説明

放射線画像撮影システム

【課題】動きの滑らかな透視画像を撮影できる放射線画像撮影システムを提供する。
【解決手段】透視撮影のフレームレートに応じた各フレーム画像を撮影するための各フレーム期間に対する放射線の照射期間の割合を12.5%〜80%の範囲内として放射線照射装置34から電子カセッテ32に対して放射線をパルス照射させつつ当該パルス照射に同期させて電子カセッテ32で放射線画像の撮影を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影システムに係り、特に、放射線画像の撮影を連続的に行う透視撮影が可能とされた放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス基板上に放射線感応層を配置し、放射線を直接デジタルデータに変換できるFPD(Flat Panel Detector)等の放射線検出器が実用化され、この放射線検出器を用いて照射された放射線により表わされる放射線画像を撮影する可搬型放射線画像撮影装置(以下、「電子カセッテ」ともいう。)が実用化されている。この放射線検出器を用いた放射線画像撮影装置は、従来のX線フィルムやイメージングプレートを用いた放射線画像撮影装置に比べて、即時に画像を確認でき、連続的に放射線画像の撮影を行う透視撮影(動画撮影)も行うことができるといったメリットがある。なお、放射線検出器には、放射線を変換する方式として、放射線をシンチレータで光に変換した後にフォトダイオード等の半導体層で電荷に変換する間接変換方式や、放射線をアモルファスセレン等の半導体層で電荷に変換する直接変換方式等があり、各方式でも半導体層に使用可能な材料が種々存在する。
【0003】
ところで、透視撮影の撮影方法には、放射線源から放射線を連続的に照射(連続照射)させつつ所定のフレームレートで撮影する方法と、フレームレートに同期させて放射線をパルス状に照射(パルス照射)させつつ放射線の照射に同期して撮影する方法がある。パルス照射は、撮影に必要な期間だけ放射線を照射でき、連続照射に比べて患者の被曝量を抑制できるため、単位時間当たりの照射量を上げられる利点がある。しかし、パルス照射は、放射線源から放射線の照射タイミングと放射線検出器での撮影タイミングの同期をとる必要がある。
【0004】
特許文献1には、フレームレートを必要に応じて低下させて被写体の被爆線量を少なくした場合であっても、放射線画像のS/Nの悪化を防止すると共に、ダイナミックレンジが狭まることを回避する技術として、1フレームのフレーム時間に基づいて、放射線画像を得る際に行われる電荷の蓄積に係る第1の蓄積時間を計算し、第1の蓄積時間が基準となる基準時間よりも大きい場合、1フレームのフレーム時間内に電荷のダミーの蓄積時間を設定して、第1の蓄積時間を当該第1の蓄積時間よりも小さい第2の蓄積時間に変更する。そして、第2の蓄積時間に基づいて、放射線画像の撮影処理を行う技術が記載されている。
【0005】
特許文献2には、X線管から所定の管電圧、管電流による所定パルス間隔のパルスX線の発生させてフィルムにより被検体の載断面の断層写真を撮影する場合において、フィルムに被検体を透過して入射する入射X線量を検出する入射X線量検出手段を設け、断層撮影中、入射X線量検出手段により検出されるフィルムへの入射X線量を積算し、1パルスごとに積算した積算値がフィルムに入射されるべき入射X線量のしきい値を越えたとき、X線の曝射を遮断させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−17476号公報
【特許文献2】特開平6−304162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、パルス照射は、照射期間が短いので、各画像が動きの止まったコマ送り画像になりかねない。特に、フレームレートが低い場合、撮影間隔が大きく、目の残像も消えてしまうので、そのような傾向になってしまう。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、動きの滑らかな透視画像を撮影できる放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の放射線画像撮影システムは、放射線画像の撮影を連続的に行う透視撮影が可能とされた放射線画像撮影装置と、透視撮影の際に前記放射線画像撮影装置に対して放射線をパルス状に照射する放射線照射装置と、透視撮影のフレームレートに応じた各フレーム画像を撮影するための各フレーム期間に対する放射線の照射期間の割合を12.5%〜80%の範囲内として前記放射線照射装置から前記放射線画像撮影装置に対して放射線をパルス照射させつつ当該パルス照射に同期させて前記放射線画像撮影装置で放射線画像の撮影が行われるように制御する制御手段と、を備えている。
【0010】
請求項1に記載の放射線画像撮影システムによれば、放射線画像撮影装置により、放射線画像の撮影を連続的に行う透視撮影が可能とされており、透視撮影の際に放射線照射装置から放射線画像撮影装置に対して放射線がパルス状に照射される。
【0011】
そして、本発明では、制御手段により、透視撮影のフレームレートに応じた各フレーム画像を撮影するための各フレーム期間に対する放射線の照射期間の割合を12.5%〜80%の範囲内として放射線照射装置から放射線画像撮影装置に対して放射線をパルス照射させつつ当該パルス照射に同期させて放射線画像撮影装置で放射線画像の撮影が行われるように制御が行われる。
【0012】
このように、請求項1に記載の放射線画像撮影システムによれば、透視撮影のフレームレートに応じた各フレーム画像を撮影するための各フレーム期間に対する放射線の照射期間の割合を12.5%〜80%の範囲内として放射線照射装置から放射線画像撮影装置に対して放射線をパルス照射させつつ当該パルス照射に同期させて放射線画像撮影装置で放射線画像の撮影を行うことにより、動きの滑らかな透視画像を撮影できる。
【0013】
なお、本発明は、請求項2に記載の発明のように、前記制御手段が、各フレーム期間に対する放射線の照射期間の割合を33%〜80%の範囲内として放射線をパルス照射させるように制御してもよい。
【0014】
また、本発明は、請求項3に記載の発明のように、前記制御手段が、各フレーム期間での放射線の照射期間を延ばして各フレーム期間に対する放射線の照射期間の割合が前記範囲内となるように制御してもよい。
【0015】
また、本発明は、請求項4に記載の発明のように、前記制御手段が、透視撮影のフレームレートが第1フレームレート閾値以下の場合、各フレーム期間に対する照射期間の割合を12.5%〜80%の範囲内として放射線をパルス照射させ、透視撮影のフレームレートが当該第1フレームレート閾値よりも低い第2フレームレート閾値以下の場合、各フレーム期間に対する照射期間の割合を33%〜80%の範囲内として放射線をパルス照射させる制御を行ってもよい。
【0016】
また、請求項4記載の発明は、請求項5に記載の発明のように、前記第1フレームレート閾値を、15fps以上かつ60fps以下とし、前記第2フレームレート閾値を、5fps以上かつ前記第1フレームレート閾値未満とすることが好ましい。
【0017】
また、本発明は、請求項6に記載の発明のように、撮影部位の動きを検出する動き検出手段をさらに備え、前記制御手段が、前記動き検出手段により検出される動き量が所定の閾値以上である場合、各フレーム期間に対する放射線の照射期間の割合が前記範囲内となるように制御してもよい。
【0018】
また、本発明は、請求項7に記載の発明のように、前記制御手段が、撮影部位が動きの速い所定部位である場合、各フレーム期間に対する放射線の照射期間の割合が前記範囲内となるように制御してもよい。
【0019】
また、本発明は、請求項8に記載の発明のように、前記放射線画像撮影装置が、透視撮影中に静止画撮影が可能とされ、前記制御手段が、透視撮影中に静止画撮影が行われた場合、静止画撮影後の透視撮影での各フレーム期間に対する放射線の照射期間の割合が前記範囲内となるように制御してもよい。
【0020】
また、本発明は、請求項9に記載の発明のように、前記放射線画像撮影装置が、放射線の照射を検出する照射検出手段を有し、前記照射検出手段により放射線の照射を検出した際に、暗電流により蓄積された電荷を除去するリセット動作を行った後に放射線画像の撮影を行うものとしてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、動きの滑らかな透視画像を撮影できる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施の形態に係る放射線情報システムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの放射線撮影室における各装置の配置状態の一例および放射線発生装置の構成を示す斜視図である。
