改良型の蓄熱システム
エネルギを貯蔵するための装置1において、高圧ガスを受容するための高圧貯蔵容器10であって、第1のガス透過性の蓄熱構造14を収容している第1のチャンバを含む高圧蓄熱手段を含む高圧貯蔵容器10と、低圧ガスを受容するための低圧貯蔵容器11、12であって、第2のガス透過性の蓄熱構造16、18を収容している第2のチャンバを含む低圧蓄熱手段を含む、低圧貯蔵容器11、12と、を含み、第1の蓄熱構造14は第2の蓄熱構造16、18の単位容積あたりの平均表面積よりも大きい単位容積あたりの平均表面積を有する、エネルギを貯蔵するための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギを貯蔵するための装置に関し、特に、エネルギを電力の形態で受け取るための、かつ戻すための装置(以下、「電力貯蔵」装置と呼ぶ)に関するが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
空気の圧縮熱を貯蔵するとともに空気の膨張の仕事を吸収する電力貯蔵のためのシステムが数多く提案されている。
この一般に提案されている例は、断熱式圧縮空気エネルギ貯蔵(Adiabatic CAES:Adiabatic Compressed Air Energy Storage)と呼ばれ、一般に岩塩空洞が圧縮空気貯蔵部として使用される。電力を貯蔵すべきときに、モータが圧縮器を駆動し、空洞内において空気を圧縮する。圧縮工程によって空気の温度が上昇する。効率的なエネルギ回収を可能にするため、この「圧縮熱」を何らかの形態の蓄熱部に貯蔵する必要がある。
【0003】
空洞は通常40バール(4000kPa)などの最低圧力で維持され、これは蓄積中、上限、例えば60バール(6000kPa)まで上昇する。これら圧力は空気を使用すると摂氏650度のピーク温度を生じるものと思われる。これは通常、熱交換器によって非加圧蓄熱部に伝達されるか、加圧容器内に収容された蓄熱マトリックスに直接貯蔵されるかのいずれかである。電力を回収するため、工程を逆にし、圧縮されたガスが膨張する前に蓄熱部によって再加熱される。膨張の仕事は電力を発生させるために発電機を駆動するのに使用される。
【0004】
加圧容器内の蓄熱マトリックスよりもむしろ熱交換器が使用された場合、この目的は、工程を逆にした場合に空気がそのほぼ元の温度まで加熱されるように、圧縮空気温度と貯蔵材料温度との間にわずかな差しかない状態で熱を貯蔵することである。
【0005】
摂氏0度〜摂氏650度の範囲で動作する熱伝達液体がないため、この種の熱交換は達成が極めて困難である。これは、複数の液体を使用しなければならないか、熱交換がガスによる(ガス−ガス熱交換器を意味する)ものであるかのいずれかであることを意味する。
【0006】
複数の熱伝達液体は、複数の貯蔵容器を必要とし、全般的に高額なため管理が困難であるが、効率的に操作することができ、高加圧容器のコストを省くことができる。
ガス−ガス熱交換器においては、その温度範囲のため高品質鋼の使用が必要となり、そのガス流には圧力低下を回避するために非常に大型の熱交換器が必要である。この結果、これらの熱交換器は、通常、非常に高額であるとともにあまり効率的ではなく、各熱伝達工程後、摂氏50度などの大きな温度差が生じる。
【0007】
最も効率的な解決策は、断熱圧力容器内に収容される微粒子構造などの蓄熱マトリックスを使用し、非常に大型の蓄熱式熱交換器に類似する手法で、熱をガスに、およびガスから熱を伝達することである。これは最良の熱伝達を有するが、貯蔵質量をすべて圧力容器内に収容しなければならず、これは非常に高額となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本出願人は先行技術に付随する問題のいくつかを克服するまたは少なくとも軽減する改良型のエネルギ貯蔵システムの必要性を認識している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、高圧ガスを受容するための高圧貯蔵容器であって、ガスから熱エネルギを受容するための高圧蓄熱手段を含む高圧貯蔵容器と、高圧貯蔵容器を、高圧蓄熱手段の作用を受けた後の高圧ガスを貯蔵するためのガス貯蔵手段に、または高圧蓄熱手段の作用を受けた後の高圧ガスを受容するためのガス処理手段に、連結するための連結手段と、を含み、装置がさらに、ガスから熱エネルギを受容するための低圧蓄熱手段を含む(例えば、低圧のみでガスを受容するのに適した)低圧貯蔵容器であって、高圧貯蔵容器に選択的に連結可能な低圧貯蔵容器と、低圧のガスを高圧貯蔵容器と低圧貯蔵容器との間において移送するためのガス移送手段であって、低圧ガスを高圧貯蔵容器と低圧貯蔵容器との間において(すなわち熱交換器を使用せずに直接)送ることにより貯蔵熱エネルギが高圧蓄熱手段と低圧蓄熱手段との間において伝達されるガス移送手段と、を含む、エネルギを貯蔵するための装置が提供される。
【0010】
このように、高圧ガスを含むように構成されている貯蔵容器に収容された蓄熱手段から、低ガス圧力を維持するように構成されている貯蔵容器(例えば、低圧または非加圧貯蔵容器)に収容された蓄熱手段に、熱を(すなわち、高圧側と低圧側両方のガスと固体蓄熱手段との間において)直接伝達することによって熱エネルギを伝達する、エネルギを貯蔵するための装置が提供される。したがって、本発明は、直接熱交換器と同等の性能を備えた高効率の蓄熱部を、非加圧貯蔵部を使用するコストに近いコストで提供する可能性を提供する。本発明は断熱式圧縮空気エネルギ貯蔵技術および本出願人の先願である、国際公開第2009/044139号パンフレット(追加の「蓄冷部」が蓄積段階時に膨張させたガスによって発生し、その後放出段階において圧縮の前にガスを冷却するために使用される)に開示される改良型のエネルギ貯蔵装置、ならびにまた太陽熱発電に適用可能であってもよい。さらに、放出段階時に加熱された高圧ガス(例えば、高圧蓄熱手段を通過する、ガス貯蔵手段またはガス処理手段から回収された高圧ガス)はその後、後のエネルギ回収工程時に膨張させてもよいため、高圧ガスは(例えば、発電段階において)膨張のための作業流体として付加的に機能してもよい。
【0011】
一実施形態において、高圧貯蔵容器は加熱された高圧ガスをガス源から受容するように構成されている。一実施形態において、ガス源は圧縮ガス源を含む。例えば、装置はガスを圧縮するための圧縮器手段を含んでもよい。高圧貯蔵容器は圧縮器手段によって圧縮されたガスを受容するように構成されている。圧縮器手段は電力供給によって駆動してもよい。このようにして、後の装置による回収のため、装置は電気エネルギを貯蔵熱エネルギに変換するために使用してもよい。別の実施形態においては、ガス源は太陽集熱器を含む。これら実施形態において、高圧蓄熱手段によって貯蔵された熱エネルギは(例えば、各サイクル時に高圧蓄熱手段によって貯蔵された熱エネルギが低圧蓄熱手段に伝達される割合でサイクル的に)低圧のガスを高圧貯蔵容器と低圧貯蔵容器との間において送ることによって低圧蓄熱手段に伝達される。
【0012】
別の実施形態においては、低圧貯蔵容器はガス源から加熱された低圧ガスを受容するように構成されている。一実施形態において、ガス源は太陽集熱器を含む。有利なことに、この機構は熱を低(場合によっては周囲)圧で収集および貯蔵することを可能にするため、高圧システムからの漏れに関する問題が低減される。
【0013】
ガス貯蔵手段は高圧貯蔵容器または低圧貯蔵容器の容積よりもかなり大きな容積を有してもよい(例えば、装置の貯蔵容量の少なくとも1000倍のガス貯蔵容積を有する)。例えば、ガス貯蔵手段は、岩塩ドーム、帯水層または他の適切な地下空間のような加圧地下空洞であってもよい。代替的に、ガス貯蔵手段は圧力容器であってもよい。ガス貯蔵手段は固定容積空間、固定圧力空間または両者の組み合わせのいずれかであってもよい。
【0014】
ガス処理手段は蓄積段階時に高圧貯蔵容器が受容した高圧ガスを膨張させるための膨張器手段を含んでもよい。ガス処理手段はさらに、膨張器手段によって膨張したガスに熱エネルギを伝達するための追加の蓄熱手段(例えば、蓄冷容器内に収容された蓄冷手段)を含んでもよい。装置は、閉サイクルにおいて高圧貯蔵容器と追加の蓄熱手段との間を通過するガスによって(例えば、加圧ガスを加熱するため圧縮手段によって圧縮される前に追加の蓄熱手段の作用を受けることにより(蓄積段階において)暖められたガスによって)動作するように構成してもよい。
【0015】
高圧蓄熱手段および低圧蓄熱手段の少なくとも1つが、ガスを受容するためのチャンバと、チャンバ内に収容された微粒子材料を含む。微粒子材料には、ガス透過性の蓄熱手段を形成するために充填される固体粒子および/または多孔質媒体および/または繊維およびまたは発泡材料(例えば、金属粒子、鉱物粒子またはセラミック粒子および/または繊維および/または発泡樹脂製品)を含んでもよい。
【0016】
高圧蓄熱手段と低圧蓄熱手段は同一であってもよい。しかしながら、高圧蓄熱手段と低圧蓄熱手段は異なっていてもよい。例えば、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段の熱蓄積/放出効率よりも高い(例えば、かなり高い)熱蓄積/放出効率を提供するように構成してもよい。一実施形態において、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段の表面積対容積比よりも高い(例えば、かなり高い、例えば、2倍、4倍またはさらには10倍高い)表面積対容積比を有する。加えてまたは代替的に、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段よりも高い(例えば、かなり高い、例えば、2倍、4倍またはさらには10倍高い)伝導率を有してもよい。加えてまたは代替的に、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段よりも小さな(例えば、かなり小さな、例えば、2分の1、4分の1またはさらには10分の1の)平均粒度を有してもよい。このように、高圧蓄熱手段は、有利なことに、熱エネルギを迅速に受容および伝達し、鋭い熱フロントを発生させるように構成され、それによって高圧貯蔵手段の通常の蓄積/放出の効率が向上してもよい。
【0017】
一実施形態において、低圧蓄熱手段は、有利なことに、体積熱容量、貯蔵部中の(ガス)圧力低下、ボイド率、伝導率および粒子の大きさが高圧蓄熱手段のものとは異なるように、異なる貯蔵材料および形状を有してもよい。例えば、低圧蓄熱手段は、砂利などの鉱物微粒子を含んでもよい。高圧貯蔵手段はランダムな微細銅繊維メッシュまたは発泡金属を含んでもよい。
【0018】
低圧蓄熱手段は高圧貯蔵手段よりも実質的に大きな容積(例えば、5倍、10倍またはさらには100倍)を有してもよい。加えて、圧力低下を減らすため、または貯蔵部を通過するガスの熱フロントの外形を変えるため、貯蔵部の断面積および長さを変えてもよい。
【0019】
高圧蓄熱手段は熱エネルギをガスから直接受容するための熱マトリックスを含んでもよい。低圧蓄熱手段は熱エネルギをガスから直接受容するための熱マトリックスを含んでもよい。例えば、低圧蓄熱手段および高圧蓄熱手段の少なくとも1つは微粒子蓄熱媒体を含んでもよい。
【0020】
一実施形態において、ガス移送手段はポンプ手段を含む。
装置は、さらに、低圧貯蔵容器に連結する前に、高圧貯蔵容器に貯蔵されたガスの圧力を減少させるための圧力減少手段を含んでもよい。一実施形態において、圧力減少手段は膨張器手段を含み、膨張のエネルギは装置によって回収可能である(例えば、電力の形態で、または異なる高圧容器の圧力を上昇させるために直接使用される−以下を参照のこと)。
【0021】
装置は、さらに、高圧貯蔵容器を低圧貯蔵容器から分離後、高圧貯蔵容器に貯蔵されたガスの圧力を増加させるための圧力増加手段を含んでもよい。
一実施形態において、装置は(例えば、圧縮器手段によって圧縮された)高圧ガスを受容するための(例えば、前に定義したような)追加の高圧貯蔵容器を含む。追加の高圧貯蔵容器は連結手段を介してガス貯蔵手段またはガス処理手段に連結可能であり、高圧ガスから熱エネルギを受容するための追加の高圧蓄熱手段を含む。
【0022】
最初に説明した高圧貯蔵容器と追加の高圧貯蔵容器とは交互に蓄積可能となるように構成してもよい。一実施形態において、装置は、(例えば、圧縮器手段によって圧縮された)受容した高圧ガスを、交互に蓄積可能な最初に説明した高圧貯蔵容器と追加の高圧貯蔵容器とに実質的に連続的に供給するように構成されている。このように、熱伝達プロセスは装置の蓄積または放出のいずれかにおいて事実上連続的である。
【0023】
一実施形態において、装置は、ガスから熱エネルギを受容するための(例えば、前に定義したような)追加の低圧蓄熱手段を含む追加の低圧貯蔵容器を含む。例えば、装置は、それぞれ前に定義したような複数の追加の低圧貯蔵容器(例えば、10または20の低圧貯蔵容器)を含んでもよい。複数の追加の低圧貯蔵容器はそれぞれガスから熱エネルギを受容するための追加の低圧蓄熱手段を含む。
【0024】
追加の低圧貯蔵容器は最初に定義した高圧貯蔵容器または追加の高圧貯蔵容器の少なくとも1つに選択的に連結可能であってもよい。一実施形態において、装置は、最初に説明した低圧蓄熱手段と追加の低圧蓄熱手段とに直列で、並列でまたは両者の組み合わせで蓄積するように構成されている。
【0025】
一実施形態において、最初に説明した低圧貯蔵容器は第1の圧力でガスを維持し、追加の低圧貯蔵容器は第1の圧力と異なる第2の圧力でガスを維持する。
追加の高圧貯蔵容器を含む装置の場合、装置は、さらに、各高圧貯蔵容器を最初に説明した低圧貯蔵容器または追加の低圧貯蔵容器に連結する前に、各高圧貯蔵容器に貯蔵されたガスの圧力を減少させるための圧力減少手段を含んでもよい。加えてまたはその代わりに、装置は、各高圧貯蔵容器を、最初に説明した低圧貯蔵容器または追加の低圧貯蔵容器から分離後、各高圧貯蔵容器に貯蔵されたガスの圧力を増加させるための圧力増加手段を含んでもよい。
【0026】
一実施形態において、圧力減少手段は膨張器手段を含み、高圧貯蔵容器の1つの減圧時に回収される膨張のエネルギは装置によって回収可能である。例えば、一実施形態において、回収した膨張のエネルギは別の高圧貯蔵容器の圧力を増加させるために圧力増加手段によって使用される。
【0027】
装置は、(例えば、圧縮器手段によって圧縮された、または太陽集熱器によって加熱された)高圧ガスを受容するための(例えば、それぞれ前に定義したような)少なくとも2つのさらなる追加の高圧貯蔵容器を含んでもよい。各さらなる追加の高圧貯蔵容器は連結手段を介してガス貯蔵手段またはガス処理手段に連結可能であり、高圧ガスから熱エネルギを受容するためのさらなる追加の高圧蓄熱手段を含む。
【0028】
一実施形態において、装置は、同時に、高圧貯蔵容器の1つに(例えば、圧縮器手段によって圧縮された、または太陽集熱器によって加熱された)高圧ガスが蓄積される;高圧貯蔵容器の1つがその圧力を圧力減少手段によって減少させたガスを含む;高圧貯蔵容器の1つがガス移送手段によって高圧貯蔵容器と低圧貯蔵容器との間において移送されるガスを含む;高圧貯蔵容器の1つがその圧力を圧力増加手段によって増加させたガスを含む;蓄積モードで作動可能である。このように、少なくとも1つの高圧貯蔵容器と少なくとも1つの低圧貯蔵容器は同時に蓄積され、装置の連続的な高圧蓄積と低圧蓄積を行うことができる。
【0029】
装置は、(例えば、圧縮器手段によって圧縮された、または太陽集熱器によって加熱された)高圧ガスを受容するための(例えば、前に定義したような)少なくとも1つのさらなる追加の高圧貯蔵容器を含んでもよい。少なくとも1つのさらなる追加の高圧貯蔵容器は連結手段を介してガス貯蔵手段またはガス処理手段に連結可能であり、高圧ガスから熱エネルギを受容するためのさらなる追加の高圧蓄熱手段を含む。このように、少なくとも2つの高圧貯蔵容器が低圧貯蔵容器に低圧ガスを同時に供給するように作動可能であってもよい。一実施形態において、装置は最初に説明した高圧貯蔵容器と追加の高圧貯蔵容器とから、それぞれ(例えば、圧縮器手段または太陽集熱器から)高圧ガスを受容するように構成された装置よりも低い移送速度で同時に低圧ガスを移送する蓄積モードにおいて作動可能である。加えてまたは代替的に、装置は、最初に説明した高圧貯蔵容器と追加の高圧貯蔵容器にそれぞれ高圧ガスを放出するように構成された装置よりも低い移送速度で同時に低圧ガスを移送する放出モードで作動可能であってもよい。このように、容器中の低圧流によるポンピング損失(または圧力低下)を低減する一方で、蓄積時における加圧ガスの入力/放出時における加圧ガスの出力の均衡を維持するために、低圧ガスの急速サイクルを高圧貯蔵容器と低圧貯蔵容器との間において実施してもよい。
【0030】
ガスは、空気、アルゴンまたはネオンもしくは別の適切なガスであってもよい。例えば、ガスは周囲大気からの空気を含んでもよい。
最初に説明した低圧貯蔵容器または追加の低圧貯蔵容器はガスを実質的に大気圧で貯蔵してもよい。
【0031】
装置は、さらに、(例えば、放出段階において)装置内に貯蔵されたエネルギを回収するための膨張器手段を含んでもよい。一実施形態において、圧縮器手段と膨張器手段には、圧縮モードまたは膨張モードにおいて選択的に作動可能となるように構成されている組み合わせ圧縮器/膨張器デバイスが設けられている。
【0032】
本発明の第2の態様によれば、蓄積段階時、加熱された高圧ガスを受容するステップと、ガスから熱エネルギを受容するための高圧蓄熱手段を含む高圧貯蔵容器を介して高圧ガスをガス貯蔵手段またはガス処理手段に移送するステップと、高圧貯蔵容器から低圧で(例えば、高圧貯蔵容器内に収容されたガスの圧力を低下させることによって)高圧貯蔵容器と、ガスから熱エネルギを受容するための低圧蓄熱手段を含む低圧貯蔵容器との間においてガスを移送し、高圧貯蔵容器と低圧貯蔵容器との間を通過する低圧ガスによって、高圧蓄熱手段により貯蔵された熱エネルギを低圧蓄熱手段に伝達するステップと、放出段階時、低圧のガスを低圧貯蔵容器と高圧貯蔵容器との間において移送し、低圧貯蔵容器と高圧貯蔵容器との間を通過する低圧ガスによって低圧蓄熱手段により貯蔵された熱エネルギを高圧蓄熱手段に伝達するステップと、その後(例えば、ガス貯蔵手段またはガス処理手段から回収した高圧ガスを使用して)高圧貯蔵容器中にガスを高圧で通過させてガスを高圧蓄熱手段にさらすステップと、加熱された高圧ガスを膨張させるステップと、を含む、エネルギを貯蔵し、その後回収する方法を提供する。
【0033】
このように、低圧貯蔵部を使用して直接熱伝達(すなわち、熱交換器を使用することなくガスと固体蓄熱手段との間において直接)により高圧ガスから熱を貯蔵する方法が提供される。
【0034】
一実施形態において、蓄積段階時、ガスが高圧貯蔵容器と低圧貯蔵容器との間においてサイクル的に移送され、放出段階時、低圧貯蔵容器と高圧貯蔵容器との間においてガスがサイクル的に移送される。
【0035】
一実施形態において、高圧加熱ガスがガス源から受容される。一実施形態において、ガス源は圧縮ガス源である。別の実施形態において、ガス源は太陽集熱器である。
前に定義した本発明の第1の態様の特徴のすべてが本発明の第2の態様の特徴を形成してもよい。
【0036】
本発明の第3の態様によれば、蓄積段階時、加熱された低圧ガスを受容するステップと、ガスから熱エネルギを受容するための低圧蓄熱手段を含む低圧貯蔵容器中にガスを通過させるステップと、放出段階時、低圧貯蔵容器から低圧で、低圧貯蔵容器と、ガスから熱エネルギを受容するための高圧蓄熱手段を含む高圧貯蔵容器との間においてガスを移送し、低圧貯蔵容器と高圧貯蔵容器との間を通過する低圧ガスにより低圧蓄熱手段によって貯蔵された熱エネルギを高圧蓄熱手段に伝達するステップと、その後ガスを高圧で高圧貯蔵容器中に通過させ、高圧ガスを高圧蓄熱手段にさらすステップと、加熱された高圧ガスを膨張させるステップと、を含む、エネルギを貯蔵し、その後回収する方法が提供される。
【0037】
このように、低圧貯蔵装置と高圧貯蔵装置との間における直接熱伝達(すなわち、熱交換器を使用することなくガスと固体蓄熱手段との間において直接)により低圧ガスから熱を貯蔵する方法が提供される。
【0038】
一実施形態において、低圧加熱ガスはガス源から受容される。一実施形態において、ガス源は太陽集熱器である。
前に定義した本発明の第1の態様の特徴のすべてが本発明の第3の態様の特徴を形成してもよい。
【0039】
本発明の第4の実施形態によれば、圧縮されたガスを受容するための高圧貯蔵容器であって、高圧貯蔵容器を通過する圧縮ガスから熱エネルギを受容するための高圧蓄熱手段を含む高圧貯蔵容器と、高圧貯蔵容器からガスを放出するための流出口と、を含み、さらに、ガスから熱エネルギを受容するための低圧蓄熱手段を含む低圧貯蔵容器であって、高圧貯蔵容器に選択的に連結可能な低圧貯蔵容器と、高圧貯蔵容器と低圧貯蔵容器との間においてガスを移送し、高圧貯蔵容器と低圧貯蔵容器との間を通過するガスにより高圧蓄熱手段によって貯蔵された熱エネルギを低圧蓄熱手段に伝達するためのガス移送手段とを含む、エネルギを貯蔵するための装置が提供される。
【0040】
前に定義した本発明の第1の態様の特徴のすべてが本発明の第4の態様の特徴を形成してもよい。
本発明の第5の態様によれば、高圧ガス(例えば、蓄積段階時の高圧加熱ガス)を受容するための高圧貯蔵容器であって、第1のガス透過性の蓄熱構造を収容する第1のチャンバを含む高圧蓄熱手段を含む高圧貯蔵容器と、低圧ガスを受容するための低圧貯蔵容器であって、第2のガス透過性の蓄熱構造を収容している第2のチャンバを含む低圧蓄熱手段を含む低圧貯蔵容器と、を含み、第1の蓄熱構造が第2の蓄熱構造の単位容積あたりの平均表面積よりも大きい単位容積あたりの平均表面積を有する、エネルギを貯蔵するための装置が提供される。
【0041】
有利なことに、本出願人は、高圧側に比較的大きな単位容積あたりの(すなわち、蓄熱構造の単位容積あたりの)平均表面積および低圧側に比較的小さな単位容積あたりの平均表面積を有する蓄熱構造を設けると、蓄積/放出性能が向上することを見出した。特に、本出願人は、高圧貯蔵容器を通過するガスに生じる圧力低下の増加に勝る蓄積/放出サイクルにおける不可逆性と熱フロント長さの両方の低減を高圧貯蔵装置において達成することができることを見出した。
【0042】
高圧貯蔵容器は低圧貯蔵容器に連結可能であってもよい。一実施形態において、蓄積段階時、低圧蓄熱手段はガス(例えば、高圧貯蔵容器が受容した低圧ガス)から熱エネルギを受容するように構成されている。別の実施形態においては、蓄積段階時、低圧蓄熱手段は熱エネルギをガス(例えば、蓄冷部を発生させるため、低圧貯蔵容器によって受容された膨張低圧ガスに)に伝達するように構成される。
【0043】
一実施形態において、第1の蓄熱構造は第1のチャンバ内に収容された微粒子材料を含む。
一実施形態において、第2の蓄熱構造は第2のチャンバ内に収容された微粒子材料を含む。
【0044】
一実施形態において、第1の蓄熱構造および第2の蓄熱構造の一方は耐火材(例えば耐火煉瓦)を含み、第1の蓄熱構造および第2の蓄熱構造のもう一方は金属材料を含む。
一実施形態において、第1の蓄熱構造および第2の蓄熱構造の一方が金属材料を含み、第1の蓄熱構造および第2の蓄熱構造のもう一方は天然鉱物材料(例えば砂利などの破砕鉱物)を含む。
【0045】
一実施形態において、微粒子材料は、ガス透過性の構造を形成するために充填された、固体粒子、多孔質媒体、繊維、発泡材料(例えば、金属粒子、鉱物粒子またはセラミック粒子および/または繊維および/または発泡樹脂製品)の少なくとも1つを含む。
【0046】
一実施形態において、第1のチャンバは注入口からガス(例えば高圧加熱ガス)を受容するように構成されており、第1の蓄熱構造は、注入口からの距離が(例えば、チャンバ内のガスの流れの方向に)増加するにつれて第1の蓄熱構造の単位容積あたりの平均表面積が減少する領域を有する。このように、第1の高表面積層が短い熱フロントを発生させ、ガスを第2の比較的低い表面積層に供給する高圧蓄熱手段が提供される。有利なことに、低表面積層に続き高表面積層(蓄積時のガスの流れの方向に)を設けると、高圧側における圧力低下を低減することを可能にする一方、より短い熱フロントを発生させ、熱吸収が向上し、不可逆性が低減する。
【0047】
一実施形態において、領域は第1の蓄熱構造の注入口に実質的に最も近い部分から延びる。
一実施形態において、単位容積あたりの平均表面積の変化が領域の長さ全体にわたって漸次的に(例えば、実質的に等しい増分で着実に)生じる。一実施形態において、(例えば、第1のチャンバ内に収容された微粒子材料と、徐々にサイズが増加する粒子状物質の層を含む第1の蓄熱構造の場合)領域における単位容積あたりの平均表面積の変化は実質的に滑らかに生じる。別の実施形態においては、(例えば、第1のチャンバ内に収容された微粒子材料を含み、第1の層と第2の層の粒子状物質のサイズが実質的に異なる第1の蓄熱構造の場合)領域における単位容積あたりの平均表面積の変化は段階的なステップで生じる。各段階的なステップは実質的に同等の長さを有してもよい.
