説明

操作装置および操作装置の製造方法

【課題】基板とは独立した状態で、しかも、操作ノブとパネルとを予め組み合わせた状態で取扱うことのできる操作装置を提供する。
【解決手段】パネル2を、表示部12を含むパネル本体10と、パネル本体10とは別の遮光性を有する部材により形成されて照明用光源50cから表示部12への光路を囲む遮光部材30とで構成し、パネル本体10に、その裏側から操作ノブ20が挿入可能であってその挿入状態で操作ノブ20をスライド可能に保持するノブ保持部17を設け、遮光部材30に、遮光部材30が操作ノブ20の近傍位置でパネル本体10に取付けられるようにパネル本体10に係止される被係止部34と、被係止部34がパネル本体10に係止された状態で操作ノブ20のストロークを許容しながら操作ノブ20に裏側から当接することで操作ノブ20のノブ保持部17から裏側への離脱を阻止する離脱阻止部36aとを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルと、このパネルに取付けられる操作ノブとを備えた操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等には、インストゥルメントパネル等のパネルと、このパネルの裏側に設けられたスイッチ素子を操作するための操作ノブとを備えた操作装置が設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、パネルと、このパネルの裏側の基板に固定されたスイッチを操作するための操作ノブとを備えた装置が開示されている。この装置では、前記パネルにノブ挿入孔が設けられており、このノブ挿入孔内にパネルの裏側から前記操作ノブが挿入される。その後、前記基板が前記操作ノブの裏側に位置するように前記パネルに取付けられることにより、この基板と前記パネルとの間に前記操作ノブが挟み込まれる。そして、この操作ノブは、前記パネルの表側から押圧操作を受けることによりその操作方向に後退し、前記基板上のスイッチをオンにする。
【特許文献1】特開平8−222073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記パネルと操作ノブとを含む操作装置と、前記基板とはそれぞれ個別に納品される場合がある。ここで、前記従来の操作装置では、前記パネルに対して操作ノブが裏側から挿入されるのみであり、前記基板が前記パネルに取付けられない限り前記操作ノブの前記パネルの裏側への離脱が阻止されない。そのため、この操作装置を納品する際には、前記パネルと操作ノブとを個別に搬送せねばならない。このことは、当該搬送作業およびその後の組立作業を複雑にし、作業効率の向上を妨げる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み、基板とは独立した状態で、しかも、操作ノブとパネルとを予め組み合わせた状態で取扱うことのできる操作装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段として、本発明者等は、パネルを裏側から照明する場合に当該パネルに設けられる遮光部に着目した。具体的には、前記パネルが照明用光源により照明される表示部を有する場合には、前記表示部をより適切に照明するために、前記パネルに前記照明用光源から前記表示部への光路を囲む遮光部が設けられる場合がある。本発明は、このパネルの遮光部に着目し、その利用によって、基板を用いることなく前記操作ノブの前記パネルからの離脱を阻止して操作ノブのパネルへの固定を実現するものである。すなわち、本発明は、パネルと、押圧操作を受けることが可能となるように前記パネルに取付けられる操作ノブとを備えた操作装置であって、前記パネルは、透光性を有して照明用光源により裏側から照明されることが可能な表示部を含むパネル本体と、このパネル本体とは別の遮光性を有する部材により形成されて前記照明用光源から前記表示部への光路を囲むように前記パネル本体に取付けられる遮光部材とを有し、前記パネル本体は、その裏側から前記押圧操作方向と平行な方向に前記操作ノブが挿入可能な形状を有するとともにその挿入状態で当該操作ノブをこの操作ノブが前記押圧操作方向にスライド可能となるように保持するノブ保持部を有し、前記遮光部材は、この遮光部材が前記ノブ保持部に前記操作ノブが挿入された状態において前記操作ノブの近傍位置で前記パネル本体に取付けられるようにこのパネル本体に係止される被係止部と、この被係止部が前記パネル本体に係止された状態で前記操作ノブの前記押圧操作方向のストロークを許容しながら当該操作ノブに裏側から当接することでこの操作ノブの前記ノブ保持部から裏側への離脱を阻止する離脱阻止部とを有することを特徴とする操作装置を提供する(請求項1)。
