放射線撮影装置及び放射線発生手段用保護カバー
【課題】被検者がX線発生器の突起部分に直接接触することを防止する。
【解決手段】X線検出器12は、操作部22による操作が可能なように外周が保護カバー19によって覆われている。保護カバー19は、撮影時に被検者に最も接近し、突起部分を有するX線絞り器21が被検者に直接接触しないように保護面32bで覆っている。保護面32bは、X線管保持部25を中心にしてX線発生器12がX軸回りで回転する際のX線絞り器21の回転軌跡に沿った円弧形状をしているので、X線発生器12の回転によって被検者に近づくことがない。
【解決手段】X線検出器12は、操作部22による操作が可能なように外周が保護カバー19によって覆われている。保護カバー19は、撮影時に被検者に最も接近し、突起部分を有するX線絞り器21が被検者に直接接触しないように保護面32bで覆っている。保護面32bは、X線管保持部25を中心にしてX線発生器12がX軸回りで回転する際のX線絞り器21の回転軌跡に沿った円弧形状をしているので、X線発生器12の回転によって被検者に近づくことがない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者に放射線を照射する放射線発生手段を備えた放射線撮影装置と、放射線発生手段用保護カバーとに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる一般X線撮影装置による従来のX線撮影では、撮影技師がX線撮影室内でX線発生器とX線検出器とを被検者の撮影部位に移動させ、X線撮影室外から撮影操作を行うマニュアル撮影が主であった。これに対し、近年の自動化が進んだ一般X線撮影装置には、撮影姿勢(立位または臥位)等に応じてX線発生器とX線検出器とを自動的に移動させるオートポジショニング機能、X線撮影室外からX線発生器とX線検出器とを移動させるリモート操作機能等を備えているものがある。
【0003】
また、多機能化が進んだ一般X線撮影装置には、長尺撮影、トモシンセシス撮影等の特殊撮影が行えるものもある。長尺撮影とは、X線発生器を被検者の身長方向に移動させながら被検者の広い範囲をX線で走査するX線撮影である。トモシンセシス撮影とは、X線発生器を移動及び回転させながら検査部位に異なる角度でX線を連続パルス照射し、撮影後にコンピュータで画像を再構成して任意の複数断層画像を得るX線撮影である。
【0004】
一般X線撮影装置による長尺撮影またはトモシンセシス撮影では、移動中のX線発生器が被検者に接触、または衝突する事故の発生が懸念されている。これは、X線発生器とX線検出器との間の距離(SID)を変化させることができるのでX線発生器が被検者に接近すること、撮影中のX線撮影室内に撮影技師がいないこと、被検者に一般X線撮影装置の動作に関する知識がないこと、被検者が身体的に不自由で行動に制限がある場合等が理由として考えられる。X線発生器は、X線管とこのX線管が発生したX線の照射範囲を調整するX線絞り器(コリメータ)とを備えているため重量が重く、X線発生器のうち最も被検者に近い位置にあるX線絞り器は角部を有する箱状の突起物であるため、X線絞り器が被検者に接触等すると被検者が負傷する危険性がある。
【0005】
X線撮影時における被検者の接触事故を防止するため、例えば、CT(Computed Tomography)装置は、被検者が乗せられる撮影台の外周に円環状のケースを配置し、その中にX線発生器及びX線検出器を収納している。また、撮影台に被検者の周囲を覆うカバーを設け、被検者とX線発生器等との接触を防止したX線撮影装置も発明されている(例えば、特許文献1参照)。被検者とX線撮影装置との接触防止を目的とするものではないが、撮影台の移動時に撮影台と床もしくは障害物との接触を検知し、撮影台の移動を停止させるX線撮影装置も発明されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−271115号公報
【特許文献2】特開2005−261853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般X線撮影装置による特殊撮影時の接触事故を防止するため、例えばCT装置のように、X線発生器の移動軌跡、あるいはX線発生器を移動させる装置全体をケース等で覆うことが考えられる。しかし、一般X線撮影装置は、CT装置と異なり、X線発生器とX線検出器との間の距離(SID)を変化させることができるので、X線発生器の移動軌跡を覆うケースはサイズが大きくなり、比較的小さなスペースが多いX線撮影室では邪魔である。また、通常のマニュアル撮影時には、撮影技師がX線発生器を移動させる際にケースが邪魔になることが考えられる。撮影内容に応じてケースの着脱を可能にしてもよいが、操作性が著しく悪化してしまう。
【0008】
特許文献1記載のカバーは、CT装置と比べて撮影時の閉塞感が無いという一般X線撮影装置の利点を失するものであり、撮影技師が撮影室外等の離れた位置から被検者の状態を観察する際の視認性を低下させる。更に、カバーにより被検者の体位に制限が生じるため、撮影手技も限定されてしまう。
【0009】
特許文献2記載の発明をX線発生器に適用し、X線発生器が被検者に接触したことを検知してその移動を停止させることも考えられる。しかし、被検者の近くで移動または停止しているX線発生器に対して不用意に動いた被検者が誤って接触する事故を防止することはできない。
【0010】
本発明の目的は、被検者がX線発生器の突起部分に直接接触することを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の放射線撮影装置は、被検者を透過した放射線を検出する放射線検出手段と、被検者を挟んで放射線検出手段に対面して被検者に放射線を照射する放射線発生手段であり、放射線検出手段との間の距離が可変に設けられた放射線発生手段と、放射線発生手段を覆う保護カバーとを備えている。
【0012】
保護カバーは、少なくとも放射線発生手段の被検者に対面する部位を覆うことが好ましい。また、保護カバーにより覆われる放射線発生手段の部位として、被検者に照射される放射線の照射範囲を調整する放射線絞り器が適用可能である。
【0013】
保護カバーの放射線発生手段の被検者に対面する部位を覆う保護面は、保護する部位の移動軌跡に沿った形状をしていることが好ましい。放射線発生手段が、照射口の向きを放射線検出手段の検出面に対して変化するように回転移動が可能である場合には、保護面が円弧形状であることが好ましい。
【0014】
また、放射線発生手段を自動的に移動させる駆動手段と、放射線発生手段に取り付けられた保護カバーに設けられ、放射線発生手段を手動で移動させる操作ハンドルと、操作ハンドルの操作を検出する操作検出手段と、保護カバーに加えられた力を検出する力検出手段と、駆動手段を制御する駆動制御手段を設けてもよい。駆動制御手段は、力検出手段が保護カバーに加えられた力を検出しかつ操作検出手段が操作ハンドルの操作を検出したときには、駆動手段によって放射線発生手段の手動による移動を補助し、保護カバーに加えられた力を検出しかつ操作検出手段が操作ハンドルの操作を検出しないときには、駆動手段を停止させる。
【0015】
力検出手段は保護カバーに加えられた力の量及び方向を検出し、駆動制御手段は、検出した力に応じた力量で、かつ検出した力の方向に放射線発生手段の移動を補助することが好ましい。
【0016】
保護カバーは、その輪郭が棒状の部材により構成されたパイプフレーム構造であってもい。また、保護カバーは、放射線発生手段に取り付けられて一体に移動してもよいし、あるいは、放射線発生手段を保持する保持手段に取り付けてもよい。
【0017】
本発明の保護カバーは、被検者を挟んで配された放射線検出手段との間の距離が可変に設けられた放射線発生手段を覆うものである。また、保護カバーにより覆われる放射線発生手段の部位として、被検者に照射される放射線の照射範囲を調整する放射線絞り器が適用可能である。
