説明

改善された安全性を有する二次バッテリパック

【課題】機械的強度と電気的絶縁とを保持しつつ、単純化された組立プロセスを用いて得られる安定した組立構造を有する二次バッテリパックを提供する。
【解決手段】プレート形状の導電性部材から成り、保護回路モジュール(PCM)300に安全要素を介して電気的に接続されているアノード端子と、プレート形状の導電性部材から成り、PCM300に直接電気的に接続されているカソード端子に、それぞれ熱溶着された余剰部が設けられているバッテリセル10と、保護回路を有し、プリント回路基板(PCB)に接続される外部入出力端子110、並びに、組立タイプの締結構造によって互いに連結され、PCB及び安全要素を覆う第一のケース及び第二のケースを含み、バッテリセルの熱溶着された余剰部に安全要素及びバッテリセルに電気的に接続されている状態で搭載されるPCM300と、を含む二次バッテリパック。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された安全性を有する二次バッテリパックに関し、より具体的には、バッテリセルのアノード端子であって、プレート形状の導電性部材から成り、保護回路モジュール(PCM)に安全要素を介して電気的に接続されているアノード端子と、バッテリセルのカソード端子であって、プレート形状の導電性部材から成り、PCMに直接電気的に接続されているカソード端子と、バッテリセルであって、このバッテリセルの一端に形成されたアノード端子及びカソード端子を有し、このバッテリセルの端部において、熱溶着された余剰部が設けられているバッテリセルと、PCMであって、上に形成された保護回路を有し、一方の側にカソード端子接続部及び安全要素接続部が設けられ、且つ他方の側に外部入出力端子接続部が設けられるプリント回路基板(PCB)、このPCBの保護回路に、このPCBの外部入出力端子接続部を介して電気的に接続されている外部入出力端子、並びに、組立タイプの締結構造によって互いに連結され、PCB及び安全要素を覆う第一のケース及び第二のケース、を含み、バッテリセルの熱溶着された余剰部に、PCMが安全要素及びバッテリセルに電気的に接続されている状態で搭載されるPCMと、を含む二次バッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器が次第に進歩し、このようなモバイル機器に対する要求が増大するにつれて、二次バッテリに対する要求も急速に増加してきた。このような二次バッテリには、高いエネルギー密度及び動作電圧、並びに優秀な保存特性及び耐用年数特性を示すリチウム二次バッテリがあり、このリチウム二次バッテリは、様々な電子製品及びモバイル機器のためのエネルギー源として広く用いられてきた。
【0003】
しかしながら、様々な種類の可燃性材料がリチウム二次バッテリ内に包含されている。結果として、リチウム二次バッテリは、バッテリの過充電、バッテリ内の過電流、又は別の物理的な外的衝撃に起因して、加熱又は破裂する場合がある。すなわち、リチウム二次バッテリの安全性は非常に低い。その結果として、正温度係数(PTC)要素及び保護回路モジュール(PCM)のような安全要素が、リチウム二次バッテリの過充電又はリチウム二次バッテリ内の過電流のようなリチウム二次バッテリの異常状態を効果的に制御するために、リチウム二次バッテリに、この安全要素がバッテリセルに接続された状態で搭載される。
【0004】
通常、PCMはバッテリセルに、導電性ニッケルプレートを介して、溶接又ははんだ付けによって接続される。すなわち、ニッケルプレートはPCMの電極タブに溶接又ははんだ付けによって接続され、次いでこのニッケルプレートはバッテリセルの対応する電極端子に溶接又ははんだ付けによって接続される。このようにして、PCMはバッテリセルに接続され、これによりバッテリパックを製造する。
【0005】
PCMを含む安全要素は、バッテリセルの電極端子との電気的な接続を保持され、同時に、バッテリセルの別の部品から電気的に絶縁されることが必要とされる。その結果として、絶縁テープが、電極端子接続領域を除いたPCMに実質的に貼り付けられて、電気的絶縁を保持し、これによって、このような接続を達成する。
【0006】
しかしながらこの場合、安全要素がバッテリセルの温度を直接感知することは、絶縁テープが原因で難しく、加えて、外的衝撃に対する安全要素の機械的強度は低い。
【0007】
また、複数の絶縁性の取り付け部材又は複数の部品が上述の問題を解決するために用いられる場合、バッテリパック組立プロセスは複雑化される。多くの回数の溶接プロセス又ははんだ付けプロセスがバッテリパックを構成するために実行される場合、溶接又ははんだ付けプロセスは、二次バッテリの小型構造が理由で、高精度で実行されなければならない。結果として、不良の可能性が大きい。
