説明

放電ランプ用の低コストでコンパクト・サイズの単一段高力率回路

【課題】従来技術よりも構成要素の数を少なくして力率を高くし且つ全高調波歪みを低することを可能とする放電ランプ用の安定器のコンパクトで低コストのトポロジイ解決策を提供する。
【解決手段】本トポロジイは、ランプ寿命及び製品ついての始動の数を増大させるような低い波高率及び急速始動の特徴を提供する。主スイッチとして電界効果トランジスタの代わりにバイポーラ接合トランジスタを使用し且つより低い値の電解コンデンサを使用することによって、コスト及びサイズを大幅に減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子式照明システムを対象とし、より詳しくは、放電ランプと接続して使用される集積ブリッジ・インバータ回路を対象とする。
【背景技術】
【0002】
一体型コンパクト蛍光ランプ用途のような放電ランプ用に設計された既存の単一段高力率電子式安定器回路は、様々な欠点を持ち、例えば、ゼロ電圧スイッチング範囲が望ましくないほどに制限され、また運転中及び始動中に高い不必要なコンポーネント・ストレスが掛かる。既存のシステムはまた、波高率及び高周波成分が望ましくないほど大きく、これらは、製品が国際電気標準会議の規格(例えば、IEC−61000−3−2)を遵守するのを妨げる。このようなランプはまた嵩張る大きさであり、スペースに余裕のない用途ではその使用が制限される。
【0003】
放電ランプに使用することのできる既存の一つの電子式安定器は、米国特許第5426344号(発明者:Wong)に開示されているような自励振動式高力率電子式安定器である。上記米国特許の回路、並びに他の安定器は、入力ブリッジ回路部分とインバータ回路部分とを使用し、これらは互いから区別され且つ離れている。上記米国特許の方式は2.0以上の波高率を生じる。波高率(これは「ピーク対RMS比」とも呼ばれる)は、波形のピーク振幅を波形のRMS値(実効値)で除算することによって計算される波形の測定値である。波高率は、ランプの寿命に直接的な影響を持つパラメータである。
【0004】
上記米国特許の方式の欠点は、コンデンサの両端間の電圧のような高い母線電圧ストレスを生じることであり、これにより高い電圧定格のトランジスタを使用することが必要になる。上記米国特許の方式の別の欠点は、入力ダイオード・ブリッジより前に存在する入力電流の不連続な性質を緩和するために大きなEMIフィルタを必要とすることである。高いピーク電流は、より大きい高周波成分を持っており、入力EMIフィルタによって濾波して除去する必要がある。上記米国特許に記載のような既存の安定器の更に別の欠点は、スイッチング・トランジスタ及び共振回路構成要素に高電流ストレスが掛かることである。
【0005】
別の関連した特許は、米国特許第6417631号(発明者:Wong及びChen)である。この特許のトポロジイは、従来の単一段力率補正(PFC)回路の多くの欠点を解消しているが、依然として通常のコンパクト蛍光ランプ(CFL)よりも多数の構成要素を使用していて、より高価なFETスイッチの使用を必要としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6169374号
【発明の概要】
【0007】
本願では既存の従来技術の欠点を克服する。
【0008】
コンデンサ、インダクタ、ダイオードのような構成要素の数を少なくし、且つ電界効果トランジスタ(FET)の代わりにより廉価なバイポーラ接合トランジスタを使用し、従って製造し動作させるコストをも低くする回路を用いることに利点がある。
【0009】
また、該回路において力率を高くし、全高調波歪みを低くし、波高率を低くし、且つゼロ電圧スイッチング範囲を拡大することに利点がある。
【0010】
また更に、照明ユニットの始動及び運転中に部品に掛かるコンポーネント・ストレスを低くし、その結果として安定器の寿命を延長させることに利点がある。
【0011】
更にまた、設計を非常にコンパクトにすることは有利である。
【0012】
本発明の開示の更に他の特徴及び利益は、以下の説明を読み且つ理解することにより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本願の一実施形態の概略回路図である。