【図3】第1の実施の形態に係る電子カセッテの内部構成を示す透過斜視図である。
【図4】第1の実施の形態に係る撮影システムの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図5】第1の実施の形態に係る放射線検出器の1画素部分に注目した等価回路図である。
【図6】第1の実施の形態に係る連続照射とパルス照射での放射線の照射期間、単位時間当たりの放射線の照射量、画像読出タイミングを示すタイムチャートである。
【図7】第1の実施の形態に係る照射期間決定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】第1の実施の形態に係る透視撮影の撮影動作の流れを示すタイムチャートである。
【図9】(A)は従来の透視撮影の放射線の照射期間と撮影部位が移動する際に移動量との関係の一例を示すグラフであり、(B)は第1の実施の形態に係る透視撮影の放射線の照射期間と撮影部位が移動する際に移動量との関係の一例を示すグラフである。
【図10】第1の実施の形態に係る透視撮影の放射線の照射期間と撮影部位が移動する際に移動量との関係の一例を示すグラフである。
【図11】第2の実施の形態に係る照射期間決定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】第3の実施の形態に係る照射期間変更制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】第3の実施の形態に係る撮影部位の動き量と照射期間の変化の一例を示すグラフである。
【図14】(A)は温度と暗電流量との関係を示すグラフであり、(B)は蓄積時間と暗電流量との関係を示すグラフである。
【図15】第4の実施の形態に係る照射期間変更制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】第4の実施の形態に係る撮影動作の流れを示すタイムチャートである。
【図17】第5の実施の形態に係る放射線検出器の構成を示す平面図である。
【図18】第5の実施の形態に係る電子カセッテの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図19】第5の実施の形態に係る撮影制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図20】(A)は従来の透視撮影1フレームあたりの放射線検知、リセット、電荷蓄積期間の一例を示すグラフであり、(B)は第5の実施の形態に係る透視撮影1フレームあたりの放射線検知、リセット、電荷蓄積期間の一例を示すグラフである。
【図21】他の形態に係る放射線検出器の構成の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明を、病院における放射線科部門で取り扱われる情報を統括的に管理するシステムである放射線情報システムに適用した場合の形態例について説明する。
【0024】
まず、図1を参照して、本実施の形態に係る放射線情報システム(以下、「RIS(Radiology Information System)」と称する。)10の構成について説明する。
【0025】
RIS10は、放射線科部門内における、診療予約、診断記録等の情報管理を行うためのシステムであり、病院情報システム(以下、「HIS(Hospital Information System)」と称する。)の一部を構成する。
【0026】
RIS10は、複数台の撮影依頼端末装置(以下、「端末装置」と称する。)12、RISサーバ14、および病院内の放射線撮影室(あるいは手術室)の個々に設置された放射線画像撮影システム(以下、「撮影システム」と称する。)18を有しており、これらが有線や無線のLAN(Local Area Network)等から成る病院内ネットワーク16に各々接続されて構成されている。なお、RIS10は、同じ病院内に設けられたHISの一部を構成しており、病院内ネットワーク16には、HIS全体を管理するHISサーバ(図示省略。)も接続されている。
【0027】
端末装置12は、医師や放射線技師が、診断情報や施設予約の入力、閲覧等を行うためのものであり、放射線画像の撮影依頼や撮影予約もこの端末装置12を介して行われる。各端末装置12は、表示装置を有するパーソナル・コンピュータを含んで構成され、RISサーバ14と病院内ネットワーク16を介して相互通信が可能とされている。
【0028】
一方、RISサーバ14は、各端末装置12からの撮影依頼を受け付け、撮影システム18における放射線画像の撮影スケジュールを管理するものであり、データベース14Aを含んで構成されている。
【0029】
データベース14Aは、患者の属性情報(氏名、性別、生年月日、年齢、血液型、体重、患者ID(Identification)等)、病歴、受診歴、過去に撮影した放射線画像等の患者に関する情報を含んで構成されている。
【0030】
撮影システム18は、RISサーバ14からの指示に応じて医師や放射線技師の操作により放射線画像の撮影を行う。撮影システム18は、放射線源130(図2も参照。)から曝射条件に従った線量とされた放射線X(図3も参照。)を被検者に照射する放射線発生装置34と、患者の撮影部位を透過した放射線Xを吸収して電荷を発生し、発生した電荷量に基づいて放射線画像を示す画像情報を生成する放射線検出器60(図3も参照。)を内蔵する電子カセッテ32と、電子カセッテ32に内蔵されているバッテリを充電するクレードル40と、電子カセッテ32,放射線発生装置34,およびクレードル40を制御するコンソール42と、を備えている。
【0031】
図2には、本実施の形態に係る撮影システム18の放射線撮影室44における各装置の配置状態の一例および放射線発生装置34の構成が示されている。本実施の形態に係る撮影システム18では、放射線発生装置34とコンソール42とをそれぞれケーブルで接続して有線通信によって各種情報の送受信を行うが、図2では、放射線発生装置34とコンソール42を接続するケーブルを省略している。また、電子カセッテ32とコンソール42との間は、無線通信又は有線通信によって各種情報の送受信を行う。
【0032】
本実施の形態に係る放射線発生装置34は、Cアーム140を備えており、Cアーム140の一端には放射線Xを射出する放射線源130が設けられる一方、他端には電子カセッテ32が着脱可能とされた着脱機構142が設けられている。なお、同図では、電子カセッテ32が着脱機構142から取り外されており、放射線撮影室44の略中央部に設けられたベッド46と当該ベッド46に仰臥している被検者(患者)48との間に設けられた状態が示されている。
【0033】
放射線源130は、支持軸136および一対の支持板138を介してCアーム140の一端に設けられており、支持軸136を回転中心として同図A方向およびB方向に回転可能とされると共に、支持板138と共にCアーム140の円弧の接線を軸として同図C方向およびD方向に回転可能とされている。
【0034】
Cアーム140の円筒面の外周に当接する位置には、Cアーム140を同図時計回り方向および反時計回り方向に回転可能に保持するCアーム保持部144が設けられる一方、Cアーム保持部144はCアーム保持部146を介して支柱148に上下移動自在に保持されている。また、Cアーム保持部144は、Cアーム保持部146に対して水平軸まわりに回転可能に支持されている。
【0035】
一方、放射線発生装置34は、後述する通信I/F部132、線源制御部134等を内蔵した本体部150を備えており、支柱148は、下端が本体部150の筐体の下端部近傍から側方に突設された支柱支持部152に取り付けられている。
【0036】
また、本体部150の底部には車輪154が設けられており、放射線発生装置34は病院内を移動することができる。
【0037】
一方、本実施の形態に係る放射線撮影室44には、その壁面付近にクレードル40およびコンソール42が設置されている。
【0038】
クレードル40は、電子カセッテ32を収納可能な収容部40Aが形成されている。
【0039】
電子カセッテ32は、待機時、クレードル40の収容部40Aに収納され、内蔵されるバッテリに充電が行われ、放射線画像の撮影時、クレードル40から取り出され、被検者48の撮影部位に対応する位置(同図に示される位置)に配置されるか、または放射線発生装置34のCアーム140における着脱機構142に取り付けられて用いられる。
