説明

操作ユニット

【課題】ディテント機構の大型化を招くことなく操作部材の係止位置のピッチを可及的に小さくし得る操作ユニットを提供する。
【解決手段】人為操作に応じて揺動軸線回り揺動可能とされた操作部材と前記操作部材を前記揺動軸線回りの所定係止位置に保持する為のディテント機構とを備える。前記操作部材を揺動軸線回り所定係止位置に保持する為にディテントプレートに形成された複数のディテント凹部は、ディテントボールと対向する側は前記ディテントプレートの外表面に開口し且つ前記ディテントボールとは反対側は閉塞された非貫通凹部とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の作業車輌に適用される操作ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
人為操作に応じて揺動軸線回り揺動可能とされた操作部材を備えた操作ユニットに、前記操作部材を前記揺動軸線回りの所定操作位置に保持する為のディテント機構を備えることは、従前から公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
詳しくは、前記ディテント機構は、前記操作部材に前記揺動軸線と平行な方向には相対移動移動可能で且つ前記揺動軸線回りの周方向には相対移動不能に支持されたディテントボールと、前記操作部材の前記揺動軸線回りの揺動範囲に亘って前記ディテントボールと対向するように固定設置されたディテントプレートと、前記ディテントボールを前記ディテントプレートに向けて付勢するディテント付勢部材とを備えている。
そして、前記ディテントプレートには、前記揺動軸線を基準にして周方向に沿って配置された複数のディテント凹部であって、それぞれが前記ディテントボールを受入可能とされた複数のディテント凹部が形成されている。
【0004】
斯かる構成の前記操作ユニットは、前記ディテントボールが前記ディテント凹部に係合する位置において前記操作部材を前記揺動軸線回りに係止することができる。
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の前記操作ユニットにおいては、前記複数のディテント凹部が前記ディテントプレートを貫通する貫通孔とされている為、強度上及び製造上の観点から前記複数のディテント凹部の前記揺動軸線回りの間隔を狭めることができず、結果として、前記操作部材の係止位置のピッチを狭めることができない。
【0006】
なお、前記揺動軸線を基準にした前記複数のディテント凹部の径方向距離を大きくすることで、前記貫通孔の間隔を無理に狭めることなく前記操作部材の係止位置のピッチを狭めることができるが、この構成によると、前記ディテントプレートを含む前記ディテント機構の大型化を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−155260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、人為操作に応じて揺動軸線回り揺動可能とされた操作部材と、前記操作部材を前記揺動軸線回りの所定操作位置に保持する為のディテント機構とを備えた操作ユニットであって、前記ディテント機構の大型化を招くことなく前記操作部材の係止位置のピッチを可及的に小さくし得る操作ユニットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するために、人為操作に応じて揺動軸線回り揺動可能とされた操作部材と前記操作部材を前記揺動軸線回りの所定係止位置に保持する為のディテント機構とを備えた操作ユニットであって、前記ディテント機構は、前記操作部材に前記揺動軸線と平行な方向には相対移動移動可能で且つ前記揺動軸線回りの周方向には相対移動不能に支持されたディテントボールと、前記操作部材の前記揺動軸線回りの揺動範囲に亘って前記ディテントボールと対向するように固定設置されたディテントプレートと、前記ディテントボールを前記ディテントプレートに向けて付勢するディテント付勢部材とを備え、前記ディテントプレートには、前記揺動軸線を基準にして周方向に沿って配置された複数のディテント凹部であって、それぞれが前記ディテントボールを受入可能とされた複数のディテント凹部が形成されており、前記複数のディテント凹部は、前記ディテントボールと対向する側は前記ディテントプレートの外表面に開口し且つ前記ディテントボールとは反対側は閉塞された非貫通凹部とされている操作ユニットを提供する。
【0010】
好ましくは、前記ディテントプレートは、前記操作ユニットを設置した状態を基準にして垂直又は前記ディテント凹部の開口端部が下向きとなるように配置される。
【0011】
前記操作ユニットは、前記操作部材及び前記ディテント機構を収容するケース体であって、前記操作部材の先端部が外方に延在されることを許容するスリットが設けられたケース体を備え得る。
前記操作部材は、基端部が前記揺動軸線を画する揺動軸に回転自在に支持され且つ先端部が前記スリットを介して外方へ延在されたレバー部と、第1端部が前記ディテントプレートと対向した状態で前記揺動軸線と平行なるように前記レバー部に連結されたディテントボール支持体とを備え得る。
前記ディテントボール支持体には、少なくとも前記第1端部に開口され且つ前記ディテントボール及び前記ディテント付勢部材が収容される軸線孔が形成され、前記ディテントボールは、前記軸線孔に収容された前記ディテント付勢部材による付勢力によって前記軸線孔の前記第1端部側の開口から外方へ露出されて前記ディテントプレートに当接するように前記軸線孔に収容される。
斯かる構成において、好ましくは、前記ケース体は、前記ディテントボールが前記ディテントプレートに当接する位置とは前記揺動軸線方向に関し変位された位置に前記スリットを有し、前記ケース体のうち前記スリットを形成する部分の前記揺動軸線を基準にした径方向内端部は、前記ディテントプレートの前記揺動軸線を基準にした径方向外端部よりも前記揺動軸線を基準にして径方向内方に位置される。
【0012】
前記ケース体は、前記揺動軸を直接又は間接的に支持するフレームと前記ディテント機構を収容する収容空間を形成するカバーとを備え得る。
前記カバーは、前記スリットが設けられた第1カバーと、前記第1カバーと共働して前記収容空間を画するように前記フレーム及び/又は前記第1カバーに着脱可能に装着される第2カバーとを有し得る。
前記軸線孔は、前記ディテントボール支持体における前記第1端部とは反対側の第2端部にも開口される。
前記ディテント機構は、先端部が前記ディテント付勢部材に係合するように前記第2端部側の開口から前記軸線孔に挿入されるディテント調整部材であって、前記ディテントボール支持体に軸線方向位置変更可能に固定されるディテント調整部材を有する。
好ましくは、少なくとも前記操作部材が前記揺動軸線回りの操作可能範囲のうち前記揺動軸線回り一方側の端部に位置された状態においては、前記ディテントボール支持体の前記第2端部が前記第2カバー内に位置するように構成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る操作ユニットによれば、操作部材を揺動軸線回り所定係止位置に保持する為にディテントプレートに形成された複数のディテント凹部が、ディテントボールと対向する側は前記ディテントプレートの外表面に開口し且つ前記ディテントボールとは反対側は閉塞された非貫通凹部とされているので、ディテント機構の大型化を招くことなく前記操作部材の係止位置のピッチを可及的に小さくすることができる。
【0014】
前記操作ユニットを設置した状態を基準にして前記ディテントプレートが垂直又は前記ディテント凹部の開口端部が下向きとなるように前記ディテントプレートを配置すれば、水や塵等の不純物が前記ディテント凹部内に滞留することを有効に防止できる。
【0015】
前記操作部材が挿通されるケース体のスリットをディテントボールが前記ディテントプレートに当接する位置とは前記揺動軸線方向に関し変位された位置に設けると共に、前記ケース体のうち前記スリットを形成する部分の前記揺動軸線を基準にした径方向内端部を、前記ディテントプレートの前記揺動軸線を基準にした径方向外端部よりも前記揺動軸線を基準にして径方向内方に位置させれば、前記スリットを介して前記ケース体内に侵入した水や塵等の不純物が前記ディテント凹部に入り込むこと、さらには、前記ディテント凹部から前記ディテントボールを支持するディテントボール支持体内へ入り込むこと、を有効に防止できる。
【0016】
前記操作部材に前記ディテントボール及び前記ディテントボールを付勢するディテント付勢部材を収容するディテントボール支持体が連結され、前記ディテントボール支持体における前記ディテントボールが位置する第1端部とは反対側の第2端部にディテント調整部材が備えられている操作ユニットにおいては、前記ケース体が揺動軸線を画する揺動軸を直接又は間接的に支持するフレームと前記ディテント機構を収容する収容空間を形成するカバーとを有し、前記カバーが前記スリットが設けられた第1カバーと前記第1カバーと共働して前記収容空間を画するように前記フレーム及び/又は前記第1カバーに着脱可能に装着される第2カバーとを有するように構成し、少なくとも前記操作部材が前記揺動軸線回りの操作可能範囲のうち前記揺動軸線回り一方側の端部に位置された状態においては前記ディテントボール支持体の前記第2端部が前記第2カバー内に位置するようにすれば、前記ディテント調整部材の調整作業の容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明が適用される作業車輌の一形態であるトラクタの側面図である。
【図2】図2は、前記作業車輌の伝動模式図である。
【図3】図3は、前記作業車輌の油圧回路図である。
【図4】図4は、前記作業車輌における制御装置のシステムブロック図である。
【図5】図5は、図1におけるV-V線に沿った前記作業車輌の横断平面図である。
【図6】図6は、運転席を取り外した状態の前記作業車輌におけるアームレストユニット近傍の斜視図である。
【図7】図7は、前記アームレストユニット近傍の側面図であり、レバーガイドを取り外した状態を示している。
【図8】図8は、前記アームレストユニット及び前記アームレストユニットを支持するブラケットを機体幅方向内方から視た側面図である。
【図9】図9は、前記アームレストユニット及び前記ブラケットを機体幅方向外方から視た側面図である。
【図10】図10は、前記アームレストユニット及び前記ブラケットを機体幅方向外方から視た斜視図である。
【図11】図11は、前記アームレストユニット及び前記ブラケットの平面図である。
【図12】図12は、前記アームレストユニット及び前記ブラケットを機体幅方向内方から視た分解側面図である。
【図13】図13は、図8におけるXIII-XIII線に沿った前記アームレストユニットの縦断正面図である。
【図14】図14は、前記アームレストユニット及び前記ブラケットを機体幅方向外方側から視たの分解斜視図である。
【図15】図15は、前記アームレストユニットにおけるフレームを車輌幅方向外方から視た分解斜視図である。
【図16】図16は、前記アームレストユニットにおける第1カバーを取り外した状態の前記アームレストユニットの部分平面図である。
【図17】図17は、前記アームレストユニットにおける第2カバーを取り外した状態の前記アームレストユニットの部分底面図である。
【図18】図18は、前記アームレストユニットにおける速度調整部材近傍の側面図である。
【図19】図19は、前記第1カバーを取り外した状態の前記速度調整部材近傍の側面図である。
【図20】図20は、前記第2カバーを取り外した状態の前記速度調整部材近傍の側面図である。
【図21】図21は、前記第1及び第2カバーの双方を取り外した状態の前記速度調整部材近傍の側面図であり、前記アームレストユニットに備えられたロック機構が前記速度調整部材を操作不能なロック状態としている状態を示している。
【図22】図22は、前記第1及び第2カバーの双方を取り外した状態の前記速度調整部材近傍の側面図であり、前記ロック機構が前記速度調整部材を操作可能な操作可能状態としている状態を示している。
【図23】図23(a)〜(c)は、それぞれ、前記ロック機構の変形例を示す模式断面図である。
【図24】図24は、前記ロック機構とは異なる構成によって前記速度調整部材をロック状態又は操作可能状態に切り換え得るように構成された変速操作ユニットの縦断面図である。
