説明

擬似階調画像の生成方法、及びその装置

【課題】色階調と高解像度とを両立させた擬似階調画像の生成方法を提供する。
【解決手段】減色処理方法に関する情報を記録した複数の画像構成要素を生成し、前記記録された情報に基づいて夫々の画像構成要素に所定の減色処理を施し、これらの減色処理済みの画像構成要素611、612、621、622、631を重ね合わせて擬似階調画像5を生成するようにしたので、色階調が重要な要素、解像度が重要な要素等にそれぞれ適した減色処理を行うことができ、色階調と高解像度とを両立させた高品質な減色画像を生成可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示色数の少ない表示装置を用いても多色表現を可能とする擬似階調画像を生成する擬似階調画像の生成方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像データと設定されている色空間とを比較して画像処理方法を判別し、その判別結果に従って色変換回路から供給されたデータに対して夫々定められた処理を行い、その処理したデータを表示装置に供給して画像を表示するようにし、予め分類された画像データの種類に応じて最適な画像処理を施して画質劣化の少ない画像を得るようにした画像処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
又、出力先の特性に応じて各画像データプレーン毎に階調数の変換処理を行い、写真画像や文字、線画画像等が混在する画像であっても、画質劣化を抑えて保存するようにした画像処理装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
更に、画像データを複数のマスクレイヤに変換し、夫々のマスクレイヤに適した画像処理をこれらに施した後、夫々のマスクレイヤを重ね合わせて画像を形成するようにした画像処理装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平8−083057号公報
【特許文献2】特開平11−261833号公報
【特許文献3】特開2004−341090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の装置の場合、多色画像の解析が難しく、最適ではない減色方法が選択されたり、文字や、線画の抽出の失敗が発生する可能性がある等の課題があった。
【0007】
この発明は、従来の装置における上記のような課題を解決するためになされたものであり、画像構成要素に最適な減色処理を施して滑らかな色階調と高解像度とが両立した擬似階調画像の生成方法及び擬似階調画像生成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る擬似階調画像の生成方法は、減色処理方法に関する情報を記録した複数の画像構成要素を生成する第1のステップと、前記夫々の画像構成要素を前記記録された情報に基づいて所定の減色処理を施す第2のステップと、前記減色処理された夫々の画像構成要素を重ね合わせて擬似階調画像を生成する第3のステップとを備えるものである。
【0009】
又、この発明に係る擬似階調画像の生成方法は、減色処理方法に関する情報を記録した複数の画像構成要素を生成する第1のステップと、前記複数の画像構成要素を前記記録された情報に基づき同一の減色処理を施すべき画像構成要素毎に重ね合せる第2のステップと、前記重ね合わせた画像構成要素毎に夫々所定の減色処理を施す第3のステップと、前記減色処理された夫々の画像構成要素を重ね合わせて擬似階調画像を生成する第4のステップとを備えるものである。
【0010】
更に、この発明に係る擬似階調画像の生成方法は、画像構成に関する情報を記録した複数の画像構成要素を生成する第1のステップと、前記複数の画像構成要素を重ね合せると共に夫々の画素の構成に関する情報を記録する第2のステップと、前記重ね合わせた画像構成要素を前記記録された画素の構成に関する情報に基づいて同一の減色処理を施すべき画像情報毎に分解する第3のステップと、前記分解された複数の画像情報に夫々所定の減色処理を施す第4のステップと、前記減色処理された夫々の画像情報を重ね合わせて擬似階調画像を生成する第5のステップとを備えるものである。
【0011】
又、この発明に係る擬似階調画像生成装置は、減色処理方法に関する情報を記録した複数の画像構成要素を生成する画像生成部と、前記画像生成部により生成された夫々の画像構成要素を前記記録された情報に基づいて所定の減色処理を施す減色処理部と、前記減色処理部により減色処理された夫々の画像構成要素を重ね合わせて擬似階調画像を生成する画像合成部とを備えるものである。