【0040】
なお、電子カセッテ32は、放射線撮影室や手術室のみで使用されるものではなく、その可搬性から、例えば、検診や病院内での回診等にも使用することができる。
【0041】
図3には、本実施の形態に係る電子カセッテ32の内部構成が示されている。
【0042】
同図に示すように、電子カセッテ32は、放射線Xを透過させる材料からなる筐体54を備えており、防水性、密閉性を有する構造とされている。電子カセッテ32は、手術室等で使用されるとき、血液やその他の雑菌が付着するおそれがある。そこで、電子カセッテ32を防水性、密閉性を有する構造として、必要に応じて殺菌洗浄することにより、1つの電子カセッテ32を繰り返し続けて使用することができる。
【0043】
筐体54の内部には、放射線Xが照射される筐体54の照射面56側から、患者による放射線Xの散乱線を除去するグリッド58、患者を透過した放射線Xを検出する放射線検出器60、および放射線Xのバック散乱線を吸収する鉛板62が順に配設されている。なお、筐体54の照射面56をグリッド58として構成してもよい。この筐体54の側面にはケーブル43を接続するための接続端子32Aが設けられている。
【0044】
また、筐体54の内部の一端側には、マイクロコンピュータを含む電子回路及び充電可能な二次電池を収容するケース31が配置されている。放射線検出器60及び電子回路は、ケース31に配置された二次電池から供給される電力によって作動する。ケース31内部に収容された各種回路が放射線Xの照射に伴って損傷することを回避するため、ケース31の照射面56側には鉛板等を配設しておくことが望ましい。なお、本実施の形態に係る電子カセッテ32は、照射面56の形状が長方形とされた直方体とされており、その長手方向一端部にケース31が配置されている。
【0045】
次に、図4を参照して、本実施の形態に係る撮影システム18の電気系の要部構成について説明する。
【0046】
放射線発生装置34には、コンソール42と通信を行うための接続端子34Aが設けられている。コンソール42には、放射線発生装置34と通信を行うための接続端子42A、電子カセッテ32と通信を行うための接続端子42Bが設けられている。放射線発生装置34の接続端子34Aとコンソール42の接続端子42Aはケーブル35によって接続されている。
【0047】
電子カセッテ32は、有線通信を行う場合、接続端子32Aにケーブル43が接続され、当該ケーブル43を介してコンソール42に接続される。
【0048】
電子カセッテ32に内蔵された放射線検出器60は、TFTアクティブマトリクス基板66上に、放射線Xを吸収し、電荷に変換する光電変換層が積層されて構成されている。光電変換層は例えばセレンを主成分(例えば含有率50%以上)とする非晶質のa−Se(アモルファスセレン)からなり、放射線Xが照射されると、照射された放射線量に応じた電荷量の電荷(電子−正孔の対)を内部で発生することで、照射された放射線Xを電荷へ変換する。なお、放射線検出器60は、アモルファスセレンのような放射線Xを直接的に電荷に変換する放射線-電荷変換材料の代わりに、蛍光体材料と光電変換素子(フォトダイオード)を用いて間接的に電荷に変換してもよい。蛍光体材料としては、ガドリニウム硫酸化物(GdS:Tb)やヨウ化セシウム(CsI:Tl)がよく知られている。この場合、蛍光体材料によって放射線X−光変換を行い、光電変換素子のフォトダイオードによって光−電荷変換を行う。
【0049】
また、TFTアクティブマトリクス基板66上には、光電変換層で発生された電荷を蓄積する蓄積容量68と、蓄積容量68に蓄積された電荷を読み出すためのTFT70を備えた画素部74(図4では個々の画素部74に対応する光電変換層をセンサ部72として模式的に示している。)がマトリクス状に多数個配置されており、電子カセッテ32への放射線Xの照射に伴って光電変換層で発生された電荷は、個々の画素部74の蓄積容量68に蓄積される。これにより、電子カセッテ32に照射された放射線Xに担持されていた画像情報は電荷情報へ変換されて放射線検出器60に保持される。
【0050】
また、TFTアクティブマトリクス基板66には、一定方向(行方向)に延設され、個々の画素部74のTFT70をオン・オフさせるための複数本のゲート配線76と、ゲート配線76と直交する方向(列方向)に延設され、オンされたTFT70を介して蓄積容量68から蓄積電荷を読み出すための複数本のデータ配線78が設けられている。個々のゲート配線76はゲート線ドライバ80に接続されており、個々のデータ配線78は信号処理部82に接続されている。個々の画素部74の蓄積容量68に電荷が蓄積されると、個々の画素部74のTFT70は、ゲート線ドライバ80からゲート配線76を介して供給される信号により行単位で順にオンされる。TFT70がオンされた画素部74の蓄積容量68に蓄積されている電荷は、アナログの電気信号としてデータ配線78を伝送されて信号処理部82に入力される。従って、個々の画素部74の蓄積容量68に蓄積されている電荷は行単位で順に読み出される。
【0051】
図5には、本実施の形態に係る放射線検出器60の1画素部分に注目した等価回路図が示されている。
【0052】
同図に示すように、TFT70のソースは、データ配線78に接続されており、このデータ配線78は、信号処理部82に接続されている。また、TFT70のドレインは蓄積容量68及びセンサ部72に接続され、TFT70のゲートはゲート配線76に接続されている。
【0053】
信号処理部82は、個々のデータ配線78毎にチャージアンプ回路84とサンプルホールド回路85を備えている。個々のデータ配線78を伝送された電荷信号はチャージアンプ回路84で電荷信号をアナログ信号に変換され、サンプルホールド回路85に保持される。
【0054】
チャージアンプ回路84はオペアンプ84Aとコンデンサ84Bを含んで構成され、電荷信号をアナログ電圧に変換する。また、チャージアンプ回路84にはコンデンサ84Bの両電極をショートさせ、コンデンサ84Bに蓄積された電荷を放電させるリセット回路としてスイッチ84Cが設けられている。オペアンプ84Aは、後述するカセッテ制御部92からの制御によりゲイン量を調整可能とされている。
【0055】
サンプルホールド回路85はバッファアンプ85Aとコンデンサ85Bを含んで構成され、スイッチ85Cがショートしてチャージアンプ回路84と接続されている状態でコンデンサ85Bを用いて電圧信号をサンプリングし、スイッチ85Cをオープンにするとオープンにした時点のコンデンサ85Bの電圧信号がホールドされる。またコンデンサ85Bにホールドされた電圧信号は電荷を放電させるリセット回路として設けられたスイッチ85Dをショートすることによりリセットすることができる。
【0056】
サンプルホールド回路85の出力側にはマルチプレクサ86、A/D変換器88が順に接続されており、個々のサンプルホールド回路に保持された電荷信号はアナログ電圧に変換されてマルチプレクサ86に順に(シリアルに)入力され、A/D変換器88によってデジタルの画像情報へ変換される。
【0057】
信号処理部82には画像メモリ90が接続されており(図4参照。)、信号処理部82のA/D変換器88から出力された画像データは画像メモリ90に順に記憶される。画像メモリ90は複数フレーム分の画像データを記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、撮影によって得られた画像データが画像メモリ90に順次記憶される。
【0058】
画像メモリ90は電子カセッテ32全体の動作を制御するカセッテ制御部92と接続されている。カセッテ制御部92はマイクロコンピュータによって構成されており、CPU(中央処理装置)92A、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含むメモリ92B、HDD(ハードディスク・ドライブ)やフラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部92Cを備えている。
【0059】
このカセッテ制御部92には無線通信部94及び有線通信部95が接続されている。無線通信部94は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a/b/g/n等に代表される無線LAN(Local Area Network)規格に対応しており、無線通信による外部機器との間で各種情報の伝送を制御する。有線通信部95は、接続端子32Aに接続され、接続端子32A及びケーブル43を介してコンソール42との間で各種情報の伝送を制御する。カセッテ制御部92は、無線通信部94又は有線通信部95を介してコンソール42と無線通信が可能とされており、コンソール42との間で各種情報の送受信を行う。カセッテ制御部92は、コンソール42から無線通信部94又は有線通信部95を介して受信される後述する曝射条件を記憶し、曝射条件に基づいて電荷の読み出しを開始する。
