説明

改良された性質を提供するポリマー混合物による半透過性膜を含んでなる浸透性用量形態物

浸透性コア;浸透性コアを取り囲み、そしてセルロースアセテートポリマーおよびアクリレートコポリマーの混合物を含む半透過性膜;および半透過性膜を通して形成される出口:を含む浸透性用量形態物が開示される。また、そのような用量形態物を作成および投与する方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸透性用量形態物、特に、セルロースアセテートポリマーおよびアクリレートコポリマーの混合物(blend)を含む半透過性膜を含んでなる浸透性用量形態物に関する。これらの発明の浸透性用量形態物は、作動において驚くべき、かつ予期せぬ性能を発揮する。
【背景技術】
【0002】
浸透性用量形態物は、一般に、流体の自由拡散を許すが薬物を拡散させない半透過性膜によって、少なくとも一部分、形成されたコンパートメント中に流体を吸い込むための推進力を生成する浸透圧を利用する。浸透性システムにとって有意な利点は、作動が、pHに非依存的であり、したがって、用量形態物が胃腸管を通過し、そして有意に異なるpH値を有する異なる微小環境に遭遇するような長時間を通じてもなお浸透的に決定される速度において継続することである。単純な浸透性ポンプは、胃腸管における外からの蠕動性の力による機械的変形に耐えて、環境に制御されるベローズ形式の機械的ポンプ送出を防ぐよう十分に堅固である膜を要求する。そのような用量形態物の総説は、引用によって本明細書に組み入れられている、非特許文献1において見出される。特許文献1;特許文献2;特許文献3;特許文献4;特許文献5;特許文献6;特許文献7;特許文献8;特許文献9;特許文献10;特許文献11;および特許文献12は、活性作用物の連続分配のための浸透性デバイスを開示している。
【0003】
薬物組成物が、膨張性層の作用によって小出口オリフィスからスラリー、懸濁液または溶液として送達される浸透性用量形態物は、特許文献13;特許文献14;特許文献15;特許文献16;特許文献17;特許文献18;特許文献19;特許文献20;および特許文献21において開示されており、これらは引用によって本明細書に組み入れられている。典型的なデバイスは、半透過性膜によって囲まれた膨張性押出し層および薬物層を含む。そのようなシステムは、良好な引張り特性を提供する速度(rate)制御膜を必要とするが、一方、このシステムは、内部のヒドロゲルが浸透的膨潤力の下で用量形態物内で膨潤するにつれて、膜が引張り力下で変形に耐え、かつ引裂きに耐えるように、薬物をポンプ送出し続ける。
【0004】
ある環境では、浸透性用量形態物における半透過性膜の透過性を調節することが望ましい。このことは、例えば、浸透性用量形態物からの薬物放出の比較的低い速度を提供するために、膜中への比較的低い水の流動が必要とされる場合に望ましいことがある。慣用的には、水の流動は、半透過性膜のコーティングの厚さを変えることによって調節されてもよい。しかしながら、これは、より低い水の流動を達成するために非常に厚いコーティングをもたらすことがあり、この非常に厚いコーティングは、適用されるのに要求されるコーティング材料の量を増加し、コーティングを適用する処理時間を増大し、そして残留する加工用溶媒を許容できる低レベルまで乾燥するのに要する処理時間を増大することによって、製造工程のコストと能力に逆効果を与える。
【0005】
したがって、より薄く、より透過性の低い半透過性膜を提供し、そして上記先行技術における問題に取り組む方法および組成物が、危急に必要とされている。
【0006】
【特許文献1】米国特許第3,845,770号
【特許文献2】米国特許第3,916,899号
【特許文献3】米国特許第3,995,631号
【特許文献4】米国特許第4,008,719号
【特許文献5】米国特許第4,111,202号
【特許文献6】米国特許第4,160,020号
【特許文献7】米国特許第4,327,725号
【特許文献8】米国特許第4,519,801号
【特許文献9】米国特許第4,578,075号
【特許文献10】米国特許第4,681,583号
【特許文献11】米国特許第5,019,397号
【特許文献12】米国特許第5,156,850号
【特許文献13】米国特許第4,931,285号
【特許文献14】米国特許第5,006,346号
【特許文献15】米国特許第5,024,842号
【特許文献16】米国特許第5,160,743号
【特許文献17】米国特許第5,190,765号
【特許文献18】米国特許第5,252,338号
【特許文献19】米国特許第5,620,705号
【特許文献20】米国特許第5,633,011号
【非特許文献1】Santus and Baker,”Osmotic drug delivery:a review of the patent literature,”Journal of Controlled Release 35(1995)1−21
【発明の開示】
【0007】
1つの態様では、本発明は、浸透性コア;浸透性コアを取り囲み、そしてセルロースアセテートポリマーおよびアクリレートコポリマーの混合物を含む半透過性膜;および半透過性膜を通して形成される出口:を含んでなる浸透性用量形態物に関する。
【0008】
その他の態様では、本発明は、浸透性コアを提供し;セルロースアセテートポリマーおよびアクリレートコポリマーの混合物を含む半透過性膜により浸透性コアをコートし;半透過性膜を通して出口を形成し:そしてコートされた浸透性コアを患者に対して投与すること:を含んでなる方法に関する。
【0009】
詳細な記述
序論
本発明者らは、予期せぬことに、先行技術における問題が、浸透性用量形態物の半透過性膜におけるセルロースアセテートポリマーおよびアクリレートコポリマーの混合物の使用によって取り組むことができることを発見した。
【0010】
本発明の混合物は、比較的低い浸透性を提供し、かつまた良好な機械的性質を提供する。そのような全体的に異なる性質を保持するそのようなポリマーのために、セルロースアセテートポリマーとアクリレートコポリマーとを成功裏に混合して、1つのものと他のものを混合することには無い技術の1つをもたらすことは予期されない。セルロースアセテートポリマーは、天然に存在するセルロース(植物起源の構造ポリマー)の誘導体である。本発明のセルロース誘導体の官能基はアセチル基である。本発明のセルロースアセテートは、185℃のガラス転移点と約38,000〜約122,000の範囲の分子量をもつ硬質材料である。反対に、混合物のアクリレートポリマーは、エトキシルとメトキシル基をもち、そしてアセチル基をもたない完全に合成起源のものである。アクリレートポリマーは、約−11℃のガラス転移点をもつ非常に軟質の材料である。2種のポリマーの分子量は、1モル当たり約800,000グラムであるアクリレートの分子量とは完全に相違する。相違する構造のポリマー混合物は、しばしば、低劣な性質を有する混合混合物(
mixture blend)もたらすのが普通である。そのような広範に異なる構造のこれらの2種のポリマーは、驚くべきことに、有用な透過性と機械的性質をもつ混合(blended)膜を形成する混合物を提供する。さらに、製造者によって供給されるような2種のポリマーの物理的形態物は、混合に導く形態物では供給されず、そして混合には使用されない。セルロースアセテートは、乾燥粉末として製造者によって供給され、これが乾燥粉末として最初に有機溶媒に溶解することによって使用されて、コーティング溶液を形成し、次いでコーティングを製造するために使用されるように意図される。反対に、アクリレートコポリマーは、製造者によって供給され、そして有機溶媒なしに水中の分散液として使用されて、コーティングを製造するために水から直接適用されるように意図される。
【0011】
本発明およびその実施態様は、ここに、より詳細に記述されるであろう。
【0012】
定義
本明細書に引用される全文書は、全目的のため、および本明細書で完全に再現される場合にはそれら全体で、引用によって本明細書に組み入れられている。
【0013】
本発明は、本明細書に与えられる次の定義、図面および代表的開示を引用することによってもっとも良く理解される。
【0014】
「アクリレートコポリマー」は、少なくとも2種の異なるアルキルアクリル酸モノマー単位がコポリマーを含むように重合される、アルキルアクリル酸モノマー単位からなる線状コポリマーを意味する。アクリレートコポリマーは、本明細書の他の場所でさらに議論される。
【0015】
「投与すること」は、患者に対して材料、特に薬物を提供することを意味する。
【0016】
「混合物(blend)」は、物理的に一緒に混合され、そして個々の各ポリマーとは異なり協力して機能する少なくとも2種のポリマーを含んでなるポリマー組成物を意味する。
【0017】
「セルロースアセテートポリマー」は、アンヒドログルコース単位のヒドロキシル基が、平均して、1アンヒドログルコース単位当たり0を超える3個までのアセチル基により置換されているアンヒドログルコースの反復単位からなる線状ポリマーを意味する。セルロースアセテートポリマーは、本明細書の他の場所でさらに議論される。
【0018】
「コーティング」は物質を覆う薄膜を提供することを意味する。
【0019】
「用量形態物」は、患者に対する製薬学的投与のために適当な材料を意味する。
【0020】
