放射線画像撮影システム
【課題】CR用コンソールとFPD用コンソールが混在する状況において、放射線発生装置に対する撮影条件の設定を自動的に行うかマニュアルで行うかを的確に設定可能な放射線画像撮影システムを提供する。
【解決手段】放射線画像撮影システム50は、FPDカセッテ1Fと、CRカセッテ1Cと、放射線発生装置57と、FPD用コンソール58Fと、CR用コンソール58Cとを備え、FPD用コンソール58Fは、撮影オーダ情報に含まれる撮影条件に基づいて放射線発生装置57に撮影条件を自動設定する連携モードと、設定手段57aを介して撮影条件が設定されることを許容する非連携モードとを設定可能とされており、連携モードが設定されると、FPD用コンソール58Fは撮影条件を放射線発生装置57に送信し、放射線発生装置57は送信されてきた撮影条件に基づいて放射線源52から照射する放射線の照射線量を設定する。
【解決手段】放射線画像撮影システム50は、FPDカセッテ1Fと、CRカセッテ1Cと、放射線発生装置57と、FPD用コンソール58Fと、CR用コンソール58Cとを備え、FPD用コンソール58Fは、撮影オーダ情報に含まれる撮影条件に基づいて放射線発生装置57に撮影条件を自動設定する連携モードと、設定手段57aを介して撮影条件が設定されることを許容する非連携モードとを設定可能とされており、連携モードが設定されると、FPD用コンソール58Fは撮影条件を放射線発生装置57に送信し、放射線発生装置57は送信されてきた撮影条件に基づいて放射線源52から照射する放射線の照射線量を設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病気診断等を目的として、X線画像に代表される放射線を用いて撮影された放射線画像が広く用いられている。こうした医療用の放射線画像は、従来からスクリーンフィルムを用いて撮影されていたが、放射線画像のデジタル化を図るために輝尽性蛍光体プレート(輝尽性蛍光体シートともいう。)を用いたCR(Computed Radiography)カセッテが開発され、最近では、照射された放射線を放射線検出素子で検出してデジタル画像データとして取得する放射線画像撮影装置が開発されている。
【0003】
このタイプの放射線画像撮影装置はFPD(Flat Panel Detector)として知られており、上記のCRカセッテを用いた撮影よりも画像データ表示を素早く行えるので、早期診断に貢献可能となっている。従来は、支持台等と一体的に形成された、いわゆる専用機として開発された(例えば特許文献1、2参照)。また、近年、放射線検出素子等をハウジングに収納して可搬とした可搬型の放射線画像撮影装置が開発され、実用化されている(例えば特許文献3、4参照)。
【0004】
放射線画像撮影装置としては、照射されたX線等の放射線の照射線量に応じて検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接型の放射線画像撮影装置や、照射された放射線をシンチレータ等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換され照射された電磁波のエネルギに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる間接型の放射線画像撮影装置が知られている。なお、本発明では、直接型の放射線画像撮影装置における検出素子や、間接型の放射線画像撮影装置における光電変換素子を、あわせて放射線検出素子という。
【0005】
なお、本発明では、可搬型の放射線画像撮影装置をFPDカセッテというものとする。また、FPDカセッテを用いて撮影を行う方式をFPD方式と略称し、CRカセッテを用いて撮影を行う方式をCR方式と略称する場合がある。
【0006】
ところで、従来のCR方式による撮影では、CRカセッテに放射線を照射する放射線源を備える放射線発生装置に対して、撮影前に、放射線技師等の撮影者が、放射線源から放射線を照射する際の撮影条件をマニュアルで設定していた。すなわち、撮影者が、例えば「胸部正面」等の被写体の撮影部位や撮影方向等の撮影条件にあわせて、放射線源のX線管球に供給する管電圧や管電流等を自ら設定していた。
【0007】
また、近年、コンソールと放射線発生装置とを連携接続し、撮影者がコンソール(なお、以下、このコンソールをCR用コンソールという。)を操作して、撮影条件を含む撮影オーダ情報(例えば後述する図14等参照)をHIS(Hospital Information System;病院情報システム)やRIS(Radiology Information System;放射線科情報システム)から入手し、コンソール上で撮影オーダ情報を選択すると、コンソールから放射線発生装置に選択された撮影オーダ情報中に含まれる撮影条件等を自動送信して、送信されてきた撮影条件に基づいて放射線発生装置が放射線源に供給する管電圧や管電流等を自動設定するシステムも開発されている。
【0008】
一方、FPDカセッテを用いた撮影では、コンソールで、FPDカセッテのみならず放射線発生装置をも制御して、上記と同様に、コンソール(なお、以下、このコンソールをFPD用コンソールという。)上で選択された撮影オーダ情報中に含まれる撮影条件等を放射線発生装置に自動送信して、放射線発生装置に対する撮影条件の設定を自動的に行うシステムの開発が進められている(例えば特許文献5等参照)。
【0009】
なお、以下、CR用コンソールにせよFPD用コンソールにせよ、上記のように、コンソールが選択された撮影オーダ情報に含まれる撮影条件に基づいて放射線発生装置に撮影条件を自動設定する方式を連携方式といい、放射線発生装置に対して放射線技師等の撮影者が撮影条件をマニュアルで設定する方式を非連携方式という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3890163号公報
【特許文献2】特開平9−73144号公報
【特許文献3】特開2006−058124号公報
【特許文献4】特開平6−342099号公報
【特許文献5】特開2009−279055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、現在、病院や医院等の施設に設置されている撮影装置としては、撮影にCRカセッテを用いるCR方式が主流であるが、今後、病院や医院等にFPDカセッテが導入されることが予想されており、今後しばらくの間、病院等の撮影室内に、CRカセッテとFPDカセッテとが混在する状態になることが予想されている。
【0012】
また、CR方式に用いられるCR用コンソールが、汎用コンピュータにソフトウェアを組み込んだものであれば、CR用コンソールにFPD方式用のソフトウェアを組み込んで、1つのコンソールをCR用としてもFPD用としても使用することが可能となる。しかし、施設に既設のCR用コンソールは、汎用コンピュータを用いたものでなく、専用機である場合も少なくない。
【0013】
そのような状況で、上記のようにFPD方式を導入しようとすると、特にCR用コンソールとFPD用コンソールの製造メーカーが異なっているような場合には、専用機型のCR用コンソールに、FPD方式用のソフトウェアを組み込めず、結局、FPD用コンソールを別途導入することが必要になる場合も多いと予想される。
【0014】
しかし、このような場合、一方で、従来からのCR方式での撮影に慣れている放射線技師等の撮影者が、放射線発生装置に対する撮影条件の設定を自ら行わずに、導入されたFPD用コンソールで撮影者の意図に関係なく、いわば勝手に放射線発生装置に対する撮影条件の設定が自動的に行われてしまうこと(すなわち連携方式)に違和感を覚える場合があり得る。
【0015】
他方、FPD用コンソールで放射線発生装置に対する撮影条件の設定を自動的に行わないように設定してしまうと(すなわち非連携方式の場合)、FPD用コンソールで放射線発生装置に対する撮影条件の設定を自動的に行いたいと考える放射線技師等の撮影者が、自らマニュアルで撮影条件を設定しなければならなくなり、FPD用コンソールを含む放射線画像撮影システムが非常に使い勝手が悪いものになってしまう場合もあり得る。
【0016】
そして、CR用コンソールや新たに導入されたFPD用コンソールを使って撮影を行う放射線技師等が限定される場合には、その放射線技師等の好みに合った設定(すなわち連携方式または非連携方式に適合する設定)がなされたFPD用コンソールを導入すればよい。
【0017】
しかし、特に、放射線技師等が複数存在するような場合には、FPD用コンソールの設定(すなわち連携方式か非連携方式かの設定)が限定されると、その設定を好ましく思わない放射線技師等にとっては、FPD用コンソールを含む放射線画像撮影システムが非常に使い勝手が悪いものになってしまうといった問題が生じ得る。
【0018】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、CR用コンソールとFPD用コンソールが混在する状況において、放射線発生装置に対する撮影条件の設定を自動的に行うか(すなわち連携方式で行うか)マニュアルで行うか(すなわち非連携方式で行うか)を的確に設定可能な放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影システムは、
二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備え、放射線の照射により前記各放射線検出素子内で発生した電荷を画像データとして読み出すFPDカセッテと、
輝尽性蛍光体プレートを内蔵し、放射された放射線のエネルギを前記輝尽性蛍光体プレートに蓄積させるCRカセッテと、
撮影条件を設定可能な設定手段と、前記撮影条件に基づく照射線量で前記FPDカセッテまたは前記CRカセッテに放射線を照射する放射線源と、前記放射線源に放射線の照射開始を指示する曝射スイッチとを備える放射線発生装置と、
前記FPDカセッテから読み出された画像データに基づいて放射線画像を生成するFPD用コンソールと、
前記CRカセッテから読み出された画像データに基づいて放射線画像を生成するCR用コンソールと、
を備え、
少なくとも前記FPD用コンソールは、
選択された撮影オーダ情報に含まれる撮影条件に基づいて前記放射線発生装置に前記撮影条件を自動設定する連携モードと、
前記FPD用コンソールでは前記放射線発生装置に対して前記撮影条件を設定せず、前記設定手段を介して前記放射線発生装置に前記撮影条件が設定されることを許容する非連携モードと、
を設定可能とされており、
前記連携モードが設定されると、前記FPD用コンソールは、選択された前記撮影オーダ情報に含まれる前記撮影条件を前記放射線発生装置に送信し、前記放射線発生装置は、送信されてきた前記撮影条件に基づいて少なくとも前記放射線源から照射する放射線の前記照射線量を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明のような方式の放射線画像撮影システムによれば、FPD用コンソールで連携モードか非連携モードかを自由に設定することが可能となるため、施設に既設のCR用コンソールでの仕様に関連して、放射線技師等の撮影者が、FPD用コンソールの仕様を自由に設定することが可能となる。
【0021】
そのため、施設内にCR用コンソールとFPD用コンソールが混在する状況においても、放射線発生装置に対する撮影条件の設定を自動的に行うか(すなわち連携モードで行うか)マニュアルで行うか(すなわち非連携モードで行うか)を、撮影者自身の好みにあわせて、或いは施設の決まりに従って、自由にかつ的確に設定することが可能となり、放射線画像撮影システムが撮影者にとって非常に使い勝手がよいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係る放射線画像撮影システムの全体構成を示す図である。
【図2】FPDカセッテの外観斜視図である。
【図3】図2のFPDカセッテを反対側から見た外観斜視図である。
【図4】図2におけるA−A線に沿う断面図である。
【図5】FPDカセッテの基板の構成を示す平面図である。
【図6】図5の基板上の小領域に形成された放射線検出素子とTFT等の構成を示す拡大図である。
【図7】フレキシブル回路基板やPCB基板等が取り付けられた基板を説明する側面図である。
【図8】FPDカセッテの等価回路を表すブロック図である。
【図9】FPDカセッテを用いて同期方式で撮影を行う場合にゲートドライバ各走査線にオン電圧を印加するタイミングを表すタイミングチャートである。
【図10】カセッテ保持部の内部にコネクタが設けられたブッキー装置を説明する図である。
【図11】FPDカセッテのコネクタとブッキー装置のコネクタとが接続された状態を表す外観斜視図である。
【図12】FPDカセッテがクレードルに挿入され、コネクタ同士が接続された状態を表す断面図である。
【図13】(A)は曝射スイッチの構成を示す図であり、(B)はボタン部に対する1段目の操作がなされた状態、(C)は2段目の操作がなされた状態を説明する図である。
【図14】撮影オーダ情報の例を示す図である。
【図15】撮影オーダ情報を表示する選択画面の例を示す図である。
【図16】選択された各撮影オーダ情報に対応する各アイコン等が表示された画面の例を示す図である。
【図17】フォーカスされた元のアイコンの位置にプレビュー画像が表示された状態を示す図である。
【図18】次のアイコンがフォーカスされ、元のアイコンの位置に放射線画像が表示された状態を示す図である。
【図19】(A)はカバー装置の構成を表す側面図であり、(B)は蓋部が開放された状態のカバー装置の構成を表す平面図である。
【図20】光学的検知手段の構成を表す概略図である。
【図21】(A)カバー装置の蝶番構造の部分に設けられるタンブラーバネの例を示す側面図であり、(B)と蝶番構造の部分を正面から見た拡大図である。
【図22】カバー装置の別の構成例を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る放射線画像撮影システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の図示例のものに限定されるものではない。
【0024】
なお、本実施形態では、図1に示すように、撮影室RaとFPD用コンソール58FおよびCR用コンソール58Cとが1対1に対応付けられている場合について説明するが、複数の撮影室RaとFPD用コンソール58FおよびCR用コンソール58Cとが例えばネットワークを介して接続されているようなシステムに対しても本発明を適用することができる。
【0025】
図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影システムの全体構成を示す図である。撮影室Raは、患者の身体の一部である被写体(すなわち患者の撮影部位)に放射線を照射して放射線画像撮影を行う部屋であり、被写体に放射線を照射するための放射線照射装置の放射線発生装置57の放射線源52等が配置されている。なお、撮影室Raは、放射線が撮影室外に漏洩しないように鉛などでシールドされている。
【0026】
本実施形態では、放射線画像撮影装置として、以下で説明するようなFPDカセッテ(すなわち可搬型の放射線画像撮影装置)1Fが用いられるようになっている。また、撮影室Raには、FPDカセッテIFのほかに、CRカセッテ1Cも備えられており、或いは持ち込み可能とされており、また、FPDカセッテ1FやCRカセッテ1Cを装填可能なブッキー装置51が設けられている。なお、ブッキー装置51や放射線源52等については、後で説明する。
【0027】
ここで、まず、放射線画像撮影システム50で放射線画像撮影に用いられるCRカセッテ1Cについて説明する。
【0028】
CRカセッテ1Cの構成としては、例えば特開2003−287833号公報等に記載されている構成を採用することが可能であるが、CRカセッテ1Cについては、公知のものを用いることが可能であり、放射された放射線のエネルギを蓄積させる輝尽性蛍光体プレートを備えるものであれば、特に限定されない。
【0029】
また、本実施形態では、CRカセッテ1Cには、例えばその裏面等に、CRカセッテ1Cの識別情報等を担持する図示しないバーコードが貼付されており、後述するように、撮影後、CRカセッテ1Cを撮影室Ra外に設置された後述する画像読取装置61に装填して輝尽性蛍光体プレートから画像データDを読み出す際に、画像読取装置61により、バーコードが読み取られるようになっている。
【0030】
次に、放射線画像撮影システム50で放射線画像撮影に用いられるFPDカセッテ1Fについて説明する。
【0031】
なお、以下では、FPDカセッテ1Fとして、シンチレータ等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型のFPDカセッテについて説明するが、本発明は、シンチレータ等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型のFPDカセッテに対しても適用することができる。
【0032】
図2は、FPDカセッテの外観斜視図であり、図3は、FPDカセッテを反対側から見た外観斜視図である。また、図4は、図2のA−A線に沿う断面図である。FPDカセッテ1Fは、図2〜図4に示すように、筐体状のハウジング2内にシンチレータ3や基板4等で構成されるセンサパネルSPが収納されている。
【0033】
図2や図3に示すように、FPDカセッテ1Fの筐体2のうち、放射線入射面Rを有する中空の角筒状のハウジング本体部2Aは、放射線を透過するカーボン板やプラスチック等の材料で形成されており、ハウジング本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで筐体2が形成されている。なお、筐体2をこのようないわゆるモノコック型として形成する代わりに、例えば、フレーム板とバック板とで形成された、いわゆる弁当箱型とすることも可能である。
【0034】
図2に示すように、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や選択スイッチ38、コネクタ39、バッテリ状態やFPDカセッテ1Fの稼働状態等を表示するLED等で構成されたインジケータ40等が配置されている。
【0035】
また、図3に示すように、筐体2の反対側の蓋部材2Cには、画像データ等をFPD用コンソール58F(図1参照)に無線で送信するための通信手段であるアンテナ装置41が埋め込まれている。なお、画像データ等をFPD用コンソール58Fに有線方式で送信するように構成することも可能であり、その場合、例えば、前述したコネクタ39にケーブル等を接続して送受信するように構成される。また、アンテナ装置41を設ける場合には、アンテナ装置41の筐体2上の配置場所や配置する個数は適宜決められる。
【0036】
筐体2の内部には、図4に示すように、センサパネルSPの基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置され、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33や緩衝部材34等が取り付けられている。
【0037】
なお、基板4やシンチレータ3の放射線入射面R側には、それらを保護するためのガラス基板35が配設されている。また、センサパネルSPと筐体2の側面との間に、それらがぶつかり合うことを防止するための緩衝材36が設けられている。
【0038】
シンチレータ3は、基板4の後述する検出部Pに貼り合わされるようになっている。シンチレータ3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
【0039】
基板4は、ガラス基板で構成されており、図5に示すように、基板4のシンチレータ3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
【0040】
このように、走査線5と信号線6で区画された各小領域rに二次元状(マトリクス状ともいう。)に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた領域r全体、すなわち図5に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
【0041】
本実施形態では、放射線検出素子7として、フォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。各放射線検出素子7は、図5の拡大図である図6に示すように、スイッチ手段であるTFT8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
【0042】
そして、TFT8は、後述する走査駆動手段15から走査線5を介してゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となり、ソース電極8sやドレイン電極8dを介して放射線検出素子7内に蓄積されている電荷を信号線6に放出させるようになっている。また、TFT8は、接続された走査線5を介してゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、放射線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、放射線検出素子7内に電荷を保持するようになっている。
【0043】
図5や図6に示すように、列状に配置された複数の放射線検出素子7にそれぞれバイアス線9が接続されており、図5に示すように、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で1本の結線10に結束されている。
【0044】
また、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう)11に接続されている。各入出力端子11には、図7に示すように、IC12a等のチップがフィルム上に組み込まれたフレキシブル回路基板(Chip On Filmともいう。)12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
【0045】
また、フレキシブル回路基板12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。このようにして、FPDカセッテ1FのセンサパネルSPの基板4部分が形成されている。なお、図7では、電子部品32等の図示が省略されている。
【0046】
ここで、図8を用いてFPDカセッテ1Fの回路構成について説明する。
【0047】
各放射線検出素子7の一方の電極にはそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の電極にそれぞれバイアス電圧(厳密に言えば逆バイアス電圧)を印加するようになっている。
【0048】
また、各放射線検出素子7の他方の電極はTFT8のソース電極8s(図8中ではSと表記されている。)に接続されており、各TFT8のゲート電極8g(図8中ではGと表記されている。)は、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから延びる走査線5の各ラインL1〜Lxにそれぞれ接続されている。また、各TFT8のドレイン電極8d(図8中ではDと表記されている。)は各信号線6にそれぞれ接続されている。
【0049】
走査駆動手段15は、ゲートドライバ15bにオン電圧やオフ電圧を供給する電源回路15aと、走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えるゲートドライバ15bとを備えている。ゲートドライバ15bは、前述したように、走査線5の各ラインL1〜Lxを介してTFT8のゲート電極8gに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替えて、各TFT8のオン状態とオフ状態とを制御するようになっている。
【0050】
また、各信号線6は、読み出しIC16内に形成された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。読み出し回路17は、増幅回路18と、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling)回路19と、アナログマルチプレクサ21と、A/D変換器20とで構成されている。
【0051】
例えば、放射線画像撮影の際に、被写体を介してFPDカセッテ1Fに放射線が照射されると、シンチレータ3で放射線が他の波長の電磁波に変換され、変換された電磁波がその直下の放射線検出素子7に照射される。そして、照射された放射線の照射線量(すなわち電磁波の光量)に応じて放射線検出素子7内で電荷が発生する。
【0052】
各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理においては、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5の所定のラインLnにオン電圧が印加されると、走査線5の当該ラインLnを介してそれに接続されている各TFT8のゲート電極8gにオン電圧が印加されて各TFT8がオン状態となり、オン状態となった各TFT8と接続されている放射線検出素子7から各TFT8を介して信号線6に電荷が放出される。
【0053】
そして、放射線検出素子7から放出された電荷量に応じて増幅回路18から電圧値が出力され、それを相関二重サンプリング回路19で相関二重サンプリングしてアナログ値の画像データDがマルチプレクサ21に出力される。マルチプレクサ21から順次出力された画像データDは、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データDに変換され、記憶手段23に出力されて順次保存されるようになっている。
【0054】
また、本実施形態では、図8に示すように、バイアス線9の結線10に、結線10中を流れる電流を例えば電圧値に変換する電流検出手段42が設けられている。電流検出手段42は、電流値から変換した電圧値を制御手段22に出力するようになっている。
【0055】
制御手段22は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。
【0056】
制御手段22は、FPDカセッテ1Fの走査駆動手段15や読み出し回路17等の各機能部の動作等を制御するようになっている。制御手段22には、DRAM(Dynamic RAM)等で構成される記憶手段23や、FPDカセッテ1Fの各機能部に電力を供給するバッテリ24が接続されている。また、制御手段22には、前述したアンテナ装置41が接続されている。
【0057】
ここで、放射線画像撮影の際のFPDカセッテ1Fにおける処理等について説明する。本実施形態では、FPDカセッテ1Fは、下記の同期方式と非同期方式のいずれの方式でも撮影を行うことができるようになっている。
【0058】
なお、前述した連携方式や非連携方式は、後述するFPD用コンソール58FやCR用コンソール58C(図1参照)が放射線発生装置57に対して撮影条件を自動設定するか(すなわち連携方式)、或いは放射線技師等がマニュアルで設定するか(すなわち非連携方式)の違い、すなわち放射線発生装置57に対する撮影条件の設定の違いを表すものであった。
