説明

改良型地面カバー

【課題】本発明は、単層に配設された縦糸(6)と、同じく単層に配設された横糸(7)とで形成された織物構造を含む一時的地面カバーにおいて、前記織物構造の織り方が、好ましくは行と列の交点のほぼ半分のところで各縦糸(6)が次の横糸(7)と交差するような織り方であり、縦糸(6)が残りの交点内に残される結果、各縦糸(6)が、フロートゾーンが後ろに続く単純かつ密な織り方のゾーンを少なくとも得るようになり、前記種々のゾーンを交互に配設することにより、横糸(7)の緊密化が生じ、このようにして作製された生地に大きな凹凸が生じるようなカバーに関する。
【解決手段】本発明によれば、このカバーは、面のうちの少なくとも1つの面上の前記織物構造の幅の少なくとも一部分上に配設された平糸(8)を含み、前記平糸(8)のそれぞれが、織物構造の前記面の突起の端部にセットされた横糸(7)により等間隔または不等間隔に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は砂または小石が多い地面上の人および/または車両の移動を可能あるいは容易にするための一時的地面カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
このタイプの一時的地面カバー構造は既知のものであり、そのような構造はたとえば車両の通行ができるようにするために地面の表面に直接展開させることができる。
【0003】
図1は先行技術によるそのようなカバー構造の部分断面略図である。本出願人が特許文献1において記述したこの構造は、単層に配設されたモノフィラメントタイプの横糸2と、同じく単層に配設された縦糸3とで形成された織物構造1で構成される。
【0004】
織物構造の織目は、好ましくは行と列の交点のほぼ半分のところで各縦糸3が横糸2と交差するような織目であり、縦糸3が残りの交点内に残される結果、各縦糸3が、フロートゾーン5が後ろに続く単純かつ密な織り方のゾーン4が少なくとも得られる。
【0005】
密な交差ゾーン4と縦糸が機能しないゾーン5とを交互に配設することにより、縦糸3の緊密化が生じ、布地の両面にリブ入りのサッカー地が生じる。
【0006】
カバー構造の表面を移動する車両の駆動輪またはキャタピラはこれらの凹凸への良好なグリップを有するので、これらの車両に対しより高い移動速度が付与される。
【0007】
またこれらの凹凸により、このようにして被覆された地面に対して構造そのものも良好に固定される。
【0008】
こうした固定を、被覆する地面の断面形状に適合することができるカバー構造の柔軟性に組み合わせることにより、構造の表面を走行する車両の重量による構造の移動および轍の形成を防ぐことができる。
【0009】
より一般的には、そのようなカバー構造を使用することにより、歩行または車両の通行にともなう侵食から地面を保護することができる。
【0010】
このカバー構造は低密着性地面または不安定な地面上の車両の走行にとってすぐれた結果をもたらすものであるが、さらに改良する余地がある。
【0011】
事実、この構造の大きな凹凸により不均等な表面が形成され、それがこの構造の硬直性を組み合わされるとこの構造の表面上の裸足歩行が困難になることを確認した。
【0012】
場合によっては、そのような裸足による歩行により足の挫傷をきたすことがある。
【0013】
また、これらの構造の凹凸および硬直性を不快に感じる海水浴者がこのような構造に対する愛着を失い、直接、砂浜の上を移動する方を好むというような場合もみられる。
【0014】
したがって、歩行者の裸足による移動だけでなくベビーカーのように小型の車輪を具備する車両の移動も容易にするようこれらのカバー構造を適合させることが望ましいと思われる。実際、このような車両はカバー構造の表面の凹凸に影響されやすい。
【0015】
またこれらのカバー構造は完全な排水を確保するため開口度が非常に高い。したがってその表面にグラフやメッセージを印刷することができない。
【0016】
ところで、スポーツイベントや販売促進イベントの際にはこれらの構造を情報提供媒体または宣伝媒体として使うことは有益なことである。
【0017】
最後に、これらのカバー構造が白色である場合には雪が積もった地面と同化したり、闇の中を移動する車両からはほとんど見えないというケースが生じることがある。
【0018】
そのような地面カバー構造への車両の噛み合い不良またはその構造からの脱落のリスクはありうることであるため、車両は絶えずスタックする危険をはらんでいる。
