説明

改善された横方向バネ装置を有する軌道車両のための走行装置

本発明は、少なくとも1つのホイールセットと、1次バネ装置(4)を介して前記ホイールセットに支持された走行装置フレーム(3)と、車体(5)を前記走行装置フレーム上に支持するための2次バネ装置−この2次バネ装置は、特に空気バネ(6)によって構成されている−と、横方向バネ装置(19,20)とを有する軌道車両のための走行装置に関する。横方向及びロール運動を良好かつ僅かな相互影響でコントロールすることができるように、横方向バネ装置(19,20)及び/又は横方向減衰装置(16)は、2次バネ装置(6)の上及び車体(5)の底部の下に配設される。この場合、例えば横方向ダンパ(16)は、保持装置(17)に支持され、この保持装置は、特に2次バネ装置(6)の2つの弾性要素の間の中心に配設されている。この中心配設によって、走行装置の横方向と回転方向の振動の連結は何ら行なわれず、これにより、弾性要素の効果が向上させられ、アクティブな調整システムにおいて高い調整品質が可能にされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの車輪セットと、1次バネ装置を介して前記車輪セットに支持された走行装置フレームと、車体を前記走行装置フレーム上に支持するための2次バネ装置と、横方向バネ装置とを有する軌道車両のための走行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気バネが設けられた軌道車両の空気バネには、通常横方向バネと横方向ダンパが付設されている。2つの空気バネと1つの中央スピンドルを有する空気バネが設けられた軌道車両の典型的な構造様式において、横方向バネと横方向ダンパは、普通、長手方向に偏心した、又は低い中央の位置に配設される。両方の位置は、大抵は動的特性を不利なものにする。長手方向に偏心した位置での配設は、回転振動を寄生させ、バネ装置の効果を低下させる。低い中央の位置は、ロール運動を高め、したがって横方向及びロール運動の減衰を低下させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の基本にある課題は、前記の欠点を回避する冒頭で述べた様式の走行装置を変更することである。コンパクトな構造様式であっても、バネ装置が非常に良好なできるだけ高い機能性を提供するこの種の走行装置を提供すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、冒頭で述べた様式の走行装置において、本発明によれば、請求項1の特徴によって解決される。本発明による走行装置は、本質的に、横方向バネ装置及び/又は横方向減衰装置が、2次バネ装置の上及び車体の底部の下に配設されていることを特徴とする。この場合、横方向バネ装置は、特に走行装置の中心に配設されている。横方向バネ装置もしくは横方向減衰装置をこのように高く中心に配設することによって、横方向、ロール運動を良好にすること、及び僅かな相互作用によってコントロールすることができる。横方向バネ装置もしくは横方向減衰装置を中央(中心)に配設することによって、走行装置の横方向振動と回転振動の連結は何ら行なわれず、これは、バネ装置要素の効果を高め、アクティブな調整システムにおいて、高い調整品質を可能にする。本発明による走行装置は、構造様式が最もコンパクトであっても最大の機能性と効率を提供する。この走行装置は、比較的簡単な構造によって際立っており、相応に安価に実現することができる。
【0005】
本発明による走行装置の好ましい有利な形成は、下位の請求項に記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下で、複数の実施例を図示した図面を基にして本発明を詳細に説明する。
【0007】
図1に図示された走行装置は、複数の車輪セットを備え、これらの車輪セットの内、1つの車輪セットの軌道輪2を有する1つの軸部分1だけが簡単さのために図示されている。この車輪セットは、それぞれブレーキ(示されてない)を含めて、例えばディスクブレーキが設けられており、軸ガイド(示されてない)内に案内されている。
【0008】
