説明

放出装置用のコネクタ

一端に少なくとも1つの出口(4)を、反対側の端部に駆動手段を有する容器筐体(3)を含む放出装置(1)。出口(4)にかぶせてコネクタ(6)を放出装置上に設置することができる。コネクタは、解除可能な保持装置を含み、これは、コネクタの2つの対向する側面を手で押圧することによって解除することができる。2つの対向する側面にはそれぞれ、1つのガイド面(9)が設けられ、ガイド面はそれぞれ放出装置(1)の長手方向(L)に対して斜めに、放出装置の方向に離れて方向づけられる。コネクタは、保持位置にて、出口にかぶせて放出装置上に取り付けられる。解除位置で、ガイド面(9)は、側面にかかる押圧力(F)によって互いに向かって半径方向に動かされる。従って、ガイド面は放出装置(1)の縁(15)上を滑り、押圧力が縁(15)上へ向きを変えられ、その結果、コネクタ(6)が解除位置で駆動方向から離れて軸方向に動かされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放出装置に接続するためのコネクタ、及びそのようなコネクタを有する放出装置、特に成分を混合するための少なくとも2つの容器を備えた放出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術は、少なくとも1つの出口を備えたシリンジ、ダブルシリンジ、カートリッジ又はダブルカートリッジを数多く開示し、成分放出のために、出口上に付属品を接続する。このような付属品は、例えば、混合器、放出先端部、噴射ノズル、シート型ノズル、通気装置、又は放出装置のさらなる要素のためのアダプタである。付属品は通常、ルアーロック接続、ねじ留め又はスナップ留めによって、放出装置の出口にかぶせて(ueber)取り付けられる。バヨネット留めも考えられる。
【0003】
特許文献1は、例えば、混合器の形をした取り外し可能な付属品を備えた放出装置を開示する。混合器は、スナップ接続によって、放出装置の出口上に取り付けられる。スナップ接続は、出口のスナップノーズ、及び混合器の筐体スリーブのスナップ開口部を含む。所定の位置につくと、スナップノーズがスナップ開口部にはめ込まれ、放出装置上にミキサーを保持する。スナップ開口部は、この場合、混合器のスリーブ上に互いに対向して設けられる。スナップ接続を解除するには、混合器のスリーブが、スリーブの、開口部に対し90°ずらして配置される2つの相互に対向する面で圧縮される。このとき、混合器のスリーブはスナップ開口部を有する領域で半径方向に広がり、その結果、スナップノーズがスナップ開口部から解放される。こうして、混合器を軸方向に放出装置から引き離すことができる。
【0004】
特許文献2は、2つの流体を混合するための装置を開示し、この装置では、2つのシリンジの出口にかぶせて混合付属品を取り付けることができる。混合付属品は、スナップ接続によって出口上に保持される。この目的のため、2つの互いに対向する面にスナップバーが設けられ、これらは混合器アタッチメントの側面にシーソーのように配置される。スナップバーは、最初の状態ではシリンジのスナップ突起部の後ろへ係合し、シリンジ上に混合器アタッチメントを保持するように、弾力的に配置される。解除するには、このバーが、スナップフックに対向して位置する端部で圧縮され、シーソー機能によってスナップ突起部からスナップフックが解放される。スナップフックが解放されるとすぐに、混合器アタッチメントを、軸方向にシリンジから引き離すことができる。特許文献3には同様のシステムが示されており、この場合、付属品アタッチメントにある弾力性のあるスナップフックを横方向に圧縮することによって、スナップ接続から解放することができ、付属品アタッチメントを軸方向にシステムから引き離すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO 2007/109915
【特許文献2】DE 20 2006 004 738 U1