「出口」または「出口開口部(port)」は、浸透性用量形態物の内部を使用の外部環境に連結する開放している孔またはチャンネルを意味する。
【0021】
「浸透性コア」は、少なくとも1種の浸透的に(osmotically)活性な物質および少なくとも1種の薬物を含む、形成された組成物を意味し、ここで、浸透性コアは浸透性用量形態物内での使用のために意図される。
【0022】
「浸透性用量形態物」は、制御された時期間、制御された速度で薬物の単位用量を送達するように浸透性原理にしたがって作動する用量形態物を意味する。浸透性用量形態物は、一般に、半透過性壁によって、少なくとも一部分、形成されたコンパートメント中に流
体を吸い込むための推進力を生成するために浸透圧を利用する。浸透性システムに対する利点は、それらの作動が、pHに非依存的であり、したがって、浸透性用量形態物が胃腸管を通過し、そして有意に異なるpH値を有する異なる微小環境に遭遇するような長時間を通じてもなお浸透的に決定される速度において継続することである。そのような用量形態物の総説は、引用によって本明細書に組み入れられている、Santus and Baker,“Osmotic drug delivery:a review of the patent literature,”Journal of Controlled Release 35:1−21(1995)において見出される。浸透性用量形態物は、また、次の米国特許において詳細に記述されており、各々は本明細書に完全に組み入れられている:米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,995,631号;同第4,008,719号;同第4,111,202号;同第4,160,020号;第4,327,725号;第4,519,801号;第4,578,075号;第4,681,583号;第5,019,397号;および第5,156,850号。
【0023】
「患者」は、研究および/または医学的介入の対象である人間または動物を意味する。
【0024】
「半透過性膜」は、外部の使用環境における水または他の流体のような流体の自由拡散を許すが薬物または浸透性作用物を拡散させない膜を意味する。
【0025】
「水の流動(flux)」は、半透過性膜の1単位面積当たり半透過性膜を通過する水の1単位時間当たりの定量的流れを意味する。
【0026】
本発明による浸透性用量形態物は、浸透性コアを取り囲む半透過性膜を含む。そのような構造物は、本明細書の他の場所でさらに議論される。半透過性膜を形成するために有用な材料は、本質的に非浸食性であり、そして用量形態物の活動中生物学的流体中で実質的に不溶性である。
【0027】
本発明の浸透性用量形態物は、セルロースアセテートポリマーおよびアクリレートコポリマーの混合物を含む半透過性膜を含む。混合された半透過性膜は、浸透性用量形態物の適当な機能のために適当かつ必要である輸送および機械的性質を提供する。半透過性膜混合物の透過性は、浸透性用量形態物が、必要とする患者に対して投与される浸透性用量形態物のための、適当な速度で、かつ適当な期間、薬物を送達する一方、送達デバイスのために適当な機械的性質をまた提供するようなレベルを目標とすることができる。2種のポリマーの比率は、適当な輸送および機械的性質を提供するように選択することができる。混合物のアクリレートコポリマーのパーセンテージは、透過性における低下を提供するためには上向きに調節される。1つの実施態様では、混合物は、混合物の総乾燥重量に対して約50wt%に等しいか、またはそれを超える量においてセルロースアセテートポリマーを含み、好ましくは、混合物は、混合物の総乾燥重量に対して約60wt%に等しいか、またはそれを超える量においてセルロースアセテートポリマーを含み;より好ましくは、混合物は、混合物の総乾燥重量に対して約70wt%に等しいか、またはそれを超える量においてセルロースアセテートポリマーを含む。セルロースアセテートおよびアクリレートコポリマーの50:50混合物は、アクリレートフラクションの不在下のセルロースアセテートの透過性の約1/3である。1つの実施態様では、混合物は、混合物の総乾燥重量に対して約0.01wt%〜約50wt%の範囲の量においてアクリレートコポリマーを含み;好ましくは、混合物は、混合物の総乾燥重量に対して約10wt%〜約30wt%の範囲の量においてアクリレートコポリマーを含み;より好ましくは、混合物は、混合物の総乾燥重量に対して約15wt%〜約25wt%の範囲の量においてアクリレートコポリマーを含む。
【0028】
半透過性膜はまた、任意の流動調節剤(flux regulating agent)を含んでもよい。流動調節剤は、半透過性膜を通過する流体の透過性または流動の調節を助けるために添加される化合物である。流動調節剤は流動増進剤であってもよい。この作用物は、膜混合物を通過する液体の流動を増進するために予め選択することができる。水のような流体に対して透過性の顕著な増進を生じさせる作用物は、しばしば本質的に親水性である。半透過性膜に組み込まれる場合、膜中の流動調節剤の量は、一般に、混合物の総乾燥重量に対して、重量で約0.01wt%〜約25wt%、好ましくは約5wt%〜約20wt%、より好ましくは約10wt%〜約15wt%の範囲である。
【0029】
流動を増進する1つの実施態様における流動調節剤は、例えば、多価アルコール、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンジオール、アルキレングリコールのポリエステルなどを含む。典型的な流動増進剤は:ポリエチレングリコール300、400、600、1500、4000、6000、ポリ(エチレングリコール−コ−プロピレングリコール)、エチレンオキサイド:プロピレンオキサイド:エチレンオキサイド・トリブロックコポリマー、など;低分子量のグリコール、例えばポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールおよびポリアミレングリコール;ポリアルキレンジオール、例えばポリ(1,3−プロパンジオール)、ポリ(1,4−ブタンジオール)、ポリ(1,6−ヘキサンジオール)など;脂肪族ジオール、例えば1,3−ブチレングリコール、1,4−ペンタメチレングリコール、1,4−ヘキサメチレングリコールなど;アルキレントリオール、例えばグリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,3,6−ヘキサントリオールなど;エステル、例えばエチレングリコールジプロピオネート、エチレングリコールブチレート、ブチレングリコールジプロピオネート、グリセロールアセテートエステル、単糖類、例えばソルビトール、二糖類、例えばラクトース、種々の流動調節剤の組み合わせ物、などを含む。
【0030】
壁に対して柔軟性および伸長性を添え、壁を壊れにくくさせ、そして引き裂き強度を与えるための半透過性膜を形成するために使用できる他の材料は、例えば、フタレート可塑剤、例えばジベンジルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルオクチルフタレート、6〜11個の炭素の直鎖フタレート、ジ−イソノニルフタレート、ジ−イソデシルフタレートなどを含む。可塑剤は、非フタレート、例えばトリアセチン、ジオクチルアゼレート、エポキシ化タレート(tallate),トリ−イソオクチルトリメリテート(trimellitate)、トリ−イソノニルトリメリテート、スクロースアセテートイソブチレート、エポキシ化大豆油、レシチンなどを含む。半透過性膜中の可塑剤の量は、そこに組み入れられる場合、重量で約0.01%〜約20%またはそれ以上である。
【0031】
本発明の半透過性膜は、当該技術分野において既知であり、そして/または本明細書で他に開示されている技術を用いて浸透性コア上にコートされてもよい。
【0032】
用量形態物
浸透性用量形態物および浸透性用量形態物を使用する処置の方法がここに記述される。以下に記述される浸透性用量形態物は単なる例示にすぎないことは理解されるであろう。
【0033】
当該技術分野で基本的な浸透性ポンプ用量形態物と呼ばれる、代表的な浸透性用量形態物が図1において示される。切り開かれた画面で示される用量形態物20はまた、基本的浸透性ポンプとも呼ばれ、そして内部のコンパートメント24を取り囲み、封入する半透過性壁22からなる。内部コンパートメントは、ここでは、選ばれた添加物との混合物において発明物質28を含んでなる、薬物層26と呼ばれる単一構成要素の層を含有する。添加物は、壁22を通して外部環境から流体を誘引し、そして流体の吸い込みにより送達可能な複合調合物を形成するための浸透活性勾配を与えるように適応される。添加物は、ここでは薬物担体30とも呼ばれる適当な懸濁化剤、結合剤32、滑沢剤34、およびオ
スマゲント(osmagent)36と呼ばれる浸透的に活性な作用物を含んでもよい。これらの成分のために有用な代表的な材料は、本出願を通して開示されているのが見出される。
【0034】
浸透性用量形態物の半透過性膜22は、外部の流体、例えば水および生物学的流体の通過に対して透過性であるが、内部コンパートメント中の成分の通過には実質的に不透過性である。
【0035】