【0019】
その場合、地面カバー構造が画定する単数または複数の車線を標識で示すことが必要になるが、それには追加の手段および作業者の動員が必要である。
【0020】
したがって、自身の両側面端を示す独自の標識を組み込み悪走行条件下でも高速走行を可能にするような地面カバー構造を利用できるようにすることが有利である。
【特許文献1】特許出願WO95/26435
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、設計よび使用方法が単純明快であり、軽量かつ柔軟性を有し、さらに地面にカバーがきわめて良好に固定される状態を保ちつつ裸足による歩行も可能にする地面カバー構造を提供することである。
【0022】
本発明の別の目的は、ビーチに直接敷くことが可能であって、裸足の人の歩行だけでなく、身体障害者用の車椅子、タグボート、水上バイクなどの車両も可能にするカバー構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
この目的のため、本発明は、ただ1つの層に配設された縦糸と、同じく単層に配設された横糸とで形成された織物構造を含む一時的地面カバーにおいて、前記織物構造の織目が、好ましくかつごく大雑把には行と列の交点の半分のところで各縦糸が次の横糸と交差するような織目であり、縦糸が残りの交点内に残される結果、各縦糸が、フロートゾーンが後ろに続く単純かつ密な織り方のゾーンを少なくとも得るようになり、前記種々のゾーンを交互に配設することにより、横糸の緊密化が生じ、このようにして作製された生地に大きな凹凸が生じるようなカバーに関するものである。
【0024】
本発明によれば、このカバーは、面のうちの少なくとも1つの面上の前記織物構造の幅の少なくとも一部分上に配設された平糸を含み、前記平糸のそれぞれは、織物構造の前記面の突起の端部にセットされた横糸により等間隔または不等間隔に固定される。
【0025】
「固定される」という語は元の構造への平糸の結合を意味する。本発明の地面カバーの織り方の観点からみればそれはシンカーになる。
【0026】
「平糸」とは、ノズルから押し出され、圧延または他の加工を受け、断面が平坦であり幅方向においてほぼ一定であり、楕円形、正方形、長方形、長円形、異形正方形または長方形、すなわち対向する2つの辺が凸形状であり、残りの2つの辺が等しく平行であるような製品を指す。
【0027】
また、これらの平糸は中空であってたとえば扁平管状断面を有していてもよい。
【0028】
平糸のこの中空ゾーンは、たとえば加熱素子など単数または複数の長形の物体を収納できる収納部分となる。したがってこれらの加熱素子を外部のエネルギー発生源に接続する接続することにより、一実施例として、一時的地表カバーによって画定された通路上に存在する氷または雪を溶かすことが可能になる。加熱素子の温度範囲は、カバーを構成する糸を損傷するおそれのある温度よりも下に位置することは言うまでもない。よって最高温度はたとえば80℃未満である。
【0029】
加熱素子によって発生する熱放射の損失を最小限にするために、平糸は金属材料など熱伝導率が良好な材質で作製することが好ましい。
【0030】
地面カバーの平糸のうちの少なくとも数本を、信号を送信および/または受信する平糸とすることができる。したがって、専ら一例としては、電磁波の受信、さらにはそのような波の送信を行うことができるアンテナなどがこれに該当する。これらの平糸の端部を同軸ケーブルなどの信号送信ラインに接続することにより、アンテナで受信した信号を受信器の入力部に送ること、あるいは反対方向に、外部送信器から供給されら信号を地面カバーに送ることができる。
【0031】
またこれらの平糸は、異なる周波数帯を発信するアンテナ網を形成するよう寸法が異なっていてもよい。
【0032】
こうして、たとえば危険な気象条件下で飛行しているヘリコプタに向けて、本発明の地面カバーの地上位置検出信号送信するためにこれらの平糸を使用することができる。パイロットは、カバーから発信されたこれらの信号により、視界が悪くても離れたところから地面カバーの位置を求めることができ、その表面に着陸することができる。
【0033】
「好ましくかつごく大雑把には」とは、各縦糸のライザー(takings)およびシンカー(leavings)が同等であることが絶対ではなく、たとえば10%から15%、さらにはそれ以上異なっていてもよいことを意味するが、厳密な意味での同等から離れば離れるほど、作業に必要な調整も多くなる。