【0059】
それに対して、同期方式や非同期方式は、下記のように、放射線画像撮影の際に、FPD用コンソール58Fを介してFPDカセッテ1Fと放射線発生装置57との間で同期をとりながら撮影を行うか同期をとらないで撮影を行うかの違いを表すものである。なお、本実施形態では、FPDカセッテ1Fは、後述するように、ブッキー装置51に装填されて用いられる場合には同期方式で、また、ブッキー装置51に装填されずに単独の状態で用いられる場合には非同期方式で、それぞれ撮影を行うようになっている。
【0060】
例えば、前述した従来の専用機型の放射線画像撮影装置では、通常、放射線画像撮影装置側と放射線発生装置57側との間でインターフェースが構築され、両者の間で信号等をやり取りし曝射開始タイミング等の同期をとりながら放射線画像撮影を行うように構成されていた。
【0061】
そこで、FPDカセッテ1Fを用いる場合でも、FPDカセッテ1Fと放射線発生装置57との間にFPD用コンソール58Fを介在させて、FPDカセッテ1F−FPD用コンソール58F−放射線発生装置57間にインターフェースを構築して、同期方式で放射線画像撮影を行うように構成することができる。
【0062】
同期方式で撮影を行う場合、制御手段22は、図9に示すように、撮影前に、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して各走査線5に接続されている各TFT8を順次オン状態にして、各放射線検出素子7内に残存する電荷を放出させて、各放射線検出素子7のリセット処理を行う。なお、この同期方式では、バイアス線9の結線10中を流れる電流を検出する必要はないため、電流検出手段42はオフさせておく。
【0063】
そして、同期方式の場合には、放射線発生装置57(図1参照)から照射開始信号を受信したFPD用コンソール58Fから中継器54を介してFPDカセッテ1Fに照射開始信号が転送されてくると、FPDカセッテ1Fでは、走査線5の最後のラインLxまでオン電圧の印加を続行して検出部Pの1面分のリセット処理を行った後、ゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させて、各放射線検出素子7のTFT8をオフ状態にして電荷蓄積状態に移行させる。そして、FPD用コンソール58Fに対して放射線の照射を許容する信号(以下ready信号という。)を送信する。
【0064】
なお、後述するように、放射線発生装置57から照射開始信号を受信した段階で、FPD用コンソール58FからFPDカセッテ1に対して照射開始信号を転送するように構成する代わりに、その段階でFPD用コンソール58FからFPDカセッテ1に対して撮影可能な状態か否かを問い合わせるように構成される場合もあり、その場合には、FPDカセッテ1は、上記のようにして1面分のリセット処理Rmを完了し、電荷蓄積状態に移行させた時点で、FPD用コンソール58Fに対してready信号を送信する。
【0065】
そして、FPDカセッテ1Fからready信号を受信したFPD用コンソール58Fから放射線発生装置57に対してインターロック解除信号が送信される。
【0066】
後述するように、放射線発生装置57は、FPD用コンソール58Fからインターロック解除信号を受信すると、放射線源52からFPDカセッテ1Fに対して放射線を照射させる(図9の斜線部分参照)。そして、放射線の照射が終了すると、FPDカセッテ1Fでは、ゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理が行われる。
【0067】
このようにして、同期方式では、放射線発生装置57とFPD用コンソール58F、およびFPD用コンソール58FとFPDカセッテ1Fとの間でそれぞれ信号のやり取りを行い、同期をとりながら放射線画像撮影が行われるようになっている。
【0068】
また、非同期方式で撮影を行う場合、制御手段22は、電流検出手段42を作動させる。そして、図示を省略するが、同期方式(図9参照)の場合と同様に、撮影前に、走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、各放射線検出素子7のリセット処理を行う。
【0069】
非同期方式の場合、FPDカセッテ1Fにおけるリセット処理等に関わりなく、放射線画像技師等の撮影者による後述する放射線発生装置57の曝射スイッチ56の操作に基づいて放射線源52から放射線が照射される。放射線が照射されると、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷の一部がバイアス線9に流出する等して、結線10中を流れる電流が急激に増加する。
【0070】
そこで、制御手段22は、電流検出手段42から出力される電圧値を監視し、例えば電圧値が予め設定された閾値を越える等して増加した時点で、放射線の照射が開始されたと判断するようになっている。なお、この電流検出手段42を用いた放射線の照射開始の検出については、例えば特開2009−219538号公報に詳しく説明されている。
【0071】
そして、制御手段22は、放射線の照射が開始されたと判断すると、各放射線検出素子7のリセット処理を即座に停止して、ゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させて、各放射線検出素子7のTFT8をオフ状態にして電荷蓄積状態に移行させる。
【0072】
そして、放射線の照射が終了すると、制御手段22は、同期方式の場合と同様に、ゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加させて、各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理を行う。
【0073】
このようにして、非同期方式では、FPDカセッテ1F自体で放射線の照射が開始されたことを検出して、放射線画像撮影が行われるようになっている。なお、非同期方式における放射線の照射開始の検出手法は、本実施形態のように電流検出手段42を用いる手法の代わりに、例えば特開2003−126072号公報や特開平7−72254号公報、或いは米国特許第7211803号明細書抜粋に記載されている手法等の種々の手法を採用することが可能であり、電流検出手段42を用いる手法に限定されない。
【0074】
一方、本実施形態では、制御手段22は、各放射線検出素子7から読み出して記憶手段23に保存した各画像データDに基づいて、各画像データDを所定の割合で間引いてプレビュー用の間引きデータDtを作成するようになっている。
【0075】
間引きデータDtは、例えば、二次元状に配列された各放射線検出素子7に対応して各画像データDを配列した場合に3×3画素や4×4画素ごとに1画素分の画像データDを抽出するようにして作成してもよく、或いは、走査線5の各ラインL1、L4、L7、…にそれぞれ接続された各放射線検出素子7からの画像データDのように、走査線5の所定の間隔ごとの各ラインLnに接続された各放射線検出素子7からの画像データDを抽出して作成するように構成することも可能である。
【0076】
そして、制御手段22は、放射線画像撮影が終了して各放射線検出素子7から画像データDを読み出して記憶手段23に保存すると、即座に間引きデータDtを作成し、間引きデータDtにFPDカセッテ1Fの識別情報であるカセッテIDを付与して、後述するように、FPD用コンソール58Fに送信するようになっている。この間引きデータDtの送信は放射線画像撮影ごとに行われる。
【0077】
制御手段22は、間引きデータDtをFPD用コンソール58Fに送信した後、当該間引きデータDtの作成の基となった画像データD、すなわち当該撮影で得られた全画像データDを、カセッテIDを付与してFPD用コンソール58Fに自動的に送信するようになっている。
【0078】
上記のように、間引きデータDtの送信は、FPD用コンソール58Fからの指示を待たずに自動的に送信されるが、この全画像データDの送信については、FPD用コンソール58Fからの送信指示があった時点で送信するように構成することも可能である。
【0079】
なお、前述した間引きデータDtの送信の際に、FPDカセッテ1FからFPD用コンソール58Fに間引きデータDtを送信するように構成されている場合、FPDカセッテ1FからFPD用コンソール58Fに画像データDを送信する際には、全画像データDのうち、既に送信済みの間引きデータDt以外の画像データDのみを送信するように構成することも可能である。
【0080】
この場合、FPD用コンソール58Fは、既に受信している間引きデータDtと、新たに送信されてきた画像データDとを合成して全画像データDを復元するように構成される。
【0081】
また、後述するように、FPDカセッテ1Fがブッキー装置51に装填されておらず単独で用いられている場合(すなわちコネクタ39(図2参照)に何も接続されていない場合)は、制御手段22は、アンテナ装置41を介して無線方式で間引きデータDtや画像データD、後述するオフセット補正値等をFPD用コンソール58Fに送信する。
【0082】
さらに、FPDカセッテ1Fがブッキー装置51に装填されて用いられている場合(すなわちコネクタ39にブッキー装置51のコネクタ51b(後述する図10、図11参照)が接続されている場合)は、制御手段22は、ブッキー装置51を介して有線方式で間引きデータDt等をFPD用コンソール58Fに送信するようになっている。
【0083】
制御手段22は、1回の放射線画像撮影が終了するごとに、或いは、一連の放射線画像撮影が終了した時点で、これらの放射線画像撮影で得られた画像データDに重畳されているオフセット分を補正するためのオフセット補正値を得るために、いわゆるダーク読取処理を自動的に行うようになっている。なお、単独或いは一連の放射線画像撮影が開始される前に、ダーク読取処理を行うように構成することも可能である。
【0084】
ダーク読取処理では、FPDカセッテ1Fの各TFT8をオフ状態とし、FPDカセッテ1Fに放射線が照射されない状態で所定時間放置した後、上記の読み出し処理と同様にして、各放射線検出素子7から、それらに蓄積された暗電荷等をいわゆるダーク読取値として読み出す。読み出されたダーク読取値は、記憶手段23(図8参照)に保存される。
【0085】
そして、制御手段22は、読み出した各放射線検出素子7ごとのダーク読取値をオフセット補正値としたり、或いは、ダーク読取処理を複数回行って、各放射線検出素子7ごとに得られた複数のダーク読取値を平均化する等して、オフセット補正値を算出する。そして、オフセット補正値にFPDカセッテ1Fの識別情報であるカセッテIDを付与して、FPD用コンソール58Fに自動的に送信するようになっている。
【0086】
一方、後述するように、FPDカセッテ1Fが撮影室Raに持ち込まれると、検知手段である後述するクレードル55に挿入されるようになっている。その際、制御手段22は、FPDカセッテ1Fがクレードル55に挿入された際に、コネクタ39(図2参照)がクレードル55のコネクタ55a(後述する図12参照)に接続されると、クレードル55を介して後述する中継器54(図1参照)にFPDカセッテ1Fの識別情報であるカセッテIDを通知するようになっている。
【0087】
また、制御手段22は、放射線技師等の撮影者により選択手段である選択スイッチ38(図2参照)が押下されると、自らの識別情報であるカセッテIDと、自らが選択されたことを示す選択信号とを、アンテナ装置41を介してFPD用コンソール58Fに送信するようになっている。
【0088】
FPDカセッテ1Fは、前述したCRカセッテ1Cと互換サイズを有しており、施設に既存の後述するブッキー装置51に装填して使用することができるようになっている。
【0089】
また、FPDカセッテ1Fは、ブッキー装置51に装填されている場合には、ブッキー装置51から電力の供給を受けるが、ブッキー装置51に装填されていない単独の状態では、バッテリ24(図8参照)から制御手段22やバイアス電源14、走査駆動手段15、読み出し回路17(読み出しIC16)等の各機能部に電力を供給するようになっている。なお、ブッキー装填時は、画像データDの送信や制御用通信等はブッキー装置51を介して有線方式で行われる。
【0090】
なお、FPDカセッテ1Fは、後述するように、ブッキー装置51に装填されている場合には、ブッキー装置51から電力の供給を受けるが、ブッキー装置51に装填されていない単独の状態では、バッテリ24(図8参照)から制御手段22やバイアス電源14、走査駆動手段15、読み出し回路17(読み出しIC16)等の各機能部に電力を供給するようになっている。
【0091】
そして、放射線画像撮影や画像データDの読み出し処理等を行わない場合に、各機能部に電力を供給すると、バッテリ24が消耗してしまうため、FPDカセッテ1Fは、各機能部に電力を供給して放射線画像撮影を行うことができる状態、すなわち撮影可能な状態とする撮影可能モードと、放射線画像撮影を行わないような場合に各機能部に電力を供給しないスリープモードとの間で、モードを切り替えることができるようになっている。
【0092】
スリープモードでは、FPD用コンソール58Fからの信号を受信できるようにアンテナ装置41や制御手段22等の最小限起動していることが必要な機能部にのみ電力を供給し、バイアス電源14や走査駆動手段15、読み出し回路17(読み出しIC16)等には電力を供給しないようになっている。
【0093】
電源スイッチ37(図2参照)が押下された場合に、FPDカセッテ1Fを撮影可能モードで立ち上げるかスリープモードで立ち上げるかは適宜設定されるとしても、少なくとも、選択スイッチ38が押下された場合に、FPDカセッテ1Fがスリープモードになっている場合には、FPDカセッテ1Fのモードは撮影可能モードに切り替えられる。
【0094】
また、FPDカセッテ1Fは、撮影可能モードに切り替えられた後、所定時間が経過しても放射線画像撮影が行われない場合は、所定時間が経過した時点で、モードを自動的にスリープモードに切り替えるようになっている。
【0095】
そして、FPDカセッテ1Fは、モードが切り替わる際に、FPD用コンソール58Fに、撮影可能モードになったことを表す信号、或いはスリープモードになったことを表す信号を、それぞれ自らのカセッテIDとともに送信するようになっている。
【0096】
また、制御手段22は、放射線技師等の撮影者により電源スイッチ37が押下されて電源がオンになると、自らの識別情報であるカセッテIDと、自らが起動したことを示す起動信号とを、アンテナ装置41を介してFPD用コンソール58Fに送信し、また、放射線技師等の撮影者により電源スイッチ37が押下されて電源をオフされた場合には、FPDカセッテ1の電源をオフする前に、自らの識別情報であるカセッテIDと、自らがオフ状態になることを示す停止信号とを、アンテナ装置41を介してFPD用コンソール58Fに送信するようになっている。
【0097】
次に、放射線画像撮影システム50における他の各装置等について説明する。
【0098】
図1に示すように、ブッキー装置51は、カセッテ保持部51aにFPDカセッテ1FやCRカセッテ1Cを装填して用いることができるようになっている。なお、図1では、撮影室Raに、ブッキー装置51として立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bが設置されている場合が示されているが、例えば、立位撮影用のブッキー装置51Aのみ、或いは臥位撮影用のブッキー装置51Bのみが設けられているような場合にも本発明は適用される。
【0099】
本実施形態では、ブッキー装置51は、カセッテ保持部51aに従来のCRカセッテ1Cを装填して用いることもできるように構成されており、撮影室RaにCRカセッテ用に設置されている既存のブッキー装置を用いることが可能である。
【0100】
そのため、本実施形態では、上記のFPDカセッテ1Fは、CRカセッテ1Cと同様の寸法になるように形成されている。すなわち、CRカセッテ1Cは、従来のスクリーンフィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズ(対応する国際規格はIEC 60406)に準拠して、14インチ×17インチ(半切サイズ)等の寸法で形成される。また、放射線入射方向の厚さは15mm+1mm〜15mm−2mmの範囲内になるように形成される。
【0101】
そのため、このJIS規格サイズのCRカセッテ1Cを装填することができるブッキー装置51への装填使用を可能とするため、FPDカセッテ1Fも、CRカセッテ1Cが準拠するスクリーンフィルム用のカセッテにおけるJIS規格に準拠した寸法で形成されている。
【0102】
なお、スクリーン/フィルムカセッテやCRカセッテ用の既存のブッキー装置を用いない場合には、FPDカセッテ1Fを上記の寸法で形成する必要はなく、FPDカセッテ1Fを任意の大きさや形状に形成することが可能である。しかし、その際には、ブッキー装置51として、任意に設定された形状のFPDカセッテ1Fを装填することができるブッキー装置を新たに撮影室Ra内に設置することが必要となる。
【0103】
ブッキー装置51のカセッテ保持部51aの内部には、図10に示すように、装填されたFPDカセッテ1Fのコネクタ39(図2参照)と接続されるコネクタ51bが設けられている。図10に示した立位撮影用のブッキー装置51Aの場合だけでなく、臥位撮影用のブッキー装置51Bにおいても同様に構成されている。
【0104】
なお、上記のように、ブッキー装置51のカセッテ保持部51aの内部にコネクタ51bを設ける代わりに、図11に示すように、FPDカセッテ1Fをブッキー装置51に装填する前に、ブッキー装置51から延びるケーブルの先端に設けられたコネクタ51bをFPDカセッテ1Fのコネクタ39に接続し、その状態でFPDカセッテ1Fをブッキー装置51のカセッテ保持部51aに装填するように構成することも可能である。
【0105】
ブッキー装置51は、コネクタ51bとFPDカセッテ1Fのコネクタ39とが接続されると、FPDカセッテ1Fからその識別情報であるカセッテIDを読み出し、FPDカセッテ1FのカセッテIDと自らの識別情報であるブッキーIDとを対応付けて、FPD用コンソール58Fに送信するようになっている。
【0106】
前述したように、ブッキー装置51は、FPDカセッテ1Fがカセッテ保持部51aに装填されて用いられている場合には、FPDカセッテ1Fからコネクタ39を介して出力される間引きデータDtや画像データD、オフセット補正値を後述する中継器54に有線方式で伝送してFPD用コンソール58Fに送信するようになっている。
【0107】
また、ブッキー装置51のコネクタ51bとFPDカセッテ1Fのコネクタ39とが接続されることにより、ブッキー装置51からFPDカセッテ1Fに電力を供給するようになっている。そのため、FPDカセッテ1Fの制御手段22は、コネクタ39、51b同士が接続されると、バッテリ24(図8参照)からの各機能部への電力の供給を停止し、コネクタ39を介してブッキー装置51から供給される電力を各機能部に供給するように切り替えるようになっている。なお、各機能部に電力供給しながら、同時にバッテリ24を充電する構成とすることも可能である。
【0108】
図1に示すように、撮影室Raには、被写体に放射線を照射する放射線源52が少なくとも1つ設けられている。そして、放射線源52のうち、1つの放射線源52Aは、例えば撮影室Raの天井からつり下げられて配置されるようになっており、撮影時にはコンソール58からの指示に基づいて起動され、図示しない移動手段により所定の位置にまで移動されるようになっている。
【0109】
そして、放射線の照射方向を変えることで、立位撮影用のブッキー装置51Aや臥位撮影用のブッキー装置51Bに装填されたFPDカセッテ1FやCRカセッテ1Cに対して放射線を照射することができるようになっている。
【0110】
また、撮影室Raには、立位撮影用や臥位撮影用のブッキー装置51A、51Bには対応付けられていないポータブルの放射線源52Bも設けられている。ポータブルの放射線源52Bは、撮影室Ra内のいかなる場所にも持ち運びでき、任意の方向に放射線を照射できるようになっている。なお、図1では、ポータブルの放射線源52Bが放射線源52Aの放射線発生装置57によって制御される場合が示されているが、ポータブルの放射線源52Bを、放射線源52Aの放射線発生装置57とは独立の構成とすることも可能である。
【0111】
そして、FPDカセッテ1FやCRカセッテ1Cを単独の状態(すなわちブッキー装置51に装填しない状態)で被写体である患者の身体の部分にあてがったり、臥位撮影用のブッキー装置51Bのテーブルや図示しないベッドと患者の身体との間に差し込んだりした状態で、ポータブルの放射線源52Bから適切な距離や方向で放射線を照射することができるようになっている。
【0112】
なお、FPDカセッテ1FやCRカセッテ1Cは、このように、ブッキー装置51に装填されない単独の状態で放射線画像撮影に用いることができるようになっている。
【0113】
放射線源52は、X線管球を備えており、X線管球は、後述する放射線発生装置57から所定の管電圧や管電流が供給されると、設定された照射時間だけ管電圧等に応じた照射線量の放射線を照射するようになっている。
【0114】
前述したように、撮影室Raは鉛などでシールドされているため、撮影室Ra内でFPDカセッテ1Fからアンテナ装置41を介して画像データD等の情報を送受信しようとしても、そのままでは送受信できない。そこで、図1に示すように、FPDカセッテ1Fとコンソール58とが無線通信する際に、これらの通信を中継する無線アンテナ(アクセスポイント等ともいう。)53を備えた中継器(基地局等ともいう。)54が設けられている。
【0115】
なお、前述したように、ブッキー装置51と中継器54とはケーブル等で接続されており、FPDカセッテ1Fをブッキー装置51に装填して用いる場合には、FPDカセッテ1Fから出力された間引きデータDt等は、ブッキー装置51や中継器54等を介して有線方式でFPD用コンソール58Fに送信される。
【0116】
また、中継器54は、FPDカセッテ1Fを用いて前述した同期方式で撮影が行われる場合には、コンソール58からFPDカセッテ1Fへの照射開始信号の転送(或いはコンソール58からFPDカセッテ1への問い合わせ)およびFPDカセッテ1Fからコンソール58へのready信号の送信を中継するようになっている。
【0117】
中継器54には、クレードル55が接続されている。図12に示すように、撮影室Raに持ち込まれたFPDカセッテ1Fがクレードル55に挿入されて、FPDカセッテ1Fのコネクタ39とクレードル55のコネクタ55aとが接続されると、前述したようにFPDカセッテ1FからカセッテIDが、クレードル55を介して中継器54に通知されるようになっている。そして、中継器54は、クレードル55からFPDカセッテ1FのカセッテIDが送信されてくると、そのカセッテIDをFPD用コンソール58Fに通知するようになっている。
【0118】
なお、クレードル55は、通常、FPDカセッテ1F等を保管したり充電するために用いられるものであり、本実施形態においても、クレードル55が充電等の機能を有するように構成することも可能である。さらに、図12では、FPDカセッテ1Fを挿入する挿入口が2個設けられたクレードル55が示されているが、挿入口は1個でもよく、或いは3個以上設けられていてもよい。
【0119】
また、クレードル55は撮影室Raと前室Rbのいずれに設置されてもよく、撮影室Raに設置される場合には、放射線源52から照射される放射線が到達しない位置、すなわち、例えば撮影室Raのコーナーの位置等に設置される。
【0120】
一方、撮影室Raや前室Rbに持ち込まれたFPDカセッテ1Fを検知してコンソール58にカセッテIDを通知する検知手段としては、上記のようにクレードル55を用いる代わりに、或いはグレードル55と併用して、図示を省略するが、例えば前室Rbの扉付近にタグリーダを設けるように構成することも可能である。
【0121】
このように構成する場合、予め、FPDカセッテ1F内に、いわゆるRFID(Radio Frequency IDentification)タグ等の図示しないタグを内蔵させておき、タグにFPDカセッテ1FのカセッテID等の固有情報を記憶させておく。そして、FPDカセッテ1Fがタグリーダの近傍を通過して撮影室Raや前室Rbに持ち込まれる際に、タグリーダでFPDカセッテ1FのタグからカセッテID等の情報を読み取り、そのカセッテIDをコンソールに通知するように構成することが可能である。
【0122】
このように、検知手段としてタグリーダを用いるように構成すれば、少なくともFPDカセッテ1Fについて、その撮影室Ra内への持ち込みおよび当該撮影室Raからの持ち出しの両方を検知することが可能となり、好ましい。
【0123】
なお、この場合は、タグリーダとクレードル55とで少なくともFPDカセッテ1Fの撮影室Ra内への持ち込みをダブルチェックするように構成することも可能である。また、検知手段としてタグリーダのみを用いる場合には、クレードル55は例えば単にFPDカセッテ1Fの充電用等として用いられる。
【0124】
図1に示すように、前室Rbには、放射線源52に対して放射線の照射開始等を指示するための曝射スイッチ56等を備えた放射線発生装置57が設けられている。また、図1に示すように、放射線発生装置57には、撮影条件を入力して設定するためのキーボード等の設定手段57aが設けられている。
【0125】
曝射スイッチ56は、例えば図13(A)に示すように、所定長のストロークを有する棒状のボタン部56aと、ボタン部56aを図中矢印Sで示されるストローク方向に移動可能に支持する筐体部56bとで構成されている。そして、曝射スイッチ56のボタン部56aは、例えば、筐体部56bから上方に突出した円筒部56a1と、その内部からさらに上方に突出した円柱部56a2を備えて構成されている。
【0126】
そして、図13(B)に示すように、撮影者により円柱部56a2が円筒部56a1の上端部分までそのストローク方向Sに押し込まれて1段目の操作がなされると(すなわちいわゆる半押し操作が行われると)、曝射スイッチ56は、放射線発生装置57に起動信号を送信するようになっている。放射線発生装置57は、この起動信号を受信すると、放射線源52のX線管球の陽極の回転を開始させる等して放射線源52をスタンバイ状態とさせるようになっている。
【0127】
また、図13(C)に示すように、曝射スイッチ56の円筒部56a1と円柱部56a2とがともに筐体部56bの上端部分まで押し込まれて2段目の操作がなされると(すなわちいわゆる全押し操作が行われると)、曝射スイッチ56は、放射線発生装置57に照射開始信号を送信するようになっている。
【0128】
また、本実施形態では、後で詳しく説明するように、少なくともFPD用コンソール58Fで、連携方式に対応する連携モードと非連携方式に対応する非連携モードとのいずれかのモードを設定できるようになっている。
【0129】
