説明

放射線検出装置

【課題】利便性の高い放射線検出装置を提供する。
【解決手段】放射線検出装置10は、携帯電話20、光学モジュール11、演算手段22、および報知手段23を備える。携帯電話20は、カメラ21および表示画面24を有する。光学モジュール11は、携帯電話20に設けられ、携帯電話20と分離可能である。演算手段22は、放射線の等価線量の計測評価を行う。報知手段23は、放射線の等価線量や放射線のエネルギースペクトルなどの演算結果を携帯電話20の表示画面24に動的に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すような個人用携帯型簡易放射線量計が知られている。特許文献1に記載の筆型放射線量計は、ホウ素でコーティングされた小型電離室を備え、この室内には石英ファイバーがクリップに置かれ、筆内には尺度目盛りを有する顕微鏡が設けられる。この筆型簡易放射線量計は、α粒子、β粒子やγ線などの放射性粒子を受けると、γ線、α粒子、β粒子等の放射粒子がホウ素原子に衝突し電子を生じる。そして、電子が石英ファイバーに衝突すると、クリップ上の石英ファイバーが移動し、顕微鏡の目盛りを用いて石英ファイバーの変位量を視認できる。すると、その相対放射線量を知ることができる。
【0003】
また、特許文献2に開示された手持型高感度ガマン放射線検知装置、特許文献3に開示された電子式個人放射線量計の簡易設計方法と装置、特許文献4に開示された携帯型電離放射線のエネルギースペクトルの解析器の設計方法と装置、及び特許文献5に開示されたポータブル式放射検知及びエネルギースペクトル解析の方法などの発明が挙げられる。
特許文献3の発明は、1個のシリコン製のフォトダイオードのみを必要とするが、単独式部品であるフォトダイオードの検出角度範囲が制限され、かつ外部電源が必要とする。この発明に基づいて製造された非特許文献1には、IrRa赤外線通信が明記されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第2638553号明細書
【特許文献2】台湾実用新案公告第258342号明細書
【特許文献3】台湾特許公告第I244556号明細書
【特許文献4】台湾特許公告第300959号明細書
【特許文献5】台湾特許公告第I321221号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】台湾原子力委員会核エネルギー研究所の筆型線量計「DOSEPEN−2000」の簡易取扱説明付き型録
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載の筆型簡易放射線量計を使用する際には電源の必要はないが、この筆型簡易放射線量計を毎回使用するたびに、石英ファイバーをリセットする必要がある。リセットする時には、この筆型簡易放射線量計を高電圧充電器に放置することによって電離室を放電させて石英ファイバーを初期位置に戻す。よって、携帯性を有するが、使用上の利便性が十分とはいえない。
【0007】
また、特許文献2〜5に記載の発明のいずれもポータブル式製品ではあるが、その欠点として、専属の機器製品のいずれも電池電源の供給を必要とし、かつ測定用プローブヘッドが光電子増倍管であり、高電圧電源を必要とするため、回路の組み立てと製作との複雑度が高い。
さらに、非特許文献1に記載の発明は、通信信号をデコードするために専用システムが必要であることから、他人に速やかに通報することを望んだ場合には、普及性が十分とはいえない。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、利便性の高い放射線検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による放射線検出装置は、移動電気機器、光学モジュール、演算手段、および報知手段を備える。移動電気機器は、画像取得装置および表示画面を有する。光学モジュールは、移動電気機器に設けられ、移動電気機器と分離可能である。演算手段は、放射線の等価線量の計測評価を行う。報知手段は、放射線の等価線量や放射線のエネルギースペクトルなどの演算結果を移動電気機器の表示画面に動的に表示する。
