改良されたトルク容量を有するロッキングデファレンシャル
自動車用のロッキングデファレンシャル(10)は、ハウジング(12)と、ハウジング(12)に支持される差動機構(38)とを含む。差動機構(38)は、互いに軸方向に離れた関係に配置された一対のクラッチ部材(40)を含み、それぞれクラッチ部材は、横ピン(66)を受入れるように対向された内側に向いた面に配置される溝(64)を含む。溝(64)のそれぞれは、互いに横方向に延びる作動面(74,174,274)を含む。作動面の各々は、スクリューインボリュート面を形成し、横ピン(66)は、ハウジングに対してアクスルハーフシャフトの差動回転が所定量の場合に、横ピンの方向に延びるラインに沿う作動面に接触する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、自動車用のロッキングデファレンシャルに関し、より具体的には、所与のサイズの差動装置に適したトルク容量及び密度の増加をもたらすロッキングデファレンシャル機構に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明によって意図される型式のロッキングデファレンシャルは、駆動系の一部として用いられ、一般に、ハウジング内で回転するために支持される一対のクラッチ部材を含む。一対のサイドギヤは、対応するアクスルハーフシャフトに回転可能にスプライン結合される。クラッチ機構は、クラッチ部材とサイドギヤとの間に介在される。横ピンは、ハウジングに回転可能に取付けられ、クラッチ部材の内部で対向する面上に形成される一対の対向した溝内に受け入れられる。アクスルハーフシャフト間の差動運動が過度の場合に、例えば、1つのタイヤが滑りやすい路面上で支持されるとき、横ピンが関連したクラッチ部材上に作動して、クラッチ機構と係合し、これによって、一対のアクスルハーフシャフトに結合する。
【0003】
更に、この型式のロッキングデファレンシャルは、一般的にそれらに意図された目的のために働くが、ある欠点を有している。より具体的には、差動装置の部品の寸法は、それによって伝達されるトルク量によって決定づけられる。一般的に、高トルクの要求は、より大きく、より丈夫な、例えば、横ピン、クラッチ部材、その他など部品を必要とする。この設計上の制限は、適用に要求されるトルク容量及び密度の所定量に対して最終的に差動装置のコストが増加する。
【0004】
従って、関連する部品の寸法を大きくする必要がなくトルク容量及び密度を増加させ、それにより差動装置のコストを減少するように設計されるロッキングデファレンシャルに対する技術の必要性は依然として残っている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、ハウジングと、ハウジングに支持される差動機構とを含む自動車用のロッキングデファレンシャルにおける従来技術の欠点を打開する。差動機構は、互いに軸方向に離れた関係に配置され、かつ、ハウジングと共に回転可能に支持される一対のクラッチ部材を含む。一対のサイドギヤは、対応する一対のアクスルハーフシャフトに回転可能に適合する。一対のクラッチ機構は、対応する一対のクラッチ部材とサイドギヤとの間に動作可能に配置される。クラッチ部材は、ハウジング内で軸方向に移動可能であり、アクスルハーフシャフト間の差動運動が所定量の場合に、クラッチ機構に係合して、クラッチ機構をアクスルハーフシャフトと共に結合する。一対のクラッチ部材の各々は、内側に向いた面を有する。それぞれの面は、それぞれ他に対して対面関係に配置される溝を含む。横ピンは、溝内に受け入れられ、かつ、ハウジングに連結されて回転可能に動作する。溝の各々は、互いに対して横方向に延びる一対の作動面を含む。本発明の一実施形態において、作動面は、スクリューインボリュート面を形成し、横ピンは、アクスルハーフシャフトが差動回転の場合に、横ピンの方向に延びるラインに沿う作動面に接触する。本発明の別の実施形態において、作動面は、1つの平面にわずかに凸状の面を形成し、横ピンは、アクスルハーフシャフトが差動回転の場合に、作動面上に形成される点で作動面に接触する。本発明のさらに別の実施形態では、作動面は、2つの平面にわずかに凸状の面を形成し、横ピンは、アクスルシャフトが差動回転の場合に、作動面上に形成される点で作動面に接触する。
【0006】
このようにして、本発明のロッキングデファレンシャルは、横ピンと作動面との間に線接触できるスクリューインボリュート作動面と、横ピンと作動面との間に点接触可能な1つの平面にわずかに凸状の作動面又は2つの平面にわずかに凸状に位相的に変更できる作動面とを有する作動面を有するクラッチ部材を用いる。この構造は、横ピンと作動面との相互関係によって生じる周辺応力を大幅に減少し、それによって、横ピンとクラッチ部材の所与のサイズの差動装置によって生じるトルク密度を増大する。従って、本発明は、差動装置の所与のトルク容量のために、関連する部品の寸法を増加させる必要性と、差動装置のコストを関連して減少する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、容易に評価され、添付図に関連して次の記述を読んだ後、よりよく理解されるであろう。
【0008】
【図1】透視した駆動系の駆動軸、ピニオンギヤ及びリングギヤを示すロッキングデファレンシャルの断面図である。
【図2】クラッチ部材に対して横ピンの配置を示すロッキングデファレンシャルの断面図である。
【図3】本発明の差動機構の分解図である。
【図4】本発明のクラッチ部材の斜視図である。
【図5】横ピンと作動面との間の接触領域ならびに従来技術で知られたロッキングデファレンシャルで生じる周辺応力領域を示すクラッチ部材の斜視図である。
【図6A】スクリューインボリュート作動面を示す本発明のクラッチ部材の一実施形態の斜視図である。
【図6B】スクリューインボリュート面の生成を示す図である。
【図6C】横ピンとスクリューインボリュート面との間の線接触を示す断面図である。
【図7A】1つの平面にわずかに凸状の作動面を示す本発明のクラッチ部材の平面図である。
【図7B】1つの平面にわずかに凸状の作動面を示す図7Aの線7B−7Bに沿って拡大された代表断面図である。
【図8A】横ピンと2つの平面にわずかに凸状の作動面との間の接触を示す断面図である。
【図8B】横ピンと2つの平面にわずかに凸状の作動面との間の接触を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明によって意図される型式のロッキングデファレンシャルの一実施形態は、図1及び2に全体として符号10で示される。ロッキングデファレンシャル10は、動力装置を有する車両のいくつかの駆動系の一部として用いるように設計され、動力装置は、車両に動力を供給するために使用する。それ故に、差動装置10は、全体として12で示されるハウジングを含む。ハウジング12は、リングギヤ14を支持でき、リングギヤ14は、駆動軸18に固定されるピニオンギヤ16に噛合う関係に駆動するように設計される。リングギヤ14、ピニオン16及び駆動軸18は、図1に透視して示される。ハウジング12は、本体20とキャップ22から構成でき、キャップ22は、一対の環状の嵌合フランジ部24A,24Bにボルト26又は適切な締結機構を通して本体20に固定して取付けられる。また、リングギヤ14は、嵌合フランジ24A,24Bに締結具26を通してハウジング12に取付けることができる。ハウジングが従来技術で周知の従来構造によって形成でき、かつ、本発明が本体及びキャップ部によって形成されるハウジングに限定されないことを当業者なら次の記述で理解されるであろう。同様に、ハウジング12は、従来技術で周知の従来の駆動系によって駆動でき、かつ、本発明は、リングギヤ、ピニオン及び駆動軸を用いて駆動されるハウジングに限定されない。