そして、後述するように、FPD用コンソール58Fで非連携モードが設定されると、FPD用コンソール58Fでは放射線発生装置57に対して撮影条件を設定せず、放射線技師等が設定手段57aを介して放射線発生装置57に撮影条件が設定させることが許容される。
【0130】
そのため、放射線発生装置57は、非連携モードが設定されると、設定手段57aからの入力を受け付けるようになっている。そして、撮影条件が入力されると、放射線発生装置57は、放射線源52を起動させるとともに、入力された撮影条件に基づいて放射線源52に管電圧や管電流を供給する等して放射線源52から照射する放射線の照射線量を設定したり、前述した放射線源52の移動や照射方向の変更等を行うようになっている。
【0131】
また、後述するように、FPD用コンソール58Fで連携モードが設定されると、FPD用コンソール58Fから放射線発生装置57に、撮影オーダ情報に基づく撮影条件が送信されてくるため、放射線発生装置57は、FPD用コンソール58Fから送信されてきた撮影条件に基づいて、放射線源52を起動させたり、放射線源52に管電圧や管電流を供給する等して放射線源52から照射する放射線の照射線量を設定したり、前述した放射線源52の移動や照射方向の変更等を行うようになっている。
【0132】
なお、本実施形態では、CR用コンソール58Cは、既に施設に設置されているCR用コンソールが用いられるようになっており、CR用コンソール58Cが、連携モードで構成されているか、非連携モードで構成されているかによって、放射線発生装置57に対する撮影条件の設定が、放射線技師等によって行われるか(すなわち非連携モードの場合)、或いはCR用コンソール58Cによって行われるか(すなわち連携モードの場合)が決まっている。
【0133】
また、CR用コンソール58Cが、本実施形態に係るFPD用コンソール58Fと同様に、連携モードと非連携モードとのいずれのモードも設定可能に構成されている場合には、本実施形態のFPD用コンソール58の場合と同様に、放射線発生装置57は、CR用コンソール58Cで設定されたモードに応じて、放射線技師等に入力された撮影条件に従うか、CR用コンソール58Cから送信されてきた撮影条件に従うかを切り替える。
【0134】
なお、撮影がFPD方式で行われるかCR方式で行われるかによって、放射線発生装置57が放射線源52から照射する放射線の照射線量を変えることは前述した通りである。また、撮影をFPD方式で行う場合もCR方式で行う場合も、撮影部位(すなわち撮影される患者の身体の部位)が変わると、放射線源52から照射する放射線の照射線量も変わるため、連携モード或いは非連携モードにおける照射線量の設定は、撮影ごとに、撮影が開始される前に行われる。
【0135】
また、CR用コンソール58C、及び、FPD用コンソール58Fには、RIS等から同一の撮影オーダ情報がそれぞれに送信される。この撮影オーダ情報は、詳しくは後ほど説明するが、CRやFPDのどちらかの撮影方式を指定するものであっても、撮影方式を指定しないものであっても良い。後者の場合、既存のRISシステムがCR前提で設計されているので、CRを指定している撮影オーダを、FPD用コンソール58Fで選択する場合には、照射線量設定をCR用からFPD用に自動変換するアプリケーションソフトをFPD用コンソール58Fに搭載し、自動的に、選択された撮影オーダ情報に対応するFPD用照射線量設定が行われることが好ましい。
【0136】
このように、撮影を行う技師等が適宜、CRまたはFPDを選択使用することが可能なシステムであることが、放射線科内の全体撮影効率を上げることに繋がる。
【0137】
本実施形態では、FPD用コンソール58FやCR用コンソール58Cは、前室Rbに設けられている。そして、本実施形態では、FPD用コンソール58Fは、図示しないCPUやROM、RAM、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータ等で構成されている。ROMには所定のプログラムが格納されており、FPD用コンソール58Fは、必要なプログラムを読み出してRAMの作業領域に展開してプログラムに従って各種処理を実行するようになっている。
【0138】
また、本実施形態では、CR用コンソール58Cは、施設に既設のCR用コンソールが用いられるようになっており、CR用コンソール58Cは、前述したように、汎用コンピュータにソフトウェアが組み込まれたものである場合もあり、或いは、専用機として構成されている場合もある。
【0139】
FPD用コンピュータ58Fにおける連携モードや非連携モードの設定については後で詳しく説明するが、FPD用コンピュータ58Fは、後述するように、少なくともFPDカセッテ1Fから読み出された画像データDに基づいて放射線画像pを生成するようになっている。また、CR用コンソール58Cは、後述する画像読取装置61でCRカセッテから読み出された画像データDに基づいて放射線画像pを生成するようになっている。
【0140】
FPD用コンソール58FやCR用コンソール58Cには、いずれもCRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等からなる表示部59F、59Cがそれぞれ設けられており、その他、キーボードやマウス等の図示しない入力手段等がそれぞれ接続されている。
【0141】
また、FPD用コンソール58FやCR用コンソール58Cには、ハードディスク等で構成された記憶手段60F、60Cがそれぞれ内蔵され、或いは接続されており、また、図示を省略するが、LAN(Local Area Network)等のネットワーク等を介して前述したHISやRIS、PACS(Picture Archiving and Communication System)等が接続されている。
【0142】
また、図示を省略するが、FPD用コンソール58FやCR用コンソール58Cには、他のコンピュータや、コンソール58から出力された画像データDに基づいて放射線画像をフィルムなどの画像記録媒体に記録して出力するイメージャ等の外部機器が、LAN等を介して接続されている。
【0143】
本実施形態では、FPD用コンソール58Fは、前述したように、撮影室Raに持ち込まれたFPDカセッテ1Fが挿入されて、FPDカセッテ1FのカセッテID等がクレードル55や中継器54を介して送信されてくると、そのカセッテIDを記憶手段59に保存して、そのカセッテIDを有するFPDカセッテ1Fが撮影室Ra或いは前室Rb内に持ち込まれたことを認識して管理するようになっている。
【0144】
また、本実施形態では、FPD用コンソール58Fは、前述したように、FPDカセッテ1Fから撮影可能モードになったことを表す信号がカセッテIDとともに送信されてくると、記憶手段59に保存されている当該カセッテIDに対応付けられて保存されているモードを表す情報が撮影可能モードを表す情報である場合はそのままとし、保存されているモードを表す情報がスリープモードを表す情報である場合は、カセッテIDに、撮影可能モードを表す情報を新たに対応付けて上書き保存する。
【0145】
また、FPDカセッテ1Fからスリープモードになったことを表す信号がカセッテIDとともに送信されてきた場合には、記憶手段59に保存されている当該カセッテIDに対応付けられて保存されているモードを表す情報がスリープモードを表す情報である場合はそのままとし、保存されているモードを表す情報が撮影可能モードを表す情報である場合は、カセッテIDに、スリープモードを表す情報を新たに対応付けて上書き保存する。
【0146】
FPD用コンソール58Fは、このようにして、FPDカセッテ1Fが、現在、撮影可能モードとスリープモードとのいずれのモードにあるかを認識して、各FPDカセッテ1Fの電力供給モードを管理するようになっている。
【0147】
さらに、本実施形態では、FPD用コンソール58Fは、前述したように、FPDカセッテ1Fから、電源がオンになり起動したことを表す起動信号がカセッテIDとともに送信されてくると、記憶手段59に保存されている当該カセッテIDに対応付けられて保存されている状態を表す情報が起動状態を表す情報である場合はそのままとし、保存されている状態を表す情報が停止状態を表す情報である場合は、カセッテIDに、起動状態を表す情報を新たに対応付けて上書き保存する。
【0148】
また、FPDカセッテ1Fから、電源がオフになりオフ状態になることを表す停止信号がカセッテIDとともに送信されてきた場合には、記憶手段59に保存されている当該カセッテIDに対応付けられて保存されている状態を表す情報が停止状態を表す情報である場合はそのままとし、保存されている状態を表す情報が起動状態を表す情報である場合は、カセッテIDに、停止状態を表す情報を新たに対応付けて上書き保存する。
【0149】
FPD用コンソール58Fは、このようにして、FPDカセッテ1Fが、現在、起動しているか停止しているかを認識して、各FPDカセッテ1Fの起動状態を管理するようになっている。
【0150】
また、本実施形態では、FPD用コンソール58Fは、前述したように、FPDカセッテ1Fがコネクタ51bと接続されたブッキー装置51から、FPDカセッテ1FのカセッテIDとブッキーIDとが送信されてくると、記憶手段59に保存されている当該カセッテIDに、ブッキーIDを対応付けて保存するようになっている。
【0151】
また、FPDカセッテ1Fとコネクタ51bとの接続が解除された場合には、記憶手段59に保存されている当該FPDカセッテ1FのカセッテIDとブッキーIDとの対応付けを解除して、カセッテIDのみを保存するようになっている。
【0152】
このようにして、FPD用コンソール58Fは、FPDカセッテ1Fが、ブッキー装置51に装填されて用いられる場合には、どのFPDカセッテ1Fがどのブッキー装置51に装填されているか、或いは装填されていないかを認識して管理するようになっている。
【0153】
さらに、本実施形態では、FPD用コンソール58Fは、撮影で使用されるFPDカセッテ1Fが非同期方式で使用される場合には、当該FPDカセッテ1Fに対して、当該撮影が非同期方式で行われる旨の信号を送信するようになっている。そして、FPDカセッテ1Fの制御手段22(図8参照)は、コンソール58からの信号を受信すると、電流検出手段42を作動させて、FPDカセッテ1F自体で放射線の照射開始を検出するモードに移行するようになっている。
【0154】
一方、図1に示すように、CR用コンソール58Cには、CRカセッテ1Cの輝尽性蛍光体プレートから画像データDを読み出す画像読取装置61が接続されている。本実施形態では、画像読取装置61は、撮影室Raや前室Rbの外側に設置されているが、設置場所は任意に決められる。また、図1では、画像読取装置61が1機だけ設置されている場合が示されているが、画像読取装置61を複数機設置するように構成することも可能であり、設置される数は適宜決められる。
【0155】
画像読取装置61としては、例えば前述した特開2003−287833号公報等に記載されている画像読取装置等の、施設に既設の画像読取装置が用いられる。なお、画像読取装置61としては、CRカセッテ1C内の輝尽性蛍光体プレートから画像データDを読み取ることができるものであれば、上記の構成に限定されない。
【0156】
また、撮影後に、CRカセッテ1Cを画像読取装置61に装填する際に、画像読取装置61で前述したCRカセッテ1Cのバーコードを読み取り、画像読取装置61で読み取られたCRカセッテ1Cのバーコード情報と画像データDとを対応付けてCR用コンソール58Cに送信するように構成されていれば、CR用コンソール58Cは、後述するFPD用コンソール58Fにおける処理と同様に、バーコード情報中に含まれるCRカセッテ1CのカセッテIDをキーとして、読み取られた画像データDを撮影オーダ情報に対応付けることが可能となる。
【0157】
ここで、本実施形態における撮影前の連携モード或いは非連携モードの設定等について説明する前に、撮影が行われた後のFPD用コンソール58Fにおける画像処理等について説明する。
【0158】
FPD用コンソール58Fは、撮影者の操作により、前述したHISやRISから撮影オーダ情報等の必要な情報を入手するようになっている。
【0159】
撮影オーダ情報は、少なくとも撮影部位と撮影条件を指定して設定されるようになっている。具体的には、撮影オーダ情報は、図14に例示するように、患者情報としての「患者ID」P2、「患者氏名」P3、「性別」P4、「年齢」P5、「診療科」P6、および「撮影部位」P7、および撮影条件としての「撮影方向」P8や使用するブッキー装置51を表す「ブッキーID」P9や使用するカセッテの「カセッテID」P10等で構成されるようになっている。そして、撮影オーダが登録された順に、各撮影オーダ情報に対して「撮影オーダID」P1が自動的に割り当てられるようになっている。
【0160】
FPD用コンソール58Fは、撮影オーダ情報を入手すると、図15に示すように、表示部59F上に各撮影オーダ情報の一覧を選択画面H1として表示するようになっている。本実施形態では、選択画面H1には、撮影オーダ情報表示欄h11や選択ボタンh12、決定ボタンh13、戻るボタンh14が表示されるようになっている。
【0161】
そして、例えば、撮影者が選択ボタンh12をクリックして、各撮影オーダ情報を選択して、決定ボタンh13をクリックすると、FPD用コンソール58Fは、表示部上に図16に示すような画面H2を表示するようになっている。
【0162】
なお、撮影オーダ情報には、図15等に示したように、CRカセッテ1Cを用いて撮影を行うことが指定されたものもあるが、FPD用コンソール58Fで、CRカセッテ1Cを用いて撮影を行うことが指定された撮影オーダ情報を選択した場合には、例えば、画面上に警告表示し、撮影オーダ情報中のCRカセッテ1Cの指定をFPDカセッテ1Fに変更することを放射線技師等に要求するように構成することが可能である。
【0163】
画面H2には、図16に示すように、各撮影オーダ情報に対応する各アイコンIが表示され、各アイコンIの下部には、後述するように、アイコンIの位置に表示されるプレビュー画像p_preを撮影者が見て再撮影が不要と判断したり、アイコンIの位置に表示される放射線画像pが正常であると判断して放射線画像pを確定させる際にクリックする「OK」ボタンと、再撮影が必要であったり、放射線画像pに対する画像処理等をやり直す際にクリックする「NG」ボタンがそれぞれ表示されている。
【0164】
また、FPD用コンソール58Fで後述する連携モードが設定された場合には、画面H2の右側に表示されている撮影条件の設定用の表示Ia上の各項目の「+」ボタンや「−」ボタンをクリックすることで、放射線発生装置57の放射線源52の管電圧や管電流、照射時間等の撮影条件を微調整して設定することができるようになっている。
【0165】
なお、FPD用コンソール58Fで後述する非連携モードが設定された場合には、放射線技師等の撮影者が、放射線発生装置57の放射線源52の管電圧や管電流、照射時間等の撮影条件を微調整できると勘違いしないように、画面H2の右側の撮影条件の設定用の表示Iaを表示しないように構成することも可能である。
【0166】
一方、本実施形態では、FPD用コンソール58Fは、画面H2上に表示された各アイコンI1〜I4のうち、何れか1つのアイコンI(図16の場合はアイコンI2)を選択して、選択したアイコンIを目立つようにフォーカスして表示されるようになっている。そして、フォーカスされているアイコンIに対応する撮影オーダ情報に基づく撮影が行われるようになっている。なお、撮影者が、別の撮影オーダ情報に基づく撮影を行いたい場合には、その撮影オーダ情報に対応する他のアイコンIをクリックする等して選択することにより、フォーカスを遷移させることができるようになっている。
【0167】
また、本実施形態では、FPD用コンソール58Fは、後述する連携モードが設定された場合には、フォーカスされているアイコンIに対応する撮影オーダ情報に基づく撮影が行われるように、撮影室Ra内の放射線発生装置57を制御するようになっているが、この点については、後で説明する。
【0168】
なお、FPD用コンソール58Fは、アイコンIをフォーカスさせた時点で、当該アイコンIに対応する撮影オーダ情報で指定されたFPDカセッテ1Fの電力供給モードがスリープモードになっている場合には撮影可能モードに遷移させる等の必要な処理を行うようになっている。
【0169】
また、画面H2の左側には、フォーカスして表示されているアイコンIに対応する撮影オーダ情報で指定された撮影部位が、撮影者が一目で分かるように表した人体モデルIb上に表示されるようになっている。
【0170】
一方、フォーカスして表示されたアイコンIに対応する撮影オーダ情報に基づく放射線画像撮影が行われると、前述したように、FPDカセッテ1Fからは、各放射線検出素子7の画像データDから作成された間引きデータDtが送信されてくる。FPD用コンソール58Fは、FPDカセッテ1Fから間引きデータDtが送信されてくると、図17に示すように、送信されてきた間引きデータDtに基づくプレビュー画像を、フォーカスされていた元のアイコンI2の位置に表示するようになっている。
【0171】
なお、撮影者がプレビュー画像p_preを見易いように、プレビュー画像p_preを画面H2上に拡大して表示するように構成することも可能である。
【0172】
また、その後、当該FPDカセッテ1Fから画像データDが送信されてくると、FPD用コンソール58Fは、画像データDに付帯されている当該FPDカセッテ1FのカセッテIDを参照し、当該アイコンIに対応する撮影オーダ情報に指定されているFPDカセッテ1Fであること等を確認して、撮影オーダ情報に画像データDを対応付けるようになっている。
【0173】
そして、FPD用コンソール58Fは、プレビュー画像p_preを所定時間表示する間に、プレビュー画像p_preを見た撮影者が「NG」ボタンをクリックしなければ、図18に示すように、フォーカスして表示するアイコンIを例えばアイコンI3に遷移させるとともに、元のアイコンI2に対応する撮影でFPDカセッテ1Fから送信されてきた画像データD等に基づく診断用の放射線画像pの生成処理を開始するようになっている。
【0174】
なお、プレビュー画像p_preを見た撮影者が上記の所定時間の間に「NG」ボタンをクリックした場合には、撮影オーダ情報に対する画像データDの対応付けを解除するとともに、間引きデータDtや画像データDを抹消する。また、画像データD等に基づく放射線画像pの生成処理も行わない。
【0175】
FPD用コンソール58Fの記憶手段60Fには、撮影に用いられたFPDカセッテ1Fに関するゲイン補正値等の補正データが予め記憶されている。また、前述したように、FPDカセッテ1Fからは撮影ごとにオフセットデータOが送信されてくる。
【0176】
そのため、診断用の放射線画像pの生成処理では、FPD用コンソール58Fは、それらに基づいて、オフセット補正やゲイン補正、欠陥画素補正、撮影部位に応じた諧調処理等の処理を行うようになっている。また、撮影の際に、FPDカセッテ1Fにグリッドを取り付けて撮影が行われている場合があるため、グリッドによるモアレ除去のためのフィルタリング処理をさらに行うようになっている。
【0177】
グリッドを用いた撮影を行う場合、グリッドピッチとFPDカセッテ1Fの画素サイズとの関係で、画像データDにモアレを生じる場合がある。このモアレ対策として、例えば特開2000−316126号公報に記載されているように、使用するグリッドを適正に選択すれば、モアレ発生を避けることができる。また、特開平8−88765号公報に記載されているように、一旦、身近のグリッドを使用して撮影を行い、画像データD中に含まれるモアレ成分を、次工程でフィルタリング処理して除去することも知られている。
【0178】
FPDカセッテ1Fの場合、本実施形態で説明するように複数の撮影室Raで使用されたり、後述する実施形態で説明するように回診先で使用されるので、使用するグリッド種を制限することは得策ではない。すなわち、CRカセッテを用いて撮影を行っていた際に使用されていたグリッドをそのまま使用することが好ましい。また、撮影の都度、各撮影に使用したグリッドピッチ情報を読取り画像に対応付けて保存とすることも可能であるが、専用機型の放射線画像撮影装置の場合とは異なり、FPDカセッテ1Fの場合、グリッドピッチ情報を対応付けるには、大がかりな既存の撮影設備改造が必要になり、しかも、各撮影における放射線技師等の撮影者の操作も増えるため、現実的ではない。
【0179】
従って、使用するグリッドを限定せず、使用可能性のあるグリッドピッチに対応したモアレ除去フィルタを予め数種準備しておき、画像データDに対して、予め準備しておいた全てのフィルタを順次適用することで、モアレのない放射線画像pを得る方法が、FPDカセッテ1Fにとっては好ましい。
【0180】
FPD用コンソール58Fは、診断用の放射線画像pを生成すると、図18に示したように、元のアイコンI2の位置に表示する。そして、放射線画像pを見た撮影者が、生成された放射線画像pが正常であると判断して「OK」ボタンをクリックすると、放射線画像pを確定させて、診断用の放射線画像pを撮影オーダ情報に対応付けるようになっている。
【0181】
なお、本実施形態では、CR用コンソール58Cとして、前述したように、施設に既設のCR用コンソールが用いられ、CR用コンソール58Cにおける画像処理等は、施設に既設のCR用コンソールにおける処理の仕方に従って行われる。
【0182】
また、本実施形態では、画像読取装置61も施設に既設の画像読取装置が用いられるが、その際、撮影後、CRカセッテ1Cを画像読取装置61に装填する際に、画像読取装置61で前述したCRカセッテ1Cのバーコードを読み取り、画像読取装置61で読み取られたCRカセッテ1Cのバーコード情報と画像データDとを対応付けてCR用コンソール58Cに送信するように構成されていれば、CR用コンソール58Cがバーコード情報中に含まれるCRカセッテ1CのカセッテIDをキーとして、読み取られた画像データDを撮影オーダ情報に対応付けることが可能となり好ましいことは、前述した通りである。
【0183】
次に、本実施形態における、撮影前に行われる連携モード或いは非連携モードの設定等について説明する。また、以下、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50の作用についてもあわせて説明する。
【0184】
本実施形態では、FPD用コンソール58Fは、前述したように、画面H2(図16等参照)上でFPD用コンソール58F自体が選択し或いは放射線技師等がクリックして選択したアイコンI(すなわちフォーカスされているアイコンI)に対応する撮影オーダ情報に含まれる撮影条件、すなわち本実施形態では撮影部位(P7)や撮影方向(P8、図14や図15参照)に基づいて、放射線発生装置57に撮影条件を自動設定する連携モードを設定することができるようになっている。
【0185】
また、FPD用コンソール58Fは、前述したように、アイコンIの選択等を行っても、FPD用コンソール58Fでは放射線発生装置57に対して撮影条件の自動設定を行わず、放射線技師等の撮影者が放射線発生装置57の設定手段57a(図1参照)を介して放射線発生装置57に撮影条件を設定することを許容する非連携モードも設定することができるようになっている。
【0186】
放射線発生装置57に対する撮影条件の設定を、連携モードで行うか、非連携モードで行うかの指定は、例えば、選択画面H1(図15参照)で撮影オーダ情報が選択された後、画面H2を表示する前に、表示部59F上に、図示しない設定画面を表示させる等して、FPD用コンソール58F上で行われる。
【0187】
以下、まず、FPD用コンソール58F上で、連携モードが設定された場合について説明する。
【0188】
FPD用コンソール58Fは、連携モードが設定されると、選択されフォーカスされているアイコンIに対応する撮影オーダ情報に含まれる撮影条件を放射線発生装置57に送信するようになっている。
【0189】
なお、この場合、撮影条件自体を送信する代わりに、或いはそれと併せて、放射線発生装置57から放射線源52に供給する管電圧や管電流等の照射条件に関する情報を送信するように構成することも可能である。また、撮影条件等の送信に先立って、放射線発生装置57に連携モードが設定された旨を通知するように構成することも可能である。
【0190】
そして、放射線発生装置57は、FPD用コンソール58Fから撮影条件が送信されてくると、放射線源52が起動していなければ放射線源52を起動させるとともに、前述したように、送信されてきた撮影条件に基づいて放射線源52に設定された管電圧や管電流を供給し照射時間を設定する等して放射線源52から照射する放射線の照射線量を設定したり、前述した放射線源52の移動や照射方向の変更等を行うようになっている。
【0191】
なお、FPD用コンソール58Fは、連携方式の場合も下記の非連携方式の場合も、上記のような放射線発生装置57に対する撮影条件の設定に続いて、前述したように、画面H2上(図16参照)でアイコンIをフォーカスさせた時点で、当該アイコンIに対応する撮影オーダ情報で指定されたFPDカセッテ1Fの電力供給モードがスリープモードになっている場合には撮影可能モードに遷移させるようになっている。
【0192】
次に、FPD用コンソール58F上で、非連携モードが設定された場合について説明する。
【0193】
非連携モードが設定された場合には、FPD用コンソール58Fは、上記の連携モードの場合のような放射線発生装置57に対する撮影条件の設定を行わず、放射線技師等の撮影者が放射線発生装置57の設定手段57a(図1参照)を介して放射線発生装置57に撮影条件を設定することを許容するようになっている。
【0194】
この場合、撮影者に、放射線発生装置57に対する撮影条件の設定を促すために、FPD用コンソール58Fは、例えば図16に示したように、画面H2上でアイコンIをフォーカスさせて表示させる際に、放射線発生装置57に対して撮影条件の設定を行うことを促す表示や、設定を行ったことを確認する表示を行うように構成することが可能である。
【0195】
また、非連携モードが設定された場合、FPD用コンソール58Fから放射線発生装置57に非連携モードが設定された旨を通知するように構成することも可能であるが、予め放射線発生装置57をデフォルトの状態では非連携モードが設定されるように構成することも可能である。後者の場合、非連携モードが設定されてもFPD用コンソール58Fから放射線発生装置57に非連携モードが設定された旨を通知する必要がなくなる。
【0196】
そして、放射線発生装置57は、設定手段57aを介して放射線技師等の撮影者により撮影条件の設定がなされると、放射線源52が起動していなければ放射線源52を起動させるとともに、前述したように、送信されてきた撮影条件に基づいて放射線源52に設定された管電圧や管電流を供給し照射時間を設定する等して放射線源52から照射する放射線の照射線量を設定したり、前述した放射線源52の移動や照射方向の変更等を行うようになっている。
【0197】
放射線画像撮影システム50が以上のように構成されている場合、特にFPD用コンソール58Fが上記のように構成されていれば、以下のような作用効果が生じる。
【0198】