【0060】
また、電子カセッテ32には電源部96が設けられており、上述した各種回路や各素子(ゲート線ドライバ80、信号処理部82、画像メモリ90、無線通信部94、有線通信部95、カセッテ制御部92として機能するマイクロコンピュータ等)は、電源部96から供給された電力によって作動する。電源部96は、電子カセッテ32の可搬性を損なわないように、前述したバッテリ(二次電池)を内蔵しており、充電されたバッテリから各種回路や各素子へ電力を供給する。なお、図4では、電源部96と各種回路や各素子を接続する配線を省略している。
【0061】
一方、コンソール42は、サーバ・コンピュータとして構成されており、操作メニューや撮影された放射線画像等を表示するディスプレイ100と、複数のキーを含んで構成され、各種の情報や操作指示が入力される操作パネル102と、を備えている。
【0062】
また、本実施の形態に係るコンソール42は、装置全体の動作を司るCPU104と、制御プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたROM106と、各種データを一時的に記憶するRAM108と、各種データを記憶して保持するHDD110と、ディスプレイ100への各種情報の表示を制御するディスプレイドライバ112と、操作パネル102に対する操作状態を検出する操作入力検出部114と、を備えている。また、コンソール42は、接続端子42Aに接続され、接続端子42A及びケーブル35を介して放射線発生装置34との間で後述する曝射条件等の各種情報の送受信を行う通信I/F部116と、電子カセッテ32との間で無線通信により曝射条件等の各種情報の送受信を行う無線通信部118と、接続端子42Bに接続され、接続端子42B及びケーブル43を介して電子カセッテ32との間で画像情報等の各種情報の送受信を行う有線通信部120と、を備えている。
【0063】
CPU104、ROM106、RAM108、HDD110、ディスプレイドライバ112、操作入力検出部114、無線通信部118、及び有線通信部120は、システムバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU104は、ROM106、RAM108、HDD110へのアクセスを行うことができると共に、ディスプレイドライバ112を介したディスプレイ100への各種情報の表示の制御、通信I/F部116を介した放射線発生装置34との各種情報の送受信の制御、無線通信部118を介した電子カセッテ32との各種情報の送受信の制御、及び有線通信部120を介した電子カセッテ32との各種情報の送受信の制御、を行うことができる。また、CPU104は、操作入力検出部114を介して操作パネル102に対するユーザの操作状態を把握することができる。
【0064】
一方、放射線発生装置34は、放射線Xを射出する放射線源130と、コンソール42との間で曝射条件等の各種情報を送受信する通信I/F部132と、受信した曝射条件に基づいて放射線源130を制御する線源制御部134と、を備えている。
【0065】
線源制御部134もマイクロコンピュータによって実現されており、受信した曝射条件を記憶し、当該曝射条件に基づいて放射線源130から放射線Xを照射させる。
【0066】
次に、本実施の形態に係る撮影システム18の作用を説明する。
【0067】
本実施の形態に係る電子カセッテ32は、連続的に撮影を行う透視撮影が可能とされている。また、本実施の形態に係る電子カセッテ32及びコンソール42は、ケーブル43によって接続された場合、有線通信を行うものとされており、ケーブル43で接続されていない場合、無線通信を行うものとされている。
【0068】
例えば、図2に示すように、ベッド46上に横臥した被検者48の患部の透視撮影の行を行う際、撮影者50は、電子カセッテ32とコンソール42間を無線通信とする場合は電子カセッテ32及びコンソール42にケーブル43を接続することなく、電子カセッテ32とコンソール42間を有線通信とする場合は電子カセッテ32及びコンソール42をケーブル43で接続した後に、撮影の部位に応じてベッド46と被検者48の患部との間に電子カセッテ32を配置する。
【0069】
そして、撮影者50は、操作パネル102に対してフレームレート、管電圧、管電流等の曝射条件を指定する。
【0070】
ところで、図6(A)に示すように、連続照射での透視撮影は、撮影中に放射線源130から放射線が連続的に照射されており、画像読出時にも放射線が照射されるため、単位時間当たりの放射線の照射量を低く抑えて被検者48の被曝量を抑える必要がある。
【0071】
一方、図6(B)に示すように、パルス照射での透視撮影は、撮影に必要な期間だけ放射線を照射でき、連続照射に比べて患者の被曝量を抑制できるため、単位時間当たりの照射量を上げられる利点がある。
【0072】
このため、本実施の形態に係る撮影システム18では、透視撮影をパルス照射で行う。
【0073】
ところで、パルス照射は、照射期間が短いため、各画像が動きの止まったコマ送り画像になりかねない。特に、フレームレートが低い場合、撮影間隔が大きく、目の残像も消えてしまうので、動きの滑らかな透視画像を撮影できない。
【0074】
そこで、本実施の形態では、透視撮影のフレームレートが低い場合、1回のパルス照射での単位時間当たりの放射線の照射量を低く抑えると共に、各フレーム画像を撮影するための各フレーム期間内で照射期間を長くするようにしている。
【0075】
ここで、人の目は、時間分解能が約50ms〜100ms程度であり、この時間よりも短い光の点滅は連続点灯しているように知覚される。
【0076】
例えば、以下の表1には、フレームレートを5fpsとし、1フレーム期間(1/5秒間)内でのパルス照射の期間の割合を変えて評価を行った結果が示されている。
【0077】
【表1】

【0078】
一方、フレーム期間には、蓄積された電荷を読み出す読出期間も含む必要がある。この読出期間はフレーム期間の20%程度必要である。このため、パルス照射におけるフレーム期間内で放射線を照射できる期間の上限は約80%である。
【0079】
よって、パルス照射による透視撮影では、コマ落ち感を許容レベルに抑えるには、フレーム期間に対する照射期間の割合を12.5%〜80%の範囲内である必要があり、33%〜80%の範囲内とすることがより好ましい。
【0080】
本実施の形態では、透視撮影のフレームレートに応じた各フレーム期間に対する放射線の照射期間の割合を80%に変更すると共に、管電圧、管電流等の曝射条件を変更して単位時間当たりの放射線の照射量も変更する。なお、曝射条件を変更して単位時間当たりの放射線の照射量を低くし過ぎた場合、放射線画像の撮影に必要な最低照射量を確保できない場合がある。そこで、変更した照射期間で最低照射量を除算することにより、放射線画像の撮影に必要な最低の単位時間当たりの放射線の照射量を求め、当該単位時間当たりの放射線の照射量が得られる範囲で管電圧、管電流等の曝射条件を変更する。
【0081】
そして、本実施の形態では、変更した照射期間で放射線をパルス照射させつつ当該パルス照射に同期させて放射線画像の撮影を繰り返し行うことにより透視撮影を行うものとする。
【0082】
コンソール42は、操作パネル102に対してフレームレート、管電圧、管電流等の曝射条件の指定操作が行なわれると、後述する照射期間決定処理により照射期間を決定する。
【0083】
図7には、本実施の形態に係るCPU104により実行される照射期間決定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートが示されている。なお、当該プログラムはHDD110の所定の領域に予め記憶されており、操作パネル102に対して撮影モード及び曝射条件を指定する指定操作が行われた際に実行される。
【0084】
同図のステップS20では、各パルス照射での放射線の照射期間を、指定されたフレームレートに応じたフレーム期間の80%の期間と決定する。また、照射期間の変更に伴って単位時間当たりの放射線の照射量を低下させるように管電圧、管電流等の曝射条件も変更する。
【0085】