【0018】
保護カバーの放射線発生手段の被検者に対面する部位を覆う保護面は、保護する部位の移動軌跡に沿った形状をしていることが好ましい。放射線発生手段が、照射口の向きを放射線検出手段の検出面に対して変化するように回転移動が可能である場合には、保護面が円弧形状であることが好ましい。また、放射線発生手段を手動で移動させる操作ハンドルを保護カバーに設けてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、保護カバーにより、放射線発生手段の突起部分が被検者に直接接触するのを防止することができる。保護カバーは、少なくとも放射線発生手段の被検者に対面する部位を覆えばよいので、保護カバーによって放射線発生手段のサイズが極端に大型化することはない。また、被検者が接触した場合に負傷する危険性が高い放射線絞り器を保護カバーで覆うことができるので、被検者の負傷を効果的に防止することができる。
【0020】
保護カバーの保護面は、放射線発生手段の移動軌跡に沿った形状、例えば円弧形状をしているので、放射線発生手段の移動によって保護カバーと被検者との距離が変化することはない。これにより、被検者が放射線発生手段との距離の変化に気がつかずに接触するのを防止することができる。
【0021】
また、保護カバーに加えられた力が放射線発生手段を手動で移動させる際の力か、あるいは被検者との接触によるものなのかを正確に判断することができるので、放射線発生手段の自動移動または手動移動を適切に切り換えることができる。更に、保護カバーに加えられた力の量及び方向に応じた移動の補助を行うので、放射線発生手段の手動による移動の操作性が向上する。
【0022】
また、保護カバーは、パイプフレーム構造を用いることもできるので、保護カバーの装着による放射線発生手段の重量増加、コストアップを最小限に留めることができる。
【0023】
また、保護カバーは、放射線発生手段に取り付けて一体に移動させてもよいし、保持手段に取り付けることもできるので、放射線発生手段の構造等に応じて保護カバーの適切な取り付け位置を任意に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】X線撮影装置の第1実施形態の構成を示す斜視図である。
【図2】X線発生器の構成を示す斜視図である。
【図3】X線発生器の断面図である。
【図4】X線発生器の底面図である。
【図5】トモシンセシス撮影時のX線発生器の移動状態を示す説明図である。
【図6】第2実施形態のX線発生器の構成を示す斜視図である。
【図7】第3実施形態のX線発生器の構成を示す斜視図である。
【図8】第3実施形態の更に別の保護カバーを示す斜視図である。
【図9】保護カバーへの侵入を検知してX線発生器の移動を停止する手順を示すフローチャートである。
【図10】第4実施形態のX線発生器の構成を示す斜視図である。
【図11】第5実施形態のX線発生器の構成を示す斜視図である。
【図12】第5実施形態のX線発生器の断面図である。
【図13】力検出センサの構成を示す説明図である。
【図14】天井走行式懸垂器の電気的構成を示すブロック図である。
【図15】X線発生器の移動補助と障害物検知時の移動停止との手順を示すフローチャートである。
【図16】力検出センサに保護カバーを取り付けた例を示すX線発生器の断面図である。
【図17】軸受けに力検出センサを取り付けた例を示すX線発生器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1実施形態]
以下、本発明を実施したX線発明装置の第1実施形態について説明する。図1に示すX線撮影装置10は、静止状態の被検者にX線を短時間照射して撮影するマニュアル撮影、トモシンセシス撮影及び長尺撮影等を行うことができる一般X線撮影装置である。X線撮影装置10は、X線検出器11とX線発生器12とを備えている。また、図示していないが、X線撮影装置10には、装置全体を統轄的に制御するとともに、撮影された画像を処理する制御部を備えている。
【0026】
X線検出器11は、被検者が横になった状態(臥位)で乗せられる撮影台15の下に、検出面を撮影台15の天板に向けた姿勢で配置されている。X線検出器11は、天板の面と平行な水平方向(Y軸方向)に移動自在に設けられている。
【0027】
X線検出器11は、FPD(フラットパネルディテクタ)である。FPDは、例えば、画素毎に複数のTFT(薄膜トランジスタ)をマトリックス状に配列したアクティブマトリックス基板上に、アモルファスシリコン(a−Si)やアモルファスセレン(a−Se)などの光電変換層が形成された検出器であり、画素毎に蓄積された電荷をTFTによって読み出して画像情報を出力する。X線検出器13としては、FPDの他、画像記録媒体として輝尽性蛍光体を利用したIP(イメージングプレート)や、X線感光フイルム等を用いてもよい。
【0028】
X線発生器12は、天井走行式懸垂器18により保持され、その外周が保護カバー19によって覆われている。図2及び図3に示すように、X線発生器12は、軸方向が略水平方向に沿うように配された円柱状のX線管20と、X線管20の下方に配された箱状のX線絞り器21と、X線絞り器21の上方に配置された操作部22からなる。
【0029】
X線管20は、陰極のフィラメントと陽極のターゲットを有しており、各極の間に高電圧が印加されることによりフィラメントが放出した電子をターゲットに衝突させ、X線を発生する。X線絞り器21は、X線を遮蔽する複数の鉛板製の絞り羽根を有しており、各絞り羽根を変位させることで、X線管20が発生するX線の照射範囲を限定する。操作部22は、複数の操作ボタン及び表示部を備えた操作パネル22aと、操作パネル22aの外周を取り囲む操作ハンドル22bからなる。操作パネル22aは、X線撮影装置10の操作に用いられる。操作ハンドル22bは、X線発生器12を手動で移動させる際に用いられる。X線絞り器21及び操作部22は、X線管20に取り付けられている。
【0030】
X線管20の背後には、後方に突出したX線管保持部25が設けられている。X線管保持部25には、X軸方向に沿って突出した回転軸26が設けられている。回転軸26は、天井走行式懸垂器18の回転支持部27に設けられた軸受け28により回転自在に支持されている。X線発生器12は、回転軸26を中心に回転させて水平方向にX線を照射させることもできるので、立位でのX線撮影にも用いることができる。
【0031】
保護カバー19は、操作パネル22aに対面する方向(X方向)を正面方向としたときに、X線管保持部25に取り付けられてX線発生器12の背面側を覆う固定板31と、固定板31に取り付けられてX線発生器12の前面、上下面及び両側面を覆うカバー部32とからなる。固定板31及びカバー部32は、例えばプラスチック、硬質ゴム等によって形成されている。カバー部32の前面及び上面には、操作部22を保護カバー19の外部から操作可能に露呈させる開口部32aが設けられている。
【0032】
保護カバー19の下面は、撮影時に最も被検者に接近するX線絞り器21を覆う保護面32bである。保護面32bは、正面方向から見た形状が円弧形状であり、トモシンセシス撮影時にX線発生器12がX軸回りで回転する際のX線絞り器21の回転軌跡に沿っている。図4に示すように、保護面32bには、X線絞り器21の照射口を露呈させる照射開口32cが設けられている。
【0033】
図1に示すように、天井走行式懸垂器18は、X線撮影室の天井に撮影台15の長手方向(Y方向)に沿って設置された一対のレール35、35と、レール35、35に保持された台車36と、台車36から下方に吊り下げられた支柱37と、支柱37の下端に設けられた保持部38とからなる。
【0034】
レール35、35には、軸方向に沿ってガイド溝35a、35aが設けられている。台車36は、支柱37を保持する本体部36aと、本体部36aの上部に設けられた1組の走行部36b、36bとを備えている。走行部36b、36bには、レール35、35のガイド溝35a、35aに係合して回転するローラが設けられている。支柱37は、上下方向(Z軸方向)に沿って伸縮自在であり、下端に保持したX線発生器12を任意の高さに昇降させる。
