説明

改良された蓋

本発明の態様は、マイクロ流体集合体を含む。このマイクロ流体集合体は、少なくとも1つの開いたマイクロチャネル機構を少なくとも第1の面が有する平坦な基材と、この平坦な基材の前記第1の面に第1の面が取着されている蓋を形成するシート材とを具備し、この蓋を形成するシート材は、前記少なくとも1つのマイクロチャネル機構の少なくとも一部を覆い、また、前記蓋を形成するシート材は、第1の剛性を有する第1の領域と、第2の剛性を有する第2の領域とを有している。本発明のその他の様態は、発明を実施するための形態と、図面と、特許請求の範囲とに示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロチャネルシステム並びにマイクロキャビティシステムの製造と、マイクロチャネルシステム並びにマイクロキャビティシステム自体とに関し、特にマイクロ流体ディスクの蓋の改良された製造方法と、改良された蓋を具備するマイクロ流体ディスクとに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロチャネル即ちマイクロキャビティ機構は、とりわけ、電気泳動やクロマトグラフィーのような化学分析的技術に利用される。マイクロ流体装置は、反応物質を含みμl範囲の体積を有する1以上の液体部分(aliquot)がマイクロチャネル機構で運ばれて処理される装置、と定義されている。このマイクロチャネル機構は、μm範囲の深さ及び/もしくは幅を有する。このμl範囲は、≦1000μl、例えば≦25μlであり、nl範囲を含む。また、nl範囲は、pl範囲を含む。nl範囲は、≦5000nl、例えば≦1000nlである。pl範囲は、≦5000pl、例えば≦1000plである。μm範囲は、≦1000μm、例えば≦500μmである。
【0003】
マイクロ流体装置は、代表的に、前述された複数のマイクロチャネル機構を含んでおり、即ち、2以上のマイクロチャネル機構、例えば≧10、または≧25もしくは≧90を有する。この上限は、代表的に、≦2000機構である。
【0004】
マイクロチャネル機構で液体を運ぶために、種々の原理が用いられ得る。慣性力は、例えばディスクを回転させるために使用されることができる。その他の使用可能な力は、遠心力以外の動電学的力並びに非動電学的力、例えば毛細管力、流体静力学的圧力、1以上のポンプによって生み出される圧力である。
【0005】
マイクロ流体装置は、代表的に、円形のディスクのフォーマットを有している。好ましいフォーマットは、ディスク面に対して垂直な対称軸(C)、もしくはディスク面に一致する対称軸(C)を有している。ここでnは、整数≧2、3、4、もしくは5であり、好ましくは∞(C)である。このディスクは、この結果、矩形のような様々な多角形のフォーマットを有することができる。好ましい大きさ及び/もしくは形状は、従来のCDのフォーマットに類似している。例えば、従来のCDの半径(12cm)を持つ円形のディスクの10%乃至300%の大きさである。マイクロチャネル機構が正確に設計され、そして方向付けされているならば、代表的にはディスクに対して垂直もしくは平行な回転軸を中心としたこの装置の回転は、前記機構内での液体の平行運搬を生じさせるために必要な遠心力を作り出すことができる。本件の優先日の時点での最も明らかな変形では、前記回転軸は、前述の対称軸と一致する。
【0006】
好ましいマイクロチャネル機構では、液体を入口から第1の毛管弁へと導くために、毛細管力が用いられる。この後、遠心力もしくは他の非受動型駆動手段が、弁の位置で液体の流れに対する抵抗を克服するために適用される。また、前記力/駆動手段と同じ種類のものが、別の場所の毛管弁を通らせるために用いられる。
【0007】
前記マイクロ流体装置は、円形で、従来のCD(コンパクトディスク)と同じディメンションに設定され得る。
【0008】