段階的なステップの場合、領域には第1のサブ領域と第2のサブ領域を画定してもよい。第1のサブ領域は第2のサブ領域の単位容積あたりの平均表面積よりも大きな単位容積あたりの平均表面積を有する。一実施形態において、第1のサブ領域は蓄熱構造の長さの少なくとも10%の長さを有する。別の実施形態においては、第1のサブ領域は蓄熱構造の長さの少なくとも20%の長さを有する。チャンバ内に収容された微粒子材料を含む蓄熱構造の場合、第1の領域および第2の領域の少なくとも1つは各層が異なる平均粒度を有する複数の層の粒子状物質を含んでもよい。
【0048】
一実施形態において、領域は第1の蓄熱構造の全長に沿って延びる。
別の実施形態においては、領域は第1の蓄熱構造の長さの一部分に沿って延び、第1の蓄熱構造は最初に画定した領域の単位容積あたりの最小平均表面積よりも大きな単位容積あたりの平均表面積を有するさらなる領域を含む。このように、第1の蓄熱構造は高圧蓄熱手段中において流れを逆にした場合、より短い熱フロントを発生させるように構成してもよい。
【0049】
一実施形態において、さらなる領域は、注入口からの距離が増加するにつれて増加する単位容積あたりの平均表面積を有する。
一実施形態において、さらなる領域の単位容積あたりの平均表面積の変化が領域の長さ全体にわたって漸次的に(例えば、実質的に等しい増分で着実に)生じる。一実施形態において、(例えば、徐々にサイズが増加する粒子状物質の層を有する)領域における単位容積あたりの平均表面積の変化は実質的に滑らかに生じる。別の実施形態においては、(例えば、第1の層と第2の層の粒子状物質のサイズが実質的に異なる)領域における単位容積あたりの平均表面積の変化は段階的なステップで生じる。各段階的なステップは実質的に同等の長さを有してもよい。
【0050】
一実施形態において、さらなる領域がさらなる領域の長手方向に実質的に一定のままである単位容積あたりの平均表面積を有する。
一実施形態において、第1のチャンバは第2のチャンバの有効長さ対幅比よりも大きな有効長さ対幅比を有する。
【0051】
一実施形態において、第1のチャンバの有効長さ対幅比は第2のチャンバの有効長さ対幅比よりも少なくとも10%大きい。
一実施形態において、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段のボイド率よりも低いボイド率を有する。有利なことに、装置の高圧側においてボイド率を削減すると、高圧貯蔵容器の体積を削減することが可能となる(それによって場合によっては製造コストが削減される)が、高圧側における圧力低下の増加は許容できるものとなる。
【0052】
一実施形態において、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段のボイド率よりも少なくとも5%低いボイド率を有する。
一実施形態において、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段のボイド率よりも少なくとも10%低いボイド率を有する。
【0053】
一実施形態において、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段によって生じた絶対圧力低下の2倍の絶対圧力低下を生じるように構成される。
一実施形態において、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段によって生じた絶対圧力低下の3倍の絶対圧力低下を生じるように構成される。
【0054】
一実施形態において、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段によって生じた絶対圧力低下の5倍の絶対圧力低下を生じるように構成される。
一実施形態において、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段によって生じた絶対圧力低下の10倍の絶対圧力低下を生じるように構成される。
【0055】
一実施形態において、第1の蓄熱構造と第2の蓄熱構造は、実質的に同じ材料、または材料の混合物の場合、実質的に同等の比率の同じ材料を含む。
一実施形態において、第1の蓄熱構造と第2の蓄熱構造は異なる材料または異なる比率の同じ材料を含む。
【0056】
一実施形態において、第1の蓄熱構造は第2の蓄熱構造の単位質量あたりの平均熱容量よりも大きな単位質量あたりの平均熱容量を有する。
一実施形態において、第1の蓄熱構造の単位質量あたりの平均熱容量は第2の蓄熱構造の単位質量あたりの平均熱容量よりも少なくとも10%大きい。
【0057】
一実施形態において、第1の蓄熱構造は第2の蓄熱構造の単位容積あたりの平均熱容量よりも大きな単位容積あたりの平均熱容量を有する。
一実施形態において、第1の蓄熱構造の単位容積あたりの平均熱容量は第2の蓄熱構造の単位容積あたりの平均熱容量よりも少なくとも10%大きい。
【0058】
一実施形態において、第1の蓄熱構造は第2の蓄熱構造の平均密度よりも少なくとも10%大きい平均密度を有する。
一実施形態において、第1の蓄熱手段と第2の蓄熱手段はそれぞれ断熱材を有する。
【0059】
一実施形態において、第1の蓄熱手段および第2の蓄熱手段の一方はその断熱材のほぼすべてをその各々のチャンバ内側に有し、第1の蓄熱手段および第2の蓄熱手段のもう一方はその断熱材のほぼすべてをその各々のチャンバの実質的に外側に有する。
【0060】
本発明の第6の態様によれば、高圧ガス(例えば、蓄積段階時の高圧加熱ガス)を受容するための高圧貯蔵容器であって、第1のガス透過性の蓄熱構造を収容する第1のチャンバを含む高圧蓄熱手段を含む高圧貯蔵容器と、低圧ガスを受容するための低圧貯蔵容器であって、第2のガス透過性の蓄熱構造を収容している第2のチャンバを含む低圧蓄熱手段を含む低圧貯蔵容器と、を含み、高圧蓄熱手段が低圧蓄熱手段のボイド率よりも低いボイド率を有する、エネルギを貯蔵するための装置が提供される。
【0061】
有利なことに、装置の高圧側においてボイド率を低減すると、高圧貯蔵容器の体積を低減することが可能となる(それによって、場合によっては製造コストが削減される)が、高圧側における圧力低下の増加は許容できるものとなる。
【0062】
一実施形態において、高圧蓄熱手段が低圧蓄熱手段のボイド率よりも少なくとも5%低いボイド率を有する。
一実施形態において、高圧蓄熱手段が低圧蓄熱手段のボイド率よりも少なくとも10%低いボイド率を有する。
【0063】
高圧貯蔵容器は低圧貯蔵容器に連結可能であってもよい。一実施形態において、蓄積段階時、低圧蓄熱手段は熱エネルギをガス(例えば、高圧貯蔵容器が受容した低圧ガス)から受容するように構成されている。別の実施形態においては、蓄積段階時、低圧蓄熱手段は熱エネルギをガス(例えば、蓄冷部を発生させるため、低圧貯蔵容器によって受容された膨張低圧ガスに)に伝達するように構成されている。
【0064】
一実施形態において、第1の蓄熱構造は第1のチャンバ内に収容された微粒子材料を含む。
一実施形態において、第2の蓄熱構造は第2のチャンバ内に収容された微粒子材料を含む。
【0065】
一実施形態において、第1の蓄熱構造および第2の蓄熱構造の一方は耐火材(例えば耐火煉瓦)を含み、第1の蓄熱構造および第2の蓄熱構造のもう一方は金属材料を含む。
一実施形態において、第1の蓄熱構造および第2の蓄熱構造の一方が金属材料を含み、第1の蓄熱構造および第2の蓄熱構造のもう一方は天然鉱物材料(例えば砂利などの破砕鉱物)を含む。
【0066】
一実施形態において、微粒子材料は、ガス透過性の構造を形成するために充填された、固体粒子、多孔質媒体、繊維、発泡材料(例えば、金属粒子、鉱物粒子またはセラミック粒子および/または繊維および/または発泡樹脂製品)の少なくとも1つを含む。
【0067】
一実施形態において、第1のチャンバは第2のチャンバの有効長さ対幅比よりも大きな有効長さ対幅比を有する。
一実施形態において、第1のチャンバの有効長さ対幅比は第2のチャンバの有効長さ対幅比よりも少なくとも10%大きい。
【0068】
一実施形態において、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段によって生じた絶対圧力低下の2倍の絶対圧力低下を生じるように構成される。
一実施形態において、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段によって生じた絶対圧力低下の3倍の絶対圧力低下を生じるように構成される。
【0069】
一実施形態において、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段によって生じた絶対圧力低下の5倍の絶対圧力低下を生じるように構成される。
一実施形態において、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段によって生じた絶対圧力低下の10倍の絶対圧力低下を生じるように構成される。
【0070】
一実施形態において、第1の蓄熱構造と第2の蓄熱構造は、実質的に同じ材料または材料の混合物の場合、実質的に同等の比率の同じ材料を含む。
一実施形態において、第1の蓄熱構造と第2の蓄熱構造は異なる材料または異なる比率の同じ材料を含む。
【0071】
一実施形態において、第1の蓄熱構造は第2の蓄熱構造の単位質量あたりの平均熱容量よりも大きな単位質量あたりの平均熱容量を有する。
一実施形態において、第1の蓄熱構造の単位質量あたりの平均熱容量は第2の蓄熱構造の単位質量あたりの平均熱容量よりも少なくとも10%大きい。
【0072】
一実施形態において、第1の蓄熱構造は第2の蓄熱構造の単位容積あたりの平均熱容量よりも大きな単位容積あたりの平均熱容量を有する。
一実施形態において、第1の蓄熱構造の単位容積あたりの平均熱容量は第2の蓄熱構造の単位容積あたりの平均熱容量よりも少なくとも10%大きい。
【0073】
一実施形態において、第1の蓄熱構造は第2の蓄熱構造の平均密度よりも少なくとも10%大きな平均密度を有する。
一実施形態において、第1の蓄熱手段と第2の蓄熱手段はそれぞれ断熱材を有する。
【0074】
一実施形態において、第1の蓄熱手段および第2の蓄熱手段の一方はその断熱材のほぼすべてをその各々のチャンバ内側に有し、第1の蓄熱手段および第2の蓄熱手段のもう一方はその断熱材のほぼすべてをその各々のチャンバの実質的に外側に有する。
【0075】
本発明の第7の態様によれば、注入口からガス(例えば、蓄積段階時に加熱されたガス)を受容するためのチャンバを含む蓄熱手段が提供される。チャンバはガス透過性の蓄熱構造を収容する。蓄熱構造は注入口からの距離が(例えば、チャンバ内のガスの流れの方向に)増加するにつれて蓄熱構造の単位容積あたりの平均表面積が減少する領域を有する。
【0076】
一実施形態において、蓄熱構造がチャンバ内に収容された微粒子材料を含む。
一実施形態において、微粒子材料は、ガス透過性の構造を形成するために充填された、固体粒子、多孔質媒体、繊維、発泡材料(例えば、金属粒子、鉱物粒子またはセラミック粒子および/または繊維および/または発泡樹脂製品)の少なくとも1つを含む。
【0077】
一実施形態において、領域は蓄熱構造の注入口に実質的に最も近い部分から延びる。
一実施形態において、単位容積あたりの平均表面積の変化が領域の長さ全体にわたって漸次的に(例えば、実質的に等しい増分で着実に)生じる。一実施形態において、(例えば、徐々にサイズが増加する粒子状物質の層を有する)領域における単位容積あたりの平均表面積の変化は実質的に滑らかに生じる。別の実施形態においては、(例えば、第1の層と第2の層の粒子状物質のサイズが実質的に異なる)領域における単位容積あたりの平均表面積の変化は段階的なステップで生じる。各段階的なステップは実質的に同等の長さを有してもよい。
【0078】
段階的なステップの場合、領域には第1のサブ領域と第2のサブ領域を画定してもよい。第1のサブ領域は第2のサブ領域の単位容積あたりの平均表面積よりも大きな単位容積あたりの平均表面積を有する。一実施形態において、第1のサブ領域は蓄熱構造の長さの少なくとも10%の長さを有する。別の実施形態においては、第1のサブ領域は蓄熱構造の長さの少なくとも20%の長さを有する。チャンバ内に収容された微粒子材料を含む蓄熱構造の場合、第1の領域および第2の領域の少なくとも1つが、各層が異なる平均粒度を有する複数の層の粒子状物質を含んでもよい。
【0079】
一実施形態において、領域は蓄熱構造の全長に沿って延びる。
別の実施形態においては、領域は蓄熱構造の長さの一部分に沿って延び、蓄熱構造は、最初に画定した領域の単位容積あたりの最小平均表面積よりも大きな単位容積あたりの平均表面積を有するさらなる領域を含む。
【0080】
一実施形態において、さらなる領域は、注入口からの距離が増加するにつれて増加する単位容積あたりの平均表面積を有する。
一実施形態において、さらなる領域の単位容積あたりの平均表面積の変化は領域の長さ全体にわたって漸次的に生じる(例えば、実質的に等しい増分で着実に)。一実施形態において、(例えば、徐々にサイズが増加する粒子状物質の層を有する)領域における単位容積あたりの平均表面積の変化は実質的に滑らかに生じる。別の実施形態においては、(例えば、第1の層と第2の層の粒子状物質のサイズが実質的に異なる)領域における単位容積あたりの平均表面積の変化は段階的なステップで生じる。各段階的なステップは実質的に同等の長さを有してもよい。
【0081】
一実施形態において、さらなる領域はさらなる領域の長手方向に実質的に一定のままである単位容積あたりの平均表面積を有する。
一実施形態において、蓄熱手段は高圧蓄熱手段である。
【0082】
一実施形態において、蓄熱手段は低圧蓄熱手段である。
本発明の実施形態がここで添付の図面を参照して例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1の実施形態による電力貯蔵システムの概略図を示す。
【図2】本発明の第2の実施形態による電力貯蔵システムの概略図を示す。
【図3】図2の電力貯蔵システムの一部分の概略図を示す。
【図4】蓄積工程の特定の時点における図2の電力貯蔵システムの種々の高圧貯蔵装置の熱フロントの状態を示す。
【図5】本発明の第3の実施形態による電力貯蔵システムの概略図を示す。
【図6】本発明の一実施形態による太陽光発電システムの一部の概略図を示す。
【図7】本発明の別の実施形態による太陽光発電システムの一部の概略図を示す。
【図8】蓄熱部における熱フロントの形成を示す。
【図9a】蓄積段階時の本発明のさらなる一実施形態による電力貯蔵システムの概略図を示す。
【図9b】放出段階時の図9aの電力貯蔵システムを示す。
【図10】蓄積段階時の本発明のさらなる追加の実施形態による電力貯蔵システムの概略図を示す。
【図11】図10の電力貯蔵システムにおいて使用される高圧蓄熱部の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0084】
図1は、電力供給部3によって駆動され、高圧蓄熱部10とガス貯蔵部20とに連結される圧縮器/膨張器(例えば、圧縮器/膨張器タービン)2を含む電力貯蔵システム1を示す。高圧蓄熱部10はさらには低圧蓄熱部11および12に連結される。空気はパイプ30を通ってシステムに出入りし、パイプ31、32、33、34、35、36、37および38を通じて移送される。バルブ40、41、42、43、44および46は様々なパイプを選択的に閉じる/開くために使用することができる。空気ポンプ50がパイプ36に連結され、空気をいずれの方向にも押し出すことができる。熱交換器60はパイプ36を通過するガスの温度をほぼ周囲温度または固定基準温度で維持するために使用される。
【0085】
高圧蓄熱部10は、圧縮されたガスが、蓄積の際、通過してその熱を伝達することができ、放出の際、その熱を受容することができる熱マトリックス14を有する断熱された高圧容器13を含む。
【0086】
低圧蓄熱部11および12は、ガスが、蓄積の際、通過してその熱を伝達することができ、放出の際、その熱を受容することができる熱マトリックス16および18を有する断熱された低圧容器15および17を含む。
【0087】
ガス貯蔵部20は岩塩ドーム、帯水層または他の適切な地下空間のような加圧地下空洞であってもよい。代替的に、ガス貯蔵部20は圧力容器であってもよい。ガス貯蔵部20は固定容積空間、固定圧力空間または両者の組み合わせのいずれかであってもよい。
【0088】
圧縮器/膨張器2は、蓄積の際、電動機(図示せず)によって駆動する圧縮器として機能し、放出の際、発電機(図示せず)を駆動する膨張器(すなわち、回転機であればタービン)として機能する。圧縮器と膨張器は示されるように同じ装置であってもよい。または、それらは各工程用に最適化された独立したユニットであってもよい。
【0089】
システム内の高圧の作用を受けるパイプ、バルブ、容器はすべて関連する温度および負荷用に設計されている。
示されるように、高圧容器13は低圧容器15、17それぞれの貯蔵容積よりも実質的に小さい貯蔵容積を有する。
【0090】
低圧蓄熱部および高圧蓄熱部はそれぞれ非常に広い熱交換領域を可能にする微粒子蓄熱媒体を含んでもよい。材料が加圧蓄熱部内において使用されるのであれば、必要とされる貯蔵容積の量を最小限にするために材料が高い体積熱容量を有することが好ましかろう。しかしながら、高圧貯蔵部が非加圧貯蔵部に対して小さければ、この追加コストは大きくはないであろう。高圧貯蔵部中の熱フロントの長さを高圧貯蔵部の長さに対して短く保つことも重要である。これは、貯蔵部が頻繁にサイクルされるのであれば小さい粒度および高伝導率が重要であることを意味し、例えば、微細銅メッシュが使用されうる。貯蔵部がまれにサイクルされるのであれば、フロントの長さはあまり重要ではなく、伝導率の低いより大きな粒度、例えば、砂利が使用されうる。非加圧貯蔵部が使用される場合、封じ込めコストが大幅に低下するため、より低い熱容量を有するより安価な材料が最も費用対効果の高い解決策となる。示した実施形態においては、高圧容器13は、より大きな単位容積あたりの平均表面積に該当する、低圧容器15、17の固体微粒子蓄熱媒体よりも小さな平均粒度を有する固体微粒子蓄熱媒体を含む。
【0091】
高温が要求される場合、通常、アルミナまたは酸化マグネシウムの形態などの人工耐火物または金属部品を使用する必要がある。より低温が使用される場合、けい岩、マグネタイト、タコナイトなどの他の材料または他の低コスト材料が適切となる。この目的は、適正な体積熱容量を有し、かつ熱サイクルされうる低コスト材料を提供することである。
【0092】
動作時、蓄積段階時に電力を貯蔵する場合、大気がパイプ30中に引き込まれ、パイプ31に入る前に圧縮器/膨張器2において圧縮される。バルブ40および41は両方とも開かれる。バルブ42および43は両方とも閉じられる。パイプ31内の空気は圧縮器/膨張器2に入ったときに比べて圧力と温度が両方とも高い。熱マトリックス14、16および18は、初めはほぼ周囲温度である。
【0093】
空気はバルブ40を通って高圧蓄熱部10に入り、熱マトリックス14を通って高圧容器13の内部を通過する。高圧空気が熱マトリックス14に入ると、その圧縮熱を熱マトリックス14に伝達する。ここで冷却後の高圧空気が熱マトリックス14を離れ、バルブ41を通って高圧容器13から出て、パイプ32に入る。パイプ32はガス貯蔵部20に入る前の任意の空気をさらに冷却するために取り付けられた追加の熱交換器を有してもよい。空気はその後、容積的に高圧容器13よりもかなり大きいガス貯蔵部20に入る。
【0094】
熱マトリックス14が十分な量の圧縮熱を貯蔵すると、圧縮器/膨張器2は停止する。バルブ40および41は両方とも閉じられ、高圧容器13内の圧力は(例えば、以下に図3を参照して説明するバランスポンプ120に該当するバランスポンプ(図示せず)を使用して)低圧容器15および17内の圧力まで低下される。
【0095】
これら圧力が実質的に等しい場合、バルブ42、43および44が開位置に設定され、バルブ46が閉じられる。ポンプ50が作動し、空気を、パイプ36から熱交換器60を介してバルブ43を通過させ高圧容器13内に押し出す。空気は熱マトリックス14を通過し、そこでマトリックスから熱を受容する。空気は高圧容器を出てバルブ42を通りパイプ33に入る。空気はバルブ44を通りパイプ34に入り、低圧容器15に入る。空気は熱マトリックス16を通過し、マトリックスに熱を伝達する。空気は周囲温度近辺で熱マトリックスを離れ、パイプ37を通り低圧容器15を出て、パイプ36に入る。空気はポンプ50に戻り、高圧蓄熱部から低圧蓄熱部に熱を伝達する工程は継続する。適切な比率の熱が伝達されると、ポンプ50が停止し、バルブ42および43が閉じられる。
【0096】
貯蔵装置内の圧力がパイプ31および32内の圧力にほぼ等しくなるまで(例えば、大気の圧力を受容し、かつ上昇させるための圧縮器を含むバランスポンプ(図示せず)を使用して)高圧蓄熱部に空気が添加される。バルブ40および41が開かれ、圧縮器/膨張器2が再び空気を圧縮し始める。
【0097】
上記の工程は低圧蓄熱部11に熱が「完全に蓄積される」まで繰り返される。この段階において、バルブ44は閉じられ、バルブ46は開かれているため、低圧蓄熱部12をここで類似の手法で蓄積することができる。
【0098】
すべての貯蔵部が蓄積されると、システムは「満杯」であるが、あらゆる段階において、貯蔵部が部分的に蓄積されている場合でさえも、貯蔵された電力を回収することが可能である。システムの蓄積/放出効率は種々の工程において多くの損失があるため常時100%未満である。
【0099】
電力を放出段階において「回収する」ため、加圧された空気がパイプ32中に引き込まれ、バルブ41を通って高圧容器13に入る。完全に蓄積されていれば、各熱マトリックス14、16および18は「高温」状態にあるはずである。バルブ40および41は両方とも開かれている。バルブ42および43は両方とも閉じられている。
【0100】
高圧空気は熱マトリックス14を通過し、熱マトリックスから熱を受容する。ここで加熱された空気は高圧容器13を離れ、バルブ40を通りパイプ31に入る。圧縮器/膨張器2に入り、膨張した空気は、電力供給部3に伝送される電力を生成するために発電機を駆動する工程において仕事を発生する。
【0101】
この工程は熱マトリックス14が適切な量の熱を伝達するまで、すなわち熱が完全に放出されるまで継続する。サイクル運転においては、後の段階における再利用のために熱フロントの一部を貯蔵部内に残すと有益であろう。圧縮器/膨張器2は停止される。バルブ40および41は両方とも閉じられ、高圧容器13内の圧力は低圧容器15および17内の圧力まで低下される。
【0102】
これら圧力が実質的に等しい場合、バルブ42、43および44が開位置に設定され、バルブ46が閉じられる。ポンプ50が作動し、空気を、パイプ36からパイプ37内に押し出し、低圧容器15に入れる。空気は熱マトリックス16を通過し、マトリックスから熱を受容する。空気は低圧容器15を出て、パイプ34に入り、バルブ44を通ってパイプ33に入る。空気はバルブ42を通って高圧容器13に入る。空気は熱マトリックス14を通過し、マトリックスに熱を伝達する。空気はほぼ周囲温度または基準温度でマトリックスを離れ、バルブ43を通ってパイプ36に入る。空気は熱交換器60を通過し、必要であればそこでさらに冷却され、ほぼ周囲温度または基準温度で熱交換器を出る。
【0103】
システムは周囲温度を上回る基準温度で動作してもよい。システム内における損失は低グレード熱として蓄積する傾向があり、全体的な温度上昇を止めるためにこの熱をシステムから除去する必要がある。熱交換器60がこの熱を除去するが、簡略化のため、システム温度が周囲温度を上回る場合は、熱を遮断するほうが容易になる。すなわち、熱交換器設計は温度差が大きくなるとより単純かつ小型化する。結果として、基準システム温度はほぼ周囲温度であるか、周囲温度よりも高くてもよく、例えば、摂氏50度高くてもよい。
【0104】
空気はポンプ50に戻り、低圧蓄熱部から高圧蓄熱部に熱を伝達する工程は継続する。適切な比率の熱が伝達されると、ポンプ50が停止され、バルブ42および43が閉じられる。
【0105】
貯蔵部内の圧力がパイプ31および32内の圧力にほぼ等しくなるまで高圧蓄熱装置に空気が添加される。バルブ40および41が開かれ、圧縮器/膨張器2が再び空気を膨張させ始める。
【0106】
この工程は低圧蓄熱部11が「完全に放出される」まで繰り返される。この段階において、バルブ44は閉じられ、バルブ46は開かれているため、低圧蓄熱部12をここで類似の手法で放出することができる。
【0107】
図2は、熱伝達を、図1に示す「バッチ」工程システム1としてではなく連続工程として運転することを可能にする電力貯蔵システム1’を示す。
電力貯蔵システム1’は、電力供給部3’によって駆動され、高圧/低圧熱伝達システム100とガス貯蔵部20’とに連結される圧縮器/膨張器2’を含む。高圧蓄熱部10’はさらには、それぞれが熱マトリックス16’および18’を有する断熱された低圧容器15’および17’を含む低圧蓄熱部11’および12’に連結される。空気はパイプ30’を通ってシステムに出入りし、パイプ31’、32’、33’、34’、35’、36’、37’および38’を通って移送される。バルブ44’および46’は様々なパイプを選択的に閉じる/開くために使用することができる。空気ポンプ50’がパイプ36’にあり、空気をいずれの方向にも押し出すことができる。熱交換器60’はパイプを通過するガスの温度をほぼ周囲温度または固定基準温度で維持するために使用される。パイプ32’はガス貯蔵部20に入る任意の空気をさらに冷却するために取り付けられる追加の熱交換器(図示せず)を有してもよい。
