説明

文書処理装置、文書処理方法およびプログラム

【課題】 文書をある言語から他の言語に翻訳する際に、ユーザがその翻訳精度を把握できる装置を提供すること。
【解決手段】 複合機2の制御部21は、原稿を光学的に読み取って文書画像データを生成し、生成した文書画像データを電子メールに添付してコンピュータ装置1に送信する。続けて、制御部21は、文書画像データに対して文字認識処理を行った上で翻訳処理を行って翻訳データを生成する。そして、文書画像データとの対応関係を示す情報をメールヘッダの所定のフィールドに書き込んだ電子メールを生成し、その電子メールに翻訳データを添付して送信する。コンピュータ装置1は、文書画像データが添付された電子メールと翻訳データが添付された電子メールとを受信すると、それぞれの電子メールのメールヘッダを解析し、それらを対応付けて表示部に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書をある言語から他の言語に翻訳した翻訳結果をユーザに提示するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、文書をある言語(例えば、英語)から他の言語(例えば、日本語)に変換する翻訳装置の需要が高まっている。特に、翻訳元の文書(原稿)が紙文書で提供された場合に、紙文書を光学的に読み取って電子化し、文字認識を行った上で自動翻訳を行う装置が開発されている(例えば、特許文献1)。このような装置においては、翻訳後の文書データを印刷出力やネットワーク配信することによって、翻訳結果をユーザに提示するものが一般的である。
【特許文献1】特開平8−006948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
翻訳後の文書データ(以下、翻訳データとする)をネットワーク配信する装置を用いれば、地理的に離れた場所に設置されている装置を使用しているユーザに対しても翻訳結果を提示することが可能である。しかしながら、この場合は、翻訳データのみが送信されるため、ユーザは、翻訳結果を確認することはできるが翻訳元の文書の内容を確認することができず、翻訳精度を把握することができないという問題があった。
また、翻訳処理は翻訳対象である文書の量(例えば文書のページ数など)が多いほど処理に時間がかかることが多い。従って原稿を読み取ってから翻訳結果(翻訳データ)が送信されるまでに相当の時間がかかる場合があり、文書の配信が遅れてしまうという問題があった。
【0004】
本発明は上述した背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、文書をある言語から他の言語に翻訳する際に、ユーザがその翻訳精度を把握することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するために、本発明は、通信ネットワークを介してデータの授受を行う通信手段と、入力文書を光学的に読み取り文書画像データを生成する画像読取手段と、前記画像読取手段により生成された文書画像データを、前記通信手段を用いて所定の装置に送信させる文書画像データ送信制御手段と、前記文書画像データ送信制御手段によって送信された文書画像データに対して文字認識処理を行ってテキスト文書データを生成する文字認識手段と、前記文字認識手段により生成されたテキスト文書データの翻訳処理を行って翻訳データを生成する翻訳処理手段と、前記翻訳処理手段により生成された翻訳データを、前記通信手段を用いて前記所定の装置に送信させる翻訳データ送信制御手段とを備えることを特徴とする文書処理装置を提供する。
【0006】
本発明の好ましい態様において、前記文書画像データと前記翻訳データとの対応関係を示す対応関係情報を生成する対応関係情報生成手段を備え、前記翻訳データ送信制御手段は、前記翻訳データと前記対応関係情報とを、前記通信手段を用いて前記所定の装置に送信させるようにしてもよい。
また、本発明の更に好ましい態様において、前記通信手段は、電子メールプロトコルを用いてデータの授受を行い、前記翻訳データ送信制御手段は、電子メールのメールヘッダに前記対応関係情報を書き込むようにしてもよい。
また、本発明の別の好ましい態様において、前記テキスト文書データを、前記通信手段を用いて前記所定の装置に送信させるテキスト文書データ送信制御手段を備えるようにしてもよい。
また、更に好ましい態様において、前記対応関係情報は、前記文書画像データと前記テキスト文書データと前記翻訳データとの対応関係を示すものであり、前記テキスト文書データと前記対応関係情報とを、前記通信手段を用いて所定の装置に送信させるテキスト文書データ送信制御手段を備えるようにしてもよい。
【0007】
