説明

改変トランスフェリン融合タンパク質

血清半減期または血清安定性が増大した、トランスフェリンと可溶性毒素受容体を含む治療タンパク質または治療ペプチドとの改変融合タンパク質が開示される。好ましい融合タンパク質には、トランスフェリン成分が、全くグリコシル化されないかグリコシル化が低下している、鉄に対して全く結合しないか結合が低下している、トランスフェリン受容体に対して全く結合しないか結合が低下している、の少なくともいずれかであるように改変された融合タンパク質が含まれる。


Notice: Undefined index: DEJ in /mnt/www/gzt_disp.php on line 298

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療タンパク質または治療ペプチドに融合された改変トランスフェリン(Tf)タンパク質を含む融合タンパク質であって、Tfタンパク質が、低下したグリコシル化、低下した金属の結合、または低下した受容体の結合を示す、融合タンパク質。
【請求項2】
治療タンパク質または前記治療ペプチドが、β−インターフェロン(IFN)、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、エリスロポエチンミメティックペプチド(EMP1)、T−20、インスリンおよび可溶性毒素受容体からなる群から選択される、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項3】
可溶性毒素受容体がシナプトタグミンIである、請求項2に記載の融合タンパク質。
【請求項4】
治療タンパク質もしくは治療ペプチドまたは可溶性毒素受容体が、TfのC末端に融合される、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項5】
治療タンパク質もしくは治療ペプチドまたは可溶性毒素受容体が、TfのN末端に融合される、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項6】
治療タンパク質もしくは治療ペプチドまたは可溶性毒素受容体が、Tfの少なくとも1つのループの中に挿入される、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項7】
Tfタンパク質がトランスフェリン受容体(TfR)に対する低下した親和性を有する、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項8】
Tfタンパク質がラクトフェリンである、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項9】
Tfタンパク質がTfRと結合しない、請求項7に記載の融合タンパク質。
【請求項10】
Tfタンパク質が鉄に対する低下した親和性を有する、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項11】
Tfタンパク質が鉄と結合しない、請求項10に記載の融合タンパク質。
【請求項12】
Tfタンパク質がグリコシル化を妨げる変異を少なくとも1つ含む、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項13】
Tfタンパク質がラクトフェリンである、請求項12に記載の融合タンパク質。
【請求項14】
ツニカマイシンの存在下で発現される、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項15】
Tfタンパク質が、Tfタンパク質のNドメインの一部、架橋ペプチド、およびTfタンパク質のCドメインの一部を含む、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項16】
架橋ペプチドにより治療タンパク質または治療ペプチドがTfに連結される、請求項15に記載の融合タンパク質。
【請求項17】
治療タンパク質または治療ペプチドが、Tfタンパク質のNドメインとCドメインとの間に挿入される、請求項15に記載の融合タンパク質。
【請求項18】
Tfタンパク質が、少なくとも1つのアミノ酸の置換、欠失または付加をヒンジ領域に含む、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項19】
ヒンジ領域が、配列番号3の94残基目付近〜96残基目付近、配列番号3の245残基目付近〜247残基目付近、配列番号3の316残基目付近〜318残基目付近、配列番号3の425残基目付近〜427残基目付近、配列番号3の581残基目付近〜582残基目付近、および配列番号3の652残基目付近〜658残基目付近からなる群から選択される、請求項18に記載の融合タンパク質。
【請求項20】
Tfタンパク質が、Asp63、Gly65、Tyr95、Tyr188、Lys206、His207、His249、Asp392、Tyr426、Tyr514、Tyr517、His585、Thr120、Arg124、Ala126、Gly127、Thr452、Arg456、Ala458およびGly459からなる群から選択される配列番号3内の位置における、少なくとも1つのアミノ酸の置換、欠失または付加を有する、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項21】
治療タンパク質または治療ペプチドにより、Tfの少なくとも1つのループが置き換えられる、請求項6に記載の融合タンパク質。
【請求項22】
グリコシル化部位が、配列番号3のアミノ酸N413および配列番号3のアミノ酸N611に対応するアミノ酸残基からなる群から選択される、請求項12に記載の融合タンパク質。
【請求項23】
Tfが、Asp63、Gly65、Tyr95、Tyr188、Lys206、His207、His249、Asp392、Tyr426、Tyr514、Tyr517、His585、Thr120、Arg124、Ala126、Gly127、Thr452、Arg456、Ala458およびGly459からなる群から選択される配列番号3内のアミノ酸に対応するアミノ酸残基において、少なくとも1つのアミノ酸の置換、欠失または付加を含む、請求項7または9に記載の融合タンパク質。
【請求項24】
TfのC末端のプロリン残基が欠失している、請求項4に記載の融合タンパク質。
【請求項25】
TfのC末端のシステインループが欠失している、請求項4に記載の融合タンパク質。
【請求項26】