【0007】
この操作装置では、前記パネルにおけるパネル本体と前記光路を囲む遮光部材とが別部材として構成されており、前記パネル本体のノブ保持部に前記操作ノブを挿入した後に前記遮光部材を前記パネル本体に取付けることで、この遮光部材の離脱阻止部を前記操作ノブに裏側から当接させることができ、この離脱阻止部によって前記操作ノブの前記ノブ保持部から裏側への離脱を阻止することができる。ここで、前記ノブ保持部は前記操作ノブをこの操作ノブがスライド可能となるように保持し、前記離脱阻止部は前記操作ノブのストロークを許容しており、前記操作ノブは前記ノブ保持部から裏側への離脱を阻止されつつ押圧操作方向と平行にスライドすることができる。このように、この操作装置は、基板とは独立して、しかも、予めパネルと操作ノブとを組み合わせた状態で取扱われることができる。
【0008】
また、本発明において、前記離脱阻止部は、前記遮光部材が前記操作ノブの近傍位置で前記パネル本体に取付けられた状態において前記操作ノブ側に突出するとともに前記操作ノブの裏側端部に裏側から当接可能となる形状を有しているのが好ましい(請求項2)。
【0009】
このようにすれば、簡単な構造で前記操作ノブと前記離脱阻止部との当接ひいては操作ノブの離脱の阻止を実現することができる。
【0010】
また、本発明において、前記操作ノブは、前記遮光部材の近傍の複数の位置にそれぞれ取付けられ、前記遮光部材は、前記複数の操作ノブの前記パネルからの離脱をそれぞれ阻止する複数の離脱阻止部を有するのが好ましい(請求項3)。
【0011】
このようにすれば、共通の遮光部材を利用して複数の操作ノブを同時にパネル本体の裏側から拘束することができる。すなわち、簡単な構造で複数の操作ノブの離脱を防ぐことができる。
【0012】
また、本発明は、パネルと、押圧操作を受けることが可能となるように前記パネルに取付けられる操作ノブとを備えた操作装置を製造するための方法であって、前記パネルとして、透光性を有して照明用光源により裏側から照明されることが可能な表示部を含むパネル本体と、このパネル本体とは別の遮光性を有する部材により形成されるとともに前記照明用光源から前記表示部への光路を囲むように前記パネル本体に取付けられる遮光部材とを製造する工程と、前記パネル本体に対してその裏側から前記操作ノブを前記押圧操作方向と平行な方向に挿入して、前記パネル本体に前記操作ノブをこの操作ノブが前記押圧操作方向にスライド可能となるように保持させる工程と、前記パネル本体に前記操作ノブが取付けられた状態で前記遮光部材を前記操作ノブの近傍位置で前記パネル本体に取付ける工程とを含み、前記遮光部材を製造する工程では、前記遮光部材に、この遮光部材が前記パネル本体に取付けられた状態で前記操作ノブの前記押圧操作方向のストロークを許容しながら当該操作ノブに裏側から当接することでこの操作ノブの前記パネル本体からの裏側への離脱を阻止する離脱阻止部が形成されることを特徴とする操作装置の製造方法を提供する(請求項4)。
【0013】
この方法によれば、パネル本体と遮光部材とを別部材とした上で、前記パネル本体に前記操作ノブを取付けてから遮光部材を取付けるという手順をとることで、前記光路を囲むことによる前記パネルの適切な照明を実現しつつ、前記操作ノブの前記パネルからの離脱を阻止して、操作ノブとパネルとを容易に一体にすることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、基板とは独立した状態で、しかも、操作ノブとパネルとを予め組み合わせた状態で取扱うことのできる操作装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
ここでは、本発明に係る操作装置が車両に取付けられる場合について説明する。
【0017】