また、本発明は、通信ネットワークを介してデータの授受を行う通信手段を備える文書処理装置の文書処理方法であって、入力文書を光学的に読み取り文書画像データを生成するステップと、前記文書画像データを、前記通信手段を用いて所定の装置に送信させるステップと、送信された前記文書画像データに対して文字認識処理を行ってテキスト文書データを生成するステップと、前記テキスト文書データの翻訳処理を行って翻訳データを生成するステップと、前記翻訳データを、前記通信手段を用いて前記所定の装置に送信させるステップとを備えることを特徴とする文書処理方法を提供する。
【0008】
また、本発明は、通信ネットワークを介してデータの授受を行う通信手段を備えるコンピュータに、文書の画像を示す文書画像データを、前記通信手段を用いて所定の装置に送信させる文書画像データ送信制御機能と、前記文書画像データ送信制御機能によって送信された文書画像データに対して文字認識処理を行ってテキスト文書データを生成する文字認識機能と、前記文字認識機能により生成されたテキスト文書データの翻訳処理を行って翻訳データを生成する翻訳処理機能と、前記翻訳処理機能により生成された翻訳データを、前記通信手段を用いて前記所定の装置に送信させる翻訳データ送信制御機能とを実現させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、文書をある言語から他の言語に翻訳する際に翻訳元の文書画像データと翻訳済の翻訳データとを送信することによって、ユーザがその翻訳精度を把握することが可能となる。また、翻訳元の文書画像データをまえもって送信することによって、翻訳処理に時間がかかる場合であっても遅延することなくユーザに文書の情報を通知することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
(1)構成
図1は、本実施形態に係る文書翻訳システムの全体構成図である。本実施形態に係る翻訳システムは、図示のように、コンピュータ装置1と複合機2とが通信ネットワーク3により接続されて構成される。
【0011】
コンピュータ装置1は、例えばパーソナルコンピュータ等であり、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置を備えた制御部と、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)またはハードディスク等の記憶部と、各種通信装置等の通信部と、液晶ディスプレイ装置等の表示部と、キーボードやマウス等の操作部とを備えている。このコンピュータ装置1は、通信部を介して通信ネットワーク3に接続されており、コンピュータ装置1の制御部は、通信部を介して他の装置とデータの授受を行う。また、コンピュータ装置1の記憶部にはメーラプログラムが記憶されており、コンピュータ装置1の制御部はこのメーラプログラムを実行することによって、電子メールを送受信したり電子メールを表示部に表示したりするようになっている。
【0012】
次に、図2に示すブロック図を参照しながら、複合機2の構成について説明する。複合機2は、原稿(入力文書)を光学的に読み取って電子化するスキャナ機能を備えた装置である。図2において、21は、例えばCPU等の演算装置を備えた制御部であり、記憶部22に格納されているプログラムを読み出して実行することにより、バス27を介して複合機2の各部を制御する。23は、各種通信装置等の通信部である。複合機2は、通信部23を介して通信ネットワーク3に接続されており、複合機2の制御部21は、通信部23を介して他の装置とデータの授受を行う。
【0013】
24は、原稿を光学的に走査してその画像を読み取る画像読取部である。この画像読取部24は、原稿が載置される原稿載置部(図示略)を備えており、この原稿載置部に載置された原稿を光学的に走査してその画像を読み取り、文書画像データを生成する。
【0014】
記憶部22は、図2に示すように、揮発性記憶部22aと不揮発性記憶部22bとを含んでいる。揮発性記憶部22aは、例えばRAMであり、各種ソフトウェアプログラムに従って動作している制御部21によってワークエリアとして利用される。一方、不揮発性記憶部22bは、例えばROMやハードディスクであり、制御プログラムや翻訳プログラム、メーラプログラム等の各種プログラムおよび文書画像データやテキストデータ等の各種データを記憶する。
【0015】
25は、例えば液晶ディスプレイ等で構成され、制御部21からの制御信号に従ってユーザへのメッセージや作業状況を示す画像などを表示する表示部である。26は、テンキー,スタートボタン,ストップボタン,液晶ディスプレイ上に設置されたタッチパネル等で構成され、ユーザの操作入力およびその時の表示画面に応じた信号を出力する操作部である。ユーザは表示部25に表示された画像やメッセージを見ながら操作部26を操作することにより、複合機2に対して指示入力を行うことができる。
