説明

放射線画像撮影システム

【課題】保管時に、電子カセッテの可搬範囲を制限できる放射線画像撮影システムを提供する。
【解決手段】放射線画像撮影システム10は、外部電源ケーブルがつながれた有線接続部材が接続される接続部24を備えた放射線画像撮影装置12と、有線接続部材が取り外された接続部24に接続される保管用接続部材15と、放射線画像撮影装置12に設けられ、接続部24に接続された保管用接続部材15の取り外しを制限するロック手段56、58と、保管用接続部材15に連結され、保管用接続部材15の可搬範囲を制限する連結部材82と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像を撮影する放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線画像撮影システムは、放射線を発生させる放射線発生装置、被写体を透過した放射線を検出し記録する放射線画像撮影装置(以下、電子カセッテと記す。)、及びこれらを制御する撮影制御手段(以下、コンソールと記す。)を用いて放射線画像を撮影する。
ここに、電子カセッテは可搬型とされ、撮影終了後は保管場所で保管される。
このような電子カセッテには、コネクタとの接合部をロックするロック機能を備えたものがある(特許文献1)。
【0003】
特許文献1は、電子カセッテ側のコネクタとケーブル側のコネクタを接続させた状態で、電子カセッテに設けたソレノイドで、可動鉄心を移動させ、電子カセッテ側のコネクタとケーブル側のコネクタをロック、及びロック解除させる構成である。ロック動作は、電子カセッテの制御部からのロック信号で行われる。一方、ロック解除は、電子カセッテに設けた解除ボタンを押すことで解除される。
【0004】
即ち、特許文献1は、電子カセッテの使用時に、電子カセッテからケーブル側のコネクタが抜け出さないように、電子カセッテにケーブル側のコネクタをロックしている。ロック解除は、電子カセッテに設けた解除ボタンを押すだけで解除できる。特許文献1のコネクタを、支柱等に連結するための連結部として利用しても、第三者が容易にロック解除できるため、電子カセッテの可搬範囲を制限することはできない。
【0005】
【特許文献1】特開2003−61942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事実に鑑み、保管時に、電子カセッテの可搬範囲を制限できる放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明に係る放射線画像撮影システムは、外部電源ケーブルがつながれた有線接続部材が接続される接続部を備えた放射線画像撮影装置と、前記接続部に接続される保管用接続部材と、前記放射線画像撮影装置に設けられ、前記接続部に接続された前記保管用接続部材の取り外しを制限するロック手段と、前記接続部材に連結され、前記保管用接続部材の可搬範囲を制限する連結部材と、前記保管用接続部材及び前記放射線画像撮影装置以外に設けられ、前記ロック手段によるロック状態を解除するロック解除手段と、を有することを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、放射線画像撮影システムは、ロック手段を備えた放射線画像撮影装置を有し、保管用接続部材が放射線画像撮影装置の接続部に接続されたとき、ロック手段により、接続部に接続された保管用接続部材がロックされる。ロックされた保管用接続部材は連結部材に連結されており、放射線画像撮影装置の可搬範囲を、連結部材の長さに制限することができる。
また、ロック解除手段が、保管用接続部材及び放射線画像撮影装置以外に設けられている。これにより、放射線画像撮影装置の位置でロック状態を解除することはできない。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の放射線画像撮影システムにおいて、前記放射線画像撮影装置には、前記接続部に前記保管用接続部材が接続されたとき、前記放射線画像撮影装置に設けられた内部電源から、外部電源へ切り替える電源切替手段が設けられていることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、放射線画像撮影装置の接続部に保管用接続部材が接続されたとき、電源切替手段により、内部電源から外部電源へ切り替えられる。即ち、保管用接続部材が接続されていないときは内部電源が供給され、保管用接続部材が接続されているときは外部電源が供給される。
