説明

操作表示装置および操作表示方法

【課題】タッチパネル式の操作表示装置の操作性を向上させる。
【解決手段】画像を表示する表示パネル3−11と、表示パネル3−11上に取り付けられたタッチパネル3−14と、タッチパネル3−14上の押下位置と、タッチパネル3−14に対する押下の強度とを検出する入出力制御部3−8と、強度が予め定められた閾値より大きい場合に、押下位置に応じて予め定められた第1機能を実行し、強度が閾値以下の場合に、押下位置に応じて予め定められた第2機能を実行するCPU3−1と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作表示装置および操作表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multi Function Peripheral)の操作パネルなどは、解像度がPC(パーソナルコンピュータ)などと比べて一般に小さいため、画面の中に多数のアイコンやボタンを並べることができない。また、良好な操作性を得るために入力手段にタッチパネルを採用することが多いが、その場合、1つのアイコンやボタンに複数の動作を割り付けることが難しい。従って、ある機能を実現するための操作階層が深くなったり、複数の入力手段を選択させることが難しくなったりすることにより、操作する上での使い勝手が悪化する。
【0003】
例えば、表示したアイコンやボタンに関連付けられた機能や動作の説明を表示するために、マウスの右クリックのような入力方法を取ることはタッチパネル方式の操作パネルでは困難である。
【0004】
特許文献1には、各種操作に対応した複数の機能キーが表示された表示部の表面がタッチパネルで構成され、複数の機能キーのうち、少なくとも1つがヘルプキーであるタッチパネル式の操作表示装置が提案されている。この操作表示装置では、ヘルプキーを押下した状態で、複数の機能キーのうち、第一機能キーを押下すると、該第一機能キーのヘルプ画面が表示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、タッチパネル式の入力装置での使い勝手が十分に改善されていないという問題があった。例えば、特定のボタン(ヘルプキー)が追加されているため、1画面中により多くの機能を提示させることができなくなる。また、ヘルプキーおよび機能キーの複数箇所を同時に押下する必要があるため、使い勝手が悪化するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、操作性を向上させることができるタッチパネル式の操作表示装置および操作表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画像を表示する表示部と、前記表示部上に取り付けられたタッチパネルと、前記タッチパネル上の押下位置と、前記タッチパネルに対する押下の強度とを検出する検出部と、前記強度が予め定められた閾値より大きい場合に、前記押下位置に応じて予め定められた第1機能を実行し、前記強度が前記閾値以下の場合に、前記押下位置に応じて予め定められた第2機能を実行する実行制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、画像を表示する表示部と、前記表示部上に取り付けられたタッチパネルと、を備える操作表示装置で実行される操作表示方法であって、前記タッチパネル上の押下位置と、前記タッチパネルに対する押下の強度とを検出する検出ステップと、前記強度が予め定められた閾値より大きい場合に、前記押下位置に応じて予め定められた第1機能を実行し、前記強度が前記閾値以下の場合に、前記押下位置に応じて予め定められた第2機能を実行する制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、タッチパネル式の操作表示装置の操作性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、第1の実施形態の操作表示装置を備える画像形成装置の全体構成を示す図である。
【図2】図2は、第1の実施形態の画像形成装置の構成例を示す図である。
【図3】図3は、タッチパネルの詳細について説明する図である。
【図4】図4は、タッチパネルの押下強度の検知レベルによって異なる動作を実施する例について説明する図である。
【図5】図5は、タッチパネルの押下強度の検知レベルによって異なる動作を実施する例について説明する図である。
【図6】図6は、機能ボタンを弱く押した場合の他の動作例について説明する図である。
