操縦装置の改良
車両操縦装置は、乗車者によって少なくとも二つの乗車位置に独立して調節可能であり、操縦機能とは独立して乗車者によって少なくとも一つの位置に固定することができる二つのハンドルバー部分を含んでいる。この操縦装置は、アームレスト(1)と、各ハンドルバー部分(2)が少なくとも二つの位置に固定されるようにするためのロック手段として機能することができる解放可能ラッチ手段と、各ハンドルバー部分(2)に関するアームレスト(1)と協働するのに適したアクチュエータ手段とを含んでいる。二つのハンドルバー部分(2)は更に、緩衝システムと、ハンドルバーの寸法と位置またはそのいずれかの調節を可能にするための手段とを含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は操縦装置の改良に関する。
より具体的には、本発明は、自転車のハンドルバーを含む操縦装置と車両制御装置の改良に関する。しかしながら、本発明の原理は他の操縦装置に適用できることは明らかである。
【背景技術】
【0002】
自転車走行はレクレーション活動であり、スポーツ活動の観点から非常に人気がある。自転車走行は、オリンピック、英連邦競技会、および世界、国および地方のイベントなどの主要なスポーツイベントにおいて採用されている。
【0003】
最近では、自転車競走スポーツは、ランニング、水泳、マウンティングバイク競争、および、カヤック競争のような他のスポーツと複数の段階として組み合わされて一つの連続した多段階レースを形成している。この形態の競技の例としては、トライアスロン、デュアスロン、クロステラ、およびマルチスポーツ競技がある。そのような競技から、多くの新しい技術を含む専用自転車が生まれ、それらの技術の多くはその後世界中のロード自転車走行仲間によって採用されている。
【0004】
しかしながら、すべての形態の自転車走行に共通であって、乗車者が自転車を制御する方法である一つの特徴がある。脚が、エネルギーと力を供給して可変比駆動列を介して前方運動を与え、手が、方向、駆動比(ギア)、ブレーキ、および乗車者の姿勢(体の姿勢)を制御する。それゆえ、操縦装置は、レクレーションであろうと他の乗車者との競争であろうと上手な乗車にとっての重要な要因である。変化する地形の要求と合致するための正しいギア比の選択、減速を制御するためのまたは非常時におけるブレーキへのすばやいアクセス、および上体支持は、乗車者の要求を満足する乗車位置の適切な選択と共にある。乗車位置のいつかの例としては、空気力学的効率のための低姿勢、加速の間または急な坂道を登る間の最大力のための直立、および、回復と快適さの助けとなる位置がある。
【0005】
これらの乗車位置の多くのために、最新のハンドルバーの上に最適グリップ位置が設けられている。最も一般的に使用される位置は基本またはブレーキフード位置と呼ばれ、そこでは手はブレーキ・ギア・レバーを含むハウジングの上に置かれる。ブレーキフードは、指にブレーキ・ギア・レバーを常時接触させる軟質ゴムグリップ領域を有して人間工学的にデザインされている。ブレーキフード位置は、乗り降りのとき、サドルに座らずに加速するか坂を上る間、低速または難しい操作の間、ブレーキ・ギア・レバーの使用が必要なとき、および厳しい努力の後の回復のために使用される。(シマノ(Shimano)STITMレバーは、ブレーキかギアのいずれかを制御するために別々に動かすことができるレバーを含んだ一般的なデザインである)。この位置はそれゆえ乗車者に制御装置への最善のアクセスを提供するが、空気力学的に効率的でない更なる垂直姿勢に乗車者の胴を支える。
【0006】
この問題を改善するために、第2のグリップ位置が開発された。このことは、ハンドルバーは下方かつ後方へ延ばされて、胴がより空気力学的に水平な位置にある乗車方法を提供する。これはドロップス(Drops)位置と呼ばれており、その空気力学的利点のために基本位置よりも速い位置と見なされている。制御装置へのアクセスを維持するために、レバーは下方へも延ばされるので、乗車者はドロップス位置からギアを切り換えるかブレーキを操作することができるが、レバーはこの位置からは届きにくく、ブレーキかギアのいずれかを作動させることができる前に、更に動かされる必要があり、このことは非常
時において危険である。
【0007】
第3の位置では、乗車者の手がハンドルバーの取り付け箇所の各側面のハンドルバーの水平部分の上に置かれる。それは通常、登坂位置と呼ばれており、全力を必要とするほど急ではない一定した斜面を登るときに有用である。乗車者は直立に座り、前腕は平行であり、乗車者の体に近いひじとほぼ水平である。それはまた、より高速に至らない回復位置としても使用され、制御装置へのアクセスに制限がある。
【0008】
1980年の中ごろに、エアロ位置が開発された。従来型ハンドルバーの取り付け箇所の近くに取り付けられたアームレストと共に乗車者の手が互いに接近するように、前方へ延びかつ先細になった追加ハンドルセットを含む付属品が、すべての形態の競技に対して非常に一般的となった。それは余分な重量を追加したけれども、この装置はどんな他の乗車位置よりも目だって速かった。アエロバーによって乗車者は、急な坂を除くほとんどすべての道路条件に適切な低くてコンパクトな体姿勢をとることができた。一つの不都合は、ブレーキ・ギア・レバーへのアクセスが面倒であり、非常時の間にブレーキレバーを掴み損なう可能性があることであった。多くの乗車者が互いに群れをなす競技において、ブレーキを使う正確な速度制御は必要不可欠であり、他の乗車者のすぐ近くでエアロバーを使用する乗車者が、前の自転車を行き過ぎるのを防止するために遅れずにブレーキをかけるのに失敗したときに、いくつかの多重衝突が生じている。
【0009】
自転車競技はそれゆえ多くの形態に発展してきたが、ドラフティング(エネルギーの消耗を低減するために前の自転車のスリップストリーム内を走ること)を許すチーム競技とドラフティングを許さない個人競技の二つの主要なグループに分けることができる。現在、エアロバーの使用は、トライアスロン、ジュアスロン、タイムトライアル、多種目スポーツ、および、いくつかのトラック競技を含む非ドラフティング競技に限定されている。
【0010】
要約すると、自転車競技に関する現状は、安全の側面か高速で競技するための可能性のいずれかから、理想的ではない。ブレーキ・ギア・レバーは、発進および停止するときまたは急な坂を上るときの低速時において容易にアクセス可能であるが、車両が高速で進んでいて乗車者が反応回数を減らしていると思われるドロップス位置かエアロ位置のいずれかにおいて、その使用は損なわれる。両側に水平な道路がある坂道を含む競技に参加しているエアロバーを備えた自転車の上の乗車者を考える。このサイクリストは坂道に接近しながら力を得るために加速し、その間、少なくとも一度ギアを変えることが必要でありうるので、ギアレバーに手を伸ばすためにその空気力学的フォームを乱し、このことはわずかなブレーキ効果を持つ。サイクリストが勾配に着いて登るとき、更に多くのギア変更があり、そのタイミングもまたリズムと調子を維持するのに重要である。この間、乗車者は、制御装置へのすばやいアクセスなしに加速し坂道を登るいずれの間も、ギアレバーを見るために頭を前方の道路からそらす必要がありうる。乗車者の手はその後ブレーキフード位置へ移され、乗車者は、坂道の上を越える最大力のためにサドルから腰を上げ、その後エアロ位置に戻って斜面を下へそして前方の平坦な道路に沿って加速する。この間、乗車者が、高速で、しかも、ブレーキへの制限されたアクセスと、目を前方の道路から離して制御装置の位置を探し当てる起こりうる必要性を伴う高いリスクで、カーブをうまく通り抜けるときに、ギアを変更しなければならず、なんらかのブレーキ操作が必要とされる。非常時においては、乗車者は、手がブレーキレバーを探し当てると確信するか、リスクを冒して目を前方の道路から離して確実に手が望ましいレバーに達するようにするかのいずれかを選択することを強いられることがありうる。
【0011】
理想的な自転車は、それ故、(安全と効率的なタイミングのための)すべての乗車位置において制御装置へ容易にアクセスでき、競技中最大の利点を乗車者に与える乗車位置を選択できるものであろう。例えば、基本位置とエアロ位置である。そのような自転車の上
で、乗車者は、ブレーキフード位置において坂を登るときであれ、エアロ位置においてカーブを下降しうまく通りぬけるときであれ、いつも、目を前方の道路から離す必要なしに、ブレーキをいつでもすぐに使用することができ、ギアレバーもすぐに使用してあらゆるギアチェンジに完全なタイミングを与えることができる。
【0012】
自転車に二組の制御装置を備えることは実際的でないか経済的に実現可能ではない。それゆえ、理想的なオプションは、ブレーキ・ギア・レバーが取り付けられた一組のハンドルであって、自転車に乗車している最中に、乗車者によって意のままに選択可能な少なくとも二つの乗車位置に移動させ/移し/調節し、ロックすることができるハンドルを設けることである。そのような配置は、基本位置とエアロ位置に対するハンドルが同じであるので、エアロ位置における追加空気力学的利点と、減量の可能性とを有するであろう。同様に、レバーは、乗車位置にもかかわらず全く同じように操作されるので、小型かつ軽量またはそのいずれかのレバーアセンブリが可能である。
【0013】
世界、国および地方の自転車競技とレクレーションイベントにおいて、乗車者はしばしば互いに群れとなる。この間、乗車者はできるだけ自転車を制御できることが重要である。乗車者がハンドルバーの上に両手を置くかハンドルバーを両手でしっかりと掴んだときであって、手がギア・ブレーキ・レバーに接触しているか、それらの近くにある場合に、安定性が最もよく保たれる。この安全性の要求は、乗車中いつでも重要である。
【0014】
いつでもハンドルバーにある手が、競争またはレクレーションの間に、通常、乗車者が食べ物を食べているとき、手で合図をしているとき、または、例えば、ワイドまたは通常(従来)位置からエアロ位置へ乗車位置の間を移動しているときに、ときどき片手だけハンドルバーから離れる。エアロ位置は乗車者がエアロバーを使っているときにとられる一般的な位置である。
【0015】
また、自転車にのっているとき、乗車者は車両全体が打ち勝たなければならない抗力の3分の2以上を占める。抗力の量は、競争自転車スポーツにおいては重要な考慮事項である。抗力を低減することにより、乗車者の入力に変化がない場合でも自転車走行性能を改善することができる。抗力の減少は、車輪、フレームなどの自動車部品の空気力学設計によって達成することができる。例えば、空気力学車輪は標準的な車輪と比べて抗力を低減することができ、空気力学フレームは円形フレームと比べて抗力を低減することができる。フレームの重要領域は前縁(フォーク、ヘッド管、ハンドルバー、および乗車者の脚の間の領域)である傾向がある。最善性能を持つと思われるフレームはエアフォイル形状の前縁とサドル管を持つ(またはサドル管を持たない)傾向がある。
【0016】
しかしながら、自転車と乗車者を組み合わせた全体の空気力学にとって重要なのは乗車者の位置である。タイムトライアルをするとき、効率的な空気力学的乗車位置がロードサイクリストやトライアスリートの成績にとって非常に重要であることが、過去10年間にわたってますます明らかになってきている。乗車者にエアロ位置をとらせることが、乗車者の体によって生じる抗力を低減することによって速度を増やすためと、乗車者のエネルギーを節約するための最も効果的な方法の一つであることが知られている。
【0017】
良いエアロ位置は以下の3つの要素を有している。
1.乗車者が効果的にペダルを踏むことができるようなペダルに対する乗車者の位置(これはサドル位置の調節を必要とすることがある)
2.自転車を制御し、それでもなお必要なときには食べる、飲むなどの行為を行なうための乗車者の能力
3.乗車者と自転車の全体的な空気力学
エアロ位置にあるとき乗車者のための重要な要素は、
1.胴を水平にすること
2.ひじの間隔を狭くすること
3.ひざを上部管に近づけてペダルを踏むことができるひざ幅
この位置を達成することができるためには、さまざまな形式のエアロハンドルバーの出現が最も重要な貢献の一つであった。これらのエアロバーは、乗車者が、腕を互いに接近させ、そのことによって少ない断面積の更なる流線型の突入輪郭を示すことによって、更なる空気力学的位置を達成するのを可能にした。
【0018】
エアロバーは最初、1987年ごろに自転車競技用に開発された。それは、従来型ハンドルバーに取り付けられる付属品であり、乗車者の前腕とひじが互いに近づき、気流を胴の周りに向ける「V」または矢の形を形成するので、乗車者がドロップス位置におけるよりも流線型の乗車姿勢をとることができるようになっている。
【0019】
さまざまな形式のエアロバーがある。それらは通常、従来型ハンドルバーから前方へ延びて、約150mm離れて互いに接近している二つのハンドルバーを有している。いくつかは単に頂点の近くにグリップ位置を有するAフレームである。二つの別々のエアロバーを含む他のものは、互いに連結するか独立にすることができるが、自転車ステムに近接した主ハンドルハンドルバーに取り付けられる。更に他のものは、前部フォーク操縦管の上に直接取り付けられた単一ユニットのエアロハンドルバーと従来型ハンドルバーの組み合わせを含むことができ、「ドロップス」乗車位置を含むバーの代わりとしてエアロ位置乗車のためにその前端から二つの取っ手が延びている。
【0020】
ひじの近くの前腕を支持するためにクッション入りアームレストをエアロバー付属品の中に含めることができる。アームレストは一般的にカップ状であって、例えば主ハンドルバーにさまざまな方法で取り付けることができる。しかしながら、主ハンドルバーへのアームレストの取り付けの位置またはアームレストそれ自身の構成により、アームレストの存在は、乗車者が登坂位置においてハンドルバーを握るのを妨げる。従って、エアロバーと組み合わされたアームレストの構成と配置は、乗車者の快適さと性能にとって重要な考慮事項である。
【0021】
エアロバーは、乗車者がコンパクトな流線型姿勢をとることを可能にした。このコンパクトな流線型姿勢は速度と効率を約5%だけ改善することが証明されている。従って、標準ハンドルバーと組み合わされたエアロバーの配置は、乗車者が、登りと加速、制御装置へのアクセス、および乗り降りの間の低速度操作性のために、広いグリップで、標準ハンドルバーを使用すると共に、その他すべてに対するオプションとしてエアロバーを使用するのを可能にした。
【0022】
しかしながら現在の先行技術システムには多くの問題がある。例えば、エアロバーを現在の自転車に付属品として取り付ける場合、乗車者は事実上二組のハンドルバーを持つことになる。乗車者は一度に一組だけを使用できる。
【0023】
また、ブレーキシフタとギアシフタは一般的に主標準ハンドルバーの上にある。エアロバー上のブレーキ・ギアチェンジ・レバーへのアクセスは以前は簡単ではなかった。ブレーキレバー、ギアチェンジレバー、およびシマノ(Shimano)STITMシステムなどのコンバインド・ブレーキ・ギアチェンジ・レバーは、通常、エアロバーから離れている。それゆえ、乗車者がエアロ位置にある場合、乗車者がギアシフトを行なうかブレーキをかけるためにバーからバーへ手を伸ばさなければならないので、自転車の制御が損なわれる。それゆえ、乗車者がより早く進むのをエアロバーが助ける一方、急な曲がり角、難しい下り坂、でこぼこした道路、強い突風、および急に止まる必要のあるすべての交通状態に対する減速制御のために乗車者が手をブレーキレバーの近くに(ブレーキフードか
ハンドルバーの曲がった「ドロップス」の上に)置いたままにすることが推奨される。このために、自転車の制御ロスがペースライン玉突き衝突を生じることがありうる。
【0024】
一般的な競技用構成は、上に述べられた更に伝統的な配置に対する代替案として、エアロバーに取り付けられたギアチェンジレバーと通常のハンドルバーの上に置かれたブレーキレバーを備えている。この構成も乗車者の要求を満足できない。例えば、乗車者に制御、リズム、またはタイムトライアルの間の正に貴重な数秒を失わせることがありうる急な加速または登坂の間に必要とされるような、サドルから腰を上げて乗車している間のギアチェンジに困難性がある。それはまた、エアロ位置に乗車している間の非常時にブレーキ制御装置への簡単なアクセスを必要とする問題を解決することができない。
【0025】
それゆえ、エアロバーは、その使用が、群走行の間のいくつかの主な衝突の原因となっているので、いくつかの形態のドラフト走行法定自転車レースに対して禁止されている。
しかしながら、トライアスロン、ジュアスロン、多種目スポーツ、およびタイムトライアル自転車競技はエアロバーの使用を許可している。エアロ位置はまた、乗車者が一般にブレーキフードまたは基本位置と呼ばれるワイド位置に手を置いて最善の制御を行なう急坂と急カーブを除いて、前方に障害物のない道路があるときはいつでも使用することができる。
【0026】
基本位置は自転車を乗り降りするときや低速で走行するときに使用される。これは出発するときや停止するために速度を緩めるときを含むことができる。基本位置はまた、サドルから腰を上げるとき、ペダルとハンドルバーの上の体重を支えるとき、登坂または加速の間、あるいは他の低速時にも使用され、この場合位置が広いほど良い制御ができる。基本位置はまた、ブレーキ・コントロール・レバーが基本位置にある場合、ギアチェンジをするときまたはブレーキが必要なときにも使用される。
【0027】
どちらの端にも下向き曲線部を含むハンドルバーの上に、より低いワイド位置(「ドロップス」位置)が達成可能である。この位置は通常、トライアスロン競技ではなく、従来の自転車競技と関係が深い。ギアチェンジ/ブレーキレバーは下方へ延ばされ、乗車者がドロップス位置においてそれらに届くことができる。
【0028】
これらのレバーは下方へ延びてドロップス乗車位置の近くにあるけれども、ギアチェンジやブレーキ操作を行なうために大きな動きを必要とするために、乗車者の中には必ずしも操作が簡単でないものもある。重量も考慮事項である。乗車位置にも関わらずいつも同じように操作される小さくて軽い制御装置を有することが好ましい。
【0029】
従来の先行技術エアロバーシステムに伴う更なる問題は、乗車者がエアロ位置において更なる流線型姿勢にあるにもかかわらず、エアロバーを使用したときには、ワイド位置における標準ハンドルバーとそれに関するレバーの未使用部分が、乗車者の腕がない所を通ってであったとしてもスリップストリーム内に残ったままであるので、乗車者を減速させるかエネルギー費やす可能性のある抗力をもたらすことである。二組のハンドルバーの存在はまた自転車の重量を増し、乗車効率と速度を低減する可能性がある。
【0030】
従って、乗車者によって要求されるような(基本位置を達成することができるための)従来のハンドルバー配置と(特に競技のための現在最速と知られている位置である)エアロバー配置の少なくとも両方の位置をとることができる一組の制御装置付きハンドルバーを、更にブレーキ・ギア・システムへの安全なアクセスを保つという問題を克服するように、有することに可能性のある実現可能な利点がある。
【0031】
調節可能なハンドルバーの一例は、特許文献1である。しかしながら、この文献は、ハ
ンドルバーの側方運動を提供するだけでハンドルバーを複数位置に固定することができない装置を開示している。これは明らかに競争力のある乗車には役に立たない。この装置はまた乗車中は調節可能ではない。
【0032】
更にもう一つの先行技術システムにおいては、自転車のハンドルバーを互いに別々にではあるが、前部自転車フォークにほぼ平行な配列で折りたたむようになっている。そのような配列は、格納や搬送のための折りたたみ式自転車をもたらすようになっており、自転車に乗車している乗車者による使用のためのハンドルバーの配置変えに適用できない。
【0033】
従って、本発明は数多くの可能性のある実現可能な応用を有しているが、本発明が開発されたのは代わりのハンドルバー配置を提供することに関してである。もっと具体的言えば、本発明が開発されたのは、エアロバーと標準ハンドルバーの両方のデザイン、操作、現使用に関する問題を念頭においてであった。また、本発明が開発されたのは、既存の調節不可能ハンドルバーに対するもので、エアロバーをより安全に使用できるようにするための安全な代替案を提供するための可能性に関してである。
【0034】
これらの問題を念頭におくと、
a)乗車者に、基本位置かエアロ位置のいずれか、あるいは、要求されるか一般的となったすべて他の位置におけるハンドルバーの使用のためのオプションを提供し、更に、
b)自転車の改善された制御と、
c)空気力学的効率と、
d)すべての必要な位置におけるギアチェンジ・ブレーキ・レバーへのアクセスと、
e)自転車に乗車している間でも安全に操作できるギアチェンジ・ブレーキ・レバーへのアクセスと、
f)二組のハンドルバーの必要性を取り除くため、自転車の重量の減少に効果がある位置調節可能な一組のハンドルバーと、
g)位置間で簡単かつ安全に操作できる位置調節可能な一組のハンドルセットと、
h)乗車者がハンドルバーから手をはなすか、ハンドルバーの一方から他方へグリップを移す先行システムの必要性に対処する位置調節可能な一組のハンドルバー
またはそのいずれかを備えたハンドルバーの形態の操縦装置を有することが役に立つ。
【特許文献1】ニュージーランド特許第102780号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
上記提案されたハンドルバー装置の利点のすべてでないにしても少なくともいくつかを提案する発明を有することは有利であろう。それゆえ、本発明の目的は、上記問題を考えて、複数のこれらの問題に対処する少なくとも一つの解決策を提供することにある。
【0036】
それゆえ、本発明の更なる目的は、一般大衆に有用な選択または代替システムを少なくとも提供することにある。
本発明の更なる側面と利点は、一例としてのみ与えられる以下の記述から明らかとなる。述べられた実施態様に対する変形例は可能であり、本発明の範囲内に入るであろうことは明らかである。
【0037】
この明細書において引用されたなんらかの特許または特許出願を含むすべての参考文献は、その著者が主張することに関して考察されており、引用された文献の正確さと正当性に関して本出願人によって認められるものではない。この先行技術論議は本発明に関するさまざまなシステムの比較を含んでいるけれども、このことは本発明がニュージーランドまたはどこか他の国におけるこの技術における共通の一般的な知識の一部として含まれることを意味しないことも明らかに理解されるであろう。
【0038】
用語「備える」は、変化する司法権の下で、排他的意味か包含的意味のいずれかと見なすことができることが認められる。この明細書の目的のために、そして、他に言及されていなければ、用語「備える」は包含的意味を有する、即ち、それが直接に言及する列挙された構成部品のみならず他の記載されていない構成部品または要素の包含を意味すると解釈されるものとする。この基本原理は、用語「備える」または「備えた」が、方法またはプロセスにおける一つまたはそれ以上の工程に関連して用いられるときにも使用される。
【0039】
本発明の更なる側面と利点は、一例としてのみ与えられる以下の記述から明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本発明の一つの側面によれば、少なくとも二つの位置に調節可能な複数のハンドルバーを備える乗車者による車両の制御のための操縦装置であって、前記ハンドルバーは乗車者によって第1の位置から別の位置へ移動されることができ、乗車者によって少なくとも一つの位置に固定されることができ、操縦機能とは独立していることを特徴とする操縦装置が提供される。
【0041】
本発明のもう一つの側面によれば、少なくとも二つの位置に移動可能な複数のハンドルバーを備える乗車者による車両の制御のための操縦装置であって、前記ハンドルバーは中心点の周りを移動することができ、前記ハンドルバーは中心点の周りを回転することによって乗車者によって第1の位置から別の位置へ移動可能であり、乗車者によって少なくとも一つの位置に固定可能であることを特徴とする操縦装置が提供される。
【0042】
本発明のもう一つの側面によれば、少なくとも一つのバネを備える、上記のような乗車者による車両の制御のための操縦装置であって、前記バネは前記ハンドルバーに含まれ、前記バネは乗車者によって第1の位置から別の位置へ動かされるときに前記ハンドルバーに負荷をかけることを特徴とする操縦装置が提供される。