異なる機能を持つ複数の部品の間で、液体の有効な運搬を促進させるために、前記複数の部品の内面は、濡れ性(親水性)であるべきである。即ち、これら複数の部品の内面は、水接触角≦90度、好ましくは、≦60度を有するべきである。例えば、≦50度もしくは≦40度もしくは≦30度もしくは≦20度である。これら濡れ性の値は、マイクロコンジットの内壁のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、もしくは4つに対して与えられている。特に入口の構成における濡れ性もしくは親水性は、水溶性の液体が、前記マイクロキャビティ/マイクロコンジットに入るとすぐに、毛管(自動吸水管)によって、意図されたマイクロキャビティ/マイクロコンジットを充満させることができるように設定されるべきである。マイクロチャネル機構の親水性の内面は、1以上の狭い、疎水性の裂け目(水接触角≧90度)を有することができる。このような裂け目は、全面的にもしくは部分的に、受動毛管弁、耐ウィッキング手段(anti-wicking means)、大気中への出口等の範囲を決定することができる。接触角は、使用する際の温度に関係しており、代表的な温度は+25℃であり、また、前記接触角は静的である。WO 00056808、WO 01047637、WO 02074438(すべてGyros AB)を参照。
【0009】
マイクロキャビティ/マイクロコンジットは、基材の一側面に配設され得、この後、閉じたマイクロキャビティを造るために蓋で覆われ得る。もちろん、前記マイクロキャビティ及び/もしくは前記マイクロチャネルは、少なくとも1つの入口と、少なくとも1つの出口が与えられ得る。前記基材は、通常のコンパクトディスクと同じ厚さ、即ち1mmの範囲の厚さを持つことができる。前記基材は、半可撓性であると見なされることができる。即ち、前記ディスクは、曲がることはできるが、異なる接続形態で支えられても形状を変えることはない。前記蓋は、可撓性であると見なされることができる。即ち、この蓋を2つの異なる接続形態(topologies)に置くと、この蓋は、2つの異なる形状を持つだろう。好ましいのは、マイクロチャネルを形づくることのできる比較的厚い基材を用いることであり、そして、生じるかもしれない前記基材のいかなる歪み及び/もしくは不均一に対しても容易に適用可能なフィルム状の可撓性の蓋を、前記基材の上部に用いることである。このようにして、必要とされる前記基材の各部分並びにすべての部分に、前記蓋の取着の可能性を増すことができる。
【0010】
前述のマイクロ流体ディスクについての問題は、前記マイクロキャビティの容積が増える時、及び/もしくは、前記マイクロキャビティの前記蓋に働く圧力が増える時、1つのもしくは複数のマイクロキャビティに漏れが生じ始める危険性があるかもしれない、ということである。
【発明の概要】
【0011】
本願の目的は、上記に挙げられたデザインで、マイクロ流体ディスクの漏れに関する問題を除くこと、もしくは、少なくとも減らすことである。
【0012】
前述の目的並びにその他の目的は、本記載から知識者には明らかであろうが、請求項に示されている本発明によってかなえられる。
【0013】
第1の実施例では、マイクロ流体集合体は、平坦な基材と、少なくとも1つの開いたマイクロチャネル機構を少なくとも第1の面が有する平坦な基材と、この平坦な基材の前記第1の面に第1の面が取着されている蓋を形成するシート材とを具備し、この蓋を形成するシート材は、前記少なくとも1つのマイクロチャネル機構の少なくとも一部を覆い、また、前記蓋を形成するシート材は、第1の剛性を有する第1の領域と、第2の剛性を有する第2の領域とを有する。
【0014】
別の実施形態では、前記シート材の前記第1の領域は、前記マイクロチャネル機構の上方に配置されており、前記シート材の前記第2の領域は、前記基材の平坦な領域上に位置されている。
【0015】
更なる実施形態では、前記集合体は、回転可能なディスクである。
【0016】
また更なる実施形態では、前記シート材の前記第1の領域は、第1の直径の所に位置されており、前記シート材の前記第2の領域は、第2の直径の所に位置されている。
【0017】
また更なる実施形態では、前記第2の剛性は、前記第1の剛性より大きい。
【0018】
また更なる実施形態では、前記第2の領域は、前記蓋を形成しているシート材の前記第1の面の反対側の第2の面の上部に取着されている材料の少なくとも1つの層を有している。
【0019】
また更なる実施形態では、前記第2の領域は、硬化されている。
【0020】
また更なる実施形態では、前記蓋を形成しているシート材の前記第1の領域は、前記平坦の基材の2分の1の厚さよりも薄い。
【0021】
また更なる実施形態では、前記蓋を形成するシート材と前記平坦な基材との少なくとも一方は、透明である。
【0022】