【0034】
平糸の長さは織物構造の長さにほぼ等しいかそれを下回る長さとすることができる。ただし平糸の長さは織物構造の織目の3回の展開分よりも長い。
【0035】
したがってより一般的には、本発明は、単層に配設された縦糸と、同じく単層に配設された横糸とで形成された織物構造を含む一時的地面カバーにおいて、前記織物構造の織目が、好ましくは行と列の交点のほぼ半分のところで各縦糸が次の横糸と交差するような織目であり、縦糸が残りの交点内に残される結果、各縦糸が、フロートゾーンが後ろに続く単純かつ密な織り方のゾーンを少なくとも得るようになり、前記種々のゾーンを交互に配設することにより、横糸の緊密化が生じ、このようにして作製された生地に大きな凹凸が生じるようなカバーであって、面のうちの少なくとも1つの面上の前記織物構造の幅の少なくとも一部分上に配設された平糸を含み、前記平糸のそれぞれが、織物構造の前記面の突起の端部にセットされた横糸により等間隔または不等間隔に固定されることを特徴とするカバーに関するものである。
【0036】
この一時的地表カバーの種々の特定の実施形態においては、それぞれの実施形態が特定の長所を有しかつ多数の技術的組み合せが可能である
− 前記平糸のそれぞれが前記織物構造の最も外側の横糸のみにより元の構造に結合される。
こうすることにより織物構造への平糸の挿入を回避することができ、表面の凹凸を最適な方法で覆い、平坦な表面を形成することができる。
もちろん、織物構造の最も外側のこれらの横糸は織物構造の突起部全体に対して想定するものではなく、平糸が挿入される突起部のレベルで局所的に想定すべきものである。
− 前記平糸が相互に平行であり間隔がとられている。
この実施形態により水の流れを有利に確保することができ、したがって地面カバーの高い透過性を確保することが可能である。またこの実施形態により粒子(埃、砂粒、土の粒子・・・)も通すことができるので、カバーの表面はほぼきれいな状態に保たれる。
− 平糸が2つのライザの間の前記織物構造に少なくとも部分的に押圧される。
− nが≧8であるとき、平糸が前記織物構造のn本の横糸毎に元の構造に結合される
有利には、数nは織目の1回の展開中に存在する横糸の本数に相当する。
− 平糸が、案内となる2本の縦糸の間に挿入され、平糸が前記縦糸の直径以下の高さを有する。
平糸はこれら2本の縦糸に平行であり、2本の縦糸は、平糸の長さの少なくとも一部分において案内の役割を果たして平糸を締め付ける。
− 平糸が、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレンを含む群の中から選択された材料で作製される。
これらの材料は、このようにして構成された一時的地面カバーに防腐性ならびに紫外線(UV)劣化耐性を付与する。
有利には、平糸はまた、生分解性プラスチック材料などの生分解性材料、さらには酸化生分解性材料で作製することができる。生分解性プラスチック材料はアミドンベースとすることができる。
カバーはこれらの生分解性または酸化生分解性材料のうちの1つで全体を作製することも、これらの材料の組み合せで作製することも可能であるので、使用する縦糸および横糸の直径、ならびに平糸の厚さに応じても異なるが、数週間または数ヶ月で自己分解する特性を有する。
− 平糸のうちの少なくとも何本かが、カバー上を移動する車両から発せられる光を反射するための高反射被覆を含む。
カバーの側面にこれらの平糸を配設することにより、カバーの表面を走行する車両は、暗闇、霧、にわか雨などの悪条件下でも走行レーンを容易に見出すことができる。
変形形態によれば平糸は発光性とすることができる。
− 前記平糸のうちの少なくとも何本かが信号を送信および/または受信することができる。
【0037】
本発明は、砂または小石が多い地面または積雪地面上の少なくとも一時的走行用としての上で記述したようなカバーの使用にも関するものである。
【0038】
これらの平糸が織物構造の表面に存在することにより、テントマットなど変形しやすい表面へのカバーの跡を有利に軽減することができる。
【0039】
本発明の地面カバーにより、テントタイプの一時的滞在用地面と自然の地面との間にスクリーンが形成されることにより断熱効果ももたらすことができる。
【0040】
添付の図面を参照することにより本発明をより詳細に記述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
