説明

放射線治療装置制御方法および放射線治療装置制御装置

【課題】被検体の位置をより高精度に調整すること。
【解決手段】異なる2つの計画時断面画像62、63から2つのテンプレート画像72、73をそれぞれ算出するテンプレート算出部と、複数の治療時断面画像から複数のテンプレート画像72、73にそれぞれ最も類似する2つの検出領域を検出するマッチング部と、その複数の検出領域が検出される位置に基づいて被検体を位置合わせするカウチ制御部とを備えている。このような放射線治療装置制御装置は、その複数の治療時断面画像が映す断面に平行な回転軸x、yを中心に回転する回転ずれをより高精度に算出することができ、被検体を高精度に位置合わせすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線治療装置制御方法および放射線治療装置制御装置に関し、特に、人体内部の腫瘍患部を放射線治療(粒子線治療を含む)するときに利用される放射線治療装置制御方法および放射線治療装置制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍患部に治療用放射線を曝射することにより患者を治療する放射線治療が知られている。その放射線治療を実行する放射線治療装置は、カウチに横臥する患者のX線画像を撮像するイメージャシステムと、その患者に治療用放射線を曝射する治療用放射線照射装置とを備えている。その放射線治療装置は、事前に撮影された患者のCT画像とそのイメージャシステムにより直前に撮影されたその患者のX線画像とに基づいてその患者の患部が所定の位置に配置されるようにそのカウチが位置調整された後に、その治療用放射線照射装置によりその患部に治療用放射線を曝射する。その放射線治療では、その患者の患部をより高精度に所定の位置に配置することが望まれている。
【0003】
特開2008−43736号公報には、医用画像の位置合わせに掛かる時間の短縮を図りつつ、位置合わせを高い精度で行うことが可能な医用画像処理装置が開示されている。その医用画像処理装置は、2つの医用画像のボリュームデータの位置合わせを行う医用画像処理装置であって、各ボリュームデータに基づいて医用画像のランドマークを設定する設定手段と、各ボリュームデータについて、前記ランドマークの位置関係を示す位置関係情報を生成する生成手段と、前記位置関係情報に基づいて、前記ランドマークのうちの幾つかを除外し、前記除外後に残った2つの医用画像のランドマークを互いに対応付ける対応付け手段と、前記ランドマークの対応付けに基づいて、2つのボリュームデータの位置合わせを行う位置合わせ手段と、を備える、ことを特徴としている。
【0004】
特許第3825384号公報には、放射線の照射対象を放射線照射範囲内に容易に位置決めすることのできる放射線治療装置が開示されている。その放射線治療装置は、放射線とレーザ光線とを同軸に出射する放射線発生装置と、前記放射線の中心軸が患者に入射する位置を示し照射対象に対する方位が設定された少なくとも3つの体表面マーキングと、前記放射線と前記レーザ光線が同軸に出射される照射軸が1点で交わるようにアイソセンタを中心に所定の距離の半径の軌道に沿って前記放射線発生装置を円弧移動させるガイドと、前記放射線発生装置の前記ガイドに沿う円弧移動の回転軸と前記アイソセンタにおいて交差する傾倒軸を中心に前記ガイドを回転させる支持部材と、前記放射線発生装置を前記ガイドに沿って移動する可動部材と、同可動部材を用いて設定された各方位から投影されるレーザ光線に対応する前記体表面マーキングが一致するように、患者を移動させるスライドボードと、前記アイソセンタとこの近傍に配置される前記放射線の照射対象とを含む範囲の透視画像の情報を検出する検出器と、前記検出器が複数の方位でそれぞれ検出した複数の前記透視画像の情報と前記アイソセンタに対して前記透視画像を検出した方位の情報とを基に前記アイソセンタの位置と前記照射対象の位置との相対位置関係を演算する解析装置と、前記相対位置関係を基に前記放射線発生装置を移動させる制御装置とを備えることを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−43736号公報
【特許文献2】特許第3825384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、被検体の位置をより高精度に調整する放射線治療装置制御方法および放射線治療装置制御装置を提供することにある。
本発明の他の課題は、被検体の位置をより高速に調整する放射線治療装置制御方法および放射線治療装置制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、発明を実施するための形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0008】
本発明による放射線治療装置制御方法は、被検体(43)の互いに異なる複数の計画時断面(61−1〜61−n)をそれぞれ映す複数の計画時断面画像(71−1〜71−n)に基づいて複数のテンプレート画像(72、73、74−1〜74−m、75)を算出するステップと、被検体(43)の互いに異なる複数の治療時断面をそれぞれ映す複数の治療時断面画像(81−1〜81−N)から複数のテンプレート画像(72、73、74−1〜74−m、75)にそれぞれ最も類似する複数の検出領域(82、83、84−1〜84−m、85)を検出するステップと、複数の治療時断面画像(81−1〜81−N)のうちの複数の検出領域(82、83、84−1〜84−m、85)がそれぞれ検出される複数の検出断面画像(65、66−1〜66−m、67、68)と複数の検出領域(82、83、84−1〜84−m、85)が複数の検出断面画像(65、66−1〜66−m、67、68)にそれぞれ配置される複数の検出位置(86、87、88−1〜88−m、89)とに基づいて、被検体(43)が配置されるカウチ(41)のずれ量を算出するステップとを備えている。
【0009】
複数のテンプレート画像(72、73、74−1〜74−m、75)は、複数の計画時断面画像(71−1〜71−n)のうちの第1計画時断面画像(62)の一部から形成される第1テンプレート画像(72)と、複数の計画時断面画像(71−1〜71−n)のうちの第1計画時断面画像(62)と異なる第2計画時断面画像(63)の一部から形成される第2テンプレート画像(73)とを含んでいる。複数の治療時断面画像(81−1〜81−N)は、被検体(43)を透過した放射線に基づいて撮影された複数の透過画像に基づいて算出されたものである。このような放射線治療装置制御方法によれば、複数の計画時断面(61−1〜61−n)の法線方向(z)に平行でない回転軸(x、y)を中心に回転する回転ずれをより高精度に算出することができ、被検体(43)を高精度に位置合わせすることができる。
【0010】
複数の検出領域(82、83、84−1〜84−m、85)のうちの第1テンプレート画像(72)に最も類似する第1検出領域(82)が複数の治療時断面画像(81−1〜81−N)のうちの第1治療時断面画像(65)から検出されたときに、第2テンプレート画像(73)に最も類似する第2検出領域(83)は、複数の治療時断面画像(81−1〜81−N)のうちの第1治療時断面画像(65)と異なる第2治療時断面画像(67)から検出される。このとき、その複数の治療時断面のうちの第1治療時断面画像(65)により映し出される第1治療時断面とその複数の治療時断面のうちの第2治療時断面画像(67)により映し出される第2治療時断面との距離は、複数の計画時断面(61−1〜61−n)のうちの第1計画時断面画像(62)により映し出される第1計画時断面と複数の計画時断面(61−1〜61−n)のうちの第2計画時断面画像(63)により映し出される第2計画時断面との距離に等しいことが好ましい。
【0011】
複数の計画時断面(61−1〜61−n)は、その第1計画時断面とその第2計画時断面との間に配置される第3計画時断面を含んでいる。複数のテンプレート画像(72、73、74−1〜74−m、75)は、さらに、複数の計画時断面画像(71−1〜71−n)のうちのその第3計画時断面を映す第3計画時断面画像の一部から形成される第3テンプレート画像(74−1〜74−m)を含んでいる。その複数の治療時断面は、その第1治療時断面とその第2治療時断面との間に配置される第3治療時断面を含んでいる。このとき、第3テンプレート画像(74−1〜74−m)に最も類似する第3検出領域(84−1〜84−m)は、第1治療時断面画像(65)に第1検出領域(82)が配置される第1検出位置(86)に基づいて複数の治療時断面画像(81−1〜81−N)のうちのその第3治療時断面を映す第3治療時断面画像から検出される。第2検出領域(83)は、第1検出位置(86)とその第3治療時断面画像に第3検出領域(84−1〜84−m)が配置される第3検出位置(88−1〜88−m)とに基づいて第2治療時断面画像(67)から検出される。その第1治療時断面とその第3治療時断面との距離は、その第1計画時断面とその第3計画時断面との距離に等しいことが好ましい。このような放射線治療装置制御方法によれば、第3検出位置(88−1〜88−m)に独立に第2検出領域(83)を検出することに比較して、第2治療時断面画像(67)から第2検出領域(83)をより高速に検出することができる。この結果、このような放射線治療装置制御方法によれば、複数の計画時断面(61−1〜61−n)の法線方向(z)に平行でない回転軸(x、y)を中心に回転する回転ずれをより高速に算出することができる。
【0012】
複数のテンプレート画像(72、73、74−1〜74−m、75)は、さらに、複数の計画時断面画像(71−1〜71−n)のうちの第4計画時断面画像(62)の一部から形成される第4テンプレート画像(75)を含んでいる。第4計画時断面画像(62)に第4テンプレート画像(75)が配置される位置(79)は、第1計画時断面画像(62)に第1テンプレート画像(72)が配置される位置(76)と異なる。このような放射線治療装置制御方法によれば、複数の計画時断面(61−1〜61−n)の法線方向(z)に平行である回転軸を中心に回転する回転ずれをより高精度に算出することができる。
【0013】
第4計画時断面画像(62)は、第1計画時断面画像(62)であることが好ましい。
【0014】
本発明による放射線治療装置制御方法は、その複数の治療時断面と異なる中間スライス治療時断面を映す中間スライス治療時断面画像をその複数の治療時断面に基づいて算出するステップと、その中間スライス治療時断面画像から第1テンプレート画像(72)に最も類似する中間スライス検出領域を検出するステップとをさらに備えている。このとき、そのずれ量は、その中間スライス検出領域がその中間スライス治療時断面画像に配置される検出位置にさらに基づいて算出される。このような放射線治療装置制御方法によれば、複数の計画時断面(61−1〜61−n)の法線方向(z)に平行に平行移動するずれをより高精度に算出することができる。
【0015】
本発明による放射線治療装置制御方法は、複数の検出断面画像(65、66−1〜66−m、67、68)と複数の検出位置(86、87、88−1〜88−m、89)とに基づいて第1ずれ量を算出するステップと、その第1ずれ量に基づいて治療時3次元ボクセルデータから計画時3次元ボクセルデータテンプレートに最も類似する3次元領域を検出するステップと、その3次元領域がその治療時3次元ボクセルデータに配置される位置に基づいてそのずれ量を算出するステップとをさらに備えている。このような第2ずれ量は、その第1ずれ量に比較して、より高精度である。このような放射線治療装置制御方法によれば、被検体(43)を高精度に位置合わせすることができる。このような放射線治療装置制御方法によれば、さらに、その第1ずれ量を初期値にすることにより、その3次元領域をより高速に検出することができる。
【0016】
