説明

改良された繊維分散のためのガラス繊維用化学コーティング組成物

強化複合物品における繊維分散及び機械的性質を改良するコーティング組成物を提供する。上記コーティング組成物は、乳化剤、界面活性剤及び溶融粘度低下剤として作用する化学化合物を含む。少なくとも1つの典型的な実施態様においては、上記化学化合物は、エトキシ化脂肪酸又はエトキシ化脂肪族アルコール化合物である。上記コーティング組成物は、補強用繊維ストランドに、通常のサイズ剤組成物を補強用繊維に適用した後で熱可塑性樹脂による繊維のワイヤーコーティング前に適用し得る。コーティング処理/サイズ処理繊維ストランドは、細断してチョップトストランドセグメントを形成させ、次いで、濃密化又は圧縮して、ペレットのような濃密化補強用繊維製品を製造し得る。これらのペレットは、引続き、ポリマー強化複合物品を形成させるのに使用し得る。別の実施態様においては、上記コーティング組成物は、ブッシングの下の繊維形成直後の補強繊維に直接適用し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、補強用繊維材料用のサイズ剤組成物に関し、更に詳細には、複合物品中で改良された繊維分散性を与える化学組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス繊維は、種々の技術において有用である。例えば、ガラス繊維は、ガラス繊維強化プラスチック又は複合体を形成させるためのポリマーマトリックス中の補強材として一般的に使用されている。ガラス繊維は、連続又はチョップト(細断)フィラメント、ストランド、ロービング、織布、不織布、メッシュ及びスクリムの形で使用されてポリマーを補強している。当該技術においては、ガラス繊維強化ポリマー複合体は、補強繊維表面がサイズ剤組成物によって適切に改変されていることを条件として、衝撃、靭性及び強度の点で概して良好な機械的性質を示すことが知られている。
典型的には、ガラス繊維は、溶融ガラス材料の流れをブッシングから減衰することによって形成される。潤滑剤、カップリング剤及びフィルム形成性バインダー樹脂を含有する水性サイズ剤組成物又は化学処理剤が、ブッシングから延伸後のガラス繊維に典型的に施されている。サイズ剤組成物は、繊維をフィラメント間磨耗から保護し、ガラス繊維とガラス繊維を使用すべきマトリックス間の適合性及び接着性を増進させる。繊維を水性サイズ剤組成物で処理した後、繊維は、乾燥させて連続繊維ストランドパッケージとして形成するか、或いは細断してチョップトストランドセグメントとし得る。
【0003】
チョップトストランドセグメントは、押出加工中に、高分子樹脂と配合し得、得られた短繊維配合ペレットは、圧縮‐又は射出‐成形機に供給してガラス繊維強化複合体に形成し得る。例えば、チョップトストランドセグメントは、熱可塑性ポリマー樹脂と押出機内で混合して配合ペレットに形成し得る。その後、これらの乾燥ペレットは、成形機に供給し、成形複合物品に形成し得る。
一方、連続繊維ストランドパッケージは、長繊維強化熱可塑性樹脂(direct long fiber thermoplastic) (D-LFT)法又はペレット化法を使用する長繊維強化複合体製造において使用し得る。長繊維熱可塑性樹脂法においては、長繊維熱可塑性樹脂複合部品は、低剪断力押出‐、射出‐又は押出‐圧縮法により、1工程で成形し得る。ペレット化法においては、連続繊維ストランドを、含浸ダイ内で、熱可塑性樹脂で含浸し得、その後、コーティングした連続ストランドを所望の長さのペレットに細断する。また、連続繊維ストランドは、熱可塑性樹脂を使用してワイヤーコーティングして、所望の長さのペレットにインラインで細断し得るオーバーコーティング処理ストランドを形成させることもできる。これらの長繊維熱可塑性樹脂ペレットは、その後、低剪断力射出‐又は圧縮‐成形法を使用して、長繊維熱可塑性樹脂部品として成形することができる。
【0004】
長繊維熱可塑性樹脂加工において使用するワイヤーコーティング法によるペレットの形成例を、図1に示している。連続ガラス繊維は、繊維の製造中又は製造後に、水性又は非水性サイズ剤組成物でサイズ剤処理し得る。非水性サイズ剤組成物は、固形又は非水性液体形の、ワックス、オイル、潤滑剤及び/又はカップリング剤(例えば、実質的に加水分解されていないシラン)のような成分を含み得る。更に、非水性サイズ剤の成分が本質的に固形である場合、非水性サイズ剤は、溶融状態で使用して、ガラス繊維にその製造中に適用し得る。水性サイズ剤組成物は、水相中で、フィルム形成剤、カップリング剤及び/又は潤滑剤を含有し得る。
図1においては、連続ガラス繊維を非水性サイズ剤組成物で前以ってサイズ処理してサイズ処理連続ガラス繊維10を形成させている。サイズ処理連続ガラス繊維10は、成形ダイ又はワイヤーコーター12に通して、熱可塑性ポリマー13をガラス繊維10の周りを実質的にコーティングし得る。必要に応じて、添加剤11を、サイズ処理ガラス繊維10に、熱可塑性ポリマー13と一緒に適用し得る。その後、封入繊維14は、冷却装置16に通すか又は風乾又は空冷して(図示せず)、繊維14の周りのポリマーシースを固化させ得る。熱可塑性樹脂包み込み繊維14は、長繊維熱可塑性樹脂加工法及び長繊維熱可塑性樹脂複合部品条件に適する長さに、ペレタイザー18を使用してペレット化し得る。長繊維熱可塑性樹脂ペレット20は、通常の高剪断力射出‐又は圧縮‐成形機或いは低剪断長繊維熱可塑性樹脂(LFT)成形法を使用して、複合部品に成形し得る。
【0005】
サイズ剤組成物(図1に示すような)でサイズ処理したペレット化熱可塑性樹脂包込み繊維を成形することによって形成した長繊維熱可塑性樹脂複合部品は適切な機械的性質を有するものの、ガラス繊維は、ポリマーマトリックス中で必ずしも良好には分散せず、最終複合製品中に望ましくない目に見える欠陥をもたらす。更に、貧弱な繊維の分散は、最終複合部品の引張、衝撃及び曲げ強度のような性質に影響を及ぼし得る一貫性のない部品品質をもたらし得る。更に、低溶融性の非水性サイズ剤を、ワイヤーコーティングペレット化及びその後の長繊維熱可塑性樹脂成形加工に適するガラス繊維上で使用する場合、毛羽の形成、フィラメントの破壊及びライン停止のような温度依存性事象がワイヤーコーティングペレット化工程において生じ得る。更に、繊維製造過程において使用するのに入手可能な水性サイズ剤薬品及び組成物の実質的に制限のない選択と比較して、繊維製造過程において適用し得る非水性サイズ剤組成物については、現在利用し得る選択は限られた数しか存在しない。従って、長繊維熱可塑性樹脂複合物品の機械的性質の改良を行うことは、非水性サイズ剤を使用する場合、通常の非水性サイズ剤を使用する場合と比較して困難である。
【0006】
更に、通常の高剪断成形法においては、繊維長が有意に短くなり、最終複合部品が引張及び衝撃強度のような物理的性質を喪失する原因となる可能性がある。長繊維熱可塑性樹脂加工法に概して起因する上記物理的性質を保持するためには、繊維は、その長さを維持し、且つ最終の長繊維熱可塑性樹脂複合物品中で良好に分散していなければならない。長繊維熱可塑性樹脂業界は、最終LFT複合部品における繊維長保持を、スクリュー設計を変えることにより及び/又は加工中の混合剪断力を低下させることにより改良することを試みている。新たなスクリュー設計及び混合剪断力の低下は複合物品中の繊維長の維持を助けてはいるものの、長繊維を複合物品中で均一に分散させることは、混合剪断力が低下するので、ますます困難となっている。混合剪断力を高めて繊維分散性を改良したとしても、高めの剪断力は、複合物品中の繊維長を典型的に望ましくなく損傷し低下させる。
【0007】
更に、通常の水性サイズ処理繊維を使用する高速ワイヤーコーティング法によって製造したペレット内の繊維は、とりわけペレットを低めの剪断条件下で成形した場合に、最終複合部品中で良好には分散しない。スクリュー速度、圧力及び温度のようなパラメーターを調整して所望の剪断力を得ている。更に、樹脂材料のタイプ、融点、粘度、ガラス繊維濃度及び配合用添加剤も、特定の剪断力を如何にして達成するかに影響を与え得る。長繊維熱可塑性樹脂複合体中の繊維長を維持するためには、長繊維熱可塑性樹脂成形過程における装置設計及びモールド設定を、一般に、短繊維複合体製造過程と比較してはるかに低い剪断力を奏するような方法で調整することを認識すべきである。結果として、通常の水性サイズ処理繊維をベースとするワイヤーコーティングペレットは、低剪断条件下で成形したとき、良好に分散した長繊維熱可塑性樹脂複合部品を形成しない。
従って、当該技術においては、最終複合物品中での優れた繊維分散性を通常の長繊維熱可塑性樹脂剪断成形条件下において与え、且つ最終強化複合部品に改良された機械的性質を与えるコスト有効性のサイズ剤組成物が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、サイズ剤組成物で少なくとも部分的にコーティングされている複数の個々の補強用繊維から形成された補強用繊維ストランドを提供することである。とりわけ、上記補強用繊維ストランドは、最終複合物品中で優れた繊維分散性を与える単数又は複数の化学化合物を含有するコーティング組成物で少なくとも部分的にコーティングされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
好ましくは、上記化学化合物としては、エトキシ化脂肪酸、エトキシ化脂肪族アルコール、又はエトキシ化脂肪酸とエトキシ化脂肪族アルコールの混合物がある。上記コーティング組成物は、任意成分として、コーティング効率を改善する及び/又は上記コーティング組成物及び最終複合製品に所望の性質又は特徴を付与する添加剤も含有し得る。上記サイズ剤組成物は、補強用繊維ストランドとして集結させる前で且つ上記コーティング組成物を補強用繊維ストランドに適用させる前の個々の補強用繊維に適用し得る。個々の補強用繊維又は繊維ストランドは、通常の高周波(RF)乾燥装置を使用して、ペレット化工程前又は中に部分的に又は完全に乾燥させ得る。更に、上記サイズ剤組成物は、水性又は非水性であり得る。1つの典型的な実施例においては、上記サイズ剤組成物は非水性サイズ剤組成物であり、上記コーティング組成物を上記サイズ剤組成物の成分として取込ませる。上記コーティング組成物を含有する溶融非水性サイズ剤組成物は、上記個々の補強用繊維に適用し得る。そのような実施態様においては、上記サイズ剤組成物は、補強用繊維上で冷却時に固化し、さらなる乾燥を必要としない。もう1つの実施態様においては、本発明のコーティング組成物を1部通常の水性サイズ剤組成物(例えば、潤滑剤、カップリング剤及びフィルム形成性バインダー樹脂を水性形で含有する組成物)中に取込ませ、繊維形成中の上記個々の補強用繊維に適用し得る。上記コーティング組成物の第2の1部は、乾燥前又は乾燥後の補強用繊維ストランドにインライン又はオフラインのいずれかで適用し得る。また、上記補強用繊維ストランドは、上記補強用繊維ストランドをペレットのような補強用繊維製品として形成する前に、熱可塑性ポリマーのシースで囲い込み得る。