図2は、本発明の一実施形態による、特に砂、泥、または小石の多い地面上を走行するための一時的地面カバーを示す図である。
【0042】
このカバーは、単層に配設された縦糸6と、同じく単層に配設された横糸7とで形成された織物構造を含む。これらの縦糸6および横糸7は必要な剛性を織物構造に対し確保するためにモノフィラメントとするのが好ましい。ただし縦糸はモノフィラメントであってもなくてもよい。
【0043】
横糸7の直径はたとえば0.3mmから2mmとすることができる。縦糸6の直径は横糸7の直径よりも若干小さいことが好ましい。単なる一例として、横糸7の直径が0.8mmの時、縦糸6の直径は0.65mmとなる。
【0044】
縦糸6および横糸7は、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、アミドンベースの生分解性プラスチック材料、酸化生分解性プラスチック、ポリエチレンを含む群の中から選択された材料で作製されるのが有利である。
【0045】
この織物構造の織目は、好ましくかつごく大雑把には行と列の交点の半分のところで各縦糸6が次の横糸7と交差するような織目であり、縦糸6が残りの交点内に残される結果、各縦糸が、フロートゾーンが後ろに続く単純かつ密な織り方のゾーンを少なくとも得るようになり、前記種々のゾーンを交互に配設することにより、横糸7の緊密化が生じ、このようにして作製された生地に大きな凹凸が生じる。そのような織物構造のより詳細な説明に関しては、特許文献1を参照されたい。
【0046】
したがってこの一時的地面カバーは、凸部および凹部で形成された横方向リブを有するサッカー構造をその両面に有し、これらの横方向リブにより、このカバー上を移動することになる車両のタイヤおよびキャタピラの噛み合い特性がカバーに付与される。
【0047】
カバーは、織物構造の幅の一部分上に配設された平糸8をその面のうちの1つに含み、その結果、裸足での歩行に特に適したソフトな形状を有する部分と、車両の走行に適した大きな凹凸を有する別の部分とを作り出す。
【0048】
各平糸8は、対応する面上で織物構造の最も外側の横糸9により元の構造に結合されるかリンクされ、それにより、織物構造内へのこれらの平糸8の進入を最小限に抑えつつ、織物構造の凹部を最大限に覆うことができる。こうしてカバーは地面への固着特性を保つ。
【0049】
平糸8を全て、一本の同じ横糸7で元の構造に固定することも、反対に、リンクのずれを発生させて表面の柔らかさを向上させるようそれぞれ異なる横糸7で元の構造に固定することも可能である。
【0050】
カバーに対し高い透過性を確保するためにこれら平糸8は相互に平行であり間隔がとられている。同時に平糸は織物構造への異物の浸入を制限するバリアを形成している。
【0051】
平糸8が織物構造上を横方向に移動するのを防ぐために、平糸8の案内となる連続する2本の縦糸6の間にそれぞれ平糸8を入れる。
【0052】
その場合、これらの平糸8が閉じ込められた状態を維持するよう、平糸8の高さまたは厚さはこれらの縦糸6の直径よりも小さいことが好ましい。
【0053】
単なる例としては、縦糸6の直径が0.65mmであるとき、平糸8の直径は0.42mmとなる。
【0054】
さらに、平糸8はそれが万一捕捉されてたとえば引っ張りにより大きな応力を受けないよう、2つの固定部の間の織物構造に少なくとも部分的に押圧されるよう張力が加えられる。
【0055】
これらの平糸8は外部で使用することからポリエステルで作製するのが好ましいが、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、あるいは生分解性または酸化生分解性プラスチックを含む群の中から選択された材料で作製することも可能である。
【0056】
たとえば砂が多い地面を覆う用途の場合、カバーの製織作業の前に、これらの平糸8には、抗菌剤をあらかじめ塗布することができる。
【0057】
平糸は情報伝達媒体または広告媒体としても使用することができる。そのため平糸は少なくとも1つの印刷面を含む。
【0058】
そのようなカバーを作製するために、当業者にとって既知の方法であらかじめ印刷した媒体をたとえば3.5mmの均一幅のテープに切断することができる。これらのテープすなわち平糸8同士を継ぎ合わせ、このようにして継ぎ合わせたテープ8を糸保管システムに巻きつける。
【0059】
次にこの糸保管システムは織物構造の作製に用いられる織機にセットされる。この織機は独立した縦糸6および横糸7供給システムを含むのが好ましい。織機は織物構造の収縮率と同じ収縮率をもたない糸クロスを受け入れることができる。