【0043】
本発明に関する用語「操縦装置」は車両の進路を指示することができる装置のことをいい、それを含む。本発明においては、操縦装置はより具体的には、ハンドルバーまたはその同等物と、レバー、および制御装置を含む。本発明においては更に、ハンドルバーは自転車ハンドルバーを含む。しかしながら、本発明の原理は複数位置決めから利益を得ることができる他の操縦機構に適用することができるので、自転車ハンドルバーと言った場合、限定的と見なされるべきではない。
【0044】
用語「ハンドルバー」は通常、自転車用操縦機構のことを言い、操縦ハンドルと同義語であるが、操縦するための乗車者のバランスまたは質量重心に関連して使用される。ハンドルバーと言った場合、自転車のバランスを制御、管理、操縦、または維持すると共に、乗車者の上体を支持するために使用される機構のどの部分をも含むことができる。用語「ハンドルバー」は、ブレーキまたはギアチェンジのための制御装置を通常含むと理解されるべきであり、操縦機構を握るまたは制御するために使用される少なくとも一つのハンドルまたは領域を含むこともできる。複数形はまた単一ハンドルバーを包含していると解釈されるべきである。
【0045】
人々はさまざまな理由のために自転車に乗り、自転車のデザインは自転車の使用目的を反映している。道路自転車は道路で乗車するようにデザインされる。マウンテン自転車はオフロードで乗車するようにデザインされる。トラック自転車は、特別に作られた自転車トラックでのトラック走行用にデザインされる。競技自転車は自転車競技用にデザインされ、高速、軽量、空気力学的である。自転車競技においては、賞は相対性能に基づいて与
えられる。従って、性能の向上のために絶えず努力がなされている。
【0046】
重力の影響のみならず、空気抵抗、転がり抵抗、および摩擦抵抗は、レクレーションのためであれ競争のためであれ、道路自転車や競技自転車に乗車するときに克服されなければならない力である。平坦な道路で自転車に乗車している間は、重力の影響は事実上無視される。同様に、機械的摩擦は全抵抗の小さな要素である。自転車走行に対する空気抵抗は圧倒的に最大の要因であり、自転車の速度が19.3kphを越える場合、きわめて大量のエネルギー消費を必要とする。実際、29.0kphにおける空気抵抗は全抵抗の80%以上をなす。実際、空気力学的抗力は、道路での自転車走行中は、全抵抗の56%〜75%を占める。
【0047】
数学的には、空気抵抗によって生じる抗力は速度の二乗に比例して増加する。しかしながら、自転車に乗車している間の抵抗に打ち勝つのに必要な力またはエネルギーの消費は速度の三乗に比例して増加する。従って、速度が増加するとき、その速度に達するために力のレベルを指数関数的に増やさなくてはならない。同様に、抗力を低減することによって達しうる速度と節約できるエネルギーまたはそのいずれかは、高速で競技する場合、かなり大きくなる。
【0048】
高速で自転車走行している間の空気抵抗を最小にすると共に、生理的ストレスを低減するために、サイクリストはしばしばドラフト走行する。ドラフト走行は、別のサイクリストの後輪の後ろに接近(約0.5m内)した形で自転車走行を行なうを含む。ドラフト走行は、一つの自転車に乗車している間のエネルギー消費を低減する場合の重要な戦略である。エネルギー消費は、緊密な編隊でドラフト走行しているとき、最大27%低減することができる。
【0049】
しかしながら、ドラフト走行は抗力の影響を最小にするための唯一の方法である。自転車スポーツにおける最も重要な焦点は、一つの自転車での走行の間の風抵抗を低減することを期待して、乗車者の体位置および空気力学フレームの役割に関連していた。また、ハンドルバーデザインは注目されてきた一つの領域である。ハンドルバーデザインはいくつかの望ましい品質の間の妥協である。これらは、
・乗車者に空気力学的位置をとらせることができること、
・乗車者が長い乗車の間の体位置を変更することを可能にして疲労を防止することができること、
・上体支持を提供すること、
・自転車の操縦およびバランスのためのてこの作用を提供すると共に、動力伝達路への力を増やすために自転車のフレーム全体に対してもてこの作用を提供すること、
を含むが、これらに限定されない。
【0050】
代替的な自転車乗車位置とより良い空気力学を提供するために使用されるハンドルバーとグリップのデザインの多くの型がある。いくつかのデザインは使用の変化と位置の調節を可能にするが、他のデザインは固定された構成を押し付ける。
【0051】
利用可能な変化は、特にドロップス位置における制御装置に対する人間工学とアクセスを含む問題を解決するためのデザイナーの試みを説明するのに役立つ。このことは、ドロップス位置が、不快感、制御およびバランスの欠如、制御レバーへの不便なアクセスなどを含む乗車者にとっての不都合を有していることを示す。
【0052】
上記は標準ハンドルバーに関する問題を提起する。しかしながら、本発明においては、用語「ハンドルバー」はエアロバーも含んでいる。標準ハンドルバーの幅は乗車者の肩幅と関連付けられている。エアロバーに対しては、その幅は乗車者の肩幅と関係していない
が、エアロバーの使用の実用性と関連付けられている。エアロバーは、一般に、乗車者の手とひじの位置を互いに接近させてより良い空気力学を提供することができる。しかしながら、乗車者の中には、狭いひじ位置が窮屈と思うどころか、呼吸を容易にするためにひじを離すことを要求するものもいる。
【0053】
それにもかかわらず、エアロバーを使って自転車走行性能を改善することを念頭において本発明は開発された。それゆえ、本発明は、特定の状況における従来型ハンドルバーの不都合のすべてではないとしても、少なくとも部分的にいくつかに対処することに関する。それにもかかわらず、同時に本発明は従来型ハンドルバーの使用に関する利点を含もうとしている。更に、本発明は、以前から存在するエアロバーデザインの限界に対処しようともしている。また、本発明は、サイクリストが、一つの自転車ハンドルバーアセンブリの上に従来型ハンドルバー、ドロップス、およびエアロバーのすべてまたはいずれか一つを有する必要性をなくすエアロバーデザインを提供しようとしている。
【0054】
従って、本明細書において、少なくとも二つの位置という場合、乗車者がエアロバーを使っているときに見られる位置である第1の位置と乗車者がより流線型姿勢をとろうとするときの乗車位置またはそのいずれかを指す。以下これをエアロ位置と呼ぶことができる。別の位置という場合、加速、ブレーキ、登坂、またはギアチェンジのときにおけるような、乗車者が従来型ハンドルバーを持つか握っているときに見られる更なる直立姿勢に関する位置を指すことができ、あるいは、単に、エアロバーを使うためのオプションであることができる。以下この位置を基本位置と呼ぶものとする。明確にするために、用語「基本位置」は、走行中自転車においては、ワイドまたはブレーキフード位置と呼ぶこともできる。この明細書を通じて、これらの用語の使用は基本位置を意味するものとする。
【0055】
基本位置は「ドロップス」位置を含むこともできる。しかしながら、上記定義は、本発明の範囲から逸脱することなしに他の位置が達成されうるので、本発明の製造または使用の範囲を制限すると見なされるべきではない。
【0056】
前記少なくとも二つの位置は、エアロ位置とワイド(基本)位置の間の、または、それらを越えた一時的位置、あるいは、考えられる限り乗車者によって取られる他の位置ということもできる。これらの位置は不連続または連続であることができる。
【0057】
この明細書を通じて、乗車者という場合、自転車に乗車している最中の人を指すことができ、停止して自転車を調節または整備している乗車者と区別される。
この明細書において乗車者によって少なくとも一つの位置に固定可能であるハンドルバーという場合、前に述べられた位置に固定可能であるハンドルバーを指すことができる。
【0058】
好ましい実施態様においては、ハンドルバーは二つの部分で構成されたハンドルバーを作るために中央で分離されると考えられ、各部分は、操縦のために使用される部分とは関係なく軸の周りを移動するか回転することができる。
【0059】
この明細書を通じて、用語「ハンドルバー」は今、二つの部分で構成されたハンドルバーを意味し、各部分は、ハンドルバーが中心点または中心点の周りに分割されたハンドルバーの最大半分を構成すると理解されるべきである。従って、各ハンドルバー部分は、標準ハンドルバー配置に対してよくあるように、適切なブレーキ機構とギア機構が取り付けられるが、「ドロップス」位置に対する装備を除くことができることは明らかである。
【0060】
ハンドルバーの各部分がそれ自身の個別回転中心の周りを回転することができるか、あるいは、両部分が、操縦のために使用される軸とは別の中心専用軸点の周りを回転するか移動可能であることは明らかである。
【0061】
好ましい実施態様においては、各ハンドルバーはそれ自身の個別の回転中心の周りを移動する。各回転中心は自転車の中心からほぼ等距離にあるか、または自転車の中心に位置することが好ましい。ハンドルバー部分の動きをもたらすために適切な手段が必要である。本発明の一実施態様におけるそのような動きは弾性手段によって操作されることが好ましい。また、少なくとも一つの弾性手段は各ハンドルバー部分と関連付けられている。本発明においては、弾性手段はバネを備える。各ハンドルバー部分がバネ圧下で他のハンドルバー部分から独立して移動するという利点は、制御およびバランスは複数の位置の間で移動されないハンドルバー部分によって維持され制御されるので、そのハンドルバー部分によって行なうことができるバランスおよび操縦の制御を損なうことなく、乗車者が、同時に両側を動かすか、各ハンドルバー部分を独立して動かすという選択肢を有していることである。更に、移動の速くて効率的な方法が提供されている。
【0062】
更なる利点は、各ハンドルバーの動きが、その解放を乗車者が制御できるバネ圧の結果としてもたらされることである。そのような乗車者の制御は、操縦およびバランスが、動きの間に影響されないか、機構が事故の結果、故障するか動作不能になったとしても損なわれることがないことを意味している。
【0063】
米国特許No.3,863,521(ガストス(Gastos)他)は、二つのセット位置の間を移動する調節可能ハンドルバーを述べており、そのセット位置において、乗車者は、バーを一つの位置から解放すると共に、それらのバーを第2の場所へ移動させてロックするロック手段を動かす。この発明の不都合な点は、ハンドルバーの動きが乗車者によって両方向に手動で行われるので、ハンドルバー位置を変更する間は制御ができないことである。このことは、乗車者の関心の対象を、性能レベルを維持しようとすると同時に自転車の制御および安定性を維持することから、ハンドルバーの手動による再配置へ変えることによって、乗車者を危険に晒すことになる。また、この発明の中で述べられたハンドルバーの動きは本発明に関連があると思われるかもしれないが、エアロ位置はこの発明のときには知られていなかったので、エアロバーの使用に関する実際的な考察はこの特許権所有者の念頭にはなかったものと予想される。
【0064】
米国特許No.5,555,775(ダアルイジョ(D’Aluisio)他)は二つのセット位置の間を移動可能である調節可能ハンドルバーを述べている。これらのバーは標準位置とエアロ位置の間で協調的に揺動運動するように相互接続されるようになっているので、ハンドルバーの一方が移動されるとき、他方がそれと共に移動する。またも、乗車者の安全と性能はこの発明の動作の間危うくされる。乗車者は両ハンドルバーが同時に移動される状況において自転車の適切な制御を満足できる程度に保つことができないことがある。また、乗車者の注意は、単に性能レベルを維持することに集中された乗車者の注意とは反対に、ハンドルバーの動きをもたらすことと、その動きを確実に終わらせることに再び向けられる。減速がこの発明の動作中の一面であることは珍しいことではないであろう。
【0065】
米国特許No.5,737,967(ハートレイ(Hartley))は調節可能なハンドルバーを述べており、このハンドルバーの二つの側は噛み合わせ歯車装置によって接続されおり、このことは両バーの動きが上記米国特許No.5,555,775(ダアルイジョ(D’Aluisio)他)と同様に同時に起こり、標準位置とエアロ位置との間の移動の間、乗車者は制御ができないことを意味している。従って、上記発明に関する問題もこの形態の調節可能ハンドルバーに関連している。
【0066】
上記発明を関して、本発明は、上記発明ができない乗車者に快適位置と移動方法を選択させることができる。
本発明の好ましい実施態様においては、ハンドルバー部分は各々少なくとも二つの位置の間で円弧状に移動する。しかしながら、このことは本発明の範囲を回転運動のみに制限するものではない。
【0067】
従って、他の実施態様においては、本発明の範囲から逸脱することなしに、ハンドルバー部分が、2軸以上の異なる平面を通って、直線状に移動するか、回転することができる。
【0068】
更なる好ましい実施態様においては、ハンドルバーはラッチ手段によって各々の望ましい位置に固定することができる。ラッチ手段は、必要に応じてハンドルバー部分を望ましい位置に確実にロックするためのロック手段を備えるか、該ロック手段として作動するように適合され得る。また、ロック手段とラッチ手段のいずれかまたは両方が解放可能であることが好ましい。ラッチ手段の解放はアクチュエータ手段によって行われることができる。
【0069】
アクチュエータ手段は、バネ圧解放機構、レバー、ボタン、スイッチ、または、ラッチ手段とロック手段またはそのいずれかを解放し、そのことによって望ましい位置の一つへのハンドルバー部分の移動の第1段階を開始するのに適した、または開始することができる他の装置とすることができる。それゆえ、いくつかの可能性が列挙されているけれども、これらは例に過ぎず、いかなる点でも制限的であると見なされるべきではない。
【0070】
しかしながら、好ましい実施態様においては、アクチュエータはバネ圧解放機構として構成される。バネ圧解放機構は自転車に関するアームレストと協働するのに適していることが好ましい。アームレストは各ハンドルバー部分に近接して配置されることが好ましく、乗車者がエアロ位置をとるときにアームレストの上に腕を載せることができるように設けられる。そのようなアームレストはよく知られており、エアロ位置にある乗車者によって使用されるが、本発明においては、アームレストはトリガー手段として機能する。従って、乗車者がアームレストに圧力をかけると、その圧力が(バネ圧解放機構の形態の)アクチュエータに伝えられる。
【0071】
従って、アームレストに乗車者の前腕を載せることによってアクチュエータが作動可能となり、各アームレストはそれ自身のバネ圧に対抗して押し下げられて、その対応するハンドルバー部分を解放するので、それらのハンドルバー部分は乗車者によって決められたように連続して、または一斉に、一つの位置から別の位置へ移動するように作動する。しかしながら、一つのアクチュエーティングシステムについて説明することは、いかなる点においても本発明の範囲を制限すると見なされるべきではない。これは、他のシステムおよび装置を使って任意の好ましいアクチュエータ手段をも解放することができることは明らかであるためである。従って、一つのトリガー手段は、ボタンとケーブルまたはそのいずれかの装置または同様のものの使用を含むことができる。
【0072】
好ましい実施態様においては、バネ圧解放機構がアームレストに寄りかかる乗車者の前腕によって動作可能である場合、バネはハンドルバーの外側または内側に位置することができる。内部に取り付けられたバネは大きい空気力学的表面を可能にし、乗車者を傷つけないと考えられる。内部バネは、ハンドルバーの内部の下方と、アームレストを支持する支持アームの内部の下方、または装置の本体内に取り付けることができる。
【0073】
乗車者がエアロ位置へ移動したい場合、一方の腕が関連アームレストの上へ移動される。アームレスト上の腕の圧力はアームレストの応答運動を生じ、その結果、アームレストのバネ圧に関する動きをもたらす。この動きは、バネを伸ばすか、圧縮するか、回転させ、ロック機構を開放し、それによって、対応するハンドルバー部分を解放し、対応するハ
ンドルバー部分は、結果として、円弧を描いて上方および前方へ回転してエアロ位置へと回転する。前に述べたように、ハンドルバー部分自身の動きはそれ自身のバネの弾性から生じる。その後、ハンドルバーは乗車者の手の中か近くに達する。
【0074】
いくつかの実施態様においては、ロック手段とラッチ手段またはそのいずれかは、ロックカム、テーパースロット、フック、または本発明と共に使用可能であるか本発明との使用に適した他のラッチ装置を含むことができる。しかしながら、これらの代替案は、それらが例としてのみ列挙され、そのようなオプションおよび変型例は当業者にとって知られかつ理解されるので、制限的と見なされるべきではない。同様に、ハンドルバーをバネ圧のみでエアロ位置に保持することができることは明らかである。
【0075】
好ましい実施態様においては、ハンドルバーは、固定停止手段に接触してエアロ位置に維持され、乗車者の重量が各々のアームレストから除去されるとすぐに解放される簡易止め具によって所定位置に保持されることができる。あるいは、いくつかの実施態様においては、アームレスト上の腕の重量だけで、ハンドルバーに圧力をかけるのに十分であり、そのような腕の重量はバーの回転がワイド位置に向かって戻るのを防止するブレーキのように作用し得る。
【0076】
乗車者は第1のハンドルバーによって自転車を制御するとすぐに、他方の腕をそのアームレストへ移動させ、ハンドルバーのロックカムをはずし、ハンドルバー部分を同様にそれ自身のバネ圧下でエアロ位置へ上方および前方へ揺動させ、乗車者の他方の手の近くまたは中へ置く。
【0077】
乗車者がバーを通常位置へ戻したいときはいつでも、ハンドルバー部分を、各々の側の解放可能ロック機構が再びラッチされるまで、個々のハンドルバーのバネ圧に対抗して、下方および後方へ引っ張り、ハンドルバー部分と乗車者の手をワイドまたは基本位置に固定する。ワイド位置への両ハンドルバー部分の再配置は、一斉に行なうこともできるし、または一度に片方ずつ行なうこともできる。
【0078】
ハンドルバーをエアロ位置から通常、ワイド、または基本位置へ動かすために腕をアームレストから上げなければならないことは明らかである。これは、アームレストがそれ自身のバネ圧の下で上方へ揺動し、エアロロックを解放し、同時に、カム、テーパースロット、または他のロック手段を、対応ハンドルバーをワイドまたは基本位置において所定位置に確実に受容し、かつロックするための位置へ回転させる。
【0079】
エアロ位置とワイド位置の間のハンドルバー部分の動作の間、ハンドルを一度に一つずつ基本位置へ戻すことができ、いつでも少なくとも片手で制御を維持することができるので、完全操縦制御を維持することができる。あるいは、両ハンドルを同時に基本位置へ戻した場合、バランスしたバネ圧に対する動きが維持され、新しい位置への移動を通じて、必要なときはいつでも操縦に対する正しい調節を可能にし、従って、完全な操縦およびバランス制御を維持することができる。
【0080】
しかしながら、ロック可能機構を解放する他の方法を使用することができるので、上記機構は限定的と見なされるべきではない。例えば、ロック可能機構の電子式解放は、各アームレストの移動を必要とせず、両方向の動力運動を提供することができる。
【0081】
以下のことが明らかである。
a)操縦およびバランスに関する無意識の修正運動などを含む乗車者の自然な反応は依然として可能である、
b)ハンドルバーへのバネの追加は、乗車者へのフィードバックを効率的に提供すると
ともに、乗車者がバネ圧に対して作用してハンドルバーをワイド位置へ配置することを可能にする、
c)バネ圧はまた、ハンドルバーの各々の側へバランスのとれた徐々に変動する抵抗を与えることによって操縦制御を維持するのに役立つ。
【0082】
各バネは、反対側のバネの張力と一致するように張力を調節・変更できるようになっていることも明らかである。
これに代わって、一つの中心バネが、両側が同じ中心線を共有する構成の両ハンドルを制御することができる。この場合、張力が与えられたバネは移動中ずっと自動的にバランスが保たれている。
【0083】
各ハンドルの中のバネは二つの目的の役に立つ。一つは、バネが、そのハンドルをワイド位置からエアロ位置へ動かすように作用することである。もう一つは、バネが、バーを一緒にまたは別々に通常位置へ戻すのを容易にするバランスのとれた抵抗を提供することである。
【0084】
バネ圧は、乗車者にハンドルバーの各々の側に対する個別制御を提供し、各々の側の等しい圧力バランスを可能にし、ワイド位置とエアロ位置の間またはワイド位置とドロップス位置の間の位置範囲を通じて移動する間の連続的な円滑乗車を可能にするが、これらに限定されるものではない。
【0085】
本発明は、乗車者が、現存するエアロ付属品を用いる場合、通常基本位置からエアロ位置へ移動するために使用する方法により類似したシステムを提供する。まず、片方の前腕をアームレストにおいて、その手でエアロバー上の制御グリップを掴持し、その後、他方の手を同様にエアロ位置に置く。
【0086】
基本位置へ戻すために、複数のバーをバネ圧に対抗して一斉に移動させる(非常時においては両手がエアロバーを同時に非常に迅速に移動させることができる)ことは、上記の移動に似ているが、操縦制御が保たれているので、より確実である。
【0087】
ばね機構の一つの目的は、乗車者に望ましい位置を迅速に、かつ出来るだけ乗車行為から気を逸らせないで達成させることができる自動操作を提供することであることは明らかである。更に、ばね機構は乗車者が非常時に基本位置へ迅速に戻るのを可能にする。
【0088】
しかしながら、ここで述べられたようなバネによって達成される機能は、空気式、電子式、または他の機械式手段によっても達成できることもまた明らかである。例えば、アームレストからバーへの直接連結手段を動作させる空気流を用いたシステム、または上記の任意の組み合わせも使用することができ、しれらは例としてのみ列挙されており、いかなる点においても制限的と見なされるべきではない。
【0089】
バネはまた動作における重要な部分の役割を果たす。これは、万が一、その機構が、衝突や詰まった石の影響などのなんらかの理由のために動かなくなると、操縦装置の調節がバネ圧下で正しく動作しないため、更に使用する前に修理が必要であることを乗車者に警告するためである。
【0090】
上記機構の可能性のある実現可能な利点は、各ハンドルバー部分に取りつけられた制御装置が乗車者の手と接触しているので、乗車者が制御装置にいつでもアクセスできることである。それゆえ、各ハンドルバーを別々に移動させる場合、乗車者は常に制御装置に片手を置いているので、安全性を向上することができる。このことは、一つの自転車に別々のエアロバーと標準ハンドルバーを有することにより、乗車者はブレーキをかけたりギア
チェンジを行ったりするためにエアロバーから標準バーへ手を移さなければならないという制限の一つに対処している。
【0091】
更に、ただ一組のハンドルバーを有することによって、空気流の中へ横向きに突出し、不必要な抗力を生じる追加ハンドルバーと付属レバーを必要とすることなく、風抵抗が減り、従って、乗車者がエアロ位置をとるときの効率が改善される。さまざまな位置が一組のバーによって達成されるので、自転車の重量も最小に保たれる。
【0092】
更なる好ましい実施態様においては、ハンドルバーは、その上を自転車が走行し得る表面の不規則性によって生じる振動を低減するためのダンパーまたはなんらかの適当な緩衝システムを備えることができる。戦略的取り付け設置箇所は、道路の衝撃と振動を吸収し低減するための柔軟性または圧縮性材料を含むことができる。いくつかの実施態様においては、前記取り付け設置箇所は、通常ハンド位置、各ハンドルの回転中心、または設置停止手段とそれらの各接触点を含むことができる。更に、衝撃減少レベルは乗車中に調節可能とすることができる。
【0093】
柔軟性または圧縮性材料の例としては、ゴム、ナイロン、プラスチック、流体、バネ/弾性手段、または他の材料を含むことができるが、それらは例としてのみ列挙され、いかなる点においても制限的と見なされるべきではない。
【0094】
本発明はまた、ハンドルバーの寸法および位置の少なくともいずれかを乗車者の好みを満足するように調節することができる調節手段を備えるように適合され得る。例えば、ハンドルバーの方向の調節を容易にする方向調節手段を設けることができる。また、ハンドルバーの長さを調節するための長さ調節手段を設けることもできる。