すなわち、例えば、現在、病院や医院等の施設に既設のCR用コンソール58Cが、非連携方式(すなわち上記の非連携モードに対応してCR用コンソール58Cで放射線発生装置57の自動設定を行わない方式)に設定されている場合がある。
【0199】
この場合、放射線技師等の撮影者は、FPD方式で撮影を行う場合に、例えば、施設に新たに導入されたFPD用コンソール58FにおいてもFPD用コンソール58Fで放射線発生装置57の自動設定を行わず、CR方式の場合と同様に、放射線発生装置57に対する撮影条件の設定等を自ら行いたいと思う場合がある。また、施設によっては、FPD方式で撮影を行う場合でも、非連携方式で行うことが決められている場合もある。
【0200】
そこで、そのような場合には、撮影者は、FPD用コンソール58Fを操作して非連携モードを設定すれば、FPD用コンソール58Fにより放射線発生装置57の設定手段57a(図1参照)を介して放射線発生装置57に撮影条件が設定されることが許容されるため、放射線発生装置57の設定手段57aを操作して放射線発生装置57に対する撮影条件の設定等を自ら行うことが可能となる。
【0201】
また、施設に既設のCR用コンソール58Cが非連携方式に設定されていても、FPD方式で撮影を行う場合には、FPD用コンソール58Fの操作により放射線発生装置57の自動設定を行いたいと思う撮影者もいる思う場合がある。また、施設でそのように決められている場合もある。
【0202】
そのような場合には、撮影者は、FPD用コンソール58Fを操作して連携モードを設定することで、FPD用コンソール58Fが、選択された撮影オーダ情報に含まれる撮影条件に基づいて放射線発生装置57に対して撮影条件を自動設定するように操作することが可能となる。
【0203】
また、上記のことは、施設に既設のCR用コンソール58Cが連携方式に設定されている場合も同様であり、放射線技師等の撮影者は、FPD用コンソール58Fを操作して連携モード或いは非連携モードを設定することで、放射線発生装置57に対する撮影条件の設定を、自らの好みにあわせて、或いは施設の決まりに従って、行うことが可能となる。
【0204】
このように、本実施形態では、FPD用コンソール58Fで連携モードや非連携モードを自由に設定できるように構成したため、施設に既設のCR用コンソール58Cでの仕様に関連して、自らの好みにあわせて、或いは施設の決まりに従って、FPD用コンソール58Fの仕様(すなわち連携モードか非連携モードか)を自由に設定することが可能となる。
【0205】
次に、FPDカセッテ1Fが同期方式或いは非同期方式に設定されている場合の放射線画像撮影システム50における処理について説明する。
【0206】
なお、本実施形態では、FPD用コンソール58Fは、連携モードが設定されている場合は勿論、非連携モードが設定されている場合であっても、放射線発生装置57との信号のやり取りを行わないわけではなく、FPDカセッテ1Fが同期方式である場合には、以下のように、少なくとも放射線画像撮影時に放射線発生装置57やFPDカセッテ1Fとの信号のやり取りを行うようになっている。
【0207】
すなわち、本実施形態では、以下で説明するように、FPD用コンソール58Fが連携モードに設定されているか非連携モードに設定されているかにかかわらず、FPDカセッテ1Fが同期方式である場合には撮影時に放射線発生装置57やFPDカセッテ1Fとの信号のやり取りを行うが、FPDカセッテ1Fが非同期方式の場合には、撮影時には放射線発生装置57やFPDカセッテ1Fとの信号のやり取りを行わない。
【0208】
前述したように、本実施形態では、FPDカセッテ1Fは、ブッキー装置51に装填されて用いられる場合には同期方式で、また、ブッキー装置51に装填されずに単独の状態で用いられる場合には非同期方式で、それぞれ撮影を行うようになっているため、FPD用コンソール58Fは、アイコンIに対応する撮影オーダ情報で指定されたFPDカセッテ1Fが、ブッキー装置51に装填された状態で用いられる場合には撮影が同期方式で行われ、単独の状態で用いられる場合には撮影が非同期方式で行われると判断する。
【0209】
また、放射線発生装置57は、同期方式で撮影が行われる場合には、前述したように、放射線発生装置57からFPD用コンソール58Fに送信した照射開始信号に対して、FPD用コンソール58Fからインターロック解除信号が送信されてきた時点で初めて放射線源52から放射線を照射させるようになっている。
【0210】
すなわち、前述したように、本実施形態では、放射線発生装置57は、送信した照射開始信号に対する応答としてインターロック解除信号を受信した時点で初めて放射線源52から放射線を照射させるように構成されている。また、本実施形態では、前述したように、FPDカセッテ1Fは、後述するように、ブッキー装置51に装填されて用いられる場合には同期方式で、また、ブッキー装置51に装填されずに単独の状態で用いられる場合には非同期方式で、それぞれ撮影を行うようになっている。
【0211】
具体的には、放射線発生装置57は、放射線技師等の撮影者により曝射スイッチ56が全押しされると(図13(C)参照)、曝射スイッチ56から送信されてきた照射開始信号をFPD用コンソール58Fに送信する。そして、コンソール58は、放射線発生装置57から照射開始信号を受信すると、FPDカセッテ1Fに対して撮影可能な状態であるか否かを問い合わせる。
【0212】
そして、FPDカセッテ1Fは、撮影可能な状態になった時点で、すなわち同期方式の場合には図9に示した放射線照射前の各放射線検出素子7のリセット処理が完了した時点で、また、非同期方式の場合には電力供給モードが撮影可能モードになった時点で、FPD用コンソール58Fにready信号を送信する。
【0213】
そして、FPD用コンソール58Fは、FPDカセッテ1Fからのready信号を受信した時点で、放射線発生装置57にインターロック解除信号を送信する。そして、放射線発生装置57は、FPD用コンソール58Fからのインターロック解除信号を受信すると、その時点で初めて放射線源52から放射線を照射させるようになっている。
【0214】
その際、放射線発生装置57を、少なくとも非連携モードが設定された場合には、放射線源52から放射線を照射するごとに、FPD用コンソール58Fに対して、放射線を照射させた際の管電流や管電圧、照射時間等に関する撮影実施結果(フィルタを用いたか否か等の情報を含む場合もある。)を送信するように構成することが可能である。
【0215】
そして、FPD用コンソール58Fは、上記のようにして確定された放射線画像p(図18等参照)のみならず、放射線発生装置57から送信されてきた撮影実施結果をも、対応する撮影オーダ情報に対応付けるように構成することが可能である。
【0216】
このように構成すれば、FPD用コンソール58Fは、上記のように放射線画像pを撮影オーダ情報に対応付ける際に、放射線画像pの生成の元となった画像データDに付帯されているFPDカセッテ1FのカセッテIDを確認するだけでなく、撮影実施結果をも確認して対応付けることが可能となる。
【0217】
そのため、確定された放射線画像pと撮影実施結果とを、的確に撮影オーダ情報に対応付けることが可能となり、撮影オーダ情報に、当該撮影オーダ情報とは別の撮影オーダ情報に基づいて行われた撮影で得られた画像データDに基づく放射線画像p等を誤って対応付けてしまうことを確実に防止することが可能となる。
【0218】
一方、放射線発生装置57は、非同期方式で撮影が行われる場合には、FPD用コンソール58Fとは通信を行わずに、放射線技師等の撮影者の曝射スイッチ56の操作に従って、放射線源52から放射線を照射させる。すなわち、同期方式の場合のような放射線発生装置57からFPD用コンソール58Fへの照射開始信号の送信や、FPD用コンソール58Fからのインターロック解除信号の返信等を待たずに、曝射スイッチ56の操作により任意のタイミングで放射線源52から放射線を照射する。
【0219】
このような場合、例えば撮影に用いられるFPDカセッテ1Fの電力供給モードがスリープモードである等して、FPDカセッテ1Fが撮影可能な状態ではない状態であるにもかかわらず、放射線発生装置57の放射線源52から放射線が照射されてしまう虞れがある。
【0220】
そして、このような状態で放射線が照射されると、FPDカセッテ1Fで被写体を適切に撮影することができず、結局、撮影をやり直さなければならなくなり、結局、被写体である患者の被曝線量が増大してしまう等の種々の悪影響が生じる。
【0221】
そこで、同期方式の場合も同様であるが、FPDカセッテ1Fが撮影可能な状態にない場合には、撮影者が放射線発生装置57の曝射スイッチ56を操作できないように構成すれば、上記のような問題が発生することを防止することができる。そして、例えば、放射線発生装置57の曝射スイッチ56に、曝射スイッチ56が操作されることを防止するための誤曝射防止手段を設けることが望ましい。
【0222】
誤曝射防止手段としては、例えば図19(A)、(B)に示すように、曝射スイッチ56に取り付けられたカバー装置70を用いることができる。
【0223】
そして、放射線画像撮影がCRカセッテ1Cを用いて行われる場合には、撮影者が放射線源52から任意のタイミングで放射線を照射させてよいため、誤曝射防止手段であるカバー装置70は、通常の状態では、常時開状態とされるように構成される。
【0224】
また、後述するように、撮影がFPDカセッテ1Fを用いて行われるFPD方式で行われ、FPD用コンソール58Fで制御されて行われる場合には、カバー装置70の開閉が行われる。そのため、カバー装置70の開閉は、FPD用コンソール58Fによって制御されるように構成されている。
【0225】
カバー装置70は、例えば曝射スイッチ56の上方に配置され、開放させることでカバー装置70を開状態とし、また、閉鎖させることでカバー装置70を閉状態とする蓋部71と、閉鎖された状態の蓋部71を下側から支持する支持板72とを備えて構成されている。
【0226】
支持板72は、ホルダHに収納された状態の曝射スイッチ56の両側側方に1枚ずつ平行に立設された計2枚の板状部材で構成されており、支持板72の上部の一端側に設けられた蝶番構造73を介して蓋部71が支持板72に対して揺動可能に取り付けられている。
【0227】
なお、このように、上記の構成例では、放射線技師等の撮影者が2枚の支持板72の間からホルダHに収納された曝射スイッチ56を視認することは可能であるが、例えば2枚の支持板72の間に手を入れて曝射スイッチ56をホルダHから取り出そうとしても、閉鎖された蓋部71に邪魔されて、曝射スイッチ56をホルダHから取り出すことができないようになっている。
【0228】
逆の言い方をすれば、曝射スイッチ56の上端と閉鎖された状態の蓋部71との位置関係が、上記のように、撮影者が2枚の支持板72の間に手を入れて曝射スイッチ56をホルダHから取り出そうとしても、閉鎖された蓋部71に邪魔されて曝射スイッチ56をホルダHから取り出すことができないような位置に、閉鎖された蓋部71が配置されるように調整される。
【0229】
なお、蓋部71が開状態(図19(A)中の一点鎖線参照)とされれば、曝射スイッチ56をホルダHから取り出すことができる。また、カバー装置70の支持板72を、上記の2枚だけ設ける代わりに、3枚設けて曝射スイッチ56を3方向から包囲するように構成したり、4枚設けて曝射スイッチ56の四方を包囲するように構成することも可能であり、適宜に構成される。
【0230】
また、曝射スイッチ56が、ホルダHを回動したり水平移動したりして操作するように構成されている場合には、カバー装置70の支持板72を、上記の2枚だけ設けると、蓋部71が閉鎖されている状態でも、撮影者が支持板72の間に手を入れてホルダHを回動したり水平移動したりして曝射スイッチ56を操作することができてしまうため、支持板72を3枚或いは4枚設けて、曝射スイッチ56を3方向から或いは四方を包囲するように構成して、蓋部71が閉鎖された状態では曝射スイッチ56を操作することができないように構成することが必要となる。
【0231】
一方、支持板72の当該一端側の外側には、モータ74が取り付けられており、モータ74の回転軸75が、上記の蝶番構造73の下側で2枚の支持板72を略垂直にそれぞれ貫通するように配置されている。また、このモータ74は、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブルCでFPD用コンソール58Fに電気的に接続されており、FPD用コンソール58Fからモータ74に対して電力(例えば5[V]或いは24[V])が供給され、或いは電力の供給が停止されるようになっている。
【0232】
また、モータ74の回転軸75の、2枚の支持板72の内側の所定の位置には、ギア76が固定されており、また、蓋部71の蝶番構造73が形成された端部には、モータ74の回転軸75に設けられたギア76に対応する位置に、ギア76と噛み合うギア77が固定されている。
【0233】
そして、FPD用コンソール58Fから電力が供給されてモータ74の回転軸75が回動すると、回転軸75に固定されたギア76から蓋部71に固定されたギア77に回転駆動力が伝達され、それにより、蓋部71が蝶番構造73を中心として揺動して、蓋部71が開放されたり閉鎖させたりするようになっている。
【0234】
また、蓋部71が閉鎖された際に接触することで蓋部71が閉鎖されたことを検出するセンサ78が、支持板72の上端部分に設けられており、センサ78は、コンソール58に電気的に接続されている。そして、FPD用コンソール58Fは、蓋部71を閉鎖した際に、センサ78から送信された蓋部71が閉鎖されたことを表す信号を受信することにより、カバー装置70の蓋部71が確実に閉鎖されたことを確認するようになっている。
【0235】
なお、図19(A)では、センサ78とFPD用コンソール58Fとの電気的な接続の表示が省略されている。また、図19(A)、(B)では、2枚の支持板72のうち、一方の支持板72にのみセンサ78を設ける場合を示したが、両方の支持板72に設けるように構成することも可能である。
【0236】
また、蓋部71が開閉されたことを確認する手法としては、センサ78を設ける代わりに、或いは、それと併用して、例えば図20に示すように、例えば、発光素子79aと受光素子79bとを備える光学的検知手段79をカバー装置70の近傍に設けておき、蓋部71が開放されると、発光素子79aから発光された光が開放された蓋部71によって反射されて受光素子79bに到達することで、カバー装置70の開閉を検知するように構成することも可能である。
【0237】
さらに、図21(A)、(B)に示すように、カバー装置70の蝶番構造73の部分にタンブラーバネTを設ける等して、蓋部71が閉鎖された状態になるように付勢されているが、所定の位置以上に開放されると、逆に開放された状態になるように付勢されるように構成することも可能である。
【0238】
このように構成すれば、蓋部71が閉鎖された状態や開放された状態では、コンソール58からのモータ74に対する電力の供給を停止しても、タンブラーバネTによりそれらの状態が維持される。そのため、消費電力を低減することが可能となる。
【0239】
さらに、上記のようにカバー装置70の蓋部71を支持板72に対して蝶番構造73を介して揺動可能に取り付けるように構成する代わりに、例えば、図22に概略的に示すように、蓋部71の下面側に設けたラック71aとモータ74の回転軸75に固定されたギア(この場合はピニオンともいう。)76とを組み合わせたラックアンドピニオン構造とし、モータ74の回転により蓋部71が支持板72上を水平方向に移動するようにして、蓋部71の開閉動作を行わせるように構成することも可能である。
【0240】
前述したように、放射線画像撮影がCR方式で行われる場合には、従来通り、放射線技師等の撮影者が、放射線発生装置57の曝射スイッチ56を操作して放射線源52から任意のタイミングで放射線を照射させてよい。そのため、カバー装置70は、通常の状態では、常時開状態とされている。そして、撮影者が、少なくともCR用コンソール58Cを操作している間は、カバー装置70は常時開状態になっている。
【0241】
一方、撮影がFPDカセッテ1Fを用いて行われるFPD方式で行われる場合には、上記のように、例えば撮影に用いられるFPDカセッテ1Fの電力供給モードがスリープモードである等して、FPDカセッテ1Fが撮影可能な状態ではない状態では、放射線源52から放射線が照射されないように制御する必要が生じる。
【0242】
撮影が同期方式で行われる場合には、放射線源52から放射線を照射する際には、上記のように、放射線発生装置57からFPD用コンソール58Fに照射開始信号を送信し、FPD用コンソール58Fが、FPDカセッテ1Fが撮影可能な状態にあることを確認したうえで放射線発生装置57にインターロック解除信号を送信した後、初めて放射線源52から放射線が照射されるため、カバー装置70を常時開状態としておいてもよい。
【0243】
また、前述したように、FPD用コンソール58Fは、FPD用コンソール58Fの画面H2(図16参照)でアイコンIをフォーカスさせた時点で、当該アイコンIに対応する撮影オーダ情報で指定されたFPDカセッテ1Fの電力供給モードがスリープモードになっている場合には撮影可能モードに遷移させる。
【0244】
そのため、安全のために、FPD用コンソール58FがFPDカセッテ1Fの電力供給モードを撮影可能モードに遷移させるまで、或いはFPDカセッテ1Fの電力供給モードが撮影可能モードになっていることを確認するまでは、カバー装置70を閉状態としておき、FPDカセッテ1Fが撮影可能な状態になった時点でカバー装置70を開状態とするように構成することが可能である。
【0245】
また、撮影が非同期方式で行われる場合には、上記の処理が必須になる。すなわち、非同期方式では、FPD用コンソール58Fと放射線発生装置57との間で同期方式の場合のような照射開始信号やインターロック解除信号の送受信は行われないため、FPDカセッテ1Fが撮影可能な状態でない状態で放射線が照射される事態が生じ得るようになる。
【0246】
そのため、FPD用コンソール58Fは、撮影が非同期方式で行われる場合には、FPDカセッテ1Fの電力供給モードを撮影可能モードに遷移させるまで、或いはFPDカセッテ1Fの電力供給モードが撮影可能モードになっていることを確認するまでは、カバー装置70を閉状態としておき、FPDカセッテ1Fが撮影可能な状態になった時点で、カバー装置70を開状態とするように構成される。
【0247】
このように構成すれば、撮影に用いられるFPDカセッテ1Fが撮影可能な状態ではない状態であるにもかかわらず、放射線源52から放射線が照射されてしまうことを的確に防止することが可能となる。
【0248】
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50によれば、FPD用コンソール58Fを連携モードとするか非連携モードとするかを自由に設定することが可能となるため、施設に既設のCR用コンソール58Cでの仕様に関連して、放射線技師等の撮影者が、FPD用コンソール58Fの仕様を自由に設定することが可能となる。
【0249】
そのため、施設や撮影室Ra内にCR用コンソール58CとFPD用コンソール58Fが混在する状況においても、放射線発生装置57に対する撮影条件の設定を自動的に行うか(すなわち連携モードで行うか)マニュアルで行うか(すなわち非連携モードで行うか)を、撮影者自身の好みにあわせて、或いは施設の決まりに従って、自由にかつ的確に設定することが可能となり、放射線画像撮影システム50が撮影者にとって非常に使い勝手がよいものとなる。
【0250】
また、上記のように、カバー装置70等の誤曝射防止手段を放射線発生装置57の曝射スイッチ56に設ければ、FPDカセッテ1Fが撮影可能な状態にない状態で放射線が照射されることを防止することが可能となる。そのため、撮影可能な状態になったFPDカセッテ1Fに放射線を再度照射する必要がなくなり、被写体である患者の被曝線量が増大してしまうことを的確に防止することが可能となる等のメリットがある。
【0251】
なお、上記の実施形態では、FPD用コンソール58Fで、連携モードと非連携モードの設定を行う場合について説明した。しかし、連携モードと非連携モードの設定を、例えば放射線発生装置57(図1参照)で行うように構成することも可能である。
【0252】
この場合、例えば放射線発生装置57に図示しないトグルスイッチ等の入力手段を設けておき、放射線技師等の撮影者が、例えば撮影室Raで撮影を開始する前に、放射線発生装置57の入力手段を操作して、連携モードと非連携モードのいずれかのモードを設定する。また、モードを切り替える場合には、放射線発生装置57の入力手段を操作してモードを切り替える。
【0253】
そして、この場合、放射線発生装置57は、少なくとも連携モードが設定された場合には、FPD用コンソール58Fに対して連携モードが設定された旨を通知する。そして、FPD用コンソール58Fは、放射線発生装置57から連携モードが設定された旨の通知を受けた場合には、前述したように、アイコンI(図16参照)をフォーカスさせて選択した撮影オーダ情報に含まれる撮影条件を放射線発生装置57に送信する。
【0254】
そして、前述したように、放射線発生装置57は、送信されてきた撮影条件に基づいて放射線源52に管電圧や管電流を供給する等して放射線源52から照射する放射線の照射線量を設定する等の操作を行うように構成される。そして、このように構成しても、本実施形態と全く同様の有益な効果を得ることが可能となる。
【0255】
また、その他、本発明が上記の実施形態や変形例に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0256】
1C CRカセッテ
1F FPDカセッテ
7 放射線検出素子
50 放射線画像撮影システム
51 ブッキー装置
52 放射線源
56 曝射スイッチ
57 放射線発生装置
57a 設定手段
58C CR用コンソール
58F FPD用コンソール
70 カバー装置(誤曝射防止手段)
D 画像データ
p 放射線画像
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病気診断等を目的として、X線画像に代表される放射線を用いて撮影された放射線画像が広く用いられている。こうした医療用の放射線画像は、従来からスクリーンフィルムを用いて撮影されていたが、放射線画像のデジタル化を図るために輝尽性蛍光体プレート(輝尽性蛍光体シートともいう。)を用いたCR(Computed Radiography)カセッテが開発され、最近では、照射された放射線を放射線検出素子で検出してデジタル画像データとして取得する放射線画像撮影装置が開発されている。
【0003】
このタイプの放射線画像撮影装置はFPD(Flat Panel Detector)として知られており、上記のCRカセッテを用いた撮影よりも画像データ表示を素早く行えるので、早期診断に貢献可能となっている。従来は、支持台等と一体的に形成された、いわゆる専用機として開発された(例えば特許文献1、2参照)。また、近年、放射線検出素子等をハウジングに収納して可搬とした可搬型の放射線画像撮影装置が開発され、実用化されている(例えば特許文献3、4参照)。
【0004】
放射線画像撮影装置としては、照射されたX線等の放射線の照射線量に応じて検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接型の放射線画像撮影装置や、照射された放射線をシンチレータ等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換され照射された電磁波のエネルギに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる間接型の放射線画像撮影装置が知られている。なお、本発明では、直接型の放射線画像撮影装置における検出素子や、間接型の放射線画像撮影装置における光電変換素子を、あわせて放射線検出素子という。
【0005】
なお、本発明では、可搬型の放射線画像撮影装置をFPDカセッテというものとする。また、FPDカセッテを用いて撮影を行う方式をFPD方式と略称し、CRカセッテを用いて撮影を行う方式をCR方式と略称する場合がある。
【0006】
ところで、従来のCR方式による撮影では、CRカセッテに放射線を照射する放射線源を備える放射線発生装置に対して、撮影前に、放射線技師等の撮影者が、放射線源から放射線を照射する際の撮影条件をマニュアルで設定していた。すなわち、撮影者が、例えば「胸部正面」等の被写体の撮影部位や撮影方向等の撮影条件にあわせて、放射線源のX線管球に供給する管電圧や管電流等を自ら設定していた。
【0007】
また、近年、コンソールと放射線発生装置とを連携接続し、撮影者がコンソール(なお、以下、このコンソールをCR用コンソールという。)を操作して、撮影条件を含む撮影オーダ情報(例えば後述する図14等参照)をHIS(Hospital Information System;病院情報システム)やRIS(Radiology Information System;放射線科情報システム)から入手し、コンソール上で撮影オーダ情報を選択すると、コンソールから放射線発生装置に選択された撮影オーダ情報中に含まれる撮影条件等を自動送信して、送信されてきた撮影条件に基づいて放射線発生装置が放射線源に供給する管電圧や管電流等を自動設定するシステムも開発されている。
【0008】
一方、FPDカセッテを用いた撮影では、コンソールで、FPDカセッテのみならず放射線発生装置をも制御して、上記と同様に、コンソール(なお、以下、このコンソールをFPD用コンソールという。)上で選択された撮影オーダ情報中に含まれる撮影条件等を放射線発生装置に自動送信して、放射線発生装置に対する撮影条件の設定を自動的に行うシステムの開発が進められている(例えば特許文献5等参照)。
【0009】
なお、以下、CR用コンソールにせよFPD用コンソールにせよ、上記のように、コンソールが選択された撮影オーダ情報に含まれる撮影条件に基づいて放射線発生装置に撮影条件を自動設定する方式を連携方式といい、放射線発生装置に対して放射線技師等の撮影者が撮影条件をマニュアルで設定する方式を非連携方式という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3890163号公報
【特許文献2】特開平9−73144号公報
【特許文献3】特開2006−058124号公報
【特許文献4】特開平6−342099号公報
【特許文献5】特開2009−279055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、現在、病院や医院等の施設に設置されている撮影装置としては、撮影にCRカセッテを用いるCR方式が主流であるが、今後、病院や医院等にFPDカセッテが導入されることが予想されており、今後しばらくの間、病院等の撮影室内に、CRカセッテとFPDカセッテとが混在する状態になることが予想されている。
【0012】
