説明

放射源、リソグラフィ装置、およびデバイス製造方法

【課題】パーティクルの発生を抑制することができる放射源及びリソグラフィ装置を提供する。
【解決手段】極端紫外線放射源は、放射源材料を所定の軌道に沿ってプラズマ開始サイトへ送るように構成された放射源材料デリバリシステムを含む。放射源は、極端紫外線を放出するプラズマを生成するためにレーザビームをプラズマ開始サイトにおける放射源材料に向けるように構成されたレーザシステム、および放射源材料ターゲットデリバリシステムにより送られる放射源材料を捕捉するように構成されたキャッチも含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、放射源、リソグラフィ装置、およびデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上、通常、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。その場合、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを用いることができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、または1つ以上のダイを含む)に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像によって行われる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。
【0003】
[0003] リソグラフィは、ICおよび他のデバイスおよび/または構造の製造における重要なステップの1つとして広く認識されている。しかしながら、リソグラフィを使用して作られるフィーチャの寸法が小さくなるにつれて、リソグラフィは小型ICまたは他のデバイスおよび/または構造を製造可能にするには、より重大な要素になりつつある。
【0004】
[0004] パターン印刷の限界の理論的推定値は、式(1)に示される解像度についてのレイリー(Rayleigh)基準によって与えられることができる。
【数1】

ここで、λは、使用される放射の波長であり、NAは、パターンを印刷するのに使用される投影システムの開口数であり、kは、プロセス依存調節係数であり、レイリー定数とも呼ばれ、CDは、印刷されたフィーチャのフィーチャサイズ(またはクリティカルディメンション)である。式(1)から判断すると、フィーチャの最小印刷可能サイズの縮小が、3つの方法:露光波長λを短くすることによって、開口数NAを増加させることによって、または、kの値を減少させることによって、達成することができる、と言える。
【0005】
[0005] 露光波長を縮小するためには、したがって、最小印刷可能サイズを縮小させるためには、極端紫外線(EUV)放射源を使用することが提案されている。EUV放射は、例えば13〜14nmの範囲内である、10〜20nm範囲内の波長を有する電磁放射である。10nm未満の、例えば6.7nmまたは6.8nmなどの5〜10nmの範囲内の波長を有するEUV放射を使用することが更に提案されている。このような放射は、極端紫外線、または軟x線放射と呼ばれる。可能な放射源としては、例えば、レーザ生成プラズマ源、放電プラズマ源、または電子蓄積リングからのシンクロトロン放射に基づく放射源が挙げられる。
【0006】
[0006] EUV放射は、プラズマを使用して生成され得る。EUV放射を生成するための放射システムは、燃料を励起させプラズマを提供するためのレーザ、および、プラズマを封じ込めるための放射源コレクタモジュールを含んでよい。プラズマは、例えば、適切な材料(例えばスズ)のパーティクル、またはXeガスまたはLi蒸気など適切なガスまたは蒸気の流れなどの燃料にレーザビームを向けることにより、生成され得る。COレーザなどのレーザデバイスが、強いレーザビームを提供し得る。結果として生じるプラズマは、例えばEUV放射である出力放射を放出し、出力放射は放射コレクタを使用して集められる。放射コレクタは、ミラー法線入射放射コレクタであり、ミラー法線入射放射コレクタは放射を受け、放射をビームに集束させる。放射源コレクタモジュールは、真空環境を与えてプラズマを支援するように構成された囲い構造またはチャンバを含んでよい。このような放射システムは、通常レーザ生成プラズマ(LPP)源と呼ばれる。
【0007】
[0007] プラズマ照射中またはプラズマ照射後に、デブリがプラズマから放出されることがある。このようなデブリは、放射源を損傷してしまうことがある。例えば、このようなデブリは光学部品の表面を損傷してしまうことがある。
【0008】
[0008] 米国特許第6,377,651B号は、放射源とコレクタミラーとの間の補助電極システムを使用する水小滴ターゲットに基づくレーザ生成極端紫外線(EUV)源を開示する。コレクタミラーはプラズマにより生成されたEUV放射を集める。補助電極システムは、イオンがコレクタミラーに衝突する前に、プラズマ源からのイオンを減速させ、またその軌道を逆向きにするDC電圧をミラーに与えることにより、反発電界を生成する。
【0009】
[0009] 米国特許出願番号第2008/0283779号は、プラズマの後ろに配置された放射の法線入射のために形成されたコレクタミラーを有するプラズマ放射システムを開示する。デブリを抑制するための追加的な機械的フィン配置が、発生させられたガスカーテンと、コレクタミラーとの間に配置される。ガスカーテンは、デブリ粒子、またはガス混合物を減速させるための緩衝ガスを含み、これは、同時に放出されたEUV放射のスペクトルフィルタリングをもたらす。
【発明の概要】
【0010】
[0010] 本発明の一態様によると、軌道に沿って伝わる放射源材料を捕捉するように構成された容器と、プラズマ開始サイトの下流の軌道の一部で放射源材料の速度を低減させるように構成された減速器とを含む、プラズマ放射源が提供される。
【0011】
[0011] 本発明の一態様によると、軌道に沿って伝わる放射源材料を捕捉するように構成された容器と、プラズマ開始サイトの下流の軌道の一部で放射源材料の速度を低減させるように構成された減速器とを含む、プラズマ放射源を含む、リソグラフィ装置が提供される。
【0012】
[0012] 本発明の一態様によると、放射源材料をプラズマ開始サイトから軌道に沿って伝えるステップと、プラズマ開始サイトの下流の軌道の一部で放射源材料の速度を低減させるステップと、放射源材料を捕捉するステップとを含む、プラズマ放射源の放射源材料を捕捉する方法が提供される。この方法は、捕捉された放射源材料を、放射源材料がその中で捕捉される容器内で保持することを含む。保持することは、放射源材料を容器へ電気的に引き付けることを含んでよい。代替的にまたは追加的に、保持することは、ガス流を放射源材料の軌道に実質的に平行で、また、容器に向かう方向に供給することを含んでよい。更に、保持することは、容器内に磁界を発生させることを含むことも可能である。速度を低減させることは、プラズマ開始サイトの下流に電界を発生させることを含んでよい。
