説明

操作子及びスイッチ装置

【課題】 透光部と不透光部とを有するのに、製造に費用がかからず、コストの低減ができる操作子、及びそれを用いたスイッチ装置を提供する。
【解決手段】 操作子34の、半透明の材料の肉厚t2を大きくして不透光部41を形成し、それと一体に、同半透明の材料の肉厚t1を小さくして透光部39,40を形成する。かくして、操作子34の製造に費用がかからず、操作子34並びにそれを使用するスイッチ装置のコストの低減が所望にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光部を有する操作子及びそれを用いたスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば車両用等のスイッチ装置においては、透光部を有する操作子が用いられている。このスイッチ装置における操作子は、使用者により操作されることによって、接点を開閉させるなど、スイッチ要素を応動させるようになっており、そして、そのスイッチ要素の応動、もしくは車両の電源投入に合わせて、発光ダイオード(以下、LEDと称す)など発光体が発光することで、その光が操作子の透光部から透過され、該透光部に貼着された表示シートの透光表示部が照明されるようになっている。
【0003】
しかして、操作子は、透光部以外の部分が不透光部であり、従来、その不透光部はABS樹脂など不透明の材料により形成され、透光部がポリカーボネートなど透明の材料により形成されて、不透光部の開口部に透光部を別部品として組み付ける、又は不透光部と透光部とを一体に成形(二色成形)することにより、製造されるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように製造される従来の操作子は、不透光部と透光部とを別々の材料で別個に形成して、その後にそれらを組み合わせる、又は不透光部と透光部とを別々の材料で一体に成形するという点で、製造に費用がかかり、コスト高となっていた。
【0005】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、透光部と不透光部とを有するのに、製造に費用がかからず、コストの低減ができる操作子及びそれを用いたスイッチ装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の操作子は、被操作部材を操作するものであって、半透明の材料により、肉厚を大きくして形成した不透光部と、この不透光部と一体に、前記半透明の材料により、肉厚を小さくして形成した透光部とを具備して成ることを特徴とする。
【0007】
本発明のスイッチ装置は、上記構成の操作子と、この操作子の操作に応動するスイッチ要素と、発光体とを具備し、前記発光体の発した光を前記操作子の透光部から透過させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記構成の操作子及びスイッチ装置によれば、操作子が同一の半透明の材料により肉厚を異ならせるだけで不透光部と透光部とを一体に有するようにできるものであり、それによって、操作子の製造に費用がかからず、コストの低減ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を車両用、特には工事車両用のスイッチ装置に適用した第1実施例(第1の実施形態)につき、図1ないし図4を参照して説明する。
まず、図3には、工事車両用のスイッチ装置1を全体的に示しており、コネクタハウジング2に、上方より、スイッチボディ3を被合して爪4により結合している。コネクタハウジング2上(スイッチボディ3内)にはインシュレータ5を載置して固着しており、インシュレータ5には、図4に示すように、上面部に固定コンタクト6を埋設し、この固定コンタクト6と一体のコネクト端子7を、インシュレータ5を下方へ貫通させて、コネクタハウジング2の内部に突入させている。
なお、コネクタハウジング2内の奥周囲部には、図示しない相手コネクタを結合するときの密封のための弾性材から成るシール部材8を装設している。
【0010】
一方、インシュレータ5の上面には、図3に示すように、3つの節度谷9,10,11を要する節度部12と、これの左右両側に位置する2つのライト保持部13,14とを一体に形成しており、そのうちのライト保持部13,14にそれぞれ発光体である発光ダイオード15,16のリード15a,16aを添わせて、ライト保持部13,14上にLED15,16を配設している。
【0011】
これに対して、前記スイッチボディ3は、上部に左右2つのライト通し孔17,18を有しており、このライト通し孔17,18に上記LED15,16を下方から通して上方へ突出させている。又、スイッチボディ3には、ライト通し孔17,18に対してそれぞれ透明のライトキャップ19,20を上方より装着し、このライトキャップ19,20にてLED15,16を覆っている。
【0012】
更に、スイッチボディ3には、ライトキャップ19,20装着部間の中央部において、ディテントホルダ21を、図4に示す軸部22,23によって、左右方向(図4では紙面と直交する方向)に回動可能に取付け支持している。このディテントホルダ21は、上記軸部22,23によって支持された部分の下方に筒部24を有し、この筒部24にスプリング25と球状の節度ピース26とを収納して、スプリング25の弾発力により、節度ピース26を前記節度谷9〜11のいずれか一つ(図3に示す例では、中央の節度谷10)に係合させている。
【0013】