【0095】
いくつかの実施態様においては、前記調節は、増分回転調節オプションおよび増分直線調節オプションの少なくともいずれか、あるいは調節可能停止手段を有する内部管を固定するクランプによって行われる。しかしながら、他の調節手段は、当業者にとって既知のシステムを含み、本発明と共に使用するか本発明との使用に適したものとすることができる。これは、大小さまざまな一連の交換可能付属品を含むことができる。
【0096】
ハンドルバーの方向の変更とは、乗車者の好みに従って、例えばエアロ位置におけるハンドルバーのグリップ領域の高さを変更することができることを指し得る。方向調節手段により乗車者は垂直面または水平面を通じてハンドルバーの移動の程度を制御することができる。従って、エアロ位置をある乗車者に対しては高くし、他の乗車者に対しては低くすることができる。方向の変更はまた、複数のハンドルバーのうちの一つの回転によって実施され、調節可能クランプの使用によって、あるいは、操縦管への取り付け位置によって行われ得る。そのような代替案はまた、例としてのみ列挙されていて、いかなる点においても制限的と見なされるべきではない。
【0097】
本発明は、ハンドルバーのための複数のロック可能位置を可能にする、自転車の乗車者による使用のための装置を提供する。これらのロック可能位置は、乗車者が乗車中とることができる特定の乗車姿勢に対応することができる。
【0098】
エアロ位置は、これが提供する流線型姿勢のために、可能なかぎり使用され得る。例えば、エアロ位置は、一般道路上にいる場合、向かい風の間、または乗車者が安定した競争リズムに落ち着いている場合に採用され得る。
【0099】
乗車者が自転車に乗り降りするとき、発進時や停止のための減速時などの低速で走行するとき、または乗車者が急な加速または登坂のときにサドルから腰を上げるとき、または
単にエアロ位置における乗車のためのオプションとして、ワイド位置または基本位置を採用することができる。ワイド位置または基本位置は、急な曲がり角に近づいたときにカーブ乗車者の体がウィンドブレーキとして作用するように、使用することもできる。
【0100】
本発明は、可能性のある実現可能な数多くの利点を有している。これらのいくつかを繰り返すために、本発明と従来のシステムを比較する。従来は、乗車者は、同じ自転車上の従来型エアロバーと標準的な従来型ハンドルバーとを使用してエアロ位置にいる場合、ブレーキ・ギアチェンジ・レバーに迅速にアクセスすることができなかった。これらのレバーは従来型ハンドルバーの位置に配置されている。これは、ブレーキ操作またはギアチェンジを行なうために、乗車者は手の位置をエアロバーからワイド位置または基本位置へ変更するか、少なくとも片手をその位置へ動かす必要があったことを意味している。
【0101】
別の構成はエアロバーに固定された別のギアレバーを備えているが、ブレーキレバーは依然、通常(基本)位置にある。この場合、乗車者は、基本位置に手を置いている間はギアレバーへすぐにアクセスすることができない。
【0102】
本発明は、乗車者がワイド乗車位置とエアロ乗車位置をとることができる一方で、ギアチェンジ・ブレーキ・レバーへすぐにアクセスすることができるシステムを提供する。一つのハンドル部分が位置間で動かされるとき、乗車者の他方の手は常にブレーキおよびギア制御装置のそばに置かれている。また、本発明は、既存のブレーキおよびギアチェンジレバー技術を、乗車者がエアロ位置にあるときそれらへのアクセスを行えるようにすることによって、補完することができる。
【0103】
乗車中のギアチェンジのタイミングを選ぶことは非常に重要である。以前のハンドルバー技術によって手をエアロ位置から基本位置へ動かすのにかかる時間のために、ギアチェンジのタイミングを正確に選ぶのが困難であったため、結果として乗車効率が低下した。
【0104】
本発明は、ギアチェンジレバーが常にすべての乗車位置においてアクセス可能であるので、乗車者がより効率よくギアチェンジのタイミングを選ぶことができるようになっている。
【0105】
同様に、他の乗車者に接近して、または、流れの中で乗車しているとき、サイクリストは前の車両または自転車と速度を合わせる必要があることがある。本発明のブレーキレバーはすぐにアクセス可能であり、乗車者はどの位置においてもタイムリーにブレーキをかけることができるので、乗車者が前の車両に対して行き過ぎる危険性が減少する。従って、ブレーキレバーへのアクセスが出来ないという群走行事故の原因が緩和されるか最小になる。
【0106】
以前は、エアロバーは従来型バーと組み合わされていて自転車の重量を増やしていた。本発明は、ハンドルバーから不要な構造が除去されているので、より軽量な装置を提供する。本発明においては、エアロ位置とワイド位置において使用されるハンドルバーは同一であり、自転車の重量を低減するので、乗車の効率を増大させる。
【0107】
エアロ位置およびワイド位置において同一のハンドルバーが使用されるため、一つの自転車に二組のハンドルバーが必要でなくなるため、空気抵抗についての抗力も減少する。従って、乗車者がエアロ位置をとるときに抗力を生じる(従来型ハンドルバーのような)不要なハンドルバー構造を有さない。このことは乗車の機械効率を改善し、速度の増大または乗車者のエネルギーの保存を可能にする。
【0108】
ハンドルバーの位置の変更を行なうために、乗車者は、完全に握った手をハンドルバー
から移動させるか開放することによって自転車の完全な制御を放棄する必要はない。本発明の本質は、少なくとも片手が常にハンドルバーの上にあるので、制御をいつでも維持することができることを意味する。以前は、ギアチェンジ/ブレーキ動作によって乗車者の注意が前方の進路から逸らされていた。このことは事故の危険性を増大する可能性があった。本発明は、乗車者が前方の進路から目を離す必要なく、すべての乗車位置における制御レバーへの即時アクセスを可能にするので、事故の危険性を潜在的に低減する。それゆえ、自転車の制御が各々の移動運動を通じて維持されるので、乗車者の安全性が増加する。従って、エアロ位置が将来ドラフト走行法定競技に対して受け入れられるようになる可能性があることを本発明の利点が意味することができることが可能である。
【0109】
本発明により、乗車者はエアロ位置とワイド位置の間またはワイド位置とドロップス位置の間を選択することができる。ドロップス位置はまた乗車者の好みを満足するように調節可能である。
【0110】
本発明のハンドルバーはエアロ位置に固定されたままではないので、自転車は、先行技術のエアロバーを備える場合のように、永久不変の前方取り付け突出アセンブリを有さない。そのように、バーが使用されていないときにそのような突出バーのために他の乗車者に損傷をもたらす可能性が取り除かれる。同様に、延長されたブレーキレバーの必要性がなくなるので、多重衝突の間損傷を生じないと思われるより小さい断面積の制御装置を使用することができる。
【0111】
自転車への取り付け方法
従来のエアロバーは通常、ハンドルバーに固定され、ハンドルバーは、その結果、ハンドルバーステムに取り付けられる。このステムは前部フォーク操縦管の内側または外側のいずれかに固定される。
【0112】
本発明の好ましい実施態様においては、操縦装置は前部フォークに直接固定されるので、エアロバー、ハンドルバー、およびステムとを含む三つの別々の部品を交換することができる。更に好ましい実施態様においては、操縦装置は前部フォークの操縦管の外側に取り付けられる。
【0113】
前部フォークの形状が操縦管の内側への取り付けを必要とする場合、任意で、アダプタが設けられる。アダプタの下端部は操縦管の内側に対して割り込み、アダプタの上端部は操縦管への延長部分を提供し、操縦管に付属品を取り付けることができる。
【0114】
本発明の目的は、本発明が前部フォークの操縦管の上部において自転車に取り付けられるか、前部フォークの操縦管の内側に固定されたアダプタの上部に取り付けられることにある。
【0115】
しかしながら、他の取り付け手段を使用できることは明らかであるので、このことはいかなる点においても制限的と見なされるべきではない。例えば、ハンドルバーステムの前端にあるハンドルバークランプを使用することができる。
【0116】
可能性のある将来の開発
コンビネーション・ギア・ブレーキレバーは本発明の上で正しく機能するであろうが、それらは、従来型ハンドルバーの上に配置されるように設計されており、二つの位置のいずれかから操作される。これらの位置はブレーキフード位置およびドロップス位置と呼ばれる。ブレーキ・ギア・レバーをブレーキフードまたは基本位置から操作する場合、乗車者の手はレバーのハウジング(ブレーキフード)の上に置かれ、レバーは上から操作される。ブレーキ・ギア・レバーをドロップス位置から操作する場合、レバーは下から操作さ
れる。このため、レバーは乗車者がドロップス位置からそれらに届くことができるように特別長くなっている。しかしながら、本発明は、レバーがすべての選択可能乗車位置の中のブレーキフード(上)位置から操作されることだけを必要とする。このことは、小型、軽量であって、本発明の使用と利点を更に高める特別なレバーを考案する機会を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0117】
単に例としての図面を参照して、乗車者による車両の制御のための操縦装置が提案されている。図1は、本発明の一実施態様の一部分を示しており、アームレスト(1)が「アップ」位置において本出願によって説明されるような自転車ハンドルバー(2)に接続されており、ハンドルバー(2)はワイド位置または通常位置に固定されている。
【0118】
斜線(参照番号3および4)は図面における破断箇所を表しており、図1の鏡像が破断箇所(3)において存在し、参照番号3の位置で、自転車ハンドルバーステムに固定された完全なハンドルバー・アームレスト配置を形成している。
【0119】
アームレスト(1)は、バネ(5)によって上向き位置に保たれている。ハンドルバーはロック装置(6)によってワイド位置に固定されている。ロック手段(6)は係合時にリセス(7)に嵌合する。
【0120】
乗車者(図示せず)はワイド位置または通常位置からエアロ位置へ移動したい場合、適当な側の前腕をアームレスト(1)の上に配置する。その後、前腕を押し下げて、アームレスト(1)に力を加える。アームレスト(1)は、矢印(8)で示されるように、下向き円弧状に動き、バネ(5)を伸張させて、ロック手段(6)を回転させ、ハンドルバー(2)を解放する。
【0121】
ハンドルバー(2)はその後、矢印(9)で示すように、そのエアロ位置に向かって上向き位置へ回転し、乗車者は手を容易にハンドルの上に配置することができ、ギアおよびブレーキ(図示せず)を保持することができる。
【0122】
図2はロック手段(6)動作を示す本発明の別の実施態様を示す。アームレスト(1)はアームレストシャフト(10)に接続されており、結果としてアームレストシャフト(10)上のカム(11)に接続されている。カム(11)は、ハンドルバー(図示せず)に固定されたピン(12)と接触している。ハンドルバーユニットの本体上の剛性支持体(13)は、アームレストシャフト(10)の反対側でピンを支持している。
【0123】
アームレスト(1)のシャフト(10)を、矢印(14)で示すように、下方へ移動させると、カム(11)は、矢印(15)で示すように、回転してピン(12)から離れ、ピン(12)は剛性支持体(13)から開放され、ハンドルバー(図示せず)がエアロ位置に向かって上方へ回転するのを可能にする。
【0124】
図3は、アームレスト(1)とそれに関するハンドルバー(2)の間の機械的リンク機構である本発明の一実施態様を示す。アームレスト(1)は単一部品であるアームレストアーム(14)に接続されているが、下向き圧力が矢印(16)で示すようにアームレスト(14)に加えられたとき、点(15)の周りを回転する。アームレストアーム(14)は更に連結バー(17)に接続されており、連結バーは、突起コネクタ(18)を有する単一部分でもあるハンドルバー(2)と接続している。
【0125】
アームレスト(1)を矢印(16)の方向に下方へ押すと、アームレストアーム(14)は点(15)を中心として回転する。この回転運動は矢印(19)で示す方向に連結バ
ーを押す。連結バー(17)のこの動きにより突起コネクタ(18)とハンドルバー(2)が矢印(20)の方向に回転し、ハンドルバー(2)がアームレスト(1)によって印加される圧力の作用を受けて上昇して、制御部(図示せず)をエアロ位置において乗車者の手の中に配置する。
【0126】
機械的にハンドルを上方へ移動させて制御部を乗車者の手の中に配置するためにアームレストの下向き運動の圧力を使うことができる一方で、その運動を助けるためにバネを追加することができることは明らかである。バネは好ましいが必要不可欠ではなく、空気式または電子式手段を含むその運動を助けるための他の手段を使うこともできる。
【0127】
分かりやすく言うと、本発明と共に使用できる少なくとも二つのタイプのロック手段がある。各々解放可能なものである。しかしながら、一方のタイプは指定アクチュエータの作用による開放のみを行なうことができ、第2のタイプは指定アクチュエータの作用による強制開放または解放のどちらかを行なうことができる。記述を容易にするために、前者のタイプを「固定」と呼び、後者のタイプを「強制可能」と呼ぶものとする。
【0128】
好ましい実施態様においては、基本位置は固定ロックであり、エアロ位置は強制可能ロックである。
少なくとも二つの位置の間をハンドルバー部分が移動する間、アームレストから乗車者の腕を離すことによって、アームレストに関する一つのロック/ラッチ手段が解放され、ハンドルバー部分に関する少なくとも一つの他のロック/ラッチ手段が作動することも明らかである。その後、個々のハンドルバーのバネのバネ圧に対抗してハンドルバー部分に乗車者によって圧力を加えると、ハンドルバー部分は基本位置に向かう。この圧力は、そのハンドルバー部分に関する解放可能ロック手段が再度ラッチされてハンドルバー部分と乗車者の手を基本位置に固定するまで、乗車者によって維持される。
【0129】
図4は自転車(全体を矢印21によって示す)を表す。図4には、本出願において述べられたようなハンドルバー構成を備え、自転車フレーム(22)、前部フォーク(23)、および前輪(24)の一部、前部フォークへの取り付け箇所(25)が示されている。また、ワイド位置または基本位置におけるハンドルバー(2)および上向き非使用位置におけるアームレスト(1)も示されている。
【0130】
図5は一般的な前部フォーク(23)のセットを表す。この前部フォークセットは、操縦管(26)および本発明の本体(25)を示すために自転車フレームから切り離されている。この詳細は図4の参照番号(25)においても示されている。
【0131】
図6は長尺ボルト(28)を有するの断面図である。長尺ボルト(28)はネジ山を有し、特別なくさび形ナット(29)に嵌合する。このアダプタ(27)は、ボルトが締められときに操縦管の内部を圧迫すると共に、付属品のための取り付け表面を提供する。
【0132】
図7は押しボタン解放付きロックピン(31)を示す。(34)において固定されたフレキシブル制御ケーブル(32)と、参照番号(35)において固定された外筒は、外筒(33)に取り付けられた押しボタン(37)と内部ケーブル(32)に取り付けられた解放ピン(31)との間に接続されている。
【0133】
押しボタン(37)を矢印「A」の方向に押すと、ロックピン(31)がバネ(36)を押し付けながら、矢印「B」の方向に引っ込む。押しボタン(37)を解放すると、バネがロックピンをその元の位置に戻す。
【0134】
図8aは本発明の操縦装置の実施態様の正面図である。
図8aは正面からみた本発明の説明図である。この図は、各アームレスト支持支柱4の中にテーパースロット1を有している。この図において、左側(半分のハンドルバー)は、バネ5からの圧力によってテーパースロット1の中に保持された位置決め差し込み栓3によってワイド(基本)位置に保たれている。右側(半分のハンドルバー)は、Aにおけるそのアームレストに対する下向き圧力によって解放されている。この圧力は、バネ6を押し付け、右半分ハンドルバーを、それ自身の内部バネ(図示せず)からの圧力の結果として、アエロ位置に向かって矢印「B」の方向に移動させる。
【0135】
逆の移動を行なうためには、各半ハンドルバーをそのバネ圧に対抗して手動で回転させると、付属差し込み栓が、アームレスト支持支柱の先端と接触しそれに沿って移動し、参照番号1においてテーパースロットに達し、そこでバネ5,6からの圧力によって保持される。
【0136】
図8bは、アームレスト支柱4に取り付けられた位置決め差し込み栓を示す。アームレスト支柱4は「B」において回転したとき、各々のハンドル7を支え、差し込み栓が窪みラッチ溝9内に位置してハンドルをその位置に固定するまで、ハンドル7に対するブレーキとして作用する。この差し込み栓の先端は窪みラッチ溝と一致するように相補的に構成されている。
【0137】
図9は、解放可能ロック手段の動作の3段階を示す。解放可能ロック手段はカムを介して動作して、ハンドル部分を選択位置に保持する。
「A」は、各ハンドル(半ハンドル)に取り付けられた延長部分である、差し込み栓、すなわち、該栓の端面図を示す。
【0138】
「B」は、アームレストと共に回転できるように、その回転点の近くにアームレストに取り付けられたカムまたはレバーを表す。
「C」は、差し込み栓Aのための(調節可能とすることができる)停止位置を表わす。
【0139】
一番上の図面は、ハンドルが乗車者によってエアロ位置から基本またはワイド位置へ移動された場合に、差し込み栓Aがその解放可能ロック位置に近づくときの運動の円弧を示している。カムBはバネ圧を受けてその予定経路内へ突出している。
【0140】
中央の図面は、差し込み栓AがカムBを通り過ぎるときにカムBを押すことを示している。
一番下の図面は、差し込み栓Aが、その停止位置Cに到達して、バネ圧によって差し込み栓Aを支持するように圧迫されているカムBによって所定位置に堅固に保持されることを示している。
【0141】
逆の動作を行なうためには、各アームレストが乗車者によって押し下げられ、カムBを中央図面に示す位置へ回転させ、関連するハンドルをそれ自身のバネ圧の作用により第2位置(エアロ位置)へ移動させる。
【0142】
図10は、図10aおよび図10bにおいて二つのスプリットスリーブを示す。これらのスプリットスリーブは操縦管の上に配置される。スリーブ10aは同心形状を有し、エアロ位置のための場所を提供する。しかしながら、スリーブ10bは、傾斜した形成されており、逆さまにすることにより、スリーブ10aのそれよりも上方または下方に位置する二つの代替位置を提供することができる。
【0143】
本発明は個々の乗車者の特定の要求を満たすためのカスタマイズされたハンドルバー部分を提供するのにふさわしいことは明らかである。従って、ここでの記述は操縦装置のど
れだけ多くの部品が代替の形状/構成を有することができるかということのいくつかの例を提供している。それにもかかわらず、それらの例以外の変型が可能であり、同様に本発明の範囲内に入ることは明らかである。
【0144】
再び繰り返すが、用語「備える」は本書で使用される場合限定的な意味で使用されると考えられるべきではない。従って、「備える」は、排他的な一組の品目を表すものでもなく規定するものでもないが、リストに加えられる他の構成要素と品目の可能性を含んでいる。
【0145】
この明細書はまた先行技術に関する本発明の理解に基づいている。先行技術の記述は、先行技術の真の状態の権威のある開示と見なされるべきではなく、むしろ、本発明を開発するときに本発明者の心と注意の中にありかつそこへもたらされる考慮すべき事柄に関するものとみなされるべきである。
【0146】
本発明の側面は例のみによって述べられたが、特許請求の範囲に規定されるように、本発明の範囲から逸脱することなしに、それに対して変更と追加を行なうことができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】ワイド位置における本発明の好ましい実施態様を示す図。
【図2】ロック装置の動作を示す本発明の好ましい実施態様を示す図。
【図3】アームレストとそれに関するハンドルバーとの間の機械的連結である一つの好ましい実施態様を示す図。
【図4】本発明の一つの好ましい実施態様を含む自転車を示す図。
【図5】前部フォークへの取り付け方法を示す図。
【図6】操縦管の内部に固定されるようになっているフォークへの取り付けを容易にするためのアダプタを示す図。
【図7】押しボタンを押したときにロックピンを引っ込める押しボタンアセンブリを示す図。
【図8a】本発明のさまざまな実施態様に従う操縦装置の正面図。
【図8b】本発明のさまざまな実施態様に従う操縦装置の正面図。
【図9】本発明の一実施態様に従う操縦装置と共に使用される解放可能ロック手段の3つの段階を示す図。
【図10a】本発明の一実施態様に従う操縦装置と共に使用される、操縦管の上に位置するスプリットスリーブを示す図。
【図10b】本発明の一実施態様に従う操縦装置と共に使用される、操縦管の上に位置するスプリットスリーブを示す図。
【技術分野】
【0001】
本発明は操縦装置の改良に関する。
より具体的には、本発明は、自転車のハンドルバーを含む操縦装置と車両制御装置の改良に関する。しかしながら、本発明の原理は他の操縦装置に適用できることは明らかである。
【背景技術】
【0002】
自転車走行はレクレーション活動であり、スポーツ活動の観点から非常に人気がある。自転車走行は、オリンピック、英連邦競技会、および世界、国および地方のイベントなどの主要なスポーツイベントにおいて採用されている。
【0003】
最近では、自転車競走スポーツは、ランニング、水泳、マウンティングバイク競争、および、カヤック競争のような他のスポーツと複数の段階として組み合わされて一つの連続した多段階レースを形成している。この形態の競技の例としては、トライアスロン、デュアスロン、クロステラ、およびマルチスポーツ競技がある。そのような競技から、多くの新しい技術を含む専用自転車が生まれ、それらの技術の多くはその後世界中のロード自転車走行仲間によって採用されている。
【0004】
しかしながら、すべての形態の自転車走行に共通であって、乗車者が自転車を制御する方法である一つの特徴がある。脚が、エネルギーと力を供給して可変比駆動列を介して前方運動を与え、手が、方向、駆動比(ギア)、ブレーキ、および乗車者の姿勢(体の姿勢)を制御する。それゆえ、操縦装置は、レクレーションであろうと他の乗車者との競争であろうと上手な乗車にとっての重要な要因である。変化する地形の要求と合致するための正しいギア比の選択、減速を制御するためのまたは非常時におけるブレーキへのすばやいアクセス、および上体支持は、乗車者の要求を満足する乗車位置の適切な選択と共にある。乗車位置のいつかの例としては、空気力学的効率のための低姿勢、加速の間または急な坂道を登る間の最大力のための直立、および、回復と快適さの助けとなる位置がある。
【0005】
これらの乗車位置の多くのために、最新のハンドルバーの上に最適グリップ位置が設けられている。最も一般的に使用される位置は基本またはブレーキフード位置と呼ばれ、そこでは手はブレーキ・ギア・レバーを含むハウジングの上に置かれる。ブレーキフードは、指にブレーキ・ギア・レバーを常時接触させる軟質ゴムグリップ領域を有して人間工学的にデザインされている。ブレーキフード位置は、乗り降りのとき、サドルに座らずに加速するか坂を上る間、低速または難しい操作の間、ブレーキ・ギア・レバーの使用が必要なとき、および厳しい努力の後の回復のために使用される。(シマノ(Shimano)STITMレバーは、ブレーキかギアのいずれかを制御するために別々に動かすことができるレバーを含んだ一般的なデザインである)。この位置はそれゆえ乗車者に制御装置への最善のアクセスを提供するが、空気力学的に効率的でない更なる垂直姿勢に乗車者の胴を支える。
【0006】
この問題を改善するために、第2のグリップ位置が開発された。このことは、ハンドルバーは下方かつ後方へ延ばされて、胴がより空気力学的に水平な位置にある乗車方法を提供する。これはドロップス(Drops)位置と呼ばれており、その空気力学的利点のために基本位置よりも速い位置と見なされている。制御装置へのアクセスを維持するために、レバーは下方へも延ばされるので、乗車者はドロップス位置からギアを切り換えるかブレーキを操作することができるが、レバーはこの位置からは届きにくく、ブレーキかギアのいずれかを作動させることができる前に、更に動かされる必要があり、このことは非常
