説明

改良された耐薬品性を有するシリコーン及び改良された移行抵抗性を有する硬化性シリコーン組成物

組成物は、(I)1分子当たり平均で少なくとも2つの不飽和有機基を有するポリオルガノシロキサン(但し、構成成分(I)はフッ素原子を含有しない)、任意に(II)1分子当たり平均で少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する有機水素ポリシロキサン(但し、構成成分(II)はフッ素原子を含有しない)、(III)ヒドロシリル化触媒、(IV)フルオロオルガノシリコーン(但し、(1)構成成分(IV)は、構成成分(I)、構成成分(II)又はそれらの両方と反応する少なくとも1つの官能基を有し、(2)構成成分(II)が存在しないとき、構成成分(IV)は1分子当たり平均で少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有し、且つ(3)構成成分(IV)は、組成物の硬化生成物に耐薬品性を提供するのに十分な量で組成物に添加される)、及び(V)接着促進剤
を含む構成成分を混合することにより調製される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性シリコーン組成物、及び当該硬化性シリコーン組成物を硬化することにより形成されるシリコーンに関する。特に本発明は、改良された耐ブリード性を有するヒドロシリル化硬化性組成物に関する。当該硬化性シリコーン組成物は硬化して、改良された耐薬品性及び耐ブリード性を有する製品を形成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
[発明の背景]
ポリオルガノシロキサンエラストマー、例えばポリジメチルシロキサンベースのエラストマーは、それらの熱安定性及び広範な熱範囲に亘って応力を軽減する能力といったような特性のために、エレクロトニクス産業において頻繁に使用される。しかしながら、これらポリオルガノシロキサンエラストマーは、いくつかの有機化学物質、例えば溶媒及びエンジン油に対する耐性不良という欠点を有し得る。
【0003】
フルオロシリコーンエラストマー及び有機エラストマーは、耐薬品性を改良するために用いられてきた。しかしながら、フルオロシリコーンエラストマーは、ポリオルガノシロキサンエラストマー(非フッ素化されている)よりコストが高いという欠点を有する。これを取り扱うために提唱される一アプローチは、フルオロシリコーンエラストマーをポリオルガノシロキサンエラストマーと組合せることである。しかしながら、提唱されるアプローチは、フルオロシリコーン及び非フッ素化オルガノシリコーン構成成分が相分離して、不安定特性を生じるという問題のため、一般に用いられてこなかった。
【0004】
硬化してエラストマーを形成するシリコーン組成物は、耐ブリード性が乏しいという欠点を被り得る。ブリードは、該組成物が硬化前に基材の一部に塗布される用途において問題になり得る。(該シリコーン組成物の外へ)ブリードする化学種は、基材を汚染する可能性がある。これは、接着促進剤のヒドロシリル化反応硬化性ポリオルガノシロキサンエラストマーへの添加がブリードを増大させることから分かるように、接着剤、例えば、エレクトロニクス用途において用いられるダイ取り付け接着剤にとって特に問題となる傾向がある。
【0005】
有機エラストマーは、不十分な柔軟性又はバルク熱特性を有するという欠点を被り得る。したがって、改良された耐ブリード性を有する硬化性シリコーン組成物に対する必要性がエレクトロニクス産業においては存在する。そしてその硬化性シリコーン組成物は、柔軟性及びバルク熱特性を保持する一方で、硬化すると改良された耐薬品性及び耐ブリード性を有するエラストマーを形成する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[発明の概要]
本発明は、以下の:
(I)1分子当たり平均で少なくとも2つの不飽和有機基を有するポリオルガノシロキサン、
任意に、(II)1分子当たり平均で少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する有機水素ポリシロキサン、
(III)ヒドロシリル化触媒、
(IV)フルオロオルガノシリコーン、及び
(V)接着促進剤
を含む構成成分を混合することにより調製される組成物に関する。
【0007】
構成成分(I)は、フッ素原子を含有しない。構成成分(II)は、フッ素原子を含有しない。構成成分(IV)は、構成成分(I)、構成成分(II)又は両方と反応性である少なくとも1つの官能基を有する。構成成分(II)が存在しないとき、構成成分(IV)は1分子当たり平均で少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する。構成成分(IV)及び構成成分(V)は、耐ブリード性を改良するのに十分な量で存在する。
【0008】
[発明の詳細な説明]
量、比率及びパーセンテージは全て、別記しない限り重量単位である。以下は、本明細書中で用いる場合の定義の一覧である。
【0009】
[用語の定義及び用法]
単数形の「a」及び「an」は各々、1つ又は複数を意味する。
【0010】
「ブリード」とは、シリコーン組成物又はその硬化生成物の界面を横切って移行する化学種に関する望ましくない傾向を意味する。ブリードは、シリコーン組成物又はその硬化生成物から、例えばシリコーン組成物又はその硬化生成物が塗布される基材上への化学種の移行を包含する。ブリードは、シリコーン組成物又はその硬化生成物の外側からシリコーン組成物又はその硬化生成物中への化学種の移行をさらに包含する。
【0011】
「耐薬品性」とは、溶媒及び油に曝露された場合に、膨潤するか又は分解するかあるいはその両方であるシリコーンの傾向低減を意味する。
【0012】
「組合せ」とは、任意の方法により一緒に置かれる2つ又はそれ以上の要素を意味する。
【0013】
略号「cP」は、センチポアズを意味する。
【0014】
略号「IR」は、赤外線を意味する。
【0015】
「移行(migration)」とは、界面を横断せずに、シリコーン組成物又はその硬化生成物の界面方向に動き、それによりバルクと比較した場合に界面でのフッ素含有化学種の含量が濃厚化されるフッ素含有化学種の傾向を意味する。
【0016】
略号「mm」は、ミリメートルを意味する。
【0017】
「Pa・s」は、パスカル秒を意味する。
【0018】
略号「ppm」は、百万分の一部を意味する。
【0019】
「シリコーン」及び「シロキサン」は、本明細書中では同義的に用いられる。
【0020】
本発明は、以下の:
(I)1分子当たり平均で少なくとも2つの不飽和有機基を有するポリオルガノシロキサン(但し、構成成分(I)はフッ素原子を含有しない)、
任意に、(II)1分子当たり平均で少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する有機水素ポリシロキサン(但し、構成成分(II)はフッ素原子を含有しない)、
(III)ヒドロシリル化触媒、
(IV)フルオロオルガノシリコーン(但し、i)構成成分(IV)は、構成成分(I)、構成成分(II)又はそれらの両方と反応性である少なくとも1つの官能基を有し、且つii)構成成分(II)が存在しないとき、構成成分(IV)は1分子当たり平均で少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有し、且つ)及び
(V)接着促進剤
を含む構成成分を混合することにより調製される組成物に関する。
【0021】
〔構成成分(I)ポリオルガノシロキサン〕
構成成分(I)は、1分子当たり平均で少なくとも2つの不飽和有機基を有するポリオルガノシロキサンである。構成成分(I)は、線状、分岐状又は樹脂状構造を有してもよい。構成成分(I)は、ホモポリマー又はコポリマーであってもよい。不飽和有機基は2〜12個の炭素原子を有するアルケニル基であってもよく、例としてはビニル、アリル、ブテニル及びヘキセニルが挙げられるが、これらに限定されない。不飽和有機基は2〜12個の炭素原子を有するアルキニル基であってもよく、例としてはエチニル、プロピニル及びブチニルが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、不飽和有機基はアクリレート官能基又はメタクリレート官能基を含有してもよく、例としてはアクリロイルオキシアルキル、例えばアクリロイルオキシプロピル及びメタクリロイルオキシアルキル、例えばメタクリロイルオキシプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。構成成分(I)中の不飽和有機基は、末端基位置、側基位置又は末端基位置及び側基位置の両方に位置してもよい。
【0022】
構成成分(I)中の残りのケイ素結合有機基は、脂肪族不飽和を含有しない一価有機基であってもよい。これらの一価有機基は1〜20個の炭素原子、あるいは1〜10個の炭素原子を有してもよく、例としてはアルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル及びオクタデシル;シクロアルキル、例えばシクロヘキシル;アリール、例えばフェニル、トリル、キシリル、ベンジル及び2−フェニルエチル;並びにシアノ−官能基、例えばシアノアルキル基、例えばシアノエチル及びシアノプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。構成成分(I)は、フッ素原子を含有しない。
【0023】
構成成分(I)の粘度は特に制限されるものではないが、構成成分(I)は、25℃で0.05〜500Pa・s、又は25℃で0.1〜200Pa・sの粘度を有してもよい。構成成分(I)は、100重量部の量で組成物に添加される。
【0024】
構成成分(I)は、次式:
(a)RSiO(RSiO)α(RSiO)βSiR
(b)RSiO(RSiO)χ(RSiO)δSiR、又は
(c)それらの組合せ
のポリオルガノシロキサンを含んでもよい。
【0025】
式(a)において、αは0〜2,000の平均値を有し、そしてβは2〜2,000の平均値を有する。Rは、各々独立して、一価有機基である。適切な一価有機基としては、アクリル官能基、例えばアクリロイルオキシプロピル及びメタクリロイルオキシプロピル;アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル及びブチル;アルケニル基、例えばビニル、アリル及びブテニル;アルキニル基、例えばエチニル及びプロピニル;芳香族基、例えばフェニル、トリル及びキシリル;並びにシアノアルキル基、例えばシアノエチル及びシアノプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。Rは、各々独立して、不飽和一価有機基である。Rの例としては、アルケニル基、例えばビニル、アリル及びブテニル、並びにアルキニル基、例えばエチニル及びプロピニル、並びにアクリル官能基、例えばアクリロイルオキシプロピル及びメタクリロイルオキシプロピルが挙げられる。
【0026】
