説明

改良された膜電極アセンブリ及び耐用年数が長い燃料電池

改良された膜電極アセンブリ及び耐用年数が長い燃料電池
組成物(この組成物は、その合計質量に対して少なくとも80質量%のエチレン性不飽和化合物を含んでいる。)の遊離基重合による重合が行われる所定の方法で得られる、分子量が高いポリマーであって、この組成物は、少なくとも1種のモノマー(このモノマーはホスホン酸基及び/又はスルホン酸基を含む)を含むことを特徴とするポリマー。
このポリマーは、重合度の質量平均が300を超え、そしてその化学的及び物理的特性のために、いわゆるPEM燃料電池中のポリマー電解質膜(REM)に特に適切である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その卓越した化学的及び物理的特性により、種々の目的に使用可能であり、そして特に、いわゆるPEM燃料電池中のポリマー電解質膜(PEM)に適した高分子量のビニルホスホン酸ポリマー及びビニルスルホン酸ポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は通常、電解質(electrolyte)及び電解質によって分離された2個の電極を含んでいる。燃料電池の場合、2個の電極の内の1個の電極に、水素ガス又はメタノール−水混合物等の燃料が供給され、そして、他の電極に酸素ガス又は空気等のオキシダント(酸化剤)が供給され、そして、これにより、燃料の酸化からの化学的エネルギーが直接的に電気的エネルギーに変換される。酸化反応において、プロトン(陽子)とエレクトロン(電子)が形成される。
【0003】
電解質は、水素イオン、すなわちプロトンが透過可能であるが、しかし水素ガス又はメタノール等の反応性燃料及び酸素ガスは透過しない。
【0004】
個々の燃料電池の設定可能(生成可能:tappable)な電圧は比較的低いために、通常、いくつかの膜電極アセンブリが直列状に連結され、そして平坦な分離プレート(双極性プレート)を介して互いに連結される。
【0005】
燃料電池用の電解質として、ポリマー電解質膜等の固体、又はリン酸等の液体が施される。ポリマー電解質膜は、燃料電池用の電解質として最近興味を集めている。原則として、ポリマー膜の2種のカテゴリーの間で区別をすることができる。
【0006】
第1のカテゴリーは、共有結合的に付着した酸基を含むポリマー骨格(polymer frame)からなるカチオン交換膜を含む。現在では、スルホン酸改質されたポリマーが、プロトン伝導性膜として、実際にもっぱら使用されている。ここで、大部分は過フッ素化されたポリマーが使用される。DuPont de Nemours, Willmington, USAからのNationTMが、このものの卓越した例である。プロトンを伝導させるために、膜の水含有量を比較的高くする必要があり、一般的にはスルホン酸基あたり、水4〜20モルの量になる。必要とされる水の含有量、及びこれに加え、酸性水及び反応性ガス、水素及び酸素に関連したポリマーの安定性が、通常、PEM燃料電池スタックの温度を80〜100℃に制限する。圧力下で、操作温度は、>120℃に上げることができる。この他の場合では、操作温度を上昇させると燃料電池の電力(power)に損失が生じる。
【0007】
しかしながら、システム固有の理由により、100℃を超える操作温度が望まれる。膜電極アセンブリ(MEA)に含まれる、貴金属に基いた(ベースにした)触媒の活性は、操作温度が高くなると大きく改良される。特に、いわゆる炭化水素からの改質剤(reformate)を使用した場合、改質ガス(reformer gas)は、一酸化炭素を相当な量で含み、この一酸化炭素は、複雑なガス調整工程又はガス精製工程を使用して除去しなければならない。操作温度が高い場合、CO不純物に対する触媒の許容値(tolerance)が増加される。
【0008】
更に、燃料電池の操作(運転)の間、熱が発生する。しかしながら、これらのシステムを80℃未満に冷却することは非常に複雑なものとなる。発電量に依存して、冷却装置をその複雑さの程度を有意に下げて構成することができる。このことは、100℃を超えて操作される燃料電池の内の廃熱は、(明確に)より良好に利用可能なことを意味し、そして従って、燃料電池システムの効率は、相互に結びついた発電と発熱とによって上昇可能であることを意味する。
【0009】
これらの温度を達成するために、第2のカテゴリーの膜(この膜は、アルカリ性ポリマーと強酸との合成物に基き、そして水を使用した場合にイオン伝導性を示す。)が開発されてきた。この方向において、その将来性が期待される開発が特許文献1(WO96/13872)に記載されている。
【0010】
酸がドープされた、このような膜の本質的に有利な点は、このようなポリマー電解質膜が使用された燃料電池は、燃料の加湿(給湿)を行うことなく100℃を超える温度で操作可能なことである(他の場合では、100℃を超える温度で操作するためには加湿が必要になる。)。
【0011】
燃料電池システムの更なる有利な点が、これによって達成される。一方では、白金触媒のガス不純物、特に一酸化炭素に対する敏感性(弱さ:sensitivity)が、実質的に低減される。更に、高い操作温度によって、燃料電池の効率が上昇する。
【0012】
不利な点は、酸、典型的には、リン酸又はポリリン酸は、アルカリ性ポリマーに恒久的に結合しているわけではなく、水によって洗浄除去可能なことであり、このことは、特に操作温度が100℃未満の場合、例えば、電池の開始と終了(シャットダウン)時に該当する。このことは、伝導性と電池の電力の恒久的な損失をもたらし、この損失は、燃料電池の耐用年数(service life)を縮めることになる。
【0013】
更に、このような膜は、直接的メタノール燃料電池(DMFC)には適切ではない。この理由は、酸でドープされた膜と、燃料混合物(メタノール−水)との(必要とされる)直接的な接触の間、電解質が連続的に洗浄され、電力が不可逆的に低下することになるからである。
【0014】
この問題を解決するために、特許文献2(WO03/075389)は、ビニル含有ホスホン酸を、好ましくはアルカリ性ポリマーの存在下に重合させることによって得られるポリマー膜の使用を示唆している。これについて、ポリビニルホスホン酸の重合度は、100を超えることが好ましい。
【0015】
この方法により、電解質の洗浄除去性が低減され、そして従って、燃料電池の耐用年数も相当に改良されているが、これにもかかわらず、燃料電池の耐用年数(service life)の更なる改良が、更に要求されている。
【0016】
【特許文献1】WO96/13872
【特許文献2】WO03/075389
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従って、本発明の目的は、電解質の洗浄除去が可能な限り回避され、そして、膜の機械的安定性が更に改良される新規なポリマー電解質膜を提供することにある。この点に関して、以下の特性:
・燃料電池は、可能な限り長い耐用年数を有すること、
・操作温度の範囲(100℃を超える場合、及び100℃未満の場合)、特に100℃を超える範囲、そして可能な限り広い範囲で燃料電池を使用可能なこと、
・操作において、個々の電池は、全期間(この期間は可能な限り長期間であるべきである)に亘り、一定の又は改良された特性を示すこと、
長期間にわたる操作時間の後、燃料電池は可能な限り高い開回路電圧を有しており、そして、ガスクロスオーバー(ガス浸透)が可能な限り低いこと、更に、燃料電池を可能な限り低い化学量論で操作可能であること、
・100℃を超える温度で、可能であれば、燃料電池が燃料電池の追加的な加湿(humidification)の必要がないこと、
・燃料電池は、アノードとカソード間の恒久的な、又は交互する圧力に対して可能な限り耐え得ること、
・特に、燃料電池は、異なる操作条件(T、p、ジオメトリー等)に対して強固(robust)であり、通常の信頼性を可能な限り高めること、
・更に、燃料電池は、改良された耐熱性と耐腐食性、及び比較的低いガス透過性を、特に高い温度で有すること。機械的特性及び構造的な完全性(integrity)の、特に高い温度での低下は、可能な限り回避されること、
・燃料電池が単純な方法で、大規模に、そして安価に製造可能であること、
を有する燃料電池の製造に、膜は適切であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した従来技術の文献から導き出される上述した課題及び更なる課題(これら課題は、明確に記載されてはいなかったが、)は、請求項13の特徴を全て有するポリマーを使用することにより達成される。以降、このポリマーは、時によりポリマー(A)と称される。
【0019】
従って、本発明の目的とするものは、高分子量のポリマーを製造する方法であって、エチレン性不飽和化合物を、その合計質量に対して少なくとも80質量%含む組成物の遊離基重合が行われ、且つ上記組成物が、ホスホン酸基及び/又はスルホン酸基を含む少なくとも1種のモノマーを含むことを特徴とする方法である。
【0020】
更に、本発明は、本発明に従う方法によって得られ、且つ重合度の質量平均が300を超えるポリマーに関し、及びポリマー電解質膜(このポリマー電解質膜は本発明に従うポリマーを少なくとも1種含む。)によって分離された、2個の電気的な活性電極(アノード及びカソード)を含む膜電解質アセンブリ(membrane electrode assembly)に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に従うポリマーは、分子量が比較的高いことによって特徴付けられる。この重合度(degree of plymerisation)の質量平均は、300を超え、好ましくは500を超え、便利であることには1000を超え、特に1500を超える。これは、それ自体公知の方法で決定(測定)可能であり、これについて、静的光分散が極めて有利であることがわかった。この代わりに、重合度は、GPC法によっても決定可能である。
【0022】
本発明に従うポリマーは、広範囲の分子量分布を有しており、その多分散性Mw/Mnは、1〜20の範囲が便利であり、3〜10の範囲が特に好ましい。
【0023】
更に、本発明に従うポリマーは、25℃で、0.4質量%溶液として測定して、固有粘度(Staudinger index)が1.0dl/gを超え、便利なことには5.0dl/gを超え、特に10.0dl/gを超える。
【0024】
本発明に従うポリマーの製造は、所定の組成物を遊離基重合によって行うことが好ましく、この場合、この組成物は、その合計質量に対して、少なくとも80.0質量%、好ましくは少なくとも85.0質量%、特に好ましくは少なくとも90.0質量%、特に少なくとも95.0質量%のエチレン性不飽和化合物を含み、及び少なくとも1種のモノマー(このモノマーは、ホスホン酸基及び/またはスルホン酸基を含む。)を含んでいる。
【0025】
ホスホン酸基を含むモノマーは、当業者にとって公知である。これらは、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合及び少なくとも1個のホスホン酸基を有する化合物である。好ましくは、炭素−炭素二重結合を形成している2個の炭素原子は、少なくとも2個、好ましくは3個の結合を有し、二重結合の小さな立体障害をもたらしている。これらの基は、特に水素原子及びハロゲン原子、特にフッ素原子を含んでいる。本発明において、ホスホン酸を含むポリマーは、重合生成物(この重合生成物は、ホスホン酸を単独で含むか、又は他のモノマー及び/又は架橋剤と一緒に含むモノマーを重合することによって得られる。)から得られる。
【0026】
ホスホン酸基を含むモノマーは、炭素−炭素二重結合を、1個、2個、3個又は3個を超える数で含む。更に、ホスホン酸基を含むモノマーは、ホスホン酸基を1個、2個、3個又は3個を超える数で含む。
【0027】
通常、ホスホン酸基を含むモノマーは、2〜20個、好ましくは2〜10個の炭素原子を含む。
【0028】
ホスホン酸基を含むモノマーは、式
【0029】
【化1】

【0030】
(但し、
Rが、結合、二価のC1−C15アルキレン基、二価のC1−C15アルキレンオキシ基、例えばエチレンオキシ基、又は二価のC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基はそれ自体、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換可能であり、
Zが、互いに独立して、水素、C1−C15アルキル基、C1−C15アルコキシ基、例えば、エチレンオキシ基、又はC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基は、それ自体、ハロゲン、−OH、−CN、で置換可能であり、及び、
xが、整数、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10を表し、
yが、整数、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10を表す、)
及び/又は、式
【0031】
【化2】

【0032】
(但し、
Rが、結合、二価のC1−C15アルキレン基、二価のC1−C15アルキレンオキシ基、例えばエチレンオキシ基、又は二価のC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基はそれ自体、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換可能であり、
Zが、互いに独立して、水素、C1−C15アルキル基、C1−C15アルコキシ基、例えば、エチレンオキシ基、又はC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基は、それ自体、ハロゲン、−OH、−CN、で置換可能であり、及び、
xが、整数、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10を表す、)
及び/又は、式
【0033】
【化3】