時において危険である。
【0007】
第3の位置では、乗車者の手がハンドルバーの取り付け箇所の各側面のハンドルバーの水平部分の上に置かれる。それは通常、登坂位置と呼ばれており、全力を必要とするほど急ではない一定した斜面を登るときに有用である。乗車者は直立に座り、前腕は平行であり、乗車者の体に近いひじとほぼ水平である。それはまた、より高速に至らない回復位置としても使用され、制御装置へのアクセスに制限がある。
【0008】
1980年の中ごろに、エアロ位置が開発された。従来型ハンドルバーの取り付け箇所の近くに取り付けられたアームレストと共に乗車者の手が互いに接近するように、前方へ延びかつ先細になった追加ハンドルセットを含む付属品が、すべての形態の競技に対して非常に一般的となった。それは余分な重量を追加したけれども、この装置はどんな他の乗車位置よりも目だって速かった。アエロバーによって乗車者は、急な坂を除くほとんどすべての道路条件に適切な低くてコンパクトな体姿勢をとることができた。一つの不都合は、ブレーキ・ギア・レバーへのアクセスが面倒であり、非常時の間にブレーキレバーを掴み損なう可能性があることであった。多くの乗車者が互いに群れをなす競技において、ブレーキを使う正確な速度制御は必要不可欠であり、他の乗車者のすぐ近くでエアロバーを使用する乗車者が、前の自転車を行き過ぎるのを防止するために遅れずにブレーキをかけるのに失敗したときに、いくつかの多重衝突が生じている。
【0009】
自転車競技はそれゆえ多くの形態に発展してきたが、ドラフティング(エネルギーの消耗を低減するために前の自転車のスリップストリーム内を走ること)を許すチーム競技とドラフティングを許さない個人競技の二つの主要なグループに分けることができる。現在、エアロバーの使用は、トライアスロン、ジュアスロン、タイムトライアル、多種目スポーツ、および、いくつかのトラック競技を含む非ドラフティング競技に限定されている。
【0010】
要約すると、自転車競技に関する現状は、安全の側面か高速で競技するための可能性のいずれかから、理想的ではない。ブレーキ・ギア・レバーは、発進および停止するときまたは急な坂を上るときの低速時において容易にアクセス可能であるが、車両が高速で進んでいて乗車者が反応回数を減らしていると思われるドロップス位置かエアロ位置のいずれかにおいて、その使用は損なわれる。両側に水平な道路がある坂道を含む競技に参加しているエアロバーを備えた自転車の上の乗車者を考える。このサイクリストは坂道に接近しながら力を得るために加速し、その間、少なくとも一度ギアを変えることが必要でありうるので、ギアレバーに手を伸ばすためにその空気力学的フォームを乱し、このことはわずかなブレーキ効果を持つ。サイクリストが勾配に着いて登るとき、更に多くのギア変更があり、そのタイミングもまたリズムと調子を維持するのに重要である。この間、乗車者は、制御装置へのすばやいアクセスなしに加速し坂道を登るいずれの間も、ギアレバーを見るために頭を前方の道路からそらす必要がありうる。乗車者の手はその後ブレーキフード位置へ移され、乗車者は、坂道の上を越える最大力のためにサドルから腰を上げ、その後エアロ位置に戻って斜面を下へそして前方の平坦な道路に沿って加速する。この間、乗車者が、高速で、しかも、ブレーキへの制限されたアクセスと、目を前方の道路から離して制御装置の位置を探し当てる起こりうる必要性を伴う高いリスクで、カーブをうまく通り抜けるときに、ギアを変更しなければならず、なんらかのブレーキ操作が必要とされる。非常時においては、乗車者は、手がブレーキレバーを探し当てると確信するか、リスクを冒して目を前方の道路から離して確実に手が望ましいレバーに達するようにするかのいずれかを選択することを強いられることがありうる。
【0011】
理想的な自転車は、それ故、(安全と効率的なタイミングのための)すべての乗車位置において制御装置へ容易にアクセスでき、競技中最大の利点を乗車者に与える乗車位置を選択できるものであろう。例えば、基本位置とエアロ位置である。そのような自転車の上
で、乗車者は、ブレーキフード位置において坂を登るときであれ、エアロ位置においてカーブを下降しうまく通りぬけるときであれ、いつも、目を前方の道路から離す必要なしに、ブレーキをいつでもすぐに使用することができ、ギアレバーもすぐに使用してあらゆるギアチェンジに完全なタイミングを与えることができる。
【0012】
自転車に二組の制御装置を備えることは実際的でないか経済的に実現可能ではない。それゆえ、理想的なオプションは、ブレーキ・ギア・レバーが取り付けられた一組のハンドルであって、自転車に乗車している最中に、乗車者によって意のままに選択可能な少なくとも二つの乗車位置に移動させ/移し/調節し、ロックすることができるハンドルを設けることである。そのような配置は、基本位置とエアロ位置に対するハンドルが同じであるので、エアロ位置における追加空気力学的利点と、減量の可能性とを有するであろう。同様に、レバーは、乗車位置にもかかわらず全く同じように操作されるので、小型かつ軽量またはそのいずれかのレバーアセンブリが可能である。
【0013】
世界、国および地方の自転車競技とレクレーションイベントにおいて、乗車者はしばしば互いに群れとなる。この間、乗車者はできるだけ自転車を制御できることが重要である。乗車者がハンドルバーの上に両手を置くかハンドルバーを両手でしっかりと掴んだときであって、手がギア・ブレーキ・レバーに接触しているか、それらの近くにある場合に、安定性が最もよく保たれる。この安全性の要求は、乗車中いつでも重要である。
【0014】
いつでもハンドルバーにある手が、競争またはレクレーションの間に、通常、乗車者が食べ物を食べているとき、手で合図をしているとき、または、例えば、ワイドまたは通常(従来)位置からエアロ位置へ乗車位置の間を移動しているときに、ときどき片手だけハンドルバーから離れる。エアロ位置は乗車者がエアロバーを使っているときにとられる一般的な位置である。
【0015】
また、自転車にのっているとき、乗車者は車両全体が打ち勝たなければならない抗力の3分の2以上を占める。抗力の量は、競争自転車スポーツにおいては重要な考慮事項である。抗力を低減することにより、乗車者の入力に変化がない場合でも自転車走行性能を改善することができる。抗力の減少は、車輪、フレームなどの自動車部品の空気力学設計によって達成することができる。例えば、空気力学車輪は標準的な車輪と比べて抗力を低減することができ、空気力学フレームは円形フレームと比べて抗力を低減することができる。フレームの重要領域は前縁(フォーク、ヘッド管、ハンドルバー、および乗車者の脚の間の領域)である傾向がある。最善性能を持つと思われるフレームはエアフォイル形状の前縁とサドル管を持つ(またはサドル管を持たない)傾向がある。
【0016】
しかしながら、自転車と乗車者を組み合わせた全体の空気力学にとって重要なのは乗車者の位置である。タイムトライアルをするとき、効率的な空気力学的乗車位置がロードサイクリストやトライアスリートの成績にとって非常に重要であることが、過去10年間にわたってますます明らかになってきている。乗車者にエアロ位置をとらせることが、乗車者の体によって生じる抗力を低減することによって速度を増やすためと、乗車者のエネルギーを節約するための最も効果的な方法の一つであることが知られている。
【0017】
良いエアロ位置は以下の3つの要素を有している。
1.乗車者が効果的にペダルを踏むことができるようなペダルに対する乗車者の位置(これはサドル位置の調節を必要とすることがある)
2.自転車を制御し、それでもなお必要なときには食べる、飲むなどの行為を行なうための乗車者の能力
3.乗車者と自転車の全体的な空気力学
エアロ位置にあるとき乗車者のための重要な要素は、
1.胴を水平にすること
2.ひじの間隔を狭くすること
3.ひざを上部管に近づけてペダルを踏むことができるひざ幅
この位置を達成することができるためには、さまざまな形式のエアロハンドルバーの出現が最も重要な貢献の一つであった。これらのエアロバーは、乗車者が、腕を互いに接近させ、そのことによって少ない断面積の更なる流線型の突入輪郭を示すことによって、更なる空気力学的位置を達成するのを可能にした。
【0018】
エアロバーは最初、1987年ごろに自転車競技用に開発された。それは、従来型ハンドルバーに取り付けられる付属品であり、乗車者の前腕とひじが互いに近づき、気流を胴の周りに向ける「V」または矢の形を形成するので、乗車者がドロップス位置におけるよりも流線型の乗車姿勢をとることができるようになっている。
【0019】
さまざまな形式のエアロバーがある。それらは通常、従来型ハンドルバーから前方へ延びて、約150mm離れて互いに接近している二つのハンドルバーを有している。いくつかは単に頂点の近くにグリップ位置を有するAフレームである。二つの別々のエアロバーを含む他のものは、互いに連結するか独立にすることができるが、自転車ステムに近接した主ハンドルハンドルバーに取り付けられる。更に他のものは、前部フォーク操縦管の上に直接取り付けられた単一ユニットのエアロハンドルバーと従来型ハンドルバーの組み合わせを含むことができ、「ドロップス」乗車位置を含むバーの代わりとしてエアロ位置乗車のためにその前端から二つの取っ手が延びている。
【0020】
ひじの近くの前腕を支持するためにクッション入りアームレストをエアロバー付属品の中に含めることができる。アームレストは一般的にカップ状であって、例えば主ハンドルバーにさまざまな方法で取り付けることができる。しかしながら、主ハンドルバーへのアームレストの取り付けの位置またはアームレストそれ自身の構成により、アームレストの存在は、乗車者が登坂位置においてハンドルバーを握るのを妨げる。従って、エアロバーと組み合わされたアームレストの構成と配置は、乗車者の快適さと性能にとって重要な考慮事項である。
【0021】
エアロバーは、乗車者がコンパクトな流線型姿勢をとることを可能にした。このコンパクトな流線型姿勢は速度と効率を約5%だけ改善することが証明されている。従って、標準ハンドルバーと組み合わされたエアロバーの配置は、乗車者が、登りと加速、制御装置へのアクセス、および乗り降りの間の低速度操作性のために、広いグリップで、標準ハンドルバーを使用すると共に、その他すべてに対するオプションとしてエアロバーを使用するのを可能にした。
【0022】
しかしながら現在の先行技術システムには多くの問題がある。例えば、エアロバーを現在の自転車に付属品として取り付ける場合、乗車者は事実上二組のハンドルバーを持つことになる。乗車者は一度に一組だけを使用できる。
【0023】
また、ブレーキシフタとギアシフタは一般的に主標準ハンドルバーの上にある。エアロバー上のブレーキ・ギアチェンジ・レバーへのアクセスは以前は簡単ではなかった。ブレーキレバー、ギアチェンジレバー、およびシマノ(Shimano)STITMシステムなどのコンバインド・ブレーキ・ギアチェンジ・レバーは、通常、エアロバーから離れている。それゆえ、乗車者がエアロ位置にある場合、乗車者がギアシフトを行なうかブレーキをかけるためにバーからバーへ手を伸ばさなければならないので、自転車の制御が損なわれる。それゆえ、乗車者がより早く進むのをエアロバーが助ける一方、急な曲がり角、難しい下り坂、でこぼこした道路、強い突風、および急に止まる必要のあるすべての交通状態に対する減速制御のために乗車者が手をブレーキレバーの近くに(ブレーキフードか
ハンドルバーの曲がった「ドロップス」の上に)置いたままにすることが推奨される。このために、自転車の制御ロスがペースライン玉突き衝突を生じることがありうる。
【0024】
一般的な競技用構成は、上に述べられた更に伝統的な配置に対する代替案として、エアロバーに取り付けられたギアチェンジレバーと通常のハンドルバーの上に置かれたブレーキレバーを備えている。この構成も乗車者の要求を満足できない。例えば、乗車者に制御、リズム、またはタイムトライアルの間の正に貴重な数秒を失わせることがありうる急な加速または登坂の間に必要とされるような、サドルから腰を上げて乗車している間のギアチェンジに困難性がある。それはまた、エアロ位置に乗車している間の非常時にブレーキ制御装置への簡単なアクセスを必要とする問題を解決することができない。
【0025】
それゆえ、エアロバーは、その使用が、群走行の間のいくつかの主な衝突の原因となっているので、いくつかの形態のドラフト走行法定自転車レースに対して禁止されている。
しかしながら、トライアスロン、ジュアスロン、多種目スポーツ、およびタイムトライアル自転車競技はエアロバーの使用を許可している。エアロ位置はまた、乗車者が一般にブレーキフードまたは基本位置と呼ばれるワイド位置に手を置いて最善の制御を行なう急坂と急カーブを除いて、前方に障害物のない道路があるときはいつでも使用することができる。
【0026】
基本位置は自転車を乗り降りするときや低速で走行するときに使用される。これは出発するときや停止するために速度を緩めるときを含むことができる。基本位置はまた、サドルから腰を上げるとき、ペダルとハンドルバーの上の体重を支えるとき、登坂または加速の間、あるいは他の低速時にも使用され、この場合位置が広いほど良い制御ができる。基本位置はまた、ブレーキ・コントロール・レバーが基本位置にある場合、ギアチェンジをするときまたはブレーキが必要なときにも使用される。
【0027】
どちらの端にも下向き曲線部を含むハンドルバーの上に、より低いワイド位置(「ドロップス」位置)が達成可能である。この位置は通常、トライアスロン競技ではなく、従来の自転車競技と関係が深い。ギアチェンジ/ブレーキレバーは下方へ延ばされ、乗車者がドロップス位置においてそれらに届くことができる。
【0028】
これらのレバーは下方へ延びてドロップス乗車位置の近くにあるけれども、ギアチェンジやブレーキ操作を行なうために大きな動きを必要とするために、乗車者の中には必ずしも操作が簡単でないものもある。重量も考慮事項である。乗車位置にも関わらずいつも同じように操作される小さくて軽い制御装置を有することが好ましい。
【0029】
従来の先行技術エアロバーシステムに伴う更なる問題は、乗車者がエアロ位置において更なる流線型姿勢にあるにもかかわらず、エアロバーを使用したときには、ワイド位置における標準ハンドルバーとそれに関するレバーの未使用部分が、乗車者の腕がない所を通ってであったとしてもスリップストリーム内に残ったままであるので、乗車者を減速させるかエネルギー費やす可能性のある抗力をもたらすことである。二組のハンドルバーの存在はまた自転車の重量を増し、乗車効率と速度を低減する可能性がある。
【0030】
従って、乗車者によって要求されるような(基本位置を達成することができるための)従来のハンドルバー配置と(特に競技のための現在最速と知られている位置である)エアロバー配置の少なくとも両方の位置をとることができる一組の制御装置付きハンドルバーを、更にブレーキ・ギア・システムへの安全なアクセスを保つという問題を克服するように、有することに可能性のある実現可能な利点がある。
【0031】
調節可能なハンドルバーの一例は、特許文献1である。しかしながら、この文献は、ハ
ンドルバーの側方運動を提供するだけでハンドルバーを複数位置に固定することができない装置を開示している。これは明らかに競争力のある乗車には役に立たない。この装置はまた乗車中は調節可能ではない。
【0032】
更にもう一つの先行技術システムにおいては、自転車のハンドルバーを互いに別々にではあるが、前部自転車フォークにほぼ平行な配列で折りたたむようになっている。そのような配列は、格納や搬送のための折りたたみ式自転車をもたらすようになっており、自転車に乗車している乗車者による使用のためのハンドルバーの配置変えに適用できない。
【0033】
従って、本発明は数多くの可能性のある実現可能な応用を有しているが、本発明が開発されたのは代わりのハンドルバー配置を提供することに関してである。もっと具体的言えば、本発明が開発されたのは、エアロバーと標準ハンドルバーの両方のデザイン、操作、現使用に関する問題を念頭においてであった。また、本発明が開発されたのは、既存の調節不可能ハンドルバーに対するもので、エアロバーをより安全に使用できるようにするための安全な代替案を提供するための可能性に関してである。
【0034】
これらの問題を念頭におくと、
a)乗車者に、基本位置かエアロ位置のいずれか、あるいは、要求されるか一般的となったすべて他の位置におけるハンドルバーの使用のためのオプションを提供し、更に、
b)自転車の改善された制御と、
c)空気力学的効率と、
d)すべての必要な位置におけるギアチェンジ・ブレーキ・レバーへのアクセスと、
e)自転車に乗車している間でも安全に操作できるギアチェンジ・ブレーキ・レバーへのアクセスと、
f)二組のハンドルバーの必要性を取り除くため、自転車の重量の減少に効果がある位置調節可能な一組のハンドルバーと、
g)位置間で簡単かつ安全に操作できる位置調節可能な一組のハンドルセットと、
h)乗車者がハンドルバーから手をはなすか、ハンドルバーの一方から他方へグリップを移す先行システムの必要性に対処する位置調節可能な一組のハンドルバー
またはそのいずれかを備えたハンドルバーの形態の操縦装置を有することが役に立つ。
【特許文献1】ニュージーランド特許第102780号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
上記提案されたハンドルバー装置の利点のすべてでないにしても少なくともいくつかを提案する発明を有することは有利であろう。それゆえ、本発明の目的は、上記問題を考えて、複数のこれらの問題に対処する少なくとも一つの解決策を提供することにある。
【0036】
それゆえ、本発明の更なる目的は、一般大衆に有用な選択または代替システムを少なくとも提供することにある。
本発明の更なる側面と利点は、一例としてのみ与えられる以下の記述から明らかとなる。述べられた実施態様に対する変形例は可能であり、本発明の範囲内に入るであろうことは明らかである。
【0037】
この明細書において引用されたなんらかの特許または特許出願を含むすべての参考文献は、その著者が主張することに関して考察されており、引用された文献の正確さと正当性に関して本出願人によって認められるものではない。この先行技術論議は本発明に関するさまざまなシステムの比較を含んでいるけれども、このことは本発明がニュージーランドまたはどこか他の国におけるこの技術における共通の一般的な知識の一部として含まれることを意味しないことも明らかに理解されるであろう。
【0038】
用語「備える」は、変化する司法権の下で、排他的意味か包含的意味のいずれかと見なすことができることが認められる。この明細書の目的のために、そして、他に言及されていなければ、用語「備える」は包含的意味を有する、即ち、それが直接に言及する列挙された構成部品のみならず他の記載されていない構成部品または要素の包含を意味すると解釈されるものとする。この基本原理は、用語「備える」または「備えた」が、方法またはプロセスにおける一つまたはそれ以上の工程に関連して用いられるときにも使用される。
【0039】
本発明の更なる側面と利点は、一例としてのみ与えられる以下の記述から明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本発明の一つの側面によれば、少なくとも二つの位置に調節可能な複数のハンドルバーを備える乗車者による車両の制御のための操縦装置であって、前記ハンドルバーは乗車者によって第1の位置から別の位置へ移動されることができ、乗車者によって少なくとも一つの位置に固定されることができ、操縦機能とは独立していることを特徴とする操縦装置が提供される。
【0041】
本発明のもう一つの側面によれば、少なくとも二つの位置に移動可能な複数のハンドルバーを備える乗車者による車両の制御のための操縦装置であって、前記ハンドルバーは中心点の周りを移動することができ、前記ハンドルバーは中心点の周りを回転することによって乗車者によって第1の位置から別の位置へ移動可能であり、乗車者によって少なくとも一つの位置に固定可能であることを特徴とする操縦装置が提供される。
【0042】
本発明のもう一つの側面によれば、少なくとも一つのバネを備える、上記のような乗車者による車両の制御のための操縦装置であって、前記バネは前記ハンドルバーに含まれ、前記バネは乗車者によって第1の位置から別の位置へ動かされるときに前記ハンドルバーに負荷をかけることを特徴とする操縦装置が提供される。
【0043】
本発明に関する用語「操縦装置」は車両の進路を指示することができる装置のことをいい、それを含む。本発明においては、操縦装置はより具体的には、ハンドルバーまたはその同等物と、レバー、および制御装置を含む。本発明においては更に、ハンドルバーは自転車ハンドルバーを含む。しかしながら、本発明の原理は複数位置決めから利益を得ることができる他の操縦機構に適用することができるので、自転車ハンドルバーと言った場合、限定的と見なされるべきではない。
【0044】
用語「ハンドルバー」は通常、自転車用操縦機構のことを言い、操縦ハンドルと同義語であるが、操縦するための乗車者のバランスまたは質量重心に関連して使用される。ハンドルバーと言った場合、自転車のバランスを制御、管理、操縦、または維持すると共に、乗車者の上体を支持するために使用される機構のどの部分をも含むことができる。用語「ハンドルバー」は、ブレーキまたはギアチェンジのための制御装置を通常含むと理解されるべきであり、操縦機構を握るまたは制御するために使用される少なくとも一つのハンドルまたは領域を含むこともできる。複数形はまた単一ハンドルバーを包含していると解釈されるべきである。
【0045】
人々はさまざまな理由のために自転車に乗り、自転車のデザインは自転車の使用目的を反映している。道路自転車は道路で乗車するようにデザインされる。マウンテン自転車はオフロードで乗車するようにデザインされる。トラック自転車は、特別に作られた自転車トラックでのトラック走行用にデザインされる。競技自転車は自転車競技用にデザインされ、高速、軽量、空気力学的である。自転車競技においては、賞は相対性能に基づいて与
えられる。従って、性能の向上のために絶えず努力がなされている。
【0046】
重力の影響のみならず、空気抵抗、転がり抵抗、および摩擦抵抗は、レクレーションのためであれ競争のためであれ、道路自転車や競技自転車に乗車するときに克服されなければならない力である。平坦な道路で自転車に乗車している間は、重力の影響は事実上無視される。同様に、機械的摩擦は全抵抗の小さな要素である。自転車走行に対する空気抵抗は圧倒的に最大の要因であり、自転車の速度が19.3kphを越える場合、きわめて大量のエネルギー消費を必要とする。実際、29.0kphにおける空気抵抗は全抵抗の80%以上をなす。実際、空気力学的抗力は、道路での自転車走行中は、全抵抗の56%〜75%を占める。
【0047】
数学的には、空気抵抗によって生じる抗力は速度の二乗に比例して増加する。しかしながら、自転車に乗車している間の抵抗に打ち勝つのに必要な力またはエネルギーの消費は速度の三乗に比例して増加する。従って、速度が増加するとき、その速度に達するために力のレベルを指数関数的に増やさなくてはならない。同様に、抗力を低減することによって達しうる速度と節約できるエネルギーまたはそのいずれかは、高速で競技する場合、かなり大きくなる。
【0048】
高速で自転車走行している間の空気抵抗を最小にすると共に、生理的ストレスを低減するために、サイクリストはしばしばドラフト走行する。ドラフト走行は、別のサイクリストの後輪の後ろに接近(約0.5m内)した形で自転車走行を行なうを含む。ドラフト走行は、一つの自転車に乗車している間のエネルギー消費を低減する場合の重要な戦略である。エネルギー消費は、緊密な編隊でドラフト走行しているとき、最大27%低減することができる。
【0049】
しかしながら、ドラフト走行は抗力の影響を最小にするための唯一の方法である。自転車スポーツにおける最も重要な焦点は、一つの自転車での走行の間の風抵抗を低減することを期待して、乗車者の体位置および空気力学フレームの役割に関連していた。また、ハンドルバーデザインは注目されてきた一つの領域である。ハンドルバーデザインはいくつかの望ましい品質の間の妥協である。これらは、
・乗車者に空気力学的位置をとらせることができること、
・乗車者が長い乗車の間の体位置を変更することを可能にして疲労を防止することができること、