走行装置は、更に、コイルバネの形の1次バネ装置4を介して車輪セットに支持されている走行装置フレーム3から成る。走行装置フレーム3上には、軌道車両の車体5が、例えば旅客輸送のための長距離列車の車体が、2次バネ装置6を介して支持されている。車体5の内、ここでは本質的に車体底部だけが図示されている。2次バネ装置は、空気バネ6として形成されている少なくとも2つのバネ装置ユニットから成る。空気バネ6は、それぞれ1つの空気バネベロー7、補助容積部8、及び垂直方向に作用する補助バネ9を備える。空気バネ6の構成要素7〜9は、好ましくはできるだけ近くに並んで配設されている。この方法で、場合によっては望ましくない絞り作用もしくは高い周波数での動的硬化に至ってしまう長い接続ラインを回避することができる。図1に図示されているように、空気バネ6の構成要素7〜9は、直接重なり合って配設されている。
【0009】
空気バネ6の上には、トラバースの形の中間メンバ10が配設されており、その上に、それ自身公知の傾倒装置が取り付けられており、この傾倒装置によって、車体5は、特にカーブの走行中に制御されてその長手方向軸を中心として傾斜させることができる。中間トラバース10上に配設された傾倒装置は、特に4つのローラ11を有し、これらのローラは、トラバース10の特殊な保持装置内に支承されている。4つのローラの内、ここでは2つのローラ11だけが示されている。ローラ11の上に車体トラバース12が載っており、この車体トラバースは、その下面に、ローラ11に対応するローラ軌道13を備える。ローラ軌道13は、湾曲させること、もしくは凸に形成することができる。図示された実施例では、本質的に平坦なローラ軌道13から成り、これらのローラ軌道は、異なった方向に傾けられているので、Vの脚のようなその延長部は、一点で公差する。車体トラバース12は、特殊な結合要素14を介して車体5と結合されている。ローラ11もしくはローラ軌道13は、車体5の長手方向中心軸もしくは垂直な長手方向中心面に対して本質的に対称に配設されている。
【0010】
中間トラバース10と車体トラバース12には、アクチュエータ15の終端が枢着されており、このアクチュエータは、例えば電機式、液圧式、又は電気液圧式の傾倒アクチュエータ、特に2重作用する液圧シリンダとすることができる。
【0011】
中間トラバース10の上には、横方向ダンパ16が配設されている。この横方向ダンパ16は、一端で中間トラバースに、他端で保持装置17を介して走行装置フレーム13に支持されている。横方向ダンパ16は、特にセミアクティブの横方向ダンパとすることができる。横方向ダンパ16に付設された保持装置17は、本質的に両方の空気バネ6の間の中心に配設されており、走行装置フレーム3から空気バネ6の上のレベルに至るまで延在する。走行装置フレーム3は、このため例えばシャフト状の開口部もしくは切欠き部18を備え、この開口部もしくは切欠き部を経て、保持装置が突出する。走行装置フレーム3は、2つのクロスメンバを備える。横方向ダンパ16を支持する保持装置17は、走行装置フレーム3の両方のクロスメンバと結合されているか、もしくは特にフレーム3の両方のクロスメンバの長手方向の結合部によって構成されている。この保持装置17には、加えて漸進的な横方向バネ19が取り付けられており、この横方向バネは、走行装置フレーム3と中間トラバース10(「ホールド−オフ−デバイス」)の間の横方向の相対経路を制限するために使用され、同様に中間トラバース10に支持されている。全身的に作用する横方向バネ19は、中間トラバース10の直下に配設されている。
【0012】
長手方向で空気バネ6の前後には、それぞれ1つの横方向バネ20が、走行装置フレーム3と中間トラバース10の間に配設されており、これらの横方向バネの内、ここでは1つの横方向バネだけが示されている。走行装置フレーム3と中間トラバース10に保持装置を介して支持されている横方向バネ20は、特にフレームの空所内に配設されている。
【0013】
横方向ダンパ16が傾倒装置の4つのローラ11の2つのローラの間に配設されていることを認めることができる。他の2つのローラの間には、傾倒装置のアクチュエータ15が配設されている。
【0014】
空気バネ6の外側には、それぞれ1つの垂直ダンパ21が走行装置フレーム3と中間トラバース10の間に配設されている。配設に応じて、1つ又は2つのロールスタビライザ22が存在する。ロールスタビライザのトーションバーが、走行装置フレーム3に支承されているのに対し、空気バネ6の外側のスタビライザリンク(リンク成分)23は、中間メンバ10に枢着されている。
【0015】
