説明

放送受信装置、放送受信方法及び放送受信プログラム

【課題】受信部が1つでありながら付随放送中に他チャンネルの放送内容を確認することができる放送受信装置、放送受信方法及び放送受信プログラムを提供する。
【解決手段】本発明によれば、選択チャンネルの音声出力モードに基づいて選択チャンネルの放送内容が本編放送であるか付随放送であるかを判別する。そして、付随放送の間は他チャンネルの放送内容を順に放映する。これにより、ユーザは選択チャンネルの付随放送中に他チャンネルの放送内容を確認することができる。また、選択チャンネルと他チャンネルとを交互に切り替えて選択チャンネルの放送内容の確認を行う。このため、チューナ部30は一つで良く、上記の機能を有する放送受信装置を低コストで提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ放送やラジオ放送の音声出力モードに基づいて放送内容を判別し受信チャンネルを適宜切り替える放送受信装置、放送受信方法及び放送受信プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
テレビ放送やラジオ放送においては、ユーザが視聴を希望している本編放送の間に例えばコマーシャル等の付随放送が放送される。この付随放送はユーザにとって有益である一方、煩わしいと感じるユーザも存在する。また、この付随放送中に他チャンネルの放送内容を確認するユーザも少なくない。このような場合、他チャンネルの放送内容の確認中に選択チャンネルの本編放送が再開してしまい本編放送を見逃す可能性がある。
【0003】
ここで、下記[特許文献1]には、複数のチューナ部(受信部)を備え、一方のチューナ部が本編放送と付随放送との切り替えを監視するとともに、付随放送中は他方のチューナ部が他チャンネルの放送内容を放映する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−193925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、[特許文献1]に開示された発明では、チューナ部が複数必要でありコストの増大を招くという問題点がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、受信部が1つでありながら付随放送中に他チャンネルの放送内容を確認することができる放送受信装置、放送受信方法及び放送受信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
(1)放送を受信する受信部(チューナ部30)と、前記受信部が受信した音声信号の音声出力モードに基づいてユーザの選択した選択チャンネルの放送内容を判別する判別部32と、
前記判別部32により前記選択チャンネルの放送内容が本編放送以外と判断されている場合には、前記判別部32が前記選択チャンネルの放送内容を本編放送と判断するまで前記受信部の受信チャンネルを選択チャンネルと他チャンネルとで交互に切り替えながら前記判別部32に前記選択チャンネルの放送内容の判別動作を行わせる受信制御部34と、を有することを特徴とする放送受信装置50を提供することにより、上記課題を解決する。
(2)前記判別部32により前記選択チャンネルの放送内容が本編放送以外と判断されている場合において、前記他チャンネル受信中は、その他チャンネルの放送内容を出力し、前記選択チャンネル受信中は、その選択チャンネルの放送内容を出力しない出力手段
を有することを特徴とする上記(1)記載の放送受信装置50を提供することにより、上記課題を解決する。
(3)前記放送内容は映像を含み、
前記出力手段は、前記判別部32により前記選択チャンネルの放送内容が本編放送以外と判断されている場合において、前記選択チャンネル受信中は、直前の前記他チャンネルの映像を静止画として表示することを特徴とする上記(2)記載の放送受信装置50を提供することにより、上記課題を解決する。
(4)ユーザの選択した選択チャンネルの放送を受信するステップと、
受信した音声信号の音声出力モードに基づいて前記選択チャンネルの放送内容を判別する判別ステップと、
前記判別ステップにより前記選択チャンネルの放送内容が本編放送以外と判断されている場合には、前記選択チャンネルの放送内容が本編放送と判断されるまで、受信チャンネルを選択チャンネルと他チャンネルとで交互に切り替えながら前記選択チャンネルの放送内容の判別動作を行わせる受信制御ステップと、
を有することを特徴とする放送受信方法を提供することにより、上記課題を解決する。
(5)放送受信装置50のコンピュータに、
ユーザの選択した選択チャンネルの放送を受信させる受信ステップと、
受信した音声信号の音声出力モードに基づいて前記選択チャンネルの放送内容を判別する判別ステップと、
前記判別ステップにより前記選択チャンネルの放送内容が本編放送以外と判断されている場合には、前記選択チャンネルの放送内容が本編放送と判断されるまで、受信チャンネルを選択チャンネルと他チャンネルとで交互に切り替えながら前記選択チャンネルの放送内容の判別動作を行わせる受信制御ステップと、
