説明

放熱ユニットおよびこれを用いた電子機器

【課題】軽量化した放熱構造すなわち放熱ユニットを提供する目的とするものである。
【解決手段】電子機器の一つの面に配置して内部と外部を仕切る仕切り板8と、この仕切り板8に設けた熱交換体10と、前記仕切り板8の前記電子機器の内部側に配置した送風機9とで構成した放熱ユニット4であって、前記熱交換体10は、板体で構成するとともに、前記外部と遮断された放熱風路16と外部に連通した対流風路17とを有し、前記対流風路17は、前記仕切り板8から外部に向けて突出させた、多数の連結柱19とこの連結柱19の端部を結合する放熱板体20とで構成した放熱フレーム21の内外に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所に設置して使用する電子機器とそれに使用する放熱ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子機器は、その表面に情報を表示する表示装置を備え、この表示装置の裏側にはこの表示装置を駆動する制御装置を備え、その外側を仕切り板で覆っていた。そして、この電子機器は、天井から吊り下げていた(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7―322172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような電子機器を特に屋外に設置する場合、表示装置と制御装置から発生する熱を放熱するために、放熱構造は、電子機器の裏側のカバーに放熱器を配置するとともに、内部にファンを配置し、空気を攪拌して、電子機器内部に充満した熱を放熱器から外部へ放出するものであった。そしてこの放熱器は、アルミニウム等金属性のブロックで形成したものを前記カバーと一体にして設けていた。さらに、カバー内側では、金属製の熱伝導体を制御装置内の発熱部品と放熱器の間に接触させて設け、発生する熱を前記放熱器へ伝導させていた。そのため、電子機器は、重量が重くなり、高所に吊り下げるのに強固な吊り下げ部材が必要であった。そこで本発明は、放熱構造すなわち放熱ユニットの軽量化をすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そして、この目的を達成するために、本発明の放熱ユニットは、電子機器の一つの面に配置して内部と外部を仕切る仕切り板と、この仕切り板に設けた熱交換体と、前記仕切り板の前記電子機器の内部側に配置した送風機とで構成した放熱ユニットであって、前記熱交換体は、板体で構成するとともに、前記外部と遮断された放熱風路と外部に連通した対流風路とを有し、前記対流風路は、前記仕切り板から外部に向けて突出させた、多数の連結柱とこの連結柱の端部を結合する放熱板体とで構成した放熱フレームの内外に形成したことを特徴としたものでこれにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、放熱ユニットは、電子機器の一つの面に配置して内部と外部を仕切る仕切り板と、この仕切り板に設けた熱交換体と、前記仕切り板の前記電子機器の内部側に配置した送風機とで構成した放熱ユニットであって、前記熱交換体は、板体で構成するとともに、前記外部と遮断された放熱風路と外部に連通した対流風路とを有し、前記対流風路は、前記仕切り板から外部に向けて突出させた、多数の連結柱とこの連結柱の端部を結合する放熱板体とで構成した放熱フレームの内外に形成したことを特徴とする。これにより、電子機器の内部側から空気を強制的に熱交換体内へ送風して、熱交換体を介して電子機器の外部側の対流風路を流れる空気へ放熱することができ、熱交換体を板体で構成することで軽量化した放熱ユニットを提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態1の表示装置の設置状態を示す図
【図2】同表示装置の背面図
【図3】同放熱ユニットを表示装置に取り付けた状態を示す背面図
【図4】同表示装置の側断面図((a)対流風路の動作を示す図、(b)放熱風路の動作を示す図)
【図5】同放熱ユニットの構成を示す図
【図6】同放熱ユニットの構造を示す図((a)熱交換体の概観図、(b)A−A断面において放熱風路を示す図(c)B−B断面において対流風路を示す図)
【図7】仕切り板を高発熱部品に接触させる構成を示す図
【図8】同放熱ユニットの構成を示す図
【図9】同実施の形態2の放熱ユニットの構造を示す図((a)熱交換体の概観図、(b)A−A断面において放熱風路を示す図(c)B−B断面において対流風路を示す図)
【図10】同実施の形態3の放熱ユニットの構成を示す図
【図11】同表示装置の放熱風路の動作を示す側断面図