【図2】図2は、本願の一実施形態の概略回路図である。
【図3】図3は、本願の一実施形態の性能の有用な結果を表すグラフである。
【図4】図4は、本願の一実施形態の性能の有用な結果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1について説明すると、本願の一実施形態の概略回路図100が示されている。回路図100には説明文101も示されている。装置100は、ヒューズ112の隣りに配置されたAC電源110を有し、ヒューズ112は接合点113に接続される。該接合点からの1つの枝路がフィルタへ延在し、また他の枝路がEMIインダクタ116へ延在して、該インダクタ116は接合点121に接続される。上記フィルタは直列のコンデンサ114及び抵抗器115で構成されていて、別の接合点117に接続される。該接合点117は電源の他方の端子111に接続され且つその別の枝路が別の端子125に接続される。両方の端子121及び125はコンデンサ123の両端にある。代替実施形態では、線路129を点121に直接配線することが可能である。代替実施形態では、線路127を点125に直接配線することが可能である。
【0015】
インダクタ116側の接合点121は、コンデンサ197へ続く外側ループ線路127に接続される。この接合点はまた、コンデンサ123と、別のコンデンサ131と、4つのダイオードより成るブリッジ130の1つの辺の中間(すなわち、ダイオード133と他のダイオード134との間)とに接続される。コンデンサ131及びダイオード133の両方が内側ループ139に接続され、またダイオード134が内側ループ149に接続される。代替実施形態では、コンデンサ131は回路内の他の点へ移すこと、例えば、限定するものではないが、ダイオード133,134と並列に、又はダイオード135及び136と並列になるように移すこと等ができる。代替実施形態では、ダイオード133、134、135及び136と並列に何らコンデンサを接続しないか、或いは2つ以上のコンデンサを接続してもよい。
【0016】
代替実施形態では、ダイオード133,134,135,136は、全て又は個別に取り除いて、1対の超高速回復ダイオードと置換することができる。ここで、超高速ダイオードは通常のダイオードと同様な仕様を持っているが、25ナノ秒又はそれより速い回復を持つ。更に別の実施形態では、ダイオード133,134,135,136は1つのパッケージに集積化することができる。
【0017】
インダクタのない側の接合点125は、コンデンサ123に接続され、またコンデンサ199へ続く外側ループ129に接続される。代替実施形態では、コンデンサ199及びランプ193が直列に接続されるので、ランプ193が接合点125に接続される。接合点125はまた、4つのダイオードより成るブリッジ130の他の辺の中間(すなわち、ダイオード135と他のダイオード136との間)に接続される。コンデンサ131及びダイオード135の両方が内側ループ139に接続される。ダイオード136が内側ループ149に接続される。
【0018】
両方の内側ループ139及び149はエネルギ蓄積コンデンサ137の両端に接続され、且つ第2の共通の線路163に接続される。共通の線路163の内の、内側ループ139に最も近い部分が、直列に2つの抵抗器141,143を含んでおり、その後に直列に線路160が続き、線路160は内側ループ139及び149の間に存在する。線路147が抵抗器143と抵抗器141との間に接続される。この線路147は中央の線路160に接続される。中央の線路160は抵抗器141と線路147との間にダイオード145を含む。
【0019】
中央の線路160は延在して巻線154、抵抗器155及びランジスタ150のベース端子151に接続される。巻線154はインダクタ183に電気的に結合される。トランジスタ150は、B端子すなわちベース端子151、C端子すなわちコレクタ端子152、及びE端子すなわちエミッタ端子153を有する。中央の線路160はまた、別の抵抗器156及びトランジスタ150のE端子すなわちエミッタ端子153に接続される。このトランジスタ150のコレクタ端子152は内側ループ139に接続される。
【0020】