図1は、前記操作装置1が車両に取付けられた状態での概略斜視図であり、図2および図3はこの操作装置1とこの操作装置1に取付けられる基板40を合わせて示した図である。
【0018】
前記操作装置1は、パネル2と、第1操作ノブ(操作ノブ)20および第2操作ノブ(操作ノブ)120とを有している。この操作装置1は、LED(照明用光源)50a、50b、50cおよびスイッチ素子60、160が固定された前記基板40が取付けられた状態で車両に搭載される。
【0019】
前記LED50cは前記パネル2の後述する表示部12を照明するためのものである。前記LED50a、LED50bは前記第2操作ノブ20および第2操作ノブ120をそれぞれ照明するためのものである。前記スイッチ素子60、160は前記第1操作ノブ20および前記第2操作ノブ120にそれぞれ対応するものである。これらスイッチ素子60、160は、その表側面に設けられた被操作部62、162が前記第1操作ノブ20および第2操作ノブ120によってそれぞれ押圧操作されることで出力を変化させる。
【0020】
前記パネル2は、車両のインストゥルメントパネルの一部を構成するものである。このパネル2には、透光性を有し前記LED50cにより照明される表示部12が形成されている。ここで、この表示部12をより適切に照明するために、パネル2に前記LED50cの前記表示部12への光路の周囲を囲む遮光性を有する遮光部を設けることが考えられるが、本操作装置1のパネル2では、この遮光部がパネル本体10とは別に設けられている。すなわち、本パネル2は、透光性を有する部材で形成されたパネル本体10と、遮光性を有する部材で形成された遮光部材30とに分割されている。
【0021】
前記透光性を有する表示部12は前記パネル本体10に形成されている。具体的には、この表示部12は、透光性を有する部材で形成されたパネル本体10のうち表示部12を除く部分が遮光性を有する塗料で塗装されることで形成されている。この表示部12は、所定の文字あるいは図形で構成されており、前記LED50cからの光を受けてこの文字あるいは図形を照明表示する。
【0022】
前記パネル本体10には、前記表示部12の上方および下方にそれぞれ表裏に貫通する第1ノブ用孔14および第2ノブ用孔114が形成されている。前記第1ノブ用孔14は前記第1操作ノブ20が取付けられる部分であり、前記第2ノブ用孔114は前記第2操作ノブ120が取付けられる部分である。
【0023】
前記パネル本体10には、前記表示部12を囲む位置に、裏側に突出する遮光部材ガイド壁16が設けられている。この遮光部材ガイド壁16には、図4に示すように、その表裏に貫通する係止孔16aが形成されている。この係止孔16aは、前記遮光部材30の後述する被係止突起34を係止する部分であり、この係止孔16aに前記被係止突起34が係止されることでこのパネル本体10に遮光部材30が固定され、パネル2が形成される。前記遮光部材ガイド壁16の左右両壁には、前記パネル本体10の裏面から裏側に延びるスリット16bが形成されている。
【0024】
前記パネル本体10には、前記第1ノブ用孔14を囲む位置に裏側に突出する第1ノブ保持壁(ノブ保持部)17および前記第2ノブ用孔114を囲む位置に裏側に突出する第2ノブ保持壁(ノブ保持部)117が設けられている。
【0025】
前記第1ノブ保持壁17は、前記第1操作ノブ20が裏側からその内側に挿入可能な形状を有しており、この挿入状態で前記第1操作ノブ20をその押圧操作方向にスライド可能に保持する。この第1ノブ保持壁17には、パネル本体10の表側から裏側に延びるレール部17aが形成されている。このレール部17aは、前記第1操作ノブ20の後述するスライド突起25をパネル本体10と接離する方向に案内する。
【0026】
前記第2ノブ保持壁117は、前記第2操作ノブ120がその内側に挿入可能な形状を有しており、この挿入状態で前記第2操作ノブ120をその押圧操作方向にスライド可能に保持する。この第2ノブ保持壁117には、パネル本体10の表側から裏側に延びるレール部117aが形成されている。このレール部117aは、前記第2操作ノブ120の後述するスライド突起125をパネル本体10と接離する方向に案内する。
【0027】