【0010】
本発明のもう1つの目的は、サイズ剤組成物によって少なくとも部分的にコーティングされた複数の補強用繊維から形成された2本以上の補強用繊維ストランドから形成された補強用繊維製品を提供することである。上記補強用繊維ストランド又は補強用繊維の片方又は双方を、上記補強用繊維のポリマーマトリックス中での改良された分散をもたらす単数又は複数の化学化合物を含むコーティング組成物で少なくとも部分的にコーティングする。本発明の少なくとも1つの典型的な実施態様においては、上記化学化合物は、エトキシ化脂肪酸、エトキシ化脂肪族アルコール、又はエトキシ化脂肪酸とエトキシ化脂肪族アルコールの混合物である。上記コーティング組成物は、上記補強用繊維ストランドに、該繊維ストランドを熱可塑性樹脂でワイヤーコーティング又はオーバーコーティングする前に適用し得る。上記補強用繊維ストランド及び/又は補強用繊維は、繊維強化熱可塑性ペレットを形成する前に、通常のオーブン及び/又は高周波(RF)乾燥装置を使用して部分的に又は完全に乾燥させ得る。上記補強用繊維ストランドを形成する個々のストランドに水性又は非水性サイズ剤組成物を前以って適用させてもよい。サイズ処理/コーティング処理補強用繊維ストランドは、ワイヤーコーティング法を使用して、熱可塑性樹脂でオーバーコーティングし得る。熱可塑性樹脂(1種以上)は、必要に応じて、補強用繊維製品に所望の特性を付与する所望の添加剤と混合し得る。熱可塑性樹脂は、長繊維熱可塑性樹脂複合物品として成形し得るペレットに細断することのできるシース型ストランドを形成する。また、上記コーティング組成物は、個々の補強用繊維上に、上記コーティング組成物を水性サイズ剤組成物又は溶融状態の非水性サイズ剤組成物の1部として含ませた場合に、上記サイズ剤組成物と一緒に適用し得る。その後、サイズ処理/コーティング処理補強用繊維ストランドを、セグメントに細断し、ペレットとして成形し、次いで、このペレットを、長繊維熱可塑性樹脂低剪断成形条件下においてさえも複合物品全体に亘って実質的に均一なガラス繊維ストランド分散を有する複合物品として形成し得る。
【0011】
本発明の更にもう1つの目的は、本発明のコーティング組成物で実質的にコーティングした繊維ストランドを含む強化複合物品の形成方法を提供することである。化学化合物を含有するコーティング組成物を、水性又は非水性サイズ剤組成物でコーティングした補強用繊維ストランドに適用する。化学化合物は、好ましくは、エトキシ化脂肪酸、エトキシ化脂肪族アルコール、又はエトキシ化脂肪酸とエトキシ化脂肪族アルコールの混合物である。上記補強用繊維ストランドを構成する個々の補強用繊維は、水性又は非水性サイズ剤組成物で前以ってコーティングした繊維であり得る。また、上記サイズ剤組成物は、上記繊維ストランドを構成する個々の補強用繊維に、上記コーティング組成物を上記補強用繊維ストランドに適用する前に適用し得る。上記コーティング組成物は、その後、上記補強用繊維をワイヤーコーティング装置に通して熱可塑性ポリマーを上記コーティング処理補強用繊維ストランドの周辺に実質的に均一にコーティングする前に、インラインで適用し得る。所望の添加剤を、上記繊維ストランドに、熱可塑性ポリマー材料と一緒に加え得る。その後、オーバーコーティングした補強用繊維ストランドを、ペレット化装置を使用して、セグメントに細断し得る。ペレットは、成形装置に供給し、低剪断成形条件下においてさえも複合物品全体に亘って実質的に均一なガラス繊維分散性を有する成形複合物品として形成し得る。別の実施態様においては、上記サイズ剤組成物は水性サイズ剤組成物であり、上記コーティング組成物の1部を上記サイズ剤組成物中に取込ませる。
【0012】
本発明のさらなる目的は、望ましくはエトキシ化脂肪酸、エトキシ化脂肪族アルコール、又はエトキシ化脂肪酸とエトキシ化脂肪族アルコールである化学化合物を含むコーティング組成物で少なくとも部分的にコーティングした補強用繊維を含む複合物品の形成方法を提供することである。上記コーティング組成物は、水性又は非水性サイズ剤組成物の1部として含ませ得る。本発明のコーティング組成物を含有する水性又は非水性サイズ剤組成物は、ブッシングから延伸した後の補強用繊維に、任意の通常のアプリケーターによって適用し得る。非水性サイズ剤組成物の場合、溶融非水性サイズ剤組成物は、冷却時に補強用繊維上で固化する。水性サイズ剤組成物を使用する場合、集結させたストランドを、通常の又は高周波乾燥装置を使用して乾燥させ得る。結果として、非水性サイズ剤によれば、さらなる乾燥は必要ではない。サイズ処理/コーティング処理補強用繊維は、ギャザリングメカニズムにより集結させてコーティング処理補強用繊維ストランドを形成し得る。コーティング処理ストランドは、その後、連続繊維ストランドパッケージとして巻付けるか、或いは、繊維/ストランドの乾燥前、乾燥中又は乾燥後に、所望の長さに細断し得る。引続き、コーティング処理繊維(連続又はチョップト)は、ペレット化装置を使用してペレット化してペレットとし、強化長繊維熱可塑性樹脂複合物品として成形し得る。
【0013】
本発明の利点は、本発明のコーティング組成物でコーティングした繊維から形成された複合物品が、低剪断長繊維熱可塑性樹脂成形条件においてさえも、改良された機械的性質及び優れた繊維分散性を示すことである。
本発明のもう1つの利点は、上記コーティング組成物が、補強用繊維をポリマーマトリックス中で、ひいては、最終複合物品中で実質的に均一に分散させるのを助長していることである。補強用繊維のそのような改良された分散は、複合物品に少なめの目に見える欠陥しかもたらさない。
本発明のさらなる利点は、複合部品における改良された繊維分散性が複合部品の品質及び性能一貫性を増強させることである。
本発明の更にもう1つの利点は、上記コーティング組成物でコーティングした繊維及び/又はストランドが、高速ワイヤーコーティング又はペレット化法のようなあらゆる通常の又は長繊維熱可塑性樹脂配合及び/又は成形法に適することである。
【0014】
また、本発明の利点は、上記コーティング組成物でコーティングした繊維及び/又はストランドが、最終複合部品において改良された繊維分散性を成形時に与えるペレットを形成することである。
本発明のもう1つの利点は、上記コーティング組成物でコーティングした繊維及び/又はストランドが、補強用繊維に水性サイズ剤組成物を適用する場合でさえも、最終複合部品において改良された繊維分散性を与えることである。
本発明のさらなる利点は、上記コーティング組成物でコーティングした繊維及び/又はストランドが、補強用繊維に高分子量マレイン酸化ポリプロピレンフィルム形成剤エマルジョンを含む水性サイズ剤組成物を適用し、高周波乾燥装置を使用して乾燥させたときに、最終複合部品において改良された機械的性能及び良好な繊維分散性を与えることである。
本発明のもう1つの利点は、上記コーティング組成物を、最終複合部品として成形する前の補強用繊維又は繊維ストランドに、1工程又は複数の工程で適用し得ることである。
【0015】
本発明の特徴は、上記コーティング組成物を、通常のサイズ剤組成物でサイズ処理した補強用繊維に適用し得るか或いは繊維形成後のブッシング下の補強用繊維に非水性サイズ剤組成物の成分として適用し得ることである。
本発明のもう1つの特徴は、上記コーティング組成物を、繊維形成中又は形成後の補強用繊維に適用すべきである通常の水性又は非水性サイズ剤の1部として取込ませ得ることである。
以下、本発明の上記及び他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明を検討することにより、より十分に明らかとなろう。
また、本発明の利点は、本発明の以下の詳細な開示を検討することにより、とりわけ、添付図面と一緒に理解するときに明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】水性又は非水性サイズ剤組成物のいずれかでコーティングした繊維を使用する通常のペレット化法の概略図である。
【図2】本発明の少なくとも1つの実施態様に従う水性又は非水性サイズ剤組成物のいずれかでコーティングした繊維を使用するペレット化法の概略図である。
【図3】本発明の少なくとも1つの典型的実施態様に従う、繊維がブッシングから形成された後の補強用繊維へ上記コーティング組成物を適用する概略図である。
【図4】表面上に通常のサイズ剤組成物を有するがコーティング組成物は有さない繊維を含むペレットから形成した長繊維熱可塑性樹脂成形プレートの写真である。
【図5】図4に示す写真のX線写真である。
【図6】通常のサイズ剤組成物と、エトキシ化脂肪族アルコール(n = 20のエトキシ化及びC18脂肪族アルコール)から調製し10質量%の量で適用したコーティング組成物とを含むペレットから形成した長繊維熱可塑性樹脂成形プレートの写真である。
【図7】図6に示す写真のX線写真である。
【0017】
【図8】通常のサイズ剤組成物と、エトキシ化脂肪族アルコール(n = 20のエトキシ化及びC18脂肪族アルコール)から調製し8.0質量%の量で適用したコーティング組成物とを含むペレットから形成した長繊維熱可塑性樹脂成形プレートの写真である。
【図9】通常のサイズ剤組成物と、エトキシ化脂肪族アルコール(n = 20のエトキシ化及びC18脂肪族アルコール)から調製し、6.0質量%の量で適用したコーティング組成物とを含むペレットから形成した長繊維熱可塑性樹脂成形プレートの写真である。
【図10】通常のサイズ剤組成物と、エトキシ化脂肪族アルコール(n = 20のエトキシ化及びC18脂肪族アルコール)から調製し4.0質量%の量で適用したコーティング組成物とを含むペレットから形成した長繊維熱可塑性樹脂成形プレートの写真である。
【0018】
【図11】通常のサイズ剤組成物と、エトキシ化脂肪酸(PEG1500MS)から調製し10質量%の量で適用したコーティング組成物とを含むペレットから形成した長繊維熱可塑性樹脂成形プレートの写真である。
【図12】通常のサイズ剤組成物と、エトキシ化脂肪酸(PEG1500MS)から調製し7.0質量%の量で適用したコーティング組成物とを含むペレットから形成した長繊維熱可塑性樹脂成形プレートの写真である。