本発明による放射線治療装置制御装置(2)は、被検体(43)の互いに異なる複数の計画時断面(61−1〜61−n)をそれぞれ映す複数の計画時断面画像(71−1〜71−n)に基づいて複数のテンプレート画像(72、73、74−1〜74−m、75)を算出するテンプレート算出部(52)と、被検体(43)の互いに異なる複数の治療時断面をそれぞれ映す複数の治療時断面画像(81−1〜81−N)から複数のテンプレート画像(72、73、74−1〜74−m、75)にそれぞれ最も類似する複数の検出領域(82、83、84−1〜84−m、85)を検出するマッチング部(54)と、複数の治療時断面画像(81−1〜81−N)のうちの複数の検出領域(82、83、84−1〜84−m、85)がそれぞれ検出される複数の検出断面画像(65、66−1〜66−m、67、68)と複数の検出領域(82、83、84−1〜84−m、85)が複数の検出断面画像(65、66−1〜66−m、67、68)にそれぞれ配置される複数の検出位置(86、87、88−1〜88−m、89)とに基づいて、被検体(43)が配置されるカウチ(41)を駆動するカウチ駆動装置(42)を制御するカウチ制御部(58)とを備えている。
【0017】
複数のテンプレート画像(72、73、74−1〜74−m、75)は、複数の計画時断面画像(71−1〜71−n)のうちの第1計画時断面画像(62)の一部から形成される第1テンプレート画像(72)と、複数の計画時断面画像(71−1〜71−n)のうちの第1計画時断面画像(62)と異なる第2計画時断面画像(63)の一部から形成される第2テンプレート画像(73)とを含んでいる。複数の治療時断面画像(81−1〜81−N)は、被検体(43)を透過した放射線に基づいて撮影された複数の透過画像に基づいて算出されたものである。このような放射線治療装置制御装置(2)は、複数の計画時断面(61−1〜61−n)の法線方向(z)に平行でない回転軸(x、y)を中心に回転する回転ずれをより高精度に算出することができ、被検体(43)を高精度に位置合わせすることができる。
【0018】
マッチング部(54)は、複数の検出領域(82、83、84−1〜84−m、85)のうちの第1テンプレート画像(72)に最も類似する第1検出領域(82)が複数の治療時断面画像(81−1〜81−N)のうちの第1治療時断面画像(65)から検出されたときに、複数の治療時断面画像(81−1〜81−N)のうちの第1治療時断面画像(65)と異なる第2治療時断面画像(67)から第2テンプレート画像(73)に最も類似する第2検出領域(83)を検出する。このとき、その複数の治療時断面のうちの第1治療時断面画像(65)により映し出される第1治療時断面とその複数の治療時断面のうちの第2治療時断面画像(67)により映し出される第2治療時断面との距離は、複数の計画時断面(61−1〜61−n)のうちの第1計画時断面画像(62)により映し出される第1計画時断面と複数の計画時断面(61−1〜61−n)のうちの第2計画時断面画像(63)により映し出される第2計画時断面との距離に等しいことが好ましい。
【0019】
複数の計画時断面(61−1〜61−n)は、その第1計画時断面とその第2計画時断面との間に配置される第3計画時断面を含んでいる。複数のテンプレート画像(72、73、74−1〜74−m、75)は、さらに、複数の計画時断面画像(71−1〜71−n)のうちのその第3計画時断面を映す第3計画時断面画像の一部から形成される第3テンプレート画像(74−1〜74−m)を含んでいる。その複数の治療時断面は、その第1治療時断面とその第2治療時断面との間に配置される第3治療時断面を含んでいる。マッチング部(54)は、第1治療時断面画像(65)に第1検出領域(82)が配置される第1検出位置(86)に基づいて、複数の治療時断面画像(81−1〜81−N)のうちのその第3治療時断面を映す第3治療時断面画像から第3テンプレート画像(74−1〜74−m)に最も類似する第3検出領域(84−1〜84−m)を検出する。第1検出位置(86)とその第3治療時断面画像に第3検出領域(84−1〜84−m)が配置される第3検出位置(88−1〜88−m)とに基づいて、第2治療時断面画像(67)から第2検出領域(83)を検出する。その第1治療時断面とその第3治療時断面との距離は、その第1計画時断面とその第3計画時断面との距離に等しいことが好ましい。このような放射線治療装置制御装置(2)は、第3検出位置(88−1〜88−m)に独立に第2検出領域(83)を検出することに比較して、第2治療時断面画像(67)から第2検出領域(83)をより高速に検出することができる。この結果、このような放射線治療装置制御装置(2)は、複数の計画時断面(61−1〜61−n)の法線方向(z)に平行でない回転軸(x、y)を中心に回転する回転ずれをより高速に算出することができる。
【0020】
複数のテンプレート画像(72、73、74−1〜74−m、75)は、さらに、複数の計画時断面画像(71−1〜71−n)のうちの第4計画時断面画像(62)の一部から形成される第4テンプレート画像(75)を含んでいる。第4計画時断面画像(62)に第4テンプレート画像(75)が配置される位置(79)は、第1計画時断面画像(62)に第1テンプレート画像(72)が配置される位置(76)と異なる。このような放射線治療装置制御装置(2)は、複数の計画時断面(61−1〜61−n)の法線方向(z)に平行である回転軸を中心に回転する回転ずれをより高精度に算出することができる。
【0021】
第4計画時断面画像(62)は、第1計画時断面画像(62)であることが好ましい。
【0022】
本発明による放射線治療装置制御装置(2)は、その複数の治療時断面と異なる中間スライス治療時断面を映す中間スライス治療時断面画像をその複数の治療時断面に基づいて算出する中間スライス生成部(55)をさらに備えている。このとき、マッチング部(54)は、その中間スライス治療時断面画像から第1テンプレート画像(72)に最も類似する中間スライス検出領域を検出する。カウチ制御部(58)は、その中間スライス検出領域がその中間スライス治療時断面画像に配置される検出位置にさらに基づいてカウチ駆動装置(42)を制御する。このような放射線治療装置制御装置(2)は、複数の計画時断面(61−1〜61−n)の法線方向(z)に平行に平行移動するずれをより高精度に算出することができる。
【0023】
本発明による放射線治療装置制御装置(2)は、複数の検出断面画像(65、66−1〜66−m、67、68)と複数の検出位置(86、87、88−1〜88−m、89)とに基づいて第1ずれ量を算出する第1ずれ量算出部(56)と、その第1ずれ量に基づいて治療時3次元ボクセルデータから3次元テンプレートに最も類似する3次元領域を検出し、その3次元領域がその治療時3次元ボクセルデータに配置される位置に基づいて第2ずれ量を算出する第2ずれ量算出部(57)とをさらに備えている。カウチ制御部(58)は、その第2ずれ量に基づいて、カウチ駆動装置(42)を制御する。このような第2ずれ量は、その第1ずれ量に比較して、より高精度である。このような放射線治療装置制御装置(2)は、被検体(43)を高精度に位置合わせすることができる。このような放射線治療装置制御装置(2)は、さらに、その第1ずれ量を初期値にすることにより、その3次元領域をより高速に検出することができる。
【0024】
本発明による放射線治療装置制御装置(2)は、被検体(43)に治療用放射線(23)が曝射されるように、治療用放射線照射装置(16)を制御する照射部(59)をさらに備えている。
【発明の効果】
【0025】
本発明による放射線治療装置制御方法および放射線治療装置制御装置は、被検体の位置をより高精度に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、放射線治療システムを示すブロック図である。
【図2】図2は、放射線治療装置を示す斜視図である。
【図3】図3は、放射線治療装置制御装置を示すブロック図である。
【図4】図4は、複数の断面を示す斜視図である。
【図5】図5は、治療計画時に撮影された複数の断面画像を示し、複数のテンプレート画像を示すグラフである。
【図6】図6は、位置合わせ時に撮影された複数の断面画像を示し、複数の検出領域を示すグラフである。
【図7】図7は、Z軸回り回転ずれ量を示すグラフである。
【図8】図8は、患者の位置を調整する動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面を参照して、本発明による放射線治療装置制御装置の実施の形態を記載する。その放射線治療装置制御装置2は、図1に示されているように、放射線治療システム1に適用されている。放射線治療システム1は、放射線治療装置制御装置2と放射線治療装置3とを備えている。放射線治療装置制御装置2は、パーソナルコンピュータに例示されるコンピュータである。放射線治療装置制御装置2と放射線治療装置3とは、双方向に情報を伝送することができるように、互いに接続されている。
【0028】
図2は、放射線治療装置3を示している。放射線治療装置3は、Oリング12と走行ガントリ14と治療用放射線照射装置16とを備えている。Oリング12は、リング状に形成され、回転軸17を中心に回転可能に基礎に支持されている。回転軸17は、鉛直方向に平行である。走行ガントリ14は、リング状に形成され、Oリング12のリングの内側に配置され、回転軸18を中心に回転可能にOリング12に支持されている。回転軸18は、鉛直方向に垂直であり、回転軸17に含まれるアイソセンタ19を通っている。回転軸18は、Oリング12に対して固定され、すなわち、Oリング12とともに回転軸17を中心に回転する。
【0029】
治療用放射線照射装置16は、走行ガントリ14のリングの内側に配置されている。治療用放射線照射装置16は、チルト軸21に回転可能に、かつ、パン軸22に回転可能に、走行ガントリ14に支持されている。パン軸22は、走行ガントリ14に対して固定され、回転軸18に交差しないで回転軸18に平行である。チルト軸21は、パン軸22に直交している。チルト軸21とパン軸22との交点は、アイソセンタ19から1mだけ離れている。
【0030】
放射線治療装置3は、さらに、旋回駆動装置11と首振り装置15とを備え、図示されていない走行駆動装置を備えている。旋回駆動装置11は、放射線治療装置制御装置2により制御されることにより、回転軸17を中心にOリング12を回転させる。旋回駆動装置11は、さらに、基礎に対してOリング12が配置される旋回角度を測定し、その旋回角度を放射線治療装置制御装置2に出力する。その走行駆動装置は、放射線治療装置制御装置2により制御されることにより、回転軸18を中心に走行ガントリ14を回転させる。その走行駆動装置は、さらに、Oリング12に対して走行ガントリ14が配置されるガントリ角度を測定し、そのガントリ角度を放射線治療装置制御装置2に出力する。首振り装置15は、放射線治療装置制御装置2により制御されることにより、パン軸22を中心に治療用放射線照射装置16を回転させ、チルト軸21を中心に治療用放射線照射装置16を回転させる。
【0031】
治療用放射線照射装置16は、放射線治療装置制御装置2により制御されることにより、治療用放射線23を曝射する。治療用放射線23は、パン軸22とチルト軸21とが交差する交点を頂点とするコーンビームである。治療用放射線23は、一様強度分布を持つように形成されている。治療用放射線照射装置16は、マルチリーフコリメータ20を備えている。マルチリーフコリメータ20は、治療用放射線23が進行する領域に配置されるように、治療用放射線照射装置16に固定されている。マルチリーフコリメータ20は、放射線治療装置制御装置2により制御されることにより、治療用放射線23の一部を遮蔽し、治療用放射線23が患者に照射されるときの照射野の形状を変更する。
【0032】