【図25】図25は、図24におけるXXV-XXV線に沿った前記変速操作ユニットの端面図である。
【図26】図26は、図24におけるXXVI-XXVI線に沿った前記変速操作ユニットの端面図であり、図26(a)及び(b)はそれぞれ操作キャップがロック可能位置及びロック位置に位置された状態を示している。
【図27】図27は、図14におけるXXVII-XXVII線に沿った前記アームレストユニットの断面図である。
【図28】図28は、前記アームレストユニットに備えられたディテント機構の側面図である。
【図29】図29は、前記アームレストユニットの縦断正面斜視図である。
【図30】図30は、前記第1カバーに形成されたスリットに沿った前記アームレストユニットの縦断側面図である。
【図31】図31は、前記第2カバーを取り外した状態の前記アームレストユニットの拡大側面図である。
【図32】図32は、前記アームレストユニット近傍の前記作業車輌の側面図である。
【図33】図33は、前記アームレストユニットの車輌幅方向外方側に位置するように前記レバーガイドに設置される操作盤ユニットの模式平面図である。
【図34】図34は、前記アームレストユニットのフレーム及び前記ブラケットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明が適用される作業車輌について説明する。
図1〜図3に、それぞれ、前記作業車輌の一例であるトラクタの側面図,伝動模式図及び油圧回路図を示す。
【0019】
図1〜図3に示すように、前記作業車輌1は、車輌フレーム2と、前記車輌フレーム2に支持されるエンジン3と、前記エンジン3から回転動力が作動的に伝達されるトランスミッション4と、車輌前後方向にそれぞれ配設された一対の前輪5及び一対の後輪6と、前記トランスミッション4からの回転動力によって作動的に駆動される耕耘機等の作業機10とを有している。
【0020】
前記作業車輌1においては、前記一対の後輪6が前記トランスミッション4からの回転動力によって作動的に駆動される主駆動輪として作用し、且つ、前記一対の前輪5が操舵輪として作用しつつ前記トランスミッション4からの回転動力によって選択的に駆動される副駆動輪として作用している。
【0021】
前記トランスミッション4は、図1及び図2に示すように、前記エンジン2に作動連結された入力軸41と、前記入力軸41から主駆動輪として作用する前記後輪6及び副駆動輪として作用する前記前輪5へ至る走行系伝動経路に介挿された走行系伝動機構20と、前記作業機10へ向けて回転動力を出力するPTO軸35と、前記入力軸41から前記PTO軸35へ至るPTO系伝動経路に介挿されたPTO系伝動機構30と、前記入力軸41及び前記PTO軸35を支持し且つ前記走行系伝動機構20及び前記PTO系伝動機構30を収容するミッションケース40とを有している。
【0022】
前記作業車輌1においては、図2に示すように、前記走行系伝動機構20は、前記入力軸41からの回転動力の回転速度及び回転方向を変化させる変速機構と、前記変速機構によって変速された回転動力を入力する走行駆動軸24と、前記走行駆動軸24からの回転動力を主駆動輪として作用する前記一対の後輪6へ向けて差動的に出力する主駆動輪側ディファレンシャルギヤ装置25と、前記走行駆動軸24からの回転動力を副駆動輪として作用する前記一対の前輪5へ向けて出力可能な副駆動輪出力装置26とを備えている。
【0023】
本実施の形態においては、前記変速機構は、図2に示すように、主変速装置として作用する無段変速装置21と、前記入力軸41の回転方向に対する前記走行駆動軸24の回転方向を切換可能な前後進切換装置22と、副変速装置として作用する多段変速装置23とを有している。
【0024】
本実施の形態においては、前記無段変速装置21はHSTとされている。
詳しくは、図2に示すように、前記無段変速装置21は、前記入力軸に作動的に連結されたポンプ軸211と、前記ポンプ軸211によって作動的に回転駆動される油圧ポンプ本体212と、前記油圧ポンプ本体212によって流体的に駆動される油圧モータ本体214と、前記油圧モータ本体214によって作動的に回転駆動されるモータ軸213と、前記油圧ポンプ本体212及び前記油圧モータ本体214の少なくとも一方の容積量を変更可能な出力調整機構215とを備えている。
なお、本実施の形態においては、図2に示すように、前記HSTは前記ポンプ軸211及び前記モータ軸213が同軸上に配置されたインライン式とされている。
【0025】
本実施の形態においては、前記出力調整機構215は、電動モータ、又は、電磁弁及び油圧アクチュエータの組み合わせ体等の形態をなすHST用電動アクチュエータ510(下記図4参照)によって作動される。
【0026】
即ち、前記作業車輌1は、前記HST用電動アクチュエータ510と、前記HST用電動アクチュエータ510の作動制御を司る制御装置400とをさらに備えている。
【0027】
図4に、前記制御装置400のシステムブロック図を示す。
図4に示すように、前記制御装置400は、後述する変速操作部材410への人為操作に応じて前記HST用電動アクチュエータ510の作動制御を実行する。
【0028】
本実施の形態においては、前記前後進切換装置22は、図2に示すように、伝動方向に関し前記無段変速装置21の下流側に配置されている。
前記前後進切換装置22は、前記モータ軸213から入力される回転動力の回転方向を正転方向又は逆転方向に切り換えて走行中間軸27に伝達し得るように構成されている。
【0029】
詳しくは、前記前後進切換装置22は、前記モータ軸213から前記走行中間軸27に正転方向で回転動力を伝達させる為の正転用ギヤ列22Fと、前記モータ軸213から前記走行中間軸27に逆転方向で回転動力を伝達させる為の逆転用ギヤ列22Rと、前記正転用ギヤ列22F及び前記逆転用ギヤ列22Rの伝動状態を切り換える前後進クラッチ機構220とを有している。
【0030】
前記前後進クラッチ機構220は、前記正転用ギヤ列22Fを介して前記モータ軸213から前記走行中間軸27に動力を伝達させる正転用クラッチ220Fと、前記逆転用ギヤ列22Rを介して前記モータ軸213から前記走行中間軸27に回転動力を伝達させる逆転用クラッチ220Rとを有している。
【0031】
前記前後進クラッチ機構220は、図4に示すように、前後進切換操作部材411への人為操作に応じて前記制御装置400によって作動制御される前後進用電動アクチュエータ520によって作動される。
【0032】
本実施の形態においては、前記前後進クラッチ機構220は、図3に示すように、油圧クラッチの形態をなしている。
従って、前記前後進用電動アクチュエータ520は、図3に示すように、油圧源から前記正転用クラッチ220Fへの作動油の給排を切り換える正転用電磁弁520Fと、油圧源から前記逆転用クラッチ220Rへの作動油を給排を切り換える逆転用電磁弁520Rとを備えている。
前記制御装置400は、図4に示すように、前記前後進切換操作部材411への人為操作に応じて前記正転用電磁弁520F及び前記逆転用電磁弁520Rの位置制御を行う。
【0033】
好ましくは、前記前後進切換操作部材411が中立位置に位置されると、前記制御装置400は前記正転用油圧クラッチ220F及び前記逆転用油圧クラッチ220Rの双方が動力遮断状態となるように前記正転用電磁弁520F及び前記逆転用電磁弁520Rの位置制御を行う。
なお、前記前後進切換操作部材411は、前記変速操作部材410とは別体とすることも可能であるし、若しくは、一体とすることも可能である。
【0034】
本実施の形態においては、前記多段変速装置23は、図2に示すように、伝動方向に関し前記前後進切換装置22の下流側に配置されている。
前記多段変速装置23は、前記走行中間軸27の回転動力を多段変速して前記走行駆動軸24に伝達し得るように構成されている。
【0035】
本実施の形態においては、前記多段変速装置23は、前記走行駆動軸24を高速で回転させる為の高速用ギヤ列23Hと、前記走行駆動軸24を低速で回転させる為の低速用ギヤ列23Lと、前記高速用ギヤ列23H又は前記低速用ギヤ列23Lを選択的に伝動状態とさせる為の高低速切換クラッチ230とを有している。
【0036】
前記高低速切換クラッチ230は、図4に示すように、電動モータ、又は、電磁弁及び油圧アクチュエータの組み合わせ体等の形態をなす高低速切換用電動アクチュエータ530によって作動される。
前記高低速切換用電動アクチュエータ530は、高低速切換操作部材420への人為操作に応じて前記制御装置400によって作動制御される。
【0037】
前記副駆動輪出力装置26は、前記走行駆動軸24からの回転動力を前記副駆動輪へ向けて選択的に出力し得るように構成されている。
詳しくは、前記副駆動輪出力装置26は、前記副駆動輪へ向けて回転動力を出力する副駆動輪出力軸265と、前記走行駆動軸24及び前記副駆動輪出力軸265の間に介挿された副駆動輪用クラッチ機構260とを有している。
【0038】
なお、本実施の形態においては、前記副駆動輪出力装置26は、前記副駆動輪への動力伝達を遮断する2駆状態と、前記副駆動輪を前記主駆動輪と同期した回転速度で駆動する等速4駆状態と、前記副駆動輪を前記主駆動輪よりも高速回転速度で駆動する増速4駆状態とを選択的に現出させ得るように構成されている。
【0039】
具体的には、前記副駆動輪出力装置26は、前記副駆動輪出力軸265及び前記副駆動輪用クラッチ機構260に加えて、前記副駆動輪出力軸265を前記走行駆動軸24と同期回転させる為の等速用ギヤ列261Lと、前記副駆動輪出力軸265を前記走行駆動軸24よりも増速回転させる為の増速用ギヤ列261Hとを有している。
【0040】
そして、前記副駆動輪用クラッチ機構260は、前記等速用ギヤ列261Lを選択的に動力伝達状態とさせる等速用クラッチ260Lと、前記増速用ギヤ列261Hを選択的に動力伝達状態とさせる増速用クラッチ260Hとを含んでいる。
【0041】
前記等速用クラッチ260L及び前記増速用クラッチ260Hは、図4に示すように、2駆/4駆切換用電動アクチュエータ540によって作動される。
【0042】
本実施の形態においては、前記副駆動輪用クラッチ機構260は油圧クラッチの形態をなしている。
従って、前記2駆/4駆切換用電動アクチュエータ540は、図3に示すように、油圧源から前記等速用クラッチ260Lへの作動油の給排を切り換える等速用電磁弁540Lと、油圧源から前記増速用クラッチ260Hへの作動油の給排を切り換える増速用電磁弁540Hとを備えている。
【0043】
前記制御装置400は、図4に示すように、2駆/4駆切換操作部材430及び前記作業車輌1の操舵角に応じて前記等速用電磁弁540L及び前記増速用電磁弁540Hの位置制御を行う。
【0044】
詳しくは、前記2駆/4駆切換操作部材430は、2駆位置,4駆位置及び4駆増速位置をとり得るように構成されている。
そして、2駆/4駆切換操作側センサ431からの信号に基づき前記2駆/4駆切換操作部材430が2駆位置に位置されたと判断すると、前記制御装置400は、前記等速用油圧クラッチ260L及び増速用油圧クラッチ260Hの双方が動力遮断状態となるように、前記等速用電磁弁540L及び前記増速用電磁弁540Hを作動させる。
【0045】
又、前記2駆/4駆切換操作側センサ431からの信号に基づき前記2駆/4駆切換操作部材430が4駆位置に位置されたと判断すると、前記制御装置400は、前記等速用油圧クラッチ260Lが動力伝達状態となり且つ増速用油圧クラッチ260Hが動力遮断状態となるように、前記等速用電磁弁540L及び前記増速用電磁弁540Hを作動させる。
【0046】
一方、前記2駆/4駆切換操作側センサ431からの信号に基づき前記2駆/4駆切換操作部材430が4駆増速位置に位置されたと判断すると、前記制御装置400は、操舵角センサ571からの信号に基づき、車輌直進時には前記等速用油圧クラッチ260Lが動力伝達状態となり且つ車輌旋回時には前記増速用油圧クラッチ260Hが動力伝達状態となるように、前記等速用電磁弁560L及び前記増速用電磁弁540Hを作動させる。
【0047】
前記PTO系伝動機構30は、図2に示すように、前記入力軸41から前記PTO軸35への動力伝達を選択的に係合又は遮断させるPTOクラッチ装置31と、前記入力軸41から前記PTO軸35へ伝達される回転動力を多段変速させるPTO多段変速装置32とを有している。