図2に概略的に図示された実施例は、パッシブに作用する横方向バネとパッシブに作用する横方向ダンパの代わりに、アクティブな横方向バネ装置が、中間トラバース10の上、従って空気バネ6(2次バネ装置)の上に配設されている。アクティブな横方向バネ装置は、ここでは2つのアクティブな横方向バネ24,25から構成されており、これらの横方向バネは、中間トラバース10の開口部18を貫通する保持装置17の上端部と中間トラバース10に固定されている。2つのアクティブな横方向バネ24,25の代わりに、ただ1つのアクティブな横方向バネを保持装置17に設けることも可能である。保持装置17は、更にまた車体5の長手方向中心面内に配設されており、その他端で走行装置フレーム3に固定されている。車体5は、ここでは同様に傾倒装置を備えている。車体5に車体トラバース12が取り付けられており、この車体トラバースが、その下面にアーチ状に湾曲したローラ軌道13を備え、このローラ軌道を介して、車体5が中間トラバース10に支承されたローラ11上に載っていることを認めることができる。
【0016】
図3には、本発明による走行装置の第3の実施例が図示されている。図1及び図2による実施例とは違い、車体5は、ここでは傾倒装置を何ら備えていない。空気バネ6の間のほぼ中心もしくはほぼ車体5の長手方向中心面内に配設された保持装置17は、更にまた走行装置フレーム3に取り付けられている。保持装置の上端部には、横方向バネ27が支持されており、この横方向バネの他端は、車体トラバース28に支持されている。横方向バネ27は、特にセミアクティブ又はアクティブの気圧式、液圧式、液圧気圧式、電機式、又は電気液圧式の弾性及び減衰要素として形成されている。空気バネ6に対して平行に、垂直ダンパ21が配設されており、これらの垂直ダンパは、走行装置フレームと車体トラバース28に枢着されている。車体トラバース28は、更にまた特殊な結合要素14を介して車体5と結合されている。
【0017】
これにより、本発明は、走行装置と車体の間のインタフェースを基本的に変更する必要や、車体構造に介入することなしに、選択的に、アクティブの横方向バネ、セミアクティブの横方向ダンパ、及び傾倒技術のオプションを備えているモジュール式の走行装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による走行装置の第1の実施例の概略図を示す。
【図2】本発明による走行装置の第2の実施例の概略図を示す。
【図3】本発明による走行装置の第3の実施例の概略図を示す。
【符号の説明】
【0019】
1 軸部分
2 軌道輪
3 走行装置フレーム
4 1次バネ装置(コイルバネ)
5 車体
6 空気バネ(2次バネ装置)
7 空気バネベロー
8 空気バネの補助容積部
9 空気バネの補助バネ
10 中間メンバ(中間トラバース)
11 ローラ
12 車体トラバース
13 ローラ軌道
14 結合要素
15 アクチュエータ
16 横方向ダンパ
17 保持装置
18 開口部(切欠き部)
19 漸進的な横方法バネ
20 横方向バネ
21 垂直ダンパ
22 ロールスタビライザ
23 スタビライザリンク
24 アクティブな横方向バネ
25 アクティブな横方向バネ
26 車体トラバース内の開口部
27 セミアクティブ又はアクティブな横方向バネ
28 車体トラバース
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの車輪セットと、1次バネ装置を介して前記車輪セットに支持された走行装置フレームと、車体を前記走行装置フレーム上に支持するための2次バネ装置と、軌道車両の長手方向軸を中心として車体を制御しつつ傾斜させるための傾倒装置と、横方向バネ装置とを有する軌道車両のための走行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気バネが設けられた軌道車両の空気バネには、通常横方向バネと横方向ダンパが付設されている。2つの空気バネと1つの中央スピンドルを有する空気バネが設けられた軌道車両の典型的な構造様式において、横方向バネと横方向ダンパは、普通、長手方向に偏心した、又は低い中央の位置に配設される。両方の位置は、大抵は動的特性を不利なものにする。長手方向に偏心した位置での配設は、回転振動を寄生させ、バネ装置の効果を低下させる。低い中央の位置は、ロール運動を高め、したがって横方向及びロール運動の減衰を低下させる。
【0003】
特許文献1から、2軸の駆動機構を有する軌道車両のためのボギー走行装置が公知である。駆動機構は、1次バネ装置を介してフレームに固定されており、このフレームには、2次バネ装置の介在の下に、走行方向に対して横方向に整向された振り子メンバが配設されている。振り子メンバは、車両長手方向に延在する軸を中心として旋回可能に車体を担持する横置きの傾斜可能なトラバースと結合されており、このトラバースは、フレーム状に形成されており、走行方向に対して横に整向された2つのトラバースクロスメンバを備え、これらのトラバースクロスメンバは、振り子メンバの前もしくは後に配設されている。この場合、トラバースクロスメンバは、走行方向に振り子メンバに支持され、かつ走行方向に対して横にこの振り子メンバにスライド可能に配設されている。更に、トラバースは、両クロスメンバを振り子メンバの下で結合する中央の中心部分を備え、この中心部分は、軸力を吸収するために、トラバースが本質的に垂直な軸を中心として回転可能かつ本質的に走行方向に対して横に転向可能である様式で、連珠形ガイドを介して走行装置のフレームに結合されている。
