説明

放射線撮影装置

【課題】電荷の読み出しに係るハードウェアの複雑化を抑えつつ、画像情報の読み出し時間を短縮できる放射線撮影装置を提供する。
【解決手段】四辺形状の検出領域に対応してセンサ部36が2次元状にそれぞれ設けられ、各センサ部36に蓄積された電荷の読み出し方向がA方向及びB方向と互いに交差する2つの撮影系を有する撮影部20を備え、検出領域の四辺と関心領域との距離を特定し、関心領域と四辺との距離が最も長い方向を読み出し方向とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス基板上に放射線感応層を配置し、照射されたX線等の放射線を検出し、検出された放射線により表わされる放射線画像を示す電気信号を出力するFPD(Flat Panel Detector)等の放射線検出器が実用化されている。この放射線検出器は、従来のイメージングプレートに比べて、即時に画像を確認でき、動画も確認できるといったメリットがある。
【0003】
この種の放射線検出器は、種々のタイプのものが提案されており、例えば、放射線を直接、半導体層で電荷に変換して蓄積する直接変換方式や、放射線を一度CsI:Tl、GOS(Gd2O2S:Tb)などのシンチレータで光に変換し、変換した光をフォトダイオードで電荷に変換して蓄積する間接変換方式がある。放射線画像撮影装置では、放射線検出器に蓄積された電荷を電気信号として読み出し、読み出した電気信号をアンプで増幅した後にA/D(アナログ/デジタル)変換部でデジタルデータに変換している。
【0004】
ところで、放射線画像の撮影では、撮影後、短時間で画像を表示することが求められている。特に動画撮影(透視撮影)では、滑らかな画像を取得するため、より一層の高速化が必要である。
【0005】
このため、放射線検出器からの画像情報の読み出し時間を短縮する技術として、特許文献1には、X線可動絞りにより放射線が照射される範囲を制限し、放射線検出器から放射線の照射された照射領域の画像データを選択的に読み出す技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、検出領域の一方向の一端側及び他端側の何れからも電荷の読み出しが可能とされたセンサにおいて、検出領域内の放射線の照射領域を除く非照射領域の一端側及び他端側からの電荷の読み出し時間を求め、読み出し時間の短い方から電荷の読み出しを開始する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−330302号公報
【特許文献2】特開2009−17484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、放射線検出器は、放射線が照射されていなくても暗電流等により電荷が蓄積される。
【0009】
このため、特許文献1の技術では、放射線検出器の照射領域外の領域で電荷が蓄積されたままとなり、蓄積された電荷を開放することができない。また、放射線検出器の放射線を検出する検出領域の端部以外の中間部分から蓄積された電荷を読み出しを可能とするには、電荷の読み出しに係るハードウェアの構成が複雑になる。
【0010】
また、特許文献2の技術では、照射領域の形状によっては画像情報の読み出し時間を十分に短縮できない。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑み、電荷の読み出しに係るハードウェアの複雑化を抑えつつ、画像情報の読み出し時間を短縮できる放射線撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明の放射線撮影装置は、放射線又は当該放射線が変換された光が入射することにより電荷を発生すると共に当該発生した電荷を蓄積するセンサ部が一方向及び当該一方向に対する交差方向に対して辺が延びた四辺形状の検出領域に対応して2次元状にそれぞれ設けられ、各センサ部に蓄積された電荷の読み出し方向が前記一方向及び前記交差方向と互いに交差する2つの撮影系を有する撮影部と、前記撮影部の2つの撮影系から各々個別に各センサ部に蓄積された電荷を電気信号として読み出し、当該電気信号に基づいて放射線画像を示す画像情報を生成する生成手段と、前記検出領域内における関心領域の位置を示す位置情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された位置情報に基づいて前記関心領域の前記検出領域の四辺からの距離を特定し、前記関心領域と前記四辺との距離が最も長い方向を読み出し方向とするように前記生成手段を制御する制御手段と、を備えている。
【0013】
本発明の放射線撮影装置は、一方向及び当該一方向に対する交差方向に対して辺が延びた四辺形状の検出領域に対応して、放射線又は当該放射線が変換された光が入射することにより電荷を発生すると共に当該発生した電荷を蓄積するセンサ部が2次元状にそれぞれ設けられ、各センサ部に蓄積された電荷の読み出し方向が一方向及び交差方向と互いに交差する2つの撮影系を有する撮影部が備えられており、生成手段により、撮影部の2つの撮影系から各々個別に各センサ部に蓄積された電荷が電気信号として読み出され、当該電気信号に基づいて放射線画像を示す画像情報が生成される。
【0014】
そして、本発明は、取得手段により、検出領域内における関心領域の位置を示す位置情報が取得され、制御手段により、位置情報に基づいて関心領域の検出領域の四辺からの距離を特定し、関心領域と四辺との距離が最も長い方向を読み出し方向とするように生成手段が制御される。