【0034】
(但し、
Aが、式COOR2、CN、CONR22、OR2及び/又はR2を表し、
2が、水素、C1−C15アルキル基、C1−C15アルコキシ基、例えば、エチレンオキシ基、又はC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基は、それ自体、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換可能であり、
Rが、結合、二価のC1−C15アルキレン基、二価のC1−C15アルキレンオキシ基、例えば、エチレンオキシ基又は二価のC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基はそれ自体、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換可能であり、
Zが、互いに独立して、水素、C1−C15アルキル基、C1−C15アルコキシ基、例えばエチレンオキシ基、又はC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基は、それ自体、ハロゲン、−OH、−CN、で置換可能であり、及び、
xが、整数、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10を表す、)
の化合物であることが好ましい。
【0035】
ホスホン酸基を含む好ましいモノマーは、特に、エテンホスホン酸、プロペンホスホン酸、ブテンホスホン酸等のホスホン酸基を含むアルケン;例えば、2−ホスホンメチルアクリル酸、2−ホスホンメチルメタクリル酸、2−ホシホンメチルアクリルアミド及び2−ホスホンメチルメタクリルアミド等の、ホスホン酸基を含むアクリル酸化合物及び/又はメタクリル酸化合物を含む。
【0036】
例えば、company Aldrich Clariant GmbHから入手可能な、市販されているビニルホスホン酸(エテンホスホン酸)を使用することが特に好ましい。好ましいビニルホスホン酸は、純度が70%を超え、特に90%を超え、及び特に好ましくは、純度が97%を超える。
【0037】
ホスホン酸基を含むモノマーは、更に、誘導体の状態で使用することができ、この誘導体は次に酸に変換可能であり、そしてこの酸への変換は、重合状態で行うこともできる。誘導体は特に、ホスホン酸基を含むモノマーの塩、エステル、アミド及びハロゲン化物を含む。
【0038】
本発明に従い使用される組成物は、その合計質量に対して、少なくとも20質量%、特に少なくとも30質量%、及び特に好ましくは少なくとも50質量%のモノマー(このモノマーは、ホスホン酸を含む。)を含んでいる。
【0039】
本発明の特定の局面に従えば、ホスホン酸基を含むモノマーを含む組成物(composition)は、ホスホン酸基を含むポリマー及び/又はホスホン酸基を含むアイオノマーを製造するのに使用可能である。これに関連して、スルホン酸基を含むモノマーのホスホン酸基を含むモノマーに対する質量割合は、100:1〜1:100の範囲であることが好ましく、10:1〜1:10の範囲であることがより好ましく、そして2:1〜1:2の範囲であることが特に好ましい。
【0040】
スルホン酸基を含むモノマーは、この技術分野の当業者にとって公知である。これらは、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合及び少なくとも1個のスルホン酸基を有する化合物である。炭素−炭素二重結合を形成している2個の炭素原子は、少なくとも2個、好ましくは3個の結合を有し、二重結合の(小さな)立体障害を形成することが好ましい。これらの基は、特に、水素原子及びハロゲン原子、特にフッ素原子を含む。本発明において、スルホン酸基を含むポリマーは、所定の重合生成物から得られ、この重合生成物は、スルホン酸基を単独で含むか又は(スルホン酸基を)他のモノマー及び/又は架橋剤と一緒に含むモノマーの重合によって得られる。
【0041】
スルホン酸基を含むモノマーは、1個、2個、3個又は3個を超える数の炭素−炭素二重結合を含んで良い。更に、スルホン酸基を含むモノマーは、1個、2個、3個又は3個を超える数のスルホン酸基を含むことができる。
【0042】
通常、スルホン酸基を含むモノマーは、2〜20個、好ましくは2〜10個の炭素原子を含んでいる。
【0043】
スルホン酸基を含むモノマーは、式
【0044】
【化4】

【0045】
(但し、
Rが、結合、二価のC1−C15アルキレン基、二価のC1−C15アルキレンオキシ基、例えばエチレンオキシ基、又は二価のC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基はそれ自体、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換可能であり、
Zが、互いに独立して、水素、C1−C15アルキル基、C1−C15アルコキシ基、例えば、エチレンオキシ基、又はC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基は、それ自体、ハロゲン、−OH、−CNで置換可能であり、及び、
xが、整数、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10を表し、
yが、整数、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10を表す、)
及び/又は、式
【0046】
【化5】

【0047】
(但し、
Rが、結合、二価のC1−C15アルキレン基、二価のC1−C15アルキレンオキシ基、例えばエチレンオキシ基、又は二価のC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基はそれ自体、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換可能であり、
Zが、互いに独立して、水素、C1−C15アルキル基、C1−C15アルコキシ基、例えば、エチレンオキシ基、又はC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基は、それ自体、ハロゲン、−OH、−CNで置換可能であり、及び、
xが、整数、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10を表す、)
及び/又は、式
【0048】
【化6】

【0049】
(但し、
Aが、式COOR2、CN、CONR22、OR2及び/又はR2の基を表し、
2が、水素、C1−C15アルキル基、C1−C15アルコキシ基、例えばエチレンオキシ基、又はC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基は、それ自体、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換可能であり、
Rが、結合、二価のC1−C15アルキレン基、二価のC1−C15アルキレンオキシ基、例えばエチレンオキシ基、又は二価のC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基はそれ自体、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換可能であり、
Zが、互いに独立して、水素、C1−C15アルキル基、C1−C15アルコキシ基、例えば、エチレンオキシ基、又はC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基は、それ自体、ハロゲン、−OH、−CNで置換可能であり、及び、
xが、整数、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10を表す、)
の化合物であることが好ましい。
【0050】
ホスホン酸基を含む、好ましいモノマーは、特に、エテンスルホン酸、プロペンスルホン酸、ブテンスルホン酸等のスルホン酸基を含むアルケン;例えば、2−スルホンメチルアクリル酸、2−スルホンメチルメタクリル酸、2−スルホンメチルアミド及び2−スルホンメチルメタクリルアミド等のスルホン酸を含むアクリル酸化合物及び/又はメタクリル酸化合物を含む。
【0051】
例えば、company Aldrich or Clariant GmbHから入手可能な、市販されているビニルホスホン酸(エテンホスホン酸)を使用することが特に好ましい。好ましいビニルホスホン酸は、純度が70%を超え、特に90%を超え、及び特に好ましくは、純度が97%を超える。
【0052】
ホスホン酸基を含むモノマーは、更に、誘導体の状態で使用することができ、この誘導体は次に酸に変換可能であり、そしてこの酸への変換は、重合状態で行うこともできる。誘導体は特に、ホスホン酸基を含むモノマーの塩、エステル、アミド及びハロゲン化物を含む。
【0053】
本発明に従い使用される組成物は、その合計質量に対して、少なくとも20質量%、特に少なくとも30質量%、及び特に好ましくは少なくとも50質量%のモノマー(このモノマーは、ホスホン酸を含む。)を含んでいる。
【0054】
本発明の好ましい実施の形態では、重合可能な組成物は、架橋可能なモノマーを含む。この組成ものは、特に、少なくとも2個の炭素−炭素二重結合を含む化合物である。ジエン、トリエン、テトラエン、ジメチルアクリレート、トリメチルアクリレート、テトラメチルアクリレート、ジアクリレート、トリアクリレート、テトラアクリレートが好ましい。
【0055】
特に好ましいものは、式
【0056】
【化7】

