攪拌装置
【課題】異物や生産バッチ間での物性のばらつきが少なく、高い収率で高機能な、電子材料やディスプレイ材料等に用いられる樹脂組成物溶液を製造することができる攪拌装置を提供する。
【解決手段】攪拌装置1は、樹脂組成物溶液の製造に用いられ、攪拌槽2内に、回転可能な回転軸5と、回転軸5に設けられ、回転軸5の回転に伴って回転して樹脂組成物溶液を攪拌する攪拌翼7と、を備える。攪拌翼7は、上方より投入された樹脂組成物溶液の原料が下方に落下するように水平面に対して傾斜構造とされている上面を有する。また、攪拌槽2内に備えられた邪魔板10も同様に、水平面に対して傾斜構造とされている上面を有する。
【解決手段】攪拌装置1は、樹脂組成物溶液の製造に用いられ、攪拌槽2内に、回転可能な回転軸5と、回転軸5に設けられ、回転軸5の回転に伴って回転して樹脂組成物溶液を攪拌する攪拌翼7と、を備える。攪拌翼7は、上方より投入された樹脂組成物溶液の原料が下方に落下するように水平面に対して傾斜構造とされている上面を有する。また、攪拌槽2内に備えられた邪魔板10も同様に、水平面に対して傾斜構造とされている上面を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、攪拌槽内の攪拌翼及び邪魔板の上面が傾斜構造とされた攪拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野では、より高い集積度を得るために、より微細な加工が可能なリソグラフィー技術が必要とされている。例えば、0.10μm以下のレベルでの微細加工を可能とするために、より波長の短い放射線の利用及び液浸露光が検討されている。この用途に適した樹脂組成物が数多く提案され、使用されている。例えば、レジスト形成用の感放射線性樹脂組成物を含むレジスト組成物及び多層レジストにおける上層膜を形成するための樹脂組成物を含む液浸用上層膜形成用組成物が使用されている。
【0003】
また、これらの組成物を使用する微細化方法においては、更なる高解像度のパターンニングが要求されるようになっており、これらの組成物を用いて得られるパターン表面に生じるディフェクト(現像後のレジストパターンを上部から観察した際に検知される不具合全般のこと。)を無視することができなくなってきている。そのため、その改善が試みられている。
【0004】
このディフェクト要因の1つには、レジスト樹脂を含有する溶液中に、粉体原料の未溶解成分、樹脂の重合の際に副生するオリゴマーや低分子量のポリマー、また生産設備の配管及びバルブ等から混入するゴミ、微粒子等といった固形状の異物が存在することが挙げられる。
【0005】
これらディフェクト要因になり得る異物のうち、樹脂の重合の際に副生するオリゴマーや低分子量のポリマー、および未反応のモノマーにおいては、樹脂溶液に対する貧溶媒を用いた沈殿精製法(特許文献1参照)や、沈殿工程及び/又は洗浄ろ過工程による精製方法(特許文献2参照)等が提案されている。
【0006】
更にこれら微細加工が要求される組成物においては、上述の異物の低減に加えて、生産バッチ毎の物性の安定化が強く要求される。ここで言及する「物性」とは、高機能な半導体素子や液晶表示素子の製造において安定した生産を達成する上で、これらに用いられる高機能な樹脂含有組成物が要求される特性を示す。例えば、組成物溶液の粘度、用いられる樹脂の重量平均分子量、超微細加工を行う樹脂を構成する単量体の組成比が挙げられる。
【0007】
特に、これら半導体製造用のフォトレジスト組成物溶液、および液晶素子材料用の樹脂含有組成物の調製(重合や重合物へ添加剤を加える工程)においては、バッチプロセスで合成される場合が多い。特に重合工程においては、バッチプロセス重合の初期段階は原料モノマーの濃度が最も大きいため、反応の初期状態が最終製品の重合度に関与する粘度や構成する単量体の組成比などが影響する高分子特性などの重要な物性に与える影響が大きい。
【0008】
反応の初期に原料の反応系内への投入量が不十分であった場合、反応の進行にばらつきが生じてしまい、目標とする物性から外れたポリマーが生成される。具体例としては、初期の原料分散が不十分で局所で原料の組成が偏ってしまった結果、そのまま反応が進み原料となったモノマーの比率の異なるポリマーの混合物になってしまう場合が挙げられる。この場合、最終的に攪拌により均一な状態に持っていったとしても、反応初期で消費されるモノマーが偏っているため意図した原料組成での反応は行われず、組成及び物性のばらつきの原因となる。
【0009】
特に、触媒や反応開始剤といった少量でも反応の進行に大きくかかわる物質の分散状態が不十分である場合、および反応系内への投入が設計どおりでない場合は、得られる組成物の物性に異常を来たす場合がある。
【0010】
これら問題に対する一般的な対策としては、原料の入れ目を確実に管理するため、原料の投入に高精度の計量器を使用する工夫がなされている。しかしながら、計量が正確でも壁面への付着や攪拌翼や邪魔板などの内部構造体への堆積などにより反応系内に到達する原料と投入量に対して少なくなる可能性がある。この対策としては、原料投入時になるべく内部構造にかからないような場所めがけて投入する工夫や、溶剤仕込み時にスプレー方式によって内部に付着や蓄積した原料を反応系内に洗い落とすなどの工夫がなされている。
【0011】
更には、邪魔板をあらかじめ付帯させず、原料の邪魔板への付着や堆積を防ぐ試みも考えられるが、邪魔板を調製容器から取り除くことによって、系内の攪拌効率が減少してしまう問題が生じる場合があった。
【0012】
【特許文献1】特開2006−161052号公報
【特許文献2】特開2005−132974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、急速に微細化が進行している半導体素子や液晶表示素子の製造分野等においては、前述のような方法を用いた場合であっても、前記ディフェクト発生の抑制効果が十分であるとはいえなかった。
【0014】
更には、上述のような対策を講じて、原料の投入精度をある程度高めても、電子材料やディスプレイ材料等の高機能化が急速に進むなか、これら高機能性を安定的に発揮する上で、生産バッチ毎での物性のばらつきを抑制することが要求されている中では十分とはいえなかった。加えて、これら組成物においては、組成物を安全に且つ高収率で生産することが要求されている。
【0015】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、異物や生産バッチ間での物性のばらつきが少なく、高い収率で高機能な、電子材料やディスプレイ材料等に用いられる樹脂組成物溶液を製造することができる攪拌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、攪拌槽内に投入した原料が、攪拌翼等の上面に堆積するために、反応系内に到達する原料の量が少なくなり組成物の物性のばらつきが発生することを見出し、攪拌翼等の上面を傾斜構造とすることにより、上記課題を解決できることを知るに至った。本発明によれば、以下の攪拌装置が提供される。
【0017】
[1] 樹脂組成物溶液の製造に用いられ、攪拌槽内に、回転可能な回転軸と、前記回転軸に設けられ、上方より投入された前記樹脂組成物溶液の原料が下方に落下するように鉛直方向の上面が水平方向に対して傾斜構造とされ、前記回転軸の回転に伴って回転して前記樹脂組成物溶液を攪拌する攪拌翼と、を備える攪拌装置。
【0018】
[2] 前記攪拌槽内に、鉛直方向の上面が傾斜構造とされた邪魔板を備える前記[1]に記載の攪拌装置。
【0019】