作動においては、浸透的に活性な作用物の存在による半透過性膜22を横切る浸透勾配は、壁を通して胃腸管の流体を吸収して薬物層を膨潤させ、そして内部のコンパートメント内に送達可能な複合調合物(例えば、溶液、懸濁液、スラリーまたは他の流動性組成物)を形成させる。送達可能な発明物質調合物は、流体が内部コンパートメントに継続して入るにつれて出口開口部38を通して放出される。薬物調合物は用量形態物から放出され、流体が継続して内部コンパートメント中に引き込まれるので、なお、それによって継続された放出を推進する。このようにして、本発明物質は長時間にわたって持続かつ継続方式で放出される。
【0036】
図2は、持続放出用量形態物のある種の本発明の実施態様を具体的に説明している。この種類の用量形態物は、米国特許第4,612,008号;同第5,082,668号および同第5,091,190号において詳細に記述されており、さらに以下に記述される。
【0037】
図2は、持続放出用量形態物、すなわち浸透性持続放出用量形態物の1つの種類の実施態様を示す。第1の薬物層30は、浸透的に活性な成分、および第2の薬物層40におけるよりも低い量の活性作用物を含む。第1の構成要素・薬物層中の浸透的に活性な成分は、塩のようなオスマゲントおよび比較的低分子量を有する1種以上のオスモポリマー(osmopolymer)を含み、これらは、流体が吸い込まれるにつれて膨潤を現し、その結果、出口開口部60を通してのこれらのオスモポリマーの放出が薬物層40の放出と同様に起きる。結合剤、滑沢剤、抗酸化剤および着色剤のようなさらなる添加物がまた、第1の薬物層30中に含まれてもよい。
【0038】
第2の薬物層40は、半透過性膜20を通して外部環境から流体を動かし、そして流体の吸い込みにより送達可能な薬物調合物を形成するための浸透活性勾配を提供するように適合された選ばれた添加物との混合物において活性作用物を含む。添加物は、本明細書では薬物担体とも呼ばれる適当な懸濁化剤を含んでもよいが、浸透的に活性な作用物、塩、塩化ナトリウムのような「オスマゲント」を含まない。第1の薬物層では塩と組み合わされて、本用量形態物中に薬物全体の比較的高い比率を含有するこの第2の薬物層から塩を省略することが、より長期間の上昇する割合(rate)を生じる改良された上昇する放出割合を提供することが発見された。
【0039】
薬物層40は、薬物層30よりも高い濃度の薬物を有する。第1の薬物層30中の薬物濃度対第2の薬物層40中の薬物濃度の比は、1未満、好ましくは約0.43未満またはそれに等しく維持されて、所望の実質的に上昇する放出割合を提供する。
【0040】
薬物層40はまた他の添加物、例えば滑沢剤、結合剤などを含んでもよい。
【0041】
薬物層30とともに、薬物層40は、親水性ポリマー担体をさらに含む。これらのポリマーの代表例は、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(メチレンオキサイド)、ポリ(ブチレンオキサイド)およびポリ(ヘキシレンオキサイド)を含む、100,000〜750、000の数平均分子量のポリ(アルキレンオキサイド);ならびに、ポリ(アルカリ
カルボキシメチルセルロース)、ポリ(ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、ポリ(カリウムカルボキシメチルセルロース)およびポリ(リチウムカルボキシメチルセルロース)によって代表される、40,000〜400,000の数平均分子量のポリ(カルボキシメチルセルロース)である。薬物層40は、さらに、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロースおよびヒドロキシプロピルペンチルセルロースによって代表されるような、用量形態物の送達特性を増進するための9,200〜125,000の数平均分子量のヒドロキシプロピルアルキルセルロース;ならびに、用量形態物の流動特性を増進するための7,000〜75,000の数平均分子量のポリ(ビニルピロリドン)を含んでもよい。これらのポリマー中で、100,000〜300、000の数平均分子量のポリ(エチレンオキサイド)が好適である。胃の環境中で浸食される担体、すなわち生体被浸食性担体は、特に好適である。
【0042】
薬物層40、および/または薬物層30中に組み込まれてもよい他の担体は、単独または他のオスマゲントとともに使用されて十分な浸透活性を発揮する炭水化物を含む。そのような炭水化物は、単糖類、二糖類および多糖類を含む。代表的な例は、マルトデキストリン(すなわち、トウモロコシ澱粉の加水分解によって製造されるグルコースポリマー)およびラクトース、グルコース、ラフィノース、スクロース、マンニトール、ソルビトールなどを含む糖類を含む。好適なマルトデキストリンは、20以下のデキストローズ当量(DE)、好ましくは約4〜約20、しばしば9〜20の範囲のDEを有するそれらである。9〜12のDEを有するマルトデキストリンが有用であることが見い出された。
【0043】
薬物層40および薬物層30は、典型的には、担体、薬物および他の添加物の圧縮によって1つの層として形成される実質的に乾燥した、重量で<5%水分の組成物であり得る。
【0044】
薬物層40は、本発明の様式および方式にしたがって、薬物層の製作において使用される薬物のサイズおよび随伴するポリマーのサイズを作成する粉砕によって粒子から、典型的には化合物を含有するコアとして形成されてもよい。粒子を製造する方法は、意図されるミクロンの粒子サイズを生成するための造粒、噴霧乾燥、篩別、凍結乾燥、破砕、摩砕、ジェットミル粉砕、微粉化および切断を含む。この方法は、サイズ低下用装置、例えばミクロプルベライザー(micropulverizer)ミル、流体エネルギー摩砕機、摩砕ミル、ローラーミル、ハンマーミル、磨損ミル、チェイサーミル、ボールミル、震動ボールミル、衝撃プルベライザーミル、遠心プルベライザー、粗い破砕機および微粉砕機によって実施できる。粒子のサイズは、グリズリースクリーン、フラットスクリーン、震動スクリーン、回転スクリーン、振動スクリーン、オシレーティングスクリーンおよび往復スクリーンを含む、篩別けによって確定できる。薬物および担体粒子を製造する方法および装置は、Pharmaceutincal Sciences,Remington,17th Ed.,pp.1585−1594(1985);Chemical Engineers Hnadbook,Perry,6th ED.,pp.21−13〜21−19(1984);Jounal of Pharmaceutincal Sciences,Parrot,Vol.61,No.6,pp.813−829(1974);およびChemical Engineer、Hixon,pp.94−103(1990)に開示されている。
【0045】
第1の薬物層30は、半透過性膜20を通して外部環境から流体を動かし、そして流体の吸い込みにより送達可能な薬物調合物を形成するための浸透活性勾配を提供するように適合された選ばれた添加物との混合物において活性作用物を含む。添加物は、本明細書では薬物担体とも呼ばれる適当な懸濁化剤、および浸透的に活性な作用物、すなわち、塩のような「オスマゲント」を含んでもよい。他の添加物、例えば滑沢剤、結合剤などがまた
含まれてもよい。
【0046】
第1の薬物層中の浸透的に活性な成分は、典型的には、オスマゲントおよび比較的低分子量を有する1種以上のオスモポリマーを含み、これらは、流体が吸い込まれるにつれて膨潤を現し、その結果、出口開口部60を通してのこれらのオスモポリマーの放出が薬物層40の放出と同様に起きる。
【0047】
第1の薬物層と第2の薬物層との間の薬物濃度の比は放出割合プロフィルを変える。放出割合プロフィルは、最大放出割合と、開始後第1の時点において(例えば、6時間において)到達された放出割合との間の差異を、2つのデータポイント間の平均放出割合で割って算出される。
【0048】
薬物層30および薬物層40は、場合によっては、いずれかまたは両薬物層中に界面活性剤および崩壊剤を含有してもよい。界面活性剤の例は、約10〜25のHLB値を有するもの、例えばポリエチレングリコール400モノステアレート、ポリオキシエチレン−4−ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン−20−ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン−20−ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン−20−ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン−40−ステアレート、ナトリウムオレエートなどである。
【0049】
崩壊剤は、澱粉、粘土、セルロース、アルギン酸塩およびガム類および架橋された澱粉、セルロースおよびポリマーである。代表的な崩壊剤は、トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、クロスカルメロース、クロスポビドン、グリコール酸ナトリウム澱粉、VeegumHV、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、グアガム、低置換ヒドロキシプロピルセルロースなどから選ばれてもよい。
【0050】
半透過性膜20は、外部の流体、例えば水および生物学的流体の通過に対して透過性であり、そして薬物、オスマゲント、オスモポリマーなどの通過に対しては実質的に不透過性であるように形成される。それ自体、それは先に定義されたように半透過性である。