【図7】図7は、第1の実施形態にかかる画像形成装置による表示処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、選択画面の一例を示す図である。
【図9】図9は、タッチパネルを押下したまま動作選択指示を受け付ける場合の処理を示すフローチャートである。
【図10】図10は、押下強度に応じて異なる設定画面を提示させる方法について説明する図である。
【図11】図11は、押下レベルに応じて画像の移動と拡大動作を使い分ける例について説明する図である。
【図12】図12は、押下レベルに応じて画像の移動と拡大動作を使い分ける例について説明する図である。
【図13】図13は、第2の実施形態の画像形成装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる操作表示装置および操作表示方法の一実施形態を詳細に説明する。以下では、操作表示装置を備えるMFPなどの画像形成装置を例に説明するが適用可能な装置は画像形成装置に限られるものではない。
【0012】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の画像形成装置は、タッチパネルの押下レベルを強弱2段階で検出可能とし、同じ座標に対する押下指示であっても、2通りの入力を得ることが可能な構成とする。これにより、アイコン、ボタンおよびキーなどのような、指定または選択可能な画像であるシンボル1つに2つの処理を割り当てることができる。例えば、強く押下された時にはそのボタン自体の機能を動作させ、弱く押下された時には別の動作をさせるように制御することができる。
【0013】
図1は、第1の実施形態の操作表示装置を備える画像形成装置の全体構成を示す図である。第1の実施形態の画像形成装置は、本体部であるシステムコントローラ1と、スキャナ部2と、操作パネル3と、ARDF(Auto Reverse Document Feeder)4と、を備える。
【0014】
メインシステムであるシステムコントローラ1は、画像形成装置の全体を制御する。また、システムコントローラ1は、操作パネル3を介して操作者からの動作実行指示を受けた場合、指示内容に応じた処理を実行する。例えば、スキャナ部2で読み込まれた原稿の画像形成を行う。操作パネル3は、システムコントローラ1からの指示に従い、表示パネル(図示せず)にメニュー画面の各種操作画面を表示する。また、操作パネル3は、操作者から動作実行指示を受けた場合には、その指示内容をシステムコントローラ1へ通知する。
【0015】
図2は、第1の実施形態の画像形成装置の構成例を示す図である。図2では、第1の実施形態の画像形成装置が、媒体上に画像を形成して出力するプロッタ部6と、スキャナ部2およびプロッタ部6を制御するエンジン制御部5とをさらに備えることを示している。
【0016】
システムコントローラ1は、CPU(Central Processing Unit)3−1と、ROM(Read Only Memory)/RAM(Random Access Memory)3−2と、HDD(ハードディスクドライブ)3−3と、USB(Universal Serial Bus) HOST3−4とを備えている。
【0017】
CPU3−1は、画像形成装置内部の情報を管理し制御する。ROM/RAM3−2は、システムコントローラ用CPU制御プログラムおよびワークデータなどを格納するための記憶部である。HDD3−3は、システムコントローラ用CPUプログラムおよび画像データなどを格納するための記憶部である。USB HOST3−4は、操作パネル3との通信用インターフェースである。
【0018】
操作パネル3は、パネル制御部3−5と、液晶ディスプレイなどで実現される表示部としての表示パネル3−11と、LED3−12と、キー入力部3−13と、タッチパネル3−14とを備えている。パネル制御部3−5は、外部(操作者)に向けて表示する各種操作画面のデータ生成などを行う。表示パネル3−11は、パネル制御部3−5により生成された操作画面データに応じた操作画面を表示する。LED3−12は、画像形成装置の動作状態などを外部に知らせるための出力部である。タッチパネル3−14は、操作者からの動作実行指示を受け付ける。
【0019】
パネル制御部3−5は、さらにCPU3−6と、USB I/F3−9と、ROM3−10aと、RAM3−10bとを備えている。
【0020】