[3] 前記攪拌翼は、回転方向に対して垂直となるように配置された板状部材で構成されており、前記板状部材の鉛直方向の上面が傾斜構造とされた前記[1]または[2]に記載の攪拌装置。
【0020】
[4] 前記攪拌翼の前記回転軸に挿入するための挿入口を形成するボスの鉛直方向の上面が傾斜構造とされた前記[1]〜[3]のいずれかに記載の攪拌装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明の攪拌装置によれば、攪拌槽に備え付けられた攪拌翼、および邪魔板の上面が傾斜構造を有するために、上方から投入された粉体原料が攪拌翼および邪魔板の上面に堆積することなく、意図した仕込み量および投入のタイミング通りに反応系に加わることによって、設計した高機能性を有する樹脂組成物を、生産バッチ毎での物性のばらつきを生じることなく安定して生産することが出来る。更には、粉体原料の未溶解分を低減することが可能になるために、得られる樹脂組成物中のディフェクト要因になりうる異物の含有量を低減することが可能になる。攪拌装置を停止して攪拌翼および邪魔板の上面に堆積した粉体原料を取り除く必要がないため、トータルでの生産効率を向上することが可能である。また、本発明が攪拌装置の形状に加える変更は小さいことから、攪拌時の液の流れパターンに殆ど影響を与えることなく、つまり攪拌効率を低下させずに改善の達成が可能である。
【0022】
従って、本発明の攪拌装置は、フォトレジスト材料等の電子材料分野に用いられる組成物や、ディスプレイ材料に用いられる配向膜組成物や着色レジスト組成物等の、異物混入に対する管理が厳しく且つ高価な樹脂組成物溶液の製造分野において好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
【0024】
図1に、本発明の一実施形態の門型翼を備える攪拌装置1、及び攪拌装置1を備える樹脂組成物溶液の製造装置30を示す。攪拌装置1は、樹脂組成物溶液の製造に用いられ、攪拌槽2内に、回転可能な回転軸5と、回転軸5に設けられ、回転軸5の回転に伴って回転して樹脂組成物溶液を攪拌する攪拌翼7と、を備える。
【0025】
攪拌槽2は、略半球形状の底部と、その底部の周縁部から上に立設される円筒状の側壁部によって形成され、所定の容積を有する竪型円筒状のタンクであり、ステンレス、鉄等の金属によって形成されている。そして、上部には、略半球形状の蓋部3、中心部には、槽内に垂下するように、槽外のモータ4によって回転可能とされた回転軸5が備えられている。蓋部3には、原料の投入部6が設けられている。
【0026】
回転軸5には、槽内の原料を攪拌するための攪拌翼7が設けられている。図1に示す実施形態では、攪拌翼7として、軸方向(鉛直方向)の縦翼7cと径方向の横翼7bによって格子状に構成される門型翼7aと、門型翼7aの下方であり、回転軸5の最下端に、攪拌槽2の底面の形状に沿って径方向から鉛直上方に湾曲して延びる錨翼7hによって構成される馬蹄形のアンカーパドル7gと、が備えられている。門型翼7aは、液に流動性が少ない場合の攪拌に適し、アンカーパドル7gは、槽内壁近傍で回転させることができる。門型翼7a及びアンカーパドル7gは、それぞれ回転軸5に挿入するための挿入口を形成する、突起した肉厚のボス7tが設けられており、ボス7tに翼部(横翼7b,錨翼7h)が接続されている。ボス7tの鉛直方向の上面7sは、傾斜構造とされて傾斜面7kに、言い換えると、テーパー状に形成されている。
【0027】
門型翼7a及びアンカーパドル7gは、回転方向(周方向)に対して垂直となるように板状部材で翼部が構成されており、板状部材の鉛直方向の上面が傾斜面7kとされている。図2に門型翼7aの上部の斜視図、図3に図1のA−A’断面図を示す。図2及び図3に示すように、門型翼7aの横翼7bは、上側の横翼7bと下側の横翼7bのそれぞれの上面が傾斜面7kとされている。また、横翼7bの径方向外側の端部に軸方向(鉛直方向)に備えられた2つの縦翼7cの鉛直方向の上面も傾斜面7kとされている。さらに、アンカーパドル7gの錨翼7hの上面、詳しく言うと、上側の湾曲面7i及び径方向外側の端部の上面7jが傾斜面7kとされている。つまり攪拌翼7は、上方より投入された樹脂組成物溶液の原料が下方に落下するように水平面に対して傾斜構造とされた上面を有する。
【0028】
本実施形態の攪拌装置1に備えられる攪拌翼7は、図1〜図3に示すような傾斜を上面に有していることから、攪拌翼7の上面に堆積する原料の低減が達成される。特に、上面のすべてが傾斜面7kとして形成されていることが好ましい。これにより、樹脂組成物溶液の物性のばらつきを低減することができる。この攪拌翼7の上面の構造は、傾斜を有していれば特に制限はないが、より本発明の効果を発揮する観点、および製作上の容易性が良好であるという観点から、図3以外に、図4A、図4Bに示すような構造体であることが特に好ましい。図3は、断面において中央が上端部となり両端面に向かう2つの傾斜面7kが形成された例であり、図4Aは、一方の端面7wの上端部7uから他方の端面7wに向かう1つの傾斜面7kが形成された例である。また、図4Bは、傾斜面7kが平面ではなく、上に凸の曲面として形成された例である。
【0029】
また、図3および図4Aの形状の場合には、攪拌翼7の上面の水平方向に対する傾斜角度(伏角)は、30〜87.5°であることが好ましい。87.5°以上である場合は、製作上容易でなくなる可能性がある。また30°未満の場合は、本発明の効果が十分に得られない可能性がある。
【0030】
さらに上記の傾斜面7k以外に、図5Aや図5Bのように1つの傾斜面7kが複数の傾斜角度を有するように形成してもよい。あるいは、図5Cのように上端部7uが両端面7w,7w間の外側に位置するように形成することも可能である。一方、図5Dのように原料が槽内に落下せずに、上面に堆積するように傾斜面7kを形成することは好ましくない。
【0031】
本発明の攪拌翼7の構造は、上記半導体製造用のフォトレジスト組成物溶液、および液晶素子材料用の樹脂含有組成物溶液を攪拌することが出来れば、特に制限はないが、十分な攪拌効率を達成する観点から、図1に示した門型翼7a、アンカーパドル7gの他、図6に示すマックスブレンド翼(登録商標)7m、図7に示す傾斜パドル7pが特に好ましい。
【0032】
図6に示すマックスブレンド翼7mは、平板状の大きな攪拌面積を有した翼部の上部に、格子状にグリッド孔が形成されたグリッド部7nを有する。本発明のマックスブレンド翼7mは、その上面が傾斜構造として傾斜面7kが形成されている。
【0033】
図7に示す傾斜パドル7pのB−B’断面図を、図8A及び図8B示す。図8A及び図8Bに示すように、傾斜パドル7pは、30〜60°傾斜させた平板を複数枚(図7では、2枚)組み合わせたものであり、翼部7q自体が傾斜しているため、その上面が傾斜構造となっている。そして、ボス7tの上面7sも傾斜構造となっている。
【0034】
本発明の攪拌翼7の材質は、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素含有樹脂などを挙げることができる。これらの中でも、通液時にディフェクト発生の要因になる異物の混入量が少ないため、ステンレス鋼、フッ素系合成樹脂が好ましい。
【0035】