治療用放射線23は、このように治療用放射線照射装置16が走行ガントリ14に支持されることにより、治療用放射線照射装置16がアイソセンタ19に向かうように走行ガントリ14に固定されると、旋回駆動装置11によりOリング12が回転し、または、その走行駆動装置により走行ガントリ14が回転しても、常に概ねアイソセンタ19を通る。即ち、走行・旋回を行うことで任意方向からアイソセンタ19に向けて治療用放射線23の照射が可能になる。
【0033】
放射線治療装置3は、さらに、複数のイメージャシステムを備えている。すなわち、放射線治療装置3は、第1診断用X線源24と第2診断用X線源25と第1センサアレイ32と第2センサアレイ33とを備えている。第1診断用X線源24は、走行ガントリ14に支持され、アイソセンタ19から第1診断用X線源24を結ぶ線分とアイソセンタ19から治療用放射線照射装置16を結ぶ線分とのなす角が鋭角になるように、走行ガントリ14のリングの内側に配置されている。第2診断用X線源25は、走行ガントリ14に支持され、アイソセンタ19から第2診断用X線源25を結ぶ線分とアイソセンタ19から治療用放射線照射装置16を結ぶ線分とのなす角が鋭角になるように、走行ガントリ14のリングの内側に配置されている。第2診断用X線源25は、さらに、アイソセンタ19から第1診断用X線源24を結ぶ線分とアイソセンタ19から第2診断用X線源25を結ぶ線分とのなす角が直角(90度)になるように、配置されている。第1センサアレイ32は、走行ガントリ14に支持され、アイソセンタ19を介して第1診断用X線源24に対向するように、配置されている。第2センサアレイ33は、走行ガントリ14に支持され、アイソセンタ19を介して第2診断用X線源25に対向するように、配置されている。
【0034】
第1診断用X線源24は、放射線治療装置制御装置2により制御されることにより、所定のタイミングで第1診断用X線35をアイソセンタ19に向けて曝射する。第1診断用X線35は、第1診断用X線源24が有する1点から曝射され、その1点を頂点とする円錐状のコーンビームである。第2診断用X線源25は、放射線治療装置制御装置2により制御されることにより、所定のタイミングで第2診断用X線36をアイソセンタ19に向けて曝射する。第2診断用X線36は、第2診断用X線源25が有する1点から曝射され、その1点を頂点とする円錐状のコーンビームである。
【0035】
第1センサアレイ32は、受光部を備えている。第1センサアレイ32は、放射線治療装置制御装置2により制御されることにより、その受光部に受光されるX線に基づいて第1X線画像を生成する。第2センサアレイ33は、受光部を備えている。第2センサアレイ33は、放射線治療装置制御装置2により制御されることにより、その受光部に受光されるX線に基づいて第2X線画像を生成する。そのX線画像は、複数の画素から形成されている。その複数の画素は、そのX線画像上にマトリクス状に配置され、それぞれ輝度に対応付けられている。そのX線画像は、その複数の画素の各々に対応する輝度がその複数の画素の各々に着色されることにより、被写体を映し出している。第1センサアレイ32と第2センサアレイ33としては、FPD(Flat Panel Detector)、X線II(Image Intensifier)が例示される。
【0036】
このようなイメージャシステムによれば、第1センサアレイ32と第2センサアレイ33とにより得た画像信号に基づき、アイソセンタ19を中心とするX線画像を生成することができる。
【0037】
放射線治療装置3は、さらに、カウチ41とカウチ駆動装置42とを備えている。カウチ41は、X軸とY軸とZ軸とを中心に回転移動可能に、かつ、そのX軸とY軸とZ軸とに平行に平行移動可能に基礎に支持されている。そのX軸とY軸とZ軸とは、互いに直交している。カウチ41は、放射線治療システム1により治療される患者43が横臥することに利用される。カウチ41は、図示されていない固定具を備えている。その固定具は、患者43が動かないように、患者43をカウチ41に固定する。カウチ駆動装置42は、放射線治療装置制御装置2により制御されることにより、カウチ41を回転移動させ、カウチ41を平行移動させる。
【0038】
図3は、放射線治療装置制御装置2を示している。その放射線治療装置制御装置2は、コンピュータであり、図示されていないCPUと記憶装置とリムーバルメモリドライブと通信装置と入力装置と出力装置とインターフェースとを備えている。そのCPUは、放射線治療装置制御装置2にインストールされるコンピュータプログラムを実行して、その記憶装置と入力装置と出力装置とを制御する。その記憶装置は、そのコンピュータプログラムを記録し、そのCPUに利用される情報を記録し、そのCPUにより生成される情報を記録する。そのリムーバルメモリドライブは、記録媒体が挿入されたときに、その記録媒体に記録されているデータを読み出すことに利用される。そのリムーバルメモリドライブは、特に、コンピュータプログラムが記録されている記録媒体が挿入されたときに、そのコンピュータプログラムを放射線治療装置制御装置2にインストールするときに利用される。その通信装置は、通信回線網を介して接続される他のコンピュータから配信される情報を放射線治療装置制御装置2にダウンロードする。その通信装置は、特に、他のコンピュータからコンピュータプログラムを放射線治療装置制御装置2にダウンロードし、そのコンピュータプログラムを放射線治療装置制御装置2にインストールするときに利用される。その入力装置は、ユーザに操作されることにより生成される情報をそのCPUに出力する。その入力装置としては、キーボード、マウスが例示される。その出力装置は、そのCPUにより生成された情報をユーザに認識可能に出力する。その出力装置としては、そのCPUにより生成された画像を表示するディスプレイが例示される。
【0039】
そのインターフェースは、放射線治療装置制御装置2に接続される外部機器により生成される情報をそのCPUに出力し、そのCPUにより生成された情報をその外部機器に出力する。その外部機器は、放射線治療装置3の旋回駆動装置11と走行駆動装置と首振り装置15と治療用放射線照射装置16とマルチリーフコリメータ20と第1診断用X線源24と第2診断用X線源25と第1センサアレイ32と第2センサアレイ33とカウチ駆動装置42とを含んでいる。
【0040】
放射線治療装置制御装置2にインストールされるコンピュータプログラムは、放射線治療装置制御装置2に複数の機能をそれぞれ実現させるための複数のコンピュータプログラムから形成されている。その複数の機能は、治療計画収集部51とテンプレート算出部52と撮影部53とマッチング部54と中間スライス作成部55と第1ずれ量算出部56と第2ずれ量算出部57とカウチ制御部58と照射部59とを含んでいる。
【0041】
治療計画収集部51は、入力装置から治療計画を収集する。その治療計画は、3次元データを示し、照射角度と線量との組み合わせを示している。その3次元データは、放射線治療装置3と別個のモダリティを用いて撮影された複数の透過画像に基づいて作成され、複数の断面画像と計画時3次元ボクセルデータとを含んでいる。その複数の透過画像は、患者43を透過したコーンビームを用いて撮影される。そのコーンビームは、他のビーム形状の放射線に置換されることもできる。その放射線としては、ファンビームが例示される。その複数の断面画像の各々は、患者43を仮に切断した断面をそれぞれ映している。その計画時3次元ボクセルデータは、複数のボクセルに複数の透過率を対応付けている。その複数のボクセルは、それぞれ、患者43が配置される空間を隙間なく充填する複数の直方体に対応している。その各ボクセルに対応する透過率は、その各ボクセルに対応する位置に配置される物体のX線の透過率を示している。その3次元データは、寝台に横臥した患者43の複数の臓器の立体的な形状とその複数の臓器がそれぞれ配置される複数の位置とを示している。その照射角度は、患者43の患部に治療用放射線23を曝射する方向を示し、カウチ位置とOリング回転角とガントリ回転角とを示している。そのカウチ位置は、基礎に対するカウチ41の位置を示している。そのOリング回転角は、基礎に対するOリング12の位置を示している。そのガントリ回転角は、Oリング12に対する走行ガントリ14の位置を示している。その線量は、その各照射角度から患者43に照射される治療用放射線23の線量を示している。
【0042】
テンプレート算出部52は、治療計画収集部51により収集された複数の断面画像に基づいて複数のテンプレート画像を作成する。
【0043】
撮影部53は、カウチ41に横臥した患者43を映す複数のX線画像が撮影されるように、放射線治療装置3を制御する。すなわち、撮影部53は、基礎に対してカウチ41が所定の位置に配置されるように、カウチ駆動装置42を制御する。撮影部53は、さらに、基礎に対してOリング12がそのOリング回転角に配置されるように、旋回駆動装置11を制御する。撮影部53は、さらに、走行ガントリ14が所定の角速度で回転するように、放射線治療装置3の走行駆動装置を制御する。撮影部53は、さらに、第1診断用X線源24が所定の撮影角度に配置された時刻に第1診断用X線35が曝射されるように、第1診断用X線源24を制御する。撮影部53は、さらに、第2診断用X線源25が所定の撮影角度に配置された時刻に第2診断用X線36が曝射されるように、第2診断用X線源25を制御する。撮影部53は、さらに、第1診断用X線35が患者43に曝射されたときに、患者43を透過したX線に基づいて第1X線画像が生成されるように、第1センサアレイ32を制御する。撮影部53は、さらに、第2診断用X線36が患者43に曝射されたときに、患者43を透過したX線に基づいて第2X線画像が生成されるように、第2センサアレイ33を制御する。撮影部53は、さらに、その複数の第1X線画像とその複数の第2X線画像とに基づいて複数の断面画像を算出し、その複数の第1X線画像とその複数の第2X線画像とに基づいて治療時3次元ボクセルデータを算出する。
【0044】
マッチング部54は、テンプレート算出部52により算出された複数のテンプレート画像と撮影部53により算出された複数の断面画像(中間スライス作成部55により作成された断面画像を含む)に基づいて複数のマッチング結果を算出する。
【0045】
中間スライス作成部55は、マッチング部54により算出された複数のマッチング結果に基づいて、中間スライス断面画像を算出すべきどうかを算出する。中間スライス作成部55は、中間スライス断面画像を算出すべきときに、撮影部53により算出された複数の断面画像に基づいて中間スライス断面画像を算出する。なお、中間スライス作成部55は、撮影部53により撮影された複数のX線画像に基づいてその中間スライス断面画像を算出することもでき、または、撮影部53により算出された治療時3次元ボクセルデータに基づいてその中間スライス断面画像を算出することもできる。
【0046】
第1ずれ量算出部56は、マッチング部54により算出されたマッチング結果に基づいて、第1ずれ量を算出する。
【0047】
第2ずれ量算出部57は、治療計画収集部51により収集された計画時3次元ボクセルデータを撮影部53により算出された治療時3次元ボクセルデータにマッチングすることにより、第2ずれ量を算出する。そのマッチングは、第1ずれ量算出部56により算出された第1ずれ量を初期値にして、実行される。このようなマッチングは、公知であり、たとえば、特許第3825384号公報に開示されている。その第2ずれ量は、X軸平行移動ずれ量とY軸平行移動ずれ量とZ軸平行移動ずれ量とX軸回り回転ずれ量とY軸回り回転ずれ量とZ軸回り回転ずれ量とを示している。そのX軸平行移動ずれ量は、その計画時3次元ボクセルデータがその治療時3次元ボクセルデータに類似するようにその計画時3次元ボクセルデータを移動させたときに、その治療時3次元ボクセルデータをX軸に平行に平行移動させた距離を示している。そのY軸平行移動ずれ量は、その計画時3次元ボクセルデータがその治療時3次元ボクセルデータに類似するようにその計画時3次元ボクセルデータを移動させたときに、その治療時3次元ボクセルデータをY軸に平行に平行移動させた距離を示している。そのZ軸平行移動ずれ量は、その計画時3次元ボクセルデータがその治療時3次元ボクセルデータに類似するようにその計画時3次元ボクセルデータを移動させたときに、その治療時3次元ボクセルデータをZ軸に平行に平行移動させた距離を示している。そのX軸周り回転ずれ量は、その計画時3次元ボクセルデータがその治療時3次元ボクセルデータに類似するようにその計画時3次元ボクセルデータを移動させたときに、その治療時3次元ボクセルデータをX軸に平行な回転軸を中心に回転移動させた角度を示している。そのY軸周り回転ずれ量は、その計画時3次元ボクセルデータがその治療時3次元ボクセルデータに類似するようにその計画時3次元ボクセルデータを移動させたときに、その治療時3次元ボクセルデータをY軸に平行な回転軸を中心に回転移動させた角度を示している。そのZ軸周り回転ずれ量は、その計画時3次元ボクセルデータがその治療時3次元ボクセルデータに類似するようにその計画時3次元ボクセルデータを移動させたときに、その治療時3次元ボクセルデータをZ軸に平行な回転軸を中心に回転移動させた角度を示している。