【図12】同実施の形態4の放熱ユニットを表示装置に取り付けた状態を示す背面図((a)横長設置状態を示す図、(b)縦長設置状態を示す図)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の請求項1記載の放熱ユニットは、電子機器の一つの面に配置して内部と外部を仕切る仕切り板と、この仕切り板に設けた熱交換体と、前記仕切り板の前記電子機器の内部側に配置した送風機とで構成した放熱ユニットであって、前記熱交換体は、板体で構成するとともに、前記外部と遮断された放熱風路と外部に連通した対流風路とを有し、前記対流風路は、前記仕切り板から外部に向けて突出させた、多数の連結柱とこの連結柱の端部を結合する放熱板体とで構成した放熱フレームの内外に形成したことを特徴とする。これにより、電子機器の内部側から空気を強制的に熱交換体内へ送風して、熱交換体を介して電子機器の外部側の対流風路を流れる空気へ放熱することができ、熱交換体を板体で構成することで軽量化した放熱ユニットを提供するという効果を奏する。
【0009】
また、請求項2記載の放熱ユニットは、連結柱と放熱板体を空洞にして構成し、この空洞部分は放熱風路の一部を形成する構成を有する。これにより、電子機器内部の空気を連結柱と放熱板体の空洞部分に形成した放熱風路へ流して、外部の空気に放熱させることができるという効果を奏する。
【0010】
また、請求項3記載の放熱ユニットは、連結柱は所定の間隔を置いて碁盤の目のごとくに配置し、前記所定の間隔に対応させて放熱板体に対流風路を流れる空気の出入りをさせる通気孔を配置した構成を有する。これにより、対流風路を流れる空気は、通気孔を出入りしながら放熱フレーム内を流すことができ、熱交換体からの放熱を促進させることができるという効果を奏する。
【0011】
また、請求項4記載の放熱ユニットは、熱交換体は、前記外部と遮断された放熱風路を有し、この放熱風路は、前記仕切り板との間に設けた第1の風路と、前記仕切り板から前記電子機器の外部に所定の間隔をおいて放熱板体内に設けた第2の風路と、連結柱内に設けて前記第1の風路と第2の風路を連通させる第3の風路とで構成されることを特徴としたものである。これにより、電子機器の内部側から空気を強制的に熱交換体内へ送風して、第1の風路から第3の風路を経由して第2の風路へ送風して電子機器の外部側へ放熱することができるという効果を奏する。
【0012】
また、請求項5記載の放熱ユニットは、仕切り板は、熱交換体に空気を出入りさせる横長に形成した開口を少なくとも上下2箇所に設けた構成を有する。これにより、一方の開口から空気を流し込み他方の開口から空気を引き出すことで、電子機器の内部側から空気を強制的に熱交換体内へ送風して、熱交換体を介して電子機器の外部側へ放熱することができるという効果を奏する。
【0013】
また、請求項6記載の放熱ユニットは、送風機を仕切り板の開口から熱交換体に空気を吹きこむように設けた構成を有する。これにより、一方の開口から熱交換体内に空気を流し込み第1の風路、第2の風路、第3の風路を通過した空気は、他方の開口から引き出すことができ、電子機器の内部側から空気を強制的に熱交換体内へ送風して、熱交換体を介して電子機器の外部側へ放熱することができるという効果を奏する。
【0014】
また、請求項7記載の放熱ユニットは、第1の風路と第2の風路には、風路を仕切る横長に形成した遮蔽壁を設け、前記第1の風路は、前記第2の風路に比べて前記遮蔽壁を一つ多く設けた構成を有する。これにより、一方の開口から空気を流し込み他方の開口から引き出す空気は、第1の風路から第3の風路を介して第2の風路へ少なくとも二往復させて流すことができ、電子機器の内部側から空気を強制的に熱交換体内へ送風して、熱交換体を介して電子機器の外部側へより多くの熱を放熱することができるという効果を奏する。
【0015】
また、請求項8記載の放熱ユニットは、第1の風路には2箇所の開口間を仕切る横長に形成した遮蔽壁を設けた構成を有する。これにより、仕切り板の一方の開口から吹き込まれた空気は、第1の風路から第3の風路を介して第2の風路へ流れ込み、前記とは別の第3の風路を流れ第1の風路を通り他方の開口から電子機器内へ吹き出すこととなり、この間に熱交換体を形成する板体を介して電子機器の外部側へ放熱をすることができるという効果を奏する。
【0016】
また、請求項9記載の放熱ユニットは、仕切り板は熱伝導部材を介して前記電子機器の高発熱部品に接触させた構成を有する。これにより、電子機器内部に配置した高発熱部品の熱を仕切り板に伝導させることができ、第1の風路から第3の風路へ流れる空気の作用により熱交換体を介して電子機器の外部側へ放熱することができるという効果を奏する。
【0017】