治療タンパク質または治療ペプチドの血清半減期が、非融合状態の治療タンパク質もしくは治療ペプチドまたは可溶性毒素受容体の血清半減期よりも増大している、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項27】
Tfタンパク質がTfRと結合しない、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項28】
Tfタンパク質が低下したグリコシル化を示すか、またはグリコシル化を全く示さない、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項29】
グリコシル化を妨げる変異を少なくとも1つ含む、請求項28に記載の融合タンパク質。
【請求項30】
請求項1に記載される融合タンパク質をコードする核酸分子。
【請求項31】
請求項30に記載される核酸分子を含むベクター。
【請求項32】
請求項31に記載されるベクターを含む宿主細胞。
【請求項33】
請求項30に記載される核酸分子を含む宿主細胞。
【請求項34】
コードされる融合タンパク質を発現させる条件のもとで、請求項32に記載の宿主細胞を培養することを含む、Tf融合タンパク質を発現させる方法。
【請求項35】
コードされる融合タンパク質を発現させる条件のもとで、請求項33に記載の宿主細胞を培養することを含む、Tf融合タンパク質を発現させる方法。
【請求項36】
原核生物または真核生物である、請求項32に記載の宿主細胞。
【請求項37】
原核生物または真核生物である、請求項33に記載の宿主細胞。
【請求項38】
酵母細胞である、請求項36に記載の宿主細胞。
【請求項39】
酵母細胞である、請求項37に記載の宿主細胞。
【請求項40】
請求項30に記載される核酸分子を含む遺伝子組換え動物。
【請求項41】
請求項40に記載される遺伝子組換え動物から融合タンパク質を単離することを含む、Tf融合タンパク質を製造する方法。
【請求項42】
Tf融合タンパク質がラクトフェリンを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
融合タンパク質が遺伝子組換え動物から得られる生物学的液体から単離される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
液体が血清または乳汁である、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
請求項1に記載の融合タンパク質を投与するステップを含む、患者の疾患または疾患症状を治療する方法。
【請求項46】
Tfタンパク質がN末端ドメインをタンパク質の各末端に有する、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項47】
治療タンパク質もしくは治療ペプチドまたは可溶性毒素受容体が、Tfタンパク質の各N末端ドメインに融合される、請求項46に記載の融合タンパク質。
【請求項48】
可溶性毒素受容体が毒素に特異的に結合する、請求項2に記載の融合タンパク質。
【請求項49】
治療タンパク質または治療ペプチドが、β−IFN、GLP−1、エリスロポエチンミメティックペプチド(EMP1)、T−20、インスリンまたは可溶性毒素受容体のアナログであり、前記アナログは疾患、状態または障害を治療、予防または改善に効果的である、請求項2に記載の融合タンパク質。
【請求項50】
請求項1、2または3に記載される融合タンパク質と、担体とを含む医薬組成物。
【請求項51】
治療上有効な量の請求項1に記載の融合タンパク質を被験者に投与するステップを含む、被験者を治療する方法。
【請求項52】
被験者が多発性硬化症、脳腫瘍、皮膚ガン、B型肝炎またはC型肝炎に罹患しており、融合タンパク質がβ−IFNまたはそのアナログを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記被験者が多発性硬化症に罹患している、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
健常者と比較して被験者はグルコースレベルの上昇がみられ、融合タンパク質がGLP−1またはそのアナログを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
グルコースレベルの上昇が糖尿病に関連する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
糖尿病がII型糖尿病である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
健常者と比較して、被験者は低赤血球産生か不完全な赤血球産生がみられ、融合タンパク質がEMP1またはそのアナログを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項58】
低赤血球産生または不完全な赤血球産生が、貧血、β−サラセミア、妊娠障害、月経障害、関節リウマチ、AIDSおよびガンに関連する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
被験者がレトロウイルスの感染により引き起こされる疾患に罹患しており、治療ペプチドがウイルス進入の阻害剤である、請求項51に記載の方法。
【請求項60】
レトロウイルスがヒトレトロウイルスである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
ヒトレトロウイルスが、HIV−1、HIV−2、ヒトTリンパ球ウイルスI(HTLV−I)、HTLV−IIおよびHTLV−IIIからなる群から選択される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
レトロウイルスが非ヒトレトロウイルスである、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
非ヒトレトロウイルスが、ウシ白血病ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、ネコ白血病ウイルス、サル肉腫ウイルス、サル白血病ウイルスおよびヒツジ進行性肺炎ウイルスからなる群から選択される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
阻害剤がT−20、T−1249またはそれらのアナログである、請求項59に記載の方法。
【請求項65】
疾患がAIDSである、請求項59に記載の方法。
【請求項66】
