説明

改良された低温特性を潤滑油に賦与する粘性改良剤組成物

【課題】良好なせん断安定性および潤滑剤処方物に対する低温性能を提供する。
【解決手段】本発明の潤滑剤組成物は、潤滑粘性を有する油;(A)0.05〜1.5重量パーセントのコポリマーであって、このコポリマーが70〜79重量パーセント("E")のエチレンから誘導される単位を含み、50,000〜100,000の重量平均分子量、3未満の多分散性、860〜896kg/mの密度("D")、および15℃〜60℃の融点("Tm")を有し、ここで、EおよびTmが式:


を満足する、コポリマー;ならびに(B)0.05〜1.5重量パーセントのブロックコポリマーであって、このブロックコポリマーが、ビニル芳香族コモノマーを含む第1のブロック、およびジエンコモノマーを含む第2のブロックを含み、このジエンモノマー含有ブロックが水素化されている、ブロックコポリマー、を含み;重量比(A):(B)は20:80〜60:40であり;この潤滑剤組成物は良好な低温性能および耐久性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2003年3月28日出願の米国仮出願60/458,666から優先権を主張する。
本発明は、ポリマーの組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、所定の特性を有する、比較的低分子量のエチレンコポリマーと、ビニル芳香族ブロックコポリマーとの混合物に関する。これらのポリマーは潤滑油の粘性改良剤として有用である。
【背景技術】
【0002】
潤滑粘性を有する油の粘性は、一般に温度に依存する。該油の温度が上昇するにつれて、粘性は通常減少し、該油の温度が低下するにつれ、粘性は通常増加する。
【0003】
粘性改良剤(粘性改質剤、または粘度指数向上剤)の機能は、油の温度が上昇する場合は粘性の低下の程度を低減し、または油の温度が低下する場合は粘性の増加の程度を小さくすること、またはその両方である。それ故に、粘性改良剤は、温度の変化に伴なう、その粘性改良剤を含有する油の粘性の変化を改善する。該油は広い温度範囲に渡ってより一定の粘性を維持するので、該油の流動特性は改善される。
【0004】
粘性改良剤は、該粘性改良剤を含む該潤滑剤の低温粘性に悪影響を及ぼさないことが望ましい。しばしば、多くの粘性改良剤は潤滑油の高温での粘性特性を向上させる一方で、該処理された潤滑剤の低温特性はより悪くなる。
【0005】
粘性改良特性を賦与する添加剤は当該分野で公知である。そのような製造物はC.V.SmalheerおよびR.K.Smith、「Lubricant Additives」、Lezius−Hiles Co.(1967)を含む多数の出版物に記載されている。
【0006】
2002年2月7日出願の国際特許公報WO02/10276号は、A)共重合体であって、約70〜約79重量%のエチレンから誘導される単位(「E」)を含み、かつ(a)50,000〜130,000の
【0007】
【化12】

および/または(f)
【0008】
【化13】

;(b)約845〜約895kg/mの密度(D);(c)3未満の
【0009】
【化14】

;(d)約15℃〜約60℃の融点(Tm);および(e)15%以上の結晶化度を有する共重合体、ならびにB)非晶性のポリマーであって、所定の
【0010】
【化15】

および結晶性を有する、非晶性のポリマー、を含む混合物を開示する。上記混合物を構成する成分を含む、添加剤濃縮物および潤滑剤組成物もまた開示されている。
【0011】
粘性改良剤は、代表的にはポリマー材料であるが、使用または取り扱いの便宜のために、油中の濃縮物の形で供給されるのもまた一般的である。この濃縮物中の粘性改良剤の濃度はできるだけ高いのが望ましく、その一方で、この濃縮物が容易に取り扱われ得、例えば、注ぎ込まれるか、またはポンプで注入されるよう、適切な粘度を保持することが、経済的な理由から望ましい。しかしながら、所定の粘性改良剤が、とりわけ、所定の水素化されたスチレン−ジエンブロック共重合体、例えば、スチレン−イソプレンブロックコポリマーおよび星型コポリマーは、理想的には約1000mm/s(cSt)よりも低い粘性が望ましいところ、上記水素化されたスチレン−ジエンブロックコポリマーが100℃において、例えば、10,000mm/s(cSt)を超える、極端に高い動粘性率を招くため、約6重量%より高い濃度で濃縮物中に使用できないということが観察されている。
【0012】
そのような、水素化されたジエン/ビニル芳香族ポリマーは公知であり、また、改良された粘性を有するそのようなポリマーの濃縮物もまた公知である。1998年、5月5日出願の、Lucianiらによる米国特許第5,747,433号は、組成物であって、約2〜約20パーセントの水素化されたジエン/ビニル芳香族ブロックコポリマーと選択された非イオン性界面活性剤を潤滑粘性を有する油の媒体中に含む、組成物を開示する。この組成物は上記界面活性剤を含まない類似の組成物と比較すると、低減された粘性を示す。
【0013】
1980年3月18日出願の、Branklingらによる米国特許第4,194,057号は、粘度指数向上剤追加組成物であって、ビニル芳香族/共役ジエンポリマー、およびエチレンC〜C18α−オレフィンコポリマーを含有する、粘度指数向上剤添加剤組成物を開示する。
【0014】
2003年2月25日出願の、Okadaらによる米国特許第6,525,007号は、潤滑油のための粘性改質剤を開示し、この粘性改質剤は、エチレン/プロピレンコポリマーであって、約70〜約79%の、エチレンから誘導される繰返し単位、80,000〜250,000の重量平均分子量、および、所定のMw/Mnおよび融点特性を有する、エチレン/プロピレンコポリマーを含む。他の材料も共存することができ、この材料には流動点降下剤としてのα−オレフィン類とスチレンとのコポリマーが挙げられる。
【0015】
2002年2月6日出願のヨーロッパ特許出願EP1178102は、潤滑油組成物を開示し、この組成物は、潤滑基油、およびエチレンと3〜20の炭素原子を有する一つのα−オレフィンとのコポリマーであって、40〜77重量%のエチレン含量と他の特徴付けるパラメーターを有するコポリマーを含む。例えば,α−オレフィンとスチレンとのコポリマーのような、流動点降下剤も共存することができる。
【0016】
1966年6月6日出願のPCT出願WO96/17041は、オレフィンコポリマーおよび星型ポリマーを含み、潤滑油の粘度指数を改善するのに有用な、ポリマーブレンドを開示する。このオレフィンコポリマーはエチレン−プロピレンコポリマーであってもよい。この星型ポリマーはスチレン/イソプレンベースのポリマーであってもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、ポリマーのブレンドであって、濃縮物の中の高い全濃度の、相対的に高濃度の、水素化されたスチレン−ジエンブロックコポリマーを含む、高い全濃度のポリマーが、過剰な濃縮粘性を導くことなく用いられる、ポリマーのブレンドを提供する。さらには、本発明は、多くの場合において、予想外に良好なせん断安定性および潤滑剤処方物に対する低温性能を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
(発明の要旨)
本発明は、潤滑剤組成物を提供し、この潤滑剤組成物は、潤滑粘性を有する油;(A)0.05〜1.5重量パーセントのコポリマーであって、このコポリマーが70〜79重量パーセントのエチレンから誘導される単位(「E」)を含み、50,000〜100,000の
【0019】
【化16】

、3未満の
【0020】
【化17】

、860〜896kg/mの密度(「D」)、および15℃〜60℃の範囲の融点(「Tm」)を有し、ここで、EおよびTmが
【0021】
【化18】

を満足する、コポリマー;ならびに(B)0.05〜1.5重量パーセントのブロックコポリマーであって、このブロックコポリマーが、ビニル芳香族コモノマーを含む第1のブロック、およびジエンコモノマーを含む第2のブロックを含み、このジエンモノマー含有ブロックが水素化されている、ブロックコポリマー、を含み;(A)および(B)の重量比(A):(B)は20:80〜60:40である。
【0022】
本発明はまた、濃縮物を提供し、この濃縮物は、潤滑粘性を有する油;(A)1〜30重量パーセントの上記コポリマー(A);ならびに(B)1〜30重量パーセントの上記ブロックコポリマー(B)、を含み;(A)および(B)の重量比(A):(B)は約20:80〜約60:40である。
【0023】
本発明はまた、固体状のポリマー組成物を提供し、この固体状のポリマー組成物は、(A)20〜60重量パーセントの上記コポリマー(A);および、(B)40〜80重量パーセントの上記ブロックコポリマー(B)、を含む。
【0024】
本発明はまた、内燃機関に対して上記潤滑剤組成物を供給する工程を包含する、内燃機関を潤滑する方法を提供する。
本発明は例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
潤滑剤組成物であって、以下:
潤滑粘性を有する油;
(A)約0.05〜約1.5重量パーセントのコポリマーであって、該コポリマーが約70〜約79重量パーセントのエチレンから誘導される単位(「E」)を含み、約50,000〜約100,000の
【化1】

、約3未満の
【化2】

、約860〜約896kg/mの密度(「D」)、および約15℃〜約60℃の範囲の融点(「Tm」)を有し、ここで、EおよびTmが
【化3】

を満足する、コポリマー;ならびに
(B)約0.05〜約1.5重量パーセントのブロックコポリマーであって、該ブロックコポリマーが、ビニル芳香族コモノマーを含む第1のブロック、およびジエンコモノマーを含む第2のブロックを含み、該ジエンモノマー含有ブロックが水素化されている、ブロックコポリマー、
を含み、(A)および(B)の重量比(A):(B)が約20:80〜約60:40である、潤滑剤組成物。
(項目2)
前記コポリマー(A)が、エチレン/プロピレンコポリマーである、項目1に記載の潤滑剤組成物。
(項目3)
前記コポリマー(A)の
【化4】