【0048】
カウチ制御部58は、第2ずれ量算出部57により算出された第2ずれ量に基づいて、補正量を算出する。その補正量は、X軸回転補正量とY軸回転補正量とZ軸回転補正量とX軸並進補正量とY軸並進補正量とZ軸並進補正量とから形成されている。そのX軸回転補正量は、X軸を中心にカウチ41を回転する回転角度を示している。そのY軸回転補正量は、Y軸を中心にカウチ41を回転する回転角度を示している。そのZ軸回転補正量は、Z軸を中心にカウチ41を回転する回転角度を示している。そのX軸並進補正量は、X軸に平行にカウチ41を平行移動する距離を示している。そのY軸並進補正量は、Y軸に平行にカウチ41を平行移動する距離を示している。そのZ軸並進補正量は、Z軸に平行にカウチ41を平行移動する距離を示している。
【0049】
カウチ制御部58は、その補正量に基づいてカウチ駆動装置42を制御する。すなわち、カウチ制御部58は、X軸を中心にそのX軸回転補正量だけカウチ41が回転し、X軸を中心にカウチ41が回転した後にY軸を中心にそのY軸回転補正量だけカウチ41が回転し、Y軸を中心にカウチ41が回転した後にZ軸を中心にそのZ軸回転補正量だけカウチ41が回転するように、カウチ駆動装置42を制御する。カウチ制御部58は、さらに、Z軸を中心にカウチ41が回転した後に、Y軸に平行にそのY軸並進補正量だけカウチ41が平行移動し、Y軸に平行にそのY軸並進補正量だけカウチ41が平行移動し、Y軸に平行にそのY軸並進補正量だけカウチ41が平行移動するように、カウチ駆動装置42を制御する。
【0050】
その補正量は、カウチ制御部58によりその補正量に基づいてカウチ駆動装置42が制御された後に、カウチ41に配置された患者43が所定の位置に配置されるように、算出される。その所定の位置は、治療計画収集部51により収集された治療計画の3次元データが示す患者43の位置を示している。
【0051】
照射部59は、治療計画収集部51により収集された治療計画に示される放射線治療が実行されるように、放射線治療装置3を制御する。すなわち、照射部59は、その治療計画が示す照射角度に治療用放射線照射装置16が患者43に対して配置されるように、カウチ駆動装置42を制御し、旋回駆動装置11を制御し、放射線治療装置3の走行駆動装置を制御する。照射部59は、さらに、2枚の患者43のX線画像が撮影されるように、第1診断用X線源24と第2診断用X線源25と第1センサアレイ32と第2センサアレイ33とを制御する。照射部59は、さらに、その2枚のX線画像に基づいて、患者43の患部の位置を算出し、その患部の形状を算出する。照射部59は、さらに、その算出された患部の位置に治療用放射線照射装置16が向くように、首振り装置15を制御する。照射部59は、さらに、その患部の形状に治療用放射線23の照射野が一致するように、マルチリーフコリメータ20を制御する。照射部59は、さらに、その患部に治療用放射線23が照射されるように、治療用放射線照射装置16を制御する。照射部59は、さらに、その治療計画が示す線量の治療用放射線23が患者43の患部に照射されるまで、そのX線画像の撮影から治療用放射線23の照射までの動作を繰り返して実行する。
【0052】
図4は、治療計画収集部51により収集された複数の断面画像が映す患者43の複数の断面を示している。その複数の断面61−1〜61−n(n=2,3,4,…)は、X軸とY軸とZ軸とで張られる空間に配置される。そのX軸は、Y軸に垂直であり、Z軸に垂直である。そのY軸は、Z軸に垂直である。複数の断面61−1〜61−nは、互いに平行であり、それぞれ、法線がZ軸に平行である。複数の断面61−1〜61−nは、各断面61−j(j=2,3,…,n−1)が断面61−(j−1)と断面61−(j+1)との間に配置されるように、かつ、断面61−jと断面61−(j+1)との距離が一定の距離(たとえば、2mm)だけ離れるように、並んで配置されている。
【0053】
このとき、撮影部53により算出される複数の断面画像は、患者43を複数の断面61−1〜61−nで仮に切断した断面をそれぞれ映している。
【0054】
図5は、治療計画収集部51により収集された複数の断面画像を示している。その複数の断面画像71−1〜71−nは、患者43を複数の断面61−1〜61−nで仮に切断した断面をそれぞれ映している。複数の断面画像71−1〜71−nは、それぞれ、複数の画素から形成されている。その複数の画素は、マトリクス状に配置され、それぞれ輝度に対応付けられている。その複数の画素の間隔は、複数の断面画像71−1〜71−nがそれぞれ映す複数の断面61−1〜61−nの間隔より小さい。
【0055】
図5は、さらに、テンプレート算出部52により算出された複数のテンプレート画像を示している。その複数のテンプレート画像は、それぞれ、長方形状に形成され、その長方形の長い方の辺が所定の長さに概ね一致するように、作成されている。その所定の長さLは、次式:
L=2×D/sinθ
により表現される。ここで、変数Dは、Z軸方向の解像度を示し、複数の断面61−1〜61−nのうちの隣接する2つの断面が離れている距離を示している。変数θは、カウチ41に対して患者43が配置される角度の誤差の最大値を示している。その最大値としては、5度が例示される。なお、その複数のテンプレート画像は、長方形と異なる他の形状に一致するように形成されることもできる。その形状は、差し渡し幅が所定の長さLに概ね一致する図形である。その図形としては、直径が所定の長さLに概ね一致する円が例示される。
【0056】
その複数のテンプレート画像は、テンプレート画像72とテンプレート画像73とテンプレート画像74−1〜74−m(m=1,2,3,4,…;m<n−1)とテンプレート画像75とを含んでいる。
【0057】
テンプレート画像72は、複数の断面画像71−1〜71−nのうちの1つの断面画像62の一部の領域から形成されている。その一部の領域は、断面画像62のうちの画像上位置76に配置されている。その一部の領域としては、次式:
Σ(∂fp/∂z)

により表現される値がより大きい領域が選択される。ここで、変数pは、その一部の領域を形成する複数の画素を識別している。変数zは、複数の断面画像71−1〜71−nがそれぞれ映す複数の断面が配置される位置のz座標を示している。変数fpは、変数pと変数zとの関数を示し、変数zにより示される断面を映す断面画像のうちの変数pにより示される画素に対応する輝度を示している。すなわち、その一部の領域は、その一部の領域を含む断面画像に映る断面の近傍の断面を映す断面画像のうちのその一部の領域に対応する領域がその一部の領域と類似しないように、複数の断面画像71−1〜71−nのうちから選択される。
【0058】
なお、その一部の領域としては、複数の断面画像71−1〜71−nに出現する頻度がより少ないものが複数の断面画像71−1〜71−nから抽出されることもできる。このような領域の抽出方法としては、コーナー検出法が例示される。そのコーナー検出法は、公知であり、たとえば、文献「Harris, C. and Stephens, M. 1988. A combined corner and edge detector. In Alvey Vision Conference, pp. 147−151.」に開示されている。
【0059】
テンプレート画像73は、複数の断面画像71−1〜71−nのうちの1つの断面画像63の一部から形成されている。その一部の領域は、断面画像63のうちの画像上位置77に配置されている。画像上位置77は、画像上位置76に一致している。
【0060】
テンプレート画像74−1〜74−mの各テンプレート画像74−i(i=1,2,3,…,m)は、複数の断面画像71−1〜71−nのうちの断面画像64−iの一部の領域から形成されている。その一部の領域は、断面画像64−iのうちの画像上位置78−iに配置されている。断面画像64−iが映す断面は、複数の断面画像71−1〜71−nがそれぞれ映す複数の断面61−1〜61−nのうちの断面画像62が映す断面と断面画像63が映す断面との間に配置されている。断面画像64−1が映す断面は、断面画像62に隣接している。断面画像64−(i+1)が映す断面は、断面画像64−iが映す断面に隣接し、断面画像64−iが映す断面に比較して、断面画像63が映す断面により近い。断面画像64−mが映す断面は、断面画像63に隣接している。画像上位置78−iは、画像上位置76と画像上位置77とを結ぶ線上に位置し、すなわち、画像上位置76に一致している。
【0061】
テンプレート画像75は、断面画像62の一部から形成されている。その一部の領域は、断面画像62のうちの画像上位置79に配置されている。画像上位置79と画像上位置76との距離は、所定の長さLより長い。
【0062】
図6は、撮影部53により算出された複数の断面画像を示している。その複数の断面画像81−1〜81−N(N=2,3,4,…)は、それぞれ、患者43を仮に切断した複数の断面をそれぞれ映している。その複数の断面は、複数の断面61−1〜61−nと同様にして、互いに平行であり、複数の断面61−1〜61−nの間隔に等しい一定の距離だけ離れるように並んで配置されている。複数の断面画像81−1〜81−nは、それぞれ、複数の画素から形成されている。その複数の画素は、マトリクス状に配置され、それぞれ輝度に対応付けられている。その複数の画素の間隔は、複数の断面画像81−1〜81−Nがそれぞれ映す複数の断面61−1〜61−nの間隔より小さい。
【0063】
マッチング部54は、ある1つのテンプレート画像に類似する検出領域を検出するときに、まず、複数の断面画像81−1〜81−Nのうちの所定の領域に配置され得る複数の領域を抽出する。その複数の領域は、それぞれ、そのテンプレート画像の形状に合同である形状に形成されている。マッチング部54は、その複数の領域に対応する複数の類似度を算出する。その複数の領域は、複数の断面画像81−1〜81−Nのうちの複数の断面画像にそれぞれ配置される複数の領域を含み、かつ、その複数の断面画像の各々に配置される複数の領域を含んでいる。その複数の類似度のうちのある領域に対応する類似度は、その領域がそのテンプレート画像に類似している程度を示している。このような類似度の算出は、公知であり、このような類似度としては、残差平方和、相互相関係数、相互情報量が例示される。マッチング部54は、その複数の類似度に基づいて、その複数の領域のうちのそのテンプレート画像に最も類似する検出領域を算出する。マッチング部54は、さらに、複数の断面画像81−1〜81−Nからその検出領域を含む検出断面画像を算出し、その検出領域がその検出断面画像に配置される位置と向きとを算出する。
【0064】
すなわち、マッチング部54は、テンプレート算出部52により算出された複数のテンプレート画像にそれぞれ類似する複数の検出領域を検出し、その複数の検出領域ごとにマッチング結果を算出する。そのマッチング結果は、その検出類似度と検出断面画像と位置と向きとを示している。