【0013】
[0013] 本発明の一態様によると、リソグラフィ装置用の放射を供給する方法が提供される。この方法は、放射源材料をプラズマ開始サイトから軌道に沿って伝えることと、プラズマ開始サイトの下流の軌道の一部で放射源材料の速度を低減させることと、放射源材料を捕捉することとを含む。この方法は、放射源材料を帯電させることと、プラズマ開始サイトを介して放射源材料を軌道に沿って送ることと、プラズマを開始するためにプラズマ開始サイトにおける放射源材料に放射を供給することと、プラズマ開始サイトから放出された放射を焦点に集束することのうちの1つ以上を更に含む。速度を低減させることは、放射源材料をプラズマ開始サイトから離れる方向において減速させることを含んでよい。
【0014】
[0014] 本発明の一態様によると、プラズマ開始サイトにおける放射源材料から放出される放射をパターニングデバイスに供給することと、基板上にパターンを転写することとを含む、デバイス製造方法が提供される。放射を供給することは、放射源材料をプラズマ開始サイトから軌道に沿って伝えることと、プラズマ開始サイトの下流の軌道の一部で放射源材料の速度を低減させることと、放射源材料を捕捉することとを含む。
【0015】
[0015] 本発明の一態様によると、極端紫外線放射源が提供される。この放射源は、放射源材料を所定の軌道に沿ってプラズマ開始サイトへ送るように構成された放射源材料ターゲットデリバリシステムと、極端紫外線を放出するプラズマを生成するためにレーザビームをプラズマ開始サイトにおける放射源材料に向けるように構成されたレーザシステムと、電界を、軌道の少なくとも一部に沿ってプラズマ開始サイトに対して下流に発生させるように構成された電圧源と、電界の少なくとも一部に対して上流の位置における放射源材料の少なくとも一部を帯電させるように構成されたチャージャと、放射源材料ターゲットデリバリシステムにより送られる放射源材料を捕捉するように構成されたキャッチとを含む。チャージャは電子銃またはイオン銃であってよい。放射源材料は、スズ、リチウム、ガドリニウム、および/またはテルビウムなど、液体金属であってよい。追加的にまたは代替的に、放射源材料はガドリニウム化合物および/またはテルビウム化合物であってよい。チャージャは、電界中のある位置における放射源材料の少なくとも一部を帯電させるように構成され得る。キャッチは、プラズマ開始サイトに対して下流に位置することが好ましい。電界の少なくとも一部が、キャッチ中に位置してよい。放射源は、通常、プラズマにより放出された放射を焦点に集束するように構成されたコレクタミラーを含んでよい。電圧源は、キャッチの少なくとも一部に放射源材料を引き付けるように構成された電位を与えるように構成されてよい。
【0016】
[0016] 本発明の一態様によると、極端紫外線放射源が提供される。この様な放射源は、例えば、リソグラフィ装置内に含まれ得る。放射源は、放射源材料を所定の軌道に沿ってプラズマ開始サイトへ送るように構成された放射源材料ターゲットデリバリシステムと、極端紫外線を放出するプラズマを生成するためにレーザビームをプラズマ開始サイトにおける放射源材料に向けるように構成されたレーザシステムと、放射源材料ターゲットデリバリシステムにより送られる放射源材料を捕捉するように構成されたキャッチとを含み、キャッチは放射源材料を集めるように構成されたコンテナを含み、コンテナは1つ以上のインレットを備え、1つ以上のインレットはキャッチの部分的に内部で軌道の実質的に上流方向にガス流を、また、キャッチの部分的に内部で軌道の実質的に下流方向にガス流を供給するように構成されている。ガス流は、水素ガス流、アルゴンガス流、およびヘリウムガス流、またはその組み合わせであってよい。1つ以上のインレットは、複数のインレットであってよく、各インレットは流れを供給するように構成され、これらの流れは、軌道の実質的に上流方向におけるガス流を、また、軌道の実質的に下流方向におけるガス流を形成するために1つ以上の他のガス流と相互に作用する。キャッチは、軌道の実質的に下流方向においてガス流を排気するように構成されたアウトレットを備え得る。
【0017】
[0017] 本発明の一態様によると、極端紫外線を発生させるように構成された極端紫外線放射源を含むリソグラフィ投影装置が提供される。放射源は、放射源材料を所定の軌道に沿ってプラズマ開始サイトへ送るように構成された放射源材料ターゲットデリバリシステムと、極端紫外線を放出するプラズマを生成するためにレーザビームをプラズマ開始サイトにおける放射源材料に向けるように構成されたレーザシステムと、電界を、軌道の少なくとも一部に沿ってプラズマ開始サイトに対して下流に発生させるように構成された電圧源と、電界の少なくとも一部に対して上流の位置における放射源材料の少なくとも一部を帯電させるように構成されたチャージャと、放射源材料ターゲットデリバリシステムにより送られる放射源材料を捕捉するように構成されたキャッチとを含む。このリソグラフィ投影装置は、パターニングデバイスを支持するように構成されたサポートも含んでよく、パターニングデバイスは極端紫外線にパターンを付け、パターン付き放射ビームを形成するように構成されている。投影システムは、基板上にパターン付き放射ビームを投影するように構成されている。
【0018】
[0018] 本発明の更なる態様によると、極端紫外線を発生させるように構成された極端紫外線放射源を含むリソグラフィ投影装置が提供される。極端紫外線放射源は、放射源材料を所定の軌道に沿ってプラズマ開始サイトへ送るように構成された放射源材料ターゲットデリバリシステムと、極端紫外線を放出するプラズマを生成するためにレーザビームをプラズマ開始サイトにおける放射源材料に向けるように構成されたレーザシステムと、放射源材料ターゲットデリバリシステムにより送られる放射源材料を捕捉するように構成された捕捉デバイスとを含み、キャッチは放射源材料を集めるように構成されたコンテナを含み、コンテナは1つ以上のインレットを備え、1つ以上のインレットはキャッチの部分的に内部で軌道の実質的に上流方向にガス流を、また、キャッチの部分的に内部で軌道の実質的に下流方向にガス流を供給するように構成されている。このリソグラフィ投影装置は、パターニングデバイスを支持するように構成されたサポートも含んでよく、パターニングデバイスは極端紫外線にパターンを付け、パターン付き放射ビームを形成するように構成されている。投影システムは、基板上にパターン付き放射ビームを投影するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
[0019] 本発明のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の概略図を参照して以下に説明する。これらの図面において同じ参照符号は対応する部分を示す。
【図1】[0020] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を示す。