中央の線路160の反対側では、抵抗器141,143と同じ線路に接続された線路が、ダイアック(交流用のダイオード)165をコンデンサ161に接続する。該コンデンサの他の側が内側ループ149に接続される。ダイアックの後の線路がダイアック・ダイオードを接合点に接続し、該接合点の一方の側が抵抗器175及び巻線176に接続される。巻線176はまた、インダクタ183に電気的に結合されると共に、内側線路149に接続され且つ回路アース177に接続される。接合点の他方の側が第2のトランジスタ170のベース端子171に接続される。第2のトランジスタ170は、ベース端子171、コレクタ端子172、及びエミッタ端子173を有する。中央の線路160はまた、別の抵抗器156及びトランジスタ150のエミッタ端子153に接続される。トランジスタ170のコレクタ端子172が中央の線路160に接続され、且つトランジスタ170のエミッタ端子173が抵抗器174に接続され、抵抗器174は次いで内側ループ149に接続される。コンデンサ189が内側ループ149に接続され且つ接合点178で中央の線路160に接続される。
【0021】
2つのインダクタ183,185が直列に接続され、その一方の側が接合点178に接続され、且つ他方の側が、コンデンサ197へ続く外側ループ・ブリッジ196の部分187に接続される。接合点187はまたランプ・ユニット190に接続され、具体的には、線路191を介してランプ193のA端子192に接続される。ランプ193のC端子194が別の線路195によって、コンデンサ199へ続く内側ループ198の部分に接続される。代替実施形態では、接合点187はコンデンサ199に接続され、次いでランプ193に接続される。これは、コンデンサ199及びランプ193が直列に接続されてるからである。
【0022】
4つのダイオードより成るブリッジは、インバータ回路のスイッチング周波数で、ピーク変化の時ではないときに一度に1つ導通するに過ぎない。ダイオード133及び136が一方の半サイクル中に交互にオン・オフし、また、ダイオード134及び135が線路周波数の他方の半サイクル中にオンになる。コンデンサ197はまた、高周波帰還を行うように作用する。同様に、コンデンサ199もまた、帰還によりダイオードを高周波数で動作させる。
【0023】
本回路構成では、新しいトポロジイにより、Rk−a及びRk−b回路のベース・ドライバ154及び176が、共振タンク回路の入力と直列にRk−c一次巻線183を挿入することにより導き出される。タンク回路(「共振回路」とも呼ばれる)が、ランプを始動し且つ運転するためのエネルギを供給する。逆位相の2つの二次巻線Rk−a154及びRk−b176が2つのバイポーラ接合トランジスタのベースのドライバに接続される。2つのバイポーラ接合トランジスタは直列に且つ半ブリッジ構成で接続される。この構成では、一次巻線はランプの電流を検知するばかりでなく、コンデンサ197からの共振電流も検知する。回路の枝路197及びランプ199の両方が入力ブリッジに接続されているので、線路電圧はコンデンサ197及び199についての実効コンデンサ値を変調する。瞬時線路電圧が変化するので、コンデンサ197及び199についての実効コンデンサがそれにつれて変化する。従って、共振タンクの入力への電流が変化する。共振タンクへの入力電流を検知するベース・ドライバが半線路サイクルにわたって差を増幅し、その結果として、ランプの波高率が1.8〜2.0の範囲でより高くなり、これはランプ寿命に悪影響を持つ。更に、半線路サイクルにわたる動作周波数の大きな変化により、バイポーラ接合トランジスタのゼロ電圧スイッチングを維持するのが困難であり、その結果として部品の温度が高くなり、製品の効率及び寿命が低くなる。
【0024】
この駆動装置の他の欠点は、ランプの寿命末期に近づくにつれて、陰極が過熱することがあり、陰極が切断するほどになることである。しかしながら、インバータはランプにエネルギを供給し続けて、陰極の周りの温度を更に高くする。
【0025】
入力ブリッジ回路の高周波動作は20000Hz以上で行われる。高周波回路は全高調波歪み(THD)を低くし、且つ力率を高くする。従来の設計と異なり、本設計はまた、殆どの既存の取付け具に嵌合するように小さくした一体ランプ輪郭を持つ利点を提供する。既存の高力率安定器は、追加の構成要素を持つ別個の力率補正段を含み、その結果、回路の複雑さを増大させ、価格を高くし且つサイズを大きくしている。
