説明

改良された表面材料を有する吸収物品

吸収体(4)、吸収体(4)上の第一表面上に配置された液体透過性カバー層(2)、及び吸収体(4)と液体透過性カバー層(2)の間に配置された液体透過性液体輸送層(6)を含む吸収物品(1)。液体透過性カバー層(2)は50μmに等しいか又はそれより大きい細孔半径で最大値を有する細孔体積分布曲線を持ちかつ少なくとも120°の湿潤角を持つ不織材料からなり、液体輸送層(6)は105μm〜325μmの細孔半径で最大値を有する細孔体積分布曲線を持つ繊維層からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収体、吸収体上の第一表面上に配置された液体透過性カバー層、及び吸収体と液体透過性カバー層の間に配置された液体透過性液体輸送層を含む吸収物品に関する。
【背景技術】
【0002】
尿、月経血及び糞便の如き体放出物を受容しかつ吸収することを意図される、おむつ、失禁パッド、ベッド保護物、衛生ナプキンなどの使い捨て吸収物品は、長い間良く知られている。この種の吸収物品は通常、液体透過性カバー層及び液体不透過性カバー層、及びそれらのカバー層の間に包囲された吸収体を含む。特に尿吸収の場合において、吸収物品、特に液体透過性カバー層が迅速に液体を受け入れることができることがこの関連において不可欠である。また、物品の表面は湿潤後であってもできるだけ乾燥した状態を保ち、物品中に入った液体はそこに残って使用者の体の方へ戻って漏出しないことが重要である。この現象は通常、再湿潤として言及され、極めて望ましくない。
【0003】
吸収物品中への液体の迅速な受け入れ及び乾燥表面及び低再湿潤のための条件は部分的に両立しがたい。微細孔を有する密な液体透過性カバー材料は再湿潤に対して良好な保護を与えるが、液体受入能力の低下に導く。これはしばしば液体が吸収物品によって吸収されず、代わりに物品の表面上を走り出し、漏出を起こすことを生じる。
【0004】
さらに、微細孔の材料は湿潤後に液体を保持する傾向を有し、それは物品の表面を湿った感じにさせる。粗い孔の表面材料は液体を迅速に受け入れるための良好な能力を有し、孔に液体を全く保持しない。他方、かかる材料は再湿潤に対して劣った保護を与える。粗い材料はさらにマスキング効果が低く、それは月経血の如き着色した体液がカバー材料を通して明らかに目で見ることができることを意味する。
【0005】
上述の問題を克服するために、異なるタイプの液体透過性材料を組み合わせることが提案されている。EP 0312118は例えば物品の吸収体上に配置された液体透過性カバー層及び表面層と吸収体の間に配置された同様の液体透過性輸送層を有する吸収物品を記載する。輸送層は吸収体より低い親水性を有し、さらに表面層における細孔サイズより小さい有効平均細孔サイズを有する。
【0006】
US 5968855は良好な液体輸送特性を有することが述べられている不織材料を記載し、吸収物品における輸送層として使用されることができる。
【0007】
吸収物品上の液体透過性カバー層を改良するためになされた多大な努力にかかわらず、これまでカバー材料及び液体輸送材料の最適な組み合わせが提案されることが実現できなかった。本発明の主な目的はそれゆえ改良された表面材料の組み合わせを提供することであり、それは迅速な液体受け入れ及び低い再湿潤を有する乾燥表面の両方を実現する。
【発明の開示】
【0008】
本発明によれば、冒頭で言及された種類の吸収物品が製造され、その物品は、液体透過性カバー層が50μmに等しいか又はそれより大きい細孔半径で最大値を有する細孔体積分布曲線を持ちかつ少なくとも120°の湿潤角を持つ不織材料からなること、及び液体輸送層が105μm〜325μmの細孔半径で最大値を有する細孔体積分布曲線を持つ繊維層からなることを主に特徴とする。
【0009】
有利には、液体透過性カバー層は55μmに等しいか又はそれより大きい細孔半径で最大値を有する、好ましくは55μm〜60μmの細孔半径で最大値を有する細孔体積分布曲線を持つ。
【0010】
さらに、液体透過性カバー層は少なくとも5dtexの繊度を有する繊維からなることができる。
【0011】
液体透過性カバー層は最大15g/mの基本重量を持つことが好適である。
【0012】
液体透過性カバー層として使用するために特に有利な材料は相対的に疎水性のスパンボンド材料であることが見い出された。かかる材料は層中で液体を分散せず、カードされた不織材料はそのような傾向を持つ。
【0013】
さらに、もし液体輸送層が115μm〜185μmの細孔半径で最大値を有する、好ましくは135μm〜155μmの細孔半径で最大値を有する細孔体積分布曲線を持つなら有利である。