【0010】
本体20は、一対のアクスルハーフシャフト30,32の一方30を支持するハブ28を形成する。同様に、キャップ22は、一対のアクスルハーフシャフトの他方32を支持するハブ34を形成する。同時に、ハウジング12の本体20及びキャップ22は、協働してキャビティー36を形成する。全体として符号38で示される差動機構は、ハウジング12よって形成されるキャビティー36に支持される。また、差動機構38は、図3の分解図に示され、互いに軸方向に離れた関係に配置される一対のクラッチ部材40を含む。クラッチ部材40は、ハウジング12に支持され回転可能に動作する。一対のサイドギヤ42,44は、対応する一対のアクスルハーフシャフト30,32の一方に回転可能に適合される。この目的のため、サイドギヤ42,44は、その内周上にスプライン46を形成し、対応するアクスルハーフシャフト30,32上に形成するスプラインに係合する。全体として符号48及び50で示される一対のクラッチ機構は、それぞれ対応する一対のクラッチ部材40とサイドギヤ42,44との間に動作可能に配置される。この目的のため、サイドギヤ42,44は、その外周上にスプラインを含む。クラッチ機構48,50は、複数の摩擦板54を含み、摩擦板54は、サイドギヤ42,44の外周に協働してスプライン結合され、かつ、それと共に回転可能である。同様に、一対のクラッチ部材40の各々は、その内周上に形成される複数のスプライン56を含む。一連の板58は、クラッチ部材40の内周スプライン上に動作可能に支持され、かつ、サイドギヤ42,44上に支持される複数の摩擦板54間に介在される。以下に詳細に説明するように、一対のクラッチ部材40は、ハウジング内で軸方向に移動可能であり、アクセルハーフシャフト間の差動運動が所定量の場合に、各クラッチ機構48,50に係合し、クラッチ機構48,50を関連したアクスルハーフシャフト30,32と共に結合する。また、本発明によって意図される型式のロッキングデファレンシャルの一実施形態は、複数の付勢部材60を用いることができ、付勢部材60は、クラッチ部材40と受取り側のキャビティー61との間に配置され、かつ、互いに離れてクラッチ部材40を付勢する。
【0011】
図3〜5に最もよく示されているように、一対のクラッチ部材40の各々は、互いに軸方向に離れた関係に配置される内側に向いた面62を有する。一対のクラッチ部材40の内側に向いた面62の各々は、全体として符号64で示される溝を含み、他に対して対面関係に配置される。横ピン66は、溝64に受け入れられ、ハウジング12に連結され回転可能に動作する。また、この目的のため、差動装置10は、ハウジング12の本体20の内周にスプライン結合される管状の取付けスリーブ68(図1及び2)を含む。このために、横ピン66は、スリーブ68に形成された対応する開口部70で管状のスリーブに固定できる。しかしながら、横ピン66が適切な方法でハウジング12に取付けられ回転可能に動作することは、ここに記載される記述から当業者に理解されるであろう。
【0012】
図4及び5を詳細に参照すると、溝64の各々は、溝底部72と、互いに対して横方向に延びる一対の作動面74とによって形成される。溝底部72は、一対の作動面74の間に配置され、かつ、一対の作動面74に動作可能に相互連結する。更に、一実施形態では、作動面74は、互いに対して鈍角で延びる。しかしながら、本発明によって意図された手段で機能するために、溝64が必ずしも溝底面72を形成する必要がないことは、次の記述から当業者に理解されるであろう。作動モードにおいて、横ピン66は、軸方向外側にクラッチ部材40を動かして、作動面に係合し、それにより、クラッチ機構48,50に係合し、以下に詳細に説明するように、アクスルハーフシャフト30,32に一緒に結合する。
【0013】
より具体的には、上記に記載される型式の差動装置は、それに取付けられたアクスルハーフシャフト30,32の間で、ある程度制限された滑りができる。しかしながら、自動車の状況において、例えば、タイヤの1つが堅固に支持されるとき、タイヤのもう1つは、スリップしているタイヤから堅固に支持されるタイヤにトルクを伝達するために差動装置を滑らせて作動する(例えば、タイヤの1つが車道上にある場合と、他のタイヤが、例えば、氷などの滑りやすい路面上に支持される場合など)。この起因では、溝64の作動面74に係合する横ピン66が溝64の中心線CLの両側上に配置されるとき、関連したクラッチ機構48,50と係合状態となる関連したクラッチ部材40を移動し、それにより、スリップしているタイヤのアクスルハーフシャフトを堅固に支持されたタイヤの他のアクスルハーフシャフトに結合する。このようにして、トルクは、スリップしているタイヤから堅固に支持されたタイヤにトルクが伝達され、それにより、タイヤの1つがスリップしても、自動車を駆動できる。横ピン66によって係合された対向作動面74は、操作可能な実施形態において、図5の符号76で示された斜線であり、かつ、溝64を分岐する中心線CLの両側上に配置される。
【0014】
アクスルハーフシャフトの差動運動が従来技術で周知の型式のロッキングデファレンシャルによって支持されるとき、横ピン及び溝の作動面は、作動面の径方向の縁に増加した応力領域を作り出す働きをする。これら増加した応力領域は、図5に符号78で示される弓状の斑点部で示される。増加した応力領域78は、所定寸法の差動装置で生じるトルク量を限定する。従って、増大するトルクが、いかなる適用に対しても必要とされるところでは、クラッチ部材及び横ピンは、寸法及び厚さを増大させなければならない。更に、差動装置に付加される増加したトルクを扱うために更なる熱処理及び他の処理が必要である。
【0015】
一方、本発明のロッキングデファレンシャル10は、作動面の径方向の縁で周辺応力を除外又は減少するために計画された作動面74を特別に設計された溝64を用いる。従って、本発明の特別に設計された作動面を用いたロッキングデファレンシャル10は、所与のサイズの差動装置に適したより多くのトルクを伝達することができ、それによって、差動装置の製造コストを減少できる。
【0016】