【0004】
特許文献2には、1次バネ装置を介して車輪セットに支持された走行装置フレームと車体を走行装置フレームに支持するための2次バネ装置をそれぞれ備える2軸の走行装置を有する2階建て鉄道車両が示されている。走行装置は、更にそれぞれ横方向バネ装置を備えており、これらの横方向バネ装置は、2次バネ装置の上及び車体スペース内の上の車体デッキの底部の下に配設されている。
【特許文献1】米国特許第6,247,413(B1)号明細書
【特許文献2】米国特許第3,877,389号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の基本にある課題は、上で述べた従来の空気バネが設けられた軌道車両の欠点を備えることのない冒頭で述べた様式の走行装置を提供することである。コンパクトな構造様式であっても、バネ装置が非常に良好なできるだけ高い機能性を提供するこの種の走行装置を提供すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、冒頭で述べた様式の走行装置において、本発明によれば、請求項1の特徴によって解決される。
【0007】
本発明による走行装置の場合、横方向バネ装置又は横方向減衰装置、2次バネ装置の上及び車体の底部の下に配設されている。更に、2次バネ装置の上に、中間メンバが配設されており、この中間メンバに、走行装置フレームに対する車体の傾斜を調整するためのアクチュエータが支持されている。中間メンバは、切欠き部を備え、この切欠き部を経て、横方向バネ装置又は横方向減衰装置を支持する保持装置が突出する。
【0008】
この場合、横方向バネ装置は、特に走行装置の中心に配設されている。横方向バネ装置もしくは横方向減衰装置をこのように高く中心に配設することによって、横方向、ロール運動を良好にすること、及び僅かな相互作用によってコントロールすることができる。横方向バネ装置もしくは横方向減衰装置を中央(中心)に配設することによって、走行装置の横方向振動と回転振動の連結は何ら行なわれず、これは、バネ装置要素の効果を高め、アクティブな調整システムにおいて、高い調整品質を可能にする。本発明による走行装置は、構造様式が最もコンパクトであっても最大の機能性と効率を提供する。この走行装置は、比較的簡単な構造によって際立っており、相応に安価に実現することができる。
【0009】
本発明による走行装置の好ましい有利な形成は、下位の請求項に記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下で、複数の実施例を図示した図面を基にして本発明を詳細に説明する。
【0011】
図1に図示された走行装置は、複数の車輪セットを備え、これらの車輪セットの内、1つの車輪セットの軌道輪2を有する1つの軸部分1だけが簡単さのために図示されている。この車輪セットは、それぞれブレーキ(示されてない)を含めて、例えばディスクブレーキが設けられており、軸ガイド(示されてない)内に案内されている。
【0012】
走行装置は、更に、コイルバネの形の1次バネ装置4を介して車輪セットに支持されている走行装置フレーム3から成る。走行装置フレーム3上には、軌道車両の車体5が、例えば旅客輸送のための長距離列車の車体が、2次バネ装置6を介して支持されている。車体5の内、ここでは本質的に車体底部だけが図示されている。2次バネ装置は、空気バネ6として形成されている少なくとも2つのバネ装置ユニットから成る。空気バネ6は、それぞれ1つの空気バネベロー7、補助容積部8、及び垂直方向に作用する補助バネ9を備える。空気バネ6の構成要素7〜9は、好ましくはできるだけ近くに並んで配設されている。この方法で、場合によっては望ましくない絞り作用もしくは高い周波数での動的硬化に至ってしまう長い接続ラインを回避することができる。図1に図示されているように、空気バネ6の構成要素7〜9は、直接重なり合って配設されている。
【0013】