【0015】
このように、本発明は、四辺形状の検出領域に対応してセンサ部が2次元状にそれぞれ設けられ、各センサ部に蓄積された電荷の読み出し方向が一方向及び交差方向と互いに交差する2つの撮影系を有する撮影部を備え、検出領域の四辺と関心領域との距離を特定し、関心領域と四辺との距離が最も長い方向を読み出し方向とすることにより、検出領域の端部以外の中間部分から蓄積された電荷を読み出さないため、電荷の読み出しに係るハードウェアの複雑化を抑えることができる。また、照射領域の形状によって一方向及び交差方向と読み出し方向を変えるため、画像情報の読み出し時間を短縮できる。
【0016】
なお、本発明は、請求項2に記載の発明のように、前記生成手段が、読み出し方向の一端側及び他端側の何れからも各センサ部に蓄積された電荷の読み出しが可能とされ、前記制御手段が、前記関心領域と前記四辺との距離が最も長い方向を読み出し方向として当該距離が最も長くなる辺の反対の辺側から各センサ部に蓄積された電荷の読み出すように前記生成手段を制御してもよい。
【0017】
また、本発明は、請求項3に記載の発明のように、前記生成手段により生成される画像情報に対して所定の画像処理を行う画像処理手段をさらに備え、前記制御手段が、前記関心領域の電荷が読み出されたタイミングで画像処理を開始するように画像処理手段を制御してもよい。
【0018】
また、本発明は、請求項4に記載の発明のように、前記撮影部が、放射線が照射されることにより光が発生する発光層、及び当該発光層に発生した光を受光することにより電荷が蓄積されると共に当該電荷を読み出すためのスイッチ素子が形成され、一方に対して他方を90度回転させた2つの基板が積層されて構成されてもよい。
【0019】
また、請求項4に記載の発明は、請求項5に記載の発明のように、前記撮影部が、前記2つの基板に対応して前記発光層が2つ設けられてもよい。
【0020】
また、請求項1〜請求項5に記載の発明は、請求項6に記載の発明のように、前記検出領域に対して放射線が照射される領域を制限する制限手段をさらに備え、前記関心領域を、放射線が照射される照射領域としてもよい。
【0021】
また、請求項1〜請求項5に記載の発明は、請求項7に記載の発明のように、前記検出領域の撮影部位が配置された領域を特定する特定手段をさらに備え、前記関心領域を、特定手段により特定される撮影部位の配置領域としてもよい。
【0022】
また、請求項1〜請求項7に記載の発明は、請求項8に記載の発明のように、前記制御手段が、動画撮影を行う場合、前記生成手段による画像の生成を連続的に繰り返すように制御してもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の放射線撮影装置は、電荷の読み出しに係るハードウェアの複雑化を抑えつつ、画像情報の読み出し時間を短縮できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態に係る放射線検出器の構成を模式的に示した断面図である。
【図2】実施の形態に係る放射線検出器の構成を示した平面図である。
【図3】実施の形態に係る放射線検出器の構成を示した断面図である。
【図4】実施の形態に係る撮影部の構成を示す断面図である。
【図5】実施の形態に係る平板状の電子カセッテの構成を示す斜視図である。
【図6】実施の形態に係る電子カセッテの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図7】実施の形態に係る2つのTFT基板、ゲート線ドライバ及び信号処理部の積層構成及び配置構成を示す斜視図である。
【図8】実施の形態に係る撮影システムの放射線撮影室における配置状態の一例が示し図である。
【図9】実施の形態に係る臥位撮影台の構成を示す斜視図である。
【図10】実施の形態に係るコンソール及び放射線発生装置の電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図11】実施の形態に係る可動絞り装置の構成を示す図である。
【図12】実施の形態に係る読出決定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】検出領域の四辺と関心領域のへの距離の一例を示す図である。
【図14】電子カセッテでの電荷の読み出し処理とコンソールでの画像処理の処理タイミングを示すタイミングチャートである。
【図15】実施の形態に係る撮影部の他の構成示す断面図である。
【図16】実施の形態に係る撮影部の他の構成示す断面図である。
【図17】実施の形態に係る撮影部の他の構成示す断面図である。
【図18】他の形態に係る直接変換方式の放射線検出器の構成を模式的に示した断面図である。
【図19】電子カセッテでの電荷の読み出し処理とコンソールでの画像処理を順次行う場合の処理タイミングを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0026】
まず、最初に間接変換方式の放射線検出器20の構成について説明する。
【0027】
図1には、本実施形態に係る放射線検出器20の構成を模式的に示した断面図が示されており、図2には、放射線検出器20の構成を示す平面図が示されている。
【0028】
図1に示すように、放射線検出器20は、絶縁性基板22に薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)などのスイッチ素子24が形成されたTFT基板26を備えている。
【0029】