のジエン、トリエン、テトラエンであり、
式、
【0057】
【化8】

のジメチルアクリレート、トリメチルアクリレート、テトラメチルアクリレートであり、
式、
【0058】
【化9】

のジアクリレート、トリアクリレート、テトラアクリレート
(但し、
Rが、C1−C15アルキル基、C5−C20アリール又はヘテロアリール基、NR’、−SO2、PR’、Si(R’)2を表し、そして、上述の各基は、それ自体置換されても良く、
R’が、互いに独立して、水素、C1−C15アルキル基、C1−C15アルコキシ基、C5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、及び、
nが少なくとも2である。)
である。
【0059】
上述した基Rの置換基は、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシ、カルボキシル、カルボキシルエステル、ニトリル、アミン、シリル、シロキサン基が好ましい。
【0060】
特に好ましい架橋剤は、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、及びポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ジウレタンジメタクリレート、トリメチルプロパントリメタクリレート、エポキシアクリレート、例えば、エバクリル、N’,N−メチレンビスアクリルアミド、カルビノール、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、ジビニルベンゼン及び/又はビスフェノールAジメチルアクリレートである。これら化合物は、例えば、Sartomer Company Exton,Pennsylvaniaから、CN−120、CN−104及びCN−980の称号で市販されている。
【0061】
架橋剤の使用は任意のもので、代表例では、これら化合物はホスホン酸を含むモノマーの質量に対して、0.05〜30質量%、好ましくは0.1〜20質量%、特に好ましくは1〜10質量%の範囲で使用される。
【0062】
しかしながら、本発明の極めて好ましい変形例では、組成物は架橋剤を含まない。このように得られる、架橋されていないポリマーは、より容易な処理が可能になる。
【0063】
組成物は、追加的に更なる成分、特に有機及び/又は無機溶媒を含むことができる。有機溶媒は、特に、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の極性非プロトン性溶媒、エチルアセテート等のエステル、及びアルコール、例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール、及び/又はブタノール等の極性プロトン性溶媒を含む。無機溶媒は、特に、水、リン酸及びポリリン酸を含む。
【0064】
これらは、得られたポリマーの処理性(加工性)に積極的に影響を及ぼして良い。特に、有機溶媒の添加により、ポリマーの溶解性が改良される。
【0065】
本発明において、ホスホン酸基及び/又はスルホン酸基を含むモノマーを含む組成物は、遊離基重合(この遊離基重合は、熱的、光化学的、化学的及び/又は電気化学的に開始されることが好ましい。)によって重合される。
【0066】
例えば、基(ラジカル)を形成可能な物質を少なくとも1種含む開始溶液(誘発溶液)を組成物に加えることができる。更に、少なくとも1種の基形成剤(radical former)を組成物に直接的に加え、そして例えば超音波によって組成物中に溶解させることができる。
【0067】
適切な基形成剤は、特に、アゾ化合物、ペルオキシ化合物、過硫酸塩化合物、又はアゾアミジンである。例(但し、この例に限定されるものではない。)は、ベンゾイルペルオキシド、ジクメンペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジポッタジウムペルサルフェート、アンモニウムペルオキシジサルフェート、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス(イソブチル酸アミジン)ヒドロクロリド、ベンゾピナコール、ジベンジル誘導体、メチルエチルケトンペルオキシド、1,1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、メチルエチルケトンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、tert−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、ケトンペルオキシド、メチルイソブチルケトンペルオキシド、シクロヘキサンペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert.−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシイソブチレート、tert−ブチルペルオキシアセテート、ジクメンペルオキシド、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、クミルヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、ビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、及びDuPontから(登録商標)Vazo、例えば、(登録商標)Vazo V50及び(登録商標)Vazo WSの名称で得られる基形成剤である。
【0068】
更に、放射(照射)によって基(ラジカル)を形成する基形成剤を使用することも可能である。好ましい化合物は、特に、α.α−ジエトキシアセトフェノン(DEAP,Upjon Corp)、n−ブチルベンゾインエーテル((登録商標)Trigonal−14,AKZO)及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン((登録商標)Igacure651)及び1−ベンゾイルシクロヘキサノール((登録商標)Igacure184)、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド((登録商標)Igacure189)、及び1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−フェニルプロパン−1−one((登録商標)Igacure2959)を含み、これらは、Ciba Geigy Corpから市販されている。
【0069】
本発明の目的のために、水溶性基形成剤が極めて有利であることがわかった。これらは、20℃及びpH=5で、100gの水溶液に対して、少なくとも0.1g、好ましくは少なくとも0.5g、特に少なくとも1.0gの水溶性を有している。
【0070】
company Dupont(Dupont 社)からの以下の基形成剤を使用することが特に有益である:
(登録商標)Vazo56WSW:2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド
(登録商標)Vazo56WSP:2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド
(登録商標)Vazo68WSP:4,4’−アゾビス(4−シクロバレリアン酸)
(登録商標)Vazo33:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシペンタンニトリル)
(登録商標)Vazo44WSP:2,2’−アゾビス(N,N’−ジエチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロリド
また、company Wako(Wako 社)からの以下の基形成剤を使用することも特に有益である:
(登録商標)VA−041:2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド
(登録商標)VA−044:2,2’−アゾビス[2−(2−イミドゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド
(登録商標)VA−046:2,2’−アゾビス[2−(2−イミドゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェートジヒドレート
(登録商標)V−50:2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジヒドロクロリド
(登録商標)VA−057:2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラヒドレート
(登録商標)VA−058:2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド
(登録商標)VA−060:2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリンー2−イル]プロパン}ジヒドロクロリド
(登録商標)VA−061:2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]
(登録商標)VA−080:2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド
(登録商標)VA−085:2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}
(登録商標)VA−086:2,2’−アゾビス[2−メチル−N−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド]。
【0071】
選択した重合条件下で、基形成剤は、半減期(half-life)が1分〜300分の範囲、好ましくは1分〜200分の範囲、特に1分〜150分の範囲であることが好ましい。
【0072】
基形成剤は、代表例では、(組成物の質量に対して)0.0001〜5質量%、特に0.01〜3質量%の量で加えられる。基形成剤の量は所望の重合度に従って変化することができる。
【0073】
重合は、IR又はNIRの作用によっても行うことができる(IR=赤外線、すなわち波長が700nmを超える光;NIR=近−IR(近赤外線)、すなわち、波長が約700〜2000nmであり、そしてエネルギーが約0.6〜1.75eVの光)。
【0074】
重合は、波長が400nm未満のUV光の作用によっても行うことができる。この重合方法は、それ自体は公知であり、そして例えば、Hans Joerg Elias,Makromolekulare Chemie,5th edition,volume1,492−511頁;D.R.Arnold,N.C.Baird,J.R.Bolton,J.C.D.Brand,P.W.M Jacobs,P.de Mayo,W.R.Ware,Photochemistry−An Introduction,Academic Press, New Yourk and M.K.Mishra,Radical Photopolymerization of Vinyl Monomers,J.Macromol.Sci−Revs.Macromol.Chem.Phys.C22(1982−1983)409に記載されている。
【0075】
重合は、β線、γ線及び/又は電子線によっても行うことができる。本発明の特定の実施の形態に従えば、膜は、1〜300kGy、好ましくは3〜250kGy、及び特に好ましくは20〜200kGyの放射線量に放射される。
【0076】
組成物の重合は、室温(20℃)を超え及び200℃未満の温度、特に40℃〜150℃の範囲、特に好ましくは50℃〜120℃の範囲で行われる。重合は、常圧で行われることが好ましいが、しかし加圧下で行うこともできる。
【0077】
本発明に従うポリマーは、いわゆるPEM燃料電池におけるポリマー電解質膜(PEM)のために特に適切である。これに関し、これらは、単独で使用可能であり、そして
1種以上のポリマー(B)(ポリマー(B)は、ホスホン酸基及び/又はスルホン酸基を含むモノマーの重合によっては得られないポリマーである。)と組み合わせても使用可能である。これに関し、ポリマー(A)と(B)の特に適切な組み合わせは、ポリマー(A)のポリマー(B)に対する質量割合が、1:1〜10:1のものである。更に、その合計質量に対して、
a)40.0〜90.0質量%のポリマー(A)、
b)1.0〜30.0質量%のポリマー(B)、及び
c)0.0〜50.0質量%のリン酸、
(ここで成分の質量割合の合計が100質量%であることが好ましい。)を含む組成物の使用が特に有利であることがわかった。本発明の非常に好ましい実施の形態に従えば、組成物は、70.0〜90.0質量%、好ましくは75.0〜85質量%のポリマー(A)、及び10.0〜30.0質量%、好ましくは15.0〜25.0質量%のポリマー(B)を含む。本発明の第2の極めて好ましい実施の形態に従えば、組成物は、40.0〜60.0質量%、好ましくは45.0〜55質量%のポリマー(A)、5.0〜15.0質量%、好ましくは7.5〜12.5質量%のポリマー(B)、及び30.0〜50.0質量%、好ましくは35.0〜45.0質量%のリン酸(H3PO4)を含む。
【0078】
好ましいポリマー(B)は、特に、ポリ(クロロプレン)、ポリアセチレン等のポリオレフィン、ポリフェニレン、ポリ(p−キシレン)、ポリアリールメチレン、ポリスチレン、ポリメチレンスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルエーテル、ポリビニルアミン、ポリ(N−ビニルアセトアミン)、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリビニルクロリド、ポリビニリデンクロリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルジフルオリド、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、PTFEとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー、PTFEとペルフルオロプロピルビニルエーテルとのコポリマー、PTFEとトリフルオロニトロソメタンとのコポリマー、PTFEとカルバルコキシペルフルオロアルコキシビニルエーテルとのコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニルフルオリド、ポリビニリデンフルオリド、ポリアクロレイン、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリシアノアクリレート、ポリメタクリルイミド、シクロオレフィンコポリマー、特にノルボルネンのもの;
骨格(バックボーン)にC−O結合を有するポリマー、例えば、
ポリアセタル、ポリオキシメチレン、ポリエーテル、ポリプロピレンオキシド、ポリエピクロロヒドリン、ポリテトラヒドロフラン、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン、
ポリエステル、特に、ポリヒドロキシ酢酸、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヒドロキシベンゾエート、ポリヒドロキシプロピオン酸、ポリプロピオン酸、ポリピバロラクトン、ポリカプロラクトン、フラン樹脂、フェノールアリール樹脂、ポリマロン酸、ポリカーボネート;
骨格中ポリマーC−S結合、例えば、ポリサルファイドエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリアリールエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンサルファイドスルホン、ポリ(フェニルサルファイド)−1,4−フェニレン;
骨格中にC−N結合を有するポリマー、例えば、ポリイミン、ポリイソシアニド、ポリエーテルイミン、ポリエーテルイミド、ポリ(トリフルオロメチル)ビス(フタルイミド)フェニル、ポリアニリン、ポリアラミド、ポリアミド、ポリヒドラジド、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアゾール、ポリアゾールエーテルケトン、ポリウレア、ポリアジン;
液体結晶ポリマー、特にVectra、及び、
無機ポリマー、例えばポリシラン、ポリカーボシラン、ポリシロキサン、ポリケイ酸、ポリシリケート、シリコン、ポリホスファゼン及びポリチアジルを含む。これらのポリマーは、個々に使用可能であり、又は2種、3種又は3種を超える種類の混合物として使用可能である。
【0079】
特に好ましいものは、少なくとも1個の窒素原子、酸素原子、及び/又は硫黄原子を繰り返し単位中に含むポリマーである。特に好ましいものは、繰り返し単位当たり、少なくとも1個の窒素、酸素及び/又は硫黄ヘテロ原子を有する少なくとも1種の芳香族環を含むポリマーである。この群中、ポリアゾールに基づいたポリマーが特に好ましい。これらアルカリ性ポリアゾールポリマーは、繰り返し単位当たり、窒素を少なくとも1個有する、少なくとも1種の芳香族環を含む。
【0080】
芳香族環は、1〜3個の窒素原子を有する5員又は6員環を含むことが好ましく、この環は、他の環、特に他の芳香族環と縮合(fuse)していても良い。
【0081】
これに関し、ポリアゾールが特に好ましい。ポリアゾールに基づいたポリマーは、通常、式(I)及び/又は(II)、及び/又は(III)及び/又は(IV)、及び/又は(V)及び/又は(VI)、及び/又は(VII)及び/又は(VIII)、及び/又は(IX)及び/又は(X)、及び/又は(XI)及び/又は(XII)、及び/又は(XIII)及び/又は(XIV)、及び/又は(XV)及び/又は(XVI)、及び/又は(XVII)及び/又は(XVIII)、及び/又は(XIX)及び/又は(XX)、(XXI)及び/又は(XXII)、
【0082】
【化10】

【0083】
【化11】

【0084】
【化12】

【0085】
【化13】

【0086】
(但し、
Arは、同一又は異なるもので、そして4価の芳香族又はヘテロ芳香族基を表し、この基は単環(mononuclear)又は複環(polynuclear)であって良く、
Ar1は、同一又は異なるもので、そして2価の芳香族又はヘテロ芳香族基を表し、この基は単環又は複環であって良く、
Ar2は、同一又は異なるもので、そして2価又は3価の芳香族又はヘテロ芳香族基を表し、この基は単環又は複環であって良く、
Ar3は、同一又は異なるもので、そして3価の芳香族又はヘテロ芳香族基を表し、この基は単環又は複環であって良く、
Ar4は、同一又は異なるもので、そして3価の芳香族又はヘテロ芳香族基を表し、この基は単環又は複環であって良く、
Ar5は、同一又は異なるもので、そして3価の芳香族又はヘテロ芳香族基を表し、この基は単環又は複環であって良く、
Ar6は、同一又は異なるもので、そして2価の芳香族又はヘテロ芳香族基を表し、この基は単環又は複環であって良く、
Ar7は、同一又は異なるもので、そして2価の芳香族又はヘテロ芳香族基を表し、この基は単環又は複環であって良く、
Ar8は、同一又は異なるもので、そして3価の芳香族又はヘテロ芳香族基を表し、この基は単環又は複環であって良く、
Ar9は、同一又は異なるもので、そして2価又は3価又は4価の芳香族又はヘテロ芳香族基を表し、この基は単環又は複環であって良く、
Ar10は、同一又は異なるもので、そして2価又は3価の芳香族又はヘテロ芳香族基を表し、この基は単環又は複環であって良く、
Ar11は、同一又は異なるもので、そして2価の芳香族又はヘテロ芳香族基を表し、この基は単環又は複環であって良く、
Xは、同一又は異なるもので、そして、酸素、硫黄又はアミノ基を現し、この基は、水素原子、更なる基として1〜20個の炭素原子を有する基、好ましくは分岐した又は非分岐のアルキル基又はアルコキシ基を有し、
Rは、同一又は異なるもので、そして、水素、アルキル基、及び芳香族基であり、且つ式XX中のRは、2価の基で、そしてn、mがそれぞれ、10以上の整数、好ましくは100以上の整数である。)
の繰り返しアゾール単位を含む。
【0087】
好ましい芳香族又はヘテロ芳香族基は、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ビスフェノン、ジフェニルスルホン、チオフェン、フラン、ピロール、チアゾール、オキサゾール、イミダゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピラゾール、1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ジフェニル−1,3,4−オキサジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,3,4−トリアゾール、2,5−ジフェニル−1,3,4−トリアゾール、1,2,5−トリフェニル−1,3,4−トリアゾール、1,2,4−オキサジアオール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,3,4−テトラゾール、ベンゾ[b]チオフェン、ベンゾ[b]フラン、インドール、ベンゾ[c]チオフェン、ベンゾ[c]フラン、イソインドール、ベンゾキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズイソキサゾール、ベンズイソチアゾール、ベンゾピラゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、ピリジン、ビピリジン、ピラジン、ピラゾール、ピリミジン、ピリダジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,4,5−トリアジン、テトラジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キノアゾリン、シンノリン、1,8−ナフチリジン、1,5−ナフチリジン、1,6−ナフチリジン、1,7−ナフチリジン、フタラジン、ピリドピリミジン、プリン、プテリジン、又はキノリジン、4H−キノリジン、ジフェニルエーテル、アントラセン、ベンゾピロール、ベンゾオキサチアジアゾール、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾピリジン、ベンゾピラジン、ベンゾピラジジン、ベンゾピリミジン、ベンゾトリアジン、インドリジン、ピリドピリジン、イミダゾピリミジン、ピラジノピリミジン、カルバゾール、アジリジン、フェナジン、ベンゾキノリン、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジジン、ベンゾプテリジン、フェナンスロリン、及びフェナンスレンから誘導され、これらは所望により置換されても良い。
【0088】
この場合、Ar1、Ar4、Ar6、Ar7、Ar8、Ar9、Ar10、Ar11は、如何なる置換パターンも有することができ、例えば、フェニレンの場合、Ar1、Ar4、Ar6、Ar7、Ar8、Ar9、Ar10、Ar11は、オルトフェニレン、メタ−フェニレン、及びパラ−フェニレンが可能である。特に好ましい基は、ベンゼン及びビフェニレン(これらも置換されて良い。)から誘導される。
【0089】
好ましいアルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、又はi−プロピル、及びt−ブチル基等の1〜4個の炭素原子を有する短鎖アルキル基である。
【0090】
好ましい芳香族基は、フェニル又はナフチル基である。アルキル基及び芳香族基は、置換可能である。
【0091】
好ましい置換基は、例えばフッ素等のハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、又はメチル又はエチル基等の短鎖アルキル基である。
【0092】
式(I)の繰り返し単位(この場合、繰り返し単位中の基Xは同一である。)を有するピラゾールが好ましい。
【0093】
ポリアゾールは原則として、異なる繰り返し単位(この単位では、例えばその基Xは異なる。)を有することもできる。しかしながら、繰り返し単位中に同一の基Xのみが存在することが好ましい。
【0094】
更に好ましいポリアゾールポリマーは、ポリイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリオキサジアゾール、ポリキノキサリン、ポリチアジアゾール、ポリ(ピリジン)、ポリ(ピリミジン)、及びポリ(テトラザピレン)である。本発明の他の実施の形態では、繰り返しアゾール単位を含むポリマーは、互いに異なる式(I)〜(XXII)の少なくとも2種の単位を有するコポリマー又はブレンドである。ポリマーは、ブロックコポリマー(ジブロック、トリブロック)、ランダムコポリマー、周期コポリマー(periodic copolymer)及び/又は互換ポリマー(alternating polymer)が可能である。
【0095】
本発明の特に好ましい実施の形態では、繰り返しアゾール単位を有するポリマーは、式(I)及び/又は(II)の単位だけを含むポリアゾールである。
【0096】
ポリマー中の繰り返しアゾール単位の数は、10以上の整数であることが好ましい。特に好ましいポリマーは、少なくとも100個の繰り返しアゾール単位を有している。
【0097】
本発明において、繰り返しベンズイミダゾール単位を含むポリマーが好ましい。繰り返しベンズイミダゾール単位を含む最も適切なポリマーの例は、式、
【0098】
【化14】