【0008】
従って、バッテリセルの上端に取り付けられる部材を安定的に連結し、同時に、組立プロセスを単純化するとともにバッテリセルの安全性を改善することができる技術に対する高い必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明は、上述の問題、及び依然として解消されていない別の技術的問題を解決するために行われた。
【0010】
特に、機械的強度と電気的絶縁とを保持しつつ、単純化された組立プロセスを用いて得られる安定した組立構造を有する二次バッテリパックを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によると、上述の目的及び別の目的は、二次バッテリパックの提供によって達成することができ、この二次バッテリパックは、バッテリセルのアノード端子であって、プレート形状の導電性部材から成り、保護回路モジュール(PCM)に安全要素を介して電気的に接続されるアノード端子と、バッテリセルのカソード端子であって、プレート形状の導電性部材から成り、PCMに直接電気的に接続されるカソード端子と、バッテリセルであって、このバッテリセルの一端に形成されたアノード端子及びカソード端子を有し、このバッテリセルの端部に、熱溶着された余剰部が設けられているバッテリセルと、PCMであって、上に形成された保護回路を有し、一方の側にカソード端子接続部及び安全要素接続部が設けられ、且つ他方の側に外部入出力端子接続部が設けられるプリント回路基板(PCB)、このPCBの保護回路に、このPCBの外部入出力端子接続部を介して電気的に接続される外部入出力端子、並びに、組立タイプの締結構造によって互いに連結され、これによりPCB及び安全要素を覆う第一のケース及び第二のケース、を含み、バッテリセルの熱溶着された余剰部に、PCMが安全要素及びバッテリセルに電気的に接続された状態で搭載されるPCMと、を含む。
【0012】
その結果として、本発明による二次バッテリパックにおいては、PCM及び安全要素は、バッテリセルの熱溶着された余剰部に、PCM及び安全要素が第一のケースと第二のケースとの間に取り付けられた状態で搭載される。従って、絶縁テープを用いる従来の二次バッテリパックと比較して、PCMを効果的に保護すること、及びパーツの数を大幅に削減することが可能となり、これによって、製造プロセス能力が大幅に改善する。
【0013】
また、第一のケース及び第二のケースは、組立タイプの締結構造によって互いに連結され、従って、プロセスの効率を、付加的な粘着テープを用いるケースと比較して大幅に改善することができる。
【0014】
上述された通り、本発明による第一のケース及び第二のケースは分離した部材であり、これら分離した部材は組立タイプの締結構造によって互いに連結される。
【0015】
この場合に関連して、第一のケース及び第二のケースはヒンジ構造を介して互いに連結することができ、これにより、第一のケース及び第二のケースは単一ユニットの部材を構成することができる。しかしながらこの場合においては、第一のケース及び第二のケースを射出成型によって形成することが、これらケースの小さなサイズが原因で、難しい場合がある。また、ヒンジ領域の強度が比較的低く、その結果、第一のケース及び第二のケースは、本発明が実際の製品に適用された場合に容易に損傷し得る。さらに、シール能力、ひいては耐湿性が、ヒンジ領域における低い締結力が原因で下がる場合がある。加えて、ヒンジ領域は外側に突出し、その結果、バッテリセルはこのバッテリセルの据え付けの間に損傷する場合があり、且つバッテリパックの容量は、ヒンジ領域が突出できるように余剰のスペースが必要とされるので、同じ規格を有するバッテリパックと比較して減少する。
【0016】
上述の問題を解決するための本発明によるケースの、組立タイプの締結構造は、第一のケースには、少なくとも1つの締結孔(又は締結突起)が設けられ、この締結孔を通じて第一のケースが第二のケースに連結され、且つ第二のケースには、第一のケースの締結孔(又は締結突起)に対応する少なくとも1つの締結突起(又は締結孔)が設けられるように構成することができる。
【0017】
このような連結方式では、第一のケースと第二のケースとは容易に組み立てることができ、第一のケースと第二のケースとの間の連結状態は、さらに安定して確保することができる。締結構造は、例えばフックによって構成することができる。
【0018】
また、少なくとも1つの締結孔と、この少なくとも1つの締結孔に対応する少なくとも1つの締結突起とは、互いに向かい合う第一のケース及び第二のケースの外周面に好ましくは形成され、これにより均一な連結力を獲得し、ひいてはシール力を増大させる。例えば、第一のケース及び第二のケースの互いに向かい合う側部が長方形状の形状を形成している場合、少なくとも1つの締結孔と、この少なくとも1つの締結孔に対応する少なくとも1つの締結突起とは、第一のケース及び第二のケースの4つの側部に形成することができる。この構造においては、絶縁性の取り付け部材のシール力を向上させ、これにより絶縁及び安全性を改善することができる。