このTFT基板26上には、入射される放射線を変換する放射線変換層の一例として、入射される放射線を光に変換するシンチレータ層28が形成されている。
【0030】
シンチレータ層28としては、例えば、CsI:Tl、GOS(GdS:Tb)を用いることができる。なお、シンチレータ層28は、これらの材料に限られるものではない。
【0031】
絶縁性基板22としては、放射線の吸収が少ないものであれば何れでもよく、例えば、ガラス基板、透明セラミック基板、光透過性の樹脂基板、カーボン基板を用いることができる。なお、絶縁性基板22は、これらの材料に限られるものではない。
【0032】
TFT基板26には、シンチレータ層28によって変換された光が入射されることにより電荷を発生する光導電層30が形成されている。この光導電層30のシンチレータ層28側の表面には、光導電層30にバイアス電圧を印加するためのバイアス電極32が形成されている。
【0033】
また、TFT基板26には、光導電層30で発生した電荷を収集する電荷収集電極34が形成されている。TFT基板26では、各電荷収集電極34で収集された電荷が、スイッチ素子24によって読み出される。
【0034】
TFT基板26には、図2に示すように、バイアス電極32、光導電層30、電荷収集電極34により構成され、光が入射されることにより電荷を発生するフォトダイオードとして機能するセンサ部36と、センサ部36に蓄積された電荷を読み出すためのスイッチ素子24と、を含んで構成される画素37が一定方向(図2の行方向)及び一定方向に対する交差方向(図2の列方向)に2次元状に複数設けられている。
【0035】
また、TFT基板26には、一定方向(行方向)に延設され各スイッチ素子24をオンオフさせるための複数本のゲート配線40と、交差方向(列方向)に延設されオン状態のスイッチ素子24を介して電荷を読み出すための複数本のデータ配線42が設けられている。
【0036】
なお、TFT基板26上には、TFT基板26上を平坦化するための平坦化層38(図1参照)が形成されている。また、TFT基板26とシンチレータ層28との間であって、平坦化層38上には、シンチレータ層28をTFT基板26に接着するための接着層39が、形成されている。
【0037】
TFT基板26は、平板状で平面視において外縁に4辺を有する四辺形状をしている。具体的には矩形状に形成されている。
【0038】
ここで、放射線検出器20は、図3に示すように、シンチレータ層28が接着された表側から放射線Xが照射(表面照射)されてもよく、TFT基板26側(裏側)から放射線Xが照射(裏面照射)されてもよい。放射線検出器20は、表側から放射線Xが照射された場合、シンチレータ層28の上面側(TFT基板26の反対側)でより強く発光し、裏側から放射線Xが照射された場合、TFT基板26を透過した放射線Xがシンチレータ層28に入射してシンチレータ層28のTFT基板26側がより強く発光する。また、シンチレータは、理論上厚いほど感度が向上するが、実際には厚みがある程度以上厚くなると、光がシンチレータを通過する際に減衰したり散乱したりして、光量が低下する。各光導電層30には、シンチレータ層28で発生した光により電荷が発生する。例えば、TFT基板26を厚み0.7mmのガラス基板とした場合、シンチレータ層28の厚みが薄い領域では表面照射の方が放射線XがTFT基板26を透過しないため感度が高い。また、裏面照射の方が表面照射の場合よりも各光導電層30に対するシンチレータ層28の発光位置が近いため、撮影によって得られる放射線画像の分解能が高い。
【0039】
次に、放射線画像の撮影を行う撮影部21の構成について説明する。
【0040】
本実施の形態に係る撮影部21は、照射された放射線により示される放射線画像の撮影を行う撮影系を2つ有し、各撮影系により撮影された放射線画像を示す画像情報を個別に読み出し可能なように構成されている。
【0041】
具体的には、図4に示すように、シンチレータ層28を挟んで2つのTFT基板26を配置している。以下、2つのTFT基板26を区別する場合、シンチレータ層28の一方の面側をTFT基板26Aと称し、シンチレータ層28の他方の面側をTFT基板26Bと称する。
【0042】
このように、シンチレータ層28の一方の面にTFT基板26Aを設け、シンチレータ層28の他方の面にTFT基板26Bを設けたことにより、シンチレータ層28で発生した光がTFT基板26A、26Bに共に入射する。
【0043】
次に、このような撮影部21を内蔵した電子カセッテ10の構成について説明する。
【0044】
図5には、電子カセッテ10の構成を示す斜視図が示されている。
【0045】
電子カセッテ10は、放射線Xを透過させる材料からなる平板状の筐体18を備えており、防水性、密閉性を有する構造とされている。筐体18の内部には、上述の撮影部21が配設されている。筐体18は、平板状の一方の面の撮影部21の配設位置に対応する領域が放射線を検出可能な四辺形状の検出領域18Aとされている。筐体18の内部には、TFT基板26Aが検出領域18A側となるように撮影部21が内蔵されている。
【0046】
また、筐体18の内部の一端側には、撮影部21と重ならない位置(検出領域18Aの範囲外)に、後述する制御部50や電源部70を収容するケース31が配置されている。
【0047】
また、電子カセッテ10は、筐体18の側面に各種ボタンを備えた操作パネル19が設けられている。
【0048】
図6には、電子カセッテ10の電気系の要部構成を示すブロック図が示されている。
【0049】