・上体支持を提供すること、
・自転車の操縦およびバランスのためのてこの作用を提供すると共に、動力伝達路への力を増やすために自転車のフレーム全体に対してもてこの作用を提供すること、
を含むが、これらに限定されない。
【0050】
代替的な自転車乗車位置とより良い空気力学を提供するために使用されるハンドルバーとグリップのデザインの多くの型がある。いくつかのデザインは使用の変化と位置の調節を可能にするが、他のデザインは固定された構成を押し付ける。
【0051】
利用可能な変化は、特にドロップス位置における制御装置に対する人間工学とアクセスを含む問題を解決するためのデザイナーの試みを説明するのに役立つ。このことは、ドロップス位置が、不快感、制御およびバランスの欠如、制御レバーへの不便なアクセスなどを含む乗車者にとっての不都合を有していることを示す。
【0052】
上記は標準ハンドルバーに関する問題を提起する。しかしながら、本発明においては、用語「ハンドルバー」はエアロバーも含んでいる。標準ハンドルバーの幅は乗車者の肩幅と関連付けられている。エアロバーに対しては、その幅は乗車者の肩幅と関係していない
が、エアロバーの使用の実用性と関連付けられている。エアロバーは、一般に、乗車者の手とひじの位置を互いに接近させてより良い空気力学を提供することができる。しかしながら、乗車者の中には、狭いひじ位置が窮屈と思うどころか、呼吸を容易にするためにひじを離すことを要求するものもいる。
【0053】
それにもかかわらず、エアロバーを使って自転車走行性能を改善することを念頭において本発明は開発された。それゆえ、本発明は、特定の状況における従来型ハンドルバーの不都合のすべてではないとしても、少なくとも部分的にいくつかに対処することに関する。それにもかかわらず、同時に本発明は従来型ハンドルバーの使用に関する利点を含もうとしている。更に、本発明は、以前から存在するエアロバーデザインの限界に対処しようともしている。また、本発明は、サイクリストが、一つの自転車ハンドルバーアセンブリの上に従来型ハンドルバー、ドロップス、およびエアロバーのすべてまたはいずれか一つを有する必要性をなくすエアロバーデザインを提供しようとしている。
【0054】
従って、本明細書において、少なくとも二つの位置という場合、乗車者がエアロバーを使っているときに見られる位置である第1の位置と乗車者がより流線型姿勢をとろうとするときの乗車位置またはそのいずれかを指す。以下これをエアロ位置と呼ぶことができる。別の位置という場合、加速、ブレーキ、登坂、またはギアチェンジのときにおけるような、乗車者が従来型ハンドルバーを持つか握っているときに見られる更なる直立姿勢に関する位置を指すことができ、あるいは、単に、エアロバーを使うためのオプションであることができる。以下この位置を基本位置と呼ぶものとする。明確にするために、用語「基本位置」は、走行中自転車においては、ワイドまたはブレーキフード位置と呼ぶこともできる。この明細書を通じて、これらの用語の使用は基本位置を意味するものとする。
【0055】
基本位置は「ドロップス」位置を含むこともできる。しかしながら、上記定義は、本発明の範囲から逸脱することなしに他の位置が達成されうるので、本発明の製造または使用の範囲を制限すると見なされるべきではない。
【0056】
前記少なくとも二つの位置は、エアロ位置とワイド(基本)位置の間の、または、それらを越えた一時的位置、あるいは、考えられる限り乗車者によって取られる他の位置ということもできる。これらの位置は不連続または連続であることができる。
【0057】
この明細書を通じて、乗車者という場合、自転車に乗車している最中の人を指すことができ、停止して自転車を調節または整備している乗車者と区別される。
この明細書において乗車者によって少なくとも一つの位置に固定可能であるハンドルバーという場合、前に述べられた位置に固定可能であるハンドルバーを指すことができる。
【0058】
好ましい実施態様においては、ハンドルバーは二つの部分で構成されたハンドルバーを作るために中央で分離されると考えられ、各部分は、操縦のために使用される部分とは関係なく軸の周りを移動するか回転することができる。
【0059】
この明細書を通じて、用語「ハンドルバー」は今、二つの部分で構成されたハンドルバーを意味し、各部分は、ハンドルバーが中心点または中心点の周りに分割されたハンドルバーの最大半分を構成すると理解されるべきである。従って、各ハンドルバー部分は、標準ハンドルバー配置に対してよくあるように、適切なブレーキ機構とギア機構が取り付けられるが、「ドロップス」位置に対する装備を除くことができることは明らかである。
【0060】
ハンドルバーの各部分がそれ自身の個別回転中心の周りを回転することができるか、あるいは、両部分が、操縦のために使用される軸とは別の中心専用軸点の周りを回転するか移動可能であることは明らかである。
【0061】
好ましい実施態様においては、各ハンドルバーはそれ自身の個別の回転中心の周りを移動する。各回転中心は自転車の中心からほぼ等距離にあるか、または自転車の中心に位置することが好ましい。ハンドルバー部分の動きをもたらすために適切な手段が必要である。本発明の一実施態様におけるそのような動きは弾性手段によって操作されることが好ましい。また、少なくとも一つの弾性手段は各ハンドルバー部分と関連付けられている。本発明においては、弾性手段はバネを備える。各ハンドルバー部分がバネ圧下で他のハンドルバー部分から独立して移動するという利点は、制御およびバランスは複数の位置の間で移動されないハンドルバー部分によって維持され制御されるので、そのハンドルバー部分によって行なうことができるバランスおよび操縦の制御を損なうことなく、乗車者が、同時に両側を動かすか、各ハンドルバー部分を独立して動かすという選択肢を有していることである。更に、移動の速くて効率的な方法が提供されている。
【0062】
更なる利点は、各ハンドルバーの動きが、その解放を乗車者が制御できるバネ圧の結果としてもたらされることである。そのような乗車者の制御は、操縦およびバランスが、動きの間に影響されないか、機構が事故の結果、故障するか動作不能になったとしても損なわれることがないことを意味している。
【0063】
米国特許No.3,863,521(ガストス(Gastos)他)は、二つのセット位置の間を移動する調節可能ハンドルバーを述べており、そのセット位置において、乗車者は、バーを一つの位置から解放すると共に、それらのバーを第2の場所へ移動させてロックするロック手段を動かす。この発明の不都合な点は、ハンドルバーの動きが乗車者によって両方向に手動で行われるので、ハンドルバー位置を変更する間は制御ができないことである。このことは、乗車者の関心の対象を、性能レベルを維持しようとすると同時に自転車の制御および安定性を維持することから、ハンドルバーの手動による再配置へ変えることによって、乗車者を危険に晒すことになる。また、この発明の中で述べられたハンドルバーの動きは本発明に関連があると思われるかもしれないが、エアロ位置はこの発明のときには知られていなかったので、エアロバーの使用に関する実際的な考察はこの特許権所有者の念頭にはなかったものと予想される。
【0064】
米国特許No.5,555,775(ダアルイジョ(D’Aluisio)他)は二つのセット位置の間を移動可能である調節可能ハンドルバーを述べている。これらのバーは標準位置とエアロ位置の間で協調的に揺動運動するように相互接続されるようになっているので、ハンドルバーの一方が移動されるとき、他方がそれと共に移動する。またも、乗車者の安全と性能はこの発明の動作の間危うくされる。乗車者は両ハンドルバーが同時に移動される状況において自転車の適切な制御を満足できる程度に保つことができないことがある。また、乗車者の注意は、単に性能レベルを維持することに集中された乗車者の注意とは反対に、ハンドルバーの動きをもたらすことと、その動きを確実に終わらせることに再び向けられる。減速がこの発明の動作中の一面であることは珍しいことではないであろう。
【0065】
米国特許No.5,737,967(ハートレイ(Hartley))は調節可能なハンドルバーを述べており、このハンドルバーの二つの側は噛み合わせ歯車装置によって接続されおり、このことは両バーの動きが上記米国特許No.5,555,775(ダアルイジョ(D’Aluisio)他)と同様に同時に起こり、標準位置とエアロ位置との間の移動の間、乗車者は制御ができないことを意味している。従って、上記発明に関する問題もこの形態の調節可能ハンドルバーに関連している。
【0066】
上記発明を関して、本発明は、上記発明ができない乗車者に快適位置と移動方法を選択させることができる。
本発明の好ましい実施態様においては、ハンドルバー部分は各々少なくとも二つの位置の間で円弧状に移動する。しかしながら、このことは本発明の範囲を回転運動のみに制限するものではない。
【0067】
従って、他の実施態様においては、本発明の範囲から逸脱することなしに、ハンドルバー部分が、2軸以上の異なる平面を通って、直線状に移動するか、回転することができる。
【0068】
更なる好ましい実施態様においては、ハンドルバーはラッチ手段によって各々の望ましい位置に固定することができる。ラッチ手段は、必要に応じてハンドルバー部分を望ましい位置に確実にロックするためのロック手段を備えるか、該ロック手段として作動するように適合され得る。また、ロック手段とラッチ手段のいずれかまたは両方が解放可能であることが好ましい。ラッチ手段の解放はアクチュエータ手段によって行われることができる。
【0069】
アクチュエータ手段は、バネ圧解放機構、レバー、ボタン、スイッチ、または、ラッチ手段とロック手段またはそのいずれかを解放し、そのことによって望ましい位置の一つへのハンドルバー部分の移動の第1段階を開始するのに適した、または開始することができる他の装置とすることができる。それゆえ、いくつかの可能性が列挙されているけれども、これらは例に過ぎず、いかなる点でも制限的であると見なされるべきではない。
【0070】
しかしながら、好ましい実施態様においては、アクチュエータはバネ圧解放機構として構成される。バネ圧解放機構は自転車に関するアームレストと協働するのに適していることが好ましい。アームレストは各ハンドルバー部分に近接して配置されることが好ましく、乗車者がエアロ位置をとるときにアームレストの上に腕を載せることができるように設けられる。そのようなアームレストはよく知られており、エアロ位置にある乗車者によって使用されるが、本発明においては、アームレストはトリガー手段として機能する。従って、乗車者がアームレストに圧力をかけると、その圧力が(バネ圧解放機構の形態の)アクチュエータに伝えられる。
【0071】
従って、アームレストに乗車者の前腕を載せることによってアクチュエータが作動可能となり、各アームレストはそれ自身のバネ圧に対抗して押し下げられて、その対応するハンドルバー部分を解放するので、それらのハンドルバー部分は乗車者によって決められたように連続して、または一斉に、一つの位置から別の位置へ移動するように作動する。しかしながら、一つのアクチュエーティングシステムについて説明することは、いかなる点においても本発明の範囲を制限すると見なされるべきではない。これは、他のシステムおよび装置を使って任意の好ましいアクチュエータ手段をも解放することができることは明らかであるためである。従って、一つのトリガー手段は、ボタンとケーブルまたはそのいずれかの装置または同様のものの使用を含むことができる。
【0072】
好ましい実施態様においては、バネ圧解放機構がアームレストに寄りかかる乗車者の前腕によって動作可能である場合、バネはハンドルバーの外側または内側に位置することができる。内部に取り付けられたバネは大きい空気力学的表面を可能にし、乗車者を傷つけないと考えられる。内部バネは、ハンドルバーの内部の下方と、アームレストを支持する支持アームの内部の下方、または装置の本体内に取り付けることができる。
【0073】
乗車者がエアロ位置へ移動したい場合、一方の腕が関連アームレストの上へ移動される。アームレスト上の腕の圧力はアームレストの応答運動を生じ、その結果、アームレストのバネ圧に関する動きをもたらす。この動きは、バネを伸ばすか、圧縮するか、回転させ、ロック機構を開放し、それによって、対応するハンドルバー部分を解放し、対応するハ
ンドルバー部分は、結果として、円弧を描いて上方および前方へ回転してエアロ位置へと回転する。前に述べたように、ハンドルバー部分自身の動きはそれ自身のバネの弾性から生じる。その後、ハンドルバーは乗車者の手の中か近くに達する。
【0074】
いくつかの実施態様においては、ロック手段とラッチ手段またはそのいずれかは、ロックカム、テーパースロット、フック、または本発明と共に使用可能であるか本発明との使用に適した他のラッチ装置を含むことができる。しかしながら、これらの代替案は、それらが例としてのみ列挙され、そのようなオプションおよび変型例は当業者にとって知られかつ理解されるので、制限的と見なされるべきではない。同様に、ハンドルバーをバネ圧のみでエアロ位置に保持することができることは明らかである。
【0075】
好ましい実施態様においては、ハンドルバーは、固定停止手段に接触してエアロ位置に維持され、乗車者の重量が各々のアームレストから除去されるとすぐに解放される簡易止め具によって所定位置に保持されることができる。あるいは、いくつかの実施態様においては、アームレスト上の腕の重量だけで、ハンドルバーに圧力をかけるのに十分であり、そのような腕の重量はバーの回転がワイド位置に向かって戻るのを防止するブレーキのように作用し得る。
【0076】
乗車者は第1のハンドルバーによって自転車を制御するとすぐに、他方の腕をそのアームレストへ移動させ、ハンドルバーのロックカムをはずし、ハンドルバー部分を同様にそれ自身のバネ圧下でエアロ位置へ上方および前方へ揺動させ、乗車者の他方の手の近くまたは中へ置く。
【0077】
乗車者がバーを通常位置へ戻したいときはいつでも、ハンドルバー部分を、各々の側の解放可能ロック機構が再びラッチされるまで、個々のハンドルバーのバネ圧に対抗して、下方および後方へ引っ張り、ハンドルバー部分と乗車者の手をワイドまたは基本位置に固定する。ワイド位置への両ハンドルバー部分の再配置は、一斉に行なうこともできるし、または一度に片方ずつ行なうこともできる。
【0078】
ハンドルバーをエアロ位置から通常、ワイド、または基本位置へ動かすために腕をアームレストから上げなければならないことは明らかである。これは、アームレストがそれ自身のバネ圧の下で上方へ揺動し、エアロロックを解放し、同時に、カム、テーパースロット、または他のロック手段を、対応ハンドルバーをワイドまたは基本位置において所定位置に確実に受容し、かつロックするための位置へ回転させる。
【0079】
エアロ位置とワイド位置の間のハンドルバー部分の動作の間、ハンドルを一度に一つずつ基本位置へ戻すことができ、いつでも少なくとも片手で制御を維持することができるので、完全操縦制御を維持することができる。あるいは、両ハンドルを同時に基本位置へ戻した場合、バランスしたバネ圧に対する動きが維持され、新しい位置への移動を通じて、必要なときはいつでも操縦に対する正しい調節を可能にし、従って、完全な操縦およびバランス制御を維持することができる。
【0080】
しかしながら、ロック可能機構を解放する他の方法を使用することができるので、上記機構は限定的と見なされるべきではない。例えば、ロック可能機構の電子式解放は、各アームレストの移動を必要とせず、両方向の動力運動を提供することができる。
【0081】
以下のことが明らかである。
a)操縦およびバランスに関する無意識の修正運動などを含む乗車者の自然な反応は依然として可能である、
b)ハンドルバーへのバネの追加は、乗車者へのフィードバックを効率的に提供すると
ともに、乗車者がバネ圧に対して作用してハンドルバーをワイド位置へ配置することを可能にする、
c)バネ圧はまた、ハンドルバーの各々の側へバランスのとれた徐々に変動する抵抗を与えることによって操縦制御を維持するのに役立つ。
【0082】
各バネは、反対側のバネの張力と一致するように張力を調節・変更できるようになっていることも明らかである。
これに代わって、一つの中心バネが、両側が同じ中心線を共有する構成の両ハンドルを制御することができる。この場合、張力が与えられたバネは移動中ずっと自動的にバランスが保たれている。
【0083】
各ハンドルの中のバネは二つの目的の役に立つ。一つは、バネが、そのハンドルをワイド位置からエアロ位置へ動かすように作用することである。もう一つは、バネが、バーを一緒にまたは別々に通常位置へ戻すのを容易にするバランスのとれた抵抗を提供することである。
【0084】
バネ圧は、乗車者にハンドルバーの各々の側に対する個別制御を提供し、各々の側の等しい圧力バランスを可能にし、ワイド位置とエアロ位置の間またはワイド位置とドロップス位置の間の位置範囲を通じて移動する間の連続的な円滑乗車を可能にするが、これらに限定されるものではない。
【0085】
本発明は、乗車者が、現存するエアロ付属品を用いる場合、通常基本位置からエアロ位置へ移動するために使用する方法により類似したシステムを提供する。まず、片方の前腕をアームレストにおいて、その手でエアロバー上の制御グリップを掴持し、その後、他方の手を同様にエアロ位置に置く。
【0086】
基本位置へ戻すために、複数のバーをバネ圧に対抗して一斉に移動させる(非常時においては両手がエアロバーを同時に非常に迅速に移動させることができる)ことは、上記の移動に似ているが、操縦制御が保たれているので、より確実である。
【0087】
ばね機構の一つの目的は、乗車者に望ましい位置を迅速に、かつ出来るだけ乗車行為から気を逸らせないで達成させることができる自動操作を提供することであることは明らかである。更に、ばね機構は乗車者が非常時に基本位置へ迅速に戻るのを可能にする。
【0088】
しかしながら、ここで述べられたようなバネによって達成される機能は、空気式、電子式、または他の機械式手段によっても達成できることもまた明らかである。例えば、アームレストからバーへの直接連結手段を動作させる空気流を用いたシステム、または上記の任意の組み合わせも使用することができ、しれらは例としてのみ列挙されており、いかなる点においても制限的と見なされるべきではない。
【0089】
バネはまた動作における重要な部分の役割を果たす。これは、万が一、その機構が、衝突や詰まった石の影響などのなんらかの理由のために動かなくなると、操縦装置の調節がバネ圧下で正しく動作しないため、更に使用する前に修理が必要であることを乗車者に警告するためである。
【0090】
上記機構の可能性のある実現可能な利点は、各ハンドルバー部分に取りつけられた制御装置が乗車者の手と接触しているので、乗車者が制御装置にいつでもアクセスできることである。それゆえ、各ハンドルバーを別々に移動させる場合、乗車者は常に制御装置に片手を置いているので、安全性を向上することができる。このことは、一つの自転車に別々のエアロバーと標準ハンドルバーを有することにより、乗車者はブレーキをかけたりギア
チェンジを行ったりするためにエアロバーから標準バーへ手を移さなければならないという制限の一つに対処している。
【0091】
更に、ただ一組のハンドルバーを有することによって、空気流の中へ横向きに突出し、不必要な抗力を生じる追加ハンドルバーと付属レバーを必要とすることなく、風抵抗が減り、従って、乗車者がエアロ位置をとるときの効率が改善される。さまざまな位置が一組のバーによって達成されるので、自転車の重量も最小に保たれる。
【0092】
更なる好ましい実施態様においては、ハンドルバーは、その上を自転車が走行し得る表面の不規則性によって生じる振動を低減するためのダンパーまたはなんらかの適当な緩衝システムを備えることができる。戦略的取り付け設置箇所は、道路の衝撃と振動を吸収し低減するための柔軟性または圧縮性材料を含むことができる。いくつかの実施態様においては、前記取り付け設置箇所は、通常ハンド位置、各ハンドルの回転中心、または設置停止手段とそれらの各接触点を含むことができる。更に、衝撃減少レベルは乗車中に調節可能とすることができる。
【0093】
柔軟性または圧縮性材料の例としては、ゴム、ナイロン、プラスチック、流体、バネ/弾性手段、または他の材料を含むことができるが、それらは例としてのみ列挙され、いかなる点においても制限的と見なされるべきではない。
【0094】
本発明はまた、ハンドルバーの寸法および位置の少なくともいずれかを乗車者の好みを満足するように調節することができる調節手段を備えるように適合され得る。例えば、ハンドルバーの方向の調節を容易にする方向調節手段を設けることができる。また、ハンドルバーの長さを調節するための長さ調節手段を設けることもできる。
【0095】
いくつかの実施態様においては、前記調節は、増分回転調節オプションおよび増分直線調節オプションの少なくともいずれか、あるいは調節可能停止手段を有する内部管を固定するクランプによって行われる。しかしながら、他の調節手段は、当業者にとって既知のシステムを含み、本発明と共に使用するか本発明との使用に適したものとすることができる。これは、大小さまざまな一連の交換可能付属品を含むことができる。
【0096】
ハンドルバーの方向の変更とは、乗車者の好みに従って、例えばエアロ位置におけるハンドルバーのグリップ領域の高さを変更することができることを指し得る。方向調節手段により乗車者は垂直面または水平面を通じてハンドルバーの移動の程度を制御することができる。従って、エアロ位置をある乗車者に対しては高くし、他の乗車者に対しては低くすることができる。方向の変更はまた、複数のハンドルバーのうちの一つの回転によって実施され、調節可能クランプの使用によって、あるいは、操縦管への取り付け位置によって行われ得る。そのような代替案はまた、例としてのみ列挙されていて、いかなる点においても制限的と見なされるべきではない。
【0097】
本発明は、ハンドルバーのための複数のロック可能位置を可能にする、自転車の乗車者による使用のための装置を提供する。これらのロック可能位置は、乗車者が乗車中とることができる特定の乗車姿勢に対応することができる。
【0098】
エアロ位置は、これが提供する流線型姿勢のために、可能なかぎり使用され得る。例えば、エアロ位置は、一般道路上にいる場合、向かい風の間、または乗車者が安定した競争リズムに落ち着いている場合に採用され得る。
【0099】
乗車者が自転車に乗り降りするとき、発進時や停止のための減速時などの低速で走行するとき、または乗車者が急な加速または登坂のときにサドルから腰を上げるとき、または
単にエアロ位置における乗車のためのオプションとして、ワイド位置または基本位置を採用することができる。ワイド位置または基本位置は、急な曲がり角に近づいたときにカーブ乗車者の体がウィンドブレーキとして作用するように、使用することもできる。
【0100】
本発明は、可能性のある実現可能な数多くの利点を有している。これらのいくつかを繰り返すために、本発明と従来のシステムを比較する。従来は、乗車者は、同じ自転車上の従来型エアロバーと標準的な従来型ハンドルバーとを使用してエアロ位置にいる場合、ブレーキ・ギアチェンジ・レバーに迅速にアクセスすることができなかった。これらのレバーは従来型ハンドルバーの位置に配置されている。これは、ブレーキ操作またはギアチェンジを行なうために、乗車者は手の位置をエアロバーからワイド位置または基本位置へ変更するか、少なくとも片手をその位置へ動かす必要があったことを意味している。
【0101】
別の構成はエアロバーに固定された別のギアレバーを備えているが、ブレーキレバーは依然、通常(基本)位置にある。この場合、乗車者は、基本位置に手を置いている間はギアレバーへすぐにアクセスすることができない。
【0102】
本発明は、乗車者がワイド乗車位置とエアロ乗車位置をとることができる一方で、ギアチェンジ・ブレーキ・レバーへすぐにアクセスすることができるシステムを提供する。一つのハンドル部分が位置間で動かされるとき、乗車者の他方の手は常にブレーキおよびギア制御装置のそばに置かれている。また、本発明は、既存のブレーキおよびギアチェンジレバー技術を、乗車者がエアロ位置にあるときそれらへのアクセスを行えるようにすることによって、補完することができる。
【0103】
乗車中のギアチェンジのタイミングを選ぶことは非常に重要である。以前のハンドルバー技術によって手をエアロ位置から基本位置へ動かすのにかかる時間のために、ギアチェンジのタイミングを正確に選ぶのが困難であったため、結果として乗車効率が低下した。
【0104】