【0014】
もし液体輸送層が110μm〜350μmの細孔サイズ範囲で累積細孔体積を有し、それが全細孔体積の60%より多く、好ましくは全細孔体積の65%より多いならさらに好適である。この関連において、もし液体輸送層が120μm〜230μmの細孔サイズ範囲で累積細孔体積を有し、それが全細孔体積の40%より多く、好ましくは全細孔体積の50%より多いなら好ましく、もし液体輸送層が150μm〜180μmの細孔サイズ範囲で累積細孔体積を有し、それが全細孔体積の15%より多く、好ましくは全細孔体積の20%より多いなら最も好ましい。
【0015】
液体輸送層は6.7dtex〜11dtexの繊度を有する繊維からなることが好適である。
【0016】
さらに、液体輸送層は10g/m〜100g/m、好ましくは25g/m〜60g/mの基本重量、及び0.1kPaの荷重で測定された少なくとも15cm/gの嵩を有することが有利である。
【0017】
もし液体輸送層が155μm〜165μmに最大値を有する細孔体積分布曲線を、25μmに等しいか又はそれより小さい半径を有する細孔において試料の0.1mm/mg、好ましくは0.5mm/mg以上の累積液体体積と組み合わせて有するなら有利であることが見い出された。
【0018】
本発明による吸収物品は例えばおむつ、失禁パッド、衛生ナプキン、ベッド保護物などであり、好適には吸収体の第一表面の反対の第二表面上に位置される液体不透過性カバー層を含み、液体透過性カバー層及び液体不透過性カバー層は一緒に吸収体を包囲する。
【0019】
表面乾燥及び液体取込時間の両方に関して、上述のように、相対的に大きい細孔を有する開放材料を使用することが重要である。しかしながら、それは従来から知られておらず、その開放の程度は液体受け入れと表面乾燥の最良の組み合わせを与える。
【0020】
本発明によれば、極めて良好な液体取り扱い特性を有する吸収物品を製造することができる。特定の材料の組み合わせの性質の知識を用いて、材料組み合わせが吸収物品上での使用時にどのように挙動するかを予測することもできる。
【0021】
乾燥に関する限り、液体透過性カバー層と液体輸送層の両方の特性は重要であるが、液体輸送層の特性は乾燥に対して最も大きな影響を持つ。この関連において、細孔体積分布(pore volume distribution(PVD))は特に重要である。
【0022】
図面の記述
本発明は添付図面に示された図を参照して以下に記載されるだろう。
図1は本発明による表面材料を有する失禁パッドを示す。
図2は図1の失禁パッドの線II−IIに沿った断面を示す。
図3は表面上に配置された液滴を示す。
図4は液体透過性カバー材料のための細孔体積分布を示す曲線チャートを示す。
図5は液体輸送材料のための細孔体積分布を示す曲線チャートを示す。
図6は感覚的乾燥の測定の結果を示す。
図7は感覚的乾燥の測定の結果を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1及び2に示された失禁パッド1は第一液体透過性カバー層2、第二液体不透過性カバー層3、及びそれらのカバー層の間に包囲された吸収体4を含む。二つのカバー層2,3は吸収体4より平面においてわずかに大きい範囲を有し、吸収体4を越えてその全周囲のまわりに突出する。カバー層2,3は例えば接着又は熱もしくは超音波を使用する溶接によって突出部分5内で相互接続される。
【0024】
本発明によれば、液体透過性カバー層2は不織材料の層からなる。特に好ましい不織材料はスパンボンド材料である。
【0025】
液体不透過性カバー層3は液体不透過性プラスチックフィルム、液体ブロッキング材料で被覆された不織層、又は液体透過に抵抗することができる別の可撓性材料層からなることができる。一般に、液体不透過性カバー層3がある呼吸性を有するなら、即ち層3が水蒸気の透過を可能とするなら、有利である。
【0026】
さらに、液体透過性液体輸送層6は液体透過性カバー層3と吸収体4の間に配置される。かかる液体輸送層6は大きな内容積を有する嵩高い繊維材料からなる。液体輸送層6のために好適な材料は様々なタイプの好ましくは結合された繊維詰物、例えばカードされた、接着剤結合された又は熱結合された詰物である。
【0027】
失禁パッド1は幅広い端部分7,8及び狭い股部分9を有する細長い形状を持つ。股部分9は、使用中装着者の股に配置されかつ失禁パッド1中に放出される体液のための受容表面として作用することを意図される失禁パッド1の部分である。失禁パッド1はまた、二つの内側に湾曲した縦方向側縁10,11及び二つの端縁12,13を有する。
【0028】