TFT基板26A、26Bは、それぞれ隣り合う2辺の一辺側にゲート線ドライバ52A、52Bが配置され、他辺側に信号処理部54A、54Bが配置されている。TFT基板26Aの個々のゲート配線40はゲート線ドライバ52Aに接続され、TFT基板26Aの個々のデータ配線42は信号処理部54Aに接続されており、TFT基板26Bの個々のゲート配線40はゲート線ドライバ52Bに接続され、TFT基板26Bの個々のデータ配線42は信号処理部54Bに接続されている。
【0050】
また、筐体18の内部には、制御部50として、画像メモリ56と、カセッテ制御部58と、無線通信部60とを備えている。
【0051】
TFT基板26A、26Bの各スイッチ素子24は、ゲート線ドライバ52A、52Bからゲート配線40を介して供給される信号により行単位で順にオンされ、オン状態とされたスイッチ素子24によって読み出された電荷は、電気信号としてデータ配線42を伝送されて信号処理部54A、54Bに入力される。これにより、電荷は行単位で順に読み出され、二次元状の放射線画像が取得可能となる。
【0052】
ここで、本実施の形態に係る撮影部21は、図7に示すように、TFT基板26A、26Bを積層する際に、一方を他方に対して90度回転させており、TFT基板26Bの信号処理部54BをTFT基板26Aの信号処理部54Aと逆側の辺に設けることにより、ゲート線ドライバ52Aとゲート線ドライバ52B及び信号処理部54Aと信号処理部54Bが重ならないように配置している。このようにTFT基板26Aに対してTFT基板26Bを90度させる回転させることにより、TFT基板26Aの電荷の読み出し方向はA方向、TFT基板26Bの電荷の読み出し方向はB方向となり、TFT基板26A、26Bは電荷の読み出し方向が交差している。
【0053】
図示は省略するが、信号処理部54A、54Bは、個々のデータ配線42毎に、入力される電気信号を増幅する増幅回路及びサンプルホールド回路を備えており、個々のデータ配線42を伝送された電気信号は増幅回路で増幅された後にサンプルホールド回路に保持される。また、サンプルホールド回路の出力側にはマルチプレクサ、A/D(アナログ/デジタル)変換器が順に接続されており、個々のサンプルホールド回路に保持された電気信号はマルチプレクサに順に(シリアルに)入力され、A/D変換器によってデジタルの画像データへ変換される。
【0054】
信号処理部54A、54Bには画像メモリ56(図6参照)が接続されており、信号処理部54A、54BのA/D変換器から出力された画像データは画像メモリ56に順に記憶される。画像メモリ56は所定枚分の画像データを記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、撮影によって得られた画像データが画像メモリ56に順次記憶される。
【0055】
画像メモリ56はカセッテ制御部58と接続されている。カセッテ制御部58はマイクロコンピュータによって構成され、CPU(中央処理装置)58A、ROMおよびRAMを含むメモリ58B、フラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部58Cを備えており、電子カセッテ10全体の動作を制御する。
【0056】
また、カセッテ制御部58には無線通信部60が接続されている。無線通信部60は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a/b/g等に代表される無線LAN(Local Area Network)規格に対応しており、無線通信による外部機器との間での各種情報の伝送を制御する。カセッテ制御部58は、無線通信部60を介して、放射線撮影全体を制御するコンソール(詳細後述)など外部装置と無線通信が可能とされており、コンソールとの間で各種情報の送受信が可能とされている。
【0057】
カセッテ制御部58は、ゲート線ドライバ52A、52Bの動作を個別に制御しており、TFT基板26A、26Bから放射線画像を示す画像情報の読み出しを個別に制御できる。カセッテ制御部58は、コンソールから無線通信部60を介して受信される撮影条件などの各種情報を記憶し、撮影条件に基づいてゲート線ドライバ52A、52Bを制御してTFT基板26A、26Bから画像の読み出しを行う。
【0058】
また、カセッテ制御部58は、操作パネル19が接続されており、操作パネル19に対する操作内容を把握することができる。
【0059】
また、電子カセッテ10には、電源部70が設けられており、上述した各種回路や各素子(操作パネル19、ゲート線ドライバ52A、52B、信号処理部54A、54B、画像メモリ56、無線通信部60やカセッテ制御部58として機能するマイクロコンピュータ)は、電源部70から供給された電力によって作動する。電源部70は、電子カセッテ10の可搬性を損なわないように、バッテリ(充電可能な二次電池)を内蔵しており、充電されたバッテリから各種回路・素子へ電力を供給する。なお、図6では、電源部70と各種回路や各素子を接続する配線を省略している。
【0060】
次に、本実施の形態に係る電子カセッテ10を用いて撮影を行う撮影システム12について説明する。
【0061】
図8には、本実施の形態に係る撮影システム12の放射線撮影室44における配置状態の一例が示されている。
【0062】
同図に示すように、本実施の形態に係る撮影システム12は、医師や放射線技師の操作により放射線画像の撮影を行うものである。撮影システム12は、上述の電子カセッテ10と、臥位での放射線撮影を行う際に患者51が横臥するための臥位撮影台16と、予め設定された撮影条件に従った放射線量からなる放射線Xを患者に照射する放射線発生装置34と、電子カセッテ10及び放射線発生装置34を制御するコンソール42と、を備えている。