治療上有効な量の、可溶性毒素受容体に融合された改変Tfタンパク質を含む融合タンパク質を被験者に投与することを含む、毒素に関連する疾患または状態を予防または治療する方法であって、改変Tfタンパク質が、低下したグリコシル化、低下した金属の結合、または低下した受容体の結合を示す、方法。
【請求項67】
可溶性毒素受容体が、炭疽菌毒素受容体、ボツリヌス毒素受容体およびジフテリア毒素受容体からなる群から選択される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
可溶性ボツリヌス毒素受容体がシナプトタグミンのアミノ酸1〜53(配列番号4)である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
治療タンパク質または治療ペプチドがトランスフェリンの1つ以上のループに挿入される、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項70】
治療タンパク質が5つのトランスフェリンのループのそれぞれに挿入される、請求項69に記載の融合タンパク質。
【請求項71】
GLP−1が1つの付加アミノ酸をN末端に更に含む、請求項2に記載の融合タンパク質。
【請求項72】
前記アミノ酸がGlyである、請求項71に記載の融合タンパク質。
【請求項73】
GLP−1アナログがN末端において改変トランスフェリンタンパク質に融合される、請求項71に記載の融合タンパク質。
【請求項74】
被験者のグルコースレベルを調節する方法であって、治療上有効な量の、GLP−1またはそのアナログと融合された改変Tfタンパク質を含む融合タンパク質を被験者に投与することを含み、改変Tfタンパク質が、低下したグリコシル化、低下した金属の結合、または低下した受容体の結合を示す、方法。
【請求項75】
治療タンパク質または治療ペプチドが、Asp33、Asn55、Asn75、Asp90、Gly257、Lys280、His289、Ser298、Ser105、Glu141、Asp166、Gln184、asp197、Lys217、Thr231およびCys241からなる群から選択される配列番号3内の1以上の部位において、mTfのNドメインの中に挿入される、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項76】
治療タンパク質または治療ペプチドが、Asp33、Asn55、Asn75、Asp90、Gly257、Lys280、His289、Ser298、Ser105、Glu141、Asp166、Gln184、asp197、Lys217、Thr231またはCys241に対応する配列番号3内の1以上の部位において、mTfのCドメインの中に挿入される、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項77】
治療タンパク質または治療ペプチドが、Asp33、Asn55、Asn75、Asp90、Gly257、Lys280、His289、Ser298、Ser105、Glu141、Asp166、Gln184、asp197、Lys217、Thr231またはCys241に対応する配列番号3内の1以上の部位において、mTfの中に更に挿入される、請求項75に記載の融合タンパク質。
【請求項78】
治療ペプチドがEMP1であり、EMP1が、配列番号3のHis289および配列番号3のAsp166からなる群から選択される1以上の部位においてmTfのNドメインの中に挿入される、請求項2に記載の融合タンパク質。
【請求項79】
治療ペプチドがEMP1であり、EMP1が、配列番号3のHis289または配列番号3のAsp166に対応する1つ以上の部位においてmTfのCドメインの中に挿入される、請求項2に記載の融合タンパク質。
【請求項80】
治療ペプチドがEMP1であり、EMP1が、配列番号3のHis289または配列番号3のAsp166に対応する1つ以上の部位においてmTfのCドメインの中に更に挿入される、請求項78に記載の融合タンパク質。
【請求項81】
mTfがC末端Proの欠失によって更に改変される、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項82】
mTfがC末端Proに隣接するArg−Argの欠失によって更に改変される、請求項81に記載の融合タンパク質。
【請求項83】
mTfが配列番号3のCys402とCys674との間のジスルフィド結合を除くことによって更に改変される、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項84】
ジスルフィド結合が配列番号3のCys402およびCys674をGly残基に変異させることによって除かれる、請求項83に記載の融合タンパク質。
【請求項85】
mTfが配列番号3のCys402およびCys674をGly残基に変異させることによって更に改変される、請求項82に記載の融合タンパク質。
【請求項86】
治療タンパク質または治療ペプチドが、N(286〜292)、N(162〜170)、C(489〜495)およびC(623〜628)からなる群から選択される配列番号3内の1以上のループに挿入される、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項87】
改変Tfタンパク質がN末端ドメインを1つ含む、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項88】
健常者と比較して被験者はグルコースレベルの上昇がみられ、融合タンパク質がインスリンまたはそのアナログを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項89】
グルコースレベルの上昇が糖尿病に関連する、請求項88に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2006−503588(P2006−503588A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−569752(P2004−569752)
【出願日】平成15年8月28日(2003.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2003/026818
【国際公開番号】WO2004/020405
【国際公開日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【出願人】(504062430)バイオレクシス ファーマシューティカル コーポレイション (4)
【Fターム(参考)】