ステップS22では、決定した照射期間、及び指定されたフレームレート、管電圧、管電流等を曝射条件として電子カセッテ32及び放射線発生装置34へ送信し、本照射期間決定処理プログラムを終了する。
【0086】
撮影者50は、撮影準備が完了すると、コンソール42の操作パネル102に対して撮影を指示する撮影指示操作を行う。
【0087】
コンソール42は、操作パネル102に対して撮影開始操作が行なわれると、撮影動作を開始する。
【0088】
図8には、パルス照射での透視撮影を行う際の撮影動作の流れを示すタイムチャートが示されている。
【0089】
コンソール42は、指定されたフレームレートに応じた周期で同期信号を放射線発生装置34及び電子カセッテ32へ送信する。
【0090】
放射線発生装置34は、同期信号を受信する毎に、コンソール42から受信した曝射条件に応じた管電圧、管電流、及び照射期間で放射線を発生・射出する。
【0091】
電子カセッテ32のカセッテ制御部92は、同期信号を受信してから曝射条件で指定された照射期間の経過後にゲート線ドライバ80を制御してゲート線ドライバ80から1ラインずつ順に各ゲート配線76にオン信号を出力させ、各ゲート配線76に接続された各TFT70を1ラインずつ順にオンさせて画像を読み出す。放射線検出器60の各データ配線78に流れ出した電気信号は信号処理部82でデジタルの画像データに変換されて、画像メモリ90に記憶され、1画像ずつコンソール42へ送信される。コンソール42へ送信された画像は、コンソール42でシェーディング補正などの各種の補正する画像処理が行われてHDD110に記憶される。HDD110に記憶された画像情報は、撮影した放射線画像の確認等のためにディスプレイ100に表示されると共に、RISサーバ14に転送されてデータベース14Aにも格納される。
【0092】
また、コンソール42は、操作パネル102に対して撮影終了操作が行なわれると、曝射終了を指示する指示情報を放射線発生装置34及び電子カセッテ32へ送信する。これにより、放射線源130は放射線の照射を停止し、電子カセッテ32は画像の読み出しを終了する。
【0093】
ここで、例えば、従来の透視撮影では、図9(A)に示すように、放射線の照射期間を比較的短い期間とされてパルス照射が行われて透視撮影が行われる。このため、例えば、撮影部位に直線に示すように移動した場合、nフレームの照射からのn+1フレームの照射開始までの間に撮影部位がΔAだけ移動し、その間の撮影部位の変化が放射線画像として欠落する。
【0094】
一方、本実施の形態のように放射線の照射期間を変更して透視撮影を行った場合、図9(B)に示すように、撮影部位に直線に示すように移動した場合、nフレームの照射からのn+1フレームの照射開始までの間に撮影部位がΔBだけ移動するが、放射線の照射期間をフレーム期間の80%の期間としたことにより、撮影部位の変化の欠落を少なく抑えることができる。
【0095】
これにより、本実施の形態によれば、動きが滑らかな透視画像を撮影できる。
【0096】
ところで、図10に示すように、撮影部位が直線に示すように移動した場合、各フレーム期間内で撮影部位がΔCだけ移動する。このため、放射線の照射期間を延長した場合、撮影部位の動きが大きく、透視撮影される各フレーム画像において撮影部位が過度のブレが発生した場合、撮影部位の状態が確認しづらい。
【0097】
そこで、本実施の形態に係るコンソール42では、透視撮影中、電子カセッテ32から順次送信される画像データを比較して動き検出を行う。この動き検出方法には、既知の種々の手法を適用できる。
【0098】
そして、本実施の形態に係るコンソール42では、検出される動き量が所定の許容量以上となった場合、フレームレートを上昇させる変更を行い、変更したフレームレートで上述の照射期間決定処理を行って照射期間を決定し、変更したフレームレートで透視撮影を行う。
【0099】
これにより、本実施の形態によれば、撮影部位の動きが大きい場合にフレームレートを速く変更することにより、滑らかで撮影部位の状態を視認しやすい透視画像を撮影できる。
【0100】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0101】
第2の実施の形態に係るRIS10、撮影システム18、電子カセッテ32、放射線発生装置34、コンソール42の構成は、上記第1の実施の形態(図1〜図5参照)と同一であるので、ここでの説明は省略する。
【0102】
本実施の形態に係る撮影システム18においても、透視撮影をパルス照射で行う。
【0103】
また、本実施の形態では、フレームレート閾値をHDD110に予め記憶しており、透視撮影のフレームレートが閾値以下となった場合、フレーム期間内でのパルス照射の照射期間の変更を行う。本実施の形態では、このフレームレート閾値を2つ(第1フレームレート閾値、第2フレームレート閾値)を記憶している。第1フレームレート閾値は、大多数の人がチラツキを感じないフレームレートであればよい。具体的に、第1フレームレート閾値は、15fps(Frame Per Second)以上かつ60fps以下であればよく、15fps以上かつ30fps以下とすることがより好ましい。第2フレームレート閾値は大多数の人がチラツキを感じるフレームレートであればよい。具体的に、第2フレームレート閾値は、5fps以上かつ第1フレームレート閾値未満であればよく、5fps以上且つ15fps未満とすることがより好ましい。本実施の形態では、第1フレームレート閾値を、例えば、30fpsとし、第2フレームレート閾値を、例えば、15fpsとするが、第1フレームレート閾値を、例えば、24fpsとし、第2フレームレート閾値を、例えば、5fpsとしてもよい。
【0104】
本実施の形態に係る撮影システム18では、透視撮影のフレームレートが第1フレームレート閾値よりも大きい場合、予め定められた照射期間でパルス照射させつつ当該パルス照射に同期させて放射線画像の撮影を行う。この照射期間は、撮影システム18において撮影可能な最大のフレームレートでも安定して撮影が可能な時間に定められ、照射期間初期値としてHDD110に記憶されている。
【0105】
また、本実施の形態に係る撮影システム18では、透視撮影のフレームレートが第1フレームレート閾値以下の場合、フレーム期間に対する照射期間の割合を50%に変更してパルス照射させつつ当該パルス照射に同期させて放射線画像の撮影を行い、透視撮影のフレームレートが第2フレームレート閾値以下となった場合、フレーム期間に対する照射期間の割合を80%に変更してパルス照射させつつ当該パルス照射に同期させて放射線画像の撮影を行う。
【0106】
図11には、第2の実施の形態に係る照射期間決定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートが示されている。
【0107】
同図のステップS10では、透視撮影のフレームレートが第1フレームレート閾値(例えば、30fps)以上であるか否か判定し、肯定判定となった場合はステップS12に移行し、否定判定となった場合はステップS14に移行する。
【0108】
ステップS12では、各パルス照射での放射線の照射期間を照射期間初期値により示される期間と決定する。
【0109】
一方、ステップS14では、透視撮影のフレームレートが第2フレームレート閾値(例えば、15fps)以下であるか否か判定し、肯定判定となった場合はステップS16に移行し、否定判定となった場合はステップS20に移行する。
【0110】
ステップS16では、各パルス照射での放射線の照射期間を、指定されたフレームレートに応じたフレーム期間の50%の期間と決定する。また、照射期間の変更に伴って単位時間当たりの放射線の照射量を低下させるように管電圧、管電流等の曝射条件も変更する。
【0111】
一方、ステップS20では、各パルス照射での放射線の照射期間を、指定されたフレームレートに応じたフレーム期間の80%の期間と決定する。また、照射期間の変更に伴って単位時間当たりの放射線の照射量を低下させるように管電圧、管電流等の曝射条件も変更する。
【0112】
ステップS22では、決定した照射期間、及び指定されたフレームレート、管電圧、管電流等を曝射条件として電子カセッテ32及び放射線発生装置34へ送信し、本照射期間決定処理プログラムを終了する。
【0113】
これにより、本実施の形態によれば、透視撮影のフレームレートが低い場合でも、動きが滑らかな透視画像を撮影できる。
【0114】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0115】
第3の実施の形態に係るRIS10、撮影システム18、電子カセッテ32、放射線発生装置34、コンソール42の構成は、上記第1の実施の形態(図1〜図5参照)と同一であるので、ここでの説明は省略する。