前記第1操作ノブ20および第2操作ノブ120は、前記パネル本体10の表側から加えられる操作力を受けて前記スイッチ素子60、160をそれぞれ操作するものである。これら第1操作ノブ20および第2操作ノブ120は、この操作装置1に前記基板40が取付けられた状態で、前記パネル本体10と接離する方向にスライドして前記スイッチ素子60、160をそれぞれ押圧操作する。第1操作ノブ20および第2操作ノブ120は、ほぼ同様の構造を有しており、それぞれ、ノブ本体部21、121と、ボタン部22、122と、押圧部23、123と、スライド突起25、125とを備えている。
【0028】
前記ノブ本体部21、121は、裏側に開口する略直方体の箱状を有する部材である。すなわち、前記第1操作ノブ20のノブ本体部21は、右側に位置して上下方向に延びる右壁21aと、左側に位置して上下方向に延びる左壁21bと、この右壁21aと左壁21bとにわたって左右方向に延びる上壁21cと、前記上壁21cの下側に位置して前記右壁21aと左壁21bとにわたって左右方向に延びる下壁21dと、表側の表側壁21eとで構成されている。同様に、前記第2操作ノブ120のノブ本体部121は、右壁121aと左壁121bと上壁121cと下壁121dと表側壁121eとで構成されている。
【0029】
前記ボタン部22、122は、それぞれ前記パネル本体10の表側からの操作力を受ける部分である。前記第1操作ノブ20のボタン部22は、前記ノブ本体部21の表側壁21eから表側に突出する形状を有している。そして、このボタン部22は、第1操作ノブ20が前記第1ノブ保持壁17内に挿入された際に、前記第1ノブ用孔14に挿入されることで、前記操作力を受けることが可能なように前記パネル本体10の表側に露出する。同様に、前記第2操作ノブ120のボタン部122は、前記ノブ本体部121の表側壁121eから表側に突出する形状を有しており、第2操作ノブ120が前記第2ノブ保持壁117内に挿入された際に、前記第2ノブ用孔114に挿入されることで、前記操作力を受けることが可能なように前記パネル本体10の表側に露出する。
【0030】
ここで、前記第1ノブ用孔14の孔径および前記第2ノブ用孔114の孔径は、それぞれ、前記ボタン部22、122は挿通可能であるが前記ノブ本体部21、121は挿通不可能であるような大きさを有している。従って、前記第1操作ノブ20のボタン部22および第2操作ノブ120のボタン部122を前記第1ノブ用孔14および前記第2ノブ用孔114に裏側から挿入させていくと、図5に示すように、前記ノブ本体部21、121の表側壁21e、121eがこの第1ノブ用孔14および第2ノブ用孔114の周囲の壁と当接し、この第1操作ノブ20および第2操作ノブ120の表側への移動が規制されることになる。
【0031】
前記押圧部23、123は、前記ボタン部22、122に加えられた操作力を前記スイッチ素子60、160に伝達して前記スイッチ素子60、160の被操作部62、162をそれぞれ押圧する部分である。前記第1操作ノブ20の押圧部23は、前記ノブ本体部21の右壁21aおよび左壁21bから外側に突出する形状を有しており、その裏側面で前記被操作部62を押圧する。前記第2操作ノブ120の押圧部123は、前記ノブ本体部121の右壁21aおよび左壁21bから外側に突出する形状を有しており、その裏側面で前記被操作部162を押圧する。本実施形態では、前記押圧部23、123のうち前記被操作部62、162と接触する部分が略半円状に突出する形状で構成されており、より安定して前記被操作部62、162を押圧できるようになっている。
【0032】
前記スライド突起25、125は、前記第1ノブ保持壁17に形成されたレール部17aおよび前記第2ノブ保持壁117に形成されたレール部117aに沿ってそれぞれスライドする部分である。本実施形態では、第1操作ノブ20および第2操作ノブ120にそれぞれ3つのスライド突起25、125が設けられている。第1操作ノブ20のスライド突起25は、それぞれ前記ノブ本体部22の右壁21a、左壁21b、上壁21cからそれぞれ外側に突出し、パネル本体10の表裏方向に延びる形状を有している。一方、前記第2操作ノブ120のスライド突起125は、それぞれ前記ノブ本体部122の右壁121a、左壁121b、下壁121dからそれぞれ外側に突出し、パネル本体10の表裏方向に延びる形状を有している。
【0033】