本発明の攪拌装置は、攪拌槽2内に、上面に傾斜構造を有する邪魔板(バッフル)10を備える。具体的には、攪拌槽2には、その内壁面に沿うように軸方向に延出した2枚、または4枚の邪魔板10が円周方向に配設されている。回転軸5の回転に伴って回転する攪拌翼7による旋回する液体の回転速度は邪魔板10によって抑制され、攪拌翼7と液体との間には速度差が生じ、攪拌作用が促進され、攪拌効率を増すことができる。邪魔板10の上面には、攪拌翼7と同様に、傾斜面10kが形成されている。つまり、本発明の攪拌装置1は、攪拌槽2に備え付けられた攪拌翼7、および邪魔板10の上面に傾斜構造を有している。そして、図1に示すように、攪拌翼7と邪魔板10の上面の全てに傾斜構造を有していることが好ましい。
【0036】
図9A及び図9Bに攪拌槽2内に備えられた邪魔板10を示す。図9Aに示すように、原料が攪拌槽2の内壁面に沿った方向に落下するように傾斜面10kを形成することもできるし、原料が攪拌槽2の内壁面から離れるように落下するように傾斜面10kを形成することもできる。
【0037】
邪魔板10の形状は平板状、丸棒状、半円状、楕円状、半楕円状のいずれでもよいが、上面が傾斜構造とされることが、原料が堆積しないようにするために好ましい。邪魔板10の上面の傾斜構造は、図3、図4A〜4B、及び図5A〜5C等で説明した攪拌翼7と同様の構造とすることができる。この傾斜構造を有する邪魔板構造によって邪魔板上面に堆積する原料の低減が達成される。邪魔板10の上面の傾斜角度は、図3及び図4Aの場合は、攪拌翼7の場合と同様に、30〜87.5°であることが好ましい。
【0038】
本発明の邪魔板10の構造は、上面に傾斜構造を有していれば特に制限がなく、一般的な邪魔板を適宜選択、適用することが出来る。本発明の邪魔板10の材質は、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素含有樹脂などを挙げることができる。これらの中でも、通液時にディフェクト発生の要因になる異物の混入量が少ないため、ステンレス鋼、フッ素系合成樹脂が好ましい。
【0039】
次に、図1を用いて、本発明の攪拌装置1を備える樹脂組成物溶液の製造装置30について説明する。樹脂組成物溶液の製造装置30は、攪拌装置1内で得られた樹脂組成物中の異物の除去を目的として、送液ポンプ13、ろ過装置20、循環ライン28、及びろ過後の組成物溶液を排出するノズル14を備える。
【0040】
攪拌装置1は、タンク下部バルブ15を備え、攪拌装置1とろ過装置20は、配管によって接続され、その間に送液ポンプ13を備えており、攪拌装置1からろ過装置20へ送液可能となっている。ろ過装置20の下流には、充填ノズル14を備える。また、循環ライン28を備えて、樹脂組成物溶液を攪拌装置1へ戻すことが可能となっている。
【0041】
ろ過装置20で用いるフィルタは、ポリエチレン樹脂、ポリアミド系合成樹脂、及びフッ素樹脂よりなる群から選択される少なくとも一種の材料からなるものであることが好ましい。これらの材料からなるフィルタを用いると、耐薬品性が高く、金属などの異物が溶出し難いという利点がある。
【0042】
フィルタの平均孔径は、0.005〜0.5μmであることが好ましく、0.005〜0.1μmであることが更に好ましく、0.005〜0.07μmであることが特に更に好ましい。上記平均孔径が0.005μm未満であると、孔径が小さすぎるため、ろ過時間がかかりすぎるおそれがある。一方、0.5μm超であると、ろ過用原溶液に含まれる異物を良好に除去することが困難になるおそれがある。なお、本明細書において「フィルタの平均孔径」とは、30nm超の値では、フィルタによる、標準粒子(即ち、ポリスチレン粒子)の除去率によって決定される平均孔径を意味し、30nm以下の値では、バブルポイントによって推定されるメーカー公称値を意味する。
【0043】
次に樹脂組成物溶液の製造方法について説明する。まず、攪拌装置1のタンク下部バルブ15を閉にした後に、投入部6から、原料を投入し、攪拌装置1にて樹脂組成物溶液の濃度が均一になるまで攪拌する。その後、タンク下部バルブ15を開にして、送液ポンプ13によって、循環ライン28によって循環させ、循環ろ過を行うことにより、樹脂組成物溶液を製造することができる。循環後、ノズル14から樹脂組成物溶液を充填瓶24に充填し、製品としての樹脂組成物溶液を得ることができる。
【0044】
なお、本明細書において、攪拌装置1を用いて樹脂組成物溶液を製造するとは、樹脂組成物溶液の重合、調製等を意味する。本発明の攪拌装置1を用いて製造することができる樹脂組成物溶液としては、半導体製造用のフォトレジスト組成物溶液、および液晶素子材料用の樹脂含有組成物等が挙げられる。さらに、半導体材料のリソグラフィー材料、液晶ディスプレイ用材料の配向膜、顔料分散レジスト等に用いられる組成物溶液も挙げられる。
【0045】
不具合となる異物および生産バッチ毎の物性のばらつきの原因は、主に、粉体原料が攪拌槽2上部から投入されたときに、攪拌翼7や邪魔板10の上面に堆積し、溶け残り異物となること、および投入量の一部が反応系に加わらないことにある。本発明の攪拌装置1は、攪拌翼7および邪魔板10の上面に傾斜構造を有しているので、原料が堆積することがなく、溶け残り異物および反応系に加わる原料量のばらつきの発生が十分に低減される。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0047】
図1に示す攪拌装置1を作製した。撹拌機(モータ4、回転軸5、攪拌翼7等)、温度計、還流冷却装置、投入部6(モノマー溶液滴下ノズル、開始剤溶液滴下ノズル)が少なくとも設置された容積200Lの重合反応容器(攪拌槽2)の攪拌翼7の上面は、傾斜角度が60°である傾斜が設けられ、かつ邪魔板10の上面は、傾斜角度が65°である傾斜が設けられているものを用いた(図3参照)。
【0048】
(実施例1:フォトレジスト用重合体組成物の重合)
図1の攪拌装置1を用いて、以下の反応を行った。重合溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)32kgをいれて十分に窒素置換した後、100rpmで攪拌しながら80℃まで昇温した。その後、5−メタクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン(NLM)15kg、及び2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート(MAdMA)20kgを投入し、その後アゾビスイソブチロニトリル0.5kgのMEK溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間熟成した後、室温まで冷却して重合体溶液を調製した。尚、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した結果、モノマーの転化率は95%であり、重合体100質量%に対する残存モノマー量は5質量%であった。また、得られた重合体について、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した結果、分子量分布(分散度Mw/Mn)は1.71であった。更に得られた組成物溶液は清澄であり、原料未溶解分は確認されなかった。
【0049】
(実施例2:フォトレジスト用樹脂含有組成物の調製)
図1の攪拌装置1を用いて、以下の反応を行った。上記で合成したフォトレジスト用重合体の25質量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液70kgへ酸発生剤としてトリフェニルスルホニウム・ノナフルオロ−n−ブタンスルホネートを2kg、酸拡散制御剤ピロリジン―1−ニルー酢酸t−ブチルエステルを0.5kg、溶剤プロピレングリコールメチルエーテルアセテート130kgを仕込んで、窒素置換した。その後ゆるやかに5時間撹拌した。攪拌終了後、3時間静置した後にフォトレジスト用樹脂含有組成物を調製した。得られた組成物溶液は清澄であり、原料未溶解分は確認されなかった。