【図2】[0021] 図2は、図1の装置のより詳細な図を示す。
【図3】[0022] 図3は、図2のリソグラフィ装置の放射源を示す。
【図4】[0023] 図4は、図3の放射源の捕捉デバイスを示す。
【図5】[0024] 図5は、図4の捕捉デバイスの変形を示す。
【図6】[0025] 図6は、図3の放射源の捕捉デバイスの一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[0026] 図1は、本発明の一実施形態による放射源コレクタモジュールSOを含むリソグラフィ装置1を概略的に示している。このリソグラフィ装置は、放射ビームB(例えばEUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスクまたはレチクル)MAを支持するように構成され、かつパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに連結されているサポート構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、かつ基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに連結されている基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成されている投影システム(例えば反射投影システム)PSとを含む。
【0021】
[0027] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、または制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せ等の様々なタイプの光コンポーネントを含むことができる。
【0022】
[0028] サポート構造MTは、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否か等の他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスMAを保持する。サポート構造は、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポート構造は、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。
【0023】
[0029] 「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。放射ビームに付与されたパターンは、例えば、集積回路等のターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応することになる。
【0024】
[0030] パターニングデバイスは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レベンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフト等のマスク型、ならびに様々なハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。
【0025】
[0031] 投影システムは、照明システムと同様に、使われている露光放射に、または真空の使用といった他の要因に適切な、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、および静電型光コンポーネント、またはそれらのあらゆる組合せを含む様々な型の光コンポーネントを含んでよい。他のガスは放射を過度に吸収するため、EUV放射に対して真空が使用されることが望まれる。従って、真空環境が、真空壁および真空ポンプを使ってビーム経路全体に与えられ得る。
【0026】
[0032] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば、反射型マスクを採用しているもの)である。
【0027】
[0033] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルは並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
【0028】
[0034] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射源コレクタモジュールSOから極端紫外線ビームを受ける。EUV光を生成する方法は、材料を、キセノン、リチウム、またはスズなどの少なくとも1つの元素を有して、EUV範囲内の1つ以上の放出ラインを有するプラズマ状態へ変換することを含むが、必ずしもこれに限定されない。1つのこのような方法においては、多くの場合レーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれるプラズマは、必要なライン放出元素を有する材料の小滴、流れ、またはクラスターなどの燃料を、レーザビームを使用して照射することにより生成することができる。放射源コレクタモジュールSOは、図1では示されていない、燃料を励起するレーザビームを与えるためのレーザを含むEUV放射システムの一部であり得る。結果として生じるプラズマは、EUV放射など出力放射を放出し、出力放射は放射源コレクタモジュール内に配置された放射コレクタを使用して集められる。例えば、COレーザが燃料励起のためのレーザビームを与えるために使用される場合、レーザと放射源コレクタモジュールは、別個の構成要素であってよい。
【0029】
[0035] このような場合、レーザはリソグラフィ装置の一部を形成するとはみなされず、放射ビームはレーザから放射源コレクタモジュールへ、例えば適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムを使って送られる。その他の場合、例えば放射源がDPP源と呼ばれる、放電生成プラズマEUVジェネレータである場合、放射源は、放射源コレクタモジュールの一部であってよい。
【0030】
[0036] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するアジャスタを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。更に、イルミネータILは、ファセットフィールドおよび瞳ミラーデバイスといった様々な他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。
【0031】