式(b)において、χは0〜2,000の平均値を有し、そしてδは0〜2,000の平均値を有する。Rは、各々独立して、一価有機基である。適切な一価有機基としては、アクリル官能基、例えばアクリロイルオキシプロピル及びメタクリロイルオキシプロピル;アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル及びブチル;アルケニル基、例えばビニル、アリル及びブテニル;アルキニル基、例えばエチニル及びプロピニル;芳香族基、例えばフェニル、トリル及びキシリル;並びにシアノアルキル基、例えばシアノエチル及びシアノプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。Rは、各々独立して、不飽和有機炭化水素基である。Rの例としては、アルケニル基、例えばビニル、アリル及びブテニル;アルキニル基、例えばエチニル及びプロピニル;並びにアクリル官能基、例えばアクリロイルオキシプロピル及びメタクリロイルオキシプロピルが挙げられる。
【0027】
構成成分(I)は、ポリジオルガノシロキサン、例えば:
i)ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
ii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
iii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン、
iv)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
v)トリメチルシロキシ末端ポリメチルビニルシロキサン、
vi)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、
vii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、
viii)フェニル、メチル、ビニル−シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
ix)ジメチル−アクリロイルオキシプロピル−シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
x)ジメチル−メタクリロイルオキシプロピル−シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
xi)ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
xii)ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
xiii)ジメチルヘキセニルシロキシ末端ポリメチルヘキセニルシロキサン、
xiv)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
xv)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルシアノプロピルシロキサン)、及び
xvi)それらの組合せ
を含んでもよい。
【0028】
構成成分(I)として用いるのに適したポリジオルガノシロキサンの製造方法、例えば対応するオルガノハロシラン類の加水分解及び縮合、あるいは環状ポリジオルガノシロキサンの平衡は、当該技術分野でよく知られている。
【0029】
構成成分(I)は、樹脂、例えばRSiO1/2単位及びSiO4/2単位から本質的に成るMQ樹脂、RSiO3/2単位及びRSiO2/2単位から本質的に成るTD樹脂、RSiO1/2単位及びRSiO3/2単位から本質的に成るMT樹脂、RSiO1/2単位、RSiO3/2単位及びRSiO2/2単位から本質的に成るMTD樹脂、又はそれらの組合せを含んでもよい。
【0030】
は各々、一価有機基である。Rにより表される一価有機基は、1〜20個の炭素原子、あるいは1〜10個の炭素原子を有してもよい。一価有機基の例としては、アクリレート官能基、例えばアクリルオキシアルキル基、メタクリレート官能基、例えばメタクリルオキシアルキル基、シアノ−官能基及び一価炭化水素基が挙げられるが、これらに限定されない。一価炭化水素基としては、アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル及びオクタデシル;シクロアルキル、例えばシクロヘキシル;アルケニル、例えばビニル、アリル、ブテニル及びヘキセニル;アルキニル、例えばエチニル、プロピニル及びブチニル;並びにアリール、例えばフェニル、トリル、キシリル、ベンジル及び2−フェニルエチルが挙げられるが、これらに限定されない。シアノ官能基としては、例えばシアノアルキル基、例えばシアノエチル及びシアノプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
樹脂は平均3〜30モル%の不飽和有機基を含有してもよい。不飽和有機基は、アルケニル基、アルキニル基、アクリレート官能基、メタクリレート官能基、又はそれらの組合せであってもよい。樹脂中の不飽和有機基のモル%は、樹脂中の不飽和基含有シロキサン単位のモル数対樹脂中のシロキサン単位の総モル数の比に100を掛けた値である。
【0032】
樹脂の製造方法は、当該技術分野でよく知られている。例えば樹脂は、Daudt他のシリカヒドロゾルキャッピング方法により生成される樹脂コポリマーを、少なくとも1つのアルケニル含有末端ブロッキング試薬で処理することにより調製されてもよい。Daudt他の方法は、米国特許第2,676,182号に開示されている。
【0033】
要するに、Daudt他の方法は、シリカヒドロゾルを、酸性条件下で、トリメチルクロロシランのような加水分解性のトリオルガノシラン、ヘキサメチルジシロキサンのようなシロキサン又はそれらの混合物と反応させること、並びにM及びQ単位を有するコポリマーを回収することを包含する。その結果生じるコポリマーは一般に、2〜5重量%のヒドロキシル基を含有する。
【0034】
ケイ素結合ヒドロキシル基を典型的に2重量%未満含有する樹脂は、最終生成物中に3〜30モル%の不飽和有機基を提供するのに十分な量で、Daudt他の生成物を不飽和有機基含有末端ブロッキング剤及び脂肪族不飽和を含有しない末端ブロッキング剤と反応させることにより調製されてもよい。末端ブロッキング剤の例としては、シラザン、シロキサン及びシランが挙げられるが、これらに限定されない。適切な末端ブロッキング剤は当該技術分野でよく知られており、米国特許第4,584,355号、第4,591,622号及び第4,585,836号で例示されている。単一末端ブロッキング剤又はこのような作用物質の混合物が、樹脂を調製するのに用いられてもよい。
【0035】
構成成分(I)は、単一ポリオルガノシロキサン、あるいは以下の特性:構造、粘度、平均分子量、シロキサン単位及び配列のうちの少なくとも1つにおいて異なる2つ又はそれ以上のポリオルガノシロキサンから成る組合せであることができる。
【0036】
〔構成成分(II)有機水素ポリシロキサン〕
構成成分(II)は、1分子当たり平均で少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する有機水素ポリシロキサンである。構成成分(II)は、ホモポリマー又はコポリマーであることができる。構成成分(II)は、線状、分岐状、環状又は樹脂性構造を有することができる。構成成分(II)中のケイ素結合水素原子は、末端基位置、側基位置又は末端基位置及び側基位置の両方に位置することができる。構成成分(II)は、フッ素原子を含有しない。
【0037】
構成成分(II)は、シロキサン単位、例えばHRSiO1/2、RSiO1/2、HRSiO2/2、RSiO2/2、RSiO3/2及びSiO4/2単位(これらに限定されない)を含みことができる。上記の式中、Rは、各々独立して、脂肪族不飽和を含有しない一価有機基から選択される。
【0038】
構成成分(II)は、次式:
(a)RSiO(RSiO)ε(RHSiO)φSiR
(b)RHSiO(RSiO)γ(RHSiO)ηSiRH、又は
(c)それらの組合せ
の化合物を含んでもよい。
【0039】
式(a)において、εは0〜2,000の平均値を有し、そしてφは2〜2,000の平均値を有する。Rは、各々独立して、脂肪族不飽和を含有しない一価有機基である。脂肪族不飽和を含有しない適切な一価有機基としては、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル及びブチル;芳香族基、例えばフェニル、トリル及びキシリル;並びにシアノ官能基、例えばシアノアルキル基、例えばシアノエチル及びシアノプロピルが挙げられる。
【0040】
式(b)において、γは0〜2,000の平均値を有し、そしてηは0〜2,000の平均値を有する。Rは、各々独立して、脂肪族不飽和を含有しない一価有機基である。脂肪族不飽和を含有しない適切な一価有機基としては、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル及びブチル;芳香族基、例えばフェニル、トリル及びキシリル;並びにシアノ官能基、例えばシアノアルキル基、例えばシアノエチル及びシアノプロピルが挙げられる。
【0041】
構成成分(II)としては、以下のものが挙げられる:
i)ジメチル水素シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
ii)ジメチル水素シロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル水素シロキサン)、
iii)ジメチル水素シロキシ末端ポリメチル水素シロキサン、
iv)トリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル水素シロキサン)、
v)トリメチルシロキシ末端ポリメチル水素シロキサン、
vi)H(CHSiO1/2単位及びSiO4/2単位から本質的に成る樹脂、及び
vii)それらの組合せ。
【0042】
構成成分(II)は、以下の特性:構造、平均分子量、粘度、シロキサン単位及び配列のうちの少なくとも1つにおいて異なる2つ又はそれ以上の有機水素ポリシロキサンの組合せであることができる。
【0043】
構成成分(II)として用いるのに適した線状、分岐状及び環状有機水素ポリシロキサンの製造方法、例えばオルガノハロシランの加水分解及び縮合は、当該技術分野でよく知られている。構成成分(II)として用いるのに適した有機水素ポリシロキサン樹脂の製造方法はまた、米国特許第5,310,843号、第4,370,358号及び第4,707,531号で例示されているようによく知られている。
【0044】
構成成分(II)中のケイ素結合水素原子対構成成分(I)中の脂肪族不飽和基のモル比(SiH/Vi)は、重要でない。
【0045】
〔構成成分(III)ヒドロシリル化触媒〕
