説明

整流子および炭素ブラシを備えた特に模型レーシングカー用の高出力直流モータ

直流モータ(30)は、ケース部材(16)内に軸(29)周りで回転可能に取り付けられた回転子(11)とこの回転子(11)上に設けられた整流子(14)ならびに整流子(14)上に設けられたカーボンブラシ(32,33)によって交番方向に外部から直流電流が付加される少なくとも1つのコイル(13)を備え、整流子(14)は軸(29)周りの円筒形表面上に配置された複数の導電性の整流子セグメント(20)を含み、カーボンブラシ(32,33)は整流子(14)に対して可動的に取り付けられるとともにバネ圧力によって整流子(14)上に圧接される。この種のモータにおいて、バネ圧力に逆行するカーボンブラシ(32,33)の動作が減衰あるいは制動されるのに対してバネ圧力に順行するカーボンブラシ(32,33)の動作が殆ど影響を受けないような処置を施すことによって、特に高回転数におけるモータの出力が改善されるとともに火花の形成が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、直流モータの技術分野に関する。この発明は、特に請求項1前段に記載の模型レーシングカー用の高出力モータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電池によって動作する模型レーシングカー、模型モータボート、または模型飛行機用の駆動装置として、高回転および極めて高出力の直流モータが使用されている。この種の模型レーシングカー用の高出力直流モータの例として、米国ニュージャージー州エディソンのトリニティプロダクツ社のRC2140型あるいはRC2141型、または本出願人による“クロームツーリング”モータシリーズが挙げられる。この種の従来の直流モータの構造例は図1に簡略化して示されており、ここで部分図1Aはモータの縦断面を示しており、部分図1Bは軸方向から見たモータヘッドの平面図である。図1の直流モータ10は内側に取り付けられた磁石17を備えたケース部材16を有しており、その内部に回転子11(モータの回転部材)が軸29周りで回転可能に取り付けられている。この回転子11は、心棒15と電機子12ならびに適宜なコイルおよび整流子14(簡略化のためコイルのうち1つのみが図示されている)を備えている。
【0003】
電機子12は既知のようにより高い永続性の磁性材料から形成される。コイル13には電流が通流し、直流モータ10が給電されている際にケース16上の磁石(永久磁石)17と相互作用する磁界を形成する。整流子14は、互いに絶縁され軸29周りの円筒形表面上に配置された、通常は金属製の個々の導電性整流子セグメント20から形成されている。これらの整流子セグメント20は、図示されているようにコイル接続端子18を介してコイル13と結合されている。整流子を介して、電機子12の磁界方向ならびに磁石17の極性に従った牽引力および押圧力によって回転子11の回転がもたらされるように、コイル13を通流する電流の持続時間および方向が制御される。
【0004】
直流モータ10のケース部材16は両端部に滑り支承、球軸受等の軸受けを備えており、これが回転子11の心棒15を支承している。さらに、整流子14が内蔵されているモータヘッド19内に互いに対向して放射方向に延在しているブラシボックス24が配置されており、その中にカーボンブラシ22,23が支持されている。これらのカーボンブラシ22,23は、その名前の通り炭素から形成されている。しかしながら、これは炭素以外の材料、特に炭素、グラファイト、Cu、Ag等の合成材料から形成することもできる。このカーボンブラシ22,23は内側端部が整流子14に接合しており、従ってモータの固定部から整流子14を介して回転子11のコイル13に電流を通流させる。カーボンブラシ22,23は押圧バネ27によって整流子14に対して圧接され導電編組25を介して接続電極26と結合されている。
【0005】
直流モータ10の稼動中において回転子に遠心力がかかり、これは通常心棒15が静止軸上で回転しないように作用する。回転子11の心棒15と軸受けとの間の半径方向の遊び、特に球軸受21内の遊びによって、回転子11の軸の放射方向のぶれならびに回転子11の不均一な回転を可能にする。滑り軸受けを使用する場合、滑り軸受けの磨耗によって遊びが拡大する。
【0006】
回転子11の動的なバランシングによってもこの状況は僅かに改善されるのみである。中心のずれは不均一な磁力によってももたらされ得る。モータの駆動力はモータを組み立てた状態において他の回転部に伝達される。応力の受容した際に回転子11を軸受け壁部に対して圧接するてこ作用が生じる。加速および原則に際してはてこ作用がさらに大きくなり得る。これらの応力はモータの稼動の進行に従って変化し、回転子11を理想的な中心からずらすよう作用する。
【0007】
回転子11の心棒15の静止軸からずれた回転のため整流子14も静止軸からずれて、すなわち不均一に回転する。カーボンブラシ22,23は押圧バネ27によって整流子セグメント20に対して圧接されている。従って、カーボンブラシ22,23は回転子11が不均一に回転している際に整流子14のぶれに追従する。低回転数に際して、カーボンブラシ22,23はそのブラシボックス24内において動作方向28内でのぶれによって追従することができ、カーボンブラシ22,23と整流子セグメント20との間の接触は良好に保たれる。
【0008】
回転数が上昇すると、カーボンブラシ22,23は動作方向28内で整流子14によって押し退けられて整流子14から離間し、そのため遅延して次の整流子セグメント20と接触する。遅延時間をもって電気的接続が形成されモータの出力が低下する。