本発明は、ギアチェンジレバーが常にすべての乗車位置においてアクセス可能であるので、乗車者がより効率よくギアチェンジのタイミングを選ぶことができるようになっている。
【0105】
同様に、他の乗車者に接近して、または、流れの中で乗車しているとき、サイクリストは前の車両または自転車と速度を合わせる必要があることがある。本発明のブレーキレバーはすぐにアクセス可能であり、乗車者はどの位置においてもタイムリーにブレーキをかけることができるので、乗車者が前の車両に対して行き過ぎる危険性が減少する。従って、ブレーキレバーへのアクセスが出来ないという群走行事故の原因が緩和されるか最小になる。
【0106】
以前は、エアロバーは従来型バーと組み合わされていて自転車の重量を増やしていた。本発明は、ハンドルバーから不要な構造が除去されているので、より軽量な装置を提供する。本発明においては、エアロ位置とワイド位置において使用されるハンドルバーは同一であり、自転車の重量を低減するので、乗車の効率を増大させる。
【0107】
エアロ位置およびワイド位置において同一のハンドルバーが使用されるため、一つの自転車に二組のハンドルバーが必要でなくなるため、空気抵抗についての抗力も減少する。従って、乗車者がエアロ位置をとるときに抗力を生じる(従来型ハンドルバーのような)不要なハンドルバー構造を有さない。このことは乗車の機械効率を改善し、速度の増大または乗車者のエネルギーの保存を可能にする。
【0108】
ハンドルバーの位置の変更を行なうために、乗車者は、完全に握った手をハンドルバー
から移動させるか開放することによって自転車の完全な制御を放棄する必要はない。本発明の本質は、少なくとも片手が常にハンドルバーの上にあるので、制御をいつでも維持することができることを意味する。以前は、ギアチェンジ/ブレーキ動作によって乗車者の注意が前方の進路から逸らされていた。このことは事故の危険性を増大する可能性があった。本発明は、乗車者が前方の進路から目を離す必要なく、すべての乗車位置における制御レバーへの即時アクセスを可能にするので、事故の危険性を潜在的に低減する。それゆえ、自転車の制御が各々の移動運動を通じて維持されるので、乗車者の安全性が増加する。従って、エアロ位置が将来ドラフト走行法定競技に対して受け入れられるようになる可能性があることを本発明の利点が意味することができることが可能である。
【0109】
本発明により、乗車者はエアロ位置とワイド位置の間またはワイド位置とドロップス位置の間を選択することができる。ドロップス位置はまた乗車者の好みを満足するように調節可能である。
【0110】
本発明のハンドルバーはエアロ位置に固定されたままではないので、自転車は、先行技術のエアロバーを備える場合のように、永久不変の前方取り付け突出アセンブリを有さない。そのように、バーが使用されていないときにそのような突出バーのために他の乗車者に損傷をもたらす可能性が取り除かれる。同様に、延長されたブレーキレバーの必要性がなくなるので、多重衝突の間損傷を生じないと思われるより小さい断面積の制御装置を使用することができる。
【0111】
自転車への取り付け方法
従来のエアロバーは通常、ハンドルバーに固定され、ハンドルバーは、その結果、ハンドルバーステムに取り付けられる。このステムは前部フォーク操縦管の内側または外側のいずれかに固定される。
【0112】
本発明の好ましい実施態様においては、操縦装置は前部フォークに直接固定されるので、エアロバー、ハンドルバー、およびステムとを含む三つの別々の部品を交換することができる。更に好ましい実施態様においては、操縦装置は前部フォークの操縦管の外側に取り付けられる。
【0113】
前部フォークの形状が操縦管の内側への取り付けを必要とする場合、任意で、アダプタが設けられる。アダプタの下端部は操縦管の内側に対して割り込み、アダプタの上端部は操縦管への延長部分を提供し、操縦管に付属品を取り付けることができる。
【0114】
本発明の目的は、本発明が前部フォークの操縦管の上部において自転車に取り付けられるか、前部フォークの操縦管の内側に固定されたアダプタの上部に取り付けられることにある。
【0115】
しかしながら、他の取り付け手段を使用できることは明らかであるので、このことはいかなる点においても制限的と見なされるべきではない。例えば、ハンドルバーステムの前端にあるハンドルバークランプを使用することができる。
【0116】
可能性のある将来の開発
コンビネーション・ギア・ブレーキレバーは本発明の上で正しく機能するであろうが、それらは、従来型ハンドルバーの上に配置されるように設計されており、二つの位置のいずれかから操作される。これらの位置はブレーキフード位置およびドロップス位置と呼ばれる。ブレーキ・ギア・レバーをブレーキフードまたは基本位置から操作する場合、乗車者の手はレバーのハウジング(ブレーキフード)の上に置かれ、レバーは上から操作される。ブレーキ・ギア・レバーをドロップス位置から操作する場合、レバーは下から操作さ
れる。このため、レバーは乗車者がドロップス位置からそれらに届くことができるように特別長くなっている。しかしながら、本発明は、レバーがすべての選択可能乗車位置の中のブレーキフード(上)位置から操作されることだけを必要とする。このことは、小型、軽量であって、本発明の使用と利点を更に高める特別なレバーを考案する機会を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0117】
単に例としての図面を参照して、乗車者による車両の制御のための操縦装置が提案されている。図1は、本発明の一実施態様の一部分を示しており、アームレスト(1)が「アップ」位置において本出願によって説明されるような自転車ハンドルバー(2)に接続されており、ハンドルバー(2)はワイド位置または通常位置に固定されている。
【0118】
斜線(参照番号3および4)は図面における破断箇所を表しており、図1の鏡像が破断箇所(3)において存在し、参照番号3の位置で、自転車ハンドルバーステムに固定された完全なハンドルバー・アームレスト配置を形成している。
【0119】
アームレスト(1)は、バネ(5)によって上向き位置に保たれている。ハンドルバーはロック装置(6)によってワイド位置に固定されている。ロック手段(6)は係合時にリセス(7)に嵌合する。
【0120】
乗車者(図示せず)はワイド位置または通常位置からエアロ位置へ移動したい場合、適当な側の前腕をアームレスト(1)の上に配置する。その後、前腕を押し下げて、アームレスト(1)に力を加える。アームレスト(1)は、矢印(8)で示されるように、下向き円弧状に動き、バネ(5)を伸張させて、ロック手段(6)を回転させ、ハンドルバー(2)を解放する。
【0121】
ハンドルバー(2)はその後、矢印(9)で示すように、そのエアロ位置に向かって上向き位置へ回転し、乗車者は手を容易にハンドルの上に配置することができ、ギアおよびブレーキ(図示せず)を保持することができる。
【0122】
図2はロック手段(6)動作を示す本発明の別の実施態様を示す。アームレスト(1)はアームレストシャフト(10)に接続されており、結果としてアームレストシャフト(10)上のカム(11)に接続されている。カム(11)は、ハンドルバー(図示せず)に固定されたピン(12)と接触している。ハンドルバーユニットの本体上の剛性支持体(13)は、アームレストシャフト(10)の反対側でピンを支持している。
【0123】
アームレスト(1)のシャフト(10)を、矢印(14)で示すように、下方へ移動させると、カム(11)は、矢印(15)で示すように、回転してピン(12)から離れ、ピン(12)は剛性支持体(13)から開放され、ハンドルバー(図示せず)がエアロ位置に向かって上方へ回転するのを可能にする。
【0124】
図3は、アームレスト(1)とそれに関するハンドルバー(2)の間の機械的リンク機構である本発明の一実施態様を示す。アームレスト(1)は単一部品であるアームレストアーム(14)に接続されているが、下向き圧力が矢印(16)で示すようにアームレスト(14)に加えられたとき、点(15)の周りを回転する。アームレストアーム(14)は更に連結バー(17)に接続されており、連結バーは、突起コネクタ(18)を有する単一部分でもあるハンドルバー(2)と接続している。
【0125】
アームレスト(1)を矢印(16)の方向に下方へ押すと、アームレストアーム(14)は点(15)を中心として回転する。この回転運動は矢印(19)で示す方向に連結バ
ーを押す。連結バー(17)のこの動きにより突起コネクタ(18)とハンドルバー(2)が矢印(20)の方向に回転し、ハンドルバー(2)がアームレスト(1)によって印加される圧力の作用を受けて上昇して、制御部(図示せず)をエアロ位置において乗車者の手の中に配置する。
【0126】
機械的にハンドルを上方へ移動させて制御部を乗車者の手の中に配置するためにアームレストの下向き運動の圧力を使うことができる一方で、その運動を助けるためにバネを追加することができることは明らかである。バネは好ましいが必要不可欠ではなく、空気式または電子式手段を含むその運動を助けるための他の手段を使うこともできる。
【0127】
分かりやすく言うと、本発明と共に使用できる少なくとも二つのタイプのロック手段がある。各々解放可能なものである。しかしながら、一方のタイプは指定アクチュエータの作用による開放のみを行なうことができ、第2のタイプは指定アクチュエータの作用による強制開放または解放のどちらかを行なうことができる。記述を容易にするために、前者のタイプを「固定」と呼び、後者のタイプを「強制可能」と呼ぶものとする。
【0128】
好ましい実施態様においては、基本位置は固定ロックであり、エアロ位置は強制可能ロックである。
少なくとも二つの位置の間をハンドルバー部分が移動する間、アームレストから乗車者の腕を離すことによって、アームレストに関する一つのロック/ラッチ手段が解放され、ハンドルバー部分に関する少なくとも一つの他のロック/ラッチ手段が作動することも明らかである。その後、個々のハンドルバーのバネのバネ圧に対抗してハンドルバー部分に乗車者によって圧力を加えると、ハンドルバー部分は基本位置に向かう。この圧力は、そのハンドルバー部分に関する解放可能ロック手段が再度ラッチされてハンドルバー部分と乗車者の手を基本位置に固定するまで、乗車者によって維持される。
【0129】
図4は自転車(全体を矢印21によって示す)を表す。図4には、本出願において述べられたようなハンドルバー構成を備え、自転車フレーム(22)、前部フォーク(23)、および前輪(24)の一部、前部フォークへの取り付け箇所(25)が示されている。また、ワイド位置または基本位置におけるハンドルバー(2)および上向き非使用位置におけるアームレスト(1)も示されている。
【0130】
図5は一般的な前部フォーク(23)のセットを表す。この前部フォークセットは、操縦管(26)および本発明の本体(25)を示すために自転車フレームから切り離されている。この詳細は図4の参照番号(25)においても示されている。
【0131】
図6は長尺ボルト(28)を有するの断面図である。長尺ボルト(28)はネジ山を有し、特別なくさび形ナット(29)に嵌合する。このアダプタ(27)は、ボルトが締められときに操縦管の内部を圧迫すると共に、付属品のための取り付け表面を提供する。
【0132】
図7は押しボタン解放付きロックピン(31)を示す。(34)において固定されたフレキシブル制御ケーブル(32)と、参照番号(35)において固定された外筒は、外筒(33)に取り付けられた押しボタン(37)と内部ケーブル(32)に取り付けられた解放ピン(31)との間に接続されている。
【0133】
押しボタン(37)を矢印「A」の方向に押すと、ロックピン(31)がバネ(36)を押し付けながら、矢印「B」の方向に引っ込む。押しボタン(37)を解放すると、バネがロックピンをその元の位置に戻す。
【0134】
図8aは本発明の操縦装置の実施態様の正面図である。
図8aは正面からみた本発明の説明図である。この図は、各アームレスト支持支柱4の中にテーパースロット1を有している。この図において、左側(半分のハンドルバー)は、バネ5からの圧力によってテーパースロット1の中に保持された位置決め差し込み栓3によってワイド(基本)位置に保たれている。右側(半分のハンドルバー)は、Aにおけるそのアームレストに対する下向き圧力によって解放されている。この圧力は、バネ6を押し付け、右半分ハンドルバーを、それ自身の内部バネ(図示せず)からの圧力の結果として、アエロ位置に向かって矢印「B」の方向に移動させる。
【0135】
逆の移動を行なうためには、各半ハンドルバーをそのバネ圧に対抗して手動で回転させると、付属差し込み栓が、アームレスト支持支柱の先端と接触しそれに沿って移動し、参照番号1においてテーパースロットに達し、そこでバネ5,6からの圧力によって保持される。
【0136】
図8bは、アームレスト支柱4に取り付けられた位置決め差し込み栓を示す。アームレスト支柱4は「B」において回転したとき、各々のハンドル7を支え、差し込み栓が窪みラッチ溝9内に位置してハンドルをその位置に固定するまで、ハンドル7に対するブレーキとして作用する。この差し込み栓の先端は窪みラッチ溝と一致するように相補的に構成されている。
【0137】
図9は、解放可能ロック手段の動作の3段階を示す。解放可能ロック手段はカムを介して動作して、ハンドル部分を選択位置に保持する。
「A」は、各ハンドル(半ハンドル)に取り付けられた延長部分である、差し込み栓、すなわち、該栓の端面図を示す。
【0138】
「B」は、アームレストと共に回転できるように、その回転点の近くにアームレストに取り付けられたカムまたはレバーを表す。
「C」は、差し込み栓Aのための(調節可能とすることができる)停止位置を表わす。
【0139】
一番上の図面は、ハンドルが乗車者によってエアロ位置から基本またはワイド位置へ移動された場合に、差し込み栓Aがその解放可能ロック位置に近づくときの運動の円弧を示している。カムBはバネ圧を受けてその予定経路内へ突出している。
【0140】
中央の図面は、差し込み栓AがカムBを通り過ぎるときにカムBを押すことを示している。
一番下の図面は、差し込み栓Aが、その停止位置Cに到達して、バネ圧によって差し込み栓Aを支持するように圧迫されているカムBによって所定位置に堅固に保持されることを示している。
【0141】
逆の動作を行なうためには、各アームレストが乗車者によって押し下げられ、カムBを中央図面に示す位置へ回転させ、関連するハンドルをそれ自身のバネ圧の作用により第2位置(エアロ位置)へ移動させる。
【0142】
図10は、図10aおよび図10bにおいて二つのスプリットスリーブを示す。これらのスプリットスリーブは操縦管の上に配置される。スリーブ10aは同心形状を有し、エアロ位置のための場所を提供する。しかしながら、スリーブ10bは、傾斜した形成されており、逆さまにすることにより、スリーブ10aのそれよりも上方または下方に位置する二つの代替位置を提供することができる。
【0143】
本発明は個々の乗車者の特定の要求を満たすためのカスタマイズされたハンドルバー部分を提供するのにふさわしいことは明らかである。従って、ここでの記述は操縦装置のど
れだけ多くの部品が代替の形状/構成を有することができるかということのいくつかの例を提供している。それにもかかわらず、それらの例以外の変型が可能であり、同様に本発明の範囲内に入ることは明らかである。
【0144】
再び繰り返すが、用語「備える」は本書で使用される場合限定的な意味で使用されると考えられるべきではない。従って、「備える」は、排他的な一組の品目を表すものでもなく規定するものでもないが、リストに加えられる他の構成要素と品目の可能性を含んでいる。
【0145】
この明細書はまた先行技術に関する本発明の理解に基づいている。先行技術の記述は、先行技術の真の状態の権威のある開示と見なされるべきではなく、むしろ、本発明を開発するときに本発明者の心と注意の中にありかつそこへもたらされる考慮すべき事柄に関するものとみなされるべきである。
【0146】
本発明の側面は例のみによって述べられたが、特許請求の範囲に規定されるように、本発明の範囲から逸脱することなしに、それに対して変更と追加を行なうことができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】ワイド位置における本発明の好ましい実施態様を示す図。
【図2】ロック装置の動作を示す本発明の好ましい実施態様を示す図。
【図3】アームレストとそれに関するハンドルバーとの間の機械的連結である一つの好ましい実施態様を示す図。
【図4】本発明の一つの好ましい実施態様を含む自転車を示す図。
【図5】前部フォークへの取り付け方法を示す図。
【図6】操縦管の内部に固定されるようになっているフォークへの取り付けを容易にするためのアダプタを示す図。
【図7】押しボタンを押したときにロックピンを引っ込める押しボタンアセンブリを示す図。
【図8a】本発明のさまざまな実施態様に従う操縦装置の正面図。
【図8b】本発明のさまざまな実施態様に従う操縦装置の正面図。
【図9】本発明の一実施態様に従う操縦装置と共に使用される解放可能ロック手段の3つの段階を示す図。
【図10a】本発明の一実施態様に従う操縦装置と共に使用される、操縦管の上に位置するスプリットスリーブを示す図。
【図10b】本発明の一実施態様に従う操縦装置と共に使用される、操縦管の上に位置するスプリットスリーブを示す図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二つの位置に調節可能な複数のハンドルバーを備える乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記複数のハンドルバーは、乗車者によって第1の位置から別の位置へ独立して移動可能であり、かつ操縦機能とは独立して乗車者によって少なくとも一つの位置に固定可能であることを特徴とする操縦装置。
【請求項2】
請求項1に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記ハンドルバーは中心点の周りを移動可能であることを特徴とする操縦装置。
【請求項3】
請求項2に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記ハンドルバーは前記中心点の周りを回転することによって乗車者によって第1の位置から別の位置へ移動可能であり、かつ乗車者によって少なくとも一つの位置に固定可能であることを特徴とする操縦装置。
【請求項4】
請求項3に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、少なくとも一つのバネを備えることを特徴とする操縦装置。
【請求項5】
請求項4に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記バネは当該操縦装置のハンドルバーに組み込まれていることを特徴とする操縦装置。
【請求項6】
請求項5に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、少なくとも1つのハンドルバーが乗車者によって第1の位置から別の位置へ移動されるときに、前記バネはそのハンドルバーに、負荷を与えることを特徴とする操縦装置。
【請求項7】
請求項6に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記少なくとも二つの位置は、エアロ位置を含む、乗車者がエアロバーを使用しているか、または乗車者が流線型姿勢をとっているかの少なくともいずれかであるときの位置である第1の位置を含むことを特徴とする操縦装置。
【請求項8】
請求項6に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記少なくとも二つの位置は、乗車者が従来型のハンドルバーを使用しているか、または乗車者の体がほぼ直立姿勢にあるかの少なくともいずれかであり、手が基本位置にあるときの位置である別の位置を含むことを特徴とする操縦装置。
【請求項9】
請求項6に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記少なくとも二つの位置は、それらの位置が不連続であるか連続しているかにかかわらず、エアロ位置と基本位置との間、またはエアロ位置および基本位置を越えた移動位置、および乗車者によってとられ得る他の位置のいずれかを含むことを特徴とする操縦装置。
【請求項10】
請求項6に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、該操縦装置は中心で分割されて二つの部分からなるハンドルバーを形成することを特徴とする操縦装置。
【請求項11】
請求項10に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記二つの部分の各々は軸線の周りを移動可能または回転可能であることを特徴とする操縦装置。
【請求項12】
請求項11に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記二つの部分の各々がそれ自身の個別回転中心の周りを移動可能もしくは回転可能であるか、または両方の部分が操縦のために使用される軸線とは別の中心専用軸点の周りを移動可能もしくは回転可能であることを特徴とする操縦装置。
【請求項13】
請求項12に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記二つの部分の各々はそれ自身の個別回転中心の周りを移動可能または回転可能であり、各回転点は車両の中心線からほぼ等距離にあるか車両の中心線に位置することを特徴とする操縦装置。
【請求項14】
請求項10に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記二つの部分の各々は、車両の上の必要とされる位置にブレーキ制御装置およびギア制御装置を備えることを特徴とする操縦装置。
【請求項15】
請求項14に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、他方の部分から独立している各部分の動作または回転は両部分を一斉にまたは独立して移動させることができることを特徴とする操縦装置。
【請求項16】
請求項15に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、各部分の移動はバネ圧の結果としてもたらされ、バネ圧の解放は乗車者によって制御されることを特徴とする操縦装置。
【請求項17】
請求項16に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、乗車者制御部は前記少なくとも二つの位置の間における位置での移動の間じゅう車両の操縦およびバランスを維持することを特徴とする操縦装置。
【請求項18】
請求項17に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、各部分はラッチ手段によって少なくとも二つの位置に固定され得ることを特徴とする操縦装置。
【請求項19】
請求項18に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記ラッチ手段は前記部分を好ましい位置にロックするためのロック手段として動作するか、または動作するのに適していることを特徴とする操縦装置。
【請求項20】
請求項19に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記ロック手段およびラッチ手段の少なくともいずれかが解放可能であることを特徴とする操縦装置。
【請求項21】
請求項20に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記ラッチ手段の解放はアクチュエータ手段によって行われることを特徴とする操縦装置。
【請求項22】
請求項20に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記解放可能ロック手段は固定解放可能ロック手段および強制可能な解放可能ロック手段を含むことを特徴とする操縦装置。
【請求項23】
請求項22に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記固定解放可能ロック手段は指定アクチュエータの作用によってのみ動作可能に解放されることを特徴とする操縦装置。
【請求項24】