【0050】
(実施例3:着色層形成用感放射線性組成物、カラーフィルタおよびカラー液晶表示素子向け樹脂の重合)
図1の攪拌装置1を用いて、以下の反応を行った。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80kgを仕込み、引き続きメタクリル酸15kg、3−(メタクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン25kg、ベンジルメタクリレート60kg、分子量調節剤としてα−メチルスチレンダイマー3kg、および粉体原料の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3kg、を仕込んで、窒素置換した。その後ゆるやかに撹拌して、反応溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度を5時間保持して重合することにより、着色層形成用感放射線性樹脂溶液を得た。得られた該樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した結果、分子量分布(分散度Mw/Mn)は2.68であった。更に得られた組成物溶液は清澄であり、原料未溶解分は確認されなかった。
【0051】
(実施例4:着色層形成用感放射線性組成物、カラーフィルタおよびカラー液晶表示素子向け樹脂含有溶液の調製)
図1の攪拌装置1を用いて、以下の反応を行った。着色剤としてC.I.ピグメントレッド254/C.I.ピグメントレッド177=80/20(質量比)混合物20部、分散剤としてBYK−2001を5部(固形分換算)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート75部を、ビーズミルにより処理して、顔料分散液を調製した。この顔料分散液100kgと着色層形成用感放射線性樹脂溶液を10kg、多官能性単量体としてトリメチロールプロパントリアクリレート15kg、光重合開始剤として粉体原料の2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン5kgとジエチルチオキサントン3kg、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを混合して、固形分濃度25%の着色層形成用感放射線性組成物、カラーフィルタおよびカラー液晶表示素子向け樹脂含有溶液を調製した。得られた組成物溶液は清澄であり、原料未溶解分は確認されなかった。
【0052】
(実施例5:垂直配向型液晶配向剤向け組成物に用いられるポリアミック酸の合成)
図1の攪拌装置1を用いて、以下の反応を行った。テトラカルボン酸二無水物として、粉体原料2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物10kg、ジアミン化合物として粉体原料のp−フェニレンジアミン4kgと4,4’−ジアミノ−4’’−n−ヘプタデカフルオロオクチルトリフェニルメタン6kgをN−メチル−2−ピロリドン80kgに溶解させ、60℃で4時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコール中に注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で24時間乾燥させることにより、重量平均分子量(Mw)が120,000、分子量分布(Mw/Mn)が5.16の垂直配向型液晶配向剤向け組成物に用いられるポリアミック酸を得た。得られた組成物溶液は清澄であり、原料未溶解分は確認されなかった。
【0053】
(比較例)
上面に傾斜構造を有していない攪拌翼および上部に傾斜構造を有さない邪魔板を配設した以外は、実施例と同様の設備を用いて、フォトレジスト用重合体組成物の調製を行った。得られた重合体溶液を解析した結果、モノマーの転化率は75%であり、重合体100質量%に対する残存モノマー量、および副生オリゴマー量は25質量%であった。また、得られた重合体について、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した結果、分子量分布(分散度Mw/Mn)は3.8であった。更に得られた組成物溶液には一部、固体原料5−メタクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン(NLM)の未反応の溶け残り物と推定される白濁が確認され、原料の未溶解量は4.3質量%であった。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の攪拌装置は、金属異物等の異物や金属成分等の不純物の混入に対して厳格なサブクォーターミクロンレベルの微細加工等の用途に用いられるフォトレジスト用樹脂含有溶液、液浸用組成物溶液、上層膜形成組成物等の樹脂組成物溶液の製造に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態の攪拌装置と、攪拌装置を備えた樹脂組成物溶液の製造装置を示す模式図である。
【図2】攪拌翼の上部を示す斜視図である。
【図3】傾斜面の実施形態1を示す図1のA−A’断面図である。
【図4A】傾斜面の実施形態2を示す図1のA−A’断面図である。
【図4B】傾斜面の実施形態3を示す図1のA−A’断面図である。
【図5A】傾斜面の実施形態4を示す図1のA−A’断面図である。
【図5B】傾斜面の実施形態5を示す図1のA−A’断面図である。
【図5C】傾斜面の実施形態6を示す図1のA−A’断面図である。
【図5D】好ましくない傾斜面を示す断面図である。
【図6】マックスブレンド翼を示す模式図である。
【図7】傾斜パドルを示す模式図である。
【図8A】傾斜パドルの翼部の一実施形態を示す図7のB−B’断面図である。
【図8B】傾斜パドルの翼部の他の実施形態を示す図7のB−B’断面図である。
【図9A】邪魔板の傾斜面の一実施形態を示す図である。
【図9B】邪魔板の傾斜面の他の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1:攪拌装置、2:攪拌槽、3:蓋部、4:モータ、5:回転軸、6:投入部、7:攪拌翼、7a:門型翼、7b:横翼、7c:縦翼、7g:アンカーパドル、7h:錨翼、7k:傾斜面、7m:マックスブレンド翼、7n:グリッド部、7p:傾斜パドル、7q:翼部、7s:(ボスの)上面、7t:ボス、7u:上端部、7w:端面、10:邪魔板、10k:傾斜面、13:送液ポンプ、14:充填ノズル、15:タンク下部バルブ、20:ろ過装置、28:循環ライン、30:(樹脂組成物溶液の)製造装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、攪拌槽内の攪拌翼及び邪魔板の上面が傾斜構造とされた攪拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野では、より高い集積度を得るために、より微細な加工が可能なリソグラフィー技術が必要とされている。例えば、0.10μm以下のレベルでの微細加工を可能とするために、より波長の短い放射線の利用及び液浸露光が検討されている。この用途に適した樹脂組成物が数多く提案され、使用されている。例えば、レジスト形成用の感放射線性樹脂組成物を含むレジスト組成物及び多層レジストにおける上層膜を形成するための樹脂組成物を含む液浸用上層膜形成用組成物が使用されている。