【特許文献3】US 7,316,330 B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先行技術による放出装置のための付属要素とコネクタを用いると、付属品の取り外しは二段階で行われる。まず、付属品を横方向に圧縮することによって、放出装置上に付属品を保持する保持装置を解除しなければならない。その後、軸方向の力をかけて、付属品を放出装置から取り外さなければならない。軸方向にかけられる力は、この場合、付属品と放出装置の間の粘着力、摩擦力及び多分わずかなひっかかり(Verklemmen)に打ち勝たなければならない。結果として、付属品と放出装置の間の接続が突然解除される。このような付属品の突然の引き離しは、使用者が負傷するリスクを伴う恐れがある。例えば、このような制御不能な突然の動きにより、付属品のカニューレ又はニードルに刺し傷が生じる恐れがある。付属品が引き離される際の衝撃はまた、少量の成分が放出装置の外側にエアロゾルを形成することにつながり、これにより、例えば、作業環境の好ましくない汚染を引き起こす恐れがある。
【0007】
従って、本発明の目的は、放出装置から簡単且つ安全に取り外すことのできる、放出装置に接続するためのコネクタを提供することであって、この場合、放出装置からの取り外しが放出装置内の成分に悪影響を及ぼさず、取り外しに際し、わずかな作業工程又は操作だけを必要とする。
【0008】
さらに、本発明の目的は、少なくとも2つの容器を有する放出装置を提供することであって、この装置では、損傷又は容器内の成分への悪影響を及ぼすリスクなしに、コネクタを簡単に取り付け及び取り外すことができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本目的は、請求項1に記載のコネクタ、及び請求項10に記載の放出装置によって達成される。本コネクタ及び放出装置の有利な実施形態は、従属請求項で述べる。
【0010】
本発明によると、一端に少なくとも1つの出口を備え、反対側の端部に駆動手段を備える容器筐体を含む放出装置が提供される。容器筐体は、好ましくは、少なくとも2つの容器を含み、この容器は筐体に収容されるか、又はともに容器筐体を形成する。容器又は容器筐体は、好ましくは、多成分カートリッジ又は多成分シリンジとして形成され、特にダブルシリンジとして形成される。容器はそれぞれ出口を有し、これら出口は容器筐体の一端に互いに並んで配置されて設けられる。反対側の端部には、容器の出口を通して成分を放出するための駆動手段が設けられる。駆動手段としては、例えば、簡単な手操作の駆動ロッドを用いてもよい。放出装置に接続するための本発明によるコネクタは、保持装置を用いて、出口にかぶせて解除可能に取り付けられる。保持装置は、コネクタの2つの対向する側面を手で押すことによって解除できる。
【0011】
保持装置としては、例えば、解除可能な留め具を使用してよく、この留め具は、例えば形状嵌め(Formschluss)によって、回転運動無しに、コネクタを単に、出口又は容器筐体上に軸方向に押しのせる(Aufschieben)ことによってもたらされる。しかしながら、基本的には、例えばバヨネット接続等の回転運動を伴う保持装置も考えられる。さらに、保持装置はまた、コネクタを出口上にただ摩擦接続的(kraftschluessig)に押しのせることによってもたらすこともでき、コネクタは構造部品の摩擦接続によって保持される。保持装置は、好ましくは、2つのラッチ要素が解除可能に互いと係止するラッチ接続によって形成される。
【0012】
本発明によると、側面を手で押すことによって保持装置を解除するために設けられるコネクタの2つの対向する側面のそれぞれに、ガイド面が設けられる。互いに対向して配置される2つのガイド面は、これらがそれぞれ放出装置の方向に、放出装置の長手方向に対し斜めに突出するように方向づけられる。ガイド面は、放出装置の容器の直径にほぼ対応する幅を有することができる。好ましくは、ガイド面は、幅の小さいガイド縁として形成される。従って、本発明によると、ガイド面又はガイド縁は、コネクタから矢印状に突出する。好ましくは、ガイド面又はガイド縁は、30°〜90°の間の角度、特に好ましくは45°の角度を形成する。
【0013】
保持位置において、コネクタは、出口にかぶせて放出装置に取り付けられ、又は保持位置にて保持装置により保持される。好ましくは、コネクタは、保持位置において出口に完全にかぶせて設けられる。解除位置において、ガイド面は、側面を押すことによって半径方向に互いに向かって動かされる。このとき、ガイド面は、放出装置、特に容器筐体又は容器の縁上を滑り、その際、横方向に作用する押圧力が放出装置の縁上へ向きを変えられ、そのため、軸方向に作用する。ガイド面のスライドの結果、コネクタは、放出装置から軸方向に離れて解除位置へと移動する。容器筐体又は容器に対するコネクタの軸方向の移動は、斜めのガイド面が縁に押しつけられることによって起こり、その結果、縁へのガイド面の斜めの衝突によって、軸方向の力のベクトルが生じる。
