説明

放熱シート

【課題】 シートの膜厚が薄くて放熱性がよい(電子機器・電子部品用)放熱シート、ならびにそのための製造方法を提供すること。
【解決手段】 グラファイトを、溶解度パラメータが8〜12、ガラス転移温度が−50〜50℃であるバインダー樹脂で結着させてなる放熱シートであって、グラファイト/バインダー樹脂の質量比が66.7/33.3〜95/5であり、シート厚みが50〜150μmであることを特徴とする放熱シート。該バインダー樹脂を溶剤に溶解した溶液にグラファイトを均一に微細分散させた塗工液をコーティングし、乾燥し、好ましくはさらにプレス加工を施すことによって、シート化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコン、携帯電話などの電子機器内に配設され、大規模集積回路(LSI)などの電子部品から発生する熱を効率よく外方に放熱するために使用される放熱シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器は高性能化、多機能化がめざましく、使用されるマイクロプロセッサー(MPU)、画像処理チップ、メモリーなどLSIの高性能化が進む一方で、それに伴いMPUからのLSIの発熱量も増える一方であったため、熱対策が問題となっていた。
従来は、LSIの機器内適正配置で済む場合、そうでないときは小型ファンモーター等の放熱器の利用が一般的であった。しかしながら、ノート型パソコン、携帯電話機など、薄型軽量化(小型化)が特に追求されるような電子機器では、熱設計は難しくなる一方である。そして、以前は放熱器が不要であったMPUについても、発熱量の増加によって、放熱器を用いなければ放熱し切れなくなってきている。
MPUなどの電子部品に放熱器を設けるにあたって、通常は電子部品と放熱器との間に、高熱伝導率の材料から成る放熱シートを配置する。電子部品と放熱器とを直接接合すると、放熱器の接合面の微小な反り等から、電子部品と放熱器の間に空隙が生じると、この空隙が熱伝導の大きな抵抗となるからである。また、ファンモーターの音が気になるというユーザーの声もあり、放熱シートのみの使用でファンレス化したノート型パソコンも市販されるようになった。
このように、放熱シートは、電子機器、電子部品の熱対策にきわめて重要なものとなってきている。
【0003】
放熱シートとしては柔軟性が必要なため、ゴム性状のものが用いられていたが、熱伝導率を上げた放熱シートとして、近年、窒化ホウ素やアルミナなどの無機フィラーをマトリックス樹脂に分散させた放熱シート(特許文献1参照)、平均アスペクト比が3未満の黒鉛質炭素繊維をマトリックス樹脂に分散させた放熱シート(特許文献2参照)などが提案されている。
これら無機質フィラー、特に後者の黒鉛質炭素繊維は熱伝導率がかなり高いものであるが、放熱シートの柔軟性、機械的強度等の物性を重視するために、また、柔軟性のマトリックス樹脂と無機質フィラーの混練/炭素繊維の配向/シート成形、という製法のために、放熱シート中の無機質フィラーの含量はそれほど高くなく、シートの膜厚も数百μオーダー(後者では、厚み500μmの放熱シートの実施例が報告されている)と比較的厚みのあるものにならざるを得ないものであった。結果、これら放熱シートは何れも、必然的に、専らシートの熱伝導率を5〜10W/mK程度と高くすることによって、熱抵抗を低くし(熱貫流率を高くし)、以って放熱性能を高める設計思想を採用していた。
【0004】
【特許文献1】特開平3−151658号公報
【特許文献2】特開平9−283955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる状況下、シートの膜厚が薄くて放熱性がよい(電子機器・電子部品用)放熱シート、ならびにそのための製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的達成のための検討を行った結果、放熱シートの放熱性能、即ち放熱シート表裏の温度差が一定の時に、単位時間に、単位断面積を通過する熱流量は、その熱抵抗(熱貫流率の逆数)に反比例するものであり、放熱性能を高めるためには、熱抵抗を低くすればよいことに着目した。
また熱抵抗は、放熱シートの、〔厚み/熱伝導率〕に比例することに鑑みると、熱抵抗を低くするためには、熱伝導率を高くする方法、及び厚みを薄くする方法の2つの選択肢が有ることを見出した。