また更なる実施形態では、前記蓋を形成するシート材は、熱接着剤によって前記平坦な基材に取着されている。
【0023】
本発明の他の態様は、発明を実施するための形態と、図面と、特許請求の範囲とに示されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1a】本発明に関わる改良された蓋の第1の実施形態を上から見た図である。
【図1b】図1aで示されている第1の実施形態の断面図である。
【図2】本発明に関わる改良された蓋の第2の実施形態を上から見た図である。
【図3】本発明に関わる改良された蓋の第3の実施形態の断面図である。
【図4】本発明に関わる改良された蓋の、さらにもう1実施形態を上から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の詳細な説明は、図を参照してなされる。好ましい実施形態は、本発明を説明するために記載されており、請求項により規定された本発明の範囲を限定するためではない。この分野において通常の知識を有する者が、以下の説明において、種種の均等の変更を認めるだろう。
【0026】
図1a並びに1bは、本発明に関わるマイクロ流体集合体10の実施形態を示している。この集合体10は、基材16と、蓋を形成しているシート材14と、中心孔18と、剛性を高める材料12と、マイクロチャネル13とを有している。
【0027】
前記基材は、異なる材料から作られることができる。即ちシリコーンゴム(例えばポリジメチルシロキサン)等を含むゴムと、(ポリメチルメタリック樹脂)ポリメタクリル酸メチルと、ポリカーボネートと、他の熱可塑性材のようなエラストマーを含むプラスチック、即ち、重合可能な炭素−炭素二重結合もしくは三重結合を有するモノマーをベースとしたプラスチック材と、飽和の、分枝、直鎖または環状のアルキル及び/もしくはアルキレン基である。代表的な例は、日本の、Nippon Zeon製のZeonex(登録商標)とZeonor(登録商標)である。
【0028】
前記基材16と前記蓋を形成しているシート材14とは、結合によって取着されている。この接着剤は、前記基材16の表面及び/もしくは前記蓋を形成しているシート材14の表面に、部分的にもしくは個別に与えられても良い。前記接着剤は、前記基材16にあるプラスチックが接着剤として機能するのであれば、このプラスチックと同じものでも良い。他の有効な接着剤には、さまざまな接着剤があり、これらは、基材16の材料と、前記蓋を形成しているシート材14とに適し、最終デバイスの意図した使用に適している。代表的な接着剤は、融解性接着剤、硬化型接着剤などから選ばれても良い。硬化型接着剤は、熱硬化型、湿気硬化型、紫外線硬化型、及び、2、3乃至多数の複合型接着剤であっても良い。
【0029】
前記蓋を形成しているシート材14は、前記基材16と同じ種類の材料で製造されている。この材料は、接着加熱原理等との互換性があれば、どのようなものでも良い。しかしながら、前記基材16のある種類の材料を選び、前記蓋を形成しているシート材14の別の種類の材料と接着させても良い。前記蓋を形成するシート材は、ラミネートされたシートの形態であり、マイクロチャネル構造13を有している前記基材16と比べて、比較的薄くても良い。一実施形態において、前記蓋を形成する材料14の厚さは、前記基材16の半分の厚さである。別の実施形態では、前記蓋を形成する材料14の厚さは、前記基材16の4分の1の厚さである。また別の実施形態では、前記材料14を形成する蓋の厚さは、前記基材16の8分の1の厚さである。ある実施形態では、前記蓋を形成する材料14の厚さは、前記基材16の10%の厚さである。前記蓋を形成する材料は、10μm乃至2mm、好ましくは、20μm乃至400μm間の厚さの範囲を有しても良い。半可撓性の、蓋を形成しているシート材のために、異なる複数の材料に対して、異なる厚さの範囲が適用されうる。前記基材は、100μm乃至10mm、好ましくは400μm乃至2mmの厚さの範囲を有しても良い。
【0030】
実施形態に拠れば、マイクロ流体集合体の形状は、円形である。しかしながら、前記マイクロ流体の集合に適する形状であれば、三角形、矩形、八角形、多角形のような、いかなる形状も用いられ得る。
【0031】
