説明

撮影装置用の切換機構

【課題】低騒音で、かつ複雑な制御ユニットを必要としない条件の下で、カラーフィルタ切換の効果を達成する、撮影装置用の切換機構を提供すること。
【解決手段】駆動装置と、駆動装置に接続された第1ギヤと、第1ギヤに接続された第2ギヤと、その一端が第2ギヤに装着されたリードスクリューとを備え、駆動装置はネジ山駆動方式を利用して第1ギヤを駆動し、第1ギヤはさらにネジ山駆動方式を利用して第2ギヤを駆動し、第2ギヤはリードスクリューを回転させ、リードスクリュー上に移動可能に被せてあるナットがリードスクリューのネジ山領域から移動した後、ナットはリードスクリューの両端のうちのいずれかの一端が有する停止ブロックによって移動を制限される。ナットとリードスクリューは、これによって、半脱離状態を呈する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置用の切換機構に関し、特に簡単な機構を利用し、低騒音で、かつ複雑な制御ユニットを必要としない条件の下で、カラーフィルタの切換を達成する切換機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般のビデオカメラは、CCDを使用するものであっても、或いはCMOSのセンサ素子を使用するものであっても、昼間と夜間における映像取り込み状態を好ましい状態に維持するため、夜間と昼間の2つの使用状態の下で、カラーフィルタの切換を行ない、昼間は比較的高い映像の迫真性を維持し、夜は同様に鮮明に運用できるようにする必要がある。そのため、撮影装置上に広範に搭載された、カラーフィルタ切換機能を有する構造となっている。
【0003】
しかしながら、カラーフィルタ切換を達成可能な切換機構の制御方法は非常に多く、制御の角度から見て、次の2種類に大きく分けることができる。
(A)閉ループ制御法:
フィードバック信号を有する制御方式である。つまり、モータの運動を制御し、モータが機構を動かした後、制御された機構が所定の位置または条件に到達すると、フィードバック信号が制御ユニットに到達し、モータ制御の状態を調整する。このような制御方式は、作動装置の状態を把握ことができ、安定した方法である。但し、コストが比較的高く、設計上、空間の減少が容易でないことが欠点である。
(B)開ループ制御法:
この制御方法は、一方向で、モータ駆動機構を介し、入力ユニットにより能動制御を行なうものであり、制御される装置の状態を知ることはできない。このような装置は、簡単で、安価であり、特別なコントローラおよびフィードバック機構を必要としない。当然、それに対し、このような機構でよく遭遇する問題は、位置検出装置(例えば、スイッチ、センサなど)がない前提の下で、受動装置が阻害されたときに、作動装置(例えば、モータなど)と受動装置との間の運動関係を切り離すことができない場合、最終的に連鎖の中の装置が破損することがある。破損するものは、モータである場合も、伝動機構である場合もある(モータである可能性が最も高い)。そのため、このような状況を防止するため、切り離してつなぐメカニズムがこのような制御機構中に必然的に存在する。摩擦力を用いて拘束制御する方式がよく使用されるが、これに伴い、騒音が自然に発生する。この方法の長所は、比較的小さく、比較的簡単な機構を用いて動作の目的を達成することができ、コストも相対的に低廉であることである。但し、被制御物の状態を把握できないこと、および騒音の問題が、先天的に克服できない制御の欠点となっている。
【0004】
本発明は以上の点に鑑み、長年の経験に基づき、前記の各課題を解決するため、撮影装置用の切換機構を提供するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
長期にわたり、開ループ制御機構には、安定性および騒音上の問題が存在してきた。そのため、設計の角度から開ループ制御の長所を維持することができると同時に、派生する欠点を解決することができれば、製品の品質および競争力の向上に大きく役立つ。
本発明は、主にネジ山とナットとの間の比較的精密な接触挙動および比較的安定した位置決め特性を介して、ウォームとウォームホイールの高減速比の効果を組み合わせ、低騒音、高安定性の開ループ制御機構を製造し、各システム上での運用を便利にするというものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の主な目的は、簡単な機構を利用し、低騒音で、かつ複雑な制御ユニットを必要としない条件の下で、カラーフィルタ切換の効果を達成する、撮影装置用の切換機構を提供することである。
【0007】