【0009】
カーボンブラシ22,23は整流子セグメント20から次のものに均等にスライドしない場合、電気的接続が時間的に遮断される。この遮断とその後の再接触によってカーボンブラシ22,23と整流子セグメント20との間の火花形成がもたらされる。この火花によって整流子セグメント20が燃焼する。整流子セグメント20が損傷して電流伝達特性が低下する。整流子14が早期に磨耗しモータの出力が継続的に低下する。火花および損傷した整流子セグメント20によってカーボンブラシ22,23が極端に磨耗し過熱する。
【0010】
火花によって熱源が形成され、従って整流子セグメントが変形して不均等に磨耗する。これによってモータの寿命が短縮するとともに出力も低下する。
【0011】
この種のモータが無線受信機の近くで稼動している場合、火花がさらに電波障害の原因にもなり、リモートコントロールの受信を妨害するかあるいは使用不可能にする。
【0012】
国際公開第01/69760号パンフレットあるいは日本国特許出願公開第07−194067号公報により、連動しているバネを減衰性の材料(例えばチクソトロープ材料)によって支承することによってカーボンブラシの振動を減衰させることが知られている。さらに、カーボンブラシの側面を板バネによって押圧することによりカーボンブラシの振動を機械的な摩擦によって制動することが知られている。減衰および制動のいずれも対称的なものとなり、すなわちカーボンブラシの両方の動作方向において等しい大きさとなる。整流子から離間するカーボンブラシの動作ならびに整流子に向かってのカーボンブラシの動作の両方を減衰または制動する必要がある。この減衰(制動)によってカーボンブラシと整流子セグメントとの間の再接触の形成が遅延する。この方法によっては充分な改善は達成されない。一方(整流子からのカーボンブラシの持ち上げ)において有利な点が、他方(整流子へのカーボンブラシの接合)において難点となる。
【0013】
さらに、カーボンブラシ内に固定されている導電編組(図1Bの参照符号25)を介した電流が通常まずカーボンブラシに続いてカーボンブラシを介して整流子に誘導される。全体として電気抵抗を形成している。この電気抵抗を低減することができれば、モータがより大きな出力を有することができる。既知のカーボンブラシの振動の減衰あるいは制動による解決方式では抵抗の低減の点では全く改善が見られない。
【0014】
米国特許第2991379号明細書ならびに対応ドイツ国特許出願公開第1122625号明細書にはサーボモータ用のブラシホルダが開示されており、これにおいてはブラシボックス内におけるカーボンブラシの縦軸はモータ軸に対して45°の角度を形成する。カーボンブラシの圧力を高める必要なくカーボンブラシの極端な磨耗を防止するとともにより高めたアイドリング回転数を達成するために、ブラシボックス内におけるブラシの支承の改善が提案されている。このため、一実施例(図1)においてブラシボックスを多角形(四角形、六角形)の断面をもって形成し、ブラシボックスの2つの対向する縁部を通って延在する平面内にモータ軸が延在するように構成する。ブラシはこれに対応した断面形状を有し、ブラシホルダの角部によって形成された溝内の対向する2本の縦方向のエッジによって誘導される。このブラシのエッジ誘導によってブラシとブラシホルダとの間の接触面が大きく縮小され、これによって一方でブラシ動作の効果的な摩擦減衰が妨害され、他方でブラシボックスを介したブラシ先端への電流供給が困難になる。
【0015】
米国特許第2991379号明細書による第2の実施例において、ブラシは一方が開口した垂直の角を有する断面からなるレール形状のガイド要素内で支承される。ブラシ圧力を形成するバネは、バネが整流子圧力によってのみでなく逆方向のバネ圧力によっても溝形状のガイド要素内に圧接されるように、ガイド要素の縦軸に対して傾斜している。これによってより高められた摩擦減衰が得られるが、しかしながら摩擦減衰はブラシの動作方向に従ったものではなくなる。
【0016】
米国特許第5696418号明細書によれば、2つのブラシが機械軸に対して放射方向にずれて配置されている電気整流子装置が開示されている。これによれば、機械軸を包囲するとともに機械軸に対して垂直に延在している板上にブラシボックスを特殊に固定することが提案されている。板金を湾曲して形成したブラシボックスは四角形の断面を有し、下側に突出したラグを板内の対応するスロットに挿入して固定される。ブラシボックスの一側壁内にバネ支承されたタングが形成され(図5,6)、これはブラシボックス内に設置されたブラシを一方向から押圧し、これを反対側のブラシボックス壁部に対して圧接する。この圧接構造によって反対側の壁部に対する摩擦が形成され、これはブラシの動作方向に依存しないものとなる。
【0017】
さらに、フランス国特許出願公開第2723481号明細書によれば、それぞれモータ軸に対して放射方向にずらせて配置された2対のブラシボックスを備えた双方向回転性の整流子装置のブラシホルダが開示されている。このブラシホルダは樹脂成形材から形成される。個々のブラシボックスは正方形の断面を有し、角部に内側に向かって陥没したレール(42)を備えており、その中にブラシの縁部が支承される。樹脂材料によるホルダの形成ならびに特殊な縁部支承のため、このホルダは高出力モータには適しておらず、これは整流子上に生じる熱が効果的にブラシに伝達されず、電流を直接ブラシの前方部に伝送することができず、また動作するブラシに対して極僅かな摩擦減衰しか提供できないためである。
【0018】
