説明

支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物およびこれを用いたポリウレタン支持パッド

【課題】本発明は、内部に長くて大きい気孔が均一に形成され、低い密度を有しながらも、高い圧縮率および圧縮回復率を示す支持パッドを提供することができるポリウレタン樹脂組成物を提供するためのものである。
【解決手段】本発明は、ポリウレタン樹脂;炭素数9〜15のアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩;およびDMF溶媒を含む支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物およびこれを用いたポリウレタン支持パッドを提供するものであって、これによれば、内部に長くて大きい気孔が均一に形成され、低い硬度、優れた圧縮率および高い圧縮弾性率を有するパッドが提供可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物およびこれを用いたポリウレタン支持パッドに関し、より詳細には、内部に長くて大きい気孔が均一に形成され、低い密度を有しながらも、高い圧縮率および圧縮回復率を示す支持パッドを提供することができるポリウレタン樹脂組成物およびこれを用いたポリウレタン支持パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
高集積度を要求する半導体装置またはディスプレイ装置に用いられる基板は、微細で精密な表面が要求されるため、多様な平坦化方法が適用されている。特に、半導体素子またはディスプレイ装置の高集積化および高性能化傾向に伴い、研磨パッドと被研磨体との間に研磨粒子および多様な化学成分を含むスラリー組成物を供給しながら、研磨パッドと被研磨体を相対的に移動させて研磨する方法が一般的に使用されている。このような研磨方法では、より精密な研磨のために、研磨または加工過程で一定の位置と姿勢を維持することができるように、前記被研磨体を一定の支持パッド上に固定させている。
【0003】
しかし、かつて知られた支持パッドは、内部に気孔が互いに異なる大きさを有して不規則に分布し、被研磨体に対するクッション性能と吸着力が良くなく、また、研磨過程で被研磨体が支持パッドにしっかりと固定されず、精密な研磨が行われないという問題があった。また、かつての支持パッドは、内部に形成された気泡が不均一な大きさおよび分布を示し、圧縮率および圧縮回復率などの物性も良くないだけでなく、撥水機能も十分でなく、被研磨体が研磨または加工過程で離脱しやすいという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、内部に長くて大きい気孔が均一に形成され、低い密度を有しながらも、高い圧縮率および圧縮回復率を示す支持パッドを提供することができるポリウレタン樹脂組成物を提供するためのものである。
【0005】
また、本発明は、内部に長くて大きい気孔が均一に形成され、低い密度を有しながらも、高い圧縮率および圧縮回復率を示すポリウレタン支持パッドを提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ポリウレタン樹脂;炭素数9〜15のアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩;およびDMF溶媒を含む支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物を提供する。
【0007】
また、本発明は、前記支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物の凝固物を含むポリウレタン支持パッドを提供する。
【0008】
以下、発明の具体的な実現例による支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物およびこれを用いたポリウレタン支持パッドについてより詳細に説明する。
【0009】
本明細書において、「支持パッド」とは、半導体またはディスプレイ装置に用いられる基板の製造過程中、研磨工程で研磨対象膜をキャリアに密着または固定させる役割を果たすパッドを意味する。
【0010】
発明の一実現例によれば、ポリウレタン樹脂;炭素数9〜15のアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩;およびDMF溶媒を含む支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物が提供できる。
【0011】
一般的に、ポリウレタン樹脂と有機溶媒を含む組成物を、有機溶媒と水が入っている凝固槽で凝固させると、樹脂組成物成分の相分離現象、例えば、ポリウレタン樹脂、水および有機溶媒の相分離現象が起きるが、このような相分離現象により、多数の気孔が内部に形成されたポリウレタン樹脂が得られる。しかし、かつて知られたポリウレタン樹脂組成物を使用する場合、樹脂の内部に形成される気孔の大きさ、形状および分布を調節することは容易でなく、支持パッドとして用いるのに適切な物性を確保することも容易でなかった。
【0012】