【0051】
押し出し層50は、図2に図示されるような第2の構成要素・薬物層40と接する層として配置される膨張性層を含む。押し出し層50は、水性または生物学的流体を吸い込み、膨潤して、デバイスの出口をとおして薬物組成物を押し出すポリマーを含む。
【0052】
膨張性層は、1つの実施態様では、胃腸液に存在するような水の存在下で膨潤する水活性化(hydroacivated)組成物を含む。便利には、それは、使用環境に存在する外部流体に対して半透過性層をとおして浸透圧勾配を現す浸透性溶質を含んでなる浸透性組成物を含んでもよい。その他の実施態様では、水活性化層は、外側の半透過性壁をとおして層中に流体を吸い込み、そして/または吸収するヒドロゲルを含む。半透過性壁は非毒性である。それは、作動中にその物理的および化学的完全性を維持し、そして本質的に膨張性層と相互作用しない。
【0053】
1つの好適な実施態様における膨張性層は、オスモポリマーとしても知られる親水性ポリマーを含んでなる水活性化層を含む。オスモポリマーは流体吸収性を現す。オスモポリマーは膨潤可能な親水性ポリマーであり、このオスモポリマーは水および生物学的水性流体と相互作用し、そして膨潤または膨張する。オスモポリマーは、送達システムの機能の継続する間、水および生物学的流体中で膨潤する能力を発揮し、そしてポリマー構造内に吸収された流体の有意な部分を保持する。オスモポリマーは非常に高い程度まで膨潤または膨張して、通常2〜50倍の体積増加を発揮する。オスモポリマーは架橋されてなくても、また架橋されていてもよい。膨潤可能な親水性ポリマーは、1つの実施態様では、膨
潤後に共有もしくはイオン結合または残留結晶領域によって形成される架橋のように軽く架橋されている。オスモポリマーは、植物、動物または合成起源であってもよい。
【0054】
オスモポリマーは親水性ポリマーである。本目的のために適当な親水性ポリマーは、分子量30,000〜5,000,000を有するポリ−(ヒドロキシ−アルキルメタクリレート);分子量10,000〜360,000を有するポリ(ビニルピロリドン);アニオン性およびカチオン性ヒドロゲル;高分子電解質複合体;グリオキサール、ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドで架橋され、重合度200〜30,000を有する低いアセテート残基を有するポリ(ビニルアルコール);メチルセルロース、架橋された寒天およびカルボキシメチルセルロースの混合物;ヒドロキシプロピルメチルセルロースとナトリウムカルボキシメチルセルロースの混合物;ヒドロキシプロピルエチルセルロースとナトリウムカルボキシメチルセルロースの混合物;ナトリウムカルボキシメチルセルロースとメチルセルロースの混合物;ナトリウムカルボキシメチルセルロース;カリウムカルボキシメチルセルロース;1コポリマーについて無水マレイン酸1モルに対して飽和架橋剤の0.001〜約0.5モルにより架橋された、無水マレイン酸とスチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンもしくはイソブチレンとの微細コポリマーの分散液から形成された水に不溶で水で膨潤可能なコポリマー;N−ビニルラクタムの水膨潤性ポリマー;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンゲル;カロブガム(carob gum);ポリアクリル系ゲル(polyacrylic gel);ポリエステルゲル;ポリエーテルゲル、ポリアミドゲル;ガラス性ヒドロゲルに浸透し、そのガラス温度を低下させる水を吸い込み、そして吸収する、最初は乾燥しているヒドロゲル;などを含む。
【0055】
代表的な他のオスモポリマーは、CarbopolTM、酸性カルボキシポリマー、カルボキシポリメチレンとしても既知のポリアリルスクロースにより架橋されたアクリル酸のポリマー、および分子量250,000〜4,000,000を有するカルボキシビニルポリマーのポリマー;CyanomerTMポリアクリルアミド;架橋された水膨潤性インデン無水マレイン酸ポリマー;Good−riteTM、分子量80,000〜200,000を有するポリアクリル酸;PolyoxTM、分子量100,000〜5,000,000およびそれ以上を有するポリエチレンオキシドポリマー;澱粉グラフトコポリマー;Aqua−KepsTM、縮合グルコース単位、例えばジエステルで架橋されたポリグルランから構成されているアクリレートポリマー多糖;などである。ヒドロゲルを形成する代表的ポリマーは、米国特許第3,865,108号;米国特許第4,002,173号;米国特許第4,207,893号;およびHandbook of Common Polymers,by Scott and Roff,published by the Chemical Rubber Co.,Cleveland,Ohioにおける先行技術で既知である。水・活性化層を含んでなるオスモポリマーの量は約5%〜100%であってもよい。
【0056】
その他の製造における膨張性層は、外部流体に対して半透過性壁を横断して浸透圧勾配を現す、無機および有機化合物を含む浸透的に有効な化合物(osmotically effective compound)を含んでもよい。オスモポリマーとともに、浸透的に有効な化合物は、浸透性システム中に流体を吸い込み、それによって内部壁、すなわち、ある実施態様では、用量形態物から活性作用物を押し出すためのバリヤー層および/または軟質または硬質カプセルの壁、に対して流体を押し出すことを可能にする。浸透的に有効な化合物は、浸透的に有効な溶質として、そしてまたオスマゲントとして知られる。使用できる浸透的に有効な溶質は、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、酸性燐酸カリウム、マンニトール、尿素、イノシトール、コハク酸マグネシウム、酒石酸、炭水化物、例えばラフィノース、スクロース、グルコース、ラクトース、ソルビトール、およびそれらの混合物を含む。オスマゲントの量は、層の重量の約5%〜100%であってもよい。膨張性層は、場合
によっては、100%に等しいオスモポリマーおよびオスマゲントの総量でオスモポリマーおよびオスマゲントを含む。浸透的に有効な溶質は、米国特許第4,783,337号において開示されているように先行技術に既知である。
【0057】
内部の壁90は、さらに、第1の薬物層30、第2の薬物層40および押し出し層50の出口60に向かう運動を容易にする滑沢機能を提供する。内部壁90は親水性材料および添加物から形成されてもよい。半透過性膜20は半透過性であり、胃腸液がコンパートメントに入るのを許すが、コンパートメント中のコアを含む材料の通過を阻止する。送達可能な薬物調合物は、浸透性経口用量形態物の浸透的作動により出口開口部60から放出される。
【0058】
内部壁90は、また、薬物層30および薬物層40の外面と半透過性膜20の内面との間の摩擦を低下させる。内部壁90は、特に、分配される薬物組成物のスラリー、懸濁液または溶液が、それが分配されている時間中、高度に粘性である場合に、コンパートメントからの薬物組成物の放出を促進し、そして送達期間の終了時にコンパートメント中に残っている残留薬物組成物の量を低下させる。疎水性作用物を有し、内部壁をもたない用量形態物では、送達期間の終了後に薬物の有意な残留量がデバイス中に残ることが観察されていた。若干の例では、20%以上の量が、放出割合アッセイで試験された場合24時間後に用量形態物中に残ることがある。
【0059】
内部壁90は、流動促進剤、すなわち、半透過性膜20と薬物層40の外面との間の摩擦力を低下させる薬剤の内部コートとして形成される。内部壁90は、半透過性膜20と、薬物層30および薬物層40の外面との間の摩擦力を低下させ、その結果、デバイスからの薬物の一層完全な送達を可能にすると思われる。特に、高いコストを有する活性化合物の場合には、要求される薬物の最少量が送達できることを保証するために過剰量の薬物を薬物層に負荷することは必要ではないので、そのような改良は実質的な経済的利益をもたらす。内部壁90は、圧縮されたコアの上に適用されるコーティングとして形成されてもよい。
【0060】
内部壁90は、典型的には、0.01〜5mmの厚さ、より典型的には0.5〜2mmの厚さであってもよく、そしてそれは、ヒドロゲル、ゼラチン、低分子量ポリエチレンオキサイド、例えば100,000MW未満、ヒドロキシアルキルセルロース、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシイソプロピルセルロース、ヒドロキシブチルセルロースおよびヒドロキシフェニルセルロース、およびヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびそれらの混合物から選ばれるメンバーを含む。ヒドロキシアルキルセルロースは、9,500〜1,250,000の数平均分子量を有するポリマーを含む。例えば、80,000〜850,000の数平均分子量を有するヒドロキプロピルセルロースが有用である。内部壁は、水性溶媒または不活性有機溶媒中、前記材料の慣用の溶液もしくは懸濁液から調製されてもよい。
【0061】