【0014】
従って、コネクタは、放出装置から、制御及びガイドされて取り外すことができる。放出装置の軸方向の突然の引き離しは必要ではなく、又は極めてわずかにしか必要ではない。それ故に、放出装置からのコネクタの取り外しが、使用者にとって著しく簡単となり、この場合に起こる損傷のリスクを低減することができる。さらに、突然の引き離し時に問題となる、エアロゾル形成のリスクもない。
【0015】
コネクタは、好ましくは、スリーブ又はジャケットを含み、コネクタを出口上に設置するために、このスリーブ又はジャケットを出口の上にかぶせることができる。コネクタスリーブは、2つの対向する面に外周から突出するフランク(Flanke)を有し、このフランクにガイド面が設けられる。このフランクは、スリーブに沿って長手方向に板状に取り付けてもよい。この場合、実質的に、フランクのガイド面は、放出装置又は容器筐体又は容器の縁に対向して位置する。好ましくは、フランクは、少なくともガイド面がコネクタスリーブの周縁(Rand)を越えて突出するように、横方向に突き出て、コネクタスリーブ上に配置される。そのため、フランクは、長手方向軸に対し内側に向けられる面に、ガイド面を有する。従って、ガイド面は、それぞれ、コネクタスリーブの周縁を越えて放出装置の長手方向に対し斜めに突出する。
【0016】
コネクタスリーブは、環状に構成される必要はない。スリーブは、長円又は楕円の断面を有することもできる。この場合、好ましくは、ガイド面は、遠い方の対向する面に設けられ、保持装置は、2つの近い方の対向する面に設けられる。出口の形状又は配置に応じて、コネクタスリーブは、出口をその中に収容できるように、適切な形に形成することができる。しかしながら、好ましくは、コネクタスリーブは、円形スリーブとして形成される。スリーブは、また、放出方向に円錐形に先細になってもよい。しかしながら、好ましくは、コネクタスリーブは円筒形に設けられる。
【0017】
コネクタスリーブのフランクには、保持装置を解除するときにコネクタをつかむための、例えば小さい押圧板の形をした押圧面を設けることができる。フランクはコネクタスリーブの円周に対し垂直に延びるため、押圧面は、スリーブの周囲からわずかに持ち上げられ、円周面に実質的に平行に延びる。この配置により、コネクタ上の横方向の押し当て場所(Andrueckstellen)の間隔が大きくなり、これによって、コネクタの側面をつかみやすく及び圧縮しやすくなる。
【0018】
コネクタの有利な実施形態では、コネクタの側面に押圧力をかけるための押圧点が、軸方向にずれて、コネクタスリーブの周囲の外側にある。これにより、押圧点が、コネクタスリーブの最外縁又は外側に設けられることを保証できる。さらに、有利には、フランクに設けられる押圧面が、コネクタスリーブの周縁を越えて突出し、この方向に若干広がるように設けられる。この広がりによって、コネクタスリーブが圧縮されるとき、作用点の間の間隔が増す。これにより、一種のてこの効果が生じ、コネクタスリーブのガイド面上、従って放出装置の縁上に、横方向に作用する押圧力を効果的に伝達することができる。
【0019】
本発明によるコネクタの有利な実施形態では、保持装置が、コネクタスリーブと出口の間のコネクタスリーブの対向する面に設けられる。2つの対向する面は、本発明によるガイド面を有する側面に対し、90°ずれるように設けられる。従って、ガイド面と保持装置は、十字に配置される。
【0020】
保持装置は、少なくとも1つのラッチ突出部と少なくとも1つのラッチくぼみを有する、解除式ラッチ接続によって提供することができ、これらのうち、コネクタ上に片方が、出口上に他方が、ラッチ突起部がラッチくぼみに対向して位置するように配置される。保持位置では、ラッチ突起部がラッチくぼみに係合し、コネクタが放出装置から離れて軸方向へ動くのを阻止する。解除位置では、ラッチ装置を有するコネクタスリーブの2つの対向する面が半径方向に拡張し、ラッチ突起部がラッチくぼみから解除される。この拡張は、コネクタスリーブの2つの対向する側面が手で圧縮されることによって起こる。これら2つの側面が圧縮されることによって、ラッチ接続がのっているコネクタスリーブの90°ずれた2つの側面が拡張される。
