説明

撮影装置

【課題】 AF機能を有し、合焦の対象となる被写体を明確に表示可能な撮影装置を提供する。
【解決手段】 レリーズボタンが半押しされたと判断される(ステップS102)と、撮影レンズの駆動が開始され(ステップS103)、被写体に含まれる多数の部分領域について、それぞれ同時にコントラストが検出される(ステップS104)。そして、撮影レンズのレンズ位置に対するコントラストのピークと、被写体距離とに基づいて、各部分領域が高コントラスト領域であるか否か、すなわち高コントラスト領域が特定されたか否かが判断される(ステップS105)。高コントラスト領域が特定されると、高コントラスト領域に色を付したスルー画像がLCDモニタに表示される(ステップS106)。さらに、被写体の撮影(ステップS108)後には、高コントラスト領域に色を付した静止画像がクイックビュー表示される(ステップS109)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートフォーカス(AF)機能を有する、デジタルカメラを含む撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、AF機能は、カメラを含む多くの撮影装置で用いられている。一般に、AF機能を有する撮影装置においては、被写体像をスルー画像としてモニタ上に表示する際に、AFの対象となる範囲を示す枠(AFフレーム)などが表示されている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−258143号公報(段落[0008]、図2参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
枠などによってAFの対象を示す撮影装置のモニタ表示においては、枠などの示す範囲内に複数の被写体が重なって含まれる場合がある。この場合、いずれの被写体に対して合焦されたかが定かではない。
【0004】
本発明は、AF機能を有し、合焦の対象となる被写体を明確に表示可能な撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のコントラスト表示装置は、被写体のコントラストを検出するコントラスト検出手段と、被写体を表示する画像表示手段と、被写体の一部である部分領域が、他の部分領域よりもコントラストが高い高コントラスト領域であるか否かを判断するコントラスト判断手段と、画像表示手段が表示する被写体において、高コントラスト領域を表示するコントラスト表示手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
画像表示手段が被写体をスルー画像として表示するときに、コントラスト表示手段は、高コントラスト領域を表示可能であることが好ましい。さらに、画像表示手段が被写体を静止画像として表示するときに、コントラスト表示手段は、高コントラスト領域を表示可能であることが好ましい。
【0007】
本発明の撮影装置は、コントラスト表示装置と、撮影レンズと、撮影レンズのレンズ位置を調整するレンズ位置調整手段とを備え、レンズ位置調整手段が、高コントラスト領域に撮影レンズの焦点を合わせるようにレンズ位置を調整することを特徴とする。
【0008】
コントラスト検出手段は、所定のレンズ位置において、画像表示手段が表示する被写体に含まれる部分領域のコントラストを検出すると、レンズ位置調整手段が、レンズ位置を変更し、さらにコントラストの検出とレンズ位置の変更とが繰り返されることが好ましい。またこの場合、コントラスト判断手段が、部分領域における、レンズ位置に対するコントラストのピークに基づいて、部分領域が高コントラスト領域であるか否かを判断することが望ましい。さらにコントラスト判断手段は、コントラストのピークに基づく被写体距離が最も短い部分領域を高コントラスト領域であると判断することがより望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、AF機能を有し、合焦の対象となる被写体を明確に表示可能な撮影装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態におけるデジタルカメラのブロック図である。
【0011】
デジタルカメラ10には、全体を制御する制御回路であるCPU20、EEPROM44等が含まれる。CPU20には、メインスイッチSWM、測光スイッチSWS、レリーズスイッチSWRが接続されている。メインスイッチSWMは、デジタルカメラ10の表面に設けられた電源スイッチ(図示せず)が操作されるとオン状態になり、CPU20が作動を開始する。EEPROM44には、CPU20の信号処理のためのデータ等が予め格納されている。測光スイッチSWSは、デジタルカメラ10のレリーズボタン(図示せず)が半押しされることによりオン状態となる。