【0016】
(2)動作
次に、本実施形態に係る文書翻訳システムの動作について説明する。なお、以下の説明では、説明の便宜上、コンピュータ装置1を操作するユーザを「ユーザA」とし、複合機2を操作するユーザを「ユーザB」として説明する。
まず、ユーザBは、複合機2を操作して翻訳指示を入力する。具体的には、ユーザBは、翻訳処理の対象となる原稿(以下、原稿Sとする)を画像読取部24の原稿載置部に載置し、表示部25に表示されるメニュー画面を見ながら操作部26を操作することにより、複合機2に翻訳指示を入力する。翻訳指示は、翻訳元の言語、翻訳先の言語、翻訳結果の送信先を示す宛先メールアドレスなど、処理に必要なパラメータを含んでいる。なお、ここでは、ユーザBは、宛先メールアドレスとしてコンピュータ装置1のメールアドレスを入力するものとする。
【0017】
図3は、複合機2の制御部21が行う処理を示すフローチャートである。複合機2の制御部21は、翻訳指示が入力されたことを検知すると(ステップS1;YES)、入力された翻訳指示に含まれる宛先メールアドレスなどを記憶部22に記憶させるとともに、原稿Sの画像読取を行う(ステップS2)。すなわち、制御部21は、画像読取部24を制御して原稿Sの画像を光学的に読み取らせ、文書画像データを生成する。
【0018】
次に、制御部21は、その文書画像データを添付した電子メールを生成して送信する。具体的には、まず、制御部21は、その電子メールを識別するメールIDを生成し、これを記憶部22に記憶させる(ステップS3)。このメールIDは、この電子メールとの対応関係を示す情報として、後に説明する翻訳データの送信処理で用いられる情報である。制御部21は、メールヘッダの「Message-Id」フィールドに生成したメールIDを書き込むとともに、記憶部22から宛先メールアドレスを読み出して、「To」フィールドに書き込んで電子メールを生成し、その電子メールに文書画像データを添付して送信する(ステップS4)。このようにして、記憶部22に記憶された所定のメールアドレス(所定の装置)に対して電子メールが送信される。
【0019】
図4は、ステップS4で送信される電子メールのメールヘッダの一例を示す図である。図4においては、操作部26から入力された宛先メールアドレスが「abc@aaa.com」であり、生成されたメールIDが「1234567890」である場合のメールヘッダを示している。この場合、図示のように、「To」フィールドには「abc@aaa.com」が書き込まれ、「Message-Id」フィールドには「1234567890」が書き込まれる。
【0020】
コンピュータ装置1の制御部は、通信部を介してこの電子メールを受信すると、記憶部に記憶されているメーラプログラムを実行することによって、受信した電子メールを表示部に表示させる。表示部に表示される内容を確認することによって、コンピュータ装置1のユーザAは、原稿Sの文書画像データを確認することができる。
【0021】
図3の説明に戻る。ステップS4の処理を終えると、制御部21は、文書画像データに対し文字認識処理を行い、テキスト文書データを生成する(ステップS5)。続けて、制御部21は、生成したテキスト文書データに対し翻訳処理を行い、テキスト形式の翻訳データを生成する(ステップS6)。
【0022】
翻訳データが生成されると、制御部21は、以下の処理によって翻訳データを電子メールで送信する。制御部21は、ステップS3で記憶部22に記憶させたメールID、つまり文書画像データを送信した際の電子メールのメールIDを、メールヘッダの「In-Reply-To」フィールドまたは「References」フィールドに書き込むとともに、「To」フィールドには文書画像データを送信した際のメールアドレスと同一のもの、即ち記憶部22に記憶されたメールアドレスを書き込んで電子メールを生成し、翻訳データを電子メールに添付して送信する(ステップS7)。なお、翻訳データを電子メールに添付するのではなく、電子メールの本文に翻訳データを含めるようにしてもよい。
【0023】
図5は、図3のステップS7で送信される電子メールのメールヘッダの一例を示す図である。図示のように、このメールヘッダの「To」フィールドには、図4で示したメールヘッダの「To」フィールドと同一の「abc@aaa.com」が書き込まれる。また、「In-Reply-To」フィールドと「References」フィールドには、図4で示したメールヘッダの「Message-Id」フィールドに書き込んだ情報である「1234567890」が書き込まれる。このように、「In-Reply-To」フィールドまたは「References」フィールドに文書画像データを送信した際の電子メールのメールIDが書き込まれることによって、これらの2つの電子メールが対応付けられることになる。