CPU3−6は、操作画面管理アプリケーションを実行する操作パネル用のCPUである。USB I/F3−9は、システムコントローラ1のUSB HOST3−4との間で各種情報を送受信するUSB通信用のインターフェースである。ROM3−10aは、操作パネル用CPU制御プログラム、および、操作画面表示用の画面構成データなどを格納する記憶部である。RAM3−10bは、ワークデータなどを格納する記憶部である。
【0021】
CPU3−6では、操作画面管理を行うアプリケーションを実行することによって、表示パネル3−11を制御する表示制御部3−7と、各種入出力部(LED3−12、キー入力部3−13、タッチパネル3−14)を制御する入出力制御部3−8と、が実現されている。
【0022】
システムコントローラ1は、画像形成装置の状態に応じた操作画面を表示させるため、画像形成装置の持つ複数の機能アプリケーションのうち操作パネル3に表示して操作可能とするアプリケーションを指定する。システムコントローラ1は、USB HOST3−4を通じて操作パネル3のCPU3−6に対して、操作可能とするアプリケーションを特定するための情報である表示内容指示情報を送信する。また、システムコントローラ1は、表示内容指示情報とともに、給紙トレイ内の用紙残量、トナー残量、および周辺機接続情報などの機器情報もUSB HOST3−4を通じて操作パネル3のCPU3−6に送信する。
【0023】
操作パネル3内のCPU3−6上では操作画面管理アプリケーションが実行されている。操作画面管理アプリケーションは、システムコントローラ1から送信された表示内容指示情報を元に、ROM3−10aから画面構成データを読み出し、システムコントローラ1から送られてきた機器情報を反映して対応する表示画面を生成する。生成した表示画面はパネル制御部3−5内のRAM3−10bに一時格納され、CPU3−6内の表示制御部3−7がこれを再度読み出して表示パネル用データを出力し、表示パネル3−11上に操作画面が表示される。
【0024】
また、画像形成装置内の情報に応じてLED3−12の点灯可否情報もシステムコントローラ1から操作パネル3に送られ、LED3−12が点灯または消灯される。
【0025】
操作者からキー入力部3−13または画面上のタッチパネル3−14に入力があった場合、キー入力部3−13またはタッチパネル3−14から、キー番号、タッチパネル3−14上の座標(タッチパネル座標)などを表す電気信号がCPU3−6内の入出力制御部3−8に伝達され、CPU3−6の処理により、入力されたキー番号またはタッチパネル座標が認識される。
【0026】
このキー番号またはタッチパネル座標は、機器状態や画面表示に応じて決められたアクションを発生させる。例えば、コピー画面でスタートキーが押されればコピー開始のイベントが発生する。また、給紙トレイ変更ボタンがタッチされれば給紙トレイ変更のイベントが発生する。操作画面管理アプリケーションで上記イベントが発生すると、USB I/F3−9を通じてシステムコントローラ1のCPU3−1にイベント内容が送信される。システムコントローラ1のCPU3−1は、機器状態と受信したイベント内容とから、実施すべき処理内容を決定して実行する実行制御部として機能する。例えば、コピー動作の開始や、新たな画面構成データの操作パネル3への送信などの処理内容である。
【0027】
ここで、表示制御部3−7および入出力制御部3−8、またはこれらを含むCPU3−6は、システムコントローラ1のCPU3−1と一体になっている構成であっても構わない。また、通信インターフェースはUSB以外の通信手段であってもよい。さらに、本実施形態では、制御プログラム(操作画面管理アプリケーション)を実行するCPU3−6を用いる構成としているが、制御プログラムによる実行ユニット(CPU)を持たないデバイスとして実現しても構わない。また、システムコントローラ1と操作パネル3とを分割する構成としているが、両者を分割するか否かは、装置の形状、大きさ、およびシステム配置等により最適に決められるものであり、両者が一体となっている構成であってもよい。
【0028】
図3は、タッチパネル3−14の詳細について説明する図である。タッチパネル3−14は、表示パネル3−11の上面に重ねて配置される。操作者は、表示パネル3−11の表示内容(ボタンA〜Cなど)をタッチパネル3−14越しに視認することが可能となっている。タッチパネル3−14上の任意の箇所を押下すると、X,Y方向となる押下位置と、Z方向となる押下強度と、に対応した連続した値であるアナログ電圧値がそれぞれ発生し、操作パネル3のパネル制御部3−5の入出力制御部3−8に伝達される。入出力制御部3−8は、タッチパネル上の押下位置と、タッチパネルに対する押下強度とを検出する検出部として機能する。