この結果、外部電源ケーブルがつながれていない保管時に、保管用接続部材を接続部に接続すれば、内部電願の消費量を抑制できる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の放射線画像撮影システムにおいて、前記ロック手段は、前記保管用接続部材に設けられた爪部材のロック部に挿入されるロックピンと、前記ロックピンを移動させ、前記ロック部の取り外し方向への移動を阻止する状態、又は取り外し方向への移動を可能とする状態とするソレノイドと、を有することを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、前記ロック手段はロックピンとソレノイドを有し、ソレノイドがロックピンを移動させ、接続部材に設けられた爪部材のロック部へロックピンを挿入させる。また、ソレノイドは、ロックピンを移動させ、爪部材のロック部とのロックを解除させる。
これにより、ソレノイドを制御することで、接続部材のロック又はロック解除が可能となる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の放射線画像撮影システムにおいて、前記爪部材は、一対の腕部と、前記腕部の端部に形成され互いに外方へ突出され前記接続部に形成された係合部と係合する爪部と、を有していることを特徴としている。
これにより、腕部を移動させることで、爪部を係合部に係合させ、係合部材と放射線画像撮影装置を連結することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の放射線画像撮影システムにおいて、前記腕部は、前記保管用接続部材に設けられた移動機構に取付けられ、前記移動機構が操作されたとき、前記腕部を互いに接近する方向へ移動させることを特徴としている。
これにより、移動機構を操作することで腕部を移動させ、爪部間の距離を調整できる。また、爪部と係合部の係合を解除することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項3〜5のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システムにおいて、前記ロック解除手段は、前記ソレノイドを操作する制御信号を発信すると共に、前記放射線画像撮影装置を制御するコンソールに備えられていることを特徴としている。
即ち、第三者が操作することができないコンソールで、ソレノイドを制御することにより、第三者のロック解除を防止できる。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システムにおいて、前記放射線画像撮影装置には、警報発生手段が設けられ、前記警報発生手段は、前記ロック手段がロック状態のまま、前記接続部から前記保管用接続部材が外されると警報を発することを特徴としている。
これにより、第三者にロックを解除されたことを周囲に知らせることができる。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システムにおいて、前記連結部材は鋼製の可撓性長尺材であり、前記保管用接続部材に形成された貫通孔又は切欠き部に連結されていることを特徴としている。
鋼製の可撓性長尺材で保管用接続部材を連結することにより切断が困難となり、放射線画像撮影装置の可搬範囲を鋼製の可撓性長尺材の長さに制限できる。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の放射線画像撮影システムにおいて、前記鋼製の可撓性長尺材の両端は、ループ状に閉じていることを特徴としている。
これにより、ループを利用することで、保管用接続部材への鋼製の可撓性長尺材の連結が容易にできる。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項8又は9に記載の放射線画像撮影システムにおいて、前記鋼製の可撓性長尺材はワイヤであり、前記ワイヤの一部は、放射線画像撮影装置の保管用支柱に接続されていることを特徴としている。
これにより、放射線画像撮影装置の可搬範囲を、保管用支柱を中心としたワイヤの長さの範囲に制限することができる。
【0020】
請求項11に記載の発明は、請求項2〜10のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システムにおいて、前記電源切替手段は、前記接続部への前記保管用接続部材の接続を検出し、内部電源ラインから外部電源ラインへ切り替える2入力1出力のセレクタを有していることを特徴としている。
これにより、
【0021】
請求項11に記載の発明によれば、2入力1出力のセレクタにより、接続部への保管用接続部材の接続が検出され、内部電源ラインと外部電源ラインの切り替えが行われる。
これにより、保管用接続部材の接続を電気的に検出して、セレクタで迅速に内部電源ラインと外部電源ラインの切り替えができる。