本発明者らの研究の結果、炭素数9〜15のアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩を、ポリウレタン樹脂およびDMF溶媒と混合して得られたポリウレタン樹脂組成物を使用すると、低い密度を有しながらも、高い圧縮率および圧縮回復率を示す支持パッドが提供できることが確認された。そして、前記ポリウレタン樹脂組成物より製造された支持パッドは、長くて大きい気孔が均一に形成されていて、研磨対象膜との間で生成される空気が容易に内部に伝達され、これを全領域に均一に分散させることができるため、研磨時に発生し得る不良を最小化させることができる。
【0013】
前記炭素数9〜15のアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩は、前記ポリウレタン樹脂組成物の凝固時に水の浸透速度を増加させ、気孔がより長くて大きい形態を有することができるようにする。特に、前記炭素数9〜15のアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩は、かつて知られた他の陰イオン性界面活性剤、例えば、コハク酸またはその誘導体などに比べて、水または水溶液を組成物の全領域にわたってより容易に浸透させることができ、これにより、支持パッドの内部により長くて大きい気孔が形成できるようにする。
【0014】
前記炭素数9〜15のアルキルベンゼンスルホン酸は、オルト(orhto−)、メタ(meta−)、またはパラ(para−)置換体をすべて含み、好ましくは、パラ−ドデシルベンゼンスルホン酸であり得る。また、前記炭素数9〜15のアルキルベンゼンスルホン酸の塩は、アルキルベンゼンスルホン酸の金属塩であり得、例えば、炭素数9〜15のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、炭素数9〜15のアルキルベンゼンスルホン酸カリウム、または炭素数9〜15のアルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムであり得、好ましくは、パラ−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、パラ−ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、またはパラ−ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウムであり得る。
【0015】
前記炭素数9〜15のアルキルベンゼンスルホン酸は、下記の化学式1の化合物であり得る。
【0016】
【化1】

【0017】
上記化学式1において、Rは、炭素数9〜15のアルキル基であり、好ましくは、ドデシル基(dodecyl)であり得る。
【0018】
一方、前記ポリウレタン樹脂は、30,000〜1,000,000、好ましくは、50,000〜500,000の重量平均分子量を有することができる。また、前記ポリウレタン樹脂は、常温にて、30%DMF溶媒(solution)状態で、30,000〜1,000,000cps、好ましくは、50,000〜500,000cpsの粘度を有することができる。
【0019】
前記ポリウレタン支持パッドの製造過程において、ポリウレタン樹脂内のジメチルホルムアミドが水に溶解して抜けながら気孔が形成できるが、前記範囲の分子量または粘度を有するポリウレタン樹脂を使用すると、多数の気孔が均一な大きさと均一な分布で形成できる。前記ポリウレタン樹脂の粘度が30,000cps未満であれば、支持パッドとして適切な物性を有することができず、支持パッドの製造も困難になることがあり、前記粘度が1,000,000cps以上の場合には、支持パッドの内部に気孔を形成させにくく、支持パッドの硬度が非常に高くなることがある。
【0020】
一方、前記支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物は、前記ポリウレタン樹脂3〜50wt%、好ましくは、5〜30wt%を含むことができる。前記樹脂組成物でポリウレタン樹脂の含有量が小さすぎると、支持パッドの本体を適切に形成しにくく、組成物の粘度が低すぎて、支持パッドを製造するためのコーティング工程に適用しにくいことがある。また、前記樹脂組成物でポリウレタン樹脂の含有量が大きすぎると、得られるポリウレタン支持パッドの密度が必要以上に大きくなるか、組成物の粘度が大きくなりすぎて、支持パッドを製造するためのコーティング工程に適用しにくいことがある。
【0021】
前記ポリウレタン樹脂組成物は、「ジメチルホルムアミド(DMF)溶媒」を含むことができるが、これは、N,N’−ジメチルホルムアミド(N,N’−dimethylformamide)が含まれた溶媒を意味する。前記ポリウレタン樹脂組成物を凝固させると、樹脂組成物成分、例えば、ポリウレタン樹脂、水およびDMF溶媒の相分離現象により、内部に気孔が形成されたポリウレタン支持パッドが形成できる。つまり、前記樹脂組成物の凝固過程では、ポリウレタン樹脂内に存在するDMF溶媒が凝固槽内の水と交替され、凝固過程が完了すると、内部に気孔が形成された支持パッド用ポリウレタン樹脂が形成される。
【0022】