【0012】
又、この発明に係る擬似階調画像生成装置は、減色処理方法に関する情報を記録した複数の画像構成要素を生成する画像生成部と、前記複数の画像構成要素を前記記録された情報に基づき同一の減色処理を施すべき画像構成要素毎に重ね合せるレイヤ合成部と、前記レイヤ合成部により重ね合わされた画像構成要素毎に夫々所定の減色処理を施す減色処理部と、前記減色処理された夫々の画像構成要素を重ね合わせて擬似階調画像を生成する画像合成部とを備えるものである。
【0013】
更に、この発明に係る擬似階調画像生成装置は、画像構成に関する情報を記録した複数の画像構成要素を生成する画像生成部と、前記画像生成部により生成された複数の画像構成要素を重ね合せると共に夫々の画素の構成に関する情報を記録するレイヤ合成部と、前記レイヤ合成部により重ね合わされた画像構成要素を前記記録された画素の構成に関する情報に基づいて同一の減色処理を施すべき画像情報毎に分解する減色処理別分解部と、前記減色処理別分解部により分解された複数の画像情報に夫々所定の減色処理を施す減色処理部と、前記減色処理部により減色処理された夫々の画像情報を重ね合わせて擬似階調画像を生成する画像合成部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係る擬似階調画像の生成方法よれば、減色処理方法に関する情報を記録した複数の画像構成要素を生成し、前記記録された情報に基づいて夫々の画像構成要素に所定の減色処理を施すようにしたので、色階調が重要な要素、解像度が重要な要素等にそれぞれ適した減色処理を行うことができ、色階調と高解像度を両立した高品質な減色画像を生成可能となる。
【0015】
又、この発明に係る擬似階調画像の生成方法よれば、減色処理方法に関する情報を記録した複数の画像構成要素を生成し、前記複数の画像構成要素を前記記録された情報に基づき同一の減色処理を施すべき画像構成要素毎に重ね合せ、前記重ね合わせた画像構成要素毎に夫々所定の減色処理を施すようにしたので、各画像構成要素のマスク境界を越えた減色処理が可能となる。
【0016】
又、この発明に係る擬似階調画像の生成方法よれば、画像構成に関する情報を記録した複数の画像構成要素を生成し、前記複数の画像構成要素を重ね合せると共に夫々の画素の構成に関する情報を記録し、前記重ね合わせた画像構成要素を前記記録された画素の構成に関する情報に基づいて同一の減色処理を施すべき画像情報毎に分解し、前記分解された複数の画像情報に夫々所定の減色処理を施すようにしたので、半透明表現を加えた効果的な減色処理が可能となる。
【0017】
この発明に係る擬似階調画像生成装置によれば、減色処理方法に関する情報を記録した複数の画像構成要素を生成する画像生成部と、前記画像生成部により生成された夫々の画像構成要素を前記記録された情報に基づいて所定の減色処理を施す減色処理部とを備えたので、色階調が重要な要素、解像度が重要な要素等にそれぞれ適した減色処理を行うことができ、色階調と高解像度を両立した高品質な減色画像を生成可能となる。
【0018】
又、この発明に係る擬似階調画像生成装置によれば、減色処理方法に関する情報を記録した複数の画像構成要素を生成する画像生成部と、前記複数の画像構成要素を前記記録された情報に基づき同一の減色処理を施すべき画像構成要素毎に重ね合せるレイヤ合成部と、前記レイヤ合成部により重ね合わされた画像構成要素毎に夫々所定の減色処理を施す減色処理部とを備えたので、各画像構成要素のマスク境界を越えた減色処理が可能となる。
【0019】
又、この発明に係る擬似階調画像の生成方法よれば、画像構成に関する情報を記録した複数の画像構成要素を生成する画像生成部と、前記画像生成部により生成された複数の画像構成要素を重ね合せると共に夫々の画素の構成に関する情報を記録するレイヤ合成部と、前記レイヤ合成部により重ね合わされた画像構成要素を前記記録された画素の構成に関する情報に基づいて同一の減色処理を施すべき画像情報毎に分解する減色処理別分解部と、前記減色処理別分解部により分解された複数の画像情報に夫々所定の減色処理を施す減色処理部とをそなえたので、半透明表現を加えた効果的な減色処理が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1による擬似階調画像の生成方法及び擬似階調画像生成装置について説明する。図1は実施の形態1に係る擬似階調画像生成装置のブロック図、図2はそのフロー図である。図1及び図2に於いて、画像生成部1は、例えば、現在の気温やニュースの表示等、入力されたデータに基づき逐次、動的に原画像を生成処理するもので、図2に示すように、文字生成部11、図形生成部12、及び自然画生成部13を備える。