【0022】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の放射線画像撮影システムにおいて、前記電源切替手段は、前記接続部の接続端子間の導通を検出し、前記内部電源ラインと前記外部電源ラインを切り替えることを特徴としている。
これにより、電気的に接続部材の接続を検出できる。
【0023】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の放射線画像撮影システムにおいて、前記電源切替手段は、前記導通を、前記接続部の接続端子の中の第1接続端子及び第2接続端子で検出し、前記第1接続端子及び前記第2接続端子と接続される、前記保管用接続部材の接続端子の中の第3接続端子及び第4接続端子は、前記保管用接続部材の内部で短絡されていることを特徴としている。
これにより、簡単な構成で保管用接続部材の接続を検出できる。
【0024】
請求項14に記載の発明は、請求項11〜13のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システムにおいて、前記接続部の前記第1接続端子は接地され、前記第2接続端子は、前記セレクタの制御端子に接続されたトランジスタのベースに接続されていることを特徴としている。
これにより、管用接続部材の接続に基づいて、内部電源タインと外部電源ラインを切り替えることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、上記構成としてあるので、保管時に、電子カセッテの可搬範囲を制限できる放射線画像撮影システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの基本構成を示す概念図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの放射線画像撮影装置及び有線コネクタの接続状態を示す側面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの放射線画像撮影装置及び有線コネクタの接続部の基本構成を示す平面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの放射線画像撮影装置及びロックコネクタの接続状態を示す側面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの有線コネクタ及びロックコネクタの内部構造を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの放射線画像撮影装置とロックコネクタの接続状態を示す側面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る放射線画像撮影システムのロックコネクタのロックアームの移動機構を示す概念図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの放射線画像撮影装置とロックコネクタの接続状態を示す側面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの放射線画像撮影装置に設けられた電源切替回路を示す回路図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの放射線画像撮影装置とロックコネクタの接続時の結線構成を示す結線図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの放射線画像撮影装置と有線コネクタの接続時の結線構成を示す結線図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの放射線画像撮影装置とロックコネクタの接続状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1の実施の形態)
図1のシステム概念図に示すように、第1の実施の形態に係る放射線画像撮影システム10は、放射線61を発生させる放射線発生装置60と、被写体62を放射線発生装置60との間に挟んで配置され、被写体62を通過した放射線61を検出する電子カセッテ12と、電子カセッテ12と放射線発生装置60とを制御するコンソール64と、を有している。
電子カセッテ12とコンソール64の間は、通信ケーブル43又は無線信号Sで接続されて情報の授受が行われ、放射線発生装置60とコンソール64の間は、通信ケーブル44で接続されて情報の授受が行われる。
【0028】
ここに、放射線発生装置60とコンソール64は、一般的に用いられている市販機器であり、説明は省略する。電子カセッテ12と通信ケーブル43は、後述する有線コネクタ14を用いて着脱可能に接続されている。