模型レーシングカーのモータは、規則(レース使用のための)の存在によって一方で幾何的(外形寸法)、電気的および機械的設計の制約があるとともに、他方で数分の持続時間で極めて高い出力値(回転数、加速時間、回転トルク等)を達成しなければならないため、この模型レーシングカー用の高出力モータにおいてブラシ上に生じる問題を解決することは極めて困難である。このモータは、60000rpmまでの回転数に到達し、これを電流120Aまでに制限された電池または充電池から引き出すことが必要となる。中にブラシが配置されているモータヘッドは100℃まで加熱することがある。極端な場合ブラシは僅か一回の5.5分のレースしか耐用できない。
【0019】
電気駆動式の模型レーシングカーのレースにはいわゆるROAR(リモートコントロール自動車レース)規則と呼ばれる国際規則があり、特に電動機に関する制限および条件が規定されている。このROAR規則により、モータは最大36.02mmの外径と取り付け板の一端からモータヘッドの最も外側の点まで図って最大53mmの全長まで有することができる。心棒の直径は1/8インチでなければならない。セラミック磁石のみが使用許可される。整流子は3つのセクタのみを有することができる。同様に特定の巻数が規定されている。基本のモータ型式から、モータのクラスによって異なったものである規則の範囲内において技術的な変更を加えることができる。ここで、いわゆる“ストックモータ”、“リビルダブルモータ”、ならびに“改造モータ”によって異なったものとなる。ブラシならびにモータ内部の構造を含んだ最も広範囲の変更は、最後に挙げたモータクラスでのみ実施することができる。しかしながら、ブラシの変更はスペースが極めて限られていることから非常な困難をもってのみ実現可能である。
【発明の説明】
【0020】
従って、本発明の目的は、既知の直流モータの問題点を回避するとともに特に高速回転においてカーボンブラシの振動によるモータ出力の低下を防止し、同時に整流子への電流供給における電気抵抗の低減を可能にする、模型レーシング車両、特に模型レーシングカー用の整流子ならびにカーボンブラシを備えた高出力直流モータを提供することである。
【0021】
前記の課題は請求の範囲に記載された特徴の組み合わせによって解決される。本発明の中核は、バネ圧力に逆行するカーボンブラシの動作が減衰あるいは制動されると同時に、バネ圧力に順行するカーボンブラシの動作が殆ど影響を受けないことにある。これによって回転する整流子セグメントによるカーボンブラシの押し退けが防止あるいは制限され、他方一度カーボンブラシが押し退けられた場合にもバネ圧力によって即座に整流子セグメントとの接触が形成される。
【0022】
本発明の好適な一構成例は、カーボンブラシがいずれもブラシボックスによって予め定義された動作方向に滑り支承され、ブラシボックス内においてカーボンブラシが整流子によって生じたバネ圧力に対抗する動作に際して少なくとも1つのブラシボックス壁部上においてより高められた滑り摩擦にさらされるように、カーボンブラシの動作方向が軸に対して放射方向にずれることを特徴とする。整流子がカーボンブラシに対して突き押し力をかけると、カーボンブラシはブラシボックスの傾斜のためにこのブラシボックスの少なくとも1つの壁部に対して圧接され、この少なくとも1つの壁部上の高められた摩擦力によってボックス内における動作が妨害(制動、減衰)される。突き押し圧力が停止すると、カーボンブラシは押圧バネのバネ圧力によって顕著な壁摩擦を伴うことなく再度整流子に圧接される。
【0023】
カーボンブラシの動作方向は軸に対して放射方向に15°ないし75°の角度(α)を形成することが好適である。この角度は特に45°である。
【0024】
本発明の第1の追加構成例は、カーボンブラシの動作方向が直流モータの軸に沿って延在している共通平面内に延在することを特徴とする。特に、この点に関して、カーボンブラシの動作方向が斜め外側に向いていることによってカーボンブラシへの良好なアクセス容易性が達成される。
【0025】
本発明の第2の追加構成例は、カーボンブラシの動作方向が直流モータの軸に対して垂直な共通平面内に延在することを特徴とする。
【0026】
この際、直流モータの軸周りにおける180°の回転によって互いに重なり合うように2つのカーボンブラシを対向して配置すれば特に簡便な構造とすることができる。
【0027】
ブラシボックスの壁部を良好な導電性を有する材料、特に金属によって形成することにより、ブラシボックスに対する摩擦の強化と連係して電流供給に際しての抵抗の低減、ならびにそれによるモータ出力の改善が達成される。ブラシボックスは良好な導電性を有する電流バイパスを形成し、従ってこの電流は低減した抵抗をもって整流子上の接合するカーボンブラシに伝導することができる。ブラシボックスが電流を供給する装置に対して導電的に結合されれば特に好適である。熱伝導および電流供給の観点において、ブラシボックスをCuから形成すれば特に好適である。
【0028】
稼動中において整流子およびカーボンブラシの領域に発生する熱は、外殻形状のモータヘッド内にブラシボックスを配置し、モータヘッドを良好な熱伝導性を有する材料特に金属によって形成し、ブラシボックスをモータヘッドに対して電気的に絶縁して取り付けることによって、極めて迅速かつ確実に排出することができる。モータヘッドをアルミニウムから形成し、ブラシボックスを陽極処理された中間層によって電気的に絶縁すれば、極めて簡便な構造になるとともに熱特性の観点においても好適である。
【0029】
モータヘッドが排熱の向上のために周囲に面して冷却リブを備えていればさらに排熱の改善がなされ、この冷却リブは直流モータの軸に対して同心に形成することが好適である。
【0030】