【0021】
文字生成部11は、第1の文字情報211と第2の文字情報212を含む第1の画像構成要素21を生成する。図形生成部12は、第1の図形情報221と第2の図形情報222を含む第2の画像構成要素22を生成する。自然画生成部13は、自然画情報231からなる第3の画像構成要素23を生成する。画像生成部1は、生成する第1の画像構成要素21、第2の画像構成要素22、第3の画像構成要素23に対して、減色処理方法、夫々の画素データ、各画素の透過・非透過を表す2値のマスク値、画像構成要素間の重ねあわせ順序等の画像構成に関する情報を記録し、夫々の画像構成要素に適した減色処理方法を設定する。
【0022】
減色処理部3は、第1の減色処理部31と第2の減色処理部32と第3の減色処理部33とを備える。第1の減色処理部31は、第1の文字情報211と第2の文字情報212を含む第1の画像構成要素21を、その記録された減色処理方法に関する情報に基づいて、その画像構成要素に最も適する単純近似法により減色処理を行う。文字情報の場合、サイズの小さい文字等は色よりも可読性が大切であり画素単位の表現が重要であるので、文字情報に対する減色処理法としては、画素単位で単純に最も近い色に変更するのみである単純近似法が適している。従って、第1の文字情報221と第2の文字情報222とを含む第1の画像構成要素21には、予め、画像生成部1により、減色処理方法に関する情報として単純近似法により減色処理を行うための情報が記録されている。
【0023】
第2の減色処理部32は、第1の図形情報221と第2の図形情報222を含む第2の画像構成要素22を、その設定された減色処理方法である周知のディザパターン法により減色処理を行う。図形の場合、あるエリアが均一に塗りつぶされることが多く、ベタ塗りの表現が重要であり、又、描画要素に直線や単純な曲線等、幾何学的な図形が多い図形情報に対する減色処理法としては、ベタ塗りを規則的なパターンで表現するディザパターン法が適している。従って、第1の図形情報221と第2の図形情報222とを含む第2の画像構成要素22には、予め、画像生成部1により、減色処理方法に関する情報としてディザパターン法により減色処理を行うための情報が記録されている。
【0024】
第3の減色処理部33は、自然画情報231を含む第3の画像構成要素23を、その設定された減色処理方法である周知の誤差拡散法により減色処理を行う。自然画情報の場合、ベタ塗りが非常に少なく、表現色が多く且つ色が滑らかに変化し、描画要素に直線や単純な曲線が殆どない。従って、写真等の自然画情報に対する減色処理法としては、ある程度の面積を用いて色の再現誤差を少なくし、色階調再現性の高い周知の誤差拡散法が適している。そのため、自然画情報231を含む第3の画像構成要素23には、予め、画像生成部1により、減色処理方法に関する情報として誤差拡散法により減色処理を行うための情報が記録されている。
【0025】
第1の画像構成要素21の第1の文字情報211と第2の文字情報212は、第1の減色処理部31により単純近似法により減色処理されて、夫々、第1の減色済文字情報611、第2の減色済文字情報612となる。第2の画像構成要素22の第1の図形情報221と第2の図形情報222は、第2の減色処理部32によりディザパターン法により減色処理されて、夫々、第1の減色済図形情報621と第2の減色済図形情報622となる。第3の画像構成要素33の自然画情報231は、第3の減色処理部33により誤差拡散法により減色処理されて、減色済自然画情報631となる。
第1の減色済文字情報611、第2の減色済文字情報612、第1の減色済図形情報621、第2の減色済図形情報622、及び減色済自然画情報631を総称して、減色済画像構成要素6と称する。
【0026】
画像合成部4は、減色処理部3から、第1の減色済文字情報611、第2の減色済文字情報612、第1の減色済図形情報621、第2の減色済図形情報622、及び減色済自然画情報631が入力される。前記したように、夫々の画像構成要素には、予め画像生成部1により、各画素の透過・非透過を表すマスク値、画像構成要素間の重ねあわせ順序等の情報が記録されており、画像合成部4は、その記録により設定された重ね合わせ順序及び各画素のマスク値に応じて、第1の減色済文字情報611、第2の減色済文字情報612、第1の減色済図形情報621、第2の減色済図形情報622、及び減色済自然画情報631の重ね合せ処理を行い、1枚の擬似階調画像5を出力する。