【0021】
ラッチ接続の解除と同時に、斜めのガイド面も放出装置又は容器筐体の縁上を滑り、コネクタを軸方向へ放出装置から取り除く(wegheben)。従って、本発明によるコネクタの解除では、保持装置の解除及び放出装置からのコネクタの取り外しの両方に、ただ1つの操作、正確には側面の圧縮だけが必要である。
【0022】
コネクタの外面に、放出装置に対するコネクタの向きを決めるための装置を設けることができる。このために、例えば、コネクタ上のウェブ又は溝、又は単なるラインを用いてもよい。好ましくは、装置は、コネクタが、保持位置では、放出装置に合う位置でのみ取り付けることができるように設計される。これは、例えば、その要素が1つの特定の位置でのみ互いに係合する保持装置の構造によることもできる。
【0023】
本発明の1つの有利な点は、保持装置の解除及び放出装置からのコネクタの引き離しの両方が、ただ1つの構造部品上の装置、正確にはガイド面と保持装置とを備えるコネクタスリーブによって提供されることである。従って、コネクタスリーブは、コネクタを放出装置に保持するため、及びコネクタを放出装置から取り外すための保持装置の一部として機能する。
【0024】
さらなる態様によると、本発明は、上述のようなコネクタを備えた放出装置を含む。好ましくは、保持位置にて、コネクタは液密に出口を取り囲む。このため、出口にかぶせたコネクタの圧嵌め(Haftsitz)が提供され、これは、コネクタスリーブ内部の挿入要素によって達成され、この挿入要素は出口の外周上にぴったり合って位置するようになる。コネクタを放出装置から取り外す位置でこの圧嵌めを解除するためには、やはり、ガイド面を有するコネクタの側面を圧縮し、ガイド面を放出装置又は容器筐体の縁でガイドすることによって、保持力を制御された方法で克服し、圧嵌めを解除する。
【0025】
本発明の1つの実施形態では、コネクタのフランクの押圧面が容器筐体にかぶさって軸方向に突出し、又は、押圧面が少なくとも部分的に容器筐体に重なる。その結果、押圧面の面積が増加可能となり、コネクタの側面に簡単に力がかかるようになる。好ましくは、コネクタは、保持位置で、個々の出口がコネクタ内に設けられた路に集められるように、容器の出口にかぶせて配置される。この場合、路内で、放出装置の容器からの個々の成分が混合される。
【0026】
他の実施形態では、コネクタは、少なくとも1つのアクセス路、好ましくは、各出口に対しそれぞれ1つのアクセス路を有し、これにより、コネクタを放出装置に保持する位置において、各出口との液体接続が生まれる。このように形成されたコネクタは、放出装置の容器を満たすために使用することもできる。
【0027】
本発明によるコネクタを備えた放出装置においては、コネクタを引き離すために軸方向に力をかける必要がない。上述のように、コネクタの2つの側面を圧縮するだけである。2つの斜めのガイド面によって、放出装置からコネクタを衝撃なしに制御して取り外すことが可能となる。側面上に横方向に配置される2つの押圧面により、コネクタの人間工学的形状が達成され、これにより、側面を横方向に圧縮することが簡単となる。コネクタと放出装置の間にくっつき(Verklebung)又は汚染がある場合でさえ、本発明による斜めのガイド面によって、放出装置からコネクタを簡単に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、コネクタを備えた放出装置の展開図である。
【図2a】図2aは、第1の側から見た、コネクタと放出装置の一部の概略側面図である。
【図2b】図2bは、図2aによる図に対し、90°回転させた断面図である。
【図3a】図3aは、保持位置での、コネクタを備えた放出装置の側面図である。
【図3b】図3bは、図3aに対し90°回転させた断面図である。
【図4a】図4aは、横方向の力を加えた状態での、コネクタを備えた放出装置の側面図である。
【図4b】図4bは、図4aに対し90°回転させた断面図である。
【図5a】図5aは、解除位置での、コネクタを備えた放出装置の側面図である。
【図5b】図5bは、90°回転させた、図5aの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の好ましい実施形態を、図を参照して説明するが、この図は決して限定的に解釈されるべきではない。図によって開示される本発明の特徴は、開示に属するものとして理解されるべきである。