【0035】
図2及び図3に示すように、保持部38は、一端部がZ軸回りで回転自在となるように支柱37に保持されている。保持部38の他端部には、X線発生器12を保持した回転支持部27が設けられている。台車36の本体部36aには、走行部36b、36bのローラを回転させて台車36をレール35、35上で走行させる機構、支柱37を伸縮させる機構、保持部38を回転させる機構、X線発生器12を回転させる機構等が設けられている。
【0036】
次に、X線撮影装置10によるトモシンセシス撮影について説明する。図5は、例えば、被検者41の腹部をトモシンセシス撮影する際のX線撮影装置10を示している。X線発生器12は、実線で示すように、被検者41の撮影部位に対して斜めにX線を照射できるようにX軸回りで時計方向に回転されている。X線検出器11は、破線で示すように、X線発生器12によってX線が照射される位置に配置されている。
【0037】
トモシンセシス撮影が開始されると、X線発生器12は、天井走行式懸垂器18によって2点鎖線で示す位置までY軸方向に水平移動される。また、X線検出器12は、水平移動に同期してX軸回りで反時計方向に回転される。X線検出器11は、X線発生器12の移動に同期して2点鎖線で示す位置までY軸方向に移動される。移動中のX線発生器12は、X線を連続パルス照射し、X線検出器11は被検者41を透過したX線を検出する。これにより、検査部位を異なる角度から連続的に撮影した複数の断層画像を一度の撮影で得ることができる。
【0038】
図5は、X線発生器12の移動状態を分かりやすくするため、X線発生器12を被検者41のかなり上方に描いているが、実際のトモシンセシス撮影では、X線発生器12が被検者41のより近くを移動する場合がある。従来のX線撮影装置では、X線発生器から下方に箱状のX線絞り器が突出していたため、被検者が不用意に動いたときにX線絞り器と接触する懸念があった。また、X線発生器が移動する際に箱状のX線絞り器が回転するため、X線絞り器の下面の端が、X線絞り器が鉛直下方に向いている時の下端位置よりも下に飛び出てしまい、X線絞り器の下面の端のとがった部分がX線発生器の移動中に被検者に近づくことになり非常に危険である。
【0039】
しかし、本発明では、X線発生器12を保護カバー19で覆っているので、X線絞り器21が被検者41に直接接触するのを防止することができる。また、保護カバー19の保護面32bは、X線検出器12が回転する際のX線絞り器21の回転軌跡に沿った円弧形状であるため、X線検出器12の移動中に保護カバー19と被検者41との距離が変化することがない。したがって、被検者がX線発生器12との距離の変化に気がつかずに接触するのも防止することができる。
【0040】
以下では、本発明の第2〜第5実施形態について説明する。なお、第1実施形態で説明した構成と同じものについては、同符号を用いて詳しい説明を省略する。
【0041】
[第2実施形態]
図6に示すように、第2実施形態の保護カバー45は、トモシンセシス撮影または長尺撮影時に被検者に接触する危険性の高い部分、すなわちX線発生器12の下部のみを覆う形状となっている。保護カバー45は、保護カバー19と同様に固定板46及びカバー部47からなり、保護面47bが円弧形状となっている。また、カバー部47には、操作部22を露呈させる開口部47aと、X線絞り器21の下面を露呈させる照射開口47cとが設けられている。
【0042】
保護カバー45は、保護カバー19よりも小さいので、X線検出器12が保護カバーを含めたものとして考えた場合、サイズを小型化することができる。また、操作部22の露呈量が多くなるので、操作性が向上する。X線発生器12の覆われている部分が少なくなるので、メンテナンス性も向上する。
【0043】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図7に示すように、本実施形態の保護カバー50は、例えば、金属製のパイプを屈曲及び接合して略半円筒形状にしたパイプフレーム構造となっている。保護カバー50は、X線絞り器21を覆う保護面を構成するフレーム部50a,50bが、上記各実施形態の保護カバー19、45と同様に、X線絞り器21の回転軌跡に沿った円弧形状となっている。フレーム部50a、50bは、被検者が接触しても怪我をしないように、例えば直径30mm以上の太さを持ったパイプで構成してもよい。また、フレーム部50a、50bをその他の部分と同じ太さにする場合には、例えばゴム、スポンジ等の緩衝材で被覆してもよい。
【0044】
保護カバー50は、保護カバー19、45と同様にX線発生器12が被検者に直接接触するのを防止することができる。また、保護カバー50は、ワイヤフレーム構造であるため軽量であり、X線発生器12が大型化して見えるような圧迫感を与えることもない。
【0045】
図8及び図9に示すように、保護カバー50の前面及び両側面に、保護カバー50内に被検者の手足等が侵入したことを検知する侵入検知センサ51〜53を設け、保護カバー50への侵入が検知されたときに、天井走行式懸垂器18によるX線発生器12の移動を停止させてもよい。侵入検知センサ51〜53としては、保護カバー50の開口に対する侵入を広く検知できるように、例えば、保護カバー50の開口部内の対角線に沿ってスイッチレバーを配したマイクロスイッチ等を用いることができる。
【0046】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図10に示すように、本実施形態の保護カバー55は、例えば、金属製のパイプを屈曲及び接合した矩形のパイプフレーム構造を有しており、上方に突出させた2本の取付部56、56を天井走行式懸垂器18の保持部38に固定することにより、X線絞り器21の下方に配置されている。
【0047】
保護カバー55は、X線絞り器21の回転軌跡よりも下方に配置されているため、X線発生器12が被検者に直接接触するのを防止することができる。また、保護カバー55は、保護カバー50と同様にワイヤフレーム構造であるため軽量であり、X線発生器12が大型化して見えるような圧迫感を与えることもない。
【0048】
第3実施形態と同様に、保護カバー55のX線照射に影響の無い部位にセンサを設け、保護カバー55内に被検者の手足等が侵入したことを検知してX線発生器12の移動を停止させてもよい。保護カバー55は、保持部38に取り付けられているため、X線発生器12と一緒に回転しない。そのため、例えば立位での撮影時にも保護カバー55を使用したい場合には、保護カバー55が保持部38に対して回転可能なように取り付けるのが好ましい。また、保護カバー55は、回転支持部27に取り付けてもよい。更に、保護カバー55は、矩形状の板状体で構成してもよい。この場合、X線絞り器21に対面する位置に開口を設けるのが好ましい。
【0049】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図11及び12に示すように、本実施形態の保護カバー60は、第1実施形態の保護カバー19と同様にX線発生器12全体を覆うタイプであり、X線管保持部25に取り付けられている。保護カバー60の両側面には、保護カバー60内に入り込んだ凹部61、61が設けられている。凹部61、61内には、垂直方向に配された丸棒状の操作ハンドル62、62がそれぞれ設けられている。なお、保護カバー60に操作ハンドル62、62を設けたので、操作部22から操作ハンドル22bを省略し、操作パネル22aのみを保護カバー60に設けた開口60aから露呈させている。
【0050】