【0108】
図3に詳細に示される熱伝達システム100は、選択的なバルブ105および106に連結される高圧蓄熱部111、112、113、114および115を含む。このシステムは、高圧入力/出力デバイス101および102ならびに低圧入力/出力デバイス103および104も含む。示されるように、高圧貯蔵部111、112、113、114および115はすべて、より高い単位容積あたりの平均表面積に該当する低圧容器15’、17’の固体微粒子蓄熱媒体よりも小さな平均粒度を有する固体微粒子蓄熱媒体を含む。
【0109】
動作時、起動の際、蓄熱部111〜112はほぼ周囲温度であり、高圧である。蓄熱部113〜115はほぼ周囲温度であり、低圧である。高温高圧ガスが高圧入力/出力デバイス101を通ってシステム100に入り、選択的なバルブ105を通って蓄熱部111内に誘導される。ここで冷却後の高圧ガスは選択的なバルブ106を通って蓄熱部111を離れ、高圧入力/出力デバイス102を通ってシステムを出る。
【0110】
蓄熱部111に「熱」が完全に蓄積されると、高温高圧入力流は、流れがここで蓄熱部112を通過するように、選択的なバルブ105および106により切り換えられる。バランスポンプ120は導圧管121を介して蓄熱部111内の圧力を低圧まで低下させ、蓄熱部113内の圧力を高圧まで上昇させる。バランスポンプ120は、大気を取り込み、蓄熱部内の圧力を必要に応じて上昇させる圧縮器を含んでもよい。圧力の低下は膨張弁を使用したバランスポンプ120によって達成することができる。加圧された空気内のエネルギは貯蔵部内の熱エネルギと比較すると低いため、これを回収することは必須ではない。しかしながら、回収される場合、これは、独立型であれば、発電機に連結される膨張器の使用によって達成することができる。または、膨張器が圧縮器に連結されている場合、膨張する空気のエネルギを、圧縮器を駆動し、異なる蓄熱部内の圧力を上昇させるために使用することができる。これによって蓄熱部内の圧力を低下および上昇させるにあたりエネルギ損失が最も低くなる。バランスポンプ120は蓄熱部内の圧力を必要に応じて低下および上昇させるデバイスとみなされるべきであり、また、必要に応じて追加の大気を使用するか大気に放出し、貯蔵部内における適正圧力を維持する。この工程を実施するため正味の仕事入力があると思われるため、デバイスには動力を備える必要があるが、この仕事入力は全体的なシステムの仕事の観点からいえば非常に小さい。
【0111】
蓄熱部内の熱質量はガスの熱容量よりもかなり高いため、貯蔵部内のこれら圧力変化は実質的に等温である。
蓄熱部112に熱が完全に蓄積されると、高温高圧入力流は、流れがここで蓄熱部113を通過するように選択的なバルブ105および106により切り換えられる。バランスポンプ120は、導圧管121を介して蓄熱部112内の圧力を低圧に低下させ、蓄熱部114内の圧力を高圧に上昇させる。蓄熱部111は以下のように放出される。ほぼ周囲温度の低圧ガスが、低圧入力/出力デバイス104を通って入り、選択的なバルブ106を通り、ガスが貯蔵部を通過する際に加熱される蓄熱部111に入る。ガスは選択的なバルブ105を通って蓄熱部を出て、低圧入力/出力デバイス103を通過して高温低圧ガスとしてシステムから出る。蓄熱部111中の質量流量は蓄熱部113中の質量流量の約半分である。
【0112】
蓄熱部113に熱が完全に蓄積されると、高温高圧入力流は、流れがここで蓄熱部114を通過するように選択的なバルブ105および106により切り換えられる。バランスポンプ120は、導圧管121を介して蓄熱部113内の圧力を低圧に低下させ、蓄熱部115内の圧力を高圧に上昇させる。蓄熱部111は継続して放出され、蓄熱部112は以下のように放出される。ほぼ周囲温度の低圧ガスが低圧入力/出力デバイス104を通って入り、選択的なバルブ106を通って、貯蔵部を通過する際にガスが加熱される蓄熱部112に入る。ガスは選択的なバルブ105を通って蓄熱部112を出て、低圧入力/出力デバイス103を通過して高温低圧ガスとしてシステムから出る。システムに入る熱流量とシステムから出る熱流量が平衡するように蓄熱部111および112中の質量流量は蓄熱部114中の質量流量とほぼ等しい。図4は、この段階時における種々の貯蔵部の温度分布を示す。
【0113】
このように、1つの蓄熱部には常時高圧ガスが蓄積されており、1つの貯蔵部がその圧力を低圧側の圧力まで低下させており、2つの貯蔵部が低圧側に放出し、最後に、1つの貯蔵部が低圧から高圧に圧力を上昇させている。
【0114】
蓄熱部を通過するガス流の圧力低下があるものと思われる。この高圧側における圧力低下は流量の割合に対して低いと思われるが、低圧側にとってこの圧力低下は非常に大きなものとなりうる。これを低減するため、貯蔵部が放出される速度を低下する必要があり、さらなる蓄熱部が追加されなければシステムの不均衡につながる。追加の蓄熱部を有することによって、例えば、低圧側にある貯蔵部のうちの2つを高圧側の質量流量の半分で放出し、システムの均衡を維持することが可能である。高圧と低圧間の圧力差が大きくなるほどこの差は大きくなるものと思われる。しかしながら、低圧ガスが蓄熱部を通過する際の圧力低下が大きくないとみなされる場合は、最も簡単なシステムでは高圧と低圧とが等しい速度で蓄積/放出される4つの貯蔵部のみを有する。
【0115】
蓄積されない蓄熱部は通常基準温度で維持され、これは通常およそ周囲温度または周囲温度近辺である。しかしながら、周囲温度ではない基準温度を有することが好ましい可能性がある用途もいくつかある。
【0116】
熱をシステムに戻すため、高温低圧ガスが低圧入力/出力デバイス103を通ってシステムに入り、高圧入力/出力デバイス101を通ってシステムを出るように、工程および流れがすべて逆にされる。
【0117】
図4は、蓄積工程のセクション時における図3の種々の貯蔵部の熱フロントの状態を示す。
グラフ1は、低圧状態にあり、放出されている蓄熱部を示す。
【0118】
グラフ2は、低圧状態にあり、放出されている蓄熱部を示す。
グラフ3は、完全に蓄積された状態にあり、圧力が高圧状態から低圧状態に低下している蓄熱部を示す。
【0119】
グラフ4は、高圧状態にあり、蓄積されている蓄熱部を示す。
グラフ5は、完全に放出された状態にあり、圧力が低圧状態から高圧状態に上昇している蓄熱部を示す。
【0120】
図5は、電力供給部3”によって駆動され、高圧蓄熱部10’と、蓄冷部150とに連結される圧縮器/膨張器対2Aおよび2Bを含む閉サイクル電力貯蔵システム1”を示す。高圧蓄熱部10’はさらには低圧蓄熱部11”および12”に連結される。(空気、アルゴン、窒素または何らかの他の適切な作業流体とすることができる)ガスが装置1”中をパイプ31”、32”、33”、34”、35”、36”、37”および38”を通って移送される。バルブ40’、41’、42’、43’、44”および46”は様々なパイプを選択的に閉じる/開くために使用することができる。ガスポンプ50”がパイプ36”にあり、ガスをいずれの方向にも押し出すことができる。熱交換器60”はパイプを通過するガスの温度をほぼ周囲温度または固定基準温度で維持するために使用される。パイプ31”および32”は、パイプ内の任意のガスを、ほぼ周囲温度であってもよい同じ基準温度までさらに冷却または加熱するために取り付けられる追加の熱交換器(図示せず)を有してもよい。代替的に、基準温度は各熱交換器において異なってもよい。
【0121】
高圧蓄熱部10’は、圧縮されたガスが、蓄積の際、通過してその熱を伝達することができ、放出の際、その熱を受容することができる熱マトリックス14’を有する断熱された高圧容器13’を含む。
【0122】
低圧蓄熱部11”および12”はそれぞれ、ガスが、蓄積の際、通過してその熱を伝達することができ、放出の際、その熱を受容することができる熱マトリックス16”および18”を有する断熱された低圧容器15”および17”を含む。
【0123】
蓄冷部150は、蓄冷部150を通過する冷却後の膨張したガスに熱を伝達するように構成されている熱マトリックス170を有する断熱された低圧容器160を含む。このように、高圧蓄熱部10’および蓄冷部150が熱ヒートポンプサイクル内に配置され、蓄積時にそれぞれ蓄熱部と蓄冷部を生成するエネルギ貯蔵装置1”が設けられる。したがって、エネルギは、放出モードにおいて、冷却後の蓄冷部150中にガスを送り、蓄冷部150によって冷却後のガスを圧縮器/膨張器2Bを使用することにより圧縮し、高圧蓄熱部10’と低圧蓄熱部11”および12”との間に低圧ガスを送ることによって低圧蓄熱部11”および12”から熱マトリックス14’に熱エネルギが伝達された後、ガスを熱マトリックス14’にさらすことによって冷却後の圧縮されたガスを加熱し、圧縮器/膨張器2Aにおいて仕事を行うことによって加熱されたガスを膨張させることにより回収可能である。
【0124】
示されるように、高圧容器13’は、低圧容器15”、17”の固体微粒子蓄熱媒体よりも小さな平均粒度およびより高い単位容積あたりの平均表面積に該当する熱マトリックス170を有する固体微粒子蓄熱媒体を含む。
【0125】
図6は、太陽集熱器303によって駆動され、かつ高圧蓄熱部210に連結された熱機関302を含む太陽光発電システム301を示す。熱機関302は熱遮断システムと、膨張器(例えばタービン)に取り付けられた図示しない発電機のような仕事出力システムとを組み込む。高圧蓄熱部310はさらには低圧蓄熱部211および212に連結される。(空気、アルゴン、窒素または何らかの他の適切な作業流体とすることができる)ガスが装置301中を、パイプ231、232、233、234、235、236’、237、238、331、332、333および334を通して移送される。バルブ240、241、242、243、244および246は様々なパイプを選択的に閉じる/開くために使用することができる。ガスポンプ250がパイプ236にあり、ガスをいずれの方向にも押し出すことができる。ガスポンプ350がパイプ332にあり、ガスを太陽集熱器303中のみに押し出すことができる。太陽集熱器はトラフ型、タワー型、ディッシュ型またはフレネル型集熱器のような集光集熱器であってもよい。
【0126】
発電作業において、高温高圧ガスがパイプ331またはパイプ231のいずれかからパイプ333に入り、熱機関302に入る。ガスは、蓄熱部210につながるパイプ231のガスよりも太陽集熱器303につながるパイプ331からまず引かれることが好ましい。熱機関302はこの高温高圧ガスを受け取り、それを熱機関の駆動に使用する。ガスはその後、同等の圧力だがより低い温度でパイプ334に戻る。熱機関内において、熱は、熱機関の作業流体に熱を送る熱交換器によって、またはガスを直接作業流体として使用する熱機関によって熱機関サイクルに伝達することができる。熱機関がガスを直接作業流体として使用する場合、回路圧力を熱機関サイクルと一致させることが重要である。熱機関はガスを回路中に移動させることができるようにポンピング機構(図示せず)を組み込む。
【0127】
高圧低温ガスはその後、太陽集熱器303、高圧蓄熱部310または両者の組み合わせのいずれかを通って戻る。日光がないか、太陽集熱器が部分的にのみ作動するような悪天候条件、または動力がない場合、追加の熱が高温蓄熱部から供給される。前に説明したように高圧蓄熱部310はこの熱を低圧蓄熱部211および212から伝達するためにサイクルされる。
【0128】
太陽集熱器が作動しているが熱機関302が作動していない非発電作業において、パイプ333および334内に流れているガスはなく、高圧ガスがガスポンプ350によって押し出され、パイプ332を通って太陽集熱器303に入る。太陽集熱器303において、ガスの温度が上昇し、同等の圧力だがより高い温度でパイプ331を通って出る。ガスはパイプ231中を移動し、バルブ340を通って高圧蓄熱部310に入る。前に説明したように、高圧蓄熱部210はこの熱を低圧蓄熱部211および212に伝達するためにサイクルされる。
【0129】
(熱機関が部分負荷で作動している)部分発電モードにおいて、必要とされる以上の熱ガスが太陽集熱器303によって発生した場合、パイプ331において集熱器を出るガスが熱機関に供給するためのパイプ333と高圧蓄熱部210に補充するためのパイプ231との両方に送られる。このように、太陽集熱器303において発生したあらゆる熱が常にまず熱機関302において使用され、蓄熱部210内には第2の選択肢としてのみ貯蔵されることが好ましい。蓄熱部は熱機関を要求に応じて動作できることを確実にするためにある。前に説明したように、高圧蓄熱部310はこの熱を低圧蓄熱部211および212に伝達するためにサイクルされる。
【0130】
高圧蓄熱部310は圧縮されたガスが、蓄積の際、通過してその熱を伝達することができ、放出の際、その熱を受容することができる熱マトリックス314を有する断熱された高圧容器213を含む。
【0131】
低圧蓄熱部211および212はそれぞれ、ガスが、蓄積の際、通過してその熱を伝達することができ、放出の際、その熱を受容することができる熱マトリックス216および218を有する断熱された低圧容器215および217を含む。
【0132】
1つの高圧蓄熱部210のみが図に示され、サイクル的な手法で動作しなければならないことに留意されたい。しかしながら、(図2のシステムのように)複数の高圧蓄熱部が使用される場合、システムを連続工程として作動することが可能なため、例えば、1つの貯蔵部を常に蓄積し、1つの貯蔵部を常に放出し、1つの貯蔵部では圧力を低下させ、1つの貯蔵部では圧力を上昇させる。同様に、複数の低圧蓄熱部を有することもできる。
【0133】
このシステムの利点は、集熱器回路が、特定の断面積におけるポンピング損失が非常に低く、質量流量が高くなるように高度に加圧する(例えば、60バール(6000kPa))ことができることである。作業流体としてガスを使用すると、(最高温度が摂氏約400度である)熱媒油および(実際の混合により摂氏約230度未満の温度に冷却させた場合に固化する)溶融塩に付随する問題が回避される。集熱器回路はさらには熱機関回路と直接連系させることができ、これは、機関の高温側につながる熱交換器が事実上太陽集熱器であることを意味する。これによって、効率が向上し、二次熱交換器の必要がなくなる。大量の熱を圧力容器内に高圧で貯蔵することは経済的ではないため、過剰な熱をより低コストの蓄熱部に貯蔵し、その後必要に応じて高圧システムに戻すことができる。
【0134】
図7は、高圧蓄熱部410を介して太陽集熱器503によって間接的に駆動される熱機関502を含む太陽光発電システム501を示す。熱機関502は熱遮断システムと、膨張器(例えばタービン)に取り付けられた図示しない発電機のような仕事出力システムとを組み込む。高圧蓄熱部410は、さらには、また、低圧蓄熱部411および412と、太陽集熱器503とに連結される。(空気、アルゴン、窒素または何らかの他の適切な作業流体とすることができる)ガスが装置501中を、パイプ431、432、433、434、435、436、437、438、531および532を通して移送される。バルブ440、441、442、443、444および446は様々なパイプを選択的に閉じる/開くために使用することができる。ガスポンプ450がパイプ436にあり、ガスをいずれの方向にも押し出すことができる。ガスポンプ550がパイプ532にあり、太陽集熱器503のみを通じてガスを押し出すことができる。太陽集熱器はトラフ型、タワー型、ディッシュ型またはフレネル型集熱器のような集光集熱器であってもよい。
【0135】
発電作業において、高温高圧ガスは高圧蓄熱部410からパイプ431に入り、熱機関502に入る。高圧ガスは同等の圧力だがより低い温度で熱機関を出て、パイプ432を通り高圧蓄熱部410に戻る。熱機関内において、熱は熱機関内の熱機関サイクルに、熱交換器によって、またはガスを直接作業流体として使用する熱機関によって伝達することができる。熱機関がガスを作業流体として使用する場合、回路圧力を熱機関サイクルと一致させることがさらにまた重要である。熱機関はガスが回路中を移動することができるようにポンピング機構(図示せず)を組み込む。一定の時間の後、高圧蓄熱部410に低圧回路からの高温ガスが再蓄積される。ガスは、低圧蓄熱部411または412のいずれかからよりも、まず太陽集熱器503に直接つながるパイプ531から引き出されることが好ましい。十分な熱が貯蔵部内にあるおよび/または太陽集熱器が十分な熱を収集している限り、熱機関は発電を維持することができる。
【0136】
蓄熱部410が再蓄積されると、低温低圧ガスは蓄熱部を出て低圧蓄熱部411および412または太陽集熱器503のいずれかに入る。ガスは蓄熱部中に流れるよりも集熱器中に流れることが好ましい。太陽集熱器中の流量はそれに照射する日射量に依存しており、したがって、この流量は外部条件によって変化するものと思われる。
【0137】
非発電作業においては、パイプ431および432内に流れるガスはない。その代わりに、低圧ガスがガスポンプ550によって押し出され、パイプ532を通って太陽集熱器503に入る。太陽集熱器503では、ガスの温度が上昇し、入ったときと同等の圧力だがより高い温度でパイプ531を通って出る。ガスはパイプ531を通って移動し、低圧蓄熱部511または512のいずれかに入る。
【0138】
(熱機関が部分負荷で作動している)部分発電モードにおいて、必要とされる以上の熱ガスが太陽集熱器503によって発生した場合、パイプ531において集熱器を出るガスは、熱機関502に供給するため高圧蓄熱部410に、および低圧蓄熱部411および412に補充するためパイプ434および/または435に定期的に送られる。このように、太陽集熱器503において発生したあらゆる熱は高圧蓄熱部410を通じて常に熱機関502に最初に伝達され、低圧蓄熱部411および412内には第2の選択肢として貯蔵されるのみである。蓄熱装置は熱機関を要求に応じて動作できることを確実にするためにある。
【0139】
高圧蓄熱部410は、圧縮されたガスが、蓄積の際、通過してその熱を伝達することができ、放出の際、その熱を受容することができる熱マトリックス414を有する断熱された高圧容器413を含む。
【0140】
低圧蓄熱部411および412はそれぞれ、ガスが、蓄積の際、通過してその熱を伝達することができ、放出の際、その熱を受容することができる熱マトリックス416および418を有する断熱された低圧容器415および417を含む。
【0141】
1つの高圧蓄熱部410のみが図に示され、サイクル的な手法で動作しなければならないことに留意されたい。しかしながら、複数の高圧蓄熱部が使用される場合、システムを連続工程として作動することが可能であるため、例えば、1つの貯蔵部が常に蓄積され、1つの貯蔵部が常に放出され、1つの貯蔵部が圧力を低下させ、1つの貯蔵部が圧力を上昇させる。同様に、複数の低圧蓄熱部を有することもできる。
【0142】
このシステムの利点は、集熱器回路を低圧および場合によっては周囲圧力にすることができ、漏れによる問題が低減されることである。ポンピング損失が高くなるためガスの特定の質量流量に対して集熱器の断面積を増加する必要がある。しかしながら、熱を連続工程として低圧蓄熱部に直接供給することができ、熱は熱機関によって必要に応じて「取り出され」、高圧回路に伝達される。作業流体としてガスを使用する利点ならびに低圧蓄熱部の利点については前に説明した。
【0143】
図8を参照すると、いかなる不可逆的な工程も貯蔵されたエネルギの質を低下させる。すなわち、貯蔵されたエネルギの「利用度」が減少し、これが総合効率の低下につながる。
【0144】
熱伝達、したがってこれら損失の大きさは粒子形状およびサイズ、伝導率および密度を含む多くの異なる変数の関数である。固体単位容積あたりの比表面積は重要なパラメータであり、「比表面積」と呼ばれる。熱伝達の場合、比表面積が大きいと熱伝達が良くなる。同じ幾何学的形状でも粒子が小さいほうがより大きな比表面積を有する。
【0145】
貯蔵部中のガス流は事実上容器内の粒子の「充填層」中の流れである。貯蔵部を通過する流体の流量はQであり、貯蔵部の断面積はAである。したがって、空塔(または空管)速度U0は合計流量を断面積で除したものである。貯蔵部内に粒子があると、流体の流れに利用可能な面積が減る。すなわち、入ってくる空塔の流れの流体連続性を保持するために、流体は小さな面積を無理に通らなければならない。したがって、貯蔵媒体/粒子の体積内の速度(U=間隙速度)は空塔速度U0よりも大きい。
【0146】
流れ計算においては、質量分率ではなく、固体体積分率が重要である(これは熱伝達の計算にはあてはまらない)。固体体積分率は固体体積を合計体積で除したものと定義される。同様に、ボイド率はボイド体積を合計体積で除したものである。固体体積分率とボイド率との合計は1になるはずである。
【0147】
ボイド率は通常等方性の特性(すなわち全方向において同じ)である。したがって、間隙速度は単に以下の式による空塔速度に関連する。これは流体連続性を考慮したものである。
【0148】
U=U0/ボイド率
流体の流れに対する抵抗はボイド率の減少とともに増加し、流体の圧力低下を引き起こす(dP)。圧力はベクトル量ではないが、圧力勾配を距離に対して定義してもよい。蓄熱部の場合、貯蔵部の長さLにわたって特定の圧力低下dPがあり、この場合、圧力勾配がdP/Lであることを意味する。圧力は流体速度の方向に減少するため、ガスが貯蔵部を通過した後、ガス圧力は低下している。
【0149】
貯蔵部のボイド率(または空隙率)は粒子の形状およびそれらがどのように充填されているかによる。シンプルな立方充填の球の床は約50%のボイド率を有する。それが密に充填された六角形の構造であれば25%に近くなる。ランダムに充填された球は40〜50%の範囲のボイド率を有する。砂利などの材料は、約36〜37%のボイド率を有するが、35〜40%の範囲である。しかしながら、慎重な充填および異なるサイズの粒子によって、ボイド率を25%近くまで削減することができるが、これには多少の注意を要する。しかしながら、ボイド率が小さくなればより高い圧力損失につながる。
【0150】
貯蔵部のコストは貯蔵部の圧力に大きく関係する。圧力が高くなるほどその収容のために必要とする(鋼などの)材料の量が多くなる。特定の容積の圧力容器において、圧力が2倍になれば、その収容のために必要とする鋼のコストも2倍になる。
【0151】
したがって、高圧貯蔵部のボイド率を最小化すると有利である。このように、高温蓄熱部手段の容積は圧力損失の増加を犠牲にして最小化されるが、全体的なコストは減少する。言及したように、貯蔵部内の部分圧力低下は重要な尺度であり、圧力が高くてもこの部分低下を低く維持することはできる。低温蓄熱部においては、貯蔵部のコストはあまり重要ではなく、圧力損失がより重要であるため、ボイド率をより高くすることができる。このように、低ボイド率を有する高圧貯蔵部に低圧貯蔵部とより高いボイド率を組み合わせることによってシステムを改良することができる。
【0152】
これら蓄熱部において、目的はさらには貯蔵部から抽出されうるエネルギの量を減少させる損失を生じる不可逆性の生成レベルを低下させることである。この不可逆性は熱を理想ヒートポンプによって発生させるのに必要な仕事量を調べ、その後、蓄熱部から生じたガスから理想熱機関が発生させることができる仕事量を調べることによって測定することができる。
【0153】
理想熱機関は熱を高温源から得て、内部処理を実施し、より小さい方の熱量を遮断し、低温シンクに送る。したがって、仕事出力は高温源から得た熱と、遮断され、低温シンクに送られた熱との間の差である。伝達される熱エネルギの量と遮断される熱エネルギの量は伝達温度と遮断温度に直接比例するため、公知のカルノー関係がこのシンプルなモデルから直接導かれてもよい。「熱」と「温度」は同じではない。すなわち、それらはその熱力学的な意味で使用される。「熱」は一定量の熱エネルギを意味し、「温度」は熱エネルギが処理される温度である。
【0154】
高温源から供給される熱=kTh
遮断され低温シンクに送られる熱=kTc
サイクル仕事出力=k(Th−Tc)
理想サイクル効率=仕事出力/仕事入力=(Th−Tc)/Th=1−Tc/Th
完全なヒートポンプは、低温源から熱を引き出すために機械仕事を使用し、内部処理を実施し、熱を高温リザーバに伝達する熱機関を単に逆にしたものである。
【0155】
高温リザーバに伝達される熱=kTh
低温源から引き出された熱=kTc
サイクル仕事入力=k(Th−Tc)
理想性能係数=熱出力/熱入力=Th/(Th−Tc)
例として、Thが773度ケルビン(摂氏500度)およびTcが293度ケルビン(摂氏20度)のヒートポンプは1.61の理想成績係数(COP:Coefficient Of Performance)を有する。すなわち、kWhあたりの供給エネルギに対して熱機関は1.61kWhの熱を摂氏500度で供給する。
【0156】
ここで貯蔵部内の熱損失のために戻り温度が25度ケルビン(25℃)低下した場合、Thが748度ケルビン(摂氏475度)およびTcが293度ケルビン(摂氏20度)の熱機関は60.8%の理想サイクル効率を有する。このため、理想熱機関にかけた場合1.61kWhの熱は摂氏475度で.98kWhのエネルギを発生する。
