説明

擬似接着シートおよび粘着剤付き擬似接着シート

【課題】剥離した後の表面シートのカールが防止され、所望の剥離性を容易に得ることができ、しかも容易に製造できる擬似接着シートを提供する。
【解決手段】本発明の擬似接着シートは、支持体11と、表面シート12と、支持体11および表面シート12を剥離可能にかつ再接着不能に接着した擬似接着層13とを有し、擬似接着層13が、ウェットラミネート法により形成され、支持体11の表面シート12側の面または表面シート12の支持体11側の面に、撥水性成分または吸水性成分を含む易剥離部14がパターン状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送伝票等に使用される擬似接着シートおよび粘着剤付き擬似接着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、配送伝票として、支持体と、情報が記録される表面シートとが剥離可能にかつ再接着不能に貼着された積層シート(擬似接着シート)を用いることがある。このような擬似接着シートを用いた配送伝票では、表面シートの一部または全部が、配送先にて配送員によって回収される部分(以下、回収部という。)になっている。
擬似接着シートは、以下のように製造される。まず、支持体の片面に、加圧により接着性を発現する擬似接着層を形成して擬似接着層付きの支持体を形成した後、これを巻き取る。次いで、その擬似接着層付きの支持体の巻取りを繰り出し、これに表面シートを重ね合わせ、加圧することにより、貼り合せて、擬似接着シートを得る。以下、この擬似接着シートの製造方法を圧着法という。
【0003】
ところで、近年では、回収部にバーコード等を記録しておき、そのバーコードを読み取り機により読み取って情報処理し、その後、積み重ねて整理、保管することがある。そのため、支持体から剥離した後に、回収部がカールしにくいこと、すなわち剥離した表面シートがカールしにくいことが求められている。
【0004】
剥離時のカール防止技術としては、特許文献1に、再接着可能な粘着剤が全面に塗布された支持体と、シリコーンがドット状に塗布された表面シートとを貼り合わせた積層シートが開示されている。特許文献1に記載の積層シートでは、接着力が弱い部分(シリコーンが塗布された部分)で、剥離時のストレスが開放されることによりカールが防止されている。
【特許文献1】実用新案登録第3132801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1は、表面シートが再接着可能な積層シートに関するものであり、表面シートが支持体に剥離可能にかつ再接着不能に貼着された擬似接着シートにおいて、剥離後の表面シートのカールが防止されたものは知られていなかった。
そこで、上記特許文献1に記載のカール防止技術を、圧着法による擬似接着シートに適用することを検討したが、以下の理由から困難であることが予想された。
まず、表面シートに接着力の弱い部分を設けるため、擬似接着剤の接着力を高くする必要がある。しかし、擬似接着剤の接着力を高めると、巻き取った際に、自重による圧力によって圧着してしまう、いわゆるブロッキングを起こすと推測される。
また、擬似接着剤の接着力を高くせずに貼り合わせ時の圧力を高めることで充分な接着力を確保することも考えられるが、その場合には、貼り合わせが不安定になりがちで、容易に積層シートを製造できなかった。また、貼り合わせ時の圧力を高めた場合には、圧力の調整が難しく、剥離作業時には容易に剥離でき、それ以外のときには剥離しにくい適度な剥離性を得ることが困難であった。
【0006】
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、剥離した後の表面シートのカールが防止され、所望の剥離性を容易に得ることができ、しかも容易に製造できる擬似接着シートおよび粘着剤付き擬似接着シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を包含する。
[1] 支持体と、表面シートと、支持体および表面シートを剥離可能にかつ再接着不能に接着した擬似接着層とを有する擬似接着シートであって、
擬似接着層が、ウェットラミネート法により形成され、
支持体の表面シート側の面に、撥水性成分または吸水性成分を含む易剥離部がパターン状に形成されていることを特徴とする擬似接着シート。