構成成分(III)は、ヒドロシリル化触媒である。構成成分(III)は、組成物の重量を基にして、0.1〜1,000ppm、あるいは1〜500ppm、あるいは2〜200、あるいは5〜150ppmの白金族金属の量で組成物に添加される。適切なヒドロシリル化触媒は当該技術分野でよく知られており、市販されている。構成成分(III)は、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム若しくはイリジウム金属又はその有機金属化合物又はそれらの組合せから選択される白金族金属を含んでもよい。構成成分(III)の例としては、塩化白金酸、塩化白金酸・六水和物、二塩化白金、並びに上記の化合物と低分子量オルガノポリシロキサンとの錯体、又はマトリックス若しくはコアシェル型構造中にマイクロカプセル封入された白金化合物のような化合物が挙げられる。白金と低分子量オルガノポリシロキサンとの錯体としては、白金との1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。これらの錯体は、樹脂マトリックス中にマイクロカプセル封入されてもよい。
【0046】
構成成分(III)に関する適切なヒドロシリル化触媒は、例えば米国特許第3,159,601号;第3,220,972号;第3,296,291号;第3,419,593号;第3,516,946号;第3,814,730号;第3,989,668号;第4,784,879号;第5,036,117号及び第5,175,325号並びにEP 0347895Bに記載されている。マイクロカプセル封入ヒドロシリル化触媒及びそれらの製造方法は、米国特許第4,766,176号及びそこに引用されている参照並びに米国特許第5,017,654号に例示されているように、当該技術分野でよく知られている。
【0047】
〔構成成分(IV)フルオロオルガノシリコーン〕
構成成分(IV)は、構成成分(I)、構成成分(II)又はそれらの両方と反応性である少なくとも1つの官能基を有するフルオロオルガノシリコーンである。構成成分(II)が組成物中に存在しないとき、構成成分(IV)は1分子当たり平均で少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する。構成成分(IV)の粘度は特に制限されるものではないが、構成成分(IV)は、エポキシ基及びアルコキシ基を含有しなくてもよい。構成成分(IV)は、25℃で0.0001〜500Pa・sの粘度を有してもよい。
【0048】
構成成分(IV)は、次式:
(a)RSiO(RSiO)ι(R10SiO)φSiR
(b)R1112SiO(R11SiO)κ(R1112SiO)λSiR1112
(c)FC(CFν13−Si−[O−Si(R14(R15)]
(d)R1514SiO1/2単位、CF(CFν13SiO3/2単位及び任意にSiO4/2単位から本質的に成る樹脂性又は分岐状構造、又は
(e)それらの組合せ
の化合物を含んでもよい。
【0049】
式(a)中、ιは0〜2,000の平均値を有し、そしてφは1〜500の平均値を有する。Rは、各々独立して、水素原子、又は一価有機基である。適切な一価有機基としては、脂肪族不飽和を含有しない一価炭化水素基、例えばアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル及びブチル;芳香族基、例えばフェニル、トリル及びキシリル;並びにシアノ官能基、例えばシアノアルキル基、例えばシアノエチル及びシアノプロピルが挙げられる。適切な一価有機基としては、不飽和一価有機基、例えばアクリレート官能基;メタクリレート官能基;アルケニル基、例えばビニル、アリル及びブテニル;並びにアルキニル基、例えばエチニル、プロピニル及びブチニルが挙げられる。式(a)においては、少なくとも1つのRが水素原子又は不飽和一価有機基である。R10は、各々独立して、フルオロ−官能性有機基である。適切なフルオロ−官能性有機基としてはフッ素化アルキル基、例えば3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3−ヘプタフルオロペンチル及び6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
式(b)において、κは、0〜2,000の平均値を有し、そしてλは、0〜500の平均値を有する。R11は、各々独立して、水素原子、又は一価有機基である。適切な一価有機基としては、シアノ官能基、例えばシアノアルキル基、例えばシアノエチル及びシアノプロピル;並びに脂肪族不飽和を含有しない一価炭化水素基、例えばアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル及びブチル;並びに芳香族基、例えばフェニル、トリル及びキシリルが挙げられる。適切な一価有機基としては、不飽和一価有機基、例えばアクリレート官能基;メタクリレート官能基;アルケニル基、例えばビニル、アリル及びブテニル;並びにアルキニル基、例えばエチニル、プロピニル及びブチニルが挙げられる。式(b)においては、少なくとも1つのR11が水素原子又は不飽和一価有機基である。R12は、各々独立して、フルオロ−官能性有機基である。適切なフルオロ−官能性有機基としてはフッ素化アルキル基、例えば3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3−ヘプタフルオロペンチル及び6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシルが挙げられる。
【0051】
式(c)及び(d)において、νは、0〜10である。R13は、各々独立して、二価有機基、例えば二価炭化水素基である。R13に関する適切な二価有機基は、少なくとも2個の炭素原子、あるいは2個〜20個の炭素原子、あるいは2〜10個の炭素原子を有してもよい。R13に関する適切な二価炭化水素基の例としては、アルキレン基、例えばメチレン、エチレン、プロピレン及びブチレンが挙げられる。R14は、各々独立して、脂肪族不飽和を含有しない一価炭化水素基である。R14の例としては、アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル及びオクタデシル;シクロアルキル、例えばシクロヘキシル;並びにアリール、例えばフェニル、トリル、キシリル、ベンジル及び2−フェニルエチルが挙げられる。R15は、各々独立して、水素原子又は脂肪族不飽和炭化水素基であり、例としては、アルケニル、例えばビニル、アリル、ブテニル及びヘキセニル;並びにアルキニル、例えばエチニル、プロピニル及びブチニルが挙げられる。1つのR15が脂肪族不飽和炭化水素基である場合には、分子中のR15は全て、同一の又は異なる脂肪族不飽和炭化水素基であってもよい。分子中の1つのR15が水素原子である場合には、R15は全て水素原子であってもよい。
【0052】
構成成分(IV)の例としては、以下のものが挙げられる:
i)ジメチルビニルシロキシ末端ポリメチル3,3,3−トリフルオロプロピルシロキサン、
ii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(メチル水素シロキサン/メチル−6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシルシロキサン)、
iii)トリメチルシロキシ末端ポリ(メチル水素シロキサン/メチル−6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシルシロキサン)、
iv)トリメチルシロキシ末端ポリ(メチル水素シロキサン/メチル−6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシルシロキサン)、及び
v)それらの組合せ。
【0053】
構成成分(IV)は、組成物を硬化させることにより調製される硬化シリコーンに耐ブリード性及び耐薬品性を提供するのに十分な量で組成物に添加される。構成成分(IV)は、構成成分(I)の重量を基にして0.01〜100重量部の量で組成物に添加されてよい。理論に制約されることを望まないが、構成成分(IV)のフッ素化部分は、硬化されたとき、組成物の表面へ移行すると考えられる。多数の用途のための十分な耐薬品性及び耐ブリード性は、組成物のコストを劇的に増大させる更なる多量の構成成分(IV)を添加することなく得られると考えられる。
【0054】
構成成分(IV)は、以下の特性:構造、平均分子量、粘度、シロキサン単位及び配列のうちの少なくとも1つにおいて異なる2つ又はそれ以上のフルオロオルガノシリコーンの組合せであることができる。
【0055】
構成成分(IV)として用いるのに適したフルオロオルガノシリコーンは、当該技術分野でよく知られている。フルオロオルガノシリコーンは、適切な出発物質を変更することにより、構成成分(I)及び(II)に関する上記の方法により調製されてもよい。当業者は、過度の実験をすることなく、構成成分(IV)に関する適切なフルオロオルガノシリコーンを製造することができるであろう。
【0056】
〔構成成分(V)接着促進剤〕
構成成分(V)は、接着促進剤である。構成成分(VI)は、組成物を硬化させることにより調製される硬化シリコーンに接着性を与えるのに十分な量で組成物に添加される。構成成分(IV)及び構成成分(V)は、組成物を硬化させることにより調製される硬化シリコーンに耐ブリード性を提供するのに十分な量で組成物に一緒に添加される。構成成分(V)は、組成物の重量を基にして、0.01〜50重量部、あるいは0.05〜2重量部、あるいは0.5〜1.5重量部の量で組成物に添加されよい。
【0057】
構成成分(V)は、遷移金属キレート化合物、アルコキシシラン、アルコキシシランとヒドロキシ官能ポリオルガノシランとの組合せ、又はそれらの組合せを含んでよい。
【0058】
構成成分(V)は、不飽和又はエポキシ官能化合物であることができる。適切なエポキシ官能化合物は当該技術分野でよく知られており、市販されている(例えば米国特許第4,087,585号;第5,194,649号;第5,248,715号及び第5,744,507号、4〜5列を参照)。構成成分(V)は、不飽和又はエポキシ官能アルコキシシランを含んでよい。例えば官能アルコキシシランは、式R28μSi(OR29(4−μ)(式中、μは1、2又は3であり、あるいはμは1である)を有することができる。
【0059】
28は、各々独立して、一価有機基であるが、但し、少なくとも1つのR28が不飽和有機基又はエポキシ官能有機基である。R28に関するエポキシ官能有機基の例としては、3−グリシドキシプロピル及び(エポキシシクロヘキシル)エチルが挙げられる。R28に関する不飽和有機基の例としては、3−メタクリロイルオキシプロピル、3−アクリロイルオキシプロピル、及び不飽和一価炭化水素基、例えばビニル、アリル、ヘキセニル、ウンデシレニルが挙げられる。
【0060】
29は、各々独立して、少なくとも1個の炭素原子を有する非置換飽和炭化水素基である。R29は、4個までの炭素原子、あるいは2個までの炭素原子を有してよい。R29の例としては、メチル、エチル、プロピル及びブチルが挙げられる。
【0061】