因みに、前記の如き従来の放熱シートは、専ら熱伝導率を高くする方を選択するものであった。ただ、その場合、繊維状炭素繊維等の特殊で高価な高熱伝導性材料を必要としたり、或いは繊維をシート中に於いて特定の方向に配向させる等の特殊で難しい技術を必要とする。
しかるに本発明者らは、厚みの寄与にも着目し、先ず高熱伝導性材料をできるだけ少量のバインダー樹脂で結着して、ある程度の高熱伝導率を実現すると共に、製膜法に工夫をして放熱シートの厚みを薄膜化することも併用することにより、汎用の高熱伝導性材料を用いても、十分な低熱抵抗を実現し得ることを見出して本発明を完成するに至った。
かかる放熱シートは、特定のガラス転移温度、溶解度パラメータを有するバインダー樹脂を、同範囲の溶解度パラメータの溶剤に溶解させた樹脂溶液中に、グラファイトを分散させ、これを塗工し、乾燥することで製造することが好ましい。かかる方法により、高グラファイト比の薄いシートであって、放熱性のみならず、機械的強度、柔軟性等においても実用的な放熱シートを容易に得ることができる。
また、バインダー樹脂としては、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル単位の比率が40〜80モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂が好ましく、塗工乾燥後、プレス加工を施すことが、放熱シートの熱伝導性を高める上で好ましい。
【0007】
すなわち本発明は、
(1)グラファイトを、ガラス転移温度が−50〜50℃であるバインダー樹脂で結着させてなる放熱シートであって、グラファイト/バインダー樹脂の質量比が66.7/33.3〜95/5であり、シート厚みが50〜150μmであることを特徴とする放熱シート;
(2)前記バインダー樹脂の溶解度パラメータが8〜12であることを特徴とする上記(1)の放熱シート;
(3)密度が1g/cm3以上である、ことを特徴とする上記(1)又は(2)の放熱シート;
(4)前記バインダー樹脂が、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル単位の比率が40〜80モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂から選ばれる1種以上である上記(1)〜(3)の放熱シート;
(5)上記(1)〜(4)の放熱シートが離型性保護フィルム上に貼着された離型性保護フィルムつき放熱シート;
(6)グラファイト200〜1900質量部;溶解度パラメータが8〜12、ガラス転移温度−50〜50℃であるバインダー樹脂100質量部;溶解度パラメータが8〜12である溶剤を1種類以上含む溶剤200〜3000質量部;からなる放熱シート製造用組成物;
(7)上記(6)の放熱シート製造用組成物をコーティングし、溶剤を乾燥させて固化することによってシート化する放熱シートの製造方法;
(8)上記(7)の製造方法によってシート化後、更にプレス加工する放熱シートの製造方法;
を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の放熱シートは、熱伝導性のよい材料であるグラファイトをできるだけ少量のバインダー樹脂で結着し、かつ、シート厚みをできるだけ薄くしたものであるから、放熱性が良好である。
また、かかる放熱シートは、特定のガラス転移温度、溶解度パラメータを有するバインダー樹脂を、同範囲の溶解度パラメータの溶剤に溶解させた樹脂溶液中に、グラファイトを分散させ、これを塗工し、乾燥し、好ましくはさらにプレス加工を施すことすることで好適に製造することができ、放熱性のみならず、機械的強度、柔軟性等においても実用的な放熱シートを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で使用されるグラファイトとしては、特に制限されず、天然産の燐片状、粒状、塊状のもの、人工の燐片状、塊状のもの、あるいは炭素繊維を黒鉛化したものであってもよい。しかしながら、本発明の好ましい製造方法であるバインダー樹脂溶液中でグラファイトの均一な分散状態を得るために、0.1〜50μm程度の小粒径あるいは小粒径化したものを使用することが好ましい。
【0010】
