改良された建設システム、方法、及び装置
建設システム、方法、及び建物及びそれに類するものを揚げる機器が開示されている。この建設システムは、動力源に操作可能に連結された複数の昇降ラム(20)と、昇降ラムを制御するために動力源に操作可能に連結された制御部と、を備える。例えば、従来の屋根部材(18)のような建設要素、又はその部分の下に伸びた、少なくとも1つの細長い伸縮自在な複数の昇降レール(28)もまた供給される。各昇降レールは、建設要素を所定の高さまで揚げるために、複数の昇降ラムの少なくとも1つの昇降ラムに連結する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された建設システム、方法、及び装置に関する。特に、しかしそれに限定されないが、本発明は、例えば、屋根及び床などの建物の主要な範囲をリフトアップするのにその一部を形成する昇降システム、方法、及び装置に関連する。しかし、他の適用も想定できる。
【背景技術】
【0002】
建設業においては、多くの他の業界と同様に、建設技術を効果的に改善する試みがなされている。従って、従来の技術と同様な仕事や基準を達成できるが、期間を短縮する新規な建設技術が望まれている。その代わり或いはそれに加えて、同様の仕事をより少ない作業員で完成できれば労務費が削減でき、これによって利益が増して競争力が向上する。
【0003】
建設業において他の重要な考慮すべき点は、建設現場の衛生及び安全の問題である。改善された効率性が求められた後に、作業員の衛生及び安全がコストになってはならない。
【0004】
建物の建設に関して、すべて積水ハウス株式会社による特許文献1〜3には、屋根の部分、及び1階又は2階の外部面が、例えば、コンクリートの基礎などの地表面で完成される建設方法及び建物の建設システムが開示されている。基礎に据え付けられた複数の油圧シリンダが油圧ポンプに連結され、制御ユニットが、完成された屋根部分及び外周面を所定の高さまで同期してリフトアップするのを制御する。そのようなシステム及び方法は、屋根構造及び外周面を地表面で組み立て可能とし、これは作業員にとってより安全であり、建て方のための仮設及び縁部の保護の必要性を回避する。さらに、組み立てられ、持ち上げられた屋根構造により屋根の下での建設が続行でき、これにより作業員及び建設資材を降雨から保護できる。さらに、上述したシステム及び方法は、建物の建設期間を縮減することを意味する。
【0005】
建設業界において、上述したシステム及び方法は、上述した効率性及び作業場の健康及び安全の問題に取り組んでいるが、上述したシステムは、複雑な油圧ジャッキを準備し、システムを操作するために多くの作業員を必要とし、特に、ジャッキを高さまで到達させるための付加的な柱を挿入しなければならない。上昇中に作業員により柱を挿入することもまた危険となり得る。また、このシステム及び方法は、サポートとしてI型鋼を用い、これは重く、位置まで操作するのに重作業昇降機器を必要とする。さらに、これらのシステム及び方法の油圧ジャッキは、基礎の周囲内に設置され、その周囲に付加的なサポートが必要になる。従って、付加的な機器が要求され、このシステムを使用するには一定のスペースが必要となり、多くの現場では対応できない。これらのシステム及び方法の複雑さは、リフトアップ工程から得られる時間的な利益を打ち消してしまう。これらのシステム及び方法を用いてリフトアップを完成させるのに、4人がかりで少なくとも1作業日と予想される。他の不利益は、屋根構造には仮設のブレースが必要となることで、これにより屋根が損傷し、損傷箇所の修復を余儀なくさせる。屋根構造の損傷箇所の修復には、再度、所定の高さまで戻す必要があり、それには、仮設、及びこのシステム及び方法によりそれを回避するために設計された縁部の保護材が必要になる。
【0006】
さらなるリフトアップ・システム、方法、及び機器が、米国特許第6,027,295号明細書(Gappert他)、国際特許2004/065712号明細書(The Mattamy Corporation)、仏国特許2540543(Lotti)、及び特開平10−110544号公報(川崎重工株式会社)に開示されている。しかし、これらのシステム、方法、及び機器は、すべて上述した問題のうちの1つ以上を抱えている。
【0007】
【特許文献1】特開平04−336331号公報
【特許文献2】特開平10−8071号公報
【特許文献3】特開平10−8072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、上述した従来技術のシステム及び方法のもつ、効率性、及び作業場の健康及び安全性の利益を保持しつつ、単純化し改良した建設システム及び方法の必要性がある。
【0009】
本明細書では、“備える(comprises)”、“備える(comprising)”又は同様な用語は、非限定的な包含を意味するものであり、「一連のリストを備える方法、システム、又は機器」には、それらの要素に限って含まれるのではなく、リストにない他の要素も含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
最も広範囲な形式のなかから、それだけ又は実際の形式とする必要はないが、1つの形式として、本発明に備わっている建設システムは、動力源に操作可能に連結された複数の昇降ラムと、昇降ラムを制御するために動力源に操作可能に連結された制御部と、及び、建設要素又はその部分の下で伸びる少なくとも1つの細長い伸縮自在な昇降レールであって、建設要素を所定の高さまで揚げるために、複数の昇降ラムのうちの少なくとも1つの昇降ラムに連結する昇降レールと、を備える。他の形式では、本発明に備わっている建設方法には、建設要素又はその一部の下に少なくとも1つの細長い伸縮自在な昇降レールを伸ばし、各昇降レールを、複数の昇降ラムのうちの少なくとも1つの昇降ラムに連結し、当該各昇降ラムは動力源に連結し、建設要素を、動力源に操作可能に連結された制御部を介して複数の昇降ラムを伸ばすことで所定の高さまで揚げるステップが含まれる。
【0011】
建設要素は、屋根構造又は床構造、又はそれらの一部、又はそれらの結合であっても良い。
【0012】
昇降ラムは、水圧式、空気圧式、電気式、機械式の昇降ラムであっても良い。従って、動力源は、水圧ポンプ、空気圧ポンプ、発電機であっても良い。
【0013】
好ましくは、各細長い昇降レールは、建設要素の一部を受け入れて固定する、少なくとも1つの据付け要素を備える。
【0014】
好ましくは、本システムは、各細長い昇降レールを少なくとも1つの昇降ラムに連結するための着脱可能な据付けブラケットを更に備える。
【0015】
好ましくは、各細長い昇降レールは、荷重を受ける前に細長い昇降レールの少なくとも一部に初期張力を導入する張力導入機器を更に備える。
【0016】