適切なエポキシ官能アルコキシシランの例としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルジエトキシシラン及びそれらの組合せが挙げられる。適切な不飽和アルコキシシランの例としては、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、ウンデシレニルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン及びそれらの組合せが挙げられる。
【0062】
構成成分(V)は、エポキシ官能シロキサン、例えばヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサンとエポキシ官能アルコキシシランとの上記のような反応生成物、又はヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサンとエポキシ官能アルコキシシランとの物理的配合物を含んでよい。構成成分(V)は、エポキシ官能アルコキシシラン及びエポキシ官能シロキサンの組合せを含んでよい。例えば構成成分(V)の例としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びヒドロキシ末端メチルビニルシロキサンと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの反応生成物の混合物、又は3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びヒドロキシ末端メチルビニルシロキサンの混合物、又は3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びヒドロキシ末端メチルビニル/ジメチルシロキサンコポリマーの混合物が挙げられる。反応生成物としてよりむしろ物理的配合物として用いられる場合、これらの構成成分は、多部式キット中に別個に保存されてもよい。
【0063】
適切な遷移金属キレート化合物としては、チタネート、ジルコネート、例えばジルコニウムアセチルアセトネート、アルミニウムキレート化合物、例えばアルミニウムアセチルアセトネート、及びそれらの組合せが挙げられる。遷移金属キレート化合物及びそれらの製造方法は、当該技術分野でよく知られている(例えば、米国特許第5,248,715号、EP0493791A1及びEP0497349B1を参照)。
【0064】
〔任意の構成成分〕
構成成分(I)〜(V)のほかに、任意の構成成分が組成物に添加されてもよい。適切な任意の構成成分としては、(VI)不飽和エステル官能化合物、(VII)ボイド低減剤、(VIII)顔料、(IX)充填剤、(X)硬化改質剤、(XI)レオロジー改質剤、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0065】
〔(VI)不飽和エステル官能化合物〕
構成成分(VI)は、不飽和エステル官能化合物、すなわちヒドロシリル化を受けることができる、1分子当たり少なくとも1つのエステル基及び1分子当たり少なくとも1つの不飽和基を有する有機化合物である。構成成分(VI)は、以下のものを含んでよい:
【0066】
【化1】

又はvi)それらの組合せ。
【0067】
式i)において、R16は、各々独立して、水素原子、1〜4個の炭素原子を有する一価炭化水素基、又はCFである。R16に関する一価炭化水素基の例としては、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル及びブチルが挙げられる。R17は、各々独立して、水素原子、一価有機基であるが、但し、R17のすべてが水素原子又は金属イオンというわけではない。R17に関する一価有機基の例としては、一価炭化水素基、フルオロアルキル基、エポキシ官能基及びポリエーテル基が挙げられる。一価炭化水素基の例としては、アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、ドデシル及びオクタデシル;シクロアルキル、例えばシクロヘキシル;アルケニル、例えばビニル、アリル、ブテニル及びヘキセニル;アルキニル、例えばエチニル、プロピニル及びブチニル;並びにアリール、例えばフェニル、トリル、キシリル、ベンジル及び2−フェニルエチルが挙げられるが、これらに限定されない。R17に関するエポキシ官能基の例としては、3−グリシドキシプロピルが挙げられる。R17に関するフルオロアルキル基の例としては、−(CH(CFCF(式中、xは0〜20の平均値を有し、yは0〜20の平均値を有する)、分岐状フルオロアルキル基、例えばパーフルオロt−ブチル、及び環状フルオロアルキル基、例えばパーフルオロシクロヘキシル、並びにフルオロアリール基、例えばパーフルオロフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。R17に関するポリエーテル基の例としては、−(CHCHO)CHCH、−(CH(CH)CHO)CH(CH)CH、−(CHCHO)CHCH=CH、−(CH(CH)CHO)CHCH=CH、−(CHCHCHCHO)CHCH、−(CHCHCHCHO)CH=CH、−(CHCHO)CHCHOH、−(CH(CH)CHO)CH(CH)CH−OH、−(CHCHO)CHCHOCH及び(CH(CH)CHO)CH(CH)CH−OCH(式中、zは1〜20の平均値を有する)、並びに環状エーテル、例えばテトラヒドロフルフリル及び2−(カプロラクトン)エチルが挙げられるが、これらに限定されない。R17に関するフルオロポリエーテル基の例としては、−(CF−CF−O)H、−(CF(CF)CF−O)H、−(CF−CF−O)CF、−(CF(CF)CFO)CF(式中、zは上記と同様である)、−(CH(CF(CF))−(O−CF(CF))−F(式中、iは0〜10の平均値を有し、jは0〜10の平均値を有し、そしてkは1〜20の平均値を有する)が挙げられるが、これらに限定されない。R17に関する金属イオンの例としては、陽イオン、例えばZn、Al、Ca、Na、Mg及びKが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
式ii)において、R18は、各々独立して、水素原子、1〜4個の炭素原子を有する一価炭化水素基、又はCFである。R18に関する一価炭化水素基の例としては、アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル及びブチルが挙げられる。R19は、各々独立して、1〜20個の炭素原子を有する二価有機基である。R19に関する二価有機基の例としては、アルキレン、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ペンチレン、ネオ−ペンチレン、オクチレン、ウンデシレン及びオクタデシレン;シクロアルキレン、例えばシクロへキシレン;アルケニレン、例えばビニレン、アリレン、ブテニレン及びヘキセニレン;アルキニレン、例えばエチニレン、プロピニレン及びブチニレン;アリーレン、例えばフェニレン、トリレン、キシリレン、ベンジレン及び2−フェニルエチレン;エーテルジオール誘導体、例えば−(CHCHO)CHCH−及び(CH(CH)CHO)CH(CH)CH(式中、zはR19に関して上記されたのと同様である);アルキレン/アリーレンの組合せ、例えば4,4’−イソプロピリデンジフェニル(ビスフェノール「A」としてもよく知られている)が挙げられるが、これらに限定されない。R19に関する二価フッ素化有機基の例としては、−(CH(CH(F))(CF−、−(CFCFO)−、−(CF(CF)CFO)−(式中、x、y及びz上記と同様である)、パーフルオロシクロヘキシル−1,4−ジメチル及び4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェニル(ヘキサフルオロビスフェノール「A」に由来する)が挙げられるが、これらに限定されない。R20は、各々独立して、水素原子、又は1〜20個の炭素原子を有する一価炭化水素基である。R20に関する一価炭化水素基の例としては、アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル及びオクタデシル;シクロアルキル、例えばシクロヘキシル;アルケニル、例えばビニル、アリル、ブテニル及びヘキセニル;アルキニル、例えばエチニル、プロピニル及びブチニル;並びにアリール、例えばフェニル、トリル、キシリル、ベンジル及び2−フェニルエチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
式iii)において、nは0〜3の平均値を有し、そしてm=4−nである。R21は、各々独立して、水素原子、1〜20個の炭素原子を有する一価炭化水素基、ヒドロキシル基又はCFである。R21に関する一価炭化水素基の例としては、アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル及びオクタデシル;シクロアルキル、例えばシクロヘキシル;アルケニル、例えばビニル、アリル、ブテニル及びヘキセニル;アルキニル、例えばエチニル、プロピニル及びブチニル;並びにアリール、例えばフェニル、トリル、キシリル、ベンジル及び2−フェニルエチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
22は、各々独立して、水素原子、1〜4個の炭素原子を有する一価炭化水素基、又はCFである。R22に関する一価炭化水素基の例としては、アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル及びオクタデシル;シクロアルキル、例えばシクロヘキシル;アルケニル、例えばビニル、アリル、ブテニル及びヘキセニル;アルキニル、例えばエチニル、プロピニル及びブチニル;並びにアリール、例えばフェニル、トリル、キシリル、ベンジル及び2−フェニルエチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
23は、各々独立して、水素原子、又は1〜20個の炭素原子を有する一価炭化水素基である。R23に関する一価炭化水素基の例としては、アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル及びオクタデシル;シクロアルキル、例えばシクロヘキシル;アルケニル、例えばビニル、アリル、ブテニル及びヘキセニル;アルキニル、例えばエチニル、プロピニル及びブチニル;並びにアリール、例えばフェニル、トリル、キシリル、ベンジル及び2−フェニルエチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
式iv)において、R24及びR25は、各々独立して、一価有機基又は水素原子であるが、但し、R24又はR25の少なくとも1つは不飽和である。R24に関する一価有機基の例としては、一価炭化水素基、フルオロアルキル基、エポキシ官能基及びポリエーテル基が挙げられる(全て、R17に関して列挙されたものにより例示される)。
【0073】