【0157】
この理想例においては、1kWhのエネルギ入力に対して .02kWhの損失がある。すなわち、全体的な効率損失は2%である。この状況においては、機関およびヒートポンプの両方が理想のものであり、損失は単に戻り温度が低下したためであることに留意されたい。
【0158】
蓄熱状態において、この損失は熱交換器に必要な温度差によるものである。この温度差は、得られうる戻り温度を低下させ、利用可能なエネルギの損失の一因となる不可逆的な熱的混合を生じさせる。この混合のシナリオでは、熱は失われず、熱が伝達される温度が低下する。
【0159】
2つの数の間の差は貯蔵部において生じた「熱損失」である。これは貯蔵部の断熱壁を通じた周囲への単純な損失とは区別すべきである。この損失はガスと粒子との間に温度差があるはずであり、粒子はガスよりも常にわずかに低温であることから生じる。ガスが逆方向に再び送られると、ここでガスは粒子よりも低温であり、したがってガスはより低い温度で出てくるはずである。このレベルまたは不可逆性は粒度を低減することによって削減されうるが、このより小さな粒度は貯蔵部中におけるより大きな圧力低下にもつながる。
【0160】
緩やかな熱フロントは、貯蔵部の利用率が低下し、有効エネルギ密度も低下することを意味するため、貯蔵部の熱フロントの長さを最小化することも重要である。この貯蔵部の利用率は、粒度を低減することによっても向上することができる。しかし、このより小さな粒度はより大きな圧力低下にもつながる。
【0161】
しかしながら、効率に実際に影響を及ぼすのは部分圧力低下である。例えば、12バール(1200kPa)の貯蔵媒体における0.1バール(10kPa)の圧力損失は部分圧力損失が1%未満であるためあまり重大ではない。しかしながら、同じ貯蔵部が1バール(100kPa)であった場合、部分圧力損失は10%になり、より重大であることが明確である。
【0162】
図8に示すように、この蓄熱部の蓄積工程では、貯蔵部内に、初めは非常に「急」だが、蓄積が継続するにしたがい漸次的により緩やかになる熱フロントを設ける。
この例では、熱ガスはTh1で入り、貯蔵部は最初Ta1ケルビンである。フロントの長さはTh2ケルビン未満およびTa2ケルビンを超える貯蔵媒体のすべてを対象とする。
【0163】
急なフロントとは熱フロントの長さが蓄熱部の長さに対して短い場合である。緩やかなフロントとは熱フロントの長さが蓄熱部の長さに対して長い場合である。
L1<L2<L3であることがわかるため、初めの「急な」勾配のL1から蓄積されるにつれてフロントは漸次的に長くなり、勾配はより緩やかになる。
【0164】
図9aは、高圧容器610と、それに連結可能な低圧熱容器640とを含む蓄熱装置600を通る断面を示す。蓄熱装置600は、前に説明した図1〜図6のいずれのシステムの蓄熱部分を形成してもよい。すべての容器は適宜適切な断熱材で断熱されていることを前提とする。
【0165】
高圧蓄熱部610は、密に充填された粒子状物質630を含む高圧蓄熱部620を含む。低圧蓄熱部640は、粒子状物質630よりも大きな平均粒度(例えば、より大きな平均等価直径)を有する密に充填された粒子状物質660を含む低圧蓄熱部650を含む。各熱容器610、650貯蔵部の内部断面積はAであると、長さLの貯蔵部の容積Vは、V=L×Aである。
【0166】
高圧貯蔵部610内の粒子の平均サイズが低圧貯蔵装置640内の粒子の体積の約10倍であれば、特定の長さLにおいて、貯蔵部610内には10倍の数の粒子がある。粒子形状が同等であれば、ボイド率は両貯蔵部において実質的に同じとなりうることに留意されたい。
【0167】
主な違いは、より小さい粒子が材料の単位容積あたりの熱伝達においてより広い表面積を生成し、粒子内の温度勾配もその断面寸法が低減することによって低減することである。これは「熱フロント」の長さが減少し、貯蔵部の熱蓄積/放出効率が増加することを意味するため、有利である。
【0168】
これは各貯蔵部の隣のグラフに見ることができる。熱フロントが発生し、貯蔵部中を矢印の方向に移動するように、貯蔵部は周囲温度Taで始動し、Thでガスが蓄積される。実線はガスの温度を示し、破線は固体粒子の平均温度を示す。固体の温度はガスよりも遅れ、より大きな粒子の温度においては、ガスの温度と粒子の温度との間の差が大きくなることがわかる。これが「不可逆性」の増加および貯蔵部内におけるこの熱的混合効果によるより大きな熱損失につながる。小さな粒子の欠点は、粒度が低下するにつれて貯蔵部の単位長Lあたりの圧力低下が増加することである。
【0169】
図9bは、放出段階時に放出している貯蔵部610、640を示す。この場合、熱フロントは逆にされている。そのためガス温度は粒子温度から遅れている。
図10は、高圧貯蔵容器710と、それに連結可能な低圧貯蔵容器740とを含む蓄熱部700を示す。蓄熱装置700は前に説明した図1〜図6のいずれのシステムの蓄熱部分を形成してもよい。
【0170】
高圧貯蔵容器710は、高圧蓄熱構造730と、蓄積段階時に加熱された高圧ガスを受容するための注入口705と、ガスを低圧貯蔵容器740に移送するための流出口706と、を含む高圧蓄熱部720を含む。高圧蓄熱構造730は、密に充填された粒子状物質732の第1の層と、媒体支持構造707上に密に充填された粒子状物質734の第2の層と、を含む。粒子状物質732の第1の層は粒子状物質734の第2の層よりも小さな平均粒度を有し、したがって、より大きな比表面積を有する。粒子状物質732の第1の層は、また、粒子状物質734の第2の層よりも低いボイド率を有する。ボイド率約50%のシンプルな立方充填を有する粒子状物質734の第2の層に比べて、粒子状物質732の第1の層はボイド率約25%の密な六角形充填を有する(だが、実際には、粒子をランダムに充填し、粒子の幾何学的形状によって異なるボイド率を得てもよい)。
【0171】
低圧貯蔵容器740は、低圧蓄熱構造760と、蓄積段階時、加熱された低圧ガスを受容するための注入口701と、流出口702と、を含む低圧蓄熱部750を含む。低圧蓄熱構造760は、高圧蓄熱部710内の粒子状物質734の第2の層のものと同等の平均粒度およびボイド率を有する密に充填された粒子状物質708を含む。
【0172】
使用時、高圧貯蔵容器710には、高圧の熱ガスが蓄積され、この熱ガスは注入口705を通って上部から入り、高圧蓄熱部720を通過するが、その間、熱を冷却し、熱を高圧蓄熱構造730内に収容された粒子状物質に伝達する。同様に、加熱されたガスがその後、低圧貯蔵容器740に移送される際、低圧のガスが注入口701を通って上部から入り、低圧蓄熱部750を通過する。蓄熱部中における加熱されたガスのT通過によって、各貯蔵部の隣のグラフに示される熱フロントが生成される。高圧蓄熱部720内の粒子状物質732の第1の層にある熱フロントは大きな粒子のみを有する低圧蓄熱部内の熱フロントよりもかなり急であることがわかる。高圧蓄熱部のフロントがより大きな粒子を含む粒子状物質734の第2の層に入ると、それはより緩やかなる。しかしながら、粒子状物質734の第2の層における熱フロントの生成に関連する利用可能なエネルギの損失は、粒子状物質734の第2の層の平均粒度に一致する平均粒度を有する粒子状物質を含む貯蔵部よりも小さいため、高圧蓄熱部720によってより多くのエネルギを回収することができる。粒度変化は漸進的とすることができ、粒度変化が粒度を漸次的に増加させることによって行われる場合、さらに向上する。この例では2つの粒度しかないが、この手法では3つまたは4つもしくはそれを超える粒度を有することができる。
【0173】
図11は、蓄熱部700または蓄熱部740において使用される代替的な貯蔵容器710’を示す。
貯蔵容器710’は、蓄熱構造730’と、蓄積段階時にガスを受容するための注入口705’と、流出口706’と、を含む蓄熱部720’を含む。高圧蓄熱構造730’は、密に充填された粒子状物質732’の第1の層と、密に充填された粒子状物質734’の第2の層と、媒体支持構造707’上に密に充填された粒子状物質736の第3の層と、を含む。熱媒体732’および736は熱媒体734’よりも小さな粒度を有し、したがって、広い比表面積を有する。これは、また、ガスが貯蔵媒体732’および736を通過する際により大きな圧力低下およびより少ない温度差があることを意味する。有利なことに、第3の層736を設けると、貯蔵容器710’がガスを両方向に受容することを可能にする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギを貯蔵するための装置に関し、特に、エネルギを電力の形態で受け取るための、かつ戻すための装置(以下、「電力貯蔵」装置と呼ぶ)に関するが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
空気の圧縮熱を貯蔵するとともに空気の膨張の仕事を吸収する電力貯蔵のためのシステムが数多く提案されている。
この一般に提案されている例は、断熱式圧縮空気エネルギ貯蔵(Adiabatic CAES:Adiabatic Compressed Air Energy Storage)と呼ばれ、一般に岩塩空洞が圧縮空気貯蔵部として使用される。電力を貯蔵すべきときに、モータが圧縮器を駆動し、空洞内において空気を圧縮する。圧縮工程によって空気の温度が上昇する。効率的なエネルギ回収を可能にするため、この「圧縮熱」を何らかの形態の蓄熱部に貯蔵する必要がある。
【0003】
空洞は通常40バール(4000kPa)などの最低圧力で維持され、これは蓄積中、上限、例えば60バール(6000kPa)まで上昇する。これら圧力は空気を使用すると摂氏650度のピーク温度を生じるものと思われる。これは通常、熱交換器によって非加圧蓄熱部に伝達されるか、加圧容器内に収容された蓄熱マトリックスに直接貯蔵されるかのいずれかである。電力を回収するため、工程を逆にし、圧縮されたガスが膨張する前に蓄熱部によって再加熱される。膨張の仕事は電力を発生させるために発電機を駆動するのに使用される。
【0004】
加圧容器内の蓄熱マトリックスよりもむしろ熱交換器が使用された場合、この目的は、工程を逆にした場合に空気がそのほぼ元の温度まで加熱されるように、圧縮空気温度と貯蔵材料温度との間にわずかな差しかない状態で熱を貯蔵することである。
【0005】
摂氏0度〜摂氏650度の範囲で動作する熱伝達液体がないため、この種の熱交換は達成が極めて困難である。これは、複数の液体を使用しなければならないか、熱交換がガスによる(ガス−ガス熱交換器を意味する)ものであるかのいずれかであることを意味する。
【0006】
複数の熱伝達液体は、複数の貯蔵容器を必要とし、全般的に高額なため管理が困難であるが、効率的に操作することができ、高加圧容器のコストを省くことができる。
ガス−ガス熱交換器においては、その温度範囲のため高品質鋼の使用が必要となり、そのガス流には圧力低下を回避するために非常に大型の熱交換器が必要である。この結果、これらの熱交換器は、通常、非常に高額であるとともにあまり効率的ではなく、各熱伝達工程後、摂氏50度などの大きな温度差が生じる。
【0007】
最も効率的な解決策は、断熱圧力容器内に収容される微粒子構造などの蓄熱マトリックスを使用し、非常に大型の蓄熱式熱交換器に類似する手法で、熱をガスに、およびガスから熱を伝達することである。これは最良の熱伝達を有するが、貯蔵質量をすべて圧力容器内に収容しなければならず、これは非常に高額となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本出願人は先行技術に付随する問題のいくつかを克服するまたは少なくとも軽減する改良型のエネルギ貯蔵システムの必要性を認識している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、高圧ガスを受容するための高圧貯蔵容器であって、ガスから熱エネルギを受容するための高圧蓄熱手段を含む高圧貯蔵容器と、高圧貯蔵容器を、高圧蓄熱手段の作用を受けた後の高圧ガスを貯蔵するためのガス貯蔵手段に、または高圧蓄熱手段の作用を受けた後の高圧ガスを受容するためのガス処理手段に、連結するための連結手段と、を含み、装置がさらに、ガスから熱エネルギを受容するための低圧蓄熱手段を含む(例えば、低圧のみでガスを受容するのに適した)低圧貯蔵容器であって、高圧貯蔵容器に選択的に連結可能な低圧貯蔵容器と、低圧のガスを高圧貯蔵容器と低圧貯蔵容器との間において移送するためのガス移送手段であって、低圧ガスを高圧貯蔵容器と低圧貯蔵容器との間において(すなわち熱交換器を使用せずに直接)送ることにより貯蔵熱エネルギが高圧蓄熱手段と低圧蓄熱手段との間において伝達されるガス移送手段と、を含む、エネルギを貯蔵するための装置が提供される。
【0010】
このように、高圧ガスを含むように構成されている貯蔵容器に収容された蓄熱手段から、低ガス圧力を維持するように構成されている貯蔵容器(例えば、低圧または非加圧貯蔵容器)に収容された蓄熱手段に、熱を(すなわち、高圧側と低圧側両方のガスと固体蓄熱手段との間において)直接伝達することによって熱エネルギを伝達する、エネルギを貯蔵するための装置が提供される。したがって、本発明は、直接熱交換器と同等の性能を備えた高効率の蓄熱部を、非加圧貯蔵部を使用するコストに近いコストで提供する可能性を提供する。本発明は断熱式圧縮空気エネルギ貯蔵技術および本出願人の先願である、国際公開第2009/044139号パンフレット(追加の「蓄冷部」が蓄積段階時に膨張させたガスによって発生し、その後放出段階において圧縮の前にガスを冷却するために使用される)に開示される改良型のエネルギ貯蔵装置、ならびにまた太陽熱発電に適用可能であってもよい。さらに、放出段階時に加熱された高圧ガス(例えば、高圧蓄熱手段を通過する、ガス貯蔵手段またはガス処理手段から回収された高圧ガス)はその後、後のエネルギ回収工程時に膨張させてもよいため、高圧ガスは(例えば、発電段階において)膨張のための作業流体として付加的に機能してもよい。
【0011】
一実施形態において、高圧貯蔵容器は加熱された高圧ガスをガス源から受容するように構成されている。一実施形態において、ガス源は圧縮ガス源を含む。例えば、装置はガスを圧縮するための圧縮器手段を含んでもよい。高圧貯蔵容器は圧縮器手段によって圧縮されたガスを受容するように構成されている。圧縮器手段は電力供給によって駆動してもよい。このようにして、後の装置による回収のため、装置は電気エネルギを貯蔵熱エネルギに変換するために使用してもよい。別の実施形態においては、ガス源は太陽集熱器を含む。これら実施形態において、高圧蓄熱手段によって貯蔵された熱エネルギは(例えば、各サイクル時に高圧蓄熱手段によって貯蔵された熱エネルギが低圧蓄熱手段に伝達される割合でサイクル的に)低圧のガスを高圧貯蔵容器と低圧貯蔵容器との間において送ることによって低圧蓄熱手段に伝達される。
【0012】
別の実施形態においては、低圧貯蔵容器はガス源から加熱された低圧ガスを受容するように構成されている。一実施形態において、ガス源は太陽集熱器を含む。有利なことに、この機構は熱を低(場合によっては周囲)圧で収集および貯蔵することを可能にするため、高圧システムからの漏れに関する問題が低減される。
【0013】
ガス貯蔵手段は高圧貯蔵容器または低圧貯蔵容器の容積よりもかなり大きな容積を有してもよい(例えば、装置の貯蔵容量の少なくとも1000倍のガス貯蔵容積を有する)。例えば、ガス貯蔵手段は、岩塩ドーム、帯水層または他の適切な地下空間のような加圧地下空洞であってもよい。代替的に、ガス貯蔵手段は圧力容器であってもよい。ガス貯蔵手段は固定容積空間、固定圧力空間または両者の組み合わせのいずれかであってもよい。
【0014】
ガス処理手段は蓄積段階時に高圧貯蔵容器が受容した高圧ガスを膨張させるための膨張器手段を含んでもよい。ガス処理手段はさらに、膨張器手段によって膨張したガスに熱エネルギを伝達するための追加の蓄熱手段(例えば、蓄冷容器内に収容された蓄冷手段)を含んでもよい。装置は、閉サイクルにおいて高圧貯蔵容器と追加の蓄熱手段との間を通過するガスによって(例えば、加圧ガスを加熱するため圧縮手段によって圧縮される前に追加の蓄熱手段の作用を受けることにより(蓄積段階において)暖められたガスによって)動作するように構成してもよい。
【0015】
高圧蓄熱手段および低圧蓄熱手段の少なくとも1つが、ガスを受容するためのチャンバと、チャンバ内に収容された微粒子材料を含む。微粒子材料には、ガス透過性の蓄熱手段を形成するために充填される固体粒子および/または多孔質媒体および/または繊維およびまたは発泡材料(例えば、金属粒子、鉱物粒子またはセラミック粒子および/または繊維および/または発泡樹脂製品)を含んでもよい。
【0016】
高圧蓄熱手段と低圧蓄熱手段は同一であってもよい。しかしながら、高圧蓄熱手段と低圧蓄熱手段は異なっていてもよい。例えば、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段の熱蓄積/放出効率よりも高い(例えば、かなり高い)熱蓄積/放出効率を提供するように構成してもよい。一実施形態において、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段の表面積対容積比よりも高い(例えば、かなり高い、例えば、2倍、4倍またはさらには10倍高い)表面積対容積比を有する。加えてまたは代替的に、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段よりも高い(例えば、かなり高い、例えば、2倍、4倍またはさらには10倍高い)伝導率を有してもよい。加えてまたは代替的に、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段よりも小さな(例えば、かなり小さな、例えば、2分の1、4分の1またはさらには10分の1の)平均粒度を有してもよい。このように、高圧蓄熱手段は、有利なことに、熱エネルギを迅速に受容および伝達し、鋭い熱フロントを発生させるように構成され、それによって高圧貯蔵手段の通常の蓄積/放出の効率が向上してもよい。
【0017】
一実施形態において、低圧蓄熱手段は、有利なことに、体積熱容量、貯蔵部中の(ガス)圧力低下、ボイド率、伝導率および粒子の大きさが高圧蓄熱手段のものとは異なるように、異なる貯蔵材料および形状を有してもよい。例えば、低圧蓄熱手段は、砂利などの鉱物微粒子を含んでもよい。高圧貯蔵手段はランダムな微細銅繊維メッシュまたは発泡金属を含んでもよい。
【0018】
低圧蓄熱手段は高圧貯蔵手段よりも実質的に大きな容積(例えば、5倍、10倍またはさらには100倍)を有してもよい。加えて、圧力低下を減らすため、または貯蔵部を通過するガスの熱フロントの外形を変えるため、貯蔵部の断面積および長さを変えてもよい。
【0019】
高圧蓄熱手段は熱エネルギをガスから直接受容するための熱マトリックスを含んでもよい。低圧蓄熱手段は熱エネルギをガスから直接受容するための熱マトリックスを含んでもよい。例えば、低圧蓄熱手段および高圧蓄熱手段の少なくとも1つは微粒子蓄熱媒体を含んでもよい。
【0020】
一実施形態において、ガス移送手段はポンプ手段を含む。
装置は、さらに、低圧貯蔵容器に連結する前に、高圧貯蔵容器に貯蔵されたガスの圧力を減少させるための圧力減少手段を含んでもよい。一実施形態において、圧力減少手段は膨張器手段を含み、膨張のエネルギは装置によって回収可能である(例えば、電力の形態で、または異なる高圧容器の圧力を上昇させるために直接使用される−以下を参照のこと)。
【0021】
装置は、さらに、高圧貯蔵容器を低圧貯蔵容器から分離後、高圧貯蔵容器に貯蔵されたガスの圧力を増加させるための圧力増加手段を含んでもよい。
一実施形態において、装置は(例えば、圧縮器手段によって圧縮された)高圧ガスを受容するための(例えば、前に定義したような)追加の高圧貯蔵容器を含む。追加の高圧貯蔵容器は連結手段を介してガス貯蔵手段またはガス処理手段に連結可能であり、高圧ガスから熱エネルギを受容するための追加の高圧蓄熱手段を含む。
【0022】
最初に説明した高圧貯蔵容器と追加の高圧貯蔵容器とは交互に蓄積可能となるように構成してもよい。一実施形態において、装置は、(例えば、圧縮器手段によって圧縮された)受容した高圧ガスを、交互に蓄積可能な最初に説明した高圧貯蔵容器と追加の高圧貯蔵容器とに実質的に連続的に供給するように構成されている。このように、熱伝達プロセスは装置の蓄積または放出のいずれかにおいて事実上連続的である。
【0023】
一実施形態において、装置は、ガスから熱エネルギを受容するための(例えば、前に定義したような)追加の低圧蓄熱手段を含む追加の低圧貯蔵容器を含む。例えば、装置は、それぞれ前に定義したような複数の追加の低圧貯蔵容器(例えば、10または20の低圧貯蔵容器)を含んでもよい。複数の追加の低圧貯蔵容器はそれぞれガスから熱エネルギを受容するための追加の低圧蓄熱手段を含む。
【0024】
追加の低圧貯蔵容器は最初に定義した高圧貯蔵容器または追加の高圧貯蔵容器の少なくとも1つに選択的に連結可能であってもよい。一実施形態において、装置は、最初に説明した低圧蓄熱手段と追加の低圧蓄熱手段とに直列で、並列でまたは両者の組み合わせで蓄積するように構成されている。
【0025】
一実施形態において、最初に説明した低圧貯蔵容器は第1の圧力でガスを維持し、追加の低圧貯蔵容器は第1の圧力と異なる第2の圧力でガスを維持する。
追加の高圧貯蔵容器を含む装置の場合、装置は、さらに、各高圧貯蔵容器を最初に説明した低圧貯蔵容器または追加の低圧貯蔵容器に連結する前に、各高圧貯蔵容器に貯蔵されたガスの圧力を減少させるための圧力減少手段を含んでもよい。加えてまたはその代わりに、装置は、各高圧貯蔵容器を、最初に説明した低圧貯蔵容器または追加の低圧貯蔵容器から分離後、各高圧貯蔵容器に貯蔵されたガスの圧力を増加させるための圧力増加手段を含んでもよい。
【0026】
一実施形態において、圧力減少手段は膨張器手段を含み、高圧貯蔵容器の1つの減圧時に回収される膨張のエネルギは装置によって回収可能である。例えば、一実施形態において、回収した膨張のエネルギは別の高圧貯蔵容器の圧力を増加させるために圧力増加手段によって使用される。
【0027】
装置は、(例えば、圧縮器手段によって圧縮された、または太陽集熱器によって加熱された)高圧ガスを受容するための(例えば、それぞれ前に定義したような)少なくとも2つのさらなる追加の高圧貯蔵容器を含んでもよい。各さらなる追加の高圧貯蔵容器は連結手段を介してガス貯蔵手段またはガス処理手段に連結可能であり、高圧ガスから熱エネルギを受容するためのさらなる追加の高圧蓄熱手段を含む。
【0028】
一実施形態において、装置は、同時に、高圧貯蔵容器の1つに(例えば、圧縮器手段によって圧縮された、または太陽集熱器によって加熱された)高圧ガスが蓄積される;高圧貯蔵容器の1つがその圧力を圧力減少手段によって減少させたガスを含む;高圧貯蔵容器の1つがガス移送手段によって高圧貯蔵容器と低圧貯蔵容器との間において移送されるガスを含む;高圧貯蔵容器の1つがその圧力を圧力増加手段によって増加させたガスを含む;蓄積モードで作動可能である。このように、少なくとも1つの高圧貯蔵容器と少なくとも1つの低圧貯蔵容器は同時に蓄積され、装置の連続的な高圧蓄積と低圧蓄積を行うことができる。
【0029】
装置は、(例えば、圧縮器手段によって圧縮された、または太陽集熱器によって加熱された)高圧ガスを受容するための(例えば、前に定義したような)少なくとも1つのさらなる追加の高圧貯蔵容器を含んでもよい。少なくとも1つのさらなる追加の高圧貯蔵容器は連結手段を介してガス貯蔵手段またはガス処理手段に連結可能であり、高圧ガスから熱エネルギを受容するためのさらなる追加の高圧蓄熱手段を含む。このように、少なくとも2つの高圧貯蔵容器が低圧貯蔵容器に低圧ガスを同時に供給するように作動可能であってもよい。一実施形態において、装置は最初に説明した高圧貯蔵容器と追加の高圧貯蔵容器とから、それぞれ(例えば、圧縮器手段または太陽集熱器から)高圧ガスを受容するように構成された装置よりも低い移送速度で同時に低圧ガスを移送する蓄積モードにおいて作動可能である。加えてまたは代替的に、装置は、最初に説明した高圧貯蔵容器と追加の高圧貯蔵容器にそれぞれ高圧ガスを放出するように構成された装置よりも低い移送速度で同時に低圧ガスを移送する放出モードで作動可能であってもよい。このように、容器中の低圧流によるポンピング損失(または圧力低下)を低減する一方で、蓄積時における加圧ガスの入力/放出時における加圧ガスの出力の均衡を維持するために、低圧ガスの急速サイクルを高圧貯蔵容器と低圧貯蔵容器との間において実施してもよい。
【0030】
ガスは、空気、アルゴンまたはネオンもしくは別の適切なガスであってもよい。例えば、ガスは周囲大気からの空気を含んでもよい。
最初に説明した低圧貯蔵容器または追加の低圧貯蔵容器はガスを実質的に大気圧で貯蔵してもよい。
【0031】
装置は、さらに、(例えば、放出段階において)装置内に貯蔵されたエネルギを回収するための膨張器手段を含んでもよい。一実施形態において、圧縮器手段と膨張器手段には、圧縮モードまたは膨張モードにおいて選択的に作動可能となるように構成されている組み合わせ圧縮器/膨張器デバイスが設けられている。
【0032】