撮影装置用の切換機構は、駆動装置と、前記駆動装置に接続された第1ギヤと、前記第1ギヤに接続された第2ギヤと、その一端が第2ギヤに装着されたリードスクリューとを備え、駆動装置は、ネジ山駆動の方式を利用して第1ギヤを駆動し、第1ギヤは、さらにネジ山駆動の方式を利用して第2ギヤを駆動する。第2ギヤはこれによって回転し、リードスクリューを回転させる。リードスクリュー上には、リードスクリューの回転によってリードスクリュー上を相対的に移動可能なナットが被せてある。ナットがリードスクリューのネジ山領域から移動した後、ナットは、リードスクリューの両端のうちのいずれかの一端が有する停止ブロックによって移動を制限される。ナットとリードスクリューは、これによって、半脱離状態を呈する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は非確実(例えば、前記の摩擦力を用いた連結の状態で、所定の位置を切り離す設計目的を解決する)運動を行ない、また脱離と連結時の振動による騒音を下げるという課題を解決すると同時に、次のような多くの応用の長所をもたらす。
(1)ウォームとウォームホイールを減速ギヤとして使用し、減速比を増加し、この切換機構上で応用し、運動の信頼性を高めることができる。
(2)構造全体を、このコンセプトによって縮小することができるため、この設計を簡単にモジュール化し、開ループ制御上の安価で、信頼性と利用性の高いモジュールとすることができる。
(3)このモジュールを直線往復運動上に応用する場合は、スクリューの距離およびナット制限の位置を制御するだけで、往復運動機構の行程を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の撮影装置用の切換機構の上面図である。
【図2】本発明の撮影装置用の切換機構の立体図である。
【図3】本発明の撮影装置用の切換機構におけるナットとリードスクリューが半脱離状態を呈した概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は撮影装置用の切換機構に関し、本発明で提出するものをさらに明確に説明するため、図面と合わせ以下のとおり詳細に説明する。
【0011】
図1、図2、および図3は、本発明の撮影装置用の切換機構の上面図、本発明の撮影装置用の切換機構立体図、および本発明の撮影装置用の切換機構におけるナットとリードスクリューが半脱離状態を呈した概要図である。
【0012】
本発明の撮影装置用の切換機構1は、モータとすることができる駆動装置11と、駆動装置11に接続された第1ギヤ12と、第1ギヤ12に接続された第2ギヤ13と、その一端が第2ギヤ13に装着されたリードスクリュー14とを備える。
【0013】
駆動装置11は、そのリードスクリュー111上のネジ山を利用して第1ギヤ12を駆動し、第1ギヤ12は、さらにその上のネジ山を利用して第2ギヤ13を駆動する。
第2ギヤ13はこれによって回転し、リードスクリュー14を回転させる。
【0014】
リードスクリュー14上には、リードスクリュー14の回転によってリードスクリュー14上を相対的に移動可能なナット15が被せてある。
ナット15がリードスクリュー14のネジ山領域(図には未表示)から移動した後、ナット15は、リードスクリュー14の両端のうちのいずれかの一端が有する停止ブロック16および16´によって移動を制限される。
ナット15とリードスクリュー14は、これによって、半脱離状態を呈する。
【0015】
図3に示すように、ナット15のネジ山151は、リードスクリュー14のネジ山141と小さい距離をあけて離れている。
本図の実施例は、ナット15が停止ブロック16の箇所まで移動すると、ナット15がその極限の箇所まで移動することによって、リードスクリュー14からわずかに離れ、かつ2つのネジ山の末端の間の微細な磨擦しか残さないため、ほとんど騒音がない。
【0016】
さらに、モータ11が逆方向に回転すると、さらにリードスクリュー111と、第1ギヤ12と、第2ギヤ13と、リードスクリュー14との駆動を介して、ナット15のネジ山151とリードスクリュー14のネジ山141とをさらに噛み合せ、ナット15を停止ブロック16´の方向に移動させる。
【0017】
ナット15は、さらに平行移動機構17に接続する。平行移動機構17は、カラーフィルタ18およびガラスシート19に接続する。
ナット15がリードスクリュー14上を移動すると、平行移動機構17を直接駆動することができ、さらにカラーフィルタ18およびガラスシート19を定位置まで移動させることができる。
この位置は、ナット15およびリードスクリュー14に対して、半脱離状態を呈する位置である。
【0018】
カラーフィルタ18またはガラスシート19の前方に、さらにレンズ20が設けてあり、カラーフィルタ18またはガラスシート19の後方に、さらに映像取り込み装置21が設けてある。
映像取り込み装置21は、CCD感光素子22と、プリント基板23とを備える。当然、前記CCD感光素子は、CMOS感光素子とすることもできる。
【0019】
ここで注意すべきことは、前記の切換機構1、リードスクリュー111、第1ギヤ12、第2ギヤ13、リードスクリュー14、ナット15、および停止ブロック16と16´は、図1において、上面図の角度の関係のため、その実際の水平面は、他の素子と同じ面ではないことである。
そのうち、ナット15と平行移動機構17との連結は、位置を限定せず、光源のすべての感光素子22に入る空間と干渉しなければよい。