25に関する一価有機基の例としては、一価炭化水素基、フルオロアルキル基、エポキシ官能基及びポリエーテル基が挙げられる(全て、R17に関して列挙されたものにより例示されるが、これらに限定されない)。R25に関する一価有機基のさらなる例としては、酸素架橋一価有機基、例えば−O−C(O)O−(CHCH=CH(式中、oは0〜20の平均値を有する)、及び炭素架橋カルボニル基、例えば−CH−C(O)−CHが挙げられる。
【0074】
式v)において、R26は、各々独立して、一価有機基又は水素原子であるが、但し、少なくとも1つのR26は脂肪族不飽和一価有機基又は水素原子である。R26に関する一価有機基の例としては、一価炭化水素基、フルオロアルキル基、エポキシ官能基及びポリエーテル基が挙げられる(全て、R17に関して列挙されたものにより例示される)。
【0075】
27は、各々独立して、酸素原子又は二価有機基である。R27に関する二価有機基の例としては、二価炭化水素基、フルオロアルキレン基、エポキシ官能基及びポリエーテル基が挙げられる(全て、R19に関して列挙されたものにより例示される)。
【0076】
構成成分(VI)の例としては、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、カプロラクトンアクリレート、パーフルオロブチルアクリレート、パーフルオロブチルメタクリレート、テトラヒドロパーフルオロアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、ビスフェノール「A」アクリレート、ビスフェノール「A」ジメタクリレート、エトキシル化ビスフェノール「A」アクリレート、エトキシル化ビスフェノール「A」メタクリレート、ヘキサフルオロビスフェノール「A」ジアクリレート、ヘキサフルオロビスフェノール「A」ジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリメタクリレート)、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート)、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、メチル−3−ブテノエート、アリルメチルカーボネート、ジアリルピロカーボネート、アリルアセトアセテート、ジアリルカーボネート、ジアリルフタレート、ジメチルイタコネート、ジアリルカーボネート又はそれらの組合せが挙げられる。
【0077】
構成成分(VI)は、組成物の重量を基にして、0.01〜50重量部の量で組成物に添加されてもよい。理論に制約されることを望まないが、構成成分(VI)は、組成物の硬化生成物の耐薬品性及び接着特性の両方を改良すると考えられる。
【0078】
構成成分(VI)に適した不飽和エステル官能化合物は当該技術分野でよく知られており、例えば、Sartomer Company及びAldrich Chemical Companyから市販されている。当業者は、過度の実験をすることなく、不飽和エステル官能化合物を得ることができるであろう。
【0079】
〔構成成分(VII)ボイド低減剤〕
構成成分(VII)は、ボイド低減剤である。構成成分(VII)は、ボイドを低減するのに十分な量で組成物に添加される。適切なボイド低減剤は当該技術分野でよく知られており、市販されている(例えばEP0850997A2並びに米国特許第4,273,902号及び同第5,684,060号を参照)。適切なボイド低減剤は、ゼオライト、無水硫酸アルミニウム、分子篩(好ましくは10Å又はそれ未満の孔直径を有する)、多孔質珪藻土、シリカゲル、活性炭、パラジウム化合物、例えばパラジウム金属、炭素又はアルミナ上に支持されるパラジウム金属のような基材、及び有機パラジウム化合物を含むことができる。
【0080】
〔構成成分(VIII)顔料〕
構成成分(VIII)は、顔料である。組成物に添加される構成成分(VIII)の量は、選択される顔料の種類に応じる。構成成分(VIII)は、組成物の重量を基にして、0.001%〜30%の量で組成物に添加されてよい。顔料は当該技術分野でよく知られており、市販されている。適切な顔料としては、カーボンブラック、例えばLB−1011Cカーボンブラック(Williams)、酸化クロム顔料、例えばHarcros G−6099、二酸化チタン、例えばDuPontから入手可能なもの、及びUV活性染料、例えばCiba Specialty ChemicalsからUVITEX OBの名称で市販されている(チオフェンジイル)ビス(t−ブチルベンゾキサゾール)が挙げられる。
【0081】
〔構成成分(IX)充填剤〕
構成成分(IX)は、充填剤である。組成物に添加される構成成分(IX)の量は、選択される充填剤の種類に応じる。構成成分(IX)は、組成物の重量を基にして、0.1%〜90%の量で組成物に添加されてよい。適切な充填剤としては、強化充填剤、例えばシリカ、チタニア及びそれらの組合せが挙げられる。適切な強化充填剤は当該技術分野でよく知られており、市販されており、例えばU.S. Silica (Berkeley Springs, WV)によりMIN−U−SILの名称で販売されている粉砕シリカ、又はCabot Corporation (Massachusetts)によりCAB−O−SILの名称で販売されているヒュームドシリカが挙げられる。
【0082】
伝導性充填剤(即ち、熱伝導性、導電性又はその両方である充填剤)も、構成成分(IX)として用いられてもよい。適切な伝導性充填剤としては、金属粒子、金属酸化物粒子、及びそれらの組合せが挙げられる。適切な熱伝導性充填剤としては、窒化アルミニウム;酸化アルミニウム;チタン酸バリウム;酸化ベリリウム;窒化ホウ素;ダイアモンド;黒鉛;酸化マグネシウム;金属粒子、例えば銅、金、ニッケル又は銀;炭化ケイ素;炭化タングステン;酸化亜鉛及びそれらの組合せが挙げられる。
【0083】
伝導性充填剤は当該技術分野でよく知られており、市販されている(例えば米国特許第6,169,142号(4列7〜33行)を参照)。例えばCB−A20S及びA1−43−Meは、Showa-Denkoから市販されている種々の粒子サイズの酸化アルミニウム充填剤であり、AA−04、AA−2及びAA18は、Sumitomo Chemical Companyから市販されている酸化アルミニウム充填剤である。銀充填剤は、Metalor Technologies U.S.A. Corp.(Attleboro, Massachusetts, U.S.A)から市販されている。窒化ホウ素充填剤は、Advanced Ceramics Corporation(Cleveland, Ohio, U.S.A)から市販されている。
【0084】
伝導性充填剤粒子の形状は特に制限されないが、丸みを帯びた又は球形の粒子は、組成物中の熱伝導性充填剤の多量投入時の望ましくない濃度への粘度増大を防止し得る。
【0085】
種々の粒子サイズ及び異なる粒子サイズ分布を有する熱伝導性充填剤の組合せが用いられてよい。例えば最も近似した充填理論分布曲線を満たす割合で、大きい平均粒子サイズを有する第1伝導性充填剤と小さい平均粒子サイズを有する第2伝導性充填剤とを組合せるのが望ましい。これは充填効率を改良し、粘度を低減し、且つ熱移動を増強し得る。
【0086】
熱伝導性充填剤は任意に、処理剤で表面処理されてもよい。処理剤及び処理方法は、当該技術分野でよく知られている(例えば米国特許第6,169,142号(4列42行〜5列2行)を参照)。熱伝導性充填剤は、熱伝導性充填剤を組成物の他の構成成分と併合する前に処理剤で処理してもよく、又は熱伝導性充填剤は、in situで処理されてもよい。
【0087】
処理剤は、式:R30Si(OR31(4−p)(式中、pは1、2又は3であり、あるいはpは3である)を有するアルコキシシランであることができる。R30は、少なくとも1個の炭素原子、あるいは少なくとも8個の炭素原子を有する置換又は非置換一価炭化水素基である。R30は、50個までの炭素原子、あるいは30個までの炭素原子、あるいは18個までの炭素原子を有する。R30の例としては、アルキル基、例えばへキシル、オクチル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル及びオクタデシル;並びに芳香族基、例えばベンジル、フェニル及びフェニルエチルが挙げられる。R30は、飽和又は不飽和、分岐状又は非分岐状、及び非置換であることができる。R30は、飽和、非分岐状及び非置換であることができる。
【0088】
31は、少なくとも1個の炭素原子を有する非置換飽和炭化水素基である。R31は、4個までの炭素原子、あるいは2個までの炭素原子を有してよい。処理剤としては、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルエチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0089】
アルコキシ官能オリゴシロキサンも、処理剤として用いられることができる。アルコキシ官能オリゴシロキサン及びそれらの製造方法は、当該技術分野でよく知られている(例えばEP1101167A2を参照)。例えば適切なアルコキシ官能オリゴシロキサンとしては、式(R32O)Si(OSiR33344−dを有するものが挙げられる。この式中、dは1、2又は3であり、あるいはdは3である。R32は各々、アルキル基である。R33は、各々独立して、1〜10個の炭素原子を有する飽和及び不飽和一価炭化水素基から選択することができる。各R34は、少なくとも11個の炭素原子を有する飽和又は不飽和一価炭化水素であることができる。
【0090】
金属充填剤は、アルキルチオール、例えばオクタデシルメルカプタン等、及び脂肪酸、例えばオレイン酸、ステアリン酸、チタネート、チタネートカップリング剤、ジルコネートカップリング剤、並びにそれらの組合せで処理することができる。
【0091】
アルミナ又は不動態化窒化アルミニウムに対する処理剤としては、アルコキシシリル官能アルキルメチルポリシロキサン(例えばR3536Si(OR37(4−b−c)の部分加水分解縮合物、又は同時加水分解縮合物、あるいは混合物)、加水分解基がシラザン、アシルオキシ又はオキシモである類似の物質が挙げられる。これらのすべてにおいて、Siに繋がれる基、例えば上記の式中のR35は、長鎖不飽和一価炭化水素又は一価芳香族官能炭化水素である。R36は一価炭化水素基であり、R37は1〜4個の炭素原子を有する一価炭化水素基である。上記の式中で、bは1、2又は3であり、cは0、1又は2であるが、但し、b+cは1、2又は3である。当業者は、過度の実験をすることなく、充填剤の分布を促すよう特定の処理を最適化することができる。
【0092】
〔構成成分(X)硬化改質剤〕