【0024】
コンピュータ装置1の制御部は、この電子メールを受信すると、受信した電子メールを表示部に表示させる。図6は、メール受信画面の一例を示す図である。図において、m1は、原稿Sの文書画像データが添付された電子メールであり、m2は、原稿Sの翻訳データが添付された電子メールである。m3,m4,m5はその他の電子メールである。図6においては、文書画像データが添付された電子メールm1が受信されてから、翻訳データが添付された電子メールm2が受信されるまでの間に、その他の電子メールm3〜m5とが受信された様子を示している。
【0025】
コンピュータ装置1の制御部は、電子メールm2を受信すると、そのメールヘッダの内容を解析する。図4および図5に例示したように、電子メールm2のメールヘッダの「In-Reply-To」フィールドまたは「References」フィールドには、電子メールm1のメールヘッダの「Message-Id」フィールドに書き込まれたメールIDと同一のものが書き込まれる。そのため、コンピュータ装置1の制御部は、電子メールm1と電子メールm2とが対応付けられていると判断し、電子メールm1と電子メールm2とを対応付けて表示部に表示させる。図6の例においては、電子メールm1と電子メールm2をツリー表示することによってその対応関係を示している。
【0026】
複合機2の翻訳処理に時間がかかり、コンピュータ装置1において電子メールm1を受信してから電子メールm2を受信するまでの間に他のメールが受信された場合は、電子メールm1と電子メールm2との対応関係がわかり難くなることが懸念される。このような場合であっても、電子メールm1との対応関係を示す情報(メールID)が電子メールm2のメールヘッダに書き込まれるため、コンピュータ装置1は、電子メールm1と電子メールm2のメールヘッダを解析することによって、電子メールm1と電子メールm2とを対応付けて表示させることが可能となる。
【0027】
次に、複数の原稿について翻訳処理が行われた場合について、図6を参照しつつ説明する。図6において、m6は、原稿S´の文書画像データが添付された電子メールであり、m7は原稿S´の翻訳データが添付された電子メールである。原稿S´についても、複合機2の制御部21によって図3で示した一連の処理が実行され、電子メールm6との対応関係を示す情報(メールID)が電子メールm7のメールヘッダに書き込まれて送信される。コンピュータ装置1は、電子メールm6と電子メールm7のメールヘッダを解析することによって、電子メールm6と電子メールm7とが対応付けられていると判断する。これにより、コンピュータ装置1は、図6に示すように、電子メールm6と電子メールm7とを対応付けて表示させる。
【0028】
複合機2のユーザBが、複数の原稿について翻訳処理の指示入力を行って、それぞれの原稿の文書画像データおよび翻訳データがコンピュータ装置1に送信された場合は、それぞれの対応関係がわかり難くなるという問題がより顕著に発生する。このような場合であっても、本実施形態によれば、図6の電子メールm1と電子メールm2、および電子メールm6と電子メールm7に示すように、コンピュータ装置1はそれぞれを対応付けて表示させることが可能であるため、コンピュータ装置1のユーザAは、それぞれの対応関係を容易に把握することが可能となる。
【0029】
以上説明したように本実施形態によれば、翻訳元の文書画像データと翻訳後の翻訳データとの両方が送信されることによって、ユーザは、翻訳前の文書の内容を確認することができるため、その翻訳精度を把握することが可能となる。また、翻訳対象である文書の量が多く翻訳処理に時間がかかる場合であっても、翻訳処理を行う前に翻訳元の文書画像データを送付することによって、遅延することなくユーザに文書の情報を通知することが可能となる。
【0030】
また、翻訳元の文書画像データと翻訳後の翻訳データとの対応関係を示す情報が送信されることによって、コンピュータ装置1が文書画像データと翻訳データとを対応付けて表示することができ、これにより、翻訳処理に時間がかかる場合でも、どの電子メールとどの電子メール(どの文書画像データとどの翻訳データ)とが対応しているのかをユーザが容易に判断することが可能となり、どの文書が翻訳済のものかを探すというユーザの手間を軽減させることが可能となる。特に、翻訳対象である文書の量が多く翻訳処理に時間がかかる場合は、翻訳元の文書画像データと翻訳後の翻訳データが配信先に到達する時間にはずれが生じ、文書画像データが添付された電子メールが受信されてから翻訳データが添付された電子メールが受信されるまでの間に他のメールが受信される場合がある。このような場合でも、文書画像データが添付された電子メールと翻訳データが添付された電子メールとが対応付けて表示されることによって、両者の対応関係がわかり難くなるという問題を回避することが可能となる。