請求項22に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記強制可能な解放可能ロック手段は、強制解放および指定アクチュエータの作用のいずれかによって動作可能に解放されることを特徴とする操縦装置。
【請求項25】
請求項24に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記アクチュエータの動作は所望位置の一つへの一部分の移動の第1段階を開始することを特徴とする操縦装置。
【請求項26】
請求項25に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記アクチュエータ手段はバネ圧力解放機構として構成されることを特徴とする操縦装置。
【請求項27】
請求項26に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記アクチュエータ手段はアームレストと協働するのに適していることを特徴とする操縦装置。
【請求項28】
請求項27に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、アームレストが各部分と関連付けられていることを特徴とする操縦装置。
【請求項29】
請求項28に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記アームレストは、前記エアロ位置をとっているときの乗車者によって使用されるために、各部分に近接して配置されることを特徴とする操縦装置。
【請求項30】
請求項29に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、各アームレストは、前記エアロ位置をとっているときの乗車者によって使用されるために、各関連部分に連結されることを特徴とする操縦装置。
【請求項31】
請求項30に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記アームレストは、乗車者が前記アームレストに圧力を加えたとき、その圧力が、ラッチ/ロック手段の解放と、関連部分を解放すると共に前記少なくとも二つの位置の間における部分の動きを可能にするための前記アクチュエータの動作とをもたらす、前記アームレストに関連する弾性手段の動きを生じるように、トリガー手段として機能することを特徴とする操縦装置。
【請求項32】
請求項31に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記アクチュエータの動作はハンドルバー位置の前記エアロ位置への移動を可能にすることを特徴とする操縦装置。
【請求項33】
請求項32に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記アームレストの弾性手段は、前記部分、前記アームレスト構造、および前記ハンドルバーの支持構造の少なくとも一つに関して配置された少なくとも一つのバネを備えることを特徴とする操縦装置。
【請求項34】
請求項31に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記ロック手段およびラッチ手段の少なくともいずれかはロックカム、テーパースロット、フック、バネ弾性、および任意の適応ラッチ装置のいずれかを含むことを特徴とする操縦装置。
【請求項35】
請求項34に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記ロック手段およびラッチ手段の少なくともいずれかはまた、前記部分を前記エアロ位置に維持することを特徴とする操縦装置。
【請求項36】
請求項35に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記ロック手段およびラッチ手段の少なくともいずれかは、各アームレストの少なくとも一方から乗車者の体重が取り除かれるとほぼ直ちに、前記アームレストの関連動作と協働して、前記ハンドルバー部分を解放するように適合されていることを特徴とする操縦装置。
【請求項37】
請求項35に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記ロック手段およびラッチ手段の少なくともいずれかは、前記ハンドルバー部分が前記基本位置に向かって戻るのを防止する前記アームレスト上の腕の重量のみであることを特徴とする操縦
装置。
【請求項38】
請求項35に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記ロック手段およびラッチ手段の少なくともいずれかは任意で電子式重量センサーを備えることを特徴とする操縦装置。
【請求項39】
請求項37に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記基本位置に向かって戻る前記部分の移動は、両側にある前記解放可能ロック機構が再度ラッチされ、前記部分を乗車者の手で前記基本位置に固定するまで、前記乗車者が前記個々の部分のバネのバネ圧に対抗して前記関連部分に圧力を加えることによって行われ得ることを特徴とする操縦装置。
【請求項40】
請求項39に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記基本位置への両部分の再配列は一斉にまたは一度に一方ずつ行なうことができることを特徴とする操縦装置。
【請求項41】
請求項40に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記基本位置に対する両部分の再配列のために乗車者の腕を前記アームレストから持ち上げる必要があることを特徴とする操縦装置。
【請求項42】
請求項41に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、乗車者の腕を前記アームレストから除去することにより、前記アームレストがそれ自身のバネ圧によって上方へ移動することが可能となり、よって前記ロック/ラッチ装置が対応部分を所定位置に受容しロックするための位置へ移動するようにすることを特徴とする操縦装置。
【請求項43】
請求項42に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、各部分の各バネはその張力を反対部分のバネの張力と一致させることができるように調節可能であることを特徴とする操縦装置。
【請求項44】
請求項43に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、各部分のバネは、
a)前記部分の前記基本位置から前記エアロ位置への移動と、
b)前記部分を一緒にまたは別々に前記基本位置へ戻すのを可能にする調和した抵抗と、
c)各部分についての乗車者による個別制御および、
d)各部分についての乗車者による二重制御の少なくともいずれかと、
e)少なくとも前記基本位置とエアロ位置の間の移動範囲を通過する間の連続した円滑な乗車と、
f)乗車者が、迅速にかつ乗車行為から気が逸れるのをできるだけ最小にして、所望の位置をとることを可能にするための前記部分の自動操作と
のうちの少なくとも一つをもたらすことを特徴とする操縦装置。
【請求項45】
請求項44に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記バネ操作は、空気式、電子式、または他の機械式手段と置き換えることができることを特徴とする操縦装置。
【請求項46】
請求項45に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、
a)乗車者が各部分に取り付けられたブレーキ制御装置およびギア制御装置へ常時アクセスでき、
b)追加ハンドルバーを必要とすることなく風抵抗を低減することができ、
c)二組のハンドルバーを必要とすることなく自転車の重量を低減することができることを特徴とする操縦装置。
【請求項47】
請求項45に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、その上を自転車が走行する表面の不規則性によって生じる振動を低減するためのダンパーまたは任意の適当な緩衝システムを任意で備えることを特徴とする操縦装置。
【請求項48】
請求項47に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記緩衝システムは、通常ハンド位置、各ハンドルの回転中心、または設置停止手段とそれらの各接触点を含む戦略的取り付け設置箇所に設置されることを特徴とする操縦装置。
【請求項49】
請求項48に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記緩衝システムは、ゴム、ナイロン、熱可塑性材料、革、流体、弾性手段(バネを備える)を含む、道路の衝撃と振動を吸収かつ減少するまたはそのいずれかを行なうための柔軟性材料または圧縮性材料を含むことを特徴とする操縦装置。
【請求項50】
請求項49に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記緩衝システムは緩衝レベルに関して調節可能であることを特徴とする操縦装置。
【請求項51】
請求項50に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記緩衝システムは、乗車中に乗車者によって緩衝レベルに関して制御可能であることを特徴とする操縦装置。
【請求項52】
請求項10に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記ハンドルバーの寸法および位置の少なくともいずれかを乗車者の寸法と好みを満足するように調節することができる調節手段を含むことを特徴とする操縦装置。
【請求項53】
請求項52に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記調節手段は、垂直面、側面、および水平面のうちの少なくとも一つを通じて前記ハンドルバーの方向の調節を容易にする方向調節手段を含むことを特徴とする操縦装置。
【請求項54】
請求項52に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記調節手段は、前記車両の縦軸と前記ハンドルバー上のグリップ領域との間の距離である前記ハンドルバーの長さを調節するための長さ調節手段を含むことを特徴とする操縦装置。
【請求項55】
請求項53および54のいずれか1項に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記調節手段は、増分調節オプションと回転調節オプションと直線調節オプションとのうちの少なくともいずれか、または調節可能停止手段を有する内部管を固定するクランプを含むことを特徴とする操縦装置。
【請求項56】
請求項1に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記車両は、自転車、三輪車、スクータ、ジェットスキー、または、当該操縦装置がハンドルバーを含む他の車両であることを特徴とする操縦装置。
【請求項57】
乗車者による車両の制御のための操縦装置の車両へ取り付けるための方法であって、前記操縦装置はハンドルバーを含み、前記ハンドルバーは二つのハンドルバー部分で構成され、各ハンドルバー部分は少なくとも二つの位置の間で移動可能である方法において、
a)特に前記車両が自転車である場合、前記操縦装置を、操縦管を介して前部フォークに直接固定し、それによりエアロバー、ハンドルバー、およびステムを含む三つの別々の部品を交換する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項58】
操縦装置の車両への取り付けの請求項57に記載の方法において、前記操縦装置は自転車の前部フォークの操縦管の外側に取り付けられることを特徴とする方法。
【請求項59】
操縦装置の車両への取り付けの請求項57に記載の方法において、前記操縦装置は自転車の操縦管の内側に取り付けられることを特徴とする方法。
【請求項60】
請求項59に記載の方法において、前記操縦装置が自転車の操縦管の内側に取り付けられる場合、任意で、アダプタが設けられ、前記アダプタの下端部は前記操縦管の内側に対して割り込み、前記アダプタの上端部は前記操縦管への延長部分を提供し、前記アダプタに前記操縦装置が取り付けられることを特徴とする方法。
【請求項61】
請求項57に記載の方法において、前記操縦装置は、調節可能クランプを含む取り付け手段を使用して自転車に取り付けられることを特徴とする方法。
【請求項62】
乗車者による車両の制御のための操縦装置の少なくとも二つの位置の間でのい移動をトリガーする方法であって、前記操縦装置はハンドルバーを備え、前記ハンドルバーは二つのハンドルバー部分で構成され、各ハンドルバー部分は少なくとも二つの位置の間で移動可能であり、前記動作はアームレストの使用によってトリガーされる方法において、
a)前記アームレストに乗車者の前腕を載せる工程と、それにより、
b)各アームレストの押し下げまたは解放がそれアームレストのバネ圧に対抗して行われる工程と、前記押し下げまたは解放が、
c)アクチュエータの動作をもたらす工程と、それにより、
d)対応ハンドルバー部分がそのラッチ位置またはロック位置から解放され、前記ハンドルバー部分をひとつの位置から別の位置へ移動させることができる工程と、
e)前記アクチュエータ手段は、乗車者がエアロ位置をとるときに乗車者に使用されるための各部分に関連するアームレストと協働するのに適合されている工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項63】
請求項62に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置の少なくとも二つの位置の間での移動をトリガーする方法において、前記ハンドルバー部分は、乗車者によって決められるように、単独で、連続して、または一斉に一つの位置から別の位置へ移動するように作動させられるように適合されていることを特徴とする方法。
【請求項64】
乗車者により車両の制御のための操縦装置の少なくとも一つのハンドルバー部分を基本位置からエアロ位置へ移動させる方法において、乗車者が前腕を関連アームレストの上に配置する工程と、前記前腕が前記アームレスト上に圧力をかけ、前記圧力がそれに応答した前記アームレストの移動をもたらす工程と、その結果、前記アームレストのバネ圧に関連する動きが生じる工程と、この動きが対応ハンドルバー部分のロック機構を解放する工程と、このハンドルバー部分がそれ自身のバネの弾性によって弧を描いて前記エアロ位置へ回転する工程と、それにより前記ハンドルバー部分が乗車者の手の中か近くに到達する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項65】
請求項64に記載の乗車者により車両の制御のための操縦装置の少なくとも一つのハンドルバー部分を基本位置からエアロ位置へ移動させる方法において、前記操縦装置は乗車者の腕が前記アームレストに配置されたか、および乗車者の腕が前記アームレストから除去されたかを検出するための検出手段を含むことを特徴とする方法。
【請求項66】
請求項65に記載の乗車者により車両の制御のための操縦装置の少なくとも一つのハンドルバー部分を基本位置からエアロ位置へ移動させる方法において、前記検出手段の動作
は解放可能ロック手段とラッチ手段またはそのいずれかの制御をもたらすことを特徴とする方法。
【請求項67】
乗車者により車両の制御のための操縦装置の少なくとも一つのハンドルバー部分をエアロ位置からワイド位置へ移動させる方法において、
a)乗車者の腕をアームレストから除去する工程と、
b)前記エアロ位置に関する一つのロック/ラッチ手段を解放し、前記基本位置に関する少なくとも一つの他のロック/ラッチ手段を始動させる工程と、
c)乗車者が個々のハンドルバーのバネのバネ圧に対抗してハンドルバー部分に圧力を加えて、ハンドルバーバー部分を基本位置へ導く工程と、
d)前記部分に関する解放可能ロック手段が再度ラッチされて前記ハンドルバー部分と乗車者の手を前記基本位置に固定するまで、乗車者によって前記圧力を維持する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項68】
請求項67に記載の乗車者により車両の制御のための操縦装置の少なくとも一つのハンドルバー部分をエアロ位置からワイド位置へ移動させる方法において、前記基本位置への両ハンドルバー部分の再配列は一斉にまたは一度に一方ずつ行なうことができることを特徴とする方法。
【請求項69】
乗車者による車両の制御のための操縦装置を製造する方法において、
a)ハンドルバーを製造する工程であって、前記ハンドルバーは少なくとも二つの位置に調節可能であるのに適した二つの部分で形成される工程を含み、
前記部分は、乗車者によって第1の位置から別の位置へ独立して移動され、操縦機能とは独立して乗車者によって少なくとも一つの位置に固定可能であることを特徴とする方法。
【請求項70】
請求項69に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置を製造する方法において、前記操縦装置はまた、
a)各部分を少なくとも二つの位置に固定するのを可能にするためのラッチ手段であって、解放可能であると共に、オプションとして前記部分を好ましい位置にロックするためのロック手段として動作可能であるラッチ手段と、
b)エアロ位置をとっているときに乗車者によって使用されるために、各部分に関連するアームレストと協働するように適合されたアクチュエータ手段と、
c)アームレストとを備えることを特徴とする方法。
【請求項71】
請求項69および70のいずれか1項に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置を製造する方法において、前記二つの部分の各々は、任意で、ブレーキ制御装置およびギア制御装置の少なくとも一つと、ダンパーまたは任意の適当な緩衝システムと、前記ハンドルバーの寸法および位置の少なくともいずれかを乗車者の寸法および好みを満足するように調節することができる調節手段とをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項72】
請求項1乃至56のいずれか1項に記載の操縦装置と共に使用するためのコンビネーション・ギア・ブレーキレバーにおいて、前記操縦装置はハンドルバーを備え、前記ハンドルバーは二つのハンドルバー部分から構成され、各部分は少なくとも二つの位置の間で動作可能であることを特徴とするコンビネーション・ギア・ブレーキレバー。
【請求項73】
請求項72に記載の操縦装置と共に使用するためのコンビネーション・ギア・ブレーキレバーにおいて、当該ギア・ブレーキ・レバーは各部分の上に備えられることを特徴とするコンビネーション・ギア・ブレーキレバー。
【請求項74】
請求項73に記載の操縦装置と共に使用するためのコンビネーション・ギア・ブレーキレバーにおいて、当該レバーはすべての選択可能な乗車位置から操作可能であることを特徴とするコンビネーション・ギア・ブレーキレバー。
【請求項75】
請求項74に記載の操縦装置と共に使用するためのコンビネーション・ギア・ブレーキレバーにおいて、当該レバーは、従来型のハンドルバーおよび専用エアロバーのいずれかの上で使用されるレバーと比べた場合に、より小さい寸法およびより軽い重量の少なくともいずれかを有することを特徴とするコンビネーション・ギア・ブレーキレバー。
【請求項76】
請求項1乃至56のいずれか1項に記載の操縦装置と共に使用するための緩衝装置。
【請求項77】
請求項1乃至56のいずれか1項に記載の操縦装置と共に使用するためのラッチ装置。
【請求項78】
請求項1乃至56のいずれか1項に記載の操縦装置と共に使用するための取り付け手段。
【請求項79】
請求項1乃至56のいずれか1項に記載の操縦装置と共に使用するためのハンドルバー部分。
【請求項80】
請求項1乃至56のいずれか1項に記載の操縦装置と共に使用するためのカスタマイズされたハンドルバー部分。
【請求項1】
少なくとも二つの位置に調節可能な複数のハンドルバーを備える乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記複数のハンドルバーは、乗車者によって第1の位置から別の位置へ独立して移動可能であり、かつ操縦機能とは独立して乗車者によって少なくとも一つの位置に固定可能であることを特徴とする操縦装置。
【請求項2】
請求項1に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記ハンドルバーは中心点の周りを移動可能であることを特徴とする操縦装置。
【請求項3】
請求項2に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記ハンドルバーは前記中心点の周りを回転することによって乗車者によって第1の位置から別の位置へ移動可能であり、かつ乗車者によって少なくとも一つの位置に固定可能であることを特徴とする操縦装置。
【請求項4】
請求項3に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、少なくとも一つのバネを備えることを特徴とする操縦装置。
【請求項5】
請求項4に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記バネは当該操縦装置のハンドルバーに組み込まれていることを特徴とする操縦装置。
【請求項6】
請求項5に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、少なくとも1つのハンドルバーが乗車者によって第1の位置から別の位置へ移動されるときに、前記バネはそのハンドルバーに、負荷を与えることを特徴とする操縦装置。
【請求項7】
請求項6に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記少なくとも二つの位置は、エアロ位置を含む、乗車者がエアロバーを使用しているか、または乗車者が流線型姿勢をとっているかの少なくともいずれかであるときの位置である第1の位置を含むことを特徴とする操縦装置。
【請求項8】
請求項6に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記少なくとも二つの位置は、乗車者が従来型のハンドルバーを使用しているか、または乗車者の体がほぼ直立姿勢にあるかの少なくともいずれかであり、手が基本位置にあるときの位置である別の位置を含むことを特徴とする操縦装置。
【請求項9】
請求項6に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記少なくとも二つの位置は、それらの位置が不連続であるか連続しているかにかかわらず、エアロ位置と基本位置との間、またはエアロ位置および基本位置を越えた移動位置、および乗車者によってとられ得る他の位置のいずれかを含むことを特徴とする操縦装置。
【請求項10】
請求項6に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、該操縦装置は中心で分割されて二つの部分からなるハンドルバーを形成することを特徴とする操縦装置。
【請求項11】
請求項10に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記二つの部分の各々は軸線の周りを移動可能または回転可能であることを特徴とする操縦装置。
【請求項12】
請求項11に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記二つの部分の各々がそれ自身の個別回転中心の周りを移動可能もしくは回転可能であるか、または両方の部分が操縦のために使用される軸線とは別の中心専用軸点の周りを移動可能もしくは回転可能であることを特徴とする操縦装置。
【請求項13】
請求項12に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記二つの部分の各々はそれ自身の個別回転中心の周りを移動可能または回転可能であり、各回転点は車両の中心線からほぼ等距離にあるか車両の中心線に位置することを特徴とする操縦装置。
【請求項14】