【0012】
測光スイッチSWSがオン状態となると、以下のように被写体のコントラストが検出される。すなわちまず、矩形状に配置された多数の画素を有し、CCD駆動回路36により制御されるCCD38が、撮影レンズ30を透過した被写体からの光を受光し、被写体を示す画像信号を生成する。画像信号は、信号処理部40に送信され、増幅処理、デジタル化、ホワイトバランス調整、ガンマ補正などの様々な信号処理が施される。
【0013】
これらの処理が施された画像信号は、画像処理部50に送られる。また、画像信号に基づく輝度データは、コントラスト検出部48に送られる。コントラスト検出部48では、被写体のコントラストが検出される。なおCCD38は、縦横それぞれ128ずつの合計16384個の領域に分割されており、コントラストは、分割されたCCD38の領域(分割領域)ごとに検出される。検出されたコントラストを示すデータは、輪郭検出部52に送られ、記録される。
【0014】
ここで、モータ34によって撮影レンズ30をわずかに駆動させるための駆動信号が、CPU20からレンズ駆動回路32に送信される。この駆動信号によって撮影レンズ30がわずかに駆動され、レンズ位置がわずかに移動すると、再びCCD38にて画像信号が生成される。こうして新たに生成された画像信号に基づいて、輝度データがコントラスト検出部48に送られ、コントラスト検出部48でコントラストが検出される。
【0015】
このように、コントラストの検出は、同一の被写体に対して撮影レンズ30の焦点位置を徐々にずらしつつ多数回に渡って行なわれる。そして輪郭検出部52には、これまでに検出されたコントラストが分割領域ごとに記録されている。輪郭検出部52においては、既に記録されているコントラストデータと新たに送信されたデータとから、撮影レンズ30のレンズ位置に対するコントラストのピークがあるか否かが分割領域ごとに判断される。
【0016】
すなわち、撮影レンズ30のレンズ位置が今回とわずかに異なる状態で前回検出されたコントラストが、今回検出された新たなコントラストも含む、これまでに検出された全てのコントラストの中で最も高いか否かが判断される。そして前回検出されたコントラストが最も高い場合、前回検出されたコントラストがレンズ位置に対するピークであると判断される。なお、コントラスト検出部48によるコントラストの検出と、レンズ駆動回路32およびモータ34による撮影レンズ30のレンズ位置の変更は、近距離側から無限遠にある被写体に対応した分割領域について、ピークの有無が判断されるまで繰り返される。
【0017】
この判断の結果、コントラストのピークに基づいて、対応する被写体部分の被写体距離が最も短い分割領域が特定される。そしてこの分割領域に対応する被写体部分が、高コントラスト領域として定められる。すなわち、コントラスト検出部48において各分割領域のコントラストが検出されると、輪郭検出部52は、コントラスト検出部48からの信号に基づいてコントラストのピークを検出するとともに、このピークに対応した被写体距離が最も短い分割領域を特定し、この分割領域に対応する被写体部分を高コントラスト領域として特定する。
【0018】
ここで一般に、被写体の輪郭はコントラストが高いため、輪郭検出部52は、高コントラスト領域を特定することにより被写体の輪郭を検出する。そして高コントラスト領域を示す信号が、輪郭検出部52から画像処理部50に送られる。
【0019】
画像処理部50は、高コントラスト領域を示す信号と、信号処理部40から送信された画像信号とに基づいて、高コントラスト領域に所定の色をスーパーインポーズさせた被写体像をLCDモニタ54に表示させる。さらに、CPU20がレンズ駆動回路32を制御し、モータ34によって撮影レンズ30のレンズ位置がさらに調整されて、高コントラスト領域に焦点が合わせられる。
【0020】
レリーズボタンが、半押し状態から全押しされると、レリーズスイッチSWRがオン状態になる。そして、CPU20からの制御信号に基づいて、シャッタ(図示せず)が露出調整のため所定の開度まで所定時間だけ開かれ、CCD38にて画像信号が発生する。画像信号は、信号処理部40を介して画像処理部50に送られる。そして、画像処理部50から送信される画像信号、すなわち撮影された被写体像の画像データは、DRAM42、メモリカード46に送られ、記録される。さらに画像処理部50は、輪郭検出部52に記録されていたコントラストのデータに基づく、高コントラスト領域を示す信号を受信して、高コントラスト領域に所定の色をスーパーインポーズさせた被写体像を、LCDモニタ54上に静止画像としてクイックビュー表示させる。
【0021】
図2は、LCDモニタ54に表示される被写体の部分領域を概略的に示す図である。図3は、LCDモニタ54に表示された被写体のスルー画像を例示する図である。