【0019】
様々な種類のバッテリセルを、本発明による二次バッテリパック内において用いることができる。本発明による二次バッテリパック内において用いられるバッテリセルは、金属層及び樹脂層を含むラミネートシートから成るバッテリケース内にシールされた状態で取り付けられたカソード/セパレータ/アノード構造の電極組立体を有する、ポーチ形状の二次バッテリとすることができ、このポーチ形状の二次バッテリの厚さ及び重さは小さい。
【0020】
上述されたように、バッテリの過充電、過放電、過電流等を制御するための保護回路を有するPCBは、このPCBの一方の側においてカソード端子接続部及び安全要素接続部が設けられ、且つこのPCBの他方の側において外部入出力端子接続部が設けられる。
【0021】
その結果として、バッテリセルのカソード端子をPCBのカソード端子接続部に、変形させることなく、又は追加の部材を用いることなく接続すること、及び、安全要素の一方の側を、PCMの同じ側に配置されている、PCBの安全要素接続部に、バッテリセルのアノード端子が安全要素の他方の側に接続されている状態で接続することが可能となる。結果として、構造強度が低い安全要素は、PCBに安定的に取り付けられ、これによって、製造プロセスにおける欠陥率を削減し、ひいては製造プロセスの効率を改善する。
【0022】
カソード端子接続部及び安全要素接続部のための材料は、カソード端子接続部及び安全要素接続部が導電性材料から成る限りは、特に限定されることはない。好ましくは、カソード端子接続部及び安全要素接続部はニッケルプレートから成る。
【0023】
また、ニッケルプレートのそれぞれは、ニッケルプレートのそれぞれの一端が垂直に曲げられ、さらにニッケルプレートのそれぞれの他端がPCBの後面に連結される構造を有するように構成することができ、これにより、ニッケルプレートはカソード端子及び安全要素に容易に溶接することができる。
【0024】
その一方で、安全要素は任意の要素であり、この要素の抵抗は、温度の増加によって増加する。好ましくは、安全要素は正温度係数(PTC)要素である。PTC要素に連結された接続部材は、バッテリパックの上端における電流を、バッテリパックの温度が内部短絡又は同様の事柄が原因で急に上昇した場合に遮断する役割を果たす。しかしながら、安全要素がPTC要素に限定されることはない。例えば、バイメタル又はヒューズを安全要素として用いることができる。
【0025】
好ましい実施形態においては、第一のケース又は第二のケースに開口を設けることができ、この開口を通じて、PCMに配置された安全要素を外側に露出させることができる。
【0026】
第一のケース及び第二のケースは、電気絶縁性、製造の容易性、及び製造のコストを考慮して、好ましくはプラスチック材料から成る。しかしながら、安全要素がこのようなプラスチック材料によってシールされている場合は、安全要素がバッテリセルの温度の変化に敏感に反応することが難しい場合がある。他方で、安全要素は、上述されたような開口構造を通じて、より敏感に安全要素に反応することができる。結果的に、バッテリパックの安全性をさらに改善することができる。加えて、安全要素の取り付けに起因して、PCMの取り付け高さを最小化することができ、これによって、バッテリの容量の増加に寄与する。
【0027】
外部入出力端子の形状は、外部入出力端子がPCBに電気的に接続されて、充電器のような外部機器からの電流をバッテリセルに供給するか又はバッテリセルからの電流を携帯電話、mp3プレイヤー等に供給することができる限り、特に限定されることはない。好ましくは、外部入出力端子は、一端に取り付けられているコネクタを有するワイヤの形状に構成されている。
【0028】
別の好ましい例においては、ニッケルプレートをカソード端子の一方の側に超音波溶着によってさらに取り付けることができ、このニッケルプレートは、カソード端子接続部に接合される。その結果として、アルミニウムからなるカソード端子とニッケルとの間の特性における相違に起因する、低質な溶接を防ぐことができる。
【0029】
その一方で、第一のケース及び/又は第二のケースは、孔であって、これら孔を通じてバッテリセルの電極端子が挿入される孔と、孔であって、この孔を通じて外部入出力端子が外部に延在する孔とを含むことができる。この構造において、絶縁性の取り付け部材内での電気的な接続を達成し、さらに外側からの絶縁を確保することができる。
【0030】