【0027】
次に動作について説明する。図1及び図2に於いて、先ず、画像生成部1の文字生成部11、図形生成部12、及び自然画生成部13により、原画像として、夫々第1の文字情報211と第2の文字情報212とからなる第1の画像構成要素21、第1の図形情報221と第2の図形情報222とからなる第2の画像構成要素22、及び自然画情報231からなる第3の画像構成要素23とを生成する。このとき、夫々の画像構成要素には、前記したように、減色処理方法、重ね合わせ順序、及び各画素の透過・非透過を示す2値のマスク値に関する情報が、画像生成部1により設定され記録される。
【0028】
次に、第1の文字情報211と第2の文字情報212とからなる第1の画像構成要素21は、その記録されている減色処理方法に関する情報に基づいて、減色処理部3のうち単純近似法により減色処理を行う第1の減色処理部31に入力される。又、第1の図形情報221と第2の図形情報222とからなる第2の画像構成要素21は、その記録されている減色処理法に基づいて、減色処理部3のうちディザパターン法により減色処理を行う第2の減色処理部32に入力される。更に、自然画情報231からなる第3の画像構成要素23は、その記録されている減色処理法に基づいて、減色処理部3のうち誤差拡散法により減色処理を行う第3の減色処理部33に入力される。
【0029】
夫々の画像構成要素21、22、23は、減色処理部3の夫々の減色処理部31、32、33により夫々所定の減色処理を施され、第1の減色済文字情報611、第2の減色済文字情報612、第1の減色済図形情報621、第2の減色済図形情報622、及び減色済自然画情報631として画像合成部4に入力される。
【0030】
画像合成部4に入力された夫々の減色済画像構成要素6は、画像合成部4により、夫々に記録された情報に基づく重ねあわせ順序、及び各画素のマスク値に応じた重ね合わせ処理が行われ、1枚の擬似階調画像5として出力される。
【0031】
以上のように、実施の形態1による擬似階調画像の生成方法及び擬似階調画像の生成装置によれば、画像生成部による原画像の生成時に、夫々の画像構成要素に画像構成要素に適した減色処理法、重ね合わせ順序、及びマスク値に関する情報を記録しており、その情報に従って、最適な減色処理、及び画像合成を行うようにしているので、画像構成要素が最適ではない減色方法が選択されたり、文字や、線画の抽出の失敗が発生することがなく、色表現の階調性が重要な自然画等の部分と、1画素の有無表現が重要であり高解像度が必要とされる文字等の部分、及び高解像度と色表現の均一性のバランスが求められる図形等の部分に夫々適した減色処理が行われた良好な色階調と高解像度を両立した高品質な減色画像を生成することが可能である。
【0032】
実施の形態2.
実施の形態1では、夫々の画像構成要素毎にそれらに適した減色処理法により減色処理を施す場合について述べたが、この場合、夫々の画像構成要素の減色結果は、マスク値で単純に切り取られてしまうため、誤差拡散法等でのマスク境界外側の成分が削除されてしまうことにより、境界部の色表現が不正確となる場合があった。
【0033】
これに対し、実施の形態2に係る擬似階調画像の生成方法及び擬似階調画像生成装置は、減色処理部により夫々の画像構成要素の減色処理を行う前に、レイヤ合成部により画像構成要素を構成する複数の画像情報をまとめることにより、各画像構成要素のマスク境界を越えた減色処理を可能とするものである。
【0034】
図3は、実施の形態2に係る擬似階調画像生成装置のブロック図、図4はそのフロー図である。図3及び図4に於いて、レイヤ合成部7は、画像構成要素2を、それに記録されている情報を基に重ね合わせ順序が一番上のものから順に比較し、設定されている減色方法が同一であれば同一レイヤに重ねあわせて合成する。このとき、合成されたレイヤのマスク値は合成した夫々の画像構成要素のマスク値の論理和とする。尚、図3及び図4に於いて、図1及び図2に示す符号と同一の符号は、それと同一又は相当する部分を示す。
【0035】
次に動作について説明する。図3及び図4に於いて、先ず、画像生成部1の文字生成部11、図形生成部12、及び自然画生成部13により、原画像として、夫々第1の文字情報211と第2の文字情報212とからなる第1の画像構成要素21、第1の図形情報221と第2の図形情報222とからなる第2の画像構成要素22、及び自然画情報231からなる第3の画像構成要素23とを生成する。このとき、夫々の画像構成要素には、前記したように、減色処理方法、重ね合わせ順序、及び各画素の透過・非透過を示す2値のマスク値に関する情報が、画像生成部1により設定され記録される。