【0003】
また、これらの組成物を使用する微細化方法においては、更なる高解像度のパターンニングが要求されるようになっており、これらの組成物を用いて得られるパターン表面に生じるディフェクト(現像後のレジストパターンを上部から観察した際に検知される不具合全般のこと。)を無視することができなくなってきている。そのため、その改善が試みられている。
【0004】
このディフェクト要因の1つには、レジスト樹脂を含有する溶液中に、粉体原料の未溶解成分、樹脂の重合の際に副生するオリゴマーや低分子量のポリマー、また生産設備の配管及びバルブ等から混入するゴミ、微粒子等といった固形状の異物が存在することが挙げられる。
【0005】
これらディフェクト要因になり得る異物のうち、樹脂の重合の際に副生するオリゴマーや低分子量のポリマー、および未反応のモノマーにおいては、樹脂溶液に対する貧溶媒を用いた沈殿精製法(特許文献1参照)や、沈殿工程及び/又は洗浄ろ過工程による精製方法(特許文献2参照)等が提案されている。
【0006】
更にこれら微細加工が要求される組成物においては、上述の異物の低減に加えて、生産バッチ毎の物性の安定化が強く要求される。ここで言及する「物性」とは、高機能な半導体素子や液晶表示素子の製造において安定した生産を達成する上で、これらに用いられる高機能な樹脂含有組成物が要求される特性を示す。例えば、組成物溶液の粘度、用いられる樹脂の重量平均分子量、超微細加工を行う樹脂を構成する単量体の組成比が挙げられる。
【0007】
特に、これら半導体製造用のフォトレジスト組成物溶液、および液晶素子材料用の樹脂含有組成物の調製(重合や重合物へ添加剤を加える工程)においては、バッチプロセスで合成される場合が多い。特に重合工程においては、バッチプロセス重合の初期段階は原料モノマーの濃度が最も大きいため、反応の初期状態が最終製品の重合度に関与する粘度や構成する単量体の組成比などが影響する高分子特性などの重要な物性に与える影響が大きい。
【0008】
反応の初期に原料の反応系内への投入量が不十分であった場合、反応の進行にばらつきが生じてしまい、目標とする物性から外れたポリマーが生成される。具体例としては、初期の原料分散が不十分で局所で原料の組成が偏ってしまった結果、そのまま反応が進み原料となったモノマーの比率の異なるポリマーの混合物になってしまう場合が挙げられる。この場合、最終的に攪拌により均一な状態に持っていったとしても、反応初期で消費されるモノマーが偏っているため意図した原料組成での反応は行われず、組成及び物性のばらつきの原因となる。
【0009】
特に、触媒や反応開始剤といった少量でも反応の進行に大きくかかわる物質の分散状態が不十分である場合、および反応系内への投入が設計どおりでない場合は、得られる組成物の物性に異常を来たす場合がある。
【0010】
これら問題に対する一般的な対策としては、原料の入れ目を確実に管理するため、原料の投入に高精度の計量器を使用する工夫がなされている。しかしながら、計量が正確でも壁面への付着や攪拌翼や邪魔板などの内部構造体への堆積などにより反応系内に到達する原料と投入量に対して少なくなる可能性がある。この対策としては、原料投入時になるべく内部構造にかからないような場所めがけて投入する工夫や、溶剤仕込み時にスプレー方式によって内部に付着や蓄積した原料を反応系内に洗い落とすなどの工夫がなされている。
【0011】
更には、邪魔板をあらかじめ付帯させず、原料の邪魔板への付着や堆積を防ぐ試みも考えられるが、邪魔板を調製容器から取り除くことによって、系内の攪拌効率が減少してしまう問題が生じる場合があった。
【0012】
【特許文献1】特開2006−161052号公報
【特許文献2】特開2005−132974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、急速に微細化が進行している半導体素子や液晶表示素子の製造分野等においては、前述のような方法を用いた場合であっても、前記ディフェクト発生の抑制効果が十分であるとはいえなかった。
【0014】
更には、上述のような対策を講じて、原料の投入精度をある程度高めても、電子材料やディスプレイ材料等の高機能化が急速に進むなか、これら高機能性を安定的に発揮する上で、生産バッチ毎での物性のばらつきを抑制することが要求されている中では十分とはいえなかった。加えて、これら組成物においては、組成物を安全に且つ高収率で生産することが要求されている。
【0015】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、異物や生産バッチ間での物性のばらつきが少なく、高い収率で高機能な、電子材料やディスプレイ材料等に用いられる樹脂組成物溶液を製造することができる攪拌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、攪拌槽内に投入した原料が、攪拌翼等の上面に堆積するために、反応系内に到達する原料の量が少なくなり組成物の物性のばらつきが発生することを見出し、攪拌翼等の上面を傾斜構造とすることにより、上記課題を解決できることを知るに至った。本発明によれば、以下の攪拌装置が提供される。
【0017】
[1] 樹脂組成物溶液の製造に用いられ、攪拌槽内に、回転可能な回転軸と、前記回転軸に設けられ、上方より投入された前記樹脂組成物溶液の原料が下方に落下するように鉛直方向の上面が水平方向に対して傾斜構造とされ、前記回転軸の回転に伴って回転して前記樹脂組成物溶液を攪拌する攪拌翼と、を備える攪拌装置。
【0018】
[2] 前記攪拌槽内に、鉛直方向の上面が傾斜構造とされた邪魔板を備える前記[1]に記載の攪拌装置。
【0019】
[3] 前記攪拌翼は、回転方向に対して垂直となるように配置された板状部材で構成されており、前記板状部材の鉛直方向の上面が傾斜構造とされた前記[1]または[2]に記載の攪拌装置。
【0020】
[4] 前記攪拌翼の前記回転軸に挿入するための挿入口を形成するボスの鉛直方向の上面が傾斜構造とされた前記[1]〜[3]のいずれかに記載の攪拌装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明の攪拌装置によれば、攪拌槽に備え付けられた攪拌翼、および邪魔板の上面が傾斜構造を有するために、上方から投入された粉体原料が攪拌翼および邪魔板の上面に堆積することなく、意図した仕込み量および投入のタイミング通りに反応系に加わることによって、設計した高機能性を有する樹脂組成物を、生産バッチ毎での物性のばらつきを生じることなく安定して生産することが出来る。更には、粉体原料の未溶解分を低減することが可能になるために、得られる樹脂組成物中のディフェクト要因になりうる異物の含有量を低減することが可能になる。攪拌装置を停止して攪拌翼および邪魔板の上面に堆積した粉体原料を取り除く必要がないため、トータルでの生産効率を向上することが可能である。また、本発明が攪拌装置の形状に加える変更は小さいことから、攪拌時の液の流れパターンに殆ど影響を与えることなく、つまり攪拌効率を低下させずに改善の達成が可能である。
【0022】
従って、本発明の攪拌装置は、フォトレジスト材料等の電子材料分野に用いられる組成物や、ディスプレイ材料に用いられる配向膜組成物や着色レジスト組成物等の、異物混入に対する管理が厳しく且つ高価な樹脂組成物溶液の製造分野において好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
【0024】