【0065】
図6は、さらに、マッチング部54により検出された複数の検出領域を示している。その複数の検出領域は、検出領域82と検出領域83と検出領域84−1〜84−mと検出領域85とを含んでいる。検出領域82は、複数の断面画像81−1〜81−Nのうちのテンプレート画像72に類似した領域を示している。検出領域83は、複数の断面画像81−1〜81−Nのうちのテンプレート画像73に類似した領域を示している。検出領域84−1〜84−mの各検出領域84−iは、複数の断面画像81−1〜81−Nのうちのテンプレート画像74−iに類似した領域を示している。検出領域85は、複数の断面画像81−1〜81−Nのうちのテンプレート画像75に類似した領域を示している。
【0066】
このとき、マッチング部54は、まず、複数の断面画像81−1〜81−Nからテンプレート画像72に最も類似する検出領域82を検出し、検出領域82に対応するマッチング結果を算出する。
【0067】
マッチング部54は、検出断面画像65から検出領域82が検出されたときに、検出断面画像65に検出領域82が配置される画像上位置86に基づいて初期位置を算出する。その初期位置は、画像上位置86を示している。マッチング部54は、所定の断面画像のうちのその初期位置の周辺からテンプレート画像74−1に最も類似する検出領域84−1を検出し、検出領域84−1に対応するマッチング結果を算出する。その所定の断面画像は、検出断面画像65が映す断面に隣接する断面を映す検出断面画像66−1である。
【0068】
マッチング部54は、検出断面画像66−iから検出領域84−iを検出したときに、画像上位置86と検出断面画像66−1〜66−iに検出領域84−1〜84−iがそれぞれ配置される画像上位置88−1〜88−iとに基づいて初期位置を算出する。その初期位置は、位置86と位置88−1〜88−iとに対応する複数の点を通る回帰直線に基づいて算出される。その複数の点のうちの位置86に対応する点は、x座標とy座標とが位置86のx座標とy座標とにそれぞれ一致し、z座標が検出断面画像65に映る断面のz座標に一致している。その複数の点のうちの位置88−iに対応する点は、x座標とy座標とが位置88−iのx座標とy座標とにそれぞれ一致し、z座標が検出断面画像66−iに映る断面のz座標に一致している。その初期位置のx座標とy座標とは、検出断面画像66−iに映る断面に隣接する断面(断面画像66−(i+1)に映る断面)がその回帰直線に交差する点のx座標とy座標とにそれぞれ一致している。マッチング部54は、所定の断面画像のうちのその初期位置の周辺からテンプレート画像74−(i+1)に最も類似する検出領域84−(i+1)を検出し、検出領域84−(i+1)に対応するマッチング結果を算出する。その所定の断面画像は、検出断面画像66−iが映す断面に隣接する断面を映す検出断面画像66−(i+1)である。
【0069】
マッチング部54は、検出断面画像66−mから検出領域84−mを検出したときに、画像上位置86と画像上位置88−1〜88−mとに基づいて初期位置を算出する。その初期位置は、位置86と位置88−1〜88−mとに対応する複数の点を通る回帰直線90に基づいて算出される。その複数の点のうちの位置86に対応する点は、x座標とy座標とが位置86のx座標とy座標とにそれぞれ一致し、z座標が検出断面画像65に映る断面のz座標に一致している。その複数の点のうちの位置88−iに対応する点は、x座標とy座標とが位置88−iのx座標とy座標とにそれぞれ一致し、z座標が検出断面画像66−iに映る断面のz座標に一致している。その初期位置のx座標とy座標とは、検出断面画像66−mに映る断面に隣接する断面(後述の検出断面画像67に映る断面)がその回帰直線90に交差する点のx座標とy座標とにそれぞれ一致している。マッチング部54は、所定の断面画像のうちのその初期位置の周辺からテンプレート画像73に最も類似する検出領域83を検出し、検出領域83に対応するマッチング結果を算出する。その所定の断面画像は、検出断面画像66−mが映す断面に隣接する断面を映す検出断面画像67である。
【0070】
マッチング部54は、検出断面画像65から検出領域82が検出されたときに、所定の断面画像のうちの所定の初期位置の周辺からテンプレート画像75に最も類似する検出領域85を検出し、検出領域85に対応するマッチング結果を算出する。その所定の断面画像は、検出断面画像65が映す断面の近傍に配置される断面を映す検出断面画像68である。その所定の初期位置は、画像上位置86と検出断面画像65に検出領域82が配置される向きとに基づいて算出された位置を示し、画像上位置86に対する相対位置が画像上位置76に対する画像上位置79の相対位置に一致する位置を示している。
【0071】
このとき、中間スライス作成部55は、検出断面画像65が映す断面に隣接する断面を映す断面画像からテンプレート画像72に最も類似する検出領域を検出し、その検出領域がテンプレート画像72に類似している程度(類似度)を算出する。中間スライス作成部55は、その算出された類似度と検出領域82の類似度とが同程度のときに、または、検出領域82が所定の類似度よりテンプレート画像72に類似していないときに、複数の断面画像81−1〜81−Nに基づいて中間スライス断面画像を算出する。その中間スライス断面画像は、検出断面画像65が映す断面とその断面に隣接する断面の間に配置される中間断面を映している。マッチング部54は、中間スライス作成部55によりその中間スライス断面画像が算出されたときに、さらに、その中間スライスからテンプレート画像72に最も類似する検出領域を検出し、その検出領域に対応するマッチング結果を算出する。
【0072】
このとき、第1ずれ量算出部56は、マッチング部54により算出されたマッチング結果に基づいて基準3次元位置を算出する。その基準3次元位置は、x座標とy座標とz座標とを示している。中間スライス作成部55により中間スライスが算出されなかったときに、その基準3次元位置のx座標とy座標とは、画像上位置86のx座標とy座標とにそれぞれ一致し、その基準3次元位置のz座標は、検出断面画像65により映される断面のz座標に一致している。中間スライス作成部55により中間スライスが算出された場合で、検出領域82に比較してその中間スライスから検出された検出領域がより類似していないときに、その基準3次元位置のx座標とy座標とは、画像上位置86のx座標とy座標とにそれぞれ一致し、その基準3次元位置のz座標は、が検出断面画像65により映される断面のz座標に一致している。中間スライス作成部55により中間スライスが算出された場合で、検出領域82に比較してその中間スライスから検出された検出領域がより類似しているときに、その基準3次元位置のx座標とy座標とは、その中間スライスから検出された検出領域がその中間スライスに配置される位置のx座標とy座標とにそれぞれ一致し、その基準3次元位置のz座標は、その中間スライスにより映される断面のz座標に一致している。
【0073】
第1ずれ量算出部56は、マッチング部54により算出された複数のマッチング結果に基づいて、第1ずれ量を算出する。その第1ずれ量は、X軸平行移動ずれ量とY軸平行移動ずれ量とZ軸平行移動ずれ量とX軸回り回転ずれ量とY軸回り回転ずれ量とZ軸回り回転ずれ量とを示している。そのX軸平行移動ずれ量Δxは、次式:
Δx=p0x’−p0x
により表現される。ここで、変数p0xは、画像上位置76のx座標を示している。変数p0x’は、その基準3次元位置のx座標を示している。そのY軸平行移動ずれ量Δyは、次式:
Δy=p0y’−p0y
により表現される。ここで、変数p0yは、画像上位置76のy座標を示している。変数p0y’は、その基準3次元位置のy座標を示している。そのZ軸平行移動ずれ量Δzは、次式:
Δz=p0z’−p0z
により表現される。ここで、変数p0zは、断面画像62が映す断面が配置される画像上位置のz座標を示している。変数p0z’は、その基準3次元位置のz座標を示している。そのX軸回り回転ずれ量θxは、次式:
θx=tan−1((p1y’−p0y’)÷(p1z−p0z))
により近似される。ここで、変数p1zは、画像上位置77のz座標を示している。変数p1y’は、画像上位置87のy座標を示している。そのY軸回り回転ずれ量θyは、次式:
θy=tan−1((p1x’−p0x’)÷(p1z−p0z))
により近似される。ここで、変数p1x’は、画像上位置87のx座標を示している。
【0074】
図7は、第1ずれ量算出部56により算出される第1ずれ量のZ軸回り回転ずれ量を示している。そのZ軸回り回転ずれ量θzは、画像上位置76と画像上位置79と画像上位置86と画像上位置89とに基づいて算出される。すなわち、第1ずれ量算出部56は、画像上位置76と画像上位置79とに基づいて直線91を算出する。直線91は、画像上位置76と画像上位置79とを結ぶ直線をxy平面(z=0)に射影した直線を示している。第1ずれ量算出部56は、画像上位置86と画像上位置89とに基づいて直線92を算出する。直線92は、画像上位置86と画像上位置89とを結ぶ直線をxy平面に射影した直線を示している。Z軸回り回転ずれ量θzは、直線91と直線92とがなす角を示している。なお、画像上位置86は、中間スライス作成部55により中間スライスが算出された場合で、検出領域82に比較してその中間スライスから検出された検出領域がより類似しているときに、その中間スライスから検出された検出領域がその中間スライスに配置される位置に置換される。
【0075】
本発明による放射線治療装置制御方法の実施の形態は、放射線治療装置制御装置2により実行され、患者の位置を調整する動作と放射線治療する動作とを備えている。
【0076】
図8は、その患者の位置を調整する動作を示している。ユーザは、まず、過去に作成された治療計画を放射線治療装置制御装置2に入力する(ステップS1)。その治療計画は、その治療計画は、3次元データを示し、照射角度と線量との組み合わせを示している。その3次元データは、複数の断面画像71−1〜71−nと計画時3次元ボクセルデータとを含んでいる。複数の断面画像71−1〜71−nの各々は、患者43を仮に切断した断面をそれぞれ映している。その計画時3次元ボクセルデータは、複数のボクセルに複数の透過率を対応付けている。その複数のボクセルは、それぞれ、患者43が配置される空間を隙間なく充填する複数の直方体に対応している。その各ボクセルに対応する透過率は、その各ボクセルに対応する位置の立方体のX線の透過率を示している。その3次元データは、寝台に横臥した患者43の複数の臓器の立体的な形状とその複数の臓器がそれぞれ配置される複数の位置とを示している。その3次元データは、さらに、寝台に横臥した患者43の患部の立体的な形状とその患部の位置とを示している。その照射角度は、患者43の患部に治療用放射線23を曝射する方向を示し、カウチ位置とOリング回転角とガントリ回転角とを示している。そのカウチ位置は、基礎に対するカウチ41の位置と向きとを示している。そのOリング回転角は、基礎に対するOリング12の位置を示している。そのガントリ回転角は、Oリング12に対する走行ガントリ14の位置を示している。その線量は、その各照射角度から患者43に照射される治療用放射線23の線量を示している。
【0077】
放射線治療装置制御装置2は、複数の断面画像71−1〜71−nに基づいて、テンプレート画像72とテンプレート画像73とテンプレート画像74−1〜74−mとテンプレート画像75とを算出する(ステップS2)。
【0078】