【0116】
ここで、透視撮影では、フレームレートが低い場合でも、撮影対象とする撮影部位が静止している場合や動きが遅い場合、動画として視認しやすく、撮影対象とする撮影部位の動き量が大きい場合、動画として視認しづらい。
【0117】
そこで、本実施の形態に係るコンソール42では、フレームレートが低い場合でも各パルス照射での放射線の照射期間を照射期間初期値により示される期間と決定して透視撮影を行う。
【0118】
そして、コンソール42は、動画として視認しづらくなる動き量の閾値をHDD110に予め記憶しており、透視撮影中、電子カセッテ32から順次送信される画像データを比較して動き検出を行い、検出される動き量が上記閾値以上の場合、フレーム期間に対する照射期間の延長を行う。この照射期間の延長は、フレーム期間に対する照射期間の割合を12.5〜80%の範囲内、より好ましくは33〜80%の範囲内とすることがより好ましい。本実施の形態では、フレーム期間に対する照射期間の割合を80%に延長する。
【0119】
図12には、第3の実施の形態に係るCPU104により実行される照射期間変更制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートが示されている。なお、当該プログラムはHDD110の所定の領域に予め記憶されており、透視撮影を開始した際に実行される。
【0120】
同図のステップS50では、フラグFGに記憶された値をゼロに初期化する。
【0121】
次のステップS52では、電子カセッテ32から順次送信される画像データを比較して動き検出を行う。
【0122】
次のステップS54では、上記ステップS52において検出される動き量が所定量以上であるか否か判定を行い、肯定判定となった場合はステップS56へ移行し、否定判定となった場合はステップS62へ移行する。
【0123】
ステップS56では、フラグFGに記憶の値がゼロであるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS58へ移行し、否定判定となった場合はステップ68へ移行する。
【0124】
ステップS58では、フレーム期間に対する照射期間の割合を80%に変更する。また、照射期間の変更に伴って単位時間当たりの放射線の照射量を低下させるように管電圧、管電流等の曝射条件も変更する。そして、変更した曝射条件を電子カセッテ32及び放射線発生装置34へ送信する。
【0125】
ステップS60では、フラグFGに記憶の値を1に更新する。
【0126】
一方、ステップS62では、フラグFGに記憶の値が1であるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS64へ移行し、否定判定となった場合はステップ68へ移行する。
【0127】
ステップS64では、照射期間を照射期間初期値により示される期間に変更すると共に、管電圧、管電流を撮影者50が操作パネル102に対して指定した最初の曝射条件を変更し、変更した曝射条件を電子カセッテ32及び放射線発生装置34へ送信する。
【0128】
ステップS66では、フラグFGに記憶の値をゼロに更新する。
【0129】
ステップS68では、透視撮影が終了したか否かを判定し、肯定判定となった場合は本照射期間変更制御処理プログラムを終了し、否定判定となった場合はステップS52へ移行する。
【0130】
これにより、本実施の形態によれば、図13に示すように、撮影部位の動き量が所定量以上の場合に照射期間を延長させるため、滑らかで撮影部位の状態を視認しやすい透視画像を撮影できる
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態について説明する。
【0131】
第4の実施の形態に係るRIS10、撮影システム18、電子カセッテ32、放射線発生装置34、コンソール42の構成は、上記第1の実施の形態(図1〜図5参照)と同一であるので、ここでの説明は省略する。
【0132】
本実施の形態に係るコンソール42は、フレームレートが低い場合でも各パルス照射での放射線の照射期間を照射期間初期値により示される期間と決定して透視撮影を行う。
【0133】
また、本実施の形態に係る撮影システム18は、透視撮影中に静止画撮影が可能とされている。
【0134】
ところで、静止画撮影は、撮影部位内を詳細に観察するため、高画質であることが好ましい。このため、静止画撮影では、透視撮影と比べて単位時間当たりの放射線の照射量を多く照射して撮影を行う。
【0135】
一方、放射線検出器60は、センサ部72内に電荷がトラップされてしまい、X線が照射されていない状態であっても暗電流等によってセンサ部72に電荷が発生して各画素74の蓄積容量68に電荷が蓄積される。この放射線検出器60に発生する暗電流量は、照射された単位時間当たりの放射線量が多いほど増加する。また、放射線検出器60に発生する暗電流量は、図14(A)示すように、温度が高いほど増加する。さらに、放射線検出器60に発生する暗電流量は、図14(B)示すように、蓄積時間に応じて多くなるが、蓄積時間が長くなるとトラップされた電荷が解放されるため、増加量が減少する。
【0136】
このため、透視撮影中に静止画撮影が行われた場合、照射された単位時間当たりの放射線量が多くなり、センサ部72内にトラップされる電荷も多くなるため、静止画撮影直後の透視撮影の各フレーム画像において、ノイズ量が多くなる。
【0137】
そこで、コンソール42は、透視撮影中に静止画撮影が行われた場合、フレーム期間に対する照射期間の延長を行う。この照射期間の延長は、フレーム期間に対する照射期間の割合を12.5〜80%の範囲内、より好ましくは33〜80%の範囲内とすることがより好ましい。本実施の形態では、フレーム期間に対する照射期間の割合を80%に延長する。
【0138】
図15には、第4の実施の形態に係るCPU104により実行される照射期間変更制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートが示されている。なお、当該プログラムはHDD110の所定の領域に予め記憶されており、透視撮影中に静止画撮影が行われた際に実行される。
【0139】
同図のステップS100では、フレーム期間に対する照射期間の割合を80%に変更する。
【0140】
次のステップS102では、上記ステップ100で変更した曝射条件を電子カセッテ32及び放射線発生装置34へ送信し、本透視撮影照射期間変更制御処理プログラムを終了する。
【0141】
図16には、透視撮影中に静止画撮影が行われた際の撮影動作の流れを示すタイムチャートが示されている。
【0142】
これにより、本実施の形態によれば、撮影部位の動きが大きい場合に照射期間を延長することにより、滑らかで撮影部位の状態を視認しやすい透視画像を撮影できる
[第5の実施の形態]
次に、第5の実施の形態について説明する。
【0143】
第5の実施の形態に係るRIS10、撮影システム18、放射線発生装置34、コンソール42の構成は、上記第1の実施の形態(図1〜図5参照)と同一であるので、ここでの説明は省略する。
【0144】
図17には、本実施の形態に係る放射線検出器60の構成を示す平面図が示されている。
【0145】
放射線検出器60は、TFTアクティブマトリクス基板66に、センサ部72、蓄積容量68、およびTFT70を含んで構成される画素部74が一定方向(図17の行方向)、および当該一定方向に対する交差方向(図17の列方向)に2次元状に複数設けられている。
【0146】
また、放射線検出器60には、上記一定方向(行方向)に延設され、各TFT70をオン・オフさせるための複数本のゲート配線76と、上記交差方向(列方向)に延設され、オン状態のTFT70を介して電荷を読み出すための複数本のデータ配線78と、が設けられている。
【0147】
放射線検出器60は、平板状で、かつ平面視において外縁に4辺を有する四辺形状、より具体的には、矩形状に形成されている。
【0148】
ここで、本実施の形態に係る放射線検出器60では、画素部74の一部が放射線の照射状態を検出するために用いられており、残りの画素部74によって放射線画像の撮影を行う。なお、以下では、放射線の照射状態を検出するための画素部74を放射線検出用画素部74Aといい、残りの画素部74を放射線画像取得用画素部74Bという。
【0149】