前記ポリウレタン樹脂組成物は、前記DMF溶媒40〜90wt%、好ましくは、50〜80wt%を含むことができる。前記樹脂組成物上でDMF溶媒の含有量が小さすぎると、凝固過程で樹脂の内部に気孔の形成が円滑でないことがあり、前記含有量が大きすぎると、ポリウレタン樹脂の比率が大幅に減少し、適切な物性を有するポリウレタン支持パッドの製造が困難になることがある。
【0023】
前記支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物は、前記炭素数9〜15のアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩0.1〜5wt%、好ましくは、0.1〜2wt%を含むことができる。前記炭素数9〜15のアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩の含有量が0.1wt%未満であれば、気孔があまりにも小さく形成されるか、気孔の形態が長くならない場合があり、5wt%を超えると、パッドの表面粗さが良くなく、均一な吸着面を提供することができない。
【0024】
一方、前記支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物は、陰イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤をさらに含むことができる。
【0025】
前記陰イオン性界面活性剤は、前記炭素数9〜15のアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩と共に使用され、水の浸透速度を増加させ、より長くて大きい気孔が吸着パッドの内部に形成できるようにする。このような陰イオン性界面活性剤の例としては、コハク酸およびその誘導体などがあり、ただし、使用可能な陰イオン性界面活性剤の例はこれに限定されるものではない。
【0026】
前記非イオン性界面活性剤は、前記炭素数9〜15のアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩と共に使用され、支持パッドの吸着力を高めるか、パッドの表面を平坦化することができる。このような非イオン性界面活性剤の例としては、シリコーン系高分子、シリコーンオイル、グリセロール系高分子、または炭化水素系高分子などが挙げられる。
【0027】
前記陰イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤は、製造される支持パッドの物性や工程上の条件などを考慮して含有量を適切に調節して使用可能であり、例えば、前記支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物にそれぞれ0.1〜10wt%として含むことができる。
【0028】
また、前記支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物は、着色剤、撥水剤、充填剤、気孔の大きさ調節剤および顔料からなる群より選択された1種以上の添加剤をさらに含むことができる。このような添加剤は、製造される支持パッドの物性や工程上の条件などを考慮して含有量を適切に調節して使用可能であり、例えば、前記支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物に含まれる添加剤の総量が0.1〜15wt%であり得る。
【0029】
一方、発明の他の実現例によれば、前記支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物の凝固物を含むポリウレタン支持パッドが提供できる。
【0030】
前記ポリウレタン樹脂組成物より製造されるポリウレタン支持パッドは、内部に長くて大きい気孔が均一に形成され、低い密度を有しながらも、高い圧縮率および圧縮回復率を示すことができる。また、前記ポリウレタン支持パッドは、内部に長くて大きい気孔が均一に形成されていて、研磨対象膜との間に生成された空気が容易に内部に伝達され、これを全領域に均一に分散させることができるため、研磨時に発生し得る不良を最小化させることができる。
【0031】
前記ポリウレタン支持パッドは、前記ポリウレタン樹脂組成物が凝固して形成できる。具体的には、前記ポリウレタン支持パッドは、ポリウレタン樹脂の内部に100μm〜500μm、好ましくは150μm〜400μmの最大直径を有する気孔が均一に形成された形態であり得る。このような気孔の最大直径は、支持パッドの断面SEM写真などを通して測定することができる。
【0032】
そして、このような前記ポリウレタン支持パッドは、前記ポリウレタン樹脂組成物を形成するステップと、前記ポリウレタン樹脂組成物を一定の基材や枠に塗布または投入してコーティング層を形成するステップと、前記コーティング層を凝固するステップと、前記組成物の凝固物を水洗、脱水および乾燥するステップとによって製造できる。
【0033】
前記コーティング層を凝固するステップでは、前記コーティング層が形成された基材や枠を、ジメチルホルムアミド水溶液が満たされている凝固槽に投入してなることができる。前記凝固過程では、ポリウレタン樹脂内のジメチルホルムアミドが水と交替されながら、ポリウレタン樹脂が徐々に凝固し、これにより、多数の気孔が形成できる。前記凝固過程後、吸着パッドの内部には、水とDMF溶媒が残っている状態であり得、このような凝固物を洗浄し、オーブンで乾燥する方法などにより、吸着パッドの内部で水、DMF溶媒、アルキルベンゼンスルホン酸およびその他の成分を除去することができる。