適切には、張力導入機器は、細長い昇降レールの長さ方向に沿った2つの分離したポイント間に伸びる少なくとも1つのケーブル又はチェーンを備え、細長い昇降レールの対向する端部領域、及び張力導入機器は、少なくとも1つのケーブル又はチェーンの張力を変化させるために2つの分離されたポイントの中間に介在する。
【0017】
本システムは、1つか又はそれ以上の細長い昇降レールの下に、1つか又はそれ以上の鋏リフトを更に備えても良い。
【0018】
本発明のさらなる特徴は、下記の詳細な明細書で明確となるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
単に例示する目的のために、本発明の好ましい実施形態を添付の図面を参照し、これ以後より十分に記載する。
【0020】
図1を参照し、本発明の1つの実施形態による建設システム10が提供される。図1は、例えば、住居のような建物に対する屋根構造16の形式における建設要素14の平面図を示す。屋根構造16は、例えば、トラス材のような従来からの屋根部材18、母屋材及びそれに類するものが備えられて地表面にて組み立てられる。
【0021】
建設システム10は、建物の基礎22に設置された複数の油圧昇降ラム20を備える。複数の油圧揚重ラム20は、従来の油圧回路による油圧ポンプ24の形式の動力源に操作可能に連結され、制御盤26が、油圧昇降ラム20を制御するために油圧ポンプ24に操作可能に連結される。図1には、明確にするために油圧ポンプ24に操作可能に連結されるものとして1つの油圧昇降ラム20のみを示し、各油圧昇降ラム20は油圧ポンプ24に連結されることが理解できる。各油圧昇降ラム20は、制御バルブ連結管アセンブリ(図示せず)に連結でき、同期された油圧昇降システムとしてよく知られているものと同種であろう結合されたストローク・センサ及びチェック・バルブ(図示せず)に連結可能である。
【0022】
次に図2を参照し、建設システム10は、屋根構造16又はその部分である建設要素14の下に延びる、細長い少なくとも1つの昇降レール28を備える。本発明の1つの好ましい形式として、複数の昇降レール28が供給され、各昇降レール28は、複数の油圧昇降ラムのうちの少なくとも1つの油圧昇降ラムに連結される。油圧昇降ラム20は、所定の高さまで同期して複数の昇降レール28に支持された建設要素14を揚げる。
【0023】
図1において、昇降ラム(SRS)、昇降レール28(TBR)、鋏リフト(scissor lift)、及び、後述する張力導入機器の適切な配置例が、図1の建物の例に示される。しかし、本発明の建設システムの要素の配置は、建設される構造の形状及び型により変化することが理解できる。
【0024】
図2を参照し、油圧昇降ラム20は、例えば、ボルト23又は他の適切な締結具などのこの技術分野で知られた、適切な手段により基礎22に締め付けられる。このラム20は、細長い昇降レール28と油圧昇降ラム20との間を連結する着脱自在な据付けブラケット32により細長い昇降レール28を支持する。
【0025】
1つの実施形態によると、細長い昇降レール28は、建設要素14の適切な部分の下に納まって支持するために必要なだけの伸び縮みが可能なように伸縮自在である。細長い各昇降レール28は、建設要素の受け入れ及びかみ合わせのために少なくとも1つの据付け要素30を備える。
【0026】
図3を参照し、1つの実施形態によると、細長い各昇降レール28は、荷重を受ける前に細長い昇降レール28に初期張力を導入する張力導入機器34を備える。張力導入機器34は、昇降レール28の長さ方向に沿って移動可能であり、例えば、ロック・ナットのようなロック要素35により位置決めされて固定される。1つの実施形態において、張力導入機器34は、昇降レール28の長さ方向に沿った2つの離間したポイント間に伸びる少なくとも1つのケーブル、又はチェーン36を備える。2つの離間したポイントは、細長い昇降レールの対向する端部領域であるか、又はそのレール28の長さ方向に沿った他のポイントであり得る。張力導入機器34は、2つの離間したポイントの中間に位置する。また、張力導入機器34は、少なくとも1つのケーブル又はチェーン36の張力を変化させるための張力導入部材38を備える。張力導入部材38は、ケーブル又はチェーン36の張力を増大させるために一定方向に回転し、張力を減少させるために反対方向に回転できるネジが切られたスクリューの形式であり得る。
【0027】
図4は、1組の油圧昇降ラム20、及び2つの油圧昇降ラム20の間の昇降レール28に沿って実質的に中央に配置された張力導入部材38により支持された、細長い伸縮自在な昇降レール28を示す。ケーブル又はチェーン36は、張力導入部材38及び据付けブラケット32の間に、据付けブラケット32からさらに張力導入部材38(図示せず)に伸びる。これにより、細長い昇降レール28に沿った異なる領域において、特定の領域に加わった荷重により初期張力が与えられることを可能とする。
【0028】
図4は、また、複数の据付け要素30が、細長い昇降レール28の長さ方向に沿って実質的に等分に間隔を置いて設置されることを示す。図5を追加して参照すると、据付け要素30は、昇降レール28を滑動して受けるための中空部材39を備える。据付け要素30は細長い昇降レール28の長さ方向に沿って滑動可能であり、もちろん他の公知のクランプ要素も使用可能だか、張力導入スクリュー40の形式の1つ以上のクランプ要素により、所望の位置に締め付けられ得る。据付け要素30は、屋根トラス又は床梁18などの建設要素14の少なくとも一部を受け入れてかみ合い、建設要素14の関連部分は、1つ以上の張力導入スクリュー44により拘束板(yoke)42において据付け要素30に締め付けられる。据付け要素30の強度はウェブ45によって増強される。従って、据付け要素30は、屋根トラス、床梁18又は同様なものについて、実質的に地表レベルでの正確な位置点を供給することから建設要素14の建設の補助となる。
【0029】
図6を参照し、着脱自在な据付けブラケット32は、油圧昇降ラム20の一端、及び細長い昇降レール28を受け入れて締付けるための中空部材46に連結された拘束板48を受け入れるために一端に止まる中空部材46を備える。1つの実施形態において、中空部材46は、ラム20に関して据付けブラケット32の回転を許容しない断面形であり、そうでなければ不正確で不安定となってしまう。中空部材46が、例えば、円形断面のように回転を許容する断面形である場合には、ラム20に関する据付けブラケット32の回転を止めるために、本技術分野で知られた適切な手段によるロック部材を使用する。ロッキング・スクリューの形式のロック部材50は、拘束板48内の昇降レール28を固定する。また、据付けブラケット32は開口54を有し、それに昇降レール28に初期張力を導入するケーブル又はチェーン36が本技術分野で知られた適切な手段により取付けられるウェブ52を備える。図6には、本実施形態による昇降レール28の伸縮自在な特徴が示され、内部レール28Aは昇降レール28内で滑動する。
【0030】