【図13】通常のサイズ剤組成物と、エトキシ化脂肪酸(PEG1500MS)から調製し5.0質量%の量で適用したコーティング組成物とを含むペレットから形成した長繊維熱可塑性樹脂成形プレートの写真である。
【図14】通常のサイズ剤組成物と、低分子量マレイン酸化ポリプロピレンから調製し8.0質量%の量で適用したコーティング組成物とを含むペレットから形成した長繊維熱可塑性樹脂成形プレートの写真である。
【0019】
【図15】通常のサイズ剤組成物と、2種類の微結晶質ワックスと混合した過枝分れポリエチレンの混合物から調製し10質量%の量で適用したコーティング組成物とを含むペレットから形成した長繊維熱可塑性樹脂成形プレートの写真である。
【図16】通常のサイズ剤組成物と、エトキシ化脂肪族アルコール(n = 9〜11のエトキシ化及びC6脂肪族アルコール)から調製し8.0質量%の量で適用したコーティング組成物とを含み、サイズ剤組成物を高周波乾燥装置内で乾燥させたペレットから形成した長繊維熱可塑性樹脂成形プレートの写真である。
【図17】通常のサイズ剤組成物と、エトキシ化脂肪族アルコール(n = 10のエトキシ化及びC18脂肪族アルコール)から調製し8.0質量%の量で適用したコーティング組成物とを含み、サイズ剤組成物を高周波乾燥装置内で乾燥させたペレットから形成した長繊維熱可塑性樹脂成形プレートの写真である。
【0020】
【図18a】非水性サイズ剤組成物と、エトキシ化脂肪族アルコール(n = 20のエトキシ化及びC18脂肪族アルコール)から調製し、繊維形成中のブッシングの下で、8.0質量%の量で適用したコーティング組成物とを含むペレットから形成した長繊維熱可塑性樹脂成形プレートの写真である。
【図18b】非水性サイズ剤組成物と、エトキシ化脂肪族アルコール(n = 20のエトキシ化及びC18脂肪族アルコール)から調製し、繊維形成中のブッシングの下で、7.0質量%の量で適用したコーティング組成物とを含むペレットから形成した長繊維熱可塑性樹脂成形プレートの写真である。
【図18c】非水性サイズ剤組成物と、エトキシ化脂肪族アルコール(n = 20のエトキシ化及びC18脂肪族アルコール)から調製し、繊維形成中のブッシングの下で、6.0質量%の量で適用したコーティング組成物とを含むペレットから形成した長繊維熱可塑性樹脂成形プレートの写真である。
【図19】非水性サイズ剤組成物と、エトキシ化脂肪族アルコール(n = 100のエトキシ化及びC18脂肪族アルコール)から調製し、繊維形成中のブッシングの下で、7.0質量%の量で適用したコーティング組成物とを含むペレットから形成した長繊維熱可塑性樹脂成形プレートの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明及び好ましい実施態様
他で定義しない限り、本明細書において使用する全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術における通常の熟練者が一般的に理解しているのと同じ意味を有する。本明細書において説明する方法及び材料と同様な又は等価の任意の方法及び材料を本発明の実施及び試験において使用し得るものの、好ましい方法及び材料は、本明細書においては説明する。
用語“補強用繊維材料”及び“補強繊維”は、本明細書においては互換的に使用し得る。更に、用語“サイズ”、“サイズ剤”、“サイズ組成物”及び“サイズ剤配合物”も、本明細書においては互換的に使用し得る。更に、用語“フィルム形成剤(film former)”及び“フィルム形成剤(film forming agent)”も互換的に使用し得る。また、用語“組成物”及び“配合物”も本明細書において互換的に使用し得る。更に、用語“補強用繊維”及び“補強繊維”も互換的に使用し得る。
図面においては、線、層及び領域の濃さを、明確化のために強調し得る。図面全体に亘って見出される同様な番号は、同様な要素を示すことに留意すべきである。要素を他の要素“上”に存在すると説明する場合、その要素は、他の要素上に又は他の要素に対して直接存在し得るか、或いは介入要素が存在し得る。
【0022】
本発明は、ポリマーマトリックス中の繊維分散を改良し、且つ機械的性質のような改良された複合体性能特性を、低剪断成形条件下においてポリマー強化複合物品に与えるコーティング組成物に関する。スクリュー速度、圧力及び温度のようなパラメーターを調整して所望の剪断力を達成する。更に、樹脂のタイプ、融点、粘度、ガラス繊維濃度及び配合用添加剤も、如何にして特定の又は所望の剪断力を達成するかに影響し得る。長繊維熱可塑性樹脂成形法における剪断力は、一般に、少なくとも1つには長繊維熱可塑性樹脂において使用する装置の設計、モールドパラメーター設定及び高メルト・フロー・インデックス(MFI)ポリプロピレンマトリックス樹脂(低めの溶融粘度を有する)の使用故に、短繊維複合体製造法における剪断力と比較してはるかに低いことに留意されたい。また、マトリックス樹脂内での改良されたガラス繊維分散性故に、本発明のコーティング組成物は、複合物品に対して改良された性能一貫性も付与する。上記コーティング組成物は、湿潤剤、分散剤、乳化剤、界面活性剤、相溶化剤、接着促進剤及び溶融粘度低下剤として広範囲に作用する化学化合物又は化合物の混合物を含む。上記化学化合物は、繊維をポリマーマトリックス中で急速に湿潤させ、分散させるのに、更に、ポリプロピレンマトリックス樹脂のようなポリオレフィンの粘度を低下させるのに有効であることが好ましい。理論によって拘束することは望まないけれども、上記コーティング組成物中の化学化合物(1種以上)は、補強用繊維のポリマーマトリックス内での湿潤及び分散を促進するものと信じている。
【0023】
上記コーティング組成物は、上記ストランドを熱可塑性樹脂で含浸し、オーバーコーティングし又はワイヤーコーティングする前の補強用繊維ストランドに適用し得る。上記補強用繊維ストランドは、水性又は非水性サイズ剤組成物を前以って適用し得る。ある典型的な実施態様においては、上記コーティング組成物は、上記サイズ剤組成物と少なくとも1部混合し得る。上記補強用繊維ストランドは、とりわけ通常の水性サイズ剤を使用した場合、通常のオーブン及び/又は高周波(RF)乾燥装置を使用して、部分的に又は完全に乾燥させて水分を除去し得る。また、上記補強用繊維ストランドは、冷却せしめて適用した溶融非水性組成物の固化付着物を得るようにすることもできる。
1つの典型的な実施態様においては、上記コーティング組成物は、非水性サイズ剤組成物の成分として含ませた場合に補強繊維上に適用し得、更に、非水性サイズ剤が溶融状態にある場合に補強用繊維に適用し得る。望ましくは、所望量の上記コーティング組成物を含有する溶融非水性サイズ剤組成物を、補強繊維形成中に適用する。上記溶融サイズ剤組成物は、補強繊維上で冷却時に固化する。結果として、さらなる乾燥を必要としない。サイズ処理/コーティング処理繊維は、補強用繊維ストランドとして集結させ得、これらのストランドは、高速ワイヤーコーティング過程のようなペレット化過程に備える最終製品パッケージとして、繊維製造中のインラインで巻取り得る。
【0024】
さらなる実施態様においては、本発明のコーティング組成物は、通常のサイズ剤組成物(例えば、潤滑剤、カップリング剤及びフィルム形成性バインダー樹脂を含有する組成物)中に1部取込ませて、好ましくは繊維形成中の補強繊維に適用し得る。とりわけ、所望量の本発明コーティング組成物を、補強繊維に適用する水性サイズ剤組成物の1部として含ませる。得られたサイズ処理ガラス繊維は、通常のオーブン又は高周波乾燥装置を使用して乾燥させ得る。上記コーティング組成物の第2の所望部分は、集結させ補強用繊維ストランドとして形成させたサイズ処理補強用繊維に適用し得る(例えば、インラインで)。上記補強用繊維ストランドは、これら繊維ストランドを熱可塑性樹脂でワイヤーコーティングする前に、乾燥させ得る。別の実施態様においては、乾燥させたサイズ処理繊維をパッケージとして巻取り、後での使用のために貯蔵する。貯蔵したサイズ処理繊維は、巻き戻し、その後、上記コーティング組成物の第2の所望部分を適用することによって更に加工し、コーティング処理ストランドを乾燥又は固化させ、そして、サイズ処理/コーティング処理ストランドを熱可塑性ポリマーでワイヤーコーティングし得る。
もう1つの典型的な実施態様においては、上記コーティング組成物又は上記コーティング組成物の成分を、少なくとも1部添加して、補強ストランド上にオーバーコーティング又はワイヤーコーティングすることのできる熱可塑性ポリマー配合用調製物の1部を調製し得る。好ましくは、上記ペレット化過程は、ワイヤーコーティング過程である。
【0025】
典型的には、上記コーティング組成物は、ストランド、スレッド又はロービングのような連続補強用繊維を処理するのに使用する。例えば、補強用繊維材料は、加熱したブッシングからの溶融ガラスを延伸して実質的に連続するガラス繊維を形成させることによるような通常の方法により形成したガラスの1本以上のストランドであり得る。これらの繊維は、その後、ガラスストランドとして収集し得る。任意のタイプのガラス、例えば、Aタイプガラス、Cタイプガラス、Eタイプガラス、Sタイプガラス、ECRタイプガラス繊維、無ホウ素繊維(例えば、Owens Corning社から商業的に入手可能なAdvantexRガラス繊維)、高強度ガラス又はこれらの変性物を使用し得る。好ましくは、補強用繊維材料は、Eタイプガラス又はAdvantexRガラスである。
また、補強用繊維材料は、限定するものではないが、ポリエステル、ポリアミド、アラミド、ポリアラミド、ポリプロピレン、ポリエチレン及びこれらの混合物のような1種以上の合成ポリマーのストランドであり得る。ポリマーストランドは、補強用繊維材料として単独で使用してもよく、或いは、上述したストランドのようなガラスストランドと組合せて使用してもよい。さらなる代替物としては、炭素繊維又は他の天然繊維を補強用繊維材料として使用し得る。本発明と関連して使用するときの用語“天然繊維”は、限定するものではないが、幹、種子、葉、根又は師部のような植物の任意の部分から抽出した植物繊維を称する。補強用繊維材料として使用するのに適する天然繊維の例としては、綿、ジュート、竹、ラミー、バガス、麻、コイア、リネン、ケナフ、サイザル麻、亜麻、ヘネッケン、及びこれらの組合せがある。
【0026】
補強用繊維材料としては、約6ミクロン〜約32ミクロンの直径を有する繊維があり得る。ある種の実施態様においては、繊維は、32ミクロンよりも大きい直径を有し得る。好ましくは、繊維は、約9ミクロン〜約28ミクロンの直径を有する。最も好ましくは、繊維は、約14ミクロン〜約24ミクロンの直径を有する。各々の補強用繊維ストランドは、約500本の繊維から約8,000本の繊維又はそれ以上を含み得る。