【0029】
押下強度とは、タッチパネル3−14に対する押下の度合いを表すものである。押下強度は、タッチパネル方式に応じて、例えば、タッチパネル3−14から取得される抵抗値、またはタッチパネル3−14から取得される静電容量検出値等を利用して検知可能である。
【0030】
X,Y,Z方向のそれぞれの値が同時に読み取り可能か、設定によりいずれかの値の読み取りが可能かはタッチパネル3−14の構成による。
【0031】
ここで、発生したアナログ電圧値をパネル制御部3−5以外のデバイスで検知して、デジタルデータに変換してパネル制御部3−5に送信する構成としてもよい。
【0032】
パネル制御部3−5は、検出したアナログ電圧値、または上記外付けデバイスからのデジタルデータを表示エリア上のX,Y,Z各座標値に変換し、システムコントローラ1のCPU3−1に座標値を送信する。
【0033】
なお、X,Y座標値は表示パネル3−11の解像度に合わせた値とするのが利用しやすい。例えば、X方向の表示解像度が800ドットであれば、タッチパネル検出座標値は、検知されたアナログ電圧値を元に0〜800としてCPU3−1に送信する。また、Z座標値に関しては、操作者が押下する力を数レベル以上に的確に押し分けるのは一般に困難であるので、(1)押下されていない、(2)軽く押下されている、(3)強く押下されている、の3段階(押下されている状態としては2段階)とするのが適切である。
【0034】
図4および図5は、タッチパネルの押下強度の検知レベルによって異なる動作を実施する例について説明する図である。図4および図5の画面401は、選択可能な機能であるコピー機能、ファックス機能、および、スキャナ機能にそれぞれ対応するコピーボタン411、ファックスボタン412、およびスキャナボタン413が表示された操作画面の一例を表している。
【0035】
図4の画面402は、スキャナボタン413を強く押下した場合に表示される操作画面の一例を表している。すなわち、画面402は、スキャナボタン413を強く押下した場合に、スキャナボタン413に割り当てられた機能であるスキャナ機能が実行され、スキャナ機能の最初の処理として、各種設定(読み取り設定、保存先設定など)のためのスキャナ機能の操作画面が表示されることを表している。なお、スキャナボタン413が強く押下された場合の処理はこれに限られるものではなく、ボタンに割り当てられた機能を実行するものであればあらゆる処理を適用できる。例えば、事前に設定された条件でスキャナ部2によるスキャンを直ちに開始するように構成してもよい。
【0036】
一方、図5の画面502は、スキャナボタン413を弱く押下した場合に表示される操作画面の一例を表している。すなわち、画面502は、スキャナボタン413を弱く押下した場合に、スキャナボタン413に割り当てられた機能であるスキャナ機能を説明するための機能説明画面が表示されることを表している。なお、スキャナボタン413が弱く押下された場合の処理はこれに限られるものではなく、強く押下された場合と異なる機能を実行するものであればあらゆる処理を適用できる。
【0037】
図6は、機能ボタンを弱く押した場合の他の動作例について説明する図である。図6の画面602は、スキャナボタン413を弱く押下した場合に表示される操作画面の別の例を表している。画面602は、スキャナボタン413を弱く押下した場合に、スキャナボタン413に割り当てられたスキャナ機能の操作画面のプレビューが、通常と異なる表示態様(ハーフトーンなど)で表示されることを表している。より具体的には、画面602では、スキャナボタン413を弱く押したとき、スキャナボタン413以外のボタン(コピーボタン411およびファックスボタン412)を消去し、その上で実際のスキャナ機能の操作画面のプレビューが薄く表示されている。なお、このとき、スキャナボタン413とスキャナ機能の他のボタンが重なって表示されても構わない。
【0038】
このような構成により、ボタンに割り当てられた機能を実行する場合に、どのようなボタンを操作する必要があるかを事前に知ることが可能となる。
【0039】
図7は、第1の実施形態にかかる画像形成装置による表示処理の一例を示すフローチャートである。以下では、図4、図5および図7を用いて、画面401でスキャナボタン413が押下された場合を例に説明する。
【0040】