図7は、2つの実質的に直角な昇降レール28間を連結するコーナの据付け要素56を示す。コーナの据付け要素56は、昇降レール28を受け入れるための実質的に直角に接する2つのアーム57を有する中空部材39を備える。また、コーナ据付け要素56は、例えば、張力導入スクリュー60により拘束板58に固定される屋根トラス18、又は同様なものである建設要素14の一部を受け入れて締め付ける拘束板58を備える。また、コーナ据付け要素56は、拘束板58、及びコーナ据付け要素56に実質的に垂直な昇降レール28を固定するロック・ピン64の形式であるロック部材を補強するウェブ62を備える。他のウェブは対向する側にも供給できる。
【0031】
図8を参照し、内部又は外部のコーナにおいて2つの実質的に垂直な昇降レール28が交わるところで、コーナ接合要素66が、昇降レールの隣り合った垂直の端部を接続するために供給される。例えば、ロック・ピン又はロック・スクリュー(図示せず)などのロック部材は、開口71を通って所定の位置で隣接する垂直な昇降レール28を固定するために用いられる。
【0032】
図9を参照し、昇降レール28の端部は、隣接する昇降レールの中間点で実質的に垂直に交わり、1つの昇降レールの端部は、例えばロック・ナット67及びロック・ピン69などのロック部材を用いて、隣接する昇降レールとT型の接合要素68で接合される。
【0033】
図10を参照し、本システム10は、追加の支持及び安定性を供給するために、細長い各昇降レール28の下部に、さらに1つ以上の従来型の鋏リフト70を備える。鋏リフト70は、基礎22、及び昇降レール28に隣り合うテーブル74に隣接した基部72を備える。基部72及びテーブル74は実質的に平行であり、ヒンジ・サポート76により回転可能に連結される。基部72とテーブル74の分離は、基部72と2つのサポート76Aとの間で回転可能に連結される油圧ラム78により制御される。1つの実施形態では、油圧ラム78は、油圧ポンプ24に操作可能に連結され、鋏リフト70のテーブル74の上昇は、所定の高さまでのラム20の引き伸ばしに同期される。ブロック80は、テーブル74及び昇降レール28の間の据付け要素30のクリアランスを許容するために使用される。
【0034】
図11は、立面位置において昇降ラムを有する据付けブラケット32を経由して昇降レール28に連結する1つの油圧昇降ラム20を備えた建設システム10の側面を示す。昇降ラム20は、据付け要素30を経由して屋根トラス18を支持する。また、図11は、屋根の形式である建設要素18が所定の高さにリフトアップされた後に取付けられる壁82を示す。
【0035】
図11Aは、図11と類似する建設システム10の側面を示す。しかし、図11Aは、現場で鋏リフト70が細長い位置での端面を示し、テーブル74は昇降レール28に対して追加の支持を供給する。
【0036】
図12を参照し、本発明の実施形態による建設方法100は、建設要素14又はそれらの部分を組み立てるステップ110を含む。ステップ120は、建設要素14又はそれらの部分の下の複数の細長い昇降レール28の引き伸ばしを含む。ステップ130では、本方法は、各昇降レール28を複数の油圧昇降ラムの少なくとも1つの油圧昇降ラム20に連結することを含む。ステップ140では、本方法は、複数の油圧昇降ラム20を伸ばして、複数の昇降レール28により支持された建設要素14又はそれらの部分を所定の位置に揚げることを含む。
【0037】
また、本発明の実施形態では、昇降ラム20により揚げられた構造を地面又は基礎又は他の安全な構造に固定するためのラチェット・ストラップ又は他の型の装置を含むことができる。例えば、建設要素14が屋根トラスを形成する場合、ラチェット・ストラップ又は他の型の装置は、揚げられた屋根構造を固定し、及び、例えば、突風による被害を構造の残りの部分が建設されるまで避けるために使用される。
【0038】
本発明は油圧昇降システムに関して記載されるが、本発明はそれに限定されないことが理解されるであろう。代替の実施形態では、昇降システムは、空気圧による、電気による、又は機械による昇降ラムをそれぞれ備えた、空気圧式、電気式、又は機械式とすることができる。従って、動力源は、それぞれ空気式ポンプ、又は電動機とすることができる。そのようなシステムに関連する組み立てはそれらに応じて異なる。
【0039】
本発明は、建設要素14が屋根構造の形式に限定されず、本発明は、それらに限定されないが、例えば、木造又はコンクリート床、中2階の床、コンクリート・スラブ、仮設、他の仕上材、建物のレベル出し、及び他の同様な適用などの従来の床などの他の建設要素又はそれらの部分にも適用されることが理解されるであろう。従って、建設要素14の一部を受け入れてかみ合う据付け要素30は、建設要素14の適切な部分を受け入れてかみ合う。例えば、建設要素が床である場合には、据付け要素は、床の根太又はフレームを受け入れてかみ合うことができる。他の例として、建設要素14は、仮設の形式も可能であり、例えば、建設時又は清掃の目的で、建物の外部に用いられる仮設の構成を、要求により昇降ラム20によって上昇および下降させることができる。
【0040】
本発明は、各昇降ラム28に供給された据付け要素30の数量に限定されず、建設要素14又はそれらの部分を揚げるために供給される昇降レール及び/又は鋏リフト70の数量に限定されないことが理解されるであろう。その実施ごとにエンジニアリング及び安全の要件に従う特有の要求がある。
【0041】
さらに、コーナの据付け要素56は、隣接して上昇する建設要素14又はそれらの部分の角度により昇降ラム28を受け入れる任意の適切な角度の中空アーム57を備えることができる。
【0042】
本発明の建設方法及びシステムは、このように、細長い昇降レール28及び据付け要素30により、先行技術の上述した課題に対する解決策を提供し、屋根トラス、床梁、又は同様なものに正確な配置ポイントを供給することで、実質的に地表レベルで建設要素14の建設を補助し、建設要素14の「正確さ」を保持する。据付け要素30は、昇降レールの長さ方向に沿って移動可能であり、これにより、任意の建物の平面形に適用可能である。油圧昇降ラム20は、先行技術の伸長支柱では要求されない相当な高さまで伸びる。それにもかかわらず、ラム20は持ち運び可能であり、特定の現場周り又は現場間を容易に移動させることができ、従って重い昇降ギアも不要となる。細長い昇降レール28は、大きな荷重に適応してその荷重による座屈を避けるために、張力導入機器38により初期張力が導入できる。昇降ラム28の伸縮自在な性質は各用途に適合させることができ、それにもかかわらず、システム10の持運び易さを維持するために長さを最小化する。昇降レール28、据付け要素30,56、据付けブラケット32、及びジョイント要素66,68が建設要素の構造的一体性に貢献するため、建設要素の仮設ブレースは必要ない。また、本発明のシステム及び方法は、システムにより供給される追加の支持及び完全性、及び操作の容易さにより、建物を建設するのに要求される作業員数を減少し得る。また、建設期間も減少する。例えば、一旦、本システムが据えられると、建設要素14の上昇は15分以下で達成できる。さらに、本システムは、基礎の周囲に設置させることができ、各現場に合わせられることから、本発明のシステム及び方法は、設置するための余分なスペースを要しない。