[2] 支持体と、表面シートと、支持体および表面シートを剥離可能にかつ再接着不能に接着した擬似接着層とを有する擬似接着シートであって、
擬似接着層が、ウェットラミネート法により形成され、
表面シートの支持体側の面に、撥水性成分または吸水性成分を含む易剥離部がパターン状に形成されていることを特徴とする擬似接着シート。
[3] [1]または[2]に記載の擬似接着シートと、該擬似接着シートの支持体の、表面シートと反対側の面に形成された粘着部とを有することを特徴とする粘着剤付き擬似接着シート。
【発明の効果】
【0008】
本発明の擬似接着シートおよび粘着剤付き擬似接着シートは、剥離した後の表面シートのカールが防止されたシートであって、所望の剥離性を容易に得ることができ、しかも容易に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<第1の実施形態>
本発明の擬似接着シートおよび粘着剤付き擬似接着シートの第1の実施形態について説明する。
図1および図2に、本実施形態の粘着剤付き擬似接着シートを示す。本実施形態の粘着剤付き擬似接着シート1aは、矩形状のものであって、擬似接着シート10aと、粘着剥離層20とを有する。
また、本実施形態の粘着剤付き擬似接着シート1aは、折り返し部M(図1の右端)で折り返されて、片側半分αともう一方の片側半分βとが重ねられている。なお、折り返し部Mは、粘着剤付き擬似接着シート1aを開いた際の長手方向中央に位置する。
【0010】
(擬似接着シート)
擬似接着シート10aは、支持体11と、表面シート12と、支持体11および表面シート12を剥離可能にかつ再接着不能に接着した擬似接着層13とを有するものである。また、本実施形態の擬似接着シート10aでは、支持体11の表面シート12側の面に易剥離部14が円形のドット状に形成されている。
【0011】
[支持体]
支持体11としては、紙類又はフィルム類等が使用される。
紙類としては、例えば、キャストコート紙、アート紙、コート紙、上質紙、クラフト紙、グラシン紙等が挙げられる。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル等の各種高分子フィルムが挙げられる。また、蒸着紙、合成紙、布、不織布、金属ホイル等も使用できる。さらに、これらの積層体などを適宜採用することもできる。
これらの中でも、取り扱い性や価格の点から、紙類が好ましい。
支持体11の厚さは10〜200μmであることが好ましい。支持体11の厚さが10μm以上であれば、充分な強度を確保でき、200μm以下であれば、可撓性を向上させることができる。
【0012】
[表面シート]
表面シート12としては、例えば、感熱記録シート、感圧記録シート、インクジェット記録シート、昇華転写記録シート、熱転写記録シート等の記録層を有するシートが挙げられる。また、表面シート12として、記録層を有さないシート、具体的には支持体11と同様のものを用いても構わない。
表面シート12には、記入欄を形成する枠線や説明文などが印刷されていてもよい。
【0013】
[擬似接着層]
擬似接着層13は、ウェットラミネート法により形成されたものである。
擬似接着層13は、接着成分として、擬似接着に用いられ、ウェットラミネート法の適用が可能な各種擬似接着剤を含有するとともに、さらに接着力調節剤を含有することが好ましい。
このような擬似接着剤としては、例えば天然ゴム、合成ゴム等のゴム系接着剤;アクリル酸および/またはアクリル酸エステルを主なモノマー成分として含有するアクリル系接着剤;酢酸ビニル重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の酢酸ビニルを主なモノマー成分として含有する酢酸ビニル系接着剤;澱粉、アルギン酸ナトリウム等の多糖系接着剤やデキストリン系接着剤等の水溶性接着剤などが使用できる。
これらのなかでは、ゴム系、アクリル系、酢酸ビニル系、デキストリン系の接着剤が、接着性を任意に幅広くコントロールできるため好ましく、接着強度等を考慮して適宜選択されるが、さらに、この擬似接着層13はウェットラミネート法で形成されるため、特に酢酸ビニル系および/またはデキストリン系の接着剤が好ましい。