【0036】
次に、レイヤ合成部7は、画像構成要素2を、それに記録されている情報を基に重ね合わせ順序が一番上のものから順に比較する。その比較の結果、設定されている減色処理方法が同一の単純近似法に設定されている第1の文字情報211と第2の文字情報212とを同一レイヤに重ね合わせて、量ね合せ文字情報71とする。このとき、合成されたレイヤのマスク値は、合成した夫々の第1の文字情報211と第2の文字情報212とに設定されているマスク値の論理和とする。
【0037】
又、記録されている減色処理方法が同一のディザパターン法に設定されている第1の図形情報221と第2の図形情報222とを同一レイヤに重ね合わせて、量ね合せ図形情報72とする。このとき、合成されたレイヤのマスク値は、合成した夫々の第1の図形情報221と第2の図形情報222とに設定されているマスク値の論理和とする。第3の画像構成要素23は、この実施の形態2では自然画情報231のみであるので、そのままとする。
【0038】
レイヤ合成部7により合成された重ね合わせ文字情報71は、その記録された情報により設定されている減色処理法に基づいて、減色処理部3のうち単純近似法により減色処理を行う第1の減色処理部31に入力される。又、量ね合せ図形情報72は、その記録された情報により設定されている減色処理法に基づいて、減色処理部3のうちディザパターン法により減色処理を行う第2の減色処理部32に入力される。更に、自然画情報231は、その記録により設定されている減色処理法に基づいて、減色処理部3のうち誤差拡散法により減色処理を行う第3の減色処理部33に入力される。
【0039】
夫々の減色処理部31、32、33に入力された重ね合わせ文字情報71、量ね合わせ図形情報72、及び自然画情報231は、夫々の減色処理法により減色処理され、減色済画像要素6となる。減色済画像要素6は、減色済文字情報61と、減色済図形情報62と、減色済自然画情報631とから構成される。これらの減色済文字情報61と、減色済図形情報62と、減色済自然画情報631とは、画像合成部4に入力され、夫々に記録された情報に基づく重ねあわせ順序、及び各画素のマスク値に応じた重ね合わせ処理が行われ、1枚の擬似階調画像5として出力される。
【0040】
以上のように、実施の形態2による擬似階調画像の生成方法及び擬似階調画像生成装置によれば、減色処理部により夫々の画像構成要素の減色処理を行う前に、レイヤ合成部により画像構成要素を構成する複数の画像情報をまとめることにより、各画像構成要素のマスク境界を越えた減色処理を可能となるものである。
【0041】
実施の形態3.
実施の形態1及び2では、画像構成要素には半透過の概念がなく、透明か不透明のマスク値による選択のみとしたが、グラフィックデザイン等には半透明の効果が用いられることが多くなっている。そこで、実施の形態3では、夫々の画像構成要素にマスク値ではなく透明度の情報を持たせることにより、半透明表現を加えた効果的な減色処理を可能とするものである。
【0042】
図5は、実施の形態3に係る擬似階調画像の生成方法及び擬似階調画像生成装置のブロック図、図6はそのフロー図、図7は説明図、図8は動作を説明するためのフローチャートである。尚、図5及び図6に於いて、図1乃至図4に示す符号と同一の符号は、それと同一又は相当する部分を示す。
【0043】
図5及び図6に於いて、画像生成部1は、例えば、現在の気温やニュースの表示等、入力されたデータに基づき逐次、動的に原画像を生成処理するもので、文字生成部11、図形生成部12、及び自然画生成部13を備える。レイヤ合成部70は、画像生成部1により生成された夫々の画像構成要素21、22、23を合成してレイヤ合成情報701を形成すると共に、この合成されたレイヤ合成情報701の各画素に対する減色処理方法を決定する減色処理マップを作成する。
【0044】
減色処理別分解部8は、レイヤ合成部70により形成したレイヤ合成情報701を、減色処理マップに基づいて減色処理法の種類別に分解する。減色処理部3は、第1の減色処理部31と第2の減色処理部32と第3の減色処理部33とを備える。これらの減色処理部の構成は、実施の形態1及び2と同様である。又、画像合成部4の構成は、実施の形態1及び2のそれと同様である。
【0045】