[0037] 放射ビームBは、サポート構造(例えばマスクテーブル)MT上に保持されているパターニングデバイス(例えばマスク)MA上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAにより反射された後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームの焦点を基板Wのターゲット部分C上に合わせる。第2ポジショナPWおよび位置センサPS2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センPS1を使い、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。パターニングデバイス(例えばマスク)MAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2と、基板アライメントマークP1、P2とを使って、位置合わせされてもよい。
【0032】
[0038] 例示の装置は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
1)ステップモードにおいては、サポート構造(例えばマスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。
2)スキャンモードにおいては、サポート構造(例えばマスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。サポート構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。
3)別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、サポート構造(例えばマスクテーブル)MTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、更にプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0033】
[0039] 上述の使用モードの組合せおよび/もしくはバリエーション、または完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0034】
[0040] 図2は、放射システム42、照明システム44、および投影システムPSを含むリソグラフィ投影装置1をより詳細に示す。放射システム42は放射源チャンバ49を含む。放射源により放出された放射は、プラズマ46により放出された放射を焦点に集束するように構成されたコレクタミラー47で反射し、焦点は、この実施形態においては、いわゆる中間焦点と一致する。この実施形態においては、放射はかすめ入射ミラー51を介して焦点に集束する。放射源チャンバ49は、汚染物質バリア(図では図示せず)を更に含んでもよい。汚染物質バリアは、ガスバリア、またはガスバリアとチャネル構造との組み合わせを含んでよい。
【0035】
[0041] 放射源チャンバ49から、放射ビーム53が照明システム44内で法線入射リフレクタ55、57を介して、パターニングデバイスサポートMT(例えばレチクルまたはマスクテーブル)上に位置決めされたパターニングデバイスMA(例えばレチクルまたはマスク)上に反射する。パターン付きビーム59が形成され、このビームは、投影システムPS内で反射要素61、63を介して基板テーブルWT上に結像される。図示されるよりも多くの要素が、照明システム44および投影システムPS内に通常存在し得る。かすめ入射ミラー51は、リソグラフィ装置の型によって任意選択的に存在してよい。かすめ入射ミラー51は、格子スペクトルフィルタであってよい。更に、図において示されるよりも多くのミラーが存在してよく、例えば、反射要素61、63以外に1個、2個、3個、4個、または更に多くの反射要素が存在してよい。
【0036】
[0042] 格子スペクトルフィルタの代わりに、または、格子スペクトルフィルタに加えて、図2において概略的に示されるように、EUVを透過し、かつUV放射をあまり透過しないかまたはUV放射を実質的に吸収さえする透過型光学フィルタを利用してもよい。したがって、「格子スペクトル純度フィルタ」は、本明細書中で「スペクトル純度フィルタ」として更に示され、「スペクトル純度フィルタ」は格子、または、透過型フィルタを含む。図2においては示されていないが、任意選択の光学素子として、照明システム44および/または投影システムPS内の光学EUV透過型フィルタが含まれてよい。
【0037】
[0043] 図2において示される全ての光学素子(およびこの実施形態の概略図においては示されない光学素子)は、Snなどの(例えば放射源SOにより生成された)汚染物質の堆積による損傷を受けやすい。これは、放射コレクタ47および、存在する場合はスペクトル純度フィルタに当てはまる。
【0038】
[0044] 図3を参照すると、本発明の一実施形態によるEUV放射源20、例えばレーザ生成プラズマであるEUV放射源の概略図が示される。図3において示され、かつ以下に更に詳しく記載されるように、LPP放射源20は一連の光パルスを発生させ、かつ光パルスをチャンバ49中へ送るためのレーザシステム22を含んでよい。以下に詳しく述べられるように、各光パルスはレーザシステム22からのビーム経路に沿って進行し、チャンバ49へ入り、プラズマ開始サイト46において各ターゲット小滴を照明し得る。
【0039】
[0045] 図3において示されるシステム22内での使用に適切なレーザは、例えばDCまたはRF励起を使用して、9.3μmまたは10.61μmの放射を生成し、例えば10kW以上の比較的高い電力で、かつ例えば50kHz以上の高いパルス繰り返し率で動作するパルスガス放電COレーザデバイスなどのパルスレーザデバイスを含み得る。一実施形態においては、レーザは、多段増幅を有するマスターオシレータパワーアンプ(MOPA)構造を有し、かつ例えば100kHzの動作が可能な、低エネルギーおよび高い繰り返し率でQスイッチマスターアンプ(MO)により開始されるシードパルスを有する、軸流RF励起COであり得る。MOから、LPPチャンバに入る前に、レーザパルスは増幅、整形、および集束され得る。連続励起CO増幅器をレーザシステム22に使用してもよい。一実施形態においては、レーザはいわゆる「自動ターゲッティング」レーザシステムとして構成されてもよく、この「自動ターゲッティング」レーザシステムでは、小滴は光キャビティの1つのミラーとして役割を果たす。一部の「自動ターゲッティング」型配置においては、マスターオシレータが使用されなくてもよい。
【0040】
[0046] 用途によっては、高い電力かつ高いパルス繰り返し率で動作するエキシマまたは分子状フッ素レーザなどの他の型のレーザも適切であり得る。適切な例としては、例えばファイバまたはディスク形状の活性媒体を有する固体レーザ、オシレータチャンバおよび1つ以上の増幅チャンバ(増幅チャンバは並列、または直列にされる)などの1つ以上のチャンバを有するエキシマレーザなどのMOPA構造のエキシマレーザシステム、マスターオシレータ/パワーオシレータ(MOPO)配置、パワーオシレータ/パワーアンプ(POPA)配置、または1つ以上のエキシマまたは分子状フッ素アンプまたはオシレータチャンバにシードする固体レーザが挙げられうる。他の設計も可能である。