【0043】
本明細書を通じて、本発明を任意の1つの実施形態又は特定の特徴のコレクションに限定することなく記載することを目的とする。関連する技術分野の当業者は、特定の実施形態から本発明の範囲内に入るバリエーションを認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態による建設システムを示す概略の平面図である。
【図2】図1に示す本システムの昇降レール及び昇降ラムの側面図である。
【図3】図2の昇降レールのための張力導入機器の側面図である。
【図4】図2の昇降レールの更なる詳細図である。
【図5】図2の昇降レールの据付け要素の拡大図である。
【図6】図2の据付けブラケット及び昇降レールの端面図である。
【図7】図2の昇降レールのコーナ据付け要素の平面図である。
【図8】図2の昇降レールのコーナ接合要素の平面図である。
【図9】図2の昇降レールのT型接合要素の平面図である。
【図10】図1の建設システムの鋏リフトの側面図である。
【図11】図1の建設システムの端面図である。
【図11A】図10の鋏リフトの端面を示す図1の建設システムの端面図である。
【図12】本発明の実施形態による建設方法のフローチャートである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された建設システム、方法、及び装置に関する。特に、しかしそれに限定されないが、本発明は、例えば、屋根及び床などの建物の主要な範囲をリフトアップするのにその一部を形成する昇降システム、方法、及び装置に関連する。しかし、他の適用も想定できる。
【背景技術】
【0002】
建設業においては、多くの他の業界と同様に、建設技術を効果的に改善する試みがなされている。従って、従来の技術と同様な仕事や基準を達成できるが、期間を短縮する新規な建設技術が望まれている。その代わり或いはそれに加えて、同様の仕事をより少ない作業員で完成できれば労務費が削減でき、これによって利益が増して競争力が向上する。
【0003】
建設業において他の重要な考慮すべき点は、建設現場の衛生及び安全の問題である。改善された効率性が求められた後に、作業員の衛生及び安全がコストになってはならない。
【0004】
建物の建設に関して、すべて積水ハウス株式会社による特許文献1〜3には、屋根の部分、及び1階又は2階の外部面が、例えば、コンクリートの基礎などの地表面で完成される建設方法及び建物の建設システムが開示されている。基礎に据え付けられた複数の油圧シリンダが油圧ポンプに連結され、制御ユニットが、完成された屋根部分及び外周面を所定の高さまで同期してリフトアップするのを制御する。そのようなシステム及び方法は、屋根構造及び外周面を地表面で組み立て可能とし、これは作業員にとってより安全であり、建て方のための仮設及び縁部の保護の必要性を回避する。さらに、組み立てられ、持ち上げられた屋根構造により屋根の下での建設が続行でき、これにより作業員及び建設資材を降雨から保護できる。さらに、上述したシステム及び方法は、建物の建設期間を縮減することを意味する。
【0005】
建設業界において、上述したシステム及び方法は、上述した効率性及び作業場の健康及び安全の問題に取り組んでいるが、上述したシステムは、複雑な油圧ジャッキを準備し、システムを操作するために多くの作業員を必要とし、特に、ジャッキを高さまで到達させるための付加的な柱を挿入しなければならない。上昇中に作業員により柱を挿入することもまた危険となり得る。また、このシステム及び方法は、サポートとしてI型鋼を用い、これは重く、位置まで操作するのに重作業昇降機器を必要とする。さらに、これらのシステム及び方法の油圧ジャッキは、基礎の周囲内に設置され、その周囲に付加的なサポートが必要になる。従って、付加的な機器が要求され、このシステムを使用するには一定のスペースが必要となり、多くの現場では対応できない。これらのシステム及び方法の複雑さは、リフトアップ工程から得られる時間的な利益を打ち消してしまう。これらのシステム及び方法を用いてリフトアップを完成させるのに、4人がかりで少なくとも1作業日と予想される。他の不利益は、屋根構造には仮設のブレースが必要となることで、これにより屋根が損傷し、損傷箇所の修復を余儀なくさせる。屋根構造の損傷箇所の修復には、再度、所定の高さまで戻す必要があり、それには、仮設、及びこのシステム及び方法によりそれを回避するために設計された縁部の保護材が必要になる。
【0006】
さらなるリフトアップ・システム、方法、及び機器が、米国特許第6,027,295号明細書(Gappert他)、国際特許2004/065712号明細書(The Mattamy Corporation)、仏国特許2540543(Lotti)、及び特開平10−110544号公報(川崎重工株式会社)に開示されている。しかし、これらのシステム、方法、及び機器は、すべて上述した問題のうちの1つ以上を抱えている。
【0007】
【特許文献1】特開平04−336331号公報
【特許文献2】特開平10−8071号公報
【特許文献3】特開平10−8072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、上述した従来技術のシステム及び方法のもつ、効率性、及び作業場の健康及び安全性の利益を保持しつつ、単純化し改良した建設システム及び方法の必要性がある。
【0009】
本明細書では、“備える(comprises)”、“備える(comprising)”又は同様な用語は、非限定的な包含を意味するものであり、「一連のリストを備える方法、システム、又は機器」には、それらの要素に限って含まれるのではなく、リストにない他の要素も含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
最も広範囲な形式のなかから、それだけ又は実際の形式とする必要はないが、1つの形式として、本発明に備わっている建設システムは、動力源に操作可能に連結された複数の昇降ラムと、昇降ラムを制御するために動力源に操作可能に連結された制御部と、及び、建設要素又はその部分の下で伸びる少なくとも1つの細長い伸縮自在な昇降レールであって、建設要素を所定の高さまで揚げるために、複数の昇降ラムのうちの少なくとも1つの昇降ラムに連結する昇降レールと、を備える。他の形式では、本発明に備わっている建設方法には、建設要素又はその一部の下に少なくとも1つの細長い伸縮自在な昇降レールを伸ばし、各昇降レールを、複数の昇降ラムのうちの少なくとも1つの昇降ラムに連結し、当該各昇降ラムは動力源に連結し、建設要素を、動力源に操作可能に連結された制御部を介して複数の昇降ラムを伸ばすことで所定の高さまで揚げるステップが含まれる。