図1aと1bとで示されている実施形態では、前記剛性を高める材料12は、前記蓋を形成しているシート材14の上面、即ち、前記蓋を形成しているシート材14の、前記基材16に取着されている面と反対側の面に取着されている。前記剛性を高める材料12は、前記蓋を形成するシート材14を前記基材16に結びつけるために使用されるものと同じ種類の、硬化可能な接着剤でも良い。また、この剛性を高める材料12は、基材16及び/もしくは蓋を形成するシート材14で使用されるものと同じプラスチック材で良い。前記剛性を高める材料12は、図1aと図1bとで例示されているように、前記蓋を形成するシート材14に、接着剤によって取着されても良い。また、前記剛性を高める材料12と前記蓋を形成するシート材14とは、一体的なユニットでも良い。前記合成を高める材料12は、メタル、非透過性ポリマー、セラミックなどのように、非透過性(non-transmissive)材である。
【0032】
取着された剛性を高める材料の断面は、例えば円形や矩形など、どのような形でも良い。前記剛性を高める材料の幅は、0.1mm乃至5mmの範囲であり、前記剛性を高める材料の高さは、10μm乃至2mmの範囲である。
【0033】
液体は、毛細管力及び/もしくは求心力と、マイクロチャネル機構の全体に外部から加えられる圧力差と、また外部から加えられ、液体を流しているその他の非動電学力(non-electroendosmosis)によって、押し流され得る。又、電気浸透が、液体の流れを作り出すために用いられ得る。
【0034】
丸い形状の中で、前記マイクロチャネル機構は、内側のアプリケーションエリアからディスクの外周へと、放射状となるよう意図した流れの方向によって、放射状に配置されている。この変形において、液体を流すのにもっとも有効な方法は、毛管作用、(ディスクを回転させる)求心力である。
【0035】
このディスクの大きさは、通常のCDと同じ大きさで良い。
【0036】
前記マイクロチャネルは、種々の特性と種々の適用とを持つ様々なセクションを有し得る。例えば、この分野では良く知られているように、疎水性並びに親水性のような特性、または、長さや容積の計測のセクション、親和結合のセクション、整流のエリアなどのような適用がある。
【0037】
マイクロチャネルとマイクロキャビティの幅と深さは、その構造に沿って変化することができる。しかし、10乃至100μmの範囲が、有効となり得る。
【0038】
図1aに示されているように、前記剛性を高める材料12は、マイクロチャネル13より大きな直径で設けられている。
【0039】
図3は、マイクロ流体集合体の一部の断面図である。この実施形態では、基材が36、マイクロチャネルが39、蓋を形成しているシート材が34、そして、剛性を高める材料は31で示されている。この実施形態では、剛性を高める材料31の終点部から、マイクロチャネル39が延びているのがわかる。この特殊な実施形態では、剛性を高める材料31は、前記蓋を形成するシート材34のみではなく、基材36の凹所32中にも取着されている。これは、マイクロチャネル39中の圧力が増すとき、前記剛性を高める材料を、前記蓋を形成するシートにさらに固定させるためである。
【0040】
前記マイクロチャネルの終端と前記剛性を高める材料の始端との間には、隙間があっても良い。このような隙間の寸法は、0μm乃至1000μmの範囲である。別の実施形態では、前記剛性を高める材料は、前記マイクロチャネルの終端に、わずかに重なっている。この重畳部は、前記マイクロチャネル/マイクロキャビティの放射方向への長さの0乃至40%の範囲内で良い。
【0041】
図2は、前記剛性を高める材料22は、マイクロ流体集合体からマイクロ機構の漏れの防止のために、マイクロ流体集合体20で、マイクロチャネル24のいくつかのみにわたって形成され得ることを示している。
【0042】
前記剛性を高める材料に代わる具体例は、マイクロチャネルを越えて硬化された前記蓋を形成しているシート材を有することである。この例では、マイクロチャネル上方に、蓋を形成するシート材の最初の剛性が生じ、マイクロチャネルの終端を越えて、蓋を形成するシート材の別の剛性が生じる。硬化の度合いは、蓋の材料の厚さと材料の種類とに合うように調整される。これは、マイクロチャネル内の液体を漏らすことなく、最良の状態に保つためである。この硬化は、蓋を形成するシート材の厚さ全体にわたって、もしくはこの蓋を形成するシート材の厚さの一部にわたって、均一であり得る。この硬化された領域の断面は、取着された、前記剛性を高める材料に対する規定と、同じ幅と高さとを有し得る。