構成成分(X)は、硬化改質剤である。本発明の組成物の保存寿命若しくは作用時間又はその両方を延長するために、構成成分(X)を添加することができる。組成物の硬化温度を上げるために、構成成分(X)を添加することができる。適切な硬化改質剤は当該技術分野でよく知られており、市販されている。構成成分(X)の例としては、アセチレンアルコール、例えばメチルブチノール、エチニルシクロヘキサノール、ジメチルヘキシノール及びそれらの組合せ;シクロアルケニルシロキサン、例えばメチルビニルシクロシロキサン、例えば1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン及びそれらの組合せ;エン−イン化合物、例えば3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン;トリアゾール、例えばベンゾトリアゾール;ホスフィン;メルカプタン;ヒドラジン;アミン、例えばテトラメチルエチレンジアミン、ジアルキルフマレート、ジアルケニルフマレート、ジアルコキシアルキルフマレート、マレエート及びそれらの組合せが挙げられる。
【0093】
適切な硬化改質剤は、例えば米国特許第3,445,420号;同第3,989,667号;同第4,584,361号及び同第5,036,117号に開示されている。
【0094】
組成物に添加される構成成分(X)の量は、用いられる特定の硬化改質剤、構成成分(III)の性質及び量、並びに構成成分(II)の組成に応じる。しかしながら構成成分(X)の量は、組成物の重量を基にして、0.001%〜10%であってよい。
【0095】
〔構成成分(XI)レオロジー改質剤〕
構成成分(XI)は、レオロジー改質剤である。組成物のチキソトロピー性を変えるために、レオロジー改質剤を添加することができる。構成成分(XI)の例としては、流動制御添加剤;反応性希釈剤;沈降防止剤;アルファ−オレフィン;ヒドロキシル末端シリコーン有機コポリマー、例えばヒドロキシル末端ポリプロピレンオキシド−ジメチルシロキサンコポリマー(これに限定されない);並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0096】
〔構成成分(XII)スペーサー〕
構成成分(XII)は、スペーサーである。スペーサーは、有機粒子、無機粒子又はそれらの組合せを含むことができる。スペーサーは、熱伝導性、導電性又はその両方であることができる。スペーサーは、25μm〜250μmの粒子サイズを有することができる。スペーサーは、単分散ビーズを含むことができる。構成成分(XII)の量は、種々の因子、例えば粒子の分布、組成物の投入中に印加される圧力、投入温度等に応じる。組成物は、構成成分(IX)の一部の他に、又は代わりに添加される15%まで、あるいは5%までの構成成分(XII)を含有することができる。
【0097】
〔その他の任意の構成成分〕
その他の任意の構成成分は、上記のものの全部又は一部のほかに、又はその代わりに、添加されてもよいが、但し、任意の構成成分は、組成物が硬化して、上記のような改良された耐薬品性を有するシリコーン生成物を生成するのを妨げない。その他の任意の構成成分の例としては、酸受容体;酸化防止剤;安定剤、例えば酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、金属塩添加剤、例えばEP0950685A1に開示されたもの、熱安定剤、及び紫外線(UV)安定剤;難燃剤;シリル化剤、例えば4−(トリメチルシリルオキシ)−3−ペンテン−2−オン及びN−(t−ブチルジメチルシリル)−N−メチルトリフルオロアセトアミド;乾燥剤、例えばゼオライト、無水硫酸アルミニウム、分子篩(好ましくは10Å又はそれ未満の孔直径を有する)、多孔質珪藻土、シリカゲル及び活性炭;並びに発泡剤、例えば水、メタノール、エタノール、イソ−プロピルアルコール、ベンジルアルコール、1,4ブタンジオール、1,5ペンタンジオール、1,7ヘプタンジオール及びシラノールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
〔総SiH:Vi比〕
組成物中の構成成分は、組成物中のケイ素結合水素原子の総量対脂肪族不飽和基のモル比(SiHtot/Vitot)が少なくとも0.3、あるいは少なくとも0.5、あるいは少なくとも0.9、あるいは少なくとも1.0であるよう選択されてよい。SiHtot/Vitotは、5.0まで、あるいは3.0まで、あるいは2.0までであってもよい。理論に制約されることを望まないが、SiHtot/Vitotが低すぎる場合には、組成物は硬化しない可能性があるか、あるいはいくつかの基材に接着しない可能性があると考えられる。
【0099】
〔キット〕
組成物は、一部式組成物又は多部式組成物、例えば二部式組成物であってよい。多部式組成物では、構成成分(II)及び(III)は、別個の部に保存される。構成成分(I)及び(IV)〜(XII)のうちのいずれかを、どちらか又は両方の部に添加することができる。過度の実験をすることなく、各部に対する構成成分を選択する方法を、当業者は知っているであろう。
【0100】
多部式組成物が調製される場合、それはキットとして販売されてもよい。キットは、キットの使用方法、部の組合せ方法、又はその結果生じる組合せの硬化方法、あるいはそれらの組合せ等の、情報又は使用説明書又はその両方をさらに包含してもよい。例えばA部及びB部を包含するキットは、以下のように調製することができる。
【0101】
A部は、以下を包含する:
(I)1分子当たり平均で少なくとも2つの不飽和有機基を有するポリオルガノシロキサン(但し、構成成分(I)はフッ素原子を含有しない)、
(III)ヒドロシリル化触媒、
任意に(IV)フルオロオルガノシリコーン(但し、i)構成成分(IV)は、構成成分(I)、構成成分(II)又はそれらの両方と反応性である少なくとも1つの官能基を有し、且つii)構成成分(II)がキット中に存在しないとき、構成成分(IV)は1分子当たり平均で少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する)、
任意に(V)接着促進剤、
任意に(VI)不飽和エステル官能化合物、
任意に(VII)ボイド低減剤、
任意に(VIII)顔料、
任意に(IX)充填剤、
任意に(X)硬化改質剤、
任意に(XI)レオロジー改質剤、及び
任意に(XII)スペーサー、
そしてB部は、以下を包含する:
任意に(I)1分子当たり平均で少なくとも2つの不飽和有機基を有するポリオルガノシロキサン、
任意に、(II)1分子当たり平均で少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する有機水素ポリシロキサン(この場合、構成成分(II)はフッ素原子を含有しない)、
任意に(IV)フルオロオルガノシリコーン(但し、構成成分(IV)は、構成成分(I)、構成成分(II)又はそれらの両方と反応性である少なくとも1つの官能基を有する)、
任意に(V)接着促進剤、
任意に(VI)不飽和エステル官能化合物、
任意に(VII)ボイド低減剤、
任意に(VIII)顔料、
任意に(IX)充填剤、
任意に(X)硬化改質剤、
任意に(XI)レオロジー改質剤、及び
任意に(XII)スペーサー
但し、
(1)A部及びB部の少なくとも一方は構成成分(IV)を含有し、
(2)A部及びB部の少なくとも一方は構成成分(V)を含有し、且つ
(3)B部は構成成分(II)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XI)及び(XII)を含有する。
【0102】
A部及びB部は、0.05:1〜20:1、あるいは0.1:1〜10:1、あるいは1:1〜5:1のA部:B部(A:B)の比で、一緒に混合することができる。
【0103】
〔組成物の調製方法〕
上記の組成物は、任意の便利な手段により構成成分を混合することによって調製することができる。例えば組成物は、周囲温度で全ての構成成分を混合することにより調製することができる。構成成分(X)が存在する場合、構成成分(X)は構成成分(III)の前に添加されてもよい。
【0104】
用いられるミキサーは特に制限されず、構成成分及び組成物の粘度により決定される。適切なミキサーとしては、バドル型ミキサー、混練型ミキサー、非押込み型ミキサー、例えば遠心分離動作によるもの、及びゴム用二本及び三本ロール機が挙げられるが、これらに限定されない。上記に開示され、下記の実施例に記載の方法により、過度の実験をすることなく、当業者は組成物を調製することができるであろう。
【0105】
〔使用方法〕
本発明の組成物は、表面又は界面特性又はその両方の改質が所望される一連の用途に関して有用である。例えば上記の組成物は、硬化して、接着剤;電子回路、平坦面、繊維又は小粒子のための保護コーティング;又はガスケット材料を形成する。この組成物の完全硬化又は部分硬化生成物の曝露表面も、別の接着剤による結合のための、又は別の基材への二次結合(例えば乾燥フィルム接着剤)のための基材としても有用であり得る。
【0106】
本発明の組成物は、硬化して、接着剤、例えばエレクトロニクス用途において用いられるダイ取り付け接着剤として用いることのできる硬化シリコーンを形成する。組成物は、周囲温度又は高温で硬化することができる。組成物は、硬化前又は硬化中に基材に塗布されてよい。本発明の完全硬化又は部分硬化物質の曝露表面は、別の接着剤による結合のための、又は別の基材への二次結合のための基材としても有用である(例えば乾式皮膜接着剤)。接着剤は、例えばダイ取り付け接着剤のような生成物として、蓋封止剤、ゲル及び封入剤として用いられてもよい。
【0107】
本発明の組成物を用いて調製される硬化生成物は、例えば構成成分(I)及び(II)並びに組成物に添加される任意の構成成分の種類及び濃度によって、剛性樹脂からエラストマー、ゲルへと特性が変わることができる。該組成物を用いて調製される硬化生成物は、例えばコーティングとして又は成形若しくは押出し製品として、種々の最終用途において有用である。組成物は、噴霧、浸漬、流し込み、スクリーン印刷、押出しにより、又はブラシ、ローラー若しくはコーティングバーの使用により、基材に塗布することができる。特定の塗布方法の選択は、少なくとも一部は、硬化性組成物の粘度により決定される。
【0108】
組成物又はその硬化生成物が塗布されてもよい、エレクトロニクス用途において有用である適切な基材としては、エポキシド、ポリカーボネート、ポリ(ブチレンテレフタレート)樹脂、ポリアミド樹脂、並びにそれらの配合物、例えばポリアミド樹脂とシンジオタクチックポリスチレン、例えばDow Chemical Company(Midland, Michigan, U.S.A)から市販されているものとの配合物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、スチレン修飾ポリ(フェニレンオキシド)、ポリ(フェニレンスルフィド)、ビニルエステル、ポリフタルアミド、ポリイミド、ケイ素、アルミニウム、ステンレススチール合金、チタン、銅、ニッケル、銀、金及びそれらの組合せが挙げられる。
【0109】
本発明の組成物は、2つの表面を接着するために、例えば蓋密封用途において用いることができる。例えば、組成物は、以下の:
(1)プラスチックハウジング上に上記の組成物を塗布すること、
(2)蓋の縁が組成物と接触するように、ハウジング上に蓋を載せること、及び
(3)その組み立て体を硬化させて密封ハウジングを形成すること
を包含する方法により、組み立て工程における電子回路のためのプラスチックハウジング上にプラスチック蓋をぴったり接着させるために用いることができる。