【0022】
LCDモニタ54に表示される被写体は、CCD38の分割領域に対応する部分領域Sに分けられる。従って、矩形状のLCDモニタ54に表示される被写体は、縦横それぞれ128ずつに分割されており、合計16384個の部分領域Sを含む。そして例えば、図3に例示するスルー画像においては、人物や海などを含む被写体全体が有する16384個の部分領域Sごとに、高コントラスト領域であるか否かが判断される。なお部分領域は、分割領域と同様にコントラストデータの処理のために設定される領域であり、図2に示す部分領域の境界線は、LCDモニタ54に表示されない。
【0023】
図4は、高コントラスト領域が示されていない状態における、LCDモニタ54上の被写体の一部を示す図である。図5は、高コントラスト領域が示されている、LCDモニタ54上の被写体の一部を示す図である。
【0024】
図4および図5は、図3における符号Aが示す被写体の一部を拡大した図である。これらの図においては、破線によって囲まれた領域が、それぞれ部分領域Sを示す。そして、被写体のコントラスト検出が指示されず、部分領域Sが高コントラスト領域であるか否かが判断されていない場合と、合焦されるべき高コントラスト領域が検出されなかった場合においては、人物の顔の輪郭F、水平線Hを含む部分領域を始めとする全ての部分領域において、高コントラスト領域を示す色は付されない。
【0025】
一方、コントラスト検出が指示され、輪郭検出部52によって、部分領域Sがそれぞれ高コントラスト領域であるか否かが判断された結果、高コントラスト領域であると判断された部分領域には、所定の色が付される(図5参照)。ここでは、人物の顔の輪郭Fを含む部分領域にのみ色が付され、水平線Hを含む部分領域に色が付されていない。これは、人物の顔の輪郭Fと水平線Hとのいずれにおいてもコントラストは高いため、コントラストのピークはコントラスト検出部48により検出されたものの、人物の顔の方が水平線Hよりも被写体距離が短いためである。
【0026】
先述のように、ある被写体の輪郭は一般にコントラストが高くなる。このため、色が付される高コントラスト領域は、LCDモニタ54に表示された被写体のうち、合焦の対象となるものの輪郭に重なるように表示される。例えば、図3に示す画像においては、人物像の輪郭に色が付されることとなる。この結果、ユーザは、LCDモニタ54に表示された全ての被写体のうち、合焦の対象となった部分を容易に識別できる。
【0027】
図6は、コントラスト表示ルーチンを示すフローチャートである。
【0028】
コントラスト表示ルーチンは、デジタルカメラ10のメインスイッチSWMがオン状態になると開始する。ステップS101では、被写体のスルー画像がLCDモニタ54に表示され、ステップS102に進む。ステップS102では、レリーズボタンが半押しされているか否か、すなわち測光スイッチSWSがオンであるか否かが判断される。レリーズボタンが半押しされていると判断されると、ステップS103に進み、レリーズボタンが半押しされていないと判断されると、ステップS101に戻る。
【0029】
ステップS103においては、コントラストを検出するために、撮影レンズ30の駆動が開始され、ステップS104に進む。ステップS104では、コントラスト検出部48により、LCDモニタ54に表示される被写体の全ての部分領域について、同時にコントラストが検出され、ステップS105に進む。ステップS105では、撮影レンズ30のレンズ位置に対するコントラストのピークと、これに基づく被写体距離とに基づいて、各部分領域が高コントラスト領域であるか否かが輪郭検出部52により判断される。そして、いずれかの部分領域が高コントラスト領域であると判断され、高コントラスト領域が特定されるとステップS106に進む。一方、いずれの部分領域も高コントラスト領域でないと判断され、高コントラスト領域が特定されない場合、ステップS101に戻る。ステップS106では、高コントラスト領域に色を付したスルー画像が、LCDモニタ54に表示され、ステップS107に進む。
【0030】
ステップS107では、レリーズボタンが全押しされたか否か、すなわちレリーズスイッチSWRがオン状態か否かが判断される。そして、レリーズボタンが全押しされてレリーズスイッチSWRがオン状態であると判断されると、ステップS108に進み、レリーズボタンが全押しされていないと判断されるとステップS101に戻る。ステップS108では、被写体が撮影されてステップS109に進む。
【0031】
ステップS109では、撮影された被写体が、高コントラスト領域に色を付した静止画像としてクイックビュー表示され、ステップS110に進む。ステップS110では、デジタルカメラ10の電源がオンであるか否か、すなわちメインスイッチSWMがオン状態であるか否かが判断される。そして、デジタルカメラ10の電源がオンであると判断されると、ステップS101に戻り、電源がオフであると判断されると、コントラスト表示ルーチンは終了する。