擬似接着層13中の擬似接着剤の含有量は、擬似接着層13中、10〜100質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましい。擬似接着剤の量が10質量%以上であれば、擬似接着性を確実に確保できる。
【0014】
接着力調節剤としては、ポリエチレンワックス等のワックス類、金属石鹸、無機顔料および有機顔料等が挙げられる。これらの接着力調節剤は、擬似接着層13中に分散し、擬似接着層13の凝集力を低減する効果を有している。擬似接着層13の凝集力を低減することにより、支持体11と表面シート12とは剥離しやすくなる。
擬似接着層13中の接着力調節剤の含有量は、支持体11と表面シート12との接着強さや擬似接着層13の凝集力等を考慮して適宜決定される。特に、支持体11と表面シート12の間の接着強さが後述する範囲内となる量が配合されることが好ましく、例えば、擬似接着層13中、0〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましい。
【0015】
[易剥離部]
易剥離部14は、撥水性成分または吸水性成分を含有するものである。
撥水性成分としては、例えば、シリコーン、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、合成ワックス類、天然ワックス類、鉱物油、植物油などが挙げられる。
このような撥水性成分を含む易剥離部14では、擬似接着剤との相溶性が低い。そのため、その上に擬似接着剤を塗布するとはじかれて層が薄くなりやすいと推定される。その結果、易剥離部14と擬似接着層13との接着性を所定の範囲に容易に調整できるので、好ましい。
【0016】
吸水性成分は、顔料およびバインダを含有するものである。
顔料としては、例えば、クレー、カオリン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、二酸化チタン、サチンホワイト、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛等が挙げられる。
バインダとしては、例えば、カゼイン、大豆蛋白等の蛋白質;スチレン・ブタジエン共重合体、メタクリル酸メチル・ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン・酢酸ビニル系重合体ラテックス;ポリビニルアルコール、オレフィン・無水マレイン酸樹脂、メラミン樹脂等の合成樹脂;酵素変性澱粉や酸化変性澱粉、カチオン化澱粉等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。バインダは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
吸収性成分におけるバインダ含有量は、顔料100質量部に対して10〜90質量部が好ましい。バインダ含有量が10質量部以上であれば、容易に易剥離部14を形成でき、90質量部以下であれば、擬似接着剤を充分に吸収できる。
このような吸収性成分を含む易剥離部14は擬似接着剤を吸収するため、擬似接着層13の易剥離部14に接する部分の接着性が低下すると推定される。
【0017】
本実施形態における易剥離部14においては、隣接するもの同士が互いに接していないようになっている。
隣接する易剥離部14同士の間隔は、剥離後の表面シート12が確実にカールしないように選択することが好ましい。擬似接着剤の組成にもよるが、例えば、隣接する易剥離部14同士の間隔は1〜10mmであることが好ましい。隣接する易剥離部14同士の間隔が大きすぎると、剥離後の表面シート12のカールを防止できないことがあり、小さすぎると、剥離作業時以外でも表面シート12が剥がれやすくなる。
支持体11の面積に対する全易剥離部14の面積の合計の比率は、擬似接着剤の組成にもよるが、例えば、全易剥離部14の面積の合計の比率は10〜90面積%であることが好ましい。全易剥離部14の面積の合計の比率が大きすぎると、剥離作業時以外でも表面シート12が剥がれやすくなり、小さすぎると、剥離後の表面シート12のカールを防止できないことがある。
【0018】
擬似接着層13における支持体11と表面シート12との間の、易剥離部14が形成されていない部分での接着強さは20〜1000mN/25mmであることが好ましく、さらに、30〜500mN/25mmであることがより好ましい。