【0020】
前記した構造により、カラーフィルタ18とガラスシート19の切換方法を理解することができる。
このように、一般の撮影装置で、昼間と夜の異なる光度条件により、カラーフィルタおよびガラスシートを運用することができるだけでなく、過多の騒音、抵抗力およびリセットできない状況をさらに防止することができる。
また、本構造は簡単で、コストが低く、組立てが容易であり、そのために、保守コストも低い。
【0021】
以上のとおり、本発明は非確実(例えば、前記の摩擦力を用いた連結の状態で、所定の位置を切り離す設計目的を解決する)運動を行ない、また脱離と連結時の振動による騒音を下げるという課題を解決すると同時に、設計上、次のような多くの応用の長所をもたらす。
A.ウォームとウォームホイールを減速ギヤとして使用し、減速比を増加し、この切換機構上で応用し、運動の信頼性を高めることができる。
B.構造全体を、このコンセプトによって縮小することができるため、この設計を簡単にモジュール化し、開ループ制御上の安価で、信頼性と利用性の高いモジュールとすることができる。
C.このモジュールを直線往復運動上に応用する場合は、スクリューの距離およびナット制限の位置を制御するだけで、往復運動機構の行程を決定することができる。
【0022】
本発明は、発明者の豊富な経験を利用し、極めて創意に富んだ構想により、簡単で公知の技術の問題を充分に解決可能なものを設計したものである。そのため、本発明の機能は、新規性と進歩性を有するという特許要件に確実に適合している。
【0023】
以上の記載は、本発明の好ましい実施例でしかなく、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の特許請求の範囲により行なった同等の変更および修正は、本発明の特徴を損なうものでなく、本発明の主旨と範囲も逸脱しないため、いずれも本発明のさらなる実施形態とみなすべきである。
【符号の説明】
【0024】
1 切換機構
11 駆動装置
111 リードスクリュー
12 第1ギヤ
13 第2ギヤ
14 リードスクリュー
141 ネジ山
15 ナット
151 ネジ山
16 停止ブロック
16´ 停止ブロック
17 平行移動機構
18 カラーフィルタ
19 ガラスシート
20 レンズ
21 映像取り込み装置
22 CCD感光素子
23 プリント基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動装置と、
該駆動装置に接続された第1ギヤと、
該第1ギヤに接続された第2ギヤと、
その一端が該第2ギヤに装着されたリードスクリューとを備え、
前記駆動装置は、ネジ山駆動の方式を利用して第1ギヤを駆動し、第1ギヤは、さらにネジ山駆動の方式を利用して第2ギヤを駆動し、第2ギヤはこれによって回転し、リードスクリューを回転させ、リードスクリュー上には、リードスクリューの回転によってリードスクリュー上を相対的に移動可能なナットが被せてあり、ナットがリードスクリューのネジ山領域から移動した後、ナットは、リードスクリューの両端のうちのいずれかの一端が有する停止ブロックによって移動を制限され、ナットとリードスクリューは、これによって、半脱離状態を呈することを特徴とする撮影装置用の切換機構。
【請求項2】
前記ナットは、平行移動機構に接続し、該平行移動機構は、カラーフィルタおよびガラスシートに接続し、ナットがリードスクリュー上を移動すると、平行移動機構を直接駆動することができ、さらに該カラーフィルタおよび該ガラスシートを定位置まで移動させることができ、該位置は、ナットおよびリードスクリューに対して、半脱離状態を呈する位置であることを特徴とする請求項1に記載の撮影装置用の切換機構。
【請求項3】
前記カラーフィルタまたは該ガラスシートの前方に、さらにレンズが設けてあり、カラーフィルタまたはガラスシートの後方に、さらに映像取り込み装置が設けてあることを特徴とする請求項2に記載の撮影装置用の切換機構。
【請求項4】
前記映像取り込み装置は、CCD感光素子と、プリント基板とを備えることを特徴とする請求項3に記載の撮影装置用の切換機構。
【請求項5】
前記映像取り込み装置は、CMOS感光素子と、プリント基板とを備えることを特徴とする請求項3に記載の撮影装置用の切換機構。
【請求項6】
前記駆動装置がモータであることを特徴とする請求項1に記載の撮影装置用の切換機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−266642(P2010−266642A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117382(P2009−117382)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(509136194)遠業科技股▲分▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】