電子カセッテ12は可搬型とされ、通信ケーブル43を外せば手に持って持ち運ぶことができ、撮影終了後保管場所で保管される。このとき、電子カセッテ12の外周面は平らに仕上げられ、保管時に固定用のワイヤ等を取付けるための突出部等は形成されていない。
【0029】
図2は、本実施の形態に係る電子カセッテ12への通信ケーブル43の接続方法を示している。
電子カセッテ12は矩形に形成された平板状の筐体42を有し、筐体42の側面42Sには、有線コネクタ14が接続可能な本体側の接続部24が設けられている。
通信ケーブル43の先端には、コネクタ側の接続部22を備えた有線コネクタ14が取り付けられている。有線コネクタ14の接続部22と、電子カセッテ12の接続部24は互いに接続して動通可能とされている。ここに、通信ケーブル43には、外部電源ケーブルも含まれている。
接続部24と接続部22を接続することにより、通信ケーブル43を介して、電子カセッテ12とコンソール64の間で情報の授受、及び外部電力の供給がなされる。
【0030】
次に、電子カセッテ12について説明する。
図3のブロック図に示すように、電子カセッテ12の筐体42の側壁42Sには、接続端子24が設けられている。接続端子24には、有線コネクタ14又は後述するロックコネクタ15が接続される。
【0031】
筐体42の内部には、放射線61(図1)を検出して記録する放射線検出手段28、放射線検出手段28に電力を供給する内部電源(バッテリー)30、放射線検出手段28を制御する制御部32、バッテリー30と外部電源ライン34を切り替える電源切替回路36が収納されている。
これにより、電源切替回路36により、内部電源30が選択されている場合には、内部電源ライン35からの電力により、制御部32が放射線検出手段28を制御し、放射線検出手段28が放射線を検出する。検出された放射線は画像処理されて、図示しない通信手段を介して、コンソール60(図1)へ送信される。
【0032】
一方、電源切替回路36により、外部電源ライン34が選択されている場合(有線コネクタ14が接続されている場合)には、外部電源ライン34からの電力により、制御部32が放射線検出手段28を制御し、放射線検出手段28が放射線61を検出する。検出された放射線61は画像処理されて、図示しない通信手段を介して、コンソール60へ送信される。
【0033】
次に、図3〜6を用いてロックコネクタ15について説明する。
図3に示すように、本放射線画像撮影システム10においては、有線コネクタ14に加え、ロックコネクタ15が用意されている。ロックコネクタ15は、電子カセッテ12の接続部24に、接続可能に構成されたロックコネクタ側の接続部23を有している。また、ロックコネクタ15には、通信ケーブル43はつながれていない。
ロックコネクタ15は、例えば、電子カセッテ12の保管時等に使用され、有線コネクタ14が取り外された後に、接続部24へ接続される。
【0034】
ロックコネクタ15は、手で持って操作するための筐体16を有し、筐体16の内部には、接続端子が設けられている。筐体16は閉じた側壁部を有する箱型に形成され、側壁部で把持される。筐体16の2つの角部には、開口部16Hが設けられ、開口部16Hからは、操作部66が突き出されている。
【0035】
ロックコネクタ15を電子カセッテ12の接続部24に接続することにより、電源切替回路36が、内部電源30から放射線検出手段28等への電力供給を遮断する。なお、本実施の形態に係るロックコネクタ15は、有線コネクタ14と、形状、寸法等の仕様が略同一のものとされており、電子カセッテ12に接続された状態で、密閉性を有するものとされている。
【0036】
ロックコネクタ15の筐体16の側面16Sには、ロックコネクタ側の接続部23が設けられ、接続部23には後述する接続端子が取り付けられている。接続部23と、電子カセッテ12の接続部24とが接続されたとき、接続部24に設けられた接続端子とロックコネクタ15の接続端子が導通される。
【0037】
次に、有線コネクタ14とロックコネクタ15の内部構成を説明する。
図5(A)には有線コネクタ14の内部構成が、図5(B)にはロックコネクタ15の内部構成が記載されている。
図5(A)に示すように、有線コネクタ14には通信ケーブル43がつながれ、有線コネクタ14の側面には接続部22が設けられている。接続部22には、接続端子14A1、14A2、14A3が設けられている。接続端子14A1には、外部電源ライン34が接続されている。接続端子14A2、14A3は、有線コネクタ14の内部で短絡されている。なお、通信ケーブル43の中には、制御信号や画像データ等をコンソール64との間で送受信するための情報ラインがあり、接続端子にそれぞれ接続されているが、図示は省略している。