モータヘッドとブラシボックスを介した受動的な排熱に加えて、モータヘッド内に直流モータの内空間に冷却気流を送風するための通風管を設け、コイル接続端子を介して直流モータのコイルを整流子と導電性に結合し、このコイル接続端子はモータが順方向に回転している際にファンの羽根として作用して通風管を通じて冷却気流を吸引するように形成され、さらに通風管を螺旋状に形成することによって効果的な能動冷却を達成することができる。
【0031】
自動的に調整される正確な回転子の支承を達成しそれによって整流子上の火花の発生を良好に防止するために、回転子の心棒を整流子上に位置する端部において球軸受内で回転可能に支承し、この球軸受自体も弾力的に支承すれば好適である。これは、球軸受を放射方向および軸方向において弾力的に支承し、この弾力的な支承は一方で球軸受を外側から同心状に包囲するとともに他方で球軸受を軸方向に支承するように作用するOリングによって実施することによって達成される。
【0032】
カーボンブラシに対するバネ圧力を形成するためにこのカーボンブラシに向かって先細りとなっている螺旋バネの形状の押圧バネを設け、この押圧バネがカーボンブラシと反対側の端部においてブラシボックス内の切り欠き上で支持され、押圧バネはINOXワイヤから形成すれば、容易な組み立てと同時にバネ特性を向上させる構成となる。
【0033】
モータに対して大きな電流が通流する場合、電流の導電路を可能な限り短く抑えることが好適である。このことは、全ての外から通じている導線がその上でそれぞれの電極に電気的に接続可能である装置をブラシボックスが備えることによって達成することができる。外から通じている導線を接続する装置は、ブラシボックスを囲んでいる好適には複数のセクタに分割されているフランジによって形成することが好適である。
【0034】
整流子上に発生する火花は無線技術上の障害となる。模型モータの限られたスペース要件にもかかわらず効果的な障害防止を保持するために、モータヘッドの内部にモータの障害防止用の回路を含んだプリント回路基板を配置し、ここで回路基板はブラシボックスに押圧された接触バネを介してブラシボックスと導電的に結合される。加えて、この回路基板上にモータの回転方向確認用の外側から目視可能な発光ダイオードを設けることができる。
【0035】
次に、本発明の実施例につき、添付図面を参照しながらより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
前述したように、本発明により整流子およびカーボンブラシを有する直流モータの改善がなされ、それによって整流子セグメントによるカーボンブラシの押し退けに際して自動的に制動力(摩擦)が整流子からのカーボンブラシの離間を防止し、加えてこれはカーボンブラシの押し退けが終始すると同時に整流子セグメント方向へのカーボンブラシの回帰を障害なく自動的に実施させる。
【0037】
このことを達成するために、カーボンブラシのブラシボックスは該当する整流子セグメントに対する(放射)法線に対して一定の角度で延在する必要があり、すなわちブラシボックスは該当する整流子セグメントに対して垂直には延在しない。
【0038】
この角度付けのため、カーボンブラシに対する整流子セグメントの圧力によって整流子の近傍においてブラシボックスとその中に存在しているカーボンブラシとの間に強力な押圧接触が形成される。ブラシボックスが良好な導電性を有する材料(例えばCu等)から形成され、またこのブラシボックスが電流を供給するために接続電極と導電性に結合されると、電流の大部分は良好な導電性を有するブラシボックスを介して整流子近傍のカーボンブラシに伝導される。これによって整流に伝送される電流に対しての抵抗が小さくなることが保証される。
【0039】
ブラシボックスの角度付けのため整流子によってカーボンブラシに作用する押し退け圧力を2つのベクトルに分散することができる。一方のベクトルはカーボンブラシをボックスの壁部に対して圧接してブラシの1つあるいは複数の壁部に対する摩擦力を高め、他方のベクトルはボックスの縦軸の方向に延在してボックス内におけるブラシの動作を推進する。第1のベクトルによって壁部の摩擦のために縦方向の動作の抑制ならびに部分的な動作エネルギーの消滅がもたらされる。これによって整流子からのカーボンブラシの離間上昇が抑制される。整流子の圧力が停止すると、カーボンブラシは押圧バネによって今度は減衰されずに整流子に対して押し戻され、それによって即座に再度電流を通流させる。
【0040】
ブラシボックスの角度付けならびにそれに従った動作抑制のため、回転子の放射方向動作も抑制され、これが縮小される。それによって回転子が全般的に均一に回転する。
【0041】
図2には本発明の第1の好適な実施例に従った図1と同様な直流モータが示されており、ここで部分図2Aはモータの縦断面を示し、部分図2Bは軸方向に見た正面図である。同一の構成要素は図1と同一の参照符号で示されている。図3には図2Aのカーボンブラシの1つの拡大図が示されている。
【0042】
図2に示されている直流モータ30は(変更されていない)整流子14に対するカーボンブラシ32,33の配置の点で図1の従来のモータと異なっている。カーボンブラシ32,33はその該当するブラシボックス34と共に斜め外側に指向しており、従ってそのブラシボックス34によって予め設定された動作方向39(図3の二重矢印)は同時に図3に示された力学平行四辺形内の力ベクトルCの方向と等しくなり、これは同時に整流子14に対する法線の方向(図3の力学平行四辺形内で点線表示されている)である軸29に対して角度αを形成し、これは15°ないし75°の範囲にあり、特に45°であることが好適である。互いに対向している両方のカーボンブラシ32,33は、図2Bに示されているように、軸29に沿って延在している共通平面内に延在している。これは軸29周りの180°の回転によって互いに重ね合わせることができる(回転対称)。