より具体的には、図6A〜6Cを参照して、本発明のロッキングデファレンシャルの一実施形態は、図6Bに全体として符号80で示されるスクリューインボリュート面を形成する作動面74を用いる。この場合、横ピン66は、ハウジング12に対してアクスルハーフシャフトの差動回転の場合に、横ピン66の方向に延びるライン82に沿うスクリューインボリュート作動面80に接触する。より具体的には、一連の図6A〜6Cを参照して、スクリューインボリュート面80は、溝底面72に隣接するクラッチ部材40の径方向外縁77の近くに位置する仮想点Aと、溝底面72から離れたクラッチ部材40の径方向内縁の近くに位置する仮想点Bとを形成する。スクリューインボリュート面80は、仮想平面Pが作動面74に直交、かつ、作動面74の径方向外縁77で仮想点Cに横切って形成できるように、仮想点Aと仮想点Bとの間にわずかに凸状である。仮想平面Pは、作動面を横切って軸方向に延びるライン82を形成する。この作動モードにおいて、上述したように図4を参照して、作動面74に係合する横ピン66は、図に示される中心線の両側上に配置される作動面74に係合する。スクリューインボリュート面80の使用は、横ピン66と作動面74との間に線接触を生じさせ、これにより、横ピン66と作動面74の相互作用によって生じる周辺応力の問題を実質的に減少させる。しかしながら、それが理想ではあるものの、スクリューインボリュート面は、製造が困難であるのも事実である。従って、理論上完全なスクリューインボリュート面の使用は、本発明の商業的実施形態で全く役に立たないことは当業者に理解されるであろう。
【0017】
この困難を認め、本発明の別の実施形態に開示された図7A及び7Bでは、同じ符号は、指定された同じ構造に用いられ、かつ、同じものは、100を付加する。また、この実施形態は、横ピン66と作動面174との間に生じる周辺応力を減少するが、商業的実施形態で製造が実現可能である。より具体的には、図7A及び7Bに定める作動面174は、ハウジング12に対してアクスルハーフシャフトが差動回転する場合に、横ピン66がその上に形成される仮想点Fで作動面に接触するように、1つの平面でわずかに凸状である。例えば、これらの図に示すように、作動面174は、溝底面72に隣接するクラッチ部材40の径方向外縁77の近くに位置する仮想点Dと、溝72から離れてクラッチ部材40の放射状内縁75の近くに位置する仮想点Eとを形成する。作動面は、仮想平面Pが作動面上の仮想点Fを横切って作動面174に直交して形成されるように、仮想点D及び仮想点Eとの間でわずかに凸状である。横ピン66は、横ピン66の環状面とクラッチ部材40の作動面174との間で点接触を確立する。この状況では、図7Bに最も良く典型的に示すように、作動面174の凸状の半径は、できるだけ大きくなければならない。凸状の作動面174の湾曲の大半径は、これら面上の周辺応力を実質的に減少する。
【0018】
また、本発明のロッキングデファレンシャルの作動面の別の実施形態は、図8A及び8Bに示され、同じ符号は、同じ構造に用いられ、同じ参照符号は、図6A〜6Cに示される実施形態に対して200を付加される。この実施形態において、作動面274は、わずかに凸状の2つの平面になるように、位相的に変更される。この実施形態では、横ピン66は、ハウジングに対してクラッチ部材が差動回転中に、その上に形成される仮想点Fで作動面に接触する。
【0019】
このようにして、本発明のロッキングデファレンシャルは、横ピンと作動面との間に線接触できるスクリューインボリュート面と、横ピンと作動面との間に点接触を可能にする1つの平面にわずかに凸状にできる作動面又は2つの平面にわずかに凸状になるように位相的に変更できる作動面とを有する作動面を有するクラッチ部材を用いる。この構造は、横ピンと作動面の相互関係によって生じる周辺応力を大幅に減少し、かつ、それによって、横ピンとクラッチ部材の所与のサイズに適した差動装置を介して生じるトルク密度を増大する。従って、本発明は、差動装置の所与のトルク容量のために、関連する部品の寸法を増加させる必要性と、差動装置のコストを関連して減少する。
【0020】
本発明は、上記の明細書に極めて詳細に記載され、本発明の様々な変更及び改良は、明細書を読み、かつ、理解すると、当業者に明白になるだろうと考えられる。すべてにかかる変更及び改良が、添付の特許請求の範囲内に入る範囲で、本発明に含むことが意図される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、自動車用のロッキングデファレンシャルに関し、より具体的には、所与のサイズの差動装置に適したトルク容量及び密度の増加をもたらすロッキングデファレンシャル機構に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明によって意図される型式のロッキングデファレンシャルは、駆動系の一部として用いられ、一般に、ハウジング内で回転するために支持される一対のクラッチ部材を含む。一対のサイドギヤは、対応するアクスルハーフシャフトに回転可能にスプライン結合される。クラッチ機構は、クラッチ部材とサイドギヤとの間に介在される。横ピンは、ハウジングに回転可能に取付けられ、クラッチ部材の内部で対向する面上に形成される一対の対向した溝内に受け入れられる。アクスルハーフシャフト間の差動運動が過度の場合に、例えば、1つのタイヤが滑りやすい路面上で支持されるとき、横ピンが関連したクラッチ部材上に作動して、クラッチ機構と係合し、これによって、一対のアクスルハーフシャフトに結合する。
【0003】
更に、この型式のロッキングデファレンシャルは、一般的にそれらに意図された目的のために働くが、ある欠点を有している。より具体的には、差動装置の部品の寸法は、それによって伝達されるトルク量によって決定づけられる。一般的に、高トルクの要求は、より大きく、より丈夫な、例えば、横ピン、クラッチ部材、その他など部品を必要とする。この設計上の制限は、適用に要求されるトルク容量及び密度の所定量に対して最終的に差動装置のコストが増加する。
【0004】
従って、関連する部品の寸法を大きくする必要がなくトルク容量及び密度を増加させ、それにより差動装置のコストを減少するように設計されるロッキングデファレンシャルに対する技術の必要性は依然として残っている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、ハウジングと、ハウジングに支持される差動機構とを含む自動車用のロッキングデファレンシャルにおける従来技術の欠点を打開する。差動機構は、互いに軸方向に離れた関係に配置され、かつ、ハウジングと共に回転可能に支持される一対のクラッチ部材を含む。一対のサイドギヤは、対応する一対のアクスルハーフシャフトに回転可能に適合する。一対のクラッチ機構は、対応する一対のクラッチ部材とサイドギヤとの間に動作可能に配置される。クラッチ部材は、ハウジング内で軸方向に移動可能であり、アクスルハーフシャフト間の差動運動が所定量の場合に、クラッチ機構に係合して、クラッチ機構をアクスルハーフシャフトと共に結合する。一対のクラッチ部材の各々は、内側に向いた面を有する。それぞれの面は、それぞれ他に対して対面関係に配置される溝を含む。横ピンは、溝内に受け入れられ、かつ、ハウジングに連結されて回転可能に動作する。溝の各々は、互いに対して横方向に延びる一対の作動面を含む。本発明の一実施形態において、作動面は、スクリューインボリュート面を形成し、横ピンは、アクスルハーフシャフトが差動回転の場合に、横ピンの方向に延びるラインに沿う作動面に接触する。本発明の別の実施形態において、作動面は、1つの平面にわずかに凸状の面を形成し、横ピンは、アクスルハーフシャフトが差動回転の場合に、作動面上に形成される点で作動面に接触する。本発明のさらに別の実施形態では、作動面は、2つの平面にわずかに凸状の面を形成し、横ピンは、アクスルシャフトが差動回転の場合に、作動面上に形成される点で作動面に接触する。