前記パネル2のうち前記遮光部材30は、前記LED50cから前記表示部12への光路の周囲を囲むものである。この遮光部材30は、前記光路を囲む遮光部材本体部32と、被係止突起34と、第1離脱阻止部36a(離脱阻止部)と、第2離脱阻止部36b(離脱阻止部36)と、スライド突起38とを有している。これら遮光部材本体部32と被係止突起34と各離脱阻止部36a、36bとスライド突起38とは、遮光性を有する部材により一体に形成されている。
【0034】
前記遮光部材本体部32は、枠状部材であって、右側に位置して上下方向に延びる右壁32aと、左側に位置して上下方向に延びる左壁32bと、この右壁32aと左壁32bとにわたって左右方向に延びる上壁32cと、前記上壁32cの下側に位置して前記右壁32aと左壁32bとにわたって左右方向に延びる下壁32dとを有している。この遮光部材本体部32は、前記基板40が取付けられた状態で、この基板40上の前記LED50cをその内側に収容し、各壁32a、32b、32c、32dによりこのLED50cの光路を囲むことで、このLED50cの光が遮光部材本体部32の外部に漏洩するのを抑制する。
【0035】
前記被係止突起34は、前記遮光部材ガイド壁16に形成された係止孔16aに係止される部分である。この被係止突起34は、図7に示すように、前記遮光部材本体部32の下壁32dから下側に突出する形状を有している。この被係止突起34は、遮光部材本体部32が前記遮光部材ガイド壁16で囲まれた部分に配置された状態で前記係止孔16aに係止される。この係止により、前記遮光部材30は、前記パネル本体10の裏側であってこの遮光部材ガイド壁16aで囲まれた部分に固定される。
【0036】
前記第1離脱阻止部36aおよび第2離脱阻止部36bは、それぞれ前記第1ノブ保持壁17に挿入された状態の第1操作ノブ20および前記第2ノブ保持壁117に挿入された状態の第2操作ノブ120が、前記パネル本体10の裏側へ離脱するのを阻止するためのものである。
【0037】
前記第1離脱阻止部36aは、前記遮光部材本体部32の上壁32cの裏側端部から上方すなわち前記第1ノブ保持壁17に保持された前記第1操作ノブ20側に突出して、前記パネル本体10と略平行に延びる形状を有している。この第1離脱阻止部36aは、図6に示すように、前記第1操作ノブ20が前記第1ノブ保持壁17内に挿入されこの第1ノブ保持壁17に保持された状態で、この第1操作ノブ20に裏側から当接可能な位置に設けられている。そして、この第1離脱阻止部36aは、前記当接によって前記第1操作ノブ20が裏側すなわち前記パネル本体10から離間する方向に移動するのを規制する。具体的には、前記第1離脱阻止部36aは前記第1操作ノブ20の裏側端部である前記ノブ本体部21の下壁21dの裏側面に当接する。
【0038】
前記第2離脱阻止部36bは、前記遮光部材本体部32の下壁32dの裏側端部から下方すなわち前記第2ノブ保持壁117に保持された前記第2操作ノブ120側に突出して前記パネル本体10と略平行に延びる形状を有している。この第2離脱阻止部36bは、図6に示すように、前記第2操作ノブ120が前記第2ノブ保持壁117内に挿入されこの第2ノブ保持壁117に保持された状態で、この第2操作ノブ120に裏側から当接可能な位置に設けられている。そして、この第2離脱阻止部36bは、前記当接によって前記第2操作ノブ120が裏側すなわち前記パネル本体10から離間する方向に移動するのを規制する。具体的には、前記第2離脱阻止部36bは前記第2操作ノブ120の裏側端部である前記ノブ本体部121の上壁21cの裏側面に当接する。
【0039】
ここで、前記第1離脱阻止部36aおよび第2離脱阻止部36bは、図5に示すように、前記第1操作ノブ20と第2操作ノブ120が前記パネルに近接する方向にスライドした状態ではこれら第1操作ノブ20の下壁21dおよび第2操作ノブ120の上壁121cと離間する一方、図6に示すように、前記第1操作ノブ20と第2操作ノブ120が前記パネル本体10から離間する方向にスライドした状態ではこれら第1操作ノブ20の下壁21dおよび第2操作ノブ120の上壁121cに当接する位置に設けられており、この第1操作ノブ20および第2操作ノブ120を、そのパネル本体10と接離する方向のストロークを許容しつつ前記パネル本体10からの離脱を阻止する。
【0040】