操作者が、スキャナボタン413を押下すると、タッチパネル3−14上でアナログ電圧値が変化する。入出力制御部3−8は、このアナログ電圧値を検知することにより押下イベントを検知し(ステップS101)、座標検出動作を開始する(ステップS102)。座標検出動作時には、入出力制御部3−8は、タッチパネル3−14との電気的に接続される組み合わせを変更し、X,Y,Z各方向のアナログ電圧値を検出してこれらの値から演算により表示パネル3−11上の座標値を求める。すなわち、例えば1つのA/Dコンバータを利用してX,Y,Z方向の座標を検出する場合、入出力制御部3−8は、検出する方向それぞれに対応する経路に切り換えながらA/Dコンバータに接続し、検出する方向のアナログ電圧値を検出する。
【0041】
ここでZ座標は、押下強度を表し、Z、L、Hの3段階の値を持つ。Zは押下されていない状態、Lは弱く押下されている状態、Hは強く押下されている状態を示す。ここでZ,L,Hで表現している3状態は、実際のシステム上では0,1,2などの数値で扱われることが多い。
【0042】
入出力制御部3−8は、例えばZ方向のアナログ電圧値が略0(予め定められた閾値T1より小さい)の場合に押下強度をZとする。また、入出力制御部3−8は、例えばZ方向のアナログ電圧値が予め定められた閾値(例えばT2(T2>T1))より小さい場合に押下強度をLとし、Z方向のアナログ電圧値が当該閾値(T2)以上の場合に押下強度をHとする。
【0043】
入出力制御部3−8は、X,Y,Z座標値をシステムコントローラ1上のCPU3−1に送信する。CPU3−1上で実行される制御プログラム(以下、単にCPU3−1という)が、表示画像データと、受信したX,Y,Z座標値(以下、入力座標値という)とを比較する(ステップS103)。
【0044】
CPU3−1は、入力座標値のうちXおよびY座標値が、表示画面上のボタンの表示領域、すなわち押下されることにより所定の機能が実行される座標範囲内(機能応答範囲内)であるか否かを判断する(ステップS104)。範囲内でなかった場合(ステップS104:No)、ステップS101に戻り処理を繰り返す。範囲内であった場合(ステップS104:Yes)、該当する座標値(XおよびY座標値)に対応するボタン機能が選択され、該当機能およびZ座標値に応じた表示画面に更新される。
【0045】
すなわち、CPU3−1は、Z座標値がHであるか否か、すなわち強く押下された値を示すか否かを判断する(ステップS105)。Z座標値がHの場合(ステップS105:Yes)、スキャナ機能の実行が選択されたと判断し、図4に示すように、CPU3−1が、スキャナ機能を起動し、スキャナ機能を操作可能な画面402を表示し(ステップS106)、操作者の次の指示を待つ。
【0046】
Z座標値がHでない場合、すなわちZ座標値がLの場合(ステップS105:No)、該当ボタンの機能説明画面の表示が選択されたと判断し、図5に示すように、CUP3−1が、画面401に重ねるように、押下したボタンの機能説明が追加された機能説明画面(画面502)を表示する(ステップS107)。その後、CPU3−1は、画面から手を離す、または画面を再度押下する、などのタッチパネル3−14への入力変化(説明画面の消去イベント)が発生したか否かを判断する(ステップS108)。消去イベントが発生していない場合(ステップS108:No)は、発生するまで処理を繰り返す。消去イベントが発生した場合(ステップS108:Yes)、機能説明画面を消し(ステップS109)、再度図4または図5の画面402を表示し、操作者の指示を待つ。
【0047】
ここで、画面402でスキャナボタン413が弱く押下された場合の、別の画面遷移例での動作について図6を用いて説明する。
【0048】
スキャナボタン413上の座標位置でZ座標値がLの場合、すなわち弱く押された場合(ステップS105:No)、CPU3−1は、該当ボタン機能の操作画面プレビュー表示が選択されたと判断し、図6の画面602に示すように、スキャナ機能の操作画面が薄く表示され、弱く押下中のスキャナボタン413の表示も継続する。スキャナボタン413への押下が解除されると(ステップS108:Yes)、CPU3−1は、スキャナ機能への移行をキャンセルし、プレビュー中のスキャナ機能の操作画面を消去し、再度図4または図5の画面402を表示し、操作者の指示を待つ。なお、押下が解除されるとは、Z座標値が「Z(押下されていない状態)」となることを表す。
【0049】
スキャナ機能の操作画面のプレビュー中にスキャナボタン413が強く押下された場合(図7には図示せず)、CPU3−1は、スキャナ機能を選択し、スキャナボタン413の表示を消去すると共に、薄く表示していたスキャナ機能の操作画面を通常色に戻して操作可能であることを示し、次の操作を受け付ける。
【0050】