図1に、本発明の一実施形態の門型翼を備える攪拌装置1、及び攪拌装置1を備える樹脂組成物溶液の製造装置30を示す。攪拌装置1は、樹脂組成物溶液の製造に用いられ、攪拌槽2内に、回転可能な回転軸5と、回転軸5に設けられ、回転軸5の回転に伴って回転して樹脂組成物溶液を攪拌する攪拌翼7と、を備える。
【0025】
攪拌槽2は、略半球形状の底部と、その底部の周縁部から上に立設される円筒状の側壁部によって形成され、所定の容積を有する竪型円筒状のタンクであり、ステンレス、鉄等の金属によって形成されている。そして、上部には、略半球形状の蓋部3、中心部には、槽内に垂下するように、槽外のモータ4によって回転可能とされた回転軸5が備えられている。蓋部3には、原料の投入部6が設けられている。
【0026】
回転軸5には、槽内の原料を攪拌するための攪拌翼7が設けられている。図1に示す実施形態では、攪拌翼7として、軸方向(鉛直方向)の縦翼7cと径方向の横翼7bによって格子状に構成される門型翼7aと、門型翼7aの下方であり、回転軸5の最下端に、攪拌槽2の底面の形状に沿って径方向から鉛直上方に湾曲して延びる錨翼7hによって構成される馬蹄形のアンカーパドル7gと、が備えられている。門型翼7aは、液に流動性が少ない場合の攪拌に適し、アンカーパドル7gは、槽内壁近傍で回転させることができる。門型翼7a及びアンカーパドル7gは、それぞれ回転軸5に挿入するための挿入口を形成する、突起した肉厚のボス7tが設けられており、ボス7tに翼部(横翼7b,錨翼7h)が接続されている。ボス7tの鉛直方向の上面7sは、傾斜構造とされて傾斜面7kに、言い換えると、テーパー状に形成されている。
【0027】
門型翼7a及びアンカーパドル7gは、回転方向(周方向)に対して垂直となるように板状部材で翼部が構成されており、板状部材の鉛直方向の上面が傾斜面7kとされている。図2に門型翼7aの上部の斜視図、図3に図1のA−A’断面図を示す。図2及び図3に示すように、門型翼7aの横翼7bは、上側の横翼7bと下側の横翼7bのそれぞれの上面が傾斜面7kとされている。また、横翼7bの径方向外側の端部に軸方向(鉛直方向)に備えられた2つの縦翼7cの鉛直方向の上面も傾斜面7kとされている。さらに、アンカーパドル7gの錨翼7hの上面、詳しく言うと、上側の湾曲面7i及び径方向外側の端部の上面7jが傾斜面7kとされている。つまり攪拌翼7は、上方より投入された樹脂組成物溶液の原料が下方に落下するように水平面に対して傾斜構造とされた上面を有する。
【0028】
本実施形態の攪拌装置1に備えられる攪拌翼7は、図1〜図3に示すような傾斜を上面に有していることから、攪拌翼7の上面に堆積する原料の低減が達成される。特に、上面のすべてが傾斜面7kとして形成されていることが好ましい。これにより、樹脂組成物溶液の物性のばらつきを低減することができる。この攪拌翼7の上面の構造は、傾斜を有していれば特に制限はないが、より本発明の効果を発揮する観点、および製作上の容易性が良好であるという観点から、図3以外に、図4A、図4Bに示すような構造体であることが特に好ましい。図3は、断面において中央が上端部となり両端面に向かう2つの傾斜面7kが形成された例であり、図4Aは、一方の端面7wの上端部7uから他方の端面7wに向かう1つの傾斜面7kが形成された例である。また、図4Bは、傾斜面7kが平面ではなく、上に凸の曲面として形成された例である。
【0029】
また、図3および図4Aの形状の場合には、攪拌翼7の上面の水平方向に対する傾斜角度(伏角)は、30〜87.5°であることが好ましい。87.5°以上である場合は、製作上容易でなくなる可能性がある。また30°未満の場合は、本発明の効果が十分に得られない可能性がある。
【0030】
さらに上記の傾斜面7k以外に、図5Aや図5Bのように1つの傾斜面7kが複数の傾斜角度を有するように形成してもよい。あるいは、図5Cのように上端部7uが両端面7w,7w間の外側に位置するように形成することも可能である。一方、図5Dのように原料が槽内に落下せずに、上面に堆積するように傾斜面7kを形成することは好ましくない。
【0031】
本発明の攪拌翼7の構造は、上記半導体製造用のフォトレジスト組成物溶液、および液晶素子材料用の樹脂含有組成物溶液を攪拌することが出来れば、特に制限はないが、十分な攪拌効率を達成する観点から、図1に示した門型翼7a、アンカーパドル7gの他、図6に示すマックスブレンド翼(登録商標)7m、図7に示す傾斜パドル7pが特に好ましい。
【0032】
図6に示すマックスブレンド翼7mは、平板状の大きな攪拌面積を有した翼部の上部に、格子状にグリッド孔が形成されたグリッド部7nを有する。本発明のマックスブレンド翼7mは、その上面が傾斜構造として傾斜面7kが形成されている。
【0033】
図7に示す傾斜パドル7pのB−B’断面図を、図8A及び図8B示す。図8A及び図8Bに示すように、傾斜パドル7pは、30〜60°傾斜させた平板を複数枚(図7では、2枚)組み合わせたものであり、翼部7q自体が傾斜しているため、その上面が傾斜構造となっている。そして、ボス7tの上面7sも傾斜構造となっている。
【0034】
本発明の攪拌翼7の材質は、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素含有樹脂などを挙げることができる。これらの中でも、通液時にディフェクト発生の要因になる異物の混入量が少ないため、ステンレス鋼、フッ素系合成樹脂が好ましい。
【0035】
本発明の攪拌装置は、攪拌槽2内に、上面に傾斜構造を有する邪魔板(バッフル)10を備える。具体的には、攪拌槽2には、その内壁面に沿うように軸方向に延出した2枚、または4枚の邪魔板10が円周方向に配設されている。回転軸5の回転に伴って回転する攪拌翼7による旋回する液体の回転速度は邪魔板10によって抑制され、攪拌翼7と液体との間には速度差が生じ、攪拌作用が促進され、攪拌効率を増すことができる。邪魔板10の上面には、攪拌翼7と同様に、傾斜面10kが形成されている。つまり、本発明の攪拌装置1は、攪拌槽2に備え付けられた攪拌翼7、および邪魔板10の上面に傾斜構造を有している。そして、図1に示すように、攪拌翼7と邪魔板10の上面の全てに傾斜構造を有していることが好ましい。
【0036】
図9A及び図9Bに攪拌槽2内に備えられた邪魔板10を示す。図9Aに示すように、原料が攪拌槽2の内壁面に沿った方向に落下するように傾斜面10kを形成することもできるし、原料が攪拌槽2の内壁面から離れるように落下するように傾斜面10kを形成することもできる。
【0037】
邪魔板10の形状は平板状、丸棒状、半円状、楕円状、半楕円状のいずれでもよいが、上面が傾斜構造とされることが、原料が堆積しないようにするために好ましい。邪魔板10の上面の傾斜構造は、図3、図4A〜4B、及び図5A〜5C等で説明した攪拌翼7と同様の構造とすることができる。この傾斜構造を有する邪魔板構造によって邪魔板上面に堆積する原料の低減が達成される。邪魔板10の上面の傾斜角度は、図3及び図4Aの場合は、攪拌翼7の場合と同様に、30〜87.5°であることが好ましい。
【0038】
本発明の邪魔板10の構造は、上面に傾斜構造を有していれば特に制限がなく、一般的な邪魔板を適宜選択、適用することが出来る。本発明の邪魔板10の材質は、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素含有樹脂などを挙げることができる。これらの中でも、通液時にディフェクト発生の要因になる異物の混入量が少ないため、ステンレス鋼、フッ素系合成樹脂が好ましい。
【0039】