その結果として、PCBと安全要素とは、第一のケース及び第二のケースを用いた組立タイプの方式で、孔を通じて延在するバッテリセルの電極端子と外部入出力端子とを除いて、互いに容易に連結することができる。
【0031】
その一方で、ラベルが、外部入出力端子を除くPCMと、バッテリセルの横側及び外側とに貼り付けられてもよく、これによりPCMとバッテリセルの横側及び外側とを覆うことができる。その結果として、バッテリセルの電極端子とPCBとの間の電気的な接続をより安定的に確保し、さらに、絶縁状態を追加の絶縁テープを用いることなく保持することができる。
【0032】
好ましい実施形態においては、ラベルは、バッテリセルの1つの主要な面を覆うための第一の貼付面と、バッテリセルの対向する側面を覆うための、第一の貼付面から延在する第二の貼付面及び第三の貼付面と、PCMを覆うための、第一の貼付面から延在する第四の貼付面とを備えるシート構造を有するように構成することができる。
【0033】
このような特有のシート構造を有するラベルは、バッテリセルの必要な部分のみを効果的に覆い、製造プロセスの効率を大きく改善することができる。
【0034】
本発明の別の態様によると、特定の構造の保護回路モジュールが提供され、この特定の構造は、上に規定された構成を有する二次バッテリパックを構成するために用いられる。
【0035】
特に、保護回路モジュール(PCM)が提供されて、バッテリセルの上端に形成されたプレート形状の導電性部材から成る電極端子を有するプレート形状のバッテリセルの頂部に取り付けられ、このPCMは、プリント回路基板(PCB)であって、その上に形成された保護回路を有するPCBと、このPCBの保護回路に電気的に接続された外部入出力端子であって、このPCBは、その一方の側においてカソード端子接続部及び安全要素接続部が設けられるとともに、その他方の側において外部入出力端子接続部が設けられている外部入出力端子と、組立タイプの締結構造によって互いに連結され、PCB及び安全要素を覆う第一のケース及び第二のケースと、を含む。
【0036】
バッテリパックを組み立てる通常のプロセスにおいては、接続部材とF−PCMとが連結され、絶縁テープがステップそれぞれにおいて貼り付けられ、これによりPCM組立体がバッテリセルに取り付けられる。すなわち、PCM組立体は、多数の部品を用いてバッテリセルに取り付けられる。その結果として、多数のプロセスが必要とされる。また、バッテリパックの機械的強度及び構造安定性は低い。
【0037】
他方で、本発明による保護回路モジュールは、安全要素が、PCMに接続されるとともに、第一のケース及び第二のケースに、安全要素がアノード端子に溶接された状態で連結される構造を有するように構成される。その結果として、バッテリパックの機械的強度は非常に高く、バッテリパックを製造するプロセスは大幅に単純化される。
【0038】
好ましい例においては、安全要素は、この安全要素の一端が安全要素接続部に、安全要素の他端がバッテリセルのアノード端子に接続された状態で接続される構造を有するように構成することができる。
【0039】
また、カソード端子接続部及び安全要素接続部は、カソード端子接続部の一端及び安全要素接続部の一端が垂直に曲げられ、さらにカソード端子接続部の他端及び安全要素接続部の他端がPCBの後面に連結されるように構成することができる。
【0040】
第一のケース及び/又は第二のケースは、孔であって、これら孔を通じてバッテリセルの電極端子が挿入される孔と、孔であって、この孔を通じて外部入出力端子が外部に延在する孔とを含む構造を有するように構成することができる。
【0041】
第一のケースには、少なくとも1つの締結孔(又は締結突起)を設けることができ、この締結孔を通じて第一のケースが第二のケースに連結され、第二のケースには、第一のケースの締結孔(又は締結突起)に対応する少なくとも1つの締結突起(又は締結孔)を設けることができる。また、少なくとも1つの締結孔と、この少なくとも1つの締結孔に対応する少なくとも1つの締結突起とは、互いに向かい合う第一のケース及び第二のケースの外周面において好ましくは形成され、締結力及びシール力を改善する。
【0042】
好ましくは、第一のケース又は第二のケースには開口を設け、この開口を通じて、PCMに配置された安全要素を外部に露出させることができる。
【0043】
本発明のさらなる態様によると、上述された構造を有する二次バッテリパックを製造する方法が提供される。
【0044】