が、約75,000より大きい、項目1に記載の潤滑剤組成物。
(項目4)
前記コポリマー(A)が、20〜30%の結晶化度を有する、項目1に記載の潤滑剤組成物。
(項目5)
前記コポリマーの密度(D)と融点(Tm)が
【化5】

を満足する、項目1に記載の潤滑剤組成物。
(項目6)
前記ブロックコポリマー(B)が、水素化されたスチレン/イソプレンブロックコポリマーである、項目1に記載の潤滑剤組成物。
(項目7)
前記ブロックコポリマー(B)が、ジブロックコポリマーである、項目6に記載の潤滑剤組成物。
(項目8)
前記ブロックコポリマー(B)中のビニル芳香族モノマーの含有率が約10重量パーセント〜約60重量パーセントである、項目1に記載の潤滑剤組成物。
(項目9)
前記ブロックコポリマー(B)は、約50,000〜約500,000の重量平均分子量を有する、項目1に記載の潤滑剤組成物。
(項目10)
前記ブロックコポリマー中の全ビニル芳香族モノマー成分の重量平均分子量が約20,000〜約40,000である、項目9に記載の潤滑剤組成物。
(項目11)
前記コポリマー(B)が星型ポリマーである、項目1に記載の潤滑剤組成物。
(項目12)
前記星型ポリマーが、水素化されたスチレン/ブタジエンポリマー、または水素化されたスチレン/イソプレンポリマーである、項目11に記載の潤滑剤組成物。
(項目13)
前記潤滑粘性を有する油が、ポリアルファオレフィン、またはAPIグループIIまたはグループIIIに属する鉱物基油を含む、項目1に記載の潤滑剤組成物。
(項目14)
摩擦改良剤、洗浄剤、分散剤、酸化防止剤、金属不動態化剤、流動点降下剤、極圧剤、および補助粘性改良剤からなる群から選ばれる、少なくとも一つの追加添加剤をさらに含む、項目1に記載の潤滑剤組成物。
(項目15)
項目14に記載の成分を混合することによって調製される、組成物。
(項目16)
濃縮物であって、以下:
潤滑粘性を有する油;
(A)約1〜約30重量パーセントのコポリマーであって、約70〜約79重量パーセントのエチレンから誘導される単位(「E」)を含み、約50,000〜約100,000の
【化6】

、約3未満の
【化7】

、約860〜約896kg/mの密度(「D」)、および約0℃〜約60℃の範囲の融点(「Tm」)を有し、ここで、EおよびTmが
【化8】

を満足する、コポリマー;ならびに
(B)約1〜約30重量パーセントのブロックコポリマーであって、該ブロックコポリマーがビニル芳香族コモノマーを含む第1のブロック、およびジエンコモノマーを含む第2のブロックを含み、該ジエンモノマー含有ブロックが水素化されている、ブロックコポリマー、
を含み、(A)および(B)の重量比(A):(B)が約20:80〜約60:40である、濃縮物。
(項目17)
固体状のポリマー組成物であって、以下:
(A)約20〜約60重量パーセントのコポリマーであって、約70〜約79重量パーセントのエチレンから誘導される単位(「E」)を含み、約50,000〜約100,000の
【化9】

、約3未満の
【化10】

、約860〜約896kg/mの密度(「D」)、および約0℃〜約60℃の範囲の融点(「Tm」)を有し、ここで、EおよびTmが
【化11】

を満足する、コポリマー;ならびに
(B)約40〜約80重量パーセントのブロックコポリマーであって、該ブロックコポリマーがビニル芳香族コモノマーを含む第1のブロック、ジエンコモノマーを含む第2のブロックを含み、該ジエンモノマー含有ブロックが水素化されている、ブロックコポリマー、
を含む固体状のポリマー組成物。
(項目18)
内燃機関に対して項目1に記載の組成物を供給する工程を包含する、内燃機関を潤滑する方法。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(発明の詳細な説明)
本明細書中で使用する場合、「炭化水素」との用語は純粋に炭化水素を、つまり、水素および炭素からなり、ヘテロ原子を含まない化合物を意味する。「ヒドロカルビル」および「炭化水素ベースの」との用語は、記載される基が、本発明の文脈の範囲内で、主に炭化水素の特性を有することを意味する。ヒドロカルビル基および炭化水素ベースの基は、純粋に本質的に炭化水素である基、すなわち、水素および炭素のみを含む基を含む。上記の基は、非炭化水素置換基または原子であって、基の大部分の炭化水素特性を変化させない非炭化水素置換基または原子をも含む基を含んでいてもよい。そのような置換基には、ハロゲン基、アルコキシ基、およびニトロ基が挙げられ得る。これらの基はヘテロ原子を含んでいてもよい。適切なヘテロ原子は当業者には明確であり、このへテロ原子には、例えば,硫黄、窒素および酸素が挙げられる。それ故に、本発明の文脈の中で、性質上主に炭化水素を残しつつ、これらの基は、炭素以外の原子を、その原子以外は炭素原子で構成される主鎖内または環内に、含んでいてもよい。それ故に、「ヒドロカルビル」および「炭化水素ベースの」との用語は、「炭化水素」との用語より範囲が広い。なぜなら、ヘテロ原子を含むヒドロカルビル基または炭化水素ベースの基が、本明細書で定義される炭化水素基でない限りは、すべての炭化水素基は、ヒドロカルビル基または炭化水素ベースの基だからである。
【0026】
一般に、ヒドロカルビル基または炭化水素ベースの基の中には、10個の炭素原子ごとに、3個以下の非炭化水素置換基またはヘテロ原子、および好ましくは1個以下の非炭化水素置換基またはヘテロ原子が存在するはずである。最も好ましくは、これらの基は、性質上純粋に炭化水素であり、つまり、本質的に炭素および水素以外の原子を含まない基である。
【0027】
明細書および特許請求の範囲全体を通じて、油に可溶または油に分散可能という表現が用いられる。油に可溶または油に分散可能とは、望まれる水準の活性または性能を提供するために必要とされる量が、潤滑粘性を有する油の中に溶解されて組み込まれうるか、分散されて組み込まれうるか、または懸濁されて組み込まれうるかを意味する。通常、この表現は、少なくとも0.001重量%のこの材料が潤滑油組成物中に組み込まれうることを意味する。油に可溶または油に分散可能との用語の、とりわけ「安定的に分散可能」との用語のさらなる議論については、米国特許第4,320,019号を参照のこと。
【0028】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、文脈が明らかに異なる意味を示さない限り、単数形は複数形をも含む。それ故に、単数形の「a」、「an」、および「the」は複数形を含む。例えば,「オレフィン(an olefin)」は同種のオレフィンの混合物を含む。もう一つの具体例として、文脈が明らかに異なる意味を示さない限り、単数形の「オレフィン(olefin)」は単数および複数の両方を含むことを意図されている。
【0029】
(エチレンコポリマー)
本発明の混合物および組成物は、本明細書上記、そして本明細書以下にさらに詳細に記載されるような、少なくとも2つのポリマーを含む。第1のポリマーは、(A)コポリマーであって、70〜約79重量%の、エチレンから誘導され、(a)50,000〜100,000の、ポリスチレン標準を用いたゲル浸透クロマトグラフィーで測定された
【0030】
【化19】

を有し、代表的には(f)ASTMの手順D−6278およびD−6022を用いて決定される、50以下、または好ましくは18以下のせん断安定性指数(SSI)を有する、コポリマーである。このコポリマーは、また、代表的には、(b)860〜約895kg/mの密度(「D」)、(c)3未満の
【0031】
【化20】

、(d)15℃〜60℃の、またはもう一つの選択肢として、0℃〜60℃の、示差走査熱量計により測定した融点(「Tm」)を有する。一実施形態においては、上記密度(D)と上記融点とは、以下の式:
【0032】
【化21】

を満足し、別の実施形態においては、このエチレンコポリマーの、エチレンから誘導される繰返し単位の百分率含量(E:重量%)と融点(Tm:℃)とは、以下の式:
【0033】
【化22】

を満足する。
【0034】
本明細書中で使用される場合、「コポリマー」との用語は、2個以上のコモノマーを有するポリマーを意味する。したがって、この「コポリマー」との用語は二元コポリマー、三元ポリマー、およびさらに高次のポリマーを含む。上記のコモノマーは上記のポリマーに分散剤機能を賦与するために用いられる極性モノマーを含んでいてもよい。
【0035】
上記のコポリマーは、実質的に非晶性のポリマー(例えば,5%未満の結晶化度)であってもよく、または、好ましくは、示差走査熱量測定で測定した場合に、少なくとも15%の、好ましくは20%〜30%の、結晶化度を有する、部分的に結晶性のポリマーであってもよい。示差走査熱量測定(示差熱量分析の一つの形式)およびX線回折手法はともに、本発明で使用されるポリマーの結晶化度を決定するために有用である。これらの手順は当業者には周知であり、例えば,米国特許第3,3389,087号に記載されている。この特許に記載される手順においては、示差走査熱量分析が結晶性の存在を示し、X線回折パターンが結晶化度を示した。ポリマーの結晶化度についての議論は、Billmeyer,Jr.,Textbook of Polymer Science、第3版、Wiley−Interscienceの様々な節、例えば、232〜233頁、240頁、252頁、286〜289頁、342〜344頁、399頁および420頁に記載されている。結晶化度および結晶化度を決定するための方法についての具体的な議論は、286〜289頁に記載されている。
【0036】
コポリマー(A)は、70〜79重量%の、好ましくは重量で、さらに好ましくは74〜76重量%のエチレンから誘導される単位を含む。上記コモノマーは、エチレンと共重合可能な任意のモノマーであってもよいが、好ましくは、上記コモノマーは、オレフィン、特に3〜18の炭素原子を含有するオレフィン,さらに好ましくはα−オレフィンを含む。プロピレンは特に好ましいコモノマーであり、一実施形態においては、(A)という上記コポリマーはエチレン/プロピレンコポリマーである。別の実施形態においては、第1のコポリマーは、ポリエン、好ましくはジエン、最も好ましくは非共役ジエンから誘導される単位をさらに含む。代表的には、ポリエンを含むポリマーは、0.5〜10重量部の、ポリエンから誘導される単位を含んでいてもよい。
【0037】
上記コポリマーの中のエチレン含量は13C核磁気共鳴(NMR)を用いて測定される。
【0038】
上記コポリマー(A)の重量平均分子量(
【0039】
【化23】