又、ディテントホルダ21は、筒部24の前後両側に図4に示す2つのアーム部27,28を有しており、この場合、そのうちの前側(図4では左側)のアーム部27にコンタクトホルダ29を孔部30により嵌合して組み付けている。コンタクトホルダ29は孔部30の左右両側(図4では紙面と直交する方向の両側)に図示しない穴部を複数有し(1つのみ図示)、この穴部にそれぞれスプリング31を収納して、このスプリング31の弾発力により、コンタクトホルダ29の下端部に具えた可動コンタクト32を前記固定コンタクト6が存在するインシュレータ5の上面に圧接させている。
【0014】
更に、ディテントホルダ21は、筒部24の上方(前記軸部22,23によって支持された部分の間)に図3に示す操作子取付部33を有しており、この操作子取付部33に操作子34の取付部35を上方より挿入して爪36により結合している。
【0015】
さて、操作子34は、図1及び図2にも示すように、上記取付部35の左右両側に操作部37,38を有するもので、その操作部37,38は上面が左右の外方ほどせり上がる斜面状を成しており、その操作部37,38にそれぞれ透光部39,40を有し、それ以外の部分が不透光部41となっている。
【0016】
ここで、操作子34は、全部を半透明の材料により形成したもので、その半透明の材料には例えばポリカーボネートに黒色の顔料を混入して成るものを使用している。この半透明の材料により操作子34を型成形、特には射出成形し、その折り、不透光部41の肉厚t2を大きくして不透光性にし、透光部39,40の肉厚t1を小さくして透光性にしている。具体的には、不透光部41の肉厚t2を例えば3〔mm〕とし、透光部39,40の肉厚t1を0.7〔mm〕としている。
【0017】
更に、透光部39,40上には、透光性の表示シート42,43を貼着している。この表示シート42,43は、操作子34の操作対象を表示するもので、その操作対象の絵表示又は記号表示等を表示部42a,43aにて透光表示するようになっており、その各表示部42a,43a以外の部分は不透光性を有している。又、操作子34の表示シート42,43を貼着した部分は、それぞれ、表示シート42,43の大きさ及びシート厚相当深さの凹部44,45としており、この凹部44,45に表示シート42,43を貼着することにより、表示シート42,43は操作子34の上面と面一になっている。
【0018】
そして、スイッチボディ3の上縁部には、それを包囲する環状シール46を装着している。この環状シール46は、内周縁部にリップ部46aを有し、これを操作子34の外周部に接触させ、該操作子34とスイッチボディ3との間の密封をするようにしている。
【0019】
スイッチ装置1は以上の構成であり、図3に示す状態から、操作子34の操作部37を上方より押圧操作すれば、操作子34と一体にディテントホルダ21が軸部22,23を中心に反時計回りに回動し、コンタクトホルダ29を図3で右方向に移動させる。これにより、可動コンタクト32が固定コンタクト6の存在するインシュレータ5の上面を同方向に移動されて、固定コンタクト6に対する接触状態を切換える。又、このとき、図3で左側のLED15が発光し、その光がライトキャップ19を透過し、更に、操作子34の透光部39から表示シート42の表示部42aを透過して、該表示部42aを照明する。加えて、このとき、節度ピース26が中央の節度谷10から図3で右側の節度谷11に移動してそれと係合し、このときの状態を保持する。
【0020】
しかして、その状態から、操作子34の操作部38を上方より押圧操作すれば、操作子34と一体にディテントホルダ21が軸部22,23を中心に時計回りに回動し、コンタクトホルダ29を図3で左方向に移動させる。これにより、可動コンタクト32が固定コンタクト6の存在するインシュレータ5の上面を同方向に移動されて、固定コンタクト6に対する接触状態を元に戻す。又、このとき、前記LED15が消光し、操作子34の透光部39を透しての表示シート42の表示部42aの照明を停止する。加えて、このとき、節度ピース26が図3で右側の節度谷11から中央の節度谷10に戻されてそれと係合し、このときの状態を保持する。
【0021】
そして、その状態から、更に操作子34の操作部38を上方より押圧操作すれば、操作子34と一体にディテントホルダ21が軸部22,23を中心に更に時計回りに回動し、コンタクトホルダ29を図3で更に左方向に移動させる。これにより、可動コンタクト32が固定コンタクト6の存在するインシュレータ5の上面を更に同方向に移動されて、固定コンタクト6に対する接触状態を切換える。又、このとき、図3で右側のLED16が発光し、その光がライトキャップ20を透過し、更に、操作子34の透光部40から表示シート43の表示部43aを透過して、該表示部43aを照明する。加えて、このとき、節度ピース26が中央の節度谷10から図3で左側の節度谷9に移動してそれと係合し、このときの状態を保持する。
【0022】
又、その状態から、操作子34の操作部37を上方より押圧操作すれば、操作子34と一体にディテントホルダ21が軸部22,23を中心に反時計回りに回動し、コンタクトホルダ29を図3で左方向に移動させる。これにより、可動コンタクト32が固定コンタクト6の存在するインシュレータ5の上面を同方向に移動されて、固定コンタクト6に対する接触状態を元に戻す。又、このとき、前記LED16が消光し、操作子34の透光部40を透しての表示シート43の表示部43aの照明を停止する。加えて、このとき、節度ピース26が図3で左側の節度谷9から中央の節度谷10に戻されてそれと係合し、このときの状態を保持する。
【0023】
なお、以上の記載から明らかなように、ディテントホルダ21は操作子34によって操作される被操作部材であり、コンタクトホルダ29、可動コンタクト32、及び節度ピース26も、間接的ではあるが、操作子34によって操作される被操作部材である。