【0030】
図1は、2つの容器2を備えた放出装置1を示し、この2つの容器は、容器筐体3内に統合される。容器筐体の一端に2つの出口4が設けられ、これらは互いに隣り合って平行に、管状に配置される。出口は、それぞれ、互いから離れて向く面にラッチ突起部5を有する。放出装置は、例えば、容器2の1つにそれぞれ収容される2つの成分の混合に適する。放出装置は、出口2と反対側の端部に駆動手段を設け、この駆動手段は、例えば、容器への押し込みによって、出口を通して成分を放出する。放出装置は、この意味において、例えば、ダブルシリンジとして構成されてもよい。
【0031】
放出装置1上に付属品としてコネクタ6を設置することができる。本例示の実施形態では、付属品は取り付け可能な放出ノズルによって形成される。コネクタは、円形断面を有するコネクタスリーブ7を有する。スリーブ7の2つの対向する面には、それぞれ、フランク8が設けられ、フランク8は、スリーブ7の表面から垂直に突出し、放出装置に面する端部で、スリーブ7の周縁を越えて突出する。フランク8の突出部分にはそれぞれガイド面9が配置され、ガイド面はそれぞれ、放出装置の長手方向軸に対し斜めに延び、放出装置の方向に突出するように方向づけられる。
【0032】
両ガイド面は、好ましくは、長手方向軸に対し同じ角度を形成する。この角度は、好ましくは約45°である。フランク8の外縁には押圧面10が配置され、押圧面は、円周方向で、スリーブ7の周囲にほぼ平行に延び、長手方向で、放出装置の方向にわずかに持ち上がって配置される。押圧面はフランク8上に、それらの面が放出装置の方向にガイド面9を越えて突出するように設けられる。
【0033】
押圧面10に対し約90°ずれている、コネクタスリーブ7の2つの対向する面には、周囲にラッチ開口部11が設けられる。例示の実施例では、ラッチ開口部11は、スリーブ7の周囲壁を通り抜けて延びる。しかしながら、開口部の代わりに、スリーブ7の内周面にラッチくぼみだけを設けることも考えられる。ラッチ開口部11は、コネクタ6が放出装置1上に取り付けられると、ラッチ突起部5と協働する。
【0034】
コネクタ6は、放出装置1とは反対側の端部に、放出ノズル12を有する。コネクタが放出装置上に取り付けられると、容器2の内容物を、駆動手段によって、出口4及び放出ノズル12を通して放出することができる。
【0035】
図2aは、第1の側からみた、コネクタ、及び出口を有する放出装置の一部の概略図である。図2bは図2aに対し90°回転させた図で、同じ要素を断面図として示す。図2aには、スリーブ7及びラッチ開口部11、並びに、対向する面に配置され、ガイド面9及び押圧面10を有するフランク8を備えるコネクタ6を見ることができる。長手方向軸Lは、スリーブ7の軸に沿って延びる。ガイド面9は、スリーブ7から矢の様に突出する。放出装置は、図2aでは、2つの出口4が前後に位置するように、側面から示される。図の前側で出口4の側面に、ラッチ突起部5が示される。出口4は容器2につながる。
【0036】
図2bには、出口4がつながる2つの容器2を中に収容する容器筐体3の断面図が見てとれる。ラッチ突起部5は、それぞれ、出口4の、隣接する出口とは反対側の側面上に、直径方向に見ることができる。コネクタ6は、放出装置1上に取り付けられるように、側面から示される。
【0037】
ラッチ開口部11は、コネクタスリーブ7内に見てとれる。スリーブ7の内部には、出口4の端部を取り囲むことができるように挿入要素13が配置され、その結果、好ましくは液密接続が得られる。挿入要素13は、それぞれの出口に対し、放出ノズル12につながる路を有する。
【0038】
図3a及び3bでは、保持位置でコネクタ6が放出装置1上に取り付けられる。図3bに明らかなように、保持位置では、ラッチ突起部5がスリーブ7のラッチ開口部11へと突出し、その結果、ラッチ突起部及びラッチ開口部の縁は、コネクタ6が放出装置1から離れて軸方向へ動くのを阻止するように、互いに対向して位置する。図3bでは、出口4の端部が挿入要素13によってどのように取り囲まれるかが見てとれる。これにより、容器2の内部から出て放出ノズル12まで、連続する液体の接続が生まれる。放出ノズル12の内部には混合装置14が配置され、2つの容器2から放出される成分を混合するために使用される。図3aから明らかなように、斜めのガイド面9は、容器筐体3の縁15に対向して位置するようになる。押圧面10には力がかからないため、コネクタ6はラッチ接続の形をした保持装置によって放出装置に保持される。