空気バネ6の上には、トラバースの形の中間メンバ10が配設されており、その上に、それ自身公知の傾倒装置が取り付けられており、この傾倒装置によって、車体5は、特にカーブの走行中に制御されてその長手方向軸を中心として傾斜させることができる。中間トラバース10上に配設された傾倒装置は、特に4つのローラ11を有し、これらのローラは、トラバース10の特殊な保持装置内に支承されている。4つのローラの内、ここでは2つのローラ11だけが示されている。ローラ11の上に車体トラバース12が載っており、この車体トラバースは、その下面に、ローラ11に対応するローラ軌道13を備える。ローラ軌道13は、湾曲させること、もしくは凸に形成することができる。図示された実施例では、本質的に平坦なローラ軌道13から成り、これらのローラ軌道は、異なった方向に傾けられているので、Vの脚のようなその延長部は、一点で公差する。車体トラバース12は、特殊な結合要素14を介して車体5と結合されている。ローラ11もしくはローラ軌道13は、車体5の長手方向中心軸もしくは垂直な長手方向中心面に対して本質的に対称に配設されている。
【0014】
中間トラバース10と車体トラバース12には、アクチュエータ15の終端が枢着されており、このアクチュエータは、例えば電機式、液圧式、又は電気液圧式の傾倒アクチュエータ、特に2重作用する液圧シリンダとすることができる。
【0015】
中間トラバース10の上には、横方向ダンパ16が配設されている。この横方向ダンパ16は、一端で中間トラバースに、他端で保持装置17を介して走行装置フレーム13に支持されている。横方向ダンパ16は、特にセミアクティブの横方向ダンパとすることができる。横方向ダンパ16に付設された保持装置17は、本質的に両方の空気バネ6の間の中心に配設されており、走行装置フレーム3から空気バネ6の上のレベルに至るまで延在する。走行装置フレーム3は、このため例えばシャフト状の開口部もしくは切欠き部18を備え、この開口部もしくは切欠き部を経て、保持装置が突出する。走行装置フレーム3は、2つのクロスメンバを備える。横方向ダンパ16を支持する保持装置17は、走行装置フレーム3の両方のクロスメンバと結合されているか、もしくは特にフレーム3の両方のクロスメンバの長手方向の結合部によって構成されている。この保持装置17には、加えて漸進的な横方向バネ19が取り付けられており、この横方向バネは、走行装置フレーム3と中間トラバース10(「ホールド−オフ−デバイス」)の間の横方向の相対経路を制限するために使用され、同様に中間トラバース10に支持されている。全身的に作用する横方向バネ19は、中間トラバース10の直下に配設されている。
【0016】
長手方向で空気バネ6の前後には、それぞれ1つの横方向バネ20が、走行装置フレーム3と中間トラバース10の間に配設されており、これらの横方向バネの内、ここでは1つの横方向バネだけが示されている。走行装置フレーム3と中間トラバース10に保持装置を介して支持されている横方向バネ20は、特にフレームの空所内に配設されている。
【0017】
横方向ダンパ16が傾倒装置の4つのローラ11の2つのローラの間に配設されていることを認めることができる。他の2つのローラの間には、傾倒装置のアクチュエータ15が配設されている。
【0018】
空気バネ6の外側には、それぞれ1つの垂直ダンパ21が走行装置フレーム3と中間トラバース10の間に配設されている。配設に応じて、1つ又は2つのロールスタビライザ22が存在する。ロールスタビライザのトーションバーが、走行装置フレーム3に支承されているのに対し、空気バネ6の外側のスタビライザリンク(リンク成分)23は、中間メンバ10に枢着されている。
【0019】
図2に概略的に図示された実施例は、パッシブに作用する横方向バネとパッシブに作用する横方向ダンパの代わりに、アクティブな横方向バネ装置が、中間トラバース10の上、従って空気バネ6(2次バネ装置)の上に配設されている。アクティブな横方向バネ装置は、ここでは2つのアクティブな横方向バネ24,25から構成されており、これらの横方向バネは、中間トラバース10の開口部18を貫通する保持装置17の上端部と中間トラバース10に固定されている。2つのアクティブな横方向バネ24,25の代わりに、ただ1つのアクティブな横方向バネを保持装置17に設けることも可能である。保持装置17は、更にまた車体5の長手方向中心面内に配設されており、その他端で走行装置フレーム3に固定されている。車体5は、ここでは同様に傾倒装置を備えている。車体5に車体トラバース12が取り付けられており、この車体トラバースが、その下面にアーチ状に湾曲したローラ軌道13を備え、このローラ軌道を介して、車体5が中間トラバース10に支承されたローラ11上に載っていることを認めることができる。
【0020】