【0038】
図5(B)に示すように、ロックコネクタ15には、通信ケーブル43はつながれていない。ロックコネクタ15の側面には、接続部23が設けられている。接続部23には、接続端子15B1、15B2、15B3が設けられている。接続端子15B1には、外部電源ラインは接続されていない。接続端子15B2、15B3は、ロックコネクタ15の内部で短絡されている。
また、ロックコネクタ15の内部には、接続部23を挟んで両側に、ロックアーム50が設けられている。
【0039】
次に、ロックコネクタ15を電子カセッテ12にロックするロック機能について説明する。
図6に示すように、ロックコネクタ15は、一対のロックアーム50を有している。ロックアーム50は、接続部23の外側に設けられ腕部状となっている。腕部は、長手方向が接続端子15B1〜15B3と平行とされ、腕部の先端には、爪部52が形成されている。爪部52は、互いに外方に向けて設けられ、爪部52の筐体16側の腕部には、貫通孔54が形成されている。また、筐体16には、貫通孔90が設けられている。
【0040】
ロックアーム50は、例えば図7で示す移動機構68に取付られ、接続端子15B1〜15B3と平行な方向(矢印P2の方向)へ移動可能に収納されている。即ち、筐体16の角部には操作部66が設けられ、操作部66を押し込む方向(矢印P1の方向)へ押せば、L字部材70が、支点71を中心に回転する(回転方向R1)。L字部材70の端部は回転節点a1に接合されているため、L字部材70の端部が、回転節点a1を矢印P3の方向へ移動させる。回転節点a2は筐体16に取付けられ、移動しないため、回転節点a3が矢印P2の方向へ移動させられる。回転節点a3には、ロックアーム50が取り付けられている。
この結果、ロックアーム50が矢印P2の方向へ移動する。なお、回転節点a2と回転節点a3の間には、スプリング69が設けられており、操作部66から手を離せば、ロックアーム50は、移動前の位置に戻る。
【0041】
電子カセッテ12の接合部24には、接続端子15C1〜15C3が設けられている。ロックコネクタ15の接合部23には、接続端子15C1〜15C3と対向する位置に、接続端子15B1〜15B3が設けられている。
また、ロックアーム50と対向する位置には、ロックアーム受80が設けられている。ロックアーム受80の側壁には、ロックアーム50が挿入されたときに、爪部52を収納する爪受部80Sが設けられている。
爪受部80Sの上方(ロックアーム受80の入口側)には、ソレノイド56が取付けられている。ソレノイド56は、ピン58を軸線方向に移動させることができる。ソレノイド56は、コード57で制御部32と接続され、ソレノイド56によりピン58の移動が制御される。
【0042】
次に、ロックコネクタ15と電子カセッテ12の接合について説明する。
図8(A)に示すように、ロックコネクタ15の操作部66を矢印P1の方向へ押し込み、ロックアーム50を矢印P2の方向へ移動させ、ロックアーム50の距離を近づける。次に、ロックコネクタ15を矢印Dの方向へ移動させ、ロックコネクタ15を電子カセッテ12の接合部24と接合させる。
【0043】
このとき、図8(B)に示すように、ロックアーム50がロックアーム受80に挿入され、ロックアーム50の爪部52が爪受部80Sに係止される。また、接続端子15Bが接続端子15Cに挿入され導通される。
【0044】
その後、コンソール64からソレノイド56を制御してピン58を軸線方向に移動させる。このとき、ピン58が貫通孔54に挿入される。この結果、ロックアーム50の、抜け出る方向(ピン58と直交する方向)への移動が制限される。
なお、電子カセッテ12の内部電源30は遮断されているが、ソレノイド56の制御回路や無線の受信回路には常時通電されており、それらの機能が確保されている。
【0045】
次に、図8(C)に示すように、電子カセッテ12にロックコネクタ15がロックされた状態で、固定部88とロックコネクタ15をワイヤ86で連結する。
ワイヤ86は、ロックコネクタ15の貫通孔90を利用して取り付ける。固定部88は、例えば、電子カセッテ12の運搬用台車の支柱や、保管コーナーに設けられた支柱等である。
これにより、電子カセッテ12が固定部88と連結され、電子カセッテ12の可搬範囲がワイヤ86の長さに制限される。即ち、保管時に、第三者が保管場所から電子カセッテ12を持ち去るのを防止できる。
【0046】