このように、第1の実施形態の画像形成装置(操作表示装置)では、タッチパネルの押下レベルを強弱2段階で検出し、押下強度に応じて定められたそれぞれ異なる機能を実行する。これにより、例えば操作パネルに表示されているボタンやアイコンの有する機能説明を表示させるために、離れた位置に存在する特定のボタン、例えばヘルプ機能ボタンを一度押下してから上記ボタンやアイコンを押下する等の煩雑な操作が不要となる。したがって、操作の追加や表示要素を増やすことが不要で、上記ボタンやアイコンを強く押すことで該当する機能動作を選択でき、弱く押した場合には該当するボタンやアイコンの機能説明画面を表示させることが可能となる。
【0051】
(変形例1)
第1の実施形態のように、ボタンを弱く押下して該当ボタンの機能説明を表示させる機能を有している操作表示装置では、強く押したつもりでも実際の押下する力が弱い場合や、Z座標判定時の閾値が適切でなかった場合には、誤って機能説明画面が表示される場合がある。この時に機能説明画面を一度消去して再度該当ボタンを押すことになると操作性が悪化する。変形例1では、この問題を回避するため、画面402でスキャナボタン413が弱く押下された場合に、機能説明画面の表示可否を選択させる選択画面を表示する。
【0052】
変形例1では、スキャナボタン413上の座標位置でZ座標値がL、すなわち弱く押された場合(ステップS105:No)、第1の実施形態と同様に該当ボタンの機能説明画面表示が選択されたと判断する。この後、変形例1では、CPU3−1は、直ちに機能説明画面を表示するのではなく、図8に示すように、ボタンの機能をそのまま実行するか、または、機能説明画面を表示するかを選択させる選択画面801を表示する。
【0053】
操作者は、表示された選択画面801に従い、いずれかの選択肢を再度押下する。押下位置が再び入出力制御部3−8からCPU3−1に送信され、CPU3−1が、表示画像データと入力座標値が比較され、選択結果に応じて、機能説明画面の表示または該当ボタン機能の処理を実行する。
【0054】
なお、選択画面801で、タッチパネル3−14を押下したまま動作選択指示を受け付けるように構成してもよい。図9は、タッチパネル3−14を押下したまま動作選択指示を受け付ける場合の処理を示すフローチャートである。
【0055】
CPU3−1は、スキャナボタン413が弱く押されたことを検知したときに(例えば図7のステップS105:No)、ボタンやタッチパネル3−14から手が離れることの検知を待たずに、図8のような選択画面801を表示する(ステップS201)。CPU3−1は、押下が継続中か否かを判断し(ステップS202)、継続中の場合は(ステップS202:Yes)、押下が解除されるまで処理を繰り返す。押下が継続中でないと判断した場合(ステップS202:No)、CPU3−1は、X,Y座標値が選択画面内の選択肢に対応する各検知エリア内でタッチパネル3−14からの押下状態が解除されたか否かを判断する(ステップS203)。検知エリア内で押下状態が解除された場合(ステップS203:Yes)には、CPU3−1は、押下状態が解除された位置のX,Y座標を、操作者の選択値として判断し、押下が解除された検知エリアに応じた処理を実行する(ステップS204)。すなわち、CPU3−1は、機能説明画面の表示、または該当ボタン機能の処理を実行する。
【0056】
選択画面内の検知エリア外で押下状態が解除された場合は(ステップS203:No)、押下イベント待ち(ステップS205)となり、CPU3−1は検知エリア内での押下検出を待つ。
【0057】
変形例1によれば、機能説明画面を表示する前に機能説明画面の表示可否を選択させる選択画面を表示させるため、機能説明を誤って選択するなどの操作ミスを防ぐことが可能となる。また、確認画面を一度表示させたときにタッチパネルに触れたまま確認画面での機能選択を終えることができるため、操作に必要な入力動作を低減させることが可能となる。
【0058】
(変形例2)
変形例2では、機能の設定値を入力するための設定画面として、タッチパネルの押下強度に応じて異なる設定画面を表示する例について説明する。図10は、押下強度に応じて異なる設定画面を提示させる方法について説明する図である。
【0059】
例えばコピー機能の操作画面で変倍機能を選択した場合に、図10の設定画面901のような画面が表示されることが多い。なお、使用頻度の高い倍率がボタンとして複数個並べられる画面が用いられる場合こともある。図10の設定画面901では、+ボタンおよび−ボタンにより、現在の値に対して変倍率を増減させる入力方法となっている。
【0060】