【0048】
前記PTOクラッチ装置31は、前記入力軸41に作動連結された駆動側部材311と、前記PTO軸35に作動連結された従動側部材312と、前記駆動側部材311から前記従動側部材312への動力伝達を選択的に係合又は遮断させるPTOクラッチ機構313とを備えている。
【0049】
前記PTOクラッチ機構313は、図4に示すように、PTO入切操作部材440への人為操作に応じて前記制御装置400によって作動制御されるPTO用電動アクチュエータ550によって作動される。
【0050】
本実施の形態においては、前記PTOクラッチ機構313は、図3に示すように、油圧クラッチの形態をなしている。
従って、前記PTO用電動アクチュエータ550は、図3に示すように、油圧源から前記PTOクラッチ機構313への作動油の給排を切り換えるPTO入切電磁弁の形態をなしている。
そして、前記制御装置400は、前記PTO入切操作部材440への人為操作に応じて前記PTO入切電磁弁550の位置制御を行う。
【0051】
なお、本実施の形態においては、前記PTOクラッチ装置31は、図2及び図3に示すように、さらに、前記PTOクラッチ機構313に対して背反的に作動して前記従動側部材312に制動力を付加するPTOブレーキ機構314を有している。
【0052】
本実施の形態においては、前記PTO多段変速装置32は、図2に示すように、伝動方向に関し前記PTOクラッチ装置31の下流側に配置されている。
【0053】
詳しくは、前記PTO多段変速装置32は、前記PTOクラッチ装置31の前記従動側部材312に作動連結されたPTO伝動軸321と、前記PTO軸35に作動連結されたPTO変速軸322と、前記PTO伝動軸321から前記PTO変速軸322へ異なる変速比で回転動力を伝達する複数のPTO変速ギヤ列323と、前記複数のPTO変速ギヤ列323の何れか一のPTO変速ギヤ列を選択的に動力伝達状態とさせるPTO変速クラッチ部材324とを有している。
【0054】
前記作業車輌1は、図1〜図3に示すように、さらに、前記一対の操舵輪(本実施の形態においては前記前輪5)を操舵させる為のパワステ用油圧作動機構270と、前記作業機10を昇降させる為の油圧昇降機構275と、前記作業機10の車輌本機に対する水平姿勢を変更させる為の油圧傾斜機構280と、前記パワステ用油圧作動機構270,前記前後進油圧クラッチ機構220,前記副駆動輪用油圧クラッチ機構260及び前記油圧PTOクラッチ機構313の油圧源として作用する第1補助ポンプ285と、前記油圧昇降機構275及び前記油圧傾斜機構280の油圧源として作用する第2補助ポンプ290とを備えている。
【0055】
前記油圧昇降機構275は、図1及び図3に示すように、前記ミッションケース40の上面に載置されるシリンダケース276と、前記シリンダケース276に往復動自在に収容される昇降用ピストン277と、前記昇降用ピストン277の往復動に応じて車輌幅方向に沿った回動軸278回りに揺動するように基端部が前記シリンダケース276に回動可能に支持された左右一対のリフトアーム278L,278Rとを備えている。
【0056】
前記左右一対のリフトアーム278L,278Rの自由端部は、図1に示すように、左右一対のリフトロッド279L,279Rを介して前記作業機10に作動的に連結されている。
【0057】
詳しくは、前記作業機10は、図1に示すように、トップリンク11及び左右一対のロワーリンク12L,12Rを介して車輌本機に付設されている。
前記トップリンク11は、一端部が車輌本機に回動可能に連結され且つ他端部が前記作業機10に回動可能に連結されている。
【0058】
前記左右一対のロワーリンク12L,12Rは、一端部が車輌本機に回動可能に連結され且つ他端部が前記作業機10に回動可能に連結されている。
【0059】
そして、前記左右一対のリフトロッド279L,279Rは、上端部が前記左右一対のリフトアーム278L,278Rの自由端部に回動可能に連結され且つ下端部が前記左右一対のロワーリンク12L,12Rの前後方向中途部に回動可能に連結されている。
【0060】
前記油圧昇降機構275は、図4に示すように、作業機昇降レバー450及び作業機昇降スイッチ460への人為操作に応じて前記制御装置400によって作動制御される。
【0061】
詳しくは、前記作業車輌1は、図3及び図4に示すように、油圧源として作用する前記第2補助ポンプ290から前記油圧昇降機構275への作動油の給排を切り換える電磁昇降バルブ560を有しており、前記制御装置400が前記作業機昇降レバー450及び前記作業機昇降スイッチ460への人為操作に応じて前記電磁昇降バルブ560の作動制御を行い、これにより、前記油圧昇降機構275が作動する。
【0062】
前記油圧傾斜機構280は、前記左右一対のリフトロッド279L,279Rの一方に介挿されており、作動油の給排制御によって伸縮し、これにより、前記作業機10の車輌本機に対する水平姿勢を変更させ得るように構成されている。
【0063】
詳しくは、前記油圧傾斜機構280は、図3に示すように、傾斜用シリンダ281と、前記傾斜用シリンダ281に往復動自在に収容された傾斜用ピストン282とを備えている。
【0064】
前記油圧傾斜機構280は、図4に示すように、作業機傾斜操作部材470への人為操作に応じて前記制御装置400によって作動制御される。
【0065】
詳しくは、前記作業車輌1は、図3に示すように、油圧源として作用する前記第2補助ポンプ290から前記油圧傾斜機構280への作動油の給排を切り換える傾斜用電磁弁565を有しており、前記制御装置400が前記作業機傾斜操作部材470への人為操作に応じて前記傾斜用電磁弁565の作動制御を行い、これにより、前記油圧昇降機構280が作動する。
【0066】
ここで、前記制御装置400による制御構造について説明する。
まず、前記制御装置400における走行系制御構造について説明する。
図4に示すように、前記作業車輌1は、前記HST21を操作する為の前記変速操作部材410と、前記変速操作部材410の操作状態を検出する変速操作側センサ415と、前記HST21の出力調整部材215を作動させる前記HST用電動アクチュエータ510と、前記出力調整部材215の作動状態を検出する変速作動側センサ511とを備えている。
【0067】
本実施の形態においては、前記変速操作部材410は、図4に示すように、それぞれが独立して人為操作可能な主変速操作部材410a及び速度調整部材410bを含んでいる。
従って、前記変速操作側センサ415は、前記主変速操作部材410a及び前記速度調整部材410bのそれぞれの操作状態を検出する主変速センサ415a及び速度調整操作側センサ415bを含んでいる。
【0068】
前記主変速操作部材410aは、前記HST21による変速比を設定する為の部材である。
一方、前記速度調整部材41bは、前記主変速操作部材410aによって設定された変速比に基づく前記HST21の出力速度を最速出力とした状態で前記HST21の出力速度を変更させる為の部材である。
【0069】
このように、前記変速操作部材410として前記主変速操作部材410a及び前記速度調整部材410bを備えることにより、前記HST21の出力速度の変速段を細分化することができる。
【0070】
前記制御装置400は、前記HST21の現実の出力速度が前記主変速操作部材410a及び前記速度調整部材410bによって設定される目標出力速度となるように、前記HST用電動アクチュエータ510を作動させる。
【0071】
なお、前記制御装置400は、前記HST用電動アクチュエータ510の作動状態を検出する前記変速作動側センサ511、前記出力調整部材215の作動状態を検出する出力調整側センサ512及び/又は前記モータ軸213の回転速度を検出するHST出力センサ513に基づいて、前記HST21の現実の出力速度を認識する。
【0072】
図4に示すように、前記作業車輌1は、さらに、前記前後進切換装置22を操作する為の前記前後進切換操作部材411と、前記前後進切換操作部材411の操作状態を検出する前後進切換操作側センサ412と、前記前後進用電動アクチュエータ520と、前記前後進切換装置22の作動状態を検出する前後進切換作動側センサ521とを備えている。
【0073】
詳しくは、前記制御装置400は、前記前後進切換操作側センサ412からの信号に基づき前記前後進切換操作部材411が前進側及び後進側へ位置されたと判断すると前記前後進切換装置22がそれぞれ前進伝動状態及び後進伝動状態となるように前記前後進用電動アクチュエータ520を作動させ、且つ、前記前後進切換操作側センサ412からの信号に基づき前記前後進切換操作部材411が中立位置に位置されたと判断すると前記前後進切換装置22が動力遮断状態となるように前記前後進用電動アクチュエータ520を作動させる。
【0074】
なお、前記前後進切換作動側センサ521は、前記前後進用電動アクチュエータ520の作動状態を検出するセンサ及び/又は前記前後進切換装置22の従動側の回転方向を検出するセンサを含み得る。
【0075】
前記作業車輌1は、さらに、図4に示すように、前記多段変速装置23を操作する為の前記高低速切換操作部材420と、前記高低速切換操作部材420の操作状態を検出する高低速切換操作側センサ425と、前記高低速切換用電動アクチュエータ530と、前記高低速切換装置23の作動状態を検出する高低速切換作動側センサ531とを備えることができる。
なお、斯かる構成に代えて、前記高低速切換操作部材420と前記多段変速装置23のシフタとを機械リンク機構を介して作動連結させることも可能である。
【0076】
前記作業車輌1は、さらに、図3及び図4に示すように、前記操舵輪(本実施の形態においては前記前輪5)を操舵する為のステアリングホイール等の操舵部材485と、前記操舵部材485の操作状態を検出する操舵操作側センサ486と、前記パワステ用油圧作動機構270と、油圧源から前記パワステ用油圧作動機構270への作動油の給排を切り換えるパワステ用電磁弁570と、前記作業車輌1の操舵角を検出する操舵角センサ571とを備えている。
【0077】
前記制御装置400は、前記操舵操作側センサ486及び前記操舵角センサ571からの信号に基づき、前記作業車輌1が前記操舵部材485への操作に応じて操舵されるように、前記パワステ用電磁弁570を作動させる。
【0078】
前記作業車輌1は、さらに、図4に示すように、前記副駆動輪出力装置26を操作する為の前記2駆/4駆切換操作部材430と、前記2駆/4駆切換操作部材430の操作状態を検出する前記2駆/4駆切換操作側センサ431と、前記2駆/4駆切換用電動アクチュエータ540と、前記副駆動輪出力装置26の作動状態を検出する副駆動輪出力切換作動側センサ541とを備えている。
【0079】
次に、前記制御装置400におけるPTO系制御構造について説明する。
図4に示すように、前記作業車輌1は、前記エンジン2から前記PTO軸35への動力伝達状態を係合又は遮断させる為の前記PTO入切操作部材440と、前記PTO入切操作部材440の操作状態を検出するPTO入切操作側センサ441と、前記PTO用電動アクチュエータ550と、前記PTOクラッチ機構313の作動状態を検出するPTO作動側センサ551とを備えている。
【0080】
前記制御装置400は、前記PTO入切操作部材440への人為操作に応じて前記PTOクラッチ機構313が動力伝達状態又は動力遮断状態となるように、前記PTO用電動アクチュエータ550を作動させる。
【0081】
なお、前記PTO作動側センサ551は、例えば、前記PTOクラッチ装置31の前記従動側部材312の回転の有無を検出するセンサとされ得る。
【0082】
前記作業車輌1は、さらに、前記PTO軸35の駆動モードを切り替える為のPTO駆動モード切替操作部材445と、前記PTO駆動モード切替操作部材445の操作状態を検出するPTO駆動モードセンサ446とを備えている。
【0083】
前記PTO駆動モード切替操作部材445は、前記制御装置400による前記PTOクラッチ機構313の作動制御モードを切り替える為の部材である。
詳しくは、前記PTO駆動モード切替操作部材445は、連動位置,独立位置及び昇降連動位置をとり得るように構成される。
【0084】