)は、ポリスチレン標準を用い、サイズ排除クロマトグラフィーとしても公知の、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定され、この重量平均分子量は50,000〜100,000、よりしばしば、70,000〜100,000、または75,000〜95,000、または80,000〜90,000の範囲である。
【0040】
第1のコポリマーは、3未満の、好ましくは1.5〜2.2の
【0041】
【化24】

(これは、分子量分布の指標である)を有し、ここで、
【0042】
【化25】

は上記コポリマーの数平均分子量であり、またGPCによって測定される。
【0043】
上記GPC手法は、標準材料を用い、それに対して上記試料が比較される。最良の結果のために,上記試料のそれらに化学的に類似である標準が用いられる。例えば,ポリスチレンポリマーに対しては、ポリスチレン標準、好ましくは類似の分子量のポリスチレン標準、が用いられる。標準がこの試料に非類似であるときは、一般的に、関連するポリマーの相対的な分子量が決定されうる。例えば,ポリスチレン標準試料を用いて、一連のポリメタクリレートの相対的な、しかし絶対的でない、分子量が決定されるかも知れない。上記および別の手順は、P.J.Flory、「Principle of Polymer Chemistry」、Cornell University Press(1953)、VII章、266〜316頁を含む数多くの刊行物に記載されている。
【0044】
上記のコポリマーは、代表的には860〜882kg/mの密度を有する。ASTM手順D−1505が、ポリマー密度を測定するために、しばしば用いられる。
【0045】
上記コポリマーの融点は15℃〜60℃であり、好ましくは25℃〜50℃であり、さらに好ましくは25〜45℃である。上記コポリマーの融点は、示差走査熱量計を用いて決定される。上記融点は、吸熱曲線において最大ピーク位置における温度である。上記融点は、第2走査の吸熱曲線から決定され、この第2走査の吸熱曲線は、試料をアルミニウムパンに入れ、この試料を200℃に10℃/分で加熱し、この試料を200℃で5分間保持し、そしてその後にこの試料を20℃/分で−150℃に冷却し、その後、この試料を10℃/分で加熱して得る。上記得られた曲線から、上記融点が決定される。
【0046】
一つの実施形態では、上記コポリマーは、上記密度(D:kg/m)と、示差走査熱量計により測定される融点(Tm:℃)との間に、式(I)の関係:
【0047】
【化26】

を満足する。別の実施形態では、上記コポリマーは、エチレンから誘導される繰返し単位の百分率含量(E:重量パーセント)と、融点(Tm:℃)との間に、式(II)の関係:
【0048】
【化27】

を満足する。
【0049】
上記コポリマー(A)は、オレフィン重合触媒を用いて調製され得、その重合触媒には、バナジウム、ジルコニウム、またはチタニウムなどの遷移金属化合物、ならびに有機アルミニウム化合物(有機アルミニウムオキシ化合物)、および/またはイオン化したイオン性化合物からなる触媒が挙げられる。上記重合触媒の中で好ましいのは、固体バナジウム化合物および有機アルミニウム化合物からなるバナジウム型触媒、ならびに元素の周期表の4族から選択される遷移金属のメタロセン化合物、有機アルミニウムオキシ化合物、およびイオン化したイオン性化合物からなるメタロセン触媒である。可溶性のバナジウム化合物は、一般式
VO(OR) または V(OR)
で表わされ、ここで、Rは炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、そしてa、b、cおよびdは、aは0〜3、bは0〜3、a+bは2〜3、cは0〜4、dは0〜4、およびc+dは3〜4であるようなものである。
【0050】
上記バナジウム型触媒を構成する有機アルミニウム化合物は、以下の一般式
AlX3−n
で表わされ、ここで、Rは1〜15個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を含む炭化水素基であり、XはHまたはハロゲンであり、そしてnは1〜3の範囲にある。R基としては、例えば,アルキル、シクロアルキル、およびアリールが挙げられる。
【0051】
上記有機アルミニウム化合物としては、特に、トリアルキルアルミニウム、アルケニルアルミニウム、トリアルケニルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムハライド、ジアルキルアルミニウム水素化物、およびアルキルアルミニウム二水素化物が挙げられる。
【0052】
例示的なメタロセン型触媒としては、元素の周期表の4族から選択される遷移金属のメタロセン化合物が挙げられ、そして、具体的に、一般式
ML
で表わされ、ここで、Mは元素の周期表の4族から選択される遷移金属であり、好ましくはジルコニウム、チタニウム、およびハフニウムであり、xはこの遷移金属の原子価であり、Lはこの遷移金属に配位する配位子であり、ここで少なくとも一個のLは、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、そのシクロペンタジエニル骨格は置換基を有していてもよい。配位子の例としては、アルキル置換またはシクロアルキル置換のシクロペンタジエニル基、インデニル基、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、およびフルオレニル基が挙げられる。これらの基は、ハロゲンまたはトリアルキルシリル基で置換されていてもよい。特に好ましいのは、アルキル置換のシクロペンタジエニル基である。
【0053】
上記メタロセン化合物が、上記配位子Lとして、シクロペンタジエニル骨格を有する2つ以上の基を有している場合は、シクロペンタジエニル骨格を有するこれらの基のうちの2つは、アルキレン基、置換アルキレン基、またはシリレン基もしくは置換シリレン基を介して、お互いに結合されていてもよい。シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の上記配位子Lとしては、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキルなど(an the like)を含む、1〜12個の炭素原子の炭化水素基;アルコキシ基;アリールオキシ基;スルホン酸含有基、ハロゲン、およびHが挙げられる。
【0054】
以下の一般式:

で表される化合物であって、ここで、Mは元素の周期表の4族またはランタニド族から選択される金属であり、Lは、拘束幾何構造(constraint geometric formation)を上記金属M活性点に賦与する、非局在化したπ結合基の誘導体であり、各Xは、独立して、H、ハロゲン、20未満の炭素原子を含む炭化水素、シリコン、ゲルマニウム、シリル、またはゲルマニルである。この型の化合物の中で好ましいのは、一般式(III):
【0055】
【化28】