内部壁のための好適な材料は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン[ポリ(ビニルピロリドン)]、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物を含む。
【0062】
有機溶媒、特に1〜8個の炭素原子を有する低級アルカノール、好ましくはエタノールのような有機極性溶媒中で調製されるヒドロキシプロピルセルロースとポビドンの混合物、水性溶液において調製されるヒドロキシエチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合物、および水性溶液において調製されるヒドロキシエチルセルロースとポリエチレングリコールの混合物が、もっとも好適である。特に好適な内部壁組成物は、
約90、000の分子量を有するヒドロキシエチルセルロースおよび約8,000の分子量を有するポリエチレングリコールの5wt%〜50wt%の混合物を含む。
【0063】
内部壁90が、約80,000の平均分子量を有するEFとして同定される約50%〜約90%のヒドロキシプロピルセルロースおよびK29−32として同定される約10%〜約50%のポリビニルピロリドンを含むことが好適である。
【0064】
便利には、圧縮されたコアに適用される内部壁の重量は、内部壁の厚さおよび本明細書に記述されるような放出割合アッセイにおいて用量形態物中に残っている残留薬物と相関するであろう。それ自体、製造操作の間に、内部壁の厚さは、コーティング操作中に取り込まれる内部壁の重量を制御することによって調節できる。
【0065】
内部壁90が、サブコートとして、すなわち、第1の薬物層、第2の薬物層および押し出し層の1つまたは全部を含む打錠された構成物の上をコートすることによって、形成される場合、内部壁は打錠工程によってコア上に形成される表面の凹凸を埋めることができる。得られる平滑な外面は、薬物の分配に際して、コートされた構成物コアと半透過性膜との間の滑りを容易にして、投薬期間終了時のデバイス中に残る残留薬物組成物の比較的低い量をもたらす。内部壁90がゲル形成材料から作成される場合、使用環境における水との接触は、半透過性膜20と、薬物層30および薬物層40との間の滑りを促進かつ増進できる粘度を有するゲルまたはゲル様内部コートの形成を容易にする。
【0066】
パンコーティング(pan coating)は、出口オリフィスを除く、完成した用量形態物を提供するために便利に使用できる。パンコーティングシステムでは、この場合のように、内部壁または外部壁のための壁形成組成物は、回転するパンにおいて転がしながら、薬物層、場合によってはバリヤー層および押し出し層を含んでなる圧縮された三層または多層のコア上に適当な壁組成物を連続的に噴霧することによって沈着される。パンコーター(coater)は、その商業規模の利用度のために使用される。他の技術が圧縮されたコアをコートするために使用されてもよい。コートされた後、壁は強制通気オーブン中で、または温度と湿度を制御したオーブン中で乾燥されて、用量形態物から製造において使用された溶媒が除去される。乾燥条件は、便宜的には、利用される装置、周囲条件、溶媒、コーティング、コーティングの厚さなどに基づいて選ばれる。
【0067】
他のコーティング技術もまた使用できる。例えば、用量形態物の壁はエア−サスペンション操作を用いる1つの技術において形成することができる。この操作は、空気および半透過性壁形成組成物の流れの中で、壁がコアに適用されるまで、圧縮されたコアを浮遊させ、転がすことからなる。エア−サスペンション操作は、用量形態物の壁を独立して形成するために良く適合する。エア−サスペンション操作は、米国特許第2,799,241号;J.Am.Pharm.Assoc.,Vol.48,pp.451−459(1959);および同文献、Vol.49,pp.82−84(1960)において記述されている。また、用量形態物は、例えば、壁形成材料のための共溶媒(cosolvent)として含水アセトンを用いて、Wurster(R)エア−サスペンションコーターによりコートされてもよい。Aeromatic(R)エア−サスペンションコーターが共溶媒を用いて使用されてもよい。
【0068】
1つの実施態様では、本発明の持続放出用量形態物は、図2に示されるような少なくとも1個の出口開口部60を提供される。出口開口部60は、用量形態物からの薬物の均一な放出のために圧縮されたコアと共に働く。出口開口部は、用量形態物の製造中、または使用の流体環境における用量形態物による薬物送達中に提供されてもよい。
【0069】
1個またはそれ以上の出口オリフィスが、用量形態物の薬物層の端に穴空けされ、そし
て場合によっては、着色(例えば、Opadry着色コーティング)されていても、または透明(例えば、Opadry Clear)であってもよい任意の水溶性オーバーコートが、用量形態物上にコートされて最終用量形態物が提供されてもよい。
【0070】
出口開口部60は、外側の壁から浸食されるか、溶解するか、または洗い落とされて出口オリフィスを形成する、物質もしくはポリマーから形成されるかまたは形成可能であるオリフィスを含む。その物質もしくはポリマーは、例えば、半透過性壁における被浸食性のポリ(グリコール酸)もしくはポリ(乳酸);ゼラチンの繊維;水で除去できるポリ(ビニルアルコール);洗い落とされる化合物、例えば無機および有機塩、酸化物および炭水化物からなる群かな選ばれる流体で除去できる穴・形成物(pore−former)を含んでもよい。
【0071】
1個の出口開口部もしくは複数の出口開口部は、ソルビトール、ラクトース、フルクトース、グルコース、マンノース、ガラクトース、タロース、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウムおよびマンニトールからなる群から選ばれるメンバーを洗い落すことによって形成されて、均一に放出の寸法に合った穴−出口オリフィスを提供できる。
【0072】
出口は、用量形態物から薬物の均一な定量用量放出のために、円形、三角形、四角形、長円形などのようないかなる形状を有してもよい。
【0073】
持続放出用量形態物は、持続放出用量形態物の空間的に離れた関係または1個以上の表面において1個以上の出口を含んで構築することができる。
【0074】
半透過性壁をとおして、機械的およびレーザー穴空け(drilling)を含む穴空けが使用されて、出口オリフィスを形成することができる。そのような出口およびそのような出口を形成するための装置は、TheeuwesおよびHiguchiによる米国特許第3,916,899号およびTheeuwesらによる米国特許第4,088,864号において開示されている。等しい直径の2個の出口開口部を利用することがここでは好適である。好適な実施態様では、出口開口部60は、存在する場合はサブコート90をとおして、薬物層30まで貫通する。
【0075】
その他の実施態様では、薬物および他の成分を含む治療学的組成物、またはそれらを含む出口に面する薬物層は、混合されるか、あるいはそれらは混合され、次いで固形層に圧縮される。薬物および他の成分は、溶媒により混合され、慣用の方法、例えばボールミル法、圧搾ローラー法、撹拌もしくはロールミル法によって固形もしくは半固形形態に形成され、次いで、選ばれた型に圧縮される。この層は、層が用量形態物において占める領域の内部寸法に対応する寸法を保持する。二層は用量形態物の内部口径に対応する寸法を保持する。次に、ヒドロゲル「押し出し層」が薬物層と接して置かれる。薬物層とヒドロゲル押し出し層の重層(layering)は、慣用の圧縮−重層技術によって作成できる。最後に、2つの層コンパートメント形成メンバーは、外側の壁により囲まれ、コートされる。予め選ばれた薬物表面に通路を形成するためにレーザー装置によって自動的に光学的に方向づけされた用量形態物を用いて、通路が、薬物層に通じるように壁をとおしてレーザーで穴空けされるかまたは機械的に穴空けされる。
【0076】
その他の実施態様では、用量形態物は湿式造粒技術によって製造される。湿式造粒技術では、薬物および成分を含む第1層は、造粒用流体として、有機もしくは無機溶媒、例えばイソプロピルアルコール:メタノール80:20(v:v)を用いて混合される。他の造粒用流体、例えば水、イソプロピルアルコールまたは変性アルコール100%がこの目的のために使用されてもよい。薬物層を形成する成分は、個々に、40メッシュ篩を通過され、次いで、ミキサー中で徹底的に混合される。次に、他の成分を含む薬物層が造粒用
流体、例えば前記共溶媒の一部に溶解される。次いで、後者の調製された湿潤混合物がブレンダー中で連続混合されながら薬物混合物に徐々に添加される。造粒用流体は湿潤混合物全量が製造されるまで添加され、次いで、この湿った全量が、オーブントレー上に20メッシュ篩を通して押し出される。この混合物は25℃〜40℃で18〜24時間乾燥される。乾燥顆粒は次いで16メッシュ篩で篩別される。次に、滑沢剤が60メッシュ篩を通過され、乾燥した篩別顆粒混合物に添加される。造粒物(granulation)は製粉ジャー中に入れられ、1〜5分間、ジャーミルにおいて混合される。薬物層および押し出し層組成物は、例えば、Manesty(R)レアープレスにおいて重層錠剤に圧縮される。
【0077】