液体不透過性カバー層3の外側上に配置されているのは自己接着剤の二つの横方向領域の形の固定手段14である。使用前、固定手段14は剥離剤処理紙、プラスチックフィルムなどの除去可能な保護層(図示せず)によってカバーされることが好適である。示された二つの横方向接着剤領域の形の接着剤パターンの代わりに、一つ以上の縦方向領域、ドット、完全な被覆などの多数の他の接着剤パターンを使用することができる。あるいは、フック及びループ表面、押ボタン、ベルト、特別なブリーフなどの他のタイプの固定手段を使用することができる。
【0029】
図に示された種類の失禁パッド1は主として相対的に穏やかな失禁症の人々によって使用することを意図され、それゆえそれが通常のパンツ内に容易に収容できるようなサイズを持つ。この関連において、固定手段14は失禁パッドを使用中ブリーフ内の適所に保持するのに役立つ。
【0030】
吸収体4は概略的に示され、かつ吸収材料からなる。吸収体4は一以上の層を含むことができ、それらは組成、形状、サイズ及び失禁パッド中の位置づけに関して同じであるか又は異なることができる。
【0031】
使用されることができる吸収材料はセルロース繊維であり、この点に関して最も一般的なものはセルロース毛羽パルプ、種々のタイプの吸収フォーム材料、及び超吸収材として知られるもの、即ち液体含有ゲルを形成しながら自重の多数倍に相当する液体を吸収するポリマー材料である。超吸収材は繊維、粒子、顆粒、フィルムなどの形で入手可能であり、他の吸収材料と混合されることができるか又は別個の層又は領域に配置されることができる。
【0032】
説明の目的のため、本発明はここでは失禁パッドに基づいて記載されるが、子供及び成人用のおむつ、ベッド保護物、シート保護物、衛生ナプキンなどの他のタイプの吸収物品も本発明によってカバーされることは当然である。例えばおむつの如き吸収物品は、ここで記載されていない本発明にとって重要でないさらなる構成要素を含むことができる。かかる構成要素の例は弾性手段、固定手段、湿潤インジケータ、隆起部分、側部バリヤーなどである。
【0033】
異なる液体透過性カバー材料及び液体輸送層の特性を決定するため、及び乾燥及び液体受け入れ能力に関する異なる材料組み合わせの好適性を評価するため、多数の測定が行なわれた。
【0034】
測定方法
湿潤角の測定:DAT(動的吸収試験機)
好適な液体透過性カバー材料の疎水度を測定するため、下記の方法が使用された。
【0035】
ビデオシステムが手順を撮影している間、液滴が試験材料に適用される。試験材料の性質によって、液滴は吸収される材料の上に残ってもよい。図3に示されるように基部(d)及び高さ(h)を測定することによって、液体と材料の間に形成された接触角θは下記式によって計算されることができる:

【0036】
接触角θは液滴が試験材料の表面と接触するようになった時から経過した時間tの関数として述べられている。以下の実施例において、接触角は全ての液滴が表面上になお存在するときに0.1秒で示される。
【0037】
全ての試験材料は測定(23℃;50%相対湿度)前に少なくとも4時間状態調整された。測定は関連するマニュアル(ソフトウェアバージョン:DAT WinNT3.0)に従ってFibro System AB、スウェーデンからのFibro 1100 DATシステムで実施された。水は試験液として使用され、液滴体積は5μlであった。各材料について25滴が測定された。
【0038】
接触角が測定された材料は以下の通りである:
N1:17.9g/mの単位面積あたり重量及び3.2dtexの繊度を有するスパンボンド不織布、
N2:14.9g/mの単位面積あたり重量及び3.8dtexの繊度を有するスパンボンド不織布、
N3:15.9g/mの単位面積あたり重量及び3.7dtexの繊度を有するスパンボンド不織布、
N4:11.3g/mの単位面積あたり重量及び4.9dtexの繊度を有するスパンボンド不織布、
N5:15g/mの単位面積あたり重量及び5dtexの繊度を有するスパンボンド不織布、
N7:13.3g/mの単位面積あたり重量及び5.4dtexの繊度を有するスパンボンド不織布、
N8:15g/mの単位面積あたり重量及び5.8dtexの繊度を有するスパンボンド不織布、
N9:13.2g/mの単位面積あたり重量及び7.1dtexの繊度を有するスパンボンド不織布、
N10:22g/mの単位面積あたり重量及び2.3dtexの繊度を有するスパンボンド不織布、
N11:16g/mの単位面積あたり重量及び3.6dtexの繊度を有するスパンボンド不織布。
【0039】
測定結果は表1に示される。

【0040】
細孔体積分布の測定