【0006】
このようにして、本発明のロッキングデファレンシャルは、横ピンと作動面との間に線接触できるスクリューインボリュート作動面と、横ピンと作動面との間に点接触可能な1つの平面にわずかに凸状の作動面又は2つの平面にわずかに凸状に位相的に変更できる作動面とを有する作動面を有するクラッチ部材を用いる。この構造は、横ピンと作動面との相互関係によって生じる周辺応力を大幅に減少し、それによって、横ピンとクラッチ部材の所与のサイズの差動装置によって生じるトルク密度を増大する。従って、本発明は、差動装置の所与のトルク容量のために、関連する部品の寸法を増加させる必要性と、差動装置のコストを関連して減少する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、容易に評価され、添付図に関連して次の記述を読んだ後、よりよく理解されるであろう。
【0008】
【図1】透視した駆動系の駆動軸、ピニオンギヤ及びリングギヤを示すロッキングデファレンシャルの断面図である。
【図2】クラッチ部材に対して横ピンの配置を示すロッキングデファレンシャルの断面図である。
【図3】本発明の差動機構の分解図である。
【図4】本発明のクラッチ部材の斜視図である。
【図5】横ピンと作動面との間の接触領域ならびに従来技術で知られたロッキングデファレンシャルで生じる周辺応力領域を示すクラッチ部材の斜視図である。
【図6A】スクリューインボリュート作動面を示す本発明のクラッチ部材の一実施形態の斜視図である。
【図6B】スクリューインボリュート面の生成を示す図である。
【図6C】横ピンとスクリューインボリュート面との間の線接触を示す断面図である。
【図7A】1つの平面にわずかに凸状の作動面を示す本発明のクラッチ部材の平面図である。
【図7B】1つの平面にわずかに凸状の作動面を示す図7Aの線7B−7Bに沿って拡大された代表断面図である。
【図8A】横ピンと2つの平面にわずかに凸状の作動面との間の接触を示す断面図である。
【図8B】横ピンと2つの平面にわずかに凸状の作動面との間の接触を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明によって意図される型式のロッキングデファレンシャルの一実施形態は、図1及び2に全体として符号10で示される。ロッキングデファレンシャル10は、動力装置を有する車両のいくつかの駆動系の一部として用いるように設計され、動力装置は、車両に動力を供給するために使用する。それ故に、差動装置10は、全体として12で示されるハウジングを含む。ハウジング12は、リングギヤ14を支持でき、リングギヤ14は、駆動軸18に固定されるピニオンギヤ16に噛合う関係に駆動するように設計される。リングギヤ14、ピニオン16及び駆動軸18は、図1に透視して示される。ハウジング12は、本体20とキャップ22から構成でき、キャップ22は、一対の環状の嵌合フランジ部24A,24Bにボルト26又は適切な締結機構を通して本体20に固定して取付けられる。また、リングギヤ14は、嵌合フランジ24A,24Bに締結具26を通してハウジング12に取付けることができる。ハウジングが従来技術で周知の従来構造によって形成でき、かつ、本発明が本体及びキャップ部によって形成されるハウジングに限定されないことを当業者なら次の記述で理解されるであろう。同様に、ハウジング12は、従来技術で周知の従来の駆動系によって駆動でき、かつ、本発明は、リングギヤ、ピニオン及び駆動軸を用いて駆動されるハウジングに限定されない。
【0010】
本体20は、一対のアクスルハーフシャフト30,32の一方30を支持するハブ28を形成する。同様に、キャップ22は、一対のアクスルハーフシャフトの他方32を支持するハブ34を形成する。同時に、ハウジング12の本体20及びキャップ22は、協働してキャビティー36を形成する。全体として符号38で示される差動機構は、ハウジング12よって形成されるキャビティー36に支持される。また、差動機構38は、図3の分解図に示され、互いに軸方向に離れた関係に配置される一対のクラッチ部材40を含む。クラッチ部材40は、ハウジング12に支持され回転可能に動作する。一対のサイドギヤ42,44は、対応する一対のアクスルハーフシャフト30,32の一方に回転可能に適合される。この目的のため、サイドギヤ42,44は、その内周上にスプライン46を形成し、対応するアクスルハーフシャフト30,32上に形成するスプラインに係合する。全体として符号48及び50で示される一対のクラッチ機構は、それぞれ対応する一対のクラッチ部材40とサイドギヤ42,44との間に動作可能に配置される。この目的のため、サイドギヤ42,44は、その外周上にスプラインを含む。クラッチ機構48,50は、複数の摩擦板54を含み、摩擦板54は、サイドギヤ42,44の外周に協働してスプライン結合され、かつ、それと共に回転可能である。同様に、一対のクラッチ部材40の各々は、その内周上に形成される複数のスプライン56を含む。一連の板58は、クラッチ部材40の内周スプライン上に動作可能に支持され、かつ、サイドギヤ42,44上に支持される複数の摩擦板54間に介在される。以下に詳細に説明するように、一対のクラッチ部材40は、ハウジング内で軸方向に移動可能であり、アクセルハーフシャフト間の差動運動が所定量の場合に、各クラッチ機構48,50に係合し、クラッチ機構48,50を関連したアクスルハーフシャフト30,32と共に結合する。また、本発明によって意図される型式のロッキングデファレンシャルの一実施形態は、複数の付勢部材60を用いることができ、付勢部材60は、クラッチ部材40と受取り側のキャビティー61との間に配置され、かつ、互いに離れてクラッチ部材40を付勢する。
【0011】
図3〜5に最もよく示されているように、一対のクラッチ部材40の各々は、互いに軸方向に離れた関係に配置される内側に向いた面62を有する。一対のクラッチ部材40の内側に向いた面62の各々は、全体として符号64で示される溝を含み、他に対して対面関係に配置される。横ピン66は、溝64に受け入れられ、ハウジング12に連結され回転可能に動作する。また、この目的のため、差動装置10は、ハウジング12の本体20の内周にスプライン結合される管状の取付けスリーブ68(図1及び2)を含む。このために、横ピン66は、スリーブ68に形成された対応する開口部70で管状のスリーブに固定できる。しかしながら、横ピン66が適切な方法でハウジング12に取付けられ回転可能に動作することは、ここに記載される記述から当業者に理解されるであろう。
【0012】
図4及び5を詳細に参照すると、溝64の各々は、溝底部72と、互いに対して横方向に延びる一対の作動面74とによって形成される。溝底部72は、一対の作動面74の間に配置され、かつ、一対の作動面74に動作可能に相互連結する。更に、一実施形態では、作動面74は、互いに対して鈍角で延びる。しかしながら、本発明によって意図された手段で機能するために、溝64が必ずしも溝底面72を形成する必要がないことは、次の記述から当業者に理解されるであろう。作動モードにおいて、横ピン66は、軸方向外側にクラッチ部材40を動かして、作動面に係合し、それにより、クラッチ機構48,50に係合し、以下に詳細に説明するように、アクスルハーフシャフト30,32に一緒に結合する。