【0099】
【化15】

【0100】
【化16】

【0101】
【化17】

【0102】
【化18】

【0103】
(但し、n及びmは、10以上の整数、好ましくな100以上の整数である。)
によって表されるものである。
【0104】
更に好ましいポリアゾーリポリマーは、ポリイミダゾール、ポリベンズイミダゾールエーテルケトン、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾキサゾール、ポリトリアゾール、ポリオキサジアゾール、ポリチアジアゾール、ポリピラゾール、ポリキノキサリン、ポリ(ピリジン)、ポリ(ピリミジン)及びポリ(テトラザピレン)である。
【0105】
好ましいポリアゾールは、分子量が高いという特徴を有している。このことは、特にポリベンンズイミダゾールに適応される。固有粘度として測定して、少なくとも0.2dl/g、好ましくは0.7〜10dl/g、特に0.8〜5dl/gであることが好ましい。
【0106】
company Celaneseからのセラゾールが特に好ましい。ポリマーフィルムとポリマー膜の特性は、ドイツ特許出願No.10129458.1に記載されているように、出発ポリマーをスクリーニングすることにより改良可能である。
【0107】
更に、芳香族スルホン酸基を有するポリマーをポリマー(B)として使用可能である。芳香族スルホン酸基は、スルホン酸基(−SO3H)が芳香族基又はヘテロ芳香族基に共有結合的に結合した基である。芳香族基は、ポリマーの主鎖(骨格)の一部を形成して良く、又は側基の一部を形成して良く、そして、主鎖中に芳香族基を含むポリマーが好ましい。スルホン酸基は、塩の状態でもしばしば使用される。誘導体、例えばスルホン酸のエステル、特にメチル又はエチルエステル、又はハロゲン化物を使用することも可能であり、誘導体は、膜の操作の間にスルホン酸に変換される。
【0108】
スルホン酸基で改質されたポリマーは、スルホン酸基を0.5〜3meq/gの範囲、好ましくは0.5〜2.5meq/gの範囲で有することが好ましい。この値は、いわゆるイオン交換キャパシティー(IEC)によって決定される。
【0109】
IECを測定するために、スルホン酸基が遊離酸(free acid)に変換される。この目的のために、ポリマーが、公知の方法において、酸で処理され、過剰の酸が洗浄によって除去される。例えば、スルホネート化されたポリマーが、最初に沸騰した水中で2時間処理される。次に、過剰の水が除去され、そして試料が真空乾燥キャビネット内で160℃及びp<1mbarで15時間乾燥される。次に、膜の乾燥質量が測定される。このようにして乾燥されたポリマーは、DMSO中に80℃で1時間にわたり溶解される。次に、溶液は、0.1M NaOHで滴定される。次に、酸の等価点に至るまでの消費量と乾燥質量からイオン交換キャパシティー(IEC)が計算される。
【0110】
芳香族基と共有結合的に結合したスルホン酸基を有するポリマーは、この技術分野の当業者にとって公知である。芳香族スルホン酸基を有するポリマーは、例えば、ポリマーのスルホン化によって製造することができる。ポリマーをスルホン化する方法は、F.Kucera et al.,Polymer Engineering and Science 1988,Vol.38, No5,783−792に記載されている。ここで、スルホン化の条件は、スルホン化の程度が低くなるように選択される(DE−A−19959289)。
【0111】
芳香族スルホン酸基を有するポリマー(このポリマーでは、芳香族は側基の一部になっている。)に関し、特にポリスチレン誘導体が参照される。例えば、US−A−6110616には、ブタジエンとスチレンのコポリマー及び燃料電池に使用するために、次にこのコポリマーをスルホン化することが記載されている。
【0112】
このようなポリマーは、酸基を含むモノマーのポリリアクション(重合反応)によっても得ることができる。例えば、US−A−5422411に記載されたような過フッ素化されたポリマーが、トリフルオロスチレン及びスルホニル−改質トリフルオロスチレンからの共重合によって製造することができる。
【0113】
本発明の特定の局面に従えば、芳香族基に結合したスルホン酸基を含む高温で安定な熱可塑性物質が使用される。通常、このようなポリマーは、骨格中に芳香族基を有している。従って、スルホン化ポリエーテルケトン(DE−A−4219077、WO96/01177)、スルホン化ポリスルホン(J.Membr.Scu.83(1993),p.211)又はスルホン化ポリフェニレンサルファイド(DE−A−19527435)が好ましい。
【0114】
芳香族基に結合したスルホン酸基を有する、上述したポリマーは、個々に、又は混合物として使用可能であり、そして、骨格中に芳香族を有するポリマーを有する混合物が特に好ましい。
【0115】
好ましいポリマーは、ポリスルホン、特に骨格中に芳香族基を有するポリスルホンを含む。本発明の特定の局面に従えば、好ましいポリスルホンは、ISO1133に従って測定して、溶融体積速度(melt volume rate)MVR300/21.6が、40cm3/10min以下、特に30cm3/10min以下、及び特に好ましくは20cm3/10min以下である。
【0116】
本発明の特定の局面に従えば、芳香族基に供有結合的に結合したスルホン酸基を有するポリマーの、ホスホン酸基を含むモノマーに対する割合は、0.1〜50の範囲、好ましくは0.2〜20の範囲、特に好ましくは1〜10の範囲である。
【0117】
好ましいポリマーは、ポリスルホン、特に骨格に芳香族基及び/又はヘテロ芳香族基を有するポリスルホンを含む。本発明の特定の局面に従えば、好ましいポリスルホン及びポリエーテルスルホンは、ISO1133に従って測定して、溶融体積速度MVR300/21.6が、40cm3/10min以下、特に30cm3/10min以下、及び特に好ましくは20cm3/10min以下である。ここで、Vicat軟化点温度(Vicat softening temperature)VST/A/50が180℃〜230℃のポリスルホンが好ましい。更に、本発明の好ましい他の実施の形態では、ポリスルホンの数平均分子量は、30000g/molを超える。
【0118】
ポリスルホンに基くポリマーは、特に、式A、B、C、D、E、F、及び/又はGに従うスルホン基と結合した繰り返し単位を有するポリマーを含む:
【0119】
【化19】

【0120】
(但し、基Rが、互いに独立して、同一又は異なるものであり、そして芳香族基又はヘテロ芳香族基を表し、及びこれらの基は上述したものである。)これらは、特に、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、4,4’−ビフェニル、ピリジン、キノリン、ナフタレン、フェナンスレンを含む。
【0121】
本発明において好ましいポリスルホンは、ホモポリマー及びコポリマー、例えば、ランダムコポリマーを含む。特に好ましいポリスルホンは、式H〜Nの繰り返し単位を含む:
【0122】
【化20】