薬物およびヒドロゲル組成物を提供するために使用できるその他の製造方法は、流動床造粒機においてそれらの粉状成分を混合することを含む。粉状成分が造粒機において乾式混合された後、造粒用流体、例えば、溶媒中、例えば水中ポリ(ビニルピロリドン)がそれぞれの粉末の上に噴霧される。次いで、コートされた粉末は造粒機中で乾燥される。この方法は、造粒用流体を噴霧しながら、そこに存在する乾燥成分をコートする。顆粒が乾燥された後、滑沢剤、例えばステアリン酸もしくはステアリン酸マグネシウムが、上記のように混合されて混合物にされる。次いで、顆粒が前記様式で圧縮される。その他の実施態様では、流動床造粒法が使用されてヒドロゲル層を製造する場合は、ポリアルキレンオキサイド中に存在する抗酸化剤が処理段階において除去できる。抗酸化剤が望まれる場合は、それがヒドロゲル調合物に添加されてもよく;これは、前記流動床造粒の間に達成することができる。
【0078】
本発明による用量形態物は、その他の実施態様では、薬物を組成物形成用成分と混合し、そして通路に接するコンパートメント空間の内部寸法に対応する寸法を保持する固形層に、組成物を圧縮することによって製造されてもよい。その他の実施態様では、薬物および他の薬物組成物形成用成分および溶媒が、慣用の方法、例えばボールミル法、圧搾ローラー法、撹拌もしくはロールミル法によって混合されて固形もしくは半固形物にされ、次いで、予め選ばれた層形成型に圧縮される。
【0079】
先に示された実施態様では、ヒドロゲル・オスモポリマーおよび場合によってはオスマゲントを含んでなる組成物または組成物の層が、薬物を含んでなる層と接して置かれ、そしてその2つの層が半透過性膜により囲まれる。薬物組成物およびヒドロゲル押し出し層および場合によってはオスマゲント組成物の重層(layering)は、慣用の2層錠剤プレス技術を用いて達成できる。壁は、半透過性膜形成用材料によって圧縮形状物の成形、噴霧、または浸漬をとおして沈着させることができる。半透過性膜を適用するために使用できるその他の技術は、エアー・サスペンションコーティング操作である。この操作は、半透過性膜形成用組成物が層を取り囲むまで、空気流中で2層を浮遊させ、かつ転がすことにおいてなる。あるいはまた、半透過性膜は、パンコーティング(pan coating)方法により形成されてもよく、ここでは、圧縮形状物は、半透過性膜形成組成物が該形状物上に噴霧されながら、パンにおいて転がされる。製造操作は、Modern
Plastics Encyclopedia,Vol.46,pp.62−70(1969);およびPharmaceutincal Sciences,by Remington,14th Ed.,pp.1626−1648(1970),published by Mack Publishing Co.,Easton,Paにおいて記述されている。用量形態物は、次の米国特許第4,327,725号;同第4,612,008号;同第4,783,337号;同第4,863,456号;および同第4,902,514号における教示によって製造することができる。
【0080】
半透過性膜、組成物層および用量形態物を製造するために適当な代表的な溶媒は、一般に、材料、壁、層、組成物および薬物壁に有害な影響を与えない不活性な無機および有機
溶媒を含む。壁組成物中のいかなる流動増進剤も、熱の助力があってもなくても最初に撹拌下で溶媒に溶解される。そのような溶媒は、水性の有機溶媒またはその混合液であってもよい。流動増進剤の完全な溶解終了後、例えば壁形成材料のセルロース成分、セルロースアセテートが添加され、そして両成分が溶液になるまで、撹拌が継続される。膜は、Wursterコーター,パンコーターまたはいかなる他のコーティング装置を用いてもコア上に適用されてもよい。あるいはまた、コーティング材料の混合物が該コア上に直接圧縮されてもよい。半透過性膜の所望の厚さはほぼ4〜6milである。
【0081】
得られるコートされたコアの膜は、25milの錐(bit)を固定されたServoドリルプレスを使用して穴空けされ、そしてホットパック(hot pack)湿度オーブン中で72時間、45℃/45%Rhにおいて乾燥され、続いて45℃で4時間乾燥されて、過剰の水分が除去されてもよい。
【0082】
コートされたシステムの出口開口部は、典型的には、除去される残留溶媒のための手段を与えるために、乾燥前に速度(rate)調節用膜を通して穴空けされる。穴空けされるシステムの乾燥工程は、典型的には、45%相対湿度の空気中で45℃に温度調節されたオーブンにおいて、典型的には約72時間の間実施される。湿潤空気の水分は、膜を可塑化するのを助け、その結果、膜を通して用量形態物から残留コーティング溶媒の拡散が加速でき、そして全乾燥工程時間が短縮できる。最終乾燥段階は、湿度なしに数時間45℃でバッチを処理することによって、加湿により導入された残留水分を除去することを含んでもよい。乾燥工程の期間は、典型的には1〜10日であり、典型的には1〜3日の期間が好適である。
【0083】
本実施態様に適用されるように、本発明の特徴および利点が記述され、指摘されたけれども、当該医学分野における熟達者は、本明細書に記述される方法における種々の改変、変更、付加および省略が、本発明の精神を逸脱することなく作成できることを評価するであろう。
【実施例】
【0084】
次の実施例は、請求される本発明を具体的に説明するためであり、いかなる方法でも限定するものではない。
【0085】
例1
アクリレートコポリマーと混合されたセルロースアセテートからなる膜の基本的な輸送および機械的性質が一連の実験において特性決定された。最初に、Eudragit(R)NE30として市販されているエチルアクリレートメチルメタクリレート(EMM)のラテックスが、強制通気オーブン中で乾燥されてラテックスの水分が除去された。EMMは、ほぼ2部のエチルアクリレートと1部のメチルメタクリレートのモノマー比率を有する。ポリマーの分子量は1モル当たり約800,000グラムであった。次いで、得られる乾燥固形分75gが回収され、そしてアセトン3000g中に撹拌しながら溶解された。次に、セルロースアセテート39.8(CA398)75gが混合物に添加され、溶解するまで撹拌された。セルロースアセテートは、39.8重量%の平均アセチル含量、10秒の落球粘度および1モル当たり約40,000gの平均分子量を有した。得られる組成物はコーティング溶液を形成した。
【0086】
次いで、コーティング溶液が、製薬学的コーティングパンにおいてサンプルに噴霧コートされて平らな膜が形成された。3/8インチのラクトース錠1kgの負荷、次いで約12ダースの平面の1インチ直径Delrinディスクが、12インチのパンを固定されたVector pan Hi−Coater中に負荷された。コーティング溶液は、アセトンを除去するために約40〜42℃の入口温度と約27℃の出口温度を用いる温乾燥エ
アーの気流中でラクトース錠の転がし床(tumbling bed)において浮遊されるDelrinディスク上にエアー噴霧ノズルを通して噴霧コートされた。コーティング工程は、膜コーティングがディスク上に蓄積されるまで継続した。コートされたディスクが次にコーターから除かれ、そして一夜通気乾燥して残留アセトンを除去した。得られる膜組成物は50wt%CA398および50wt%EMMであった。
【0087】
膜サンプルがディスクからはがされてさらなる試験のための遊離膜が得られた。
【0088】
得られる膜の浸透透過率(osmotic permeability)は2コンパートメントFranzセルにおいて測定された。膜は、50メッシュのステンレススチール篩によって曲がらないよう支持され、この篩と膜が2つのコンパートメント間に挟まれた。1つのコンパートメントは過剰量の塩化ナトリウムによる飽和溶液で満たされ、他のコンパートメントは脱イオン水で満たされた。セルは、37℃の一定温度に維持され、そしてメスピペットが、定量的流動を測定するために塩溶液のコンパートメントに接続された。水が浸透によって膜を通過して引き出されるので、水の定量的流動が時間の関数としてピペットにおいてモニターされた。平衡的流動が達成された時、次いで、浸透透過率、Kが式1:
K=[(dv/dt)(h)]/(П)(A) 式1
にしたがって計算された。
式中、dv/dt=1単位時間当たりの定量的流動(cm/min)
h=膜の厚さ(mil)
П=浸透圧(atm)
A=膜の面積(cm
【0089】
この式で使用する飽和塩化ナトリウム溶液の浸透圧の値は、蒸気圧オスモメーターにより独立に測定されて、387atmの値を得た。浸透透過率の平均値は、少なくとも3枚の膜の透過率を測定して決定された。
【0090】
次いで、この実験は、ラテックスからの水が、コーティング溶液を作成する前に予備乾燥されなかったことを除いて同じ操作にしたがって反復された。したがって、コーティング溶液のための得られる溶媒系は、94wt%のアセトンと6wt%の水であった。6wt%水は、それ故、ラテックス中に初めから存在する水によって導入された。
【0091】
この実験は、再度反復されたが100%アセトンからコートされる100%CA398によった。
【0092】
最後に、この実験は、再度反復されたが100%アセトンから噴霧される50%CA398および50wt%ポリビニルアセテートによった。ポリビニルアセテートは、Dow
ChemicalからSentry Plus ResinGB−50として市販されている。それは45,000〜54,000gの範囲の分子量を有し、それは、両ポリマーが同様のアセチル基の高画分を有し、かつ類似の分子量を有するようなセルロースアセテートとの混合物の候補として選ばれた。