【0063】
放射線発生装置34は、支持移動機構52により天井から吊り下げられて移動可能に支持されている。
【0064】
臥位撮影台16には、図9に示すように、電子カセッテ10を収容する収容部14が設けられている。
【0065】
電子カセッテ10は、臥位撮影台16の収容部14に収容されることにより、放射線発生装置34と間隔を空けて配置される。このときの放射線発生装置34と電子カセッテ10との間は、患者が位置するための撮影位置とされている。放射線発生装置34は、放射線画像の撮影が指示されると、撮影条件等に応じた放射線量の放射線を照射する。放射線発生装置34から射出された放射線は、撮影位置に位置している患者を透過することで画像情報を担持した後に電子カセッテ10に照射される。
【0066】
なお、電子カセッテ10は、放射線撮影室や手術室のみで使用されるものではなく、その可搬性から、例えば、検診や病院内での回診等にも使用することができる。
【0067】
図10には、本実施の形態に係るコンソール42及び放射線発生装置34の電気系の要部構成を示すブロック図が示されている。
【0068】
コンソール42は、サーバ・コンピュータとして構成されており、操作メニューや撮影された放射線画像等を表示するディスプレイ100と、複数のキーを含んで構成され、各種の情報や操作指示が入力される操作パネル102と、を備えている。
【0069】
また、本実施の形態に係るコンソール42は、装置全体の動作を司るCPU104と、制御プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたROM106と、各種データを一時的に記憶するRAM108と、各種データを記憶して保持するHDD110と、ディスプレイ100への各種情報の表示を制御するディスプレイドライバ112と、操作パネル102に対する操作状態を検出する操作入力検出部114と、を備えている。
【0070】
また、コンソール42は、接続端子42Aおよび通信ケーブル35を介して放射線発生装置34との間で後述する曝射条件等の各種情報の送受信を行う通信インタフェース(I/F)部116と、電子カセッテ10との間で無線通信により曝射条件や画像データ等の各種情報の送受信を行うカセッテ通信部118と、を備えている。
【0071】
CPU104、ROM106、RAM108、HDD110、ディスプレイドライバ112、操作入力検出部114、通信I/F部116、及びカセッテ通信部118は、システムバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU104は、ROM106、RAM108、HDD110へのアクセスを行うことができると共に、ディスプレイドライバ112を介したディスプレイ100への各種情報の表示の制御、通信I/F部116を介した放射線発生装置34との各種情報の送受信の制御、及びカセッテ通信部118を介した電子カセッテ10との各種情報の送受信の制御を各々行うことができる。また、CPU104は、操作入力検出部114を介して操作パネル102に対するユーザの操作状態を把握することができる。
【0072】
一方、放射線発生装置34は、放射線Xを射出する放射線源130と、放射線源130による放射線Xの照射領域を制限する可動絞り装置131と、コンソール42との間で曝射条件等の各種情報を送受信する通信I/F部132と、受信した曝射条件に基づいて放射線源130を制御する線源制御部134と、支持移動機構52に備えられた駆動源への電力供給を制御することにより放射線源130の垂直方向への移動を制御する線源駆動制御部136を備えている。
【0073】
線源制御部134もマイクロコンピュータによって実現されており、受信した曝射条件や姿勢情報を記憶する。このコンソール42から受信する曝射条件には管電圧、管電流、照射期間等の情報が含まれている。線源制御部134は、曝射開始が指示されると、受信した曝射条件に基づいて放射線源130から放射線Xを照射させる。放射線源130から照射された放射線Xは、可動絞り装置54を通過して患者に照射される。
【0074】
可動絞り装置131は、図11に示すように、スリット板135,136と、スリット板137,138と、が設けられている。スリット板135,136及びスリット板137,138は、不図示のモータまたはソレノイドの駆動力により移動可能とされている。可動絞り装置131は、スリット板135,136が一方向(X方向)にそれぞれ個別に移動することにより放射線源130による放射線Xの照射領域をX方向に変更し、スリット板137,138が一方向に対する交差方向(Y方向)にそれぞれ個別に移動することにより放射線源130による放射線Xの照射領域をY方向に変更する。
【0075】
操作パネル52Aは、放射線源130の鉛直方向への移動の指示操作と共に、可動絞り装置131のスリット板135,136及びスリット板137,138の移動の指示操作が可能とされている。医師や放射線技師は、操作パネル52Aを操作して、スリット板135,136及びスリット板137,138の配置関係を調整することにより、放射線Xの照射領域を変更することが可能とされている。なお、放射線Xの照射領域は、例えば、放射線源130の近傍に撮像カメラを設け、放射線によって撮影される撮影部位を撮像して、コンソール42のディスプレイ100に表示させることによって、操作者に確認させてもよい。また、放射線源130の近傍に可視光を照射する可視光ランプを設け、被検者の身体の撮影部位を照射させることによって、操作者に確認させてもよい。