請求項10に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記二つの部分の各々は、車両の上の必要とされる位置にブレーキ制御装置およびギア制御装置を備えることを特徴とする操縦装置。
【請求項15】
請求項14に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、他方の部分から独立している各部分の動作または回転は両部分を一斉にまたは独立して移動させることができることを特徴とする操縦装置。
【請求項16】
請求項15に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、各部分の移動はバネ圧の結果としてもたらされ、バネ圧の解放は乗車者によって制御されることを特徴とする操縦装置。
【請求項17】
請求項16に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、乗車者制御部は前記少なくとも二つの位置の間における位置での移動の間じゅう車両の操縦およびバランスを維持することを特徴とする操縦装置。
【請求項18】
請求項17に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、各部分はラッチ手段によって少なくとも二つの位置に固定され得ることを特徴とする操縦装置。
【請求項19】
請求項18に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記ラッチ手段は前記部分を好ましい位置にロックするためのロック手段として動作するか、または動作するのに適していることを特徴とする操縦装置。
【請求項20】
請求項19に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記ロック手段およびラッチ手段の少なくともいずれかが解放可能であることを特徴とする操縦装置。
【請求項21】
請求項20に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記ラッチ手段の解放はアクチュエータ手段によって行われることを特徴とする操縦装置。
【請求項22】
請求項20に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記解放可能ロック手段は固定解放可能ロック手段および強制可能な解放可能ロック手段を含むことを特徴とする操縦装置。
【請求項23】
請求項22に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記固定解放可能ロック手段は指定アクチュエータの作用によってのみ動作可能に解放されることを特徴とする操縦装置。
【請求項24】
請求項22に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記強制可能な解放可能ロック手段は、強制解放および指定アクチュエータの作用のいずれかによって動作可能に解放されることを特徴とする操縦装置。
【請求項25】
請求項24に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記アクチュエータの動作は所望位置の一つへの一部分の移動の第1段階を開始することを特徴とする操縦装置。
【請求項26】
請求項25に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記アクチュエータ手段はバネ圧力解放機構として構成されることを特徴とする操縦装置。
【請求項27】
請求項26に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記アクチュエータ手段はアームレストと協働するのに適していることを特徴とする操縦装置。
【請求項28】
請求項27に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、アームレストが各部分と関連付けられていることを特徴とする操縦装置。
【請求項29】
請求項28に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記アームレストは、前記エアロ位置をとっているときの乗車者によって使用されるために、各部分に近接して配置されることを特徴とする操縦装置。
【請求項30】
請求項29に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、各アームレストは、前記エアロ位置をとっているときの乗車者によって使用されるために、各関連部分に連結されることを特徴とする操縦装置。
【請求項31】
請求項30に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記アームレストは、乗車者が前記アームレストに圧力を加えたとき、その圧力が、ラッチ/ロック手段の解放と、関連部分を解放すると共に前記少なくとも二つの位置の間における部分の動きを可能にするための前記アクチュエータの動作とをもたらす、前記アームレストに関連する弾性手段の動きを生じるように、トリガー手段として機能することを特徴とする操縦装置。
【請求項32】
請求項31に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記アクチュエータの動作はハンドルバー位置の前記エアロ位置への移動を可能にすることを特徴とする操縦装置。
【請求項33】
請求項32に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記アームレストの弾性手段は、前記部分、前記アームレスト構造、および前記ハンドルバーの支持構造の少なくとも一つに関して配置された少なくとも一つのバネを備えることを特徴とする操縦装置。
【請求項34】
請求項31に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記ロック手段およびラッチ手段の少なくともいずれかはロックカム、テーパースロット、フック、バネ弾性、および任意の適応ラッチ装置のいずれかを含むことを特徴とする操縦装置。
【請求項35】
請求項34に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記ロック手段およびラッチ手段の少なくともいずれかはまた、前記部分を前記エアロ位置に維持することを特徴とする操縦装置。
【請求項36】
請求項35に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記ロック手段およびラッチ手段の少なくともいずれかは、各アームレストの少なくとも一方から乗車者の体重が取り除かれるとほぼ直ちに、前記アームレストの関連動作と協働して、前記ハンドルバー部分を解放するように適合されていることを特徴とする操縦装置。
【請求項37】
請求項35に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記ロック手段およびラッチ手段の少なくともいずれかは、前記ハンドルバー部分が前記基本位置に向かって戻るのを防止する前記アームレスト上の腕の重量のみであることを特徴とする操縦
装置。
【請求項38】
請求項35に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記ロック手段およびラッチ手段の少なくともいずれかは任意で電子式重量センサーを備えることを特徴とする操縦装置。
【請求項39】
請求項37に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記基本位置に向かって戻る前記部分の移動は、両側にある前記解放可能ロック機構が再度ラッチされ、前記部分を乗車者の手で前記基本位置に固定するまで、前記乗車者が前記個々の部分のバネのバネ圧に対抗して前記関連部分に圧力を加えることによって行われ得ることを特徴とする操縦装置。
【請求項40】
請求項39に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記基本位置への両部分の再配列は一斉にまたは一度に一方ずつ行なうことができることを特徴とする操縦装置。
【請求項41】
請求項40に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記基本位置に対する両部分の再配列のために乗車者の腕を前記アームレストから持ち上げる必要があることを特徴とする操縦装置。
【請求項42】
請求項41に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、乗車者の腕を前記アームレストから除去することにより、前記アームレストがそれ自身のバネ圧によって上方へ移動することが可能となり、よって前記ロック/ラッチ装置が対応部分を所定位置に受容しロックするための位置へ移動するようにすることを特徴とする操縦装置。
【請求項43】
請求項42に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、各部分の各バネはその張力を反対部分のバネの張力と一致させることができるように調節可能であることを特徴とする操縦装置。
【請求項44】
請求項43に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、各部分のバネは、
a)前記部分の前記基本位置から前記エアロ位置への移動と、
b)前記部分を一緒にまたは別々に前記基本位置へ戻すのを可能にする調和した抵抗と、
c)各部分についての乗車者による個別制御および、
d)各部分についての乗車者による二重制御の少なくともいずれかと、
e)少なくとも前記基本位置とエアロ位置の間の移動範囲を通過する間の連続した円滑な乗車と、
f)乗車者が、迅速にかつ乗車行為から気が逸れるのをできるだけ最小にして、所望の位置をとることを可能にするための前記部分の自動操作と
のうちの少なくとも一つをもたらすことを特徴とする操縦装置。
【請求項45】
請求項44に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記バネ操作は、空気式、電子式、または他の機械式手段と置き換えることができることを特徴とする操縦装置。
【請求項46】
請求項45に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、
a)乗車者が各部分に取り付けられたブレーキ制御装置およびギア制御装置へ常時アクセスでき、
b)追加ハンドルバーを必要とすることなく風抵抗を低減することができ、
c)二組のハンドルバーを必要とすることなく自転車の重量を低減することができることを特徴とする操縦装置。
【請求項47】
請求項45に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、その上を自転車が走行する表面の不規則性によって生じる振動を低減するためのダンパーまたは任意の適当な緩衝システムを任意で備えることを特徴とする操縦装置。
【請求項48】
請求項47に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記緩衝システムは、通常ハンド位置、各ハンドルの回転中心、または設置停止手段とそれらの各接触点を含む戦略的取り付け設置箇所に設置されることを特徴とする操縦装置。
【請求項49】
請求項48に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記緩衝システムは、ゴム、ナイロン、熱可塑性材料、革、流体、弾性手段(バネを備える)を含む、道路の衝撃と振動を吸収かつ減少するまたはそのいずれかを行なうための柔軟性材料または圧縮性材料を含むことを特徴とする操縦装置。
【請求項50】
請求項49に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記緩衝システムは緩衝レベルに関して調節可能であることを特徴とする操縦装置。
【請求項51】
請求項50に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記緩衝システムは、乗車中に乗車者によって緩衝レベルに関して制御可能であることを特徴とする操縦装置。
【請求項52】
請求項10に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記ハンドルバーの寸法および位置の少なくともいずれかを乗車者の寸法と好みを満足するように調節することができる調節手段を含むことを特徴とする操縦装置。
【請求項53】
請求項52に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記調節手段は、垂直面、側面、および水平面のうちの少なくとも一つを通じて前記ハンドルバーの方向の調節を容易にする方向調節手段を含むことを特徴とする操縦装置。
【請求項54】
請求項52に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記調節手段は、前記車両の縦軸と前記ハンドルバー上のグリップ領域との間の距離である前記ハンドルバーの長さを調節するための長さ調節手段を含むことを特徴とする操縦装置。
【請求項55】
請求項53および54のいずれか1項に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記調節手段は、増分調節オプションと回転調節オプションと直線調節オプションとのうちの少なくともいずれか、または調節可能停止手段を有する内部管を固定するクランプを含むことを特徴とする操縦装置。
【請求項56】
請求項1に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置において、前記車両は、自転車、三輪車、スクータ、ジェットスキー、または、当該操縦装置がハンドルバーを含む他の車両であることを特徴とする操縦装置。
【請求項57】
乗車者による車両の制御のための操縦装置の車両へ取り付けるための方法であって、前記操縦装置はハンドルバーを含み、前記ハンドルバーは二つのハンドルバー部分で構成され、各ハンドルバー部分は少なくとも二つの位置の間で移動可能である方法において、
a)特に前記車両が自転車である場合、前記操縦装置を、操縦管を介して前部フォークに直接固定し、それによりエアロバー、ハンドルバー、およびステムを含む三つの別々の部品を交換する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項58】
操縦装置の車両への取り付けの請求項57に記載の方法において、前記操縦装置は自転車の前部フォークの操縦管の外側に取り付けられることを特徴とする方法。
【請求項59】
操縦装置の車両への取り付けの請求項57に記載の方法において、前記操縦装置は自転車の操縦管の内側に取り付けられることを特徴とする方法。
【請求項60】
請求項59に記載の方法において、前記操縦装置が自転車の操縦管の内側に取り付けられる場合、任意で、アダプタが設けられ、前記アダプタの下端部は前記操縦管の内側に対して割り込み、前記アダプタの上端部は前記操縦管への延長部分を提供し、前記アダプタに前記操縦装置が取り付けられることを特徴とする方法。
【請求項61】
請求項57に記載の方法において、前記操縦装置は、調節可能クランプを含む取り付け手段を使用して自転車に取り付けられることを特徴とする方法。
【請求項62】
乗車者による車両の制御のための操縦装置の少なくとも二つの位置の間でのい移動をトリガーする方法であって、前記操縦装置はハンドルバーを備え、前記ハンドルバーは二つのハンドルバー部分で構成され、各ハンドルバー部分は少なくとも二つの位置の間で移動可能であり、前記動作はアームレストの使用によってトリガーされる方法において、
a)前記アームレストに乗車者の前腕を載せる工程と、それにより、
b)各アームレストの押し下げまたは解放がそれアームレストのバネ圧に対抗して行われる工程と、前記押し下げまたは解放が、
c)アクチュエータの動作をもたらす工程と、それにより、
d)対応ハンドルバー部分がそのラッチ位置またはロック位置から解放され、前記ハンドルバー部分をひとつの位置から別の位置へ移動させることができる工程と、
e)前記アクチュエータ手段は、乗車者がエアロ位置をとるときに乗車者に使用されるための各部分に関連するアームレストと協働するのに適合されている工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項63】
請求項62に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置の少なくとも二つの位置の間での移動をトリガーする方法において、前記ハンドルバー部分は、乗車者によって決められるように、単独で、連続して、または一斉に一つの位置から別の位置へ移動するように作動させられるように適合されていることを特徴とする方法。
【請求項64】
乗車者により車両の制御のための操縦装置の少なくとも一つのハンドルバー部分を基本位置からエアロ位置へ移動させる方法において、乗車者が前腕を関連アームレストの上に配置する工程と、前記前腕が前記アームレスト上に圧力をかけ、前記圧力がそれに応答した前記アームレストの移動をもたらす工程と、その結果、前記アームレストのバネ圧に関連する動きが生じる工程と、この動きが対応ハンドルバー部分のロック機構を解放する工程と、このハンドルバー部分がそれ自身のバネの弾性によって弧を描いて前記エアロ位置へ回転する工程と、それにより前記ハンドルバー部分が乗車者の手の中か近くに到達する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項65】
請求項64に記載の乗車者により車両の制御のための操縦装置の少なくとも一つのハンドルバー部分を基本位置からエアロ位置へ移動させる方法において、前記操縦装置は乗車者の腕が前記アームレストに配置されたか、および乗車者の腕が前記アームレストから除去されたかを検出するための検出手段を含むことを特徴とする方法。
【請求項66】
請求項65に記載の乗車者により車両の制御のための操縦装置の少なくとも一つのハンドルバー部分を基本位置からエアロ位置へ移動させる方法において、前記検出手段の動作
は解放可能ロック手段とラッチ手段またはそのいずれかの制御をもたらすことを特徴とする方法。
【請求項67】
乗車者により車両の制御のための操縦装置の少なくとも一つのハンドルバー部分をエアロ位置からワイド位置へ移動させる方法において、
a)乗車者の腕をアームレストから除去する工程と、
b)前記エアロ位置に関する一つのロック/ラッチ手段を解放し、前記基本位置に関する少なくとも一つの他のロック/ラッチ手段を始動させる工程と、
c)乗車者が個々のハンドルバーのバネのバネ圧に対抗してハンドルバー部分に圧力を加えて、ハンドルバーバー部分を基本位置へ導く工程と、
d)前記部分に関する解放可能ロック手段が再度ラッチされて前記ハンドルバー部分と乗車者の手を前記基本位置に固定するまで、乗車者によって前記圧力を維持する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項68】
請求項67に記載の乗車者により車両の制御のための操縦装置の少なくとも一つのハンドルバー部分をエアロ位置からワイド位置へ移動させる方法において、前記基本位置への両ハンドルバー部分の再配列は一斉にまたは一度に一方ずつ行なうことができることを特徴とする方法。
【請求項69】
乗車者による車両の制御のための操縦装置を製造する方法において、
a)ハンドルバーを製造する工程であって、前記ハンドルバーは少なくとも二つの位置に調節可能であるのに適した二つの部分で形成される工程を含み、
前記部分は、乗車者によって第1の位置から別の位置へ独立して移動され、操縦機能とは独立して乗車者によって少なくとも一つの位置に固定可能であることを特徴とする方法。
【請求項70】
請求項69に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置を製造する方法において、前記操縦装置はまた、
a)各部分を少なくとも二つの位置に固定するのを可能にするためのラッチ手段であって、解放可能であると共に、オプションとして前記部分を好ましい位置にロックするためのロック手段として動作可能であるラッチ手段と、
b)エアロ位置をとっているときに乗車者によって使用されるために、各部分に関連するアームレストと協働するように適合されたアクチュエータ手段と、
c)アームレストとを備えることを特徴とする方法。
【請求項71】
請求項69および70のいずれか1項に記載の乗車者による車両の制御のための操縦装置を製造する方法において、前記二つの部分の各々は、任意で、ブレーキ制御装置およびギア制御装置の少なくとも一つと、ダンパーまたは任意の適当な緩衝システムと、前記ハンドルバーの寸法および位置の少なくともいずれかを乗車者の寸法および好みを満足するように調節することができる調節手段とをさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項72】
請求項1乃至56のいずれか1項に記載の操縦装置と共に使用するためのコンビネーション・ギア・ブレーキレバーにおいて、前記操縦装置はハンドルバーを備え、前記ハンドルバーは二つのハンドルバー部分から構成され、各部分は少なくとも二つの位置の間で動作可能であることを特徴とするコンビネーション・ギア・ブレーキレバー。
【請求項73】
請求項72に記載の操縦装置と共に使用するためのコンビネーション・ギア・ブレーキレバーにおいて、当該ギア・ブレーキ・レバーは各部分の上に備えられることを特徴とするコンビネーション・ギア・ブレーキレバー。
【請求項74】
請求項73に記載の操縦装置と共に使用するためのコンビネーション・ギア・ブレーキレバーにおいて、当該レバーはすべての選択可能な乗車位置から操作可能であることを特徴とするコンビネーション・ギア・ブレーキレバー。
【請求項75】
請求項74に記載の操縦装置と共に使用するためのコンビネーション・ギア・ブレーキレバーにおいて、当該レバーは、従来型のハンドルバーおよび専用エアロバーのいずれかの上で使用されるレバーと比べた場合に、より小さい寸法およびより軽い重量の少なくともいずれかを有することを特徴とするコンビネーション・ギア・ブレーキレバー。
【請求項76】
請求項1乃至56のいずれか1項に記載の操縦装置と共に使用するための緩衝装置。
【請求項77】
請求項1乃至56のいずれか1項に記載の操縦装置と共に使用するためのラッチ装置。
【請求項78】
請求項1乃至56のいずれか1項に記載の操縦装置と共に使用するための取り付け手段。
【請求項79】
請求項1乃至56のいずれか1項に記載の操縦装置と共に使用するためのハンドルバー部分。
【請求項80】
請求項1乃至56のいずれか1項に記載の操縦装置と共に使用するためのカスタマイズされたハンドルバー部分。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【公表番号】特表2007−523001(P2007−523001A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−554046(P2006−554046)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【国際出願番号】PCT/NZ2005/000024
【国際公開番号】WO2005/077741
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(506282492)シロテック リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SYROTECH LIMITED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【国際出願番号】PCT/NZ2005/000024
【国際公開番号】WO2005/077741
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(506282492)シロテック リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SYROTECH LIMITED
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]