【0110】
あるいは、組成物は、例えば、以下の:
(1)電子回路基板上に上記の組成物を塗布すること、及び
(2)組成物を硬化させて密封回路基板を製造すること
を包含する方法により、電子回路基板を被覆するために用いることができる。
【0111】
あるいは、組成物は、例えば以下の:
(1)電子基板上に上記の組成物を塗布すること、
(2)半導体ダイを組成物に取り付けること、及び
(3)組成物を硬化させて接合複合体を製造すること
を包含する方法で、ダイ取り付け用途のために用いることができる。
【0112】
該方法は、1つ又は複数の任意の工程、例えば、(4)上記工程(1)〜(3)を反復して、1つ又は複数の付加的半導体ダイスを半導体ダイに取り付ける工程、(5)半導体ダイ又は半導体ダイスをワイヤボンディングする工程、(6)例えばプラズマに曝露することにより清浄化(clean)する工程、(7)半導体ダイ又は半導体ダイスを成形化合物でオーバーモールディングする工程、及び(8)はんだボールを取り付けて、完成パッケージを形成する工程をさらに包含してもよい。工程(1)では、電子基板は、例えば回路基板、TABテープ又は当該技術分野で既知のその他の基板であってもよく、又は電子基板は半導体ダイであってもよい。
【0113】
図1は、本方法に従って調製されたパッケージ100の一例を示す。パッケージ100は、本発明の組成物から調製されたダイ取り付け接着剤103を介してポリイミドTABテープフレキシブル回路として示された基板102に接合された半導体ダイ101を包含する。半導体ダイ101は、リードボンド104により基板102に電気的に接続される。リードボンド104の形状は、基板102からの半導体ダイ101の高さに応じる。封入材105は、リードボンド104を保護するために用いられる。図1は、パッケージ100が載せられる基板(示されていない)との接続メカニズムを提供するはんだボール106も示す。
【0114】
本発明の組成物は、基板402上にプリントされるか又は計量分配されてもよい。次に半導体ダイ401が組成物上に圧力及び熱を用いて置かれて、ダイ取り付け接着剤403を調製してもよい。
【0115】
図2は、本方法に従って調製されたパッケージ200の一例を示す。パッケージは、第2半導体ダイ202の上部に重ねられ、第1ダイ取り付け接着剤203を介して取り付けられた第1半導体ダイ201を包含する。第2半導体ダイ202は、第2ダイ取り付け接着剤205を介して回路基板として図4に示された基板204に載せられる。第1ダイ取り付け接着剤203及び第2ダイ取り付け接着剤205は、本発明の組成物を硬化することにより調製される。第1ダイ取り付け接着剤203及び第2ダイ取り付け接着剤205は、同一であるか又は異なってよい。
【0116】
パッケージ200は、例えば、本発明の組成物を基板204に塗布することにより組み立てられてよい。第2半導体ダイ202は、加熱され、第2半導体ダイ202下に均一に組成物を広げるのに十分な圧力を用いて組成物上に置かれ得る。ダイの熱は、組成物を一部又は全部硬化して、第2ダイ取り付け接着剤205を生成し得る。本発明による組成物は次に、第2半導体ダイ202の上部に塗布され、第1半導体ダイ201が、上記のように十分な圧力を用いて組成物に熱塗布されてもよい。組成物は一部又は全部硬化して、第1ダイ取り付け接着剤203を形成する。
【0117】
第1半導体ダイ201は、ボンディングワイヤ206を介して基板に電気的に接続され、第2半導体ダイ202は、ボンディングワイヤ207を介して基板に電気的に接続される。次にオーバーモールディング208が塗布されて、半導体ダイス201,202及びボンディングワイヤ206,207を保護し得る。次にはんだボール209が基板204に付加されてもよい。
【実施例】
【0118】
これらの実施例は、当業者に本発明を例示するが、特許請求の範囲に記述された本発明の範囲を限定するよう意図されない。以下の構成成分を、これらの実施例に用いる。
【0119】
充填剤1はヘキサメチルジシラザンで処理されたヒュームドシリカである。
【0120】
充填剤2は球状溶融シリカである。
【0121】
触媒1は、2,200センチストークス(cSt)の粘度を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン55%、封入白金触媒45%及びヘキサメチルジシラザンで処理されたヒュームドシリカ5%の組み合わせである。
【0122】
触媒2は、ポリカーボネート封入白金触媒である。
【0123】
硬化改質剤は、フェニルブチノールである。
【0124】
顔料は、シャウニガンブラック(Shawnigan Black)である。
【0125】
ポリマー1は、300の重合度を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン69%及びビニル基を含有するMQ樹脂31%の組み合わせである。
【0126】
ポリマー2は、2,200センチストークス(cSt)の粘度を有するジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンである。
【0127】
スペーサーは、直径の90%が38〜45マイクロメーターであるスチレンジビニルベンゼン架橋球状粒子である。
【0128】
有機水素ポリシロキサン1は、12の重合度及び0.6のジメチルシロキサン単位/メチル水素シロキサン単位比を有するトリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル水素シロキサン)である。
【0129】
フルオロオルガノシリコーン1は、1分子当たり平均で28のメチル水素シロキサン単位及び1分子当たり12のメチル−6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシルシロキサン単位を有するトリメチルシロキシ末端ポリ(メチル水素シロキサン/メチル−6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシルシロキサン)である。
【0130】
接着促進剤はヒドロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)と(グリシドキシプロピル)トリメトキシシランとの反応生成物である。
【0131】
フェニルシロキサン1は、フェニルメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンである。
【0132】
フェニルシロキサン2は、PhSi(O(CHH)(式中、Phはフェニル基を表す)である。
【0133】
〔参考例1− 試料調製及び分析〕
基剤は、次の構成成分:充填剤1、充填剤2、顔料、及びポリマー又は各試料のために選択されたポリマー類を1クオートロスミキサー中で混練することにより調製される。
【0134】
配合物は、硬化改質剤及び有機水素ポリシロキサン若しくはフルオロオルガノシリコーン、又は両方を混合し、70℃で少なくとも30分間加熱することにより調製される。
【0135】
前記基剤、前記配合物、及び追加のポリマー又はポリマー類を20グラムの歯科用ミキサーカップ中で混ぜ合わせ、3,500回転/分で30秒間混合する。得られた混合物を冷却し、触媒を添加し、10秒間手混合する。前記歯科用ミキサーを用いて3,500回転/分で10秒間、得られた混合物を再び混合する。
【0136】
ブリードの割合は次のように測定される。試料を室温で平衡にする。Hitachi Cableより購入した連続Au/Cu PI TABテープが9mm(長さ)片に切り出され、印刷機上の真空プレートに取り付けたステンレス鋼プリントフレームの中間部分に貼り付けられる。このプレートの二端は、HitachiのTABテープと同じ形状寸法のPIで被覆される必要のある曝露される穴を有するであろう。これは、真空プレートがフレーム及びテープを所定の位置に保持することができるように、SSフレームを効果的に封入するであろう。次いで、このフレームは、印刷機に取り付けられた真空プレート内に押し込まれる。
【0137】
試料は「ブリード調査」ステンシルを用いてスクリーン印刷される。印刷されると直ぐに、キャリッジが印刷機から取り外され、HitachiのTABテープのタブ端部はSSフレームに貼り付けられる。これは、物質の流れが端部でカールするテープの傾向による影響を受けることを防止するであろう。
【0138】
印刷のときはフレームに注目し、最初の写真画像が必要ならば、SPOT顕微鏡で用いられるTEFLON台にフレームを直接転写する。
【0139】
25〜35度の傾斜は、取り込まれる画像におけるブリード層のかさを増大させるであろう。顕微鏡倍率は、小さな塊(nubbin)からのブリードを測定又は定量する最良の光学参照を与える高い倍率で1〜4.9倍に調節される。的確な倍率で小さな塊に焦点が合った時点で、像が撮られ、画像がファイルに保存される。次いでこの処理は24時間後に繰り返される。
【0140】
ブリード層の定量化はSigma Pro Softwareを用いて行われる。小さな塊スランプが問題である場合、その小さな塊の直径を撮影し、時間=0時間で測定し、次いで時間=24時間で再び測定してもよい。小さな塊の直径の変化は、ブリード層の実際の増加%から差し引かれ得る。
【0141】
小さな塊が有意なスランプを受けない場合、時間間隔の最後での写真が単独に測定される。その場合には、小さな塊の直径が測定された後、ブリード物質のかさの直径が測定され、初期の小さな塊の直径からの増加割合が計算される。
【0142】
〔実施例1〜5及び比較例1〜7− 構成成分(II)を含まない組成物〕
試料は、参考例1の方法に従って調製される。実施例1〜5に関する成分及び量は表1である。比較例1〜7に関する成分及び量は表2である。24時間後にブリードの範囲が変化%として測定される。結果は表1及び2である。
【0143】
【表1】

【0144】
【表2】

【0145】
比較例1は、フルオロオルガノシリコーン及び接着促進剤を含まない組成物ではブリードが起こるということを示す。比較例1及び比較例2〜6は、ケイ素結合水素と脂肪族不飽和有機基との比が一定であるにもかかわらず、組成物中の接着促進剤量の増大に伴ってブリードも増大するということを示す。比較例1〜7は、比較例1の組成物にフルオロオルガノシリコーンが添加されると、ブリードが減少するということを示す。実施例1及び比較例1〜7は、接着促進剤が存在しても、フルオロオルガノシリコーン及び接着促進剤の両方が存在するとブリードは増大しないということを示す。実施例1〜6及び比較例1〜6は、フルオロオルガノシリコーン及び接着促進剤の両方が存在すると、組成物中にフルオロオルガノシリコーン及び接着促進剤の両方が存在しない場合並びにフルオロオルガノシリコーンが存在せず接着促進剤が存在する場合と比較してブリードは低減されるということを示す。
【0146】
〔実施例6〜8− 構成成分(II)を含む組成物〕
試料は、参考例1の方法に従って調製される。実施例6〜8に関する成分及び量は表3である。24時間後にブリードの範囲が変化%として測定される。結果は表3である。