このように、本操作装置1では、前記LED50cの光路を囲み前記表示部12を適切に照明するために設けられる遮光部材30を利用して、前記第1操作ノブ20および第2操作ノブ120のパネル本体10からの離脱を阻止する。
【0041】
次に、前記のように構成された各部品を組み付けて前記操作装置1を製造する方法について説明する。
【0042】
まず、前記パネル2として、前記パネル本体10と前記遮光部材30とをそれぞれ製造する。この工程では、透光性を有する部材でパネル本体10を成形した後、遮光性を有する塗料で前記表示部12以外の部分を塗装することで、前記表示部12が形成されたパネル本体10を製造する。そして、このパネル本体10とは別に、遮光性を有する部材で前記遮光部材30を製造する。ここで、パネル本体と遮光部材とが分割されておらずこれらが一体となった従来のパネルを製造する場合には、透光性を有する部材でパネル全体を成形した後、前記遮光部材を含む前記表示部12以外の部分を遮光性を有する塗料で塗装する必要があるが、遮光部材が一体となっていることでパネルが複雑な形状を有しており塗装に手間がかかる。これに対して、本パネル2では、前記パネル本体10と遮光部材30とが分割されておりパネル本体10の形状が簡素化されているので、前記塗装が容易となり作業効率が向上する。
【0043】
次に、前記第1操作ノブ20および第2操作ノブ120をパネル本体10の裏側から前記第1ノブ保持壁17および第2ノブ保持壁117内にそれぞれ挿入する。具体的には、前記第1操作ノブ20および第2操作ノブ120の各スライド突起25、125をそれぞれ前記第1ノブ保持壁17および第2ノブ保持壁117の各レール部17a、117aに沿ってスライドさせつつ挿入する。そして、前記第1操作ノブ20および第2操作ノブ120をこれら前記第1ノブ保持壁17および第2ノブ保持壁117によって前記パネル本体10の裏側に保持する。そして、前記第1操作ノブ20および第2操作ノブ120の各ボタン部22、122をそれぞれ前記第1ノブ用孔14および第2ノブ用孔114に挿入して、これらボタン部22、122を前記パネル本体10の表側に露出させる。
【0044】
次に、前記遮光部材30を前記遮光部材ガイド壁16で囲まれた領域に配置する。具体的には、遮光部材30の前記各スライド突起38を前記遮光部材ガイド壁16のスリット16bに沿ってスライドさせつつ、この遮光部材30をパネル本体10の裏側から前記領域に挿入する。そして、前記遮光部材30の被係止突起34を前記遮光部材ガイド壁16の係止孔16aに係止させて、遮光部材30をパネル本体10の裏側に固定する。このとき、前記第1離脱阻止部36aは、前記第1操作ノブ20のノブ本体部21の下壁21dの裏側面と対向する位置に配置される。また、前記第2離脱阻止部36aは、前記第2操作ノブ120のノブ本体部121の上壁121cの裏側面と対向する位置に配置される。
【0045】
この状態において、前記第1操作ノブ20にこの第1操作ノブ20を裏側すなわちパネル本体10から離脱する方向に移動させる力が働いたとしても、この第1操作ノブ20の裏側端部が前記第1離脱阻止部36aと当接することで、この第1操作ノブ20のパネル本体10からの離脱は阻止される。同様に、前記第2操作ノブ120にこの第2操作ノブ120を裏側すなわちパネル本体10から離脱する方向に移動させる力が働いたとしても、この第2操作ノブ120の裏側端部が前記第2離脱阻止部36bと当接することで、この第2操作ノブ120のパネル本体10からの離脱は阻止される。
【0046】
このようにして、本方法では、前記遮光部材30の被係止突起34と前記遮光部材ガイド壁16の係止孔16aとの係合により、前記遮光部材30に加えて前記第1操作ノブ20および第2操作ノブ120がパネル本体10の裏側に固定される。そして、これら遮光部材30とパネル本体10と第1操作ノブ20および第2操作ノブ120とを一体に取扱うことができる操作装置1が製造される。
【0047】