本実施の形態に係る放射線検出器60では、画素部74における放射線検出用画素部74Aを除いた放射線画像取得用画素部74Bにより放射線画像の撮影を行うため、放射線検出用画素部74Aの配置位置における放射線画像の画素情報を得ることができない。このため、本実施の形態では、放射線検出用画素部74Aを分散するように配置し、放射線検出用画素部74Aの配置位置における放射線画像の画素情報を、当該放射線検出用画素部74Aの周囲に位置する放射線画像取得用画素部74Bにより得られた画素情報を用いて補間することにより生成する。
【0150】
本実施の形態に係る放射線検出器60には、図17に示すように、放射線検出用画素部74Aにおける蓄積容量68とTFT70との接続部が接続された、当該蓄積容量68に蓄積された電荷を直接読み出すための直接読出配線38が上記一定方向(行方向)に延設されている。なお、本実施の形態に係る放射線検出器60では、上記一定方向に並ぶ複数の放射線検出用画素部74Aに対して1本の直接読出配線38が割り当てられており、当該複数の放射線検出用画素部74Aにおける蓄積容量68とTFT70との接続部が共通(単一)の直接読出配線38に接続されている。
【0151】
次に、図18を参照して、本実施の形態に係る電子カセッテ32の電気系の要部構成について説明する。
【0152】
同図に示すように、電子カセッテ32に内蔵された放射線検出器60は、隣り合う2辺の一辺側にゲート線ドライバ80が配置され、他辺側に信号処理部82(以下、「信号処理部82」を「第1信号処理部82」と称する。)が配置されている。TFTアクティブマトリクス基板66の個々のゲート配線76はゲート線ドライバ80に接続され、TFTアクティブマトリクス基板66の個々のデータ配線78は第1信号処理部82に接続されている。
【0153】
TFTアクティブマトリクス基板66の各TFT70は、ゲート線ドライバ80からゲート配線76を介して供給される信号により行単位で順にオンされ、オン状態とされたTFT70によって読み出された電荷は、電気信号としてデータ配線78を伝送されて第1信号処理部82に入力される。これにより、電荷は行単位で順に読み出され、二次元状の放射線画像が取得可能となる。
【0154】
また、電子カセッテ32には、TFTアクティブマトリクス基板66を隔ててゲート線ドライバ80の反対側に第2信号処理部83が配置されており、TFTアクティブマトリクス基板66の個々の直接読出配線38は第2信号処理部83に接続されている。
【0155】
第2信号処理部83は、直接読出配線38毎に設けられた増幅器及びA/D変換器を備えており、カセッテ制御部92と接続されている。第2信号処理部83は、カセッテ制御部92からの制御により、所定の周期で各直接読出配線38のサンプリングを行って各直接読出配線38を伝送される電気信号をデジタルデータに変換し、変換したデジタルデータを順次、カセッテ制御部92へ出力する。
【0156】
次に、本実施の形態に係る撮影システム18の作用を説明する。
【0157】
本実施の形態に係るコンソール42では、第1の実施の形態と同様に、放射線の照射期間をフレーム期間の80%の期間に変更すると共に、照射期間の変更に伴って単位時間当たりの放射線の照射量を低下させるように管電圧、管電流等の曝射条件も変更して透視撮影を行う。
【0158】
本実施の形態に係る電子カセッテ32は、第2信号処理部83により放射線検出用画素部74Aから各直接読出配線38に流れ出した電気信号のサンプリングを行ってデジタルデータに変換し、変換したデジタルデータに基づいて放射線の照射開始の検出を行っており、放射線の照射開始したタイミングで放射線画像の撮影動作を開始する。すなわち、電子カセッテ32は、放射線の照射を検出して撮影動作を開始する。これにより、本実施の形態に係る撮影システム18では、コンソール42や放射線発生装置34と電子カセッテ32との間で放射線の照射開始に関する情報の送受信を行って放射線発生装置34からの放射線の照射動作と電子カセッテ32での撮像動作とを同期させることなく、放射線画像を撮影できる。
【0159】
図19には、コンソール42から撮影条件及び曝射条件を受信した際に、カセッテ制御部92のCPU92Aにより実行される撮影制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートが示されている。なお、当該プログラムはメモリ92B(ROM)の所定の領域に予め記憶されている。
【0160】
同図のステップS150では、第2信号処理部83による各直接読出配線38のサンプリングを開始させる。
【0161】
これにより、第2信号処理部83は、所定の周期で各直接読出配線38のサンプリングを行って各直接読出配線38を伝送される電気信号をデジタルデータに変換し、変換したデジタルデータを順次、カセッテ制御部92へ出力する。
【0162】
次のステップS152では、第2信号処理部83から入力する各直接読出配線38のデジタルデータの値を累計することにより、放射線源から照射された累計の放射線量を求める。
【0163】
次のステップS154では、上記ステップ152で累計した累計値と予め定めた放射線照射検知用のしきい値と比較し、累計値が放射線照射検知用のしきい値以上となったか否かにより放射線の照射開始の検出を行っており、累計値が放射線照射検知用のしきい値以上となった場合は放射線の照射が開始されたものとしてステップS156へ移行し、累計値が放射線照射検知用のしきい値未満の場合はステップS152へ再度移行して、放射線の照射開始待ちを行う。
【0164】
ステップS156では、ゲート線ドライバ80を制御してゲート線ドライバ80から各ゲート配線76にTFT70をオン状態とさせる制御信号を順に出力させるリセット動作を行う。
【0165】
これにより、放射線検出器60では、1ラインずつ順に各画素部74の蓄積容量68に蓄積された電荷が電気信号として各データ配線78に流れ出し、暗電流等によって各画素部74の蓄積容量68に蓄積された電荷が除去される。
【0166】
次のステップS158では、ゲート線ドライバ80を制御してゲート線ドライバ80から各ゲート配線76に各画素部74のTFT70をオフ状態とさせる制御信号を出力させる。これにより、各画素部74では、照射された放射線量に応じた電荷が蓄積される。
【0167】
次のステップS160では、上記ステップS152において放射線の照射開始を検出した時点から曝射条件により示される照射期間を経過したか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS160へ移行し、否定判定となった場合は再度ステップS158へ移行する。
【0168】
ステップS162では、ゲート線ドライバ80を制御してゲート線ドライバ80から1ラインずつ順に各ゲート配線76にオン信号を出力させる。
【0169】
放射線検出器60は、各ゲート配線76にオン信号が入力すると、各ゲート配線76に接続された各画素部74のTFT70を1ラインずつ順にオンされ、1ラインずつ順に各画素部74の蓄積容量68に蓄積された電荷が電気信号として各データ配線78に流れ出す。各データ配線78に流れ出した電気信号は第1信号処理部82でデジタルの画像データに変換されて、画像メモリ90に記憶される。これにより、画像メモリ90には、放射線検出器60の各放射線検出用画素部74Aによる放射線画像を示す画像データが記憶される。
【0170】
ところで、本実施の形態に係る放射線検出器60には、放射線画像取得用画素部74Bと共に放射線検出用画素部74Aが設けられている。放射線検出用画素部74Aは、発生した電荷が直接読出配線38に流れ出す。このため、画像データにより示される放射線画像において、放射線検出用画素部74Aに対応する画素は、欠陥画素となる。
【0171】
そこで、ステップS164では、画像メモリ90に記憶された放射線画像に対して補間処理を行い、各放射線検出用画素部74Aに対応する各画素のデータをそれぞれ放射線検出用画素部74Aの周囲の放射線画像取得用画素部74Bのデータから補間により生成する。
【0172】
次のステップS166では、上記ステップS164で補間処理された放射線画像の画像データをコンソール42へ送信する。
【0173】
次のステップS168では、コンソール42から曝射終了を指示する指示情報を受信したか否かを判定し、肯定判定となった場合は本撮影制御処理プログラムを終了し、否定判定となった場合はステップS168へ移行する。
【0174】
ステップs168では、各直接読出配線38のデジタルデータの累計値をゼロに初期化してステップS152へ移行する。
【0175】
ここで、例えば、図20(A)に示すように、従来の透視撮影では、放射線の照射期間を比較的短い期間とされてパルス照射が行われて透視撮影が行われる。本実施の形態では、放射線の照射開始を検出した場合、リセット動作を行って暗電流等によって各画素部74の蓄積容量68に蓄積された電荷を除去した後に蓄積を開始するが、リセット動作中に照射された放射線は、無駄となる。