【0041】
[0047] 図3において更に示されるように、EUV放射源20は、例えば放射源材料の小滴をチャンバ49の内部のプラズマ開始サイト46へ送る放射源材料ターゲットデリバリシステム48を更に含んでよく、プラズマ開始サイト46では小滴は、1つ以上のプレパルスおよびその後の1つ以上のメインパルスなどの1つ以上の光パルスと相互に作用し、最終的にプラズマを生成し、EUV放出を発生させる。ターゲット材料は、スズ、リチウム、キセノンまたはそれらの組み合わせを含む材料を含み得るが、これに必ずしも限定されない。例えばスズ、リチウム、キセノン等のEUV放出元素は、液体小滴および/または液体小滴内に含まれる固体小滴の形をとり得る。例えば、スズ元素は、純スズとして、例えばSnBr、SnBr、SnHのスズ化合物として、例えばスズ−ガリウム合金、スズ−インジウム合金、スズ−インジウム−ガリウム合金のスズ合金として、またはこれらの組み合わせで使用され得る。あるいは、リチウム、ガドリニウム、および/またはテルビウムを、放射源材料として、その材料だけで、または、化合物、合金、もしくはそれらの混合物の形で、望ましくは液体金属として使用してよい。使用された材料により、ターゲット材料は、室温または室温に近い温度を含む様々な温度で(例えばスズ合金、SnBrの場合)、昇温で(例えば純スズの場合)、または室温より低い温度で(例えばSnHの場合)照射領域46へ与えられてよく、一部の場合では、例えばSnBrであるターゲット材料は比較的揮発しやすい。
【0042】
[0048] 引き続き図3を参照すると、EUV放射源20は、例えばモリデブンおよびシリコンの交互層を有する傾斜(graded)多層コーティングを有する、例えば切頂楕円形をしたコレクタミラーである光学部品47も含み得る。図3は、光学部品47にはアパーチャが形成されて、システム22により発生された光パルスを通過させ、プラズマ開始サイト46に到達させ得ることを示す。図示されるように、光学部品47は、プラズマ開始サイト46の中またはプラズマ開始サイト46近くに第1の焦点、および、いわゆる中間領域40に第2の焦点を有する楕円形ミラーであってよく、この中間領域40において、EUV放射はEUV放射源20から出力され、図1において示されるリソグラフィ装置1などの例えば集積回路リソグラフィツールであるEUV光を利用するデバイスへと入力され得る。他の光学部品を楕円ミラーの代わりに使用して、EUV光を利用するデバイスへ続けて送るために光を集め、それを中間位置へ向けてよいことは理解されるべきである。例えば、光学部品は放物線状であるか、またはリング形状の断面を有するビームを中間位置へ送るように構成されてよい。
【0043】
[0049] EUV放射源20は、EUVコントローラ60を更に含んでよく、EUVコントローラ60は、レーザシステム22内の1つ以上のランプおよび/またはレーザデバイスをトリガし、それによりチャンバ49内へ送るための光パルスを発生させるための発火制御システム65を更に含んでよい。EUV放射源20は、小滴位置検出システムを更に含んでよく、小滴位置検出システムは、例えばプラズマ開始サイト46に対する1つ以上の小滴の位置を示す出力を供給する1つ以上の小滴イメージャ70を含んでよい。イメージャ70は、この出力を小滴位置検出フィードバックシステム62に供給し、小滴位置検出フィードバックシステム62は、例えば小滴位置および軌道Tを計算することができ、小滴位置および軌道Tから例えば小滴毎のまたは平均の小滴エラーを計算することができる。そして、小滴エラーは、コントローラ60への入力として供給されてよく、コントローラ60は、例えば位置、方向、および/またはタイミング補正信号をレーザシステム22に供給して、放射源タイミング回路を制御し、および/またはビーム位置および整形システムを制御し、それにより例えばチャンバ49内のプラズマ開始サイト46へ送られる光パルスの位置および/または集光力を変更する。
【0044】
[0050] EUV放射源20は、放射源20により発生されたEUV放射の様々な特性を測定するための1つ以上のEUVメトロロジ器具を含んでよい。これらの特性には、例えば、強度(例えば全強度、または特定のスペクトル帯における強度)、スペクトル帯域幅、偏光、ビーム位置、ポインティングなどが含まれ得る。EUV放射源20に関して、EUVメトロロジ器具は、例えばフォトリソグラフィスキャナである下流ツールが、例えばピックオフミラーを使用して例えばEUV出力の一部をサンプリングする、または「集められていない」EUV放射をサンプリングすることによってオンラインである間に動作するように構成されてよく、および/または、例えばフォトリソグラフィスキャナである下流ツールが、例えばEUV放射源20の全EUV出力を測定することによってオフラインである間に動作してもよい。
【0045】
[0051] 図3において更に示されるように、EUV放射源20は小滴制御システム90を含んでよく、小滴制御システム90は、コントローラ60からの(いくつかの実施では、上述される小滴エラー、またはそこから得られる量を含み得る)信号に応じて動作可能であり、それにより例えば小滴源92からのターゲット材料の放出ポイントを変更する、および/または、小滴形成タイミングを変更して、所望のプラズマ開始サイト46に到達する小滴内のエラーを補正し、および/または、小滴の発生をパルスレーザシステム22と同期させる。
【0046】
[0052] 上述されるように、デブリがプラズマ照射中またはプラズマ照射後にプラズマから放出されることがある。このようなデブリは、放射源を損傷してしまうことがある。例えば、このようなデブリは光学部品の表面を損傷してしまうことがある。デブリが放射源を損傷することを防ぐために、プラズマ照射後に放射源材料のパーティクルを捕捉するためのデバイスが提案されている。しかし、捕捉デバイスの内部での跳ね返りにより、小滴捕捉デバイスから漏れる大量の二次パーティクルがなお発生し得る。捕捉デバイスの壁との相互作用後、または捕捉デバイス内に含まれる放射源材料との相互作用後、パーティクルの小さい破片が、放射源の放射源チャンバ内へ再び入ることがある。このような破片は、放射源材料そのものか、またはその派生物であり得る。例えば、放射源材料がスズである場合、SnHなどの化合物が捕捉デバイスから漏出し得る。パーティクルクラウドは放射源真空チャンバを汚染してしまうことがある。
【0047】
[0053] 図4および図5を参照すると、プラズマ放射源20は、軌道に沿って伝わる放射源材料を捕捉するように構成された容器95を含む。容器95は、捕捉デバイス、またはキャッチ94の一部である。キャッチ94は、プラズマ開始サイト46に対して下流の位置に位置決めされている。キャッチ94は、放射源材料ターゲットデリバリシステムにより送られた放射源材料を捕捉するように構成されている。容器またはコンテナ95は開口97を有する。
【0048】