特に、本発明による二次バッテリパックは、二次バッテリパックを製造する方法であって、(a)ワイヤタイプの外部入出力端子を、PCBの前側に形成された外部入出力端子接続部に接続するステップと、(b)ニッケルプレートを、バッテリセルのカソード端子の後面に、超音波溶着によって接続するステップと、(c)安全要素の一端を、PCBの後面に形成された安全要素接続部に、安全要素の他端がバッテリセルのカソード端子の後面に接続された状態で接続し、且つカソード端子をカソード端子接続部に接続するステップと、(d)外部入出力端子が、接続部がバッテリセルに平行に配列されるようにPCMが配置された状態で外部に延出するように、第一のケース及び第二のケースを連結し、これによってPCMを組み立てるステップと、(e)バッテリセルの電極端子を曲げ、PCMをバッテリセルの熱溶着された余剰部に取り付けるステップと、を含む方法を用いて製造することができる。
【0045】
従来の埋め込みタイプの二次バッテリパックを製造する方法と比較して、本発明による、二次バッテリパックを製造する方法は、製造プロセス数を削減し、且つ高い機械的強度と改善された構造安定性とを示す二次バッテリパックを提供することができる。
【0046】
また、本発明による、二次バッテリパックを製造する方法は、ラベルをPCMとバッテリセルの横側及び外側とに貼り付けて、これにより、ラベルが外部入出力端子を除くPCMとバッテリセルの横側及び外側とを覆うステップを、必要に応じてさらに含むこともできる。
【発明の効果】
【0047】
上述の記載から明らかなように、本発明による二次バッテリパックは新しい構造を有するように構成され、この構造において、第一のケース及び第二のケースを含むPCMが、バッテリセルの熱溶着された余剰部に搭載される。その結果として、二次バッテリパックを製造するプロセスは単純化され、二次バッテリパックの構造安定性が改善される。
【0048】
上述の、及びその他の本発明の目的、特性、及び別の利点は、添付の図面と組み合わせて解釈される、以下の詳細な記載からより明確に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】バッテリセルの部分斜視図である。
【図2】バッテリセルに連結された安全要素を示す部分斜視図である。
【図3】プリント回路基板(PCB)に連結された外部入出力端子を示す部分斜視図である。
【図4】バッテリセルの上端に連結されたPCB及び安全要素を示す部分斜視図である。
【図5】第二のケースに取り付けられた図4のPCB及び安全要素を示す部分斜視図である。
【図6】第一のケース及び第二のケースに取り付けられた図4のPCB及び安全要素を示す部分斜視図である。
【図7】図6の保護回路モジュール(PCM)をバッテリセルの熱溶着された余剰部に搭載するプロセスを示す典型的な図である。
【図8】ラベルを貼り付けるプロセスを示す典型的な図である。
【図9】ラベルを貼り付けるプロセスを示す典型的な図である。
【図10】ラベルを貼り付けるプロセスを示す典型的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
ここで、本発明の例示的な複数の実施形態が、添付の図面を参照して詳細に記載される。しかしながら、本発明の技術的範囲が、説明された実施形態によっては限定されないことが理解されるべきである。
【0051】
図1はバッテリセルの部分斜視図であり、図2はバッテリセルに連結された安全要素を示す部分斜視図であり、図3はプリント回路基板(PCB)に連結された外部入出力端子を示す部分斜視図であり、及び図4はバッテリセルの上端に連結されたPCBと安全要素とを典型的に示す部分斜視図である。
【0052】
これら図面を参照すると、バッテリセル10は、このバッテリセル10の一端に形成されたアノード端子12とカソード端子11とを有するプレート形状のバッテリセルである。カソード/セパレータ/アノード構造の電極組立体は、金属層及び樹脂層を含むラミネートシートから成るバッテリケース18内に、シールされた状態で取り付けられている。
【0053】
参照符号13は熱溶着された余剰部を示し、この熱溶着された余剰部は、バッテリケース18がシールされた状態で熱溶着された際に形成された、上端のシール部である。
【0054】
ニッケルプレート15がバッテリセル10のカソード端子11の一方の側に超音波溶着によってさらに取り付けられ、このニッケルプレート15はカソード端子接続部101に連結されている。
【0055】
他方で、外部入出力端子110の一端に取り付けられたコネクタ111を有するワイヤタイプの外部入出力端子110が、PCB100の一方の側に接続され、ニッケルプレートから成るカソード端子接続部101とニッケルプレートから成る安全要素接続部102とがPCB100の他方の側に形成され、これによってカソード端子接続部101及び安全要素接続部102がカソード端子11及び安全要素120にそれぞれ対応している。
【0056】
図4に示されるように、接続部101の一端及び接続部102の一端は垂直に曲げられ、一方、接続部101の他端及び接続部102の他端はPCB100の後面に連結される。その結果として、接続部101及び接続部102は、カソード端子11及び安全要素120にそれぞれ容易に溶接することができる。安全要素120は、正温度係数(PTC)要素とすることができる。