【0026】
本回路設計はまた、連続的なランプ電流導通を確実に行うことのできる小さい値の電解コンデンサを使用することができ、その結果、ランプ寿命に重大な影響を及ぼすことのある各サイクルにおける不所望なランプ・ターンオフ現象が避けられる。電解コンデンサの値は、この特徴を達成するのに丁度充分な大きさにされるが、サイズ及びコストに悪影響を与えるほどに大き過ぎないようにする。コンデンサ回路を備えたバイポーラ接合トランジスタ・スイッチ150の使用により、設計全体について低コストの解決策を提供する。本設計は、既存の安定器よりも高PF及び低THDのような良好な性能を提供し、また使用される構成要素の数を少なくしており、これは製造プロセス、コンパクトなサイズ及び低コストに役立つ。
【0027】
トポロジイは、全てコンパクトなサイズで、高PF及び低THDのような特別な特徴を達成するために少ない構成要素を用いる特徴を持つ。このトポロジイは、ランプ全体のサイズを、通常の力率補正なしのコンパクト蛍光ランプや発熱電球と同じサイズにして、相異なるCFLのサイズ及び外観の問題を解消する。本開示では、2つの種類の低コスト・バイポーラ接合トランジスタ利用電子式安定器回路が提供される。両方の回路で、平均動作周波数は約100KHzに設計されており、これは、磁気素子及びコンデンサのサイズを考慮して約40KHzで動作する従来の回路より遙かに高い。
【0028】
図2について説明すると、本願の一実施形態の概略回路図200が示されている。回路図200は、新規なインバータ回路のための新規な改良ベース駆動装置を示している。装置200は、ヒューズ212の隣りに配置されたAC電源210を有し、ヒューズ212は接合点213に接続される。接合点からの1つの枝路がコンデンサ215へ延在し、また他の枝路がEMIインダクタ216を介して接合点221に接続される。コンデンサ215は別の接合点217に接続される。該接合点217は電源の他方の端子211に接続され且つその別の枝路が別の端子225に接続される。両方の端子221及び225はコンデンサ223の両端にある。代替実施形態では、線路229を点221に直接配線することが可能である。代替実施形態では、線路227を点225に直接配線することが可能である。
【0029】
インダクタ216側の接合点221は、コンデンサ297へ続く外側ループ・ブリッジ線路227に接続される。この接合点はまた、コンデンサ223と、別のコンデンサ231と、4つのダイオードより成るブリッジ230の1つの辺の中間(すなわち、ダイオード233と他のダイオード234との間)とに接続される。コンデンサ231及びダイオード233の両方が内側ループ239に接続され、またダイオード234が内側ループ249に接続される。代替実施形態では、コンデンサ231は回路内の他の点へ移すこと、例えば、限定するものではないが、ダイオード233,234と並列に、又はダイオード235 及び236と並列になるように移すこと等ができる。代替実施形態では、ダイオード233、234、235及び236と並列に何らコンデンサを接続しないか、或いは2つ以上のコンデンサを接続してもよい。
【0030】
インダクタのない側の接合点225は、コンデンサ223に接続され、またコンデンサ299へ続く外側ループ229に接続される。代替実施形態では、コンデンサ299及びランプ293が直列に接続されているので、ランプ293が接合点225に接続される。接合点225はまた、4つのダイオードより成るブリッジ230の他の辺の中間(すなわち、ダイオード235と他のダイオード236との間)に接続される。コンデンサ231及びダイオード235の両方が内側ループ239に接続される。ダイオード236が内側ループ249に接続される。代替実施形態では、コンデンサ231は回路内の他の点へ移すこと、例えば、限定するものではないが、他の線路227,229へ、ダイオード233,234間、又はダイオード235,236間に移すこと等ができる。代替実施形態では、ダイオード233,234,235,236は、全て又は個別に取り除いて、少なくとも1つの超高速回復ダイオードと置換することができる。