【0060】
印刷されたテープを組み込んで織物構造を作製する。織機は処理ユニットに接続されたセンサを含む。この処理ユニットは挿入する平糸8すなわちテープの長さを決めるためにカッターに制御信号を送信する。こうすることにより、ひとつなぎにしたテープを不適切な場所で切断することによりモチーフを損傷させるということがないようにしている。
【0061】
平糸8同士の間隔はたとえば3mmから5mm、±10%、というように微小であるため、あらかじめ印刷された情報伝達媒体のモチーフが地面カバー上に再現される。
【0062】
もちろん、要望があった時に広告メッセージまたは情報伝達メッセージを挿入するよう、臨時地面カバーの作製後、別の任意の既知の方法により平糸の印刷を行うことも可能である。
【0063】
また、外部からの作用から単数または複数の印刷面を保護するために、宣伝メッセージまたは情報伝達メッセージの印刷後、平糸8に少なくとも1つの保護層を設けることができ、その保護層は平糸の外表面のうちの少なくとも1つに配設される。
【0064】
さらに、上で説明した織物構造を、縦糸クロスおよび横糸クロスを備える補助織物構造に結合することもできる。その場合、織物構造はこの補助織物構造の上に重ねられ、これら2つの織物構造間の結合は、両構造間のところどころに縦糸6または横糸7の方向に向いた管状ポケットを設けるようにして行われる。
【0065】
ポケットはところどころに設けられ、それら同士は等間隔であってもなくてもよい。ポケットは、種々の目的のために加えられた要素の収納場所として用いることができる。
【0066】
こうして、製織作業時またはその後、たとえば直径が数十mmの複合材料の棒など長形補剛要素をポケットに収納することができる。
【0067】
2つの織物構造間のポケットにはたとえば直径25mmのグラスファイバおよびポリエステル樹脂タイプの棒が収納固定され、これらの棒が挿入された部位の突出性をさらに顕著にしつつ、より高い地耐力をカバーに付与する。
【0068】
もちろん、補助織物構造の糸の種類および直径は想定する用途に応じて変えることができる。
【0069】
補助織物構造ならびにこれらの織物構造の結合に関する説明については、本出願人の特許出願WO99/49116号を参照されたい。
【0070】
図3および図4は本発明の第2の実施形態による地面カバーを示す。横糸7、縦糸6および平糸8については上で説明したので、以下では、各平糸8が図1のカバー構造に挿入される方法について説明するに留める。
【0071】
平糸8は同一であり元々の構造に結合されるか、1本の横糸7により地面カバーの幅方向に結合される。各平糸は図1のタイプの織物構造に等間隔で挿入される。
【0072】
図4は、平糸8が織物構造上を横方向に移動するのを防ぐために、各平糸8がその側面縁部の両側で、この平糸8の案内となる少なくとも1つの縦糸6に囲まれることを特に示している。また平糸8は織物構造に押圧される。
【0073】
図5は図3の地面カバーの織目を示す図である。従来の方法で示したこの織目は、10本の縦糸、すなわち1から10までの糸と、平糸が挿入された織物構造の場合の26列に対向する26本の横糸、すなわち1から26まで、とを含む。11番目の垂直方向の列は同一の方法で図1の織物構造に挿入された平糸を示す。したがってこの11番目の列に対向して11番目の平糸がセットされる。
【0074】
行と列の交点においては既知の方法で、縦糸あるいは元の生地に固定された平糸を白色で、縦糸あるいは残りの交点内に残された平糸を黒色で示してある。
【0075】
したがって、たとえば図5および図6を見ると、平糸が挿入された織物構造では、1番縦糸は最初の5本の横糸(1番から5番)の上を相次いで通過し(固定され)、次に6番横糸の下を通過し(固定されず)、再び7番横糸の上を通過し、次に8番横糸の下、次に9番の上、次に10番から18番の下、次に19番の上、20番の下、21番の上、22番下、最後に23番から26番の上を通過する。
【0076】
合計では、1番縦糸は13回生地に固定され、13回固定されない。
【0077】
また図6でよくわかるように、1番縦糸は、縦糸が固定されないゾーンBが前後に配設された2つのゾーンA内で、布タイプの単純で密な織目に従って横糸(1番から26番)と交差している。各ゾーンAまたはBは連続する複数の横糸を覆っている。
【0078】