【0009】
画像取得装置は、例えば携帯電話やノートPCなどの移動電気機器に内蔵されたカメラが用いられ、分離可能な光学モジュールから出射する光子の画像を取得する。本発明は、画像処理技術を利用すること及び人々が持ち歩き可能な移動電気機器を利用することに着目してなされたものである。移動電気機器の画像感知器は、放射検知器の代わりとして働いていることから、別途電源を使用する必要がなく、移動電気機器本来の機能に影響せず、かつ光子の影像を1回で取得することもできる。また、従来の伝統的な放射検知機器の価格が高い、体積が大きい、メンテナンスコストが高いなどの問題を解決することができ、簡単に操作を行うことができる。また、画像処理を介して被測定物と地域との放射線の等価線量或いは放射線のエネルギースペクトルをすぐ知らせることができる。さらに、移動電気機器の外形と機能を変更する必要なく、放射線量を検知することができる。本発明は、移動電気機器を使用して放射粒子の強度の放射線量を検出するための演算を実現している。高エネルギー粒子が光室により包囲された変換媒質に入射し、可視光に生成された後、移動電気機器に内蔵されたカメラに入射することによって光子の画像を取得する。それから画像処理演算法により、総和法、平均法或いはヒストグラム法を用いて放射粒子の強度の放射線量を演算して算出する。使用者は、移動電気機器を用い、マンマシンインターフェースのプログラムを利用することにより、簡単かつ速やかに周囲の環境或いは被測定物の放射強度を知ることができる。また、移動電気機器の表示画面に表示されたエネルギースペクトルを知ることができる。そのため、他の電源の使用や高電圧維持装置の専用測定機器の使用が不要になり、利便性を高めることができる。
【0010】
また、本発明は、速やかに通報する伝送機能を発揮することができる。例えば、移動電気機器としてカメラ付携帯電話を適用する場合、移動電気機器上の画像手段、GPS通信伝送機能と報知機能を利用することによって移動電気機器本来のソフトウェア・ハードウェア機能及び撮像機能を変える必要なく、不可視の粒子による放射線量を検出評価することができる。例えば、不可視の粒子が積分球光室装置内に変換媒質が含まれた分離可能な光学モジュールに入射ると、可視光に変換するとともに、複数回反射と散乱反射を繰り返した後、分離可能な光学モジュールの光出射口を通過して出射する。そして、移動式装置である移動電気機器の画像取得装置に入射し、画素輝度総和手段と、画素輝度総和比較手段と、画素輝度平均手段と、画素輝度ヒストグラム手段と、放射検知器効率と等価線量変換手段を介して、放射線の等価線量や放射線のエネルギースペクトルを演算して算出する。それから、検知座標点の情報、時間、放射線の等価線量或いは放射線のエネルギースペクトルの情報を移動電気機器の表示画面に表示させる。また、表示された放射線の等価線量または放射線のエネルギースペクトルの定量化情報を無線構内通信網が提供された通信機構を介して、検知座標点の情報、時間、放射線の等価線量或いは放射線のエネルギースペクトルの定量化情報をクラウドリモートシステムのデータベースに格納することができる。
【0011】
移動電気機器としてカメラ付携帯電話が適用される場合、移動電気機器の使用者は、別途電源を利用する必要なく、移動電気機器の機能を変えず、被測定物と座標地点との放射線の等価線量或いは放射線のエネルギースペクトルの情報を得ることができる。また、本発明の利用の対象としては、電気通信事業者、測定機器製造業者、および携帯電話事業者などが挙げられ、使用者に直接販売することも可能であるから、産業上の利用可能性が高い。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、従来の放射検知機器のような高価格、体積が大きい、メンテナンスコストが高いという問題を解消するものであり、使用者が特別な教育訓練を受けることなく簡単に操作可能である利点がある。また、画像処理を介して被測定物と地域との放射線の等価線量或いは放射線のエネルギースペクトルをすぐ知らせることができる。さらに、移動電気機器の外形と機能を変更する必要なく、放射線量を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態による放射線検出装置の模式図。