[0054] 小滴は必ずしも垂直に進行するのではなく、例えば平行に進行してもよい。小滴は開始速度を有し得る。小滴は、放射源材料ターゲットシステムから排出される。つまり、大きいコンテナ内で、放射源材料(例えばスズ)は熱せられ、例えば8−20×10Paである大きな圧力下に置かれる。コンテナは、ピエゾトランスデューサ(PZT)が備えられた小さいオリフィスも含み得る。小さいジェットがこのオリフィスを介して「漏出し」、PZTにより変調される。このようにして、ジェットは形状が変調され、表面張力のため小さい小滴へと分裂する。例えばリザーバ内部の圧力を調節することにより、小滴速度を操作することができる。ピエゾトランスデューサの代替案として、磁歪素子、または電歪素子を使用してもよい。
【0049】
[0055] 放射源20は、プラズマ開始サイト46の下流の軌道の一部で放射源材料の速度を低減させるように構成された減速器も含む。減速器は、容器95に向かう放射源材料の速度を低減させる。減速器の機能は、放射源材料のパーティクルまたは小滴を、減速器がない場合よりも低い対地速度で、または異なる衝突角度で容器95内に着地するようにすることである。
【0050】
[0056] 本発明によると、放射源材料は、所定の軌道Tに沿ってプラズマ開始サイト46から伝えられる。容器95に向かう放射源材料の速度は、プラズマ開始サイト46の下流の所定の軌道Tの一部で低減する。そして、放射源材料は捕捉される。
【0051】
[0057] 従って、コンテナ95に衝突する放射源材料により生成されるデブリの量、またはコンテナ95中に堆積する材料の量は、低減する。これは、容器に向かう速度が低減する場合、コンテナ95に放射源材料が衝突することにより生成される派生デブリが少なくなるためである。したがって、コンテナ95から漏れる、損傷を引き起こしうるデブリは少なくなる。そして、これにより放射源真空チャンバの汚染、および光学部品の損傷が低減する。
【0052】
[0058] 一実施形態において、放射源20は、容器95内に放射源材料を保持するように構成されたトラップも更に含む。捕捉された放射源材料は、放射源材料がその中で捕捉される容器95内で保持される。
【0053】
[0059] デブリが生成されると、トラップは容器95から漏れるデブリの量を低減する。従って、漏出したデブリにより引き起こされるあらゆる損傷または汚染が低減する。
【0054】
[0060] 一実施形態において、減速器は、プラズマ開始サイトの下流に電界を発生させるように構成された電界ジェネレータを含む。さらに、トラップは、帯電されて、逆帯電された放射源材料を引き付けるように構成された容器の表面の一部を含んでよい。
【0055】
[0061] 電界ジェネレータは、プレートおよび電圧源を含んでよい。プレート100は、導電面、および、放射源材料がその中を通って進行し得る穴102を有する。電圧源98はプレートと捕捉デバイスとの間に電位差を印加するように構成されている。
【0056】
[0062] プレートは、放射源材料のパーティクルを減速させるための適切な電極の一例にすぎない。他の型の電極も適切であり得る。プレート100は、比較的単純な設計であるという利点を有し得る。
【0057】
[0063] 図4および図5において示される実施形態では、電圧源98は、開口102を有するプレート100に、捕捉デバイス94の電位に対して負電位を与えるように構成されている。したがって、開始サイト46に対して下流に電界が、軌道Tの少なくとも一部に沿って発生される。さらに、電界は捕捉デバイス94中に部分的に位置する。
【0058】
[0064] プレート100は、負に帯電されている放射源材料のパーティクルを跳ね返しかつ減速するように構成される。プレートとパーティクルとの相互作用の結果、パーティクルは、捕捉デバイス94に入る際には少ない運動エネルギーを有する。捕捉デバイス94は、負に帯電された放射源材料のパーティクルを引き付けるように構成されている。あるいは、放射源材料のパーティクルが正に帯電される場合には、プレートには正電位が与えられ、捕捉デバイス94には負電位が与えられることは、当然容易に理解されよう。プレート100および捕捉デバイス94の電位の極性は、放射源材料のパーティクルの電荷に応じて選択される。
【0059】
[0065] 図4および図5において示されるように、放射源は充電デバイス96を含んでよく、充電デバイス96はチャージャとも呼ばれ、また、一実施形態においては電子銃であってよい。チャージャ96は、電界の少なくとも一部に対して上流の位置において放射源材料の少なくとも一部を帯電させるように構成されている。
【0060】
[0066] 図4においては、電子銃は、電界に対して上流の位置において放射源材料の少なくとも前記一部を帯電させるように構成されている。図5においては、電子銃は、電界内の位置において放射源材料の少なくとも前記一部を帯電させるように構成されている。図4および図5を参照する際に電子銃が言及されているが、例えばイオン銃も充電デバイス96として利用するのに適切であり得ることは、当業者には理解されよう。
【0061】
[0067] 電圧源98は、捕捉デバイス94に、放射源材料を引き付けるように構成された電位を与えるように構成されている。当業者により容易に理解されるように、これは、放射源材料が正に帯電されているか、または負に帯電されているかということに当然密接に関連する。
【0062】
[0068] 放射源材料の全ての小滴が同じ電磁力を受けるように、電極(例えばプレート100)および捕捉デバイス94に印加される電圧は、静的(つまりDC)であってよい。あるいは、放射源材料の各小滴に適用される速度変化が、その小滴に合わせられるように、印加される電圧は動的であってもよい。この場合、印加される電圧は可変である。放射源は、パーティクルとその特性(例えば速度、位置、タイミング等)を検出するように構成されたディテクタ70、および、ディテクタ70の出力に応じてチャージャ96の出力を調節するように構成されたコントローラ60を含む。
【0063】
[0069] 放射源材料がガス雰囲気を介して進行するように放射源チャンバがガスを含む場合、電気陰性度値が低い、または、電子を吸引する傾向が低いガスを使用することが望ましい。望ましくは、放射源チャンバ中の圧力は、50〜200Paの範囲内、より望ましくは70〜110Paの範囲内、およびより望ましくは約100Paである。
【0064】
[0070] 一実施形態においては、小滴ジェネレータ、電極100、および捕捉デバイス94はカプセル封入され、排気されて、所望の真空圧力を生成する。真空圧力を使用することの1つの潜在的な利点は、パッシェン(Paschen)効果による放電のリスクを低減させ得ることである。
【0065】
[0071] 一実施形態においては、電子銃および捕捉デバイス94は、所望の圧力に排気された密封容器内に封入される。この実施形態においては、容器内部で、高い電気陰性度を有するガスを使用すること、および(例えば図5において示されるように)捕捉デバイス内部で放射源材料のパーティクルを帯電させることが可能である。
【0066】