本発明の第2の態様によれば、蓄積段階時、加熱された高圧ガスを受容するステップと、ガスから熱エネルギを受容するための高圧蓄熱手段を含む高圧貯蔵容器を介して高圧ガスをガス貯蔵手段またはガス処理手段に移送するステップと、高圧貯蔵容器から低圧で(例えば、高圧貯蔵容器内に収容されたガスの圧力を低下させることによって)高圧貯蔵容器と、ガスから熱エネルギを受容するための低圧蓄熱手段を含む低圧貯蔵容器との間においてガスを移送し、高圧貯蔵容器と低圧貯蔵容器との間を通過する低圧ガスによって、高圧蓄熱手段により貯蔵された熱エネルギを低圧蓄熱手段に伝達するステップと、放出段階時、低圧のガスを低圧貯蔵容器と高圧貯蔵容器との間において移送し、低圧貯蔵容器と高圧貯蔵容器との間を通過する低圧ガスによって低圧蓄熱手段により貯蔵された熱エネルギを高圧蓄熱手段に伝達するステップと、その後(例えば、ガス貯蔵手段またはガス処理手段から回収した高圧ガスを使用して)高圧貯蔵容器中にガスを高圧で通過させてガスを高圧蓄熱手段にさらすステップと、加熱された高圧ガスを膨張させるステップと、を含む、エネルギを貯蔵し、その後回収する方法を提供する。
【0033】
このように、低圧貯蔵部を使用して直接熱伝達(すなわち、熱交換器を使用することなくガスと固体蓄熱手段との間において直接)により高圧ガスから熱を貯蔵する方法が提供される。
【0034】
一実施形態において、蓄積段階時、ガスが高圧貯蔵容器と低圧貯蔵容器との間においてサイクル的に移送され、放出段階時、低圧貯蔵容器と高圧貯蔵容器との間においてガスがサイクル的に移送される。
【0035】
一実施形態において、高圧加熱ガスがガス源から受容される。一実施形態において、ガス源は圧縮ガス源である。別の実施形態において、ガス源は太陽集熱器である。
前に定義した本発明の第1の態様の特徴のすべてが本発明の第2の態様の特徴を形成してもよい。
【0036】
本発明の第3の態様によれば、蓄積段階時、加熱された低圧ガスを受容するステップと、ガスから熱エネルギを受容するための低圧蓄熱手段を含む低圧貯蔵容器中にガスを通過させるステップと、放出段階時、低圧貯蔵容器から低圧で、低圧貯蔵容器と、ガスから熱エネルギを受容するための高圧蓄熱手段を含む高圧貯蔵容器との間においてガスを移送し、低圧貯蔵容器と高圧貯蔵容器との間を通過する低圧ガスにより低圧蓄熱手段によって貯蔵された熱エネルギを高圧蓄熱手段に伝達するステップと、その後ガスを高圧で高圧貯蔵容器中に通過させ、高圧ガスを高圧蓄熱手段にさらすステップと、加熱された高圧ガスを膨張させるステップと、を含む、エネルギを貯蔵し、その後回収する方法が提供される。
【0037】
このように、低圧貯蔵装置と高圧貯蔵装置との間における直接熱伝達(すなわち、熱交換器を使用することなくガスと固体蓄熱手段との間において直接)により低圧ガスから熱を貯蔵する方法が提供される。
【0038】
一実施形態において、低圧加熱ガスはガス源から受容される。一実施形態において、ガス源は太陽集熱器である。
前に定義した本発明の第1の態様の特徴のすべてが本発明の第3の態様の特徴を形成してもよい。
【0039】
本発明の第4の実施形態によれば、圧縮されたガスを受容するための高圧貯蔵容器であって、高圧貯蔵容器を通過する圧縮ガスから熱エネルギを受容するための高圧蓄熱手段を含む高圧貯蔵容器と、高圧貯蔵容器からガスを放出するための流出口と、を含み、さらに、ガスから熱エネルギを受容するための低圧蓄熱手段を含む低圧貯蔵容器であって、高圧貯蔵容器に選択的に連結可能な低圧貯蔵容器と、高圧貯蔵容器と低圧貯蔵容器との間においてガスを移送し、高圧貯蔵容器と低圧貯蔵容器との間を通過するガスにより高圧蓄熱手段によって貯蔵された熱エネルギを低圧蓄熱手段に伝達するためのガス移送手段とを含む、エネルギを貯蔵するための装置が提供される。
【0040】
前に定義した本発明の第1の態様の特徴のすべてが本発明の第4の態様の特徴を形成してもよい。
本発明の第5の態様によれば、高圧ガス(例えば、蓄積段階時の高圧加熱ガス)を受容するための高圧貯蔵容器であって、第1のガス透過性の蓄熱構造を収容する第1のチャンバを含む高圧蓄熱手段を含む高圧貯蔵容器と、低圧ガスを受容するための低圧貯蔵容器であって、第2のガス透過性の蓄熱構造を収容している第2のチャンバを含む低圧蓄熱手段を含む低圧貯蔵容器と、を含み、第1の蓄熱構造が第2の蓄熱構造の単位容積あたりの平均表面積よりも大きい単位容積あたりの平均表面積を有する、エネルギを貯蔵するための装置が提供される。
【0041】
有利なことに、本出願人は、高圧側に比較的大きな単位容積あたりの(すなわち、蓄熱構造の単位容積あたりの)平均表面積および低圧側に比較的小さな単位容積あたりの平均表面積を有する蓄熱構造を設けると、蓄積/放出性能が向上することを見出した。特に、本出願人は、高圧貯蔵容器を通過するガスに生じる圧力低下の増加に勝る蓄積/放出サイクルにおける不可逆性と熱フロント長さの両方の低減を高圧貯蔵装置において達成することができることを見出した。
【0042】
高圧貯蔵容器は低圧貯蔵容器に連結可能であってもよい。一実施形態において、蓄積段階時、低圧蓄熱手段はガス(例えば、高圧貯蔵容器が受容した低圧ガス)から熱エネルギを受容するように構成されている。別の実施形態においては、蓄積段階時、低圧蓄熱手段は熱エネルギをガス(例えば、蓄冷部を発生させるため、低圧貯蔵容器によって受容された膨張低圧ガスに)に伝達するように構成される。
【0043】
一実施形態において、第1の蓄熱構造は第1のチャンバ内に収容された微粒子材料を含む。
一実施形態において、第2の蓄熱構造は第2のチャンバ内に収容された微粒子材料を含む。
【0044】
一実施形態において、第1の蓄熱構造および第2の蓄熱構造の一方は耐火材(例えば耐火煉瓦)を含み、第1の蓄熱構造および第2の蓄熱構造のもう一方は金属材料を含む。
一実施形態において、第1の蓄熱構造および第2の蓄熱構造の一方が金属材料を含み、第1の蓄熱構造および第2の蓄熱構造のもう一方は天然鉱物材料(例えば砂利などの破砕鉱物)を含む。
【0045】
一実施形態において、微粒子材料は、ガス透過性の構造を形成するために充填された、固体粒子、多孔質媒体、繊維、発泡材料(例えば、金属粒子、鉱物粒子またはセラミック粒子および/または繊維および/または発泡樹脂製品)の少なくとも1つを含む。
【0046】
一実施形態において、第1のチャンバは注入口からガス(例えば高圧加熱ガス)を受容するように構成されており、第1の蓄熱構造は、注入口からの距離が(例えば、チャンバ内のガスの流れの方向に)増加するにつれて第1の蓄熱構造の単位容積あたりの平均表面積が減少する領域を有する。このように、第1の高表面積層が短い熱フロントを発生させ、ガスを第2の比較的低い表面積層に供給する高圧蓄熱手段が提供される。有利なことに、低表面積層に続き高表面積層(蓄積時のガスの流れの方向に)を設けると、高圧側における圧力低下を低減することを可能にする一方、より短い熱フロントを発生させ、熱吸収が向上し、不可逆性が低減する。
【0047】
一実施形態において、領域は第1の蓄熱構造の注入口に実質的に最も近い部分から延びる。
一実施形態において、単位容積あたりの平均表面積の変化が領域の長さ全体にわたって漸次的に(例えば、実質的に等しい増分で着実に)生じる。一実施形態において、(例えば、第1のチャンバ内に収容された微粒子材料と、徐々にサイズが増加する粒子状物質の層を含む第1の蓄熱構造の場合)領域における単位容積あたりの平均表面積の変化は実質的に滑らかに生じる。別の実施形態においては、(例えば、第1のチャンバ内に収容された微粒子材料を含み、第1の層と第2の層の粒子状物質のサイズが実質的に異なる第1の蓄熱構造の場合)領域における単位容積あたりの平均表面積の変化は段階的なステップで生じる。各段階的なステップは実質的に同等の長さを有してもよい.
段階的なステップの場合、領域には第1のサブ領域と第2のサブ領域を画定してもよい。第1のサブ領域は第2のサブ領域の単位容積あたりの平均表面積よりも大きな単位容積あたりの平均表面積を有する。一実施形態において、第1のサブ領域は蓄熱構造の長さの少なくとも10%の長さを有する。別の実施形態においては、第1のサブ領域は蓄熱構造の長さの少なくとも20%の長さを有する。チャンバ内に収容された微粒子材料を含む蓄熱構造の場合、第1の領域および第2の領域の少なくとも1つは各層が異なる平均粒度を有する複数の層の粒子状物質を含んでもよい。
【0048】
一実施形態において、領域は第1の蓄熱構造の全長に沿って延びる。
別の実施形態においては、領域は第1の蓄熱構造の長さの一部分に沿って延び、第1の蓄熱構造は最初に画定した領域の単位容積あたりの最小平均表面積よりも大きな単位容積あたりの平均表面積を有するさらなる領域を含む。このように、第1の蓄熱構造は高圧蓄熱手段中において流れを逆にした場合、より短い熱フロントを発生させるように構成してもよい。
【0049】
一実施形態において、さらなる領域は、注入口からの距離が増加するにつれて増加する単位容積あたりの平均表面積を有する。
一実施形態において、さらなる領域の単位容積あたりの平均表面積の変化が領域の長さ全体にわたって漸次的に(例えば、実質的に等しい増分で着実に)生じる。一実施形態において、(例えば、徐々にサイズが増加する粒子状物質の層を有する)領域における単位容積あたりの平均表面積の変化は実質的に滑らかに生じる。別の実施形態においては、(例えば、第1の層と第2の層の粒子状物質のサイズが実質的に異なる)領域における単位容積あたりの平均表面積の変化は段階的なステップで生じる。各段階的なステップは実質的に同等の長さを有してもよい。
【0050】
一実施形態において、さらなる領域がさらなる領域の長手方向に実質的に一定のままである単位容積あたりの平均表面積を有する。
一実施形態において、第1のチャンバは第2のチャンバの有効長さ対幅比よりも大きな有効長さ対幅比を有する。
【0051】
一実施形態において、第1のチャンバの有効長さ対幅比は第2のチャンバの有効長さ対幅比よりも少なくとも10%大きい。
一実施形態において、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段のボイド率よりも低いボイド率を有する。有利なことに、装置の高圧側においてボイド率を削減すると、高圧貯蔵容器の体積を削減することが可能となる(それによって場合によっては製造コストが削減される)が、高圧側における圧力低下の増加は許容できるものとなる。
【0052】
一実施形態において、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段のボイド率よりも少なくとも5%低いボイド率を有する。
一実施形態において、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段のボイド率よりも少なくとも10%低いボイド率を有する。
【0053】
一実施形態において、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段によって生じた絶対圧力低下の2倍の絶対圧力低下を生じるように構成される。
一実施形態において、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段によって生じた絶対圧力低下の3倍の絶対圧力低下を生じるように構成される。
【0054】
一実施形態において、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段によって生じた絶対圧力低下の5倍の絶対圧力低下を生じるように構成される。
一実施形態において、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段によって生じた絶対圧力低下の10倍の絶対圧力低下を生じるように構成される。
【0055】
一実施形態において、第1の蓄熱構造と第2の蓄熱構造は、実質的に同じ材料、または材料の混合物の場合、実質的に同等の比率の同じ材料を含む。
一実施形態において、第1の蓄熱構造と第2の蓄熱構造は異なる材料または異なる比率の同じ材料を含む。
【0056】
一実施形態において、第1の蓄熱構造は第2の蓄熱構造の単位質量あたりの平均熱容量よりも大きな単位質量あたりの平均熱容量を有する。
一実施形態において、第1の蓄熱構造の単位質量あたりの平均熱容量は第2の蓄熱構造の単位質量あたりの平均熱容量よりも少なくとも10%大きい。
【0057】
一実施形態において、第1の蓄熱構造は第2の蓄熱構造の単位容積あたりの平均熱容量よりも大きな単位容積あたりの平均熱容量を有する。
一実施形態において、第1の蓄熱構造の単位容積あたりの平均熱容量は第2の蓄熱構造の単位容積あたりの平均熱容量よりも少なくとも10%大きい。
【0058】
一実施形態において、第1の蓄熱構造は第2の蓄熱構造の平均密度よりも少なくとも10%大きい平均密度を有する。
一実施形態において、第1の蓄熱手段と第2の蓄熱手段はそれぞれ断熱材を有する。
【0059】
一実施形態において、第1の蓄熱手段および第2の蓄熱手段の一方はその断熱材のほぼすべてをその各々のチャンバ内側に有し、第1の蓄熱手段および第2の蓄熱手段のもう一方はその断熱材のほぼすべてをその各々のチャンバの実質的に外側に有する。
【0060】
本発明の第6の態様によれば、高圧ガス(例えば、蓄積段階時の高圧加熱ガス)を受容するための高圧貯蔵容器であって、第1のガス透過性の蓄熱構造を収容する第1のチャンバを含む高圧蓄熱手段を含む高圧貯蔵容器と、低圧ガスを受容するための低圧貯蔵容器であって、第2のガス透過性の蓄熱構造を収容している第2のチャンバを含む低圧蓄熱手段を含む低圧貯蔵容器と、を含み、高圧蓄熱手段が低圧蓄熱手段のボイド率よりも低いボイド率を有する、エネルギを貯蔵するための装置が提供される。
【0061】
有利なことに、装置の高圧側においてボイド率を低減すると、高圧貯蔵容器の体積を低減することが可能となる(それによって、場合によっては製造コストが削減される)が、高圧側における圧力低下の増加は許容できるものとなる。
【0062】
一実施形態において、高圧蓄熱手段が低圧蓄熱手段のボイド率よりも少なくとも5%低いボイド率を有する。
一実施形態において、高圧蓄熱手段が低圧蓄熱手段のボイド率よりも少なくとも10%低いボイド率を有する。
【0063】
高圧貯蔵容器は低圧貯蔵容器に連結可能であってもよい。一実施形態において、蓄積段階時、低圧蓄熱手段は熱エネルギをガス(例えば、高圧貯蔵容器が受容した低圧ガス)から受容するように構成されている。別の実施形態においては、蓄積段階時、低圧蓄熱手段は熱エネルギをガス(例えば、蓄冷部を発生させるため、低圧貯蔵容器によって受容された膨張低圧ガスに)に伝達するように構成されている。
【0064】
一実施形態において、第1の蓄熱構造は第1のチャンバ内に収容された微粒子材料を含む。
一実施形態において、第2の蓄熱構造は第2のチャンバ内に収容された微粒子材料を含む。
【0065】
一実施形態において、第1の蓄熱構造および第2の蓄熱構造の一方は耐火材(例えば耐火煉瓦)を含み、第1の蓄熱構造および第2の蓄熱構造のもう一方は金属材料を含む。
一実施形態において、第1の蓄熱構造および第2の蓄熱構造の一方が金属材料を含み、第1の蓄熱構造および第2の蓄熱構造のもう一方は天然鉱物材料(例えば砂利などの破砕鉱物)を含む。
【0066】
一実施形態において、微粒子材料は、ガス透過性の構造を形成するために充填された、固体粒子、多孔質媒体、繊維、発泡材料(例えば、金属粒子、鉱物粒子またはセラミック粒子および/または繊維および/または発泡樹脂製品)の少なくとも1つを含む。
【0067】
一実施形態において、第1のチャンバは第2のチャンバの有効長さ対幅比よりも大きな有効長さ対幅比を有する。
一実施形態において、第1のチャンバの有効長さ対幅比は第2のチャンバの有効長さ対幅比よりも少なくとも10%大きい。
【0068】
一実施形態において、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段によって生じた絶対圧力低下の2倍の絶対圧力低下を生じるように構成される。
一実施形態において、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段によって生じた絶対圧力低下の3倍の絶対圧力低下を生じるように構成される。
【0069】
一実施形態において、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段によって生じた絶対圧力低下の5倍の絶対圧力低下を生じるように構成される。
一実施形態において、高圧蓄熱手段は低圧蓄熱手段によって生じた絶対圧力低下の10倍の絶対圧力低下を生じるように構成される。
【0070】
一実施形態において、第1の蓄熱構造と第2の蓄熱構造は、実質的に同じ材料または材料の混合物の場合、実質的に同等の比率の同じ材料を含む。
一実施形態において、第1の蓄熱構造と第2の蓄熱構造は異なる材料または異なる比率の同じ材料を含む。
【0071】
一実施形態において、第1の蓄熱構造は第2の蓄熱構造の単位質量あたりの平均熱容量よりも大きな単位質量あたりの平均熱容量を有する。
一実施形態において、第1の蓄熱構造の単位質量あたりの平均熱容量は第2の蓄熱構造の単位質量あたりの平均熱容量よりも少なくとも10%大きい。
【0072】
一実施形態において、第1の蓄熱構造は第2の蓄熱構造の単位容積あたりの平均熱容量よりも大きな単位容積あたりの平均熱容量を有する。
一実施形態において、第1の蓄熱構造の単位容積あたりの平均熱容量は第2の蓄熱構造の単位容積あたりの平均熱容量よりも少なくとも10%大きい。
【0073】
一実施形態において、第1の蓄熱構造は第2の蓄熱構造の平均密度よりも少なくとも10%大きな平均密度を有する。
一実施形態において、第1の蓄熱手段と第2の蓄熱手段はそれぞれ断熱材を有する。
【0074】
一実施形態において、第1の蓄熱手段および第2の蓄熱手段の一方はその断熱材のほぼすべてをその各々のチャンバ内側に有し、第1の蓄熱手段および第2の蓄熱手段のもう一方はその断熱材のほぼすべてをその各々のチャンバの実質的に外側に有する。
【0075】
本発明の第7の態様によれば、注入口からガス(例えば、蓄積段階時に加熱されたガス)を受容するためのチャンバを含む蓄熱手段が提供される。チャンバはガス透過性の蓄熱構造を収容する。蓄熱構造は注入口からの距離が(例えば、チャンバ内のガスの流れの方向に)増加するにつれて蓄熱構造の単位容積あたりの平均表面積が減少する領域を有する。
【0076】
一実施形態において、蓄熱構造がチャンバ内に収容された微粒子材料を含む。
一実施形態において、微粒子材料は、ガス透過性の構造を形成するために充填された、固体粒子、多孔質媒体、繊維、発泡材料(例えば、金属粒子、鉱物粒子またはセラミック粒子および/または繊維および/または発泡樹脂製品)の少なくとも1つを含む。
【0077】
一実施形態において、領域は蓄熱構造の注入口に実質的に最も近い部分から延びる。
一実施形態において、単位容積あたりの平均表面積の変化が領域の長さ全体にわたって漸次的に(例えば、実質的に等しい増分で着実に)生じる。一実施形態において、(例えば、徐々にサイズが増加する粒子状物質の層を有する)領域における単位容積あたりの平均表面積の変化は実質的に滑らかに生じる。別の実施形態においては、(例えば、第1の層と第2の層の粒子状物質のサイズが実質的に異なる)領域における単位容積あたりの平均表面積の変化は段階的なステップで生じる。各段階的なステップは実質的に同等の長さを有してもよい。
【0078】
段階的なステップの場合、領域には第1のサブ領域と第2のサブ領域を画定してもよい。第1のサブ領域は第2のサブ領域の単位容積あたりの平均表面積よりも大きな単位容積あたりの平均表面積を有する。一実施形態において、第1のサブ領域は蓄熱構造の長さの少なくとも10%の長さを有する。別の実施形態においては、第1のサブ領域は蓄熱構造の長さの少なくとも20%の長さを有する。チャンバ内に収容された微粒子材料を含む蓄熱構造の場合、第1の領域および第2の領域の少なくとも1つが、各層が異なる平均粒度を有する複数の層の粒子状物質を含んでもよい。
【0079】
一実施形態において、領域は蓄熱構造の全長に沿って延びる。
別の実施形態においては、領域は蓄熱構造の長さの一部分に沿って延び、蓄熱構造は、最初に画定した領域の単位容積あたりの最小平均表面積よりも大きな単位容積あたりの平均表面積を有するさらなる領域を含む。
【0080】
一実施形態において、さらなる領域は、注入口からの距離が増加するにつれて増加する単位容積あたりの平均表面積を有する。
一実施形態において、さらなる領域の単位容積あたりの平均表面積の変化は領域の長さ全体にわたって漸次的に生じる(例えば、実質的に等しい増分で着実に)。一実施形態において、(例えば、徐々にサイズが増加する粒子状物質の層を有する)領域における単位容積あたりの平均表面積の変化は実質的に滑らかに生じる。別の実施形態においては、(例えば、第1の層と第2の層の粒子状物質のサイズが実質的に異なる)領域における単位容積あたりの平均表面積の変化は段階的なステップで生じる。各段階的なステップは実質的に同等の長さを有してもよい。
【0081】
一実施形態において、さらなる領域はさらなる領域の長手方向に実質的に一定のままである単位容積あたりの平均表面積を有する。
一実施形態において、蓄熱手段は高圧蓄熱手段である。
【0082】
一実施形態において、蓄熱手段は低圧蓄熱手段である。
本発明の実施形態がここで添付の図面を参照して例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1の実施形態による電力貯蔵システムの概略図を示す。
【図2】本発明の第2の実施形態による電力貯蔵システムの概略図を示す。
【図3】図2の電力貯蔵システムの一部分の概略図を示す。
【図4】蓄積工程の特定の時点における図2の電力貯蔵システムの種々の高圧貯蔵装置の熱フロントの状態を示す。
【図5】本発明の第3の実施形態による電力貯蔵システムの概略図を示す。
【図6】本発明の一実施形態による太陽光発電システムの一部の概略図を示す。
【図7】本発明の別の実施形態による太陽光発電システムの一部の概略図を示す。
【図8】蓄熱部における熱フロントの形成を示す。
【図9a】蓄積段階時の本発明のさらなる一実施形態による電力貯蔵システムの概略図を示す。
【図9b】放出段階時の図9aの電力貯蔵システムを示す。
【図10】蓄積段階時の本発明のさらなる追加の実施形態による電力貯蔵システムの概略図を示す。
【図11】図10の電力貯蔵システムにおいて使用される高圧蓄熱部の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0084】
図1は、電力供給部3によって駆動され、高圧蓄熱部10とガス貯蔵部20とに連結される圧縮器/膨張器(例えば、圧縮器/膨張器タービン)2を含む電力貯蔵システム1を示す。高圧蓄熱部10はさらには低圧蓄熱部11および12に連結される。空気はパイプ30を通ってシステムに出入りし、パイプ31、32、33、34、35、36、37および38を通じて移送される。バルブ40、41、42、43、44および46は様々なパイプを選択的に閉じる/開くために使用することができる。空気ポンプ50がパイプ36に連結され、空気をいずれの方向にも押し出すことができる。熱交換器60はパイプ36を通過するガスの温度をほぼ周囲温度または固定基準温度で維持するために使用される。
【0085】
高圧蓄熱部10は、圧縮されたガスが、蓄積の際、通過してその熱を伝達することができ、放出の際、その熱を受容することができる熱マトリックス14を有する断熱された高圧容器13を含む。
【0086】
低圧蓄熱部11および12は、ガスが、蓄積の際、通過してその熱を伝達することができ、放出の際、その熱を受容することができる熱マトリックス16および18を有する断熱された低圧容器15および17を含む。
【0087】
ガス貯蔵部20は岩塩ドーム、帯水層または他の適切な地下空間のような加圧地下空洞であってもよい。代替的に、ガス貯蔵部20は圧力容器であってもよい。ガス貯蔵部20は固定容積空間、固定圧力空間または両者の組み合わせのいずれかであってもよい。
【0088】
圧縮器/膨張器2は、蓄積の際、電動機(図示せず)によって駆動する圧縮器として機能し、放出の際、発電機(図示せず)を駆動する膨張器(すなわち、回転機であればタービン)として機能する。圧縮器と膨張器は示されるように同じ装置であってもよい。または、それらは各工程用に最適化された独立したユニットであってもよい。
【0089】
システム内の高圧の作用を受けるパイプ、バルブ、容器はすべて関連する温度および負荷用に設計されている。
示されるように、高圧容器13は低圧容器15、17それぞれの貯蔵容積よりも実質的に小さい貯蔵容積を有する。
【0090】
低圧蓄熱部および高圧蓄熱部はそれぞれ非常に広い熱交換領域を可能にする微粒子蓄熱媒体を含んでもよい。材料が加圧蓄熱部内において使用されるのであれば、必要とされる貯蔵容積の量を最小限にするために材料が高い体積熱容量を有することが好ましかろう。しかしながら、高圧貯蔵部が非加圧貯蔵部に対して小さければ、この追加コストは大きくはないであろう。高圧貯蔵部中の熱フロントの長さを高圧貯蔵部の長さに対して短く保つことも重要である。これは、貯蔵部が頻繁にサイクルされるのであれば小さい粒度および高伝導率が重要であることを意味し、例えば、微細銅メッシュが使用されうる。貯蔵部がまれにサイクルされるのであれば、フロントの長さはあまり重要ではなく、伝導率の低いより大きな粒度、例えば、砂利が使用されうる。非加圧貯蔵部が使用される場合、封じ込めコストが大幅に低下するため、より低い熱容量を有するより安価な材料が最も費用対効果の高い解決策となる。示した実施形態においては、高圧容器13は、より大きな単位容積あたりの平均表面積に該当する、低圧容器15、17の固体微粒子蓄熱媒体よりも小さな平均粒度を有する固体微粒子蓄熱媒体を含む。