これにより、本発明は、走行装置と車体の間のインタフェースを基本的に変更する必要や、車体構造に介入することなしに、選択的に、アクティブの横方向バネ、セミアクティブの横方向ダンパ、及び傾倒技術のオプションを備えているモジュール式の走行装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による走行装置の第1の実施例の概略図を示す。
【図2】本発明による走行装置の第2の実施例の概略図を示す。
【符号の説明】
【0022】
1 軸部分
2 軌道輪
3 走行装置フレーム
4 1次バネ装置(コイルバネ)
5 車体
6 空気バネ(2次バネ装置)
7 空気バネベロー
8 空気バネの補助容積部
9 空気バネの補助バネ
10 中間メンバ(中間トラバース)
11 ローラ
12 車体トラバース
13 ローラ軌道
14 結合要素
15 アクチュエータ
16 横方向ダンパ
17 保持装置
18 開口部(切欠き部)
19 漸進的な横方法バネ
20 横方向バネ
21 垂直ダンパ
22 ロールスタビライザ
23 スタビライザリンク
24 アクティブな横方向バネ
25 アクティブな横方向バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの車輪セットと、1次バネ装置(4)を介して前記車輪セットに支持された走行装置フレーム(3)と、車体(5)を前記走行装置フレーム上に支持するための2次バネ装置と、横方向バネ装置とを有する軌道車両のための走行装置において、前記横方向バネ装置(19,20,24,25,27)及び/又は横方向減衰装置(16)が、前記2次バネ装置(6)の上及び前記車体(5)の底部の下に配設されていることを特徴とする走行装置。
【請求項2】
2次バネ装置(6)が、少なくとも2つのバネ装置ユニットによって構成されており、横方向バネ装置が、前記バネ装置ユニットの間のほぼ中心に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の走行装置。
【請求項3】
横方向バネ装置(19,24,25,27)が、少なくとも1つの保持装置(17)を介して走行装置フレーム(3)に支持されており、前記保持装置(17)が、走行装置フレーム(3)から2次バネ装置(6)の下のレベルにまで延在することを特徴とする請求項1又は2に記載の走行装置。
【請求項4】
保持装置(17)が、2次バネ装置(6)の2つのバネ装置ユニットの間のほぼ中心に配設されていることを特徴とする請求項3に記載の走行装置。
【請求項5】
走行装置フレーム(3)が、2つのクロスメンバを備え、横方向バネ装置を支持する保持装置(17)が、前記両クロスメンバと結合されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の走行装置。
【請求項6】
バネ装置ユニットが、空気バネ(6)として形成されていることを特徴とする請求項2又は4に記載の走行装置。
【請求項7】
バネ装置ユニットが、それぞれ1つの空気バネベロー(7)、補助容積部(8)、及び垂直方向に作用する補助バネ(9)を備えることを特徴とする請求項2,4又は6に記載の走行装置。
【請求項8】
横方向バネ装置が、少なくとも1つの横方向バネ(19,20)及び少なくとも1つの横方向ダンパ(16)によって構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の走行装置。
【請求項9】
横方向ダンパ(16)が、セミアクティブの横方向ダンパであることを特徴とする請求項8に記載の走行装置。
【請求項10】
横方向バネ装置が、少なくとも1つのアクティブ又はセミアクティブの横方向バネ装置設備(24,25,27)によって構成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の走行装置。
【請求項11】
軌道車両の走行方向に見て2次バネ装置(6)の前後に、それぞれ少なくとも1つの横方向バネ(20)が配設されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の走行装置。
【請求項12】
横方向バネ(20)が、それぞれ走行装置フレーム(3)の空所の領域に配設されていることを特徴とする請求項11に記載の走行装置。
【請求項13】
走行装置フレーム(3)に、少なくとも1つのロールスタビライザ(22)が取り付けられていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の走行装置。
【請求項14】