補強用繊維を形成させた後で、ストランドとして集結させる前に、サイズ剤組成物を、適用ロールによる又はサイズ剤組成物を繊維上に直接スプレーすることによるような通常の方法によって適用し得る。サイズ剤組成物は、補強繊維をその後の加工中の破壊から保護し、フィラメント間の摩耗を抑制するのを助け、更に、補強用繊維のストランド一体性、例えば、ストランドを形成する補強用フィラメントの相互連結を確保する。補強用繊維に適用するサイズ剤組成物は、1種以上のフィルム形成剤(例えば、ポリウレタンフィルム形成剤、ポリエステルフィルム形成剤、ポリオレフィンフィルム形成剤、変性官能化ポリオレフィン、エポキシ樹脂フィルム形成剤、又は他の熱可塑性もしくはワックス状物質)、少なくとも1種の潤滑剤、及び少なくとも1種のシランカップリング剤(例えば、アミノシラン又はメタクリルオキシシランカップリング剤)を含み得る。必要に応じて、酢酸、ホウ酸、メタホウ酸、コハク酸、クエン酸、ギ酸、リン酸及び/又はポリアクリル酸のような弱酸を上記サイズ剤組成物に添加して、例えば、上記シランカップリング剤の加水分解を助長し得るようにする。
【0027】
本発明のコーティング組成物を水性サイズ剤の1部として含ませる実施態様においては、そのサイズ剤組成物は、形成中の補強用繊維に、乾燥繊維上で約0.05%〜約2.0%又はそれ以上の強熱減量(LOI)でもって適用し得る。本出願と関連して使用するとき、LOIは、補強繊維表面上に付着させた有機固形物の百分率として定義し得る。本発明のコーティング組成物が部分的に又は実質的に非水性サイズ剤の1部である実施態様においては、その非水性サイズ剤は、形成中のガラス繊維に、約0.05%〜約15%のLOIでもって適用し得る。ある種の実施態様においては、上記非水性サイズ剤は、15%よりも高いLOIでもって適用し得る。好ましいLOIは、最低のコストにおいて、所望の取扱性、加工性、複合体特性及び繊維分散性を与えるLOIである。この量は、当業者であれば、個々の場合の基準により決定し得ることである。
【0028】
フィルム形成剤は、取扱性、ガラス繊維の加工性を改良し、且つガラス繊維間に改良された接着を生じさせて改良されたストランド一体性をもたらす薬剤である。本発明において使用する適切なフィルム形成剤としては、ポリウレタンフィルム形成剤、エポキシ樹脂フィルム形成剤、ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、官能化ポリオレフィン、及び飽和又は不飽和のポリエステル樹脂フィルム形成剤がある。フィルム形成剤の水性の分散液、エマルジョン及び溶液の特定の例としては、限定するものではないが、Neoxil 6158 (DSM社から入手可能)のようなポリウレタン分散液;Neoxil 2106 (DSM社から入手可能)、Neoxil 9540 (DSM社から入手可能)及びNeoxil PS 4759 (DSM社から入手可能)のようなポリエステル分散液;PE-412 (AOC社から入手可能)、NX 9620 (DSM社から入手可能)、Neoxil 0151 (DSM社から入手可能)、Neoxil 2762 (DSM社)、NX 1143 (DSM社から入手可能)、AD 502 (AOC社から入手可能)、Epi Rez 5520 (Hexion社から入手可能)、Epi Rez 3952 (Hexion社から入手可能)、Witcobond W-290 H (Chemtura社から入手可能)及びWitcobond W-296 (Chemtura社から入手可能)のようなエポキシ樹脂分散液;ME91735、ME 11340、MP4990 (Michelman社から入手可能)のようなポリオレフィン及び変性ポリオレフィン水性分散液;及び、“Aqueous Emulsification of High Molecular Weight Functionalized Polyolefins”と題するSanjay Kashikarに付与された米国特許第6,818,698号に記載されている高分子量マレイン酸化ポリプロピレンをベースとする変性ポリオレフィン水性分散液がある;上記米国特許の内容は、その全体を参考として本明細書に合体させる。そのような高分子量官能化ポリオレフィンの分子量は、10,000〜120,000又はそれ以上の範囲であり得る。フィルム形成剤(1種以上)は、水性サイズ剤組成物の場合、サイズ剤組成物中に、サイズ剤の活性固形分の0〜約95質量%、好ましくは活性固形分の約20〜約80質量%で存在する。
【0029】
非水性フィルム形成剤の特定の例としては、限定するものではないが、熱可塑性樹脂、酸化熱可塑性樹脂、官能化熱可塑性樹脂、変性熱可塑性樹脂、並びに、Vybar260、Vybar825 (Baker Petrolite社から入手可能)及びPolyboost130 (S&S Chemicals社から入手可能)のようなワックス状物質がある。非水性サイズ剤組成物においては、フィルム形成剤(1種以上)は、サイズ剤組成物中に、活性固形分の0〜約99質量%、好ましくは活性固形分の約20〜約98質量%で存在する。
【0030】
また、サイズ剤組成物は、部分的に又は完全に加水分解した状態又は加水分解していない状態の1種以上のシランカップリング剤も含む。また、シランカップリング剤は、その使用前、使用中又は使用後において、モノマー、オリゴマー又はポリマー形であり得る。フィルム形成剤(1種以上)及び/又はマトリックス樹脂を補強繊維の表面にカップリングさせるその役割以外に、シラン類は、フィルム形成性コポリマー成分の補強繊維への接着性を増進させ、更に、その後の加工中に、毛羽又は破壊繊維フィラメントの量を減少させるようにも機能する。本発明のサイズ剤組成物において使用し得るシランカップリング剤の非限定的な例は、官能基のアミノ、エポキシ、ビニル、メタクリルオキシ、ウレイド、イソシアネート、及びアザミドに特徴を有し得る。好ましい実施態様においては、上記シランカップリング剤としては、アミン(第一級、第二級、第三級及び第四級)、アミノ、イミノ、アミド、イミド、ウレイド、イソシアネート又はアザミドのような1個以上の官能基を有する1個以上の窒素原子を含有するシラン類がある。シランカップリング剤(1種以上)は、サイズ剤組成物中に、サイズ剤組成物の活性固形分の約0.5〜約30質量%の量、好ましくは活性固形分の約2.0〜約20質量%の量で存在する。
【0031】
適切なシランカップリング剤としては、限定するものではないが、アミノシラン、シランエステル、ビニルシラン、メタクリルオキシシラン、エポキシシラン、イオウシラン、ウレイドシラン、及びイソシアネートシランがある。本発明において使用するシランカップリング剤の特定の非限定的な例としては、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(A-1100)、n-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(Y-9669)、n-トリメトキシ-シリル-プロピル-エチレン-ジアミン(A-1120)、メチル-トリクロロシラン(A-154)、γ-クロロプロピル-トリメトキシ-シラン(A-143)、ビニル-トリアセトキシシラン(A-188)、メチルトリメトキシシラン(A-1630)、γ-ウレイドプロピルトリメトキシシラン(A-1524)がある。適切なシランカップリング剤の他の例は、下記の表1に示している。上記及び表1に示すシランカップリング剤は、全て、GE Silicones社から商業的に入手可能である。
【0032】
表1

【0033】
更に、サイズ剤組成物は、繊維の製造並びに複合体の加工及び製造を容易にする少なくとも1種の潤滑剤を含み得る。潤滑剤は、サイズ剤組成物中に、サイズ剤組成物の活性固形分の約0〜20質量%の量で存在し得る。好ましくは、潤滑剤は、活性固形分の約2.0〜約15質量%の量で存在する。任意の適切な潤滑剤を使用し得るが、サイズ剤組成物において使用する潤滑剤の例としては、限定するものではないが、水溶性エチレングリコールステアレート(例えば、ポリエチレングリコールモノステアレート、ブトキシエチルステアレート、ポリエチレングリコールモノオレアート、及びブトキシエチルステアレート)、エチレングリコールオレアート、エトキシ化脂肪族アミン、グリセリン、乳化鉱油、オルガノポリシロキサンエマルジョン、カルボキシル化ワックス、官能性又は非官能性化学基を有する線状又は(超)枝分れワックス又はポリオレフィン、官能化又は変性ワックス及びポリオレフィン、ナノクレー、ナノ粒子及びナノ分子がある。サイズ剤組成物において使用するのに適する潤滑剤の特定の例としては、商品名Lubesize K-12として販売されているステアリン酸エタノールアミン (AOC社から入手可能);PEG 400 MO、即ち、400個のエチレンオキシド基を有するモノオレイン酸エステル(Cognis社から入手可能);Emery 6760 L、即ち、ポリエチレンイミンポリアミド塩(Cognis社から入手可能);Lutensol ON60 (BASF社から入手可能);Radiacid (Finaから入手し得るステアリン酸);並びに、Astor HP 3040及びAstor HP 8114 (IGI International Waxes社から入手し得る微結晶性ワックス)がある。
【0034】
少なくとも1つの典型的な実施態様においては、上記繊維をサイズ剤組成物でサイズ処理し、補強用繊維ストランドとして集結させ、ワイヤーコーティングする前にインラインにて上記コーティング組成物でコーティングし得る。また、上記コーティング組成物を上記サイズ剤組成物の成分として含ませて、繊維形成中の補強繊維に適用し得る。上記コーティング組成物は、複合物品の形成中に、補強繊維をマトリックス樹脂中に分散させるのを助けるのに使用する。上記コーティング組成物は、非水性組成物として適用してもよく、或いは適切な水性形に転換して適用してもよい。上記コーティング組成物は、繊維形成過程中又はペレット化前のワイヤーコーティング過程の全体に亘って、所望の適用位置において使用し得る。上記コーティング組成物は、好ましくは、使用温度において低粘度を有し、非反応性溶媒を実質的に含まない。本明細書において使用するとき、非反応性溶媒とは、上記コーティング組成物から熱エネルギーの存在下に蒸発する溶媒(例えば、水)である。
【0035】