を実行させることを特徴とする放送受信プログラムを提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、付随放送中に他チャンネルの放送内容を確認することが可能な放送受信装置を低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る放送受信装置の概略構成図である。
【図2】本発明に係る放送受信装置、放送受信方法及び放送受信プログラムの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る放送受信装置、放送受信方法及び放送受信プログラムについて図面に基づいて説明する。尚、本願と直接関係の無い構成及び動作に関しては記載及び説明を省略する。なお、テレビ放送を受信する放送受信装置を例に説明するが、ラジオ放送を受信する放送受信装置にも適用可能である。また、アンテナ10を介して放送を受信する放送受信装置を例に説明するがインターネット回線等を介して放送を受信する放送受信装置にも適用可能である。また、放送内容を出力するとは、放送内容に係る映像を表示したり、放送内容に係る音声を再生したりすることを意味することとする。
【0011】
図1示す本発明に係る放送受信装置50は、アンテナ10を介してテレビ放送を受信するチューナ部(受信部)30と、チューナ部30が受信したテレビ放送の映像信号に対してデコードするなどの所定の処理を施し、映像出力信号に変換して液晶モニタ等の映像出力手段(出力手段)12に出力する映像信号処理部14と、チューナ部30が受信したテレビ放送の音声信号に対してデコードするなどの所定の処理を施し、音声出力信号に変換してスピーカ等の音声出力手段(出力手段)16に出力する音声信号処理部18と、音声信号処理部18が変換した音声出力信号の音声出力モードに基づいて受信中のチャンネルの放送内容を判別する判別部32と、判別部32の判別結果に応じてチューナ部30、映像信号処理部14、音声信号処理部18等を制御する受信制御部34と、を有している。なお、本実施形態のチューナ部30は単一のチャンネルの放送を受信可能な受信部であるものとする。
【0012】
次に、本発明に係る放送受信装置50、放送受信方法及び放送受信プログラムの動作を図2のフローチャートを用いて説明する。先ず、ユーザが放送受信装置50を備えたテレビ等の放送受信機器を起動する。これにより、放送受信装置50が起動する(ステップS100)。尚、ここでの放送受信機器としては、テレビ、テレビ放送録画機器、テレビチューナ、テレビチューナを備えたカーステレオ、カーナビゲーションシステム、携帯電話、携帯モバイル機器、パーソナルコンピュータ等が挙げられる。
【0013】
次に、ユーザは希望の本編放送を放送しているチャンネルを選択する。これにより、チューナ部30はユーザが選択した受信チャンネルのテレビ放送を受信する(ステップS102)。ここで、ユーザが選択したチャンネルを選択チャンネルと記述する。また、ここではチャンネルナンバー(X)のチャンネルが選択されたものとする。映像信号処理部14はチューナ部30が受信した選択チャンネルの映像信号を映像出力信号に変換して映像出力手段12に出力する。またこれと同期して音声信号処理部18はチューナ部30が受信した選択チャンネルの音声信号を音声出力信号に変換して音声出力手段16に出力する。これにより、映像出力手段12及び音声出力手段16から選択チャンネルの放送内容が放映される。
【0014】
一般的なテレビ放送では、本編放送の間にコマーシャル等の付随放送を放送する。そして多くの本編放送の音声出力モードがモノラルモードもしくは音声多重モードであるのに対し、多くの付随放送の音声出力モードはステレオモードとなっている。判別部32は音声信号処理部18が変換した音声出力信号の音声出力モードを監視して、選択チャンネルの音声出力モードがモノラルモードもしくは音声多重モードである場合、選択チャンネルの放送内容を本編放送と判断する(第1の判別ステップS104:Yes)。この場合、受信制御部34は特別な制御を行わず、よって映像出力手段12及び音声出力手段16は選択チャンネルの本編放送を通常通り放映する。
【0015】
また、選択チャンネルの音声出力モードがステレオモードである場合、判別部32は選択チャンネルの放送内容を付随放送と判断する(第1の判別ステップS104:No)。この場合、受信制御部34は例えば選択チャンネルの1つ上のナンバーのチャンネル(X+1)を他チャンネル(Y)と設定する(ステップS106)。そして、チューナ部30の受信チャンネルを選択チャンネル(X)から他チャンネル(Y)に切り替える(切替ステップS108)。これにより、チューナ部30は他チャンネル(Y)のテレビ放送を受信する(ステップS110)。そして、映像信号処理部14は他チャンネルの映像信号を映像出力信号に変換して映像出力手段12に出力する。また音声信号処理部18は他チャンネルの音声信号を音声出力信号に変換して音声出力手段16に出力する。これにより、映像出力手段12及び音声出力手段16から他チャンネル(Y)の放送内容が放映される。なお、放送内容が本編放送であるか付随放送であるかを判別する手法は、前述の[特許文献1]など、公知の種々の方法を用いることができる。