【0032】
以上のように本実施形態によれば、被写体を分割する多数の部分領域ごとにコントラストの高低を判断し、周囲よりもコントラストの高い領域を特定させるように被写体をLCDモニタ54上に表示することにより、合焦の対象となる部分を明確に示すことができる。
【0033】
撮影装置は、本実施形態におけるデジタルカメラ10に限定されず、例えばビデオカメラ等であっても良い。また部分領域の数も本実施形態に限定されない。また、被写体距離に基づく高コントラスト領域の選定方法については、被写体距離が最も短い部分領域を高コントラスト領域とした本実施形態に限定されない。例えばユーザが、所定の被写体距離にある部分領域を高コントラスト領域とすべく、設定可能であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】デジタルカメラのブロック図である。
【図2】LCDモニタに表示される被写体の部分領域を概略的に示す図である。
【図3】LCDモニタに表示された被写体のスルー画像を例示する図である。
【図4】高コントラスト領域が示されていない状態における、LCDモニタ上の被写体の一部を示す図である。
【図5】高コントラスト領域が示されている、LCDモニタ上の被写体の一部を示す図である。
【図6】コントラスト表示ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
10 デジタルカメラ(撮影装置)
30 撮影レンズ
32 レンズ駆動回路(レンズ位置調整手段)
34 モータ(レンズ位置調整手段)
38 CCD(撮像素子)
48 コントラスト検出部(コントラスト検出手段)
50 画像処理部(画像表示手段・コントラスト表示手段)
52 輪郭検出部(コントラスト判断手段)
54 LCDモニタ(画像表示手段・コントラスト表示手段)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体のコントラストを検出するコントラスト検出手段と、
前記被写体を表示する画像表示手段と、
前記被写体の一部である部分領域が、他の部分領域よりもコントラストが高い高コントラスト領域であるか否かを判断するコントラスト判断手段と、
前記画像表示手段が表示する前記被写体において、前記高コントラスト領域を表示するコントラスト表示手段と
を備えることを特徴とするコントラスト表示装置。
【請求項2】
前記コントラスト表示手段が、前記高コントラスト領域に所定の色を付して表示することを特徴とする請求項1に記載のコントラスト表示装置。
【請求項3】
前記画像表示手段が前記被写体をスルー画像として表示するときに、前記コントラスト表示手段が、前記高コントラスト領域を表示可能であることを特徴とする請求項1に記載のコントラスト表示装置。
【請求項4】
前記画像表示手段が前記被写体を静止画像として表示するときに、前記コントラスト表示手段が、前記高コントラスト領域を表示可能であることを特徴とする請求項1に記載のコントラスト表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載のコントラスト表示装置と、
撮影レンズと、
前記撮影レンズのレンズ位置を調整するレンズ位置調整手段とを備え、
前記レンズ位置調整手段が、前記高コントラスト領域に前記撮影レンズの焦点を合わせるように、前記レンズ位置を調整することを特徴とする撮影装置。
【請求項6】
前記コントラスト検出手段が、所定の前記レンズ位置において、前記画像表示手段が表示する前記被写体に含まれる前記部分領域のコントラストを検出すると、前記レンズ位置調整手段が、前記レンズ位置を変更し、さらに前記コントラストの検出と前記レンズ位置の変更とが繰り返されることを特徴とする請求項5に記載の撮影装置。
【請求項7】
前記コントラスト判断手段が、前記部分領域における、前記レンズ位置に対する前記コントラストのピークに基づいて、前記部分領域が前記高コントラスト領域であるか否かを判断することを特徴とする請求項6に記載の撮影装置。
【請求項8】
前記コントラスト判断手段が、前記コントラストのピークに基づく被写体距離が最も短い前記部分領域を前記高コントラスト領域であると判断することを特徴とする請求項7に記載の撮影装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−262105(P2006−262105A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−77017(P2005−77017)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】