本発明で使用されるバインダー樹脂は、溶解度パラメータ(以下、SP値という。)が8〜12、ガラス転移温度(以下、Tgという。)が−50〜50℃であることを要し、特に、SP値が8.5〜11、Tgが−30〜10℃が好ましい。SP値がこれらの範囲であるとその範囲のSP値の溶剤によるバインダー樹脂溶液中でグラファイトが均一分散し易く、また、Tgがこの範囲であることで、高グラファイト含量(低バインダー樹脂量)であるにもかかわらず、放熱シートの薄膜での造膜性、柔軟性、および実用的な機械強度等が確保できる。
【0011】
本発明で使用されるバインダー樹脂としては、上記のSP値範囲、Tg範囲を充足するものであれば特に限定されず、ポリウレタン、ポリオレフィン、アクリル樹脂、各種合成ゴムなどであってもよいが、溶剤への易溶解性、溶剤に溶解した組成物の塗工適性(粘度等)の他、シートの機械的強度、耐候性などの点から、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂が特に好適である。
【0012】
ポリエステル系樹脂としては、上記のSP値範囲、Tg範囲を充足するほか、シートの柔軟性、および(本発明の放熱シート製造のための)溶剤への易溶解性の観点から、非晶質のポリエステル系樹脂が好ましく、また、耐侯性の点から飽和ポリエステルが好ましい。
かかる飽和ポリエステルとしては、コハク酸、アジピン酸などの飽和ニ塩基酸とエチレングリコール、1.6ヘキサンジオールなどの飽和ニ価アルコールのポリエステルなどが挙げられる。該飽和ポリエステルの数平均分子量は、5000〜50000あることが好ましい。
なお、ダイオキシン発生防止、低分子シロキサンによる接点不良の防止の観点から、ハロゲンフリー、シロキサンフリーであるポリエステル系樹脂であることが好ましい。
【0013】
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂としては、上記のSP値範囲、Tg範囲を充足するものを用いる。ただし、放熱シートの柔軟性および耐熱性の観点から、酢酸ビニル単位の比率が40〜80モル%であるEVM(ISO1692(1995))とよばれるエラストマーの範囲のものが特に好ましい。該エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の数平均分子量は、50000〜500000であることが好ましい。
EVMエラストマーは耐熱性が高いため、これを使用すると放熱シートの熱安定性が特に優れるという利点がある。
なお、ポリエステル系樹脂同様、ダイオキシン発生防止、低分子シロキサンによる接点不良の防止の観点から、ハロゲンフリー、シロキサンフリーであることが好ましい。
【0014】
本発明の放熱シートは、上記グラファイト/上記バインダー樹脂の質量比が66.7/33.3〜95/5、好ましくは80/20〜90/10であり、且つその配合(熱伝導率1.5〜2W/mK程度)において、十分な低熱抵抗を得るためにシート厚みが50〜150μm、好ましくは80〜120μmであることを特徴とする。
すなわち、熱伝導性を高くするため、高グラファイト含量とし、かつ、シート厚みをできるだけ薄くしたものである。グラファイト/バインダー樹脂比が66.7/33.3より低いと熱伝導性が不十分であり、95/5より高いと実用的な機械強度のシートにすることが困難となる。
また、シート厚みが150μmより厚いとシート厚み方向の熱抵抗が大きく、放熱性が不十分となり、50μmより薄いと実用的な機械強度のシートとならない。
また、かかるバインダー樹脂に対する高グラファイト比は、放熱シートの耐熱性を高めることができる。
【0015】
かかる本発明の放熱シートは、バインダー樹脂を溶剤に溶解した溶液にグラファイトを均一に分散した組成物を、塗工、溶剤を乾燥して固化せしめることにより、高グラファイト含量の、シート厚みの薄い放熱シートとすることができる。すなわち、本発明は、溶剤を使用することにより、グラファイトとバインダー樹脂混合物の流動性を高め、薄膜塗工適性を付与したものである。且つ該組成物を塗工、製膜した後、含有する溶剤を乾燥除去することにより、固化した放熱シートの膜厚は、溶剤分だけ減少し、更なる薄膜化がなされる。
【0016】
本発明の放熱シートの製造に用いられる溶剤は、SP値が8〜12の溶剤であることを要し、8.5〜11であることが好ましい。SP値がこの範囲であるとその範囲のSP値のバインダー樹脂をよく溶解し、かつグラファイトの分散性もよい。