【0011】
建設要素は、屋根構造又は床構造、又はそれらの一部、又はそれらの結合であっても良い。
【0012】
昇降ラムは、水圧式、空気圧式、電気式、機械式の昇降ラムであっても良い。従って、動力源は、水圧ポンプ、空気圧ポンプ、発電機であっても良い。
【0013】
好ましくは、各細長い昇降レールは、建設要素の一部を受け入れて固定する、少なくとも1つの据付け要素を備える。
【0014】
好ましくは、本システムは、各細長い昇降レールを少なくとも1つの昇降ラムに連結するための着脱可能な据付けブラケットを更に備える。
【0015】
好ましくは、各細長い昇降レールは、荷重を受ける前に細長い昇降レールの少なくとも一部に初期張力を導入する張力導入機器を更に備える。
【0016】
適切には、張力導入機器は、細長い昇降レールの長さ方向に沿った2つの分離したポイント間に伸びる少なくとも1つのケーブル又はチェーンを備え、細長い昇降レールの対向する端部領域、及び張力導入機器は、少なくとも1つのケーブル又はチェーンの張力を変化させるために2つの分離されたポイントの中間に介在する。
【0017】
本システムは、1つか又はそれ以上の細長い昇降レールの下に、1つか又はそれ以上の鋏リフトを更に備えても良い。
【0018】
本発明のさらなる特徴は、下記の詳細な明細書で明確となるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
単に例示する目的のために、本発明の好ましい実施形態を添付の図面を参照し、これ以後より十分に記載する。
【0020】
図1を参照し、本発明の1つの実施形態による建設システム10が提供される。図1は、例えば、住居のような建物に対する屋根構造16の形式における建設要素14の平面図を示す。屋根構造16は、例えば、トラス材のような従来からの屋根部材18、母屋材及びそれに類するものが備えられて地表面にて組み立てられる。
【0021】
建設システム10は、建物の基礎22に設置された複数の油圧昇降ラム20を備える。複数の油圧揚重ラム20は、従来の油圧回路による油圧ポンプ24の形式の動力源に操作可能に連結され、制御盤26が、油圧昇降ラム20を制御するために油圧ポンプ24に操作可能に連結される。図1には、明確にするために油圧ポンプ24に操作可能に連結されるものとして1つの油圧昇降ラム20のみを示し、各油圧昇降ラム20は油圧ポンプ24に連結されることが理解できる。各油圧昇降ラム20は、制御バルブ連結管アセンブリ(図示せず)に連結でき、同期された油圧昇降システムとしてよく知られているものと同種であろう結合されたストローク・センサ及びチェック・バルブ(図示せず)に連結可能である。
【0022】
次に図2を参照し、建設システム10は、屋根構造16又はその部分である建設要素14の下に延びる、細長い少なくとも1つの昇降レール28を備える。本発明の1つの好ましい形式として、複数の昇降レール28が供給され、各昇降レール28は、複数の油圧昇降ラムのうちの少なくとも1つの油圧昇降ラムに連結される。油圧昇降ラム20は、所定の高さまで同期して複数の昇降レール28に支持された建設要素14を揚げる。
【0023】
図1において、昇降ラム(SRS)、昇降レール28(TBR)、鋏リフト(scissor lift)、及び、後述する張力導入機器の適切な配置例が、図1の建物の例に示される。しかし、本発明の建設システムの要素の配置は、建設される構造の形状及び型により変化することが理解できる。
【0024】
図2を参照し、油圧昇降ラム20は、例えば、ボルト23又は他の適切な締結具などのこの技術分野で知られた、適切な手段により基礎22に締め付けられる。このラム20は、細長い昇降レール28と油圧昇降ラム20との間を連結する着脱自在な据付けブラケット32により細長い昇降レール28を支持する。
【0025】
1つの実施形態によると、細長い昇降レール28は、建設要素14の適切な部分の下に納まって支持するために必要なだけの伸び縮みが可能なように伸縮自在である。細長い各昇降レール28は、建設要素の受け入れ及びかみ合わせのために少なくとも1つの据付け要素30を備える。
【0026】
図3を参照し、1つの実施形態によると、細長い各昇降レール28は、荷重を受ける前に細長い昇降レール28に初期張力を導入する張力導入機器34を備える。張力導入機器34は、昇降レール28の長さ方向に沿って移動可能であり、例えば、ロック・ナットのようなロック要素35により位置決めされて固定される。1つの実施形態において、張力導入機器34は、昇降レール28の長さ方向に沿った2つの離間したポイント間に伸びる少なくとも1つのケーブル、又はチェーン36を備える。2つの離間したポイントは、細長い昇降レールの対向する端部領域であるか、又はそのレール28の長さ方向に沿った他のポイントであり得る。張力導入機器34は、2つの離間したポイントの中間に位置する。また、張力導入機器34は、少なくとも1つのケーブル又はチェーン36の張力を変化させるための張力導入部材38を備える。張力導入部材38は、ケーブル又はチェーン36の張力を増大させるために一定方向に回転し、張力を減少させるために反対方向に回転できるネジが切られたスクリューの形式であり得る。
【0027】
図4は、1組の油圧昇降ラム20、及び2つの油圧昇降ラム20の間の昇降レール28に沿って実質的に中央に配置された張力導入部材38により支持された、細長い伸縮自在な昇降レール28を示す。ケーブル又はチェーン36は、張力導入部材38及び据付けブラケット32の間に、据付けブラケット32からさらに張力導入部材38(図示せず)に伸びる。これにより、細長い昇降レール28に沿った異なる領域において、特定の領域に加わった荷重により初期張力が与えられることを可能とする。
【0028】
図4は、また、複数の据付け要素30が、細長い昇降レール28の長さ方向に沿って実質的に等分に間隔を置いて設置されることを示す。図5を追加して参照すると、据付け要素30は、昇降レール28を滑動して受けるための中空部材39を備える。据付け要素30は細長い昇降レール28の長さ方向に沿って滑動可能であり、もちろん他の公知のクランプ要素も使用可能だか、張力導入スクリュー40の形式の1つ以上のクランプ要素により、所望の位置に締め付けられ得る。据付け要素30は、屋根トラス又は床梁18などの建設要素14の少なくとも一部を受け入れてかみ合い、建設要素14の関連部分は、1つ以上の張力導入スクリュー44により拘束板(yoke)42において据付け要素30に締め付けられる。据付け要素30の強度はウェブ45によって増強される。従って、据付け要素30は、屋根トラス、床梁18又は同様なものについて、実質的に地表レベルでの正確な位置点を供給することから建設要素14の建設の補助となる。
【0029】