易剥離部14が形成されていない部分での接着強さが20mN/25mm未満であると、支持体11と表面シート12とが簡単に剥離したり、カールや皺が生じて外観が悪化したりするおそれがある。
また、易剥離部14が形成されていない部分での接着強さが1000mN/25mmを超えると、支持体11と表面シート12とを剥離する際に、支持体11および/または表面シート12が破損する可能性や、剥離後に表面シート12がカールしやすくなる傾向にある。
【0019】
擬似接着層13における支持体11と表面シート12との間の、易剥離部14が形成されている部分での接着強さは0〜200mN/25mmであることが好ましい。
また、易剥離部14が形成されている部分での接着強さが200mN/25mmを超えると、剥離後の表面シート12のカールを防止できないことがある。
【0020】
擬似接着層13における支持体11と表面シート12との間の平均の接着強さは10〜500mN/25mmであることが好ましく、さらに、20〜300mN/25mmであることがより好ましい。
平均の接着強さが10mN/25mm未満であると、支持体11と表面シート12とが簡単に剥離したり、カールや皺が生じて外観が悪化したりするおそれがある。
また、平均の接着強さが500mN/25mmを超えると、支持体11と表面シート12とを剥離する際に、支持体11および/または表面シート12が破損する可能性や、剥離後に表面シート12がカールしやすくなる傾向にある。
【0021】
上記接着強さは、JIS K 6854−3に規定されるT形剥離試験法に準拠して測定されたものである。JIS K 6854−3に規定されるT形剥離試験法による接着強さは以下の手順で測定できる。すなわち、試料を温度23℃、相対湿度50%の環境下に24時間以上放置した後、300mm/分の剥離速度で剥離試験を行う。接着強さは試験サンプル巾25mm当りのmNで示される。
【0022】
接着強さは、使用される擬似接着剤の種類やそれに基づく浸透性、塗布量、塗布してから貼り合せるまでの時間、乾燥温度、ならびに易剥離部14の組成や塗布量などによって適宜調節することができる。
【0023】
(粘着剥離層)
粘着剥離層20は、擬似接着シート10aの支持体11の、擬似接着層13と反対側の面に形成されており、粘着部21a,21bと、剥離部22a,22bとを有する。
粘着部21a,21bおよび剥離部22a,22bは、図1の粘着剤付き擬似接着シート1aの長手方向(図2の紙面に対して垂直な方向)に沿って形成された筋状のものである。
粘着部21aと剥離部22aとは、粘着剤付き擬似接着シート1aの片側半分αにおいて交互に形成されており、粘着部21bと剥離部22bとはもう片側半分βにおいて交互に形成されている。
【0024】
(粘着部)
粘着剤付き擬似接着シート1aの片側半分αの粘着部21aと、もう片側半分βの粘着部21bとは、互いに接しないように配置されている。
粘着部21a,21bを構成する粘着剤としては特に制限されず、例えば、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが使用される。また、溶剤系、エマルジョン系、水系のいずれであってもよい。
また、被着体と共にリサイクル可能になる点では、再離解可能な粘着剤、水溶解性の粘着剤が好ましい。
粘着剤には、必要に応じて他の助剤が添加されてもよい。他の助剤としては、増粘剤、pH調整剤、タッキファイヤ、バインダ、架橋剤、粘着性微粒子、消泡剤、防腐防黴剤、顔料、無機充填剤、安定剤、濡れ剤、湿潤剤などが挙げられる。
【0025】
(剥離部)
粘着剤付き擬似接着シート1aの片側半分αの剥離部22aは、粘着部21bに接するように配置され、粘着剤付き擬似接着シート1aのもう片側半分βの剥離部22bは、粘着部21aに接するように配置されている。ただし、剥離部22aの幅は粘着部21bの幅より広く、剥離部22bの幅は粘着部21aの幅より広くなっている。これにより、粘着部21bが剥離部22aから、粘着部21aが剥離部22bから、はみ出ないようになっている。さらに、製造上の位置ばらつきを考慮して、剥離部22aと粘着部21aの間、剥離部22bと粘着部21bの間は間隔をあけることが好ましい。剥離部22aと粘着部21aの間、剥離部22bと粘着部21bの間に間隔がない場合には、剥離部22a,22b、粘着部21a,21bを正確に設けることが困難になる上に、重なると印刷機にてトラブルを生じるおそれがあるからである。