また、請求項10記載の放熱ユニットは、熱交換体は、前記外部と遮断された放熱風路を有し、この放熱風路は、前記仕切り板から前記電子機器の外部に所定の間隔をおいて設けた第2の風路と、前記仕切り板の内側と第2の風路を連通させる第3の風路とで構成されるという特徴を有する。これにより、第3の風路の作用により電子機器内の空気は第2の風路内へ送り込まれて熱交換体を介して電子機器の外部の対流風路に放熱することができるという効果を奏する。
【0018】
また、請求項11記載の放熱ユニットは、仕切り板は、熱交換体に空気を流入させる横長に形成した案内を一部の第3の風路に対向させて設けた構成を有する。これにより、案内から一部の第3の風路に空気を流し込み第2の風路を経由して別の第3の風路から空気を引き出すことで、電子機器の内部側から空気を強制的に熱交換体内へ送風して、熱交換体を介して電子機器の外部側へ放熱することができるという効果を奏する。
【0019】
また、請求項12記載の放熱ユニットは、送風機を仕切り板の案内から熱交換体に空気を吹きこむように設けた構成を有する。これにより、案内から一部の第3の風路に空気を流し込み第2の風路を経由して別の第3の風路から空気を引き出すことができ、電子機器の内部側から空気を強制的に熱交換体内へ送風して、熱交換体を介して電子機器の外部側へ放熱することができるという効果を奏する。
【0020】
また、請求項13記載の放熱ユニットは、第3の風路の断面は一部の第3の風路から離れるにしたがって大きく形成した構成を有する。これにより、一部の第3の風路に吹き込んだ空気は、第2の風路を経由して他の第3の風路から再び電子機器内へ吹き出すことになる。このとき第3の風路の断面積を一部の第3の風路から離れるにしたがって大きく形成することで、熱交換体内部を流れる空気が隅々まで行き渡ることとなり、吹き出す空気も偏りがなくなる。そして、電子機器内の熱を電子機器外へ放熱することができるという効果を奏する。
【0021】
また、請求項14記載の放熱ユニットは、縦横隣り合う連結柱の投影形状が等しくなるように第3の風路を形成する。これにより、第3の風路の断面積を前項のように変化させても対流風路を流れる空気は、確実に連結柱に触れながら上昇することができ、自然対流による放熱効果を確保することができるという効果を奏する。
【0022】
また、請求項15記載の放熱ユニットは、熱交換体を樹脂成型にて構成したものである。これにより、樹脂成型にて構成した熱交換体の作用により、電子機器の外部側と内部側の気密性を確保するとともに軽量化した放熱ユニットを提供するという効果を奏する。
【0023】
また、請求項16記載の電子機器は、放熱ユニットを搭載した構成を有する。これにより、電子機器の内部側から空気を強制的に熱交換体内へ送風して、熱交換体を介して電子機器の外部側へ放熱することができ、軽量化した電子機器を提供するという効果を奏する。
【0024】
以下、本実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1に示すように、電子機器を代表とする表示装置1は、例えば、薬局の店舗の屋外側に吊り下げられている。
【0026】
そして、その表面には、例えば「マスクが入荷いたしました。」といったように、人々が待ち望んでいる商品の入荷状況を、リアルタイムで、お客様にお知らせする表示パネル2を設けたものである。
【0027】
また図2に示すように、その表示装置1の裏面には、多数の孔を設けた裏カバー3を設けている。
【0028】
裏カバー3の内側には、図3に示すように放熱ユニット4が配置されている。
【0029】
さて、表示装置1は、上記のように表面にプラズマディスプレイパネルを一例とする電子表示機器を用いた表示パネル2を設け、図4(a)に示すように表示装置1の内部には、前記表示パネル2へ情報を映像として表示させる制御を行なう制御装置5を配置し、この制御装置5を覆うカバー6を設ける。また、前記カバー6の背面は、前記制御装置5後方側を開口し、この開口を覆う仕切り板8を設けている。
【0030】
仕切り板8には、図5に示すように前記カバー6の内部側には送風機9、カバー6の外部側には、熱交換体10を配置し、この熱交換体10は、枠体11によって前記仕切り板8に圧接させて一体化している。そして、前記カバー6と枠体11とを表示装置1の裏面側から前記裏カバー3が覆う構成としている。この裏カバー3は上面と側面及び底面に内側と外側を連通する網目または格子を備えている。
【0031】
また、前記仕切り板8は、上方の一辺に平行にしてかつ横長に形成した上方開口部12と、同様に下方の一辺に平行にしてかつ横長に形成した下方開口部13を有する。すなわち、仕切り板8の上方と下方に開けた二つの開口である上方開口部12と下方開口部13は、水平方向に伸ばされた横長開口としたものである。