【0093】
溶媒組成物および透過率値の総括が表1に示される。50wt%エチルアクリレートメチルメタクリレートと混合された膜の浸透透過率値は、100%セルロースアセテートの透過率値のほぼ1/3である。同様に、50wt%ポリビニルアセテート(PVAc)と混合された膜の透過率値は、100%セルロースアセテートの透過率値のほぼ1/3である。実験誤差内で、純アセトンの溶媒からコートされた50:50CA:NE混合物の透過率値は、94/6アセトン/水wt/wtからコートされたこの膜の透過率に匹敵した。
【0094】
【表1】

【0095】
例2
例1からの膜組成物の機械的性質が特性決定された。試験前に、サンプルが、ドッグボーン(dog bone)型の鋳型によりパンチされ、40℃の強制通気中で一夜乾燥され、次いで、それらが平衡重量に達するまで52%の相対湿度において一定重量に再加湿された。ドックボーン鋳型は0.35インチの長さ、0.25インチの幅で、0.125インチ幅の首を有した。オーブン乾燥が実施されて、残留アセトンコーティング溶媒が除去された。サンプルは、サンプル中の水分レベルを周囲湿度におけるその近似平衡水分に戻る湿潤状態まで処理された。
【0096】
サンプルの半分が、引張り試験前に少なくとも4時間、室温で脱イオン水中に浸漬され、一方、他の半分は乾燥のままであった。次いで、弾性率および破壊点の伸びが、Instron Corporation Series IX Automated Materials Testing Systemを使用してサンプルの両セットにおいて測定された。各膜タイプの5サンプルが、10mm/minのクロスヘッド速度により引張られた。弾性率は膜のこわさを表し、そして破壊点の伸び(elongation)は、破壊前のその引伸し能を表す。表2はこれらの試験の結果を具体的に説明している。
【0097】
【表2】

【0098】
乾燥状態で試験された膜の結果を参照すれば、正味のセルロースアセテート398−10は、混合された膜よりも高い弾性率を有するが、CA398/NE混合物は、正味のCA398−10よりも破壊点の伸びについては高い値を有した。湿潤(水和された)状態における結果を参照すれば、CA/PVAcは、正味のCA398−10に匹敵する弾性率を有し、CA398/PVAc混合物は、破壊点の著しく低い伸びによって証明されるように壊れやすい。同様にCA/PVAc混合物は、正味のCA398−10および50:50CA398−10/NE混合物に較べて乾燥状態では破壊点の低い伸びを有した。
【0099】
これらの結果は、良好な機能特性を有するであろう膜組成物を前以て予測することの困難さを具体的に説明している。ポリビニルアセテートは、セルロースアセテートに共通するアセチル官能基を有し、そしてセルロースアセテート398−10に類似する分子量を有するけれども、50:50 CA398−10:PVAc混合物は壊れやすい傾向がある。反対に、CA398−10:NEの50:50混合物は、共通する官能基と著しく類似の分子量を欠如するにも拘わらず、良好な機械的特性を有する。
【0100】
例3
種々のポリマー比率をもつセルロースアセテート398−10とエチルアクリレートメチルメタクリレート・コポリマー(EudragitNE)を含んでなる噴霧形成された膜が、例1において記述された操作にしたがって作成された。各々の場合、コーティング溶液は、アセトン溶媒中に水フラクションを含む製造者から受領されたラテックスを溶解することによって製造された。次いで、セルロースアセテートが得られるアセトン/水混合液に溶解された。透過率値は例1に記述されたように測定された。図3は、その結果を総括している。透過率における低下は、図3における式によって説明されるようにエチルアクリレートメチルメタクリレートの重量フラクションの直線関数に従う。これらの膜の透過率値は、浸透性送達システムのために有用な範囲にある。
【0101】
例4
種々の比率のポリマーをもつセルロースアセテート398−10とエチルアクリレートメチルメタクリレート・コポリマー(EudragitNE)を含んでなる噴霧形成された膜が、例1において記述された操作にしたがって作成された。各々の場合、コーティング溶液は、アセトン溶媒中に溶解された水フラクションを含む製造者から受領されたラテックスを溶解することによって製造された。次いで、セルロースアセテートが、得られるアセトン/水混合物に溶解された。乾燥および湿潤(水和された)膜の機械的特性は例2に記述されたように測定された。図4は、その結果を総括している。
【0102】
破壊点の伸びは、アクリレートコポリマーのフラクションが両乾燥および湿潤膜において増加するにつれて増大する。弾性率は、アクリレートコポリマーのフラクションが両湿潤および乾燥膜において増加するにつれて直線的に減少する。これらの膜の引張り値は、浸透性送達システムのために有用な範囲にある。
【0103】
例5
セルロースアセテートアクリレートコポリマー膜の性能が浸透性用量形態物において評価された。抗うつ性薬物、レボキセチン(reboxetine)メタンスルホネート、の浸透性錠剤が、慣用の流動床造粒、三層錠圧縮およびパン噴霧コーティング工程を用いて作成された。錠剤は、マルトデキストリン基剤の薬物層、エチルセルロースバリヤー層およびポリエチレンオキサイド基剤の押出し層からなる3つの層を用いて縦に圧縮される道具により圧縮されて、4.8mm直径と13mmの長さであるコアが製造された。薬物層組成物145mgが最初に軽く圧縮された。この薬物層組成物は、レボキセチンメタンスルホネート9wt%、マルトデキストリンM100浸透剤85.5wt%、ステアリン酸錠滑沢剤2wt%および水3.5wt%を含んだ。薬物層はレボキセチン遊離塩基と等価のように10.0mgを含有した。次に、バリヤー層30mgが薬物層組成物の上に軽く圧縮された。バリヤー層は、エチルセルロース標準プレミアム粘度100cpsバリヤーポリマー99wt%およびステアリン酸錠滑沢剤1wt%を含んだ。最後に、押出し層組成物97mgが、3種の圧縮される層間の凝集結合を重層するのに十分な最終圧縮力によりバリヤー層上に圧縮された。これが浸透性錠剤を形成した。次に、サブコート薄膜25mgが、エチルアルコール100wt%中に溶解された薄膜組成物の6wt%固形分を含んでなる噴霧コーティング溶液から、コーティングパンにおける噴霧コーティングをすることによって、得られる三層錠の上に適用された。サブコート薄膜の組成物は、70wt%のヒドロキシプロピルセルロースEFおよび30wt%のポリビニルピロリドンK2932であった。総重量297mgの得られるサブコートされた三層浸透性錠は、次いで、低透過率の膜を評価するためにその後のコーティング研究において使用された。
【0104】
次に、3回のコーティング試行がこれらの三層浸透性参考コアを使用して行われた。100%セルロースアセテートの先行技術の膜を含んでなる実験の対照物が最初にコートさ
れた。セルロースアセテート398−10の200gが、室温で撹拌しながらアセトン3800g中に溶解された。浸透性参考コアの約600gが、9/32インチ直径のラクトース錠820gと混合され、そして錠剤混合物が、12インチ直径のパンを固定されたVector LDCSパンコーター中に負荷された。コーティング溶液は、適用操作中連続して撹拌され、そして暖かい乾燥空気の流れにおいて転がしながら負荷された錠剤の上に22〜24ml/minの割合で噴霧された。入口温度は43〜41℃に維持され、そして出口温度は約23〜26℃に維持された。49mgのコーティング重量および7.1milのコーティング厚さが参考コア上に蓄積されるまで、コーティングは135分間進行した。浸透性参考コアのバッチは、次いでラクトース賦形剤錠から分離された。次いで、膜コートされたシステムは、15milの錐(bit)を固定されたドリルプレスを使用して錠剤の薬物層の端の円蓋上に2個の出口開口部を穴空けされた。穴空けされたバッチの一部は冷蔵され、バッチのその他の少部分が別の研究のために凍結された。このバッチからの5システムが、45℃で45%の相対湿度において維持された乾燥オーブン中に置かれた。
【0105】
10日間乾燥後、5個のシステムは薬物の放出について試験された。システムは、ステンレスlessバスケット中に懸濁され、U.S.Pharmacopeia 26/National Formulary 21 Apparatus 7を使用して2時間37℃に温度調節された脱イオン水45mlを含有する受容器中に放出された。次いで、試験システムは新しい受容器に移され、そしてさらに2時間放出させられた。この方法は、送達性能の24時間を表す12間隔を集積するために反復された。次いで、受容器の溶液が0.8ミクロンフィルターで濾過され、そして薬物濃度が273.8nmの波長を用いて紫外線分光法によって分析された。薬物の放出速度は時間の関数としてプロットされた。データは図5の上の枠において示される。このシステムは、2〜14時間の定常状態の間、約0.7mg/hrの定常状態速度で薬物を送達した。請求された用量の90%を送達する時間は16.5時間であった。
【0106】