ユーザは、カウチ41に対して患者43が配置される角度の誤差が所定の角度(たとえば、5度)未満になるように、放射線治療装置3のカウチ41に患者43を固定する。放射線治療装置制御装置2は、カウチ41に横臥した患者43を映す複数のX線画像が撮影されるように、放射線治療装置3を制御する。すなわち、放射線治療装置制御装置2は、基礎に対してカウチ41が所定の位置に配置されるように、カウチ駆動装置42を制御する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、基礎に対してOリング12がそのOリング回転角に配置されるように、旋回駆動装置11を制御する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、走行ガントリ14が所定の角速度で回転するように、放射線治療装置3の走行駆動装置を制御する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、第1診断用X線源24が所定の撮影角度に配置された時刻に第1診断用X線35が曝射されるように、第1診断用X線源24を制御する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、第2診断用X線源25が所定の撮影角度に配置された時刻に第2診断用X線36が曝射されるように、第2診断用X線源25を制御する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、第1診断用X線35が患者43に曝射されたときに、患者43を透過したX線に基づいて第1X線画像が生成されるように、第1センサアレイ32を制御する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、第2診断用X線36が患者43に曝射されたときに、患者43を透過したX線に基づいて第2X線画像が生成されるように、第2センサアレイ33を制御する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、その複数の第1X線画像とその複数の第2X線画像とに基づいて複数の断面画像81−1〜81−Nを算出し、その複数の第1X線画像とその複数の第2X線画像とに基づいて治療時3次元ボクセルデータを算出する(ステップS3)。
【0079】
放射線治療装置制御装置2は、複数の断面画像81−1〜81−Nからテンプレート画像72に最も類似する検出領域82を検出し、検出領域82に対応するマッチング結果を算出する。
【0080】
放射線治療装置制御装置2は、検出断面画像65から検出領域82が検出されたときに、所定の断面画像のうちの所定の初期位置の周辺からテンプレート画像74−1に最も類似する検出領域84−1を検出し、検出領域84−1に対応するマッチング結果を算出する。その所定の断面画像は、検出断面画像65が映す断面に隣接する断面を映す検出断面画像66−1である。その所定の初期位置は、検出断面画像65に検出領域82が配置される画像上位置86に基づいて算出された位置を示し、たとえば、画像上位置86を示している。
【0081】
放射線治療装置制御装置2は、検出断面画像66−iから検出領域84−iを検出したときに、画像上位置86と検出断面画像66−1〜66−iに検出領域84−1〜84−iがそれぞれ配置される画像上位置88−1〜88−iとに基づいて初期位置を算出する。その初期位置は、位置86と位置88−1〜88−iとに対応する複数の点を通る回帰直線に基づいて算出される。その複数の点のうちの位置86に対応する点は、x座標とy座標とが位置86のx座標とy座標とにそれぞれ一致し、z座標が検出断面画像65に映る断面のz座標に一致している。その複数の点のうちの位置88−iに対応する点は、x座標とy座標とが位置88−iのx座標とy座標とにそれぞれ一致し、z座標が検出断面画像66−iに映る断面のz座標に一致している。その初期位置のx座標とy座標とは、検出断面画像66−iに映る断面に隣接する断面(断面画像66−(i+1)に映る断面)がその回帰直線に交差する点のx座標とy座標とにそれぞれ一致している。放射線治療装置制御装置2は、所定の断面画像のうちのその初期位置の周辺からテンプレート画像74−(i+1)に最も類似する検出領域84−(i+1)を検出し、検出領域84−(i+1)に対応するマッチング結果を算出する。その所定の断面画像は、検出断面画像66−iが映す断面に隣接する断面を映す検出断面画像66−(i+1)である。
【0082】
放射線治療装置制御装置2は、検出断面画像66−mから検出領域84−mを検出したときに、画像上位置86と画像上位置88−1〜88−mとに基づいて初期位置を算出する。その初期位置は、位置86と位置88−1〜88−mとに対応する複数の点を通る回帰直線に基づいて算出される。その複数の点のうちの位置86に対応する点は、x座標とy座標とが位置86のx座標とy座標とにそれぞれ一致し、z座標が検出断面画像65に映る断面のz座標に一致している。その複数の点のうちの位置88−iに対応する点は、x座標とy座標とが位置88−iのx座標とy座標とにそれぞれ一致し、z座標が検出断面画像66−iに映る断面のz座標に一致している。その初期位置のx座標とy座標とは、検出断面画像66−mに映る断面に隣接する断面(検出断面画像67に映る断面)がその回帰直線に交差する点のx座標とy座標とにそれぞれ一致している。放射線治療装置制御装置2は、所定の断面画像のうちのその初期位置の周辺からテンプレート画像73に最も類似する検出領域83を検出し、検出領域83に対応するマッチング結果を算出する。その所定の断面画像は、検出断面画像66−mが映す断面に隣接する断面を映す検出断面画像67である。
【0083】
放射線治療装置制御装置2は、検出断面画像65から検出領域82が検出されたときに、所定の断面画像のうちの所定の初期位置の周辺からテンプレート画像75に最も類似する検出領域85を検出し、検出領域85に対応するマッチング結果を算出する。その所定の断面画像は、検出断面画像65が映す断面の近傍に配置される断面を映す検出断面画像68である。その所定の初期位置は、画像上位置86と検出断面画像65に検出領域82が配置される向きとに基づいて算出された位置を示し、画像上位置86に対する相対位置が画像上位置76に対する画像上位置79の相対位置に一致する位置を示している(ステップS4)。
【0084】
放射線治療装置制御装置2は、検出断面画像65が映す断面に隣接する断面を映す断面画像からテンプレート画像72に最も類似する検出領域を検出し、その検出領域がテンプレート画像72に類似している程度(類似度)を算出する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、その算出された類似度と検出領域82の類似度とが同程度のときに、または、検出領域82が所定の類似度よりテンプレート画像72に類似していないときに(ステップS5、必要)、複数の断面画像81−1〜81−Nに基づいて中間スライス断面画像を算出する。その中間スライス断面画像は、検出断面画像65が映す断面とその断面に隣接する断面の間に配置される中間断面を映している。放射線治療装置制御装置2は、その中間スライスからテンプレート画像72に最も類似する検出領域を検出し、その検出領域に対応するマッチング結果を算出する(ステップS6)。
【0085】
放射線治療装置制御装置2は、その算出された複数のマッチング結果に基づいて、第1ずれ量を算出する(ステップS7)。その第1ずれ量は、X軸平行移動ずれ量ΔxとY軸平行移動ずれ量ΔyとZ軸平行移動ずれ量ΔzとX軸回り回転ずれ量θxとY軸回り回転ずれ量θyとZ軸回り回転ずれ量θzとを示している。
【0086】
放射線治療装置制御装置2は、その第1ずれ量を初期値にして、ステップS1で収集された計画時3次元ボクセルデータをステップS3で算出された治療時3次元ボクセルデータにマッチングすることにより、第2ずれ量を算出する(ステップS8)。その第2ずれ量は、X軸平行移動ずれ量とY軸平行移動ずれ量とZ軸平行移動ずれ量とX軸回り回転ずれ量とY軸回り回転ずれ量とZ軸回り回転ずれ量とを示している。そのX軸平行移動ずれ量は、その計画時3次元ボクセルデータがその治療時3次元ボクセルデータに類似するようにその計画時3次元ボクセルデータを移動させるときに、その治療時3次元ボクセルデータをX軸に平行に平行移動させる距離を示している。そのY軸平行移動ずれ量は、その計画時3次元ボクセルデータがその治療時3次元ボクセルデータに類似するように、その治療時3次元ボクセルデータをY軸に平行に平行移動させる距離を示している。そのZ軸平行移動ずれ量は、その計画時3次元ボクセルデータがその治療時3次元ボクセルデータに類似するように、その治療時3次元ボクセルデータをZ軸に平行に平行移動させる距離を示している。そのX軸周り回転ずれ量は、その計画時3次元ボクセルデータがその治療時3次元ボクセルデータに類似するように、その治療時3次元ボクセルデータをX軸に平行な回転軸を中心に回転移動させる角度を示している。そのY軸周り回転ずれ量は、その計画時3次元ボクセルデータがその治療時3次元ボクセルデータに類似するように、その治療時3次元ボクセルデータをY軸に平行な回転軸を中心に回転移動させる角度を示している。そのZ軸周り回転ずれ量は、その計画時3次元ボクセルデータがその治療時3次元ボクセルデータに類似するように、その治療時3次元ボクセルデータをZ軸に平行な回転軸を中心に回転移動させる角度を示している。
【0087】
放射線治療装置制御装置2は、その第2ずれ量に基づいて、補正量を算出する。その補正量は、X軸回転補正量とY軸回転補正量とZ軸回転補正量とX軸並進補正量とY軸並進補正量とZ軸並進補正量とから形成されている。そのX軸回転補正量は、X軸を中心にカウチ41を回転する回転角度を示している。そのY軸回転補正量は、Y軸を中心にカウチ41を回転する回転角度を示している。そのZ軸回転補正量は、Z軸を中心にカウチ41を回転する回転角度を示している。そのX軸並進補正量は、X軸に平行にカウチ41を平行移動する距離を示している。そのY軸並進補正量は、Y軸に平行にカウチ41を平行移動する距離を示している。そのZ軸並進補正量は、Z軸に平行にカウチ41を平行移動する距離を示している(ステップS9)。
【0088】
放射線治療装置制御装置2は、X軸を中心にそのX軸回転補正量だけカウチ41が回転するように、カウチ駆動装置42を制御する。放射線治療装置制御装置2は、X軸を中心にカウチ41が回転した後にY軸を中心にそのY軸回転補正量だけカウチ41が回転するように、カウチ駆動装置42を制御する。放射線治療装置制御装置2は、Y軸を中心にカウチ41が回転した後にZ軸を中心にそのZ軸回転補正量だけカウチ41が回転するように、カウチ駆動装置42を制御する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、Z軸を中心にカウチ41が回転した後に、Y軸に平行にそのY軸並進補正量だけカウチ41が平行移動し、Y軸に平行にそのY軸並進補正量だけカウチ41が平行移動し、Y軸に平行にそのY軸並進補正量だけカウチ41が平行移動するように、カウチ駆動装置42を制御する(ステップS10)。
【0089】
その放射線治療する動作は、その患者の位置を調整する動作が終了した後に実行される。すなわち、放射線治療装置制御装置2は、カウチ41とOリング12と走行ガントリ14とが所定の位置に配置された後に、患者43の第1追尾用X線画像が撮影されるように第1診断用X線源24と第1センサアレイ32とを制御し、患者43の第2追尾用X線画像が撮影されるように第2診断用X線源25と第2センサアレイ33とを制御する。
【0090】
放射線治療装置制御装置2は、その第1追尾用X線画像と第2追尾用X線画像とに基づいて患者43の患部の位置と形状とを算出する。放射線治療装置制御装置2は、その算出された位置に治療用放射線照射装置16が向くように、首振り装置15を制御する。放射線治療装置制御装置2は、その患部の形状に治療用放射線23の照射野が一致するように、マルチリーフコリメータ20を制御する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、その患部に治療用放射線23が所定の線量だけ照射されるように、治療用放射線照射装置16を制御する。放射線治療装置制御装置2は、さらに、その治療計画が示す線量の治療用放射線23が患者43の患部に照射されるまで、その追尾用X線画像の撮影から治療用放射線23の照射までの動作を周期的に繰り返して実行する。その周期としては、0.2秒が例示される。