また、CR方式に用いられるCR用コンソールが、汎用コンピュータにソフトウェアを組み込んだものであれば、CR用コンソールにFPD方式用のソフトウェアを組み込んで、1つのコンソールをCR用としてもFPD用としても使用することが可能となる。しかし、施設に既設のCR用コンソールは、汎用コンピュータを用いたものでなく、専用機である場合も少なくない。
【0013】
そのような状況で、上記のようにFPD方式を導入しようとすると、特にCR用コンソールとFPD用コンソールの製造メーカーが異なっているような場合には、専用機型のCR用コンソールに、FPD方式用のソフトウェアを組み込めず、結局、FPD用コンソールを別途導入することが必要になる場合も多いと予想される。
【0014】
しかし、このような場合、一方で、従来からのCR方式での撮影に慣れている放射線技師等の撮影者が、放射線発生装置に対する撮影条件の設定を自ら行わずに、導入されたFPD用コンソールで撮影者の意図に関係なく、いわば勝手に放射線発生装置に対する撮影条件の設定が自動的に行われてしまうこと(すなわち連携方式)に違和感を覚える場合があり得る。
【0015】
他方、FPD用コンソールで放射線発生装置に対する撮影条件の設定を自動的に行わないように設定してしまうと(すなわち非連携方式の場合)、FPD用コンソールで放射線発生装置に対する撮影条件の設定を自動的に行いたいと考える放射線技師等の撮影者が、自らマニュアルで撮影条件を設定しなければならなくなり、FPD用コンソールを含む放射線画像撮影システムが非常に使い勝手が悪いものになってしまう場合もあり得る。
【0016】
そして、CR用コンソールや新たに導入されたFPD用コンソールを使って撮影を行う放射線技師等が限定される場合には、その放射線技師等の好みに合った設定(すなわち連携方式または非連携方式に適合する設定)がなされたFPD用コンソールを導入すればよい。
【0017】
しかし、特に、放射線技師等が複数存在するような場合には、FPD用コンソールの設定(すなわち連携方式か非連携方式かの設定)が限定されると、その設定を好ましく思わない放射線技師等にとっては、FPD用コンソールを含む放射線画像撮影システムが非常に使い勝手が悪いものになってしまうといった問題が生じ得る。
【0018】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、CR用コンソールとFPD用コンソールが混在する状況において、放射線発生装置に対する撮影条件の設定を自動的に行うか(すなわち連携方式で行うか)マニュアルで行うか(すなわち非連携方式で行うか)を的確に設定可能な放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影システムは、
二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備え、放射線の照射により前記各放射線検出素子内で発生した電荷を画像データとして読み出すFPDカセッテと、
輝尽性蛍光体プレートを内蔵し、放射された放射線のエネルギを前記輝尽性蛍光体プレートに蓄積させるCRカセッテと、
撮影条件を設定可能な設定手段と、前記撮影条件に基づく照射線量で前記FPDカセッテまたは前記CRカセッテに放射線を照射する放射線源と、前記放射線源に放射線の照射開始を指示する曝射スイッチとを備える放射線発生装置と、
前記FPDカセッテから読み出された画像データに基づいて放射線画像を生成するFPD用コンソールと、
前記CRカセッテから読み出された画像データに基づいて放射線画像を生成するCR用コンソールと、
を備え、
少なくとも前記FPD用コンソールは、
選択された撮影オーダ情報に含まれる撮影条件に基づいて前記放射線発生装置に前記撮影条件を自動設定する連携モードと、
前記FPD用コンソールでは前記放射線発生装置に対して前記撮影条件を設定せず、前記設定手段を介して前記放射線発生装置に前記撮影条件が設定されることを許容する非連携モードと、
を設定可能とされており、
前記連携モードが設定されると、前記FPD用コンソールは、選択された前記撮影オーダ情報に含まれる前記撮影条件を前記放射線発生装置に送信し、前記放射線発生装置は、送信されてきた前記撮影条件に基づいて少なくとも前記放射線源から照射する放射線の前記照射線量を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明のような方式の放射線画像撮影システムによれば、FPD用コンソールで連携モードか非連携モードかを自由に設定することが可能となるため、施設に既設のCR用コンソールでの仕様に関連して、放射線技師等の撮影者が、FPD用コンソールの仕様を自由に設定することが可能となる。
【0021】
そのため、施設内にCR用コンソールとFPD用コンソールが混在する状況においても、放射線発生装置に対する撮影条件の設定を自動的に行うか(すなわち連携モードで行うか)マニュアルで行うか(すなわち非連携モードで行うか)を、撮影者自身の好みにあわせて、或いは施設の決まりに従って、自由にかつ的確に設定することが可能となり、放射線画像撮影システムが撮影者にとって非常に使い勝手がよいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係る放射線画像撮影システムの全体構成を示す図である。
【図2】FPDカセッテの外観斜視図である。
【図3】図2のFPDカセッテを反対側から見た外観斜視図である。
【図4】図2におけるA−A線に沿う断面図である。
【図5】FPDカセッテの基板の構成を示す平面図である。
【図6】図5の基板上の小領域に形成された放射線検出素子とTFT等の構成を示す拡大図である。
【図7】フレキシブル回路基板やPCB基板等が取り付けられた基板を説明する側面図である。
【図8】FPDカセッテの等価回路を表すブロック図である。
【図9】FPDカセッテを用いて同期方式で撮影を行う場合にゲートドライバ各走査線にオン電圧を印加するタイミングを表すタイミングチャートである。
【図10】カセッテ保持部の内部にコネクタが設けられたブッキー装置を説明する図である。
【図11】FPDカセッテのコネクタとブッキー装置のコネクタとが接続された状態を表す外観斜視図である。
【図12】FPDカセッテがクレードルに挿入され、コネクタ同士が接続された状態を表す断面図である。
【図13】(A)は曝射スイッチの構成を示す図であり、(B)はボタン部に対する1段目の操作がなされた状態、(C)は2段目の操作がなされた状態を説明する図である。
【図14】撮影オーダ情報の例を示す図である。
【図15】撮影オーダ情報を表示する選択画面の例を示す図である。
【図16】選択された各撮影オーダ情報に対応する各アイコン等が表示された画面の例を示す図である。
【図17】フォーカスされた元のアイコンの位置にプレビュー画像が表示された状態を示す図である。
【図18】次のアイコンがフォーカスされ、元のアイコンの位置に放射線画像が表示された状態を示す図である。
【図19】(A)はカバー装置の構成を表す側面図であり、(B)は蓋部が開放された状態のカバー装置の構成を表す平面図である。
【図20】光学的検知手段の構成を表す概略図である。
【図21】(A)カバー装置の蝶番構造の部分に設けられるタンブラーバネの例を示す側面図であり、(B)と蝶番構造の部分を正面から見た拡大図である。
【図22】カバー装置の別の構成例を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る放射線画像撮影システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の図示例のものに限定されるものではない。
【0024】
なお、本実施形態では、図1に示すように、撮影室RaとFPD用コンソール58FおよびCR用コンソール58Cとが1対1に対応付けられている場合について説明するが、複数の撮影室RaとFPD用コンソール58FおよびCR用コンソール58Cとが例えばネットワークを介して接続されているようなシステムに対しても本発明を適用することができる。
【0025】
図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影システムの全体構成を示す図である。撮影室Raは、患者の身体の一部である被写体(すなわち患者の撮影部位)に放射線を照射して放射線画像撮影を行う部屋であり、被写体に放射線を照射するための放射線照射装置の放射線発生装置57の放射線源52等が配置されている。なお、撮影室Raは、放射線が撮影室外に漏洩しないように鉛などでシールドされている。
【0026】
本実施形態では、放射線画像撮影装置として、以下で説明するようなFPDカセッテ(すなわち可搬型の放射線画像撮影装置)1Fが用いられるようになっている。また、撮影室Raには、FPDカセッテIFのほかに、CRカセッテ1Cも備えられており、或いは持ち込み可能とされており、また、FPDカセッテ1FやCRカセッテ1Cを装填可能なブッキー装置51が設けられている。なお、ブッキー装置51や放射線源52等については、後で説明する。
【0027】
ここで、まず、放射線画像撮影システム50で放射線画像撮影に用いられるCRカセッテ1Cについて説明する。
【0028】
CRカセッテ1Cの構成としては、例えば特開2003−287833号公報等に記載されている構成を採用することが可能であるが、CRカセッテ1Cについては、公知のものを用いることが可能であり、放射された放射線のエネルギを蓄積させる輝尽性蛍光体プレートを備えるものであれば、特に限定されない。
【0029】
また、本実施形態では、CRカセッテ1Cには、例えばその裏面等に、CRカセッテ1Cの識別情報等を担持する図示しないバーコードが貼付されており、後述するように、撮影後、CRカセッテ1Cを撮影室Ra外に設置された後述する画像読取装置61に装填して輝尽性蛍光体プレートから画像データDを読み出す際に、画像読取装置61により、バーコードが読み取られるようになっている。
【0030】
次に、放射線画像撮影システム50で放射線画像撮影に用いられるFPDカセッテ1Fについて説明する。
【0031】
なお、以下では、FPDカセッテ1Fとして、シンチレータ等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型のFPDカセッテについて説明するが、本発明は、シンチレータ等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型のFPDカセッテに対しても適用することができる。
【0032】
図2は、FPDカセッテの外観斜視図であり、図3は、FPDカセッテを反対側から見た外観斜視図である。また、図4は、図2のA−A線に沿う断面図である。FPDカセッテ1Fは、図2〜図4に示すように、筐体状のハウジング2内にシンチレータ3や基板4等で構成されるセンサパネルSPが収納されている。
【0033】
図2や図3に示すように、FPDカセッテ1Fの筐体2のうち、放射線入射面Rを有する中空の角筒状のハウジング本体部2Aは、放射線を透過するカーボン板やプラスチック等の材料で形成されており、ハウジング本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで筐体2が形成されている。なお、筐体2をこのようないわゆるモノコック型として形成する代わりに、例えば、フレーム板とバック板とで形成された、いわゆる弁当箱型とすることも可能である。
【0034】
図2に示すように、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や選択スイッチ38、コネクタ39、バッテリ状態やFPDカセッテ1Fの稼働状態等を表示するLED等で構成されたインジケータ40等が配置されている。
【0035】
また、図3に示すように、筐体2の反対側の蓋部材2Cには、画像データ等をFPD用コンソール58F(図1参照)に無線で送信するための通信手段であるアンテナ装置41が埋め込まれている。なお、画像データ等をFPD用コンソール58Fに有線方式で送信するように構成することも可能であり、その場合、例えば、前述したコネクタ39にケーブル等を接続して送受信するように構成される。また、アンテナ装置41を設ける場合には、アンテナ装置41の筐体2上の配置場所や配置する個数は適宜決められる。
【0036】
筐体2の内部には、図4に示すように、センサパネルSPの基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置され、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33や緩衝部材34等が取り付けられている。
【0037】
なお、基板4やシンチレータ3の放射線入射面R側には、それらを保護するためのガラス基板35が配設されている。また、センサパネルSPと筐体2の側面との間に、それらがぶつかり合うことを防止するための緩衝材36が設けられている。
【0038】
シンチレータ3は、基板4の後述する検出部Pに貼り合わされるようになっている。シンチレータ3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
【0039】
基板4は、ガラス基板で構成されており、図5に示すように、基板4のシンチレータ3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
【0040】
このように、走査線5と信号線6で区画された各小領域rに二次元状(マトリクス状ともいう。)に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた領域r全体、すなわち図5に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
【0041】
本実施形態では、放射線検出素子7として、フォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。各放射線検出素子7は、図5の拡大図である図6に示すように、スイッチ手段であるTFT8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
【0042】
そして、TFT8は、後述する走査駆動手段15から走査線5を介してゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となり、ソース電極8sやドレイン電極8dを介して放射線検出素子7内に蓄積されている電荷を信号線6に放出させるようになっている。また、TFT8は、接続された走査線5を介してゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、放射線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、放射線検出素子7内に電荷を保持するようになっている。
【0043】
図5や図6に示すように、列状に配置された複数の放射線検出素子7にそれぞれバイアス線9が接続されており、図5に示すように、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で1本の結線10に結束されている。
【0044】
また、各走査線5や各信号線6、バイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう)11に接続されている。各入出力端子11には、図7に示すように、IC12a等のチップがフィルム上に組み込まれたフレキシブル回路基板(Chip On Filmともいう。)12が異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
【0045】
また、フレキシブル回路基板12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側で前述したPCB基板33に接続されるようになっている。このようにして、FPDカセッテ1FのセンサパネルSPの基板4部分が形成されている。なお、図7では、電子部品32等の図示が省略されている。
【0046】
ここで、図8を用いてFPDカセッテ1Fの回路構成について説明する。
【0047】
各放射線検出素子7の一方の電極にはそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の電極にそれぞれバイアス電圧(厳密に言えば逆バイアス電圧)を印加するようになっている。
【0048】
また、各放射線検出素子7の他方の電極はTFT8のソース電極8s(図8中ではSと表記されている。)に接続されており、各TFT8のゲート電極8g(図8中ではGと表記されている。)は、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから延びる走査線5の各ラインL1〜Lxにそれぞれ接続されている。また、各TFT8のドレイン電極8d(図8中ではDと表記されている。)は各信号線6にそれぞれ接続されている。
【0049】
走査駆動手段15は、ゲートドライバ15bにオン電圧やオフ電圧を供給する電源回路15aと、走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えるゲートドライバ15bとを備えている。ゲートドライバ15bは、前述したように、走査線5の各ラインL1〜Lxを介してTFT8のゲート電極8gに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替えて、各TFT8のオン状態とオフ状態とを制御するようになっている。
【0050】
また、各信号線6は、読み出しIC16内に形成された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。読み出し回路17は、増幅回路18と、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling)回路19と、アナログマルチプレクサ21と、A/D変換器20とで構成されている。
【0051】
例えば、放射線画像撮影の際に、被写体を介してFPDカセッテ1Fに放射線が照射されると、シンチレータ3で放射線が他の波長の電磁波に変換され、変換された電磁波がその直下の放射線検出素子7に照射される。そして、照射された放射線の照射線量(すなわち電磁波の光量)に応じて放射線検出素子7内で電荷が発生する。
【0052】
各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理においては、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5の所定のラインLnにオン電圧が印加されると、走査線5の当該ラインLnを介してそれに接続されている各TFT8のゲート電極8gにオン電圧が印加されて各TFT8がオン状態となり、オン状態となった各TFT8と接続されている放射線検出素子7から各TFT8を介して信号線6に電荷が放出される。
【0053】
そして、放射線検出素子7から放出された電荷量に応じて増幅回路18から電圧値が出力され、それを相関二重サンプリング回路19で相関二重サンプリングしてアナログ値の画像データDがマルチプレクサ21に出力される。マルチプレクサ21から順次出力された画像データDは、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データDに変換され、記憶手段23に出力されて順次保存されるようになっている。
【0054】
また、本実施形態では、図8に示すように、バイアス線9の結線10に、結線10中を流れる電流を例えば電圧値に変換する電流検出手段42が設けられている。電流検出手段42は、電流値から変換した電圧値を制御手段22に出力するようになっている。
【0055】
制御手段22は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されている。専用の制御回路で構成されていてもよい。
【0056】
制御手段22は、FPDカセッテ1Fの走査駆動手段15や読み出し回路17等の各機能部の動作等を制御するようになっている。制御手段22には、DRAM(Dynamic RAM)等で構成される記憶手段23や、FPDカセッテ1Fの各機能部に電力を供給するバッテリ24が接続されている。また、制御手段22には、前述したアンテナ装置41が接続されている。
【0057】
ここで、放射線画像撮影の際のFPDカセッテ1Fにおける処理等について説明する。本実施形態では、FPDカセッテ1Fは、下記の同期方式と非同期方式のいずれの方式でも撮影を行うことができるようになっている。
【0058】
なお、前述した連携方式や非連携方式は、後述するFPD用コンソール58FやCR用コンソール58C(図1参照)が放射線発生装置57に対して撮影条件を自動設定するか(すなわち連携方式)、或いは放射線技師等がマニュアルで設定するか(すなわち非連携方式)の違い、すなわち放射線発生装置57に対する撮影条件の設定の違いを表すものであった。
【0059】
それに対して、同期方式や非同期方式は、下記のように、放射線画像撮影の際に、FPD用コンソール58Fを介してFPDカセッテ1Fと放射線発生装置57との間で同期をとりながら撮影を行うか同期をとらないで撮影を行うかの違いを表すものである。なお、本実施形態では、FPDカセッテ1Fは、後述するように、ブッキー装置51に装填されて用いられる場合には同期方式で、また、ブッキー装置51に装填されずに単独の状態で用いられる場合には非同期方式で、それぞれ撮影を行うようになっている。
【0060】
例えば、前述した従来の専用機型の放射線画像撮影装置では、通常、放射線画像撮影装置側と放射線発生装置57側との間でインターフェースが構築され、両者の間で信号等をやり取りし曝射開始タイミング等の同期をとりながら放射線画像撮影を行うように構成されていた。
【0061】
そこで、FPDカセッテ1Fを用いる場合でも、FPDカセッテ1Fと放射線発生装置57との間にFPD用コンソール58Fを介在させて、FPDカセッテ1F−FPD用コンソール58F−放射線発生装置57間にインターフェースを構築して、同期方式で放射線画像撮影を行うように構成することができる。
【0062】
同期方式で撮影を行う場合、制御手段22は、図9に示すように、撮影前に、走査駆動手段15のゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して各走査線5に接続されている各TFT8を順次オン状態にして、各放射線検出素子7内に残存する電荷を放出させて、各放射線検出素子7のリセット処理を行う。なお、この同期方式では、バイアス線9の結線10中を流れる電流を検出する必要はないため、電流検出手段42はオフさせておく。
【0063】
そして、同期方式の場合には、放射線発生装置57(図1参照)から照射開始信号を受信したFPD用コンソール58Fから中継器54を介してFPDカセッテ1Fに照射開始信号が転送されてくると、FPDカセッテ1Fでは、走査線5の最後のラインLxまでオン電圧の印加を続行して検出部Pの1面分のリセット処理を行った後、ゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させて、各放射線検出素子7のTFT8をオフ状態にして電荷蓄積状態に移行させる。そして、FPD用コンソール58Fに対して放射線の照射を許容する信号(以下ready信号という。)を送信する。
【0064】
なお、後述するように、放射線発生装置57から照射開始信号を受信した段階で、FPD用コンソール58FからFPDカセッテ1に対して照射開始信号を転送するように構成する代わりに、その段階でFPD用コンソール58FからFPDカセッテ1に対して撮影可能な状態か否かを問い合わせるように構成される場合もあり、その場合には、FPDカセッテ1は、上記のようにして1面分のリセット処理Rmを完了し、電荷蓄積状態に移行させた時点で、FPD用コンソール58Fに対してready信号を送信する。
【0065】
そして、FPDカセッテ1Fからready信号を受信したFPD用コンソール58Fから放射線発生装置57に対してインターロック解除信号が送信される。
【0066】
後述するように、放射線発生装置57は、FPD用コンソール58Fからインターロック解除信号を受信すると、放射線源52からFPDカセッテ1Fに対して放射線を照射させる(図9の斜線部分参照)。そして、放射線の照射が終了すると、FPDカセッテ1Fでは、ゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理が行われる。
【0067】
このようにして、同期方式では、放射線発生装置57とFPD用コンソール58F、およびFPD用コンソール58FとFPDカセッテ1Fとの間でそれぞれ信号のやり取りを行い、同期をとりながら放射線画像撮影が行われるようになっている。
【0068】
また、非同期方式で撮影を行う場合、制御手段22は、電流検出手段42を作動させる。そして、図示を省略するが、同期方式(図9参照)の場合と同様に、撮影前に、走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加して、各放射線検出素子7のリセット処理を行う。
【0069】
非同期方式の場合、FPDカセッテ1Fにおけるリセット処理等に関わりなく、放射線画像技師等の撮影者による後述する放射線発生装置57の曝射スイッチ56の操作に基づいて放射線源52から放射線が照射される。放射線が照射されると、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生した電荷の一部がバイアス線9に流出する等して、結線10中を流れる電流が急激に増加する。
【0070】
そこで、制御手段22は、電流検出手段42から出力される電圧値を監視し、例えば電圧値が予め設定された閾値を越える等して増加した時点で、放射線の照射が開始されたと判断するようになっている。なお、この電流検出手段42を用いた放射線の照射開始の検出については、例えば特開2009−219538号公報に詳しく説明されている。
【0071】
そして、制御手段22は、放射線の照射が開始されたと判断すると、各放射線検出素子7のリセット処理を即座に停止して、ゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオフ電圧を印加させて、各放射線検出素子7のTFT8をオフ状態にして電荷蓄積状態に移行させる。
【0072】
そして、放射線の照射が終了すると、制御手段22は、同期方式の場合と同様に、ゲートドライバ15bから走査線5の各ラインL1〜Lxにオン電圧を順次印加させて、各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理を行う。
【0073】
このようにして、非同期方式では、FPDカセッテ1F自体で放射線の照射が開始されたことを検出して、放射線画像撮影が行われるようになっている。なお、非同期方式における放射線の照射開始の検出手法は、本実施形態のように電流検出手段42を用いる手法の代わりに、例えば特開2003−126072号公報や特開平7−72254号公報、或いは米国特許第7211803号明細書抜粋に記載されている手法等の種々の手法を採用することが可能であり、電流検出手段42を用いる手法に限定されない。
【0074】