操作ハンドル62、62は、X線発生器12を手動で移動させる際に両手で掴んで操作される。操作ハンドル62、62の操作は、X線管保持部25を介してX線発生器12に伝達される。また、凹部61、61内には、操作ハンドル62、62が操作されているか否かを検知する操作検知センサ65、65がそれぞれ設けられている。操作検知センサ65は、例えば光センサであり、操作ハンドル62、62が撮影技師等の手によって掴まれているか否かを検知する。操作検知センサ65、65には、操作ハンドル62、62への接触を検知するマイクロスイッチや圧力センサ等を用いてもよい。
【0051】
図12に示すように、X線発生器12のX線管保持部25と回転軸26との間には、保護カバー60に加えられた力を検出する力検出センサ68が組み込まれている。図13に示すように、力検出センサ68は、保護カバー60から伝達された力によって歪みが生じるように内部に空洞部を設けた起歪体69と、この起歪体69に生じた歪みを検出するように起歪体69に取り付けられた複数の歪みゲージ70とからなり、各歪みゲージ70の出力結果から起歪体69に生じた歪み量及び歪み方向を検出することができる。
【0052】
図14は、天井走行式懸垂器18の電気的構成を示すブロック図である。天井走行式懸垂器18は、例えば、CPU73、走行用アクチュエータ74、伸縮用アクチュエータ75、旋回用アクチュエータ76及び回転用アクチュエータ77を備えている。CPU73は、X線撮影装置10を制御する制御部の命令により各アクチュエータを制御する。走行用アクチュエータ74は、走行部36b、36bのローラを回転させる。伸縮用アクチュエータ75は、支柱37を伸縮させる。旋回用アクチュエータ76は、保持部38を支柱37に対して回転させる。回転用アクチュエータ77は、X線発生器12を保持部38に対して回転させる。
【0053】
CPU73には、操作検知センサ65、65と力検出センサ68とが接続されている。図15に示すように、CPU73は、力検出センサ68によって保護カバー60に力が加えられたことを検出したときに、操作検知センサ65、65により操作ハンドル62、62が操作されている否かを検知する。CPU73は、操作ハンドル62、62が操作されているときには、力検出センサ68が検出した力に応じた力量で、かつ検出した力の方向にX線発生器12の移動を補助するように各アクチュエータ74〜77を駆動させる。また、CPU73は、操作ハンドル62、62が操作されておらず、かつX線発生器12が撮影のために移動中のときには、保護カバー60が被検者に接触したと判断し、X線発生器12の移動及び撮影を停止させる。
【0054】
これにより、X線発生器12を手動で移動させる作業が容易になる。また、撮影中に保護カバー60が被検者に接触したときには、その移動をすぐに停止するので、被検者が負傷するのを防止することができる。
【0055】
図16に示すように、力検出センサ68をX線管保持部25の下部に取り付け、力検出センサ68に保護カバー60を取り付けてもよい。これによれば、保護カバー60に加えられた力を検出する感度が高くなるため、より小さな力でX線発生器12を移動することができ、被検者と保護カバー60とが僅かに接触した場合でもX線発生器12の移動を停止させることができる。また、図17に示すように、軸受け28と保持部38との間に力検出センサ68を設けてもよい。
【0056】
第1〜第3実施形態の保護カバーをX線発生器12に取り付けたが、天井走行式懸垂器18の保持部38に取り付けてもよい。また、第5実施形態の保護カバー60は、X線発生器12全体を覆う形態としたが、第2〜第5実施形態の保護カバーを使用し、これに操作ハンドルを設けてもよい。
【0057】
また、上記各実施形態では、一般X線撮影装置を例に説明したが、本発明は、いわゆるCアーム式撮影装置と呼ばれるX線撮影装置にも適用可能である。Cアーム式撮影装置は、X線発生器とX線検出器との距離(SID)は変化しないが、X線発生器は、照射口の向きがX線検出器の検出面に対して変化するように回転可能であり、この回転時にX線発生器と被検者との距離が変化するため、保護カバーによって接触事故を防止する効果が得られる。
【符号の説明】
【0058】
10 X線操作装置
11 X線検出器
12 X線発生器
18 天井走行式懸垂器
19、45、50、55、60 保護カバー
51〜53 侵入検知センサ
62 操作ハンドル
65 操作検知センサ
68 力検出センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者に放射線を照射する放射線発生手段を備えた放射線撮影装置と、放射線発生手段用保護カバーとに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる一般X線撮影装置による従来のX線撮影では、撮影技師がX線撮影室内でX線発生器とX線検出器とを被検者の撮影部位に移動させ、X線撮影室外から撮影操作を行うマニュアル撮影が主であった。これに対し、近年の自動化が進んだ一般X線撮影装置には、撮影姿勢(立位または臥位)等に応じてX線発生器とX線検出器とを自動的に移動させるオートポジショニング機能、X線撮影室外からX線発生器とX線検出器とを移動させるリモート操作機能等を備えているものがある。
【0003】
また、多機能化が進んだ一般X線撮影装置には、長尺撮影、トモシンセシス撮影等の特殊撮影が行えるものもある。長尺撮影とは、X線発生器を被検者の身長方向に移動させながら被検者の広い範囲をX線で走査するX線撮影である。トモシンセシス撮影とは、X線発生器を移動及び回転させながら検査部位に異なる角度でX線を連続パルス照射し、撮影後にコンピュータで画像を再構成して任意の複数断層画像を得るX線撮影である。
【0004】
一般X線撮影装置による長尺撮影またはトモシンセシス撮影では、移動中のX線発生器が被検者に接触、または衝突する事故の発生が懸念されている。これは、X線発生器とX線検出器との間の距離(SID)を変化させることができるのでX線発生器が被検者に接近すること、撮影中のX線撮影室内に撮影技師がいないこと、被検者に一般X線撮影装置の動作に関する知識がないこと、被検者が身体的に不自由で行動に制限がある場合等が理由として考えられる。X線発生器は、X線管とこのX線管が発生したX線の照射範囲を調整するX線絞り器(コリメータ)とを備えているため重量が重く、X線発生器のうち最も被検者に近い位置にあるX線絞り器は角部を有する箱状の突起物であるため、X線絞り器が被検者に接触等すると被検者が負傷する危険性がある。
【0005】
X線撮影時における被検者の接触事故を防止するため、例えば、CT(Computed Tomography)装置は、被検者が乗せられる撮影台の外周に円環状のケースを配置し、その中にX線発生器及びX線検出器を収納している。また、撮影台に被検者の周囲を覆うカバーを設け、被検者とX線発生器等との接触を防止したX線撮影装置も発明されている(例えば、特許文献1参照)。被検者とX線撮影装置との接触防止を目的とするものではないが、撮影台の移動時に撮影台と床もしくは障害物との接触を検知し、撮影台の移動を停止させるX線撮影装置も発明されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−271115号公報
【特許文献2】特開2005−261853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般X線撮影装置による特殊撮影時の接触事故を防止するため、例えばCT装置のように、X線発生器の移動軌跡、あるいはX線発生器を移動させる装置全体をケース等で覆うことが考えられる。しかし、一般X線撮影装置は、CT装置と異なり、X線発生器とX線検出器との間の距離(SID)を変化させることができるので、X線発生器の移動軌跡を覆うケースはサイズが大きくなり、比較的小さなスペースが多いX線撮影室では邪魔である。また、通常のマニュアル撮影時には、撮影技師がX線発生器を移動させる際にケースが邪魔になることが考えられる。撮影内容に応じてケースの着脱を可能にしてもよいが、操作性が著しく悪化してしまう。
【0008】