異なる液体透過性カバー材料及び液体輸送材料についての細孔体積分布はJournal of Colloid and Interface Science 162,163−170(1994)に記載された方法を使用して測定された。使用された方法は特定の圧力で多孔質材料(“後退モード”)から圧縮されて出る液体の量の測定に基づき、測定の結果は曲線が所定の細孔半径について全細孔体積を示すチャートで曲線の形で与えられる。
【0041】
液体透過性カバー層(不織布)についての実験条件
測定では、n−ヘキサデカン(≧99%,Sigma H−0255)が測定液体として使用された。測定は25.5cmの面積を有する円形試料で実施された。試料はチャンバー内に置かれ、試験液で飽和された。Millipore 0.22μm cat. no.GSWP 09000が膜として使用された。試料と膜の間の良好な接触を達成するために、試料表面全体をカバーする荷重が試料の上に置かれた。試料表面と重りの間の細孔の測定を避けるために、試料と適用された重りの間に大きな細孔のポリウレタンフォーム(それは液体を保持しない)がさらに置かれた。試料上の全荷重は0.15kPaであった。残っている液体を記録することを可能にするために、試料は実験が完了する前及び直後に秤量された。
【0042】
平衡スピード、即ち選択された細孔半径での重りの変化が無視しうるレベルまで低減した時のスピードは2mg/分に設定され、重りの変化が記録された測定時間は30秒に設定された。
【0043】
測定は下記細孔半径[μm]に対応する圧力で実施された:

【0044】
試料の測定に加えて、ブランク実験として知られるものが実施された。ブランク実験では、フォーム及び荷重だけが試料チャンバー内に置かれた。測定は試料が測定されたときと同じ方法でかつ同じ実験条件で行なわれた。ブランク実験は次いでさらなる生データの処理前に試験実験から控除された。
【0045】
液体輸送層(詰物)についての実験条件
測定では、Triton TX−100(Calbiochem−648462)の0.1%重量/重量溶液が測定液として使用された。測定は25.5cmの面積を有する円形試料で実施された。試料はチャンバー内に置かれ、試験液で飽和された。Millipore 0.22μm cat.no.GSWP 09000が膜として使用された。試料と膜の間の良好な接触を達成するために、試料表面全体をカバーする荷重が試料の上に置かれた。試料表面と重りの間の細孔の測定を避けるために、試料と適用された重りの間に大きな細孔のポリウレタンフォーム(それは液体を保持しない)がさらに置かれた。試料上の全荷重は0.57kPaであった。
【0046】
平衡スピード、即ち選択された細孔半径での重りの変化が無視しうるレベルまで低減した時のスピードは5mg/分に設定され、重りの変化が記録された測定時間は30秒に設定された。
【0047】
測定は下記細孔半径[μm]に対応する圧力で実施された:

【0048】
試料の測定に加えて、ブランク実験が実施された。ブランク実験では、フォーム及び荷重だけが試料チャンバー内に置かれた。測定は試料が測定されたときと同じ方法でかつ同じ実験条件で行なわれた。ブランク実験は次いでさらなる生データの処理前に試験実験から控除された。
【0049】
細孔体積分布が測定された詰物材料は以下の通りである:
V1:43.0g/mの単位面積あたり重量及び5.3dtexの繊度を有する接着剤結合ポリエステル、
V2:34.1g/mの単位面積あたり重量及び6.7dtexの繊度を有する接着剤結合ポリエステル、
V3:50.4g/mの単位面積あたり重量及び6.7dtexの繊度を有する接着剤結合ポリエステル、
V4:28.3g/mの単位面積あたり重量及び7.7dtexの繊度を有する接着剤結合ポリエステル、
V5:38.0g/mの単位面積あたり重量及び7.7dtexの繊度を有する接着剤結合ポリエステル、
V6:59.9g/mの単位面積あたり重量及び7.7dtexの繊度を有する接着剤結合ポリエステル、
V8:50.7g/mの単位面積あたり重量及び8.8dtexの繊度を有する接着剤結合ポリエステル、
V9:61.7g/mの単位面積あたり重量及び8.8dtexの繊度を有する接着剤結合ポリエステル、
V10:50.0g/mの単位面積あたり重量及び6.7dtexの繊度を有する接着剤結合ポリエステル。
【0050】
測定の結果は図4及び5において細孔体積分布曲線の形で示されている。
【0051】
図4は異なる液体透過性カバー材料についての細孔体積分布を示す。測定が行なわれた試料はN1−N4,N7及びN9−N10であり、それらは疎水性/接触角の測定と関連して上で記載された。
【0052】
最良の細孔体積分布はN9によって示されるものであるが、N4もまた極めて良好であり、他の試験された材料は許容可能な細孔体積分布を示す。