一方、本実施形態では、制御手段22は、各放射線検出素子7から読み出して記憶手段23に保存した各画像データDに基づいて、各画像データDを所定の割合で間引いてプレビュー用の間引きデータDtを作成するようになっている。
【0075】
間引きデータDtは、例えば、二次元状に配列された各放射線検出素子7に対応して各画像データDを配列した場合に3×3画素や4×4画素ごとに1画素分の画像データDを抽出するようにして作成してもよく、或いは、走査線5の各ラインL1、L4、L7、…にそれぞれ接続された各放射線検出素子7からの画像データDのように、走査線5の所定の間隔ごとの各ラインLnに接続された各放射線検出素子7からの画像データDを抽出して作成するように構成することも可能である。
【0076】
そして、制御手段22は、放射線画像撮影が終了して各放射線検出素子7から画像データDを読み出して記憶手段23に保存すると、即座に間引きデータDtを作成し、間引きデータDtにFPDカセッテ1Fの識別情報であるカセッテIDを付与して、後述するように、FPD用コンソール58Fに送信するようになっている。この間引きデータDtの送信は放射線画像撮影ごとに行われる。
【0077】
制御手段22は、間引きデータDtをFPD用コンソール58Fに送信した後、当該間引きデータDtの作成の基となった画像データD、すなわち当該撮影で得られた全画像データDを、カセッテIDを付与してFPD用コンソール58Fに自動的に送信するようになっている。
【0078】
上記のように、間引きデータDtの送信は、FPD用コンソール58Fからの指示を待たずに自動的に送信されるが、この全画像データDの送信については、FPD用コンソール58Fからの送信指示があった時点で送信するように構成することも可能である。
【0079】
なお、前述した間引きデータDtの送信の際に、FPDカセッテ1FからFPD用コンソール58Fに間引きデータDtを送信するように構成されている場合、FPDカセッテ1FからFPD用コンソール58Fに画像データDを送信する際には、全画像データDのうち、既に送信済みの間引きデータDt以外の画像データDのみを送信するように構成することも可能である。
【0080】
この場合、FPD用コンソール58Fは、既に受信している間引きデータDtと、新たに送信されてきた画像データDとを合成して全画像データDを復元するように構成される。
【0081】
また、後述するように、FPDカセッテ1Fがブッキー装置51に装填されておらず単独で用いられている場合(すなわちコネクタ39(図2参照)に何も接続されていない場合)は、制御手段22は、アンテナ装置41を介して無線方式で間引きデータDtや画像データD、後述するオフセット補正値等をFPD用コンソール58Fに送信する。
【0082】
さらに、FPDカセッテ1Fがブッキー装置51に装填されて用いられている場合(すなわちコネクタ39にブッキー装置51のコネクタ51b(後述する図10、図11参照)が接続されている場合)は、制御手段22は、ブッキー装置51を介して有線方式で間引きデータDt等をFPD用コンソール58Fに送信するようになっている。
【0083】
制御手段22は、1回の放射線画像撮影が終了するごとに、或いは、一連の放射線画像撮影が終了した時点で、これらの放射線画像撮影で得られた画像データDに重畳されているオフセット分を補正するためのオフセット補正値を得るために、いわゆるダーク読取処理を自動的に行うようになっている。なお、単独或いは一連の放射線画像撮影が開始される前に、ダーク読取処理を行うように構成することも可能である。
【0084】
ダーク読取処理では、FPDカセッテ1Fの各TFT8をオフ状態とし、FPDカセッテ1Fに放射線が照射されない状態で所定時間放置した後、上記の読み出し処理と同様にして、各放射線検出素子7から、それらに蓄積された暗電荷等をいわゆるダーク読取値として読み出す。読み出されたダーク読取値は、記憶手段23(図8参照)に保存される。
【0085】
そして、制御手段22は、読み出した各放射線検出素子7ごとのダーク読取値をオフセット補正値としたり、或いは、ダーク読取処理を複数回行って、各放射線検出素子7ごとに得られた複数のダーク読取値を平均化する等して、オフセット補正値を算出する。そして、オフセット補正値にFPDカセッテ1Fの識別情報であるカセッテIDを付与して、FPD用コンソール58Fに自動的に送信するようになっている。
【0086】
一方、後述するように、FPDカセッテ1Fが撮影室Raに持ち込まれると、検知手段である後述するクレードル55に挿入されるようになっている。その際、制御手段22は、FPDカセッテ1Fがクレードル55に挿入された際に、コネクタ39(図2参照)がクレードル55のコネクタ55a(後述する図12参照)に接続されると、クレードル55を介して後述する中継器54(図1参照)にFPDカセッテ1Fの識別情報であるカセッテIDを通知するようになっている。
【0087】
また、制御手段22は、放射線技師等の撮影者により選択手段である選択スイッチ38(図2参照)が押下されると、自らの識別情報であるカセッテIDと、自らが選択されたことを示す選択信号とを、アンテナ装置41を介してFPD用コンソール58Fに送信するようになっている。
【0088】
FPDカセッテ1Fは、前述したCRカセッテ1Cと互換サイズを有しており、施設に既存の後述するブッキー装置51に装填して使用することができるようになっている。
【0089】
また、FPDカセッテ1Fは、ブッキー装置51に装填されている場合には、ブッキー装置51から電力の供給を受けるが、ブッキー装置51に装填されていない単独の状態では、バッテリ24(図8参照)から制御手段22やバイアス電源14、走査駆動手段15、読み出し回路17(読み出しIC16)等の各機能部に電力を供給するようになっている。なお、ブッキー装填時は、画像データDの送信や制御用通信等はブッキー装置51を介して有線方式で行われる。
【0090】
なお、FPDカセッテ1Fは、後述するように、ブッキー装置51に装填されている場合には、ブッキー装置51から電力の供給を受けるが、ブッキー装置51に装填されていない単独の状態では、バッテリ24(図8参照)から制御手段22やバイアス電源14、走査駆動手段15、読み出し回路17(読み出しIC16)等の各機能部に電力を供給するようになっている。
【0091】
そして、放射線画像撮影や画像データDの読み出し処理等を行わない場合に、各機能部に電力を供給すると、バッテリ24が消耗してしまうため、FPDカセッテ1Fは、各機能部に電力を供給して放射線画像撮影を行うことができる状態、すなわち撮影可能な状態とする撮影可能モードと、放射線画像撮影を行わないような場合に各機能部に電力を供給しないスリープモードとの間で、モードを切り替えることができるようになっている。
【0092】
スリープモードでは、FPD用コンソール58Fからの信号を受信できるようにアンテナ装置41や制御手段22等の最小限起動していることが必要な機能部にのみ電力を供給し、バイアス電源14や走査駆動手段15、読み出し回路17(読み出しIC16)等には電力を供給しないようになっている。
【0093】
電源スイッチ37(図2参照)が押下された場合に、FPDカセッテ1Fを撮影可能モードで立ち上げるかスリープモードで立ち上げるかは適宜設定されるとしても、少なくとも、選択スイッチ38が押下された場合に、FPDカセッテ1Fがスリープモードになっている場合には、FPDカセッテ1Fのモードは撮影可能モードに切り替えられる。
【0094】
また、FPDカセッテ1Fは、撮影可能モードに切り替えられた後、所定時間が経過しても放射線画像撮影が行われない場合は、所定時間が経過した時点で、モードを自動的にスリープモードに切り替えるようになっている。
【0095】
そして、FPDカセッテ1Fは、モードが切り替わる際に、FPD用コンソール58Fに、撮影可能モードになったことを表す信号、或いはスリープモードになったことを表す信号を、それぞれ自らのカセッテIDとともに送信するようになっている。
【0096】
また、制御手段22は、放射線技師等の撮影者により電源スイッチ37が押下されて電源がオンになると、自らの識別情報であるカセッテIDと、自らが起動したことを示す起動信号とを、アンテナ装置41を介してFPD用コンソール58Fに送信し、また、放射線技師等の撮影者により電源スイッチ37が押下されて電源をオフされた場合には、FPDカセッテ1の電源をオフする前に、自らの識別情報であるカセッテIDと、自らがオフ状態になることを示す停止信号とを、アンテナ装置41を介してFPD用コンソール58Fに送信するようになっている。
【0097】
次に、放射線画像撮影システム50における他の各装置等について説明する。
【0098】
図1に示すように、ブッキー装置51は、カセッテ保持部51aにFPDカセッテ1FやCRカセッテ1Cを装填して用いることができるようになっている。なお、図1では、撮影室Raに、ブッキー装置51として立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bが設置されている場合が示されているが、例えば、立位撮影用のブッキー装置51Aのみ、或いは臥位撮影用のブッキー装置51Bのみが設けられているような場合にも本発明は適用される。
【0099】
本実施形態では、ブッキー装置51は、カセッテ保持部51aに従来のCRカセッテ1Cを装填して用いることもできるように構成されており、撮影室RaにCRカセッテ用に設置されている既存のブッキー装置を用いることが可能である。
【0100】
そのため、本実施形態では、上記のFPDカセッテ1Fは、CRカセッテ1Cと同様の寸法になるように形成されている。すなわち、CRカセッテ1Cは、従来のスクリーンフィルム用のカセッテにおけるJIS規格サイズ(対応する国際規格はIEC 60406)に準拠して、14インチ×17インチ(半切サイズ)等の寸法で形成される。また、放射線入射方向の厚さは15mm+1mm〜15mm−2mmの範囲内になるように形成される。
【0101】
そのため、このJIS規格サイズのCRカセッテ1Cを装填することができるブッキー装置51への装填使用を可能とするため、FPDカセッテ1Fも、CRカセッテ1Cが準拠するスクリーンフィルム用のカセッテにおけるJIS規格に準拠した寸法で形成されている。
【0102】
なお、スクリーン/フィルムカセッテやCRカセッテ用の既存のブッキー装置を用いない場合には、FPDカセッテ1Fを上記の寸法で形成する必要はなく、FPDカセッテ1Fを任意の大きさや形状に形成することが可能である。しかし、その際には、ブッキー装置51として、任意に設定された形状のFPDカセッテ1Fを装填することができるブッキー装置を新たに撮影室Ra内に設置することが必要となる。
【0103】
ブッキー装置51のカセッテ保持部51aの内部には、図10に示すように、装填されたFPDカセッテ1Fのコネクタ39(図2参照)と接続されるコネクタ51bが設けられている。図10に示した立位撮影用のブッキー装置51Aの場合だけでなく、臥位撮影用のブッキー装置51Bにおいても同様に構成されている。
【0104】
なお、上記のように、ブッキー装置51のカセッテ保持部51aの内部にコネクタ51bを設ける代わりに、図11に示すように、FPDカセッテ1Fをブッキー装置51に装填する前に、ブッキー装置51から延びるケーブルの先端に設けられたコネクタ51bをFPDカセッテ1Fのコネクタ39に接続し、その状態でFPDカセッテ1Fをブッキー装置51のカセッテ保持部51aに装填するように構成することも可能である。
【0105】
ブッキー装置51は、コネクタ51bとFPDカセッテ1Fのコネクタ39とが接続されると、FPDカセッテ1Fからその識別情報であるカセッテIDを読み出し、FPDカセッテ1FのカセッテIDと自らの識別情報であるブッキーIDとを対応付けて、FPD用コンソール58Fに送信するようになっている。
【0106】
前述したように、ブッキー装置51は、FPDカセッテ1Fがカセッテ保持部51aに装填されて用いられている場合には、FPDカセッテ1Fからコネクタ39を介して出力される間引きデータDtや画像データD、オフセット補正値を後述する中継器54に有線方式で伝送してFPD用コンソール58Fに送信するようになっている。
【0107】
また、ブッキー装置51のコネクタ51bとFPDカセッテ1Fのコネクタ39とが接続されることにより、ブッキー装置51からFPDカセッテ1Fに電力を供給するようになっている。そのため、FPDカセッテ1Fの制御手段22は、コネクタ39、51b同士が接続されると、バッテリ24(図8参照)からの各機能部への電力の供給を停止し、コネクタ39を介してブッキー装置51から供給される電力を各機能部に供給するように切り替えるようになっている。なお、各機能部に電力供給しながら、同時にバッテリ24を充電する構成とすることも可能である。
【0108】
図1に示すように、撮影室Raには、被写体に放射線を照射する放射線源52が少なくとも1つ設けられている。そして、放射線源52のうち、1つの放射線源52Aは、例えば撮影室Raの天井からつり下げられて配置されるようになっており、撮影時にはコンソール58からの指示に基づいて起動され、図示しない移動手段により所定の位置にまで移動されるようになっている。
【0109】
そして、放射線の照射方向を変えることで、立位撮影用のブッキー装置51Aや臥位撮影用のブッキー装置51Bに装填されたFPDカセッテ1FやCRカセッテ1Cに対して放射線を照射することができるようになっている。
【0110】
また、撮影室Raには、立位撮影用や臥位撮影用のブッキー装置51A、51Bには対応付けられていないポータブルの放射線源52Bも設けられている。ポータブルの放射線源52Bは、撮影室Ra内のいかなる場所にも持ち運びでき、任意の方向に放射線を照射できるようになっている。なお、図1では、ポータブルの放射線源52Bが放射線源52Aの放射線発生装置57によって制御される場合が示されているが、ポータブルの放射線源52Bを、放射線源52Aの放射線発生装置57とは独立の構成とすることも可能である。
【0111】
そして、FPDカセッテ1FやCRカセッテ1Cを単独の状態(すなわちブッキー装置51に装填しない状態)で被写体である患者の身体の部分にあてがったり、臥位撮影用のブッキー装置51Bのテーブルや図示しないベッドと患者の身体との間に差し込んだりした状態で、ポータブルの放射線源52Bから適切な距離や方向で放射線を照射することができるようになっている。
【0112】
なお、FPDカセッテ1FやCRカセッテ1Cは、このように、ブッキー装置51に装填されない単独の状態で放射線画像撮影に用いることができるようになっている。
【0113】
放射線源52は、X線管球を備えており、X線管球は、後述する放射線発生装置57から所定の管電圧や管電流が供給されると、設定された照射時間だけ管電圧等に応じた照射線量の放射線を照射するようになっている。
【0114】
前述したように、撮影室Raは鉛などでシールドされているため、撮影室Ra内でFPDカセッテ1Fからアンテナ装置41を介して画像データD等の情報を送受信しようとしても、そのままでは送受信できない。そこで、図1に示すように、FPDカセッテ1Fとコンソール58とが無線通信する際に、これらの通信を中継する無線アンテナ(アクセスポイント等ともいう。)53を備えた中継器(基地局等ともいう。)54が設けられている。
【0115】
なお、前述したように、ブッキー装置51と中継器54とはケーブル等で接続されており、FPDカセッテ1Fをブッキー装置51に装填して用いる場合には、FPDカセッテ1Fから出力された間引きデータDt等は、ブッキー装置51や中継器54等を介して有線方式でFPD用コンソール58Fに送信される。
【0116】
また、中継器54は、FPDカセッテ1Fを用いて前述した同期方式で撮影が行われる場合には、コンソール58からFPDカセッテ1Fへの照射開始信号の転送(或いはコンソール58からFPDカセッテ1への問い合わせ)およびFPDカセッテ1Fからコンソール58へのready信号の送信を中継するようになっている。
【0117】
中継器54には、クレードル55が接続されている。図12に示すように、撮影室Raに持ち込まれたFPDカセッテ1Fがクレードル55に挿入されて、FPDカセッテ1Fのコネクタ39とクレードル55のコネクタ55aとが接続されると、前述したようにFPDカセッテ1FからカセッテIDが、クレードル55を介して中継器54に通知されるようになっている。そして、中継器54は、クレードル55からFPDカセッテ1FのカセッテIDが送信されてくると、そのカセッテIDをFPD用コンソール58Fに通知するようになっている。
【0118】
なお、クレードル55は、通常、FPDカセッテ1F等を保管したり充電するために用いられるものであり、本実施形態においても、クレードル55が充電等の機能を有するように構成することも可能である。さらに、図12では、FPDカセッテ1Fを挿入する挿入口が2個設けられたクレードル55が示されているが、挿入口は1個でもよく、或いは3個以上設けられていてもよい。
【0119】
また、クレードル55は撮影室Raと前室Rbのいずれに設置されてもよく、撮影室Raに設置される場合には、放射線源52から照射される放射線が到達しない位置、すなわち、例えば撮影室Raのコーナーの位置等に設置される。
【0120】
一方、撮影室Raや前室Rbに持ち込まれたFPDカセッテ1Fを検知してコンソール58にカセッテIDを通知する検知手段としては、上記のようにクレードル55を用いる代わりに、或いはグレードル55と併用して、図示を省略するが、例えば前室Rbの扉付近にタグリーダを設けるように構成することも可能である。
【0121】
このように構成する場合、予め、FPDカセッテ1F内に、いわゆるRFID(Radio Frequency IDentification)タグ等の図示しないタグを内蔵させておき、タグにFPDカセッテ1FのカセッテID等の固有情報を記憶させておく。そして、FPDカセッテ1Fがタグリーダの近傍を通過して撮影室Raや前室Rbに持ち込まれる際に、タグリーダでFPDカセッテ1FのタグからカセッテID等の情報を読み取り、そのカセッテIDをコンソールに通知するように構成することが可能である。
【0122】
このように、検知手段としてタグリーダを用いるように構成すれば、少なくともFPDカセッテ1Fについて、その撮影室Ra内への持ち込みおよび当該撮影室Raからの持ち出しの両方を検知することが可能となり、好ましい。
【0123】
なお、この場合は、タグリーダとクレードル55とで少なくともFPDカセッテ1Fの撮影室Ra内への持ち込みをダブルチェックするように構成することも可能である。また、検知手段としてタグリーダのみを用いる場合には、クレードル55は例えば単にFPDカセッテ1Fの充電用等として用いられる。
【0124】
図1に示すように、前室Rbには、放射線源52に対して放射線の照射開始等を指示するための曝射スイッチ56等を備えた放射線発生装置57が設けられている。また、図1に示すように、放射線発生装置57には、撮影条件を入力して設定するためのキーボード等の設定手段57aが設けられている。
【0125】
曝射スイッチ56は、例えば図13(A)に示すように、所定長のストロークを有する棒状のボタン部56aと、ボタン部56aを図中矢印Sで示されるストローク方向に移動可能に支持する筐体部56bとで構成されている。そして、曝射スイッチ56のボタン部56aは、例えば、筐体部56bから上方に突出した円筒部56a1と、その内部からさらに上方に突出した円柱部56a2を備えて構成されている。
【0126】
そして、図13(B)に示すように、撮影者により円柱部56a2が円筒部56a1の上端部分までそのストローク方向Sに押し込まれて1段目の操作がなされると(すなわちいわゆる半押し操作が行われると)、曝射スイッチ56は、放射線発生装置57に起動信号を送信するようになっている。放射線発生装置57は、この起動信号を受信すると、放射線源52のX線管球の陽極の回転を開始させる等して放射線源52をスタンバイ状態とさせるようになっている。
【0127】
また、図13(C)に示すように、曝射スイッチ56の円筒部56a1と円柱部56a2とがともに筐体部56bの上端部分まで押し込まれて2段目の操作がなされると(すなわちいわゆる全押し操作が行われると)、曝射スイッチ56は、放射線発生装置57に照射開始信号を送信するようになっている。
【0128】
また、本実施形態では、後で詳しく説明するように、少なくともFPD用コンソール58Fで、連携方式に対応する連携モードと非連携方式に対応する非連携モードとのいずれかのモードを設定できるようになっている。
【0129】
そして、後述するように、FPD用コンソール58Fで非連携モードが設定されると、FPD用コンソール58Fでは放射線発生装置57に対して撮影条件を設定せず、放射線技師等が設定手段57aを介して放射線発生装置57に撮影条件が設定させることが許容される。
【0130】
そのため、放射線発生装置57は、非連携モードが設定されると、設定手段57aからの入力を受け付けるようになっている。そして、撮影条件が入力されると、放射線発生装置57は、放射線源52を起動させるとともに、入力された撮影条件に基づいて放射線源52に管電圧や管電流を供給する等して放射線源52から照射する放射線の照射線量を設定したり、前述した放射線源52の移動や照射方向の変更等を行うようになっている。
【0131】
また、後述するように、FPD用コンソール58Fで連携モードが設定されると、FPD用コンソール58Fから放射線発生装置57に、撮影オーダ情報に基づく撮影条件が送信されてくるため、放射線発生装置57は、FPD用コンソール58Fから送信されてきた撮影条件に基づいて、放射線源52を起動させたり、放射線源52に管電圧や管電流を供給する等して放射線源52から照射する放射線の照射線量を設定したり、前述した放射線源52の移動や照射方向の変更等を行うようになっている。
【0132】
なお、本実施形態では、CR用コンソール58Cは、既に施設に設置されているCR用コンソールが用いられるようになっており、CR用コンソール58Cが、連携モードで構成されているか、非連携モードで構成されているかによって、放射線発生装置57に対する撮影条件の設定が、放射線技師等によって行われるか(すなわち非連携モードの場合)、或いはCR用コンソール58Cによって行われるか(すなわち連携モードの場合)が決まっている。
【0133】
また、CR用コンソール58Cが、本実施形態に係るFPD用コンソール58Fと同様に、連携モードと非連携モードとのいずれのモードも設定可能に構成されている場合には、本実施形態のFPD用コンソール58の場合と同様に、放射線発生装置57は、CR用コンソール58Cで設定されたモードに応じて、放射線技師等に入力された撮影条件に従うか、CR用コンソール58Cから送信されてきた撮影条件に従うかを切り替える。
【0134】
なお、撮影がFPD方式で行われるかCR方式で行われるかによって、放射線発生装置57が放射線源52から照射する放射線の照射線量を変えることは前述した通りである。また、撮影をFPD方式で行う場合もCR方式で行う場合も、撮影部位(すなわち撮影される患者の身体の部位)が変わると、放射線源52から照射する放射線の照射線量も変わるため、連携モード或いは非連携モードにおける照射線量の設定は、撮影ごとに、撮影が開始される前に行われる。
【0135】
また、CR用コンソール58C、及び、FPD用コンソール58Fには、RIS等から同一の撮影オーダ情報がそれぞれに送信される。この撮影オーダ情報は、詳しくは後ほど説明するが、CRやFPDのどちらかの撮影方式を指定するものであっても、撮影方式を指定しないものであっても良い。後者の場合、既存のRISシステムがCR前提で設計されているので、CRを指定している撮影オーダを、FPD用コンソール58Fで選択する場合には、照射線量設定をCR用からFPD用に自動変換するアプリケーションソフトをFPD用コンソール58Fに搭載し、自動的に、選択された撮影オーダ情報に対応するFPD用照射線量設定が行われることが好ましい。
【0136】
このように、撮影を行う技師等が適宜、CRまたはFPDを選択使用することが可能なシステムであることが、放射線科内の全体撮影効率を上げることに繋がる。
【0137】
本実施形態では、FPD用コンソール58FやCR用コンソール58Cは、前室Rbに設けられている。そして、本実施形態では、FPD用コンソール58Fは、図示しないCPUやROM、RAM、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータ等で構成されている。ROMには所定のプログラムが格納されており、FPD用コンソール58Fは、必要なプログラムを読み出してRAMの作業領域に展開してプログラムに従って各種処理を実行するようになっている。
【0138】
また、本実施形態では、CR用コンソール58Cは、施設に既設のCR用コンソールが用いられるようになっており、CR用コンソール58Cは、前述したように、汎用コンピュータにソフトウェアが組み込まれたものである場合もあり、或いは、専用機として構成されている場合もある。
【0139】
FPD用コンピュータ58Fにおける連携モードや非連携モードの設定については後で詳しく説明するが、FPD用コンピュータ58Fは、後述するように、少なくともFPDカセッテ1Fから読み出された画像データDに基づいて放射線画像pを生成するようになっている。また、CR用コンソール58Cは、後述する画像読取装置61でCRカセッテから読み出された画像データDに基づいて放射線画像pを生成するようになっている。
【0140】
FPD用コンソール58FやCR用コンソール58Cには、いずれもCRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等からなる表示部59F、59Cがそれぞれ設けられており、その他、キーボードやマウス等の図示しない入力手段等がそれぞれ接続されている。
【0141】
また、FPD用コンソール58FやCR用コンソール58Cには、ハードディスク等で構成された記憶手段60F、60Cがそれぞれ内蔵され、或いは接続されており、また、図示を省略するが、LAN(Local Area Network)等のネットワーク等を介して前述したHISやRIS、PACS(Picture Archiving and Communication System)等が接続されている。
【0142】
また、図示を省略するが、FPD用コンソール58FやCR用コンソール58Cには、他のコンピュータや、コンソール58から出力された画像データDに基づいて放射線画像をフィルムなどの画像記録媒体に記録して出力するイメージャ等の外部機器が、LAN等を介して接続されている。
【0143】
本実施形態では、FPD用コンソール58Fは、前述したように、撮影室Raに持ち込まれたFPDカセッテ1Fが挿入されて、FPDカセッテ1FのカセッテID等がクレードル55や中継器54を介して送信されてくると、そのカセッテIDを記憶手段59に保存して、そのカセッテIDを有するFPDカセッテ1Fが撮影室Ra或いは前室Rb内に持ち込まれたことを認識して管理するようになっている。
【0144】