【0032】
そして、この上方開口部12と下方開口部13は、図5に示すように、それぞれ後述する熱交換体10の第3の風路25の流入口14と流出口14aの位置に対向させて配置する。また、仕切り板8の反対側の面には、下方開口部13に対向させて、送風機9を備えている。
【0033】
また、この送風機9は、カバー6の内側で、制御装置5の上部に配置されるとともに、送風機9の吐出側を仕切り板8の上方開口部12に連結させたものである。つまり送風機9は、仕切り板8の開口から熱交換体10の第3の風路25の流入口14に空気を吹きこむように設けた構成を有する。
【0034】
そして、これら仕切り板8、送風機9、熱交換体10、枠体11で放熱ユニット4を構成する。
【0035】
つまり、電子機器である表示装置1本体の制御装置5後方側を開口部とし、この開口部を放熱ユニット4の仕切り板8で覆ったものである。
【0036】
このようにして、前記制御装置5の後方に放熱ユニット4を一体化して設け、この放熱ユニット4は、図3に示すように横長の表示装置1の制御装置5のブロックごとに区切って熱交換体10を配置し、一体にして設けたものである。
【0037】
また図5に示すように、送風機9は複数の送風ファン15を水平方向に配置した構成としたものである。
【0038】
また、熱交換体10は、たとえば、ポリスチレン樹脂を使用して成型した板体を図5に示すように三つのパーツで構成するとともに、図6(b)に示すように表示装置1の外部とは遮断された放熱風路16と、図6(c)に示すように外部に連通した対流風路17とを有する。
【0039】
つまり、熱交換体10は内部に放熱風路16を、外部に対流風路17を備えたものである。
【0040】
熱交換体10は、仕切り板8と平行にして設けたベース板18とから外部に向けて突出させた多数の連結柱19と、この連結柱19の端部を結合する放熱板体20とで構成した放熱フレーム21を有し、この放熱フレーム21の内側に対流風路17が形成される。
【0041】
また、連結柱19は、その断面を円形状にして、多数をベース板18の上に所定の間隔を置いて碁盤の目のごとくに行と列を直線状に並べて、さらに放熱板体20と連結させて配置したものである。
【0042】
また、放熱板体20は、前記所定の間隔に対応させて、すなわち連結柱19が配置された部分を除けて、同じく碁盤の目のごとくに並べて多数の通気孔22を備えている。この通気孔22は放熱板体20の貫通するものである。
【0043】
また、連結柱19と放熱板体20は内部を空洞にして構成し、この空洞部分は放熱風路16の一部を形成するものである。つまり、仕切り板8とベース板18との間に第1の風路23、放熱板体20の内部に第2の風路24、連結柱19の内部に第3の風路25が形成され、図4(b)に示すように熱交換体10の内部には表示装置1内部を循環する放熱風路16が形成される。
【0044】
また第1の風路23には、図6(b)に示すように、第1の風路23には2箇所の開口間を仕切る、すなわち上方開口部12と下方開口部13間を仕切る横長に形成した遮蔽壁26を設けている。この遮蔽壁26により第1の風路23は、上方開口部12に連通する第1の風路23aと下方開口部13に連通する第1の風路23bとに仕切られる。また、第3の風路25は、同様に第1の風路23aに連通する第3の風路25aと、第1の風路23bに連通する第3の風路25bとに区別される。そして、第3の風路25aと第3の風路25bはそれぞれ、少なくとも最端の一列を上方開口部12と下方開口部13と対向させている。つまり上方開口部12に対しては、最上部の一列の流入口14、下方開口部13対しては、最下部の一列の流出口14aを対向させている。
【0045】
そして、図4(b)に示すように放熱風路16は、熱交換体10の内部側に並んで形成した第1の風路23と第2の風路24により、縦方向の風路が形成され、第3の風路25により、これら第1の風路23と第2の風路24と連通させる横方向の風路が複数形成される。熱交換体10を出入りする空気は、仕切り板8に設けた開口である上方開口部12と下方開口部13部分で水平方向にして、表示装置1の内部側にコの字の風路が形成される。
【0046】
また、仕切り板8は、表示装置1の内側に図7に示すように熱伝導部材27を介して電力半導体スイッチング素子を代表とする高発熱部品28に接触させた構成とする。
【0047】
この高発熱部品28を接触させる部分は、前記遮蔽壁26より上側に位置させることが望ましい。
【0048】
このような構成によれば、表示装置1を駆動し、上記のように表示パネル2を点灯させると、制御装置5内の回路部品が大きな熱を発生させることとなるが、人々が待ち望んでいる商品の入荷状況を表示することが容易にできる。