特許文献1記載のカバーは、CT装置と比べて撮影時の閉塞感が無いという一般X線撮影装置の利点を失するものであり、撮影技師が撮影室外等の離れた位置から被検者の状態を観察する際の視認性を低下させる。更に、カバーにより被検者の体位に制限が生じるため、撮影手技も限定されてしまう。
【0009】
特許文献2記載の発明をX線発生器に適用し、X線発生器が被検者に接触したことを検知してその移動を停止させることも考えられる。しかし、被検者の近くで移動または停止しているX線発生器に対して不用意に動いた被検者が誤って接触する事故を防止することはできない。
【0010】
本発明の目的は、被検者がX線発生器の突起部分に直接接触することを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の放射線撮影装置は、被検者を透過した放射線を検出する放射線検出手段と、被検者を挟んで放射線検出手段に対面して被検者に放射線を照射する放射線発生手段であり、放射線検出手段との間の距離が可変に設けられた放射線発生手段と、放射線発生手段を覆う保護カバーとを備えている。
【0012】
保護カバーは、少なくとも放射線発生手段の被検者に対面する部位を覆うことが好ましい。また、保護カバーにより覆われる放射線発生手段の部位として、被検者に照射される放射線の照射範囲を調整する放射線絞り器が適用可能である。
【0013】
保護カバーの放射線発生手段の被検者に対面する部位を覆う保護面は、保護する部位の移動軌跡に沿った形状をしていることが好ましい。放射線発生手段が、照射口の向きを放射線検出手段の検出面に対して変化するように回転移動が可能である場合には、保護面が円弧形状であることが好ましい。
【0014】
また、放射線発生手段を自動的に移動させる駆動手段と、放射線発生手段に取り付けられた保護カバーに設けられ、放射線発生手段を手動で移動させる操作ハンドルと、操作ハンドルの操作を検出する操作検出手段と、保護カバーに加えられた力を検出する力検出手段と、駆動手段を制御する駆動制御手段を設けてもよい。駆動制御手段は、力検出手段が保護カバーに加えられた力を検出しかつ操作検出手段が操作ハンドルの操作を検出したときには、駆動手段によって放射線発生手段の手動による移動を補助し、保護カバーに加えられた力を検出しかつ操作検出手段が操作ハンドルの操作を検出しないときには、駆動手段を停止させる。
【0015】
力検出手段は保護カバーに加えられた力の量及び方向を検出し、駆動制御手段は、検出した力に応じた力量で、かつ検出した力の方向に放射線発生手段の移動を補助することが好ましい。
【0016】
保護カバーは、その輪郭が棒状の部材により構成されたパイプフレーム構造であってもい。また、保護カバーは、放射線発生手段に取り付けられて一体に移動してもよいし、あるいは、放射線発生手段を保持する保持手段に取り付けてもよい。
【0017】
本発明の保護カバーは、被検者を挟んで配された放射線検出手段との間の距離が可変に設けられた放射線発生手段を覆うものである。また、保護カバーにより覆われる放射線発生手段の部位として、被検者に照射される放射線の照射範囲を調整する放射線絞り器が適用可能である。
【0018】
保護カバーの放射線発生手段の被検者に対面する部位を覆う保護面は、保護する部位の移動軌跡に沿った形状をしていることが好ましい。放射線発生手段が、照射口の向きを放射線検出手段の検出面に対して変化するように回転移動が可能である場合には、保護面が円弧形状であることが好ましい。また、放射線発生手段を手動で移動させる操作ハンドルを保護カバーに設けてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、保護カバーにより、放射線発生手段の突起部分が被検者に直接接触するのを防止することができる。保護カバーは、少なくとも放射線発生手段の被検者に対面する部位を覆えばよいので、保護カバーによって放射線発生手段のサイズが極端に大型化することはない。また、被検者が接触した場合に負傷する危険性が高い放射線絞り器を保護カバーで覆うことができるので、被検者の負傷を効果的に防止することができる。
【0020】
保護カバーの保護面は、放射線発生手段の移動軌跡に沿った形状、例えば円弧形状をしているので、放射線発生手段の移動によって保護カバーと被検者との距離が変化することはない。これにより、被検者が放射線発生手段との距離の変化に気がつかずに接触するのを防止することができる。
【0021】
また、保護カバーに加えられた力が放射線発生手段を手動で移動させる際の力か、あるいは被検者との接触によるものなのかを正確に判断することができるので、放射線発生手段の自動移動または手動移動を適切に切り換えることができる。更に、保護カバーに加えられた力の量及び方向に応じた移動の補助を行うので、放射線発生手段の手動による移動の操作性が向上する。
【0022】
また、保護カバーは、パイプフレーム構造を用いることもできるので、保護カバーの装着による放射線発生手段の重量増加、コストアップを最小限に留めることができる。
【0023】
また、保護カバーは、放射線発生手段に取り付けて一体に移動させてもよいし、保持手段に取り付けることもできるので、放射線発生手段の構造等に応じて保護カバーの適切な取り付け位置を任意に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】X線撮影装置の第1実施形態の構成を示す斜視図である。
【図2】X線発生器の構成を示す斜視図である。
【図3】X線発生器の断面図である。
【図4】X線発生器の底面図である。
【図5】トモシンセシス撮影時のX線発生器の移動状態を示す説明図である。
【図6】第2実施形態のX線発生器の構成を示す斜視図である。
【図7】第3実施形態のX線発生器の構成を示す斜視図である。
【図8】第3実施形態の更に別の保護カバーを示す斜視図である。
【図9】保護カバーへの侵入を検知してX線発生器の移動を停止する手順を示すフローチャートである。
【図10】第4実施形態のX線発生器の構成を示す斜視図である。
【図11】第5実施形態のX線発生器の構成を示す斜視図である。
【図12】第5実施形態のX線発生器の断面図である。
【図13】力検出センサの構成を示す説明図である。
【図14】天井走行式懸垂器の電気的構成を示すブロック図である。
【図15】X線発生器の移動補助と障害物検知時の移動停止との手順を示すフローチャートである。
【図16】力検出センサに保護カバーを取り付けた例を示すX線発生器の断面図である。
【図17】軸受けに力検出センサを取り付けた例を示すX線発生器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1実施形態]
以下、本発明を実施したX線発明装置の第1実施形態について説明する。図1に示すX線撮影装置10は、静止状態の被検者にX線を短時間照射して撮影するマニュアル撮影、トモシンセシス撮影及び長尺撮影等を行うことができる一般X線撮影装置である。X線撮影装置10は、X線検出器11とX線発生器12とを備えている。また、図示していないが、X線撮影装置10には、装置全体を統轄的に制御するとともに、撮影された画像を処理する制御部を備えている。
【0026】
X線検出器11は、被検者が横になった状態(臥位)で乗せられる撮影台15の下に、検出面を撮影台15の天板に向けた姿勢で配置されている。X線検出器11は、天板の面と平行な水平方向(Y軸方向)に移動自在に設けられている。
【0027】
X線検出器11は、FPD(フラットパネルディテクタ)である。FPDは、例えば、画素毎に複数のTFT(薄膜トランジスタ)をマトリックス状に配列したアクティブマトリックス基板上に、アモルファスシリコン(a−Si)やアモルファスセレン(a−Se)などの光電変換層が形成された検出器であり、画素毎に蓄積された電荷をTFTによって読み出して画像情報を出力する。X線検出器13としては、FPDの他、画像記録媒体として輝尽性蛍光体を利用したIP(イメージングプレート)や、X線感光フイルム等を用いてもよい。
【0028】
