説明

操作入力装置用プログラム及び操作入力装置

【課題】ゲームやシミュレーションを、実物の種類に応じて実物に近い操作性で再現することができる操作入力装置用プログラム及び操作入力装置を提供する。
【解決手段】操作入力装置用プログラムは、多自由度に可動する操作レバー(50)と、前記操作レバー(50)の操作量を検出する検出部(35、45)と、前記操作レバー(50)に負荷を加えるレバー負荷部(31、41)とを備えた操作入力装置(10)に接続され、前記検出部(35、45)からの検出値を入力し、前記レバー負荷部(31、41)に前記操作レバー(50)に加える負荷量を出力するコンピュータ(2)に実行させる操作入力装置用プログラムであって、前記コンピュータ(2)に、前記操作レバー(50)の可動範囲を前記レバー負荷部(31、41)によって制限させる可動範囲制限手順を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームやシミュレーションなどに使用される操作入力装置用プログラム及び操作入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗り物などを模擬的に操作するゲームやシミュレーション、例えば、ドライブゲームのゲーム機は、ゲームの遊戯性を高めるために、そのゲーム機内で模擬的に操縦される自動車をより実車に近い操作性にすることが要求されており、ゲーム機のメーカはさまざまな機構などを提案、実現させている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のドライビングゲームのゲーム機は、ドライブゲーム用の操作用レバーであり、レバーの傾動操作によって異種の操作情報を得ることができる多方向操作スイッチを備え、ゲーム内で模擬的に操作する自動車の変速用のシフトレバーを再現している。
しかし、このような操作用レバーは、レバーの可動範囲が機械的に制限されているので、ゲーム内で模擬的に操作する自動車の車種に応じたレバーの可動範囲の設定を変更するのが困難であり、実車の車種毎に実車に近い操作系を再現することができなかった。
【特許文献1】特開平9−135965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、ゲームやシミュレーションを、実物の種類に応じて実物に近い操作性を再現することができる操作入力装置用プログラム及び操作入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を括弧内に付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、多自由度に可動する操作レバー(50)と、前記操作レバー(50)の操作量を検出する検出部(35、45)と、前記操作レバー(50)に負荷を加えるレバー負荷部(31、41)とを備えた操作入力装置(10)に接続され、前記検出部(35、45)からの検出値を入力し、前記レバー負荷部(31、41)に前記操作レバー(50)に加える負荷量を出力するコンピュータ(2)に実行させる操作入力装置用プログラムであって、前記コンピュータ(2)に、前記操作レバー(50)の可動範囲を前記レバー負荷部(31、41)によって制限させる可動範囲制限手順(S204)、を実行させる操作入力装置用プログラムである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の操作入力装置用プログラムにおいて、前記操作レバー(50)が前記可動範囲制限手順(S204)によって制限された可動範囲内で操作されるときに、前記コンピュータ(2)に、前記検出部(35、45)の検出値に基づいて前記レバー負荷部(31、41)によって前記操作レバー(50)に負荷を加えさせる可動範囲負荷手順(S203、S206)を実行させること、を特徴とする操作入力装置用プログラムである。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の操作入力装置用プログラムにおいて、前記操作入力装置(10)は、乗り物の操縦を模擬したゲーム又はシミュレーションの操作系であり、前記可動範囲制限手順(S204)は、前記乗り物の操作系を模擬するように、前記操作レバー(50)の可動範囲を制限すること、を特徴とする操作入力装置用プログラムである。
請求項4の発明は、請求項3に記載の操作入力装置用プログラムにおいて、前記操作入力装置(10)は、ドライブゲーム又はドライブシミュレーションで模擬的に操縦する自動車の変速用のシフトレバーを模擬するものであり、前記可動範囲制限手順(S204)は、前記シフトレバーの可動範囲を前記自動車の種類に応じて制限すること、を特徴とする操作入力装置用プログラムである。