【0076】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0077】
医師や放射線技師は、依頼された撮影依頼の内容に基づいて放射線画像の撮影を開始する。
【0078】
例えば、図8に示すように、ベッド46上に横臥した患者51の患部の透視撮影を行う場合、医師又は放射線技師は、臥位撮影台16の収容部14に電子カセッテ10を収納し、コンソール42に対して管電圧、管電流などの曝射条件指定操作を行う。指定された曝射条件は放射線発生装置34及び電子カセッテ10へ送信される。また、医師又は放射線技師は、操作パネル52Aを操作して、撮影部位上方に放射線発生装置34を配置し、撮影部位および周辺のみに放射線Xが照射されるように可動絞り装置131により放射線Xの照射領域を限定する。線源制御部134は、操作パネル52Aが操作されて線源駆動制御部136及び可動絞り装置131が動作すると、線源駆動制御部136及び可動絞り装置131の動作状態に基づいて放射線源130から臥位撮影台150に対して放射線Xが照射される照射領域を特定し、特定した照射領域をコンソール42へ通知する。
【0079】
コンソール42は、通知された照射領域を放射線画像を取得すべき関心領域として、当該関心領域の位置を示す位置情報を電子カセッテ10へ送信する。
【0080】
医師や放射線技師は、ディスプレイ100に撮影準備完了すると、コンソール42の操作パネル102に対して撮影開始を指示する撮影開始操作を行う。
【0081】
コンソール42は、操作パネル102に対して撮影開始操作が行なわれると、曝射開始を指示する指示情報を放射線発生装置34及び電子カセッテ10へ送信する。これにより、放射線源130は、放射線発生装置34がコンソール42から受信した曝射条件に応じた管電圧、管電流での放射線の照射が開始される。
【0082】
電子カセッテ10のカセッテ制御部58は、コンソール42から位置情報を受信すると、後述する読出決定処理を実行して読み出し方向及び読み出し順を決定する。そして、カセッテ制御部58は、曝射開始を指示する指示情報を受信すると、ゲート線ドライバ52A、52Bを制御して、決定された読み出し方向及び読み出し順に1ラインずつ順に各ゲート配線40にオン信号を出力させ、各ゲート配線40に接続された各スイッチ素子24を1ラインずつ順にオンさせて画像を読み出すことを繰り返し行い、連続的に画像の読み出しを行う。
【0083】
図12には本実施の形態に係るCPU58Aにより実行される読出決定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートが示されている。なお、当該プログラムはメモリ58B(ROM)の所定の領域に予め記憶されている。
【0084】
同図のステップS10では、検出領域18Aの四辺からの関心領域への距離を特定する。
【0085】
次のステップS12では、検出領域18Aの四辺からの関心領域への距離が最も長い方向を読み出し方向として、距離が最も長くなる辺の反対の辺側から各センサ部36に蓄積された電荷の読み出すよう読み出し方向と読み出し順を決定する。
【0086】
これにより、例えば、図13(A)に示すように、検出領域18Aの四辺S1〜S4からの関心領域18Bのへの距離L1〜L4のうち距離L1が最も長い場合、読み出し方向がA方向となり、距離が最も長くなる辺S1の反対の辺S3側から読み出すように読み出し順が決定される。
【0087】
また、図13(B)に示すように、関心領域18Bの検出領域18Aの四辺S1〜S4からの距離L1〜L4のうち距離L4が最も長い場合、読み出し方向がB方向となり、距離が最も長くなる辺S4の反対の辺S2側から読み出すように読み出し順が決定される。
【0088】
TFT基板26A、26Bの各データ配線42に流れ出した電気信号は信号処理部54A、54Bでデジタルの画像データに変換されて、画像メモリ56に記憶される。
【0089】
カセッテ制御部58は、関心領域18Bの電荷が読み出されたタイミングで画像メモリ56に記憶された画像データをコンソール42へ送信し、残りの領域の画像データについてはコンソール42へ送信せずに削除する。なお、読み取り方向の違いで放射線画像の患部の被写体像の向きが変わってしまうため、カセッテ制御部58は、送信対象の画像データに対して、読み取り方向に応じて被写体像の向きが一定方向となるように放射線画像を回転させる画像処理を行う。これにより、読み取り方向の違いに関わらず、被写体像が一定の向きで表示される。
【0090】
コンソール42は、受信した画像情報に対してシェーディング補正などの各種の補正すると共に、関心領域の画像をトリミングする画像処理を行ない、画像処理後の画像情報をディスプレイ100に表示すると共に、動画像データとしてHDD110に記憶する。
【0091】
すなわち、図14に示すように、電子カセッテ10は、関心領域の電荷が読み出されたタイミングで関心領域までの画像データをコンソール42へ送信し、コンソール42は、電子カセッテ10での残りの領域の電荷の読み出しと並行して、送信された画像データに対する画像処理を行う。
【0092】
このように本実施の形態によれば、関心領域の電荷が読み出されたタイミングで関心領域までの画像データをコンソール42へ送信することにより、撮影後、短時間で画像を表示することができる。
【0093】