【0123】
前述したポリスルホンは、(登録商標)Victrex200P、(登録商標)Victrex720P、(登録商標)Ultrason E、(登録商標)Ultrason S、(登録商標)Mindel、(登録商標)Radel A、(登録商標)Radel R、(登録商標)Victrex HTA、(登録商標)Astrel及び(登録商標)Udelの登録商標名で市販されている。
【0124】
更に、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンケトン、及びポリアリールケトンが特に好ましい。これら高機能ポリマー(high-performance polymer)はそれ自体公知であり、そしてVictrex(登録商標)PEEKTM、(登録商標)Hostatec、(登録商標)Kadelの登録商標名で市販されている。
【0125】
更に技術的特性を改良するために、充填剤、特にプロトン伝導性充填剤及び追加的な酸を膜に加えることができる。このような物質は、真性導電率(intrinsic conductivity)が、100℃で少なくとも10-6S/cmであることが好ましく、及び特に少なくとも10-5S/cmであることが好ましい。
【0126】
プロトン伝導性充填剤の例(本発明はこの例に限られない。)は、
サルフェート、特にCsHSO4、Fe(SO42、(NH43H(SO42、LiHSO4、NaHSO4、KHSO4、RbSO4、LiN25SO4、NH4HSO4
ホスフェート、特にZr3(PO44、Zr(HPO42、HZr2(PO43、UO2PO4・3H2O、H8UO2PO4、Ce(HPO42、Ti(HPO42、KH2PO4、NaH2PO4、LiH2PO4、NH42PO4、CsH2PO4、CaHPO4、MgHPO4、HSbP28、HSb3214、H5Sb5220
ポリ酸(polyacid)、特に、H3PW1240・nH2O(n=21−29)、H3SiW1240・nH2O(n=21−29)、HxWO3、HSbWO6、H3PMo1240、H2Sb411、HTaWO6、HNbO3、HTiNbO5、HTiTaO5、HSbTeO6、H5Tu49、HSbO3、H2MoO4
亜セレン酸塩及び亜ヒ酸塩、特に(NH43H(SeO42、UO2AsO4、(NH43H(SeO42、KH2AsO4、Cs3(SeO42、Rb3H(SeO42
リン化物、特にZrP、TiP、HfP、
酸化物、特にAlO3、Sb25、ThO2、ZrO2、MoO3
シリケート(ケイ酸塩)、特にゼオライト、ゼオライト(NH4+)、フィロシリケート、テクトシリケート、H−ソーダ沸石、H−モルデン沸石、NH4−方沸石、NH4−方ソーダ石、NH4−ガラート、H−モントモリロナイト、
酸、特にHClO4、SbF5
充填剤、好ましくはカーバイド、特にSiC、Si34
ファイバー特にガラスファバー、ガラスパウダー及び/又はポリマーファイバー、好ましくはポリアゾールに基くもの、
である。
【0127】
これらの添加剤は、プロトン伝導性ポリマー膜中に、通常の量で含むことができるが、しかしながら、添加剤を大量に加え過ぎたことによって、膜の積極的特性(有利な特性)、例えば大きな伝導性、長い耐用年数、及び高い機械的安定性が影響を受けるべきではない。通常、膜は、添加剤を80質量%を超えて含むことがなく、好ましくは50質量%を超えて含むことなく、特に好ましくは20質量%を超えて含むことがない。
【0128】
更なる成分として、この膜は、過フッ素化されたスルホン酸添加剤(特に0.1〜20質量%、好ましくは0.2〜15質量%、極めて好ましくは0.2〜10質量%)を含むこともできる。これら添加剤は、特性を改良し、カソード近傍での酸素の溶解性と分散性を増し、そして触媒表面への電解質の吸着を低減する。(リン酸燃料電池用の電解質添加剤。Gang,Xiao;Hjuler,H.A.;Olsen,C.;Berg,R.W.;Bjerrum,N.J.Chem.Dep.A,Tech.Univ.Denmark,Lyngby,Den.J.Electrochem.Soc.(1993),140(4),896−902及びPerfluorosulfonimide as an additive in phosphoric acid fuel cell. Razaq,M.;Razaq,A.;Yeager,E.;DesMarteau,Darry D.;Singh,S.Case Cent.Electrochem.Sci.,Case West.Reserve Univ.,Cleveland, OH,USA.J.Electrochem.Soc.(1989).136(2),385−90.)
過フッ素化されたスルホン酸添加剤の例(この例に限られない。)は:トリフルオロメタンスルホン酸、カリウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、ナトリウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、リチウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、アンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、カリウムペルフルオロヘキサンスルホン酸塩、ナトリウムペルフルオロヘキサンスルホン酸塩、リチウムペルフルオロヘキサンスルホン酸塩、アンモニウムペルフルオロヘキサンスルホン酸塩、ペルフルオロヘキサンスルホン酸、カリウムノナフルオロブタンスルホン酸塩、ナトリウムノナフルオロブタンスルホン酸塩、リチウムノナフルオロブタンスルホン酸塩、アンモニウムノナフルオロブタンスルホン酸塩、セシウムノナフルオロブタンスルホン酸塩、トリエチルアンモニウムペルフルオロヘキサンスルホン酸塩、及びペルフルオロスルホイミドである。
【0129】
膜の製造は、それ自体公知の方法、例えば、成分を混合し、次に平坦な構造物を形成(特に、担体上への注ぎ、噴出、ドクターブレードでの供給、押出成形による形成)することによって行うことができる。この条件下で不活性と考えられる全ての担体が担体として適切である。これらの担体(support)は、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリヘキサフルオロプロピレン、以下のコポリマーすなわち、PTFEとヘキサフルオロプロピレン、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)及びポリプロピレン(PP)とのコポリマーから形成されるフィルムを含む。
【0130】
好ましい変形例では、膜成分は、例えば、ジメチルアセトアミド(DMAc)等の少なくとも1種の極性、非プロトン性溶媒に溶解され、そして通常の方法でフィルムが製造される。
【0131】
溶媒の残留物を除去するために、このように得られたフィルムは、ドイツ特許出願DE10109829に記載されているように、洗浄液で処理することができる。フィルムの洗浄による溶媒の残留物の除去(この洗浄は、ドイツ特許出願に記載されている。)により、フィルムの機械的特性は驚く程改良される。これらの特性は、特に、フィルムの弾性係数、引裂強度、及び破壊強度である。
【0132】
追加的に、ポリマーフィルムは、更なる改質(modification)、例えばドイツ特許出願DE10110752又はWO00/44816に記載された架橋による改質を有することができる。好ましい実施の形態では、アルカリ性ポリマー及び少なくとも1種のブレンド成分から成る、使用されるポリマーは、ドイツ特許出願DE10140147に記載されたような架橋剤を追加的に含む。
【0133】
プロトン伝導性を達成するために、膜は少なくとも1種の酸でドープされる。これに関し、酸は、公知の全てのルイス酸及びブレンステッド酸、好ましくは無機ルイス酸及びブレンステッド酸を含む。
【0134】
更に、ポリ酸(多酸:polyacid)、特に、イソポリアシッド及びヘテロポリアシッド及び異なる酸の混合物の適用も可能である。ここで、本発明の趣旨において、ヘテロポリアシッドは、少なくとも2個の異なる中心原子を有する無機ポリアシッドと定義され、ここで、中心原子のそれぞれは、金属(好ましくはCr、MO、V、W)及び非金属(好ましくはAs、I、P、Se、Si、Te)の弱い多塩基酸素酸(polybasic oxygen acids)を、部分的に混合された無水物として形成している。これらは特に、12−ホスホモリブデン酸及び12−ホスホタングステン酸を含む。
【0135】
膜の伝導性は、ドープ度(ドーピングの程度)によって影響を及ぼすことができる。ドーピング物質の濃度の増加に従い、その最大値に達するまで、伝導性が増加する。
【0136】
本発明に従えば、ドーピングの程度は、ポリマーの繰り返し単位1モル当たりのモルとして与えられる。本発明の範囲内で、3〜80の範囲のドーピング、便利なことには、5〜60、特に12〜60の範囲のドーピングが好ましい。
【0137】
特に好ましいドーピング物質は、硫酸及びリン酸、及び例えば加水分解の間、これら酸を放出する化合物である。極めて好ましいドーピング物質は、リン酸(H3PO4)である。ここで、高濃度に濃縮された酸が通常使用される。本発明の特定の局面に従えば、リン酸の濃度は、ドーピング物質の質量に対して、少なくとも50質量%、特に少なくとも80質量%である。
【0138】
更に、以下の工程、
I)本発明に従うポリマーとポリマー(B)とを、少なくとも1種の酸、好ましくはリン酸又はポリリン酸、特にポリリン酸に溶解させる工程、
II)工程I)に従い得られる溶液を、不活性ガスの存在下に400℃まで加熱する工程、
III)工程II)に従うポリマーの溶液を使用し、担体上に膜を形成する工程、
IV)工程III)で形成された膜を、自己担持(self-supporting)となるまで処理する工程、
を含む方法によっても、プロトン伝導性膜を得ることができる。
【0139】
この方法の変形例についての更なる情報(資料)は、例えば、DE10246461に見出すことができ、この文献の開示内容は、ここに参照として導入される。
【0140】
更に、ドープされた膜は、以下の工程、
A)本発明に従うポリマーと1種以上の芳香族テトラアミノ化合物及び1種以上の芳香族カルボン酸又はカルボン酸のエステル(このエステルは、カルボン酸モノマー当たり少なくとも2個の酸基を含む)、又は本発明に従うポリマーと、1種以上の芳香族及び/又はヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸とを、少なくとも1種の酸、好ましくはリン酸又はポリリン酸、特にポリリン酸中で混合し、溶液及び/又は分散液を形成する工程、
B)工程A)に従う混合物を使用して、担体又は電極に層を施す工程、
C)工程B)に従い得られる平坦な構造体/層を、不活性ガスの存在下に、350℃以下の温度で、好ましくは280℃以下の温度で加熱し、ポリアゾールポリマーを形成する工程、
D)工程C)で形成された膜を(膜が自己担持となるまで)処理する工程、
を含む方法によって得ることができる。
【0141】
この変形例の更なる詳細は、例えば、DE10246459に見出すことができ、この開示は、ここに参照として導入される。
【0142】
工程A)で使用される芳香族又はヘテロ芳香族カルボン酸及びテトラアミノ化合物については上述した。
【0143】
工程A)で使用されるポリリン酸は、例えば、Riedel−de Haenから入手可能な通常のポリリン酸であることが好ましい。ポリリン酸Hn+2n3n+1(n>1)は、P25として(酸滴定により)計算して通常、少なくとも83%の濃度を有している。モノマーの溶液の替わりに、分散液/懸濁液を製造することも可能である。
【0144】
工程A)で製造された混合物は、酸のポリマーとモノマーの合計に対する質量比が1:10000〜10000:1、好ましくは1:1000〜1000:1、特に1:100〜100:1である。
【0145】
工程B)に従う層形成は、ポリマーフィルム製造の従来技術によって、それ自体公知の方法(注ぎ、噴出、ドクターブレードでの供給)で行われることが好ましい。この条件下で不活性と考えられる全ての担体が担体として適切である。粘性を調節するために、リン酸(濃度、リン酸、85%)を必要な溶液に加えることができる。従って、粘性は、所望の値に調節されそして膜の形成が促進される。
【0146】
工程B)に従って製造される層は、厚さが20〜4000μm、好ましくは30〜3500μm、特に50〜3000μmである。
【0147】
工程A)に従う混合物が、トリカルボン酸又はテトラカルボン酸も含む場合、形成されたポリマーの分岐/架橋がこれにより達成される。このことは、機械的特性の改良に貢献する。
【0148】
工程C)に従い製造されたポリマー層は、湿分の存在塩下、所定の温度で、層が燃料電池内で使用するのに十分な強度を示すまでの期間処理される。処理は、膜が自己担持となり、損傷を受けることなく担体から引き離すことができる範囲で行うことができる。
【0149】
工程B)で得られた平面構造体は、工程C)に従い、350℃以下の温度で、好ましくは280℃以下の温度で、及び特に好ましくは200℃〜250℃の範囲で加熱される。工程C)で使用する不活性ガスは、この技術分野の当業者にとって公知である。これらは特に、窒素、及びネオン、アルゴン、ヘリウム等の希ガスを含む。
【0150】
本方法の変形例では、工程A)から得られた混合物を350℃以下の温度で、好ましくは280℃以下の温度で加熱することにより、オリゴマーとポリマーの形成を(既に)行うことができる。選択した温度及び継続時間に依存して、工程C)での加熱を部分的に又は完全に省略することができる。この変形例は、本発明の目的(対象)でもある。
【0151】
工程D)での膜の処理は、0℃を超え、そして150℃未満の温度、好ましくは10℃〜120℃の範囲、特に室温(20℃)〜90℃の範囲で、湿分又は水及び/又は蒸気及び/又は85%以下の水含有リン酸の存在下に行なわれる。この処理は、標準圧力で行うことが好ましく、しかし、圧力を作用させて行うこともできる。処理は本質的に、十分な湿分(水分:moisture)の存在下に行われ、そして、存在することが可能なポリリン酸が低分子量のポリリン酸及び/又はリン酸を形成し、そして部分的に加水分解することによって、膜の固化に貢献する。
【0152】
工程D)でのポリリン酸の部分的な加水分解は、膜の固化をもたらし、そして、層厚さを減少させ、厚さが15〜3000μm、好ましくは20〜2000μm、特に20〜1500μmの、自己担持型の膜を形成させる。
【0153】
工程B)に従いポリリン酸層内に存在する分子内及び分子間構造(相互貫入ネットワークIPN)は、工程C)において、規則膜(ordered membrane) (規則膜は、形成された膜の特定の特性に起因する。)をもたらす。
【0154】
工程D)に従う処理の上限温度は、代表例では150℃である。例えば、過熱蒸気からの湿分の作用が極めて短いために、この蒸気は150℃よりも高温であり得る。処理の継続時間は、実質的に温度の上限によるものである。
【0155】
部分的加水分解(工程D)も、気候室内(気候室では、定められた湿分作用で加水分解を特定状態に制御可能である。)で行うことができる。このことに関し、これ(対象物)に接触する周囲領域の温度又は飽和状態、(周囲領域は、例えば空気、窒素、二酸化炭素等のガス又は他の適切なガス又は蒸気である。)によって、湿分を特定状態に設定可能である。処理の継続時間は、上述した、選択したパラメーターに依存する。
【0156】
更に、処理の継続時間は、膜の厚さに依存する。
【0157】
代表例では、処理の継続時間(duration)は、例えば、過熱蒸気の作用を使用して数秒〜数分、又は例えば、開放した空気内で室温において及び比較的低い湿度で、複数日までを要する。好ましくは、処理の継続時間は、10秒〜300時間の間、特に1分〜200時間の間である。
【0158】
部分的加水分解が、湿度が比較的低い(40〜80%)周囲空気において室温(20℃)で行われた場合、処理の継続時間は1〜200時間の範囲である。
【0159】
工程D)に従い得られた膜は、以下の方法で形成可能である。すなわち、膜は、自己担持、すなわち、膜が担体から、損傷を受けることなく引き離すことができ、そして更に所望により直接的に加工可能なように形成可能である。
【0160】
リン酸の濃度及び従ってポリマー膜の伝導性は、加水分解の程度、すなわち、継続時間、温度及び周囲湿度によって設定可能である。リン酸の濃度は、ポリマーの繰り返し単位1モル当たりの酸のモル数で与えられる。従って、工程A)〜D)を含む方法により、リン酸濃度が特に高い膜を得ることができる。濃度(式(I)の繰り返し単位、例えばポリベンズイミダゾールに対するリン酸のモル数)は、10〜50が好ましく、12〜40の範囲が特に好ましい。
【0161】
本発明の、上述した方法の改良例では、少なくとも1種の酸、好ましくはリン酸又はポリリン酸、特にポリリン酸を使用してドープされた膜が製造されるが、これらのフィルムの製造は、以下の工程、
1)1種以上の芳香族テトラアミノ化合物を、カルボン酸モノマー当たり少なくとも2個の酸基を有する1種以上の芳香族カルボン酸又はこれらのエステル又は1種以上の芳香族及び/又はヘテロ芳香族ジアミノカルボン酸と、350℃以下、好ましくは300℃以下の温度で、溶融物中で反応させる工程、
2)工程1)に従い得られた固体プレポリマーと本発明に従うポリマーとを、少なくとも1種の酸、好ましくはリン酸又はポリリン酸、特にポリリン酸中に溶解させる工程、
3)工程2)に従い得られる溶液を、不活性ガス下で、300℃以下の温度、好ましくは280℃以下の温度に加熱し、溶解したポリアゾールポリマーを形成する工程、
4)工程3)に従う溶液を使用し、担体上に膜を形成する工程、
5)工程4)で形成された膜を、自己担持になるまで処理する工程
を含む方法によって行うこともできる。
【0162】
記号1)〜5)の下に記載された、本方法の工程は、工程A)〜D)のために既に詳細に説明されており、この説明は、(特に、好ましい実施の形態に関して)ここに参照される。
【0163】
本方法のこの変形例の更なる詳細は、例えば、DE10246459に見出すことができ、この開示は、参照によりここに導入される。
【0164】
本発明に従う膜は、卓越した特性によって特徴付けられる。プロトン伝導性膜の水分含有量は、好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下、及び極めて好ましくは5質量%以下である。
【0165】
このことに関し、膜の伝導性はグロッタスメカニズムに基いていると考えることができ、このメカニズムにより、系(システム)は、追加的な加湿を必要としないと考えられる。本発明の特に好ましい実施の形態では、従って好ましい膜は、低分子量のホスホン酸基を含むポリマーを部分的に含む。従って、ホスホン酸基を含むポリマー(但し、このポリマーの重合度は、2〜20の範囲である。)の割合は、ホスホン酸基を含むポリマーの質量に対して、少なくとも10質量%であることが好ましく、少なくとも20質量%であることが特に好ましい。
【0166】
膜の層厚さは、便利なことには、5〜2000μm、好ましくは15〜1000μm、好ましくは20〜500μm、特に30〜250μmの範囲である。
【0167】
更に、膜は、自己担持であることが好ましく、すなわち、何ら損傷を与えることなく膜を担体から引き離すことができ、及び更に所望により直接的に加工可能であることが好ましい。
【0168】
本発明の特定の実施の形態に従えば、膜は、機械的安定性が高い。この変形例では、(機械的安定性は、)DIN50539に従うマイクロ硬度測定によって測定される、膜の硬度(hardness)に起因する。この目的のために、膜に、ビッカースダイヤモンドで、3mNの力で20秒間連続的に負荷をかけ、そして「へこみ」の深さを測定した。これに従えば、室温での硬度は少なくとも0.01N/mm2、好ましくは少なくとも0.1N/mm2、及び特に好ましくは少なくとも1N/mm2であるが、この硬度は本発明を限定するものではない。次に、力を5秒にわたり3mNに一定に保ち、そして浸入深さのずれ(creep)を計算した。好ましい膜では、クリープCHU0.003/20/5は、これらの条件下で20%未満、好ましくは10%未満、そして極めて好ましくは5%未満であった。マイクロ硬度測定によって測定される値(modulus)、YHUは、少なくとも0.5MPa、特に少なくとも5MPa及び極めて好ましくは少なくとも10MPaであるが、しかしこのことは、本発明を限定するものではない。
【0169】
膜の硬度は、触媒層を有していない表面と、触媒層を有している表面の両方に関する。
【0170】
膜は、熱的、光化学的、化学的及び/又は電気化学的に架橋して膜の特性を更に改良することが可能である。
【0171】
特定の局面に従えば、膜は、少なくとも150℃、好ましくは少なくとも200℃、及び特に好ましくは少なくとも250℃に加熱することができる。好ましくは、熱的架橋は、酸素の存在下に行なわれる。本方法のこの工程において、酸素濃度は、通常、5〜50体積%の範囲、好ましくは10〜40体積%の範囲であるが、このことは、本発明を限定するものではない。
【0172】
架橋は、それぞれIR又はNIR(IR=赤外線、すなわち、波長が700nmを超える光;NIR=近−IR(近赤外線)、すなわち、波長が約700〜2000nmであり、そしてエネルギーが約0.6〜1.75eVの範囲の光)で行うことができ、及び/又はUV光で行うことができる。他の方法は、β線、γ線及び/又は電子線で照射することである。これに関し、照射は、5〜250kGyの範囲が好ましく、10〜200kGyの範囲が特に好ましい。照射は、開放空気中で、又は不活性ガス下で行うことができる。これにより、膜の特性、特にその耐久力が改良される。
【0173】
架橋の所望の程度(度合)に依存して、架橋反応の継続時間は、広い範囲のものとなる。通常、この反応時間は、1秒〜10時間、好ましくは1分〜1時間であるが、しかしながら、このことは本発明を限定するものではない。
【0174】
本発明の特定の実施の形態に従えば、膜は(元素分析に従い)、膜の合計質量に対して、少なくとも3質量%、好ましくは少なくとも5質量%、及び特に好ましくは少なくとも7質量%の硫黄及び/又はリン(燐)、特にリンを含む。硫黄及び/又はリンの割合は、元素分析によって測定可能である。この目的のために、膜は真空(1mbar)下において110℃で3時間乾燥される。
【0175】
膜は、スルホン酸基及び/又はホスホン酸基、特にホスホン酸基の含有量が、好ましくは少なくとも5meq/g、特に好ましくは少なくとも10meq/gである。この値は、いわゆるイオン交換キャパシティー(IEC)によって決定される。
【0176】
IECを測定するために、酸基は、遊離酸に変換され、そして次に0.1MのNaOHで滴定される。イオン交換キャパシティー(IEC)は、次に、等価点(equivalent point)に至るまでの酸の消費量と乾燥質量から計算される。
本発明に従うポリマー膜は、従来から公知のドープされたポリマー膜と比較して、その材料特性が改良されている。特に、本発明に従うポリマー膜は、公知のドープされた膜よりも良好な性能(performance)を示す。この理由は、特にプロトン伝導性が改良されていることにある。このプロトン伝導性(プロトン伝導度)は、120℃の温度で、少なくとも1mS/cm、好ましくは少なくとも2mS/cm、特に少なくとも5mS/cmである。
【0177】
更に、膜は、70℃での高い伝導性も有している。この伝導性は特に、膜中のスルホン基の含有量に依存している。この割合が高い程、低温での伝導性が良くなる。これに関し、本発明に従う膜は、低い温度で加湿することができる。この目的のために、エネルギー源として使用する化合物、例えば水素を、ある割合の水と一緒に供給することができる。しかしながら多くの場合、加湿状態(ねれた状態)を得るためには、反応によって形成された水で十分である。
【0178】
ポテンシオスタトモード(定電位モード)における4極配置でのインピーダンス分光法によって、及び白金電極(ワイヤー、直径が0.25mm)を使用して、特定の伝導性(伝導度)が測定される。電流収集電極間の間隔は2cmである。得られたスペクトルは、オーム抵抗とキャパシターを平行に配置した単純な構造模型(model)を使用して評価される。リン酸がドープされた膜の試料を装備する直前に、膜の断面(cross section)が、測定される。温度依存性を測定するために、炉内で測定セルが所望の温度に設定され、そして試料の直近に配置されたPt−100熱伝対を使用して調節される。所望の温度に達すると、測定を開始する前に、試料はこの温度に10分間維持される。
【0179】