【0053】
図5は異なる液体輸送材料V1−V9、及び参照材料V10についての測定結果を示す。
【0054】
表2は試料V1−V10について0−700μmの範囲の全累積体積のうち110−350μm,120−230μm及び150−180μmの細孔半径範囲内の液体百分率を示す:

関連する範囲内の液体百分率は範囲内にある曲線ピークがどのように良く規定されているかの測定値を与える。
【0055】
乾燥性の測定
異なる材料組み合わせの認識される乾燥性は感覚的評価によって測定された。
【0056】
試験液は次のように作られた合成尿SUMであった:0.66g/l硫酸マグネシウム、4.47g/l塩化カリウム、7.60g/l塩化ナトリウム、18.00g/l尿、3.54g/l燐酸二水素カリウム、0.745g/l燐酸水素ナトリウム、1.00g/l 0.1%triton,0.4g/l Nykockin(着色)及び残り脱イオン水。試験液は100mlの3回投与で投与間隔20分で試料に適用された。乾燥性の評価は最後の投与が加えられた20分後に実施された。
【0057】
関係する試料の乾燥の度合いを特性づけるために異なる感覚的方法が使用された:
【0058】
方法1:製造タイプ、評価方法及び求められる属性について十分知らせられた人々からなるパネルは各場合について10個の試料まで適切に配置しなければならない。全ての試料は他の試料との多数の異なる組み合わせで評価される。試料はブラインドで評価される。結果を寄せ集め、各グループが同様の乾燥性を有する試料からなるようにグループ分けされる。試験方法についての詳細な情報について、Sensory Evaluation Techniques、第2編、ISBN 0−8493−4280−5、著者:Meilgaard,Cicille & Carr.を参照されたい。117−119頁が特に重要である。
【0059】
方法2:一つの同じグループ内の試料はランダムな順序に配置され、二人の熟練した評価者によって評価される。熟練評価者は製造タイプ、評価方法及び求められる属性について十分知らせられる。同じグループ内の試料は乾燥性の度合いが増大するに従って順に置かれる。次いで湿っている方のグループからの最も乾燥した試料及び乾燥している方のグループからのより湿潤している試料が一緒にもたらされ、ランダムな順序で与えられ、乾燥性の度合いが増大するに従って置かれるような方法で、新しいグループが二つの同じグループから形成される。元のグループ及び新しく形成されたグループの全てが乾燥性の度合いが増大する順序に置かれたとき、含まれる全ての試料は製造された順序で評価される。以下に述べられた試験では、試料は全ての場合でブラインドで評価された。
【0060】
試料は相互に異なる材料及び材料組み合わせからなり、そこでは材料は試料がとられる場所によって本質的にわずかに変わるので、全ての評価は数回実施された。
【0061】
表面材料(NX)及び下にある詰物(VX)の異なる組み合わせについて、上述の方法2に従って行なわれた乾燥性評価の結果を図6及び7に示す。
【0062】
液体受け入れスピード
液体を迅速に取り込み、それを通過させることができる能力は、異なる材料の組み合わせについて測定された。測定は英国特許明細書GB 2339477に詳細に記載されるART法に従って実施された。
【0063】
ART法は吸収構造体が容器から所定量の液体を受容するのにかかる時間を測定することに基づき、その液体の量は容器から運び去られる液体の量を測定することによって連続的に測定される。
【0064】
試験された異なる材料組み合わせについての結果が以下の表3に与えられ、それは表面材料及び液体輸送層の異なる組み合わせについて液体(SUM、上述のように作られる)の加えられた量を運び去るように要求された受け入れ時間の百分率基準の比較を示す。試料5の受け入れ時間は投与1,2及び3について100に設定される。試験液は4.5kgの圧力及び8ml液体カラムで100ml/投与で加えられた。
【0065】

【0066】
本発明はここで記載された図示例に限定されて考えられるべきではない。それゆえ、本発明は尿、軟便及び血液の如き体液を吸収するために意図された全てのタイプの吸収物品を含む。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明による表面材料を有する失禁パッドを示す。
【図2】失禁パッドの線II−IIに沿った断面を示す。
【図3】表面上に配置された液滴を示す。
【図4】液体透過性カバー材料のための細孔体積分布を示す曲線チャートを示す。
【図5】液体輸送材料のための細孔体積分布を示す曲線チャートを示す。