【0049】
すなわち、このような屋外の人々を対象にした表示装置1では、屋内のテレビの表示に比べて表示パネル2の発光輝度を高くする必要があり、非常に大きな電力とそれに伴う大きな熱が発生する。また、表示装置1は屋外で使用するため、埃や雨水の浸入を防ぐように制御装置5をカバー6および放熱ユニット4によって覆い、表示装置1の内部は密閉された状態であり、表示装置1の内部は非常に大きな熱がこもる構成となる。
【0050】
そこで、表示パネル2で表示を開始すると、送風機9を駆動させて、カバー6内で、制御装置5の上方の空気は上方開口部12から熱交換体10へ押し込まれ、下方では下方開口部13から再び表示装置1内へ吹き出される。つまり、熱交換体10の内部へ押し込まれた空気は、遮蔽壁26の作用によって、第1の風路23aから第3の風路25aを通って第2の風路24へ流れ、放熱板体20の中を流れ、前記第3の風路25aとは区別される第3の風路25bを通って第1の風路23bへ流れ、下方開口部13から表示装置内へ吹き出されることとなる。
【0051】
ここで、第3の風路25aは最上部の列を上方開口部12に対向させているため送風機9によって押し込まれた空気は一部が流入口14へ直接吹き込まれることで速やかに第2の風路24へ流しこむことができる。また、第3の風路25bは最下部の一列を下方開口部13に対向させているため第2の風路24を流れる空気は放熱板体20の内部の隅々まで行渡らせることができる。
【0052】
そして、送風機9の作用により、カバー6内の空気が、強制的に放熱風路16を循環することになる。これにより熱交換体10の内部に制御装置5から発生した熱が伝えられる。
【0053】
つまり、仕切り板8の外側に位置する熱交換体10の内側、すなわち第1の風路23、第2の風路24、第3の風路25の温度が上昇する。そして、合成樹脂性の板体を境にして表示装置1の外部側の空気との間に熱勾配が生じ、裏カバー3の内側に空気の自然対流が発生する。この自然対流により、熱交換体10の放熱フレーム21内を空気が抜けて流れて裏カバー3の上面を貫通して上昇気流が発生する。そして裏カバー3の底面から外気が流入して、自然対流が促進され放熱効果を顕著にすることができる。また、熱交換体10の内部温度が上昇することで、通気孔22部分では、対流風路17と外気の間で、図4(a)に示すように局部的な空気の出入りが発生して微小対流17aを発生させ、この微小対流17aによる放熱フレーム21内の空気の出入りにより熱交換体10の内部つまり表示装置1内部の熱の放熱を促進させることとなる。そしてこの微小対流17aの作用により、裏カバー3の背面を網目または格子にして通気性を有する構造にしておくとさらに放熱を促進させることができる。
【0054】
熱交換体10は合成樹脂性の板体としてポリスチレン樹脂を使用したことで熱交換体10を軽量化することができる。特に放熱用の部品として一般に用いられているアルミニウムを主材料としたヒートシンクに比べて格段の軽量化が図れる。
【0055】
また、連結柱19は、その断面を円形状にしているので、第1の風路23から第2の風路24への空気の流れがより円滑になり、放熱風路16を流れる空気の量を増大させることができる。
【0056】
仕切り板8は熱伝導率の高い金属などの材料で構成したときは、高発熱部品28の熱が熱伝導部材27を介して直接仕切り板8に伝導し、熱交換体10に高発熱部品28の熱を伝えることにより、効率的に放熱することができる。
【0057】
なお、本実施の形態では、連結柱19は、多数をベース板18の上に所定の間隔を置いて碁盤の目のごとくに行と列を直線状に並べた実施の形態を説明したが、市松模様状に並べることもできる。この場合、裏カバー3の内側に発生する自然対流の風路を確保するために、碁盤の目のごとく位置する場合に比べて、連結柱19の配置は、1.4倍程度の間隔をとることが望ましい。
【0058】
また、図8に示すように連結柱19は、対流風路17において伝熱面積を大きくするためにフィン30を外周に設けても良い。この場合、放熱効果を増大させることができる。
【0059】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1の遮蔽壁26を複数備えた形態を説明する。つまり、実施の形態1の遮蔽壁26の配置例は、本実施の形態の特定の例でもある。より一般的な備え方の一例として本実施の形態を説明する。
【0060】
なお、理解を容易にするために、以下の説明において実施の形態1と同一部分については同一符号を付しその説明は簡略化する。
【0061】