X線発生器12は、天井走行式懸垂器18により保持され、その外周が保護カバー19によって覆われている。図2及び図3に示すように、X線発生器12は、軸方向が略水平方向に沿うように配された円柱状のX線管20と、X線管20の下方に配された箱状のX線絞り器21と、X線絞り器21の上方に配置された操作部22からなる。
【0029】
X線管20は、陰極のフィラメントと陽極のターゲットを有しており、各極の間に高電圧が印加されることによりフィラメントが放出した電子をターゲットに衝突させ、X線を発生する。X線絞り器21は、X線を遮蔽する複数の鉛板製の絞り羽根を有しており、各絞り羽根を変位させることで、X線管20が発生するX線の照射範囲を限定する。操作部22は、複数の操作ボタン及び表示部を備えた操作パネル22aと、操作パネル22aの外周を取り囲む操作ハンドル22bからなる。操作パネル22aは、X線撮影装置10の操作に用いられる。操作ハンドル22bは、X線発生器12を手動で移動させる際に用いられる。X線絞り器21及び操作部22は、X線管20に取り付けられている。
【0030】
X線管20の背後には、後方に突出したX線管保持部25が設けられている。X線管保持部25には、X軸方向に沿って突出した回転軸26が設けられている。回転軸26は、天井走行式懸垂器18の回転支持部27に設けられた軸受け28により回転自在に支持されている。X線発生器12は、回転軸26を中心に回転させて水平方向にX線を照射させることもできるので、立位でのX線撮影にも用いることができる。
【0031】
保護カバー19は、操作パネル22aに対面する方向(X方向)を正面方向としたときに、X線管保持部25に取り付けられてX線発生器12の背面側を覆う固定板31と、固定板31に取り付けられてX線発生器12の前面、上下面及び両側面を覆うカバー部32とからなる。固定板31及びカバー部32は、例えばプラスチック、硬質ゴム等によって形成されている。カバー部32の前面及び上面には、操作部22を保護カバー19の外部から操作可能に露呈させる開口部32aが設けられている。
【0032】
保護カバー19の下面は、撮影時に最も被検者に接近するX線絞り器21を覆う保護面32bである。保護面32bは、正面方向から見た形状が円弧形状であり、トモシンセシス撮影時にX線発生器12がX軸回りで回転する際のX線絞り器21の回転軌跡に沿っている。図4に示すように、保護面32bには、X線絞り器21の照射口を露呈させる照射開口32cが設けられている。
【0033】
図1に示すように、天井走行式懸垂器18は、X線撮影室の天井に撮影台15の長手方向(Y方向)に沿って設置された一対のレール35、35と、レール35、35に保持された台車36と、台車36から下方に吊り下げられた支柱37と、支柱37の下端に設けられた保持部38とからなる。
【0034】
レール35、35には、軸方向に沿ってガイド溝35a、35aが設けられている。台車36は、支柱37を保持する本体部36aと、本体部36aの上部に設けられた1組の走行部36b、36bとを備えている。走行部36b、36bには、レール35、35のガイド溝35a、35aに係合して回転するローラが設けられている。支柱37は、上下方向(Z軸方向)に沿って伸縮自在であり、下端に保持したX線発生器12を任意の高さに昇降させる。
【0035】
図2及び図3に示すように、保持部38は、一端部がZ軸回りで回転自在となるように支柱37に保持されている。保持部38の他端部には、X線発生器12を保持した回転支持部27が設けられている。台車36の本体部36aには、走行部36b、36bのローラを回転させて台車36をレール35、35上で走行させる機構、支柱37を伸縮させる機構、保持部38を回転させる機構、X線発生器12を回転させる機構等が設けられている。
【0036】
次に、X線撮影装置10によるトモシンセシス撮影について説明する。図5は、例えば、被検者41の腹部をトモシンセシス撮影する際のX線撮影装置10を示している。X線発生器12は、実線で示すように、被検者41の撮影部位に対して斜めにX線を照射できるようにX軸回りで時計方向に回転されている。X線検出器11は、破線で示すように、X線発生器12によってX線が照射される位置に配置されている。
【0037】
トモシンセシス撮影が開始されると、X線発生器12は、天井走行式懸垂器18によって2点鎖線で示す位置までY軸方向に水平移動される。また、X線検出器12は、水平移動に同期してX軸回りで反時計方向に回転される。X線検出器11は、X線発生器12の移動に同期して2点鎖線で示す位置までY軸方向に移動される。移動中のX線発生器12は、X線を連続パルス照射し、X線検出器11は被検者41を透過したX線を検出する。これにより、検査部位を異なる角度から連続的に撮影した複数の断層画像を一度の撮影で得ることができる。
【0038】
図5は、X線発生器12の移動状態を分かりやすくするため、X線発生器12を被検者41のかなり上方に描いているが、実際のトモシンセシス撮影では、X線発生器12が被検者41のより近くを移動する場合がある。従来のX線撮影装置では、X線発生器から下方に箱状のX線絞り器が突出していたため、被検者が不用意に動いたときにX線絞り器と接触する懸念があった。また、X線発生器が移動する際に箱状のX線絞り器が回転するため、X線絞り器の下面の端が、X線絞り器が鉛直下方に向いている時の下端位置よりも下に飛び出てしまい、X線絞り器の下面の端のとがった部分がX線発生器の移動中に被検者に近づくことになり非常に危険である。
【0039】
しかし、本発明では、X線発生器12を保護カバー19で覆っているので、X線絞り器21が被検者41に直接接触するのを防止することができる。また、保護カバー19の保護面32bは、X線検出器12が回転する際のX線絞り器21の回転軌跡に沿った円弧形状であるため、X線検出器12の移動中に保護カバー19と被検者41との距離が変化することがない。したがって、被検者がX線発生器12との距離の変化に気がつかずに接触するのも防止することができる。
【0040】
以下では、本発明の第2〜第5実施形態について説明する。なお、第1実施形態で説明した構成と同じものについては、同符号を用いて詳しい説明を省略する。
【0041】
[第2実施形態]
図6に示すように、第2実施形態の保護カバー45は、トモシンセシス撮影または長尺撮影時に被検者に接触する危険性の高い部分、すなわちX線発生器12の下部のみを覆う形状となっている。保護カバー45は、保護カバー19と同様に固定板46及びカバー部47からなり、保護面47bが円弧形状となっている。また、カバー部47には、操作部22を露呈させる開口部47aと、X線絞り器21の下面を露呈させる照射開口47cとが設けられている。
【0042】
保護カバー45は、保護カバー19よりも小さいので、X線検出器12が保護カバーを含めたものとして考えた場合、サイズを小型化することができる。また、操作部22の露呈量が多くなるので、操作性が向上する。X線発生器12の覆われている部分が少なくなるので、メンテナンス性も向上する。
【0043】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図7に示すように、本実施形態の保護カバー50は、例えば、金属製のパイプを屈曲及び接合して略半円筒形状にしたパイプフレーム構造となっている。保護カバー50は、X線絞り器21を覆う保護面を構成するフレーム部50a,50bが、上記各実施形態の保護カバー19、45と同様に、X線絞り器21の回転軌跡に沿った円弧形状となっている。フレーム部50a、50bは、被検者が接触しても怪我をしないように、例えば直径30mm以上の太さを持ったパイプで構成してもよい。また、フレーム部50a、50bをその他の部分と同じ太さにする場合には、例えばゴム、スポンジ等の緩衝材で被覆してもよい。
【0044】
保護カバー50は、保護カバー19、45と同様にX線発生器12が被検者に直接接触するのを防止することができる。また、保護カバー50は、ワイヤフレーム構造であるため軽量であり、X線発生器12が大型化して見えるような圧迫感を与えることもない。