【0091】
このような放射線治療装置制御方法によれば、放射線治療装置制御装置2は、検出領域82の画像上位置86と検出領域83の画像上位置87とに基づいてX軸回り回転ずれ量θxとY軸回り回転ずれ量θyとを算出するときに、検出領域82の画像上位置86のみに基づいてX軸回り回転ずれ量θxとY軸回り回転ずれ量θyとを算出することに比較して、X軸回り回転ずれ量θxとY軸回り回転ずれ量θyとをより高精度に算出することができる。さらに、放射線治療装置制御装置2は、テンプレート画像72が示す画像上位置76のz座標とテンプレート画像73が示す画像上位置77のz座標との差が比較的大きいときに、画像上位置76のz座標と画像上位置77のz座標との差が比較的小さいときに比較して、X軸回り回転ずれ量θxとY軸回り回転ずれ量θyとをより高精度に算出することができる。この結果、放射線治療装置制御装置2は、患者43を高精度に位置合わせすることができ、患者43をより高精度に放射線治療することができる。
【0092】
放射線治療装置制御装置2は、検出領域84−1〜84−mの位置に基づいて算出される初期位置の周辺から検出領域83を検出するときに、検出領域84−1〜84−mの位置に独立にあてずっぽうに検出領域83を検出することに比較して、検出領域83をより高速に検出することができる。この結果、放射線治療装置制御装置2は、患者43をより高速に位置合わせすることができ、患者43をより高速に放射線治療することができる。
【0093】
放射線治療装置制御装置2は、検出領域82の画像上位置86と検出領域85の画像上位置89とに基づいてZ軸回り回転ずれ量θzを算出するときに、検出領域82の画像上位置86のみに基づいてZ軸回り回転ずれ量θzを算出することに比較して、Z軸回り回転ずれ量θzをより高精度に算出することができる。この結果、放射線治療装置制御装置2は、患者43を高精度に位置合わせすることができ、患者43をより高精度に放射線治療することができる。
【0094】
検出領域82の画像上位置86のz座標は、検出領域82が所定の程度より類似していないときに、または、検出領域82の類似度が検出断面画像65に隣接する断面画像から検出される検出領域の類似度に概ね等しいときに、不適切である可能性が大きい。放射線治療装置制御装置2は、その算出された中間スライス断面画像から検出された検出領域をさらに用いることによれば、その算出された中間スライス断面画像を用いないことに比較して、Z軸平行移動ずれ量Δzをより高精度に算出することができる。この結果、放射線治療装置制御装置2は、患者43を高精度に位置合わせすることができ、患者43をより高精度に放射線治療することができる。
【0095】
その計画時3次元ボクセルデータは、複数の断面画像71−1〜71−nの解像度より詳細な解像度で作成することができる。その治療時3次元ボクセルデータは、複数の断面画像81−1〜81−Nの解像度より詳細な解像度で作成することができる。このため、このような動作によれば、放射線治療装置制御装置2は、複数の断面画像71−1〜71−nと複数の断面画像81−1〜81−Nとのみに基づいて患者43を位置合わせすることに比較して、患者43をより高精度に位置合わせすることができる。
【0096】
3次元ボクセルデータを他の3次元ボクセルデータにマッチングすることは、一般的に、2次元の画像データを他の画像データにマッチングすることに比較して、処理量がより大きい。このため、このような3次元ボクセルデータは、そのマッチングの処理時間が所定の時間以上にかかり、放射線治療時に患者43を位置合わせすることに適用が困難であることがある。放射線治療装置制御装置2は、第1ずれ量を初期値にして3次元ボクセルデータをマッチングするときに、あてずっぽうにマッチングすることによりその第2ずれ量を算出することに比較して、その第2ずれ量をより高速に算出することができる。その結果、放射線治療装置制御装置2は、患者43を位置合わせすることに3次元ボクセルデータのマッチングを適用することができ、患者43をより高精度に位置合わせすることができる。
【0097】
なお、第1診断用X線35と第2診断用X線36とは、コーンビームと異なる他のビーム形状の放射線に置換されることもできる。その放射線としては、ファンビームが例示される。放射線治療装置3は、第1診断用X線35と第2診断用X線36とがこのような放射線に置換された場合であっても、コーンビームと同様にして、複数の断面画像81−1〜81−Nを撮影することができる。
【0098】
なお、テンプレート画像73は、画像上位置77と異なる位置に配置された領域から形成されることもでき、すなわち、テンプレート画像72のうちの画像上位置76と異なる位置に配置された領域から形成されることもできる。このとき、X軸回り回転ずれ量θxとY軸回り回転ずれ量θyとは、既述の式と異なる他の式で算出される。このとき、放射線治療装置制御装置2は、既述の実施の形態と同様にして、患者43を高精度に位置合わせすることができる。
【0099】
なお、マッチング部54は、複数の断面画像81−1〜81−Nに配置され得るすべての領域に対応する複数の類似度のすべてを算出しない他のマッチング部に置換されることもできる。そのマッチング部は、位置(x,y,z)と角度(θx,θy)との関数である評価関数J(x,y,z,θx,θy)を定義する。評価関数J(x,y,z,θx,θy)は、位置(x,y,z)と角度(θx,θy)とにより定義される領域とテンプレート画像の類似度を示している。このとき、その位置が示すz座標は、断面を識別する番号(整数)ではなく,連続的な値を取ることができる。そのマッチング部は、最適化手法を用いて、複数の断面画像81−1〜81−Nから評価関数が最大となる位置(x,y,z)と角度(θx,θy)を探索することにより、複数の断面画像81−1〜81−Nのうちの最も類似度が高い領域を選択する。このような最適化手法は、公知であり、たとえば、Nelder−Mead法,準Newton法が例示される。そのマッチング部は、さらに、そのz座標が整数でないときに、線形補間などにより、そのz座標が示す断面を映す断面画像を算出する。このようなマッチング部が適用された放射線治療装置制御装置は、既述の実施の形態における放射線治療装置制御装置2と同様にして、複数の断面画像81−1〜81−Nからテンプレート画像に最も類似する検出領域をより高精度に算出することができ、患者43を高精度に位置合わせすることができ、患者43をより高精度に放射線治療することができる。このような放射線治療装置制御装置は、複数の断面画像81−1〜81−Nに配置され得るすべての領域に対応する複数の類似度のすべてを算出しないために、さらに、既述の実施の形態における放射線治療装置制御装置2に比較して、テンプレート画像に最も類似する検出領域をより高速に算出することができる。
【0100】
なお、X軸回り回転ずれ量θxとY軸回り回転ずれ量θyとは、検出領域82と検出領域83と検出領域84−1〜84−mとに基づいて算出されることもできる。たとえば、X軸回り回転ずれ量θxとY軸回り回転ずれ量θyとは、画像上位置86、87、88−1〜88−nを通る回帰直線に基づいて算出される。このとき、放射線治療装置制御装置2は、は、検出領域82と検出領域83とのみに基づいてX軸回り回転ずれ量θxとY軸回り回転ずれ量θyと算出することに比較して、X軸回り回転ずれ量θxとY軸回り回転ずれ量θyとより高精度に算出することができ、患者43をより高精度に位置合わせすることができる。
【0101】
なお、テンプレート画像74−1〜74−mは、断面画像62と断面画像63との間に配置される複数の断面画像のうちの一部の断面画像から形成されることもできる。このとき、放射線治療装置制御装置2は、既述の実施の形態と同様にして、患者43を高精度に位置合わせすることができる。
【0102】
なお、テンプレート画像74−1〜74−mは、直線と異なる曲線上に配置されるように、すなわち、画像上位置78−1〜78−mが直線と異なる曲線上に配置されるように、作成されることもできる。このとき、テンプレート画像74−1〜74−mは、複数の相対位置に対応付けられる。その複数の相対位置は、複数の断面画像71−1〜71−nで画像上位置76と画像上位置77とを結ぶ直線上に配置されるように、算出される。このとき、放射線治療装置制御装置2は、検出領域84−1〜84−mを検出したときに、その複数の相対位置に対応する複数の検出相対位置を算出し、その複数の検出相対位置を通る回帰直線を算出し、その回帰直線に基づいて検出領域83を検出する領域を算出する。このとき、放射線治療装置制御装置2は、既述の実施の形態と同様にして、検出領域83をより高速に検出することができ、患者43を高速に位置合わせすることができる。
【0103】
なお、放射線治療装置制御装置2は、検出領域84−1〜84−mを検出することを省略することもできる。このとき、放射線治療装置制御装置2は、検出領域82の画像上位置86に基づいて算出される領域から検出領域83を検出する。すなわち、このような省略は、検出領域82の画像上位置86に基づいて算出される領域から検出領域83を十分に高速に検出することができるときに、適用される。このとき、放射線治療装置制御装置2は、既述の実施の形態と同様にして、患者43を高精度に位置合わせすることができる。
【0104】
なお、放射線治療装置制御装置2は、検出領域83を複数の断面画像から検出することもできる。その複数の断面画像は、その複数の断面画像の断面と断面画像65の断面との距離が断面画像62の断面と断面画像63の断面との距離に概ね等しくなるように、複数の断面画像81−1〜81−Nから選択される。このとき、放射線治療装置制御装置2は、既述の実施の形態と同様にして、患者43を高精度に位置合わせすることができ、特に、テンプレート画像73が画像上位置76と異なる位置に配置された領域から形成されたときに好適である。
【0105】
なお、テンプレート画像75は、断面画像62と異なる他の断面画像から形成されることもできる。このとき、テンプレート画像75は、テンプレート画像72の位置とテンプレート画像75の位置とをxy平面に射影した2位置の距離が所定の長さLより長くなるように、形成される。このとき、放射線治療装置制御装置2は、既述の実施の形態と同様にして、Z軸回り回転ずれ量θzをより高精度に算出することができ、患者43を高精度に位置合わせすることができる。
【0106】
なお、放射線治療装置制御装置2は、検出領域85を検出することを省略することもできる。このとき、放射線治療装置制御装置2は、検出領域82と検出領域83と検出領域84−1〜84−mとが断面画像に配置される向きに基づいてZ軸回り回転ずれ量θzを算出する。このとき、放射線治療装置制御装置2は、既述の実施の形態と同様にして、患者43をより高精度に位置合わせすることができる。
【0107】
なお、放射線治療装置制御装置2は、中間スライス断面画像を作成することを省略することもできる。このような省略は、十分に高精度に患者43を位置合わせすることができる程度に、複数の断面画像81−1〜81−NのZ軸方向の解像度が詳細であるときに、適用される。このとき、放射線治療装置制御装置2は、既述の実施の形態と同様にして、患者43をより高精度に位置合わせすることができる。このとき、放射線治療装置制御装置2は、中間スライス断面画像を作成する処理とその中間スライス断面画像を用いてマッチングする処理とを実行する処置時間の分だけ全体の処理時間を低減することができ、患者43をより高速に位置合わせすることができる。
【0108】