ポリマー電解質膜に加え、本発明に従う膜電極アセンブリは更に、少なくとも2個の電気化学的に活性な電極(アノードとカソード)を含んでおり、この電極はポリマー電解質膜によって分離されている。「電気化学的に活性」という用語は、電極が、水素及び/又は少なくとも1種の改質剤の酸化及び酸素の還元に触媒作用を及ぼすことが可能であることを表す。この特性は、電極を白金及び/又はルテニウムで被覆することにより得ることができる。「電極」という用語は、この材料が電気的に伝導性であることを意味する。電極は、任意に、貴金属層を含むことができる。このような電極は公知であり、そしてUS4191618、US4212714及びUS4333805に記載されている。
【0180】
電極は。触媒層に接触しているガス拡散層を含むことが好ましい。
【0181】
平坦な、電気的に伝導性の、及び耐酸性の構造物が、ガス拡散層として使用される。これらは、例えば、グラファイト−ファイバーペーパー、カーボンファイバーペーパー、グラファイトファブリック及び/又はカーボンブラックを加えることによって伝導性を付与されたペーパー(紙)を含む。これらの層によって、ガス及び/又は液体の流れの微細な分布(distribution)が達成される。
【0182】
更に、機械的に安定な安定化材料(この安定化材料には、少なくとも1種の電気的に伝導性の材料、例えばカーボン(例えばカーボンブラック)が含浸されている。)を含んだ、ガス拡散層を使用することも可能である。これらの目的のために特に適切な安定化材料は、ファイバーを含む。このファイバーは、例えば不織布ファブリック、ペーパー又はファブリックの状態、特にカーボンファイバー、ガラスファイバー又は有機ポリマー、例えばポリプロピレン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)、ポリフェニレンサルファイド又はポリエーテルケトンを含むファイバーの状態のものである。このような拡散層の更なる詳細は、例えばWO9720358に記載されている。
【0183】
ガス拡散層の厚さは、好ましくは80μm〜2000μmの範囲、特に100μm〜1000μmの範囲、及び特に好ましくは150μm〜500μmの範囲である。
【0184】
更に、ガス拡散層は、多孔性であることが便利(有利)である。多孔度の範囲は20%〜80%であることが好ましい。
【0185】
ガス拡散層は、通常の添加剤を含むことができる。添加剤は特に、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフルオロポリマー及び界面活性物質を含む。
【0186】
特定の実施の形態に従えば、少なくとも1種のガス拡散層は、圧縮(加圧)可能な材料から形成することができる。本発明について、圧縮可能な材料は、ガス拡散層がその全体性(完全性)を損なうことなく、最初の厚さの半分にまで、特に三分の一にまで圧縮可能であるという特徴を有している。
【0187】
この特性は、通常、グラファイトファブリック及び/又はカーボンブラックの添加により伝導性が付与されやペーパーでできたガス拡散層に見ることができる。
【0188】
触媒層(複数層の場合を含む)は、触媒的に活性な物質を含んでいる。触媒的に活性な物質は特に、白金族の貴金属、すなわち、Pt、Pd、Ir、Rh、Os、Ru又は貴金属Au及びAgを含む。上述した金属の全ての合金も使用して良い。追加的に、少なくとも1種の触媒層が、白金族とFe、Co、Ni、Cr、Mn、Zr、Ti、Ga、V等の非貴金属(non-precious metal)との合金を含むことができる。更に、上述した貴金属及び/又は非貴金属の酸化物も使用することができる。
【0189】
上述した物質を含む触媒的に活性な粒子は、いわゆるブラック貴金属、特に白金及び/又は白金合金の金属粉として使用可能である。このような粉は通常、サイズ(直径)が、5nm〜200nmの範囲、好ましくは7nm〜100nmの範囲である。
【0190】
更に、この金属は、担体材料上にも使用可能である。好ましくは、この担体は、カーボンを含み、カーボンは、特にカーボンブラク、グラファイト、又はグラファイト化カーボンブラックの状態で使用して良い。更に、例えばSnOx 、TiOx等の電気的に伝導性の酸化金属、又は例えば、FePOx、NbPox、Zry(POxz等のホスフェイト(リン酸塩)を担体材料として使用することができる。ここで、指数x、y及びzは、個々の化合物の酸素又は金属含有量を表しており、この金属含有量は、公知の範囲で存在可能である。この理由は、遷移金属は異なる酸化状態をとり得るからである。
【0191】
担体上のこれら金属粒子の含有量は、金属と担体とを合わせた合計質量に対して、通常1〜80質量%の範囲、好ましくは5〜60質量%の範囲、及び特に好ましくは10〜50質量%の範囲であるが、このことは本発明を限定するものではない。担体の粒子サイズ(粒子径)、特にカーボン粒子のサイズは、好ましくは20〜1000nmの範囲であり、特に30〜100nmの範囲である。担体上に存在する金属粒子のサイズは、好ましくは1〜20nmの範囲、特に1〜10nmの範囲、及び特に好ましくは2〜6nmの範囲である。
【0192】
異なる粒子のサイズは平均値を表し、そして透過電子顕微鏡法又はX線粉末回折法によって測定することができる。
【0193】
上述した触媒的に活性な粒子は、通常、市販されている。
【0194】
更に、触媒的に活性な層は、通常の添加剤を含んで良い。通常の添加剤は特に、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフルオロポリマー、プロトン伝導性のアイオノマー及び界面活性物質を含む。
【0195】
本発明の特定の実施の形態に従えば、フルオロポリマーの触媒材料(この触媒材料は、少なくとも1種の貴金属及び任意に1種以上の担体物質を含んでいる。)に対する割合は0.1を超えるが、この割合は0.2〜0.6の範囲であることが好ましい。
【0196】
更に、触媒層は、厚さが好ましくは1〜1000μmの範囲であり、特に5〜500μmの範囲、特に好ましくは10〜300μmの範囲である。この値は、平均値を表しており、この平均値は、スキャンニング電子顕微鏡(SEM)を使用して得ることができる写真からの層厚さの測定値を平均化することにより得られる。
【0197】
本発明の特定の実施の形態に従えば、触媒層の貴金属の含有量は、0.1〜10.0mg/cm2、好ましくは0.3〜6.0mg/cm2、及び特に好ましくは0.3〜3.0mg/cm2である。これらの値は、平坦な試料の元素分析によって測定可能である。
【0198】
膜電極アセンブリに関する更なる情報については、技術文献、特に特許出願WO01/18894A2、DE19509748、DE19509749、WO00/26982、WO92/15121及びDE19757492が参照される。上述した参照文献の、膜電極アセンブリ及び電極、ガス拡散層及び選択される触媒の構造と製造についての開示も、本願の記載の一部である。
【0199】
触媒層の電気化学的に活性な表面は、ポリマー電極膜と接触し、そしてこの箇所で上述した酸化還元反応が発生可能である表面を意味(定義)している。本発明では、電気化学的に活性な領域を特に大きく形成できる。本発明の特定の局面に従えば、この電気化学的に活性な表面の大きさは、少なくとも2cm2、特に少なくとも5cm2、及び好ましくは少なくとも10cm2であるが、本発明は、このことに限定されるものではない。電極という用語は、その材料が電子の伝導性を示すことを意味し、電極は、電気的に活性な領域を意味(定義)している。
【0200】
ポリマー電解質膜は、内部領域と外部領域とを有している。内部領域は、触媒層と接触しており、外部領域は、拡散層の表面に設けられていない。これに関し「設ける(provide)」とは、ガス拡散層又はポリマー電解質膜の外部領域に対して垂直方向に観察した場合に、内部領域が、ガス拡散層と部分的に重なる領域を有しておらず、電解質膜がガス拡散層と接触した後にのみ諸配列が可能であることを意味する。
【0201】
ポリマー電解質膜の外部層は、単一層構造(monolayer structure)を有することができる。この場合、ポリマー電解質膜の外部領域は、通常、ポリマー電解質膜の内部領域と同一の材料で構成されている。
【0202】
更に、ポリマー電解質膜の外部領域は特に、少なくとも1種の更なる層、好ましくは少なくとも2種の更なる層を含むことができる。この場合、ポリマー電解質膜の外部領域は、少なくとも2種、又は少なくとも3種の成分を有している。
【0203】
ポリマー電解質の外部層の全成分の厚さは、ポリマー電解質膜の内部領域の厚さよりも厚い。外部領域の厚さは、外部領域の全成分の厚さの合計に対応する。外部領域の成分は、ポリマー電解質膜の外部領域の表面領域に平行なベクトルからもたらされる。ここで、このベクトルが横断する層が、外部層の成分に数えられるべきである。
【0204】
外部領域の厚さは、80μm〜4000μmの範囲、特に120μm〜2000μmの範囲、及び特に好ましくは150μm〜800μmの範囲である。
【0205】
外部領域の全成分の厚さは、内部領域の全成分の合計厚さに対して、50%〜100%、好ましくは65%〜95%、及び特に好ましくは75%〜85%の範囲である。これに関し、外部領域の成分の厚さは、第1の圧縮工程の後の、これら成分の厚さであり、圧縮は、5N/mm2、好ましくは10N/mm2で、1分間の期間にわたり行われる。内部領域の成分の厚さは、圧縮工程を行う必要のない、導入する層の厚さに対応する。
【0206】
内部領域の全成分の厚さは、通常、膜、触媒層、及びアノードとカソードのガス拡散層の合計厚さから生じるものである。
【0207】
層の厚さは、company Mitutoyoからのデジタル圧さ試験器で測定される。測定の間の2つの円形状の平坦な接触表面の接触圧力は、1PSIであり、接触表面の直径は、1cmである。
【0208】
触媒層は通常、自己担持ではなく、しかし通常、ガス拡散層及び/又は膜に施される。これに関し、触媒層の一部は例えばガス拡散層及び/又は膜に拡散し、遷移層(transition layer)を形成する。これにより、触媒層は、ガス拡散層の一部であるとも理解可能である。触媒層の厚さは、触媒層が施された層(例えば、ガス拡散層又は膜)の厚さの測定から得られるものであり、この測定により、触媒層及び対応する層の合計、例えば、ガス拡散層と触媒層の合計が得られる。
【0209】
外部領域の成分の厚さは、80℃の温度及び5N/mm2の圧力で、5時間にわたり5%未満減少する。この減少した厚さは、第1の圧縮工程(第1の圧縮工程は、1分間の期間にわたり5N/mm2の圧力、好ましくは10N/mm2の圧力で行われる。)の後に測定される。
【0210】
圧力と温度に依存した、外部領域、特にポリマー電極膜の外部領域の成分の表面ベクトルに平行な変形の測定が、加熱可能な圧縮プレートを用いた水圧プレスで行われる。
【0211】
これに関し、水圧プレスは以下の技術的データを有している:
圧縮は、力の範囲が50〜50000Nで、最大圧領域が220×220mm2である。圧力センサーの分解能は、±1Nである。
測定範囲が10mmの誘導性距離センサー(inductive distance sensor)が圧縮プレートに設けられている。距離センサーの分解能は、±1μmである。
圧縮プレートは、RT(室温)〜200℃の範囲で操作可能である。
圧縮(プレス)は、PCと対応するソフトウェアーを使用して、力を制御したモードで操作される。
力センサーと距離センサーのデーターが記録され、そしてリアルタイムで、及び100測定データ/秒のデータ速度で記録される。
【0212】
試験方法
試験されるべき材料は、55×55mm2の表面領域に切断され、そして圧縮プレート(圧縮プレートは、それぞれ80℃、120℃及び160℃に事前加熱されている。)の間に配置される。
【0213】
プレスプレートは閉じられ、圧縮の制御回路が閉じられ、そして120Nの初期力(initial force)が施される。この時点で、距離センサーは0に設定される。次に、予めプログラムされた圧縮ランプ(圧縮変化:pressure ramp)が行われる。この目的のために、圧力は2N/mm2の速度で、予め設定された値(例えば、5、10、15又は20N/mm2)まで増加され、そしてこの値は、少なくとも5時間維持される。合計保持時間が完了した後、圧力は、2N/mm2の減圧速度(ランプ)で、0N/mm2まで減圧され、そして圧縮機が開かれる。
【0214】
厚さの相対的及び/又は絶対的変化は、圧力テストの間、変形カーブから読み取ることができ、また、標準厚さ試験器を使用した測定により、圧縮試験の後に測定することができる。
【0215】
外部領域の成分の特性は通常、高い圧力安定性を有するポリマーの使用により達成される。これに関し、ポリマー電解質膜は、外部領域で特に高い架橋グレード(架橋度)を有することができ、これは上述したような特定の照射によって達成可能である。
【0216】
好ましくは、膜の外部領域は、少なくとも100kGy、好ましくは少なくとも132kGy及び特に少なくとも200kGyのドーズ(線量)で照射される。膜の内部領域は、130kGy以下、好ましくは99kGy以下及び特に80kGy以下のドーズ(線量)で照射される。外部領域の照射出力の、内部領域の照射出力に対する割合は、好ましくは少なくとも1.5、特に好ましくは少なくとも2、及び極めて好ましくは少なくとも2.5である。
【0217】
更に外部領域の照射は、少なくとも50W、特に100W及び特に好ましくは200Wの出力を有するUVランプで行なうことが好ましい。これに関し、その継続時間は、広範囲にとり得る。照射は、好ましくは少なくとも1分、特に少なくとも30分、及び特に好ましくは少なくとも5時間で行われ、多くの場合、照射は30時間以下、特に10時間以下が十分なものである。外部領域の照射の、内部領域の照射に対する割合は、好ましくは1.5、特に好ましくは少なくとも2及び極めて好ましくは少なくとも2.5である。
【0218】
外部層が複数層構造を有している場合、これらの材料は通常同様に、高い圧力安定性を有している。
【0219】
好ましくは、外部領域の成分の厚さは、5時間、特に好ましくは10時間にわたって減少されるが、この減少は、5%未満、特に2%未満、好ましくは1%未満であり、そして120℃の温度、特に好ましくは160℃の温度で、及び5N/mm2の圧力、好ましくは10N/mm2の圧力、特に15N/mm2の圧力、及び特に好ましくは20N/mm2の圧力で行われる。
【0220】
本発明の特定の局面に従えば、外部領域は、少なくとも1種、好ましくは少なくとも2種のポリマー層(これらの層の厚さは10μm以上である。)を含み、
これらの層の各ポリマーは、80℃、好ましくは160℃で測定して、少なくとも6N/mm2、好ましくは少なくとも7N/mm2の弾性の係数と100%の伸び(elongation)を有している。これらの値の測定は、DIN EN ISO 527−1に従って行われる。
【0221】
本発明の特定の局面に従えば、層は熱可塑的な方法、例えば射出成形又は押出成形によって施される。従って、層は溶融可能なポリマーでできていることが好ましい。
【0222】
本発明に関し、好ましくは、使用されるポリマーはMIL−P−46112B、段落4.4.5に従って測定して、少なくとも190℃、好ましくは少なくとも220℃、及び 特に好ましくは少なくとも250℃の使用温度で、耐用期間が長い。
【0223】
好ましい溶融可能なポリマーは、特に例えば、ポリ(テトラフルオロエチレン−コ−ヘキサフルオロプロピレン)FEP、ポリビニリデンフルオリドPVDF、ペルフルオロアルキルポリマーPFA、ポリ(テトラフルオロエチレン−コ−ペルフルオロ(メチルビニルエーテル))MFA等のフルオロポリマーを含む。これらのポリマーは、多くの場合、例えばHostafon(登録商標)、Hyflon(登録商標)、Teflon(登録商標)、Dyneon(登録商標)、Nowoflon(登録商標)の登録商標名で市販されている。
【0224】
一方又は両方の層は、特にポリフェニレン、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリサルファイドエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリイミン、ポリエーテルイミン、ポリアゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンズオキサジアゾール、ポリベンゾトリアゾール、ポリホスファゼン、ポリエーテルケトン、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリフェニレンアミド、ポリフェニレンオキシド、ポリイミド及びこれらのポリマーの2種以上の混合物で製造可能である。
【0225】
ポリイミドは、イミド基の他に、骨格の成分としてアミド(ポリアミドイミド)、エステル(ポリエステルイミド)及びエーテル基(ポリエーテルイミド)も含むポリマーも含む。
【0226】
適切なポリマーを使用して、異なる層を互いに結合させることも可能である。適切なフルオロポリマーは、この技術の当業者(professional circle)にとって公知である。これらは特に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリ(テトラフルオロエチレン−コ−ヘキサフルオロプロピレン)(FEP)を含む。上述した層の上に存在する、フルオロポリマーでできた層は、通常、厚さが、少なくとも0.5μm、特に少なくとも2.5μmである。この層は、ポリマー電解質膜と更なる層の間に設けることができる。更にこの層は、ポリマー電解質膜から見て外方に向く面にも施すことができる。追加的に、積層される層の両面には、フルオロポリマーでできた層を設けることができる。驚くべきことに、これによりMEAs(MEAの複数形)の長期間にわたる安定性を改良することができる。
【0227】
ポリマー電解質膜の外部領域の少なくとも1種の成分は通常、電気的に伝導性の分離プレートと接触しており、分離プレートは、典型的にはガス拡散層に面している面に、反応流体を分配するための流れ領域チャンネル(flow field channel)が設けられている。分離プレートは通常、グラファイト又は伝導性の熱的に安定なプラスチックで製造される。
【0228】
分離プレートと相互に作用して、外部領域の成分は、ガス空間を外側に対してシールする。更に、ポリマー電解質膜の内部領域と相互作用して、外部領域の成分は通常、アノードとカソードの間のガス空間をシールする。驚くべきことに、改良されたシール概念が、燃料電池の耐用年数を延ばすことができることがわかった。
【0229】
本発明に従う膜電極アセンブリの製造は、この技術分野の当業者にとって明確に理解される。通常、膜電極アセンブリの異なる構成(成分)が重ねられ、そして圧力と温度によって相互に連結される。通常、10℃〜300℃の範囲の温度、特に20℃〜200℃の範囲の温度、及び1〜1000バール、特に3〜300バールの範囲の圧力で積層が行われる。
【0230】
ポリマー電極膜の外側領域は、次に第2のポリマー層で厚くすることができる。この第2の層は、例えば積層が可能である。更に、第2の層を熱可塑的な方法、例えば押出成形又は射出成形によって施すことができる。
【0231】
冷却の後、仕上げられた膜電極アセンブリ(MEA)は操作(運転)可能なものになり、そして燃料電池に使用可能となる。
【0232】
特に驚くべきことに、種々の周囲温度及び湿度において寸法的な安定性が良好であるために、本発明に従う個々の燃料電池は、何ら問題なく保管又は輸送が可能である。著しく異なる気候条件下での、長期間にわたる保管又は輸送の後であっても、個々の燃料電池の寸法は、問題なく燃料電池スタックに適合する。この場合、個々の燃料電池は、外部アセンブリのために現場で(on site)調整する必要がなく、これにより燃料電池の製造が容易化され、時間とコストが節約される。
【0233】
好ましい個々の燃料電池の利点の一つは、燃料電池を120℃を超える温度で操作できることである。このことは、例えば、水素含有ガス(この水素含有ガスは、例えば、上流の改質工程で炭化水素から製造される。)等のガス状又は液状燃料に適合する。これに関し、例えば、酸素又は空気をオキシダント(酸化剤)として使用可能である。
【0234】
好ましい個々の燃料電池の他の利点は、たとえ純粋な白金触媒を使用した場合(すなわち、更なる合金成分を使用することがない場合)であっても、120℃を超える温度での操作の間、燃料電池は一酸化炭素に対して高い耐性(抵抗性)を有していることである。160℃の温度で、燃料電池の性能を著しく低下させることなく、例えば1%を超えるCOを燃料ガス中に含むことができる。
【0235】
好ましい個々の燃料電池は、操作温度を高くすることができるが、それにもかかわらず、燃料ガスとオキシダントを加湿することなく、燃料電池内で操作することができる。更に、燃料電池は、安定的な方法で稼動し、そして膜はその伝導性を失わない。このことは、全体的な燃料電池システムを単純化し、そして、水の循環のガイダンスが単純化されるので付加的なコストを節約できる。更に、これにより、0℃未満の温度での燃料電池システムの特性(挙動)も改良される。
【0236】
好ましい個々の燃料電池は、驚くべきことに、燃料電池を問題なく室温以下にまで下げることができ、そして次にその性能を損なうことなく再操作可能である。これとは対照的に、リン酸に基づいた通常の燃料電池は、燃料電池をスイッチオフした場合、不可逆的な損傷を回避するために、しばしば40℃の温度に維持しなければならない。
【0237】
更に、本発明の好ましい個々の燃料電池は、非常に長い期間にわたる安定性を示す。本発明に従う燃料電池は、乾燥した反応ガスを使用して、その性能に有意な劣化を検出することなく、120℃を超える温度で、長期間(例えば5000時間を超える時間)にわたり連続的に操作可能であることがわかった。このような長期間の後であっても、これに関して得られる出力密度は非常に高い。
【0238】
このことに関し、本発明に従い得られる燃料電池は、長期間の後、例えば5000時間の後であっても、高い開回路電圧(この開回路電圧は、この期間の後、少なくとも900mVであることが好ましい。)を示す。開回路電圧を測定するために、燃料電池が、アノードの水素流とカソードの空気流を伴って無電流の状態で操作される。測定は、燃料電池を、0.2A/cm2の電流から無電流の状態に切り替え、そして次にこの時点から5分間、開回路電圧を記録することによって行われる。5分後の値が、対応する開回路ポテンシャルである。開回路電圧の測定値が160℃の温度に適用される。更に、燃料電池は、この期間の後、ガスのクロスオーバーが低いことが好ましい。クロスオーバーを測定するために、燃料電池のアノード側が水素(5l/h)で、カソードが窒素(5l/h)で操作される。アノードは、参照(電極)として及び対極として作用し、カソードは、作用電極として作用する。カソードは、0.5Vの電位(ポテンシャル)に設定され、そして、膜を拡散する水素(この水素は、カソード側で物質移動が制限されている)が酸化される。結果として得られる電流は、水素の浸透速度の変数(variable)である。50cm2の電池において、電流は、<3mA/cm2、好ましくは<2mA/cm2、特に好ましくは<1mA/cm2である。H2クロスオーバーの測定値は、160℃に適応される。
【0239】
更に、本発明に従う個々の燃料電池は、温度と腐食に対する抵抗性(耐性)が改良されており、そして(特に高い温度で)ガスの浸透性が比較的低いという特徴を有している。本発明に従えば、(特に高い温度での)機械的安定性と構造的な完全性の劣化が可能な限り回避される。
【0240】
更に、本発明に従う個々の燃料電池は、安価にそして容易な方法で製造可能である。
【0241】
膜電極アセンブリのための更なる情報のために、技術文献、特に特許UA−A−4191618、US−A−4212714及びUS−A−4333805が参照される。上述した引用文献[UA−A−4191618、US−A−4212714及びUS−A−4333805]に含まれている、膜電極アセンブリ及び電極、ガス拡散層及び選択される触媒の構造と製造に関する開示も、本願記載の一部である。
【0242】
以下において、実施例と比較例を使用して本発明を説明するが、本発明の内容をこれら特定の実施例に限定することを意図するものではない。
【0243】
得られた膜を特徴づけるために、以下の測定方法を使用した。
【0244】
静的光散乱
多角度レーザー光散乱センサー(MALLS)DAWN DSP Laser Photometer(Wyatt Technology Co.)上で、静的光散乱を使用して分子量の測定を行った。この装置は、633nmの波長で放射するアルゴンレーザーを備えており、そして、30〜130の範囲で散乱する。分析は、25℃で行われる。Optilab 903 interferometric refractometer(干渉屈折計)を使用し、25℃で、特定の屈折率増分が測定され、そして、Wyatt softwareを使用して、屈折増分dn/dcが得られる。測定結果は、softwareASTRA(Wyatt Corp.)を使用して、Berry法を用いて、以下の式に基づいて評価される。
【0245】
√(Kc/RΘ)=(1/√(Mw))+2A2c