【0043】
カーボンブラシ32,33はカーボンブラシ32,33は適宜な押圧バネ(図示された実施例においては螺旋バネ37)によって整流子14の整流子セグメント20に対して斜めに圧接される。この押圧バネ37はブラシボックス内において適宜なバネ固定器によって固定されている。カーボンブラシ32,33は導電編組によって電極接続端子36と結合されている。ブラシボックス34の斜め設定ならびにそれに従った動作方向39によって、力学平行四辺形に従って整流子14からカーボンブラシ32に作用する放射方向応力Aが動作方向39に平行に作用する応力Cと動作方向39に対して垂直に作用する応力Bに分解される。このブラシボックス34の壁部に対して垂直に作用する応力Bがカーボンブラシ32を壁部に対して圧接し、従ってブラシが動作方向39に向かって動作する際にブラシボックス34とカーボンブラシ32との間の摩擦を増加させる。これによって摩擦減衰がもたらされ、これが整流子34からのカーボンブラシの離間を制止および減衰する。放射方向の応力Aが消滅すると、カーボンブラシ32は押圧バネ37によって動作方向39と平行に整流子14の方向に推進され、この際にカーボンブラシ32は摩擦またはその他の減衰作用が加わることなくブラシボックス34内を自由にスライドすることができる。その結果整流子14からのカーボンブラシの離間時間および離間距離が削減され、それによってモータの出力が上昇する。
【0044】
カーボンブラシ32,33が再びコレクタ14に接触すると同時に、特にブラシボックス34が該当する接続電極36と導電的に結合されている場合、電流がブラシボックス34の下方部分から整流子に近いカーボンブラシの下方部分に伝導される。この電流は良好な導電性を有するボックス壁部を介してより直接的かつ少ない抵抗をもって整流子14に伝導される。これによってもモータの出力が改善される。
【0045】
図4には、本発明の第2の好適な実施例に従った図1と同様な直流モータ40が示されており、ここで部分図4Aはモータの縦断面を示し、部分図4Bは軸方向に見た正面図である。同一の構成要素は図1と同一の参照符号で示されている。図5には図4Aのカーボンブラシの1つの拡大図が示されている。
【0046】
図4に示されているようにカーボンブラシ42,43はそのブラシボックス44と共に軸29に沿って延在する共通平面内には延在しておらず、軸29に対して垂直に延在する共通平面内に延在している(図4A参照)。ここで、放射方向(図5の力学平行四辺形において点線で示されている)に対して傾斜した動作方向41(図5)は、両方のカーボンブラシ42,43を図1Bに示された位置から互いに逆向きに側方に平行移動して配置することによって達成される。これによっても、放射方向の応力Aを互いに垂直な2つの応力BおよびCに分解する傾斜角αが形成され、これによって本発明に係るブラシの離間動作の減衰および障害の無いブラシの回帰動作がもたらされる。この場合も角度αは15°ないし75°の範囲であり、特に約45°とすることが好適である。カーボンブラシ42,43は前述と同様に導電編組45を介して接続電極46と結合される。ここでは押圧バネとしてねじりバネが使用される。同時に、ブラシボックス44は該当する接続電極46と結合される。
【0047】
カーボンブラシ32,33の縦軸がモータ軸29に対して約45°の角度を形成するとともに軸29と共に1つの平面内に延在している図2のブラシ構成に対して、ブラシボックスおよびカーボンブラシを備えたモータヘッドを図6および図7に示された実施例に従って構成すれば、限られたスペース要件においてもモータの出力および熱特性に関して更なる改善を達成することができる。
【0048】
図6に従ったモータヘッドは外殻として形成されている。これは良好な熱伝導性の理由からアルミニウムから形成され、外側に複数の冷却リブ49を備えており、これは軸29と同心のリングとして形成されている。冷却リブ49は当然モータヘッド48と周囲の空気との間の熱伝導面を拡大するものである。
【0049】
モータヘッド48の中央に軸方向の孔部が延在しており、これは回転子の心棒58を支承するための球軸受55を収容するものである。この球軸受55自体もモータヘッド48内で放射方向および軸方向において弾力的に支承され、それによって60000rpmまでの高い回転数に際して自動調整される正確な支承を可能にして不均一な回転によるカーボンブラシのぶれを最小化する。弾力的な支承のために2つのOリング56および57が使用される(図6B)。Oリング56は軸方向において球軸受55とモータヘッドの中央孔部内の切り欠きとの間に位置している。これは球軸受が軸方向において切り欠き上に弾力的に支承されるように作用する。他方のOリング57は球軸受55の外殻を同心状に包囲しており、孔部内における球軸受の弾力的な支承を可能にする。
【0050】
管形状のブラシボックス50,51を収容するために、モータヘッド48がこれに対応する斜めの孔部を備えている。この孔部の内壁は陽極酸化され従って薄い電気絶縁層を形成し、これはこれらのブラシボックス50,51とモータヘッド48との間の良好な熱接触に影響を与えることなくこの孔部内に挿入されるブラシボックス50,51をモータヘッド48から電気的に絶縁する。これによってブラシボックス50,51をカーボンブラシ(図7の63)に対する電流供給源として使用し得ると同時に、カーボンブラシによって受容された熱を効果的にモータヘッド48に伝達しそこから冷却リブ49を介して周囲に放散することを保証する。さらにブラシボックス50,51はその下端が整流子59の直近まで延在している。これによってブラシボックス50,51を介して一方で少ない抵抗で電流をカーボンブラシ63の先端に伝導し、他方で熱をカーボンブラシ63の先端から直接モータヘッド38に伝導することが保持される。