本発明による放射線治療装置制御装置の実施の他の形態は、既述の実施の形態におけるカウチ制御部58が他のカウチ制御部に置換されている。そのカウチ制御部は、第1ずれ量算出部56により算出された第1ずれ量に基づいて補正量を算出し、その補正量に基づいてカウチ駆動装置42を制御する。このような放射線治療装置制御装置は、第1ずれ量算出部56により算出された第1ずれ量に基づいて算出される補正量で十分に高精度に患者43を位置合わせすることができるときに適用されることができる。このような放射線治療装置制御装置は、さらに、既述の実施の形態における3次元ボクセルデータをマッチングする処理(ステップS8)を実行する必要がなく、患者43をより高速に位置合わせすることができる。
【符号の説明】
【0109】
1 :放射線治療システム
2 :放射線治療装置制御装置
3 :放射線治療装置
11:旋回駆動装置
12:Oリング
14:走行ガントリ
15:首振り装置
16:治療用放射線照射装置
17:回転軸
18:回転軸
19:アイソセンタ
20:マルチリーフコリメータ
21:チルト軸
22:パン軸
23:治療用放射線
24:第1診断用X線源
25:第2診断用X線源
32:第1センサアレイ
33:第2センサアレイ
35:第1診断用X線
36:第2診断用X線
41:カウチ
42:カウチ駆動装置
43:患者
51:治療計画収集部
52:テンプレート算出部
53:撮影部
54:マッチング部
55:中間スライス作成部
56:第1ずれ量算出部
57:第2ずれ量算出部
58:カウチ制御部
59:照射部
61−1〜61−n:複数の断面
71−1〜71−n:複数の断面画像
72:テンプレート画像
73:テンプレート画像
74−1〜74−m:テンプレート画像
75:テンプレート画像
76:画像上位置
77:画像上位置
78−1〜78−m:画像上位置
79:画像上位置
62:断面画像
63:断面画像
64−1〜64−m:断面画像
81−1〜81−N:複数の断面画像
82:検出領域
83:検出領域
84−1〜84−m:検出領域
85:検出領域
86:画像上位置
87:画像上位置
88−1〜88−m:画像上位置
89:画像上位置
90:回帰直線
65:検出断面画像
66−1〜66−m:検出断面画像
67:検出断面画像
68:検出断面画像
91:直線
92:直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の互いに異なる複数の計画時断面をそれぞれ映す複数の計画時断面画像に基づいて複数のテンプレート画像を算出するステップと、
前記被検体の互いに異なる複数の治療時断面をそれぞれ映す複数の治療時断面画像から複数のテンプレート画像にそれぞれ最も類似する複数の検出領域を検出するステップと、
前記複数の治療時断面画像のうちの前記複数の検出領域がそれぞれ検出される複数の検出断面画像と前記複数の検出領域が前記複数の検出断面画像にそれぞれ配置される複数の検出位置とに基づいて、前記被検体が配置されるカウチのずれ量を算出するステップとを具備し、
前記複数のテンプレート画像は、
前記複数の計画時断面画像のうちの第1計画時断面画像の一部から形成される第1テンプレート画像と、
前記複数の計画時断面画像のうちの前記第1計画時断面画像と異なる第2計画時断面画像の一部から形成される第2テンプレート画像とを含む
放射線治療装置制御方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数の検出領域のうちの前記第1テンプレート画像に最も類似する第1検出領域が前記複数の治療時断面画像のうちの第1治療時断面画像から検出されたときに、前記第2テンプレート画像に最も類似する第2検出領域は、前記複数の治療時断面画像のうちの前記第1治療時断面画像と異なる第2治療時断面画像から検出され、
前記複数の治療時断面のうちの前記第1治療時断面画像により映し出される第1治療時断面と前記複数の治療時断面のうちの前記第2治療時断面画像により映し出される第2治療時断面との距離は、前記複数の計画時断面のうちの前記第1計画時断面画像により映し出される第1計画時断面と前記複数の計画時断面のうちの前記第2計画時断面画像により映し出される第2計画時断面との距離に等しい
放射線治療装置制御方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記複数の計画時断面は、前記第1計画時断面と前記第2計画時断面との間に配置される第3計画時断面を含み、
前記複数のテンプレート画像は、さらに、前記複数の計画時断面画像のうちの前記第3計画時断面を映す第3計画時断面画像の一部から形成される第3テンプレート画像を含み、
前記複数の治療時断面は、前記第1治療時断面と前記第2治療時断面との間に配置される第3治療時断面を含み、
前記第3テンプレート画像に最も類似する第3検出領域は、前記第1治療時断面画像に前記第1検出領域が配置される第1検出位置に基づいて前記複数の治療時断面画像のうちの前記第3治療時断面を映す第3治療時断面画像から検出され、
前記第2検出領域は、前記第1検出位置と前記第3治療時断面画像に前記第3検出領域が配置される第3検出位置とに基づいて前記第2治療時断面画像から検出される
放射線治療装置制御方法。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかにおいて、
前記複数のテンプレート画像は、さらに、前記複数の計画時断面画像のうちの第4計画時断面画像の一部から形成される第4テンプレート画像を含み、
前記第4計画時断面画像に前記第4テンプレート画像が配置される位置は、前記第1計画時断面画像に前記第1テンプレート画像が配置される位置と異なる
放射線治療装置制御方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記第4計画時断面画像は、前記第1計画時断面画像である
放射線治療装置制御方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかにおいて、
前記複数の治療時断面と異なる中間スライス治療時断面を映す中間スライス治療時断面画像を前記複数の治療時断面に基づいて算出するステップと、
前記中間スライス治療時断面画像から前記第1テンプレート画像に最も類似する中間スライス検出領域を検出するステップとをさらに具備し、
前記ずれ量は、前記中間スライス検出領域が前記中間スライス治療時断面画像に配置される検出位置にさらに基づいて算出される
放射線治療装置制御方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかにおいて、
前記複数の検出断面画像と前記複数の検出位置とに基づいて第1ずれ量を算出するステップと、
前記第1ずれ量に基づいて治療時3次元ボクセルデータから計画時3次元ボクセルデータテンプレートに最も類似する3次元領域を検出するステップと、
前記3次元領域が前記治療時3次元ボクセルデータに配置される位置に基づいて前記ずれ量を算出するステップ
とをさらに具備する放射線治療装置制御方法。
【請求項8】
被検体の互いに異なる複数の計画時断面をそれぞれ映す複数の計画時断面画像に基づいて複数のテンプレート画像を算出するテンプレート算出部と、
前記被検体の互いに異なる複数の治療時断面をそれぞれ映す複数の治療時断面画像から複数のテンプレート画像にそれぞれ最も類似する複数の検出領域を検出するマッチング部と、
前記複数の治療時断面画像のうちの前記複数の検出領域がそれぞれ検出される複数の検出断面画像と前記複数の検出領域が前記複数の検出断面画像にそれぞれ配置される複数の検出位置とに基づいて、前記被検体が配置されるカウチを駆動するカウチ駆動装置を制御するカウチ制御部とを具備し、
前記複数のテンプレート画像は、
前記複数の計画時断面画像のうちの第1計画時断面画像の一部から形成される第1テンプレート画像と、
前記複数の計画時断面画像のうちの前記第1計画時断面画像と異なる第2計画時断面画像の一部から形成される第2テンプレート画像とを含む
放射線治療装置制御装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記マッチング部は、前記複数の検出領域のうちの前記第1テンプレート画像に最も類似する第1検出領域が前記複数の治療時断面画像のうちの第1治療時断面画像から検出されたときに、前記複数の治療時断面画像のうちの前記第1治療時断面画像と異なる第2治療時断面画像から前記第2テンプレート画像に最も類似する第2検出領域を検出し、
前記複数の治療時断面のうちの前記第1治療時断面画像により映し出される第1治療時断面と前記複数の治療時断面のうちの前記第2治療時断面画像により映し出される第2治療時断面との距離は、前記複数の計画時断面のうちの前記第1計画時断面画像により映し出される第1計画時断面と前記複数の計画時断面のうちの前記第2計画時断面画像により映し出される第2計画時断面との距離に等しい
放射線治療装置制御装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記複数の計画時断面は、前記第1計画時断面と前記第2計画時断面との間に配置される第3計画時断面を含み、
前記複数のテンプレート画像は、さらに、前記複数の計画時断面画像のうちの前記第3計画時断面を映す第3計画時断面画像の一部から形成される第3テンプレート画像を含み、
前記複数の治療時断面は、前記第1治療時断面と前記第2治療時断面との間に配置される第3治療時断面を含み、
前記マッチング部は、
前記第1治療時断面画像に前記第1検出領域が配置される第1検出位置に基づいて、前記複数の治療時断面画像のうちの前記第3治療時断面を映す第3治療時断面画像から前記第3テンプレート画像に最も類似する第3検出領域を検出し、
前記第1検出位置と前記第3治療時断面画像に前記第3検出領域が配置される第3検出位置とに基づいて、前記第2治療時断面画像から前記第2検出領域を検出する
放射線治療装置制御装置。
【請求項11】
請求項8〜請求項10のいずれかにおいて、
前記複数のテンプレート画像は、さらに、前記複数の計画時断面画像のうちの第4計画時断面画像の一部から形成される第4テンプレート画像を含み、
前記第4計画時断面画像に前記第4テンプレート画像が配置される位置は、前記第1計画時断面画像に前記第1テンプレート画像が配置される位置と異なる
放射線治療装置制御装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記第4計画時断面画像は、前記第1計画時断面画像である
放射線治療装置制御装置。
【請求項13】
請求項8〜請求項12のいずれかにおいて、
前記複数の治療時断面と異なる中間スライス治療時断面を映す中間スライス治療時断面画像を前記複数の治療時断面に基づいて算出する中間スライス生成部をさらに具備し、
前記マッチング部は、前記中間スライス治療時断面画像から前記第1テンプレート画像に最も類似する中間スライス検出領域を検出し、
前記カウチ制御部は、前記中間スライス検出領域が前記中間スライス治療時断面画像に配置される検出位置にさらに基づいて前記カウチ駆動装置を制御する
放射線治療装置制御装置。
【請求項14】
請求項8〜請求項13のいずれかにおいて、
前記複数の検出断面画像と前記複数の検出位置とに基づいて第1ずれ量を算出する第1ずれ量算出部と、
前記第1ずれ量に基づいて治療時3次元ボクセルデータから3次元テンプレートに最も類似する3次元領域を検出し、前記3次元領域が前記治療時3次元ボクセルデータに配置される位置に基づいて第2ずれ量を算出する第2ずれ量算出部とをさらに具備し、
前記カウチ制御部は、前記第2ずれ量に基づいて、前記カウチ駆動装置を制御する
放射線治療装置制御装置。
【請求項15】
請求項8〜請求項14のいずれかにおいて、
前記被検体に治療用放射線が曝射されるように、治療用放射線照射装置を制御する照射部
をさらに具備する放射線治療装置制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−104183(P2011−104183A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263614(P2009−263614)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】