で表される化合物であり、ここで、Mはチタニウム,ハフニウム、またはジルコニウムであり、Xは本明細書上記で定義される。Cは、Mにπ結合し、置換基Zを有する置換シクロペンタジエニル基であり、ここで、Zは硫黄、酸素、ホウ素、または元素の周期表の14族の元素であり、Yは、リン、窒素、または硫黄を含有する配位子であり、そしてZおよびYは縮合環を形成していてもよい。上記メタロセン化合物は個別に用いられてもよく、または組み合わせて用いられてもよい。
【0056】
式MLの好ましいメタロセン化合物は、少なくとも2つのシクロペンタジエニル骨格を含む配位子を有するジルコノセン化合物であり、その化合物中の中心金属原子はジルコニウムである。別の好ましい実施例においては、式Lおよび(III)で表わされるメタロセン化合物において、中心金属原子はチタンである。
【0057】
メタロセン型触媒を構成する有機アルミニウムオキシ化合物は、アルミノオキサンおよびベンゼンに不溶の有機アルミニウムオキシ化合物である。メタロセン型触媒を構成するイオン化したイオン性化合物の例示としては、ルイス酸、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、およびトリアリールホスホニウム塩などのイオン性化合物が挙げられる。有機アルミニウム化合物および有機アルミニウムオキシ化合物、および/またはイオン化したイオン性化合物は、併用されてもよい。
【0058】
上記コポリマー(A)は、エチレンおよび他のモノマー、通常はプロピレン、を、上記バナジウム型触媒の存在下で共重合することにより、調製される。バナジウム型の触媒が使用される場合は、重合系における可溶性バナジウム化合物の濃度は、1リットルの重合体積あたり、通常は0.01〜5ミリモル、好ましくは0.05〜3ミリモルである。望ましくは、可溶性バナジウム化合物は、重合系に存在する上記可溶性バナジウム化合物の濃度の10倍以下の濃度で、好ましくは1〜5倍の濃度で供給される。上記有機アルミニウム化合物は、モル比Al/Vが2以上、好ましくは3〜20である量で供給される。
【0059】
メタロセン型触媒が用いられる場合には,上記重合系におけるこのメタロセン型触媒の濃度は、通常、0.00005〜0.1ミリモル/リットルである。上記有機アルミニウムオキシ化合物は、重合系におけるメタロセン化合物中のAl/遷移金属のモル比が、1〜10,000であるような量で供給される。
【0060】
上記イオン化されたイオン性化合物は、メタロセン化合物に対するイオン化された化合物のモル比が0.5〜30である量で供給される。上記有機アルミニウム化合物が使用されるときは、その有機アルミニウム化合物は、1リットルの重合体積あたり0〜5ミリモルの範囲の量で通常使用される。
【0061】
上記バナジウム型触媒の存在下での重合は、通常、−50℃〜100℃で実施され、その圧力は大気圧よりも高く50kg/cmまでである。上記メタロセン型触媒の存在下での重合は、通常、−20℃〜150℃においてであり、その圧力は大気圧よりも高く80kg/cmまでである。反応時間は触媒濃度および重合温度に依存するが、代表的には5分〜5時間の範囲である.
分散剤−粘度改良剤(DVI)、つまり、極性基含有モノマーを有するポリマーもまた企図されており、このモノマーは、上記エチレンコポリマーを形成する上記モノマーと共重合されるか、または上記エチレンコポリマーの主鎖上にグラフトされる。
【0062】
本発明の濃縮物における、ポリマー(A)の量は、代表的には、1〜30重量パーセントであり、または機能的に表現すると、上記成分(B)ポリマーを含む濃縮物の動粘性率の低下につながるのに適切な量である。好ましい量は、1〜25重量パーセント、1〜15重量パーセント、2〜10重量パーセント、3〜8重量パーセント、および、4〜6重量パーセントである。十分に処方された潤滑剤の中で用いられる場合には,代表的な量は、対応して、例えば、0.05〜1.5重量パーセント、0.2〜1重量パーセント、または0.4〜0.8重量パーセントに低減される。
【0063】
(ビニル芳香族ブロックコポリマー)
本発明の組成物の別の成分(B)は、ビニル芳香族コモノマー部分および第2のコモノマー部分を含むブロックコポリマー(この用語は所定の星型ポリマーを包含することを意図されている)である。そのような材料の例示としては、水素化されたジエン/ビニル芳香族ブロックコポリマーが挙げられ、このコポリマーは、代表的には、粘性改良剤として機能し得る。上記コポリマーは、第1の、ビニル芳香族モノマーから調製される。このモノマーの芳香族部分は、一つだけの芳香環を含み得、または縮合環もしくは多重芳香環を含み得る。縮合環または多重芳香環材料の例としては、ビニル置換のナフタレン、アセナフテン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、テトラセン、ベンズアントラセン、およびビフェニルが挙げられる。上記芳香族コモノマーはまた、このコモノマーが実質的にその芳香族性を保持し、他の点で上記ポリマーの性質を阻害しないならば、芳香環の中に1つ以上のヘテロ原子を含有していてもよい。そのようなヘテロ芳香族材料としては、ビニル置換チオフェン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルオキサゾール、およびこれらの置換類似体が挙げられる。より一般的には、上記モノマーはスチレンである。スチレンの例としては、スチレン,α−メチルスチレン、オルト−メチルスチレン,メタ−メチルスチレン、パラ−メチルスチレン、およびパラ−三級ブチルスチレンが挙げられる。上記ビニル芳香族モノマー中のビニル基は、通常は、非置換のビニル(例えば,CH=CH−)基、またはホモポリマーの「ブロック」(または、セグメント)としての、上記ポリマー鎖への上記芳香族コモノマーの導入のために適切な手段を提供するような性質を有する等価な基であり、上記ホモポリマーの「ブロック」(または、セグメント)は、多数の連続する単一の繰返し単位を有し、それは上記ブロックに高度の芳香族含量を賦与する。好ましいビニル芳香族モノマーはスチレンである。
【0064】
このポリマーの第2のモノマー成分は、上記ビニル芳香族コモノマーと重合可能な任意のモノマーであり得る。そのようなモノマーの例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン(従って,ビニル芳香族/ジエンブロックコポリマーを提供する)、アクリレートエステル、メタクリレートエステル、およびアルキレンオキシドが挙げられる。これらのモノマーのすべてが、通常はアニオン性条件下で、ビニル芳香族モノマーと共重合されブロックコポリマーを与え得る。これらのモノマー、特にアクリレートエステルまたはメタクリレートエステルが用いられるときは,通常は、低温が要求される。
【0065】
モノアニオン性およびジアニオン性のポリスチレンポリマー上へのアクリレートエステルおよびメタクリレートエステルのブロック共重合ための条件は、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering(1987年編集)2巻に記載されている。ビニル芳香族ブロックポリマーを調製する際に、いくつかの手法が用いられ,そのブロックポリマーの中で最も共通するものは、上記分子の片末端または両末端に上記アニオン性部位を有する「リビング」ポリスチレンセグメントの中間体を包含するものである。次いで、上記リビングアニオン性部位は、第2の型の選ばれたモノマー上への付加反応または置換反応によって、次の型のブロックをグラフトするために用いられ得る。
【0066】
他の型のモノマーはアニオン重合を経て、アニオン性ポリスチレン中間体により開始される開環反応により、ブロックコポリマーを生成し得る。これらのモノマーとしては、エポキシド、エピスルフィド、酸無水物、シロキサン、ラクトン、およびラクタムが挙げられる。例えば、アニオン性ポリスチレンによるエポキシドモノマー上への求核攻撃は、ポリオキシアルキレンブロックの中に、アルコキシド基末端のポリエーテルを生成し得る。ラクトンの類似の開環重合は、ポリエステルセグメントを導入するために用いられ得、シロキサンは、ポリシロキサンのブロックを生成し得る。
【0067】
上記ビニル芳香族モノマーとのアニオン性共重合に特に好ましいコモノマーは、ジエン類である。ジエン類は2つの二重結合を含有し、この2つの二重結合は、通常は、1,3の関係で共役して置かれている。2個以上の二重結合を含有するオレフィンは、時折ポリエンと呼ばれるが、この2個以上の二重結合を有するオレフィンもまた、本明細書中で使用される場合の「ジエン」の定義の範囲内に包含されると考えられる。そのようなジエンモノマーの例としては、1,3−ブタジエン、ならびに、例えば、イソプレンおよび2,3−ジメチルブタジエンなどのヒドロカルビル置換のブタジエンが挙げられる。上記モノマーおよび他の多数のモノマーは周知であり、エラストマーの成分として、ならびに他のポリマーに対する改質性モノマーとして広く使用されている。上記ジエンは、好ましくは、4〜6個の炭素原子を含む共役ジエンである。共役ジエンの例としては、1,3−ブタジエン、ならびに、ピペリレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、クロロプレン、およびイソプレンなどのヒドロカルビル置換のブタジエンが挙げられ、イソプレンおよびブタジエンが特に好ましい。そのような共役ジエンの混合物もまた有用である。水素化されたスチレン/イソプレンブロックコポリマーは、特に、有用である。水素化された芳香族/ジエンブロックコポリマーにおいては、代表的には、水素化されるのは上記ジエンモノマー含有ブロックであり、その芳香族部分は、一般に水素化に対して、より抵抗性である。