【0005】
請求項5の発明は、多自由度に可動する操作レバー(50)と、前記操作レバー(50)の操作量を検出する検出部(35、45)と、前記操作レバー(50)に負荷を加えるレバー負荷部(31、41)と、前記検出部(35、45)からの検出値を入力し、前記レバー負荷部(31、41)に前記操作レバー(50)の負荷量を出力する演算部(60)とを備え、前記演算部(60)は、前記操作レバー(50)の可動範囲を前記レバー負荷部(31、41)によって制限すること、を特徴とする操作入力装置(10)である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、以下のような効果がある。
(1)コンピュータに、操作レバーの可動範囲をレバー負荷部によって制限させるので、操作レバーに機械的な可動範囲の制限を設けることなく、操作レバーが所定の可動範囲外へ操作されるのを防ぐことができ、また、容易に、用途に応じた可動範囲を多彩に設定することができる。
(2)コンピュータは、操作レバーが制限された可動範囲内で操作されるときに、検出部の検出値に基づいてレバー負荷部によって操作レバーに負荷を加えているので、操作レバーの操作性を操作内容に応じて変更することができる。
(3)可動範囲制限手順は、乗り物の操作系を模擬するように操作入力装置の可動範囲を制限するので、実物の乗り物の操作性を再現することができる。
(4)操作入力装置は、ドライブゲーム又はドライブシミュレーションで模擬的に操縦する自動車の変速用のシフトレバーを模擬するものであり、可動範囲制限手順は、シフトレバーの可動範囲を自動車の種類に応じて制限するので、車種によって異なる変速用のシフトパターンを、実車と同様に設定することができ、より実車に近い操作性を再現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、ゲームやシミュレーションを、実物の種類に応じて実物に近い操作性で再現することができる操作入力装置用プログラム及び操作入力装置を提供するという目的を、コンピュータに操作レバーの可動範囲を、レバー負荷部を介して制限させることによって実現する。
【実施例】
【0008】
以下、図面等を参照して、本発明の実施例をあげて、さらに詳しく説明する。
図1は、本発明による操作入力装置の実施例としたジョイスティックを備えたゲーム機を示す図である。
【0009】
ゲーム機1は、図1(a)に示すように、ゲーム上で模擬的に自動車を操作するドライブゲームを有した端末であり、制御部2、表示部3、ステアリング4、ペダル5、シート6及びジョイスティック(操作入力装置)10を備えている。
制御部(コンピュータ)2は、ゲーム機1の表示部3、ステアリング4、ペダル5及びジョイスティック10を統括制御する制御回路(コンピュータ)であり、その内部にドライブゲームのゲームプログラムがインストールされている。
また、制御部2は、後述のジョイスティック10の入出力部60に接続され、ジョイスティック10の各部を制御する制御プログラム(操作入力装置用プログラム)がインストールされている。この制御プログラムは、後述のジョイスティック10のスティック部50の傾動量やドライブゲームの進行内容に基づいて、スティック部50に負荷を加えたり、また、スティック部50の可動範囲を制限したりすることができる。
【0010】
表示部3は、ゲームの進行画像やゲームの設定画像を表示するディスプレイである。
ステアリング4は、ドライブゲーム上で運転する自動車の進行方向を決定する操作部である。
ペダル5は、ドライブゲーム上で運転する自動車のアクセルペダル、ブレーキペダル、クラッチペダルを再現した操作部であり、模擬的に運転する自動車の加減速や、変速(クラッチ)操作を行う。
シート6は、ゲーム機1をプレイするプレイヤが着座する座席である。
【0011】
ジョイスティック10は、図1(b)に示すように、台座20、X方向傾動機構部30、Y方向傾動機構部40、スティック部(操作レバー)50及びコンピュータ60を備え、ドライブゲーム上で運転する自動車を変速させる操作部(シフトレバー)である。具体的には、台座20に固定されたX方向傾動機構部30及びY方向傾動機構部40によって、スティック部50をX方向及びY方向に傾動させることができる。