図9に示すように、本実施の形態では、放熱板体20の内部に第2の風路24を二つに分ける遮蔽壁26aと、仕切り板8とベース板18との間に第1の風路23を三つに分ける遮蔽壁26b、遮蔽壁26cを備える。つまり、第2の風路24は、遮蔽壁26aによって上方開口部12側の第2の風路24aと下方開口部13側の第2の風路24bとに仕切られる。また、第1の風路23は、遮蔽壁26bを上方開口部12側に配置して、上方開口部12側の第1の風路23aを形成し、遮蔽壁26cを下方開口部13側に配置して、下方開口部13側の第1の風路23bを形成する。そして、これら遮蔽壁26bと遮蔽壁26cとで挟まれた第1の風路23cが形成されるものである。また、第3の風路25は、第1の風路23cと第2の風路24aを連通させるものを第3の風路25cとし、第1の風路23cと第2の風路24bを連通させるものを第3の風路25dとする。つまり、第1の風路23と第2の風路24には、風路を仕切る横長に形成した遮蔽壁26bと遮蔽壁26cと遮蔽壁26aをそれぞれ設け、前記第1の風路23は、前記第2の風路24に比べて、これら遮蔽壁を一つ多く設けたものである。これにより、一方の開口から空気を流し込み他方の開口から引き出す空気は、第1の風路23から第3の風路25を介して第2の風路24へ少なくとも二往復させて流すことができ、表示装置1(電子機器)の内部側から空気を強制的に熱交換体10内へ送風して、熱交換体10を介して表示装置1(電子機器)の外部側へより多くの熱を放熱することができるという効果を奏する。
【0062】
このような構成によれば、遮蔽壁26a、遮蔽壁26b、遮蔽壁26cの作用により、熱交換体10の内部に、上方開口部12から第1の風路23a、第3の風路25a、第2の風路24a、第3の風路25c、第1の風路23c、第3の風路25d、第2の風路24b、第3の風路25b、第1の風路23b、下方開口部13へと連通する放熱風路16aが形成される。そして、放熱風路16aの表示装置1内の空気を流すことで、この空気は、ベース板18と放熱板体20間を二往復して流れることとなり、表示装置1の外側の対流風路17への放熱面積を大きくとることができ、その効果を実施の形態1のものに比べて特に増加させることができる。
【0063】
つまり、本実施の形態のように構成することで、合成樹脂性の板体を境にして表示装置1の外部側の空気との間に熱勾配が生じ、裏カバー3の内側に空気の自然対流が発生する。この自然対流により、熱交換体10の放熱フレーム21内を空気が抜けて流れて裏カバー3の上面を貫通して上昇気流が発生する。そして裏カバー3の底面から外気が流入して、自然対流が促進され放熱効果をより顕著にすることができる。
【0064】
なお本実施の形態は、第1の風路23側の遮蔽壁を2つ、第2の風路24側の遮蔽壁を1つ設けたものであるが、遮蔽壁の個数はこれに限定されるものではなく、第3の風路25を形成する連結柱19の配列に応じて、その間に配置するものであれば放熱効果をより顕著にすることができる。ただし、第1の風路23側の遮蔽壁の数は、第2の風路24側の遮蔽壁の数より一つ多く設けるものである。これにより、上方開口部12から流入した空気が、熱交換体10内を第1の風路23側と第2の風路24側を往復して放熱し、下方開口部13から再び表示装置1(電子機器)内へ吹き出させることができる。上記のように第1の風路23側と第2の風路24側を往復する回数は、第1の風路23側に配置した遮蔽壁の数で決まることは言うまでもない。
【0065】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1、2の構成に対して、図10に示すように熱交換体10から表示装置1内に吹き出す空気は、下方開口部13を介さずに図11に示すように第3の風路25bからそれぞれ吹き出す構成としている。
【0066】
つまり、実施の形態1の仕切り板8は、図11に示すように上方開口部12に替えて、上部に送風機9の吹き出し風を熱交換体10内空気に流入させる横長に形成した案内29を設け、下方開口部13は設けない構成とする。したがって、実施の形態1の第1の風路23と遮蔽壁26は備えていないものである。
【0067】
なお、理解を容易にするために、以下の説明において実施の形態1と同一部分については同一符号を付しその説明は簡略化する。
【0068】