【0057】
図5は、第二のケースに取り付けられている図4のPCB及び安全要素を示す部分斜視図であり、図6は、第一のケース及び第二のケースに取り付けられている図4のPCB及び安全要素を示す部分斜視図であり、図7は、図6のPCM(保護回路モジュール)を、バッテリセルの熱溶着された余剰部に搭載するプロセスを示す典型的な図である。
【0058】
これら図面を参照すると、第一のケース200及び第二のケース210は連結されて、PCB100及び安全要素120を覆っている。
【0059】
第二のケース210は、孔211及び孔212であって、これら孔211及び孔212を通じてバッテリセルの電極端子11及び電極端子12が挿入される孔211及び孔212と、孔213であって、この孔213を通じて外部入出力端子110が外部に延出する孔213とを含む。
【0060】
また、第一のケース200には開口201が設けられ、この開口201を通じて安全要素120が外部に露出する。その結果として、第一のケース200の据え付けは合計高さの増加を引き起こさず、且つ、安全要素120は、この安全要素120が第一のケース200及び第二のケース210によって覆われているにもかかわらず、バッテリセル10の温度の変化に敏感に反応することができる。
【0061】
従って、バッテリセルの電極端子11及び電極端子12が、対応する孔211及び孔212を通じて挿入されている状態で、外部入出力端子110は孔213を通じて外部に延出し、安全要素120は開口201を通じて露出し、PCB100及び安全要素120は第一のケース200と第二のケース210との間に取り付けられて、PCM300を構成する。
【0062】
第一のケース200及び第二のケース210は、組立タイプの締結構造を有するように構成され、この締結構造によって第一のケース200及び第二のケース210は互いに連結される。
【0063】
特に、組立タイプの締結構造は、第二のケース210の垂直方向外周面に形成された締結突起214、215、216、217及び218(幾つかは図示されていない)、並びに第一のケース200の垂直方向外周面に形成された締結孔204、205、206、207及び208(幾つかは図示されていない)によって構成され、締結孔204、205、206、207及び208は締結突起214、215、216、217及び218(幾つかは図示されていない)に対応する。
【0064】
従って、PCB100及び安全要素120が第二のケース210に取り付けられた後に、第一のケース200及び第二のケース210の組立が、締結突起214、215、216、217及び218(幾つかは図示されていない)と締結孔204、205、206、207及び208との間の連結によって、追加の部材を用いることなく達成される。
【0065】
また、PCB100及び安全要素120が第一のケース200と第二のケース210との間に取り付けられているPCM300は、バッテリセル10の熱溶着された余剰部13に搭載される。従って、従来の二次バッテリパックと比較して、本発明による二次バッテリパックの耐久性及び耐湿性は大幅に改善され、これによって、PCMを効果的に保護し、部品点数を大幅に削減し、及び製造プロセス能力を大幅に改善する。
【0066】
図8〜図10は、ラベル400を、図7において示されたように製造されたバッテリセルに貼り付けるプロセスを典型的に示す図である。
【0067】
これら図面を参照すると、ラベル400は、バッテリセル10の1つの主要な面を覆うための第一の貼付面410と、バッテリセル10の対向する側面を覆うための、第一の貼付面410から延在する第二の貼付面420及び第三の貼付面430と、PCM300を覆うための、第一の貼付面410から延在する第四の貼付面440とを含むシート構造を有するように構成されている
【0068】
その結果として、バッテリセル10の1つの主要な面は第一の貼付面410に配置され、第二の貼付面420及び第三の貼付面430は曲げられ、かつバッテリセル10の対向する側面に貼り付けられ、これにより第二の貼付面420及び第三の貼付面430はバッテリセル10の対向する側面を覆い、及び第四の貼付面440は曲げられ、これにより第四の貼付面440はPCMを覆う。このようにして、ラベル400はバッテリセル10に取り付けられる。
【0069】
製品情報を表示するラベル400は、バッテリセル10の対向する横側、及び外側において絶縁状態を保持しつつ、より安定的にバッテリセルの電極端子とPCBとの間の電気的な接続を確保する。
【0070】
本発明の例示的な実施形態が例示を目的として開示されたが、当業者は、様々な変更、追加及び置換が、添付の特許請求の範囲において開示されている本発明の技術的範囲及び精神から逸脱することなく可能であることを理解する。
