説明

操舵補助制御装置

【課題】操舵補助制御実行中における運転者の適正な関わりを検出するとともに、運転者の操舵補助制御に対する監視放棄を抑制することのできる操舵補助制御装置を提供すること。
【解決手段】操舵補助制御中の第1所定時間経過後に(S1)、アシストトルクを通常の操舵補助制御に基づく目標アシストトルクから運転監視確認用アシストトルクに調整し(S2〜S4)、所定期間内に運転者の反応が検出されなかった場合には(S5、S7)、運転者への警告を発するとともに操舵補助制御を停止する(S8)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操舵補助制御装置に係り、詳しくは車両が車線内で走行するよう操舵のアシストトルクを調整する操舵補助制御実行中において運転者の運転への適正な関わりを確認する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両走行時に、自車両が走行している車線を認識して、自車両が車線内の中心を走行するように車線との位置関係に応じて操舵のアシストトルクを発生させる、いわゆる車線維持支援システム(LKAS:Lane Keeping Assist System)を備えた車両が開発されている。このように車線維持支援システムにおける操舵補助制御が実行されることで、運転者は軽いステアリング操作で車線維持走行が可能となる。
【0003】
一方で、このような操舵補助制御が長時間に亘って行われると、運転者の負担が軽減されるために運転者の注意力が低下する傾向にある。これにより、居眠り運転を招いたり、緊急時の対処が遅れる等の問題が生じる。
そこで運転者の集中力や注意力を推定する技術が開発されており、例えば運転者による運転操作の反応を検出することで運転者の集中力を推定する技術がある。具体的には、運転者の運転操作の時系列データを記憶しておき、車間距離に応じて、運転者が理想とする追従操作と実際の追従操作からの反応強度または反応時間から運転者の集中力を判定する技術がある(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、自動走行運転中にはオートクルーズ機能により車速は一定に保持され、車間距離維持機能によって先行車への追従操作も自動的に行われる。このため、運転者による運転操作はほとんど行われず、運転操作状況から運転者の注意力を正確に判定することはできない。
また、運転者の集中力や注意力を推定する方法の他の例として、運転者の覚醒度を測定する方法も提案されているが、単調な走行状況において、運転者が運転以外のこと(会話、食事等)に集中するケースも生じる。このような場合、運転者の覚醒度は高いため、運転者の集中力や注意力を推定する方法では、運転者が自動走行運転を監視しているか否かを把握することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−92285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、自動走行運転により車両を走行させている場合や操舵補助制御中であっても、運転者には運転が適正であるか否かを監視・監督する責任があるところ、上記従来技術では、運転者による運転に対する適正な監視の有無を判断することができない。このため、上記従来技術では、自動走行運転中や操舵補助制御中の適正な監視がなされていない場合に運転者に注意喚起することもできないという問題がある。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、操舵補助制御実行中における運転者の適正な関わりを検出するとともに、運転者の操舵補助制御に対する監視放棄を抑制することのできる操舵補助制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、請求項1の操舵補助制御装置では、車両の操舵を補助するアシストトルクの調整を行う操舵補助制御を実行する操舵補助制御装置であって、前記操舵補助制御における目標アシストトルクを設定する目標アシストトルク設定手段と、前記操舵補助制御中の所定の時期に、アシストトルクを前記操舵アシストトルク設定手段により設定された目標アシストトルクと異なる値に調整するアシストトルク調整手段と、調整されたアシストトルクに対する運転者の反応を検出する運転者反応検出手段と、前記アシストトルクの調整開始から所定期間内に、前記運転者反応検出手段による運転者の反応が検出されなかった場合に、前記運転者への注意を喚起する注意喚起手段と、を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項2の操舵補助制御装置では、請求項1において、前記アシストトルク調整手段は、前記アシストトルクの調整開始から所定期間内に、前記運転者反応検出手段により運転者の反応が検出された場合には、アシストトルクを前記目標アシストトルク設定手段により設定された目標アシストトルクに戻すことを特徴としている。