【0147】
【表3】

【0148】
上記実施例及び比較例に示されるように、接着促進剤を含みフルオロオルガノシリコーンを含まない組成物は、接着促進剤及びフルオロオルガノシリコーンを何れも含まない組成物並びにフルオロオルガノシリコーンを含み接着促進剤を含まない組成物よりもより大きなブリードを示す。しかしながら、接着促進剤及びフルオロオルガノシリコーンの両方を含む組成物は、フルオロオルガノシリコーンを含み接着促進剤を含まない組成物よりもより少ないブリードを示すということが驚くことに見出された。
【0149】
〔参考例2− 試料調製及び分析〕
試料は、ポリマー2、顔料、スペーサー、充填剤2、架橋剤1、接着促進剤、触媒2、接着促進剤、及び任意のフェニルシロキサン及び架橋剤を混ぜ合わせることにより調製される。
【0150】
ブリードは、電子回路テープ上に配置された試料の点の直径における増加%として測定される。回路テープはHitachiポリイミド TABテープ LC−TAB μBGA 220A14であり、それはTomoegawa X エポキシでトレース間をラミネート接着した金めっき銅回路トレースから構成される。0.914mm〜1.953mmの範囲の直径を有する試料の点は、その回路テープのエポキシ表面上に配置される。点をエポキシ表面に塗布した直後に、点の像が撮られ、配置時間が像とともに記録される。
【0151】
時間の経過とともに、同一の倍率を用いて順次点の像が撮られる。全ての像はNikon sMZ−10A顕微鏡、Spot Jr Model 1.5.0デジタルカメラ(Diagnostic Instruments, Inc.)及びSpot 32ソフトウェア(Diagnostic Instruments, Inc.)で撮られる。
【0152】
CoreDraw 7 Version 7.373ソフトウェア及び各像で記録された標準的な長さを用い、点の直径が長期にわたって記録される。時間の経過とともに、エポキシ表面上の点からのシリコーン化学種のブリードにより各点は大きくなる。元の点の大きさは変化しない。点の端部からブリードする物質はシリコーン化学種によるものであって、点のバルクの流れではない。
【0153】
したがって、元の点の直径に対する直径の大きさの増大は、与えられた処方に関するブリードの相対量の目安となる。
【0154】
〔比較例8〜15〕
試料は、参考例2の方法に従って調製される。成分及び量は(重量%)は表4に示される。ブリードの範囲は、35分を超え38分まで変化%として5回測定した。結果は表5にある。
【0155】
【表4】

【0156】
【表5】

【0157】
比較例8〜15は、フルオロオルガノシリコーンの代わりにフェニルシロキサンを用いるとブリードが増大するということを示す。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本発明の組成物をダイ取り付け接着剤として用いるパッケージの一例を示す。
【図2】本発明の組成物をダイ取り付け接着剤として用いるパッケージの一例を示す。
【符号の説明】
【0159】
100 パッケージ、101 半導体ダイ、102 基板、103 ダイ取り付け接着剤、104 リードボンド、105 封入材、106 はんだボール、200 パッケージ、201 第1半導体ダイ、202 第2半導体ダイ、203 第1ダイ取り付け接着剤、204 基板、205 第2ダイ取り付け接着剤、206 ボンディングワイヤ、207 ボンディングワイヤ、208 オーバーモールディング、209 はんだボール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の:
(I)1分子当たり平均で少なくとも2つの不飽和有機基を有するポリオルガノシロキサン流体(但し、構成成分(I)はフッ素原子を含有しない)、
任意に、(II)1分子当たり平均で少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有する有機水素ポリシロキサン(但し、構成成分(II)はフッ素原子を含有しない)、
(III)ヒドロシリル化触媒、
(IV)フルオロオルガノシリコーンであって、
但し、(1)構成成分(IV)は、構成成分(I)、構成成分(II)又はそれらの両方と反応する少なくとも1つの官能基を有し、
(2)構成成分(II)が存在しないとき、構成成分(IV)は1分子当たり平均で少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有し、且つ
(3)構成成分(IV)は、組成物の硬化生成物に耐薬品性を提供するのに十分な量で組成物に添加されるフルオロオルガノシリコーン、及び
(V)接着促進剤
を含む構成成分を混合することにより調製される組成物であって、構成成分(IV)及び構成成分(V)は、組成物に耐ブリード性を提供するのに十分な量で添加される組成物。
【請求項2】
構成成分(II)が存在し、且つ構成成分(II)は、HRSiO1/2、RSiO1/2、HRSiO2/2、RSiO2/2、RSiO3/2、SiO4/2(ここで、Rは、各々独立して、脂肪族不飽和を含有しない一価有機基から選択される)又はそれらの組合せから選択されるシロキサン単位を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
構成成分(III)は、マイクロカプセル封入ヒドロキシル化触媒を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
構成成分(IV)は、次式:
(a)RSiO(RSiO)ι(R10SiO)φSiR
(b)R1112SiO(R11SiO)κ(R1112SiO)λSiR1112
(c)FC(CFν13−Si−[O−Si(R14(R15)]
(d)R1514SiO1/2単位、CF(CFν13SiO3/2単位及び任意にSiO4/2単位から本質的に成る樹脂性又は分岐状構造、又は
(e)それらの組合せ、
(但し、ιは0〜2,000の平均値を有し、
φは1〜500の平均値を有し、
は、各々独立して、水素原子又は一価有機基であるが、但し、少なくとも1つのRは水素原子又は不飽和一価有機基であり、
10は、各々独立して、フルオロ−官能性有機基であり、
κは、0〜2,000の平均値を有し、
λは、0〜500の平均値を有し、
11は、各々独立して、水素原子又は一価有機基であるが、但し、少なくとも1つのR11は水素原子又は不飽和一価有機基であり、
12は、各々独立して、フルオロ−官能性有機基であり、
13は、各々独立して、二価有機基であり、
14は、各々独立して、脂肪族不飽和を含有しない一価炭化水素基であり、
νは、0〜10であり、且つ
15は、各々独立して、水素原子又は不飽和一価有機基である)
の化合物を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
構成成分(IV)は、以下の:
i)ジメチルビニルシロキシ末端ポリメチル3,3,3−トリフルオロプロピルシロキサン、
ii)ジメチルビニルシロキシ末端ポリ(メチル水素シロキサン/メチル−6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシルシロキサン)、
iii)トリメチルシロキシ末端ポリ(メチル水素シロキサン/メチル−6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシルシロキサン)、
iv)トリメチルシロキシ末端ポリ(メチル水素シロキサン/メチル−6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシルシロキサン)、又は
v)それらの組合せ
を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
構成成分(V)は、遷移金属キレート化合物、アルコキシシラン、アルコキシシランとヒドロキシ官能ポリオルガノシロキサンとの組合せ、又はそれらの組合せを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
構成成分(V)は、不飽和アルコキシシラン、エポキシ官能アルコキシシラン、エポキシ官能シロキサン、又はそれらの組合せを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
構成成分(V)は、式R28μSi(OR29(4−μ)(式中、μは1、2又は3であり、R28は、各々独立して、一価有機基であるが、但し、少なくとも1つのR28が不飽和有機基又はエポキシ官能有機基であり、且つR29は、各々独立して、少なくとも1個の炭素原子を有する非置換飽和炭化水素基である)のアルコキシシランを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
構成成分(V)は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、ウンデシレニルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、又はそれらの組合せを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
構成成分(V)は、ヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサンとエポキシ官能アルコキシシラン若しくは不飽和アルコキシシランとの反応生成物、又はヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサンとエポキシ官能アルコキシシラン若しくは不飽和アルコキシシランとの物理的配合物を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
(VI)不飽和エステル官能化合物、(VII)ボイド低減剤、(VIII)顔料、(IX)充填剤、(X)硬化改質剤、(XI)レオロジー改質剤、(XII)スペーサー、(XIII)酸受容体、(XIV)酸化防止剤、(XV)安定剤、(XVI)難燃剤、(XVII)流動制御添加剤、(XVIII)反応性希釈剤、(XIX)沈降防止剤、(XX)シリル化剤、(XXI)乾燥剤、(XXII)発泡剤、又はそれらの組合せをさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
接着剤、保護コーティング及びガスケット材料から成る群から選択される用途のための請求項1に記載の組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−502344(P2007−502344A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523187(P2006−523187)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/021903
【国際公開番号】WO2005/019342
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】