【0045】
図8及び図9に示すように、保護カバー50の前面及び両側面に、保護カバー50内に被検者の手足等が侵入したことを検知する侵入検知センサ51〜53を設け、保護カバー50への侵入が検知されたときに、天井走行式懸垂器18によるX線発生器12の移動を停止させてもよい。侵入検知センサ51〜53としては、保護カバー50の開口に対する侵入を広く検知できるように、例えば、保護カバー50の開口部内の対角線に沿ってスイッチレバーを配したマイクロスイッチ等を用いることができる。
【0046】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図10に示すように、本実施形態の保護カバー55は、例えば、金属製のパイプを屈曲及び接合した矩形のパイプフレーム構造を有しており、上方に突出させた2本の取付部56、56を天井走行式懸垂器18の保持部38に固定することにより、X線絞り器21の下方に配置されている。
【0047】
保護カバー55は、X線絞り器21の回転軌跡よりも下方に配置されているため、X線発生器12が被検者に直接接触するのを防止することができる。また、保護カバー55は、保護カバー50と同様にワイヤフレーム構造であるため軽量であり、X線発生器12が大型化して見えるような圧迫感を与えることもない。
【0048】
第3実施形態と同様に、保護カバー55のX線照射に影響の無い部位にセンサを設け、保護カバー55内に被検者の手足等が侵入したことを検知してX線発生器12の移動を停止させてもよい。保護カバー55は、保持部38に取り付けられているため、X線発生器12と一緒に回転しない。そのため、例えば立位での撮影時にも保護カバー55を使用したい場合には、保護カバー55が保持部38に対して回転可能なように取り付けるのが好ましい。また、保護カバー55は、回転支持部27に取り付けてもよい。更に、保護カバー55は、矩形状の板状体で構成してもよい。この場合、X線絞り器21に対面する位置に開口を設けるのが好ましい。
【0049】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図11及び12に示すように、本実施形態の保護カバー60は、第1実施形態の保護カバー19と同様にX線発生器12全体を覆うタイプであり、X線管保持部25に取り付けられている。保護カバー60の両側面には、保護カバー60内に入り込んだ凹部61、61が設けられている。凹部61、61内には、垂直方向に配された丸棒状の操作ハンドル62、62がそれぞれ設けられている。なお、保護カバー60に操作ハンドル62、62を設けたので、操作部22から操作ハンドル22bを省略し、操作パネル22aのみを保護カバー60に設けた開口60aから露呈させている。
【0050】
操作ハンドル62、62は、X線発生器12を手動で移動させる際に両手で掴んで操作される。操作ハンドル62、62の操作は、X線管保持部25を介してX線発生器12に伝達される。また、凹部61、61内には、操作ハンドル62、62が操作されているか否かを検知する操作検知センサ65、65がそれぞれ設けられている。操作検知センサ65は、例えば光センサであり、操作ハンドル62、62が撮影技師等の手によって掴まれているか否かを検知する。操作検知センサ65、65には、操作ハンドル62、62への接触を検知するマイクロスイッチや圧力センサ等を用いてもよい。
【0051】
図12に示すように、X線発生器12のX線管保持部25と回転軸26との間には、保護カバー60に加えられた力を検出する力検出センサ68が組み込まれている。図13に示すように、力検出センサ68は、保護カバー60から伝達された力によって歪みが生じるように内部に空洞部を設けた起歪体69と、この起歪体69に生じた歪みを検出するように起歪体69に取り付けられた複数の歪みゲージ70とからなり、各歪みゲージ70の出力結果から起歪体69に生じた歪み量及び歪み方向を検出することができる。
【0052】
図14は、天井走行式懸垂器18の電気的構成を示すブロック図である。天井走行式懸垂器18は、例えば、CPU73、走行用アクチュエータ74、伸縮用アクチュエータ75、旋回用アクチュエータ76及び回転用アクチュエータ77を備えている。CPU73は、X線撮影装置10を制御する制御部の命令により各アクチュエータを制御する。走行用アクチュエータ74は、走行部36b、36bのローラを回転させる。伸縮用アクチュエータ75は、支柱37を伸縮させる。旋回用アクチュエータ76は、保持部38を支柱37に対して回転させる。回転用アクチュエータ77は、X線発生器12を保持部38に対して回転させる。
【0053】
CPU73には、操作検知センサ65、65と力検出センサ68とが接続されている。図15に示すように、CPU73は、力検出センサ68によって保護カバー60に力が加えられたことを検出したときに、操作検知センサ65、65により操作ハンドル62、62が操作されている否かを検知する。CPU73は、操作ハンドル62、62が操作されているときには、力検出センサ68が検出した力に応じた力量で、かつ検出した力の方向にX線発生器12の移動を補助するように各アクチュエータ74〜77を駆動させる。また、CPU73は、操作ハンドル62、62が操作されておらず、かつX線発生器12が撮影のために移動中のときには、保護カバー60が被検者に接触したと判断し、X線発生器12の移動及び撮影を停止させる。
【0054】
これにより、X線発生器12を手動で移動させる作業が容易になる。また、撮影中に保護カバー60が被検者に接触したときには、その移動をすぐに停止するので、被検者が負傷するのを防止することができる。
【0055】
図16に示すように、力検出センサ68をX線管保持部25の下部に取り付け、力検出センサ68に保護カバー60を取り付けてもよい。これによれば、保護カバー60に加えられた力を検出する感度が高くなるため、より小さな力でX線発生器12を移動することができ、被検者と保護カバー60とが僅かに接触した場合でもX線発生器12の移動を停止させることができる。また、図17に示すように、軸受け28と保持部38との間に力検出センサ68を設けてもよい。
【0056】
第1〜第3実施形態の保護カバーをX線発生器12に取り付けたが、天井走行式懸垂器18の保持部38に取り付けてもよい。また、第5実施形態の保護カバー60は、X線発生器12全体を覆う形態としたが、第2〜第5実施形態の保護カバーを使用し、これに操作ハンドルを設けてもよい。
【0057】
また、上記各実施形態では、一般X線撮影装置を例に説明したが、本発明は、いわゆるCアーム式撮影装置と呼ばれるX線撮影装置にも適用可能である。Cアーム式撮影装置は、X線発生器とX線検出器との距離(SID)は変化しないが、X線発生器は、照射口の向きがX線検出器の検出面に対して変化するように回転可能であり、この回転時にX線発生器と被検者との距離が変化するため、保護カバーによって接触事故を防止する効果が得られる。
【符号の説明】
【0058】
10 X線操作装置
11 X線検出器
12 X線発生器
18 天井走行式懸垂器
19、45、50、55、60 保護カバー
51〜53 侵入検知センサ
62 操作ハンドル
65 操作検知センサ
68 力検出センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線検出手段と、
前記放射線検出手段に対面して被検者に放射線を照射する放射線発生手段であり、前記放射線検出手段との間の距離が変動する前記放射線発生手段と、
前記放射線発生手段を覆う保護カバーとを備えたことを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項2】
前記保護カバーは、少なくとも前記放射線発生手段の被検者に対面する部位を覆うことを特徴とする請求項1記載の放射線撮影装置。
【請求項3】