【符号の説明】
【0071】
10 バッテリセル
11 カソード端子
12 アノード端子
13 熱溶着された余剰部
15 ニッケルプレート
18 バッテリケース
100 PCB
101 カソード端子接続部
102 安全要素接続部
110 外部入出力端子
111 コネクタ
120 安全要素
200 第一のケース
201 開口
204 締結孔
210 第二のケース
211、213 孔
214 締結突起
300 PCM
400 ラベル
410 第一の貼付面
420 第二の貼付面
430 第三の貼付面
440 第四の貼付面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリセルのアノード端子であって、プレート形状の導電性部材から成り、保護回路モジュール(PCM)に安全要素を介して電気的に接続されているアノード端子と、
バッテリセルのカソード端子であって、プレート形状の導電性部材から成り、前記PCMに直接電気的に接続されているカソード端子と、
バッテリセルであって、前記バッテリセルの一端に形成された前記アノード端子及び前記カソード端子を有し、前記バッテリセルの端部に、熱溶着された余剰部が設けられているバッテリセルと、
PCMであって、
上に形成された保護回路を有するプリント回路基板(PCB)であって、その一方の 側にカソード端子接続部及び安全要素接続部が設けられ、且つその他方の側に外部入出 力端子接続部が設けられるPCBと、
前記PCBの保護回路に前記PCBの外部入出力端子接続部を介して電気的に接続さ れる外部入出力端子と、
組立タイプの締結構造によって互いに連結されて、前記PCB及び前記安全要素を覆 う第一のケース及び第二のケースと、
を備え、前記バッテリセルの熱溶着された余剰部に、前記PCMが前記安全要素及び前記バッテリセルに電気的に接続された状態で搭載される、PCMと、
を備える二次バッテリパック。
【請求項2】
前記第一のケースには、少なくとも1つの締結孔(又は締結突起)が設けられ、前記締結孔を通じて前記第一のケースは前記第二のケースに連結され、前記第二のケースには、前記第一のケースの前記締結孔(又は締結突起)に対応する少なくとも1つの締結突起(又は締結孔)が設けられることを特徴とする請求項1に記載の二次バッテリパック。
【請求項3】
前記少なくとも1つの締結孔と、前記少なくとも1つの締結孔に対応する前記少なくとも1つの締結突起とは、互いに向かい合う前記第一のケース及び前記第二のケースの外周面に形成されることを特徴とする請求項2に記載の二次バッテリパック。
【請求項4】
前記バッテリセルは、金属層及び樹脂層を備えるラミネートシートから成るバッテリケース内にシールされた状態で取り付けられたカソード/セパレータ/アノード構造の電極組立体を有する二次バッテリであることを特徴とする請求項1に記載の二次バッテリパック。
【請求項5】
前記カソード端子接続部及び前記安全要素接続部はニッケルプレートから成ることを特徴とする請求項1に記載の二次バッテリパック。
【請求項6】
前記ニッケルプレートのそれぞれは、前記ニッケルプレートのそれぞれの一端が垂直に曲げられ、一方、前記ニッケルプレートのそれぞれの他端が前記PCBの後面に連結されるように構成されることを特徴とする請求項5に記載の二次バッテリパック。
【請求項7】
前記安全要素は正温度係数(PTC)要素又はヒューズを備えていることを特徴とする請求項1に記載の二次バッテリパック。
【請求項8】
前記第一のケース又は前記第二のケースには開口が設けられ、前記開口を通じて、前記PCMに配置された前記安全要素が外部に露出することを特徴とする請求項1に記載の二次バッテリパック。
【請求項9】
前記外部入出力端子は、一端に取り付けられたコネクタを有するワイヤの形状に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の二次バッテリパック。
【請求項10】
ニッケルプレートが、カソード端子の一方の側に超音波溶着によってさらに取り付けられ、前記ニッケルプレートは前記カソード端子接続部に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の二次バッテリパック。
【請求項11】
前記第一のケース及び/又は前記第二のケースが、孔であって、前記孔を通じて前記バッテリセルの電極端子が挿入される孔と、孔であって、前記孔を通じて前記外部入出力端子が外部に延出する孔と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の二次バッテリパック。
【請求項12】