【0013】
より具体的には、上記に記載される型式の差動装置は、それに取付けられたアクスルハーフシャフト30,32の間で、ある程度制限された滑りができる。しかしながら、自動車の状況において、例えば、タイヤの1つが堅固に支持されるとき、タイヤのもう1つは、スリップしているタイヤから堅固に支持されるタイヤにトルクを伝達するために差動装置を滑らせて作動する(例えば、タイヤの1つが車道上にある場合と、他のタイヤが、例えば、氷などの滑りやすい路面上に支持される場合など)。この起因では、溝64の作動面74に係合する横ピン66が溝64の中心線CLの両側上に配置されるとき、関連したクラッチ機構48,50と係合状態となる関連したクラッチ部材40を移動し、それにより、スリップしているタイヤのアクスルハーフシャフトを堅固に支持されたタイヤの他のアクスルハーフシャフトに結合する。このようにして、トルクは、スリップしているタイヤから堅固に支持されたタイヤにトルクが伝達され、それにより、タイヤの1つがスリップしても、自動車を駆動できる。横ピン66によって係合された対向作動面74は、操作可能な実施形態において、図5の符号76で示された斜線であり、かつ、溝64を分岐する中心線CLの両側上に配置される。
【0014】
アクスルハーフシャフトの差動運動が従来技術で周知の型式のロッキングデファレンシャルによって支持されるとき、横ピン及び溝の作動面は、作動面の径方向の縁に増加した応力領域を作り出す働きをする。これら増加した応力領域は、図5に符号78で示される弓状の斑点部で示される。増加した応力領域78は、所定寸法の差動装置で生じるトルク量を限定する。従って、増大するトルクが、いかなる適用に対しても必要とされるところでは、クラッチ部材及び横ピンは、寸法及び厚さを増大させなければならない。更に、差動装置に付加される増加したトルクを扱うために更なる熱処理及び他の処理が必要である。
【0015】
一方、本発明のロッキングデファレンシャル10は、作動面の径方向の縁で周辺応力を除外又は減少するために計画された作動面74を特別に設計された溝64を用いる。従って、本発明の特別に設計された作動面を用いたロッキングデファレンシャル10は、所与のサイズの差動装置に適したより多くのトルクを伝達することができ、それによって、差動装置の製造コストを減少できる。
【0016】
より具体的には、図6A〜6Cを参照して、本発明のロッキングデファレンシャルの一実施形態は、図6Bに全体として符号80で示されるスクリューインボリュート面を形成する作動面74を用いる。この場合、横ピン66は、ハウジング12に対してアクスルハーフシャフトの差動回転の場合に、横ピン66の方向に延びるライン82に沿うスクリューインボリュート作動面80に接触する。より具体的には、一連の図6A〜6Cを参照して、スクリューインボリュート面80は、溝底面72に隣接するクラッチ部材40の径方向外縁77の近くに位置する仮想点Aと、溝底面72から離れたクラッチ部材40の径方向内縁の近くに位置する仮想点Bとを形成する。スクリューインボリュート面80は、仮想平面Pが作動面74に直交、かつ、作動面74の径方向外縁77で仮想点Cに横切って形成できるように、仮想点Aと仮想点Bとの間にわずかに凸状である。仮想平面Pは、作動面を横切って軸方向に延びるライン82を形成する。この作動モードにおいて、上述したように図4を参照して、作動面74に係合する横ピン66は、図に示される中心線の両側上に配置される作動面74に係合する。スクリューインボリュート面80の使用は、横ピン66と作動面74との間に線接触を生じさせ、これにより、横ピン66と作動面74の相互作用によって生じる周辺応力の問題を実質的に減少させる。しかしながら、それが理想ではあるものの、スクリューインボリュート面は、製造が困難であるのも事実である。従って、理論上完全なスクリューインボリュート面の使用は、本発明の商業的実施形態で全く役に立たないことは当業者に理解されるであろう。
【0017】
この困難を認め、本発明の別の実施形態に開示された図7A及び7Bでは、同じ符号は、指定された同じ構造に用いられ、かつ、同じものは、100を付加する。また、この実施形態は、横ピン66と作動面174との間に生じる周辺応力を減少するが、商業的実施形態で製造が実現可能である。より具体的には、図7A及び7Bに定める作動面174は、ハウジング12に対してアクスルハーフシャフトが差動回転する場合に、横ピン66がその上に形成される仮想点Fで作動面に接触するように、1つの平面でわずかに凸状である。例えば、これらの図に示すように、作動面174は、溝底面72に隣接するクラッチ部材40の径方向外縁77の近くに位置する仮想点Dと、溝72から離れてクラッチ部材40の放射状内縁75の近くに位置する仮想点Eとを形成する。作動面は、仮想平面Pが作動面上の仮想点Fを横切って作動面174に直交して形成されるように、仮想点D及び仮想点Eとの間でわずかに凸状である。横ピン66は、横ピン66の環状面とクラッチ部材40の作動面174との間で点接触を確立する。この状況では、図7Bに最も良く典型的に示すように、作動面174の凸状の半径は、できるだけ大きくなければならない。凸状の作動面174の湾曲の大半径は、これら面上の周辺応力を実質的に減少する。
【0018】
また、本発明のロッキングデファレンシャルの作動面の別の実施形態は、図8A及び8Bに示され、同じ符号は、同じ構造に用いられ、同じ参照符号は、図6A〜6Cに示される実施形態に対して200を付加される。この実施形態において、作動面274は、わずかに凸状の2つの平面になるように、位相的に変更される。この実施形態では、横ピン66は、ハウジングに対してクラッチ部材が差動回転中に、その上に形成される仮想点Fで作動面に接触する。
【0019】
このようにして、本発明のロッキングデファレンシャルは、横ピンと作動面との間に線接触できるスクリューインボリュート面と、横ピンと作動面との間に点接触を可能にする1つの平面にわずかに凸状にできる作動面又は2つの平面にわずかに凸状になるように位相的に変更できる作動面とを有する作動面を有するクラッチ部材を用いる。この構造は、横ピンと作動面の相互関係によって生じる周辺応力を大幅に減少し、かつ、それによって、横ピンとクラッチ部材の所与のサイズに適した差動装置を介して生じるトルク密度を増大する。従って、本発明は、差動装置の所与のトルク容量のために、関連する部品の寸法を増加させる必要性と、差動装置のコストを関連して減少する。
【0020】
本発明は、上記の明細書に極めて詳細に記載され、本発明の様々な変更及び改良は、明細書を読み、かつ、理解すると、当業者に明白になるだろうと考えられる。すべてにかかる変更及び改良が、添付の特許請求の範囲内に入る範囲で、本発明に含むことが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(12)と、該ハウジング(12)に支持される差動機構(38)とを備えた自動車用のロッキングデファレンシャル(10)であって、
前記差動機構(38)は、互いに軸方向に離れた関係に配置され、かつ、前記ハウジング(12)と共に回転可能に支持される一対のクラッチ部材(40)と、対応する一対のアクスルハーフシャフト(30,32)に回転可能に適合する一対のサイドギヤ(42,44)と、それぞれ対応する一対のクラッチ部材(40)と前記サイドギヤ(42,44)との間に動作可能に配置される一対のクラッチ機構(48,50)とを含んでおり、