【0068】
上記(B)コポリマーのビニル芳香族モノマー含量は、代表的には10重量%〜60重量%、あるいは、15〜60重量%、または30〜60重量%である。これらのコポリマーの残りのコモノマー含量は、代表的には、40重量%〜90重量%、または40もしくは50重量%〜85もしくは70重量%である。上記ポリマー(B)中のビニル芳香族モノマーの相対量に言及するときは、そのようなモノマーから誘導される分子のその部分の全重量平均分子量に言及するのが有用である。これは、代表的には、20,000〜40,000の重量平均分子量である。このモノマー部分は、いくつかのブロックとなって一緒に現れてもよく、または上記ポリマー中に別様に分布されていてもよい。したがって、100,000の分子量を有するポリマーは、約30パーセントのスチレンモノマーを含有すれば、30,000のスチレン部分の分子量を有することになる。
【0069】
上記残りのコモノマー、つまり、ビニル芳香族モノマー以外のモノマーが脂肪族共役ジエンである場合には,第3のモノマーおよび他のモノマーもまた、通常は相対的に少量で(例えば、5〜20パーセント)存在し得、これらのモノマーとしては、C2−10のオレフィンオキシド、ε−カプロラクトン、およびδ−ブチロラクトンなどの材料が挙げられる。上記ビニル芳香族含有ジブロックコポリマーおよびトリブロックコポリマーは、各モノマー成分の逐次の添加および重合によって調製されるので、この重合混合物は、重合過程全体の任意の特定の段階において、上記モノマーのうちの圧倒的多数のただ一つを含有する。比較として,ランダムブロックコポリマーの製造においては、重合の任意の特定の段階において、一つ以上のモノマーが存在してもよい。
【0070】
好ましい例として、スチレン−ジエンコポリマーは、当該分野で周知の方法により調製され得る。そのようなスチレン/ジエンブロックポリマーは、通常、アニオン重合により、生成するポリマーにおいて最も望ましい特徴を作り出すために、様々な手法を用い、そして反応条件を変更して調製される。アニオン重合においては、開始剤は、アルキルリチウムのような有機金属材料、またはIA族金属からナフタレンのような芳香族材料への電子移動により生成したアニオンのいずれかであり得る。好ましい有機金属材料はsec−ブチルリチウムのようなアルキルリチウムであり;上記重合は、上記ジエンモノマーまたは上記スチレンのいずれかへのこのブチルアニオンの付加により開始される。
【0071】
あるいは、リビングジブロックポリマーは、ジアルキル−ジクロロシランなどの反応剤への曝露によりカップリングされ得る。2つのA−Bジブロックリビングポリマーのカルボアニオン性の「末端」が、そのような反応剤を用いてカップリングされるとき、LiClの沈殿が生じ、上記の逐次モノマー添加法により得られる構造よりも少し異なる構造の、A−B−Aトリブロックポリマーを与え、ここで、この中心のBブロックの大きさは反応開始時のリビング(アニオン性)ジブロック中間体におけるBブロックの大きさの2倍である。
【0072】
相対的に大きなホモポリマーセグメント(A)を与えるためのスチレンの連続的な添加、引き続いて相対的に大きなホモポリマーセグメント(B)を与えるためのジエンの添加によりされる方法により調製されるブロックコポリマーは、ポリ−A−ブロック−ポリ−Bコポリマー、またはA−Bジブロックポリマーと呼ばれる。
【0073】
通常は、混合物中のあるモノマーまたは別のモノマーが速く重合し、このモノマーに富み,その他のモノマーの時々の混入により汚染されるセグメントに導かれる。いくつかの場合には、この方法は、「ランダムブロックポリマー」、または「テーパーブロックポリマー(tapered block polymer)と呼ばれるポリマーの型を作るために有益に用いられ得る。2つの異なるモノマーの混合物が非極性のパラフィン系溶剤中でアニオン重合される場合には、一つのモノマーが選択的に開始し、そして通常は、重合してホモポリマーの比較的短いセグメントを生成する。第2のモノマーの導入は不可避であり、このことは異なる構造の短いセグメントを生成する。次いで、第1のモノマー型の導入は、そのホモポリマーの別の短いセグメントを生成し,この過程が連続して、ホモポリマーの比較的短く長さの異なるセグメントの、多かれ少なかれ「ランダム」に交互する分布を与える。ランダムブロックポリマーは、一般に、5個より多い上記ブロックを含むポリマーであると考えられている。ある時点で、一つのモノマーが失活し、別のモノマーの導入に好都合になり、「テーパーブロックポリマー」の中に,はるかにより長いブロックのホモポリマーが導かれる。
【0074】
最初に得られた不飽和ブロックポリマーの水素化は、酸化的により安定および熱的により安定なポリマーを生成する。還元は、代表的には、上記重合過程の一部分として、微細に砕かれたニッケル触媒、または担持されたニッケル触媒を用いて実施される。他の遷移金属もまた、この変換を実施するために用いられてよい。水素化は、通常、最初のポリマーのオレフィン性不飽和の約94〜96%を還元するために実施される。一般に、これらのコポリマーは、酸化安定性の理由から、水素化前のポリマー中に存在したオレフィン性二重結合の総量を基準にして、5%以下、そしてより好ましくは0.5%以下の残存オレフィン性不飽和を含むことが好ましい。そのような不飽和は、赤外分光法または核磁気共鳴分光法などの、当業者に周知の多くの手法により測定され得る。もっとも好ましくは、上記(aforementioned−mentioned)分析手法により測定した場合には、これらのコポリマーは、認識可能な不飽和をまったく含まない。
【0075】
好ましい実施形態においては、上記(B)コポリマー、および特にスチレン−ジエンコポリマーは、上記のように、上記ブロックの一部がビニル芳香族モノマーのホモポリマーまたはホモオリゴマーセグメントからなり、上記ブロックの別の部分が上記ジエンモノマーのホモポリマーまたはホモオリゴマーセグメントからなるブロックコポリマーである。上記ポリマーは、一般に、少なくとも50,000を超える重量平均分子量、好ましくは少なくとも100,000の重量平均分子量、より好ましくは少なくとも150,000の重量平均分子量、そして最も好ましくは少なくとも200,000の重量平均分子量を有する。一般には、上記ポリマーは500,000の重量平均分子量、好ましくは400,000の重量平均分子量、そしてさらに好ましくは300,000の重量平均分子量を超えるべきではない。この重量平均分子量は、上記のように決定され得る。そのようなポリマーに対する数平均分子量は、いくつかの公知の手法により決定され得る。そのような決定のための便利な方法は、サイズ排除クロマトグラフィー(ゲル浸透クロマトフラフィー(GPC)としても公知である)によるものであり、このサイズ排除クロマトグラフィーは付加的に重量平均分子量の情報をも提供する。W.W.Yau、J.J.Kirkland,およびD.D.Bly、「Modern Size Exclusion Chromatography」、John Wiley and Sons、New York、1979年を参照のこと。所定の特に適切なブロックコポリマーの分散度(M/M比)は、代表的には、1.0〜1.2の間にある。
【0076】
本発明の(B)コポリマーを調製するために使用され得るモノマーとしては、1,3−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、1,5−ヘキサジエン、2−クロロ−1,3ブタジエン、およびスチレン,α−メチルスチレン、オルト−メチルスチレン、メタ−メチルスチレン、パラ−メチルスチレン、パラ−t−ブチルスチレンなどの芳香族オレフィン、ならびにこれらの混合物が挙げられる。他のコモノマーが、上記混合物中および上記ポリマー中に含有され得、そのコモノマーは生成するポリマーの性質を実質的に変化させない。このコモノマー含量は、上記でより詳細に記載したように、上記触媒成分の選択を通して、および様々なモノマーの分圧を制御することにより、制御することができる。
【0077】