前記PTO駆動モード切替操作部材445が連動位置に位置されている状態においては、前記制御装置400は、前記PTO入切操作部材440の操作状態に応じて前記PTOクラッチ機構313の伝動状態が切り替わるように前記PTO用電動アクチュエータ550を作動させつつ、前記走行系伝動経路が動力遮断状態とされると前記PTO入切操作部材440の操作状態に拘わらず前記PTOクラッチ機構313を強制的に動力遮断状態とするように前記PTO用電動アクチュエータ550を作動させる。
【0085】
前記PTO駆動モード切替操作部材445が独立位置に位置されている状態においては、前記制御装置400は、前記走行系伝動経路の動力伝達状態に拘わらず、前記PTO入切操作部材440の操作状態に応じて前記PTOクラッチ機構313の伝動状態が切り替わるように前記PTO用電動アクチュエータ550を作動させる。
【0086】
前記PTO駆動モード切替操作部材445が昇降連動位置に位置されている状態においては、前記制御装置400は、前記PTO入切操作部材440の操作状態に応じて前記PTOクラッチ機構313の伝動状態が切り替わるように前記PTO用電動アクチュエータ550を作動させつつ、前記作業機10が前記油圧昇降機構275によって所定の上昇位置に上昇されると前記PTO入切操作部材440の操作状態に拘わらず前記PTOクラッチ機構313を強制的に動力遮断状態とするように前記PTO用電動アクチュエータ550を作動させる。
【0087】
次に、前記制御装置400における作業機姿勢制御構造について説明する。
図4に示すように、前記作業車輌1は、前記作業機10を任意高さに昇降させる為の前記作業機昇降レバー450と、前記作業機昇降レバー450の操作状態を検出する作業機昇降操作側センサ451と、前記油圧昇降機構275と、前記電磁昇降バルブ560と、前記作業機10の高さを検出する作業機昇降作動側センサ561とを備えている。
【0088】
前記制御装置400は、前記作業機10が前記作業機昇降レバー450への人為操作に応じた高さに位置するように、前記作業機昇降操作側センサ451及び前記作業機昇降作動側センサ561からの信号に基づき前記電磁昇降バルブ560の作動制御を行う。
【0089】
なお、前記作業機昇降作動側センサ561は、前記油圧昇降機構275の作動状態(例えば、前記リフトアーム278L,278Rの前記回動軸278回りの揺動角度)を検出するセンサとされ得る。
【0090】
前記作業車輌1は、さらに、前記作業機10を所定の上昇位置及び下降位置まで上昇及び下降させる為の上昇スイッチ460U及び下降スイッチ460Dを含む前記作業機昇降スイッチ460と、前記上昇位置を設定する上昇位置設定部材455と、前記上昇位置設定部材455の操作状態を検出する上昇位置センサ456と、前記下降位置を設定する下降位置設定部材458と、前記下降位置設定部材458の操作状態を検出する下降位置センサとを備えている。
【0091】
前記上昇スイッチ460Uが操作されると、前記制御装置400は、前記上昇位置設定部材455によって設定された上昇位置まで前記作業機10が上昇するように、前記上昇位置センサ456及び前記作業機昇降作動側センサ561からの信号に基づき前記電磁昇降バルブ560の作動制御を行う。
【0092】
同様に、前記下降スイッチ460Dが操作されると、前記制御装置400は、前記下降位置設定部材458によって設定された下降位置まで前記作業機10が下降するように、前記下降位置センサ及び前記作業機昇降作動側センサ561からの信号に基づき前記電磁昇降バルブ560の作動制御を行う。
【0093】
なお、本実施の形態においては、前記作業機昇降レバー450が前記下降位置設定部材458としても作用するように構成されている。
従って、前記作業機昇降操作側センサ451が前記下降位置センサとして兼用される。
【0094】
さらに、前記作業車輌1は、前記作業機10を下降させる際の下降速度を変更させる高さを設定する下降速度変更位置設定部材465と、前記下降速度変更位置設定部材465の操作状態を検出する下降速度変更位置操作側センサ466とを有している。
【0095】
前記制御装置400は、前記作業機昇降レバー450又は前記下降スイッチ460Dへの人為操作に応じて前記作業機10を下降させる際に、前記下降速度変更位置設定部材465によって設定された高さまでは基本速度で前記作業機10が下降し且つ前記高さより低い領域では前記基本速度よりも低速で前記作業機10が目標の下降位置まで下降するように、前記電磁昇降バルブ560の作動制御を行う。
【0096】
前記作業車輌1は、さらに、前記作業機傾斜操作部材470と、前記作業機傾斜操作部材470の操作状態を検出する作業機傾斜操作側センサ471と、油圧傾斜機構280と、前記傾斜用電磁弁565と、前記作業機10の傾斜角を検出する傾斜角センサ566とを備えている。
【0097】
本実施の形態においては、前記作業機傾斜操作部材470は、前記作業機10の車輌本機に対する左右方向傾斜角を設定する傾斜設定部材470aと、前記作業機10の車輌本機に対する左右方向傾斜角を前記傾斜設定部材470aによって設定された傾斜角に自動調整する自動傾斜調整モードを選択する自動傾斜調整モード選択部材470bと、前記作業機10の車輌本機に対する左右方向傾斜角を任意に変更する為の手動傾斜操作部材470cとを有している。
【0098】
従って、前記作業機傾斜操作側センサ471は、前記傾斜設定部材470aの操作状態を検出する自動傾斜操作側センサ471aと、前記手動傾斜操作部材470cの操作状態を検出する手動傾斜操作側センサ471cとを含んでいる。
【0099】
前記自動傾斜調整モードが選択されると、前記制御装置400は、前記作業機10の左右方向傾斜角が前記傾斜設定部材470aによって設定された傾斜角となるように、前記自動傾斜操作側センサ471a及び前記傾斜角センサ566からの信号に基づき、前記傾斜用電磁弁565の作動制御を行う。
【0100】
一方、前記手動傾斜操作部材470cが操作されると、前記制御装置400は、前記作業機10の左右方向傾斜角が前記手動傾斜操作部材470cによって設定された傾斜角となるように、前記手動傾斜操作側センサ471c及び前記傾斜角センサ566からの信号に基づき、前記傾斜用電磁弁565の作動制御を行う。
【0101】
前記作業機10として耕耘装置が用いられる場合には、前記作業車輌1は、さらに、前記耕耘装置による耕耘深さを設定する耕耘深さ設定部材480と、前記耕耘深さ設定部材480の操作状態を検出する耕耘深さ操作側センサ481と、前記耕耘装置の耕耘深さを変更する耕耘深さ用電動アクチュエータ580と、前記耕耘装置の耕耘深さを検出する耕耘深さ作動側センサ581とを備え得る。
【0102】
ここで、前記作業車輌1に備えられたアームレストユニット600について説明する。
図5に、図1におけるV−V線に沿った運転席50近傍の横断平面図を示す。
図5に示すように、前記アームレストユニット600は、前記作業車輌1における運転席50の一側方に配設されている。
【0103】
図6に、前記運転席50を取り外した状態の前記アームレストユニット600近傍の斜視図を示す。
図6に示すように、前記作業車輌1においては、前記運転席50及び前記運転席50の側方に配置されたフェンダ55の間に延びる床部材60と前記フェンダ55とに跨るようにレバーガイド65が設けられている。
そして、前記アームレストユニット600は、前記レバーガイド65の機体幅方向中途部において前記レバーガイド65より上方に配置されている。
【0104】
図7に、前記レバーガイド65を取り除いた状態の前記アームレストユニット600近傍の側面図を示す。
図6及び図7に示すように、前記作業車輌1においては、前記運転席50及び前記フェンダ55の間の前記床部材60にブラケット80が立設されており、前記アームレストユニット600は、前記レバーガイド65の機体幅方向中途部において前記レバーガイド65よりも上方に位置するように前記ブラケット80に支持されている。
【0105】
図8〜図11に、それぞれ、前記アームレストユニット600及び前記ブラケット80の機体幅方向内方側面図,機体幅方向外方側面図,機体幅方向外方斜視図及び平面図を示す。
【0106】
図8〜図11に示すように、前記アームレストユニット600は、前記運転席50の側方に配置され且つ上面にアームレスト領域601が形成されたケース体610と、前記ケース体610に支持された操作部材(以下、アームレスト装着操作部材という)とを備えている。
【0107】
前記ケース体610は、図8,図9及び図11に示すように、上面に前記アームレスト領域601が形成されたアームレスト部610Aと、前記アームレスト部610Aから前方へ延びる前方延在部610Bとを有している。
【0108】
図12に、前記アームレストユニット600及び前記ブラケット80を機体幅方向内方側から視た分解側面図を示す。
図12に示すように、前記ケース体610は、前記ブラケット80に支持されたフレーム611と、前記フレーム611に装着されるカバー612とを有している。
前記カバー612は、前記フレーム611の上方及び下方をそれぞれ覆う第1及び第2カバー613,614を含んでいる。
【0109】
図6〜図11等に示すように、前記アームレスト装着操作部材は、前記変速操作部材410及び前記PTO入切操作部材440を含んでいる。
なお、前述の通り、本実施の形態においては、前記変速操作部材410は、前記主変速操作部材410a及び前記速度調整部材410bを含んでいる。
【0110】
前記変速操作部材410及び前記PTO入切操作部材440は、操作部として作用する先端部が前記ケース体610の外方へ延在され且つ前記変速操作部材410が前記PTO入切操作部材440より前方に位置した状態で、前記前方延在部610Bに支持されている。
なお、前記主変速操作部材410a,前記速度調整部材410b及び前記PTO入切操作部材440のそれぞれの先端部には操作キャップが装着されている。
【0111】
斯かる構成の前記アームレストユニット600によれば、以下の効果を得ることができる。
即ち、前記アームレストユニット600においては、使用頻度の高い前記変速操作部材410が前記PTO入切操作部材440よりも前記アームレスト領域601から離間された前方側に配置されている。
従って、操縦者は、前記アームレスト領域601に肘を載せた状態で前記変速操作部材410を容易に操作することができる。
【0112】
さらに、前記アームレストユニット600においては、前記PTO入切操作部材440が、車輌前後方向に関し前記変速操作部材410及び前記アームレスト領域601の間に配置されている。
斯かる構成によれば、操縦者による基本操作姿勢を基準とした前記PTO入切操作部材440の操作性を向上させることができる。
【0113】
詳しく説明すると、作業車輌1の発進操作時や走行操作時においては、操縦者は一方の手(例えば左手)で前記操舵部材485を操作して前記作業車輌1の進行方向を調整しながら、他方の手(例えば右手)で前記変速操作部材410を操作して前記作業車輌1の車速を調整する基本操作姿勢をとる。
【0114】
前記作業機10による作業を開始する場合には、操縦者は前記PTO入切操作部材440によって前記作業機10の駆動開始操作を行ってから、前記基本操作姿勢に移行して前記作業車輌1を発進させる。
【0115】
又、前記作業機10を駆動させながら前記作業車輌1を走行させる作業走行時において、前記作業車輌1が側溝や障害物等に近づき過ぎた場合には、操縦者は前記作業機10を緊急停止させる為に前記PTO入切操作部材440によって前記作業機10の駆動停止操作を行う必要がある。
従って、前記PTO入切操作部材440は、前記基本操作姿勢を基準として操作し易い場所に設置するのが望ましい。
【0116】
この点に関し、本実施の形態においては、前述の通り、前記PTO入切操作部材440が、車輌前後方向に関し前記変速操作部材410及び前記アームレスト領域601の間に位置するように、前記前方延在部610Bに支持されている。
従って、前記基本操作姿勢を基準とした前記PTO入切操作部材440の操作性を向上させることができる。
【0117】
さらに、前記アームレストユニット600は、前記基本操作姿勢を基準とした前記PTO入切操作部材440の操作性向上を図りつつ、前記PTO入切操作部材440に意に反して操縦者の手が接触することを有効に防止する為に、下記構成を備えている。
【0118】
図8,図9及び図11に示すように、前記前方延在部610Bは、前記PTO入切操作部材440を支持する基端側部分610Cと、前記基端側部分610Cから前方へ延び且つ前記変速操作部材410を支持する先端側部分610Dとを有している。