K=4π202(dn/dc)2/NAλ4
0:光学パラメーター
A:アボガドロ定数
λ:波長(633nm)
w:装置測定による分子量の質量平均(weight average of the molecular weight of the apparatus)
2:2.バリアル係数(2.Varial coefficient)
Θ:レーリー割合(Rayleigh ration)
【0246】
光散乱測定のための原液は、1×10-3g.mol-1の濃度である。測定の前に、0.2mmの孔径を有するフィルター材料を使用して、各溶液を洗浄し、そして後に濾過した原液を希釈した。
【0247】
固有粘度
試料を水中に溶解させ(0.4質量%)、そしてUbelode粘度計を使用して25℃で測定した。
【0248】
比較例1
ポリビニルホスホン酸を、比較試料としてPolyseienceから購入した。このポリマーの特性を表1に示す。
【0249】
実施例1
1gのビニルホスホン酸及び0.132gの2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)ヒドロクロリド溶液(V50(Dupont);20質量%水溶液)をガラスビーカー内で3日間、日光にさらした。無色の固体が形成され、これを大量のメタノールで洗浄し及び次にエチルアセテートで洗浄した。この後、試料を真空下で2日間乾燥した(収率94%)。得られたポリマーの特性を表1に示す。
【0250】
実施例2
5gのビニルホスホン酸及び0.849gの2.2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)ヒドロクロリド溶液(V50(Dupont);20質量%水溶液)を、ガラスビーカー内で5日間、日光にさらした。無色の固体が形成され、これを大量のメタノール及び次にエチルアセテートで洗浄した。この後、試料を真空下で3日間乾燥した(収率98%)。得られたポリマーの特性を表1に示す。
【0251】
実施例3
フラスコに1.02gのビニルホスホン酸及び0.023gの2.2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)ヒドロクロリド溶液(V50(Dupont))を充填した。開始剤はビニルホスホン酸内に溶解しなかった。混合物は3回、(各回につき15分間、)超音波槽内で30℃で処理した。この後、開始剤が完全に溶解した。この溶液をガラスビーカー内で7日間日光にさらした。無色の固体が形成され、これを大量のメタノールで洗浄し及び次にエチルアセテートで洗浄した。この後、試料を真空下で3日間乾燥した(収率90%)。得られたポリマーの特性を表1に示す。
【0252】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスホン酸基を含んだ高分子量のポリマーを製造する方法であって、
合計質量に対して、少なくとも80質量%のエチレン性不飽和化合物を含む組成物の遊離基重合が行われ、
前記組成物が、ホスホン酸基を含む少なくとも1種のモノマーを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ホスホン酸基を含むモノマーが、以下の式
【化1】