【0010】
請求項3の操舵補助制御装置では、請求項1または2において、前記注意喚起手段は、運転者への警告を発することで注意喚起を行う警報器であることを特徴としている。
請求項4の操舵補助制御装置では、請求項1から3のいずれかにおいて、前記注意喚起手段は、前記操舵補助制御を停止させることで注意喚起を行う操舵補助制御停止手段であることを特徴としている。
【0011】
請求項5の操舵補助制御装置では、請求項1から4のいずれかにおいて、前記運転者反応検出手段は、前記運転者のスイッチ操作により当該運転者の反応を検出するスイッチであることを特徴としている。
請求項6の操舵補助制御装置では、請求項1から5のいずれかにおいて、前記運転者反応検出手段は、前記運転者の発した声により前記運転者の反応を検出する受音手段であることを特徴としている。
【0012】
請求項7の操舵補助制御装置では、請求項1から6のいずれかにおいて、前記運転者反応検出手段は、前記運転者による操舵に基づき前記運転者の反応を検出する操舵検出手段であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
上記手段を用いる本発明の請求項1の操舵補助制御装置によれば、操舵補助制御中の所定の時期に、アシストトルクを目標アシストトルクと異なる値に調整することで、運転者の自動走行運転への適正な関わりの有無を確認する。そして、当該アシストトルクの調整開始から所定期間内に運転者の反応が検出されなかった場合には、運転者への注意喚起を行う。
【0014】
このように運転者の運転操作負担が軽減される操舵補助制御中においても、定期的に操舵補助制御におけるアシストトルクを意図的に異なる値に調整させることで運転への注意を促し、当該アシストトルクの調整に対する運転者の反応を確かめることで、運転者の運転への適正な関わりを確認することができる。そして、アシストトルクの調整開始から所定期間、運転者の反応がない場合には、運転者への注意喚起を行うことで、運転者に再び操舵補助制御による運転を監視させることができる。
【0015】
こうして、操舵補助制御実行中における運転者の適正な関わりを検出するとともに、運転者の操舵補助制御に対する監視放棄を抑制することができる。
請求項2の操舵補助制御装置によれば、アシストトルク調整開始から所定期間内に運転者の反応が検出された場合には、アシストトルクを前記目標アシストトルク設定手段により設定された目標アシストトルクに戻すことで、通常の操舵補助制御に速やかに復帰させることができる。
【0016】
請求項3の操舵補助制御装置によれば、アシストトルクを調整しても運転者の反応がない場合に警報器により運転者に警告を発することで、運転者に注意を喚起することができる。
請求項4の操舵補助制御装置によれば、アシストトルクを調整しても運転者の反応がない場合に操舵補助制御を停止させることで、運転者の注意力が低下している状態で操舵補助制御が継続されるのを早期に解消することができる。
【0017】
請求項5の操舵補助制御装置によれば、運転者が直接的にスイッチ操作することで当該運転者の反応を検出するため、確実に運転者の反応を検出することができる。
請求項6の操舵補助制御装置によれば、運転者の発した声により運転者の反応を検出することで、運転者による直接的な操作等必要なく容易に運転者の反応を検出することができる。
【0018】
請求項7の操舵補助制御装置によれば、操舵に基づき運転者の反応を検出することで、新たな装置等設けることなく容易に運転者の反応を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態における操舵補助制御装置の概略構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態における操舵補助制御装置のアシストトルクの設定マップである。
【図3】本発明の一実施形態に係る操舵補助制御装置の操舵補助ECUが実行する運転監視確認制御ルーチンを表したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態における操舵補助制御装置の概略構成を示したブロック図であり、図2はアシストトルクの設定マップであり、これらの図に基づき説明する。