軌道車両の長手方向軸を中心として車体(5)を制御しつつ傾斜させるための傾倒装置が設けられていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載の走行装置。
【請求項15】
傾倒装置が、交点に向かって傾斜している湾曲した又は平坦なローラ軌道(13)に当接する少なくとも2つのローラ(11)を備え、これらローラ(11)の間に、走行装置フレーム(3)に対する車体(5)の傾斜を調整するためのアクチュエータ(15)が配設されていることを特徴とする請求項14に記載の走行装置。
【請求項16】
2次バネ装置(6)の上に、中間メンバ(10)が配設されており、この中間メンバに、傾倒装置のアクチュエータ(15)並びにローラ(11)が支持されていることを特徴とする請求項14又は15に記載の走行装置。
【請求項17】
中間メンバ(10)が、切欠き部(18)を備え、この切欠き部を経て、横方向バネ装置及び/又は横方向減衰装置を支持する保持装置(17)が突出することを特徴とする請求項16に記載の走行装置。
【請求項18】
ロールスタビライザ(22)が、リンク成分(23)を介して中間メンバ(10)と結合されていることを特徴とする請求項13又は16又は17に記載の走行装置。
【請求項19】
横方向バネ装置が、少なくとも1つの漸進的に作用する横方向バネ(19)を有し、この横方向バネが、走行装置フレーム(3)と車体(5)又は中間メンバ(10)の間の横への移動を制限することを特徴とする請求項1〜18のいずれか1つに記載の走行装置。
【請求項20】
2次バネ装置に対して並行に、少なくとも1つの垂直ダンパ(21)が配設されていることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1つに記載の走行装置。
【請求項21】
垂直ダンパ(21)が、走行装置フレーム(3)と中間メンバ(10)に取り付けられていることを特徴とする請求項20又は16〜18のいずれか1つに記載の走行装置。
【請求項22】
ローラ軌道(13)が、車体トラバース(12)に形成されていることを特徴とする請求項15〜21のいずれか1つに記載の走行装置。
【請求項23】
アクチュエータ(15)の一端が、車体トラバース(12)に支持されていることを特徴とする請求項15又は21に記載の走行装置。
【請求項24】
車体トラバース(12)が、結合要素(14)を介して車体(5)と結合されていることを特徴とする請求項22又は23に記載の走行装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの車輪セットと、1次バネ装置(4)を介して前記車輪セットに支持された走行装置フレーム(3)と、車体(5)を前記走行装置フレーム上に支持するための2次バネ装置と、軌道車両の長手方向軸を中心として車体(5)を制御しつつ傾斜させるための傾倒装置と、横方向バネ装置(24,25)とを有する軌道車両のための走行装置であって、前記横方向バネ装置(24,25又は横方向減衰装置(16)が、前記2次バネ装置(6)の上及び前記車体(5)の底部の下に配設されており、前記2次バネ装置(6)の上に、中間メンバ(10)が配設されており、この中間メンバに、前記走行装置フレーム(3)に対する車体(5)の傾斜を調整するためのアクチュエータ(15)が支持されている、この走行装置において、
前記中間メンバ(10)が、切欠き部(18)を備え、この切欠き部を経て、前記横方向バネ装置(24,25)又は前記横方向減衰装置(16)を支持する保持装置(17)が突出することを特徴とする走行装置。
【請求項2】
2次バネ装置(6)が、少なくとも2つのバネ装置ユニットによって構成されており、横方向バネ装置(24,25)が、前記バネ装置ユニットの間のほぼ中心に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の走行装置。
【請求項3】
横方向バネ装置(24,25)が保持装置(17)を介して走行装置フレーム(3)に支持されており、前記保持装置(17)が、走行装置フレーム(3)から2次バネ装置(6)の下のレベルにまで延在することを特徴とする請求項1又は2に記載の走行装置。
【請求項4】
保持装置(17)が、2次バネ装置(6)の2つのバネ装置ユニットの間のほぼ中心に配設されていることを特徴とする請求項3に記載の走行装置。
【請求項5】
走行装置フレーム(3)が、2つのクロスメンバを備え、横方向バネ装置を支持する保持装置(17)が、前記両クロスメンバと結合されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の走行装置。