【0039】
図4a及び4bは、押圧面10に横方向の力がかかった状態でのコネクタ6を示す。このため、コネクタ6は、各面に1つずつ、2つの指で掴まれ又は圧縮され、その結果、矢印Fの方向の力が、長手方向軸に対し半径方向にコネクタの側面上に生じる。この場合、ガイド面9は縁15上に位置するようになる。
【0040】
図4bには、半径方向に作用する力Fが押圧面10上にかかるとすぐ、押圧面10に対し90°回転されたスリーブ7の2つの側面が矢印Sの方向にどのように広がるかが示される。この場合、スリーブ7のこれらの面は半径方向外側に拡張し、そのためラッチ開口部11がラッチ突起部5の縁の外側に位置するようになる。この位置では、コネクタ6が放出装置1から離れて軸方向に動くのを阻止しない。
【0041】
図5a及び5bは、解除位置のコネクタ6を示す。この場合、コネクタスリーブ7の押圧面10上に、さらに、矢印Fの方向の押圧力がかかる。図5aに明らかなように、この場合、斜めのガイド面9が容器筐体3の縁15に沿ってガイドされる。押圧面10上に垂直に半径方向にかけられた力Fは、この場合、矢印Rによる軸方向の成分へと向きを変えられる。ガイド面9は、この場合、縁15上を滑り、力成分Rによって、制御された方法で、容器筐体3からコネクタ6を取り外す(abheben)。図5aでは、コネクタ6は、距離Aだけ、容器筐体3から取り外される。
【0042】
図5bでは、ラッチ開口部11を備える、ガイド面9の間に位置するコネクタスリーブ7の側面が、どのように矢印Sの方向に拡張されるかがわかる。ガイド面9が縁15上を滑り、その結果としてコネクタ6が容器筐体3から外されることによって、挿入要素13もまた、距離Aだけ、出口4の端部から軸方向に取り外される。挿入要素13と出口4の間の圧嵌めはこうして解かれる。図4bにすでに示したように、ラッチ開口部11とラッチ突起部5の間のラッチ接続も同様に解かれる。図の解除位置では、コネクタ6をさらに力をかけることなしに容器筐体3から取り外すことができる。全ての保持装置又は保持接続は既に解除され、コネクタ6は、縁15をガイド面9が滑ることによって、制御された方法で、軸方向に容器筐体3から取り外されるため、放出装置1の容器筐体3からコネクタ6が突然分離されることはない。
【符号の説明】
【0043】
1 放出装置
2 容器
3 容器筐体
4 出口
5 ラッチ突起部
6 コネクタ
7 コネクタスリーブ
8 フランク
9 ガイド面
10 押圧面
11 ラッチ開口部
12 放出ノズル
13 挿入要素
14 混合装置
15 縁

L 長手方向軸
F 力、半径方向
R 力、軸方向
A 距離
S 拡張方向


【特許請求の範囲】
【請求項1】
放出装置に接続するためのコネクタであって、前記放出装置は、一端に少なくとも1つの出口(4)を備え、反対側の端部に駆動手段を備える容器筐体(3)を含み、前記コネクタ(6)は、保持装置を用いて、前記少なくとも1つの出口(4)にかぶせて解除可能に取り付けることができ、前記保持装置は、前記コネクタの2つの対向する側面を手で押圧することによって解除可能であって、
前記2つの対向する側面のそれぞれにガイド面(9)が設けられ、ガイド面はそれぞれ、前記放出装置(1)の長手方向に対し斜めに、前記放出装置の方向に突出するよう方向づけられ、
保持位置にて、前記コネクタ(6)が、前記出口(4)にかぶせて前記放出装置(1)上に保持され、及び
解除位置にて、前記ガイド面(9)が、前記側面を押圧することによって互いに向かって半径方向に動かされ、前記ガイド面(9)は前記放出装置(1)の縁(15)を滑り、前記押圧力(F)が前記縁(15)上に向きを変えられ、その結果、前記コネクタ(6)が前記解除位置で前記放出装置から軸方向に離れて動かされることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記コネクタ(6)が、コネクタスリーブ(7)を含み、前記コネクタスリーブ(6)は、2つの対向する面に外周から突出するフランク(Flanke)(8)を有し、このフランクに前記ガイド面(9)が設けられることを特徴とする、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記フランク(8)が、前記コネクタスリーブ(7)の周縁を越えて突出し、長手方向軸に対し内側に向いて突出する面に前記ガイド面(9)を有することを特徴とする、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記フランクに、前記コネクタ(6)を掴むための押圧面(10)が設けられることを特徴とする、請求項2又は3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記側面(10)上に前記押圧力(F)を加える際、押圧点が、前記コネクタスリーブ(7)の周囲の外側に軸方向にずらされて位置することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項6】
前記保持装置が、前記コネクタスリーブ(7)と前記出口(4)の間の前記コネクタスリーブ(7)の対向する面に設けられ、これらの面が、前記ガイド面(9)を有する側面に対し、90°ずれていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項7】
前記保持装置が、解除可能なラッチ接続によって提供され、このラッチ接続は、少なくとも1つのラッチ突起部(5)と少なくとも1つのラッチくぼみ(11)を有し、これらがコネクタ及び出口上に、互いに対向して分配されるように配置されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項8】
前記保持位置で、前記ラッチ突起部(5)が前記ラッチくぼみ(11)に係合し、前記コネクタ(6)が前記放出装置(1)から離れて軸方向へ動くのを阻止し、前記解除位置で、前記コネクタスリーブ(7)の、前記ラッチ装置を備える2つの面が半径方向に拡張され、前記ラッチ突起部(5)が前記ラッチくぼみ(11)から解除されることを特徴とする、請求項7に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記ガイド面(9)及び前記保持装置が、少なくとも部分的に一体化されて、前記コネクタスリーブ(7)に設けられることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項10】
それぞれ出口を備える少なくとも2つの容器を備える放出装置であって、
前記容器(2)は、容器筐体(3)に収容され又は容器筐体を形成し、及び前記容器内にはそれぞれ成分が収容され、
前記出口(4)が、前記容器筐体(3)の一端に、並んで配置して設けられ、前記成分を前記出口を通して放出するための駆動手段が、反対側の端部に設けられる放出装置において、
前記放出装置が請求項1〜9のいずれかに記載のコネクタを含むことを特徴とする放出装置。
【請求項11】
前記コネクタ(6)が、保持位置で、前記出口(4)を圧嵌め(Haftsitz)にて液密に取り囲み、解除位置で、前記圧嵌めが解除されることを特徴とする、請求項10に記載の放出装置。
【請求項12】
前記コネクタ(6)の前記フランク(8)の前記押圧面(10)が、前記容器筐体(3)を越えて軸方向に突出することを特徴とする、請求項10又は11に記載の放出装置。
【請求項13】
前記コネクタ(6)が、前記保持位置で、前記容器(2)の前記出口(4)を、前記コネクタ(6)に設けられた路(12)に集めることを特徴とする、請求項10〜12のいずれかに記載の放出装置。
【請求項14】
前記コネクタが、各出口(4)のための少なくとも1つのアクセス路を有し、このアクセス路は、前記保持位置で前記出口とともに液体接続を生むことを特徴とする、請求項10〜13のいずれかに記載の放出装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【公表番号】特表2012−500753(P2012−500753A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523285(P2011−523285)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【国際出願番号】PCT/CH2009/000260
【国際公開番号】WO2010/020061
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(507123729)メッドミックス システムズ アーゲー (24)
【Fターム(参考)】