【0043】
図4は、本願に関わるマイクロ流体集合体400の更なる実施形態を示している。この集合体400は、中心孔450を中心として、所定の角度で離間された4つのマイクロ流体機構A、B、C、Dを持つ基材411を有する。マイクロ流体機構Cは、401、403、405、407で示された第1、第2、第3、第4の液体入口を有する。第1の液体入口401は、第1のチャネル422を通って、第1の液体キャビティ404に接続されている。第2の液体入口403は、第2のチャネル424を通って、第1の液体キャビティ404に接続されている。第3の液体入口405は、第3のチャネル426を通って、第1の液体キャビティ404に接続されている。第4の液体入口407は、第3のチャネル428を通って、第1の液体キャビティ404に接続されている。前記第1の液体キャビティは、第5並びに第6のチャネル418、420を通って、第2並びに第3の液体のキャビティ406、408に接続されている。前記の第3の液体キャビティ408は、チャネル430を通って第1の液体貯水槽410に接続されている。
【0044】
マイクロ流体集合体400は、図4で示されているように円形であり、中心孔450を中心として回転するように設けられている。前記液体入口401、403、405、407は、この実施形態では、集合体400の中心孔の近くに設けられている。前記液体貯水槽は、集合体400の円周に沿って延びている。前記チャネル422、424、426、428、418、430は、毛細管力をチャネル内の液体に働かせることを可能にするような、適当なディメンションに設定されても良い。
【0045】
疎水性の弁が、1以上のチャネルに配設されることができる。液体が入口に供給され、そして、毛管作用によってチャネルに吸い込まれて弁に至る。更なるエネルギーが加えられるまでは、この弁を通過することはできない。例えば、このエネルギーは、マイクロ流体集合体400を回転させることによって生じる遠心力によって与えられ得る。
【0046】
マイクロ流体集合体のRPM(毎分回転数)が増えると、第2の液体キャビティ406の表面で働く液体の圧力が増す。所定のRPMで、この圧力はとても高くなり、前記基材に取着された前記蓋を形成する材料の接着を破壊し、この結果、前記第2の液体キャビティから第1の液体貯水槽410への漏れ414を引き起こす。代表的なRPMの範囲は、0−8000RPMであり、しかし、より高いRPM、例えば10000、15000乃至20000も使用可能である。
【0047】
マイクロ流体機構の一部から、同じ機構の別の部分への、もしくは異なる機構への漏れを防ぐために、前記剛性を高める材料412は、前記第2液体キャビティ406を径方向で越えて設けられることができる。図4では、マイクロ流体セクションA、B、Cは、前記第2の液体キャビティを越えて設けられているこのような剛性を高める材料412を有している。この結果、前記キャビティ406中の液体440が、例えば貯水槽410へ、もしくはどこかほかのマイクロ流体機構へ漏れるのが防がれる。前記剛性を高める材料412は、どんな形状であっても良く、ふさわしければ、この剛性を高める材料412が取着されたキャビティ/チェンバー、貯水槽、チャネルと同じ形状を取ることもできる。図4では、前記第2の液体キャビティ406は、球体であり、前記剛性を高める材料は、前記キャビティ406の外周に適合する形状、即ちこの場合、半円形となることができる。
【0048】
前記剛性を高める材料は、前記基材を覆っている前記蓋を形成する材料の中もしくは上に与えられることができる。この前記基材は、1以上のマイクロチャネルを有している。前記剛性を高める材料は、マイクロ流体機構の一部から別の機構への漏れを防ぎ、もしくは、マイクロ流体集合体自体からの漏れ、即ち集合体内での漏れ、あるいは、集合体からの漏れを防ぐことができる。前記剛性を高める材料は、流体圧力のかかる方向に設けられている。回転ディスクの場合、前記剛性を高める材料は、径方向で漏れが防がれる機構を越えて設けられている。別の流体の動きのメカニズムの場合、前記剛性を高める材料は、前記流体圧力が最高となる所で設けられている。前記剛性を高める材料は、別の実施形態では、マイクロ流体集合体400中の1以上の機構の、外周全体の周りに設けられても良い。
【0049】