【0091】
高温が要求される場合、通常、アルミナまたは酸化マグネシウムの形態などの人工耐火物または金属部品を使用する必要がある。より低温が使用される場合、けい岩、マグネタイト、タコナイトなどの他の材料または他の低コスト材料が適切となる。この目的は、適正な体積熱容量を有し、かつ熱サイクルされうる低コスト材料を提供することである。
【0092】
動作時、蓄積段階時に電力を貯蔵する場合、大気がパイプ30中に引き込まれ、パイプ31に入る前に圧縮器/膨張器2において圧縮される。バルブ40および41は両方とも開かれる。バルブ42および43は両方とも閉じられる。パイプ31内の空気は圧縮器/膨張器2に入ったときに比べて圧力と温度が両方とも高い。熱マトリックス14、16および18は、初めはほぼ周囲温度である。
【0093】
空気はバルブ40を通って高圧蓄熱部10に入り、熱マトリックス14を通って高圧容器13の内部を通過する。高圧空気が熱マトリックス14に入ると、その圧縮熱を熱マトリックス14に伝達する。ここで冷却後の高圧空気が熱マトリックス14を離れ、バルブ41を通って高圧容器13から出て、パイプ32に入る。パイプ32はガス貯蔵部20に入る前の任意の空気をさらに冷却するために取り付けられた追加の熱交換器を有してもよい。空気はその後、容積的に高圧容器13よりもかなり大きいガス貯蔵部20に入る。
【0094】
熱マトリックス14が十分な量の圧縮熱を貯蔵すると、圧縮器/膨張器2は停止する。バルブ40および41は両方とも閉じられ、高圧容器13内の圧力は(例えば、以下に図3を参照して説明するバランスポンプ120に該当するバランスポンプ(図示せず)を使用して)低圧容器15および17内の圧力まで低下される。
【0095】
これら圧力が実質的に等しい場合、バルブ42、43および44が開位置に設定され、バルブ46が閉じられる。ポンプ50が作動し、空気を、パイプ36から熱交換器60を介してバルブ43を通過させ高圧容器13内に押し出す。空気は熱マトリックス14を通過し、そこでマトリックスから熱を受容する。空気は高圧容器を出てバルブ42を通りパイプ33に入る。空気はバルブ44を通りパイプ34に入り、低圧容器15に入る。空気は熱マトリックス16を通過し、マトリックスに熱を伝達する。空気は周囲温度近辺で熱マトリックスを離れ、パイプ37を通り低圧容器15を出て、パイプ36に入る。空気はポンプ50に戻り、高圧蓄熱部から低圧蓄熱部に熱を伝達する工程は継続する。適切な比率の熱が伝達されると、ポンプ50が停止し、バルブ42および43が閉じられる。
【0096】
貯蔵装置内の圧力がパイプ31および32内の圧力にほぼ等しくなるまで(例えば、大気の圧力を受容し、かつ上昇させるための圧縮器を含むバランスポンプ(図示せず)を使用して)高圧蓄熱部に空気が添加される。バルブ40および41が開かれ、圧縮器/膨張器2が再び空気を圧縮し始める。
【0097】
上記の工程は低圧蓄熱部11に熱が「完全に蓄積される」まで繰り返される。この段階において、バルブ44は閉じられ、バルブ46は開かれているため、低圧蓄熱部12をここで類似の手法で蓄積することができる。
【0098】
すべての貯蔵部が蓄積されると、システムは「満杯」であるが、あらゆる段階において、貯蔵部が部分的に蓄積されている場合でさえも、貯蔵された電力を回収することが可能である。システムの蓄積/放出効率は種々の工程において多くの損失があるため常時100%未満である。
【0099】
電力を放出段階において「回収する」ため、加圧された空気がパイプ32中に引き込まれ、バルブ41を通って高圧容器13に入る。完全に蓄積されていれば、各熱マトリックス14、16および18は「高温」状態にあるはずである。バルブ40および41は両方とも開かれている。バルブ42および43は両方とも閉じられている。
【0100】
高圧空気は熱マトリックス14を通過し、熱マトリックスから熱を受容する。ここで加熱された空気は高圧容器13を離れ、バルブ40を通りパイプ31に入る。圧縮器/膨張器2に入り、膨張した空気は、電力供給部3に伝送される電力を生成するために発電機を駆動する工程において仕事を発生する。
【0101】
この工程は熱マトリックス14が適切な量の熱を伝達するまで、すなわち熱が完全に放出されるまで継続する。サイクル運転においては、後の段階における再利用のために熱フロントの一部を貯蔵部内に残すと有益であろう。圧縮器/膨張器2は停止される。バルブ40および41は両方とも閉じられ、高圧容器13内の圧力は低圧容器15および17内の圧力まで低下される。
【0102】
これら圧力が実質的に等しい場合、バルブ42、43および44が開位置に設定され、バルブ46が閉じられる。ポンプ50が作動し、空気を、パイプ36からパイプ37内に押し出し、低圧容器15に入れる。空気は熱マトリックス16を通過し、マトリックスから熱を受容する。空気は低圧容器15を出て、パイプ34に入り、バルブ44を通ってパイプ33に入る。空気はバルブ42を通って高圧容器13に入る。空気は熱マトリックス14を通過し、マトリックスに熱を伝達する。空気はほぼ周囲温度または基準温度でマトリックスを離れ、バルブ43を通ってパイプ36に入る。空気は熱交換器60を通過し、必要であればそこでさらに冷却され、ほぼ周囲温度または基準温度で熱交換器を出る。
【0103】
システムは周囲温度を上回る基準温度で動作してもよい。システム内における損失は低グレード熱として蓄積する傾向があり、全体的な温度上昇を止めるためにこの熱をシステムから除去する必要がある。熱交換器60がこの熱を除去するが、簡略化のため、システム温度が周囲温度を上回る場合は、熱を遮断するほうが容易になる。すなわち、熱交換器設計は温度差が大きくなるとより単純かつ小型化する。結果として、基準システム温度はほぼ周囲温度であるか、周囲温度よりも高くてもよく、例えば、摂氏50度高くてもよい。
【0104】
空気はポンプ50に戻り、低圧蓄熱部から高圧蓄熱部に熱を伝達する工程は継続する。適切な比率の熱が伝達されると、ポンプ50が停止され、バルブ42および43が閉じられる。
【0105】
貯蔵部内の圧力がパイプ31および32内の圧力にほぼ等しくなるまで高圧蓄熱装置に空気が添加される。バルブ40および41が開かれ、圧縮器/膨張器2が再び空気を膨張させ始める。
【0106】
この工程は低圧蓄熱部11が「完全に放出される」まで繰り返される。この段階において、バルブ44は閉じられ、バルブ46は開かれているため、低圧蓄熱部12をここで類似の手法で放出することができる。
【0107】
図2は、熱伝達を、図1に示す「バッチ」工程システム1としてではなく連続工程として運転することを可能にする電力貯蔵システム1’を示す。
電力貯蔵システム1’は、電力供給部3’によって駆動され、高圧/低圧熱伝達システム100とガス貯蔵部20’とに連結される圧縮器/膨張器2’を含む。高圧蓄熱部10’はさらには、それぞれが熱マトリックス16’および18’を有する断熱された低圧容器15’および17’を含む低圧蓄熱部11’および12’に連結される。空気はパイプ30’を通ってシステムに出入りし、パイプ31’、32’、33’、34’、35’、36’、37’および38’を通って移送される。バルブ44’および46’は様々なパイプを選択的に閉じる/開くために使用することができる。空気ポンプ50’がパイプ36’にあり、空気をいずれの方向にも押し出すことができる。熱交換器60’はパイプを通過するガスの温度をほぼ周囲温度または固定基準温度で維持するために使用される。パイプ32’はガス貯蔵部20に入る任意の空気をさらに冷却するために取り付けられる追加の熱交換器(図示せず)を有してもよい。
【0108】
図3に詳細に示される熱伝達システム100は、選択的なバルブ105および106に連結される高圧蓄熱部111、112、113、114および115を含む。このシステムは、高圧入力/出力デバイス101および102ならびに低圧入力/出力デバイス103および104も含む。示されるように、高圧貯蔵部111、112、113、114および115はすべて、より高い単位容積あたりの平均表面積に該当する低圧容器15’、17’の固体微粒子蓄熱媒体よりも小さな平均粒度を有する固体微粒子蓄熱媒体を含む。
【0109】
動作時、起動の際、蓄熱部111〜112はほぼ周囲温度であり、高圧である。蓄熱部113〜115はほぼ周囲温度であり、低圧である。高温高圧ガスが高圧入力/出力デバイス101を通ってシステム100に入り、選択的なバルブ105を通って蓄熱部111内に誘導される。ここで冷却後の高圧ガスは選択的なバルブ106を通って蓄熱部111を離れ、高圧入力/出力デバイス102を通ってシステムを出る。
【0110】
蓄熱部111に「熱」が完全に蓄積されると、高温高圧入力流は、流れがここで蓄熱部112を通過するように、選択的なバルブ105および106により切り換えられる。バランスポンプ120は導圧管121を介して蓄熱部111内の圧力を低圧まで低下させ、蓄熱部113内の圧力を高圧まで上昇させる。バランスポンプ120は、大気を取り込み、蓄熱部内の圧力を必要に応じて上昇させる圧縮器を含んでもよい。圧力の低下は膨張弁を使用したバランスポンプ120によって達成することができる。加圧された空気内のエネルギは貯蔵部内の熱エネルギと比較すると低いため、これを回収することは必須ではない。しかしながら、回収される場合、これは、独立型であれば、発電機に連結される膨張器の使用によって達成することができる。または、膨張器が圧縮器に連結されている場合、膨張する空気のエネルギを、圧縮器を駆動し、異なる蓄熱部内の圧力を上昇させるために使用することができる。これによって蓄熱部内の圧力を低下および上昇させるにあたりエネルギ損失が最も低くなる。バランスポンプ120は蓄熱部内の圧力を必要に応じて低下および上昇させるデバイスとみなされるべきであり、また、必要に応じて追加の大気を使用するか大気に放出し、貯蔵部内における適正圧力を維持する。この工程を実施するため正味の仕事入力があると思われるため、デバイスには動力を備える必要があるが、この仕事入力は全体的なシステムの仕事の観点からいえば非常に小さい。
【0111】
蓄熱部内の熱質量はガスの熱容量よりもかなり高いため、貯蔵部内のこれら圧力変化は実質的に等温である。
蓄熱部112に熱が完全に蓄積されると、高温高圧入力流は、流れがここで蓄熱部113を通過するように選択的なバルブ105および106により切り換えられる。バランスポンプ120は、導圧管121を介して蓄熱部112内の圧力を低圧に低下させ、蓄熱部114内の圧力を高圧に上昇させる。蓄熱部111は以下のように放出される。ほぼ周囲温度の低圧ガスが、低圧入力/出力デバイス104を通って入り、選択的なバルブ106を通り、ガスが貯蔵部を通過する際に加熱される蓄熱部111に入る。ガスは選択的なバルブ105を通って蓄熱部を出て、低圧入力/出力デバイス103を通過して高温低圧ガスとしてシステムから出る。蓄熱部111中の質量流量は蓄熱部113中の質量流量の約半分である。
【0112】
蓄熱部113に熱が完全に蓄積されると、高温高圧入力流は、流れがここで蓄熱部114を通過するように選択的なバルブ105および106により切り換えられる。バランスポンプ120は、導圧管121を介して蓄熱部113内の圧力を低圧に低下させ、蓄熱部115内の圧力を高圧に上昇させる。蓄熱部111は継続して放出され、蓄熱部112は以下のように放出される。ほぼ周囲温度の低圧ガスが低圧入力/出力デバイス104を通って入り、選択的なバルブ106を通って、貯蔵部を通過する際にガスが加熱される蓄熱部112に入る。ガスは選択的なバルブ105を通って蓄熱部112を出て、低圧入力/出力デバイス103を通過して高温低圧ガスとしてシステムから出る。システムに入る熱流量とシステムから出る熱流量が平衡するように蓄熱部111および112中の質量流量は蓄熱部114中の質量流量とほぼ等しい。図4は、この段階時における種々の貯蔵部の温度分布を示す。
【0113】
このように、1つの蓄熱部には常時高圧ガスが蓄積されており、1つの貯蔵部がその圧力を低圧側の圧力まで低下させており、2つの貯蔵部が低圧側に放出し、最後に、1つの貯蔵部が低圧から高圧に圧力を上昇させている。
【0114】
蓄熱部を通過するガス流の圧力低下があるものと思われる。この高圧側における圧力低下は流量の割合に対して低いと思われるが、低圧側にとってこの圧力低下は非常に大きなものとなりうる。これを低減するため、貯蔵部が放出される速度を低下する必要があり、さらなる蓄熱部が追加されなければシステムの不均衡につながる。追加の蓄熱部を有することによって、例えば、低圧側にある貯蔵部のうちの2つを高圧側の質量流量の半分で放出し、システムの均衡を維持することが可能である。高圧と低圧間の圧力差が大きくなるほどこの差は大きくなるものと思われる。しかしながら、低圧ガスが蓄熱部を通過する際の圧力低下が大きくないとみなされる場合は、最も簡単なシステムでは高圧と低圧とが等しい速度で蓄積/放出される4つの貯蔵部のみを有する。
【0115】
蓄積されない蓄熱部は通常基準温度で維持され、これは通常およそ周囲温度または周囲温度近辺である。しかしながら、周囲温度ではない基準温度を有することが好ましい可能性がある用途もいくつかある。
【0116】
熱をシステムに戻すため、高温低圧ガスが低圧入力/出力デバイス103を通ってシステムに入り、高圧入力/出力デバイス101を通ってシステムを出るように、工程および流れがすべて逆にされる。
【0117】
図4は、蓄積工程のセクション時における図3の種々の貯蔵部の熱フロントの状態を示す。
グラフ1は、低圧状態にあり、放出されている蓄熱部を示す。
【0118】
グラフ2は、低圧状態にあり、放出されている蓄熱部を示す。
グラフ3は、完全に蓄積された状態にあり、圧力が高圧状態から低圧状態に低下している蓄熱部を示す。
【0119】
グラフ4は、高圧状態にあり、蓄積されている蓄熱部を示す。
グラフ5は、完全に放出された状態にあり、圧力が低圧状態から高圧状態に上昇している蓄熱部を示す。
【0120】
図5は、電力供給部3”によって駆動され、高圧蓄熱部10’と、蓄冷部150とに連結される圧縮器/膨張器対2Aおよび2Bを含む閉サイクル電力貯蔵システム1”を示す。高圧蓄熱部10’はさらには低圧蓄熱部11”および12”に連結される。(空気、アルゴン、窒素または何らかの他の適切な作業流体とすることができる)ガスが装置1”中をパイプ31”、32”、33”、34”、35”、36”、37”および38”を通って移送される。バルブ40’、41’、42’、43’、44”および46”は様々なパイプを選択的に閉じる/開くために使用することができる。ガスポンプ50”がパイプ36”にあり、ガスをいずれの方向にも押し出すことができる。熱交換器60”はパイプを通過するガスの温度をほぼ周囲温度または固定基準温度で維持するために使用される。パイプ31”および32”は、パイプ内の任意のガスを、ほぼ周囲温度であってもよい同じ基準温度までさらに冷却または加熱するために取り付けられる追加の熱交換器(図示せず)を有してもよい。代替的に、基準温度は各熱交換器において異なってもよい。
【0121】
高圧蓄熱部10’は、圧縮されたガスが、蓄積の際、通過してその熱を伝達することができ、放出の際、その熱を受容することができる熱マトリックス14’を有する断熱された高圧容器13’を含む。
【0122】
低圧蓄熱部11”および12”はそれぞれ、ガスが、蓄積の際、通過してその熱を伝達することができ、放出の際、その熱を受容することができる熱マトリックス16”および18”を有する断熱された低圧容器15”および17”を含む。
【0123】
蓄冷部150は、蓄冷部150を通過する冷却後の膨張したガスに熱を伝達するように構成されている熱マトリックス170を有する断熱された低圧容器160を含む。このように、高圧蓄熱部10’および蓄冷部150が熱ヒートポンプサイクル内に配置され、蓄積時にそれぞれ蓄熱部と蓄冷部を生成するエネルギ貯蔵装置1”が設けられる。したがって、エネルギは、放出モードにおいて、冷却後の蓄冷部150中にガスを送り、蓄冷部150によって冷却後のガスを圧縮器/膨張器2Bを使用することにより圧縮し、高圧蓄熱部10’と低圧蓄熱部11”および12”との間に低圧ガスを送ることによって低圧蓄熱部11”および12”から熱マトリックス14’に熱エネルギが伝達された後、ガスを熱マトリックス14’にさらすことによって冷却後の圧縮されたガスを加熱し、圧縮器/膨張器2Aにおいて仕事を行うことによって加熱されたガスを膨張させることにより回収可能である。
【0124】
示されるように、高圧容器13’は、低圧容器15”、17”の固体微粒子蓄熱媒体よりも小さな平均粒度およびより高い単位容積あたりの平均表面積に該当する熱マトリックス170を有する固体微粒子蓄熱媒体を含む。
【0125】
図6は、太陽集熱器303によって駆動され、かつ高圧蓄熱部210に連結された熱機関302を含む太陽光発電システム301を示す。熱機関302は熱遮断システムと、膨張器(例えばタービン)に取り付けられた図示しない発電機のような仕事出力システムとを組み込む。高圧蓄熱部310はさらには低圧蓄熱部211および212に連結される。(空気、アルゴン、窒素または何らかの他の適切な作業流体とすることができる)ガスが装置301中を、パイプ231、232、233、234、235、236’、237、238、331、332、333および334を通して移送される。バルブ240、241、242、243、244および246は様々なパイプを選択的に閉じる/開くために使用することができる。ガスポンプ250がパイプ236にあり、ガスをいずれの方向にも押し出すことができる。ガスポンプ350がパイプ332にあり、ガスを太陽集熱器303中のみに押し出すことができる。太陽集熱器はトラフ型、タワー型、ディッシュ型またはフレネル型集熱器のような集光集熱器であってもよい。
【0126】
発電作業において、高温高圧ガスがパイプ331またはパイプ231のいずれかからパイプ333に入り、熱機関302に入る。ガスは、蓄熱部210につながるパイプ231のガスよりも太陽集熱器303につながるパイプ331からまず引かれることが好ましい。熱機関302はこの高温高圧ガスを受け取り、それを熱機関の駆動に使用する。ガスはその後、同等の圧力だがより低い温度でパイプ334に戻る。熱機関内において、熱は、熱機関の作業流体に熱を送る熱交換器によって、またはガスを直接作業流体として使用する熱機関によって熱機関サイクルに伝達することができる。熱機関がガスを直接作業流体として使用する場合、回路圧力を熱機関サイクルと一致させることが重要である。熱機関はガスを回路中に移動させることができるようにポンピング機構(図示せず)を組み込む。
【0127】
高圧低温ガスはその後、太陽集熱器303、高圧蓄熱部310または両者の組み合わせのいずれかを通って戻る。日光がないか、太陽集熱器が部分的にのみ作動するような悪天候条件、または動力がない場合、追加の熱が高温蓄熱部から供給される。前に説明したように高圧蓄熱部310はこの熱を低圧蓄熱部211および212から伝達するためにサイクルされる。
【0128】
太陽集熱器が作動しているが熱機関302が作動していない非発電作業において、パイプ333および334内に流れているガスはなく、高圧ガスがガスポンプ350によって押し出され、パイプ332を通って太陽集熱器303に入る。太陽集熱器303において、ガスの温度が上昇し、同等の圧力だがより高い温度でパイプ331を通って出る。ガスはパイプ231中を移動し、バルブ340を通って高圧蓄熱部310に入る。前に説明したように、高圧蓄熱部210はこの熱を低圧蓄熱部211および212に伝達するためにサイクルされる。
【0129】
(熱機関が部分負荷で作動している)部分発電モードにおいて、必要とされる以上の熱ガスが太陽集熱器303によって発生した場合、パイプ331において集熱器を出るガスが熱機関に供給するためのパイプ333と高圧蓄熱部210に補充するためのパイプ231との両方に送られる。このように、太陽集熱器303において発生したあらゆる熱が常にまず熱機関302において使用され、蓄熱部210内には第2の選択肢としてのみ貯蔵されることが好ましい。蓄熱部は熱機関を要求に応じて動作できることを確実にするためにある。前に説明したように、高圧蓄熱部310はこの熱を低圧蓄熱部211および212に伝達するためにサイクルされる。
【0130】
高圧蓄熱部310は圧縮されたガスが、蓄積の際、通過してその熱を伝達することができ、放出の際、その熱を受容することができる熱マトリックス314を有する断熱された高圧容器213を含む。
【0131】
低圧蓄熱部211および212はそれぞれ、ガスが、蓄積の際、通過してその熱を伝達することができ、放出の際、その熱を受容することができる熱マトリックス216および218を有する断熱された低圧容器215および217を含む。
【0132】
1つの高圧蓄熱部210のみが図に示され、サイクル的な手法で動作しなければならないことに留意されたい。しかしながら、(図2のシステムのように)複数の高圧蓄熱部が使用される場合、システムを連続工程として作動することが可能なため、例えば、1つの貯蔵部を常に蓄積し、1つの貯蔵部を常に放出し、1つの貯蔵部では圧力を低下させ、1つの貯蔵部では圧力を上昇させる。同様に、複数の低圧蓄熱部を有することもできる。
【0133】
このシステムの利点は、集熱器回路が、特定の断面積におけるポンピング損失が非常に低く、質量流量が高くなるように高度に加圧する(例えば、60バール(6000kPa))ことができることである。作業流体としてガスを使用すると、(最高温度が摂氏約400度である)熱媒油および(実際の混合により摂氏約230度未満の温度に冷却させた場合に固化する)溶融塩に付随する問題が回避される。集熱器回路はさらには熱機関回路と直接連系させることができ、これは、機関の高温側につながる熱交換器が事実上太陽集熱器であることを意味する。これによって、効率が向上し、二次熱交換器の必要がなくなる。大量の熱を圧力容器内に高圧で貯蔵することは経済的ではないため、過剰な熱をより低コストの蓄熱部に貯蔵し、その後必要に応じて高圧システムに戻すことができる。
【0134】
図7は、高圧蓄熱部410を介して太陽集熱器503によって間接的に駆動される熱機関502を含む太陽光発電システム501を示す。熱機関502は熱遮断システムと、膨張器(例えばタービン)に取り付けられた図示しない発電機のような仕事出力システムとを組み込む。高圧蓄熱部410は、さらには、また、低圧蓄熱部411および412と、太陽集熱器503とに連結される。(空気、アルゴン、窒素または何らかの他の適切な作業流体とすることができる)ガスが装置501中を、パイプ431、432、433、434、435、436、437、438、531および532を通して移送される。バルブ440、441、442、443、444および446は様々なパイプを選択的に閉じる/開くために使用することができる。ガスポンプ450がパイプ436にあり、ガスをいずれの方向にも押し出すことができる。ガスポンプ550がパイプ532にあり、太陽集熱器503のみを通じてガスを押し出すことができる。太陽集熱器はトラフ型、タワー型、ディッシュ型またはフレネル型集熱器のような集光集熱器であってもよい。
【0135】
発電作業において、高温高圧ガスは高圧蓄熱部410からパイプ431に入り、熱機関502に入る。高圧ガスは同等の圧力だがより低い温度で熱機関を出て、パイプ432を通り高圧蓄熱部410に戻る。熱機関内において、熱は熱機関内の熱機関サイクルに、熱交換器によって、またはガスを直接作業流体として使用する熱機関によって伝達することができる。熱機関がガスを作業流体として使用する場合、回路圧力を熱機関サイクルと一致させることがさらにまた重要である。熱機関はガスが回路中を移動することができるようにポンピング機構(図示せず)を組み込む。一定の時間の後、高圧蓄熱部410に低圧回路からの高温ガスが再蓄積される。ガスは、低圧蓄熱部411または412のいずれかからよりも、まず太陽集熱器503に直接つながるパイプ531から引き出されることが好ましい。十分な熱が貯蔵部内にあるおよび/または太陽集熱器が十分な熱を収集している限り、熱機関は発電を維持することができる。
【0136】
蓄熱部410が再蓄積されると、低温低圧ガスは蓄熱部を出て低圧蓄熱部411および412または太陽集熱器503のいずれかに入る。ガスは蓄熱部中に流れるよりも集熱器中に流れることが好ましい。太陽集熱器中の流量はそれに照射する日射量に依存しており、したがって、この流量は外部条件によって変化するものと思われる。
【0137】
非発電作業においては、パイプ431および432内に流れるガスはない。その代わりに、低圧ガスがガスポンプ550によって押し出され、パイプ532を通って太陽集熱器503に入る。太陽集熱器503では、ガスの温度が上昇し、入ったときと同等の圧力だがより高い温度でパイプ531を通って出る。ガスはパイプ531を通って移動し、低圧蓄熱部511または512のいずれかに入る。
【0138】
(熱機関が部分負荷で作動している)部分発電モードにおいて、必要とされる以上の熱ガスが太陽集熱器503によって発生した場合、パイプ531において集熱器を出るガスは、熱機関502に供給するため高圧蓄熱部410に、および低圧蓄熱部411および412に補充するためパイプ434および/または435に定期的に送られる。このように、太陽集熱器503において発生したあらゆる熱は高圧蓄熱部410を通じて常に熱機関502に最初に伝達され、低圧蓄熱部411および412内には第2の選択肢として貯蔵されるのみである。蓄熱装置は熱機関を要求に応じて動作できることを確実にするためにある。