前記一対のクラッチ部材(40)は、前記ハウジング(12)内で軸方向に移動可能であり、前記アクスルハーフシャフト間の差動運動が所定量の場合に、それぞれクラッチ機構(48,50)に係合して、前記クラッチ機構(48,50)を前記アクスルハーフシャフトと共に結合し、
前記一対のクラッチ部材(40)の各々は、それぞれ互いに対面関係に配置された溝(64)を有する内側に向いた面(62)と、前記溝(64)内に受け入れられ、かつ、前記ハウジング(12)に連結されて回転可能に動作する横ピン(66)とを有し、
前記溝(64)の各々は、互いに対して横方向に延びる一対の作動面(74)を含み、該作動面(74)の各々は、スクリューインボリュート面(80)を形成し、前記横ピン(66)は、前記ハウジング(12)に対してアクスルハーフシャフト(30,32)が作動回転する場合に、前記横ピン(66)の方向に延びるライン(82)に沿う前記作動面(74)に接触することを特徴とするロッキングデファレンシャル。
【請求項2】
前記溝(64)は、前記一対の作動面(74)の間に配置され、かつ、前記一対の作動面(74)に相互連結する溝底面(72)を含むことを特徴とする請求項1に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項3】
前記スクリューインボリュート面(80)は、前記溝底面(72)に隣接する前記クラッチ部材(40)の径方向外縁の近くに位置する仮想点Aと、前記溝底面(72)から離れた前記クラッチ部材(40)の径方向内縁の近くに位置する仮想点Bとを形成し、前記スクリューインボリュート面(80)は、前記作動面(74)に直交して形成される仮想平面Cが前記作動面(74)の径方向に横切って延びる線(82)を定めるように、前記仮想点Aと前記仮想点Bとの間でわずかに凸状であることを特徴とする請求項2に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項4】
前記作動面(74)は、互いに対して鈍角で延びていることを特徴とする請求項1に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項5】
前記一対のクラッチ機構(48,50)の各々は、前記サイドギヤ(42,44)に回転可能に支持される複数の摩擦板(54)と、対応する一方の前記クラッチ部材(40)に回転可能に支持され、かつ、複数の摩擦板(54)の間に介在される複数のプレート(58)とを有する摩擦クラッチ部材を含み、前記クラッチ機構(48,50)は、前記摩擦板(54)が隣接するプレート(58)に係合して、前記クラッチ機構(48,50)を関連した一方の前記サイドギヤ(42,44)に結合するように作動可能であることを特徴とする請求項1に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項6】
前記溝(64)は中心線(CL)を形成し、前記横ピン(66)は前記中心線の両側上に配置された作動面(74)に係合することを特徴とする請求項1に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項7】
ハウジング(12)と、該ハウジング(12)に支持される差動機構(38)とを備えた自動車用のロッキングデファレンシャル(10)であって、
前記差動機構(38)は、互いに軸方向に離れた関係に配置され、かつ、前記ハウジング(12)と共に回転可能に支持される一対のクラッチ部材(40)と、対応する一対のアクスルハーフシャフト(30,32)に回転可能に適合する一対のサイドギヤ(42,44)と、それぞれ対応する一対のクラッチ部材(40)と前記サイドギヤ(42,44)との間に動作可能に配置される一対のクラッチ機構(48,50)とを含んでおり、
前記一対のクラッチ部材(40)は、前記ハウジング(12)内で軸方向に移動可能であり、前記アクスルハーフシャフト間の差動運動が所定量の場合に、それぞれクラッチ機構(48,50)に係合して、前記クラッチ機構(48,50)を前記アクスルハーフシャフトと共に結合し、
前記クラッチ部材の各々は、それぞれ互いに対面関係に配置された溝(64)を有する内側に向いた面(62)と、前記溝(64)内に受け入れられ、かつ、前記ハウジング(12)に連結されて回転可能に動作する横ピン(66)とを有し、
前記溝(64)の各々は、互いに対して横方向に延びる一対の作動面(174)を含み、該作動面(174)の各々は、1つの平面にわずかな凸状の面を形成し、前記横ピン(66)は、前記ハウジングに対してアクスルハーフシャフト(30,32)が作動回転する場合に、その上に形成される点で前記作動面(174)に接触することを特徴とするロッキングデファレンシャル。
【請求項8】
前記溝(64)は、前記一対の作動面(174)に相互連結する溝底面(72)を含むことを特徴とする請求項7に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項9】
前記作動面(174)のそれぞれは、前記溝底面(72)に隣接する前記クラッチ部材(40)の径方向外縁(77)の近くに位置する仮想点Dと、前記溝底面(72)から離れた前記クラッチ部材(40)の径方向内縁(75)の近くに位置する仮想点Eとを形成し、前記作動面(174)は、該作動面に直交して形成される仮想平面が前記作動面(174)上の仮想点Fを横切るように、前記仮想点Dと前記仮想点Eとの間でわずかに凸状であることを特徴とする請求項8に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項10】
前記作動面(174)は、互いに対して鈍角で延びていることを特徴とする請求項8に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項11】
前記一対のクラッチ機構(48,50)の各々は、前記サイドギヤ(42,44)に回転可能に支持される複数の摩擦板(54)と、対応する一方の前記クラッチ部材(40)に回転可能に支持され、かつ、複数の摩擦板(54)の間に介在される複数のプレート(58)とを有する摩擦クラッチ部材を含み、前記クラッチ機構(48,50)は、前記摩擦板(54)が隣接するプレート(58)に係合して、前記クラッチ機構(48,50)を関連した一方の前記サイドギヤ(42,44)に結合するように作動可能であることを特徴とする請求項8に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項12】
前記溝(64)は中心線(CL)を形成し、前記横ピン(66)は前記中心線の両側上に配置された作動面(174)に係合することを特徴とする請求項8に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項13】
ハウジング(12)と、該ハウジング(12)に支持される差動機構(38)とを備えた自動車用のロッキングデファレンシャル(10)であって、