【0034】
一方、前記ポリウレタン支持パッドは、0.1〜5.0mmの厚さを有することができ、0.01〜1.0g/cmの密度、好ましくは、0.10〜0.35g/cmの密度を有することができる。
【0035】
一方、前記ポリウレタン支持パッドは、図4に示すように、基材となるPETフィルムなどに粘着剤によって固定される形態に最終製品化が可能である。より具体的には、PETフィルムなどの基材フィルムの一面に粘着剤によって前記ポリウレタン支持パッドが結合可能であり、前記一面の反対面に接着剤によって裏面紙(release paper)が結合可能である。このようなポリウレタン支持パッドの最終製品が研磨装置に適用される際には、前記裏面紙を除去し、前記研磨装置に結合して使用できる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、内部に長くて大きい気孔が均一に形成され、低い密度を有しながらも、高い圧縮率および圧縮回復率を示す支持パッドを提供することができるポリウレタン樹脂組成物および前記樹脂組成物を用いて得られるポリウレタン支持パッドが提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施例1で製造されたポリウレタンパッドの断面SEM写真を示す。
【図2】実施例2で製造されたポリウレタンパッドの断面SEM写真を示す。
【図3】比較例1で製造されたポリウレタンパッドの断面SEM写真を示す。
【図4】最終製品化されたポリウレタン支持パッドの一例を簡略に示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
発明を下記の実施例でより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明を例示するものにすぎず、本発明の内容は下記の実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0039】
<実施例および比較例:
支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物およびポリウレタンパッドの製造>
実施例1
100%モジュラス(modulus)が5.0MPaのポリウレタン樹脂(30wt%DMF溶媒)100g、N,N’−ジメチルホルムアミド45g、パラ−ドデシルベンゼンスルホン酸2.0g、非イオン性界面活性剤(SD−7、ペンタカム)5.0g、着色剤(KW BLACK0013、カーボンブラック樹脂、ペンタカム)15g、充填剤(FAT−17、ペンタカム)2.0g、および撥水剤(フッ素系樹脂、FPU−60、ペンタカム)0.5gを入れ、ペイントシェーカーで10分間高速撹拌した後、3000rpmで10分間遠心分離し、スラリー(slurry)状のポリウレタン樹脂組成物を得た。
【0040】
前記得られたポリウレタン樹脂組成物を、PETフィルム上に2.00mmの厚さにコーティングした後、4Brix%濃度の凝固槽で凝固過程を進めた。その後、得られた凝固物を水洗、脱水、乾燥し、ポリウレタン支持パッドを製造した。製造されたポリウレタン支持パッドの断面SEM写真を図1に示した。
【0041】
実施例2
100%モジュラス(modulus)が3.5MPaのポリウレタン樹脂(30wt%DMF溶媒)100g、N,N’−ジメチルホルムアミド65g、パラ−ドデシルベンゼンスルホン酸0.5g、コハク酸誘導体(SD−11、ペンタカム)4g、非イオン性界面活性剤(SD−7、ペンタカム)2.0g、着色剤(KW BLACK0013、カーボンブラック樹脂、ペンタカム)7g、充填剤(FAT−17、ペンタカム)1.5g、および撥水剤(フッ素系樹脂、FPU−60、ペンタカム)2gを入れ、ペイントシェーカーで10分間高速撹拌した後、3000rpmで10分間遠心分離し、スラリー状のポリウレタン樹脂組成物を得た。
【0042】
前記得られたポリウレタン樹脂組成物を、PETフィルム上に2.00mmの厚さにコーティングした後、4Brix%濃度の凝固槽で凝固過程を進めた。その後、得られた凝固物を水洗、脱水、乾燥し、ポリウレタン支持パッドを製造した。製造されたポリウレタン支持パッドの断面SEM写真を図2に示した。
【0043】
比較例1
パラ−ドデシルベンゼンスルホン酸を使用しない点を除けば、実施例2と同様の方法でポリウレタン樹脂組成物および吸着パッドを製造した(図3)。
【0044】
前記実施例1、2および比較例1で製造された支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物の具体的な組成を下記の表1に示した。
【0045】
【表1】

【0046】
<実験例>
前記実施例1、2および比較例1で得られた支持パッドの密度、圧縮率および圧縮弾性率を次のように測定した。
【0047】
実験例1:支持パッドの密度の測定
前記実施例および比較例で得られたポリウレタン支持パッドを25mm×30mmの大きさで用意し、厚さを測定した後、これらの試験片の重量を測定して密度を計算した。そして、前記試験片の重量を5回繰り返し測定して各々の密度値を求め、これらの平均値から支持パッドの密度を算出した。