[0072] 上述されるように電界を印加することにより、捕捉デバイス94に入る放射源材料のあらゆる跳ね返りは、放射源材料とプレート100との間の電磁反発により引き起こされる放射源材料の速度の低減によって著しく少なくなることになる。
【0067】
[0073] 放射源材料小滴が、例えば約5kVの電位を得るように、チャージャは電荷を供給し得る。各小滴の電気容量は、小滴半径の関数であり、次の式(2)に表される。
【数2】

また、小滴は、上述されたようにQ=CVの電荷を得る。放射源材料小滴は、約20〜30μmの範囲内の直径を有し得る。それよりも大きいまたは小さい小滴も使用してよい。これらの値で、プレートが約10kVの電位に帯電されている場合、プレート100からの反発により小滴を止め、かつ跳ねつけることができる。
【0068】
[0074] 一実施形態においては、放射源材料を帯電させるための第2チャージャがある。このような実施形態においては、各小滴が特定の電荷を有しうるようにチャージャを制御するように構成された制御システムが提供される。従って、各小滴は、異なる量で減速され、捕捉デバイス94に引き付けられ得る。
【0069】
[0075] 一実施形態においては、追加的にまたは代替的に、帯電されたパーティクルの捕捉および/または操作のために磁界が使用されてもよい。特に、トラップは容器中に磁界を発生させるように構成された磁界ジェネレータを含んでよい。減速器は、プラズマ開始サイトの下流に磁界を発生させるように構成された磁界ジェネレータを含んでよい。
【0070】
[0076] トラップおよび/または減速器に対して、小滴の移動方向に垂直な成分を含む方向に磁界(B-field)が印加され得る。帯電されたパーティクルがこの磁界中へ移動する場合、パーティクルは円軌道をたどるようにされる。磁力は、パーティクルの速度に垂直であり、求心力を与える。
【0071】
[0077] 結果として生じるパーティクル軌道の円成分は、容器内での小滴の衝突位置および衝突角度を変化させる。特に、衝突角度は、そうでないときよりも浅くなり得る。パーティクルの速度ベクトルの大きさは、磁界により影響を受けない。これは、パーティクルと磁界との相互作用により生成された力が、パーティクルの動きに垂直な方向に作用するためである。従って、磁界は何も仕事せず、パーティクルのエネルギーに影響を与えない。しかし、磁界により、容器に向かうパーティクルの速度が低減することになる。これは、パーティクルの方向を変え、容器に向かう速度成分を減少させ、かつそれに応じてパーティクルの速度の垂直成分を増加させることが関連する。つまり、磁界は容器95に向かう放射源材料の速度を低減させるように構成されている。これにより、容器から出るのに十分な速度を持つ派生デブリが、容器から外へ跳ね返る可能性が低減する。
【0072】
[0078] 加えて、容器95内の衝突位置から外へ跳ね返る、帯電された小滴も、同様に影響を受けることになる。従って、磁界はトラップとしても効果的である。
【0073】
[0079] 一実施形態においては、磁界はパーティクルの初期軌道に垂直であってよい。一実施形態において、磁界ジェネレータは電磁石を含む。一実施形態において、磁界ジェネレータは永久磁石を含んでよい。
【0074】
[0080] 図6に、本発明の一実施形態が示される。EUV源のこの実施形態は、図3、図4および図5を参照して開示された実施形態に類似している。しかし、図3〜図5において示される実施形態の充電デバイス94、および、電圧源98は省略されている。この実施形態において、トラップは、ガス流を放射源材料の軌道に実質的に平行で、また、容器95に向かう方向に供給するように構成されたガス流源を含む。これにより、容器95内に着地した放射源材料が容器95から漏れることを防ぎ得る。
【0075】
[0081] 追加的にまたは代替的に、減速器は、ガス流を放射源材料の軌道に実質的に平行な方向に供給するように構成されたガス流源を含む。
【0076】
[0082] 一実施形態においては、捕捉デバイスコンテナ95は、1つ以上のインレット104を備え得る。各インレット104は、ガス流を供給し、これらガス流106は、軌道Tの実質的に上流方向にガス流108を、および/または、軌道Tの実質的に下流方向にガス流110を形成するために、互いに作用する。ガス流106、108、110は、水素、ヘリウム、および/またはアルゴンなどのガスを含んでよい。
【0077】
[0083] 一実施形態においては、捕捉デバイスは、軌道Tの実質的に下流方向においてガス流110を排気するように構成されたアウトレット112を備える。アウトレット112は、例えば真空ポンプ(図では図示せず)であるポンプと流体接続することができる。より均一な流れ110を維持するために、捕捉デバイスコンテナ95に対して適切な位置に位置する複数のこのようなアウトレット、および他のアウトレットを備えることは有利であり得る。
【0078】
[0084] 図6から分かるように、軌道Tの実質的に下流方向にあるガス流110は、到来する放射源材料により発生し得る跳ね返りを好都合に抑える。この様にして、放射源チャンバ49中へ戻る放射源材料のあらゆる跳ね返りが防がれる、または、少なくとも制限される。具体的には、容器95から離れるガス流は、容器95内の放射源材料のパーティクルの衝突速度を低減させ、また、容器へ向かうガス流は、跳ね返りパーティクルが容器95から出ることを防ぐように機能し得る。
【0079】
[0085] 図6において示されるように、複数のインレットがコンテナ95の上端に対する距離L1、およびコンテナ95の衝突面116に対する距離L2に備えられてよい。望ましくは、L1は300〜700mmの範囲内、より望ましくは400〜600mmの範囲内、より望ましくは450〜550mmの範囲内、およびより望ましくは約500mmである。距離L2はL1より小さいことが望ましい。これは、下向きのガス流によって小滴が容器95の底へ向けて加速される時間量を低減させるためである。望ましくは、L2は100〜300mmの範囲内、より望ましくは150〜250mmの範囲内、およびより望ましくは約200mmである。
【0080】
[0086] 容器95の底へ向かうガス流の流速は、容器から離れるガス流の流速ほど高くないことが望ましい。これは、容器95の底にまだ到達していない、底に向かう小滴の加速を最小限にすることが望まれるからである。望ましくは、容器の底から離れるガス流の流速は、室温で1×10−4〜2×10−4−1の範囲である。
【0081】
[0087] コンテナ95の上部開口97は、直径Dを有する。直径Dは、望ましくは10〜20mmの範囲内、より望ましくは15〜20mmの範囲内、およびより望ましくは約16mmである。
【0082】
[0088] 到来する放射源材料は約20〜30μmの直径を有する小滴を含むことが望ましい。しかし、これよりも大きいまたは小さい小滴も使用してもよい。小滴は、容器95の底に到達する直前に約30〜50ms−1の速度を有し得る。これよりも高いまたは低い速度も可能である。