図6を参照し、着脱自在な据付けブラケット32は、油圧昇降ラム20の一端、及び細長い昇降レール28を受け入れて締付けるための中空部材46に連結された拘束板48を受け入れるために一端に止まる中空部材46を備える。1つの実施形態において、中空部材46は、ラム20に関して据付けブラケット32の回転を許容しない断面形であり、そうでなければ不正確で不安定となってしまう。中空部材46が、例えば、円形断面のように回転を許容する断面形である場合には、ラム20に関する据付けブラケット32の回転を止めるために、本技術分野で知られた適切な手段によるロック部材を使用する。ロッキング・スクリューの形式のロック部材50は、拘束板48内の昇降レール28を固定する。また、据付けブラケット32は開口54を有し、それに昇降レール28に初期張力を導入するケーブル又はチェーン36が本技術分野で知られた適切な手段により取付けられるウェブ52を備える。図6には、本実施形態による昇降レール28の伸縮自在な特徴が示され、内部レール28Aは昇降レール28内で滑動する。
【0030】
図7は、2つの実質的に直角な昇降レール28間を連結するコーナの据付け要素56を示す。コーナの据付け要素56は、昇降レール28を受け入れるための実質的に直角に接する2つのアーム57を有する中空部材39を備える。また、コーナ据付け要素56は、例えば、張力導入スクリュー60により拘束板58に固定される屋根トラス18、又は同様なものである建設要素14の一部を受け入れて締め付ける拘束板58を備える。また、コーナ据付け要素56は、拘束板58、及びコーナ据付け要素56に実質的に垂直な昇降レール28を固定するロック・ピン64の形式であるロック部材を補強するウェブ62を備える。他のウェブは対向する側にも供給できる。
【0031】
図8を参照し、内部又は外部のコーナにおいて2つの実質的に垂直な昇降レール28が交わるところで、コーナ接合要素66が、昇降レールの隣り合った垂直の端部を接続するために供給される。例えば、ロック・ピン又はロック・スクリュー(図示せず)などのロック部材は、開口71を通って所定の位置で隣接する垂直な昇降レール28を固定するために用いられる。
【0032】
図9を参照し、昇降レール28の端部は、隣接する昇降レールの中間点で実質的に垂直に交わり、1つの昇降レールの端部は、例えばロック・ナット67及びロック・ピン69などのロック部材を用いて、隣接する昇降レールとT型の接合要素68で接合される。
【0033】
図10を参照し、本システム10は、追加の支持及び安定性を供給するために、細長い各昇降レール28の下部に、さらに1つ以上の従来型の鋏リフト70を備える。鋏リフト70は、基礎22、及び昇降レール28に隣り合うテーブル74に隣接した基部72を備える。基部72及びテーブル74は実質的に平行であり、ヒンジ・サポート76により回転可能に連結される。基部72とテーブル74の分離は、基部72と2つのサポート76Aとの間で回転可能に連結される油圧ラム78により制御される。1つの実施形態では、油圧ラム78は、油圧ポンプ24に操作可能に連結され、鋏リフト70のテーブル74の上昇は、所定の高さまでのラム20の引き伸ばしに同期される。ブロック80は、テーブル74及び昇降レール28の間の据付け要素30のクリアランスを許容するために使用される。
【0034】
図11は、立面位置において昇降ラムを有する据付けブラケット32を経由して昇降レール28に連結する1つの油圧昇降ラム20を備えた建設システム10の側面を示す。昇降ラム20は、据付け要素30を経由して屋根トラス18を支持する。また、図11は、屋根の形式である建設要素18が所定の高さにリフトアップされた後に取付けられる壁82を示す。
【0035】
図11Aは、図11と類似する建設システム10の側面を示す。しかし、図11Aは、現場で鋏リフト70が細長い位置での端面を示し、テーブル74は昇降レール28に対して追加の支持を供給する。
【0036】
図12を参照し、本発明の実施形態による建設方法100は、建設要素14又はそれらの部分を組み立てるステップ110を含む。ステップ120は、建設要素14又はそれらの部分の下の複数の細長い昇降レール28の引き伸ばしを含む。ステップ130では、本方法は、各昇降レール28を複数の油圧昇降ラムの少なくとも1つの油圧昇降ラム20に連結することを含む。ステップ140では、本方法は、複数の油圧昇降ラム20を伸ばして、複数の昇降レール28により支持された建設要素14又はそれらの部分を所定の位置に揚げることを含む。
【0037】
また、本発明の実施形態では、昇降ラム20により揚げられた構造を地面又は基礎又は他の安全な構造に固定するためのラチェット・ストラップ又は他の型の装置を含むことができる。例えば、建設要素14が屋根トラスを形成する場合、ラチェット・ストラップ又は他の型の装置は、揚げられた屋根構造を固定し、及び、例えば、突風による被害を構造の残りの部分が建設されるまで避けるために使用される。
【0038】
本発明は油圧昇降システムに関して記載されるが、本発明はそれに限定されないことが理解されるであろう。代替の実施形態では、昇降システムは、空気圧による、電気による、又は機械による昇降ラムをそれぞれ備えた、空気圧式、電気式、又は機械式とすることができる。従って、動力源は、それぞれ空気式ポンプ、又は電動機とすることができる。そのようなシステムに関連する組み立てはそれらに応じて異なる。
【0039】
本発明は、建設要素14が屋根構造の形式に限定されず、本発明は、それらに限定されないが、例えば、木造又はコンクリート床、中2階の床、コンクリート・スラブ、仮設、他の仕上材、建物のレベル出し、及び他の同様な適用などの従来の床などの他の建設要素又はそれらの部分にも適用されることが理解されるであろう。従って、建設要素14の一部を受け入れてかみ合う据付け要素30は、建設要素14の適切な部分を受け入れてかみ合う。例えば、建設要素が床である場合には、据付け要素は、床の根太又はフレームを受け入れてかみ合うことができる。他の例として、建設要素14は、仮設の形式も可能であり、例えば、建設時又は清掃の目的で、建物の外部に用いられる仮設の構成を、要求により昇降ラム20によって上昇および下降させることができる。
【0040】
本発明は、各昇降ラム28に供給された据付け要素30の数量に限定されず、建設要素14又はそれらの部分を揚げるために供給される昇降レール及び/又は鋏リフト70の数量に限定されないことが理解されるであろう。その実施ごとにエンジニアリング及び安全の要件に従う特有の要求がある。
【0041】
さらに、コーナの据付け要素56は、隣接して上昇する建設要素14又はそれらの部分の角度により昇降ラム28を受け入れる任意の適切な角度の中空アーム57を備えることができる。
【0042】