前記PTO入切操作部材440は前記操作部が上方へ延在した状態で前記基端側部分610Cに支持されている。
【0119】
図13に、図8におけるXIII-XIII線に沿った前記アームレストユニット600の縦断正面図を示す。
図8,図11及び図13に示すように、前記基端側部分610Cの上面のうち前記PTO入切操作部材440の前記操作部が位置する領域610C(1)は、前記PTO入切操作部材440の前記操作部の上端(前記操作キャップの上端)が前記アームレスト領域601の上面より下方に位置するように前記アームレスト領域601よりも下方に配置されている。
【0120】
斯かる構成によれば、前記基本操作姿勢を基準とした前記PTO入切操作部材440の操作性向上を図りつつ、前記PTO入切操作部材440に意に反して操縦者の手が接触することを有効に防止することができる。
【0121】
さらに、図11及び図13等に示すように、前記基端側部分610Cの上面は、前記PTO入切操作部材440の前記操作部が位置する前記領域610C(1)の前記運転席50側において上方へ延在する壁領域610C(2)を有している。
前記壁領域610C(2)を設けることにより、前記PTO入切操作部材440の誤操作をより有効に防止することができる。
【0122】
好ましくは、前記壁領域610C(2)は、図11等に示すように、前記先端側部分610D及び前記アームレスト部610Aの間の前記基端側部分610Cの車輌前後方向全域に亘って設けられる。
斯かる構成によれば、略平坦の前記領域610C(1)が前記先端側部分610D,前記壁領域610C(2)及び前記アームレスト部分610Aによって囲まれることになり、前記PTO入切操作部材440の誤操作をより有効に防止できる。
【0123】
図8,図9及び図11に示すように、前記先端側部分610Dの上面(本実施の形態においては、前記第1カバー613における前記先端側部分610Dに対応した部分の上面)は、前記基端側部分610Cの上面に隣接する部分から前方へ行くに従って上方に位置する前高後低領域610D(1)と、前記前高後低領域610D(1)の前端部に隣接する頂部領域610D(2)と、前記頂部領域610D(2)に隣接する部分から前方へ行くに従って下方に位置する前低後高領域610D(3)とを有している。
【0124】
前記主変速操作部材410aは、図8,図9,図11及び図12に示すように、操作部として作用する先端部が前記先端側部分610Dの上面から上方へ延在された状態で前記頂部領域610D(2)を挟んで前記前高後低領域610D(1)及び前記前低後高領域610D(3)の両側に亘って揺動し得るように、揺動軸線回り揺動可能に前記先端側部分610Dに支持されている。
【0125】
斯かる構成において、前記前高後低領域610D(1)には、さらに、図8,図11及び図12等に示すように、前記主変速操作部材410aの前記操作部が位置する部分より前記運転席50に近接する領域に前記作業機昇降スイッチ460が設けられている。
斯かる構成によれば、前記基本操作姿勢を基準とした前記作業機昇降スイッチ460の操作性を向上させることができる。
【0126】
図9〜図11等に示すように、前記速度調整部材410bは、操作部として作用する先端部が前記先端側部分610Dにおける前記運転席50とは反対側の側面から外方へ延在された状態で、前記ケース体610に支持されている。
【0127】
詳しくは、図11に示すように、前記基端側部分610Cは平面視において前記アームレスト部610Aから略車輌前後方向に沿って前方へ延びている。
一方、前記先端側部分610Dは、後端側から前端側へ行くに従って前記運転席50から離間するように平面視において車輌前後方向に対して傾斜されている。
【0128】
斯かる構成において、前記速度調整部材410bは、操作部として作用する先端部が前記先端側部分610Dにおける前記運転席50とは反対側の側面から外方へ延在された状態で、前記ケース体610に支持されている。
斯かる構成によれば、操縦者は肘を前記アームレスト領域601に載置させた状態で無理なく前記速度調整部材410bを操作することができる。
【0129】
図14に、前記アームレストユニット600及び前記ブラケット80を機体幅方向外方側から視た分解斜視図を示す。
さらに、図15に、前記フレーム611を車輌幅方向外方から視た分解斜視図を示す。
【0130】
図12,図14及び図15に示すように、前記フレーム611は、前記アームレスト部610Aに対応した第1領域611(1)と、前記基端側部分610Cに対応した第2領域611(2)と、前記先端側部分610Dに対応した第3領域611(3)とを有している。
【0131】
前記PTO入切操作部材440は前記第2領域611(2)に支持されており、前記主変速操作部材410a及び前記作業機昇降スイッチ460は前記第3領域611(3)に支持されている。
【0132】
図16に、前記第1カバー613を取り外した状態の前記前方延在部分610Bの平面図を示す。
又、図17に、前記第2カバー614を取り外した状態の前記前方延在部分610Bの底面図を示す。
図12,図14,図16及び図17に示すように、本実施の形態においては、前記速度調整部材410bは、前記第1及び第2カバー613,614によって挟持されている。
【0133】
ところで、本実施の形態におけるように、前記変速操作部材410が前記主変速操作部材410a及び前記速度調整部材410bを備えている場合には、前記無段変速装置21の変速比を細かく設定することができる。
【0134】
その一方で、前記作業車輌1の使用形態又は操縦者によっては、前記速度調整部材410bによる細かな前記無段変速装置21の変速比操作(即ち、車速操作)を必要としない場合がある。
【0135】
このような場合には、操縦者は前記主変速操作部材410aのみによって前記作業車輌1の車速操作を行うことになるが、この際に、意に反して前記速度調整部材410bに触れてしまうと、操縦者が前記主変速操作部材410aを所望位置に操作したとしても前記無段変速装置21の出力速度が意図しない速度になってしまう。
【0136】
斯かる点を考慮して本実施の形態においては、下記構成を採用している。
即ち、変速操作ユニットとしても作用する前記アームレストユニット600は、前述の通り、人為操作に応じて揺動軸線回り揺動可能とされた前記主変速操作部材410aと、人為操作に応じて軸線回りに回動可能とされた前記速度調整部材410bと、前記主変速操作部材410aの先端部が外方へ延在された状態で前記主変速操作部材410aを揺動軸線回り揺動可能に支持し且つ前記速度調整部材410bの先端部が外方へ延在された状態で前記速度調整部材410bを軸線回り回動可能に支持する前記ケース体610とに加えて、前記主変速操作部材410aの揺動軸線回りの操作位置を検出する前記主変速センサ415aと、前記速度調整部材410bの軸線回りの操作位置を検出する速度調整センサ415bとを備えている。
【0137】
図18に、前記アームレストユニット600の前記速度調整部材410b近傍の側面図を示す。
なお、図18においては、理解容易化の為に、前記速度調整部材410bの先端部に装着される前記操作キャップの図示を省略している。
【0138】
図9〜図11,図14及び図16〜図18に示すように、斯かる構成の前記アームレストユニット600には、さらに、前記ケース体610の外方からの人為操作に応じて、前記速度調整部材410bを軸線回り回転可能な操作可能状態又は軸線回り回転不能な操作不能状態とし得るロック機構620が備えられている。
【0139】
前記ロック機構620を備えることにより、前記主変速操作部材410a及び前記速度調整部材410bを用いた細かな車速操作を可能としつつ、前記速度調整部材410bを用いた細かな車速操作を要しない場合に前記速度調整部材410bの誤操作を確実に防止することができる。
【0140】
図19及び図20に、前記アームレストユニット600の前記速度調整部材410b近傍の側面図であって、それぞれ、前記第1カバー613を取り外した状態及び前記第2カバー614を取り外した状態の側面図を示す。
さらに、図21及び図22に、前記アームレストユニット600の前記速度調整部材410b近傍の側面図であって、前記第1及び第2カバー613,614の双方を取り外した状態の側面図を示す。
なお、図19〜図22においては、理解容易化の為に、前記速度調整部材410b用の前記操作キャップの図示を省略している。
【0141】
図18〜図22等に示すように、前記ロック機構620は、前記速度調整部材410bに接離し得るように前記速度調整部材410bの軸線に直交する方向に沿って移動可能な状態で前記ケース体610に収容されたロック部材621と、基端部が前記ロック部材621に連結され且つ先端部が前記ケース体610の外方へ延在されたロック操作部材622とを有している。
【0142】
本実施の形態においては、図9,図10及び図18に示すように、前記ケース体610には、前記速度調整部材410bの軸線に直交する方向に延びるスリット625が形成されている。
そして、前記ロック操作部材622が前記スリット625を介して前記ケース体610の内外に亘って延びることにより、前記ロック部材621が前記速度調整部材410bの軸線に直交する方向に沿って移動可能とされている。
【0143】
前記速度調整部材410bは、図19〜図22に示すように、前記ケース体610の内部に位置する部分に、外表面のうち軸線回り所定角度に亘る少なくとも一部が平面状の平面領域413aとされた被係合部413を有している。
【0144】
そして、前記ロック部材621は、前記ロック操作部材622への人為操作に応じて、前記被係合部413の前記平面領域413aに係合して前記速度調整部材410bを軸線回り回転不能なロック状態とさせるロック位置(図19〜図21参照)と、前記速度調整部材410bから離間されて前記速度調整部材410bを軸線回り回転可能な操作可能状態とさせる解除位置(図22参照)とをとり得るように構成されている。
【0145】
斯かる構成によれば、簡単な構造で、前記主変速操作部材410a及び前記速度調整部材410bを用いた細かな車速操作を可能としつつ、前記速度調整部材410bを用いた細かな車速操作を要しない場合における前記速度調整部材410bの誤操作を確実に防止することができる。
【0146】
好ましくは、図19〜図22に示すように、前記速度調整部材410bにおける前記被係合部413は、前記平面領域413a以外においては軸線を基準とした円弧状の外表面を有するように構成される。
【0147】
斯かる構成によれば、前記速度調整部材410bが軸線回りに所定のロック可能位置に位置された場合にしか前記ロック部材621がロック位置に位置できないことになる。
即ち、前記速度調整部材410bはロック状態においては必ず軸線回り所定の前記ロック可能位置に位置することになり、前記主変速操作部材410aのみによる変速操作の安定化を図ることができる。
【0148】
さらに、前記構成によれば、前記速度調整部材410bが前記ロック可能位置から軸線回りに多少回転していても、前記ロック部材621をロック位置に位置させることで前記速度調整部材410bを軸線回りに所定の前記ロック可能位置に回動させることができる。
なお、前記速度調整部材410bの前記ロック可能位置は、例えば、前記速度調整部材410bの最高速位置とされ得る。
【0149】
本実施の形態においては、図22に示すように、前記ロック部材621は、前記ロック部材621の移動方向とは直交する方向を向く係合面621aを有しており、前記係合面621aが前記平面領域413aと係合することで前記速度調整部材410bを軸線回り回転不能なロック状態とさせている。
【0150】
斯かる構成に代えて、例えば、図23(a)に示すように、前記ロック部材621の前記係合面621aが前記ロック部材621の移動方向を向くように構成することも可能である。
【0151】
又、本実施の形態及び図23(a)に示す形態におけるように前記ロック部材621及び前記速度調整部材410bが面接触することで前記速度調整部材410bをロックする形態に代えて、前記ロック部材621及び前記速度調整部材410bが凹凸係合することで前記速度調整部材410bをロックするように構成することも可能である。
【0152】