【0176】
一方、本実施の形態では、図20(A)に示すように、放射線の照射期間を変更すると共に、単位時間当たりの放射線の照射量を少なくしているため、リセット動作中に照射されて無駄となる放射線量を少なく抑えることができる。
【0177】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0178】
また、上記の実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明を抽出できる。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにお
また、上記第1の実施の形態では、一例として図21(A)に示すように、放射線検出用画素74Aとして放射線画像取得用画素74Bの一部を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、一例として図21(B)に示すように、放射線検出用画素74Aを、放射線画像取得用画素74Bの間隙に設ける形態としてもよい。この場合、放射線検出用画素74Aが設けられた位置に対応する放射線画像取得用画素74Bの面積が小さくなるため、当該画素の感度は低減するものの、当該画素も放射線画像の検出用として用いることができるため、放射線画像の品質を向上させることができる。
【0179】
また、上記実施の形態では、放射線検出器60に設けられた画素74の一部を放射線検出用画素74Aとして用いる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、放射線検出用画素74Aを、画素74とは別層として放射線検出器60に積層して放射線検出部とする形態としてもよい。この場合、欠陥画素が生じることがないため、上記実施の形態に比較して、放射線画像の品質を向上させることができる。また、放射線検出用画素74Aや放射線検出部は、それぞれ個別に電荷を読み出せるように構成してもよい。
【0180】
また、上記実施の形態では、放射線の照射開始を検出した時点から曝射条件により示される照射期間を経過した時点で放射線検出器60から電荷の読み出しを行う場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、放射線の照射開始を検出した以降も、放射線照射検知用のしきい値以上となった直接読出配線38のデジタルデータの値を放射線照射検知用のしきい値と比較し続け、当該直接読出配線38のデジタルデータの値が放射線照射検知用のしきい値未満となった時点で放射線の照射が終了したものとして放射線検出器60から電荷の読み出しを行うものとしてもよい。
【0181】
また、上記第3の実施の形態では、撮影部位の動き量の閾値以上の場合、フレーム期間に対する照射期間の延長を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、撮影部位が心臓などの動きの速い所定部位を示す部位情報を予めHDD110に記憶させておき、撮影の際に撮影者により撮影部位を操作パネル102で指定させ、指定させた撮影部位が動きの速い所定部位である場合、フレーム期間に対する照射期間の延長を行うものとしてもよい。
【0182】
また、上記実施の形態では、放射線としてX線を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、γ線等の他の放射線を適用する形態としてもよい。
【0183】
その他、上記実施の形態で説明したRIS10の構成(図1参照。)、放射線撮影室および放射線発生装置34の構成(図2参照。)、電子カセッテ32の構成(図3参照。)、撮影システム18の構成(図4参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したり、接続状態等を変更したりすることができることは言うまでもない。
【0184】
また、上記実施の形態で説明した各種プログラムの処理の流れ(図7、図11、図12、図15、図19参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ換えたりすることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0185】
18 撮影システム
32 電子カセッテ(放射線画像撮影装置)
34 放射線照射装置
74A 各放射線検出用画素部(照射検出手段)
83 第2信号処理部(照射検出手段)
92 カセッテ制御部
104 CPU(制御手段、動き検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線画像の撮影を連続的に行う透視撮影が可能とされた放射線画像撮影装置と、
透視撮影の際に前記放射線画像撮影装置に対して放射線をパルス状に照射する放射線照射装置と、
透視撮影のフレームレートに応じた各フレーム画像を撮影するための各フレーム期間に対する放射線の照射期間の割合を12.5%〜80%の範囲内として前記放射線照射装置から前記放射線画像撮影装置に対して放射線をパルス照射させつつ当該パルス照射に同期させて前記放射線画像撮影装置で放射線画像の撮影が行われるように制御する制御手段と、
を備えた放射線画像撮影システム。
【請求項2】
前記制御手段は、各フレーム期間に対する放射線の照射期間の割合を33%〜80%の範囲内として放射線をパルス照射させるように制御する
請求項1記載の放射線画像撮影システム。
【請求項3】
前記制御手段は、各フレーム期間での放射線の照射期間を延ばして各フレーム期間に対する放射線の照射期間の割合が前記範囲内となるように制御する
請求項1又は請求項2記載の放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記制御手段は、透視撮影のフレームレートが第1フレームレート閾値以下の場合、各フレーム期間に対する照射期間の割合を12.5%〜80%の範囲内として放射線をパルス照射させ、透視撮影のフレームレートが当該第1フレームレート閾値よりも低い第2フレームレート閾値以下の場合、各フレーム期間に対する照射期間の割合を33%〜80%の範囲内として放射線をパルス照射させる制御を行う
請求項1〜請求項3の何れか1項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記第1フレームレート閾値は、15fps以上かつ60fps以下とし、
前記第2フレームレート閾値は、5fps以上かつ前記第1フレームレート閾値未満とした
請求項4記載の放射線画像撮影システム。
【請求項6】
撮影部位の動きを検出する動き検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記動き検出手段により検出される動き量が所定の閾値以上である場合、各フレーム期間に対する放射線の照射期間の割合が前記範囲内となるように制御する
請求項1〜請求項5の何れか1項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項7】
前記制御手段は、撮影部位が動きの速い所定部位である場合、各フレーム期間に対する放射線の照射期間の割合が前記範囲内となるように制御する
請求項1〜請求項6の何れか1項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項8】
前記放射線画像撮影装置は、透視撮影中に静止画撮影が可能とされ、
前記制御手段は、透視撮影中に静止画撮影が行われた場合、静止画撮影後の透視撮影での各フレーム期間に対する放射線の照射期間の割合が前記範囲内となるように制御する
請求項1〜請求項7の何れか1項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項9】
前記放射線画像撮影装置は、放射線の照射を検出する照射検出手段を有し、前記照射検出手段により放射線の照射を検出した際に、暗電流により蓄積された電荷を除去するリセット動作を行った後に放射線画像の撮影を行なう
請求項1〜請求項8の何れか1項記載の放射線画像撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−161530(P2012−161530A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25292(P2011−25292)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】