【0016】
また、受信制御部34は受信チャンネルの切り替えを行った時点でタイマのカウントを開始する。そして、タイマのカウントが予め設定されている所定の時間を経過するまで他チャンネル(Y)の放送内容を継続して放映する(ステップS112:No)。タイマのカウントが所定の時間を経過すると(ステップS112:Yes)、受信制御部34はチューナ部30の受信チャンネルを他チャンネルから選択チャンネルに切り替える(ステップS114)。この際、受信制御部34は選択チャンネルからの新たな映像出力信号の表示を映像出力手段12に行わせないよう制御する。これにより、映像出力手段12には切り替え前の他チャンネルの最後の映像が静止画として継続して表示される。尚、映像出力信号の表示を行わせない手法としては、映像信号処理部14による映像信号の変換処理(復号処理)自体を行わせないようにすることが好ましい。この構成によれは、映像信号の変換処理を行わない分、後述の第2の判別ステップの処理時間を短縮することができる。
【0017】
チューナ部30の受信チャンネルが選択チャンネルに切り替わると、音声信号処理部18は選択チャンネルの音声信号を音声出力信号に変換する。この際、受信制御部34は変換した音声出力信号が音声出力手段16から出力しないよう制御する。判別部32は音声信号処理部18が変換した音声出力信号の音声出力モードを確認し、音声出力モードがモノラルモードもしくは音声多重モードの場合、判別部32は選択チャンネルの放送内容を本編放送と判断する(第2の判別ステップS118:Yes)。そして、ステップS102に移行し、選択チャンネルのテレビ放送を受信する。そして、映像信号処理部14は選択チャンネルの映像信号を映像出力信号に変換して映像出力手段12に出力する。また音声信号処理部18は選択チャンネルの音声信号を音声出力信号に変換して音声出力手段16に出力する。これにより、映像出力手段12及び音声出力手段16から選択チャンネルの本編放送が通常通り放映される。
【0018】
また、選択チャンネルの音声出力モードがステレオモードの場合には、判別部32は選択チャンネルの放送内容を付随放送と判断する(第2の判別ステップS118:No)。この場合、受信制御部34は先に受信していた他チャンネルのチャンネルナンバー(Y)を1つ繰り上げるインクリメント動作を行う(ステップS120)。尚、インクリメント後のチャンネルナンバー(Y)が機器の規定上限のチャンネルナンバーを超える場合には、チャンネルナンバー(Y)を最小の値、例えばチャンネルナンバー“1”とする。そして、ステップS108に移行する。
【0019】
ステップS108において受信制御部34は、チューナ部30の受信チャンネルをステップS120で設定された新たなチャンネルナンバー(Y)の他チャンネルに切り替える。そして、所定の時間、新たな他チャンネルの放送内容を映像出力手段12及び音声出力手段16から放映する。
【0020】
これらの動作は、第2の判別ステップS118において選択チャンネルの放送内容が本編放送であると判断されるまで繰り返し行われる。よって、選択チャンネルの付随放送中は、選択チャンネルと他チャンネルとが交互に切り替えられ、他チャンネルの受信中は他チャンネルの放送内容が放映される。そして、所定の時間が経過すると、受信制御部34は受信チャンネルを他チャンネルから選択チャンネルに切り替える。判別部32は上記と同様にて選択チャンネルの放送内容の判別動作を行う。この間、音声出力手段16からの音声出力は停止するとともに映像出力手段12には直前の他チャンネルの最後の映像が静止画として表示される。そして、判別部32で選択チャンネルの放送内容が付随放送であると判断された場合には、新たな他チャンネルの放送内容を所定の時間放映する。よって、選択チャンネルと他チャンネルとが切り替る度に受信する他チャンネルが順番に替わっていくこととなる。そして、上記の切替ステップS108〜第2の判別ステップS118までが主に受信制御ステップを構成する。
【0021】
なお、他チャンネルを順番に替えずに、選択チャンネルと、一の他チャンネルのみとの間で、交互にチャンネルを切り替えるようにしてもよい。また、映像信号14及び音声信号処理部18は、上記の動作を行っている場合において、他チャンネルが受信されているときは、映像信号及び音声信号の両方のデコードを行い、選択チャンネルが受信されているときは、音声信号のみのデコードを行うようにするとよい。このようにすれば、チャンネルを切り替える処理に要する時間を短縮することができる。
【0022】