なお、ロック機能を解除する時は、コンソール64との無線通信機能を使用する。即ち、コンソール64からソレノイド56を制御し、ピン58を移動させ、貫通孔54から抜き出す。その後、操作部を矢印P1の方向へ押し込み、ロックアーム50を矢印P2の方向へ移動させる。これにより、爪部52が爪受部80Sから外れる。この状態で電子カセッテ12からロックコネクタ15を抜き出せばよい。コンソール64を操作できる者は限定されており、第三者のロック解除を防止できる。更に、コンソール64からのロック解除操作に暗号を用いてもよい。
【0047】
なお、図示は省略するが、電子カセッテ12にブザーを設けておき、ロック状態において、制御部32からのロック解除信号を発する前に、後述する短絡用第1端子15C2と短絡用第2端子15C3の短絡が解除されたときは、第三者によるロック状態の開放操作が行われた判断し、制御部32はブザーの鳴動信号を出す。
これにより、第三者にロックを解除されたことを周囲に知らせることができる。
なお、ピン58の位置に圧力センサを設けておき、出力を制御部32へ入力させる。ロック状態において、ピン58に設定以上の力が加わったときは、第三者によるロック状態の開放操作が行われていると判断し、制御部32がブザーの鳴動信号を出してもよい。
これにより、ロック解除の段階でロックが解除されていることを周囲に知らせることができる。
【0048】
次に、ロックコネクタ15による電源切替機能について説明する。
図9に示すように、電子カセッテ12には電源切替回路36が設けられている。電源切替回路36は、2入力1出力のセレクタ72と、トランジスタ74と、2つのプル・アップ抵抗器76、78と、を備えており、セレクタ72の一方の入力端子は内部電源30の電力出力端子に接続されている。なお、本実施の形態に係るセレクタ72は、制御端子がロー・レベル(Low Level)となっている場合に一方の入力端子が出力端子に接続され、制御端子がハイ・レベル(High Level)となっている場合に他方の入力端子が出力端子に接続される。但し、このセレクタ72の論理は逆であってもよい。
【0049】
一方、本体側の接続部24には、有線コネクタ14又はロックコネクタ15が接続された場合に、有線コネクタ14の外部電源端子14A1、又はロックコネクタ15の外部電源端子15B1に接触される電力入力端子15C1が備えられており、セレクタ72の他方の入力端子は電力入力端子15C1に接続されている。
【0050】
同様に、接続部24は、有線コネクタ14又はロックコネクタ15が接続された場合に、短絡用第1端子14A3、及び短絡用第3端子15B3に接触される短絡用第1端子15C3が備えられている。さらに、接続部24は、有線コネクタ14又はロックコネクタ15が接続された場合に、短絡用第2端子14A2、及び短絡用第4端子15B2に接触される短絡用第2端子15C2が備えられている。
そして、短絡用第1端子15C2は、トランジスタ74のベースに接続されると共に、プル・アップ抵抗器76を介して、トランジスタ74をオン状態とすることのできる所定の電圧にプル・アップされている。
【0051】
一方、トランジスタ74のコレクタはセレクタ72の制御端子に接続されると共に、プル・アップ抵抗器78を介してセレクタ72の制御端子をオン状態(ハイ・レベル)とすることのできる所定の電圧にプル・アップされている。なお、トランジスタ74のエミッタは接地されている。
【0052】
そして、短絡用第2端子15C3は接地されており、セレクタ72の出力端子は各電力供給先との間に介在された、図示しないDC/DCコンバータの入力端子に接続されている。なお、本実施の形態に係る電源切替回路36では、プル・アップ抵抗器76およびプル・アップ抵抗器78に、内部電源30からのプル・アップ電圧が常時印加されている。
【0053】
次に、図10を用いて、ロックコネクタ15を電子カセッテ12に接続した場合(電子カセッテ12の保管時)の電子カセッテ32の作動を説明する。
同図に示すように、このとき、接続部24に設けられた電力入力端子14A1は開放状態となる。
一方、接続部24に設けられた短絡用第1端子15C2と短絡用第2端子15C3とが、ロックコネクタ15に設けられた短絡用第1端子15B2および短絡用第2端子15B3を介して短絡される。この結果、トランジスタ74がオフ状態となり、セレクタ72の制御端子がプル・アップ抵抗器78を介してハイ・レベルとされ、セレクタ72における上記他方の入力端子が出力端子に接続された状態となる。
【0054】
以上の動作により、内蔵電源30からの電力供給が遮断され、電子カセッテ32の各電力供給先には電力が供給されることはない。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態によれば、接続部材(ここでは、ロックコネクタ15)が放射線画像撮影装置(ここでは、電子カセッテ12)の有線コネクタ接続用の接続端子(ここでは、接続部24)に接続された場合に、当該放射線画像撮影装置における内蔵電源(ここでは、内蔵電源30)からの給電を遮断する。この結果、接続部材を取り付けるという簡易な操作のみにより、煩雑な操作を伴うことなく、内蔵電源30の消費電力を抑制することができる。