剥離部22a,22bを形成する剥離剤としては、例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アミノアルキド樹脂、ポリエステル等が挙げられ、中でも、剥離性に優れることから、シリコーン樹脂が好ましい。これら剥離剤は、エマルジョンや溶剤型または無溶剤型として使用される。
【0026】
上記のような粘着剥離層20を有することにより、粘着部21a,21bが剥離部22a,22bに接するため、剥離可能になる。また、粘着部21a,21bが露出しないため、剥離シートが不要である。
【0027】
(使用方法)
上記粘着剤付き擬似接着シート1aは、在庫管理、配送などで使用される伝票類として好適に使用される。
以下、粘着剤付き擬似接着シート1aを配送伝票として使用する例について説明する。
この例の粘着剤付き擬似接着シート1aの表面シート12の一部(片側半分αの一部)は、配送先にて配達員が剥離して回収する回収部12aになっている。また、表面シート12の残りの部分(片側半分αの残部ともう片側半分β)は配送先等が記入される記入部12bになっている。
配送に使用する際には、まず、記入部12bに配送先の情報を記入する。次いで、粘着剤付き擬似接着シート1aの片側半分αからもう片側半分βを剥離し、粘着部21a,21bを露出させ、その露出させた粘着部21a,21bにより粘着剤付き擬似接着シート1aを荷物に貼付する。
次いで、配送員は、記入部12bに記入された情報に基づき、配送先に配送する。そして、配送先にて配送員は、表面シート12の回収部12aに受領印を押印してもらい、その回収部12aを剥離して回収する。
【0028】
(製造方法)
粘着剤付き擬似接着シート1aの製造方法の一例について説明する。なお、粘着剤付き擬似接着シート1aの製造方法は下記の製造例に限定されない。
本例の製造方法は、支持体11の片面に撥水性インクまたは吸水性インクをパターン印刷して易剥離部14を形成する工程と、支持体11の易剥離部14が形成された側の面に、擬似接着剤塗布液13aを塗布して、擬似接着層13となる塗布層を形成する工程と、擬似接着層13となる塗布層上に表面シート12を積層し、乾燥して擬似接着シート10aを得る工程と、擬似接着シート10aの支持体11の、擬似接着層13と反対側の面に粘着剤を塗布して粘着部21a,21bを形成する工程と、粘着部21a,21bの間に剥離剤を塗布する工程と、長手方向中央の折り返し部Mにて折り返す工程とを有する。
【0029】
擬似接着シート10aを得るまでの工程は、図3に示すように、まず、支持体11の片面に、印刷機50を用い、撥水性インクまたは吸水性インクをドット状に印刷して、易剥離部14を形成する。
ここで、撥水性インクは、撥水性成分と、水あるいは有機溶媒とを含むものであり、吸水性インクは、吸水性成分と、水あるいは有機溶媒を含むものである。
印刷機50としては、例えば、フレキソ印刷機、スクリーン印刷機、グラビア印刷機、オフセット印刷機等を適用することができる。
【0030】
次いで、支持体11の易剥離部14が形成された側の面に、塗工機60を用いて、擬似接着剤塗布液13aを塗布し、必要に応じて、一部の水分を除去して、擬似接着層13となる塗布層を形成する。
ここで、擬似接着剤塗布液13aとしては、例えば、上記擬似接着剤が水に溶解または分散されているもの(例えば、溶液、エマルジョン、スラリー)が挙げられる。複数の擬似接着剤を混合する場合には、擬似接着剤の水溶液、エマルジョン、スラリーを混合することで擬似接着剤塗布液13aを調製できる。擬似接着剤塗布液13a中の全固形分濃度は、10〜70質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましい。擬似接着剤塗布液13a中の全固形分濃度が10〜70質量%であれば、塗布液の支持体11へのしみ込み等が少なく、得られる擬似接着層13の剥離安定性がより高くなる。
擬似接着剤塗布液13aを塗布する塗工機60としては、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が挙げられる。
擬似接着剤塗布液13aの塗布量は、乾燥塗布量として0.5〜10g/mであることが好ましく、1〜5g/mであることがより好ましい。擬似接着剤塗布液13aの塗布量が、乾燥塗布量として0.5g/m以上であれば、得られる擬似接着層13が充分に擬似接着性を有し、10g/m以下であれば、擬似接着層13を容易に形成できる。