【図2】本発明の一実施形態による放射線検出装置の光学モジュールを示す模式図。
【図3】本発明の一実施形態による放射線検出装置の放射線の等価線量の計測方法の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の一実施形態による放射線検出装置は、例えば、移動電気機器としてカメラ付携帯電話を使用し、放射線量を検出する。
図1に示すように、本実施形態の放射線検出装置10は、移動電気機器としての携帯電話20、光学モジュール11、演算手段22、および報知手段23を備える。
携帯電話20は、表示画面24、画像取得装置としてのカメラ21、記憶装置としてのメモリ26、および無線通信手段としてのアンテナ25を有する。
【0015】
光学モジュール11は、有底円筒状の光室1および吸着部4を有する。光室1は、特許請求の範囲における「容器」に対応する。光室1の内壁面上に、1層の硫酸バリウムを含む光反射物質2がコーティングされている。光室1の内部には、BGOやNaI(Tl)などのシンチレータ結晶材料を含む変換媒質結晶3が充填されている。シンチレータ結晶材料は、表面にわたってバフ磨きを施されることができる。吸着部4は、光室1の底部とは反対側の開口に設けられ、磁石或いは接着剤などのような吸着材料で構成された円環状に形成される。吸着部4は、中央部に穴が形成されている。吸着部4の変換媒質結晶に対する面には、1層の硫酸バリウムを含む光反射物質がコーティングされる。よって、光室1および吸着部4は、吸着部4の中央に光出射口6が形成される密封型の積分球光室装置を形成する。ガンマ線(γ)などの不可視の粒子(5)は、光室1内の変換媒質結晶3に入射すると、可視の粒子に変換され、複数回反射と散乱反射を繰り返し、光出射口6を通過して出射する。光学モジュール11は、吸着材料4により携帯電話20のカメラ21と簡単に接続することができる。不可視の粒子が光室1を通過して変換媒質結晶3に入射すると、可視光に変換するとともに、光出射口6から出射し、携帯電話20のカメラ21に入射する。携帯電話20のカメラ21のレンズを用いて1枚の光子のデジタル画像を取得する。
【0016】
演算手段22および報知手段23は携帯電話20に設けられている。
演算手段22は、画像輝度総和比較手段、および、放射検知器効率変換手段を有する。画像輝度総和比較手段は、携帯電話20のカメラ21を介して取得する光子のデジタル画像における全ての画素(P)の輝度値(intensity,I)を検出する。そして、全ての画素の輝度値Iを積算して得られた総和(ITOT)が最低有効輝度値(Imin)より低い場合、光子のデジタル画像を再取得し、全ての画素の輝度値の総和(ITOT)が最低有効輝度値(Imin)より高くなるまで、全てのデジタル画像の画素の輝度値を積算し続ける。放射検知器効率変換手段は、デジタル画像の画素の輝度値の総和、平均値、ヒストグラムを計算するために、画素の輝度値の総和および画素の輝度値の平均値から実際計測した放射線の等価線量の総和および放射線の等価線量の平均値に換算し、放射線の計数ヒストグラムを実際に受けた放射線のエネルギースペクトルとすることができる。演算手段22の放射線の等価線量の計測方法の実施手順に係る解析方法については、図3に示すように、画素輝度総和手段、画素輝度総和比較手段、画素輝度平均手段、画素輝度ヒストグラム手段、および、放射検知器効率と等価線量変換手段を用いる。
【0017】
本実施形態では、画素輝度総和手段、画素輝度総和比較手段、画素輝度平均手段、画素輝度ヒストグラム手段、および放射検知器効率と等価線量変換手段のうち少なく1つの手段を用いて前述した方法に基づいて、放射線の等価線量の総和、放射線の等価線量の平均値、及び放射線のエネルギースペクトルを得るように換算を行うことができる。
【0018】
画素輝度総和手段は、2次元のデジタル画像のサイズがM×Nとし、M、Nはいずれも正の整数であり、デジタル画像の座標(x,y)に位置する任意の1つの画素Pi(x,y)の輝度値がIiとし、以下に示す数式1によって輝度値Iiを求め、以下に示す数式2によってデジタル画像における全ての画素の輝度値の総和(ITOT)を求める。
【数1】