上記コーティング組成物中の化学化合物(1種以上)は、本来的に、イオン性、非イオン性又は両性であり得る。上記化学化合物は、変動数の脂肪鎖中の炭素及び変動数のエチレンオキシドモノマー単位を有するエトキシ化脂肪酸及び/又はエトキシ化脂肪族アルコールであることが望ましい。そのような化学物の典型的な例はとしては、Brij 78、Brij 76及びBrij 700 (いずれもUniquema社から入手可能)、並びにPEG1500MS及びPEG400MS (Lonzaから入手可能)である。また、上記化学化合物は、エトキシ化ポリエチレン;エトキシ化ポリプロピレン;ポリエチレンオキシド(PEO);エチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマー;C18-ポリエチレンオキシド;C16-ポリエチレンオキシド;C4〜C40-ポリエチレンオキシド;約C6〜C40で変動する炭素数及び約2〜約500個で変動するエチレンオキシドモノマー単位を有するエトキシ化脂肪族連鎖物;枝分れポリエチレン(例えば、Vybar化合物(Baker Petrolite社から入手可能)、Polyboost化合物(S&S Chemicals社から入手可能));ポリエチレン枝分れワックス;官能化もしくは非官能化線状マイクロワックス、又は枝分れ官能化もしくは非官能化マイクロワックス;官能化した又は官能化していない線状、枝分れ、(過)枝分れ又はデントリマーポリオレフィン;変性又は官能化ポリオレフィン(例えば、マレイン酸化ポリオレフィン);酸化又は部分酸化ポリオレフィン及びワックス;カルボキシル化ポリオレフィン又はワックス;オレフィン類とアクリル酸又はメタクリル酸とのコポリマー又はグラフトコポリマー;ポリオレフィン類のコポリマー;接着促進剤;相溶化剤;及びカップリング剤であり得る。上記コーティング組成物は、補強用繊維に、約0.2〜約15%、好ましくは約4.0〜約12%、より好ましくは約5.0〜約10%の強熱減量(LOI)でもって適用し得る。上記コーティング組成物は、補強用繊維に、キスロール、浸漬・延伸、及びスライド又はスプレー適用法のような任意の通常の方法によって適用して、所望量の上記コーティング組成物を繊維上に得ることができる。
【0036】
更に、上記コーティング組成物は、必要に応じて、上記コーティング組成物及び/又は最終複合製品に所望の性質又は特徴を付与する添加剤も含有し得る。添加剤の包括的な例としては、pH調整剤、UV安定剤、酸化防止剤、酸又は塩基捕捉剤、金属不活化剤、加工助剤、オイル類、潤滑剤、発泡防止剤、帯電防止剤、増粘剤、接着促進剤、相溶化剤、カップリング剤、安定剤、難燃剤、衝撃改良剤、顔料、染料、着色剤、臭気剤、マスキング液、及び/又は香料がある。添加剤は、上記コーティング組成物中に、痕跡量(例えば、コーティング組成物の約0.02質量%未満)から約95質量%まで存在し得る。従って、少なくとも1つの典型的な実施態様においては、添加剤は、上記コーティング組成物の成分であり、補強繊維に上記化学化合物と同時に適用する。別の実施態様においては、所望の各添加剤を、上記化学化合物とは別個に、所望の最終コーティング組成物(即ち、上記化学化合物と所望添加剤の全て)が得られるまでインライン又はオフラインの複数の工程で添加する。更に別の実施態様においては、所望の各添加剤又は上記コーティング組成物の各成分を、少なくとも1部、補強繊維を熱可塑性樹脂で典型的にはワイヤーコーティング法によりオーバーコーティングするのに使用する熱可塑性ポリマー配合用調製物に添加する(即ち、上記化学化合物(1種以上)とは別々に)。
【0037】
図2は、複合物品を製造するのに適する複数の補強繊維を化学処理するための1つの典型的な実施態様を示している。ペレット化処理により製造された配合ペレットを成形した後、形成された複合物品は、高分子材料のマトリックス中に分散した複数の補強繊維を含む。補強繊維は、上記で詳述しているような通常のサイズ剤組成物でコーティングされた連続製造のガラス繊維であるのが好ましい。また、補強繊維は、通常のサイズ剤組成物でコーティングされた前以って形成された繊維であり得る。用語“前以って形成された”とは、補強繊維がサイズ剤組成物によってオフラインで前以ってコーティングされていることを示すことを意味する。
【0038】
図2に示す実施態様においては、通常のサイズ剤組成物でサイズ処理した個々の補強繊維から形成された補強繊維ストランド22を、上記コーティング組成物21及び任意の所望添加剤23で実質的に均一にコーティングしてコーティング処理補強繊維ストランド25を形成させている。本明細書において使用するとき、“実質的に均一にコーティングする”とは、補強繊維ストランド22を本発明のコーティング組成物21で完全にコーティングする又はほぼ完全にコーティングすることを示すことを意味する。アプリケーター(図示せず)を使用して、コーティング組成物21を補強繊維ストランド22に適用する。アプリケーターは、所望量のコーティング組成物21を、所望のペレット化生産速度で、補強繊維ストランド22に適用するのに適する任意の通常の又は任意の他の構造体であり得る。アプリケーターにより、所望の又は適切な量のコーティング組成物21の補強繊維22への適切な給送を確保する。コーティング組成物21の正確な給送は、アプリケーター上又はアプリケーター中に引張られた補強用繊維の表面上に均一な又は実質的に均一なコーティングを生じる。添加剤23を含む又は含まないコーティング組成物21を、サイズ処理補強繊維22に適用して、繊維上で約0.2〜約15質量%、好ましくは繊維上で約4〜約12質量%、更に好ましくは繊維上で約5〜約10質量%の量を得ることができる。
【0039】
その後、コーティング処理補強繊維ストランド25をワイヤーコーティング装置24内に引張るか又は通す。ワイヤーコーター24により、熱可塑性ポリマー26をサイズ処理補強繊維ストランド25の周りに実質的に均一にコーティングして、サイズ処理/コーティング処理繊維ストランド28を形成させる。ワイヤーコーター24は、1本以上の繊維ストランドを高分子材料26でコーティングして繊維ストランド上に比較的均一な厚さのシースを形成することのできる装置又は装置群である。ワイヤーコーター24は、シースを所望の均一な厚さ又は断面に形作るダイ又は他の適切な装置を含むことが望ましい。湿潤剤、分散剤、乳化剤、界面活性剤、相溶化剤、接着促進剤、溶融粘度低下剤、pH調整剤、UV安定剤、酸化防止剤、酸又は塩基捕捉剤、金属不活化剤、加工助剤、オイル類、潤滑剤、発泡防止剤、帯電防止剤、増粘剤、接着促進剤、カップリング剤、安定剤、難燃剤、衝撃改良剤、顔料、染料、着色剤、臭気剤、マスキング液、及び/又は香料のようなさらなるコーティング成分(図2には示していない)は、少なくとも1部は、高分子材料26と一緒に添加し得る。
【0040】
適切な熱可塑性ポリマー26の例としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン酢酸ビニル/塩化ビニル(EVA/VC)、低級アルキルアクリレートポリマー、アクリロニトリルポリマー、部分加水分解ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレンアクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリスルフィド、ポリカーボネート、レーヨン、ナイロン、フェノール樹脂及びエポキシ樹脂がある。ポリマー26をサイズ処理/コーティング処理補強繊維25に適用して、ガラス強化配合ペレットの総質量基準で約5.0〜約95質量%、好ましくは約15.0〜約90質量%、最も好ましくは約20.0〜約85質量%の量を得ることができる。
【0041】
熱可塑性ポリマー26及び任意の所望の又は適用可能な添加剤23をサイズ処理/コーティング処理補強繊維25に適用した後、繊維28を冷却装置30(例えば、水浴)により冷却して、熱可塑性ポリマー26を補強繊維28上へ固化する。また(又は別法として)、サイズ処理/コーティング処理補強繊維28は、空冷及び/又は風乾させてもよい。少なくとも1つの典型的な実施態様においては、サイズ処理/コーティング処理補強繊維25を前以って乾燥させるか、或いは、熱可塑性ポリマー26を、ワイヤーコーティング装置24に入れる前に、対流炉内又は高周波(RF)装置(図示せず)内で固化する。繊維25及び/又は繊維28は、任意の方法によって状態調節(加熱又は冷却)して、改良された細断性、ペレット品質及び/又は改良された複合体特性を得ることができる。コーティング処理/サイズ処理補強繊維28は、セグメントに細断し、ペレット化装置32を使用してペレット20に形成し得る。チョップトストランドセグメントは、約3mm〜約50mmの長さを有し得る。好ましくは、上記セグメントは、約6mm〜約25mmの長さを有する。ガラス繊維ストランド又はワイヤーコーティング処理繊維ストランドをセグメントに細断するに当っては、当業者にとって既知の任意の方法又は装置を使用し得る。
【0042】
ペレット20は、篩又は他の適切な装置を使用して、粒度により分級し得る。ペレット20は、成形装置に供給し、低剪断成形条件下においてさえも複合物品全体に亘って実質的に均質なガラス繊維ストランド分散性を有する成形複合物品として形成し得る。本明細書において使用するとき、用語“実質的に均質な繊維分布”とは、繊維を最終複合物品全体に亘って均一もしくは一様に分布させる又はほぼ均一もしくは一様に分布させることを示すことを意味する。複合体製品の製造方法は、インライン、即ち、連続方式において、或いは、個々の各工程において実施し得る。
【0043】
別の実施態様においては、上記コーティング組成物は、補強繊維形成後のブッシング下の補強繊維に適用する。上記コーティング組成物のそのような適用の例は、図3に示している。この実施態様においては、補強繊維40(例えば、ガラス繊維)を、ブッシング42から、引張り装置(図示せず)の助けによって延伸する。この実施態様においては、本発明のコーティング組成物を、補強繊維にこれら繊維が形成されるときに適用する非水性サイズ剤組成物の成分として含ませる。典型的には、非水性サイズ剤組成物は、シランカップリング剤、フィルム形成剤、潤滑剤、並びに繊維製造中及び補強繊維の複合物品への後加工中に必要な他の特定の添加剤のような成分を含み得る。該非水性サイズ剤組成物は、その使用中及び補強用繊維又は補強用繊維ストランド上への適用中に、各成分の実質的に水性でない本質又は状態に特徴を有し得る。上記コーティング組成物は、水性サイズ剤組成物の成分として含ませ、同様な方法で適用し得ることに留意すべきである。
【0044】