(但し、
Rが、結合、二価のC1−C15アルキレン基、二価のC1−C15アルキレンオキシ基又は二価のC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基はそれ自体、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換可能であり、
Zが、互いに独立して、水素、C1−C15アルキル基、C1−C15アルコキシ基、又はC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基は、それ自体、ハロゲン、−OH、−CN、で置換可能であり、及び、
xが、整数、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10を表し、
yが、整数、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10を表す、)
及び/又は、以下の式
【化2】

(但し、
Rが、結合、二価のC1−C15アルキレン基、二価のC1−C15アルキレンオキシ基又は二価のC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基はそれ自体、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換可能であり、
Zが、互いに独立して、水素、C1−C15アルキル基、C1−C15アルコキシ基、又はC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基は、それ自体、ハロゲン、−OH、−CN、で置換可能であり、及び、
xが、整数、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10を表す、)
及び/又は、以下の式
【化3】

(但し、
Aが、式COOR2、CN、CONR22、OR2及び/又はR2を表し、
2が、水素、C1−C15アルキル基、C1−C15アルコキシ基、又はC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基は、それ自体、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換可能であり、
Rが、結合、二価のC1−C15アルキレン基、二価のC1−C15アルキレンオキシ基又は二価のC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基はそれ自体、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換可能であり、
Zが、互いに独立して、水素、C1−C15アルキル基、C1−C15アルコキシ基、又はC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基は、それ自体、ハロゲン、−OH、−CNで置換可能であり、及び、
xが、整数、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10を表す、)
を満たすことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物が、エテンホスホン酸、プロペンホスホン酸、ブテンホスホン酸、2−ホスホンメチルアクリル酸、2−ホスホンメチルメタクリル酸、2−ホスホンメチルアクリルアミド及び/又は2−ホスホンメチルメタクリルアミドを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物が、ホスホン酸基を含む少なくとも1種のモノマーを、その合計質量に対して、少なくとも20質量%含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
スルホン酸基を含んだ高分子量のポリマーを製造する方法であって、
合計質量に対して、少なくとも80質量%のエチレン性不飽和化合物を含む組成物の遊離基重合が行われ、
前記組成物が、スルホン酸基を含む少なくとも1種のモノマーを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
前記スルホン酸基を含むモノマーが、以下の式、
【化4】

(但し、
Rが、結合、二価のC1−C15アルキレン基、二価のC1−C15アルキレンオキシ基又は二価のC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基はそれ自体、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換可能であり、
Zが、互いに独立して、水素、C1−C15アルキル基、C1−C15アルコキシ基、又はC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基は、それ自体、ハロゲン、−OH、−CNで置換可能であり、及び、
xが、整数、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10を表し、
yが、整数、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10を表す、)
及び/又は、式
【化5】

(但し、
Rが、結合、二価のC1−C15アルキレン基、二価のC1−C15アルキレンオキシ基又は二価のC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基はそれ自体、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換可能であり、
Zが、互いに独立して、水素、C1−C15アルキル基、C1−C15アルコキシ基、又はC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基は、それ自体、ハロゲン、−OH、−CNで置換可能であり、及び、
xが、整数、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10を表す、)
及び/又は、式
【化6】

(但し、
Aが、式COOR2、CN、CONR22、OR2及び/又はR2の基を表し、
2が、水素、C1−C15アルキル基、C1−C15アルコキシ基、又はC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基は、それ自体、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換可能であり、
Rが、結合、二価のC1−C15アルキレン基、二価のC1−C15アルキレンオキシ基、例えばエチレンオキシ基、又は二価のC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基はそれ自体、ハロゲン、−OH、COOZ、−CN、NZ2で置換可能であり、
Zが、互いに独立して、水素、C1−C15アルキル基、C1−C15アルコキシ基、例えば、エチレンオキシ基、又はC5−C20アリール又はヘテロアリール基を表し、上述の各基は、それ自体、ハロゲン、−OH、−CNで置換可能であり、及び、
xが、整数、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10を表す、)
を満たすことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が、エテンスルホン酸、プロペンスルホン酸、ブテンスルホン酸、2−スルホンメチルアクリル酸、2−スルホンメチルメタクリル酸、2−スルホンメチルアクリルアミド、及び/又は2−スルホンメチルメタクリルアミドを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物が、スルホン酸基を含む少なくとも1種のモノマーを、その合計質量に対して、少なくとも20質量%含むことを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
重合を熱的、光化学的、化学的及び/又は電気化学的に開始することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
20℃及びpH=5で、100gの水溶液に対して少なくとも0.1gの水溶解性を有するラジカル形成剤を使用することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
2,2’−アゾビス(2−アミノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシペンタンニトリル)、2,2’−アゾビス−(N,N’−ジエチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェートジヒドレート、2,2’−アゾビス[2−メチルプロピオンアミド)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラヒドレート、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}及び/又は、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]を、ラジカル形成剤として使用することを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
使用するラジカル形成剤が、選択した重合条件下で測定して、1分〜300分の範囲の半減期を有することを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか1項に記載の方法によって得られ、且つ重合度の質量平均が300を超えることを特徴とするポリマー。
【請求項14】
25℃で、0.4質量%溶液として測定して、10.0dl/gを超える固有粘度を有することを特徴とする請求項13に記載のポリマー。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のポリマー(A)及び更に、ポリマー(A)とは異なるポリマー(B)を含む組成物。
【請求項16】
ポリマー(A)のポリマー(B)に対する質量割合が、1:1〜10:1であることを特徴とする請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
その合計質量に対して、
a)40.0〜90.0質量%のポリマー(A)、
b)1.0〜30.0質量%のポリマー(B)、及び
c)0.0〜50.0質量%のリン酸、
を含むことを特徴とする請求項15又は16に記載の組成物。
【請求項18】
ポリマー電解質膜によって分離された2個の電気化学的な活性電極を有し、且つ前記活性電極は、それぞれが触媒層と接触している膜電極アセンブリであって、
ポリマー電解質膜が、少なくとも、請求項13又は14に記載のポリマーを含むことを特徴とする膜電極アセンブリ。
【請求項19】
ポリマー電解質膜が、ポリアゾールを含むことを特徴とする請求項18に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項20】
ポリマー電解質膜が、酸でドープされていることを特徴とする請求項18又は19に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項21】
ポリマー電解質膜が、リン酸でドープされていることを特徴とする請求項20に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項22】
リン酸の濃度が少なくとも50質量%であることを特徴とする請求項21に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項23】
ドープ度が3〜50の範囲であることを特徴とする請求項20、21又は22の何れかに記載の膜電極アセンブリ。
【請求項24】
以下の、
a)少なくとも1種のアルカリ性ポリマーを酸に溶解させる工程、
b)請求項14又は15に記載の少なくとも1種のポリマーを酸に溶解させる工程、
c)工程a)と工程b)からの溶液を混合する工程、及び
d)好ましくは、ポリマーを相互に架橋させる工程、
を有する方法によって得られることを特徴とする請求項18〜23の何れか1項に記載の膜電極アセンブリ。
【請求項25】
請求項18〜24の何れか1項に記載の膜電極アセンブリを少なくとも1個有することを特徴とする燃料電池。

【公表番号】特表2009−513756(P2009−513756A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537012(P2008−537012)
【出願日】平成18年10月28日(2006.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2006/010389
【国際公開番号】WO2007/051570
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(507414328)ビーエーエスエフ、フューエル、セル、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング (8)
【Fターム(参考)】