図11において、第3の風路25は、実施の形態1と同様に送風機9に連通する第3の風路25aと表示装置1内に空気を直接吹き出す第3の風路25bとに区別される。第3の風路25aは、送風機9の吹き出しに対向する流入口14と、前記のごとく表示装置1内に空気を吹き出す流出口14aとを備えている。第3の風路25bは、第3の風路25aから離れるにしたがって、断面積を大きく形成する。つまり、最上部の少なくとも一列は第3の風路25aとして流入口14を備え、それよりも下部側に位置する第3の風路25bは一列ごとに断面積を大きく形成したものである。対流風路17での放熱を考慮して放熱風路16の第3の風路25bの断面形状は、横幅を変化させずに縦長にすることが望ましい。つまり、縦横隣り合う連結柱の投影形状が等しくなるように第3の風路25を形成する。これにより、第3の風路25bの断面積を前項のように変化させても対流風路17を流れる空気は、確実に連結柱に触れながら上昇することができ、自然対流による放熱効果を確保することができる。
【0069】
このような構成によれば、送風機9の作用によって、案内29から流入口14に吹き込まれた空気は、第3の風路25aから第2の風路24へ流れ込み、第3の風路25bから表示装置1内へ再び吹き出されて、表示装置1と熱交換体10内を循環させることができる。そして、熱交換体10を形成する板体を介して、対流風路17の空気と熱交換を繰り返し、表示装置1内の熱を外気に放熱することとなる。
【0070】
このとき、本実施の形態のように最上部の少なくとも一列は第3の風路25aとして流入口14を備え、それよりも下部側に位置する第3の風路25bは一列ごとに断面積を大きく形成することで、表示装置1内に流出口14aから吹き出す空気は、風路抵抗の配分が第3の風路25bの断面積により調整されることとなり、流入口14に近い流路と遠い流路での差を解消して均一に吹き出すことができる。
【0071】
また、放熱風路16の第3の風路25bの断面形状を縦長に変化させることで、対流風路17において次の列の連結柱19が手前の連結柱19の影になることがなく、対流空気はすべての連結柱19の外側にまとわりつきながら上方へ流れることができる。これにより、連結柱19を円柱形状に形成した場合に比べて放熱効果を増大させることができる。円柱形状にすると上部に配置した連結柱19は下部に配置した連結柱の陰になり対流風路17を流れる空気が連結柱19に接触しにくくなるためである。
【0072】
(実施の形態4)
以上のように、放熱ユニットとそれを用いた電子機器の発明について説明をした。すなわち、実施の形態1、2では、熱交換体10は、図3に示すように、横長の表示装置1に備えた実施の形態を説明した。
【0073】
すでに説明はしているが、電子機器である表示装置1は、前記のように表面にプラズマディスプレイパネルを一例とする電子表示機器を用いた表示パネル2を設けたものであり、これらは図12(a)に示すように、通常縦方向の長さに比べて横方向の長さを長くした形状で設置するものである。つまり、熱交換体10に設けた放熱フレーム21内を表示装置の短手方向に流れて放熱を行うものである。
【0074】
しかし、広告や商品情報の発信およびポスターの用途に使用する場合、使用場所または表示内容によっては、図12(b)に示すように、表示装置1の裏カバー3を取り外した図に示すように縦方向を長くして設置する場合もある。そこで、表示装置1は、使用現場での状況に応じて、縦方向、横方向を問わず設置されても内部の放熱を行えるものが要求される。
【0075】
前述の実施の形態1、2では、放熱フレーム21は、連結柱19を碁盤の目のごとくに配置しているものである。また、裏カバー3は、天面と底面および側面に通気構造である網目または格子を配置している。これにより、同一の表示装置1を縦長に取り付けても横長に取り付けても対流風路17は同様に確保され、熱交換体10の放熱の効果も同等に確保できる。なお、熱交換体10の内部の放熱風路16については、送風機9により強制的に空気を吹き込む構成であるので、表示装置1の取り付け方向に左右されないことは言うまでもない。
【0076】
つまり、表示装置1の取り付け方向を縦横自在にして設置しても、電子装置の背面に取り付けた放熱ユニット4はその取り付け向きに左右されることはなく、電子装置の内部で発生する熱を強制的に放出することができその効果は大きい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明にかかる放熱ユニットは、電子機器の一つの面に配置して内部と外部を仕切る仕切り板と、この仕切り板に設けた熱交換体と、前記仕切り板の前記電子機器の内部側に配置した送風機とで構成した放熱ユニットであって、前記熱交換体は、板体で構成するとともに、前記外部と遮断された放熱風路と外部に連通した対流風路とを有し、前記対流風路は、前記仕切り板から外部に向けて突出させた、多数の連結柱とこの連結柱の端部を結合する放熱板体とで構成した放熱フレームの内外に形成したことを特徴とする。
【0078】
これにより、電子機器の内部側から空気を強制的に熱交換体内へ送風して、熱交換体を介して電子機器の外部側へ放熱することができ、熱交換体を板体で構成することで軽量化した放熱ユニットを提供することができ、これを用いた電子機器の軽量化をすることができ極めて有用である。