これらマイクロチャネルやマイクロキャビティは、この分野でよく知られた方法、例えば、EP1121234で説明されている方法に従って、形成されることが可能である。
【0050】
前記の例が、所定のメソッドによって形成されているが、この方法を利用した装置とシステムとは、容易に理解される。請求項に記載の方法を実行できるプログラムを含む磁気メモリーが、前記装置の1つである。請求項に記載の方法を実行するプログラムを読み込んだメモリーを有するコンピュータシステムは、別の装置である。
【0051】
本発明は、詳しく前述された好ましい実施形態と具体例とを参照して説明されているが、これらの具体例は、限定する意味よりもむしろ、説明する意味で用いられていることが分かる。この分野で通常の知識を持つ者は、容易に変更や組み合わせを思いつくであろうことが予想されるが、こうした変更や組み合わせは、本発明の精神と以下の特許請求の範囲とに含まれるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの開いたマイクロチャネル機構を少なくとも第1の面が有する平坦な基材と、
この平坦な基材の前記第1の面に第1の面が取着されている蓋を形成するシート材とを具備し、この蓋を形成するシート材は、前記少なくとも1つのマイクロチャネル機構の少なくとも一部を覆い、また、前記蓋を形成するシート材は、第1の剛性を有する第1の領域と、第2の剛性を有する第2の領域とを有している、
マイクロ流体集合体。
【請求項2】
前記シート材の前記第1の領域は、前記マイクロチャネル機構の上方に配置されており、前記第2の領域は、前記基材の複数のマイクロチャネル機構に隣接して配置されている請求項1のマイクロ流体集合体。
【請求項3】
集合体は、回転可能な円形のディスクである請求項2のマイクロ流体集合体。
【請求項4】
前記シート材の前記第1の領域は、第1の直径の所に位置されており、前記シート材の前記第2の領域は、第2の直径の所に位置されている請求項3のマイクロ流体集合体。
【請求項5】
前記第1の直径は、前記第2の直径よりも小さい請求項4のマイクロ流体集合体。
【請求項6】
前記第2の剛性は、前記第1の剛性よりも大きい請求項5のマイクロ流体集合体。
【請求項7】
前記第2の領域は、前記蓋を形成しているシート材の前記第1の面の反対側の第2の面の上部に取着されている材料の少なくとも1つの層を有している請求項6のマイクロ流体集合体。
【請求項8】
前記第2の領域は、硬化されている請求項1のマイクロ流体集合体。
【請求項9】
前記蓋を形成するシート材の前記第1の領域は、前記平坦な基材よりも薄い請求項1のマイクロ流体集合体。
【請求項10】
前記蓋を形成するシート材の前記第1の領域は、前記平坦な基材の2分の1の厚さよりも薄い請求項1のマイクロ流体集合体。
【請求項11】
前記蓋を形成するシート材の前記第1の領域は、前記平坦な基材の4分の1の厚さよりも薄い請求項1のマイクロ流体集合体。
【請求項12】
前記蓋を形成するシート材の前記第1の領域は、前記平坦な基材の8分の1の厚さよりも薄い請求項1のマイクロ流体集合体。
【請求項13】
前記蓋を形成するシート材は、前記平坦な基材とは異なる材料でできている請求項1のマイクロ流体集合体。
【請求項14】
前記蓋を形成するシート材と前記平坦な基材との少なくとも一方は、透明である請求項1のマイクロ流体集合体。
【請求項15】
前記蓋を形成するシート材は、熱接着剤によって前記平坦な基材に取着されている請求項1のマイクロ流体集合体。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−509587(P2010−509587A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536202(P2009−536202)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際出願番号】PCT/SE2007/050827
【国際公開番号】WO2008/057043
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(507341987)ギロス・パテント・エービー (8)
【氏名又は名称原語表記】Gyros Patent AB
【住所又は居所原語表記】Uppsala Science Park, 751 83 UPPSALA, Sweden
【Fターム(参考)】