尚、上記の他チャンネルの選択方法は一例であり、例えば付随放送中に切り替えを行う他チャンネルをユーザが指定しても良い。この構成によれば、ユーザは選択チャンネルの付随放送中に気になる裏番組の放送内容を視聴、確認することができる。
【0023】
以上のように、本発明に係る放送受信装置50、放送受信方法及び放送受信プログラムによれば、選択チャンネルの音声出力モードに基づいて選択チャンネルの放送内容が本編放送であるか付随放送であるかを判別する。そして、付随放送の間は他チャンネルの放送内容を順に放映する。これにより、ユーザは選択チャンネルの付随放送中に他チャンネルの放送内容を確認することができる。また、選択チャンネルと他チャンネルとを交互に切り替えて選択チャンネルの放送内容の確認を行う。このため、チューナ部30は一つで良く、上記の機能を有する放送受信装置を低コストで提供することができる。さらに、選択チャンネルの放送内容確認中は、選択チャンネルの放送内容を出力せずに、直前に放映していた他チャンネルの最後の映像を静止画として表示する。このため、放送内容確認中のユーザの違和感を軽減することができる。
【0024】
尚、放送受信装置50は1つのチューナ部30で上記の動作を行うものであるが、放送受信機器本体には例えば録画用のチューナ等を複数搭載していても構わない。また、上記の放送受信装置50の各部の動作、構成、他チャンネルの選択手法等は一例であるから特にこれに限定されるものではく、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。また、本発明は上記の動作をコンピュータに実現させるためのプログラムを含むものである。これらのプログラムは、記録媒体から読み取ってコンピュータに取り込んでも良いし、通信ネットワーク等を介した伝送によりコンピュータに取り込んでも良い。
【符号の説明】
【0025】
30 チューナ部(受信部)
32 判別部
34 受信制御部
50 放送受信装置
12 映像出力手段(出力手段)
16 音声出力手段(出力手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送を受信する受信部と、
前記受信部が受信した音声信号の音声出力モードに基づいてユーザの選択した選択チャンネルの放送内容を判別する判別部と、
前記判別部により前記選択チャンネルの放送内容が本編放送以外と判断されている場合には、前記判別部が前記選択チャンネルの放送内容を本編放送と判断するまで前記受信部の受信チャンネルを選択チャンネルと他チャンネルとで交互に切り替えながら前記判別部に前記選択チャンネルの放送内容の判別動作を行わせる受信制御部と、
を有することを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
前記判別部により前記選択チャンネルの放送内容が本編放送以外と判断されている場合において、前記他チャンネル受信中は、その他チャンネルの放送内容を出力し、前記選択チャンネル受信中は、その選択チャンネルの放送内容を出力しない出力手段
を有することを特徴とする請求項1記載の放送受信装置。
【請求項3】
前記放送内容は映像を含み、
前記出力手段は、前記判別部により前記選択チャンネルの放送内容が本編放送以外と判断されている場合において、前記選択チャンネル受信中は、直前の前記他チャンネルの映像を静止画として表示することを特徴とする請求項2記載の放送受信装置。
【請求項4】
ユーザの選択した選択チャンネルの放送を受信するステップと、
受信した音声信号の音声出力モードに基づいて前記選択チャンネルの放送内容を判別する判別ステップと、
前記判別ステップにより前記選択チャンネルの放送内容が本編放送以外と判断されている場合には、前記選択チャンネルの放送内容が本編放送と判断されるまで、受信チャンネルを選択チャンネルと他チャンネルとで交互に切り替えながら前記選択チャンネルの放送内容の判別動作を行わせる受信制御ステップと、
を有することを特徴とする放送受信方法。
【請求項5】
放送受信装置のコンピュータに、
ユーザの選択した選択チャンネルの放送を受信させる受信ステップと、
受信した音声信号の音声出力モードに基づいて前記選択チャンネルの放送内容を判別する判別ステップと、
前記判別ステップにより前記選択チャンネルの放送内容が本編放送以外と判断されている場合には、前記選択チャンネルの放送内容が本編放送と判断されるまで、受信チャンネルを選択チャンネルと他チャンネルとで交互に切り替えながら前記選択チャンネルの放送内容の判別動作を行わせる受信制御ステップと、
を実行させることを特徴とする放送受信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−209644(P2012−209644A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71880(P2011−71880)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】