図3に示すように、本発明のコーティング組成物を含有する非水性サイズ剤組成物21は、ブッシング42から延伸された後の補強繊維40に、図3に示しているロールアプリケーターのような任意の通常のアプリケーター46によって適用し得る。溶融している非水性サイズ剤組成物は、冷却時に、補強繊維40上に固化する。従って、補強繊維のさらなる乾燥は必要ではない。コーティング処理補強繊維49は、ギャザリングメカニズム48によって集結させてコーティング処理補強繊維ストランド50を形成させ得る。その後、コーティング処理ストランド50は、連続繊維ストランドパッケージとして巻き取るか或いは所望の長さに細断し得る(図示せず)。ガラス繊維ストランドをセグメントに細断するための当業者にとって既知の任意の適切な方法及び装置を使用し得る。引続き、コーティング処理繊維(連続又は細断した)は、ペレット化装置を使用してペレットにペレット化し、低剪断条件下に成形して強化複合物品とし得る(図3には示していない)。
【0045】
上記コーティング処理ストランドは、長繊維強化熱可塑性樹脂(D-LFT)装置に直接供給して、複合部品全体に亘って繊維の良好な分散を有する長繊維熱可塑性樹脂複合物品を製造し得る。長繊維熱可塑性樹脂加工法、とりわけ、ワイヤーコーティングペレット化法は、加工性及び経済性双方の見地から有利である。これらの有利な特性は、主として、短繊維ペレット化法と比較しての、ペレット内での長い繊維保持、加工及び製造中のストランド損傷の低減、並びに高ライン速度に基づく。複合製品の上記製造方法は、インラインで又は個々の各工程において実施し得る。サイジング/コーティング組成物21は、補強繊維40に、少なくとも約2.0%、好ましくは少なくとも約4.0%、最も好ましくは少なくとも約6.0%の強熱減量でもって適用するのが望ましい。
本発明のコーティング組成物でコーティングされた繊維から形成した複合物品は、低剪断条件下で成形したときでさえ、改良された機械的性質(例えば、引張強度及び衝撃強度)及び優れた繊維分散性を示している。本発明のコーティング配合物もう1つの利点は、該コーティング組成物が、補強繊維を最終複合物品中で実質的に均一に分散するのを助長することである。補強繊維のそのような改良された分散は、複合物品において目に見える欠陥をより僅かしか生じさせない。上記コーティング組成物のさらなる利点は、改良された繊維分散により、複合部品品質及び性能の一貫性が増進されることである。
【0046】
本発明を一般的に説明してきたが、さらなる理解は、単なる例示目的で提示し、特に断らない限り、全く包括的又は限定するものではない以下で説明するある種の特定の実施例を参照すれば得ることができるであろう。
実施例
以下の実施例においては、ホモポリプロピレン(MFI = 40)を、ワイヤーコーティング法において使用した。ホモポリプロピレンは、標準のマレイン酸カップリング剤 (Exxelor 1020)及び安定剤パッケージと前以って混合して配合用調製物を調製した。この配合用調製物を、以下の各実施例において使用した。更に、各実施例において、ガラス含有量は、最終ガラス繊維強化配合ペレットの30質量%に維持した。ペレットの成形は、長繊維熱可塑性樹脂(LFT)低剪断成形条件で操作するBattenfeld成形機において実施した。成形複合プレート中の繊維分散の質は、分散していない繊維バンドルを手作業で計数することによる目視検査に基づき評価した;上記バンドルは、プレート表面上、写真及びX線写真において白斑として現れている。
【実施例1】
【0047】
水性の通常のサイズ剤組成物(即ち、フィルム形成剤、カップリング剤及び潤滑剤を含む)を予め適用し、通常のオーブン内で乾燥させた連続ガラス繊維を、ワイヤーコーティング法における投入繊維材料として使用した。投入繊維材料を、図1に示すワイヤーコーティング法を使用してワイヤーコーティングした。その後、ワイヤーコーティングしたストランドを冷却浴に通し、約12mmの長さ及び30質量%のガラス含有を有するペレットに細断した。次いで、ペレットを、長繊維熱可塑性樹脂(LFT)成形プレートを製造するのに使用する成形機を使用して成形して成形プレートとした。図4に示すように、成形プレートは、無数の分散していない繊維バンドル(プレート上で白斑として示している)をプレートの表面全体に亘って含んでいた。成形プレートのX線写真を作成した(図5)。X線は、明白に、プレート全体に亘る分散していない繊維バンドルを白斑として示している。この実施例においては本発明のコーティング組成物を使用していないことを認識すべきである。
【実施例2】
【0048】
水性の通常のサイズ剤組成物(即ち、フィルム形成剤、カップリング剤及び潤滑剤を含む)を予め適用し、高周波乾燥装置内で乾燥させた連続ガラス繊維を、ワイヤーコーティング法における投入繊維材料として使用した。エトキシ化脂肪族アルコール(n = 20のエチレンオキシドモノマーによるエトキシ化及びC18脂肪族アルコール)から調製したコーティング組成物を、図2に示すようにして、10質量%の量にてインラインで適用し、その後、コーティングしたガラス繊維ストランドをワイヤーコーティング装置に通した。その後、ワイヤーコーティング処理ストランドを冷却浴に通し、約12mmの長さを有するペレットに細断した。次いで、ペレットを、長繊維熱可塑性樹脂(LFT)成形プレートを製造するのに使用する成形機を使用して成形して成形プレートとした。成形プレートの写真を図6に示している。図6においては、本発明のコーティング組成物でコーティングした繊維ストランドを使用して形成された成形プレートは、図4及び5に示す比較例(即ち、コーティング組成物の無い)よりも少ない未分散ガラス繊維バンドルを有していることが理解できる。この未分散繊維バンドルの減少は、図6の成形プレートから作成したX線写真において更に示している(図7参照)。従って、本発明に従うコーティング組成物の使用は、最終複合部品において未分散繊維バンドル数を大いに減少させているものと結論付けし得る。
図4の成形プレート(コーティング組成物無し)及び図6の成形プレート(ガラス繊維ストランドに適用させたコーティング組成物)からの試験サンプルを得、引張強度について試験した。図4の成形プレートからの試験サンプルにおいて測定した引張強度は、111MPaであると判定し、図6の成形プレートからのサンプルからの引張強度は、123MPaであると判定した。従って、本発明のコーティング組成物を含有するRF乾燥ガラス繊維ストランドは、成形部品における引張強度の改良を実証していた。
【実施例3】
【0049】
水性の通常のサイズ剤組成物(即ち、フィルム形成剤、カップリング剤及び潤滑剤を含む)を予め適用し、高周波乾燥装置内で乾燥させた連続ガラス繊維を、ワイヤーコーティング法における投入繊維材料として使用した。エトキシ化脂肪族アルコール(n = 20のエチレンオキシドモノマーによるエトキシ化及びC18脂肪族アルコール)から調製したコーティング組成物を、図2に示すようにして、8.0質量%の量にてインラインで適用し、その後、コーティングしたガラス繊維ストランドをワイヤーコーティング装置に通した。その後、ワイヤーコーティング処理ストランドを冷却浴に通し、約12mmの長さを有するペレットに細断した。次いで、ペレットを、長繊維熱可塑性樹脂(LFT)成形プレートを製造するのに使用する成形機を使用して成形して成形プレートとした。成形プレートの写真を図8に示している。図8においては、本発明のコーティング組成物でコーティングした繊維ストランドを使用して形成された成形プレートは、図4及び5に示す比較例(即ち、コーティング組成物の無い)よりも著しく少ない未分散ガラス繊維バンドルを有していることが理解できる。従って、ガラス繊維の分散における有意の改良が、本発明のコーティング組成物でコーティングしたガラス繊維ストランドによって実証されている。
【実施例4】
【0050】
水性の通常のサイズ剤組成物(即ち、フィルム形成剤、カップリング剤及び潤滑剤を含む)を予め適用し、高周波乾燥装置内で乾燥させた連続ガラス繊維を、ワイヤーコーティング法における投入繊維材料として使用した。エトキシ化脂肪族アルコール(n = 20のエチレンオキシドモノマーによるエトキシ化及びC18脂肪族アルコール)から調製したコーティング組成物を、図2に示すようにして、6.0質量%の量にてインラインで適用し、その後、コーティングしたガラス繊維ストランドをワイヤーコーティング装置に通した。その後、ワイヤーコーティング処理ストランドを冷却浴に通し、約12mmの長さを有するペレットに細断した。次いで、ペレットを、長繊維熱可塑性樹脂(LFT)成形プレートを製造するのに使用する成形機を使用して成形して成形プレートとした。成形プレートの写真を図9に示している。図9においては、本発明のコーティング組成物でコーティングした繊維ストランドを使用して形成された成形プレートは、図4及び5に示す比較例(即ち、コーティング組成物の無い)よりも著しく少ない未分散ガラス繊維バンドルを有していることが理解できる。従って、ガラス繊維の分散における有意の改良が、本発明のコーティング組成物でコーティングしたガラス繊維ストランドによって実証されている。
【実施例5】
【0051】
水性の通常のサイズ剤組成物(即ち、フィルム形成剤、カップリング剤及び潤滑剤を含む)を予め適用し、高周波乾燥装置内で乾燥させた連続ガラス繊維を、ワイヤーコーティング法における投入繊維材料として使用した。エトキシ化脂肪族アルコール(n = 20のエチレンオキシドモノマーによるエトキシ化及びC18脂肪族アルコール)から調製したコーティング組成物を、図2に示すようにして、4.0質量%の量にてインラインで適用し、その後、コーティングしたガラス繊維ストランドをワイヤーコーティング装置に通した。その後、ワイヤーコーティング処理ストランドを冷却浴に通し、約12mmの長さを有するペレットに細断した。次いで、ペレットを、長繊維熱可塑性樹脂(LFT)成形プレートを製造するのに使用する成形機を使用して成形して成形プレートとした。成形プレートの写真を図10に示している。図10においては、本発明のコーティング組成物でコーティングした繊維ストランドを使用して形成された成形プレートは、図4及び5に示す比較例(即ち、コーティング組成物の無い)よりも著しく少ない未分散ガラス繊維バンドルを有していることが理解できる。従って、ガラス繊維の分散における有意の改良が、低めの濃度においてさえも、本発明のコーティング組成物でコーティングしたガラス繊維ストランドによって実証されている。
【実施例6】
【0052】