前記差動機構(38)は、互いに軸方向に離れた関係に配置され、かつ、前記ハウジング(12)と共に回転可能に支持される一対のクラッチ部材(40)と、対応する一対のアクスルハーフシャフト(30,32)に回転可能に適合する一対のサイドギヤ(42,44)と、それぞれ対応する一対のクラッチ部材(40)と前記サイドギヤ(42,44)との間に動作可能に配置される一対のクラッチ機構(48,50)とを含んでおり、
前記一対のクラッチ部材(40)は、前記ハウジング(12)内で軸方向に移動可能であり、前記アクスルハーフシャフト間の差動運動が所定量の場合に、それぞれクラッチ機構(48,50)に係合して、前記クラッチ機構(48,50)を前記アクスルハーフシャフトと共に結合し、
前記クラッチ部材の各々は、それぞれ互いに対面関係に配置された溝(64)を有する内側に向いた面(62)と、前記溝(64)内に受け入れられ、かつ、前記ハウジング(12)に連結されて回転可能に動作する横ピン(66)とを有し、
前記溝(64)の各々は、互いに対して横方向に延びる一対の作動面(274)を含み、該作動面(274)の各々は、2つの平面にわずかな凸状の面を形成し、前記横ピン(66)は、前記ハウジング(12)に対してアクスルハーフシャフト(30,32)が作動回転する場合に、その上に形成される点で前記作動面に接触することを特徴とするロッキングデファレンシャル。
【請求項14】
前記溝(64)は、前記一対の作動面(274)に相互連結する溝底面(72)を含むことを特徴とする請求項13に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項15】
前記作動面(274)は、互いに対して鈍角で延びていることを特徴とする請求項14に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項16】
前記一対のクラッチ機構(48,50)の各々は、前記サイドギヤ(42,44)に回転可能に支持される複数の摩擦板(54)と、対応する一方の前記クラッチ部材(40)に回転可能に支持され、かつ、複数の摩擦板(54)の間に介在される複数のプレート(58)とを有する摩擦クラッチ部材を含み、
前記クラッチ機構(48,50)は、前記摩擦板(54)が隣接するプレート(58)に係合して、前記クラッチ機構(48,50)を関連した一方の前記サイドギヤ(42,44)に結合するように作動可能であることを特徴とする請求項14に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項17】
前記溝(64)は中心線(CL)を形成し、前記横ピン(66)は前記中心線の両側上に配置された作動面(274)に係合することを特徴とする請求項14に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項1】
ハウジング(12)と、該ハウジング(12)に支持される差動機構(38)とを備えた自動車用のロッキングデファレンシャル(10)であって、
前記差動機構(38)は、互いに軸方向に離れた関係に配置され、かつ、前記ハウジング(12)と共に回転可能に支持される一対のクラッチ部材(40)と、対応する一対のアクスルハーフシャフト(30,32)に回転可能に適合する一対のサイドギヤ(42,44)と、それぞれ対応する一対のクラッチ部材(40)と前記サイドギヤ(42,44)との間に動作可能に配置される一対のクラッチ機構(48,50)とを含んでおり、
前記一対のクラッチ部材(40)は、前記ハウジング(12)内で軸方向に移動可能であり、前記アクスルハーフシャフト間の差動運動が所定量の場合に、それぞれクラッチ機構(48,50)に係合して、前記クラッチ機構(48,50)を前記アクスルハーフシャフトと共に結合し、
前記一対のクラッチ部材(40)の各々は、それぞれ互いに対面関係に配置された溝(64)を有する内側に向いた面(62)と、前記溝(64)内に受け入れられ、かつ、前記ハウジング(12)に連結されて回転可能に動作する横ピン(66)とを有し、
前記溝(64)の各々は、互いに対して横方向に延びる一対の作動面(74)を含み、該作動面(74)の各々は、スクリューインボリュート面(80)を形成し、前記横ピン(66)は、前記ハウジング(12)に対してアクスルハーフシャフト(30,32)が作動回転する場合に、前記横ピン(66)の方向に延びるライン(82)に沿う前記作動面(74)に接触することを特徴とするロッキングデファレンシャル。
【請求項2】
前記溝(64)は、前記一対の作動面(74)の間に配置され、かつ、前記一対の作動面(74)に相互連結する溝底面(72)を含むことを特徴とする請求項1に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項3】
前記スクリューインボリュート面(80)は、前記溝底面(72)に隣接する前記クラッチ部材(40)の径方向外縁の近くに位置する仮想点Aと、前記溝底面(72)から離れた前記クラッチ部材(40)の径方向内縁の近くに位置する仮想点Bとを形成し、前記スクリューインボリュート面(80)は、前記作動面(74)に直交して形成される仮想平面Cが前記作動面(74)の径方向に横切って延びる線(82)を定めるように、前記仮想点Aと前記仮想点Bとの間でわずかに凸状であることを特徴とする請求項2に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項4】
前記作動面(74)は、互いに対して鈍角で延びていることを特徴とする請求項1に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項5】
前記一対のクラッチ機構(48,50)の各々は、前記サイドギヤ(42,44)に回転可能に支持される複数の摩擦板(54)と、対応する一方の前記クラッチ部材(40)に回転可能に支持され、かつ、複数の摩擦板(54)の間に介在される複数のプレート(58)とを有する摩擦クラッチ部材を含み、前記クラッチ機構(48,50)は、前記摩擦板(54)が隣接するプレート(58)に係合して、前記クラッチ機構(48,50)を関連した一方の前記サイドギヤ(42,44)に結合するように作動可能であることを特徴とする請求項1に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項6】
前記溝(64)は中心線(CL)を形成し、前記横ピン(66)は前記中心線の両側上に配置された作動面(74)に係合することを特徴とする請求項1に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項7】
ハウジング(12)と、該ハウジング(12)に支持される差動機構(38)とを備えた自動車用のロッキングデファレンシャル(10)であって、
前記差動機構(38)は、互いに軸方向に離れた関係に配置され、かつ、前記ハウジング(12)と共に回転可能に支持される一対のクラッチ部材(40)と、対応する一対のアクスルハーフシャフト(30,32)に回転可能に適合する一対のサイドギヤ(42,44)と、それぞれ対応する一対のクラッチ部材(40)と前記サイドギヤ(42,44)との間に動作可能に配置される一対のクラッチ機構(48,50)とを含んでおり、