次に動作について説明する。図5、図6、及び図8に於いて、先ず、画像生成部1は、全画像構成要素21、22、23を生成する。即ち、文字生成部11は、第1の文字情報211と第2の文字情報212を含む第1の画像構成要素21を生成する。図形生成部12は、第1の文字情報の背景となる第1の図形情報221と、第2の文字情報212の背景となる第2の図形情報222と生成する。この第1の図形情報221と第2の図形情報222とは第2の画像構成要素22を構成する。自然画生成部13は、自然画情報231からなる第3の画像構成要素23を生成する。
【0046】
画像生成部1は、生成する第1の画像構成要素21、第2の画像構成要素22、第3の画像構成要素23に対して、それらを構成する各画素の輝度、透明度を示すアルファ値、各画素に適した減色処理方法等の画像構成に関する情報、及び画像構成要素間の重ねあわせ順序に関する情報を夫々の画像構成要素に記録する。
【0047】
次に、レイヤ合成部70は、夫々の画像構成要素に記録された情報に基づき、設定された重ね合わせ順序に従って最下層から順番に画像構成要素21、22、23を重ね合わせて量ね合せ画像情報701を形成すると共に、この量ね合せ画像情報701を構成する全ての画素のRGB各輝度の計算を行う(ステップS1〜S3)。このとき、下層の画像構成要素に追加する上層の画像構成要素の、ある画素の輝度及びアルファ値をBadd及びαadd、下層まで合成されたときの輝度をBlow とすると、合成された輝度Bnewは、以下に示す式(1)により示される。

Bnew = αaddBadd + (1―αadd)Blow 式(1)

ここで、透明度を示すアルファ値は、0〜1の範囲の実数値であり、完全に不透明の場合は1、完全な透明の場合は0、50%の透過率の場合は0.5とする。
【0048】
次に、減色処理別分解部8は、レイヤ合成部70により合成された量ね合せ画像情報701の各画素の減色処理法を選択する。即ち、上層の画像構成要素のアルファ値と減色処理法を選択するための選択閾値Tαとを比較し(ステップS4)、そのアルファ値が選択閾値Tαを超える場合、上層の画像構成要素に設定されている減色処理法を選択し(ステップS5)、そうでない場合は下層の画像構成要素に設定されている減色処理法をそのまま選択する(ステップS5)。
【0049】
減色処理別分解部8は、このようにして量ね合せ画像情報701の全ての画素について減色処理方法を選択し、これを減色処理マップとして記録する(ステップS6〜S7)。減色処理選択閾値 Tαは標準的には0とするが、0〜0.9程度の範囲で調整することにより、半透明の減色処理境界を変更し、減色処理法が切り替わる透明度の調整を行うことができる。
【0050】
次に、減色処理別分解部8は、記録された減色処理マップを元に、量ね合せ画像情報701を、減色処理法の種類毎のレイヤに分解し、第1の分解画像情報81、第2の分解画像情報82、及び第3の分解画像情報83を形成する(ステップS8)。第1の分解画像情報81は、単純近似法による減色処理が行われる画像情報である。第2の分解画像情報82は、ディザパターン法により減色処理が行われる画像情報である。第3の分解画像情報83は、誤差拡散法により減色処理が行われる画像情報である。
【0051】
減色処理部3は、第1の分解画像情報81に対して単純近似法により減色処理を施し、第2の分解画像情報82に対してディザパターン法により減色処理を施し、第3の分解画像情報83に対して誤差拡散法により減色処理を施す(ステップS9)。最後に、画像合成部4は、減色処理部3により減色処理が施された画像情報を図7に示すように合成して最終の擬似階調画像5とし(ステップS10)、これを表示装置等へ出力する。
【0052】
以上のように、実施の形態3による擬似階調生成装置によれば、半透明表現を加えた効果的な減色処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明の実施の形態1に係る擬似階調画像生成装置のブロック図を示す。
【図2】この発明の実施の形態1に係る擬似階調画像生成装置の動作を示すフロー図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係る擬似階調画像生成装置のブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る擬似階調画像生成装置の動作を示すフロー図である。
【図5】この発明の実施の形態3に係る擬似階調画像生成装置のブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態3に係る擬似階調画像生成装置の動作を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係る擬似階調画像生成装置を説明するための説明図である。