かかる溶剤としては、SP値がこの範囲であれば特に制限されないが、メチルエチルケトン(SP値:9.3)、トルエン(SP値:8.9)、酢酸エチル(SP値:9.1)などが、塗工後の乾燥性、コーティング剤の流動性などの点から好ましく用いられる。
これら溶剤は、1種単独であるいは2種以上を混合して用いてもよい。
さらに、本発明の放熱シートを製造するための組成物(コーティング剤)としては、バインダー樹脂の溶液状態を損なわない範囲において、コーティング剤の流動性や乾燥速度の調節等の目的で、必要に応じて、SP値が前記の範囲外である、希釈溶剤、遅乾溶剤等を適宜の量、添加することができる。
【0017】
本発明の放熱シートを製造するための組成物は、溶解度パラメータが8〜12、ガラス転移温度−50〜50℃であるバインダー樹脂100質量部を、溶解度パラメータが8〜12である溶剤を200〜3000質量部に溶解した溶液に、グラファイト200〜1900質量部を、ディゾルバーなどを用いて、均一かつ微細に分散混合させたものである。
該組成物の塗工性は、組成物の各成分の種類、量に左右されるが、なかでも、溶剤の種類、量、グラファイトの形状・粒径、量等により大きく影響を受ける。
本発明に好適に使用されるコーティング法により、本発明の50〜150μmという薄いシート厚みの放熱シートを容易に得るためには、最適な溶剤配合量(組成物の流動性、乾燥時の厚み収縮との関係を評価するために、組成物全体に対する溶剤の比率で表示する)としては該組成物中の溶剤量で9.1〜91質量%、グラファイト粒径としては0.1〜50μm(d50)程度、そして、グラファイト分散樹脂溶液(コーティング剤)の粘度としては50〜10000mPas(B型粘度計(60回転))程度が好適である。
【0018】
なお、本発明の放熱シートには、放熱特性(熱伝導率)に大きな悪影響を与えない程度であれば、金属水和物などの難燃剤、着色剤、イソシアネートなどの硬化剤、分散剤、マイクロシリカなどを適宜、適量選択して配合しても差し支えない。
【0019】
本発明の放熱シートを製造するための組成物であるグラファイト分散樹脂溶液(コーティング剤)は、通常のコーティング機等で、離型層付き樹脂フィルムなどの離型性フィルム等の上に塗工され、遠赤外線輻射ヒーター、温風吹付けなどによって乾燥されることにより、シート化される。
該離型層としては、メランミン樹脂等が用いられる。また、該樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂等が用いられる。
製膜された放熱シートの熱伝導率は、勿論、より高い方が放熱性能上好ましい。ただし、本発明においては、放熱シートの厚みを150μm以下と薄くすることで熱抵抗を下げる設計のため、放熱シートの熱伝導率は1W/mK程度以上、より好ましくは1.5W/mK以上あれば実用上求められる放熱性能は得られる。この厚み及び熱伝導率の組合わせにより、従来の、厚み500μmで熱伝導率5W/mK程度の放熱シートと同等の放熱性能を得ることができる。前記のような配合の組成物を用いれば、この程度の熱伝導率は容易に得られる。
なお、熱伝導率の測定は、JIS A1412規定の方法、レーザーフラッシュ法等公知の方法に準拠して行う。
【0020】
本発明において、シート化後、プレス加工することにより、グラファイトが高密度化し、且つグラファイト粒子同士の熱的接合が向上することにより、放熱シートの膜厚方向の熱伝導率が向上し、そして膜厚が更に薄くなるので放熱適性(熱伝導率/膜厚に比例)が向上し好ましい。前記のようなグラファイト/バインダー樹脂の質量比において、十分な熱伝導率を得るためには、密度は1g/cm3以上が好ましい。通常の塗工による製膜のみでは、この密度を得ることは難しいが、製膜後にプレス加工することにより、容易に1g/cm3以上の密度を得ることが出来る。
【0021】
このように得られた放熱シートは、離型性フィルムから剥がし、あるいは、離型性フィルムを保護フィルムとした状態で、放熱シートとしての使用に供するための製品の形とすることができる。
【0022】
また、本発明の放熱シートは、粘着性層を放熱シートの上面または下面にさらに設けた構成としてもよく、これにより、製品使用時の利便性が高まる。
【実施例】
【0023】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
実施例1