前記一対のクラッチ部材(40)は、前記ハウジング(12)内で軸方向に移動可能であり、前記アクスルハーフシャフト間の差動運動が所定量の場合に、それぞれクラッチ機構(48,50)に係合して、前記クラッチ機構(48,50)を前記アクスルハーフシャフトと共に結合し、
前記クラッチ部材の各々は、それぞれ互いに対面関係に配置された溝(64)を有する内側に向いた面(62)と、前記溝(64)内に受け入れられ、かつ、前記ハウジング(12)に連結されて回転可能に動作する横ピン(66)とを有し、
前記溝(64)の各々は、互いに対して横方向に延びる一対の作動面(174)を含み、該作動面(174)の各々は、1つの平面にわずかな凸状の面を形成し、前記横ピン(66)は、前記ハウジングに対してアクスルハーフシャフト(30,32)が作動回転する場合に、その上に形成される点で前記作動面(174)に接触することを特徴とするロッキングデファレンシャル。
【請求項8】
前記溝(64)は、前記一対の作動面(174)に相互連結する溝底面(72)を含むことを特徴とする請求項7に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項9】
前記作動面(174)のそれぞれは、前記溝底面(72)に隣接する前記クラッチ部材(40)の径方向外縁(77)の近くに位置する仮想点Dと、前記溝底面(72)から離れた前記クラッチ部材(40)の径方向内縁(75)の近くに位置する仮想点Eとを形成し、前記作動面(174)は、該作動面に直交して形成される仮想平面が前記作動面(174)上の仮想点Fを横切るように、前記仮想点Dと前記仮想点Eとの間でわずかに凸状であることを特徴とする請求項8に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項10】
前記作動面(174)は、互いに対して鈍角で延びていることを特徴とする請求項8に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項11】
前記一対のクラッチ機構(48,50)の各々は、前記サイドギヤ(42,44)に回転可能に支持される複数の摩擦板(54)と、対応する一方の前記クラッチ部材(40)に回転可能に支持され、かつ、複数の摩擦板(54)の間に介在される複数のプレート(58)とを有する摩擦クラッチ部材を含み、前記クラッチ機構(48,50)は、前記摩擦板(54)が隣接するプレート(58)に係合して、前記クラッチ機構(48,50)を関連した一方の前記サイドギヤ(42,44)に結合するように作動可能であることを特徴とする請求項8に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項12】
前記溝(64)は中心線(CL)を形成し、前記横ピン(66)は前記中心線の両側上に配置された作動面(174)に係合することを特徴とする請求項8に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項13】
ハウジング(12)と、該ハウジング(12)に支持される差動機構(38)とを備えた自動車用のロッキングデファレンシャル(10)であって、
前記差動機構(38)は、互いに軸方向に離れた関係に配置され、かつ、前記ハウジング(12)と共に回転可能に支持される一対のクラッチ部材(40)と、対応する一対のアクスルハーフシャフト(30,32)に回転可能に適合する一対のサイドギヤ(42,44)と、それぞれ対応する一対のクラッチ部材(40)と前記サイドギヤ(42,44)との間に動作可能に配置される一対のクラッチ機構(48,50)とを含んでおり、
前記一対のクラッチ部材(40)は、前記ハウジング(12)内で軸方向に移動可能であり、前記アクスルハーフシャフト間の差動運動が所定量の場合に、それぞれクラッチ機構(48,50)に係合して、前記クラッチ機構(48,50)を前記アクスルハーフシャフトと共に結合し、
前記クラッチ部材の各々は、それぞれ互いに対面関係に配置された溝(64)を有する内側に向いた面(62)と、前記溝(64)内に受け入れられ、かつ、前記ハウジング(12)に連結されて回転可能に動作する横ピン(66)とを有し、
前記溝(64)の各々は、互いに対して横方向に延びる一対の作動面(274)を含み、該作動面(274)の各々は、2つの平面にわずかな凸状の面を形成し、前記横ピン(66)は、前記ハウジング(12)に対してアクスルハーフシャフト(30,32)が作動回転する場合に、その上に形成される点で前記作動面に接触することを特徴とするロッキングデファレンシャル。
【請求項14】
前記溝(64)は、前記一対の作動面(274)に相互連結する溝底面(72)を含むことを特徴とする請求項13に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項15】
前記作動面(274)は、互いに対して鈍角で延びていることを特徴とする請求項14に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項16】
前記一対のクラッチ機構(48,50)の各々は、前記サイドギヤ(42,44)に回転可能に支持される複数の摩擦板(54)と、対応する一方の前記クラッチ部材(40)に回転可能に支持され、かつ、複数の摩擦板(54)の間に介在される複数のプレート(58)とを有する摩擦クラッチ部材を含み、
前記クラッチ機構(48,50)は、前記摩擦板(54)が隣接するプレート(58)に係合して、前記クラッチ機構(48,50)を関連した一方の前記サイドギヤ(42,44)に結合するように作動可能であることを特徴とする請求項14に記載のロッキングデファレンシャル。
【請求項17】
前記溝(64)は中心線(CL)を形成し、前記横ピン(66)は前記中心線の両側上に配置された作動面(274)に係合することを特徴とする請求項14に記載のロッキングデファレンシャル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【公表番号】特表2013−500447(P2013−500447A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522265(P2012−522265)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【国際出願番号】PCT/IB2010/001822
【国際公開番号】WO2011/012968
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(390033020)イートン コーポレーション (290)
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【国際出願番号】PCT/IB2010/001822
【国際公開番号】WO2011/012968
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(390033020)イートン コーポレーション (290)
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
【Fターム(参考)】
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