ここで、実物の自動車のシフトレバーは、複数のギアで構成された変速機と連動しており、シフトレバーの位置に基づいて、変速機のギアのギア比が設定されている。このシフトレバーの位置を変更することによって、変速機のギアが異なるギアと噛み合ってギア比が変動し、自動車を変速させることができる。ジョイスティック10は、後述のX方向傾動機構部30及びY方向傾動機構部40を制御部2で制御させることによって、この実物の自動車のシフトレバーの操作感を再現させる。
台座20は、ゲーム機1に固定されるジョイスティック10の固定部であり、X方向傾動機構部30及びY方向傾動機構部40を固定している。
【0012】
X方向傾動機構部30は、回転モータ31、駆動ギア32、伝達アーム部33、アーム固定部34及び回転センサ35を備え、スティック部50のX方向の傾動動作に負荷を加えたり、X方向の可動範囲を制限したりする機構である。
回転モータ31は、モータドライバ31aと接続された状態で台座20に固定され、スティック部50のX方向の傾動動作に負荷を加える電磁式のアクチュエータである。
モータドライバ31aは、回転モータ31と入出力部60との間に接続され、後述の入出力部60から出力される駆動指令(電圧信号)を入力し、駆動指令に基づいた適切な電流を回転モータ31に通電して回転力を発生させる。
駆動ギア32は、回転モータ31の回転軸の先端部に設けられ、回転モータ31の回転力を伝達する歯車である。
【0013】
伝達アーム部33は、略L字型をしたアーム部材33a、伝達ギア33b、回転軸孔33c及びギア軸33dを備えている。アーム部材33aの一端部に、ギア軸33dを介して伝達ギア33bが固定され、他端部に、後述のスティック部50の回転軸52を回転自在に挿入する回転軸孔33cが設けられている。後述の回転軸52は、その先端部に球面が形成されており、回転軸孔33cに挿入されることにより、多自由度に回転可能なボールジョイント機構を構成している。
アーム固定部34は、伝達アーム部33のギア軸33dを回転自在に挿入する軸孔を有した軸受部材であり台座20に固定される。
回転センサ35は、伝達アーム部33の伝達ギア33bの回転中心部に配置され、伝達ギア33bの回転量(回転角度)を検出するポテンショメータである。
【0014】
Y方向傾動機構部40は、X方向傾動機構部30と同様に、回転モータ41、駆動ギア42、伝達アーム部43、アーム固定部44及び回転センサ45を備え、スティック部50のY方向の傾動動作に負荷を加えたり、Y方向の可動範囲を制限したりする機構である。
回転モータ41は、モータドライバ41aと接続された状態で台座20に固定され、スティック部50のX方向の傾動動作に負荷を加える電磁式のアクチュエータである。
モータドライバ41aは、回転モータ41と入出力部60との間に接続され、後述の入出力部60から出力される駆動指令(電圧信号)を入力し、駆動指令に基づいた適切な電流を回転モータ41に通電して回転力を発生させる。
駆動ギア42は、回転モータ41の回転軸の先端部に設けられ、回転モータ41の回転力を伝達する歯車である。
【0015】
伝達アーム部43は、略L字型をしたアーム部材43a、伝達ギア43b、回転軸孔43c及びギア軸43dを備えている。アーム部材43aの一端部に、ギア軸43dを介して伝達ギア43bが固定され、他端部に、後述のスティック部50の回転軸53を回転自在に挿入する回転軸孔43cが設けられている。後述の回転軸53は、その先端部に球面が形成されており、回転軸孔43cに挿入されることにより、多自由度に回転可能なボールジョイント機構を構成している。
アーム固定部44は、伝達アーム部43のギア軸43dを回転自在に挿入する軸孔を有した軸受部材であり台座20に固定される。
回転センサ45は、伝達アーム部43の伝達ギア43bの回転中心部に配置され、伝達ギア43bの回転量(回転角度)を検出するポテンショメータである。
【0016】
スティック部50は、棒状の部材であり、その一端部にドライブゲームのプレイヤが操作するグリップ51が備えられ、他端部に伝達アーム部33の回転軸孔33c及び伝達アーム部43の回転軸孔43cに回転自在に挿入される回転軸52及び回転軸53が備えられている。
回転軸52及び回転軸53は、先端部が球面で形成され、回転軸孔33c及び回転軸孔43cに挿入されることにより、多自由度に回転可能なボールジョイント機構を構成する。ここで、回転軸52及び回転軸53の中心は、Y方向傾動機構部40の伝達ギア43b及びX方向傾動機構部30の伝達ギア33bの中心と同軸上になるように設定されている。
【0017】