【0031】
次いで、擬似接着層13となる塗布層上に表面シート12を積層し、挟持ロール70a,70bで挟んで密着させる。
次いで、乾燥機80により乾燥して水分を完全に除去し、擬似接着層13を形成して、擬似接着シート10aを得る。乾燥機80での乾燥方法としては、例えば、熱風による乾燥、赤外線照射による乾燥などが挙げられる。
そして、得られた擬似接着シート10aを巻き取ってロール状にする。
【0032】
次いで、擬似接着シート10aの製造と別の場所にて、擬似接着シート10aの支持体11の、擬似接着層13と反対側の面に、剥離剤を塗布し、乾燥して、剥離部22a,22bを形成する。その際、折り返し部Mで折り返して重ねた際に剥離部22a,22bが重ならないように、粘着剤付き擬似接着シート1aの長手方向に沿って、所定の間隔で粘着剤を塗布する。
また、それら剥離部22a,22bの間に間隔をあけながら粘着剤を塗布して、粘着部21a,21bを形成し、折り返し部Mにて折り返して、粘着剤付き擬似接着シート1aを得る。
【0033】
上述した粘着剤付き擬似接着シート1aでは、支持体11の表面シート12側の面に易剥離部14がパターン状に形成されているため、その部分を剥離する時の表面シート12にかかる応力を緩和できる。したがって、剥離中に表面シート12にかかる過度の応力を中断できるため、応力による繊維の配向を抑えて、剥離した後の表面シートのカールを防止できる。
しかも、ウェットラミネート法による積層では、擬似接着剤塗布液の塗布と乾燥とを一連の工程ででき、巻取り工程が不要であるから、ブロッキングの問題が生じない。また、ウェットラミネート法では、擬似接着剤塗布液が未乾燥の状態で支持体11と表面シート12とを貼り合せるため、貼り合せの圧力を強くしなくてもよい。また、易剥離部14が形成された支持体11上に未乾燥の擬似接着剤塗布液を塗布して擬似接着層13の接着性を部分的に低下させるため、剥離性を容易に調整できる。さらに、擬似接着剤の組成によっても、剥離性を容易に調整できる。したがって、ウェットラミネート法により形成した擬似接着層13によって支持体11と表面シート12とを貼り合せることにより、所望の剥離性を容易に得ることができ、また、擬似接着シート10aを容易に製造できる
【0034】
<第2の実施形態>
本発明の擬似接着シートおよび粘着剤付き擬似接着シートの第2の実施形態について説明する。
図4および図5に、本実施形態の粘着剤付き擬似接着シートを示す。本実施形態の粘着剤付き擬似接着シート1bは、矩形状のものであって、擬似接着シート10bと粘着層30(粘着部)と剥離シート40とを有する。
【0035】
(擬似接着シート)
擬似接着シート10bは、支持体11と、表面シート12と、支持体11および表面シート12が剥離可能にかつ再接着不能に接着された擬似接着層13とを有する。また、本実施形態の擬似接着シート10bでは、表面シート12の支持体11側の面に、表面シート12が剥離される方向(図4におけるA方向)に垂直な直線状の易剥離部15が形成されている。
なお、本実施形態において、支持体11、表面シート12および擬似接着層13については第1の実施形態と同様の構成なので、図1〜図3と同じ符号を付して説明を省略する。また、粘着層30を構成する粘着剤は、支持体11の全面に形成されているが、その成分は第1の実施形態における粘着部21a,21bと同様である。
【0036】
[易剥離部]
易剥離部15を構成する成分は第1の実施形態の易剥離部14を構成する成分と同様である。
本実施形態における易剥離部15においても、隣接するもの同士が互いに接していないようになっている。
隣接する易剥離部15同士の間隔は、擬似接着剤の組成にもよるが、例えば、隣接する易剥離部15同士の間隔は1〜20mmであることが好ましい。隣接する易剥離部15同士の間隔が大きすぎると、剥離後の表面シート12のカールを防止できないことがあり、小さすぎると、剥離作業時以外でも表面シート12が剥がれやすくなる。
支持体11の面積に対する全易剥離部15の面積の合計の比率は、擬似接着剤の組成にもよるが、例えば、全易剥離部15の面積の合計の比率は10〜90面積%であることが好ましい。全易剥離部15の面積の合計の比率が大きすぎると、剥離作業時以外でも表面シート12が剥がれやすくなり、小さすぎると、剥離後の表面シート12のカールを防止できないことがある。
