35としての所定のボタンが押下されると、図7のフローチャートで説明した処理に従って、領域101に対応する手前から(右から)2番目の被写体にフォーカスが合わせられる(合焦される)。
【0081】
以上の処理によれば、撮影されている画像において、ユーザの指定した領域に対応する合焦フォーカス位置を取得するようにしたので、任意の位置の被写体に、より簡単にフォーカスを合わせることができる。
【0082】
以上においては、画像上の所定の領域を指定することで、その領域に対応する合焦フォーカス位置情報を取得するようにしたが、合焦フォーカス位置分布のアイコンを指定することで、そのアイコンに対応する合焦フォーカス位置情報を取得するようにもできる。
【0083】
すなわち、図9に示されるように、ポインタpが合焦フォーカス位置分布のアイコンf2に位置すると、表示制御部56によって、アイコンf2が他のアイコンより明るい色等により強調表示され、画像においてアイコンf2に対応する領域101が強調表示(縁取り)される。
【0084】
そして、図9に示される状態から、ユーザにより入力部35としての所定のボタンが押下されると、図7のフローチャートで説明した処理に従って、領域101に対応する手前から(右から)2番目の被写体にフォーカスが合わせられる(合焦される)。
【0085】
また、図7のフローチャートのステップS53においては、フォーカスレンズの位置を合焦フォーカス位置へ移動させる速度を調整するようにもできる。
【0086】
より具体的には、例えば、図8に示される状態から、ユーザにより入力部35としての所定のボタンが押下されると、図10で示されるように、「はやく」および「ゆっくり」といったポップアップメニューを表示させる。
【0087】
ユーザによる入力部35に対する操作により、「はやく」のポップアップメニューが選択された場合、図7のフローチャートのステップS53において、フォーカス制御部73の速度制御部73aは、レンズ駆動部34に対して、フォーカスレンズの位置を、より速い速度で合焦フォーカス位置へ移動するよう指示する。レンズ駆動部34は、速度制御部73aからの指示を受けると、フォーカスレンズの位置を、より速い速度で合焦フォーカス位置へ移動する。
【0088】
一方、ユーザによる入力部35に対する操作により、「ゆっくり」のポップアップメニューが選択された場合、図7のフローチャートのステップS53において、フォーカス制御部73の速度制御部73aは、レンズ駆動部34に対して、フォーカスレンズの位置を、より遅い速度で合焦フォーカス位置へ移動するよう指示する。レンズ駆動部34は、速度制御部73aからの指示を受けると、フォーカスレンズの位置を、より遅い速度で合焦フォーカス位置へ移動する。
【0089】
このように、フォーカス位置の移動の速度を制御することができるので、特に、大きな動きのない複数の被写体を動画撮影する場合等において、異なる被写体間でのフォーカスの移動速度を調整でき、様々な映像表現を実現することが可能となる。
【0090】
なお、上述した説明では、ユーザにより入力部35としての所定のボタンが押下されると、ポップアップメニューを表示させ、フォーカス位置の移動の速度を制御させるようにしたが、例えば、入力部35としての所定のボタンが2回押下(ダブルクリック)された場合には、フォーカスレンズの位置を、最速で合焦フォーカス位置へ移動させるようにしてもよい。
【0091】
また、以上においては、領域分割部51は、画像処理部33からの画像を、N×N画素のブロックに分割するようにしたが、画像処理部33からの画像から被写体を検出して、その画像を被写体毎の領域に分割するようにしてもよい。被写体を検出する手法としては、画像を複数のブロックに分割し、色と輝度を用いて類似ブロックを繋げるセグメンテーション処理を行い、画像を前景と背景とに分離する手法や、画像において、特徴量の多い領域を被写体が含まれる可能性の高い領域とする手法を用いてもよいし、その他の手法を用いてもよい。
【0092】
画像が被写体毎の領域に分割されると、例えば、図5で示した画像における領域101は、図11に示されるような、手前から(右から)2番目の置物の輪郭をより正確に検出した領域201として得られる。
【0093】
これにより、撮影されている画像において、ユーザは、より正確に分割された領域を指定して、その領域に対応する合焦フォーカス位置を取得するので、任意の位置の被写体に、より簡単かつ正確にフォーカスを合わせることができる。
【0094】
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0095】
なお、本明細書において、プログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0096】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0097】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0098】