本発明の建設方法及びシステムは、このように、細長い昇降レール28及び据付け要素30により、先行技術の上述した課題に対する解決策を提供し、屋根トラス、床梁、又は同様なものに正確な配置ポイントを供給することで、実質的に地表レベルで建設要素14の建設を補助し、建設要素14の「正確さ」を保持する。据付け要素30は、昇降レールの長さ方向に沿って移動可能であり、これにより、任意の建物の平面形に適用可能である。油圧昇降ラム20は、先行技術の伸長支柱では要求されない相当な高さまで伸びる。それにもかかわらず、ラム20は持ち運び可能であり、特定の現場周り又は現場間を容易に移動させることができ、従って重い昇降ギアも不要となる。細長い昇降レール28は、大きな荷重に適応してその荷重による座屈を避けるために、張力導入機器38により初期張力が導入できる。昇降ラム28の伸縮自在な性質は各用途に適合させることができ、それにもかかわらず、システム10の持運び易さを維持するために長さを最小化する。昇降レール28、据付け要素30,56、据付けブラケット32、及びジョイント要素66,68が建設要素の構造的一体性に貢献するため、建設要素の仮設ブレースは必要ない。また、本発明のシステム及び方法は、システムにより供給される追加の支持及び完全性、及び操作の容易さにより、建物を建設するのに要求される作業員数を減少し得る。また、建設期間も減少する。例えば、一旦、本システムが据えられると、建設要素14の上昇は15分以下で達成できる。さらに、本システムは、基礎の周囲に設置させることができ、各現場に合わせられることから、本発明のシステム及び方法は、設置するための余分なスペースを要しない。
【0043】
本明細書を通じて、本発明を任意の1つの実施形態又は特定の特徴のコレクションに限定することなく記載することを目的とする。関連する技術分野の当業者は、特定の実施形態から本発明の範囲内に入るバリエーションを認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態による建設システムを示す概略の平面図である。
【図2】図1に示す本システムの昇降レール及び昇降ラムの側面図である。
【図3】図2の昇降レールのための張力導入機器の側面図である。
【図4】図2の昇降レールの更なる詳細図である。
【図5】図2の昇降レールの据付け要素の拡大図である。
【図6】図2の据付けブラケット及び昇降レールの端面図である。
【図7】図2の昇降レールのコーナ据付け要素の平面図である。
【図8】図2の昇降レールのコーナ接合要素の平面図である。
【図9】図2の昇降レールのT型接合要素の平面図である。
【図10】図1の建設システムの鋏リフトの側面図である。
【図11】図1の建設システムの端面図である。
【図11A】図10の鋏リフトの端面を示す図1の建設システムの端面図である。
【図12】本発明の実施形態による建設方法のフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源に操作可能に連結された複数の昇降ラムと、
昇降ラムを制御するために動力源に操作可能に連結された制御部と、及び、
建設要素又はその部分の下で伸びる少なくとも1つの細長い伸縮自在な昇降レールであって、建設要素を所定の高さまで揚げるために、複数の昇降ラムのうちの少なくとも1つの昇降ラムに連結する昇降レールと、
を備える建設システム。
【請求項2】
各昇降レールは、建設要素の一部を受け入れて固定する、少なくとも1つの据付け要素を備える請求項1に記載の建設システム。
【請求項3】
少なくとも1つの昇降ラムに各昇降レール連結するための着脱可能な据付けブラケットを更に備える請求項1に記載の建設システム。
【請求項4】
各昇降レールは、荷重を受ける前に昇降レールの少なくとも一部に初期張力を導入する張力導入機器を更に備える請求項1に記載の建設システム。
【請求項5】
張力導入機器は、昇降レールの長さ方向に沿った2つの分離したポイント間に伸びる少なくとも1つのケーブル又はチェーンを備える請求項4に記載の建設システム。
【請求項6】
張力導入機器は、少なくとも1つのケーブル又はチェーンの張力を変化させるために2つの分離されたポイントの中間に張力導入部材を備える請求項4に記載の建設システム。
【請求項7】
張力導入機器は、昇降レールの長さ方向に沿って移動可能である請求項4に記載の建設システム。
【請求項8】
建設要素は、屋根構造又はその一部、床構造又はその一部、のうちの1つ又はそれ以上である請求項1に記載の建設システム。
【請求項9】
昇降ラムは、水圧式、空気圧式、電気式、機械式のうちの何れかである請求項1に記載の建設システム。
【請求項10】
動力源は、水圧ポンプ、空気圧ポンプ、発電機のうちの何れかである請求項1に記載の建設システム。
【請求項11】
1つか又はそれ以上の昇降レールの下に、1つか又はそれ以上の鋏リフトを更に備える請求項1記載の建設システム。
【請求項12】
1つか又はそれ以上の鋏リフトは、各鋏リフトのテーブルの上昇が複数の昇降ラムの上昇に同期するように、動力源に操作可能に連結される請求項1に記載の建設システム。
【請求項13】
建設要素又はその一部の下に少なくとも1つの細長い伸縮自在な昇降レールを伸ばし、
各昇降レールを、複数の昇降ラムのうちの少なくとも1つの昇降ラムに連結し、当該各昇降ラムは動力源に連結し、
建設要素を、動力源に操作可能に連結された制御部を介して複数の昇降ラムを伸ばすことで所定の高さまで揚げる建設方法。
【請求項14】
建設要素の一部とともに各昇降レールを据付け要素に連結することを更に含む請求項13に記載の建設方法。
【請求項15】
昇降レールに連結した据付け要素の補助により建設要素を配置することを更に含む請求項13に記載の建設方法。
【請求項16】
着脱可能な据付けブラケットとともに各昇降レールを少なくとも1つの昇降ラムに連結することを更に含む請求項13に記載の建設方法。
【請求項17】
昇降レールが荷重を受ける前に張力導入機器により昇降レールの少なくとも一部に初期張力を導入することを更に含む請求項13に記載の建設方法。
【請求項18】
張力導入機器は、昇降レールの長さ方向に沿った2つの分離したポイント間に伸びる少なくとも1つのケーブル又はチェーンを備える請求項17に記載の建設方法。
【請求項19】
2つの分離したポイントの中間の張力導入部材により少なくとも1つのケーブル又はチェーンの張力を変化させることを更に含む請求項13に記載の建設方法。
【請求項20】
1つ又はそれ以上の昇降レールの下の1つ又はそれ以上の鋏リフトを伸ばすことを更に含む請求項13に記載の建設方法。
【請求項21】
1つ又はそれ以上の鋏リフトを伸ばすことは、複数の昇降ラムを伸ばすことに同期させることを更に含む請求項20に記載の建設方法。
【請求項22】
細長い伸縮自在な昇降レールを建設システムの昇降ラムに連結する着脱可能な据付けブラケットであって、
昇降ラムの端部を受け入れるための止められた端部を有する中空部材と、
細長い伸縮自在な昇降レールを受け入れるために中空部材に連結し、拘束板内で昇降レールの回転を回避する拘束板と、
を備える据付けブラケット。
【請求項23】
中空部材と拘束板との間に伸びるウェブを更に備える請求項22に記載の建設システム。
【請求項24】
ウェブは、荷重を受ける前に昇降レールの少なくとも一部に初期張力を導入するための連結可能なケーブル又はチェーンを通す開口を備える請求項23に記載の建設システム。