次に、参考浸透性錠剤の第2のバッチがコートされた。最初に、水性ラテックスとしてのEudragitNE30の75gが、撹拌しながらアセトン2797.5gに添加された。EudragitNE30は、Rohm America Incorporated,Somerset,New Jerseyによって供給される。75gのラテックスのサンプルは、エチルアクリレートメチルメタクリレート2:1コポリマー22.5gおよび水52.5gを含有した。次に、セルロースアセテート398−10の127.5gが添加され、そして完全に溶解するまで撹拌された。例5からの浸透性参考コアの約600gが、9/32インチ直径のラクトース錠820gと混合され、そして錠剤混合物が、12インチ直径のパンを固定されたVector LDCSパンコーター中に負荷された。コーティング溶液は、次いで、第1のバッチにおいて記述されたパラメーターを使用して適用された。コーティング工程は、29mgおよび4.5milの厚さが浸透性参考錠剤上に沈着されるまで、71分間継続した。得られる膜の組成は、85wt%のセルロースアセテート398−10および15wt%のEudragitNEであった。得られる膜コートされたシステムは、次いで、バッチ1において記述されたように穴空けされた。穴空けされたバッチの一部は冷蔵され、バッチのその他の少部分は別の研究のために凍結された。このバッチからの5システムが、45℃で45%の相対湿度において維持された乾燥オーブン中に置かれた。
【0107】
得られる穴空けされ、乾燥された膜コートされたシステムは、バッチ1のシステムからの薬物放出の試験について記述された操作にしたがって薬物の放出について試験された。データは図6の中の枠において示される。このシステムは、2〜14時間の定常状態の間、約0.7mg/hrの範囲の定常状態速度で薬物を送達した。請求された用量の90%を送達する時間は15.5時間であった。
【0108】
最後に、参考浸透性錠剤の第3のバッチがコートされた。このバッチに適用されるコーティング溶液の組成は、エチルアクリレートメチルメタクリレート2:1コポリマーがKollicoat EMMであることを除いて、バッチ2と同等であった。このラテックスは、BASF Corporation,Mount Olive,New Jerseyによって供給される。膜のコーティング方法、穴空けおよび乾燥、および放出速度試験は、バッチ2を製造するために使用された方法と同等であった。29mgのコーティング重量および4.4milのコーティング厚さが、85wt%のセルロースアセテート398−10および15wt%のKollicoatEMMを含んでなる最終膜組成物に適用された。このコーティング重量に達する処置時間は66分であった。
【0109】
バッチ3の送達パターンは、図5の下の枠に描かれている。このシステムは、14時間、ほぼ0.7mg/hrの速度で薬物を送達した。請求された用量の90%を送達する時間は16.8時間であった。
【0110】
バッチ1、2および3の送達パターンは匹敵しているけれども、コーティング方法における膜をコートする時間は異なっていた。本発明のセルロースアセテートアクリレート混合膜は、先行技術の100%セルロースアセテート膜に較べて約半分の製造工程時間で適用され、時間におけるこの低下は、適用されるのに要するコーティング材料の量を低下させつつ、生産物の製造能力を増大する。
【0111】
例6
先行技術の膜の許容レベルまで残留コーティング溶媒を除去する時間が、本発明の膜を乾燥する時間に比較された。進行中、サンプルは、膜の適用および送達開口部の穴空け後、例5のバッチ1、2および3から採られた。浸透性送達システムは、45%相対湿度をもつ45℃のオーブンにおいて乾燥され、そして各膜組成物の6システムが、0、1、2、3、5および10日目にサンプリングされた。乾燥時間の関数としての用量形態物内の残留コーティング溶媒が高圧液体クロマトグラフィーによって測定された。時間0のサンプルは、初期に凍結されたサンプルによって代表された。この乾燥検討の結果は図6において示される。
【0112】
残留アセトンの許容レベルは、百万分の1000である。100%セルロースアセテート398の7.1milをもつバッチ1のコーティングによって代表される先行技術の膜は、許容レベルに達する乾燥のために少なくとも10日を必要とした。85/15セルロースアセテート398/EudragitNEの4.5milまたは85/15セルロースアセテート398/KollicoatEMMの4.4milで代表される本発明の膜は、3日で許容レベルに達した。本発明の膜は、乾燥時間を低下させ、したがって実質的に生産速度を増加する。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明による浸透性用量形態物を示す。
【図2】本発明によるその他の浸透性用量形態物を示す。
【図3】半透過性膜の試験からの結果を示す。
【図4】半透過性膜のさらなる試験からの結果を示す。
【図5】浸透性用量形態物からの送達パターンを示す。
【図6】浸透性用量形態物を使用する乾燥研究からの結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浸透性コア;
浸透性コアを取り囲み、そしてセルロースアセテートポリマーおよびアクリレートコポリマーの混合物を含む半透過性膜;および
半透過性膜を通して形成される出口:
を含んでなる浸透性用量形態物。
【請求項2】
混合物が、混合物の総乾燥重量に対して約50wt%に等しいか、またはそれを超える量においてセルロースアセテートポリマーを含む、請求項1の浸透性用量形態物。
【請求項3】
混合物が、混合物の総乾燥重量に対して約60wt%に等しいか、またはそれを超える量においてセルロースアセテートポリマーを含む、請求項2の浸透性用量形態物。
【請求項4】
混合物が、混合物の総乾燥重量に対して約70wt%に等しいか、またはそれを超える量においてセルロースアセテートポリマーを含む、請求項3の浸透性用量形態物。
【請求項5】
混合物が、混合物の総乾燥重量に対して、約0.01wt%〜約50wt%の範囲の量においてアクリレートコポリマーを含む、請求項1の浸透性用量形態物。
【請求項6】
混合物が、混合物の総乾燥重量に対して、約10wt%〜約30wt%の範囲の量においてアクリレートコポリマーを含む、請求項5の浸透性用量形態物。
【請求項7】
混合物が、混合物の総乾燥重量に対して、約15wt%〜約25wt%の範囲の量においてアクリレートコポリマーを含む、請求項6の浸透性用量形態物。
【請求項8】
混合物が、さらに、流動増進剤(flux enhancer)を含む、請求項1の浸透性用量形態物。
【請求項9】
流動増進剤の量が、混合物の総乾燥重量に対して、約0.01wt%〜約25wt%の範囲である、請求項8の浸透性用量形態物。
【請求項10】
流動増進剤の量が、混合物の総乾燥重量に対して、約5wt%〜約20wt%の範囲である、請求項9の浸透性用量形態物。
【請求項11】
流動増進剤の量が、混合物の総乾燥重量に対して、約10wt%〜約15wt%の範囲である、請求項10の浸透性用量形態物。
【請求項12】
患者に対して請求項1の浸透性用量形態物を投与すること:
を含んでなる方法。
【請求項13】
浸透性コアを提供し;
セルロースアセテートポリマーおよびアクリレートコポリマーの混合物を含む半透過性膜により浸透性コアをコートし;
半透過性膜を通して出口を形成し:そして
コートされた浸透性コアを患者に対して投与すること:
を含んでなる方法。
【請求項14】
混合物が、混合物の総乾燥重量に対して約50wt%に等しいか、またはそれを超える量においてセルロースアセテートポリマーを含む、請求項13の方法。
【請求項15】
混合物が、混合物の総乾燥重量に対して約60wt%に等しいか、またはそれを超える量においてセルロースアセテートポリマーを含む、請求項14の方法。
【請求項16】
混合物が、混合物の総乾燥重量に対して約70wt%に等しいか、またはそれを超える量においてセルロースアセテートポリマーを含む、請求項15の方法。
【請求項17】
混合物が、混合物の総乾燥重量に対して、約0.01wt%〜約50wt%の範囲の量においてアクリレートコポリマーを含む、請求項13の方法。
【請求項18】
混合物が、混合物の総乾燥重量に対して、約10wt%〜約30wt%の範囲の量においてアクリレートコポリマーを含む、請求項17の方法。
【請求項19】
混合物が、混合物の総乾燥重量に対して、約15wt%〜約25wt%の範囲の量においてアクリレートコポリマーを含む、請求項18の方法。
【請求項20】
混合物が、さらに、流動増進剤を含む、請求項13の方法。
【請求項21】
流動増進剤の量が、混合物の総乾燥重量に対して、約0.01wt%〜約25wt%の範囲である、請求項20の方法。
【請求項22】
流動増進剤の量が、混合物の総乾燥重量に対して、約5wt%〜約20wt%の範囲である、請求項21の方法。
【請求項23】
流動増進剤の量が、混合物の総乾燥重量に対して、約10wt%〜約15wt%の範囲である、請求項22の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−507774(P2009−507774A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525263(P2008−525263)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2006/030622
【国際公開番号】WO2007/019393
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】