各伝達アーム部の回転軸孔に、回転軸52及び回転軸53がそれぞれ挿入されることにより、スティック部50は、各回転軸を中心にしてX方向及びY方向へ自在に傾動することができる。具体的には、スティック部50は、伝達アーム部43の回転軸孔43cに挿入された回転軸53を中心としてX方向に傾動することができる。このとき、回転センサ35によって、伝達アーム部33の伝達ギア33bの回転量に相当するスティック部50のX方向の傾動量を検出し、必要に応じて回転モータ31に回転力を発生させて、スティック部50のX方向の可動範囲を制限したり、スティック部50のX方向に可動負荷を加えたりすることができる。
【0018】
同様にして、スティック部50は、伝達アーム部33の回転軸孔33cに挿入された回転軸52を中心としてY方向に傾動することができる。このとき、回転センサ45によって、伝達アーム部43の伝達ギア43bの回転量に相当するスティック部50のY方向の傾動量を検出し、必要に応じて回転モータ41に回転力を発生させて、スティック部50のY方向の可動範囲を制限したり、スティック部50のY方向に可動負荷を加えたりすることができる。
X方向傾動機構部30及びY方向傾動機構部40によってX方向及びY方向に傾動する軌跡の交点を、スティック部50のニュートラル(中立点)Nとする(図2参照)。
【0019】
入出力部60は、制御部2及びジョイスティック10の間に配置された入出力回路(I/O回路)である。具体的には、スティック部50の傾動量に相当する各回転センサ35、45の検出信号を制御部2へ出力したり、制御部2にインストールされた制御プログラムによって演算された各回転モータ31、41の駆動指令を制御部2から入力し、各モータドライバ31a、41aへと出力したりする。
この入出力部60で入出力される信号によって、ジョイスティック10は、スティック部50に負荷を加えて、より実車に近い操作感を再現することができ、また、スティック部50の可動範囲を制限して、車種に応じた変速機のシフトパターンを忠実に再現することができる。
【0020】
次に、ゲーム機1及びジョイスティック10の動作について説明する。図2は、ジョイスティックの可動範囲を制限したシフトパターンの例を示す図である。図3は、ゲーム機をプレイするときの動作フローである。
上述したように、ゲーム機1でドライブゲームが使用開始されたら(S101)、ゲーム機1の制御部2は、ドライブゲーム上で使用する自動車の車種を表示部3に表示し、プレイヤによって選択させる(S102)。特定の車種がプレイヤによって選択されたら、その選択された車種に基づいて、スティック部50の可動範囲を制限する(S103)。
【0021】
スティック部50の可動範囲(シフトパターン)は、図2に示すように、車種により多数存在しており、例えば、図2(a)に示すような5段式や、図2(b)に示すような6段式の変速機だけでなく、図2(c)に示すようなオートマチック(AT)式の変速機も再現することができる(本実施例では、図2(a)に示す5段式のシフトパターンを有した自動車が選択されたとする)。
ここで、図2(a)及び(b)内に記載された1〜5又は1〜6及びRは、変速機のギアの位置を示しており、1であれば1段目のギアを、Rであればバック(後進用)ギアを示している。スティック部50を1〜6又はRに傾動させることによって、ドライブゲーム上で模擬的に操作する自動車を変速させたり、後進させたりすることができる。図2(c)における+及び−は、ATの変速機のギアを高速又は低速側に変速させる変速指示を示している。
【0022】
また、図2(a)及び(b)内に記載されたLe1及びLe2は、ギアが変速機内で完全に噛み合ったときのスティック部50の位置を示しており、L1及びL2は、スティック部50を傾動動作した際に、スティック部50の動作が、変速機内でギアが噛み合い始める位置を示す境界線である。図2中に示す座標系(X、Y方向)は、図1(b)の座標系と一致している。
スティック部50のシフトパターンが設定されると、可動範囲以外の領域にスティック部50を傾動させようとしたときに、回転モータ31及び回転モータ41が傾動方向とは反対の方向に回転力を発生させ、スティック部50が傾動しないように可動範囲を制限する。
【0023】
車種が決定し、スティック部50のシフトパターンが設定されたら、ゲーム機1は、ドライブゲームを開始し(S104)、プレイヤが表示部3に表示されるドライブゲームの画像を見ながら、ドライブゲーム上で模擬された自動車を運転する。規定の時間運転したら(S105:Yes)、ゲームが終了となる(S106)。
【0024】
次に、ドライブゲームのプレイ中(S104)におけるジョイスティック10の動作について説明する。図4は、ドライブゲームのプレイ中におけるジョイスティックの動作フローである。