図1に示す操舵補助ECU(電子コントロールユニット)1は、車両に搭載される各種ECUのうちの一つであり、操舵補助制御を行う制御装置である。ここで、操舵補助制御とは、運転者の操舵操作を補助するアシストトルクを発生させる制御のことである。例えば、自車両が走行している車線の位置を認識し、当該車線の中心位置を走行する方向に操舵を導くようアシストトルクを発生させる車線維持支援システム(LKAS)における操舵補助制御等がある。具体的には、操舵補助ECU1は、図示しない入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)及び中央演算処理装置(CPU)等を含んで構成されている。
【0021】
操舵補助ECU1の入力側には、車速センサ2、CCDカメラ4、車線維持支援操作部6、注意力監視部8、応答スイッチ10、マイク12、操舵角センサ14等の各種デバイスが接続されている。出力側には、ステアリングの操舵アクチュエータ20、警報器22(注意喚起手段)等の各種デバイスが接続されている。
【0022】
詳しくは、車速センサ2は自車両の車速を検出するセンサであり、CCDカメラ4は自車両前方を撮影し、自車両両側にある道路上の白線又は黄色線等で表された車線位置を検出するものである。
車線維持支援操作部6は、運転席に設けられており、車線維持支援システムのON、OFFの切り換えを運転者が設定可能なものである。
【0023】
注意力監視部8は、例えば車両のふらつきや、運転者の修正操舵、ウィンカーの操作等から総合的に判断して、運転者の運転注意力のレベルを判定するものである。
応答スイッチ10及びマイク12はそれぞれ運転席に設けられており、応答スイッチ10は運転者の押下操作によりON、OFFが切り換えられるスイッチであり、マイク12は車内の音を検知するものである。操舵角センサ14は、図示しないステアリングホイールの操舵角を検知するものである。
【0024】
これら応答スイッチ10、マイク12、アクセル開度センサ14はそれぞれ運転者の反応を検出するための手段(運転者反応検出手段)である。応答スイッチ10は運転者の直接的な操作により運転者の反応を検出するため、確実に運転者の反応を検出することができ、マイク12は逆に運転者の直接的な操作等必要なく容易に運転者の反応を検出でき、操舵角センサ14は、既存の装備品を用いつつ容易に運転者の反応を検出できるものである。また、操舵のアシストトルク調整に対する運転者の反応として、運転者はステアリングホイールを操舵する可能性が高く、操舵角センサ14であればアシストトルク調整に対する反応を早期に検出することができる。
【0025】
操舵アクチュエータ20は、ステアリングホイールに対してアシストトルクを発生させるものである。当該操舵アクチュエータ20は、例えばいわゆる電動パワーステアリングの電動モータである。操舵補助ECU1は、当該操舵アクチュエータ20により発生させるアシストトルクを調整して、操舵補助制御を行う。
【0026】
警報器22は、運転者に視覚的に警告を発するよう運転席のメータ部分等に表示される表示灯及び警告音を発するスピーカからなる。
ここで、操舵補助ECU1の内部構成について詳しく説明する。
図1では、操舵補助ECU1の内部構成が概念的に示されており、同図に示すように操舵補助ECU1は、目標アシストトルク設定部30(目標アシストトルク設定手段)、監視有無確認部32(アシストトルク調整手段)、タイマ34、運転者反応検出部36(運転者反応検出手段)を有している。
【0027】
目標アシストトルク設定部30には、車速センサ2により検出される自車両の車速情報、CCDカメラ4により検出される車線位置、車線維持支援操作部6において運転者により設定された車線維持支援システムのON、OFF情報等が入力される。
目標アシストトルク設定部30は、車線維持支援操作部6により車線維持支援システムがONにされると、CCDカメラ4により検出された車線位置から自車両と左右車線内の中心位置との相対距離を算出する。そして、この中心位置との相対距離に応じた目標アシストトルクを設定する。
【0028】