【0031】
両方の内側ループ239及び249はコンデンサの両端に接続され、且つ内側ループ239及び249の間にある中央の線路260に接続される。共通の線路263の内の、内側ループ239に最も近い部分が、直列に2つの抵抗器241,243を含んでおり、その後に内側ループ239及び249の間にある線路が直列に続く。線路247が抵抗器243と抵抗器241との間に接続される。この線路247は中央の線路260に接続される。中央の線路260は抵抗器241と線路247との間にダイオード245を含む。
【0032】
中央の線路260は、巻線254、抵抗器255及びランジスタ250のベース端子251に接続される。トランジスタ250は、ベース端子251、コレクタ端子252、及びエミッタ端子153を有する。中央の線路260はまた、別の抵抗器256及びトランジスタ250のエミッタ端子253に接続される。中央の線路260はまた、別の抵抗器256及び同じトランジスタ250のエミッタ接合点253に接続される。このトランジスタ250のコレクタ端子252は内側ループ239に接続される。
【0033】
中央の線路260の反対側では、抵抗器241,243が接続されたのと同じ線路に接続された線路が、ダイアック265に且つコンデンサ261に接続される。該コンデンサの他の側が内側ループ249に接続される。ダイアックの後の線路が接合点に接続され、該接合点の一方の側が抵抗器275及び巻線276に接続される。巻線276は、内側線路249に接続され且つ回路アース277に接続される。接合点の他方の側が第2のトランジスタ270のベース端子271に接続される。このトランジスタ270は、B又はベース端子271、C又はコレクタ端子272、及びE又はエミッタ端子273を有する。中央の線路160はまた、別の抵抗器256及びトランジスタ270のコレクタ端子273に接続される。トランジスタ270のコレクタ端子272は中央の線路260に接続され、且つトランジスタのエミッタ端子273が抵抗器274に接続され、抵抗器274は次いで内側ループ249に接続される。コンデンサ289が内側ループ249に接続され且つ接合点278で中央の線路260に接続される。
【0034】
中央の線路260はインダクタ283に直列に接続され、インダクタ283は、コンデンサ297に続く外側ループ296の部分に接続される。中央の線路260はまた、接合点287でランプ・ユニット290に接続される。ランプ・ユニット290は、フィラメント292を有する陰極291を含み、それに制限するものでないが15ワットのようなワット数定格293を持つ。ランプ・ユニット290はまた、別のフィラメント295を有する第2の陰極294を含む。両方のフィラメント292,295は一緒に一次巻線288及びコンデンサ285と直列に接続される。第2のランプのフィラメント295は線路298によってブリッジ229に結合される。代替実施形態では、接合点287は、コンデンサ299とランプ293とが直列に接続されるので、コンデンサ299に接続し、次いでランプ293に接続する。
【0035】
ベース駆動変圧器の一次巻線Rk−c288がコンデンサ285及び2つの陰極抵抗器292,295と直列に且つランプと並列に接続される。ランプ電圧がランプ電流とは逆に変化するので、一次駆動変圧器を通る駆動電流もまたランプ電流とは逆に変化する。半線路サイクルにわたる動作周波数もまた、駆動特性の負帰還により、図1の回路に比べて変化が少ない。従って、この新規な回路におけるランプの波高率はかなり低くなる(1.5〜1.65)。低い波高率はランプ寿命を延長させる。これはまた、バイポーラ接合トランジスタのためのゼロ電圧スイッチングを維持し、安定器効率を増大し且つスイッチング装置の温度を低くするのに一層有効な手段を提供する。
【0036】
駆動変圧器の一次巻線が2つのランプの陰極と直列に挿入されているので、1つの陰極がランプ寿命に達した場合、回路は自動的に動作を停止して、ランプ陰極の過熱を防止する。
【0037】
図3について説明すると、本発明を適用することによって発生された波形300により、図1に示された回路の機能を実証する。X軸310は5ミリ秒の増分で時間を表し、またY軸320はボルトで測った電圧の変化及びアンペアで測った電流の変化を表す。コレクタ−エミッタ間電圧330、バイポーラ接合トランジスタのコレクタ電流340、ランプ電流350及び入力電流360についての波形がそれぞれ示されている。