【0037】
(剥離シート)
剥離シート40としては、例えば、剥離シート基材に上記剥離剤が塗布されて剥離面が形成されたものが挙げられる。ここで、剥離シート基材としては、天然紙を基材としたものでも、プラスチックを基材としたものでもよく、例えば、グラシン紙、上質紙、コーテッド紙、クレーコート紙、クラフト紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等のプラスチックフィルム、またはこれらのプラスチックを紙に片面または両面にラミネートしたラミネート紙、金属箔、または金属箔と紙、プラスチックフィルムとの貼り合わせ品等が挙げられる。
【0038】
(使用方法)
上記粘着剤付き擬似接着シート1bも、第1の実施形態の粘着剤付き擬似接着シート1aと同様に、在庫管理、配送などで使用される伝票類として好適に使用される。
以下、粘着剤付き擬似接着シート1bを配送伝票として使用する例について説明する。
この例の粘着剤付き擬似接着シート1bの表面シート12の一部は、配送先にて配達員が剥離して回収する回収部12aになっている。また、表面シート12の残りの部分は配送先等が記入される記入部12bになっている。
配送に使用する際には、まず、粘着剤付き擬似接着シート1bの表面シート12の記入部12bに配送先の情報を記入する。次いで、剥離シート40を粘着層30から剥離し、粘着層30を露出させ、その露出させた粘着層30により粘着剤付き擬似接着シート1bを荷物に貼付する。
次いで、配送員は、記入部12bに記入された情報に基づき、配送先に配送する。そして、配送先にて配送員は、表面シート12の回収部12aに受領印を押印してもらい、その回収部12aを剥離して回収する。
【0039】
(製造方法)
粘着剤付き擬似接着シート1bの製造方法の一例について説明する。
本例の製造方法は、表面シート12の片面に撥水性インクまたは吸水性インクをパターン印刷して易剥離部15を形成する工程と、表面シート12の易剥離部15が形成された側の面に、擬似接着剤塗布液13aを塗布して、擬似接着層13となる塗布層を形成する工程と、擬似接着層13となる塗布層上に支持体11を積層し、乾燥して擬似接着シート10bを得る工程と、擬似接着シート10bの支持体11の、擬似接着層13と反対側の面に粘着剤を塗布して粘着層30を形成する工程と、粘着層30に剥離シート40を積層する工程とを有する。
【0040】
擬似接着シート10bを得るまでの工程は、図6に示すように、まず、表面シート12の片面に、印刷機50を用い、撥水性インクまたは吸水性インクをドット状に印刷して、易剥離部15を形成する。
次いで、表面シート12の易剥離部15が形成された側の面に、塗工機60により擬似接着剤塗布液13aを塗布し、必要に応じて、一部の水分を除去して、擬似接着層13となる塗布層を形成する。
次いで、擬似接着層13となる塗布層上に支持体11を積層し、挟持ロール70a,70bで挟んで密着させる。
次いで、乾燥機80により乾燥して水分を完全に除去し、擬似接着層13を形成して、擬似接着シート10bを得る。
そして、得られた擬似接着シート10bを巻き取ってロール状にする。
次いで、擬似接着シート10bの製造と別の場所にて、擬似接着シート10bの支持体11の、擬似接着層13と反対側の面の全部に粘着剤を塗布し、乾燥して、粘着層30を形成する。
次いで、その粘着層30の表面に、剥離シート40を積層して、粘着剤付き擬似接着シート1bを得る。
【0041】
なお、上記製造例における撥水性インク、吸水性インク、印刷機50、擬似接着剤塗布液13a、塗工機60、乾燥機80は第1の実施形態の製造方法で使用したものと同様である。
【0042】
本実施形態の粘着剤付き擬似接着シート1bでは、表面シート12の支持体11側の面に易剥離部15がパターン状に形成されているため、剥離時に表面シート12にかかる応力を緩和できる。したがって、剥離した後の表面シート12のカールを防止できる。
また、粘着剤付き擬似接着シート1bは、第1の実施形態の粘着剤付き擬似接着シート1aと同様の理由により、所望の剥離性を容易に得ることができ、容易に製造できる
【0043】
<その他の実施形態>