11 撮影装置, 31 レンズ部, 32 撮像素子, 33 画像処理部, 34 レンズ駆動部, 35 入力部, 36 表示部, 38 制御部, 51 領域分割部, 52 AF処理部, 53 領域結合部, 54 フォーカス位置記憶部, 55 入力制御部, 56 表示制御部, 71 コントラスト計算部, 72 コントラスト記憶部, 73 フォーカス制御部, 73a 速度制御部, 74 最大コントラスト抽出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影された画像を表示する表示手段と、
前記画像を分割する分割手段と、
前記分割手段によって分割された前記画像の領域毎にコントラスト値を計算する計算手段と、
フォーカス位置を順次移動させたときに、前記領域毎に、前記コントラスト値が最大となるフォーカス位置である合焦フォーカス位置を記憶する記憶手段と、
前記表示手段により表示された前記画像において、ユーザによって所定の領域が指定されたとき、前記記憶手段によって記憶されている前記合焦フォーカス位置のうちの、前記ユーザによって指定された前記領域に対応する前記合焦フォーカス位置へのフォーカス位置の移動を制御するフォーカス制御手段と
を備える撮影装置。
【請求項2】
前記合焦フォーカス位置が同一である前記領域を結合する結合手段をさらに備え、
前記記憶手段は、前記結合手段により前記領域が結合された結合領域毎に、前記合焦フォーカス位置を記憶する
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記画像とともに、前記画像の前記領域毎の、前記合焦フォーカス位置の分布を表す合焦フォーカス位置分布の、前記表示手段への表示を制御する表示制御手段をさらに備える
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記フォーカス制御手段は、前記合焦フォーカス位置分布において前記ユーザによって指定された前記合焦フォーカス位置へのフォーカス位置の移動を制御する
請求項3に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記合焦フォーカス位置分布は、フォーカスレンズから無限遠までの距離を表す軸上に、前記合焦フォーカス位置に対応する被写体の位置を表すアイコンが表示される
請求項3に記載の撮影装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記ユーザによって指定された前記領域を強調して前記表示手段に表示させる
請求項3に記載の撮影装置。
【請求項7】
前記分割手段は、前記画像をブロック単位の前記領域に分割する
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項8】
前記分割手段は、前記画像における被写体を検出することで、前記画像を前記被写体毎の領域に分割する
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項9】
前記フォーカス制御手段は、前記ユーザによって指定された前記領域に対応する前記合焦フォーカス位置へのフォーカス位置の移動の速度を制御する速度制御手段を含む
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項10】
撮影された画像を表示する表示ステップと、
前記画像を分割する分割ステップと、
前記分割ステップの処理によって分割された前記画像の領域毎にコントラスト値を計算する計算ステップと、
フォーカス位置を順次移動させたときに、前記領域毎に、前記コントラスト値が最大となるフォーカス位置である合焦フォーカス位置を記憶する記憶ステップと、
前記表示ステップの処理により表示された前記画像において、ユーザによって所定の領域が指定されたとき、前記記憶ステップの処理によって記憶されている前記合焦フォーカス位置のうちの、前記ユーザによって指定された前記領域に対応する前記合焦フォーカス位置へのフォーカス位置の移動を制御するフォーカス制御ステップと
を含む撮影方法。
【請求項11】
撮影された画像を表示する表示ステップと、
前記画像を分割する分割ステップと、
前記分割ステップの処理によって分割された前記画像の領域毎にコントラスト値を計算する計算ステップと、
フォーカス位置を順次移動させたときに、前記領域毎に、前記コントラスト値が最大となるフォーカス位置である合焦フォーカス位置を記憶する記憶ステップと、
前記表示ステップの処理により表示された前記画像において、ユーザによって所定の領域が指定されたとき、前記記憶ステップの処理によって記憶されている前記合焦フォーカス位置のうちの、前記ユーザによって指定された前記領域に対応する前記合焦フォーカス位置へのフォーカス位置の移動を制御するフォーカス制御ステップと
を含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−44838(P2011−44838A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190728(P2009−190728)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】