前記外部入出力端子を除いた前記PCM並びに前記バッテリセルの横側及び外側に貼り付けられ、これにより前記PCM並びに前記バッテリセルの横側及び外側を覆うラベルをさらに備える請求項1に記載の二次バッテリパック。
【請求項13】
前記ラベルは、前記バッテリセルの1つの主要な面を覆うための第一の貼付面と、前記バッテリセルの対向する側面を覆うための、前記第一の貼付面から延在する第二の貼付面及び第三の貼付面と、前記PCMを覆うための、前記第一の貼付面から延在する第四の貼付面と、を備えるシート構造を有するように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の二次バッテリパック。
【請求項14】
バッテリセルの上端に形成されたプレート形状の導電性部材からなる電極端子を有するプレート形状の前記バッテリセルの頂部に取り付けられる保護回路モジュール(PCM)であって、前記PCMは、
プリント回路基板(PCB)であって、その上に形成された保護回路を有し、その一方の側にカソード端子接続部及び安全要素接続部が設けられ、且つその他方の側に外部入出力端子接続部が設けられるPCBと、
前記PCBの前記保護回路に前記PCBの前記外部入出力端子接続部を介して電気的に接続されている外部入出力端子と、
組立タイプの締結構造によって互いに連結されて前記PCB及び前記安全要素を覆う第一のケース及び第二のケースと、
を備えることを特徴とする保護回路モジュール。
【請求項15】
前記安全要素は、前記安全要素の一端が前記安全要素接続部に、前記安全要素の他端が前記バッテリセルの前記アノード端子に連結されている状態で接続されるように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の保護回路モジュール。
【請求項16】
前記カソード端子接続部及び前記安全要素接続部は、前記カソード端子接続部の一端及び前記安全要素接続部の一端が垂直に曲げられ、一方で、前記カソード端子接続部の他端及び前記安全要素接続部の他端が前記PCBの後面に連結されるように構成されることを特徴とする請求項14に記載の保護回路モジュール。
【請求項17】
前記第一のケース及び/又は前記第二のケースは、孔であって、前記孔を通じて前記バッテリセルの前記電極端子が挿入される孔と、孔であって、前記孔を通じて前記外部入出力端子が外部に延出する孔と、を備えることを特徴とする請求項14に記載の保護回路モジュール。
【請求項18】
前記第一のケースには少なくとも1つの締結孔(又は締結突起)が設けられ、前記締結孔を通じて前記第一のケースが前記第二のケースに連結され、且つ、前記第二のケースには、前記第一のケースの前記締結孔(又は締結突起)に対応する少なくとも1つの締結突起(又は締結孔)が設けられることを特徴とする請求項14に記載の保護回路モジュール。
【請求項19】
前記少なくとも1つの締結孔と、前記少なくとも1つの締結孔に対応する前記少なくとも1つの締結突起とは、互いに向かい合う前記第一のケース及び前記第二のケースの外周面に形成されることを特徴とする請求項18に記載の保護回路モジュール。
【請求項20】
前記第一のケース又は前記第二のケースには開口が設けられ、前記開口を通じて、前記PCMに配置された前記安全要素が外部に露出することを特徴とする請求項18に記載の保護回路モジュール。
【請求項21】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の二次バッテリパックを製造する方法であって、
(a)ワイヤタイプの外部入出力端子を、PCBの一方の側に形成された外部入出力端子接続部に接続するステップと、
(b)ニッケルプレートを、バッテリセルのカソード端子の後面に、超音波溶着によって接続するステップと、
(c)安全要素の一端を、前記PCBの後面に形成された安全要素接続部に、前記安全要素の他端が前記バッテリセルのカソード端子の後面に接続された状態で接続し、前記カソード端子をカソード端子接続部に接続するステップと、
(d)前記外部入出力端子が、前記接続部が前記バッテリセルに平行に配列されるようにPCMが配置された状態で外部に延在するように、第一のケース及び第二のケースを連結し、これによって前記PCMを組み立てるステップと、
(e)前記バッテリセルの前記電極端子を曲げ、前記PCMを前記バッテリセルの熱溶着された余剰部に取り付けるステップと、
を備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−38065(P2013−38065A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−105179(P2012−105179)
【出願日】平成24年5月2日(2012.5.2)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】