前記保護カバーにより覆われる前記放射線発生手段の部位は、放射線の照射範囲を調整する放射線絞り器であることを特徴とする請求項2記載の放射線撮影装置。
【請求項4】
前記保護カバーの前記放射線発生手段の被検者に対面する部位を覆う保護面は、前記部位の移動軌跡に沿った形状をしていることを特徴とする請求項2または3記載の放射線撮影装置。
【請求項5】
前記放射線発生手段は、照射口の向きが放射線検出手段の検出面に対して変化するように回転移動が可能であり、前記保護面が円弧形状であることを特徴とする請求項4記載の放射線撮影装置。
【請求項6】
前記放射線発生手段を移動させる駆動手段と、
前記放射線発生手段に取り付けられた前記保護カバーに設けられ、前記放射線発生手段を手動で移動させる操作ハンドルと、
前記操作ハンドルの操作を検出する操作検出手段と、
前記保護カバーに加えられた力を検出する力検出手段と、
前記力検出手段が前記保護カバーに加えられた力を検出し、かつ前記操作検出手段が前記操作ハンドルの操作を検出したときには、前記駆動手段によって前記放射線発生手段の手動による移動を補助し、前記力検出手段が前記保護カバーに加えられた力を検出し、かつ前記操作検出手段が前記操作ハンドルの操作を検出しないときには、前記駆動手段を停止させる駆動制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の放射線撮影装置。
【請求項7】
前記力検出手段は前記保護カバーに加えられた力の量及び方向を検出し、前記駆動制御手段は、検出した力に応じた力量で、かつ検出した力の方向に前記放射線発生手段の移動を補助することを特徴とする請求項6記載の放射線撮影装置。
【請求項8】
前記保護カバーは、その輪郭が棒状の部材により構成されたパイプフレーム構造であることを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の放射線撮影装置。
【請求項9】
前記保護カバーは、前記放射線発生手段に取り付けられて一体に移動することを特徴とする請求項1〜8いずれか記載の放射線撮影装置。
【請求項10】
前記保護カバーは、前記放射線発生手段を保持する保持手段に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の放射線撮影装置。
【請求項11】
放射線検出手段との間の距離が変動する放射線発生手段を覆うことを特徴とする放射線発生手段用保護カバー。
【請求項12】
前記保護カバーは、少なくとも前記放射線発生手段の被検者に対面する部位を覆うことを特徴とする請求項11記載の放射線発生手段用保護カバー。
【請求項13】
前記保護カバーにより覆われる前記放射線発生手段の部位は、放射線の照射範囲を調整する放射線絞り器であることを特徴とする請求項12記載の放射線発生手段用保護カバー。
【請求項14】
前記保護カバーの前記放射線発生手段の被検者に対面する部位を覆う保護面は、前記部位の移動軌跡に沿った形状をしていることを特徴とする請求項12または13記載の放射線発生手段用保護カバー。
【請求項15】
前記放射線発生手段は、照射口の向きが放射線検出手段の検出面に対して変化するように回転移動が可能であり、前記保護面が円弧形状であることを特徴とする請求項14記載の放射線発生手段用保護カバー。
【請求項16】
前記放射線発生手段を手動で移動させる操作ハンドルを設けたことを特徴とする請求項11〜15いずれか記載の放射線発生手段用保護カバー。
【請求項1】
放射線検出手段と、
前記放射線検出手段に対面して被検者に放射線を照射する放射線発生手段であり、前記放射線検出手段との間の距離が変動する前記放射線発生手段と、
前記放射線発生手段を覆う保護カバーとを備えたことを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項2】
前記保護カバーは、少なくとも前記放射線発生手段の被検者に対面する部位を覆うことを特徴とする請求項1記載の放射線撮影装置。
【請求項3】
前記保護カバーにより覆われる前記放射線発生手段の部位は、放射線の照射範囲を調整する放射線絞り器であることを特徴とする請求項2記載の放射線撮影装置。
【請求項4】
前記保護カバーの前記放射線発生手段の被検者に対面する部位を覆う保護面は、前記部位の移動軌跡に沿った形状をしていることを特徴とする請求項2または3記載の放射線撮影装置。
【請求項5】
前記放射線発生手段は、照射口の向きが放射線検出手段の検出面に対して変化するように回転移動が可能であり、前記保護面が円弧形状であることを特徴とする請求項4記載の放射線撮影装置。
【請求項6】
前記放射線発生手段を移動させる駆動手段と、
前記放射線発生手段に取り付けられた前記保護カバーに設けられ、前記放射線発生手段を手動で移動させる操作ハンドルと、
前記操作ハンドルの操作を検出する操作検出手段と、
前記保護カバーに加えられた力を検出する力検出手段と、
前記力検出手段が前記保護カバーに加えられた力を検出し、かつ前記操作検出手段が前記操作ハンドルの操作を検出したときには、前記駆動手段によって前記放射線発生手段の手動による移動を補助し、前記力検出手段が前記保護カバーに加えられた力を検出し、かつ前記操作検出手段が前記操作ハンドルの操作を検出しないときには、前記駆動手段を停止させる駆動制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の放射線撮影装置。
【請求項7】
前記力検出手段は前記保護カバーに加えられた力の量及び方向を検出し、前記駆動制御手段は、検出した力に応じた力量で、かつ検出した力の方向に前記放射線発生手段の移動を補助することを特徴とする請求項6記載の放射線撮影装置。
【請求項8】
前記保護カバーは、その輪郭が棒状の部材により構成されたパイプフレーム構造であることを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の放射線撮影装置。
【請求項9】
前記保護カバーは、前記放射線発生手段に取り付けられて一体に移動することを特徴とする請求項1〜8いずれか記載の放射線撮影装置。
【請求項10】
前記保護カバーは、前記放射線発生手段を保持する保持手段に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の放射線撮影装置。
【請求項11】
放射線検出手段との間の距離が変動する放射線発生手段を覆うことを特徴とする放射線発生手段用保護カバー。
【請求項12】
前記保護カバーは、少なくとも前記放射線発生手段の被検者に対面する部位を覆うことを特徴とする請求項11記載の放射線発生手段用保護カバー。
【請求項13】
前記保護カバーにより覆われる前記放射線発生手段の部位は、放射線の照射範囲を調整する放射線絞り器であることを特徴とする請求項12記載の放射線発生手段用保護カバー。
【請求項14】
前記保護カバーの前記放射線発生手段の被検者に対面する部位を覆う保護面は、前記部位の移動軌跡に沿った形状をしていることを特徴とする請求項12または13記載の放射線発生手段用保護カバー。
【請求項15】
前記放射線発生手段は、照射口の向きが放射線検出手段の検出面に対して変化するように回転移動が可能であり、前記保護面が円弧形状であることを特徴とする請求項14記載の放射線発生手段用保護カバー。
【請求項16】
前記放射線発生手段を手動で移動させる操作ハンドルを設けたことを特徴とする請求項11〜15いずれか記載の放射線発生手段用保護カバー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−30699(P2011−30699A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178801(P2009−178801)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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