【請求項25】
建設要素を建設システムの細長い伸縮自在な昇降レールに連結する据付け要素であって、
細長い伸縮自在な昇降レールを摺動可能に受け入れる中空部材と、
中空部材を細長い伸縮自在な昇降レールに固定する締付け要素と、及び、
建設要素の一部を受け入れるために中空部材と連結する拘束板と、
を備える据付け要素。
【請求項26】
中空部材は、細長い伸縮自在な昇降レールをそれぞれ受け入れるために、角度を持って隣接する一対の中空アームを備える請求項25に記載の建設システム。
【請求項1】
動力源に操作可能に連結された複数の昇降ラムと、
昇降ラムを制御するために動力源に操作可能に連結された制御部と、及び、
建設要素又はその部分の下で伸びる少なくとも1つの細長い伸縮自在な昇降レールであって、建設要素を所定の高さまで揚げるために、複数の昇降ラムのうちの少なくとも1つの昇降ラムに連結する昇降レールと、
を備える建設システム。
【請求項2】
各昇降レールは、建設要素の一部を受け入れて固定する、少なくとも1つの据付け要素を備える請求項1に記載の建設システム。
【請求項3】
少なくとも1つの昇降ラムに各昇降レール連結するための着脱可能な据付けブラケットを更に備える請求項1に記載の建設システム。
【請求項4】
各昇降レールは、荷重を受ける前に昇降レールの少なくとも一部に初期張力を導入する張力導入機器を更に備える請求項1に記載の建設システム。
【請求項5】
張力導入機器は、昇降レールの長さ方向に沿った2つの分離したポイント間に伸びる少なくとも1つのケーブル又はチェーンを備える請求項4に記載の建設システム。
【請求項6】
張力導入機器は、少なくとも1つのケーブル又はチェーンの張力を変化させるために2つの分離されたポイントの中間に張力導入部材を備える請求項4に記載の建設システム。
【請求項7】
張力導入機器は、昇降レールの長さ方向に沿って移動可能である請求項4に記載の建設システム。
【請求項8】
建設要素は、屋根構造又はその一部、床構造又はその一部、のうちの1つ又はそれ以上である請求項1に記載の建設システム。
【請求項9】
昇降ラムは、水圧式、空気圧式、電気式、機械式のうちの何れかである請求項1に記載の建設システム。
【請求項10】
動力源は、水圧ポンプ、空気圧ポンプ、発電機のうちの何れかである請求項1に記載の建設システム。
【請求項11】
1つか又はそれ以上の昇降レールの下に、1つか又はそれ以上の鋏リフトを更に備える請求項1記載の建設システム。
【請求項12】
1つか又はそれ以上の鋏リフトは、各鋏リフトのテーブルの上昇が複数の昇降ラムの上昇に同期するように、動力源に操作可能に連結される請求項1に記載の建設システム。
【請求項13】
建設要素又はその一部の下に少なくとも1つの細長い伸縮自在な昇降レールを伸ばし、
各昇降レールを、複数の昇降ラムのうちの少なくとも1つの昇降ラムに連結し、当該各昇降ラムは動力源に連結し、
建設要素を、動力源に操作可能に連結された制御部を介して複数の昇降ラムを伸ばすことで所定の高さまで揚げる建設方法。
【請求項14】
建設要素の一部とともに各昇降レールを据付け要素に連結することを更に含む請求項13に記載の建設方法。
【請求項15】
昇降レールに連結した据付け要素の補助により建設要素を配置することを更に含む請求項13に記載の建設方法。
【請求項16】
着脱可能な据付けブラケットとともに各昇降レールを少なくとも1つの昇降ラムに連結することを更に含む請求項13に記載の建設方法。
【請求項17】
昇降レールが荷重を受ける前に張力導入機器により昇降レールの少なくとも一部に初期張力を導入することを更に含む請求項13に記載の建設方法。
【請求項18】
張力導入機器は、昇降レールの長さ方向に沿った2つの分離したポイント間に伸びる少なくとも1つのケーブル又はチェーンを備える請求項17に記載の建設方法。
【請求項19】
2つの分離したポイントの中間の張力導入部材により少なくとも1つのケーブル又はチェーンの張力を変化させることを更に含む請求項13に記載の建設方法。
【請求項20】
1つ又はそれ以上の昇降レールの下の1つ又はそれ以上の鋏リフトを伸ばすことを更に含む請求項13に記載の建設方法。
【請求項21】
1つ又はそれ以上の鋏リフトを伸ばすことは、複数の昇降ラムを伸ばすことに同期させることを更に含む請求項20に記載の建設方法。
【請求項22】
細長い伸縮自在な昇降レールを建設システムの昇降ラムに連結する着脱可能な据付けブラケットであって、
昇降ラムの端部を受け入れるための止められた端部を有する中空部材と、
細長い伸縮自在な昇降レールを受け入れるために中空部材に連結し、拘束板内で昇降レールの回転を回避する拘束板と、
を備える据付けブラケット。
【請求項23】
中空部材と拘束板との間に伸びるウェブを更に備える請求項22に記載の建設システム。
【請求項24】
ウェブは、荷重を受ける前に昇降レールの少なくとも一部に初期張力を導入するための連結可能なケーブル又はチェーンを通す開口を備える請求項23に記載の建設システム。
【請求項25】
建設要素を建設システムの細長い伸縮自在な昇降レールに連結する据付け要素であって、
細長い伸縮自在な昇降レールを摺動可能に受け入れる中空部材と、
中空部材を細長い伸縮自在な昇降レールに固定する締付け要素と、及び、
建設要素の一部を受け入れるために中空部材と連結する拘束板と、
を備える据付け要素。
【請求項26】
中空部材は、細長い伸縮自在な昇降レールをそれぞれ受け入れるために、角度を持って隣接する一対の中空アームを備える請求項25に記載の建設システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図11A】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図11A】
【図12】
【公表番号】特表2009−519386(P2009−519386A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544715(P2008−544715)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【国際出願番号】PCT/AU2006/001917
【国際公開番号】WO2007/068064
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(508180839)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【国際出願番号】PCT/AU2006/001917
【国際公開番号】WO2007/068064
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(508180839)
【Fターム(参考)】
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