水性の通常のサイズ剤組成物(即ち、フィルム形成剤、カップリング剤及び潤滑剤を含む)を予め適用し、高周波乾燥装置内で乾燥させた連続ガラス繊維を、ワイヤーコーティング法における投入繊維材料として使用した。エトキシ化脂肪酸(PEG1500MS)から調製したコーティング組成物を、図2に示すようにして、10質量%の量にてインラインで適用し、その後、コーティングしたガラス繊維ストランドをワイヤーコーティング装置に通した。その後、ワイヤーコーティング処理ストランドを冷却浴に通し、約12mmの長さを有するペレットに細断した。次いで、ペレットを、長繊維熱可塑性樹脂(LFT)成形プレートを製造するのに使用する成形機を使用して成形して成形プレートとした。成形プレートの写真を図11に示している。図11においては、本発明のコーティング組成物でコーティングした繊維ストランドを使用して形成された成形プレートは、図4及び5に示す比較例(即ち、コーティング組成物の無い)よりも少ない未分散ガラス繊維バンドルを有していることが理解できる。従って、本発明に従うコーティング組成物の使用は、最終複合部品において未分散繊維バンドル数を大いに減少させているものと結論付けし得る。
【実施例7】
【0053】
水性の通常のサイズ剤組成物(即ち、フィルム形成剤、カップリング剤及び潤滑剤を含む)を予め適用し、高周波乾燥装置内で乾燥させた連続ガラス繊維を、ワイヤーコーティング法における投入繊維材料として使用した。エトキシ化脂肪酸(PEG1500MS)から調製したコーティング組成物を、図2に示すようにして、7.0質量%の量にてインラインで適用し、その後、コーティングしたガラス繊維ストランドをワイヤーコーティング装置に通した。その後、ワイヤーコーティング処理ストランドを冷却浴に通し、約12mmの長さを有するペレットに細断した。次いで、ペレットを、長繊維熱可塑性樹脂(LFT)成形プレートを製造するのに使用する成形機を使用して成形して成形プレートとした。成形プレートの写真を図12に示している。図12においては、本発明のコーティング組成物でコーティングした繊維ストランドを使用して形成された成形プレートは、図4及び5に示す比較例(即ち、コーティング組成物の無い)よりも少ない未分散ガラス繊維バンドルを有していることが理解できる。従って、本発明に従うコーティング組成物の使用は、低めの濃度においてさえも、最終複合部品において未分散繊維バンドル数を大いに減少させているものと結論付けし得る。
【実施例8】
【0054】
水性の通常のサイズ剤組成物(即ち、フィルム形成剤、カップリング剤及び潤滑剤を含む)を予め適用し、高周波乾燥装置内で乾燥させた連続ガラス繊維を、ワイヤーコーティング法における投入繊維材料として使用した。エトキシ化脂肪酸(PEG1500MS)から調製したコーティング組成物を、図2に示すようにして、5.0質量%の量にてインラインで適用し、その後、コーティングしたガラス繊維ストランドをワイヤーコーティング装置に通した。その後、ワイヤーコーティング処理ストランドを冷却浴に通し、約12mmの長さを有するペレットに細断した。次いで、ペレットを、長繊維熱可塑性樹脂(LFT)成形プレートを製造するのに使用する成形機を使用して成形して成形プレートとした。成形プレートの写真を図13に示している。図13においては、本発明のコーティング組成物でコーティングした繊維ストランドを使用して形成された成形プレートは、図4及び5に示す比較例(即ち、コーティング組成物の無い)よりも少ない未分散ガラス繊維バンドルを有していることが理解できる。従って、本発明に従うコーティング組成物の使用は、低めの濃度においてさえも、最終複合部品において未分散繊維バンドル数を減少させているものと結論付けし得る。
【実施例9】
【0055】
水性の通常のサイズ剤組成物(即ち、フィルム形成剤、カップリング剤及び潤滑剤を含む)を予め適用し、高周波乾燥装置内で乾燥させた連続ガラス繊維を、ワイヤーコーティング法における投入繊維材料として使用した。低分子量マレイン酸化ポリプロピレン(Licoene 1332)から調製したコーティング組成物を、図2に示すようにして、8.0質量%の量にてインラインで適用し、その後、コーティングしたガラス繊維ストランドをワイヤーコーティング装置に通した。その後、ワイヤーコーティング処理ストランドを冷却浴に通し、約12mmの長さを有するペレットに細断した。次いで、ペレットを、長繊維熱可塑性樹脂(LFT)成形プレートを製造するのに使用する成形機を使用して成形して成形プレートとした。成形プレートの写真を図14に示している。図14においては、本発明のコーティング組成物でコーティングした繊維ストランドを使用して形成された成形プレートは、図4及び5に示す比較例(即ち、コーティング組成物の無い)よりも少ない未分散ガラス繊維バンドルを有していることが理解できる。従って、本発明に従うコーティング組成物の使用は、最終複合部品において未分散繊維バンドル数を減少させているものと結論付けし得る。
【実施例10】
【0056】
水性の通常のサイズ剤組成物(即ち、フィルム形成剤、カップリング剤及び潤滑剤を含む)を予め適用し、高周波乾燥装置内で乾燥させた連続ガラス繊維を、ワイヤーコーティング法における投入繊維材料として使用した。2種類の微結晶質ワックスとブレンドした過枝分れポリエチレン(Vybar 260)の混合物から調製したコーティング組成物を、図2に示すようにして、10.0質量%の量にてインラインで適用し、その後、コーティングしたガラス繊維ストランドをワイヤーコーティング装置に通した。その後、ワイヤーコーティング処理ストランドを冷却浴に通し、約12mmの長さを有するペレットに細断した。次いで、ペレットを、長繊維熱可塑性樹脂(LFT)成形プレートを製造するのに使用する成形機を使用して成形して成形プレートとした。成形プレートの写真を図15に示している。図15においては、本発明のコーティング組成物でコーティングした繊維ストランドを使用して形成された成形プレートは、図4及び5に示す比較例(即ち、コーティング組成物の無い)よりも少ない未分散ガラス繊維バンドルを有していることが理解できる。従って、本発明に従うコーティング組成物の使用は、最終複合部品において未分散繊維バンドル数を減少させているものと結論付けし得る。
【実施例11】
【0057】
水性の通常のサイズ剤組成物(即ち、フィルム形成剤、カップリング剤及び潤滑剤を含む)を予め適用し、高周波乾燥装置内で乾燥させた連続ガラス繊維を、ワイヤーコーティング法における投入繊維材料として使用した。エトキシ化脂肪族アルコール(n = 9〜11のエチレンオキシドモノマーによるエトキシ化及びC6脂肪族アルコール)から調製したコーティング組成物を、図2に示すようにして、8.0質量%の量にてインラインで適用し、その後、コーティングしたガラス繊維ストランドをワイヤーコーティング装置に通した。その後、ワイヤーコーティング処理ストランドを冷却浴に通し、約12mmの長さを有するペレットに細断した。次いで、ペレットを、長繊維熱可塑性樹脂(LFT)成形プレートを製造するのに使用する成形機を使用して成形して成形プレートとした。成形プレートの写真を図16に示している。図16においては、本発明のコーティング組成物でコーティングした繊維ストランドを使用して形成された成形プレートは、図4及び5に示す比較例(即ち、コーティング組成物の無い)よりも少ない未分散ガラス繊維バンドルを有していることが理解できる。従って、本発明に従うコーティング組成物の使用は、最終複合部品において未分散繊維バンドル数を減少させているものと結論付けし得る。
【実施例12】
【0058】
水性の通常のサイズ剤組成物(即ち、フィルム形成剤、カップリング剤及び潤滑剤を含む)を予め適用し、高周波乾燥装置内で乾燥させた連続ガラス繊維を、ワイヤーコーティング法における投入繊維材料として使用した。エトキシ化脂肪族アルコール(n = 10のエチレンオキシドモノマーによるエトキシ化及びC18脂肪族アルコール)から調製したコーティング組成物を、図2に示すようにして、8.0質量%の量にてインラインで適用し、その後、コーティングしたガラス繊維ストランドをワイヤーコーティング装置に通した。その後、ワイヤーコーティング処理ストランドを冷却浴に通し、約12mmの長さを有するペレットに細断した。次いで、ペレットを、長繊維熱可塑性樹脂(LFT)成形プレートを製造するのに使用する成形機を使用して成形して成形プレートとした。成形プレートの写真を図17に示している。図17においては、本発明のコーティング組成物でコーティングした繊維ストランドを使用して形成された成形プレートは、図4及び5に示す比較例(即ち、コーティング組成物の無い)よりも少ない未分散ガラス繊維バンドルを有していることが理解できる。従って、本発明に従うコーティング組成物の使用は、最終複合部品において未分散繊維バンドル数を減少させているものと結論付けし得る。
【実施例13】
【0059】
連続ガラス繊維を、非水性サイズ剤組成物及びエトキシ化脂肪族アルコール(n = 20によるエトキシ化及びC18脂肪族アルコール)から調製したコーティング組成物で、図3に示すようなガラス繊維の製造(例えば、形成)中に含浸処理した。総組成物(即ち、上記非水性サイズ剤組成物プラス上記コーティング組成物)は、ガラス繊維に、繊維の質量基準で8.0%(図18a)、7.0%(図18b)及び6.0%(図18c)の量で適用し、上記コーティング組成物は非水性サイズ剤組成物の実質的部分を構成していた。溶融組成物(サイズ剤組成物及びコーティング組成物)をガラス繊維に適用し、冷却し繊維上に固化せしめた。ガラス繊維を連続繊維巻取りパッケージとして巻取り、次いで、このパッケージをワイヤーコーティングにおいて使用した。サイズ処理/コーティング処理繊維ストランドを冷却浴に通し、約12mmの長さを有するペレットに細断した。次いで、ペレットを、長繊維熱可塑性樹脂(LFT)成形プレートを製造するのに使用する成形機を使用して成形して成形プレートとした。図18a〜18cに示すように、図4及び5に示す比較例(即ち、コーティング組成物の無い)よりも、繊維バンドルの分散性の有意の改良が存在している。従って、本発明に従うコーティング組成物の使用は、最終複合部品において未分散繊維バンドル数を減少させているものと結論付けし得る。
【実施例14】
【0060】