300ml容の攪拌混合機を備えた容器中で、ポリエステル樹脂としてポリエステルA(非晶質飽和共重合ポリエステル;製造元:東洋紡績株式会社、品名:バイロン550、Tg:−15℃、数平均分子量28000、比重1.17、SP値10.84)をメチルエチルケトン/トルエン混合溶剤中35質量%溶解した溶液の20質量部に、グラファイト(平均粒径:8μm(d50))28質量部を加え、よく混合して均一スラリーとした(グラファイト/バインダー樹脂質量比=80/20)。このスラリーに、さらにメチルエチルケトン52質量部を添加して攪拌混合し、グラファイト微粒子が均一に分散した塗工液を得た。
得られた塗工液をコーティング機(アプリケーター)により、離型剤塗布PETフィルムの離型剤層上に塗工し、熱風乾燥して、含有する溶剤を乾燥除去することで放熱シートを得た。該放熱シートは、膜(シート)の厚みが118μm、密度が0.82g/cm3、熱伝導率が1.20W/mKであった。
得た放熱シートをさらに、30kg/cm2の圧力にてプレス加工した。プレス加工後の放熱シートは、膜の厚みが86μm、密度が1.28g/cm3、熱伝導率が1.74W/mKであった。
なお、放熱シートの密度(比重)は、5.0×10.0cmのサイズに切り取ったシートの膜厚および重さ(質量)を測定して算出した。
また、熱伝導率の測定は、レーザーフラッシュ法により熱拡散率を求め、該熱拡散率と熱容量(密度×比熱)との積として熱伝導率を算出する方法で行った(実施例2以下も同様)。
また、SP値は、FEDORS法により求めた。
【0024】
実施例2
ポリエステルA溶液を10質量部、グラファイト(平均粒径:8μm(d50))を27質量部(グラファイト/バインダー樹脂質量比=89/11)、希釈のメチルエチルケトンを63質量部としたほかは実施例1と同様にして、プレス加工済みの放熱シートを得た。該放熱シートは、膜の厚みが90μm、密度が1.38g/cm3、熱伝導率が1.89W/mKであった。
【0025】
比較例1
ポリエステル樹脂として、ポリエステルB(非晶質飽和共重合ポリエステル;製造元:東洋紡績株式会社、品名:バイロン200、Tg:67℃、数平均分子量17000、比重1.26、SP値11.73)を用いたほかは実施例1と同様にして、塗工液を離型剤塗布PETフィルム上に塗工し、熱風乾燥した。
しかしながら、機械的強度のあるシートを得ることができなかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラファイトを、ガラス転移温度が−50〜50℃であるバインダー樹脂で結着させてなる放熱シートであって、グラファイト/バインダー樹脂の質量比が66.7/33.3〜95/5であり、シート厚みが50〜150μmであることを特徴とする放熱シート。
【請求項2】
前記バインダー樹脂の溶解度パラメータが8〜12であることを特徴とする請求項1記載の放熱シート。
【請求項3】
密度が1g/cm3以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の放熱シート。
【請求項4】
前記バインダー樹脂が、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル単位の比率が40〜80モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂から選ばれる1種以上である請求項1〜3記載の放熱シート。
【請求項5】
請求項1〜4記載の放熱シートが離型性保護フィルム上に貼着された離型性保護フィルムつき放熱シート。
【請求項6】
グラファイト200〜1900質量部;溶解度パラメータが8〜12、ガラス転移温度−50〜50℃であるバインダー樹脂100質量部;溶解度パラメータが8〜12である溶剤200〜3000質量部;からなる放熱シート製造用組成物。
【請求項7】
請求項6記載の放熱シート製造用組成物をコーティングし、溶剤を乾燥させて固化することによってシート化する放熱シートの製造方法。
【請求項8】
請求項7記載の製造方法によってシート化後、更にプレス加工する放熱シートの製造方法。


【公開番号】特開2006−86271(P2006−86271A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−268232(P2004−268232)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(000183923)ザ・インクテック株式会社 (268)
【Fターム(参考)】