【0038】
グラフ370の説明文には、それぞれの波形についての平均値が含まれている。コレクタ−エミッタ間電圧330については、グラフの説明文372に表示されているように、値は300ミリアンペア/目盛である。バイポーラ接合トランジスタのコレクタ電流340については、説明文374に表示されているように、平均値は100ボルト/目盛である。ランプ電流350については、説明文376に表示されているように、スケールは300ミリアンペア/目盛である。また入力電流360については、説明文378に表示されているように、スケールは20ミリアンペア/目盛である。ランプのランプ電流波形350は、より高く且つより長く持続するピーク380、それに続く谷385、それに続くより小さく且つより短く持続するより短いピーク390、それに続くより深い谷395を持つ。ここで、持続時間の最も長いピーク380はまた、高さが最も高い。
【0039】
図4について説明すると、本発明を適用することによって発生された波形400により、図2に示された回路の機能を実証する。X軸310は5ミリ秒の増分で時間を表し、またY軸420はボルトで測った電圧の変化及びアンペアで測った電流の変化を表す。コレクタ−エミッタ間電圧430、バイポーラ接合トランジスタのコレクタ電流440、ランプ電流450及び入力電流460についての波形がそれぞれ示されている。
【0040】
グラフの説明文478のように、コレクタ−エミッタ間電圧430については、値は300ミリアンペア/目盛である。バイポーラ接合トランジスタのコレクタ電流440については、説明文476のように、スケールは100ボルト/目盛である。ランプ電流450については、説明文474のように、スケールは300ミリアンペア/目盛である。また入力電流460については、説明文472のように、スケールは20ミリアンペア/目盛である。ランプのランプ電流波形450は、小さい持続するピーク480、それに続く小さい谷485、より高い且つより短く持続するピーク490、及び深い谷495を持つ。ここで、持続時間の最も長いピーク480はまた、高さが最も低い。
【0041】
図3のランプ電流波形350を図4のランプ電流波形450と比較すると、波高率の低下が実証されている。図3では、持続するピーク380は短いピーク390よりも長い。図4では、持続するピーク480は短いピーク490よりも低い。同様に、図3での深い谷395は、図4の深い谷495よりも深い。ピークの高さが低くなり且つ谷がより浅くなることは、波高率の低下を実証しており、また本願の有用で具体的で明確な結果を実証している。
【0042】
本発明を好ましい実施態様について説明した。明らかに、上記の詳しい説明を読み且つ理解したとき当業者には種々の修正および変更をなし得よう。従って、本発明は、この様な全ての変更および変形が「特許請求の範囲」の範囲内に入り又は等価なものである限り、この様な全ての変更および変形を包含するものと見なされるものとする。
【符号の説明】
【0043】
100 回路図
130 4つのダイオードよりなるブリッジ
150 トランジスタ
165 ダイアック
170 トランジスタ
190 ランプ・ユニット
193 ランプ
200 回路図
230 4つのダイオードより成るブリッジ
250 トランジスタ
265 ダイアック
270 トランジスタ
290 ランプ・ユニット
291 陰極
292 フィラメント
293 ランプ
294 陰極
295 フィラメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの高周波全波入力ブリッジ・ダイオードと、
前記入力ブリッジ・ダイオードの一方の側に接続されたインバータ回路からの共振コンデンサと、
直接的及び間接的シーケンスの少なくとも一方で前記入力ブリッジ・ダイオードの他方の側に接続されたインバータからの第2のコンデンサと、
少なくとも1つの入力ブリッジ・ダイオードと並列に接続された少なくとも1つのコンデンサと、
を有する回路。
【請求項2】
前記少なくとも1つの高周波全波入力ブリッジ・ダイオードが高速回復ダイオードで構成されている、請求項1記載の回路。