【0056】
また、本実施の形態によれば、ロックコネクタ15を、放射線画像撮影装置と外部装置(ここでは、コンソール90)との間を接続するケーブル(ここでは、ケーブル本体43)に設けられた有線コネクタと同じ仕様としているので、本発明の接続部材を簡易に製作することができる。
【0057】
次に、図11を用いて、有線コネクタ14を電子カセッテ12に接続した状態(電子カセッテ12の使用時)を示す。
同図に示すように、有線コネクタ14に設けられた電力出力端子14A1が電子カセッテ12の接続部24に設けられた電力入力端子15C1に接触される。
【0058】
一方、接続部24に設けられた短絡用第1端子15C2と短絡用第2端子15C3とが、有線コネクタ14に設けられた短絡用第3端子14A2および短絡用第2端子14A3を介して短絡される。この結果、トランジスタ74がオフ状態となり、セレクタ72の制御端子がプル・アップ抵抗器78を介してハイ・レベルとされ、セレクタ72における上記他方の入力端子が出力端子に接続された状態となる。
【0059】
以上の動作により、内部電源30からの電力供給が遮断される一方、電子カセッテ12の各電力供給先には、通信ケーブル43を介して入力された外部電源ケーブル26からの電力が上記DC−DCコンバータ等を介して供給される。
これにより、外部電力による放射線画像の撮影ができる。
【0060】
なお、電子カセッテ12の接続部24から有線コネクタ14、及びロックコネクタ15のいずれをも取り外した場合(内部電源30の使用時)は、既に説明した図9の状態となる。
即ち、電子カセッテ12の接続部24に設けられた電力入力端子15C1が開放状態とされる。同時に、短絡用第1端子15C2と短絡用第2端子15C3も、開放状態とされる。この結果、トランジスタ74がオン状態となり、セレクタ72の制御端子がロー・レベルとされ、セレクタ72における上記一方の入力端子が出力端子に接続された状態(図7に示す状態)となる。
以上の動作により、電子カセッテ12の各電力供給先には、内部電源30からの電力が上記DC−DCコンバータ等を介して供給される。
【0061】
(第2の実施の形態)
図12に示すように、第2の実施の形態に係る放射線画像撮影システム96は、第1の実施の形態で説明したロックコネクタ15の貫通孔90を、ロックコネクタ94の側部94Sに形成した切欠き部92とした構成である。相違点を中心に以下説明する。
【0062】
図12(A)に示すように、第2の実施の形態に係るロックコネクタ94は、接続部23側の端部94Sに切欠き部92を設けて形成されている。即ち、切欠き部92は、接続部23側の端部が開放されているため、ロックコネクタ94が電子カセッテ12に接続されたときは、電子カセッテ12の側壁94Sで開放端が閉じ、ワイヤ86の連結用の孔部が形成される。
ロックコネクタ94と電子カセッテ12の接続方法、ロック方法は第1の実施の形態と同じであり、説明は省略する。
【0063】
図12(B)に示すように、電子カセッテ12にロックコネクタ94がロックされた状態で、ワイヤ86で連結する。又はワイヤ86を取り付けた状態で電子カセッテ12にロックコネクタ94を取り付ける。
ワイヤ86は、ロックコネクタ94の切欠き部92を利用して一端を取り付け、他端は固定部88に取り付ける。
【0064】
これにより、電子カセッテ94が固定部88と連結され、電子カセッテ12の可搬範囲がワイヤ86の長さに制限される。即ち、保管時に、第三者が電子カセッテ12を持ち去るのを防止できる。
なお、切欠き部92は、ロックコネクタ94の中央寄りに形成することで、強度の強い取り付け部とすることができる。
【符号の説明】
【0065】
10 放射線画像撮影システム
12 電子カセッテ(放射線画像撮影装置)
14 有線コネクタ(有線接続部材)
15 コックコネクタ(接続部材)
22 有線コネクタ側の接続部
23 コックコネクタ側の接続部
24 本体側の接続部
30 内部電源
32 制御部
34 外部電源ライン
36 電源切替回路(切替手段)
50 ロックアーム(爪部材)
52 爪部(爪部材)
54 貫通孔(ロック部)
56 ソレノイド(ロック手段)
58 ピン(ロック手段)
64 コンソール
68 移動機構
72 セレクタ
74 トランジスタ
80 ロックアーム受部(係合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源ケーブルがつながれた有線接続部材が接続される接続部を備えた放射線画像撮影装置と、
前記接続部に接続される保管用接続部材と、