【0083】
[0089] 小滴を捕捉するおよび/または付勢するためのガス流、電界、および磁界の使用は、本発明の実施形態において組み合わせられてよい。例えば、これらの技術のうち1つ以上を小滴を捕捉するために使用して、また、これらの技術のうち別の1つ以上を同じ実施形態において小滴を付勢するために使用してよい。
【0084】
[0090] 本発明による放射源材料を捕捉するための装置および方法の様々な実施形態は、例えばEUV放射である放射を供給するための装置および方法の一部であってよい。この様な放射源は、リソグラフィ装置の一部であってよい。本発明の実施形態は、放射を供給することが関連するデバイス製造方法に適用されてもよく、供給することは本発明の装置および/または方法を使用してプラズマ放射源材料を捕捉することが関連する。
【0085】
[0091] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0086】
[0092] 光リソグラフィの関連での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、当然のことながら、本発明は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィに使われてもよく、さらに状況が許すのであれば、光リソグラフィに限定されることはない。インプリントリソグラフィにおいては、パターニングデバイス内のトポグラフィによって、基板上に創出されるパターンが定義される。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層の中にプレス加工され、基板上では、電磁放射、熱、圧力、またはそれらの組合せによってレジストは硬化される。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残してレジストの外へ移動される。
【0087】
[0093] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、および静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つまたはこれらの組合せを指すことができる。
【0088】
[0094] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。例えば、本発明は、上記に開示した方法を表す1つ以上の機械読取可能命令のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形態、またはこのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスクまたは光ディスク)の形態であってもよい。上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道に沿って伝わる放射源材料を捕捉する容器と、
プラズマ開始サイトの下流の前記軌道の一部で前記放射源材料の速度を低減させる減速器と、
を含む、プラズマ放射源。
【請求項2】
前記容器内に前記放射源材料を保持するトラップを更に含む、請求項1に記載の放射源。
【請求項3】
前記トラップは、帯電されて、逆帯電された前記放射源材料を引き付ける前記容器の表面の一部を含む、請求項2に記載の放射源。
【請求項4】
前記トラップは、ガス流を前記放射源材料の前記軌道に実質的に平行で、かつ、前記容器に向かう方向に供給するガス流源を含む、請求項2または3に記載の放射源。
【請求項5】
前記トラップは、前記容器において前記放射源材料の方向を変えるための磁界を発生させる磁界ジェネレータを含む、請求項2から4のいずれか1項に記載の放射源。
【請求項6】
前記減速器は、前記プラズマ開始サイトの下流に電界を発生させる電界ジェネレータを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の放射源。
【請求項7】
前記電界ジェネレータは、導電面、および、前記放射源材料がその中を通って進行し得る穴を有するプレートと、
前記プレートと前記容器との間に電位差を印加する電圧源と、を含む、請求項6に記載の放射源。
【請求項8】
前記減速器は、ガス流を前記放射源材料の前記軌道に実質的に平行な方向に供給するガス流源を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の放射源。
【請求項9】
前記減速器は、前記プラズマ開始サイトの下流に前記放射源材料の方向を変えるための磁界を発生させる磁界ジェネレータを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の放射源。
【請求項10】
前記放射源材料を帯電させるチャージャと、
前記プラズマ開始サイトを介して前記放射源材料を前記軌道に沿ってキャッチの前記容器へ送る放射源材料デリバリシステムと、
前記プラズマ開始サイトにおける前記放射源材料に放射を供給し、それによりプラズマを開始させるプラズマイニシエータと、
前記プラズマ開始サイトから放出された放射を焦点に集束させるコレクタミラーのうちの1つ以上を更に含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の放射源。
【請求項11】
前記減速器は、前記放射源材料を前記プラズマ開始サイトから前記容器への方向において減速させる、先行する請求項のいずれか1項に記載の放射源。
【請求項12】
プラズマ放射源を含むリソグラフィ装置であって、
前記放射源は、
軌道に沿って伝わる放射源材料を捕捉する容器と、
プラズマ開始サイトの下流の前記軌道の一部で前記放射源材料の速度を低減させる減速器と、
を含む、リソグラフィ装置。
【請求項13】
プラズマ放射源の放射源材料を捕捉する方法であって、
前記放射源材料をプラズマ開始サイトから軌道に沿って伝えることと、
前記プラズマ開始サイトの下流の前記軌道の一部で前記放射源材料の速度を低減させることと、
前記放射源材料を捕捉することと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記速度を低減させることは、ガス流を前記放射源材料の前記軌道に実質的に平行で、また、前記容器から離れる方向に供給することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記速度を低減させることは、前記プラズマ開始サイトの下流に磁界を発生させることを含む、請求項13または14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−212685(P2010−212685A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−47217(P2010−47217)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】