【0031】
なお、メールヘッダの内容に基づいて複数の電子メールを対応付けて表示させるというコンピュータ装置1の上述した機能は、従来普及しているメールソフトにおいて一般的な機能である。そのため、コンピュータ装置1のユーザAは、従来使用しているメールソフトを使用することが可能であり、コンピュータ装置1に特別なソフトウェアプログラムをインストールしたり専用のハードウェア装置を用いたりする必要はない。
【0032】
(3)変形例
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。以下にその一例を示す。
(3−1)
上記実施形態では、原稿の文書画像データとその翻訳データとを電子メールで送信するようにしたが、文書画像データと翻訳データに加えて、文書画像データに対して文字認識処理を行って生成したテキスト文書データも電子メールで送信するようにしてもよい。具体的には、図3に示した複合機2の制御部21の処理において、ステップS5の処理を終えた時点で、生成したテキスト文書データを電子メールで送信するようにする。このとき、制御部21は、翻訳メールを送信する際の電子メールと同様に、ステップS3で記憶部22に記憶させたメールID、つまり文書画像データを送信した際の電子メールのメールIDを、メールヘッダの「In-Reply-To」フィールドまたは「References」フィールドに書き込む。また、「To」フィールドには文書画像データを送信した際のメールアドレスと同一のものを書き込んで電子メールを生成し、テキスト文書データを電子メールに添付して送信するようにする。
【0033】
このようにすれば、文書画像データ,テキスト文書データ,翻訳データがそれぞれ添付された3つの電子メールが対応付けられることになるため、コンピュータ装置1は、これらの3つの電子メールを例えばツリー表示等の方法で関連付けて表示することができる。これにより、コンピュータ装置1のユーザは、この3種類のデータをそれぞれ確認することができ、その翻訳精度をより正確に把握することが可能となる。また、3つの電子メールが関連付けて表示されることにより、どの電子メールとどの電子メールが対応しているのかをユーザが容易に判断することが可能となり、どの文書が翻訳済のものかを探すというユーザの手間を軽減させることが可能となる。
【0034】
(3−2)
上記実施形態では、電子メールのメールヘッダの「In-Reply-To」フィールドまたは「References」フィールドを用いて文書画像データと翻訳データとを対応付けるようにしたが、これに限らず、文書画像データと翻訳データとを対応付けられるものであれば、メールヘッダの他のフィールドを用いることも可能である。例えば、「From」フィールドまたは「Subject」フィールドに対応関係を示す情報を含めるようにしてもよい。また、メールヘッダではなく電子メールの本文に対応関係を示す情報(キーワード)を含めるようにし、受信フォルダ内でそのキーワードを検索することによって電子メールを特定できるようにしてもよい。
【0035】
ここで、電子メールのメールヘッダの「From」フィールドを用いて対応付ける方法について、図7を参照しつつ説明する。図7は、「From」フィールドを用いた場合にコンピュータ装置1に表示される表示画面の一例である。図において、m11,m13は、それぞれ異なる原稿の文書画像データが添付された電子メールである。m12は、m11の翻訳結果を示す翻訳データが添付された電子メールであり、m14は、m13の翻訳結果を示す翻訳データが添付された電子メールである。m15,m16,m17はその他の電子メールである。複合機2の制御部21は、電子メールm11,m12の「From」フィールドに、対応関係を示す情報「<複合機2−文書001>」をそれぞれ付与してこれらの電子メールを送信する。また、電子メールm13,m14の「From」フィールドには、これらの対応関係を示す情報「<複合機2−文書002>」を付与して送信する。
図7においては、コンピュータ装置1の表示部に表示されている複数の電子メールm11〜m17が、コンピュータ装置1のユーザAによって「差出人」の項目でソートされた状態の画面を示している。図示のように、複数の電子メールが表示部に表示されている場合であっても、それらの電子メールを所定の項目でソートすることによって、ユーザは文書画像データと対応する翻訳データの電子メールを容易に見つけることができる。
【0036】