【請求項3】
前記少なくとも1つの高周波全波入力ブリッジ・ダイオードが少なくとも1つの超高速回復ダイオードで構成されている、請求項1記載の回路。
【請求項4】
第1のコンデンサが共振コンデンサである、請求項3記載の回路。
【請求項5】
前記第2のコンデンサは、半ブリッジ構成で直列に接続された少なくとも1つのバイポーラ接合トランジスタと直列である、請求項1記載の回路。
【請求項6】
4つのダイオードより成るブリッジが入力EMIフィルタと少なくとも1つのバイポーラ接合トランジスタとの間に配置されている、請求項1記載の回路。
【請求項7】
1つのバイポーラ接合トランジスタのエミッタ端子が別のバイポーラ接合トランジスタのコレクタ端子に接続されている、請求項1記載の回路。
【請求項8】
複数の枝路回路の各々が前記入力ブリッジから直列にコンデンサ及びランプへ延在している、請求項1記載の回路。
【請求項9】
少なくとも1つの高周波全波入力ブリッジ・ダイオードと、
前記入力ブリッジ・ダイオードに接続された共振コンデンサと、
直接的及び間接的シーケンスの少なくとも一方で、前記入力ブリッジ・ダイオードに接続されたインバータからの第2のコンデンサと、
を有する回路。
【請求項10】
前記少なくとも1つの高周波全波入力ブリッジ・ダイオードが高速回復ダイオードで構成されている、請求項9記載の回路。
【請求項11】
前記少なくとも1つの高周波全波入力ブリッジ・ダイオードが少なくとも1つの超高速回復ダイオードで構成されている、請求項9記載の回路。
【請求項12】
前記第2のコンデンサは少なくとも1つの他のコンデンサと直列に接続されている、請求項9記載の回路。
【請求項13】
少なくとも1つの第3のコンデンサが前記入力ブリッジ・ダイオードと並列に接続されている、請求項9記載の回路。
【請求項14】
全波入力ブリッジ・ダイオードの高周波数が20KHzよりも高い、請求項9記載の回路。
【請求項15】
直接検知のランプ電圧によるベース駆動回路であって、
高周波全波入力ブリッジ・ダイオードと、
コンデンサと直列に接続されたベース駆動変圧器と、
前記入力ブリッジ・ダイオード回路に接続された共振コンデンサと、
前記ベース駆動変圧器に接続されたランプ及び前記入力ブリッジ・ダイオードに接続された第2のコンデンサと、
を有するベース駆動回路。
【請求項16】
前記ベース駆動変圧器の一次巻線が前記コンデンサに直列に接続されている、請求項15記載の回路。
【請求項17】
前記コンデンサに直列に接続されている前記ベース駆動変圧器の一次巻線が、前記ランプと並列に接続されている、請求項15記載の回路。
【請求項18】
前記駆動変圧器の一次巻線が前記ランプの陰極と直列に挿入されている、請求項15記載の回路。
【請求項19】
前記回路は、入力EMI回路と少なくとも1つのバイポーラ接合トランジスタとの間に配置された、4つのダイオードより成るブリッジを含んでいる、請求項15記載の回路。
【請求項20】
1つのバイポーラ接合トランジスタのエミッタ端子が別のバイポーラ接合トランジスタのコレクタ端子に接続されている、請求項15記載の回路。
【請求項21】
複数のバイポーラ接合トランジスタ半ブリッジ構成で直列に接続されている、請求項15記載の回路。
【請求項22】
共振入力電流検知によるベース駆動回路であって、
共振タンク回路の入力と直列に一次巻線を挿入することによって得られたベース・ドライバと、
複数のバイポーラ接合トランジスタのベースに接続された逆位相の2つの二次回路と、
各々がコンデンサとランプとに直列に接続された複数の入力ブリッジと、
を有するベース駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−506233(P2012−506233A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532113(P2011−532113)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/056891
【国際公開番号】WO2010/044968
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】