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、第1の実施形態における易剥離部14は円形のドットであったが、三角形、四角形等の他の形状のドットであってもよい。また、第2の実施形態における易剥離部14は直線状でなく、波状であってもよい。
また、第1の実施形態および第2の実施形態における回収部は表面シート12の全部であってもよい。
【0044】
また、第1の実施形態では、易剥離部14の形成パターンがドット状であったが、第2の実施形態のような、表面シート12が剥離される方向に対して垂直に形成された格子状であってもよい。また、第2の実施形態の易剥離部が、第1の実施形態のようなドット状であってもよい。
【0045】
また、第1の実施形態では、支持体11の擬似接着層13と反対側の面に粘着剥離層20を有していたが、第2の実施形態のように、支持体11の擬似接着層13と反対側の面の全部に粘着層30が形成されていてもよい。また、第2の実施形態において、支持体11の擬似接着層13と反対側の面に粘着剥離層20を設け、中央で折り返した構成としてもよい。
【0046】
第1の実施形態の製造方法において、擬似接着剤塗布液を支持体11に塗布する代わりに表面シート12に塗布してもよい。
第2の実施形態の製造方法において、擬似接着剤塗布液を表面シート12に塗布する代わりに支持体11に塗布してもよい。
また、第2の実施形態の製造方法では、擬似接着シート10bの支持体11の表面に粘着層30を形成し、粘着層30に剥離シート40を積層したが、剥離シート40の表面に形成した粘着層30を、擬似接着シート10bの支持体11に貼り合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の粘着剤付き擬似接着シートの第1の実施形態を説明する図である。
【図2】図1のI−I’断面図である。
【図3】第1の実施形態の擬似接着シートを製造する方法を模式的に示す図である。
【図4】本発明の粘着剤付き擬似接着シートの第2の実施形態を説明する図である。
【図5】図4のII−II’断面の一部を拡大した図である。
【図6】第2の実施形態の擬似接着シートを製造する方法を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1a,1b 粘着剤付き擬似接着シート
10a,10b 擬似接着シート
11 支持体
12 表面シート
13 擬似接着層
13a 擬似接着剤塗布液
14,15 易剥離部
20 粘着剥離層
21a,21b 粘着部
22a,22b 剥離部
30 粘着層
40 剥離シート
50 印刷機
60 塗工機
70a,70b 挟持ロール
80 乾燥機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、表面シートと、支持体および表面シートを剥離可能にかつ再接着不能に接着した擬似接着層とを有する擬似接着シートであって、
擬似接着層が、ウェットラミネート法により形成され、
支持体の表面シート側の面に、撥水性成分または吸水性成分を含む易剥離部がパターン状に形成されていることを特徴とする擬似接着シート。
【請求項2】
支持体と、表面シートと、支持体および表面シートを剥離可能にかつ再接着不能に接着した擬似接着層とを有する擬似接着シートであって、
擬似接着層が、ウェットラミネート法により形成され、
表面シートの支持体側の面に、撥水性成分または吸水性成分を含む易剥離部がパターン状に形成されていることを特徴とする擬似接着シート。
【請求項3】
請求項1または2に記載の擬似接着シートと、該擬似接着シートの支持体の、表面シートと反対側の面に形成された粘着部とを有することを特徴とする粘着剤付き擬似接着シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−84529(P2009−84529A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259840(P2007−259840)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【出願人】(500104059)王子パッケージング株式会社 (21)
【出願人】(500254837)株式会社ウイルコ (20)
【出願人】(507328829)株式会社アバンディア (1)
【Fターム(参考)】