具体的には、図2に示すような車線内の中心位置と自車両との相対距離に応じて目標アシストトルクを設定するためのマップに基づき設定される。同図に示すように、当該マップは、自車両が中心位置から離れるほど、即ち左右いずれかの白線に近づくほど中心位置側への操舵に付加する目標アシストトルクを大きく設定するよう、放物線状を描くグラフとなる。つまり、自車両が中心位置から離れていくと、離れる方向への操舵は重く、中心側への操舵は軽くなる。さらに、当該目標アシストトルクを車速に応じて変化させてもよく、例えば車速が大きい程目標アシストトルクを小さくするよう設定しても構わない。そして、当該目標アシストトルク設定部30で設定された目標アシストトルク情報は監視有無確認部32へと出力される。
【0029】
監視有無確認部32には、目標アシストトルク設定部30で設定された目標アシストトルク情報、タイマ34による計時情報、注意力監視部8により判定された運転者の注意力レベル情報、運転者反応検出部36からの運転者の反応情報等が入力される。
監視有無確認部32は、車線維持支援システムの開始から、タイマ34により計時される所定の時期毎に、運転者の運転への適正な関わり、すなわち自動走行制御運転に対する監視・監督の有無の確認(以下、運転監視という。)を行う。この運転者の運転監視の確認は、具体的には、アシストトルクを目標アシストトルク設定部30で設定された目標アシストトルクと異なる値に調整し、監視有無確認用アシストトルクでの操舵補助制御に切り換えることで行う。例えば、異なる値としてタイミングの変更があり、監視有無確認部32は、ステアリングのトルクセンサーの中心からのずれの大きさに対してアシストトルクを付加するタイミングを、目標アシストトルクにおいて付加するタイミングよりも遅延させる。
【0030】
詳しくは図2に示すように、アシストトルクの設定マップにおいて、運転監視の確認時においては、通常時における放物線よりも外側に拡がった放物線を描く運転監視確認用アシストトルクの設定マップに切り換えることで、目標アシストトルク設定部30で設定された目標アシストトルクを減少させる。つまり、当該運転監視確認用アシストトルクの設定マップは通常よりもアシストトルクの効きを緩和させたマップであり、例えば車線維持サポートの程度を10〜30cmの範囲で抑制させたものである。これにより、中心位置に対して同一の車両位置であっても、運転監視確認時のアシストトルクは通常時のアシストトルクよりも減少することとなり、車両が左右にふらつきやすくなる。
【0031】
このように操舵補助制御中に、アシストトルクを操舵補助制御に基づく目標アシストトルクから異なる値に調整して、この調整に運転者が気付くか否かで運転者の運転への適正な関わりを確認する。この目標アシストトルクからの調整度合いは注意力監視部8により判定された注意力レベルに応じて設定されるものとし、例えば注意力レベルが低い場合、即ち運転者における運転への意識が低い場合には運転者が気づきにくいことを考慮して、大きな調整度合いとする。または当該調整度合いを車速に応じて設定してもよく、例えば車速が高いほど、大きな調整度合いとなるよう設定しても構わない。
【0032】
そして、監視有無確認部32は、運転者反応検出部36により運転者の反応が検出された場合には、再び目標アシストトルクに基づく操舵補助制御に切り換える。一方、アシストトルクの調整を開始してから一定期間、運転者の反応がない場合には、運転者に注意を喚起すべく警報器22を用いて運転者に警告したり、操舵補助制御を強制的に停止する等の制御を行う。なお、監視有無確認部32は、運転監視を確認する所定の時期以外のときには、目標アシストトルク設定部30から入力される目標アシストトルクに基づきそのまま操舵アクチュエータ20を制御する。
【0033】
運転者反応検出部36は、応答スイッチ10、マイク12、操舵角センサ14からの各種情報が入力され、これらの情報から運転者の反応を検出する。つまり、上記監視有無確認部32による目標アシストトルクの調整が開始されてからの一定期間内に、運転者により応答スイッチ10が押下されたり、マイク12により運転者による所定の発話が検出されたり、操舵センサ14により運転者による操舵操作が検出されたり、アクセル開度センサ14により運転者によるアクセル踏込みが検出された場合には、運転者の反応があったものとして、監視有無確認部32に出力する。
【0034】
このように構成された操舵補助ECU1は、通常時においては目標アシストトルク設定部30において設定された目標アシストトルクによる操舵補助制御を行いつつ、定期的に監視有無確認部32によりアシストトルクを調整して、運転者反応検出部36において運転者の運転への適正な関わりの確認を行う。
以下、このように構成された本発明の実施形態に係る操舵補助制御装置の作用及び効果について詳細に説明する。
【0035】