なお、原稿の文書画像データと翻訳データとを対応付ける方法として、上記実施形態で用いた方法と、上述の「From」フィールドや「Subject」フィールドを用いる方法とを併用する等、複数の方法を併用するようにしても勿論よい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態に係る文書翻訳システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態の複合機の構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態の複合機の処理を示すフローチャートである。
【図4】文書画像データが添付される電子メールのメールヘッダの一例を示す図である。
【図5】翻訳データが添付される電子メールのメールヘッダの一例を示す図である。
【図6】コンピュータ装置の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
【図7】コンピュータ装置の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1…コンピュータ装置、2…複合機、3…通信ネットワーク、21…制御部、22…記憶部、23…通信部、24…画像読取部、25…表示部、26…操作部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介してデータの授受を行う通信手段と、
入力文書を光学的に読み取り文書画像データを生成する画像読取手段と、
前記画像読取手段により生成された文書画像データを、前記通信手段を用いて所定の装置に送信させる文書画像データ送信制御手段と、
前記文書画像データ送信制御手段によって送信された文書画像データに対して文字認識処理を行ってテキスト文書データを生成する文字認識手段と、
前記文字認識手段により生成されたテキスト文書データの翻訳処理を行って翻訳データを生成する翻訳処理手段と、
前記翻訳処理手段により生成された翻訳データを、前記通信手段を用いて前記所定の装置に送信させる翻訳データ送信制御手段と
を備えることを特徴とする文書処理装置。
【請求項2】
前記文書画像データと前記翻訳データとの対応関係を示す対応関係情報を生成する対応関係情報生成手段を備え、
前記翻訳データ送信制御手段は、前記翻訳データと前記対応関係情報とを、前記通信手段を用いて前記所定の装置に送信させる
ことを特徴とする請求項1記載の文書処理装置。
【請求項3】
前記通信手段は、電子メールプロトコルを用いてデータの授受を行い、
前記翻訳データ送信制御手段は、電子メールのメールヘッダに前記対応関係情報を書き込む
ことを特徴とする請求項2に記載の文書処理装置。
【請求項4】
前記テキスト文書データを、前記通信手段を用いて前記所定の装置に送信させるテキスト文書データ送信制御手段
を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の文書処理装置。
【請求項5】
前記対応関係情報は、前記文書画像データと前記テキスト文書データと前記翻訳データとの対応関係を示すものであり、
前記テキスト文書データと前記対応関係情報とを、前記通信手段を用いて所定の装置に送信させるテキスト文書データ送信制御手段
を備えることを特徴とする請求項2記載の文書処理装置。
【請求項6】
通信ネットワークを介してデータの授受を行う通信手段を備える文書処理装置の文書処理方法であって、
入力文書を光学的に読み取り文書画像データを生成するステップと、
前記文書画像データを、前記通信手段を用いて所定の装置に送信させるステップと、
送信された前記文書画像データに対して文字認識処理を行ってテキスト文書データを生成するステップと、
前記テキスト文書データの翻訳処理を行って翻訳データを生成するステップと、
前記翻訳データを、前記通信手段を用いて前記所定の装置に送信させるステップと
を備えることを特徴とする文書処理方法。
【請求項7】
通信ネットワークを介してデータの授受を行う通信手段を備えるコンピュータに、
文書の画像を示す文書画像データを、前記通信手段を用いて所定の装置に送信させる文書画像データ送信制御機能と、
前記文書画像データ送信制御機能によって送信された文書画像データに対して文字認識処理を行ってテキスト文書データを生成する文字認識機能と、
前記文字認識機能により生成されたテキスト文書データの翻訳処理を行って翻訳データを生成する翻訳処理機能と、
前記翻訳処理機能により生成された翻訳データを、前記通信手段を用いて前記所定の装置に送信させる翻訳データ送信制御機能と
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−323536(P2006−323536A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−144604(P2005−144604)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】