このような場合に、タッチパネル3−14の押下レベルを強弱2段階で検出する。そして、CPU3−1が、+ボタンまたは−ボタンが強く押下されたことを検知した場合には、設定倍率をそれぞれ所定の数値ずつ増減させ、その結果を画面に表示する。
【0061】
一方、CPU3−1が、+ボタンまたは−ボタンが弱く押下されたことを検知した場合には、図10の下部に示すような、設定可能な設定値をリスト表示した設定画面902を表示する。そして、CPU3−1は、リストを上下になぞる動きを検出した場合には、リスト表示をそれぞれ上下にスクロールさせて新たな範囲の数値リストを表示する。また、CPU3−1は、図10の矢印で示されたリスト中央の線で囲まれた、またはハイライト表示などが施された数値エリアでタッチパネル3−14の押下が検出された場合、または、「OK」や「決定」と表示されたボタンエリア(図示せず)での押下が検出された場合、その結果を画面に表示し、該当の数値を設定値として保持する。
【0062】
変形例2によれば、ある設定を入力するボタンに対して強く押下したときと弱く押下した時で異なる設定画面を表示させ、操作者にとってより使いやすい入力方法を選択的に提供することが可能となる。
【0063】
(変形例3)
変形例3では、押下レベルに応じて画像の移動と拡大動作を使い分ける例について説明する。図11および図12は、押下レベルに応じて画像の移動と拡大動作を使い分ける例について説明する図である。
【0064】
図11および図12は、スキャナ機能の読み取り画像のプレビューを確認するための確認画面1101の一例を示している。変形例3では、タッチパネル3−14の押下レベルを強弱2段階で検出することで、同じ座標に対する押下指示であっても、2通りの入力を得ることが可能な構成とする。すなわち、CPU3−1は、操作パネル3に表示した画像データ(画像プレビューなど)が強く押下された時には、押下位置を画面の中心とするように表示範囲を移動させる処理を実行する。図11は、確認画面1101内の「A」が押下された場合に、「A」が画面の中心に表示された確認画面1102が表示される例を示している。
【0065】
また、CPU3−1は、画像データが弱く押下された時には、押下されている間、押下箇所近傍の画像を拡大して表示する処理を実行する。図12は、確認画面1101内の「A」が押下された場合に、「A」の近傍の画像が拡大表示された確認画面1202が表示される例を示している。
【0066】
ここで、拡大画像の表示は、弱く押下している間だけとしてもよいし、一度弱く押下したら拡大表示を行い、再度画面を押下したら拡大表示を消去するように制御してもよい。
【0067】
変形例3によれば、弱く押下した時のみ該当座標周辺を拡大表示させることが可能となり、画像ファイルデータ表示時などで部分的に詳細な拡大表示を確認するための操作に必要な入力動作を低減させることが可能となる。
【0068】
(第2の実施形態)
これまでは、表示パネル3−11に機能説明画面を表示することにより、機能の説明を出力する例を説明した。第2の実施形態では、操作画面で表示されたボタンやアイコンの名称を音声読み上げする例について説明する。図13は、第2の実施形態の画像形成装置の構成例を示す図である。第2の実施形態では、操作パネル3bが音声出力部12−1を備える点、および、入出力制御部3−8bが音声出力部12−1からの音声出力処理を制御する機能をさらに有する点が、第1の実施形態と異なっている。
【0069】
CPU3−1は、強く押下された時にはそのボタン自体の機能を動作させ、弱く押下された時にはそのボタンに関係付けられた機能名または機能概略の音声データを記憶装置から入力し、入力した音声データを音声出力部12−1に送信するように入出力制御部3−8bに要求する。入出力制御部3−8bは、要求に応じて音声出力による読み上げ処理を実行する。音声データを記憶する記憶装置は、HDD3−3、ROM/RAM3−2、ROM3−10aおよびRAM3−10bなどを用いることができる。
【0070】
第2の実施形態によれば、弱く押下した時に該当するボタンやアイコンに紐付けられた名称や機能概略を音声出力として読み上げさせることが可能となり、視覚の不自由な操作者でも画面の中にどのような機能が配置されているかを認識することが可能となる。
【符号の説明】
【0071】
1 システムコントローラ
2 スキャナ部
3 操作パネル
4 ARDF
5 エンジン制御部
6 プロッタ部
3−1 CPU
3−2 ROM/RAM
3−3 HDD
3−4 USB HOST
3−5 パネル制御部
3−6 CPU
3−7 表示制御部
3−8 入出力制御部