図3には、本発明の一実施形態に係る操舵補助制御装置の操舵補助ECUが実行する運転監視確認制御ルーチンを表したフローチャートが示されており、以下同フローチャートに沿って説明する。図3に示す運転監視確認制御ルーチンは、車線維持支援システムが開始されると同時に、主に操舵補助ECU1の監視有無確認部32において実行される。
【0036】
図3に示すように、まずステップS1として監視有無確認部32において、運転者の注意力の確認を行う第1所定時間を経過したか否かを判別する。これは例えば監視有無確認部32は、タイマ34により、車線維持支援システムの開始又は前回の運転監視の確認実行からの時間を計時し、当該計時が第1所定時間(例えば30分)を経過したか否かで判別する。当該判別結果が偽(No)である場合は再度ステップS1を繰り返し、第1所定時間経過して真(Yes)となった場合には次のステップS2に進む。
【0037】
ステップS2では、監視有無確認部32は、タイマ34による第1所定時間の計時をリセットする。
続くステップS3では、監視有無確認部32は、注意力監視部8から注意力判定レベルを取得し、当該注意力判定レベルに応じたアシストトルクの調整度合いで運転監視確認用アシストトルクを設定する。当該運転監視確認用アシストトルクは図2を参照して上述したように設定マップを運転監視確認用に切り換えることで行われる。
【0038】
そして、ステップS4において、監視有無確認部32は、操舵アクチュエータ20のアシストトルクを目標アシストトルク設定部30において設定された目標アシストトルクから運転監視確認用アシストトルクまで調整する。
ステップS5では、監視有無確認部32は、運転監視確認用アシストトルクまで調整することでアシストトルクは減少し、車両はふらつきやすくなることから、これに対する運転者の反応がないか否かを判別する。運転者の反応は運転者反応検出部36からの情報に基づいて判別するものであり、つまり応答スイッチ10の押下、マイク12による運転者の所定の発話の検出、操舵角センサ14による操舵の有無等から運転者の反応の有無が検出される。当該判別結果が偽(No)である場合、即ち運転者の反応が検出された場合には、ステップS6に進む。
【0039】
ステップS6では、監視有無確認部32は、タイマ34をリセットした上で、操舵アクチュエータ20のアシストトルクを目標アシストトルク設定部30で設定された目標アシストトルクに復帰させるよう操舵アクチュエータ22を制御し、当該ルーチンをリターンする。
一方、ステップS5の判別結果が真(Yes)である場合、即ち運転者の反応がない場合には、ステップS7に進む。
【0040】
ステップS7では、監視有無確認部32は、ステップS2のタイマ34のリセットから、即ちアシストトルクを調整してから第2所定時間(例えば5分)経過したか否かを判別する。当該判別結果が偽(No)である場合は上記ステップS5に戻り、運転者の反応を確認する。一方、当該判別結果が真(Yes)である場合、即ちアシストトルクを運転監視確認用アシストトルクまで調整して第2所定時間経過した所定期間内に、依然として運転者の反応がない場合は、ステップS8に進む。
【0041】
監視有無確認部32は、目標アシストトルク設定部30により設定されたアシストトルクを調整して、当該第2所定時間を経過しても運転者の反応がないということは運転者が居眠り等して運転に関与してないと判断し、ステップS8において、警報器22により警告表示及び警報音を発するとともに、操舵補助制御をOFFにして、当該ルーチンを終了する。
【0042】
以上のように、操舵補助ECU1は、操舵補助制御中の第1所定時間経過毎に、アシストトルクを通常の操舵補助制御に基づく目標アシストトルクから運転監視確認用アシストトルクまで調整することで、運転者の注意力の確認を行う。そして、アシストトルクの調整から第2所定時間経過するまでの所定期間内に運転者の反応が検出されなかった場合には、警報器22による警告や操舵補助制御を停止して運転者への注意喚起を行う。
【0043】
このように運転者の運転負担が軽減される操舵補助制御中においても、定期的に操舵補助制御におけるアシストトルクを意図的に調整して運転への注意を促し、当該アシストトルクの調整に対する運転者の反応を確かめることで、運転者の運転監視を確認することができる。そして、アシストトルクの調整から所定期間、運転者の反応がない場合には、運転者への注意喚起を行うことで、運転者を再び運転に集中させることができることができる。
【0044】