【0139】
高圧蓄熱部410は、圧縮されたガスが、蓄積の際、通過してその熱を伝達することができ、放出の際、その熱を受容することができる熱マトリックス414を有する断熱された高圧容器413を含む。
【0140】
低圧蓄熱部411および412はそれぞれ、ガスが、蓄積の際、通過してその熱を伝達することができ、放出の際、その熱を受容することができる熱マトリックス416および418を有する断熱された低圧容器415および417を含む。
【0141】
1つの高圧蓄熱部410のみが図に示され、サイクル的な手法で動作しなければならないことに留意されたい。しかしながら、複数の高圧蓄熱部が使用される場合、システムを連続工程として作動することが可能であるため、例えば、1つの貯蔵部が常に蓄積され、1つの貯蔵部が常に放出され、1つの貯蔵部が圧力を低下させ、1つの貯蔵部が圧力を上昇させる。同様に、複数の低圧蓄熱部を有することもできる。
【0142】
このシステムの利点は、集熱器回路を低圧および場合によっては周囲圧力にすることができ、漏れによる問題が低減されることである。ポンピング損失が高くなるためガスの特定の質量流量に対して集熱器の断面積を増加する必要がある。しかしながら、熱を連続工程として低圧蓄熱部に直接供給することができ、熱は熱機関によって必要に応じて「取り出され」、高圧回路に伝達される。作業流体としてガスを使用する利点ならびに低圧蓄熱部の利点については前に説明した。
【0143】
図8を参照すると、いかなる不可逆的な工程も貯蔵されたエネルギの質を低下させる。すなわち、貯蔵されたエネルギの「利用度」が減少し、これが総合効率の低下につながる。
【0144】
熱伝達、したがってこれら損失の大きさは粒子形状およびサイズ、伝導率および密度を含む多くの異なる変数の関数である。固体単位容積あたりの比表面積は重要なパラメータであり、「比表面積」と呼ばれる。熱伝達の場合、比表面積が大きいと熱伝達が良くなる。同じ幾何学的形状でも粒子が小さいほうがより大きな比表面積を有する。
【0145】
貯蔵部中のガス流は事実上容器内の粒子の「充填層」中の流れである。貯蔵部を通過する流体の流量はQであり、貯蔵部の断面積はAである。したがって、空塔(または空管)速度U0は合計流量を断面積で除したものである。貯蔵部内に粒子があると、流体の流れに利用可能な面積が減る。すなわち、入ってくる空塔の流れの流体連続性を保持するために、流体は小さな面積を無理に通らなければならない。したがって、貯蔵媒体/粒子の体積内の速度(U=間隙速度)は空塔速度U0よりも大きい。
【0146】
流れ計算においては、質量分率ではなく、固体体積分率が重要である(これは熱伝達の計算にはあてはまらない)。固体体積分率は固体体積を合計体積で除したものと定義される。同様に、ボイド率はボイド体積を合計体積で除したものである。固体体積分率とボイド率との合計は1になるはずである。
【0147】
ボイド率は通常等方性の特性(すなわち全方向において同じ)である。したがって、間隙速度は単に以下の式による空塔速度に関連する。これは流体連続性を考慮したものである。
【0148】
U=U0/ボイド率
流体の流れに対する抵抗はボイド率の減少とともに増加し、流体の圧力低下を引き起こす(dP)。圧力はベクトル量ではないが、圧力勾配を距離に対して定義してもよい。蓄熱部の場合、貯蔵部の長さLにわたって特定の圧力低下dPがあり、この場合、圧力勾配がdP/Lであることを意味する。圧力は流体速度の方向に減少するため、ガスが貯蔵部を通過した後、ガス圧力は低下している。
【0149】
貯蔵部のボイド率(または空隙率)は粒子の形状およびそれらがどのように充填されているかによる。シンプルな立方充填の球の床は約50%のボイド率を有する。それが密に充填された六角形の構造であれば25%に近くなる。ランダムに充填された球は40〜50%の範囲のボイド率を有する。砂利などの材料は、約36〜37%のボイド率を有するが、35〜40%の範囲である。しかしながら、慎重な充填および異なるサイズの粒子によって、ボイド率を25%近くまで削減することができるが、これには多少の注意を要する。しかしながら、ボイド率が小さくなればより高い圧力損失につながる。
【0150】
貯蔵部のコストは貯蔵部の圧力に大きく関係する。圧力が高くなるほどその収容のために必要とする(鋼などの)材料の量が多くなる。特定の容積の圧力容器において、圧力が2倍になれば、その収容のために必要とする鋼のコストも2倍になる。
【0151】
したがって、高圧貯蔵部のボイド率を最小化すると有利である。このように、高温蓄熱部手段の容積は圧力損失の増加を犠牲にして最小化されるが、全体的なコストは減少する。言及したように、貯蔵部内の部分圧力低下は重要な尺度であり、圧力が高くてもこの部分低下を低く維持することはできる。低温蓄熱部においては、貯蔵部のコストはあまり重要ではなく、圧力損失がより重要であるため、ボイド率をより高くすることができる。このように、低ボイド率を有する高圧貯蔵部に低圧貯蔵部とより高いボイド率を組み合わせることによってシステムを改良することができる。
【0152】
これら蓄熱部において、目的はさらには貯蔵部から抽出されうるエネルギの量を減少させる損失を生じる不可逆性の生成レベルを低下させることである。この不可逆性は熱を理想ヒートポンプによって発生させるのに必要な仕事量を調べ、その後、蓄熱部から生じたガスから理想熱機関が発生させることができる仕事量を調べることによって測定することができる。
【0153】
理想熱機関は熱を高温源から得て、内部処理を実施し、より小さい方の熱量を遮断し、低温シンクに送る。したがって、仕事出力は高温源から得た熱と、遮断され、低温シンクに送られた熱との間の差である。伝達される熱エネルギの量と遮断される熱エネルギの量は伝達温度と遮断温度に直接比例するため、公知のカルノー関係がこのシンプルなモデルから直接導かれてもよい。「熱」と「温度」は同じではない。すなわち、それらはその熱力学的な意味で使用される。「熱」は一定量の熱エネルギを意味し、「温度」は熱エネルギが処理される温度である。
【0154】
高温源から供給される熱=kTh
遮断され低温シンクに送られる熱=kTc
サイクル仕事出力=k(Th−Tc)
理想サイクル効率=仕事出力/仕事入力=(Th−Tc)/Th=1−Tc/Th
完全なヒートポンプは、低温源から熱を引き出すために機械仕事を使用し、内部処理を実施し、熱を高温リザーバに伝達する熱機関を単に逆にしたものである。
【0155】
高温リザーバに伝達される熱=kTh
低温源から引き出された熱=kTc
サイクル仕事入力=k(Th−Tc)
理想性能係数=熱出力/熱入力=Th/(Th−Tc)
例として、Thが773度ケルビン(摂氏500度)およびTcが293度ケルビン(摂氏20度)のヒートポンプは1.61の理想成績係数(COP:Coefficient Of Performance)を有する。すなわち、kWhあたりの供給エネルギに対して熱機関は1.61kWhの熱を摂氏500度で供給する。
【0156】
ここで貯蔵部内の熱損失のために戻り温度が25度ケルビン(25℃)低下した場合、Thが748度ケルビン(摂氏475度)およびTcが293度ケルビン(摂氏20度)の熱機関は60.8%の理想サイクル効率を有する。このため、理想熱機関にかけた場合1.61kWhの熱は摂氏475度で.98kWhのエネルギを発生する。
【0157】
この理想例においては、1kWhのエネルギ入力に対して .02kWhの損失がある。すなわち、全体的な効率損失は2%である。この状況においては、機関およびヒートポンプの両方が理想のものであり、損失は単に戻り温度が低下したためであることに留意されたい。
【0158】
蓄熱状態において、この損失は熱交換器に必要な温度差によるものである。この温度差は、得られうる戻り温度を低下させ、利用可能なエネルギの損失の一因となる不可逆的な熱的混合を生じさせる。この混合のシナリオでは、熱は失われず、熱が伝達される温度が低下する。
【0159】
2つの数の間の差は貯蔵部において生じた「熱損失」である。これは貯蔵部の断熱壁を通じた周囲への単純な損失とは区別すべきである。この損失はガスと粒子との間に温度差があるはずであり、粒子はガスよりも常にわずかに低温であることから生じる。ガスが逆方向に再び送られると、ここでガスは粒子よりも低温であり、したがってガスはより低い温度で出てくるはずである。このレベルまたは不可逆性は粒度を低減することによって削減されうるが、このより小さな粒度は貯蔵部中におけるより大きな圧力低下にもつながる。
【0160】
緩やかな熱フロントは、貯蔵部の利用率が低下し、有効エネルギ密度も低下することを意味するため、貯蔵部の熱フロントの長さを最小化することも重要である。この貯蔵部の利用率は、粒度を低減することによっても向上することができる。しかし、このより小さな粒度はより大きな圧力低下にもつながる。
【0161】
しかしながら、効率に実際に影響を及ぼすのは部分圧力低下である。例えば、12バール(1200kPa)の貯蔵媒体における0.1バール(10kPa)の圧力損失は部分圧力損失が1%未満であるためあまり重大ではない。しかしながら、同じ貯蔵部が1バール(100kPa)であった場合、部分圧力損失は10%になり、より重大であることが明確である。
【0162】
図8に示すように、この蓄熱部の蓄積工程では、貯蔵部内に、初めは非常に「急」だが、蓄積が継続するにしたがい漸次的により緩やかになる熱フロントを設ける。
この例では、熱ガスはTh1で入り、貯蔵部は最初Ta1ケルビンである。フロントの長さはTh2ケルビン未満およびTa2ケルビンを超える貯蔵媒体のすべてを対象とする。
【0163】
急なフロントとは熱フロントの長さが蓄熱部の長さに対して短い場合である。緩やかなフロントとは熱フロントの長さが蓄熱部の長さに対して長い場合である。
L1<L2<L3であることがわかるため、初めの「急な」勾配のL1から蓄積されるにつれてフロントは漸次的に長くなり、勾配はより緩やかになる。
【0164】
図9aは、高圧容器610と、それに連結可能な低圧熱容器640とを含む蓄熱装置600を通る断面を示す。蓄熱装置600は、前に説明した図1〜図6のいずれのシステムの蓄熱部分を形成してもよい。すべての容器は適宜適切な断熱材で断熱されていることを前提とする。
【0165】
高圧蓄熱部610は、密に充填された粒子状物質630を含む高圧蓄熱部620を含む。低圧蓄熱部640は、粒子状物質630よりも大きな平均粒度(例えば、より大きな平均等価直径)を有する密に充填された粒子状物質660を含む低圧蓄熱部650を含む。各熱容器610、650貯蔵部の内部断面積はAであると、長さLの貯蔵部の容積Vは、V=L×Aである。
【0166】
高圧貯蔵部610内の粒子の平均サイズが低圧貯蔵装置640内の粒子の体積の約10倍であれば、特定の長さLにおいて、貯蔵部610内には10倍の数の粒子がある。粒子形状が同等であれば、ボイド率は両貯蔵部において実質的に同じとなりうることに留意されたい。
【0167】
主な違いは、より小さい粒子が材料の単位容積あたりの熱伝達においてより広い表面積を生成し、粒子内の温度勾配もその断面寸法が低減することによって低減することである。これは「熱フロント」の長さが減少し、貯蔵部の熱蓄積/放出効率が増加することを意味するため、有利である。
【0168】
これは各貯蔵部の隣のグラフに見ることができる。熱フロントが発生し、貯蔵部中を矢印の方向に移動するように、貯蔵部は周囲温度Taで始動し、Thでガスが蓄積される。実線はガスの温度を示し、破線は固体粒子の平均温度を示す。固体の温度はガスよりも遅れ、より大きな粒子の温度においては、ガスの温度と粒子の温度との間の差が大きくなることがわかる。これが「不可逆性」の増加および貯蔵部内におけるこの熱的混合効果によるより大きな熱損失につながる。小さな粒子の欠点は、粒度が低下するにつれて貯蔵部の単位長Lあたりの圧力低下が増加することである。
【0169】
図9bは、放出段階時に放出している貯蔵部610、640を示す。この場合、熱フロントは逆にされている。そのためガス温度は粒子温度から遅れている。
図10は、高圧貯蔵容器710と、それに連結可能な低圧貯蔵容器740とを含む蓄熱部700を示す。蓄熱装置700は前に説明した図1〜図6のいずれのシステムの蓄熱部分を形成してもよい。
【0170】
高圧貯蔵容器710は、高圧蓄熱構造730と、蓄積段階時に加熱された高圧ガスを受容するための注入口705と、ガスを低圧貯蔵容器740に移送するための流出口706と、を含む高圧蓄熱部720を含む。高圧蓄熱構造730は、密に充填された粒子状物質732の第1の層と、媒体支持構造707上に密に充填された粒子状物質734の第2の層と、を含む。粒子状物質732の第1の層は粒子状物質734の第2の層よりも小さな平均粒度を有し、したがって、より大きな比表面積を有する。粒子状物質732の第1の層は、また、粒子状物質734の第2の層よりも低いボイド率を有する。ボイド率約50%のシンプルな立方充填を有する粒子状物質734の第2の層に比べて、粒子状物質732の第1の層はボイド率約25%の密な六角形充填を有する(だが、実際には、粒子をランダムに充填し、粒子の幾何学的形状によって異なるボイド率を得てもよい)。
【0171】
低圧貯蔵容器740は、低圧蓄熱構造760と、蓄積段階時、加熱された低圧ガスを受容するための注入口701と、流出口702と、を含む低圧蓄熱部750を含む。低圧蓄熱構造760は、高圧蓄熱部710内の粒子状物質734の第2の層のものと同等の平均粒度およびボイド率を有する密に充填された粒子状物質708を含む。
【0172】
使用時、高圧貯蔵容器710には、高圧の熱ガスが蓄積され、この熱ガスは注入口705を通って上部から入り、高圧蓄熱部720を通過するが、その間、熱を冷却し、熱を高圧蓄熱構造730内に収容された粒子状物質に伝達する。同様に、加熱されたガスがその後、低圧貯蔵容器740に移送される際、低圧のガスが注入口701を通って上部から入り、低圧蓄熱部750を通過する。蓄熱部中における加熱されたガスのT通過によって、各貯蔵部の隣のグラフに示される熱フロントが生成される。高圧蓄熱部720内の粒子状物質732の第1の層にある熱フロントは大きな粒子のみを有する低圧蓄熱部内の熱フロントよりもかなり急であることがわかる。高圧蓄熱部のフロントがより大きな粒子を含む粒子状物質734の第2の層に入ると、それはより緩やかなる。しかしながら、粒子状物質734の第2の層における熱フロントの生成に関連する利用可能なエネルギの損失は、粒子状物質734の第2の層の平均粒度に一致する平均粒度を有する粒子状物質を含む貯蔵部よりも小さいため、高圧蓄熱部720によってより多くのエネルギを回収することができる。粒度変化は漸進的とすることができ、粒度変化が粒度を漸次的に増加させることによって行われる場合、さらに向上する。この例では2つの粒度しかないが、この手法では3つまたは4つもしくはそれを超える粒度を有することができる。
【0173】
図11は、蓄熱部700または蓄熱部740において使用される代替的な貯蔵容器710’を示す。
貯蔵容器710’は、蓄熱構造730’と、蓄積段階時にガスを受容するための注入口705’と、流出口706’と、を含む蓄熱部720’を含む。高圧蓄熱構造730’は、密に充填された粒子状物質732’の第1の層と、密に充填された粒子状物質734’の第2の層と、媒体支持構造707’上に密に充填された粒子状物質736の第3の層と、を含む。熱媒体732’および736は熱媒体734’よりも小さな粒度を有し、したがって、広い比表面積を有する。これは、また、ガスが貯蔵媒体732’および736を通過する際により大きな圧力低下およびより少ない温度差があることを意味する。有利なことに、第3の層736を設けると、貯蔵容器710’がガスを両方向に受容することを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギを貯蔵するための装置であって、前記装置は、
高圧ガスを受容するための高圧貯蔵容器であって、第1のガス透過性の蓄熱構造を収容する第1のチャンバを含む高圧蓄熱手段を含む、高圧貯蔵容器と、
低圧ガスを受容するための低圧貯蔵容器であって、第2のガス透過性の蓄熱構造を収容する第2のチャンバを含む低圧蓄熱手段を含む、低圧貯蔵容器と、
を含み、
前記第1の蓄熱構造が前記第2の蓄熱構造の単位容積あたりの平均表面積よりも大きい単位容積あたりの平均表面積を有する、装置。
【請求項2】
前記第1の蓄熱構造が前記第1のチャンバ内に収容された微粒子材料を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2の蓄熱構造が前記第2のチャンバ内に収容された微粒子材料を含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記微粒子材料が、ガス透過性の構造を形成するために充填された、固体粒子、多孔質媒体、繊維及び発泡材料の少なくとも1つを含む、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のチャンバが注入口からガスを受容するように構成され、前記第1の蓄熱構造が前記注入口からの距離が増加するにつれて前記第1の蓄熱構造の単位容積あたりの平均表面積が減少する領域を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記領域が前記第1の蓄熱構造の前記注入口に実質的に最も近い部分から延びる、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
単位容積あたりの平均表面積の変化が前記領域の長さ全体にわたって漸次的に生じる、請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
前記領域が前記第1の蓄熱構造の全長に沿って延びる、請求項5〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記領域が前記第1の蓄熱構造の長さの一部分に沿って延び、前記第1の蓄熱構造が前記最初に画定した領域の単位容積あたりの最小平均表面積よりも大きな単位容積あたりの平均表面積を有するさらなる領域を含む、請求項5〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記さらなる領域が、前記注入口からの距離が増加するにつれて増加する単位容積あたりの平均表面積を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記さらなる領域の単位容積あたりの平均表面積の変化が前記領域の前記長さ全体にわたって漸次的に(例えば、実質的に等しい増分で着実に)生じる、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記さらなる領域が同さらなる領域の前記長さに沿って実質的に一定のままである単位容積あたりの平均表面積を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記第1のチャンバが前記第2のチャンバの有効長さ対幅比よりも大きな有効長さ対幅比を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記高圧蓄熱手段が前記低圧蓄熱手段のボイド率よりも低いボイド率を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記高圧蓄熱手段が前記低圧蓄熱手段によって生じた絶対圧力低下の2倍の絶対圧力低下を生じるように構成される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
エネルギを貯蔵するための装置であって、前記装置は、
高圧ガスを受容するための高圧貯蔵容器であって、第1のガス透過性の蓄熱構造を収容する第1のチャンバを含む高圧蓄熱手段を含む、高圧貯蔵容器と、
低圧ガスを受容するための低圧貯蔵容器であって、第2のガス透過性の蓄熱構造を収容する第2のチャンバを含む低圧蓄熱手段を含む、低圧貯蔵容器と、
を含み、
前記高圧蓄熱手段が前記低圧蓄熱手段のボイド率よりも低いボイド率を有する、装置。
【請求項17】
前記高圧蓄熱手段が前記低圧蓄熱手段のボイド率よりも少なくとも5%低いボイド率を有する、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記高圧蓄熱手段が前記低圧蓄熱手段のボイド率よりも少なくとも10%低いボイド率を有する、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第1の蓄熱構造が前記第1のチャンバ内に収容された微粒子材料を含む、請求項16〜18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記第2の蓄熱構造が前記第2のチャンバ内に収容された微粒子材料を含む、請求項16〜19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記微粒子材料が、ガス透過性の構造を形成するために充填された、固体粒子、多孔質媒体、繊維及び発泡材料の少なくとも1つを含む、請求項19または20に記載の装置。
【請求項22】
前記第1のチャンバが前記第2のチャンバの有効長さ対幅比よりも大きな有効長さ対幅比を有する、請求項16〜21のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
前記高圧蓄熱手段が前記低圧蓄熱手段によって生じた絶対圧力低下の2倍の絶対圧力低下を生じるように構成された、請求項16〜22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
注入口からガスを受容するためのチャンバであって、ガス透過性の蓄熱構造を収容するチャンバを含み、前記蓄熱構造が前記注入口からの距離が増加するにつれて前記蓄熱構造の単位容積あたりの平均表面積が減少する領域を有する、蓄熱手段。
【請求項25】
前記蓄熱構造が前記チャンバ内に収容された微粒子材料を含む、請求項24に記載の蓄熱手段。
【請求項26】
前記微粒子材料がガス透過性の構造を形成するために充填された、固体粒子、多孔質媒体、繊維及び発泡材料の少なくとも1つを含む、請求項25に記載の蓄熱手段。
【請求項27】
前記領域が前記蓄熱構造の前記注入口に実質的に最も近い部分から延びる、請求項24〜26のいずれか1項に記載の蓄熱手段。
【請求項28】
単位容積あたりの平均表面積の変化が前記領域の長さ全体にわたって漸次的に生じる、請求項24〜27のいずれか1項に記載の蓄熱手段。
【請求項29】
前記領域が前記蓄熱構造の全長に沿って延びる、請求項24〜28のいずれか1項に記載の蓄熱手段。
【請求項30】
前記領域が前記蓄熱構造の長さの一部分に沿って延び、前記蓄熱構造が前記最初に画定した領域の単位容積あたりの最小平均表面積よりも大きな単位容積あたりの平均表面積を有するさらなる領域を含む、請求項24〜28のいずれか1項に記載の蓄熱手段。
【請求項31】
前記さらなる領域が、前記注入口からの距離が増加するにつれて増加する単位容積あたりの平均表面積を有する、請求項30に記載の蓄熱手段。
【請求項32】
前記さらなる領域の単位容積あたりの平均表面積の変化が前記領域の長さ全体にわたって漸次的に生じる、請求項31に記載の蓄熱手段。
【請求項33】
前記さらなる領域が同さらなる領域の長さに沿って実質的に一定のままである単位容積あたりの平均表面積を有する、請求項30に記載の蓄熱手段。
【請求項34】
エネルギを貯蔵するための装置であって、前記装置は、
高圧ガスを受容するための高圧貯蔵容器であって、ガスから熱エネルギを受容するための高圧蓄熱手段を含む高圧貯蔵容器と、
前記高圧貯蔵容器を、同高圧蓄熱手段の作用を受けた後の加圧ガスを貯蔵するためのガス貯蔵手段に、または前記高圧蓄熱手段の作用を受けた後の加圧ガスを受容するためのガス処理手段に連結するための連結手段と、
を含み、
前記装置はさらに、
ガスから熱エネルギを受容するための低圧蓄熱手段を含む低圧貯蔵容器であって、前記高圧貯蔵容器に選択的に連結可能な低圧貯蔵容器と、
低圧のガスを前記高圧貯蔵容器と前記低圧貯蔵容器との間において移送するためのガス移送手段であって、低圧ガスを前記高圧貯蔵容器と前記低圧貯蔵容器との間において移動させることにより貯蔵熱エネルギが前記高圧蓄熱手段と前記低圧蓄熱手段との間において伝達される、ガス移送手段と、
を含む、装置。
【請求項35】
前記ガス移送手段がポンプ手段を含む、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記低圧貯蔵容器に連結する前に前記高圧貯蔵容器に貯蔵されたガスの圧力を減少させるための圧力減少手段をさらに含む、請求項34または35に記載の装置。
【請求項37】
前記圧力減少手段が膨張器手段を含み、膨張のエネルギを前記装置によって回収可能である、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記高圧貯蔵容器を前記低圧貯蔵容器から分離後、同高圧貯蔵容器に貯蔵されたガスの圧力を増加させるための圧力増加手段をさらに含む、請求項34〜37のいずれか1項に記載の装置。
【請求項39】
前記装置は、高圧ガスを受容するための追加の高圧貯蔵容器を含み、