(ここで、GrayScale(P(x,y))は、画素の輝度関数である。)
【数2】


【0019】
画素輝度総和比較手段は、全ての画素(P)の輝度値(intensity,I)を検出して、全ての画素の輝度値を積算して得られた総和(ITOT)が最低有効輝度値(Imin)より低い場合、光子のデジタル画像を再取得し、全ての画素の輝度値の総和(ITOT)が最低有効輝度値(Imin)より高くなるまで、全てのデジタル画像の画素の輝度値を積算し続ける。
【0020】
画素輝度平均手段は、以下に示す数式3によってデジタル画像における全ての画素の輝度値の平均値(IAVG)を求めることができる。
【数3】

【0021】
画素輝度ヒストグラム手段は、1次元の関数であるヒストグラムmiを用いて各輝度値の累積画素個数を計算して全ての画素の輝度値の総和(ITOT)を以下に示す数式4で表す。
【数4】


(ここで、Kは輝度値を分類した種類別の数量であり、デジタル画像におけるその範囲が0〜255である。)
【0022】
放射検知器効率と等価線量変換手段は、測定しようとする電離放射線に対して絶対測定を行う場合、特定的な電離放射線の標準校正によって放射線源を校正してから、輝度値から等価線量の結果に換算することができる。人体の組織の等価線量Em(シーベルト)を以下に示す数式5により算出する。
【数5】


(ここで、Cedは検知器の等価線量の変換パラメタであり、GFは特定放射線源から検知器まで、距離、遮蔽や放射線源の材質などを含む幾何パラメタであり、SRは特定放射線源から放射された放射強度(単位:count)であり、tcは計測時間(単位:秒或いは分)であり、Cは検知器がtc時間内に受けた特定電離放射線の係数(単位:count per second,cps 或いはcount per minute,cpm)である。)
また、Cを以下に示す数式6により算出する。
【数6】


(ここで、εIRは輝度≡放射計数パラメタであり、Iは画素の輝度値である。)
等価線量Emは、標準的な放射線源により校正され、以下に示す数式(7)によりE(シーベルト)に修正される。
【数7】