前記ロック部材621及び前記速度調整部410b材が凹凸係合する形態としては、例えば、前記速度調整部材410bの前記被係合部413に凹部又は凸部の一方413bを形成し、前記ロック部材621に前記凹部又は凸部の他方621bを形成する構成が例示される。
【0153】
この場合、前記ケース体610に形成されたスリットによって前記ロック部材621の移動方向のガイド並びに前記ロック部材621のロック位置及び解除位置での係止を行うことも可能であるし(図23(b)参照)、若しくは、前記ロック部材621を前記ケース体610に螺入させることで前記ロック部材621の移動方向のガイド並びに前記ロック部材621のロック位置及び解除位置での係止を行うことも可能である(図23(c)参照)。
【0154】
なお、本実施の形態においては、前記ロック機構620を前記アームレストユニット600に適用した場合を例に説明したが、当然ながら、人為操作に応じて揺動軸線回り揺動可能とされた主変速操作部材と、人為操作に応じて軸線回りに回動可能とされた速度調整部材と、前記主変速操作部材の先端部が外方へ延在された状態で前記主変速操作部材を揺動軸線回り揺動可能に支持し且つ前記速度調整部材の先端部が外方へ延在された状態で前記速度調整部材を軸線回り回動可能に支持するケース体と、前記主変速操作部材の揺動軸線回りの操作位置を検出する主変速センサと、前記速度調整部材の軸線回りの操作位置を検出する速度調整センサとを備えた種々の形態の変速操作ユニットに適用可能である。
【0155】
ここで、前記ロック機構620とは異なる構成によって前記速度調整部材410bをロック状態又は操作可能状態に切り換え得る変速操作ユニット700について説明する。
図24に、前記変速操作ユニット700の縦断面図を示す。
なお、図24においては、本実施の形態における部材と同一又は対応する部材には同一符号を付している。
【0156】
前記変速操作ユニット700においては、前記速度調整部材410bは、図24に示すように、前記速度調整センサ415bによって軸線回りの操作位置が検出されるセンサ軸本体711及び前記センサ軸本体711から径方向外方へ延在された係合アーム712を含むセンサ軸710と、前記ケース体610の外方から人為操作可能な状態で前記センサ軸本体711に外挿される操作キャップ720とを有している。
【0157】
前記操作キャップ720は、図24に示すように、軸線方向に延びる中空の周壁721と、前記周壁721の軸線方向外方側を閉塞する端壁722とを有しており、前記センサ軸本体711及び前記端壁722の間に介挿された付勢部材730によって軸線方向外方側へ付勢された状態で前記センサ軸本体711に軸線回り相対回転可能且つ軸線方向相対移動可能に外挿されている。
【0158】
前記周壁721には、図24に示すように、前記係合アーム712が係入されるスリット723と、径方向外方へ延びるロックアーム724とが設けられている。
【0159】
図25に、図24におけるXXV-XXV線に沿った端面図を示す。
図25に示すように、前記スリット723は、軸線方向に延びる軸線方向延在部723aと、前記軸線方向延在部723aの軸線方向外方側から軸線回り周方向に延びる周方向延在部723bとを含んでいる。
【0160】
斯かる構成により、前記操作キャップ720が前記付勢部材730の付勢力によって軸線方向外方側の初期位置(図24の実線参照)に位置されている状態においては、前記係合アーム712が前記軸線方向延在部723aの軸線方向内方側に係合して前記操作キャップ720及び前記センサ軸本体711が軸線回り相対回転不能とされる。
つまり、前記操作キャップ720が初期位置に位置されている際には、前記センサ軸本体711は前記操作キャップ720の軸線回りの回動に応じて軸線回りに回転する。
【0161】
一方、前記付勢部材730の付勢力に抗して前記操作キャップ720が軸線方向内方側の押動位置(図24の二点鎖線参照)に位置されると、前記係合アーム712が前記軸線方向延在部723aの軸線方向外方側へ相対移動して前記周方向延在部723bに係合可能な位置に位置され、これにより、前記操作キャップ720は前記係合アーム712が前記周方向延在部723b内において相対移動する範囲内において前記センサ軸本体711に対して軸線回り相対回転可能とされる。
【0162】
つまり、前記操作キャップ720が押動位置に位置されている際には、前記操作キャップ720は、前記係合アーム712が前記周方向延在部723b内において相対移動する範囲内において、前記センサ軸本体711を軸線回りに回転させることなく、軸線回りに回転可能となる。
【0163】
前記ロックアーム724は、前記操作キャップ720が初期位置及び押動位置に位置されている際に前記ケース体610の外方(図24の実線参照)及び内方(図24の二点鎖線参照)に位置するように、前記周壁721に設けられている。
【0164】
詳しくは、前記ケース体610には切り欠き735が設けられている。
図26に、図24におけるXXVI-XXVI線に沿った端面図を示す。
図26に示すように、前記切り欠き735は、前記操作キャップ720が軸線回り所定のロック可能位置に位置された際に前記ロックアーム724と対向する位置に形成されており、前記操作キャップ720がロック可能位置(図26(a)参照)に位置された際にのみ前記操作キャップ720が初期位置及び押動位置の間で軸線方向に移動することを許容する。
【0165】
つまり、前記操作キャップ720を軸線回りロック可能位置に位置させた場合にのみ、前記操作キャップ720を初期位置から押動位置へ押動させて前記ロックアーム724を前記ケース体610の外方から内方へ移動させることができる。
【0166】
ロック可能位置に位置されている前記操作キャップ720を前記付勢部材730の付勢力に抗した押動力で初期位置から押動位置へ移動させてから、前記係合アーム712が前記周方向延在部723b内において相対移動し得る範囲内で前記操作キャップ720を軸線回りに回動させて前記押動力を解除すると、前記ロックアーム724が前記ケース体610の内表面に係合して前記操作キャップ720の軸線回りの回動をロックする。
【0167】
斯かる構成の前記変速操作ユニット700においても、前記主変速操作部材410a及び前記速度調整部材410bを用いた細かな車速操作を可能としつつ、前記速度調整部材410bを用いた細かな車速操作を要しない場合における前記速度調整部材410bの誤操作を確実に防止することができる。
なお、前記操作キャップ720のロック可能位置は、例えば、前記センサ軸本体711を軸線回りに最高速位置に位置させる位置とされ得る。
【0168】
好ましくは、図24及び図26に示すように、前記ロックアーム724には凹部又は凸部の一方725が設けられる。
そして、前記ケース体610の内表面には、前記操作キャップ720が軸線回り所定のロック位置(図26(b)参照)に位置された際に前記凹部又は凸部の一方と凹凸係合する凹部又は凸部の他方736が設けられる。
斯かる構成によれば、ロック位置に位置された前記操作キャップ720が意に反して軸線回りに回動することをより確実に防止することができる。
【0169】
ここで、前記主変速操作部材410aを所定操作位置に係止する為のディテント機構630について説明する。
図14〜図17及び図20〜図22等に示すように、前記アームレストユニット600には、前記主変速操作部材410aを前記揺動軸線回りの所定係止位置に保持する為の前記ディテント機構630が備えられている。
【0170】
図27に、図14におけるXXVII-XXVII線に沿った断面図を示す。なお、図27においては、前記主変速操作部材410aの前記操作キャップの図示を省略している。
又、図28に、前記ディテント機構630の拡大図を示す。
【0171】
図14〜図16及び図27〜図28等に示すように、前記ディテント機構630は、ディテントボール635と、ディテントプレート640と、ディテント付勢部材645とを備えている。
【0172】
前記ディテントボール635は、前記主変速操作部材410aと共に前記揺動軸線回りに揺動し且つ前記揺動軸線と平行な方向には前記主変速操作部材410aに対して相対移動可能な状態で前記主変速操作部材410aに支持されている。
【0173】
本実施の形態においては、図27及び図28等に示すように、前記ディテントボール635は前記主変速操作部材410aに設けられたディテントボール支持体650に支持されている。
【0174】
前記ディテントボール支持体650は、第1端部が前記ディテントプレート640と対向した状態で前記揺動軸線と平行に延び、且つ、少なくとも前記第1端部に開口された軸線孔を有しており、前記軸線孔内に前記ディテントボール635及び前記ディテント付勢部材645を収容している。
【0175】
詳しくは、前記ディテントボール635は、図27に示すように、前記軸線孔に収容された前記ディテント付勢部材645による付勢力によって前記軸線孔の前記第1端部側の開口から外方へ露出されて前記ディテントプレート640に当接可能なように前記軸線孔に収容されている。
【0176】
なお、本実施の形態においては、前記主変速操作部材410aは、図28に示すように、基端部が前記揺動軸線を画する揺動軸665に相対回転自在に支持され且つ先端部が前記ケース体610(本実施の形態においては前記第1カバー613)に形成されたスリット615(図10及び図11等参照)を介して外方へ延在されたレバー部660を有している。
そして、前記ディテントボール支持体650は、前記第1端部が前記ディテントプレート640と対向した状態で前記揺動軸線と平行なるように前記レバー部660に支持されている。
【0177】
詳しくは、前記レバー部660は、基端部が前記揺動軸665に回動可能に支持された第1レバー部材661と、基端部が前記第1レバー部材661に連結され且つ先端部が前記ケース体610に形成された前記スリット615(図10及び図11等参照)を介して外方へ延在された第2レバー部材662とを有している。
そして、前記ディテントボール支持体650は、前記第1レバー部材661及び前記第2レバー部材662の連結位置より前記揺動軸線を基準にして径方向外方側において前記第1レバー部材661に支持されている。
【0178】
前記ディテント付勢部材645は、前述の通り、前記ディテントボール635を前記ディテントプレート640に向けて付勢するように、前記ディテントボール支持体650に収容されている。
具体的には、前記ディテント付勢部材645は、図27に示すように、基端部の軸線方向位置が固定された状態で先端部が前記ディテントボール635と係合するように、前記ディテントボール支持体650の前記軸線孔に収容されている。
【0179】
好ましくは、前記ディテント機構630には、前記ディテント付勢部材645の基端部の軸線方向位置を調整可能に固定するディテント調整部材646が備えられる。
前記ディテント調整部材646を備えることにより、前記ディテント付勢部材645の付勢力を容易に調整することができる。
【0180】
本実施の形態においては、図26に示すように、前記ディテント支持体650の前記軸線孔は、前記ディテントボール支持体650における前記第1端部とは反対側の第2端部にも開口されている。
【0181】
そして、前記ディテント調整部材646は、先端部が前記ディテント付勢部材645の基端部に係合するように前記第2端部側の開口から前記軸線孔に挿入され、且つ、前記ディテントボール支持体650に軸線方向位置変更可能に固定される。
前記ディテント調整部材646は、例えば、前記第2端部側の開口から前記軸線孔の螺入されるボルトとされ得る。
【0182】
前記ディテントプレート650は、前記主変速操作部材410aの前記揺動軸線回りの揺動範囲に亘って前記ディテントボール635と対向するように固定設置されている。
前記ディテントプレート640には、図14及び図28等に示すように、前記揺動軸線を基準にして周方向に沿って配置された複数のディテント凹部641であって、それぞれが前記ディテントボール635を受入可能とされた複数のディテント凹部641が形成されている。
【0183】
なお、本実施の形態においては、前記ディテントプレート640は、前述の通り、前記揺動軸665を介して前記主変速操作部材410aを支持しており、前記フレーム611の一部としても作用している。
【0184】