前記のように操作装置1を製造した後は、この操作装置1を前記基板40を取付けるための所定の場所に搬送し、この操作装置1に前記基板40を取付ければよい。ここで、前述のように、本操作装置1では、前記遮光部材30を利用して前記パネル本体10から前記第1操作ノブ20および第2操作ノブ120がパネル本体10の裏側に離脱することが防がれているので、これら第1操作ノブ20、第2操作ノブ120およびパネル本体10を前記基板40とは独立した状態で容易に搬送することができ、その後に前記基板40を組み付けることができる。具体的には、図8に示すように、前記各LED50a、50b、50cを囲む囲み部材80を基板40上に取付けた後、前記LED50cが前記表示部12とそれぞれ対向するとともに前記遮光部材本体部32の各壁32a、32b、32c、32dで囲まれた領域に収容されるように基板40を前記パネル本体10に固定する。また、図9(a)および図9(b)に示すように前記スイッチ素子60、160の各被操作部62、162が前記第1操作ノブ20の押圧部23および第2操作ノブ120の押圧部123とそれぞれ対向するように前記基板40を固定する。さらに、前記LED50a、50bが前記第1操作ノブ20のボタン部22および第2操作ノブ120のボタン部122とそれぞれ対向するように前記基板40を固定する。ここで、前記囲み部材80は省略可能である。
【0048】
以上のように組みつけられた操作装置1では、前記LED50cが前記遮光部材本体部32の各壁32a、32b、32c、32dで囲まれた領域に収容されることで、このLED50cの光が前記表示部12以外の部分、例えば、前記第1操作ノブ20および第2操作ノブ120側に漏洩するのが抑制され、前記表示部12が適切に照明表示される。
【0049】
そして、前記操作装置1では、前記第1操作ノブ20および第2操作ノブ120は、各ボタン部22、122が押圧操作されることで前記スイッチ素子60、160の被操作部62、162を操作する。例えば、前記第1操作ノブ20のボタン部22がパネル本体10の表側から押圧力を受けると、第1操作ノブ20は、その前記スライド突起25が前記第1ノブ保持壁17のレール部17aに沿って案内されて、図9(a)に示す状態から図9(b)に示す状態へとパネル本体10から離間する方向に変位する。そして、この第1操作ノブ20の押圧部23が、前記スイッチ素子60の被操作部62を押圧操作する。ここで、前記第1離脱阻止部36aおよび第2離脱阻止部36bは、これら第1操作ノブ20および第2操作ノブ120のパネル本体10と接離する方向のストロークを許容する位置に設けられており、各第1操作ノブ20および第2操作ノブ120は、これら第1離脱阻止部36aおよび第2離脱阻止部36bによりそのスライドが妨げられることなく各スイッチ素子60、160を適切に操作する。
【0050】
なお、前記第1離脱阻止部36aの具体的形状は前記に限らない。例えば、この第1離脱阻止部36aが、前記遮光部材本体部32の上壁32cの中央付近等に設けられていてもよい。また、この第1離脱阻止部36aと前記第1操作ノブ20との当接構造は前記に限らない。例えば、前記第1操作ノブ20にこの遮光部材本体部32側に突出してこの第1離脱阻止部36aと当接可能な突起部が設けられており、この突起部に前記第1離脱阻止部36aが裏側から当接する構造としてもよい。ただし、前述のように、前記第1離脱阻止部36aを前記遮光部材本体部32の上壁32cの裏側端部に設け、この第1離脱阻止部36aを前記第1操作ノブ20の裏側端部に当接させれば、簡単な構造で第1操作ノブ20の離脱を阻止できる。同様に、前記第2離脱阻止部36b等の具体的形状も前記に限らないが、前述の構造が好ましい。
【0051】
また、前記操作ノブの数は前記に限らない。例えば、第1操作ノブ20のみを設け、前記遮光部材30によりこの第1操作ノブ20のみの離脱を阻止するようにしてもよい。ただし、前述のように、複数の操作ノブ20、120を設けるとともに、前記遮光部材30に複数の離脱阻止部36a、136aを設けておけば、共通の遮光部材30を利用して、複数の操作ノブの離脱を同時に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る操作装置の概略斜視図である。
【図2】図1に示す操作装置と基板とを合わせて示す斜視図である。
【図3】図1に示す操作装置と基板とを合わせて示す斜視図である。
【図4】図1に示す操作装置の背面図である。
【図5】図4のA−A線断面図である。
【図6】図4のA−A線断面図である。
【図7】図4のB−B線の概略断面図である。
【図8】図1に示す操作装置に基板を取付けた状態を示す断面図である。