前記追加の高圧貯蔵容器が前記連結手段を介して前記ガス貯蔵手段または前記ガス処理手段に連結可能であり、かつガスから熱エネルギを受容するための追加の高圧蓄熱手段を含む、請求項34〜38のいずれか1項に記載の装置。
【請求項40】
前記最初に説明した高圧貯蔵容器と前記追加の高圧貯蔵容器とが交互に蓄積可能となるように構成されている、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記装置は、交互に蓄積可能な前記最初に説明した高圧貯蔵容器と前記追加の高圧貯蔵容器とにガスを実質的に連続的に供給するように構成されている、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記装置は、ガスから熱エネルギを受容するための追加の低圧蓄熱手段を含む追加の低圧貯蔵容器を含む、請求項34〜41のいずれか1項に記載の装置。
【請求項43】
前記追加の低圧貯蔵容器が前記最初に画定した高圧貯蔵容器または前記追加の高圧貯蔵容器の少なくとも1つに選択的に連結可能である、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記装置は、前記最初に説明した低圧蓄熱手段と前記追加の低圧蓄熱手段とを直列で蓄積するように構成されている、請求項42または43に記載の装置。
【請求項45】
前記装置は、前記最初に説明した低圧蓄熱手段と前記追加の低圧蓄熱手段とを並列で蓄積するように構成されている、請求項42または43に記載の装置。
【請求項46】
前記最初に説明した低圧貯蔵容器が第1の圧力でガスを維持し、前記追加の低圧貯蔵容器が前記第1の圧力と異なる第2の圧力でガスを維持する、請求項42〜45のいずれか1項に記載の装置。
【請求項47】
各高圧貯蔵容器を前記最初に説明した低圧貯蔵容器または前記追加の低圧貯蔵容器に連結する前に各高圧貯蔵容器内に貯蔵されたガスの圧力を減少させるための圧力減少手段をさらに含む、請求項39〜46のいずれか1項に記載の装置。
【請求項48】
各高圧貯蔵容器を前記最初に説明した低圧貯蔵容器または前記追加の低圧貯蔵容器から分離後、各高圧貯蔵容器内に貯蔵されたガスの圧力を増加するための圧力増加手段をさらに含む、請求項39〜46のいずれか1項に記載の装置。
【請求項49】
前記圧力減少手段が膨張器手段を含み、前記高圧貯蔵容器の1つにおける減圧時に回収される膨張のエネルギが前記装置によって回収可能である、請求項48に記載の装置。
【請求項50】
回収した膨張の前記エネルギが別の前記高圧貯蔵容器の圧力を増加させるための前記圧力増加手段によって使用される、請求項49に記載の装置。
【請求項51】
前記装置は、高圧ガスを受容するための少なくとも2つのさらなる追加の高圧貯蔵容器を含み、前記さらなる追加の高圧貯蔵容器の各々が前記連結手段を介して前記ガス貯蔵手段または前記ガス処理手段に連結可能であり、かつガスから熱エネルギを受容するためのさらなる追加の高圧蓄熱手段を含む、請求項39〜50のいずれか1項に記載の装置。
【請求項52】
前記装置は、同時に、前記高圧貯蔵容器の1つにガスが蓄積され;前記高圧貯蔵容器の1つがその圧力を前記圧力減少手段によって減少させたガスを含み;前記高圧貯蔵容器の1つがガス移送手段によって前記高圧貯蔵容器と前記低圧貯蔵容器との間において移送されるガスを含み;前記高圧貯蔵容器の1つがその圧力を前記圧力増加手段によって増加させたガスを含む、蓄積モードで作動可能である、請求項51に記載の装置。
【請求項53】
前記装置は、高圧ガスを受容するための少なくとも1つのさらなる追加の高圧貯蔵容器を含み、前記少なくとも1つのさらなる追加の高圧貯蔵容器が前記連結手段を介して前記ガス貯蔵手段または前記ガス処理手段に連結可能であり、かつガスから熱エネルギを受容するためのさらなる追加の高圧蓄熱手段を含む、請求項52に記載の装置。
【請求項54】
前記装置は、前記最初に説明した高圧貯蔵容器と前記追加の高圧貯蔵容器から、高圧ガスを受容するように構成された前記装置よりもそれぞれ低い移送速度で同時に低圧ガスを移送する蓄積モードにおいて作動可能である、請求項53に記載の装置。
【請求項55】
前記装置は、前記最初に説明した高圧貯蔵容器と前記追加の高圧貯蔵容器に、高圧ガスを放出するように構成された前記装置よりもそれぞれ低い移送速度で同時に低圧ガスを移送する放出モードで作動可能である、請求項53または54に記載の装置。
【請求項56】
前記ガスが空気、アルゴンまたはネオンである、請求項34〜55のいずれか1項に記載の装置。
【請求項57】
前記最初に説明した低圧貯蔵容器または前記追加の低圧貯蔵容器がガスを実質的に大気圧で貯蔵する、請求項34〜56のいずれか1項に記載の装置。
【請求項58】
エネルギを貯蔵し、その後回収する方法であって、前記方法は:
蓄積段階時において、
加熱された高圧ガスを受容するステップと、
前記ガスから熱エネルギを受容するための高圧蓄熱手段を含む高圧貯蔵容器を介して前記高圧ガスをガス貯蔵手段またはガス処理手段に移送するステップと、
前記高貯蔵容器から低圧で、前記高圧貯蔵容器と、ガスから熱エネルギを受容するための低圧蓄熱手段を含む低圧貯蔵容器との間においてガスを移送するステップであって、前記高圧貯蔵容器と前記低圧貯蔵容器の間において移動する低圧ガスにより前記高圧蓄熱手段によって貯蔵された熱エネルギが前記低圧蓄熱手段に伝達されるステップと、を含み、
放出段階時において、
前記低圧貯蔵容器と前記高圧貯蔵容器との間において低圧でガスを移送するステップであって、前記低圧貯蔵容器と前記高圧貯蔵容器との間において移動する低圧ガスにより、前記低圧蓄熱手段によって貯蔵された熱エネルギが前記高圧蓄熱手段に伝達される、ステップと、
その後、ガスを前記高圧貯蔵容器中に高圧で移動させ、高圧ガスを前記高圧蓄熱手段にさらすステップと、
前記加熱された高圧ガスを膨張させるステップと、を含む、方法。
【請求項59】
前記蓄積段階時、ガスが前記高圧貯蔵容器と前記低圧貯蔵容器との間においてサイクル的に移送される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記放出段階時、ガスが前記低圧貯蔵容器と高圧貯蔵容器との間においてサイクル的に移送される、請求項58または59に記載の方法。
【請求項61】
エネルギを貯蔵し、その後回収する方法であって、前記方法は:
蓄積段階時において、
加熱された低圧ガスを受容するステップと、
前記ガスから熱エネルギを受容するための低圧蓄熱手段を含む低圧貯蔵容器中に前記低圧ガスを移動させるステップと、を含み、
放出段階時において、
前記低圧貯蔵容器から低圧で、前記低圧貯蔵容器と、前記ガスから熱エネルギを受容するための高圧貯蔵手段を含む高圧貯蔵容器との間においてガスを移送するステップであって、前記低圧貯蔵容器と前記高圧貯蔵容器との間において移動する低圧ガスにより、前記低圧蓄熱手段によって貯蔵された熱エネルギが前記高圧蓄熱手段に伝達される、ステップと、
その後、ガスを高圧で前記高圧貯蔵容器中に移動させ、前記ガスを前記高圧蓄熱手段にさらすステップと、
前記加熱された高圧ガスを膨張させるステップと、を含む、
方法。
【請求項1】
エネルギを貯蔵するための装置であって、前記装置は、
高圧ガスを受容するための高圧貯蔵容器であって、第1のガス透過性の蓄熱構造を収容する第1のチャンバを含む高圧蓄熱手段を含む、高圧貯蔵容器と、
低圧ガスを受容するための低圧貯蔵容器であって、第2のガス透過性の蓄熱構造を収容する第2のチャンバを含む低圧蓄熱手段を含む、低圧貯蔵容器と、
を含み、
前記第1の蓄熱構造が前記第2の蓄熱構造の単位容積あたりの平均表面積よりも大きい単位容積あたりの平均表面積を有する、装置。
【請求項2】
前記第1の蓄熱構造が前記第1のチャンバ内に収容された微粒子材料を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2の蓄熱構造が前記第2のチャンバ内に収容された微粒子材料を含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記微粒子材料が、ガス透過性の構造を形成するために充填された、固体粒子、多孔質媒体、繊維及び発泡材料の少なくとも1つを含む、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のチャンバが注入口からガスを受容するように構成され、前記第1の蓄熱構造が前記注入口からの距離が増加するにつれて前記第1の蓄熱構造の単位容積あたりの平均表面積が減少する領域を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記領域が前記第1の蓄熱構造の前記注入口に実質的に最も近い部分から延びる、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
単位容積あたりの平均表面積の変化が前記領域の長さ全体にわたって漸次的に生じる、請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
前記領域が前記第1の蓄熱構造の全長に沿って延びる、請求項5〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記領域が前記第1の蓄熱構造の長さの一部分に沿って延び、前記第1の蓄熱構造が前記最初に画定した領域の単位容積あたりの最小平均表面積よりも大きな単位容積あたりの平均表面積を有するさらなる領域を含む、請求項5〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記さらなる領域が、前記注入口からの距離が増加するにつれて増加する単位容積あたりの平均表面積を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記さらなる領域の単位容積あたりの平均表面積の変化が前記領域の前記長さ全体にわたって漸次的に(例えば、実質的に等しい増分で着実に)生じる、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記さらなる領域が同さらなる領域の前記長さに沿って実質的に一定のままである単位容積あたりの平均表面積を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記第1のチャンバが前記第2のチャンバの有効長さ対幅比よりも大きな有効長さ対幅比を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記高圧蓄熱手段が前記低圧蓄熱手段のボイド率よりも低いボイド率を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記高圧蓄熱手段が前記低圧蓄熱手段によって生じた絶対圧力低下の2倍の絶対圧力低下を生じるように構成される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
エネルギを貯蔵するための装置であって、前記装置は、
高圧ガスを受容するための高圧貯蔵容器であって、第1のガス透過性の蓄熱構造を収容する第1のチャンバを含む高圧蓄熱手段を含む、高圧貯蔵容器と、
低圧ガスを受容するための低圧貯蔵容器であって、第2のガス透過性の蓄熱構造を収容する第2のチャンバを含む低圧蓄熱手段を含む、低圧貯蔵容器と、
を含み、
前記高圧蓄熱手段が前記低圧蓄熱手段のボイド率よりも低いボイド率を有する、装置。
【請求項17】
前記高圧蓄熱手段が前記低圧蓄熱手段のボイド率よりも少なくとも5%低いボイド率を有する、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記高圧蓄熱手段が前記低圧蓄熱手段のボイド率よりも少なくとも10%低いボイド率を有する、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第1の蓄熱構造が前記第1のチャンバ内に収容された微粒子材料を含む、請求項16〜18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記第2の蓄熱構造が前記第2のチャンバ内に収容された微粒子材料を含む、請求項16〜19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記微粒子材料が、ガス透過性の構造を形成するために充填された、固体粒子、多孔質媒体、繊維及び発泡材料の少なくとも1つを含む、請求項19または20に記載の装置。
【請求項22】
前記第1のチャンバが前記第2のチャンバの有効長さ対幅比よりも大きな有効長さ対幅比を有する、請求項16〜21のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
前記高圧蓄熱手段が前記低圧蓄熱手段によって生じた絶対圧力低下の2倍の絶対圧力低下を生じるように構成された、請求項16〜22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
注入口からガスを受容するためのチャンバであって、ガス透過性の蓄熱構造を収容するチャンバを含み、前記蓄熱構造が前記注入口からの距離が増加するにつれて前記蓄熱構造の単位容積あたりの平均表面積が減少する領域を有する、蓄熱手段。
【請求項25】
前記蓄熱構造が前記チャンバ内に収容された微粒子材料を含む、請求項24に記載の蓄熱手段。
【請求項26】
前記微粒子材料がガス透過性の構造を形成するために充填された、固体粒子、多孔質媒体、繊維及び発泡材料の少なくとも1つを含む、請求項25に記載の蓄熱手段。
【請求項27】
前記領域が前記蓄熱構造の前記注入口に実質的に最も近い部分から延びる、請求項24〜26のいずれか1項に記載の蓄熱手段。
【請求項28】
単位容積あたりの平均表面積の変化が前記領域の長さ全体にわたって漸次的に生じる、請求項24〜27のいずれか1項に記載の蓄熱手段。
【請求項29】
前記領域が前記蓄熱構造の全長に沿って延びる、請求項24〜28のいずれか1項に記載の蓄熱手段。
【請求項30】
前記領域が前記蓄熱構造の長さの一部分に沿って延び、前記蓄熱構造が前記最初に画定した領域の単位容積あたりの最小平均表面積よりも大きな単位容積あたりの平均表面積を有するさらなる領域を含む、請求項24〜28のいずれか1項に記載の蓄熱手段。
【請求項31】
前記さらなる領域が、前記注入口からの距離が増加するにつれて増加する単位容積あたりの平均表面積を有する、請求項30に記載の蓄熱手段。
【請求項32】
前記さらなる領域の単位容積あたりの平均表面積の変化が前記領域の長さ全体にわたって漸次的に生じる、請求項31に記載の蓄熱手段。
【請求項33】
前記さらなる領域が同さらなる領域の長さに沿って実質的に一定のままである単位容積あたりの平均表面積を有する、請求項30に記載の蓄熱手段。
【請求項34】
エネルギを貯蔵するための装置であって、前記装置は、
高圧ガスを受容するための高圧貯蔵容器であって、ガスから熱エネルギを受容するための高圧蓄熱手段を含む高圧貯蔵容器と、
前記高圧貯蔵容器を、同高圧蓄熱手段の作用を受けた後の加圧ガスを貯蔵するためのガス貯蔵手段に、または前記高圧蓄熱手段の作用を受けた後の加圧ガスを受容するためのガス処理手段に連結するための連結手段と、
を含み、
前記装置はさらに、
ガスから熱エネルギを受容するための低圧蓄熱手段を含む低圧貯蔵容器であって、前記高圧貯蔵容器に選択的に連結可能な低圧貯蔵容器と、
低圧のガスを前記高圧貯蔵容器と前記低圧貯蔵容器との間において移送するためのガス移送手段であって、低圧ガスを前記高圧貯蔵容器と前記低圧貯蔵容器との間において移動させることにより貯蔵熱エネルギが前記高圧蓄熱手段と前記低圧蓄熱手段との間において伝達される、ガス移送手段と、
を含む、装置。
【請求項35】
前記ガス移送手段がポンプ手段を含む、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記低圧貯蔵容器に連結する前に前記高圧貯蔵容器に貯蔵されたガスの圧力を減少させるための圧力減少手段をさらに含む、請求項34または35に記載の装置。
【請求項37】
前記圧力減少手段が膨張器手段を含み、膨張のエネルギを前記装置によって回収可能である、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記高圧貯蔵容器を前記低圧貯蔵容器から分離後、同高圧貯蔵容器に貯蔵されたガスの圧力を増加させるための圧力増加手段をさらに含む、請求項34〜37のいずれか1項に記載の装置。
【請求項39】
前記装置は、高圧ガスを受容するための追加の高圧貯蔵容器を含み、
前記追加の高圧貯蔵容器が前記連結手段を介して前記ガス貯蔵手段または前記ガス処理手段に連結可能であり、かつガスから熱エネルギを受容するための追加の高圧蓄熱手段を含む、請求項34〜38のいずれか1項に記載の装置。
【請求項40】
前記最初に説明した高圧貯蔵容器と前記追加の高圧貯蔵容器とが交互に蓄積可能となるように構成されている、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記装置は、交互に蓄積可能な前記最初に説明した高圧貯蔵容器と前記追加の高圧貯蔵容器とにガスを実質的に連続的に供給するように構成されている、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記装置は、ガスから熱エネルギを受容するための追加の低圧蓄熱手段を含む追加の低圧貯蔵容器を含む、請求項34〜41のいずれか1項に記載の装置。
【請求項43】
前記追加の低圧貯蔵容器が前記最初に画定した高圧貯蔵容器または前記追加の高圧貯蔵容器の少なくとも1つに選択的に連結可能である、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記装置は、前記最初に説明した低圧蓄熱手段と前記追加の低圧蓄熱手段とを直列で蓄積するように構成されている、請求項42または43に記載の装置。
【請求項45】
前記装置は、前記最初に説明した低圧蓄熱手段と前記追加の低圧蓄熱手段とを並列で蓄積するように構成されている、請求項42または43に記載の装置。
【請求項46】
前記最初に説明した低圧貯蔵容器が第1の圧力でガスを維持し、前記追加の低圧貯蔵容器が前記第1の圧力と異なる第2の圧力でガスを維持する、請求項42〜45のいずれか1項に記載の装置。
【請求項47】
各高圧貯蔵容器を前記最初に説明した低圧貯蔵容器または前記追加の低圧貯蔵容器に連結する前に各高圧貯蔵容器内に貯蔵されたガスの圧力を減少させるための圧力減少手段をさらに含む、請求項39〜46のいずれか1項に記載の装置。
【請求項48】
各高圧貯蔵容器を前記最初に説明した低圧貯蔵容器または前記追加の低圧貯蔵容器から分離後、各高圧貯蔵容器内に貯蔵されたガスの圧力を増加するための圧力増加手段をさらに含む、請求項39〜46のいずれか1項に記載の装置。
【請求項49】
前記圧力減少手段が膨張器手段を含み、前記高圧貯蔵容器の1つにおける減圧時に回収される膨張のエネルギが前記装置によって回収可能である、請求項48に記載の装置。
【請求項50】
回収した膨張の前記エネルギが別の前記高圧貯蔵容器の圧力を増加させるための前記圧力増加手段によって使用される、請求項49に記載の装置。
【請求項51】
前記装置は、高圧ガスを受容するための少なくとも2つのさらなる追加の高圧貯蔵容器を含み、前記さらなる追加の高圧貯蔵容器の各々が前記連結手段を介して前記ガス貯蔵手段または前記ガス処理手段に連結可能であり、かつガスから熱エネルギを受容するためのさらなる追加の高圧蓄熱手段を含む、請求項39〜50のいずれか1項に記載の装置。
【請求項52】
前記装置は、同時に、前記高圧貯蔵容器の1つにガスが蓄積され;前記高圧貯蔵容器の1つがその圧力を前記圧力減少手段によって減少させたガスを含み;前記高圧貯蔵容器の1つがガス移送手段によって前記高圧貯蔵容器と前記低圧貯蔵容器との間において移送されるガスを含み;前記高圧貯蔵容器の1つがその圧力を前記圧力増加手段によって増加させたガスを含む、蓄積モードで作動可能である、請求項51に記載の装置。
【請求項53】
前記装置は、高圧ガスを受容するための少なくとも1つのさらなる追加の高圧貯蔵容器を含み、前記少なくとも1つのさらなる追加の高圧貯蔵容器が前記連結手段を介して前記ガス貯蔵手段または前記ガス処理手段に連結可能であり、かつガスから熱エネルギを受容するためのさらなる追加の高圧蓄熱手段を含む、請求項52に記載の装置。
【請求項54】
前記装置は、前記最初に説明した高圧貯蔵容器と前記追加の高圧貯蔵容器から、高圧ガスを受容するように構成された前記装置よりもそれぞれ低い移送速度で同時に低圧ガスを移送する蓄積モードにおいて作動可能である、請求項53に記載の装置。
【請求項55】
前記装置は、前記最初に説明した高圧貯蔵容器と前記追加の高圧貯蔵容器に、高圧ガスを放出するように構成された前記装置よりもそれぞれ低い移送速度で同時に低圧ガスを移送する放出モードで作動可能である、請求項53または54に記載の装置。
【請求項56】
前記ガスが空気、アルゴンまたはネオンである、請求項34〜55のいずれか1項に記載の装置。
【請求項57】
前記最初に説明した低圧貯蔵容器または前記追加の低圧貯蔵容器がガスを実質的に大気圧で貯蔵する、請求項34〜56のいずれか1項に記載の装置。
【請求項58】
エネルギを貯蔵し、その後回収する方法であって、前記方法は:
蓄積段階時において、
加熱された高圧ガスを受容するステップと、
前記ガスから熱エネルギを受容するための高圧蓄熱手段を含む高圧貯蔵容器を介して前記高圧ガスをガス貯蔵手段またはガス処理手段に移送するステップと、
前記高貯蔵容器から低圧で、前記高圧貯蔵容器と、ガスから熱エネルギを受容するための低圧蓄熱手段を含む低圧貯蔵容器との間においてガスを移送するステップであって、前記高圧貯蔵容器と前記低圧貯蔵容器の間において移動する低圧ガスにより前記高圧蓄熱手段によって貯蔵された熱エネルギが前記低圧蓄熱手段に伝達されるステップと、を含み、
放出段階時において、
前記低圧貯蔵容器と前記高圧貯蔵容器との間において低圧でガスを移送するステップであって、前記低圧貯蔵容器と前記高圧貯蔵容器との間において移動する低圧ガスにより、前記低圧蓄熱手段によって貯蔵された熱エネルギが前記高圧蓄熱手段に伝達される、ステップと、
その後、ガスを前記高圧貯蔵容器中に高圧で移動させ、高圧ガスを前記高圧蓄熱手段にさらすステップと、
前記加熱された高圧ガスを膨張させるステップと、を含む、方法。
【請求項59】
前記蓄積段階時、ガスが前記高圧貯蔵容器と前記低圧貯蔵容器との間においてサイクル的に移送される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記放出段階時、ガスが前記低圧貯蔵容器と高圧貯蔵容器との間においてサイクル的に移送される、請求項58または59に記載の方法。
【請求項61】
エネルギを貯蔵し、その後回収する方法であって、前記方法は:
蓄積段階時において、
加熱された低圧ガスを受容するステップと、
前記ガスから熱エネルギを受容するための低圧蓄熱手段を含む低圧貯蔵容器中に前記低圧ガスを移動させるステップと、を含み、
放出段階時において、
前記低圧貯蔵容器から低圧で、前記低圧貯蔵容器と、前記ガスから熱エネルギを受容するための高圧貯蔵手段を含む高圧貯蔵容器との間においてガスを移送するステップであって、前記低圧貯蔵容器と前記高圧貯蔵容器との間において移動する低圧ガスにより、前記低圧蓄熱手段によって貯蔵された熱エネルギが前記高圧蓄熱手段に伝達される、ステップと、
その後、ガスを高圧で前記高圧貯蔵容器中に移動させ、前記ガスを前記高圧蓄熱手段にさらすステップと、
前記加熱された高圧ガスを膨張させるステップと、を含む、
方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図11】
【図4】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図11】
【図4】
【公表番号】特表2013−520630(P2013−520630A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554422(P2012−554422)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際出願番号】PCT/GB2011/050370
【国際公開番号】WO2011/104556
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(510093314)アイゼントロピック リミテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】ISENTROPIC LIMITED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際出願番号】PCT/GB2011/050370
【国際公開番号】WO2011/104556
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(510093314)アイゼントロピック リミテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】ISENTROPIC LIMITED
【Fターム(参考)】
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