適切なスチレン/イソプレンの、水素化された規則的なジブロックコポリマーは、Infineum(登録商標) SV140(以前は、Shellvis(登録商標) 40)(M 約200,000)、Infineum(登録商標) SF150(M 約150,000)、およびInfineum(登録商標) SV160(M 約150,000)などの商用名の下でInfineumから商業的に入手可能であり、ならびに、Septon(登録商標) 1020(Mw 約150,000)、およびSepton(登録商標) 1001(Mw 約200,000)などの商用名の下で、Septon Company of America(Kuraray Group)から商業的に入手可能である。適切なスチレン/1,3−ブタジエンの、水素化されたランダムブロックコポリマーは、Glissoviscal(登録商標)(M 約160,000〜220,000)の商用名の下でBASFから入手可能である。これらのポリマーの若干数およびそれらの製造のより詳細な記載は、米国特許第5,747,433号に見出され、第3欄、第56行〜第8欄、第62行を参照のこと。
【0078】
本発明において有用なブロックコポリマーの代替的な形態は、星型ポリマーである。これらは、米国特許第6,034,042号を含む様々な特許中に詳細に記載されており、この米国特許は、ポリスチレンブロックを伴なう水素化されたポリイソプレン−ポリブタジエン−ポリイソプレンのテトラブロックコポリマー枝を有する星型ポリマーを開示する。別のそのような特許は、米国特許第5,458,8791号であり、この特許は、水素化されたポリイソプレンおよびポリスチレンのトリブロックコポリマー枝を有し、ここにポリスチレンがこの星型ポリマーの核の近くに位置している星型ポリマーを開示する。そのようなポリマーは、Shellvis(登録商標) 250、Shellvis(登録商標) 260、またはShellvis(登録商標) 300の商用名の下で、Infineumから商業的に入手可能である。適切な星型ポリマーとしては、従って、水素化されたスチレン/ブタジエン星型ポリマーおよび水素化されたスチレン/イソプレンポリマーが挙げられる。
【0079】
濃縮物組成物においては、特に鉱物油においては、上記水素化されたジエン/ビニル芳香族ブロックコポリマーの量は、代表的には、1〜30重量パーセント,しばしば1〜25重量パーセント、または1〜15重量パーセントである。1%のはるか下の濃度では、上記ポリマーは上記の油に可溶であり、会合により過度に増加した粘性を示すことなく、その結果、以下に記載される改良された粘度特性は依然として明白であるが、本発明の所定の抗粘稠化の利点が十分には実現されない。15〜30%のはるか上の濃度では、上記組成物は、本発明の成分(A)の存在下であっても、増加した粘性および取り扱いにおける所定の困難さを示し得る。成分(B)の好ましい濃度範囲は、2〜12重量パーセントであり;濃縮物中、より好ましくは4〜8パーセント、または5〜7パーセントである。十分に処方された潤滑剤においては、成分(B)の濃度は、対応して、例えば、0.05〜1.5重量パーセント、0.2〜1重量パーセント、または0.4〜0.8重量パーセントに低減されるであろう。
【0080】
ポリマー(A)およびポリマー(B)の相対的な重量比は、濃縮物中であっても、また、十分に処方された潤滑剤中であっても、代表的には20:80〜60:40、もしくは30:70〜50:50、もしくは35:65〜45:55、もしくは約40:60、または、他の実施形態では、1.0:(0.1〜10)、もしくは1.0:(0.2〜5)、もしくは1.0:(0.5〜2)である。
【0081】
別の実施形態では、ポリマー(A)およびポリマー(B)の混合物は、わずかの希釈剤とともに、または希釈剤を伴なわずに、上記ポリマーの固体ブレンドとして提供され得る。この固体ブレンドは、上記ポリマーの各々の粒子の混合物であり得、またはそれは、それ自身が個々のポリマーのブレンド(例えば、溶融ブレンドによる)である粒子を含み得る。上記ポリマー(A)およびポリマー(B)の量および比は、上記に記載されるとおりである。上記固体粒子は、その粒子を潤滑粘性を有する油中、または別の希釈液体の中に溶解させることにより用いられ得る。
【0082】
ポリマー性の粘性改良剤濃縮物のポリマー含量(A)および(B)は、代表的には、鉱油、合成炭化水素、またはエステル希釈剤中に、5〜40重量%である。オレフィンコポリマー、エチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)ポリマー,ブチルポリマー、またはポリメタクリレートなどの非会合性のポリマーを用いて,相対的に高い濃度で、過度に高いバルク粘性率を経験することはなく濃縮物が調製され得る。しかし、上記スチレン−ジエンブロックコポリマーは、このブロックコポリマーのポリスチレンセグメントの相互親和性を通じて(と推測される)高度に会合性であり、その結果、上記濃縮物粘度が大きすぎて注ぎ込むことができなくなるまでに溶解させられ得るポリマーの量は、相対的に低い。上記会合の問題は、それら自身がブロックコポリマー中のポリスチレンセグメントに対して相対的に貧な溶媒である非極性鉱物油または合成炭化水素希釈剤を使用することにより、さらに悪化する。これらの希釈剤の中では、会合の程度が相対的に高い。
【0083】
本発明においては、ポリマー(B)とともにポリマー(A)のさらなる存在が、濃縮物において見出されるように、そうでない場合に、相対的に高濃度での(B)の存在に由来して生じるであろう粘稠化を防止し、または最小限にする。本発明の優位点の別の群は、本発明のポリマーブレンドが、十分にブレンドされた潤滑剤という相対的により希釈された形式にあるときには、優れた粘度特性を示すことであり、この優れた粘度特性としては、高温高せん断安定性(HTHS)(ASTM D−4683)]のような高温特性、上記ポリマーを添加した際の粘稠化性能、および、また、実質的により低い(改良された)せん断安定性指数(SSI)(ASTM D−6278)などの高温特性に加えて、低温クランクシミュレータ試験(CCS)(ASTM D−5293)、小型回転粘度計試験(MRV)(ASTM D−4684)、および走査ブルックフィールド(Brookfield)粘度(ASTM D−5133]のような、優れた低温特性が挙げられる。
【0084】
(潤滑粘性を有する油)
本発明の潤滑剤組成物および潤滑方法は、潤滑粘性を有する油を使用し、このような油としては、天然潤滑油または合成潤滑油、およびこれらの混合物が挙げられる。鉱油と合成油、特にポリα−オレフィン油およびポリエステル油、との混合物がしばしば使用される。
【0085】
天然油としては、動物油および植物油(例えば,ひまし油、ラード油、および他の植物酸エステル)が挙げられ、加えて、液体石油、およびパラフィンタイプ、もしくはナフテンタイプ、または混合パラフィン−ナフテンタイプの溶剤処理された鉱物性潤滑剤または酸処理された鉱物性潤滑剤などの鉱物性潤滑剤が挙げられる。水素処理された油、または水素化分解された油は、潤滑特性を有する有用な油の範囲内に含まれる。石炭またはけつ岩から誘導される潤滑特性を有する油もまた有用である。合成潤滑剤としては、例えば,重合されたオレフィン、分子間重合(interpolymerized)されたオレフィンおよびこれらの混合物、アルキルベンゼン、ポリフェニル(例えば、ビフェニル、テルフェニル、およびアルキル化ポリフェニル)、アルキル化ジフェニルエーテルおよびアルキル化ジフェニルスルフィド、ならびにこれらの誘導体、類似体、および同族体などの炭化水素油およびハロゲン置換の炭化水素油が挙げられる。水素処理されたナフテン系油もまた周知である。
【0086】
アルキレンオキシドポリマー、アルキレンオキシド分子間重合体(interpolymer)、およびこれらの誘導体、ならびに末端のヒドロキシル基が、例えば、エステル化またはエーテル化によって修飾されているアルキレンオキシドポリマーおよびアルキレン分子間重合体が、使用され得る他の種類の公知の潤滑油を構成する。
【0087】
別の適切な種類の使用され得る合成潤滑油としては、ジカルボン酸のエステル、およびC〜C12のモノカルボン酸およびポリオールまたはポリオールエーテルから調製されるエステルが挙げられる。
【0088】
他の合成潤滑油としては、リン含有酸の液状エステル、ポリマー状テトラヒドロフラン、ポリアルキルシロキサン油、ポリアリールシロキサン油、ポリアルコキシシロキサン油またはポリアリールオキシシロキサン油などのシリコーンベースの油、および珪酸油が挙げられる。
【0089】
上記で開示されたタイプの天然の未精製油、精製油、および再精製油、または合成の未精製油、精製油、および再精製油のいずれか(ならびに、これらのいずれかの2つ以上の混合物)は、本発明の組成物に使用され得る(can used)。未精製油は、天然源または合成源からさらなる精製処理なしに直接に得られる油である。精製油は、その油が一つ以上の性質を改良するために一つ以上の精製工程でさらに処理されたことを除いて、未精製油と類似である。再精製油は、精製油を得るために使用されるプロセスと類似ですでに使用に供されている精製油に適用されるプロセスにより得られる。そのような再精製油は、しばしば、使用済みの添加剤および油分解生成物の除去に向けられた手法によりさらに処理される。
【0090】
さらには、上記潤滑粘性を有する油は、API基油カテゴリー グループI〜Vの油のいずれかであり得、この潤滑粘性を有する油としては、グループI(>0.03%S、および/または<90%の飽和度、粘度指数80〜120)、グループII(
【0091】
【化29】