又、可動コンタクト32と固定コンタクト6は、スイッチ装置1の接点を構成するものであって、要するに、スイッチ要素として機能するものである。
【0024】
そして、そのようなスイッチ装置1において、操作子34は、前述のように、半透明の材料の肉厚を大きくして不透光部41を形成し、それと一体に、同半透明の材料の肉厚を小さくして透光部39,40を形成している。かくして、従来の、不透光部と透光部とを別々の材料で別個に形成して、その後にそれらを組み合わせる、又は不透光部と透光部とを別々の材料で一体に成形していたものに比し、操作子34の製造に費用がかからず、操作子34並びにそれを使用するスイッチ装置1のコストの低減が所望にできる。
【0025】
なお、操作子34とスイッチボディ3との間の密封をするについては、スイッチボディ3から操作子34の全体を袋状のシールカバーで覆うことも考えられるが、しかし、そのものでは、操作子34の透光部39,40までがシールカバーで覆われて、透光する意味がなくなる。又、操作子34の全体を覆った袋状のシールカバーにより、操作子34の操作部37(操作部38)を押圧操作しても、それに伴う操作部38(操作部37)の上昇がシールカバーで妨げられて、操作部38(操作部37)が上昇し切れず、従って、操作部37(操作部38)の押圧もし切れずに、最悪の場合、戻ってしまうなど、操作子34の操作性に支障を来たしてしまう。
【0026】
それに対して、本構成のものでは、環状シール46にて、操作子34とスイッチボディ3との間の密封をするようにしており、操作子34の透光部39,40までを覆うことがないので、透光する意味を失うことがない。又、操作子34の操作にも悪影響を及ぼさず、操作性を良好に確保できる。
【0027】
以上に対して、図5及び図6は本発明の第2及び第3実施例(第2ないし第3の実施形態)を示すもので、それぞれ、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。
【0028】
[第2実施例]
図5に示す第2実施例においては、スイッチ装置1の前記節度部12に代えて、中央部に一つの谷部51のみを有する節度部52を設けており、このものでは、操作子34を操作部37又は操作部38を操作するたびに、節度ピース26が谷部51から右側の斜面53又は左側の斜面54を昇り、操作部37又は操作部38の操作を解除したところで、節度ピース26が谷部51の最深部へ戻ることにより、操作子34も操作前の状態に戻る。
【0029】
[第3実施例]
図6に示す第3実施例においては、スイッチ装置1の上記節度部52とも更に代えて、中央部と右側とにそれぞれ谷部61,62を有する節度部63を設けており、このものでは、操作子34の操作部37を操作したときには、第1実施例同様に、節度ピース26が中央の谷部61から右側の谷部62に移動してそれと係合し、このときの状態を保持するが、操作部38を操作したときには、節度ピース26が中央の谷部61から左側の斜面64を昇って、操作部38の操作を解除したところで、節度ピース26が谷部61の最深部へ戻ることにより、操作子34も操作前の状態に戻る。
【0030】
このように、本構成のスイッチ装置1は、節度ピースに対応する節度部を形状の異なるものに変えることにより、操作子34の操作態様の異なるものを容易に得ることができる。
なお、節度部は形状の更に異なるものに変えることにより、操作子34の操作態様の更に異なるものを得ることができる。
【0031】
又、操作子34は、スイッチ装置1の内部構造を操作するものに限られず、それ以外の操作をするものであっても良い。
そのほか、本発明は上記し且つ図面に示した実施例にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施例を示す操作子単体の縦断正面図
【図2】操作子単体の分解斜視図
【図3】スイッチ装置の縦断正面図
【図4】スイッチ装置の縦断側面図
【図5】本発明の第2実施例を示す図3相当図
【図6】本発明の第3実施例を示す図3相当図
【符号の説明】
【0033】
図面中、1はスイッチ装置、6は固定コンタクト(スイッチ要素)、15,16はLED(発光体)、21はディテントホルダ(被操作部材)、20はコンタクトホルダ(被操作部材)、26は節度ピース(被操作部材)、32は可動コンタクト(被操作部材、スイッチ要素)、34は操作子、39,40は透光部、41は不透光部、t1は透光部の肉厚、t2は不透光部の肉厚を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被操作部材を操作するものであって、
半透明の材料により、肉厚を大きくして形成した不透光部と、
この不透光部と一体に、前記半透明の材料により、肉厚を小さくして形成した透光部とを具備して成ることを特徴とする操作子。
【請求項2】
請求項1記載の操作子と、
この操作子の操作に応動するスイッチ要素と、
発光体とを具備し、
前記発光体の発した光を前記操作子の透光部から透過させるようにしたことを特徴とするスイッチ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−42438(P2007−42438A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−225417(P2005−225417)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(591111503)東海理化販売株式会社 (4)
【Fターム(参考)】