【符号の説明】
【0079】
1 表示装置
2 表示パネル
3 裏カバー
4 放熱ユニット
5 制御装置
6 カバー
8 仕切り板
9 送風機
10 熱交換体
11 枠体
12 上方開口部
13 下方開口部
14 流入口
14a 流出口
15 複数の送風ファン
16 放熱風路
16a 放熱風路
17 対流風路
17a 微小対流
18 ベース板
19 連結柱
20 放熱板体
21 放熱フレーム
22 通気孔
23 第1の風路
23a 第1の風路
23b 第1の風路
23c 第1の風路
24 第2の風路
24a 第2の風路
24b 第2の風路
25 第3の風路
25a 第3の風路
25b 第3の風路
25c 第3の風路
25d 第3の風路
26 遮蔽壁
26a 遮蔽壁
26b 遮蔽壁
26c 遮蔽壁
27 熱伝導部材
28 高発熱部品
29 案内
30 フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の一つの面に配置して内部と外部を仕切る仕切り板と、この仕切り板に設けた熱交換体と、前記仕切り板の前記電子機器の内部側に配置した送風機とで構成した放熱ユニットであって、前記熱交換体は、板体で構成するとともに、前記外部と遮断された放熱風路と外部に連通した対流風路とを有し、前記対流風路は、前記仕切り板から外部に向けて突出させた、多数の連結柱とこの連結柱の端部を結合する放熱板体とで構成した放熱フレームの内外に形成したことを特徴とする放熱ユニット。
【請求項2】
連結柱と放熱板体を空洞にして構成し、この空洞部分は放熱風路の一部を形成する請求項1記載の放熱ユニット。
【請求項3】
連結柱は所定の間隔を置いて碁盤の目のごとくに配置し、前記所定の間隔に対応させて放熱板体に対流風路を流れる空気の出入りをさせる通気孔を配置した請求項1または2記載の放熱ユニット。
【請求項4】
熱交換体は、前記外部と遮断された放熱風路を有し、この放熱風路は、前記仕切り板との間に設けた第1の風路と、前記仕切り板から前記電子機器の外部に所定の間隔をおいて放熱板体内に設けた第2の風路と、連結柱内に設けて前記第1の風路と第2の風路を連通させる第3の風路とで構成されることを特徴とした請求項1から3のいずれか一つに記載の放熱ユニット。
【請求項5】
仕切り板は、熱交換体に空気を出入りさせる横長に形成した開口を少なくとも上下2箇所に設けた請求項1から4のいずれか一つに記載の放熱ユニット。
【請求項6】
送風機を仕切り板の開口から熱交換体に空気を吹きこむように設けた請求項5記載の放熱ユニット。
【請求項7】
第1の風路と第2の風路には、風路を仕切る横長に形成した遮蔽壁を設け、前記第1の風路は、前記第2の風路に比べて前記遮蔽壁を一つ多く設けた請求項5記載の放熱ユニット。
【請求項8】
第1の風路には2箇所の開口間を仕切る横長に形成した遮蔽壁を設けた請求項5記載の放熱ユニット。
【請求項9】
仕切り板は熱伝導部材を介して前記電子機器の高発熱部品に接触させた請求項5記載の放熱ユニット。
【請求項10】
熱交換体は、前記外部と遮断された放熱風路を有し、この放熱風路は、前記仕切り板から前記電子機器の外部に所定の間隔をおいて設けた第2の風路と、前記仕切り板の内側と第2の風路を連通させる第3の風路とで構成されることを特徴とした請求項1から3のいずれか一つに記載の放熱ユニット。
【請求項11】
仕切り板は、熱交換体に空気を流入させる横長に形成した案内を一部の第3の風路に対向させて設けた請求項10記載の放熱ユニット。
【請求項12】
送風機を仕切り板の案内から熱交換体に空気を吹きこむように設けた請求項11記載の放熱ユニット。
【請求項13】
第3の風路の断面は一部の第3の風路から離れるにしたがって大きく形成した請求項11記載の放熱ユニット。
【請求項14】
縦横隣り合う連結柱の投影形状が等しくなるように第3の風路を形成した請求項13記載の放熱ユニット。
【請求項15】
熱交換体を樹脂成型にて構成した請求項1、2、3、4、10のいずれか一つに記載の放熱ユニット。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一つに記載の放熱ユニットを搭載した電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−146419(P2011−146419A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3765(P2010−3765)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】