【図6】感覚的乾燥の測定の結果を示す。
【図7】感覚的乾燥の測定の結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体(4)、吸収体(4)上の第一表面上に配置された液体透過性カバー層(2)、及び吸収体(4)と液体透過性カバー層(2)の間に配置された液体透過性液体輸送層(6)を含む吸収物品(1)において、液体透過性カバー層(2)が、50μmに等しいか又はそれより大きい細孔半径で最大値を有する細孔体積分布曲線を持ちかつ少なくとも120°の湿潤角を持つ不織材料からなること、及び液体輸送層(6)が105μm〜325μmの細孔半径で最大値を有する細孔体積分布曲線を持つ繊維層からなることを特徴とする吸収物品(1)。
【請求項2】
液体透過性カバー層(2)が55μmに等しいか又はそれより大きい細孔半径で最大値を有する細孔体積分布曲線を持つことを特徴とする請求項1に記載の吸収物品。
【請求項3】
液体透過性カバー層(2)が55μm〜60μmの細孔半径で最大値を有する細孔体積分布曲線を持つことを特徴とする請求項2に記載の吸収物品。
【請求項4】
液体透過性カバー層(2)が少なくとも5dtexの繊度を有する繊維からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の吸収物品。
【請求項5】
液体透過性カバー層(2)が最大15g/mの基本重量を持つことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の吸収物品。
【請求項6】
液体透過性カバー層(2)がスパンボンド不織布からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の吸収物品。
【請求項7】
液体輸送層(6)が結合剤で結合されたポリエステル詰物からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の吸収物品。
【請求項8】
液体輸送層(6)が115μm〜185μmの細孔半径で最大値を有する細孔体積分布曲線を持つことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の吸収物品。
【請求項9】
液体輸送層(6)が135μm〜155μmの細孔半径で最大値を有する細孔体積分布曲線を持つことを特徴とする請求項8に記載の吸収物品。
【請求項10】
液体輸送層(6)が110μm〜350μmの細孔サイズ範囲で累積細孔体積を有し、それが全細孔体積の60%より多く、好ましくは全細孔体積の65%より多いことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の吸収物品。
【請求項11】
液体輸送層(6)が120μm〜230μmの細孔サイズ範囲で累積細孔体積を有し、それが全細孔体積の40%より多く、好ましくは全細孔体積の50%より多いことを特徴とする請求項10に記載の吸収物品。
【請求項12】
液体輸送層(6)が150μm〜180μmの細孔サイズ範囲で累積細孔体積を有し、それが全細孔体積の15%より多く、好ましくは全細孔体積の20%より多いことを特徴とする請求項11に記載の吸収物品。
【請求項13】
液体輸送層(6)が6.7dtex〜11dtexの繊度を有する繊維からなることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の吸収物品。
【請求項14】
液体輸送層(6)が10g/m〜100g/m、好ましくは25g/m〜60g/mの基本重量、及び0.1kPaの荷重で測定された少なくとも15cm/gの嵩を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の吸収物品。
【請求項15】
液体輸送層(6)が155μm〜165μmに最大値を有する細孔体積分布曲線を、25μmに等しいか又はそれより小さい半径を有する細孔において試料の0.1mm/mg、好ましくは0.5mm/mg以上の累積液体体積と組み合わせて有することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の吸収物品。