【図8】この発明の実施の形態3に係る擬似階調画像生成装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1 画像生成部
11 文字生成部
12 図形生成部
13 自然画生成部
2 画像構成要素
21 第1の画像構成要素
22 第2の画像構成要素
23 第3の画像構成要素
211 第1の文字情報
212 第2の文字情報
221 第1の図形情報
222 第2の図形情報
231 自然画情報
3 減色処理部
31 第1の減色処理部
32 第2の減色処理部
33 第3の減色処理部
4 画像合成部
5 議事階調画像
6 減色済画像要素
611 第1の減色済文字情報
612 第2の減色済文字情報
621 第1の減色済図形情報
622 第2の減色済図形情報
631 減色済自然画情報
7、70 レイヤ合成部
71 重ね合わせ文字情報
72 重ね合わせ図形情報
701 重ね合わせ五画像情報
8 減色処理別分解部
81 第1の分解画像情報
82 第2の分解画像情報
83 第3の分解画像情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
減色処理方法に関する情報を記録した複数の画像構成要素を生成する第1のステップと、前記夫々の画像構成要素を前記記録された情報に基づいて所定の減色処理を施す第2のステップと、前記減色処理された夫々の画像構成要素を重ね合わせて擬似階調画像を生成する第3のステップとを備えた擬似階調画像の生成方法。
【請求項2】
減色処理方法に関する情報を記録した複数の画像構成要素を生成する第1のステップと、前記複数の画像構成要素を前記記録された情報に基づき同一の減色処理を施すべき画像構成要素毎に重ね合せる第2のステップと、前記重ね合わせた画像構成要素毎に夫々所定の減色処理を施す第3のステップと、前記減色処理された夫々の画像構成要素を重ね合わせて擬似階調画像を生成する第4のステップとを備えた擬似階調画像の生成方法。
【請求項3】
画像構成に関する情報を記録した複数の画像構成要素を生成する第1のステップと、前記複数の画像構成要素を重ね合せると共に夫々の画素の構成に関する情報を記録する第2のステップと、前記重ね合わせた画像構成要素を前記記録された画素の構成に関する情報に基づいて同一の減色処理を施すべき画像情報毎に分解する第3のステップと、前記分解された複数の画像情報に夫々所定の減色処理を施す第4のステップと、前記減色処理された夫々の画像情報を重ね合わせて擬似階調画像を生成する第5のステップとを備えた擬似階調画像の生成方法。
【請求項4】
減色処理方法に関する情報を記録した複数の画像構成要素を生成する画像生成部と、前記画像生成部により生成された夫々の画像構成要素を前記記録された情報に基づいて所定の減色処理を施す減色処理部と、前記減色処理部により減色処理された夫々の画像構成要素を重ね合わせて擬似階調画像を生成する画像合成部とを備えた擬似階調画像生成装置。
【請求項5】
減色処理方法に関する情報を記録した複数の画像構成要素を生成する画像生成部と、前記複数の画像構成要素を前記記録された情報に基づき同一の減色処理を施すべき画像構成要素毎に重ね合せるレイヤ合成部と、前記レイヤ合成部により重ね合わされた画像構成要素毎に夫々所定の減色処理を施す減色処理部と、前記減色処理された夫々の画像構成要素を重ね合わせて擬似階調画像を生成する画像合成部とを備えた擬似階調画像生成装置。
【請求項6】
画像構成に関する情報を記録した複数の画像構成要素を生成する画像生成部と、前記画像生成部により生成された複数の画像構成要素を重ね合せると共に夫々の画素の構成に関する情報を記録するレイヤ合成部と、前記レイヤ合成部により重ね合わされた画像構成要素を前記記録された画素の構成に関する情報に基づいて同一の減色処理を施すべき画像情報毎に分解する減色処理別分解部と、前記減色処理別分解部により分解された複数の画像情報に夫々所定の減色処理を施す減色処理部と、前記減色処理部により減色処理された夫々の画像情報を重ね合わせて擬似階調画像を生成する画像合成部とを備えた擬似階調画像生成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−9508(P2008−9508A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−176601(P2006−176601)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】