次に、図1を用いて、本発明の攪拌装置1を備える樹脂組成物溶液の製造装置30について説明する。樹脂組成物溶液の製造装置30は、攪拌装置1内で得られた樹脂組成物中の異物の除去を目的として、送液ポンプ13、ろ過装置20、循環ライン28、及びろ過後の組成物溶液を排出するノズル14を備える。
【0040】
攪拌装置1は、タンク下部バルブ15を備え、攪拌装置1とろ過装置20は、配管によって接続され、その間に送液ポンプ13を備えており、攪拌装置1からろ過装置20へ送液可能となっている。ろ過装置20の下流には、充填ノズル14を備える。また、循環ライン28を備えて、樹脂組成物溶液を攪拌装置1へ戻すことが可能となっている。
【0041】
ろ過装置20で用いるフィルタは、ポリエチレン樹脂、ポリアミド系合成樹脂、及びフッ素樹脂よりなる群から選択される少なくとも一種の材料からなるものであることが好ましい。これらの材料からなるフィルタを用いると、耐薬品性が高く、金属などの異物が溶出し難いという利点がある。
【0042】
フィルタの平均孔径は、0.005〜0.5μmであることが好ましく、0.005〜0.1μmであることが更に好ましく、0.005〜0.07μmであることが特に更に好ましい。上記平均孔径が0.005μm未満であると、孔径が小さすぎるため、ろ過時間がかかりすぎるおそれがある。一方、0.5μm超であると、ろ過用原溶液に含まれる異物を良好に除去することが困難になるおそれがある。なお、本明細書において「フィルタの平均孔径」とは、30nm超の値では、フィルタによる、標準粒子(即ち、ポリスチレン粒子)の除去率によって決定される平均孔径を意味し、30nm以下の値では、バブルポイントによって推定されるメーカー公称値を意味する。
【0043】
次に樹脂組成物溶液の製造方法について説明する。まず、攪拌装置1のタンク下部バルブ15を閉にした後に、投入部6から、原料を投入し、攪拌装置1にて樹脂組成物溶液の濃度が均一になるまで攪拌する。その後、タンク下部バルブ15を開にして、送液ポンプ13によって、循環ライン28によって循環させ、循環ろ過を行うことにより、樹脂組成物溶液を製造することができる。循環後、ノズル14から樹脂組成物溶液を充填瓶24に充填し、製品としての樹脂組成物溶液を得ることができる。
【0044】
なお、本明細書において、攪拌装置1を用いて樹脂組成物溶液を製造するとは、樹脂組成物溶液の重合、調製等を意味する。本発明の攪拌装置1を用いて製造することができる樹脂組成物溶液としては、半導体製造用のフォトレジスト組成物溶液、および液晶素子材料用の樹脂含有組成物等が挙げられる。さらに、半導体材料のリソグラフィー材料、液晶ディスプレイ用材料の配向膜、顔料分散レジスト等に用いられる組成物溶液も挙げられる。
【0045】
不具合となる異物および生産バッチ毎の物性のばらつきの原因は、主に、粉体原料が攪拌槽2上部から投入されたときに、攪拌翼7や邪魔板10の上面に堆積し、溶け残り異物となること、および投入量の一部が反応系に加わらないことにある。本発明の攪拌装置1は、攪拌翼7および邪魔板10の上面に傾斜構造を有しているので、原料が堆積することがなく、溶け残り異物および反応系に加わる原料量のばらつきの発生が十分に低減される。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0047】
図1に示す攪拌装置1を作製した。撹拌機(モータ4、回転軸5、攪拌翼7等)、温度計、還流冷却装置、投入部6(モノマー溶液滴下ノズル、開始剤溶液滴下ノズル)が少なくとも設置された容積200Lの重合反応容器(攪拌槽2)の攪拌翼7の上面は、傾斜角度が60°である傾斜が設けられ、かつ邪魔板10の上面は、傾斜角度が65°である傾斜が設けられているものを用いた(図3参照)。
【0048】
(実施例1:フォトレジスト用重合体組成物の重合)
図1の攪拌装置1を用いて、以下の反応を行った。重合溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)32kgをいれて十分に窒素置換した後、100rpmで攪拌しながら80℃まで昇温した。その後、5−メタクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン(NLM)15kg、及び2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート(MAdMA)20kgを投入し、その後アゾビスイソブチロニトリル0.5kgのMEK溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間熟成した後、室温まで冷却して重合体溶液を調製した。尚、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した結果、モノマーの転化率は95%であり、重合体100質量%に対する残存モノマー量は5質量%であった。また、得られた重合体について、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した結果、分子量分布(分散度Mw/Mn)は1.71であった。更に得られた組成物溶液は清澄であり、原料未溶解分は確認されなかった。
【0049】
(実施例2:フォトレジスト用樹脂含有組成物の調製)
図1の攪拌装置1を用いて、以下の反応を行った。上記で合成したフォトレジスト用重合体の25質量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液70kgへ酸発生剤としてトリフェニルスルホニウム・ノナフルオロ−n−ブタンスルホネートを2kg、酸拡散制御剤ピロリジン―1−ニルー酢酸t−ブチルエステルを0.5kg、溶剤プロピレングリコールメチルエーテルアセテート130kgを仕込んで、窒素置換した。その後ゆるやかに5時間撹拌した。攪拌終了後、3時間静置した後にフォトレジスト用樹脂含有組成物を調製した。得られた組成物溶液は清澄であり、原料未溶解分は確認されなかった。
【0050】
(実施例3:着色層形成用感放射線性組成物、カラーフィルタおよびカラー液晶表示素子向け樹脂の重合)
図1の攪拌装置1を用いて、以下の反応を行った。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80kgを仕込み、引き続きメタクリル酸15kg、3−(メタクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン25kg、ベンジルメタクリレート60kg、分子量調節剤としてα−メチルスチレンダイマー3kg、および粉体原料の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3kg、を仕込んで、窒素置換した。その後ゆるやかに撹拌して、反応溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度を5時間保持して重合することにより、着色層形成用感放射線性樹脂溶液を得た。得られた該樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した結果、分子量分布(分散度Mw/Mn)は2.68であった。更に得られた組成物溶液は清澄であり、原料未溶解分は確認されなかった。
【0051】
(実施例4:着色層形成用感放射線性組成物、カラーフィルタおよびカラー液晶表示素子向け樹脂含有溶液の調製)