連続ガラス繊維を、非水性サイズ剤組成物及びエトキシ化脂肪族アルコール(n = 100によるエトキシ化及びC18脂肪族アルコール)から調製したコーティング組成物で、図3に示すようなガラス繊維の製造(例えば、形成)中に含浸処理した。総組成物(即ち、上記非水性サイズ剤組成物プラス上記コーティング組成物)は、ガラス繊維に、繊維の質量基準で7.0%の量で適用し、上記コーティング組成物は非水性サイズ剤組成物の実質的部分を構成していた。溶融組成物をガラス繊維に適用し、冷却し繊維上に固化せしめた。ガラス繊維を連続繊維巻取りパッケージとして巻取り、次いで、このパッケージをワイヤーコーティングにおいて使用した。サイズ処理/コーティング処理繊維ストランドを冷却浴に通し、約12mmの長さを有するペレットに細断した。次いで、ペレットを、長繊維熱可塑性樹脂(LFT)成形プレートを製造するのに使用する成形機を使用して成形して成形プレートとした。図19に示すように、図4及び5に示す比較例(即ち、コーティング組成物の無い)よりも、繊維バンドルの分散性の有意の改良が存在している。従って、本発明に従うコーティング組成物の使用は、最終複合部品において未分散繊維バンドル数を減少させているものと結論付けし得る。
【0061】
本出願の発明を、包括的に且つ特定の実施態様に関連して説明してきた。好ましい実施態様であると信じている本発明を説明しているが、当業者にとって既知の広範囲の代替案を上記包括的開示内において選択し得る。本発明は、特許請求の範囲の記載を除き、限定されるものではない。
【符号の説明】
【0062】
10 サイズ処理連続ガラス繊維
11 添加剤
12 成形ダイ又はワイヤーコーター
13 熱可塑性ポリマー
14 封入繊維
16 乾燥装置
18 ペレタイザー
20 長繊維熱可塑性樹脂ペレット
21 本発明のコーティング組成物、本発明のコーティング組成物を含有するサイズ剤組成物
22 補強繊維ストランド
23 添加剤
24 ワイヤーコーティング装置
25 コーティング処理補強繊維ストランド
26 熱可塑性ポリマー
28 サイズ処理/コーティング処理繊維ストランド
30 冷却装置
32 ペレット化装置
40 補強繊維
42 ブッシング
46 ロールアプリケーター
48 ギャザリングメカニズム
49 コーティング処理補強繊維
50 コーティング処理補強繊維ストランド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補強用繊維ストランドであって、
サイズ剤組成物で少なくとも部分的にコーティングされた複数の個々の補強用繊維から形成された補強用繊維ストランドを含み、前記個々の補強用繊維及び前記補強用繊維ストランドの少なくとも1つが、前記複数の補強用繊維のポリマーマトリックス中での分散を改善する1種以上の化学化合物を含むコーティング組成物で少なくとも部分的にコーティングされていることを特徴とする補強用繊維ストランド。
【請求項2】
前記サイズ剤組成物を前記個々の補強用繊維上に位置させ、前記コーティング組成物が前記補強用繊維ストランド上の外側コーティングを形成し、前記サイズ剤組成物が、フィルム形成剤、カップリング剤及び潤滑剤からなる群から選ばれる少なくとも1員を含有する、請求項1記載の補強用繊維ストランド。
【請求項3】
前記サイズ剤組成物が非水性サイズ剤組成物であり、前記コーティング組成物を前記非水性サイズ剤組成物の成分として取込ませ、前記コーティング組成物を含有する前記非水性サイズ剤組成物を前記個々の補強用繊維上に位置させる、請求項1記載の補強用繊維ストランド。
【請求項4】
前記サイズ剤組成物が、フィルム形成剤、カップリング剤及び潤滑剤からなる群から選ばれる少なくとも1員を含む水性サイズ剤組成物であり、前記サイズ剤組成物を前記個々の補強用繊維上に位置させ、前記コーティング組成物の第1の一部を前記水性サイズ剤組成物の成分として取込ませている、請求項1記載の補強用繊維ストランド。
【請求項5】
前記コーティング組成物の第2の一部を前記補強用繊維ストランドに適用する、請求項4記載の補強用繊維ストランド。
【請求項6】
前記補強用繊維ストランドが、熱可塑性ポリマーによって少なくとも部分的に円周状に包み込まれている、請求項1記載の補強用繊維ストランド。
【請求項7】
前記1種以上の化学化合物が、エトキシ化脂肪酸、エトキシ化脂肪族アルコール、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシド-プロピレンオキシドコポリマー、C6〜C15-ポリエチレンオキシド、C16-ポリエチレンオキシド、C17-ポリエチレンオキシド、C18-ポリエチレンオキシド、C19〜C40-ポリエチレンオキシド、エトキシ化脂肪族連鎖物、エトキシ化ポリエチレン、エトキシ化ポリプロピレン、枝分れポリエチレン、ポリエチレン枝分れワックス、官能化線状マイクロワックス、非官能化線状マイクロワックス、枝分れ官能化線状マイクロワックス、非官能化マイクロワックス、官能化線状ポリオレフィン、官能化枝分れポリオレフィン、官能化過枝分れポリオレフィン、官能化デントリマーポリオレフィン、非官能化線状ポリオレフィン、非官能化枝分れポリオレフィン、非官能化過枝分れポリオレフィン、非官能化デントリマーポリオレフィン、マレイン酸化ポリオレフィン、酸化ポリオレフィン、部分酸化ポリオレフィン、酸化ワックス、部分酸化ワックス、カルボキシル化ポリオレフィン、カルボキシル化ワックス、ポリオレフィン類のコポリマー、オレフィンとアクリル酸のコポリマー、オレフィンとメタクリル酸のコポリマー、オレフィンとアクリル酸のグラフトコポリマー、オレフィンとメタクリル酸のグラフトコポリマー、接着促進剤、相溶化剤、及びカップリング剤からなる群から選ばれる、請求項1記載の補強用繊維ストランド。
【請求項8】
複数の補強用繊維から形成された2本以上の補強用繊維ストランドを含み、前記補強用繊維ストランド及び前記補強用繊維の片方又は双方が、前記複数の補強用繊維のポリマーマトリックス中での分散を改善する1種以上の化学化合物を含むコーティング組成物で少なくとも部分的にコーティングされていることを特徴とする補強用繊維製品。
【請求項9】
前記複数の補強用繊維が、その上に、潤滑剤、カップリング剤及びフィルム形成性バインダー樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1員を含む水性サイズ剤組成物の層を有し、前記コーティング組成物が前記2本以上の補強用繊維ストランド上の外側コーティングを形成する、請求項8記載の補強用繊維製品。
【請求項10】
前記サイズ剤組成物が非水性サイズ剤組成物であり、前記コーティング組成物を前記非水性サイズ剤組成物の成分として取込ませ、前記コーティング組成物を含有する前記非水性サイズ剤組成物を前記補強用繊維上に位置させる、請求項8記載の補強用繊維製品。
【請求項11】
前記サイズ剤組成物が、フィルム形成剤、カップリング剤及び潤滑剤からなる群から選ばれる少なくとも1員を含む水性サイズ剤組成物であり、前記サイズ剤組成物を前記補強用繊維上に位置させ、前記コーティング組成物の一部を前記水性サイズ剤組成物の成分として取込ませている、請求項8記載の補強用繊維製品。
【請求項12】
前記コーティング組成物が、前記補強用繊維製品に所望の性質又は特徴を付与する添加剤を更に含む、請求項8記載の補強用繊維製品。
【請求項13】
前記化学化合物が、エトキシ化脂肪酸、エトキシ化脂肪族アルコール及びこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項8記載の補強用繊維製品。
【請求項14】
前記2本以上の補強用繊維ストランドが、熱可塑性ポリマーによって少なくとも部分的に包み込まれている、請求項8記載の補強用繊維製品。
【請求項15】
前記補強用繊維製品が、ペレットの形である、請求項8記載の補強用繊維製品。
【請求項16】
下記の工程、
サイズ剤組成物で少なくとも部分的にコーティングした複数の個々の補強用繊維から形成された補強用繊維を少なくとも部分的にコーティングして、前記個々の補強用繊維及び前記補強用繊維ストランドの片方又は双方を、前記複数の個々の補強用繊維のポリマーマトリックス中での分散を改善する1種以上の化学化合物を含むコーティング組成物で少なくとも部分的にコーティングしてコーティング処理繊維ストランドを形成する工程、
前記コーティング処理繊維ストランドを熱可塑性ポリマーで少なくとも部分的に取巻く工程、
前記ポリマーコーティング処理繊維ストランドをペレット化してペレットにする工程、及び、
前記ペレットを、通常の長繊維熱可塑性樹脂加工法よりも低い剪断力を有する成形条件下に成形して強化複合物品を形成する工程、
を含むことを特徴とする、強化複合物品の形成方法。
【請求項17】
前記コーティング組成物の1部を前記サイズ剤組成物中に混入する工程を含み、前記サイズ剤組成物が水性サイズ剤組成物である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記補強用繊維及び前記補強用繊維ストランドの一方又は双方を、前記コーティング処理繊維ストランドをペレット化する前に、高周波乾燥装置によって乾燥させる工程を更に含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
下記の工程、
補強用繊維を、該補強用繊維のポリマーマトリックス中での分散を改善する少なくとも1種の化学化合物を含有するコーティング組成物を含む非水性サイズ剤組成物で少なくとも部分的にコーティングする工程、
前記コーティング処理補強用繊維を集結させて、コーティング処理補強用繊維ストランドを形成する工程、
前記コーティング処理補強用繊維ストランドを熱可塑性ポリマーで少なくとも部分的に囲い込む工程、
前記ポリマーコーティング処理繊維ストランドをペレット化してペレットにする工程、及び、
前記ペレットを、通常の成形加工法よりも低い剪断力を有する成形条件下に成形して強化複合物品を形成する工程、
を含むことを特徴とする、強化複合物品の形成方法。
【請求項20】
前記少なくとも1種の化学化合物を、エトキシ化脂肪酸、エトキシ化脂肪族アルコール及びこれらの混合物からなる群から選択する、請求項19記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18a】
image rotate

【図18b】
image rotate

【図18c】
image rotate

【図19】
image rotate


【公表番号】特表2010−513732(P2010−513732A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541412(P2009−541412)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/025708
【国際公開番号】WO2008/082480
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(508076428)オーシーヴィー インテレクチュアル キャピタル リミテッド ライアビリティ カンパニー (43)
【Fターム(参考)】