また、本実施形態では、FPD用コンソール58Fは、前述したように、FPDカセッテ1Fから撮影可能モードになったことを表す信号がカセッテIDとともに送信されてくると、記憶手段59に保存されている当該カセッテIDに対応付けられて保存されているモードを表す情報が撮影可能モードを表す情報である場合はそのままとし、保存されているモードを表す情報がスリープモードを表す情報である場合は、カセッテIDに、撮影可能モードを表す情報を新たに対応付けて上書き保存する。
【0145】
また、FPDカセッテ1Fからスリープモードになったことを表す信号がカセッテIDとともに送信されてきた場合には、記憶手段59に保存されている当該カセッテIDに対応付けられて保存されているモードを表す情報がスリープモードを表す情報である場合はそのままとし、保存されているモードを表す情報が撮影可能モードを表す情報である場合は、カセッテIDに、スリープモードを表す情報を新たに対応付けて上書き保存する。
【0146】
FPD用コンソール58Fは、このようにして、FPDカセッテ1Fが、現在、撮影可能モードとスリープモードとのいずれのモードにあるかを認識して、各FPDカセッテ1Fの電力供給モードを管理するようになっている。
【0147】
さらに、本実施形態では、FPD用コンソール58Fは、前述したように、FPDカセッテ1Fから、電源がオンになり起動したことを表す起動信号がカセッテIDとともに送信されてくると、記憶手段59に保存されている当該カセッテIDに対応付けられて保存されている状態を表す情報が起動状態を表す情報である場合はそのままとし、保存されている状態を表す情報が停止状態を表す情報である場合は、カセッテIDに、起動状態を表す情報を新たに対応付けて上書き保存する。
【0148】
また、FPDカセッテ1Fから、電源がオフになりオフ状態になることを表す停止信号がカセッテIDとともに送信されてきた場合には、記憶手段59に保存されている当該カセッテIDに対応付けられて保存されている状態を表す情報が停止状態を表す情報である場合はそのままとし、保存されている状態を表す情報が起動状態を表す情報である場合は、カセッテIDに、停止状態を表す情報を新たに対応付けて上書き保存する。
【0149】
FPD用コンソール58Fは、このようにして、FPDカセッテ1Fが、現在、起動しているか停止しているかを認識して、各FPDカセッテ1Fの起動状態を管理するようになっている。
【0150】
また、本実施形態では、FPD用コンソール58Fは、前述したように、FPDカセッテ1Fがコネクタ51bと接続されたブッキー装置51から、FPDカセッテ1FのカセッテIDとブッキーIDとが送信されてくると、記憶手段59に保存されている当該カセッテIDに、ブッキーIDを対応付けて保存するようになっている。
【0151】
また、FPDカセッテ1Fとコネクタ51bとの接続が解除された場合には、記憶手段59に保存されている当該FPDカセッテ1FのカセッテIDとブッキーIDとの対応付けを解除して、カセッテIDのみを保存するようになっている。
【0152】
このようにして、FPD用コンソール58Fは、FPDカセッテ1Fが、ブッキー装置51に装填されて用いられる場合には、どのFPDカセッテ1Fがどのブッキー装置51に装填されているか、或いは装填されていないかを認識して管理するようになっている。
【0153】
さらに、本実施形態では、FPD用コンソール58Fは、撮影で使用されるFPDカセッテ1Fが非同期方式で使用される場合には、当該FPDカセッテ1Fに対して、当該撮影が非同期方式で行われる旨の信号を送信するようになっている。そして、FPDカセッテ1Fの制御手段22(図8参照)は、コンソール58からの信号を受信すると、電流検出手段42を作動させて、FPDカセッテ1F自体で放射線の照射開始を検出するモードに移行するようになっている。
【0154】
一方、図1に示すように、CR用コンソール58Cには、CRカセッテ1Cの輝尽性蛍光体プレートから画像データDを読み出す画像読取装置61が接続されている。本実施形態では、画像読取装置61は、撮影室Raや前室Rbの外側に設置されているが、設置場所は任意に決められる。また、図1では、画像読取装置61が1機だけ設置されている場合が示されているが、画像読取装置61を複数機設置するように構成することも可能であり、設置される数は適宜決められる。
【0155】
画像読取装置61としては、例えば前述した特開2003−287833号公報等に記載されている画像読取装置等の、施設に既設の画像読取装置が用いられる。なお、画像読取装置61としては、CRカセッテ1C内の輝尽性蛍光体プレートから画像データDを読み取ることができるものであれば、上記の構成に限定されない。
【0156】
また、撮影後に、CRカセッテ1Cを画像読取装置61に装填する際に、画像読取装置61で前述したCRカセッテ1Cのバーコードを読み取り、画像読取装置61で読み取られたCRカセッテ1Cのバーコード情報と画像データDとを対応付けてCR用コンソール58Cに送信するように構成されていれば、CR用コンソール58Cは、後述するFPD用コンソール58Fにおける処理と同様に、バーコード情報中に含まれるCRカセッテ1CのカセッテIDをキーとして、読み取られた画像データDを撮影オーダ情報に対応付けることが可能となる。
【0157】
ここで、本実施形態における撮影前の連携モード或いは非連携モードの設定等について説明する前に、撮影が行われた後のFPD用コンソール58Fにおける画像処理等について説明する。
【0158】
FPD用コンソール58Fは、撮影者の操作により、前述したHISやRISから撮影オーダ情報等の必要な情報を入手するようになっている。
【0159】
撮影オーダ情報は、少なくとも撮影部位と撮影条件を指定して設定されるようになっている。具体的には、撮影オーダ情報は、図14に例示するように、患者情報としての「患者ID」P2、「患者氏名」P3、「性別」P4、「年齢」P5、「診療科」P6、および「撮影部位」P7、および撮影条件としての「撮影方向」P8や使用するブッキー装置51を表す「ブッキーID」P9や使用するカセッテの「カセッテID」P10等で構成されるようになっている。そして、撮影オーダが登録された順に、各撮影オーダ情報に対して「撮影オーダID」P1が自動的に割り当てられるようになっている。
【0160】
FPD用コンソール58Fは、撮影オーダ情報を入手すると、図15に示すように、表示部59F上に各撮影オーダ情報の一覧を選択画面H1として表示するようになっている。本実施形態では、選択画面H1には、撮影オーダ情報表示欄h11や選択ボタンh12、決定ボタンh13、戻るボタンh14が表示されるようになっている。
【0161】
そして、例えば、撮影者が選択ボタンh12をクリックして、各撮影オーダ情報を選択して、決定ボタンh13をクリックすると、FPD用コンソール58Fは、表示部上に図16に示すような画面H2を表示するようになっている。
【0162】
なお、撮影オーダ情報には、図15等に示したように、CRカセッテ1Cを用いて撮影を行うことが指定されたものもあるが、FPD用コンソール58Fで、CRカセッテ1Cを用いて撮影を行うことが指定された撮影オーダ情報を選択した場合には、例えば、画面上に警告表示し、撮影オーダ情報中のCRカセッテ1Cの指定をFPDカセッテ1Fに変更することを放射線技師等に要求するように構成することが可能である。
【0163】
画面H2には、図16に示すように、各撮影オーダ情報に対応する各アイコンIが表示され、各アイコンIの下部には、後述するように、アイコンIの位置に表示されるプレビュー画像p_preを撮影者が見て再撮影が不要と判断したり、アイコンIの位置に表示される放射線画像pが正常であると判断して放射線画像pを確定させる際にクリックする「OK」ボタンと、再撮影が必要であったり、放射線画像pに対する画像処理等をやり直す際にクリックする「NG」ボタンがそれぞれ表示されている。
【0164】
また、FPD用コンソール58Fで後述する連携モードが設定された場合には、画面H2の右側に表示されている撮影条件の設定用の表示Ia上の各項目の「+」ボタンや「−」ボタンをクリックすることで、放射線発生装置57の放射線源52の管電圧や管電流、照射時間等の撮影条件を微調整して設定することができるようになっている。
【0165】
なお、FPD用コンソール58Fで後述する非連携モードが設定された場合には、放射線技師等の撮影者が、放射線発生装置57の放射線源52の管電圧や管電流、照射時間等の撮影条件を微調整できると勘違いしないように、画面H2の右側の撮影条件の設定用の表示Iaを表示しないように構成することも可能である。
【0166】
一方、本実施形態では、FPD用コンソール58Fは、画面H2上に表示された各アイコンI1〜I4のうち、何れか1つのアイコンI(図16の場合はアイコンI2)を選択して、選択したアイコンIを目立つようにフォーカスして表示されるようになっている。そして、フォーカスされているアイコンIに対応する撮影オーダ情報に基づく撮影が行われるようになっている。なお、撮影者が、別の撮影オーダ情報に基づく撮影を行いたい場合には、その撮影オーダ情報に対応する他のアイコンIをクリックする等して選択することにより、フォーカスを遷移させることができるようになっている。
【0167】
また、本実施形態では、FPD用コンソール58Fは、後述する連携モードが設定された場合には、フォーカスされているアイコンIに対応する撮影オーダ情報に基づく撮影が行われるように、撮影室Ra内の放射線発生装置57を制御するようになっているが、この点については、後で説明する。
【0168】
なお、FPD用コンソール58Fは、アイコンIをフォーカスさせた時点で、当該アイコンIに対応する撮影オーダ情報で指定されたFPDカセッテ1Fの電力供給モードがスリープモードになっている場合には撮影可能モードに遷移させる等の必要な処理を行うようになっている。
【0169】
また、画面H2の左側には、フォーカスして表示されているアイコンIに対応する撮影オーダ情報で指定された撮影部位が、撮影者が一目で分かるように表した人体モデルIb上に表示されるようになっている。
【0170】
一方、フォーカスして表示されたアイコンIに対応する撮影オーダ情報に基づく放射線画像撮影が行われると、前述したように、FPDカセッテ1Fからは、各放射線検出素子7の画像データDから作成された間引きデータDtが送信されてくる。FPD用コンソール58Fは、FPDカセッテ1Fから間引きデータDtが送信されてくると、図17に示すように、送信されてきた間引きデータDtに基づくプレビュー画像を、フォーカスされていた元のアイコンI2の位置に表示するようになっている。
【0171】
なお、撮影者がプレビュー画像p_preを見易いように、プレビュー画像p_preを画面H2上に拡大して表示するように構成することも可能である。
【0172】
また、その後、当該FPDカセッテ1Fから画像データDが送信されてくると、FPD用コンソール58Fは、画像データDに付帯されている当該FPDカセッテ1FのカセッテIDを参照し、当該アイコンIに対応する撮影オーダ情報に指定されているFPDカセッテ1Fであること等を確認して、撮影オーダ情報に画像データDを対応付けるようになっている。
【0173】
そして、FPD用コンソール58Fは、プレビュー画像p_preを所定時間表示する間に、プレビュー画像p_preを見た撮影者が「NG」ボタンをクリックしなければ、図18に示すように、フォーカスして表示するアイコンIを例えばアイコンI3に遷移させるとともに、元のアイコンI2に対応する撮影でFPDカセッテ1Fから送信されてきた画像データD等に基づく診断用の放射線画像pの生成処理を開始するようになっている。
【0174】
なお、プレビュー画像p_preを見た撮影者が上記の所定時間の間に「NG」ボタンをクリックした場合には、撮影オーダ情報に対する画像データDの対応付けを解除するとともに、間引きデータDtや画像データDを抹消する。また、画像データD等に基づく放射線画像pの生成処理も行わない。
【0175】
FPD用コンソール58Fの記憶手段60Fには、撮影に用いられたFPDカセッテ1Fに関するゲイン補正値等の補正データが予め記憶されている。また、前述したように、FPDカセッテ1Fからは撮影ごとにオフセットデータOが送信されてくる。
【0176】
そのため、診断用の放射線画像pの生成処理では、FPD用コンソール58Fは、それらに基づいて、オフセット補正やゲイン補正、欠陥画素補正、撮影部位に応じた諧調処理等の処理を行うようになっている。また、撮影の際に、FPDカセッテ1Fにグリッドを取り付けて撮影が行われている場合があるため、グリッドによるモアレ除去のためのフィルタリング処理をさらに行うようになっている。
【0177】
グリッドを用いた撮影を行う場合、グリッドピッチとFPDカセッテ1Fの画素サイズとの関係で、画像データDにモアレを生じる場合がある。このモアレ対策として、例えば特開2000−316126号公報に記載されているように、使用するグリッドを適正に選択すれば、モアレ発生を避けることができる。また、特開平8−88765号公報に記載されているように、一旦、身近のグリッドを使用して撮影を行い、画像データD中に含まれるモアレ成分を、次工程でフィルタリング処理して除去することも知られている。
【0178】
FPDカセッテ1Fの場合、本実施形態で説明するように複数の撮影室Raで使用されたり、後述する実施形態で説明するように回診先で使用されるので、使用するグリッド種を制限することは得策ではない。すなわち、CRカセッテを用いて撮影を行っていた際に使用されていたグリッドをそのまま使用することが好ましい。また、撮影の都度、各撮影に使用したグリッドピッチ情報を読取り画像に対応付けて保存とすることも可能であるが、専用機型の放射線画像撮影装置の場合とは異なり、FPDカセッテ1Fの場合、グリッドピッチ情報を対応付けるには、大がかりな既存の撮影設備改造が必要になり、しかも、各撮影における放射線技師等の撮影者の操作も増えるため、現実的ではない。
【0179】
従って、使用するグリッドを限定せず、使用可能性のあるグリッドピッチに対応したモアレ除去フィルタを予め数種準備しておき、画像データDに対して、予め準備しておいた全てのフィルタを順次適用することで、モアレのない放射線画像pを得る方法が、FPDカセッテ1Fにとっては好ましい。
【0180】
FPD用コンソール58Fは、診断用の放射線画像pを生成すると、図18に示したように、元のアイコンI2の位置に表示する。そして、放射線画像pを見た撮影者が、生成された放射線画像pが正常であると判断して「OK」ボタンをクリックすると、放射線画像pを確定させて、診断用の放射線画像pを撮影オーダ情報に対応付けるようになっている。
【0181】
なお、本実施形態では、CR用コンソール58Cとして、前述したように、施設に既設のCR用コンソールが用いられ、CR用コンソール58Cにおける画像処理等は、施設に既設のCR用コンソールにおける処理の仕方に従って行われる。
【0182】
また、本実施形態では、画像読取装置61も施設に既設の画像読取装置が用いられるが、その際、撮影後、CRカセッテ1Cを画像読取装置61に装填する際に、画像読取装置61で前述したCRカセッテ1Cのバーコードを読み取り、画像読取装置61で読み取られたCRカセッテ1Cのバーコード情報と画像データDとを対応付けてCR用コンソール58Cに送信するように構成されていれば、CR用コンソール58Cがバーコード情報中に含まれるCRカセッテ1CのカセッテIDをキーとして、読み取られた画像データDを撮影オーダ情報に対応付けることが可能となり好ましいことは、前述した通りである。
【0183】
次に、本実施形態における、撮影前に行われる連携モード或いは非連携モードの設定等について説明する。また、以下、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50の作用についてもあわせて説明する。
【0184】
本実施形態では、FPD用コンソール58Fは、前述したように、画面H2(図16等参照)上でFPD用コンソール58F自体が選択し或いは放射線技師等がクリックして選択したアイコンI(すなわちフォーカスされているアイコンI)に対応する撮影オーダ情報に含まれる撮影条件、すなわち本実施形態では撮影部位(P7)や撮影方向(P8、図14や図15参照)に基づいて、放射線発生装置57に撮影条件を自動設定する連携モードを設定することができるようになっている。
【0185】
また、FPD用コンソール58Fは、前述したように、アイコンIの選択等を行っても、FPD用コンソール58Fでは放射線発生装置57に対して撮影条件の自動設定を行わず、放射線技師等の撮影者が放射線発生装置57の設定手段57a(図1参照)を介して放射線発生装置57に撮影条件を設定することを許容する非連携モードも設定することができるようになっている。
【0186】
放射線発生装置57に対する撮影条件の設定を、連携モードで行うか、非連携モードで行うかの指定は、例えば、選択画面H1(図15参照)で撮影オーダ情報が選択された後、画面H2を表示する前に、表示部59F上に、図示しない設定画面を表示させる等して、FPD用コンソール58F上で行われる。
【0187】
以下、まず、FPD用コンソール58F上で、連携モードが設定された場合について説明する。
【0188】
FPD用コンソール58Fは、連携モードが設定されると、選択されフォーカスされているアイコンIに対応する撮影オーダ情報に含まれる撮影条件を放射線発生装置57に送信するようになっている。
【0189】
なお、この場合、撮影条件自体を送信する代わりに、或いはそれと併せて、放射線発生装置57から放射線源52に供給する管電圧や管電流等の照射条件に関する情報を送信するように構成することも可能である。また、撮影条件等の送信に先立って、放射線発生装置57に連携モードが設定された旨を通知するように構成することも可能である。
【0190】
そして、放射線発生装置57は、FPD用コンソール58Fから撮影条件が送信されてくると、放射線源52が起動していなければ放射線源52を起動させるとともに、前述したように、送信されてきた撮影条件に基づいて放射線源52に設定された管電圧や管電流を供給し照射時間を設定する等して放射線源52から照射する放射線の照射線量を設定したり、前述した放射線源52の移動や照射方向の変更等を行うようになっている。
【0191】
なお、FPD用コンソール58Fは、連携方式の場合も下記の非連携方式の場合も、上記のような放射線発生装置57に対する撮影条件の設定に続いて、前述したように、画面H2上(図16参照)でアイコンIをフォーカスさせた時点で、当該アイコンIに対応する撮影オーダ情報で指定されたFPDカセッテ1Fの電力供給モードがスリープモードになっている場合には撮影可能モードに遷移させるようになっている。
【0192】
次に、FPD用コンソール58F上で、非連携モードが設定された場合について説明する。
【0193】
非連携モードが設定された場合には、FPD用コンソール58Fは、上記の連携モードの場合のような放射線発生装置57に対する撮影条件の設定を行わず、放射線技師等の撮影者が放射線発生装置57の設定手段57a(図1参照)を介して放射線発生装置57に撮影条件を設定することを許容するようになっている。
【0194】
この場合、撮影者に、放射線発生装置57に対する撮影条件の設定を促すために、FPD用コンソール58Fは、例えば図16に示したように、画面H2上でアイコンIをフォーカスさせて表示させる際に、放射線発生装置57に対して撮影条件の設定を行うことを促す表示や、設定を行ったことを確認する表示を行うように構成することが可能である。
【0195】
また、非連携モードが設定された場合、FPD用コンソール58Fから放射線発生装置57に非連携モードが設定された旨を通知するように構成することも可能であるが、予め放射線発生装置57をデフォルトの状態では非連携モードが設定されるように構成することも可能である。後者の場合、非連携モードが設定されてもFPD用コンソール58Fから放射線発生装置57に非連携モードが設定された旨を通知する必要がなくなる。
【0196】
そして、放射線発生装置57は、設定手段57aを介して放射線技師等の撮影者により撮影条件の設定がなされると、放射線源52が起動していなければ放射線源52を起動させるとともに、前述したように、送信されてきた撮影条件に基づいて放射線源52に設定された管電圧や管電流を供給し照射時間を設定する等して放射線源52から照射する放射線の照射線量を設定したり、前述した放射線源52の移動や照射方向の変更等を行うようになっている。
【0197】
放射線画像撮影システム50が以上のように構成されている場合、特にFPD用コンソール58Fが上記のように構成されていれば、以下のような作用効果が生じる。
【0198】
すなわち、例えば、現在、病院や医院等の施設に既設のCR用コンソール58Cが、非連携方式(すなわち上記の非連携モードに対応してCR用コンソール58Cで放射線発生装置57の自動設定を行わない方式)に設定されている場合がある。
【0199】
この場合、放射線技師等の撮影者は、FPD方式で撮影を行う場合に、例えば、施設に新たに導入されたFPD用コンソール58FにおいてもFPD用コンソール58Fで放射線発生装置57の自動設定を行わず、CR方式の場合と同様に、放射線発生装置57に対する撮影条件の設定等を自ら行いたいと思う場合がある。また、施設によっては、FPD方式で撮影を行う場合でも、非連携方式で行うことが決められている場合もある。
【0200】
そこで、そのような場合には、撮影者は、FPD用コンソール58Fを操作して非連携モードを設定すれば、FPD用コンソール58Fにより放射線発生装置57の設定手段57a(図1参照)を介して放射線発生装置57に撮影条件が設定されることが許容されるため、放射線発生装置57の設定手段57aを操作して放射線発生装置57に対する撮影条件の設定等を自ら行うことが可能となる。
【0201】
また、施設に既設のCR用コンソール58Cが非連携方式に設定されていても、FPD方式で撮影を行う場合には、FPD用コンソール58Fの操作により放射線発生装置57の自動設定を行いたいと思う撮影者もいる思う場合がある。また、施設でそのように決められている場合もある。
【0202】
そのような場合には、撮影者は、FPD用コンソール58Fを操作して連携モードを設定することで、FPD用コンソール58Fが、選択された撮影オーダ情報に含まれる撮影条件に基づいて放射線発生装置57に対して撮影条件を自動設定するように操作することが可能となる。
【0203】
また、上記のことは、施設に既設のCR用コンソール58Cが連携方式に設定されている場合も同様であり、放射線技師等の撮影者は、FPD用コンソール58Fを操作して連携モード或いは非連携モードを設定することで、放射線発生装置57に対する撮影条件の設定を、自らの好みにあわせて、或いは施設の決まりに従って、行うことが可能となる。
【0204】
このように、本実施形態では、FPD用コンソール58Fで連携モードや非連携モードを自由に設定できるように構成したため、施設に既設のCR用コンソール58Cでの仕様に関連して、自らの好みにあわせて、或いは施設の決まりに従って、FPD用コンソール58Fの仕様(すなわち連携モードか非連携モードか)を自由に設定することが可能となる。
【0205】
次に、FPDカセッテ1Fが同期方式或いは非同期方式に設定されている場合の放射線画像撮影システム50における処理について説明する。
【0206】
なお、本実施形態では、FPD用コンソール58Fは、連携モードが設定されている場合は勿論、非連携モードが設定されている場合であっても、放射線発生装置57との信号のやり取りを行わないわけではなく、FPDカセッテ1Fが同期方式である場合には、以下のように、少なくとも放射線画像撮影時に放射線発生装置57やFPDカセッテ1Fとの信号のやり取りを行うようになっている。
【0207】
すなわち、本実施形態では、以下で説明するように、FPD用コンソール58Fが連携モードに設定されているか非連携モードに設定されているかにかかわらず、FPDカセッテ1Fが同期方式である場合には撮影時に放射線発生装置57やFPDカセッテ1Fとの信号のやり取りを行うが、FPDカセッテ1Fが非同期方式の場合には、撮影時には放射線発生装置57やFPDカセッテ1Fとの信号のやり取りを行わない。
【0208】
前述したように、本実施形態では、FPDカセッテ1Fは、ブッキー装置51に装填されて用いられる場合には同期方式で、また、ブッキー装置51に装填されずに単独の状態で用いられる場合には非同期方式で、それぞれ撮影を行うようになっているため、FPD用コンソール58Fは、アイコンIに対応する撮影オーダ情報で指定されたFPDカセッテ1Fが、ブッキー装置51に装填された状態で用いられる場合には撮影が同期方式で行われ、単独の状態で用いられる場合には撮影が非同期方式で行われると判断する。
【0209】
また、放射線発生装置57は、同期方式で撮影が行われる場合には、前述したように、放射線発生装置57からFPD用コンソール58Fに送信した照射開始信号に対して、FPD用コンソール58Fからインターロック解除信号が送信されてきた時点で初めて放射線源52から放射線を照射させるようになっている。
【0210】
すなわち、前述したように、本実施形態では、放射線発生装置57は、送信した照射開始信号に対する応答としてインターロック解除信号を受信した時点で初めて放射線源52から放射線を照射させるように構成されている。また、本実施形態では、前述したように、FPDカセッテ1Fは、後述するように、ブッキー装置51に装填されて用いられる場合には同期方式で、また、ブッキー装置51に装填されずに単独の状態で用いられる場合には非同期方式で、それぞれ撮影を行うようになっている。
【0211】
具体的には、放射線発生装置57は、放射線技師等の撮影者により曝射スイッチ56が全押しされると(図13(C)参照)、曝射スイッチ56から送信されてきた照射開始信号をFPD用コンソール58Fに送信する。そして、コンソール58は、放射線発生装置57から照射開始信号を受信すると、FPDカセッテ1Fに対して撮影可能な状態であるか否かを問い合わせる。
【0212】
そして、FPDカセッテ1Fは、撮影可能な状態になった時点で、すなわち同期方式の場合には図9に示した放射線照射前の各放射線検出素子7のリセット処理が完了した時点で、また、非同期方式の場合には電力供給モードが撮影可能モードになった時点で、FPD用コンソール58Fにready信号を送信する。
【0213】
そして、FPD用コンソール58Fは、FPDカセッテ1Fからのready信号を受信した時点で、放射線発生装置57にインターロック解除信号を送信する。そして、放射線発生装置57は、FPD用コンソール58Fからのインターロック解除信号を受信すると、その時点で初めて放射線源52から放射線を照射させるようになっている。
【0214】
その際、放射線発生装置57を、少なくとも非連携モードが設定された場合には、放射線源52から放射線を照射するごとに、FPD用コンソール58Fに対して、放射線を照射させた際の管電流や管電圧、照射時間等に関する撮影実施結果(フィルタを用いたか否か等の情報を含む場合もある。)を送信するように構成することが可能である。
【0215】
そして、FPD用コンソール58Fは、上記のようにして確定された放射線画像p(図18等参照)のみならず、放射線発生装置57から送信されてきた撮影実施結果をも、対応する撮影オーダ情報に対応付けるように構成することが可能である。