【請求項6】
バネ装置ユニットが、空気バネ(6)として形成されていることを特徴とする請求項2又は4に記載の走行装置。
【請求項7】
バネ装置ユニットが、それぞれ1つの空気バネベロー(7)、補助容積部(8)、及び垂直方向に作用する補助バネ(9)を備えることを特徴とする請求項2,4又は6に記載の走行装置。
【請求項8】
横方向減衰装置(16)が、セミアクティブの横方向ダンパから構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の走行装置。
【請求項9】
横方向バネ装置が、少なくとも1つのアクティブ又はセミアクティブの横方向バネ装置設備(24,25)によって構成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の走行装置。
【請求項10】
軌道車両の走行方向に見て2次バネ装置(6)の前後に、それぞれ少なくとも1つの横方向バネ(20)が配設されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の走行装置。
【請求項11】
横方向バネ(20)が、それぞれ走行装置フレーム(3)の空所の領域に配設されていることを特徴とする請求項10に記載の走行装置。
【請求項12】
走行装置フレーム(3)に、少なくとも1つのロールスタビライザ(22)が取り付けられていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の走行装置。
【請求項13】
傾倒装置が、交点に向かって傾斜している湾曲した又は平坦なローラ軌道(13)に当接する少なくとも2つのローラ(11)を備え、これらローラ(11)の間に、走行装置フレーム(3)に対する車体(5)の傾斜を調整するためのアクチュエータ(15)が配設されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の走行装置。
【請求項14】
ローラ(11)が、中間メンバ(10)に支持されていることを特徴とする請求項13に記載の走行装置。
【請求項15】
ロールスタビライザ(22)が、リンク成分(23)を介して中間メンバ(10)と結合されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つに記載の走行装置。
【請求項16】
横方向バネ装置が、少なくとも1つの漸進的に作用する横方向バネを有し、この横方向バネが、走行装置フレーム(3)と車体(5)又は中間メンバ(10)の間の横への移動を制限することを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載の走行装置。
【請求項17】
2次バネ装置に対して並行に、少なくとも1つの垂直ダンパ(21)が配設されていることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1つに記載の走行装置。
【請求項18】
垂直ダンパ(21)が、走行装置フレーム(3)と中間メンバ(10)に取り付けられていることを特徴とする請求項17に記載の走行装置。
【請求項19】
ローラ軌道(13)が、車体トラバース(12)に形成されていることを特徴とする請求項13又は14に記載の走行装置。
【請求項20】
アクチュエータ(15)の一端が、車体トラバース(12)に支持されていることを特徴とする請求項19に記載の走行装置。
【請求項21】
車体トラバース(12)が、結合要素(14)を介して車体(5)と結合されていることを特徴とする請求項19又は20に記載の走行装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−522707(P2006−522707A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505049(P2006−505049)
【出願日】平成16年4月7日(2004.4.7)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003733
【国際公開番号】WO2004/089716
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(501123466)ボンバルディール トランスポーテイション ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】Bombardier Transportation GmbH
【Fターム(参考)】