(ここで、Fecは効率の校正パラメタである。)
【0023】
放射線の等価線量の総合ETOT(シーベルト)は以下に示す数式8によって算出される。
【数8】

【0024】
放射線の等価線量の平均値EAVG(シーベルト)は以下に示す数式9により算出される。
【数9】

【0025】
放射線のエネルギースペクトルは、以下に示す数式10に示す輝度ヒストグラムにより、放射線のエネルギースペクトルに変換可能である。
【数10】


(ここで、keは放射計数値を分類した種類別の値であり、その範囲は0〜(255×εIR)であり、その単位はcps或いはcpmである。)
【0026】
以上のように演算して算出された放射線の等価線量や放射線のエネルギースペクトルなどの演算結果を携帯電話20の表示画面24に表示させるとともに、音声で使用者に放射線の等価線量の定量化情報とエネルギースペクトルの情報を報知する。当該定量化情報はファイルとしてメモリ26記憶することができる。記憶されたファイルには、検出地の位置情報、時間、放射線の等価線量或いは放射線のエネルギースペクトルの情報が含まれる。また、記憶されたファイルを開いて携帯電話20の表示画面24に表示することができる。さらに、無線通信手段としてのアンテナ25を介して、検出地の位置情報、時間、放射線の等価線量の定量化情報或いは放射線のエネルギースペクトルの情報をクラウドリモートシステムのデータベースに送信することができる。
【0027】
上述の実施形態では、光室が有底円筒状である例を示したが、光室を直方形状にすることとしても良い。
上述の実施形態では、移動電気装置として形態電話を用いる例を示した。これに対し、移動電気装置としてカメラ付のノートパソコンまたはデジタルカメラ等、中に本発明の演算手段がインストールされたら、本発明の特許請求範囲に含まれるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、分離可能な光学モジュール及び画像処理技術を用い、人々が持ち歩き可能の携帯電話などの移動電気装置に着目してなされたものであって、さらに携帯電話の画像取得装置を、放射検知器の代わりとして用いることから、別途の電源を使用する必要がなく、携帯電話本来の機能に影響せず、光子の影像を1回で取得することができる。そして、従来の放射線検出装置の価格が高い、体積が大きい、メンテナンスコストが高い等の問題点を解消することができる。また、使用者は、特別な教育訓練を受けず、簡単に操作を行うことができる。さらに、画像処理を介して被測定物と地域との放射線の等価線量或いは放射線のエネルギースペクトルをすぐ知らせることができる。そして、携帯電話の外形と機能を変更する必要なく、放射線量を検知することができる。
【符号の説明】
【0029】
10・・・放射線検出装置、
20・・・携帯電話、
11・・・光学モジュール、
22・・・演算手段、
23・・・報知手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像取得装置および表示画面を有する移動電気機器と、
前記移動電気機器に設けられ、前記移動電気機器と分離可能な光学モジュールと、
放射線の等価線量の計測評価を行う演算手段と、
放射線の等価線量や放射線のエネルギースペクトルなどの演算結果を前記移動電気機器の前記表示画面に動的に表示する報知手段と、を備えることを特徴とする放射線検出装置。
【請求項2】
前記移動電気機器は前記表示画面に対応する特定インターフェースを有し、
前記特定インターフェースは、アクセスボタンおよび退出ボタンを有し、
前記アクセスボタンを選択すると、前記表示画面に操作手順案内画面が表示され、操作手順に従うよう使用者に知らせ、前記移動電気機器の前記画像取得装置が起動され、前記操作手順案内画面から退出する操作手順案内画面退出ボタンが表示され、
前記移動電気機器の前記画像取得装置が起動され、光子のデジタル画像の撮影が行われた後、放射線の等価線量の計測評価・演算・検知し、指で前記移動電気機器の前記表示画面をタッチして動作可能なヒューマンマシンインターフェースの画面が表示され、画像処理演算法を実行する計算ボタンが表示され、
前記計算ボタンを選択し前記画像処理演算法を実行した後に、放射線の等価線量または放射線のエネルギースペクトルの定量化の情報を前記移動電気機器の前記表示画面に表示し、再検出を行う再検出符号ボタン、および、退出ボタンが表示されることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項3】
前記分離可能な光学モジュールは、有底筒状に形成される容器、および、前記容器の底部とは反対側の開口に設けられる吸着部を有し、
前記容器の内壁面には、硫酸バリウムを含む光反射物質がコーティングされ、
前記容器の内部空間には、シンチレータ結晶材料を含む変換媒質結晶が充填され、前記シンチレータ結晶材料は表面にわたってバフ磨きが施されることが可能であり、
前記吸着部は、中央に穴を有する円環状に形成され、前記変換媒質結晶に対向する面には、光反射物質がコーティングされ、
前記容器および前記吸着部は、前記吸着部の中央に光出射口が形成される密封型の積分球光室装置を構成し、
ガンマ線のような不可視の粒子が前記容器の壁を通過し、前記変換媒質結晶に入射すると、可視光に変換するとともに、前記積分球光室装置内に複数回反射と散乱反射を繰り返した後、前記光出射口を通過して前記移動電気機器の前記画像取得装置に入力されることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項4】
前記演算手段は、画像輝度総和比較手段、および、放射検知器効率変換手段を有し、
前記画像輝度総和比較手段は、前記画像取得装置のレンズを介して取得する光子のデジタル画像の全部画素(P)の輝度値(I)を検出し、全部画素の輝度値を積算して得られた総和(ITOT)が最低有効輝度値(Imin)より低い場合、光子のデジタル画像を再取得し、全ての画素の輝度値の総和(ITOT)が最低有効輝度値(Imin)より高くなるまで、全てのデジタル画像の画素の輝度値を積算し続き、
前記放射検知器効率変換手段は、画素の輝度値の総和および画素の輝度値の平均値から実際計測した放射線の等価線量の総和および放射線の等価線量の平均値に換算し、放射線の計数ヒストグラムを実際に受けた放射線のエネルギースペクトルとすることが可能であることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項5】
前記演算手段は、2次元のデジタル画像のサイズがM×Nとし、M、Nはいずれも正の整数であり、デジタル画像の座標(x,y)に位置する任意の1つの画素Pi(x,y)の輝度値がIiとし、以下に示す数式1によって輝度値Iiを求め、以下に示す数式2によってデジタル画像における全ての画素の輝度値の総和(ITOT)を求める画素輝度総和手段をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の放射線検出装置。
【数1】