【0216】
このように構成すれば、FPD用コンソール58Fは、上記のように放射線画像pを撮影オーダ情報に対応付ける際に、放射線画像pの生成の元となった画像データDに付帯されているFPDカセッテ1FのカセッテIDを確認するだけでなく、撮影実施結果をも確認して対応付けることが可能となる。
【0217】
そのため、確定された放射線画像pと撮影実施結果とを、的確に撮影オーダ情報に対応付けることが可能となり、撮影オーダ情報に、当該撮影オーダ情報とは別の撮影オーダ情報に基づいて行われた撮影で得られた画像データDに基づく放射線画像p等を誤って対応付けてしまうことを確実に防止することが可能となる。
【0218】
一方、放射線発生装置57は、非同期方式で撮影が行われる場合には、FPD用コンソール58Fとは通信を行わずに、放射線技師等の撮影者の曝射スイッチ56の操作に従って、放射線源52から放射線を照射させる。すなわち、同期方式の場合のような放射線発生装置57からFPD用コンソール58Fへの照射開始信号の送信や、FPD用コンソール58Fからのインターロック解除信号の返信等を待たずに、曝射スイッチ56の操作により任意のタイミングで放射線源52から放射線を照射する。
【0219】
このような場合、例えば撮影に用いられるFPDカセッテ1Fの電力供給モードがスリープモードである等して、FPDカセッテ1Fが撮影可能な状態ではない状態であるにもかかわらず、放射線発生装置57の放射線源52から放射線が照射されてしまう虞れがある。
【0220】
そして、このような状態で放射線が照射されると、FPDカセッテ1Fで被写体を適切に撮影することができず、結局、撮影をやり直さなければならなくなり、結局、被写体である患者の被曝線量が増大してしまう等の種々の悪影響が生じる。
【0221】
そこで、同期方式の場合も同様であるが、FPDカセッテ1Fが撮影可能な状態にない場合には、撮影者が放射線発生装置57の曝射スイッチ56を操作できないように構成すれば、上記のような問題が発生することを防止することができる。そして、例えば、放射線発生装置57の曝射スイッチ56に、曝射スイッチ56が操作されることを防止するための誤曝射防止手段を設けることが望ましい。
【0222】
誤曝射防止手段としては、例えば図19(A)、(B)に示すように、曝射スイッチ56に取り付けられたカバー装置70を用いることができる。
【0223】
そして、放射線画像撮影がCRカセッテ1Cを用いて行われる場合には、撮影者が放射線源52から任意のタイミングで放射線を照射させてよいため、誤曝射防止手段であるカバー装置70は、通常の状態では、常時開状態とされるように構成される。
【0224】
また、後述するように、撮影がFPDカセッテ1Fを用いて行われるFPD方式で行われ、FPD用コンソール58Fで制御されて行われる場合には、カバー装置70の開閉が行われる。そのため、カバー装置70の開閉は、FPD用コンソール58Fによって制御されるように構成されている。
【0225】
カバー装置70は、例えば曝射スイッチ56の上方に配置され、開放させることでカバー装置70を開状態とし、また、閉鎖させることでカバー装置70を閉状態とする蓋部71と、閉鎖された状態の蓋部71を下側から支持する支持板72とを備えて構成されている。
【0226】
支持板72は、ホルダHに収納された状態の曝射スイッチ56の両側側方に1枚ずつ平行に立設された計2枚の板状部材で構成されており、支持板72の上部の一端側に設けられた蝶番構造73を介して蓋部71が支持板72に対して揺動可能に取り付けられている。
【0227】
なお、このように、上記の構成例では、放射線技師等の撮影者が2枚の支持板72の間からホルダHに収納された曝射スイッチ56を視認することは可能であるが、例えば2枚の支持板72の間に手を入れて曝射スイッチ56をホルダHから取り出そうとしても、閉鎖された蓋部71に邪魔されて、曝射スイッチ56をホルダHから取り出すことができないようになっている。
【0228】
逆の言い方をすれば、曝射スイッチ56の上端と閉鎖された状態の蓋部71との位置関係が、上記のように、撮影者が2枚の支持板72の間に手を入れて曝射スイッチ56をホルダHから取り出そうとしても、閉鎖された蓋部71に邪魔されて曝射スイッチ56をホルダHから取り出すことができないような位置に、閉鎖された蓋部71が配置されるように調整される。
【0229】
なお、蓋部71が開状態(図19(A)中の一点鎖線参照)とされれば、曝射スイッチ56をホルダHから取り出すことができる。また、カバー装置70の支持板72を、上記の2枚だけ設ける代わりに、3枚設けて曝射スイッチ56を3方向から包囲するように構成したり、4枚設けて曝射スイッチ56の四方を包囲するように構成することも可能であり、適宜に構成される。
【0230】
また、曝射スイッチ56が、ホルダHを回動したり水平移動したりして操作するように構成されている場合には、カバー装置70の支持板72を、上記の2枚だけ設けると、蓋部71が閉鎖されている状態でも、撮影者が支持板72の間に手を入れてホルダHを回動したり水平移動したりして曝射スイッチ56を操作することができてしまうため、支持板72を3枚或いは4枚設けて、曝射スイッチ56を3方向から或いは四方を包囲するように構成して、蓋部71が閉鎖された状態では曝射スイッチ56を操作することができないように構成することが必要となる。
【0231】
一方、支持板72の当該一端側の外側には、モータ74が取り付けられており、モータ74の回転軸75が、上記の蝶番構造73の下側で2枚の支持板72を略垂直にそれぞれ貫通するように配置されている。また、このモータ74は、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブルCでFPD用コンソール58Fに電気的に接続されており、FPD用コンソール58Fからモータ74に対して電力(例えば5[V]或いは24[V])が供給され、或いは電力の供給が停止されるようになっている。
【0232】
また、モータ74の回転軸75の、2枚の支持板72の内側の所定の位置には、ギア76が固定されており、また、蓋部71の蝶番構造73が形成された端部には、モータ74の回転軸75に設けられたギア76に対応する位置に、ギア76と噛み合うギア77が固定されている。
【0233】
そして、FPD用コンソール58Fから電力が供給されてモータ74の回転軸75が回動すると、回転軸75に固定されたギア76から蓋部71に固定されたギア77に回転駆動力が伝達され、それにより、蓋部71が蝶番構造73を中心として揺動して、蓋部71が開放されたり閉鎖させたりするようになっている。
【0234】
また、蓋部71が閉鎖された際に接触することで蓋部71が閉鎖されたことを検出するセンサ78が、支持板72の上端部分に設けられており、センサ78は、コンソール58に電気的に接続されている。そして、FPD用コンソール58Fは、蓋部71を閉鎖した際に、センサ78から送信された蓋部71が閉鎖されたことを表す信号を受信することにより、カバー装置70の蓋部71が確実に閉鎖されたことを確認するようになっている。
【0235】
なお、図19(A)では、センサ78とFPD用コンソール58Fとの電気的な接続の表示が省略されている。また、図19(A)、(B)では、2枚の支持板72のうち、一方の支持板72にのみセンサ78を設ける場合を示したが、両方の支持板72に設けるように構成することも可能である。
【0236】
また、蓋部71が開閉されたことを確認する手法としては、センサ78を設ける代わりに、或いは、それと併用して、例えば図20に示すように、例えば、発光素子79aと受光素子79bとを備える光学的検知手段79をカバー装置70の近傍に設けておき、蓋部71が開放されると、発光素子79aから発光された光が開放された蓋部71によって反射されて受光素子79bに到達することで、カバー装置70の開閉を検知するように構成することも可能である。
【0237】
さらに、図21(A)、(B)に示すように、カバー装置70の蝶番構造73の部分にタンブラーバネTを設ける等して、蓋部71が閉鎖された状態になるように付勢されているが、所定の位置以上に開放されると、逆に開放された状態になるように付勢されるように構成することも可能である。
【0238】
このように構成すれば、蓋部71が閉鎖された状態や開放された状態では、コンソール58からのモータ74に対する電力の供給を停止しても、タンブラーバネTによりそれらの状態が維持される。そのため、消費電力を低減することが可能となる。
【0239】
さらに、上記のようにカバー装置70の蓋部71を支持板72に対して蝶番構造73を介して揺動可能に取り付けるように構成する代わりに、例えば、図22に概略的に示すように、蓋部71の下面側に設けたラック71aとモータ74の回転軸75に固定されたギア(この場合はピニオンともいう。)76とを組み合わせたラックアンドピニオン構造とし、モータ74の回転により蓋部71が支持板72上を水平方向に移動するようにして、蓋部71の開閉動作を行わせるように構成することも可能である。
【0240】
前述したように、放射線画像撮影がCR方式で行われる場合には、従来通り、放射線技師等の撮影者が、放射線発生装置57の曝射スイッチ56を操作して放射線源52から任意のタイミングで放射線を照射させてよい。そのため、カバー装置70は、通常の状態では、常時開状態とされている。そして、撮影者が、少なくともCR用コンソール58Cを操作している間は、カバー装置70は常時開状態になっている。
【0241】
一方、撮影がFPDカセッテ1Fを用いて行われるFPD方式で行われる場合には、上記のように、例えば撮影に用いられるFPDカセッテ1Fの電力供給モードがスリープモードである等して、FPDカセッテ1Fが撮影可能な状態ではない状態では、放射線源52から放射線が照射されないように制御する必要が生じる。
【0242】
撮影が同期方式で行われる場合には、放射線源52から放射線を照射する際には、上記のように、放射線発生装置57からFPD用コンソール58Fに照射開始信号を送信し、FPD用コンソール58Fが、FPDカセッテ1Fが撮影可能な状態にあることを確認したうえで放射線発生装置57にインターロック解除信号を送信した後、初めて放射線源52から放射線が照射されるため、カバー装置70を常時開状態としておいてもよい。
【0243】
また、前述したように、FPD用コンソール58Fは、FPD用コンソール58Fの画面H2(図16参照)でアイコンIをフォーカスさせた時点で、当該アイコンIに対応する撮影オーダ情報で指定されたFPDカセッテ1Fの電力供給モードがスリープモードになっている場合には撮影可能モードに遷移させる。
【0244】
そのため、安全のために、FPD用コンソール58FがFPDカセッテ1Fの電力供給モードを撮影可能モードに遷移させるまで、或いはFPDカセッテ1Fの電力供給モードが撮影可能モードになっていることを確認するまでは、カバー装置70を閉状態としておき、FPDカセッテ1Fが撮影可能な状態になった時点でカバー装置70を開状態とするように構成することが可能である。
【0245】
また、撮影が非同期方式で行われる場合には、上記の処理が必須になる。すなわち、非同期方式では、FPD用コンソール58Fと放射線発生装置57との間で同期方式の場合のような照射開始信号やインターロック解除信号の送受信は行われないため、FPDカセッテ1Fが撮影可能な状態でない状態で放射線が照射される事態が生じ得るようになる。
【0246】
そのため、FPD用コンソール58Fは、撮影が非同期方式で行われる場合には、FPDカセッテ1Fの電力供給モードを撮影可能モードに遷移させるまで、或いはFPDカセッテ1Fの電力供給モードが撮影可能モードになっていることを確認するまでは、カバー装置70を閉状態としておき、FPDカセッテ1Fが撮影可能な状態になった時点で、カバー装置70を開状態とするように構成される。
【0247】
このように構成すれば、撮影に用いられるFPDカセッテ1Fが撮影可能な状態ではない状態であるにもかかわらず、放射線源52から放射線が照射されてしまうことを的確に防止することが可能となる。
【0248】
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50によれば、FPD用コンソール58Fを連携モードとするか非連携モードとするかを自由に設定することが可能となるため、施設に既設のCR用コンソール58Cでの仕様に関連して、放射線技師等の撮影者が、FPD用コンソール58Fの仕様を自由に設定することが可能となる。
【0249】
そのため、施設や撮影室Ra内にCR用コンソール58CとFPD用コンソール58Fが混在する状況においても、放射線発生装置57に対する撮影条件の設定を自動的に行うか(すなわち連携モードで行うか)マニュアルで行うか(すなわち非連携モードで行うか)を、撮影者自身の好みにあわせて、或いは施設の決まりに従って、自由にかつ的確に設定することが可能となり、放射線画像撮影システム50が撮影者にとって非常に使い勝手がよいものとなる。
【0250】
また、上記のように、カバー装置70等の誤曝射防止手段を放射線発生装置57の曝射スイッチ56に設ければ、FPDカセッテ1Fが撮影可能な状態にない状態で放射線が照射されることを防止することが可能となる。そのため、撮影可能な状態になったFPDカセッテ1Fに放射線を再度照射する必要がなくなり、被写体である患者の被曝線量が増大してしまうことを的確に防止することが可能となる等のメリットがある。
【0251】
なお、上記の実施形態では、FPD用コンソール58Fで、連携モードと非連携モードの設定を行う場合について説明した。しかし、連携モードと非連携モードの設定を、例えば放射線発生装置57(図1参照)で行うように構成することも可能である。
【0252】
この場合、例えば放射線発生装置57に図示しないトグルスイッチ等の入力手段を設けておき、放射線技師等の撮影者が、例えば撮影室Raで撮影を開始する前に、放射線発生装置57の入力手段を操作して、連携モードと非連携モードのいずれかのモードを設定する。また、モードを切り替える場合には、放射線発生装置57の入力手段を操作してモードを切り替える。
【0253】
そして、この場合、放射線発生装置57は、少なくとも連携モードが設定された場合には、FPD用コンソール58Fに対して連携モードが設定された旨を通知する。そして、FPD用コンソール58Fは、放射線発生装置57から連携モードが設定された旨の通知を受けた場合には、前述したように、アイコンI(図16参照)をフォーカスさせて選択した撮影オーダ情報に含まれる撮影条件を放射線発生装置57に送信する。
【0254】
そして、前述したように、放射線発生装置57は、送信されてきた撮影条件に基づいて放射線源52に管電圧や管電流を供給する等して放射線源52から照射する放射線の照射線量を設定する等の操作を行うように構成される。そして、このように構成しても、本実施形態と全く同様の有益な効果を得ることが可能となる。
【0255】
また、その他、本発明が上記の実施形態や変形例に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0256】
1C CRカセッテ
1F FPDカセッテ
7 放射線検出素子
50 放射線画像撮影システム
51 ブッキー装置
52 放射線源
56 曝射スイッチ
57 放射線発生装置
57a 設定手段
58C CR用コンソール
58F FPD用コンソール
70 カバー装置(誤曝射防止手段)
D 画像データ
p 放射線画像
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備え、放射線の照射により前記各放射線検出素子内で発生した電荷を画像データとして読み出すFPDカセッテと、
輝尽性蛍光体プレートを内蔵し、放射された放射線のエネルギを前記輝尽性蛍光体プレートに蓄積させるCRカセッテと、
撮影条件を設定可能な設定手段と、前記撮影条件に基づく照射線量で前記FPDカセッテまたは前記CRカセッテに放射線を照射する放射線源と、前記放射線源に放射線の照射開始を指示する曝射スイッチとを備える放射線発生装置と、
前記FPDカセッテから読み出された画像データに基づいて放射線画像を生成するFPD用コンソールと、
前記CRカセッテから読み出された画像データに基づいて放射線画像を生成するCR用コンソールと、
を備え、
少なくとも前記FPD用コンソールは、
選択された撮影オーダ情報に含まれる撮影条件に基づいて前記放射線発生装置に前記撮影条件を自動設定する連携モードと、
前記FPD用コンソールでは前記放射線発生装置に対して前記撮影条件を設定せず、前記設定手段を介して前記放射線発生装置に前記撮影条件が設定されることを許容する非連携モードと、
を設定可能とされており、
前記連携モードが設定されると、前記FPD用コンソールは、選択された前記撮影オーダ情報に含まれる前記撮影条件を前記放射線発生装置に送信し、前記放射線発生装置は、送信されてきた前記撮影条件に基づいて少なくとも前記放射線源から照射する放射線の前記照射線量を設定することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項2】
前記FPD用コンソールは、前記連携モードが設定された場合、前記曝射スイッチが操作された前記放射線発生装置から照射開始信号が送信されてくると、前記FPDカセッテに対して撮影可能な状態であるか否かを問い合わせ、当該FPDカセッテから放射線の照射を許容する信号が送信されてくると、前記放射線発生装置に対してインターロック解除信号を送信し、
前記放射線発生装置は、前記連携モードが設定された場合には、前記FPD用コンソールから前記インターロック解除信号が送信されてきた時点で初めて前記放射線源から放射線を照射させることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項3】
前記放射線発生装置は、少なくとも前記FPD用コンソールで前記連携モードが設定された場合には、前記放射線源から放射線を照射するごとに撮影実施結果を前記FPD用コンソールに送信し、
前記FPD用コンソールは、生成した前記放射線画像とともに、前記放射線発生装置から送信されてきた前記撮影実施結果を、対応する前記撮影オーダ情報に対応付けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記FPDカセッテは、前記FPD用コンソールを介して前記放射線発生装置と同期をとりながら撮影を行う同期方式と、前記放射線発生装置と同期をとらずに自ら放射線が照射されたことを検出して撮影を行う非同期方式とのいずれの方式でも撮影を行うことができるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記FPDカセッテは、ブッキー装置に装填されて撮影に用いられる場合には前記同期方式で撮影を行い、前記ブッキー装置に装填されずに単独の状態で撮影に用いられる場合には前記非同期方式で撮影を行うことを特徴とする請求項4に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項6】
前記放射線発生装置の前記曝射スイッチには、少なくとも放射線画像撮影が前記FPDカセッテを用いて前記非同期方式で行われる場合に、前記FPDカセッテが撮影可能な状態でない場合に前記曝射スイッチが操作されることを防止するための誤曝射防止手段が設けられていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項7】
前記誤曝射防止手段は、前記曝射スイッチに取り付けられたカバー装置であり、
前記カバー装置は、開状態では前記曝射スイッチに対する操作を許容し、閉状態では前記曝射スイッチに対する操作を行えないようにするように構成されており、
前記FPD用コンソールは、少なくとも放射線画像撮影が前記FPDカセッテを用いて前記非同期方式で行われる場合には、前記FPDカセッテが撮影可能な状態になった場合に前記カバー装置を開状態とするように制御することを特徴とする請求項6に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項8】
前記誤曝射防止手段である前記カバー装置は、放射線画像撮影が前記CRカセッテを用いて行われる場合には常時開状態とされることを特徴とする請求項7に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項9】
前記連携モードと前記非連携モードの設定を、前記FPD用コンソールで行う代わりに、前記放射線発生装置上で行い、
前記放射線発生装置は、少なくとも前記連携モードが設定された場合には、前記FPD用コンソールに対して前記連携モードが設定された旨を通知し、
前記FPD用コンソールは、前記放射線発生装置から前記連携モードが設定された旨の通知を受けると、選択された前記撮影オーダ情報に含まれる前記撮影条件を前記放射線発生装置に送信し、前記放射線発生装置は、送信されてきた前記撮影条件に基づいて少なくとも前記放射線源から照射する放射線の前記照射線量を設定することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項1】
二次元状に配列された複数の放射線検出素子を備え、放射線の照射により前記各放射線検出素子内で発生した電荷を画像データとして読み出すFPDカセッテと、
輝尽性蛍光体プレートを内蔵し、放射された放射線のエネルギを前記輝尽性蛍光体プレートに蓄積させるCRカセッテと、
撮影条件を設定可能な設定手段と、前記撮影条件に基づく照射線量で前記FPDカセッテまたは前記CRカセッテに放射線を照射する放射線源と、前記放射線源に放射線の照射開始を指示する曝射スイッチとを備える放射線発生装置と、
前記FPDカセッテから読み出された画像データに基づいて放射線画像を生成するFPD用コンソールと、
前記CRカセッテから読み出された画像データに基づいて放射線画像を生成するCR用コンソールと、
を備え、
少なくとも前記FPD用コンソールは、
選択された撮影オーダ情報に含まれる撮影条件に基づいて前記放射線発生装置に前記撮影条件を自動設定する連携モードと、
前記FPD用コンソールでは前記放射線発生装置に対して前記撮影条件を設定せず、前記設定手段を介して前記放射線発生装置に前記撮影条件が設定されることを許容する非連携モードと、
を設定可能とされており、
前記連携モードが設定されると、前記FPD用コンソールは、選択された前記撮影オーダ情報に含まれる前記撮影条件を前記放射線発生装置に送信し、前記放射線発生装置は、送信されてきた前記撮影条件に基づいて少なくとも前記放射線源から照射する放射線の前記照射線量を設定することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項2】
前記FPD用コンソールは、前記連携モードが設定された場合、前記曝射スイッチが操作された前記放射線発生装置から照射開始信号が送信されてくると、前記FPDカセッテに対して撮影可能な状態であるか否かを問い合わせ、当該FPDカセッテから放射線の照射を許容する信号が送信されてくると、前記放射線発生装置に対してインターロック解除信号を送信し、
前記放射線発生装置は、前記連携モードが設定された場合には、前記FPD用コンソールから前記インターロック解除信号が送信されてきた時点で初めて前記放射線源から放射線を照射させることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項3】
前記放射線発生装置は、少なくとも前記FPD用コンソールで前記連携モードが設定された場合には、前記放射線源から放射線を照射するごとに撮影実施結果を前記FPD用コンソールに送信し、
前記FPD用コンソールは、生成した前記放射線画像とともに、前記放射線発生装置から送信されてきた前記撮影実施結果を、対応する前記撮影オーダ情報に対応付けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記FPDカセッテは、前記FPD用コンソールを介して前記放射線発生装置と同期をとりながら撮影を行う同期方式と、前記放射線発生装置と同期をとらずに自ら放射線が照射されたことを検出して撮影を行う非同期方式とのいずれの方式でも撮影を行うことができるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記FPDカセッテは、ブッキー装置に装填されて撮影に用いられる場合には前記同期方式で撮影を行い、前記ブッキー装置に装填されずに単独の状態で撮影に用いられる場合には前記非同期方式で撮影を行うことを特徴とする請求項4に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項6】
前記放射線発生装置の前記曝射スイッチには、少なくとも放射線画像撮影が前記FPDカセッテを用いて前記非同期方式で行われる場合に、前記FPDカセッテが撮影可能な状態でない場合に前記曝射スイッチが操作されることを防止するための誤曝射防止手段が設けられていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項7】
前記誤曝射防止手段は、前記曝射スイッチに取り付けられたカバー装置であり、
前記カバー装置は、開状態では前記曝射スイッチに対する操作を許容し、閉状態では前記曝射スイッチに対する操作を行えないようにするように構成されており、
前記FPD用コンソールは、少なくとも放射線画像撮影が前記FPDカセッテを用いて前記非同期方式で行われる場合には、前記FPDカセッテが撮影可能な状態になった場合に前記カバー装置を開状態とするように制御することを特徴とする請求項6に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項8】
前記誤曝射防止手段である前記カバー装置は、放射線画像撮影が前記CRカセッテを用いて行われる場合には常時開状態とされることを特徴とする請求項7に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項9】
前記連携モードと前記非連携モードの設定を、前記FPD用コンソールで行う代わりに、前記放射線発生装置上で行い、
前記放射線発生装置は、少なくとも前記連携モードが設定された場合には、前記FPD用コンソールに対して前記連携モードが設定された旨を通知し、
前記FPD用コンソールは、前記放射線発生装置から前記連携モードが設定された旨の通知を受けると、選択された前記撮影オーダ情報に含まれる前記撮影条件を前記放射線発生装置に送信し、前記放射線発生装置は、送信されてきた前記撮影条件に基づいて少なくとも前記放射線源から照射する放射線の前記照射線量を設定することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−125309(P2012−125309A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277603(P2010−277603)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】
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