また、本実施の形態によれば、図14に示すように検出領域18Aのうち関心領域18B以降の残りの領域の電荷の読み出しと並行してコンソール42で画像処理を行うことにより、図19に示すように検出領域18Aの全ての電荷の読み出して1画像データを生成した後に当該生成した画像データに対する画像処理を行うことを繰り返すことにより動画像を撮影する場合と比較して、1画像に対する処理期間を短縮され、フレームレートを向上させることができるため、滑らかな画像を取得できる。
【0094】
また、本実施の形態によれば、読み取り方向が変わったとしても電荷の読み出しを端部から開始して全ラインを読み出しており、端部以外の中間部分から蓄積された電荷を読み出さないため、電荷の読み出しに係るハードウェアの複雑化を抑えることができる。
【0095】
コンソール42は、操作パネル102に対して撮影終了操作が行なわれると、曝射終了を指示する指示情報を放射線発生装置34及び電子カセッテ10へ送信する。これにより、放射線源130は放射線の照射が停止し、電子カセッテ10は画像の読み出しを終了する。
【0096】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0097】
また、上記の実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明を抽出できる。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0098】
なお、上記実施の形態では、可搬型の放射線撮影装置である電子カセッテ10に適応した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、据置型の放射線撮影装置に適用してもよい。
【0099】
また、上記実施の形態では、連続的に撮影を行うことにより動画像を撮影する透視撮影の場合について、1枚の放射線画像を撮影する静止撮影に適用してもよい。この場合も撮影後、短時間で画像を表示することができる。
【0100】
また、上記実施の形態では、関心領域と検出領域の四辺との距離が最も長い方向を読み出し方向として距離が最も長くなる辺の反対の辺側から各センサ部36に蓄積された電荷の読み出す場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、距離が最も長くなる辺側から各センサ部36に蓄積された電荷の読み出してもよい。この場合も、最初の画像の読み出しで画像を表示が若干遅くなるものの、検出領域の全ての電荷の読み出して画像データを生成し、生成した画像データに対する画像処理を行うことを繰り返す場合と比較して、1画像に対する処理期間を短縮され、フレームレートを向上させることができるため、滑らかな画像を取得できる。
【0101】
また、上記実施の形態では、撮影部21を、図7に示すように、1つのシンチレータ層28の一方の面にTFT基板26Aを配置し、シンチレータ層28の他方の面にTFT基板26Bを配置した構成とした場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図15に示すように、シンチレータ層28の一方側の面にTFT基板26A、28bを積層して配置した構成としてもよい。また、例えば、図16に示すように、TFT基板26A、26Bにそれぞれ個別にシンチレータ層28(28A、28B)を設けて、2つの放射線検出器20A、20Bを積層した構成としてもよい。この場合、2つの放射線検出器20A、20Bを共に表面照射又は裏面照射となるように積層してもよい。図17には、2つの放射線検出器20A、20Bを表面照射となるように積層した場合が示されている。
【0102】
また、上記実施の形態では、撮影部21を、放射線を一度シンチレータ層28で光に変換し、変換した光を光導電層30で電荷に変換して蓄積する間接変換方式の構成とした場合について説明したが、放射線を直接、アモルファスセレン等を用いたセンサ部で電荷に変換して蓄積する直接変換方式の放射線検出器を積層した構成としてもよい。
【0103】
直接変換方式の放射線検出器は、図18に示すように、入射される放射線を変換する放射線変換層の一例として、入射される放射線を電荷に変換する光導電層48が、TFT基板26上に形成されている。
【0104】
光導電層48としては、アモルファスSe、Bi12MO20(M:Ti、Si、Ge)、Bi4M3O12(M:Ti、Si、Ge)、Bi2O3、BiMO4(M:Nb、Ta、V)、Bi2WO6、Bi24B2O39、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、MNbO3(M:Li、Na、K)、PbO、HgI2、PbI2、CdS、CdSe、CdTe、BiI3、GaAs等のうち少なくとも1つを主成分とする化合物などが用いられるが、暗抵抗が高く、X線照射に対して良好な光導電性を示し、真空蒸着法により低温で大面積成膜が可能な非晶質(アモルファス)材料が好まれる。
【0105】
光導電層48上には、光導電層48の表面側に形成され、光導電層48へバイアス電圧を印加するためのバイアス電極49が形成されている。
【0106】
直接変換方式の放射線検出装置では、間接変換方式の放射線検出装置と同様に、光導電層48で発生した電荷を収集する電荷収集電極34がTFT基板26に形成されている。
【0107】
また、直接変換方式の放射線検出装置におけるTFT基板26は、各電荷収集電極34で収集された電荷を蓄積する電荷蓄積容量35を備えている。この各電荷蓄積容量35に蓄積された電荷が、スイッチ素子24によって読み出される。