図27に示すように、前記複数のディテント凹部641は、前記ディテントボール635と対向する側は前記ディテントプレート640の外表面に開口し且つ前記ディテントボール635とは反対側は閉塞された非貫通凹部とされており、これにより、前記ディテントプレート640の大型化を招くことなく、前記主変速操作部材410aの係止位置間隔を狭め得るようになっている。
【0185】
即ち、従来のディテント機構においては、複数のディテント凹部はディテントプレートを貫通する貫通孔とされている。
前記複数のディテント凹部が貫通孔とされている場合には、強度上及び製造上の観点から前記複数のディテント凹部の間隔を狭めることができず、その結果、前記複数のディテント凹部によって画される操作部材の揺動軸線回りの係止位置ピッチを狭めることができない。
【0186】
なお、前記揺動軸線を基準とした前記複数の複数のディテント凹部の径方向距離を大きくすれば、前記複数のディテント凹部の間隔を必要以上に狭めることなく、前記操作部材の係止位置ピッチを狭めることができるが、この構成によれば前記ディテントプレートの大型化を招く。
【0187】
これに対し、本実施の形態においては、前述の通り、前記複数のディテント凹部641が非貫通孔とされている。
従って、前記ディテントプレート640の大型化を招くことなく、前記主変速操作部材410aの係止位置ピッチを可及的に狭めることができる。
【0188】
好ましくは、前記ディテントプレート640は、前記アームレストユニット600を設置した状態を基準にして垂直又は前記ディテント凹部641の開口端部が下向きとなるように配置され得る。
斯かる構成によれば、前記ディテント凹部641に雨水や塵等の不純物が滞留することを有効に防止できる。
【0189】
図29に前記アームレストユニット600の前記前方延在部610Bの縦断正面斜視図を示す。なお、図29においては、理解容易化の為に、前記主変速操作部材410aの操作キャップの図示を省略している。
【0190】
前述の通り、前記主変速操作部材は410aは、前記ケース体610に形成された前記スリット615を介して先端部が前記ケース体610の外方へ延在されている。
本実施の形態においては、図29に示すように、前記スリット615は、前記ディテントボール635(図27参照)が前記ディテントプレート640に当接する位置とは前記揺動軸線方向に関し変位された位置に形成されている。
斯かる構成によれば、前記スリット615を介して前記ケース体610内に入り込む水や塵等の不純物が前記ディテント凹部641へ入り込むこと、さらには、前記ディテント凹部641から前記第1端部の開口を介して前記ディテントボール支持体650内へ入り込むことを有効に防止できる。
【0191】
図30に、前記スリット615に沿った前記アームレストユニット600の縦断側面図を示す。なお、図30においては理解容易化の為に、図29に示されている前記主変速センサ415a等の図示を省略している。
【0192】
図29及び図30に示すように、本実施の形態においては、前記ケース体610のうち前記スリット615を形成する部分の前記揺動軸線を基準にした径方向内端部616は、前記ディテントプレート640の前記揺動軸線を基準にした径方向外端部よりも前記揺動軸線を基準にして径方向内方に位置している。
斯かる構成によれば、前記スリット615を介して前記ケース体610内に入り込む水や塵等の不純物が前記ディテント凹部641へ入り込むこと、さらには、前記ディテント凹部641から前記第1端部の開口を介して前記ディテントボール支持体650内へ入り込むことをより有効に防止できる。
【0193】
好ましくは、図9及び図14に示すように、前記第2カバー614の底壁に水抜き孔614aを設けることができる。前記水抜き孔614aを設けることにより、前記スリット615を介して前記ケース体610内に入り込んだ水を前記ケース体610の外方へ排出させることができる。
【0194】
なお、本実施の形態においては、図29に示すように、前記ケース体610(前記第1カバー613)は、前記揺動軸線の軸線方向に関し、前記スリット615が位置する機体幅方向中央領域613Cと、前記中央領域613Cより運転席50側に位置する内方領域613Iと、前記中央領域613Cより外方側に位置する外方領域613Oとを有している。
【0195】
前記中央領域613Cは、図29に示すように、前記スリット615を挟んで前記揺動軸線に対して略平行に延びる一対の外壁部617aと、前記一対の外壁部617aの前記スリット615に隣接する側の端部から前記揺動軸線に近接する方向へ延びる一対のフランジ部617bとを有している。
斯かる構成においては、前記一対のフランジ部617bの自由端部が、前記スリット615を形成する部分の前記揺動軸線を基準にした径方向内端部616となる。
【0196】
又、本実施の形態においては、図11及び図29等に示すように、前記中央領域613Cが上方に開く凹状とされており、これにより、前記主変速操作部材410aの操作部に操縦者の手が意に反して接触することを有効に防止している。
【0197】
詳しくは、前記ケース体610(本実施の形態においては前記第1カバー613)は、図10,図11及び図29等に示すように、前記中央領域613C及び前記内方領域613Iの間において上方へ膨出された内側壁領域618と、前記中央領域613C及び前記外方領域613Oの間において上方へ膨出された外側壁領域619とを有しており、前記内側壁領域618及び前記外側壁領域619によって挟まれる前記中央領域613Cが上方に開く凹状とされている。
【0198】
好ましくは、図29に示すように、前記内側壁領域618を前記外側壁領域619よりも高く膨出させ、前記揺動軸線の軸線方向に関し前記ディテントプレート640を前記内側壁領域618と同一位置に位置させることができる。
斯かる構成によれば、前記ケース体610の大型化を招くことなく、前記ディテントプレート640を可及的に大きくすることができる。
【0199】
本実施の形態においては、前記ディテント調整部材646による前記ディテント付勢部材645の付勢力の調整作業の容易化を図る為に、さらに下記構成を備えている。
【0200】
前述の通り、前記ケース体610は、前記揺動軸を支持するフレーム611(本実施の形態においては前記フレーム611の一部としても作用する前記ディテントプレート640)と、前記ディテント機構630を収容する収容空間を形成するように前記フレーム61に着脱可能に装着される前記カバー612とを備えており、前記カバー612は、前記スリット615が設けられた第1カバー613と、前記第1カバー613と共働して前記収容空間を画するように前記フレーム611及び/又は前記第1カバー613に着脱可能に装着される第2カバー614とを有している。
【0201】
図31に、前記第2カバー614を取り外した状態の前記アームレストユニット600の拡大側面図を示す。
図31に示すように、少なくとも前記主変速操作部材410aが前記揺動軸線回りの操作可能範囲のうち前記揺動軸線回り一方側の端部に位置された状態においては、前記ディテントボール支持体650の前記第2端部は前記第2カバー614内に位置するように構成されている。
斯かる構成によれば、前記第2カバー614を取り外すだけで、前記ディテント調整部材646にアクセスすることができ、前記ディテント調整部材646の調整作業の容易化を図ることができる。
【0202】
なお、本実施の形態においては、前記ディテント機構630が前記アームレストユニット600に備えられている場合を例に説明したが、前記ディテント機構630は人為操作に応じて揺動軸線回り揺動可能とされた操作部材を備えた種々の操作ユニットに適用可能である。
【0203】
ここで、前記アームレストユニット600を支持する前記ブラケット80について説明する。
図8〜図10及び図12等に示すように、前記ブラケット80は、前記床部材60(図5〜図7等参照)にボルト等の締結部材を介して固着されるベースフレーム81と、前記ベースフレーム81の上端側に連結される第1取付プレート82と、前記第1取付プレート82に連結される第2取付プレート83とを有している。
【0204】
前記ベースフレーム81は、図8及び図12等に示すように、前記作業機昇降レバー450の支持部材としても作用している。
詳しくは、前記作業機昇降レバー450は、前記運転席50及び前記フェンダ55の間において機体幅方向に沿った回動軸回り回動可能なように、前記ベースフレーム81に第3取付プレート84を介して支持されている。
【0205】
図32に、前記アームレストユニット600近傍の側面図を示す。
図6,図12及び図32に示すように、前記レバーガイド65は、上端部が上方に延在した状態で前記作業機昇降レバー450が前記回動軸回りに回動することを許容し、且つ、前記第1取付プレート82の下記第1重合領域82aが上方へ延在することを許容しつつ、前記ブラケット80を囲繞している。
【0206】
なお、図6及び図32等に示すように、前記レバーガイド65のうち前記アームレストユニット600より機体幅方向外方側には、操作盤ユニット70が設けられている。
図33に、前記操作盤ユニット70の模式平面図を示す。
【0207】
図6,図32及び図33等に示すように、前記操作盤ユニット70には、車輌前後方向に沿って、前記耕深設定部材480,前記自動傾斜設定部材470a,前記作業機上昇位置設定部材455,下降速度変更位置設定部材465及び前記手動傾斜操作部材470cが順次に配置されている。
前記自動傾斜設定部材470a,前記作業機上昇位置設定部材455及び下降速度変更位置設定部材465は、開閉可能な蓋部材71によって覆われている。
【0208】
又、図6及び図32等に示すように、前記レバーガイド65のうち前記アームレストユニット600の後方側には前記PTO切替操作部材445が配置されている。
【0209】
図34に、前記ブラケット80の分解斜視図を示す。
図12及び図34等に示すように、前記第1取付プレート82は、平板状の第1重合領域82aを有しており、前記第1重合領域82aが略垂直方向に沿った状態で車輌前後方向に延びるように前記ベースフレーム81に固着されている。
【0210】
前記第2取付プレート83は、前記アームレストユニット600における前記ケース体610の前記フレーム611を支持した状態で、前記第1取付フレーム82に着脱可能に連結されている。
なお、本実施の形態においては、前記アームレストユニット600の前記フレーム611は、後端側において車輌幅方向に沿った回動軸611a回り位置調整可能に前記第2取付プレート83に支持されている。
【0211】
前記第2取付プレート83は、図32に示すように、前記第1重合領域82aに重合される平板状の第2重合領域83aを有している。
即ち、前記第2取付プレート83は、前記第2重合領域83aが前記第1重合領域82aに重合された状態で、第1及び第2締結部材91,92を介して前記第1取付プレート82に着脱可能に連結されている。
【0212】
本実施の形態においては、前記第2取付プレート83は、前記第1取付プレート82に対して車輌前後方向位置調整可能で且つ取付角度調整可能に固定されている。
【0213】
詳しくは、図34に示すように、前記第1重合領域82aには車輌前後方向に沿った長孔82bが形成されている。
一方、前記第2重合領域83aには、前後位置調整用取付孔83bが形成されている。
【0214】
そして、前記長孔82b及び前記前後位置調整用取付孔83bに挿通された例えばボルト等の前記第1締結部材91を介して前記第1及び第2取付プレート82,83が連結されている。
【0215】
斯かる構成により、前記前後位置調整用取付孔83bが前記長孔82bに対して車輌前後方向に相対移動し得る範囲内において前記第2取付プレート83が前記第1取付プレート82に対して前後方向位置調整可能となっている。
【0216】
図34に示すように、さらに、前記第1重合領域82aには複数の第1プレート側角度調整用取付孔が形成され、前記第2重合領域83aには複数の第2プレート側角度調整用取付孔が形成されている。
【0217】
前記第2プレート側角度調整用取付孔は、前記前後位置調整用取付孔83bを中心とした半径R1の円周上に位置する第2プレート側角度調整用第1取付孔A1と、前記前後位置調整用取付孔83bを中心とし且つ半径がR1より小さいR2の円周上に位置する第2プレート側角度調整用第2取付孔A2とを含んでいる。
【0218】