前記放射線画像撮影装置に設けられ、前記接続部に接続された前記保管用接続部材の取り外しを制限するロック手段と、
前記接続部材に連結され、前記保管用接続部材の可搬範囲を制限する連結部材と、
前記保管用接続部材及び前記放射線画像撮影装置以外に設けられ、前記ロック手段によるロック状態を解除するロック解除手段と、
を有する放射線画像撮影システム。
【請求項2】
前記放射線画像撮影装置には、前記接続部に前記保管用接続部材が接続されたとき、前記放射線画像撮影装置に設けられた内部電源から、外部電源へ切り替える電源切替手段が設けられている請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項3】
前記ロック手段は、前記保管用接続部材に設けられた爪部材のロック部に挿入されるロックピンと、
前記ロックピンを移動させ、前記ロック部の取り外し方向への移動を阻止する状態、又は取り外し方向への移動を可能とする状態とするソレノイドと、
を有する請求項1又は2に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記爪部材は、一対の腕部と、前記腕部の端部に形成され互いに外方へ突出され前記接続部に形成された係合部と係合する爪部と、を有している請求項3に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記腕部は、前記保管用接続部材に設けられた移動機構に取付けられ、前記移動機構が操作されたとき、前記腕部を互いに接近する方向へ移動させる請求項4に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項6】
前記ロック解除手段は、前記ソレノイドを操作する制御信号を発信すると共に、前記放射線画像撮影装置を制御するコンソールに備えられている請求項3〜5のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項7】
前記放射線画像撮影装置には警報発生手段が設けられ、前記警報発生手段は、前記ロック手段がロック状態のまま、前記接続部から前記保管用接続部材が外されると警報を発する請求項1〜6のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項8】
前記連結部材は鋼製の可撓性長尺材であり、前記保管用接続部材に形成された貫通孔又は切欠き部に連結されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項9】
前記鋼製の可撓性長尺材の両端は、ループ状に閉じている請求項8に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項10】
前記鋼製の可撓性長尺材はワイヤであり、前記ワイヤの一部は、放射線画像撮影装置の保管用支柱に接続されている請求項8又は9に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項11】
前記電源切替手段は、前記接続部への前記保管用接続部材の接続を検出し、内部電源ラインから外部電源ラインへ切り替える2入力1出力のセレクタを有している請求項2〜10のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項12】
前記電源切替手段は、前記接続部の接続端子間の導通を検出し、前記内部電源ラインと前記外部電源ラインを切り替える請求項11に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項13】
前記電源切替手段は、前記導通を、前記接続部の接続端子の中の第1接続端子及び第2接続端子で検出し、前記第1接続端子及び前記第2接続端子と接続される、前記保管用接続部材の接続端子の中の第3接続端子及び第4接続端子は、前記保管用接続部材の内部で短絡されている請求項12に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項14】
前記接続部の前記第1接続端子は接地され、前記第2接続端子は、前記セレクタの制御端子に接続されたトランジスタのベースに接続されている請求項11〜13のいずれか1項に記載の放射線画像撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−11529(P2013−11529A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144813(P2011−144813)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】