)、グループIII(
【0092】
【化30】

)、グループIV(すべてのポリα−オレフィン)、もしくはグループV(他のすべて)、またはこれらの混合物が挙げられる。グループII、III、およびIVの油が特に有用である。
【0093】
本発明の潤滑油は、濃縮物を形成する量で存在する場合は、通常、上記組成物の主要な量を構成する。したがって、この主要な量は、組成物の少なくとも50重量%または60重量%、好ましくは70〜96%、より好ましくは、84〜93%である。この油は、上記成分(a)および(b)、ならびに任意の選択可能な添加物を占めたあとの組成物の残りを構成し得る。
【0094】
(他の添加剤)
本発明の組成物は、少量の他の成分を含んでいてもよい。そのような添加剤の使用は、任意であり、本発明の組成物中の上記添加剤の存在は、特定の用途および、要求される性能の特定のレベルに依存するであろう。上記組成物は、ジチオ燐酸の亜鉛塩などの、摩擦改良剤を含んでいてもよい。ジチオ燐酸の亜鉛塩は、しばしば、ジチオ燐酸亜鉛、O,O−ジヒドロカルビル ジチオ燐酸亜鉛、および他の通常使用される名前で呼ばれる。上記ジチオ燐酸の亜鉛塩は、ときには、略号ZDPによって呼ばれる。一つ以上のジチオ燐酸の亜鉛塩が、さらなる極圧、耐磨耗、および耐酸化性能を提供するために、少量だけ存在していてもよい。
【0095】
本明細書中上記で議論したジチオ燐酸の亜鉛塩に加えて,本発明の潤滑油中に必要に応じて用いられてもよい他の添加剤としては、例えば,洗浄剤、分散剤、補助粘性改良剤、酸化防止剤、金属不動態化剤、流動点降下剤、極圧剤、耐磨耗剤、色安定剤および消泡剤が挙げられる。
【0096】
本発明の組成物に含まれていてもよい極圧剤、ならびに腐食防止剤および酸化防止剤としては、塩素化脂肪族炭化水素、有機スルフィドおよびポリスルフィド、亜燐酸ジヒドロカーボンおよび亜燐酸トリヒドロカーボンが挙げられるリンエステル、ならびにモリブデン化合物が挙げられる。
【0097】
補助粘性改良剤(また時折、粘度指数向上剤とも呼ばれる)が本発明の組成物中に含まれていてもよい。粘性改良剤は、通常、ポリマーであり、そのポリマーとしてはポリイソブテン、ポリメタクリル酸エステル、ジエンポリマー、ポリアルキルスチレン、アルケニルアレーン−共役ジエンコポリマー、およびポリオレフィンが挙げられる。分散剤特性および/または抗酸化特性を有する、多官能の粘性改良剤は公知であり、必要に応じて用いられてもよい。そのような商品は多くの刊行物に記載されている。
【0098】
流動点降下剤は、特に有用な型の添加剤であり、本明細書中に記載される潤滑油中にしばしば含まれる。例えば、C.V.SmalheerおよびR.Kennedy Smithによる「Lubiricant Additives」(Lezius−Hiles Company Publisher、Cleveland、Ohio、1967年)の8頁を参照のこと。流動点降下剤の例としては、ポリアクリレート、アルキル化ナフタレン、スチレン/マレイン酸アルキルコポリマー、ならびにフマル酸エステルおよびマレイン酸エステル/酢酸ビニルコポリマーが挙げられる。
【0099】
安定な泡の生成を低減し、または防止するために使用される消泡剤としては、シリコーンまたは有機ポリマーが挙げられる。これらの消泡剤組成物およびさらなる消泡剤組成物の例は、Henry T.Kernerによる「Foam Control Agents」(Noyes Data Corporation、1976年)、125〜162頁に記載されている。
【0100】
洗浄剤および分散剤は、灰分生成型または無灰分型のものであってもよい。この灰分生成型洗浄剤としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属とスルホン酸、カルボン酸、フェノール、または少なくとも一つの直接の炭素−リン結合により特徴付けられる有機リン系酸との、油溶性で中性および塩基性の金属塩が挙げられ、ここで「塩基性の塩」は、その有機酸基よりも化学量論的に多量にその金属が存在する金属塩を示すために用いられる。塩基性の塩、およびそれらを調製し使用するための手法は当業者に周知であり、本明細書中で詳細に議論される必要はない。塩基性の塩をもたらす過塩基性度は、用語、金属比(MR)、によって示され、この用語は、酸の当量当たりの塩基の当量数を示す。
【0101】
無灰分性の洗浄剤および分散剤は、その構成に依存して、その洗浄剤または分散剤が燃焼時に酸化ホウ素または五酸化リンなどの不揮発性の残渣を生じるという事実にも関わらず、そう呼ばれる;しかしながら、この無灰分性の洗浄剤または分散剤は、通常は、金属を含んでおらず、したがって燃焼の際に金属含有灰分を生成しない。さらには、そのような材料は、潤滑剤処方物の中で用いられるときは、金属塩と相互作用し得、その結果、この材料はもはや金属を含まないことにはならない。これらの材料は、しかしながら、一般に「無灰分性」と呼ばれている。多くの類型が当該分野で公知であり、それらのいずれもが、本発明の潤滑剤中での使用に対して適切である。以下のものが例示的である。(1)少なくとも34個の、そして好ましくは少なくとも54個の炭素原子を有するカルボン酸(または、それらの誘導体)と、アミンのような窒素含有化合物、フェノールおよびアルコールなどの有機ヒドロキシ化合物、ならびに/または塩基性の無機材料、との反応生成物。これらの「カルボン酸分散剤」の例は、米国特許第3,541,678号を含む多くの米国特許に記載されている。(2)相対的に高分子量の脂肪族または脂環式ハライドと、アミン、好ましくはポリアルキレンポリアミン、との反応生成物。これらの分散剤は、「アミン分散剤」として特徴付けられ得、これらの分散剤の例は、例えば,米国特許第3,275,554号に記載されている。(3)そのアルキル基が少なくとも30個の炭素原子を有する、アルキルフェノールと、アルデヒド(とりわけ、ホルムアルデヒド)およびアミン(特に、ポリアルキレンポリアミン)との反応生成物であり、これらは「マンニッヒ(Mannich)分散剤」として特徴付けられ得る。米国特許第3,413,347号に記載される材料が例示的である。(4)上記カルボン酸分散剤、アミン分散剤またはマンニッヒ分散剤を、尿素、チオ尿素、二硫化炭素、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、炭化水素置換無水コハク酸、ニトリル、エポキシド、ホウ素化合物、リン化合物などの反応剤で後処理することにより得られる生成物。この種の例示的な材料は、米国特許第4,234,435号に記載されている。(5)メタクリル酸デシル、ビニルデシルエーテル、および高分子量オレフィンなどの油溶性のモノマーと、例えば、アクリル酸アミノアルキルまたはメタクリル酸アミノアルキル、アクリルアミドおよびポリ(オキシエチレン)置換アクリレートなどの極性の置換基を有するモノマーとの分子間重合体(interpolymer)。これら分子間重合体は、「ポリマー性分散剤」として特徴付けられ得、これら分子間重合体の具体例は、例えば、米国特許第3,329,658号に開示されている。
【0102】
上記に例示された添加剤は、各々、潤滑剤組成物中に、0.001重量%もの低い濃度で、存在していてもよく、通常は0.01重量%〜20重量%の範囲であり、より多くの場合、1重量%〜12重量%の範囲である。
【0103】
(潤滑油組成物)
本発明の潤滑油組成物は、大部分の量の潤滑粘性を有する油、ならびに少量の、通常はニートの無希釈剤基準で0.1〜2重量%、好ましくは0.5〜1.5重量%、のポリマー(A)および(B)の混合物を含む。上記ポリマーの混合物を構成する成分は、個々に、潤滑粘性を有する油に添加されてもよい。この場合には、個々に添加された成分の相対量は、上記混合物中で用いられるのと同じ比にある。
【0104】
(添加剤濃縮物)
本発明の混合物は、添加剤濃縮物の一つの成分として存在していてもよい。添加剤濃縮物は、濃縮された形態で、通常は、実質的に不活性な、普通は液状の、有機希釈剤の存在下で、必要に応じて他の性能改良添加剤とともに、本発明の混合物を含む。炭化水素溶剤および炭化水素油などの幅広い希釈剤が有用な希釈剤である。より多くの場合には、この希釈剤は潤滑粘性を有する油である。
【0105】
代表的には、本発明の混合物は、添加剤濃縮物中に、この添加剤濃縮物の全重量基準で、1重量%〜50重量%、多くの場合には1%〜20%までの量で存在する。すべての潤滑剤製造者が固体ポリマーを取り扱うことができるとは限らず、そこで、特化された装置なしに取り扱われ得る液体の形で上記ポリマー混合物を提供することがしばしば必要である。濃縮された形で上記混合物を供給することの目的は、末端ユーザーに、上記ポリマー含有混合物を輸送する工程のコストを低減することである。上記添加剤濃縮物は、代表的には、取り扱うことができる必要性、例えば、上記濃縮物をポンプで注入し、注ぎ込み、またはさもなければ配達することができる必要性に留意しながら、最大量の活性な材料(ポリマーおよび他の性能改質添加剤)を含む。上記添加剤濃縮物の粘稠性は、その添加剤の中に存在するポリマーの量に依存し、その粘稠性は液体からゲルそして固体の範囲に及び得る。したがって、上記添加剤濃縮物中に含まれるポリマーの量は、しばしば、潤滑剤配合者の、上記濃縮物を取り扱う能力に依存する。
【0106】
しばしば、上記ポリマー組成物および、このポリマー組成物を含む添加剤濃縮物は、少量の、代表的には0.01重量%〜1重量%の、ヒンダードフェノールまたは芳香族アミンなどの酸化防止剤を含む。
【0107】
上記混合物は、上記無希釈剤の個々のポリマー成分を混合することにより、ニートで、実質的に無希釈剤の形で、調製されてもよい。そのような混合は、代表的には、特化された装置、例えば、混練、カレンダー成形、または押出し成形により、上記成分が組み合わせられる装置、を必要とし、これらのすべては実質的に希釈剤なしの混合物を調製するために有用である。
【0108】
希釈剤なしのポリマー混合物を調製ための別の手段は、上記ポリマーを、個々にまたは一緒に、各ポリマー成分が可溶な溶剤に溶解し、次いで、この溶剤を、上記ポリマー含有溶液から除去する方法であり、その除去方法としては、しばしば減圧下で、その溶液を加熱することにより上記溶剤を剥離させるエバポレーション、上記溶液を、上記ポリマー混合物がもはや可溶でない温度まで冷却することにより、上記の溶液から上記ポリマー混合物を沈殿させること、または上記ポリマー含有溶液を、上記ポリマー混合物が不溶もしくは限定された溶解性しか有しない別の溶剤と混合することにより、上記ポリマー混合物を上記溶液から沈殿させること、または当業者に周知の他の手法が挙げられる。
【0109】
本明細書中に記載される混合物、濃縮物、および潤滑剤は、内燃機関を潤滑するために有用であり、この内燃機関としては、乗用車、トラックおよび建設機械などの苛酷な使用に耐えるディーゼル適用のための4工程エンジン、2工程エンジン、火花点火式のエンジン、または点火装置点火式のエンジン、定置ガス機関、小型で持ち運び可能なエンジン、および船舶用ディーゼルエンジンが挙げられる。各場合において、本発明の組成物を含む潤滑剤が上記エンジンに供給され、そのエンジンが運転される。
【0110】
上記材料のいくつかが、最終処方物において、相互作用し得、その結果、最終処方物の成分が最初に添加された成分と異なり得るということは公知である。例えば、(例えば、洗浄剤の)金属イオンが他の分子の他の酸性部位へ移行し得る。本発明の組成物を意図された用法で用いる際に生成される生成物を含めて、この移行によって生成される生成物は、簡単に記述することはできないかもしれない。しかしながら、そのような改変および反応生成物のすべてが、本発明の範囲内に含まれる;本発明は、上記成分を混合することにより調製される組成物を含む。
【0111】
以下の例が本発明の原理を例示する。
【実施例】
【0112】
(実施例1)
ポリマー(A)および(B)の、重量で50:50のブレンドを調製する。ポリマーAを、第1に、0.1%のブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)抗酸化剤を含む150N鉱油に溶解する。この酸化防止剤を、上記鉱油に室温で添加する。ポリマーAはペレット状にあり、このポリマーAをゆっくり上記油に添加する。この間、鉱油を加熱し、高度の攪拌を伴なって攪拌する。すべてのポリマーAを添加したあと、上記油を130℃まで加熱し続け、すべてのポリマーAペレットが十分に溶解するまで、その温度に保つ。ポリマーBもまたペレット状にあり、このポリマーBを、次いで、上記油に添加し、すべてのポリマーBが十分に溶解するまで130℃で強く攪拌する。このブレンドを、強い攪拌の下で、130℃でさらに2時間保持し、すべてのポリマーが十分に溶解していることを確実にする。
【0113】
ポリマー(A)は、75wt−%.のエチレン濃度、約88,000の
【0114】
【化31】

、および8のSSIを有する、エチレンプロピレンコポリマーである。それは、22%の結晶化度、867kg/mの密度、および38℃の融点を有する。ポリマー(B)はSepton Company of AmericaからのSepton(登録商標) 1020、水素化されたセグメントのスチレン−イソプレン(35wt.%スチレン)ジブロックコポリマーであり、約150,000の
【0115】
【化32】

を有する。
【0116】
(実施例2〜7および比較例C1)
実施例1からのポリマーブレンドの濃縮物を、鉱油中、次表に示すような全濃度(A)+(B)で調製する。比較のために、Septon(登録商標) 1020の試料をもまた5.8重量パーセント濃度で調製する。100℃における、これら濃縮物の各々の動粘性率(D445_100)を測定し、その結果をmmsec−1(cSt)の単位で提示した。
【0117】
【表1】