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の吸収物品において、吸収物品が吸収体(4)上の第一表面とは反対の第二表面上に位置される液体不透過性カバー層(3)を含むこと、及び液体透過性カバー層(2)及び液体不透過性カバー層(3)が一緒に吸収体(4)を包囲することを特徴とする吸収物品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体(4)、吸収体(4)上の第一表面上に配置された液体透過性カバー層(2)、及び吸収体(4)と液体透過性カバー層(2)の間に配置された液体透過性液体輸送層(6)を含む吸収物品(1)において、液体透過性カバー層(2)が、50μmに等しいか又はそれより大きい細孔半径で最大値を有する細孔体積分布曲線を持ちかつ少なくとも120°の湿潤角を持つ不織材料からなること、液体輸送層(6)が105μm〜325μmの細孔半径で最大値を有する細孔体積分布曲線を持つ繊維層からなること、及び液体輸送層(6)が10g/m〜100g/m、好ましくは25g/m〜60g/mの基本重量、及び0.1kPaの荷重で測定された少なくとも15cm/gの嵩を有することを特徴とする吸収物品(1)。
【請求項2】
液体透過性カバー層(2)が55μmに等しいか又はそれより大きい細孔半径で最大値を有する細孔体積分布曲線を持つことを特徴とする請求項1に記載の吸収物品。
【請求項3】
液体透過性カバー層(2)が55μm〜60μmの細孔半径で最大値を有する細孔体積分布曲線を持つことを特徴とする請求項2に記載の吸収物品。
【請求項4】
液体透過性カバー層(2)が少なくとも5dtexの繊度を有する繊維からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の吸収物品。
【請求項5】
液体透過性カバー層(2)が最大15g/mの基本重量を持つことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の吸収物品。
【請求項6】
液体透過性カバー層(2)がスパンボンド不織布からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の吸収物品。
【請求項7】
液体輸送層(6)が結合剤で結合されたポリエステル詰物からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の吸収物品。
【請求項8】
液体輸送層(6)が115μm〜185μmの細孔半径で最大値を有する細孔体積分布曲線を持つことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の吸収物品。
【請求項9】
液体輸送層(6)が135μm〜155μmの細孔半径で最大値を有する細孔体積分布曲線を持つことを特徴とする請求項8に記載の吸収物品。
【請求項10】
液体輸送層(6)が110μm〜350μmの細孔サイズ範囲で累積細孔体積を有し、それが全細孔体積の60%より多く、好ましくは全細孔体積の65%より多いことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の吸収物品。
【請求項11】
液体輸送層(6)が120μm〜230μmの細孔サイズ範囲で累積細孔体積を有し、それが全細孔体積の40%より多く、好ましくは全細孔体積の50%より多いことを特徴とする請求項10に記載の吸収物品。
【請求項12】
液体輸送層(6)が150μm〜180μmの細孔サイズ範囲で累積細孔体積を有し、それが全細孔体積の15%より多く、好ましくは全細孔体積の20%より多いことを特徴とする請求項11に記載の吸収物品。
【請求項13】
液体輸送層(6)が6.7dtex〜11dtexの繊度を有する繊維からなることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の吸収物品。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の吸収物品において、吸収物品が吸収体(4)上の第一表面とは反対の第二表面上に位置される液体不透過性カバー層(3)を含むこと、及び液体透過性カバー層(2)及び液体不透過性カバー層(3)が一緒に吸収体(4)を包囲することを特徴とする吸収物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−521168(P2006−521168A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507957(P2006−507957)
【出願日】平成16年3月12日(2004.3.12)
【国際出願番号】PCT/SE2004/000364
【国際公開番号】WO2004/098474
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(598166490)エスシーエー・ハイジーン・プロダクツ・アーベー (21)
【Fターム(参考)】