【0051】
レース稼動中において100℃までの熱が発生し得る整流子59およびモータヘッド48を冷却するための別の効果的な方式は、モータヘッド48内に切削された渦巻状に延在する通気管66であり(図6A)、これによってモータヘッド48の内部を周囲の環境と接続する。ここで外側から内側への渦巻の回転方向がモータの回転方向に相当する。通気管66によってモータヘッド48の外から内部に冷却気流を吸引することができ、これは軸方向にモータを貫通して他方のモータ端面から排出される。この吸引は整流子59に通じるコイル(図2Aの13)のコイル端子(図2の18)をモータが順方向に回転している際にファンスクリューとして作用するように折り曲げこれによってコイルを貫通して軸方向に空気を推進することによって簡便に達成することができる。
【0052】
可能な限り損失を抑えて整流子59に電流を伝導するために、電気的にも新規の方式を採用することができる。従来のレーシングモータにおいては、実質的な電流供給線および制御線を接続するために使用される、場所的に離間して配置された2本の接続ラグによって導電的に結合されている。カーボンブラシ内に埋め込まれた導電編組(図7の64)は第3の場所にハンダ付けされている。これによって比較的長い導電路が形成され、これは大きな電流が生じた場合に悪い影響を及ぼす。これに対して、図6および図7に示された実施例においては、より短い伝送路を実現するために、極ごとに全ての導電線(電流供給線、制御線ならびに導電編組)を該当するブラシボックス上のただ一箇所において接続する。このため、各ブラシボックス50,51がモータヘッド48から外側に突出している部分の直近にリング形状のフランジ54を備えており(図6Cも参照)、その上に各導線がハンダ付けされている。それによって各導線を問題なく個々にフランジ54にハンダ付けすることができるよう、フランジ54は精密に定義された厚みを有するとともに互いに熱接続された個々のセクタ68に分割されている。
【0053】
この構造によって各極上で電流が好適に3つの異なった経路でカーボンブラシの先端に誘導され、それらは(i)導電編組64およびカーボンブラシ63を介するものと、(ii)ブラシボックス50,51を介するものと、(iii)押圧バネ65およびカーボンブラシ63を介するものである。
【0054】
レース中の大きな磨耗のため頻繁に交換する必要があるカーボンブラシをより簡便に取り付けるために、図6および図7の実施例においてブラシボックス50,51および押圧バネ65が特殊な方式で形成されており:ブラシボックス50,51の外側端部の手前により大きな内径を有する(拡幅された)部分62が設けられている。この拡幅によってブラシボックス50,51内に切り欠きが形成され、その上に押圧バネ65の外側端部を支承することができる。押圧バネ65を外側から問題なくブラシボックス50,51内に挿入して切り欠きの後に固定することができるように、押圧バネ65はいくらか錐形に先細りとなるように形成されている。この錐形の形状によって押圧バネ65が不要な共振状態になることが防止される。押圧バネ65はINOX鋼線によって形成することが好適であり、それによって広範囲の発生熱に対してバネ定数が極めて安定したものとなる。カーボンブラシ63を取り付けるために、図7の状態から、導電編組を介してカーボンブラシ63の前端に接合するまで押圧バネ65を推進する。その後カーボンブラシ63および押圧バネ65は、押圧バネ65がその外側端部において部分62の切り欠きに嵌合するまで挿入される(図7B)。さらに、導電編組64がブラシボックス50の外側端部に設けられたスロット52を介して外側に誘導され、引っ張り圧力を解放するためにカラー53の下側においてブラシボックス50周りに複数回巻き付けられフランジ54上に固定してハンダ付けされる。
【0055】
外殻形状のモータヘッド48によって形成される内空間はスペースを節約しながらモータの混信排除のための要素を装備するように使用することができる。コンデンサを含んだ混信排除要素がプリント基板62上に配置され、これは整流子59を半円形に包囲している。混信排除回路の電気接続は適宜に湾曲した接触バネ60を介して直接的に実施され、これは接触を形成しながら回路基板61の縁部上に押し込まれ、ブラシボックス50,51を直接押圧している(図6B)。回路基板61上にはさらに外から目視可能な発光ダイオード(LED)67を設けることができ、これは回転方向を確認するために使用され、モータが適正に接続されている場合にのみ点灯する。回路基板61上の全ての要素はスペースを節約する観点から表面実装(SMD)素子から構成することが好適である。
【0056】
本発明は全体として以下の特徴および利点を有している:
− ブラシボックスの傾斜配置のためカーボンブラシに対する整流子セグメントの圧力が下方の整流子に近い場所においてブラシボックスとカーボンブラシとの間に強力な接触を形成させる。従って電流の一部が良好な導電性を有するブラシボックスを介して整流子近くのカーボンブラシに伝導される。これによって抵抗が低減する。
− ブラシボックスの傾斜配置のため整流子からカーボンブラシに作用し得る押し退け圧力が2つのベクトルに分解される。1つのベクトルはカーボンブラシをボックスの少なくとも1つの壁部に圧接し、そのボックス内においてカーボンブラシは第2のベクトルに従って摺動することができる(カーボンの縦方向)。壁部への摩擦がエネルギーの一部を消滅させる。これによってカーボンブラシの整流子からの離間が抑制される。整流子の圧力が停止すると、カーボンブラシは通常の押圧バネによって減衰されることなく整流子に圧接され、それによって即座に電流が通流する。