(ここで、GrayScale(P(x,y))は、画素の輝度関数である。)
【数2】


【請求項6】
前記演算手段は、以下に示す数式3によってデジタル画像における全ての画素の輝度値の平均値(IAVG)を求める画素輝度平均手段をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の放射線検出装置。
【数3】

【請求項7】
前記演算手段は、1次元の関数であるmiを用いて各輝度値の累積画素個数を計算して全ての画素の輝度値の総和(ITOT)を以下に示す数式4で表す画素輝度ヒストグラム手段をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の放射線検出装置。
【数4】



(ここで、Kは輝度値を分類した種類別の数量であり、デジタル画像におけるその範囲が0〜255である。)
【請求項8】
前記放射検知器効率変換手段は、計測しようとする電離放射線に対して絶対測定を行う放射検知器効率と等価線量変換手段を有し、
前記放射検知器効率と等価線量変換手段は、特定的な電離放射線の標準校正によって放射線源を校正してから、輝度値から等価線量の結果に換算し、人体の組織の等価線量Em(シーベルト)を以下に示す数式5により算出し、
【数5】


(ここで、Cedは検知器の等価線量の変換パラメタであり、GFは特定放射線源から検知器まで、距離、遮蔽や放射線源の材質などを含む幾何パラメタであり、SRは特定放射線源から放射された放射強度(単位:count)であり、tcは計測時間(単位:秒或いは分)であり、Cは検知器がtc時間内に受けた特定電離放射線の係数(単位:count per second,cps 或いはcount per minute,cpm)である。)
Cを以下に示す数式6により算出し、
【数6】


(ここで、εIRは輝度≡放射計数パラメタであり、Iは画素の輝度値である。)
等価線量Emは、標準的な放射線源により校正され、以下に示す数式(7)によりE(シーベルト)に修正されることを特徴とする請求項4に記載の放射線検出装置。
【数7】


(ここで、Fecは効率の校正パラメタである。)
【請求項9】
前記放射線の等価線量の総合ETOT(シーベルト)は以下に示す数式8により算出されることを特徴とする請求項4または請求項8に記載の放射線検出装置。
【数8】

【請求項10】
前記放射線の等価線量の平均値EAVG(シーベルト)は以下に示す数式9により算出されることを特徴とする請求項4または請求項8に記載の放射線検出装置。
【数9】

【請求項11】
前記放射線のエネルギースペクトルは、以下に示す数式10に示す輝度ヒストグラムにより、放射線のエネルギースペクトルに変換可能であることを特徴とする請求項4または請求項8に記載の放射線検出装置。
【数10】


(ここで、keは放射計数値を分類した種類別の値であり、その範囲は0〜(255×εIR)であり、その単位はcps或いはcpmである。)
【請求項12】
前記移動電気機器は記憶装置をさらに有し、
前記報知手段は、放射線の等価線量または放射線のエネルギースペクトルの定量化情報を表示し、前記定量化情報に応じて、放射線の等価線量が安全値以上であるか否かを拡散円形パターンで点滅表示し、放射線の等価線量が安全値以上である情報を音声で使用者に知らせ、前記定量化情報を前記移動電気機器の前記記憶装置に記憶することを特徴とする請求項1に記載の放射線検出装置。
【請求項13】
前記記憶装置に記憶された前記定量化情報は、検出地の位置情報、時間、放射線の等価線量或いは放射線のエネルギースペクトルの情報を含み、
前記移動電気装置は、無線通信手段を有し、当該無線通信手段を介して、前記移動電気装置の前記表示画面に表示される前記定量化情報をクラウドリモートシステムのデータベースに伝送することを特徴とする請求項12に記載の放射線検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−233892(P2012−233892A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−98597(P2012−98597)
【出願日】平成24年4月24日(2012.4.24)
【出願人】(512107846)財團法人國家實驗研究院 (1)
【氏名又は名称原語表記】NATIONAL APPLIED RESEARCH LABORATORIES
【Fターム(参考)】