【0048】
実験例2:支持パッドの圧縮率および圧縮回復率の測定
前記実施例および比較例で得られたポリウレタン支持パッドの圧縮率および圧縮回復率を、JIS L1021−16に基づいて測定した。
【0049】
具体的には、前記実施例および比較例で得られたポリウレタン支持パッドを切断して、25mm×30mmの大きさの試験片を用意した。これらの試験片に初期荷重100g/cmを30秒間加えた後、初期厚さをダイヤルゲージを用いて測定し(T0)、前記試験片に荷重1120g/cmを5分間加えた後、加圧状態で厚さを測定した(T1)。そして、すべての荷重を除去して5分間放置後、再び初期荷重100g/cmを30秒間加えてから、厚さを測定した(T0’)。測定された各々の厚さを、下記の計算式を適用して圧縮率および圧縮回復率を算出した。
[計算式]
圧縮率(%)=(T0−T1)×100/T0
圧縮回復率(%)=(T0’−T1)×100/(T0−T1)
前記実験例1〜2の結果を下記の表2に示した。
【0050】
【表2】

【0051】
前記表2に示すように、ドデシルベンゼンスルホン酸を使用した実施例1、2の支持パッドが、ドデシルベンゼンスルホン酸を使用しなかった支持パッドに比べて、低い密度を有しながらも、30%以上の優れた圧縮率および95%以上の高い圧縮弾性率を示していることが確認された。
【0052】
また、図1〜3に示すように、実施例1、2による支持パッドの内部には、長くて大きい気泡が均一に形成されており、このような気泡の最大直径が150μm〜400μmの範囲であることが確認された。これに対し、比較例1の吸着パッドでは、気孔が相対的に短くて大きさも小さく、その分布も不均一であることが確認された。
【0053】
したがって、実施例の支持パッドによれば、被研磨体に対するクッション性と吸着力を向上させることができ、被研磨体の研磨加工時、パッド上で被研磨体をしっかりと固定することで研磨品質が低下することを防止することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタン樹脂;炭素数9〜15のアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩;およびDMF溶媒を含むことを特徴とする支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリウレタン樹脂は、30,000〜1,000,000の重量平均分子量を有するか、
常温にて、30%DMF溶媒(solution)状態で、30,000〜1,000,000cpsの粘度を有することを特徴とする請求項1に記載の支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリウレタン樹脂3〜50wt%;
前記DMF溶媒40〜90wt%;および
前記炭素数9〜15のアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩0.1〜5wt%を含むことを特徴とする請求項1に記載の支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項4】
陰イオン性界面活性剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項5】
非イオン性界面活性剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項6】
充填剤、撥水剤、気孔の大きさ調節剤および顔料からなる群より選択された1種以上の添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項7】
陰イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤からなる群より選択された1種以上の化合物0.1〜10wt%;および
充填剤、撥水剤、気孔の大きさ調節剤および顔料からなる群より選択された1種以上の添加剤0.1〜15wt%をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の支持パッド用ポリウレタン樹脂組成物の凝固物を含むことを特徴とするポリウレタン支持パッド。
【請求項9】
ポリウレタン樹脂の内部に150μm〜400μmの最大直径を有する気孔が形成されていることを特徴とする請求項8に記載のポリウレタン支持パッド。
【請求項10】
0.10〜0.35g/cmの密度を有することを特徴とする請求項8に記載のポリウレタン支持パッド。
【請求項11】
0.1〜5.0mmの厚さを有することを特徴とする請求項8に記載のポリウレタン支持パッド。
【請求項12】
JIS L1021−16に基づいて測定した圧縮率が30%以上であり、圧縮弾性率が95%以上であることを特徴とする請求項8に記載のポリウレタン支持パッド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−61592(P2012−61592A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200369(P2011−200369)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】