図1の攪拌装置1を用いて、以下の反応を行った。着色剤としてC.I.ピグメントレッド254/C.I.ピグメントレッド177=80/20(質量比)混合物20部、分散剤としてBYK−2001を5部(固形分換算)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート75部を、ビーズミルにより処理して、顔料分散液を調製した。この顔料分散液100kgと着色層形成用感放射線性樹脂溶液を10kg、多官能性単量体としてトリメチロールプロパントリアクリレート15kg、光重合開始剤として粉体原料の2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン5kgとジエチルチオキサントン3kg、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを混合して、固形分濃度25%の着色層形成用感放射線性組成物、カラーフィルタおよびカラー液晶表示素子向け樹脂含有溶液を調製した。得られた組成物溶液は清澄であり、原料未溶解分は確認されなかった。
【0052】
(実施例5:垂直配向型液晶配向剤向け組成物に用いられるポリアミック酸の合成)
図1の攪拌装置1を用いて、以下の反応を行った。テトラカルボン酸二無水物として、粉体原料2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物10kg、ジアミン化合物として粉体原料のp−フェニレンジアミン4kgと4,4’−ジアミノ−4’’−n−ヘプタデカフルオロオクチルトリフェニルメタン6kgをN−メチル−2−ピロリドン80kgに溶解させ、60℃で4時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコール中に注いで反応生成物を沈澱させた。その後、メチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で24時間乾燥させることにより、重量平均分子量(Mw)が120,000、分子量分布(Mw/Mn)が5.16の垂直配向型液晶配向剤向け組成物に用いられるポリアミック酸を得た。得られた組成物溶液は清澄であり、原料未溶解分は確認されなかった。
【0053】
(比較例)
上面に傾斜構造を有していない攪拌翼および上部に傾斜構造を有さない邪魔板を配設した以外は、実施例と同様の設備を用いて、フォトレジスト用重合体組成物の調製を行った。得られた重合体溶液を解析した結果、モノマーの転化率は75%であり、重合体100質量%に対する残存モノマー量、および副生オリゴマー量は25質量%であった。また、得られた重合体について、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した結果、分子量分布(分散度Mw/Mn)は3.8であった。更に得られた組成物溶液には一部、固体原料5−メタクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン(NLM)の未反応の溶け残り物と推定される白濁が確認され、原料の未溶解量は4.3質量%であった。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の攪拌装置は、金属異物等の異物や金属成分等の不純物の混入に対して厳格なサブクォーターミクロンレベルの微細加工等の用途に用いられるフォトレジスト用樹脂含有溶液、液浸用組成物溶液、上層膜形成組成物等の樹脂組成物溶液の製造に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態の攪拌装置と、攪拌装置を備えた樹脂組成物溶液の製造装置を示す模式図である。
【図2】攪拌翼の上部を示す斜視図である。
【図3】傾斜面の実施形態1を示す図1のA−A’断面図である。
【図4A】傾斜面の実施形態2を示す図1のA−A’断面図である。
【図4B】傾斜面の実施形態3を示す図1のA−A’断面図である。
【図5A】傾斜面の実施形態4を示す図1のA−A’断面図である。
【図5B】傾斜面の実施形態5を示す図1のA−A’断面図である。
【図5C】傾斜面の実施形態6を示す図1のA−A’断面図である。
【図5D】好ましくない傾斜面を示す断面図である。
【図6】マックスブレンド翼を示す模式図である。
【図7】傾斜パドルを示す模式図である。
【図8A】傾斜パドルの翼部の一実施形態を示す図7のB−B’断面図である。
【図8B】傾斜パドルの翼部の他の実施形態を示す図7のB−B’断面図である。
【図9A】邪魔板の傾斜面の一実施形態を示す図である。
【図9B】邪魔板の傾斜面の他の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1:攪拌装置、2:攪拌槽、3:蓋部、4:モータ、5:回転軸、6:投入部、7:攪拌翼、7a:門型翼、7b:横翼、7c:縦翼、7g:アンカーパドル、7h:錨翼、7k:傾斜面、7m:マックスブレンド翼、7n:グリッド部、7p:傾斜パドル、7q:翼部、7s:(ボスの)上面、7t:ボス、7u:上端部、7w:端面、10:邪魔板、10k:傾斜面、13:送液ポンプ、14:充填ノズル、15:タンク下部バルブ、20:ろ過装置、28:循環ライン、30:(樹脂組成物溶液の)製造装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂組成物溶液の製造に用いられ、攪拌槽内に、
回転可能な回転軸と、
前記回転軸に設けられ、上方より投入された前記樹脂組成物溶液の原料が下方に落下するように鉛直方向の上面が水平方向に対して傾斜構造とされ、前記回転軸の回転に伴って回転して前記樹脂組成物溶液を攪拌する攪拌翼と、を備える攪拌装置。
【請求項2】
前記攪拌槽内に、鉛直方向の上面が傾斜構造とされた邪魔板を備える請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項3】
前記攪拌翼は、回転方向に対して垂直となるように配置された板状部材で構成されており、前記板状部材の鉛直方向の上面が傾斜構造とされた請求項1または2に記載の攪拌装置。
【請求項4】
前記攪拌翼の前記回転軸に挿入するための挿入口を形成するボスの鉛直方向の上面が傾斜構造とされた請求項1〜3のいずれか1項に記載の攪拌装置。
【請求項1】
樹脂組成物溶液の製造に用いられ、攪拌槽内に、
回転可能な回転軸と、
前記回転軸に設けられ、上方より投入された前記樹脂組成物溶液の原料が下方に落下するように鉛直方向の上面が水平方向に対して傾斜構造とされ、前記回転軸の回転に伴って回転して前記樹脂組成物溶液を攪拌する攪拌翼と、を備える攪拌装置。
【請求項2】
前記攪拌槽内に、鉛直方向の上面が傾斜構造とされた邪魔板を備える請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項3】
前記攪拌翼は、回転方向に対して垂直となるように配置された板状部材で構成されており、前記板状部材の鉛直方向の上面が傾斜構造とされた請求項1または2に記載の攪拌装置。
【請求項4】
前記攪拌翼の前記回転軸に挿入するための挿入口を形成するボスの鉛直方向の上面が傾斜構造とされた請求項1〜3のいずれか1項に記載の攪拌装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【公開番号】特開2010−53294(P2010−53294A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221966(P2008−221966)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】
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