− ブラシボックスの傾斜配置によって回転子の放射方向振動が抑制され;この動作を小さなものに保持する。これによって整流子が均一に回転する。
− 追加的な可動部品が必要でないことが好適である。カーボンブラシの質量は、可能な限り慣性モーメントを小さく維持するように小さく抑制することができる。例えば、可動部分の重量によって特性が低下し得るため液圧式の緩衝器は不適格である。
− カーボンブラシの最適な設置角度は45°±30°と定義することができる。
− 設置角度に従って減衰強度を調節することができる。
− 垂直な設置(ブラシボックスが整流子セグメントに対して垂直に延在する;α=0)においては減衰力が0である。設置角を大きくするほど減衰力が増加する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】従来の技術による直流モータの軸方向断面図(図1A)および前面図(図1B)である。
【図2】本発明の第1の好適な実施例に従った図1と同様な直流モータの構成図である。
【図3】図2Aのブラシ構成の拡大図である。
【図4】本発明の第2の好適な実施例に従った図1と同様な直流モータの構成図である。
【図5】図4Bのブラシ構成の拡大図である。
【図6】出力を改善するための多数の追加的な処置を備えた本発明の第3の好適な実施例に従った直流モータのモータヘッドの側面図(図6A)および縦断面(図6B)、ならびにブラシボックスの上面図(図6C)である。
【図7】図6に示された状態(図7A)および組み立てられた状態(図7B)におけるモータヘッド内のブラシ構造および配置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0058】
10 モータ
11 回転子
12 電機子
13 コイル
14,59 整流子
15,58 心棒
16 ケース部材
17 磁石
18 コイル端子
19,48 モータヘッド
20 整流子セグメント(導電性)
21,55 球軸受
22,23 カーボンブラシ
24 ブラシボックス
25 導電編組
26 接続電極
27 押圧バネ
28 動作方向
29 軸
30 直流モータ
32,33 カーボンブラシ
34 ブラシボックス
35 導電編組
36 接続電極
37 押圧バネ
38 バネ固定器
39 動作方向
40 直流モータ
41 動作方向
42,43 カーボンブラシ
44 ブラシボックス
45,64 導電編組
46 接続電極
47,65 押圧バネ
49 冷却リブ
50,51 ブラシボックス
52 スロット
53 カラー
54 フランジ
56,57 Oリング
60 接触バネ
61 回路基板
62 拡幅部分
63 カーボンブラシ
66 通気管
67 発光ダイオード(LED)
68 セクタ(フランジ)
α(アルファ) 角度(動作方向と放射方向の間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース部材(16)内に軸(29)周りで回転可能に取り付けられた回転子(11)とこの回転子(11)上に設けられた整流子(14,59)ならびに整流子(14)上に設けられたカーボンブラシ(32,33;42,43;63)によって交番方向に外部から直流電流が付加される少なくとも1つのコイル(13)とからなり、整流子(14)は軸(29)周りの円筒形表面上に配置された複数の導電性の整流子セグメント(20)を含み、カーボンブラシ(32,33;42,43;63)は整流子(14)に対して可動的に取り付けられるとともにバネ圧力によって整流子(14)上に圧接されてなる、特に模型レーシングカー用の高出力直流モータ(30,40)であり、バネ圧力に逆行するカーボンブラシ(32,33;42,43;63)の動作が減衰あるいは制動されるのに対してバネ圧力に順行するカーボンブラシ(32,33;42,43;63)の動作が殆ど影響を受けないような処置を施すことを特徴とする直流モータ。
【請求項2】
ブラシボックス(34,44;50,51)内においてカーボンブラシ(32,33;42,43;63)がいずれもブラシボックス(34,44;50,51)によって規定された動作方向(39,41)に滑り支承され、カーボンブラシ(32,33;42,43;63)がブラシボックス(34,44;50,51)内において整流子(14)によって生じた、バネ圧力に逆行する動作に際して少なくとも1つのブラシボックス(34,44;50,51)の壁部上においてより高められた滑り摩擦にさらされるように、カーボンブラシ(32,33;42,43;63)の動作方向(39,41)が軸(29)に対して放射方向にずれることを特徴とする請求項1記載の直流モータ。
【請求項3】
カーボンブラシ(32,33;42,43;63)の動作方向(39,41)は軸(29)に対して放射方向に15°ないし75°の角度(α)を形成することを特徴とする請求項2記載の直流モータ。
【請求項4】
この角度(α)は45°であることを特徴とする請求項3記載の直流モータ。
【請求項5】
カーボンブラシ(32,33;63)の動作方向(39)が直流モータ(30)の軸(29)に沿って延在している共通平面内に延在することを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の直流モータ。
【請求項6】
カーボンブラシ(32,33;63)の動作方向(39)が斜め外側に向いていることを特徴とする請求項5記載の直流モータ。