3−9 USB I/F
3−10a ROM
3−10b RAM
3−11 表示パネル
3−12 LED
3−13 キー入力部
3−14 タッチパネル
12−1 音声出力部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】特開2008−73917号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部と、
前記表示部上に取り付けられたタッチパネルと、
前記タッチパネル上の押下位置と、前記タッチパネルに対する押下の強度とを検出する検出部と、
前記強度が予め定められた閾値より大きい場合に、前記押下位置に応じて予め定められた第1機能を実行し、前記強度が前記閾値以下の場合に、前記押下位置に応じて予め定められた第2機能を実行する実行制御部と、
を備えることを特徴とする操作表示装置。
【請求項2】
前記表示部は、予め定められた機能が割り当てられたシンボルを表示し、
前記実行制御部は、前記強度が前記閾値より大きい場合に、前記押下位置に表示されたシンボルに割り当てられた機能を表す前記第1機能を実行し、前記強度が前記閾値以下の場合に、前記押下位置に表示されたシンボルに割り当てられた機能の説明を出力することを表す前記第2機能を実行すること、
を特徴とする請求項1に記載の操作表示装置。
【請求項3】
前記実行制御部は、前記強度が前記閾値以下の場合に、前記押下位置に表示されたシンボルに割り当てられた機能の説明を前記表示部に表示することを表す前記第2機能を実行すること、
を特徴とする請求項2に記載の操作表示装置。
【請求項4】
前記実行制御部は、前記強度が前記閾値以下の場合に、前記第2機能を実行するか否かを選択させる選択画面を前記表示部に表示し、前記選択画面で前記第2機能を実行することが選択された場合に、前記押下位置に表示されたシンボルに割り当てられた機能の説明を前記表示部に表示することを表す前記第2機能を実行すること、
を特徴とする請求項2に記載の操作表示装置。
【請求項5】
前記検出部は、さらに押下が解除されたことを検出し、
前記実行制御部は、前記強度が前記閾値以下の場合に、前記第2機能を実行することを表すシンボルを含む前記選択画面を前記表示部に表示し、前記選択画面に含まれるシンボルが表示された位置で押下が解除されたことが検知された場合に、前記第2機能を実行すること、
を特徴とする請求項4に記載の操作表示装置。
【請求項6】
前記実行制御部は、前記強度が前記閾値以下の場合に、前記押下位置に表示されたシンボルに割り当てられた機能の説明を音声により出力することを表す前記第2機能を実行すること、
を特徴とする請求項2に記載の操作表示装置。
【請求項7】
前記表示部は、予め定められた機能が割り当てられたシンボルを表示し、
前記実行制御部は、前記強度が前記閾値より大きい場合に、前記押下位置に表示されたシンボルに割り当てられた機能を設定する第1設定画面を表示することを表す前記第1機能を実行し、前記強度が前記閾値以下の場合に、前記押下位置に表示されたシンボルに割り当てられた機能を設定する、前記第1設定画面と異なる第2設定画面を表示することを表す前記第2機能を実行すること、
を特徴とする請求項1に記載の操作表示装置。
【請求項8】
前記実行制御部は、前記強度が前記閾値より大きい場合に、前記押下位置の画像の前記表示部上の表示位置を移動することを表す前記第1機能を実行し、前記強度が前記閾値以下の場合に、前記押下位置の画像を拡大して前記表示部に表示することを表す前記第2機能を実行すること、
を特徴とする請求項1に記載の操作表示装置。
【請求項9】
画像を表示する表示部と、前記表示部上に取り付けられたタッチパネルと、を備える操作表示装置で実行される操作表示方法であって、
前記タッチパネル上の押下位置と、前記タッチパネルに対する押下の強度とを検出する検出ステップと、
前記強度が予め定められた閾値より大きい場合に、前記押下位置に応じて予め定められた第1機能を実行し、前記強度が前記閾値以下の場合に、前記押下位置に応じて予め定められた第2機能を実行する制御ステップと、
を含むことを特徴とする操作表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−43214(P2012−43214A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184257(P2010−184257)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】