その結果、図5の織り方の各縦糸について、ゾーンA(布タイプの織目)とゾーンB(固定されていない縦糸)が交互に出現するが、そこでゾーンAおよびゾーンBの数は縦糸毎に異なっていてもよい。
【0079】
密な交差ゾーンAと、縦糸が作用せずしたがって大きな「かせ」が生じるゾーンBとを交互に配設することにより、図3および図4に示すような平糸が挿入される織物構造に大きな凹凸が発生する。
【0080】
平糸は4番横糸によって一回しか固定または結合されないので、地面カバーの織目に空間が生じる。したがって平糸は1番から3番および5番から26番の横糸の上方を通過する。
【0081】
図7は本発明の第3の実施形態による地面カバーの断面を示し、図8はこの地面カバーの織目を示す図である。
【0082】
この地面カバーは、異なる方法で基本織物構造に挿入された2本の平糸11′および12′の交互配設を有する。
【0083】
本発明の地面カバーを得るために作製時に平糸を順次挿入する基本織物構造は、その1回分の織目に25本の横糸と10本の縦糸を含む。
【0084】
したがって地面カバーの織り部分は、基本織物構造の1′番から10′番までの縦糸が対向して配設される12個の垂直列と、番号11′および12′の2つの平糸とを備える。織り部分は、平糸が挿入された基本構造の場合、25列に対向して1番から25番まで25本の横糸を含む。
【0085】
図7を見ると、平糸11′は2回固定され、それが図8では一回分の織目あたり2つのシンカーとなっていることがわかる。図8によれば、平糸は、最初の3本の横糸(1番から3番)の上を相次いで通過し(固定され)、次に4番横糸の下を通り(固定されず)、次に5番から13番の横糸の上を通過し、次に14番横糸の下を通過し、最後に再度15番から25番の横糸の上を通過する。
【0086】
したがって図7において平糸11′は横糸4′および14′により固定される。
【0087】
図7を見ると、平糸12′も2回固定されていることがわかるが、これが図8では一回分の織目において2つのシンカーとなる。図8では、平糸12′は、最初の13本の横糸(1番から13番)の上を相次いで通過し(固定され)、次に14番横糸の下を通り(固定されず)、次に15番から20番の横糸の上を通過し、次に21番横糸の下を通過し、最後に再度22番から25番の横糸の上を通過する。
【0088】
その結果、横糸4′と14′の間において、平糸12′は水平であり、基本織物構造の凹部を覆い、地面カバーの外側から見た場合にこのゾーンに平坦な外観を付与している。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】先行技術の部分略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による一時的地面カバーの略図である。
【図3】本発明の第2の実施形態による地面カバーの断面図である。
【図4】それぞれの平糸が図1のカバー構造に挿入される様子を示す図3の地面カバーの拡大図である。
【図5】図3の地面カバーの織目を示す図である。
【図6】横糸、1番縦糸および平糸にまで展開した図5の織目の略図である。
【図7】本発明の第3の実施形態による地面カバーの断面図である。
【図8】図7の地面カバーの織目を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
1 織物構造
2 横糸
3 縦糸
4 密な交差ゾーン
5 フロートゾーン
6 縦糸
7 横糸
8 平糸
9 最も外側の横糸
11′、12′ 基本織物構造に挿入された平糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単層に沿って配設された縦糸(6)と、同じく単層に沿って配設された横糸(7)とで形成された織物構造からなり、前記織物構造の織り方が、好ましくは行と列の交点のほぼ半分のところで各縦糸(6)が次の横糸(7)と交差するような織り方であり、縦糸(6)が残りの交点内に残される結果、各縦糸(6)が、フロートゾーンが後ろに続く単純かつ密な織り方のゾーンを少なくとも得るようになり、前記種々のゾーンを交互に配設することにより、横糸(7)の緊密化が生じ、このようにして作製された生地に大きな凹凸が生じるような一時的地面カバーにおいて、面のうちの少なくとも1つの面上の前記織物構造の幅の少なくとも一部分上に配設された平糸(8)を含み、前記平糸(8)のそれぞれが、前記織物構造面の突起の端部に設けられた横糸(7)により等間隔または不等間隔に固定されることを特徴とするカバー。
【請求項2】