【請求項7】
カーボンブラシ(42,43)の動作方向(41)が直流モータ(40)の軸(29)に対して垂直な共通平面内に延在することを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の直流モータ。
【請求項8】
直流モータ(30,40)の軸(29)周りにおける180°の回転によって互いに重なり合うように2つのカーボンブラシ(32,33;42,43;63)を対向して配置することを特徴とする請求項2ないし7のいずれかに記載の直流モータ。
【請求項9】
ブラシボックス(34,44;50,51)の壁部を良好な導電性を有する材料、特に金属によって形成し、電流を供給する装置(36,46)に対してブラシボックス(34,44;50,51)を導電的に結合することを特徴とする請求項2ないし8のいずれかに記載の直流モータ。
【請求項10】
ブラシボックス(34,44;50,51)の壁部をCuから形成することを特徴とする請求項9記載の直流モータ。
【請求項11】
ブラシボックス(34,44;50,51)およびカーボンブラシ(32,33;42,43;63)はいずれも円形の断面を有することを特徴とする請求項2ないし10のいずれかに記載の直流モータ。
【請求項12】
外殻形状のモータヘッド(19,48)内にブラシボックス(34,44;50,51)を配置し、モータヘッド(19,48)を良好な熱伝導性を有する材料特に金属によって形成し、ブラシボックス(34,44;50,51)をモータヘッドに対して電気的に絶縁して取り付けることを特徴とする請求項9または10記載の直流モータ。
【請求項13】
モータヘッド(19,48)をアルミニウムから形成し、ブラシボックス(34,44;50,51)を陽極処理された中間層によってモータヘッド(19,48)から電気的に絶縁することを特徴とする請求項12記載の直流モータ。
【請求項14】
モータヘッド(48)が排熱を改善するための冷却リブ(49)を外面に備えることを特徴とする請求項12または13記載の直流モータ。
【請求項15】
冷却リブ(49)は直流モータ(30,40)の軸(29)に対して同心に形成されることを特徴とする請求項14記載の直流モータ。
【請求項16】
モータヘッド(48)内に直流モータ(30,40)の内空間に冷却気流を送風するための通風管(66)を設けることを特徴とする請求項12ないし15のいずれかに記載の直流モータ。
【請求項17】
コイル接続端子(18)を介して直流モータ(30,40)のコイル(13)を整流子と導電性に結合し、このコイル接続端子(18)はモータが順方向に回転している際にファンの羽根として作用して通風管(66)を通じて冷却気流を吸引するように形成されることを特徴とする請求項16記載の直流モータ。
【請求項18】
通風管(66)を渦巻状に形成することを特徴とする請求項16または17記載の直流モータ。
【請求項19】
回転子(11)の心棒(15,58)を整流子(14,59)上に位置する端部において球軸受(21,55)内で回転可能に支承し、この球軸受(55)自体も弾力的に支承することを特徴とする請求項1ないし18のいずれかに記載の直流モータ。
【請求項20】
球軸受(55)を放射方向および軸方向において弾力的に支承し、この弾力的な支承は一方で球軸受(55)を外側から同心状に包囲するとともに他方で球軸受(55)を軸方向に支承するように作用するOリング(56,57)によって行うことを特徴とする請求項19記載の直流モータ。
【請求項21】
カーボンブラシ(63)に対するバネ圧力を形成するためにこのカーボンブラシ(63)に向かって先細りとなっている螺旋バネの形状の押圧バネ(65)を設け、この押圧バネ(65)がカーボンブラシ(63)と反対側の端部においてブラシボックス(50,51)内の切り欠き(62)上で支持され、押圧バネ(65)はINOXワイヤから形成することを特徴とする請求項2ないし20のいずれかに記載の直流モータ。
【請求項22】
全ての外から通じている導線がその上でそれぞれの電極に電気的に接続可能である装置(54)をブラシボックス(50,51)が備えることを特徴とする請求項9または10記載の直流モータ。
【請求項23】
外から通じている導線を接続する装置はブラシボックス(50,51)を囲んでいる好適には複数のセクタ(68)に分割されているフランジ(54)によって形成することを特徴とする請求項22記載の直流モータ。
【請求項24】
モータヘッド(48)の内部にモータの電波障害防止用の回路を含んだプリント回路基板(61)を配置し、ここで回路基板(61)はブラシボックス(50,51)に押圧された接触バネ(60)を介してブラシボックスと導電的に結合されることを特徴とする請求項12記載の直流モータ。
【請求項25】
回路基板(61)上にモータの回転方向確認用の外側から目視可能な発光ダイオード(67)を設けることを特徴とする請求項24記載の直流モータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−503531(P2006−503531A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543885(P2004−543885)
【出願日】平成15年9月30日(2003.9.30)
【国際出願番号】PCT/CH2003/000652
【国際公開番号】WO2004/036722
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(505138772)チーム オリオン ヨーロッパ ソシエテ アノニム (1)
【Fターム(参考)】