一方、前記第1プレート側角度調整用取付孔は、前記第2取付プレート83が前後方向第1取付位置に位置された際に使用可能な複数の取付孔B1,B2を含む第1プレート側第1取付孔群85(1)と、前記第2取付プレート83が前後方向第2取付位置に位置された際に使用可能な複数の取付孔B3,B4を含む第1プレート側第2取付孔群85(2)と、前記第2取付プレート83が前後方向第3取付位置に位置された際に使用可能な複数の取付孔B5,B6を含む第1プレート側第3取付孔群85(3)とを含んでいる。
【0219】
なお、本実施の形態においては、前記第2取付プレート83の前後方向第1〜第3取付位置は、それぞれ、前記前後位置調整用取付孔83bが前記長孔82bの前側,中央及び後側に位置する際の前記第2取付プレート83の前後方向取付位置を意味している。
【0220】
本実施の形態においては、前記第2取付プレート83が前記1〜第3取付位置の3箇所で固定される場合を例に説明する為、前記第1プレート側角度調整用取付孔B1〜B7は前記第1〜第3の3つの第1プレート側取付孔群85(1)〜85(3)を含んでいるが、当然ながら第1プレート側取付孔群の個数は適宜に設定可能である。
即ち、前記第2取付プレート83の前後方向位置は無段階に調整可能である。
従って、前記第2取付プレート83が固定される前後方向位置の個数に応じて前記第1プレート側取付孔群の個数が決定される。
【0221】
前記第1プレート側第1取付孔群85(1)の複数の取付孔B1,B2は、前記第2取付プレート83が前後方向第1取付位置に位置された際に前記前後位置調整用取付孔83bが位置する点を中心とした半径R1の円周上に位置するように配置されている。
【0222】
前記第1プレート側第2取付孔群85(2)の複数の取付孔B3,B4は、前記第2取付プレート83が前後方向第2取付位置に位置された際に前記前後位置調整用取付孔83bが位置する点を中心とした半径R1の円周上に位置するように配置されている。
【0223】
さらに、前記第1プレート側第2取付孔群85(2)のうちの一つの取付孔B4は、前記第2取付プレート83が前後方向第1取付位置に位置された際に前記前後位置調整用取付孔83bが位置する点を中心とした半径R2の円周上に位置されている。
【0224】
前記第1プレート側第3取付孔群85(3)の複数の取付孔B5,B6は、前記第2取付プレート83が前後方向第3取付位置に位置された際に前記前後位置調整用取付孔83bが位置する点を中心とした半径R1の円周上に位置するように配置されている。
【0225】
さらに、前記第1プレート側第3取付孔群85(3)のうちの一つの取付孔B6は、前記第2取付プレート83が前後方向第2取付位置に位置された際に前記前後位置調整用取付孔83bが位置する点を中心とした半径R2の円周上に位置するように、配置されている。
【0226】
さらに、前記第1プレート側角度調整用取付孔は、図34に示すように、前記第1プレート側第1〜第3取付孔群85(1)〜85(3)を形成する取付孔B1〜B6に加えて、前記第2取付プレート83が前後方向第3取付位置に位置された際に前記前後位置調整用取付孔83bが位置する点を中心とした半径R2の円周上に位置する第1プレート側追加取付孔B7を有している。
【0227】
斯かる構成によれば、前記第1及び第2プレート側角度調整用取付孔の個数を減らしながら、少なくとも前後方向第1〜第3取付位置のそれぞれにおいて前記第2取付プレート83を異なる3つの角度で前記第1取付プレート82に固定することができる。
【0228】
本実施の形態においては、前述の通り、前記第1プレート側第1取付孔群85(1)は2つの取付孔B1,B2を含み、前記第1プレート側第2取付孔群85(2)は2つの取付孔B3,B4を含み、前記第1プレート側第3取付孔群85(3)は2つの取付孔B5,B6を含み、且つ、前記第1プレート側追加取付孔は1つの取付孔B7を含んでいる。そして、第2プレート側角度調整用取付孔は2つの取付孔A1,A2を含んでいる。
即ち、本実施の形態においては、合計9個の前記第1及び第2プレート側角度調整用取付孔が形成されており、この9個の取付孔によって、前記第2取付プレート83が前後方向第1〜第3取付位置に位置された際のそれぞれにおける3種類の取付姿勢を含む合計11パターンの取付姿勢を得るようになっている。
【0229】
具体的には、前記第2取付プレート83を前後方向第1取付位置に位置させた状態で、前記取付孔A1,B1の組み合わせ、前記取付孔A1,B2の組み合わせ及び前記取付孔A2,B4の組み合わせを用いて例えばノブねじの形態をなす前記第2締結部材92によって前記第1及び第2取付プレート82,83を締結することにより、前記第2取付プレート83を前後方向第1取付位置において前上がり姿勢,前下がり姿勢及び水平姿勢で固定することができる。
【0230】
又、前記第2取付プレート83を前後方向第2取付位置に位置させた状態で、前記取付孔A1,B3の組み合わせ、前記取付孔A1,B4の組み合わせ及び前記取付孔A2,B6の組み合わせを用いて前記第2締結部材92によって前記第1及び第2取付プレート82,83を締結することにより、前記第2取付プレート83を前後方向第2取付位置において前上がり姿勢,前下がり姿勢及び水平姿勢で固定することができる。
【0231】
さらに、前記第2取付プレート83を前後方向第3取付位置に位置させた状態で、前記取付孔A1,B5の組み合わせ、前記取付孔A1,B6の組み合わせ及び前記取付孔A2,B7の組み合わせを用いて前記第2締結部材92によって前記第1及び第2取付プレート82,83を締結することにより、前記第2取付プレート83を前後方向第3取付位置において前上がり姿勢,前下がり姿勢及び水平姿勢で固定することができる。
【0232】
さらに、本実施の形態においては、前記第2取付プレート83を前後方向第1及び第2位置の間に位置させた状態で前記取付孔A2,B3の組み合わせを用いて前記第2締結部材92によって前記第1及び第2取付プレート82,83を締結することにより、前記第2取付プレート83を前後方向第1及び第2位置の間において前上がり姿勢で固定することができ、前記第2取付プレート83を前後方向第2及び第3位置の間に位置させた状態で前記取付孔A2,B5の組み合わせを用いて前記第2締結部材92によって前記第1及び第2取付プレート82,83を締結することにより、前記第2取付プレート83を前後方向第2及び第3位置の間において前上がり姿勢で固定することができる。
【符号の説明】
【0233】
410a 主変速操作部材(操作部材)
600 アームレストユニット(操作ユニット)
610 ケース体
611 フレーム
612 カバー
613 第1カバー
614 第2カバー
615 スリット
616 ケース体のスリットを形成する部分の揺動軸線を基準にした径方向内端部
630 ディテント機構
635 ディテントボール
640 ディテントプレート
641 ディテント凹部
645 ディテント付勢部材
646 ディテント調整部材
650 ディテントボール支持体
660 レバー部
665 揺動軸(揺動軸線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人為操作に応じて揺動軸線回り揺動可能とされた操作部材と前記操作部材を前記揺動軸線回りの所定係止位置に保持する為のディテント機構とを備えた操作ユニットであって、
前記ディテント機構は、前記操作部材に前記揺動軸線と平行な方向には相対移動移動可能で且つ前記揺動軸線回りの周方向には相対移動不能に支持されたディテントボールと、前記操作部材の前記揺動軸線回りの揺動範囲に亘って前記ディテントボールと対向するように固定設置されたディテントプレートと、前記ディテントボールを前記ディテントプレートに向けて付勢するディテント付勢部材とを備え、前記ディテントプレートには、前記揺動軸線を基準にして周方向に沿って配置された複数のディテント凹部であって、それぞれが前記ディテントボールを受入可能とされた複数のディテント凹部が形成されており、
前記複数のディテント凹部は、前記ディテントボールと対向する側は前記ディテントプレートの外表面に開口し且つ前記ディテントボールとは反対側は閉塞された非貫通凹部とされていることを特徴とする操作ユニット。
【請求項2】
前記ディテントプレートは、前記操作ユニットを設置した状態を基準にして垂直又は前記ディテント凹部の開口端部が下向きとなるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の操作ユニット。
【請求項3】
前記操作部材及び前記ディテント機構を収容するケース体であって、前記操作部材の先端部が外方に延在されることを許容するスリットが設けられたケース体をさらに備え、
前記操作部材は、基端部が前記揺動軸線を画する揺動軸に回転自在に支持され且つ先端部が前記スリットを介して外方へ延在されたレバー部と、第1端部が前記ディテントプレートと対向した状態で前記揺動軸線と平行なるように前記レバー部に連結されたディテントボール支持体とを備え、
前記ディテントボール支持体には、少なくとも前記第1端部に開口され且つ前記ディテントボール及び前記ディテント付勢部材が収容される軸線孔が形成されており、
前記ディテントボールは、前記軸線孔に収容された前記ディテント付勢部材による付勢力によって前記軸線孔の前記第1端部側の開口から外方へ露出されて前記ディテントプレートに当接するように前記軸線孔に収容されており、
前記ケース体は、前記ディテントボールが前記ディテントプレートに当接する位置とは前記揺動軸線方向に関し変位された位置に前記スリットを有しており、
前記ケース体のうち前記スリットを形成する部分の前記揺動軸線を基準にした径方向内端部は、前記ディテントプレートの前記揺動軸線を基準にした径方向外端部よりも前記揺動軸線を基準にして径方向内方に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載の操作ユニット。
【請求項4】
前記ケース体は、前記揺動軸を直接又は間接的に支持するフレームと、前記ディテント機構を収容する収容空間を形成するカバーとを備え、
前記カバーは、前記スリットが設けられた第1カバーと、前記第1カバーと共働して前記収容空間を画するように前記フレーム及び/又は前記第1カバーに着脱可能に装着される第2カバーとを有し、
前記軸線孔は、前記ディテントボール支持体における前記第1端部とは反対側の第2端部にも開口され、
前記ディテント機構は、先端部が前記ディテント付勢部材に係合するように前記第2端部側の開口から前記軸線孔に挿入されるディテント調整部材であって、前記ディテントボール支持体に軸線方向位置変更可能に固定されるディテント調整部材を有し、
少なくとも前記操作部材が前記揺動軸線回りの操作可能範囲のうち前記揺動軸線回り一方側の端部に位置された状態においては、前記ディテントボール支持体の前記第2端部は前記第2カバー内に位置することを特徴とする請求項3に記載の操作ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図28】
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【図31】
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【図33】
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【図34】
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【図5】
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【図7】
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【図13】
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【図27】
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【図29】
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【図30】
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【図32】
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