【図9】(a)第1操作ノブが押圧操作されていない状態を示す断面図である。(b)第1操作ノブが押圧操作された状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 操作装置
2 パネル
10 パネル本体
12 表示部
16a 係止孔
17 第1ノブ保持壁(ノブ保持部)
20 第1操作ノブ
30 遮光部材
32 遮光部材本体部
34 被係止突起(被係止部)
36a 第1離脱阻止部(離脱阻止部)
36b 第2離脱阻止部(離脱阻止部)
40 基板
50c LED(照明用光源)
60 スイッチ素子
117 第2ノブ保持壁(ノブ保持部)
120 第2操作ノブ
160 スイッチ素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルと、押圧操作を受けることが可能となるように前記パネルに取付けられる操作ノブとを備えた操作装置であって、
前記パネルは、透光性を有して照明用光源により裏側から照明されることが可能な表示部を含むパネル本体と、このパネル本体とは別の遮光性を有する部材により形成されて前記照明用光源から前記表示部への光路を囲むように前記パネル本体に取付けられる遮光部材とを有し、
前記パネル本体は、その裏側から前記押圧操作方向と平行な方向に前記操作ノブが挿入可能な形状を有するとともにその挿入状態で当該操作ノブをこの操作ノブが前記押圧操作方向にスライド可能となるように保持するノブ保持部を有し、
前記遮光部材は、この遮光部材が前記ノブ保持部に前記操作ノブが挿入された状態において前記操作ノブの近傍位置で前記パネル本体に取付けられるようにこのパネル本体に係止される被係止部と、この被係止部が前記パネル本体に係止された状態で前記操作ノブの前記押圧操作方向のストロークを許容しながら当該操作ノブに裏側から当接することでこの操作ノブの前記ノブ保持部から裏側への離脱を阻止する離脱阻止部とを有することを特徴とする操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の操作装置であって、
前記離脱阻止部は、前記遮光部材が前記操作ノブの近傍位置で前記パネル本体に取付けられた状態において前記操作ノブ側に突出するとともに前記操作ノブの裏側端部に裏側から当接可能となる形状を有していることを特徴とする操作装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の操作装置であって、
前記操作ノブは、前記遮光部材の近傍の複数の位置にそれぞれ取付けられ、
前記遮光部材は、前記複数の操作ノブの前記パネルからの離脱をそれぞれ阻止する複数の離脱阻止部を有することを特徴とする操作装置。
【請求項4】
パネルと、押圧操作を受けることが可能となるように前記パネルに取付けられる操作ノブとを備えた操作装置を製造するための方法であって、
前記パネルとして、透光性を有して照明用光源により裏側から照明されることが可能な表示部を含むパネル本体と、このパネル本体とは別の遮光性を有する部材により形成されるとともに前記照明用光源から前記表示部への光路を囲むように前記パネル本体に取付けられる遮光部材とを製造する工程と、
前記パネル本体に対してその裏側から前記操作ノブを前記押圧操作方向と平行な方向に挿入して、前記パネル本体に前記操作ノブをこの操作ノブが前記押圧操作方向にスライド可能となるように保持させる工程と、
前記パネル本体に前記操作ノブが取付けられた状態で前記遮光部材を前記操作ノブの近傍位置で前記パネル本体に取付ける工程とを含み、
前記遮光部材を製造する工程では、前記遮光部材に、この遮光部材が前記パネル本体に取付けられた状態で前記操作ノブの前記押圧操作方向のストロークを許容しながら当該操作ノブに裏側から当接することでこの操作ノブの前記パネル本体からの裏側への離脱を阻止する離脱阻止部が形成されることを特徴とする操作装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−108632(P2010−108632A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276830(P2008−276830)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】