プレイヤがドライブゲームをプレイ中に、図2(a)に示すシフトパターンを有した変速機を操作する場合(S201)、例えば、ニュートラルNから1段目にギアを入れるとき、プレイヤは、スティック部50のグリップ51を握り、スティック部50を1段目のギアの方向に傾動させる(S202)。
【0025】
プレイヤがS103で決定した可動範囲内でスティック部50を適正に傾動させたときは(S202:Yes)、スティック部50は、プレイヤの傾動動作に応じて、可動範囲内を自在に移動する。例えば、図2(a)の矢印Aに示すように、スティック部50を−X方向に傾動させた後に、+Y方向に傾動させることで1段目のギアに入れることができる。このときに、傾動させたスティック部50がL1よりもニュートラルN側にあるときは、制御部2は、スティック部50がニュートラルNの方向に引き戻されるように、回転モータ31及び回転モータ41によって回転力を発生させる(S203、可動範囲負荷手順)。
これは、一般的な実車のシフトレバー(スティック部50)が、ニュートラルNの位置にバネなどにより付勢されていることを再現しており、付勢力以上の力でスティック部50を傾動させることでギアを変更することができる。プレイヤは、その付勢力を感じることにより、実車を運転しているかのような操作感を得ることができる。
【0026】
仮に、プレイヤがS103で決定した可動範囲外へスティック部50を傾動させたときは(S202:No)、上述したように、回転モータ31及び回転モータ41が傾動方向とは反対の方向に、スティック部50が傾動しないように回転力を発生させる(S204、可動範囲制限手順)。スティック部50が適正な可動範囲に傾動されたら、制御部2は、スティック部50がニュートラルNの方向に引き戻されるように、回転モータ31及び回転モータ41によって回転力を発生させる(S203)。
【0027】
次に、制御部2は、傾動させたスティック部50がL1の位置を通過したか否かを確認する(S205)。傾動させたスティック部50がL1の位置を通過していない場合(S205:NO)、制御部2は、傾動させたスティック部50が可動範囲内を傾動しているかを再び確認する(S202)。
傾動させたスティック部50がL1の位置を通過している場合(S205:Yes)、制御部2は、スティック部50を1段目のギアの方向(Le1)へ傾動するように、回転モータ31及び回転モータ41に回転力を発生させる。Le1に達したら、スティック部50が動かないように所定の回転力で固定する(S206)。この動作によって、ジョイスティック10は、スティック部50がL1を通過したときに、1段目のギアの噛み合い始めの操作感を再現し、Le1に達した時点で、あたかも変速機が1段目のギアに噛み合ったかのような操作感を再現することができる。
スティック部50が1段目のギアで固定されたら、制御部2は、1段目のギアに噛み合った旨の情報を、入出力部60を介して入力し、その情報をドライブゲームの内容に反映させて、スティック部50の傾動動作を終了とする(S207)。
【0028】
また、1段目から2段目にギアを入れ替えるとき(図2(a)矢印B)は、スティック部50は、回転モータ31及び回転モータ41によって所定の回転力で1段目に固定されているので、プレイヤは、その回転力以上の力でスティック部50を2段目の方向に傾動させる。制御部2は、スティック部50がL1を通過してからL2を通過するまでの間は、スティック部50をニュートラルN側へと移動する回転力を回転モータ31及び回転モータ41に発生させる。また、ステッィク部50が設定された可動範囲外へ傾動された場合、スティック部50が傾動しないように回転力を発生させる。スティック部50がL2を通過したら、1段目のギアと同様に、Le2へ傾動するように回転力を発生させ、Le2に達したらスティック部50が動かないように所定の回転力で固定する。
【0029】
以上より、実施例のジョイスティックの制御プログラム及びジョイスティックには以下のような効果がある。
(1)制御部2に、スティック部50の可動範囲を回転モータ31及び回転モータ41によって制限させるので、スティック部50に機械的な可動範囲の制限を設けることなく、スティック部50が所定の可動範囲外へ操作されるのを防ぐことができ、また、車種に応じたシフトパターンを容易に設定することができる。
【0030】
(2)制御部2は、スティック部50が制限された可動範囲内で操作されるときに、回転センサ35及び回転センサ45の検出値に基づいて回転モータ31及び回転モータ41によってスティック部50に負荷を加えているので、スティック部50の傾動位置に応じて、実車に近い操作性を再現することができる。