前記平糸(8)のそれぞれが、前記織物構造の最も外側の横糸(9)のみにより元の構造に結合されることを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
前記平糸(8)が相互に平行であり間隔がとられていることを特徴とする請求項1または2に記載のカバー。
【請求項4】
前記平糸(8)のそれぞれが、2つのライザの間の前記織物構造に少なくとも部分的に押圧されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のカバー。
【請求項5】
前記平糸(8)が中密または中空な横方向断面を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のカバー。
【請求項6】
nが≧8であるとき、前記平糸(8)が前記織物構造のn本の横糸(7)毎に元の構造に結合されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のカバー。
【請求項7】
前記平糸(8)が、案内となる2本の縦糸(6)の間に挿入され、前記平糸(8)が前記縦糸(6)の直径以下の高さを有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のカバー。
【請求項8】
横糸(7)の直径が0.3mmから2mmであり、縦糸(6)の直径が好ましくは横糸(7)の直径よりも小さいことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のカバー。
【請求項9】
前記平糸(8)が、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、生分解性または酸化生分解性プラスチックを含む群の中から選択された材料で作製されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のカバー。
【請求項10】
前記平糸(8)が、情報伝達媒体として使用するための少なくとも1つの印刷面を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のカバー。
【請求項11】
前記平糸(8)が、外部からの作用から単数または複数の印刷面を保護するための少なくとも1つの保護層を含むことを特徴とする請求項10に記載のカバー。
【請求項12】
前記平糸(8)のうちの少なくとも何本かが、前記カバー上を移動する車両から発せられる光を反射し反射誘導を形成するための高反射被覆を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のカバー。
【請求項13】
前記平糸(8)に抗菌剤が塗布されることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のカバー。
【請求項14】
縦糸(6)の層と横糸(7)の層とを備える補助織物構造を含み、前記織物構造が前記補助織物構造の上に重ねられ、これら2つの織物構造間の結合が、両構造間のところどころに縦糸(6)または横糸(7)の方向に向いた管状ポケットを設けるようにして行われ、前記ポケットが、種々の目的のために加えられた要素の収納場所として用いられることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載のカバー。
【請求項15】
前記平糸(8)のうちの少なくとも何本かが信号を送信および/または受信することができることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載のカバー。
【請求項16】
砂または小石が多い地面または積雪地面上の少なくとも一時的走行用としての請求項1から15のいずれか1項に記載のカバーの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−534552(P2009−534552A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507075(P2009−507075)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054078
【国際公開番号】WO2007/122257
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(500439674)
【Fターム(参考)】