【0108】
また、上記実施の形態では、放射線発生装置34の可動絞り装置54により放射線の照射領域を限定し、コンソール42が当該照射領域を関心領域として電子カセッテ10に通知することにより、電子カセッテ10は関心領域の位置情報を取得する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、電子カセッテ10が撮影の初期段階で検出領域18Aの全領域で画像を読み取り、読み取った画像から放射線が照射された照射領域を特定することにより、関心領域の位置情報を取得してもよい。この際、放射線発生装置34は関心領域を検出させるために、放射線量を抑えたプレ曝射を行うようにしてもよい。照射領域は、画像の各画素の画素値を放射線が照射されたことを示す所定のしきい値と比較することにより特定してもよい。また、撮影条件として撮影部位が指定される場合は、記憶部58Cに各種の撮影部位の特徴を示すパターン画像を予め記憶させておき、カセッテ制御部58は撮影された放射線画像と指定された撮影部位に応じたパターン画像とのパターンマッチングを行って撮影部位が位置する領域を特定し、特定した領域を関心領域としてもよい。
【0109】
また、上記実施の形態では、コンソール42において画像処理が行われる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、カセッテ制御部58はにおいて画像処理を行うものとしてもよい。
【0110】
また、上記実施の形態では、使用しない撮影系から電荷を読み出さない場合について説明したが、これに限定されるものではなく、使用しない撮影系でも電荷を読み出しを行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0111】
10 電子カセッテ
12 撮影システム
18B 関心領域
18A 検出領域
20、20A、20B 放射線検出器
21 撮影部
36 センサ部
37 画素
42 コンソール
52A、52B ゲート線ドライバ(生成手段)
54A、54B 信号処理部(生成手段)
58 カセッテ制御部(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線又は当該放射線が変換された光が入射することにより電荷を発生すると共に当該発生した電荷を蓄積するセンサ部が一方向及び当該一方向に対する交差方向に対して辺が延びた四辺形状の検出領域に対応して2次元状にそれぞれ設けられ、各センサ部に蓄積された電荷の読み出し方向が前記一方向及び前記交差方向と互いに交差する2つの撮影系を有する撮影部と、
前記撮影部の2つの撮影系から各々個別に各センサ部に蓄積された電荷を電気信号として読み出し、当該電気信号に基づいて放射線画像を示す画像情報を生成する生成手段と、
前記検出領域内における関心領域の位置を示す位置情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された位置情報に基づいて前記関心領域の前記検出領域の四辺からの距離を特定し、前記関心領域と前記四辺との距離が最も長い方向を読み出し方向とするように前記生成手段を制御する制御手段と、
を備えた放射線撮影装置。
【請求項2】
前記生成手段は、読み出し方向の一端側及び他端側の何れからも各センサ部に蓄積された電荷の読み出しが可能とされ、
前記制御手段は、前記関心領域と前記四辺との距離が最も長い方向を読み出し方向として当該距離が最も長くなる辺の反対の辺側から各センサ部に蓄積された電荷の読み出すように前記生成手段を制御する
請求項1記載の放射線撮影装置。
【請求項3】
前記生成手段により生成される画像情報に対して所定の画像処理を行う画像処理手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記関心領域の電荷が読み出されたタイミングで画像処理を開始するように画像処理手段を制御する
請求項1又は請求項2記載の放射線撮影装置。
【請求項4】
前記撮影部は、放射線が照射されることにより光が発生する発光層、及び当該発光層に発生した光を受光することにより電荷が蓄積されると共に当該電荷を読み出すためのスイッチ素子が形成され、一方に対して他方を90度回転させた2つの基板が積層されて構成された
請求項1〜請求項3の何れか1項記載の放射線撮影装置。
【請求項5】
前記撮影部は、前記2つの基板に対応して前記発光層が2つ設けられた
請求項4記載の放射線撮影装置。
【請求項6】
前記検出領域に対して放射線が照射される領域を制限する制限手段をさらに備え、
前記関心領域を、放射線が照射される照射領域とした
請求項1〜請求項5の何れか1項記載の放射線撮影装置。
【請求項7】
前記検出領域の撮影部位が配置された領域を特定する特定手段をさらに備え、
前記関心領域を、特定手段により特定される撮影部位の配置領域とした
請求項1〜請求項5の何れか1項記載の放射線撮影装置。
【請求項8】
前記制御手段は、動画撮影を行う場合、前記生成手段による画像の生成を連続的に繰り返すように制御する
請求項1〜請求項7の何れか1項記載の放射線撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−250901(P2011−250901A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125312(P2010−125312)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】