一方で、運転者の反応が検出された場合には、アシストトルクを目標アシストトルクに戻すことで、通常の操舵補助制御に速やかに復帰させることができる。
また、運転者の反応がない場合に操舵補助制御を停止させることで、運転者の注意力が低下している状態で操舵補助制御が継続されるのを早期に解消することができる。
【0045】
これらのことから、本発明の一実施形態に係る操舵補助制御装置は、操舵補助制御実行中における運転者の運転への適正な関わりを確認でき、運転者の操舵補助制御に対する監視放棄を抑制できる。
以上で本発明に係る操舵補助制御装置の実施形態についての説明を終えるが、実施形態は上記実施形態に限られるものではない。
【0046】
上記実施形態では、目標アシストトルクからの調整度合いを注意力レベルが低いほど大きくしているが、逆に運転者の注意力が低下の予防的効果を高めるべく運転者の注意力が低下する初期段階で注意喚起を行えるよう、注意力レベルが高いほどアシストトルクの調整度合いを大きくしても構わない。
また、上記実施形態では注意喚起手段として、表示灯及びスピーカからなる警報器22を用いているが、注意喚起手段はこれに限られるものではなく、例えば運転席に振動を生じさせるような装置を用いても構わない。
【符号の説明】
【0047】
1 操舵補助ECU
2 車速センサ
4 CCDカメラ
6 車線維持支援操作部
8 注意力監視部
10 応答スイッチ(運転者反応検出手段)
12 マイク(運転者反応検出手段)
14 操舵角センサ(運転者反応検出手段)
20 操舵アクチュエータ
22 警報器(注意喚起手段)
30 目標アシストトルク設定部(目標アシストトルク設定手段)
32 監視有無確認部(アシストトルク調整手段)
34 タイマ
36 運転者反応検出部(運転者反応検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の操舵を補助するアシストトルクの調整を行う操舵補助制御を実行する操舵補助制御装置であって、
前記操舵補助制御における目標アシストトルクを設定する目標アシストトルク設定手段と、
前記操舵補助制御中の所定の時期に、アシストトルクを前記操舵アシストトルク設定手段により設定された目標アシストトルクと異なる値に調整するアシストトルク調整手段と、
調整されたアシストトルクに対する運転者の反応を検出する運転者反応検出手段と、
前記アシストトルクの調整開始から所定期間内に、前記運転者反応検出手段による運転者の反応が検出されなかった場合に、前記運転者への注意を喚起する注意喚起手段と、
を備えることを特徴とする操舵補助制御装置。
【請求項2】
前記アシストトルク調整手段は、前記アシストトルクの調整開始から所定期間内に、前記運転者反応検出手段により運転者の反応が検出された場合には、アシストトルクを前記目標アシストトルク設定手段により設定された目標アシストトルクに戻すことを特徴とする請求項1記載の操舵補助制御装置。
【請求項3】
前記注意喚起手段は、運転者への警告を発することで注意喚起を行う警報器であることを特徴とする請求項1または2に記載の操舵補助制御装置。
【請求項4】
前記注意喚起手段は、前記操舵補助制御を停止させることで注意喚起を行う操舵補助制御停止手段であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の操舵補助制御装置。
【請求項5】
前記運転者反応検出手段は、前記運転者のスイッチ操作により当該運転者の反応を検出するスイッチであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の操舵補助制御装置。
【請求項6】
前記運転者反応検出手段は、前記運転者の発した声により前記運転者の反応を検出する受音手段であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の操舵補助制御装置。
【請求項7】
前記運転者反応検出手段は、前記運転者による操舵に基づき前記運転者の反応を検出する操舵検出手段であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の操舵補助制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−41523(P2013−41523A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179456(P2011−179456)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】