(実施例8〜14ならびに比較例C2およびC3)
実施例1のようなポリマーの50:50ブレンドを含む濃縮物を、以下に示す基油および添加剤パッケージを用いる油処方物に添加し、このポリマーブレンドを含有する潤滑剤を生成する。ASTM D6278_30(30工程せん断安定性試験)の条件下で、100℃における粘度をせん断の前後で測定し、せん断安定性指数(SSI)を計算する。
【0118】
【表2】

(実施例15〜21ならびに比較例C4およびC5)
十分に処方された組成物を、ポリα−オレフィンおよびAPIグループIII鉱物基油のブレンドされた基油ならびに従来の添加剤を用いて調製する。その組成物を次の試験および測定に供する:100℃における動粘性率(mm/s(cSt)単位);高温高せん断粘度(HTHS、ASTM D 4683、mPa−s単位);CCS(冷クランクシミュレーター)粘度(ASTM D5293、2回の測定の平均、mPa−s単位)、および−40℃におけるMRV(小型回転粘度計、ASTM D 4684、mPa−s単位)。
【0119】
【表3】

上記結果は、希薄溶液(約1重量パーセント)における場合には、すべての上記ポリマー溶液が受容可能な粘度を示すが、濃厚溶液においては、上記スチレンベースのブロックコポリマーは過度の粘度を賦与し、この問題は、本発明のブレンドを用いることにより解決されることを示す。さらには、本発明のブレンドを含有する処方物のせん断安定性は、上記エチレンプロピレンコポリマー(ポリマーA)のみ、または上記スチレンベースのブロックポリマー(ポリマーB)のみを含有する処方物のせん断安定性よりも相当に良好である。このことは予想外な結果である。なぜなら、ブレンドされたポリマーのSSIは、通常、そのブレンド中の個々の成分のSSIの比例的な寄与を反映すると理解されるからである。
【0120】
上記結果がさらに示すことは、本発明のブレンドを含有する潤滑剤処方物が、上記スチレンベースのブロックコポリマーと比較して、良好な(低い)CCS粘度および−40℃における優れた(低い)MRV粘度を示すことである。上記潤滑剤処方物はまた、改良された(より高い)高温高せん断粘度を示す。
【0121】
(実施例22〜26ならびに比較例C6およびC7)
様々な比の(実施例1からの)ポリマーAおよびBを含有する濃縮物を、実施例1に記載される手順にしたがって調製する。十分に処方された組成物を、上記濃縮物、APIグループIII鉱物油およびポリα−オレフィンのブレンドされた基油、ならびに従来の添加剤を用いて調製し、上記の試験および手順を用いて試験する。結果を次の表に示す:
【0122】
【表4】

上記結果が示すことは、AおよびBのブレンドは、エンジンオイル処方物中の希薄溶液(約1.1重量パーセント)における場合には、上記エチレンプロピレンコポリマー(ポリマーA)のみ、または上記スチレンベースのブロックポリマー(ポリマーB)のみのいずれかを含有する処方物より良好(より低粘度)な低温特性(CCSおよびMRV)を示すことである。このことは予想外な結果である。なぜなら、ブレンドされたポリマーの特性は、通常、そのブレンド中の個々の成分の比例的な寄与を反映するからである。
【0123】
上記結果がさらに示すことは、本発明のブレンドを含有する潤滑剤処方物が、上記エチレンプロピレンコポリマー(ポリマーA)のみ、または上記スチレンベースのブロックポリマー(ポリマーB)のみを含有する処方物より良好な(より低い)せん断安定性指数(SSI)示すことである。重ねて、このことは予想外な結果である。なぜなら、ポリマーのブレンドのSSIは、通常、そのブレンド中の個々の成分の比例的な寄与を反映するからである。
【0124】
上記で言及された文書の各々は、本明細書中に参考として援用される。上記実施例の中、または違った風に明示的に示された箇所を除いては、材料の量、反応条件、分子量、炭素原子の数などを特定する、本明細書中のすべての数量は、「約」という語で修正されるように理解されるべきである。特に指示がない限り、本明細書中で言及される各々の化学物質または組成物は、商業グレードの材料であるとして解釈されるべきであり、この化学物質または組成物は、その異性体、副生成物、誘導体、および商業グレードには存在すると通常理解される他のそのような材料を含んでいてもよい。しかしながら、特に指示がない限り、各化学成分の量は、商業材料の中に普通に存在するかもしれない、任意の溶剤または希釈油を除いて提示される。本明細書中で記載される上限および下限の量、範囲、ならびに比率限界は、独立して組み合わされ得ると理解されるべきである。本明細書中で用いられる場合には、「本質的に何々からなる」という表現は、考慮される組成物の基本的かつ新奇な特徴に実体上は影響を与えない物質の含有を許容する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑剤組成物であって、以下:
潤滑粘性を有する油;
(A)0.05〜1.5重量パーセントのエチレン/プロピレンコポリマーであって、該コポリマーが70〜79重量パーセント(「E」)のエチレンから誘導されるコモノマーを含み、
50,000〜100,000の
【化1】

、3未満の
【化2】

、860〜896kg/mの密度(「D」)、および15℃〜60℃の範囲の融点(「Tm」)を有し、ここで、EおよびTmが式:
【化3】

を満足する、エチレン/プロピレンコポリマー;ならびに
(B)0.05〜1.5重量パーセントの水素化されたスチレン/ブタジエンブロックコポリマーであって、該ブロックコポリマーが、ビニル芳香族コモノマーを含む第1のブロック、およびジエンコモノマーを含む第2のブロックを含み、該ジエンモノマー含有ブロックが水素化されている、水素化されたスチレン/ブタジエンブロックコポリマー、
を含み、ここで、(A)および(B)の重量比(A):(B)が20:80〜60:40である、潤滑剤組成物。
【請求項2】
前記コポリマー(A)の
【化4】

が、75,000より大きい、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項3】
前記コポリマー(A)が、20〜30%の結晶化度を有する、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項4】
前記コポリマーの密度(D)と融点(Tm)が式:
【化5】

を満足する、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項5】
前記ブロックコポリマー(B)が、ジブロックコポリマーである、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項6】
前記ブロックコポリマー(B)中のビニル芳香族モノマーの含有率が10重量パーセント〜60重量パーセントである、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項7】
前記ブロックコポリマー(B)は、50,000〜500,000の重量平均分子量を有する、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項8】
前記ブロックコポリマー中の全ビニル芳香族モノマー成分の重量平均分子量が20,000〜40,000である、請求項7に記載の潤滑剤組成物。
【請求項9】
前記コポリマー(B)が星型ポリマーである、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項10】
前記潤滑粘性を有する油が、ポリアルファオレフィン、またはAPIグループIIまたはグループIIIに属する鉱物基油を含む、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項11】
摩擦改良剤、洗浄剤、分散剤、酸化防止剤、金属不動態化剤、流動点降下剤、極圧剤、および補助粘性改良剤からなる群から選ばれる、少なくとも一つの追加添加剤をさらに含む、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項12】
濃縮物であって、以下:
潤滑粘性を有する油;
(A)1〜30重量パーセントのエチレン/プロピレンコポリマーであって、該コポリマーが70〜79重量パーセント(「E」)のエチレンから誘導される単位を含み、
50,000〜100,000の
【化6】

、3未満の
【化7】

、860〜896kg/mの密度(「D」)、および0℃〜60℃の範囲の融点(「Tm」)を有し、ここで、EおよびTmが式:
【化8】

を満足する、エチレン/プロピレンコポリマー;ならびに
(B)1〜30重量パーセントの水素化されたスチレン/ブタジエンブロックコポリマーであって、該ブロックコポリマーがビニル芳香族コモノマーを含む第1のブロック、およびジエンコモノマーを含む第2のブロックを含み、該ジエンモノマー含有ブロックが水素化されている、水素化されたスチレン/ブタジエンブロックコポリマー、
を含み、ここで、(A)および(B)の重量比(A):(B)が20:80〜60:40である、濃縮物。
【請求項13】
固体状のポリマー組成物であって、以下:
(A)20〜60重量パーセントのエチレン/プロピレンコポリマーであって、該コポリマーが70〜79重量パーセント(「E」)のエチレンから誘導される単位を含み、50,000〜100,000の
【化9】

、3未満の
【化10】

、860〜896kg/mの密度(「D」)、および0℃〜60℃の範囲の融点(「Tm」)を有し、ここで、EおよびTmが式:
【化11】

を満足する、エチレン/プロピレンコポリマー;ならびに
(B)40〜80重量パーセントのブロックコポリマーであって、該ブロックコポリマーがビニル芳香族コモノマーを含む第1のブロック、およびジエンコモノマーを含む第2のブロックを含み、該ジエンモノマー含有ブロックが水素化され、ここで、該ブロックコポリマー(B)が水素化されたスチレン/ブタジエンブロックコポリマーである、ブロックコポリマー
を含む固体状のポリマー組成物。
【請求項14】
内燃機関に対して請求項1に記載の組成物を供給する工程を包含する、内燃機関を潤滑する方法。

【公開番号】特開2011−208159(P2011−208159A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−160339(P2011−160339)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【分割の表示】特願2006−507465(P2006−507465)の分割
【原出願日】平成16年3月23日(2004.3.23)
【出願人】(591131338)ザ ルブリゾル コーポレイション (203)
【氏名又は名称原語表記】THE LUBRIZOL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】29400 Lakeland Boulevard, Wickliffe, Ohio 44092, United States of America
【Fターム(参考)】