(3)ジョイスティック10は、ドライブゲームで模擬的に操縦する自動車の変速用のシフトレバーであり、制御部2にインストールされた制御プログラムは、シフトレバーの可動範囲を自動車の種類に応じて制限するので、車種によって異なる変速用のシフトパターンを、実車と同様に設定することができ、より実車に近い操作性を再現することができる。
【0031】
(変形例)
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
(1)本実施例では、ゲーム機1の制御部2に制御プログラムをインストールすることで、スティック部50の可動範囲を制限したり、可動負荷を加えたりしたが、制御部2内に基板化した回路を設けてもよい。また、ジョイスティック10内に設けられた回路、例えば、入出力部60に、制御プログラムをインストールして実行させたり、前述の基板化した回路を設けたりすることも可能である。
(2)本実施例では、ジョイスティック10は、ドライブゲームで模擬的に運転する自動車の変速機であったが、それ以外のゲームやシミュレータに使用してもよい。例えば、電車や飛行機を模擬的に操縦するシミュレータの操作部にすることも可能である。
(3)本実施例では、制御プログラムは、ゲーム機1の制御部2にインストールして実行されたが、PCや家庭用ゲーム機などにインストールして実行してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による操作入力装置の実施例としたジョイスティックを備えたゲーム機を示す図である。
【図2】ジョイスティックの可動範囲を制限したシフトパターンの例を示す図である。
【図3】ゲーム機をプレイするときの動作フローである。
【図4】ドライブゲームのプレイ中におけるジョイスティックの動作フローである。
【符号の説明】
【0033】
1 ゲーム機
10 ジョイスティック
20 台座
30 X方向傾動機構部
40 Y方向傾動機構部
50 スティック部
60 入出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多自由度に可動する操作レバーと、前記操作レバーの操作量を検出する検出部と、前記操作レバーに負荷を加えるレバー負荷部とを備えた操作入力装置に接続され、前記検出部からの検出値を入力し、前記レバー負荷部に前記操作レバーに加える負荷量を出力するコンピュータに実行させる操作入力装置用プログラムであって、
前記コンピュータに、前記操作レバーの可動範囲を前記レバー負荷部によって制限させる可動範囲制限手順、
を実行させる操作入力装置用プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載の操作入力装置用プログラムにおいて、
前記操作レバーが前記可動範囲制限手順によって制限された可動範囲内で操作されるときに、前記コンピュータに、前記検出部の検出値に基づいて前記レバー負荷部によって前記操作レバーに負荷を加えさせる可動範囲負荷手順を実行させること、
を特徴とする操作入力装置用プログラム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の操作入力装置用プログラムにおいて、
前記操作入力装置は、乗り物の操縦を模擬したゲーム又はシミュレーションの操作系であり、
前記可動範囲制限手順は、前記乗り物の操作系を模擬するように、前記操作レバーの可動範囲を制限すること、
を特徴とする操作入力装置用プログラム。
【請求項4】
請求項3に記載の操作入力装置用プログラムにおいて、
前記操作入力装置は、ドライブゲーム又はドライブシミュレーションで模擬的に操縦する自動車の変速用のシフトレバーを模擬するものであり、
前記可動範囲制限手順は、前記シフトレバーの可動範囲を前記自動車の種類に応じて制限すること、
を特徴とする操作入力装置用プログラム。
【請求項5】
多自由度に可動する操作レバーと、
前記操作レバーの操作量を検出する検出部と、
前記操作レバーに負荷を加えるレバー負荷部と、
前記検出部からの検出値を入力し、前記レバー負荷部に前記操作レバーの負荷量を出力する演算部とを備え、
前記演算部は、前記操作レバーの可動範囲を前記レバー負荷部によって制限すること、
を特徴とする操作入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−200140(P2008−200140A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−37122(P2007−37122)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】