説明

文書処理装置、画像形成装置、印刷指示装置、画像形成システムおよびプログラム

【課題】ネットワークに接続された文書処理装置や画像形成装置等の機器間で、文書データや印刷データに対する処理が実行されたことを、前記文書データや前記印刷データを蓄積する他の文書処理装置や画像形成装置等の機器に通知する。
【解決手段】端末装置21は、アドレス情報が含まれた応答データを受信すると(ステップS102)、応答データに含まれていたアドレス情報を用いて画像形成装置11、12に印刷ジョブを送信する(ステップS103)。画像形成装置11、12では、印刷ジョブを蓄積する(ステップS104)。そして、ユーザが実際に画像形成装置11に印刷実行指示を行うと、画像形成装置11では印刷処理を実行し(ステップS105)、印刷処理を実行した旨を他の画像形成装置12、13等に通知する(ステップS106)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書処理装置、画像形成装置、印刷指示装置、画像形成システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、指定した印刷装置が印刷不能状態に陥ったときに、ブロードキャスト通信を利用してネットワーク上の他の印刷装置を検索し、発見された他の印刷装置によって印刷代行を行う技術が示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−122093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ネットワークに接続された文書処理装置や画像形成装置等の機器間で、文書データや印刷データに対する処理が実行されたことを、前記文書データや前記印刷データを蓄積する他の文書処理装置や画像形成装置等の機器に通知することが可能な文書処理装置、画像形成装置、印刷指示装置、画像形成システムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[文書処理装置]
請求項1に係る本発明は、受信した文書データを蓄積する蓄積手段と、
文書データを出力するための文書データ出力手段と、
前記蓄積手段に蓄積された文書データに基づく出力を実行する指示を受け付ける出力実行指示受付手段と、
前記出力実行指示受付手段により出力指示を受けた場合、前記蓄積手段に蓄積されていた文書データを出力するよう前記文書データ出力手段を制御する制御手段と、
前記文書データを蓄積している他の装置に前記文書データに基づく出力をしたことを通知する通知手段とを有する文書処理装置である。
【0006】
[画像形成装置]
請求項2に係る本発明は、受信した印刷データを蓄積する蓄積手段と、
画像を出力するための画像出力手段と、
前記蓄積手段に蓄積された印刷データに基づく印刷を実行する指示を受け付ける印刷実行指示受付手段と、
前記印刷実行指示受付手段により印刷実行指示を受けた場合、前記蓄積手段に蓄積されていた印刷データに基づいた画像を出力するよう前記画像出力手段を制御する制御手段と、
前記印刷データを蓄積している他の画像形成装置に前記印刷データに基づいた画像を出力したことを通知する通知手段とを有する画像形成装置である。
【0007】
請求項3に係る本発明は、前記通知手段が、前記印刷データに基づいた画像を出力した部数を他の画像形成装置に対して通知することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項4に係る本発明は、前記蓄積手段が、前記印刷データに対応した出力部数を示す総部数情報を記憶し、
前記制御手段は、前記蓄積手段に蓄積された前記印刷データに基づいて前記画像出力手段により画像出力を実行した部数が、前記蓄積手段に蓄積された前記総部数情報に達した場合、当該印刷データを前記蓄積手段から消去する請求項2または3に記載の画像形成装置である。
【0009】
請求項5に係る本発明は、他の画像形成装置によって前記印刷データが出力された通知を受信する受信部をさらに有し、
前記制御手段は、前記画像出力手段により画像出力を実行した部数と、前記受信部が受信した他の画像形成装置による出力部数との合計が、前記総部数に達した場合、当該印刷データを前記蓄積手段から消去することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置である。
【0010】
請求項6に係る本発明は、前記制御手段が、印刷データを受信してから一定の時間が経過した場合、当該印刷データを前記蓄積手段から消去する請求項2乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
【0011】
請求項7に係る本発明は、前記制御手段が、印刷指示装置からの印刷データの受け付けに関する問い合わせを受信して、当該問い合わせを送信してきた印刷指示装置に対して自装置のアドレス情報を含めた応答をすることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項記載の画像形成装置である。
【0012】
[印刷指示装置]
請求項8に係る本発明は、不特定の宛先に対してデータを送信するための通信により、印刷データの受け付けに関する問い合わせを送信する問い合わせ送信手段と、
当該問い合わせに対する応答に含まれるアドレス情報の画像形成装置に対して印刷データを送信する印刷データ送信手段とを有する印刷指示装置である。
【0013】
請求項9に係る本発明は、複数の画像形成装置に対して、印刷データの受け付けに関する問い合わせを送信する問い合わせ送信手段と、
当該問い合わせに対する応答に含まれるアドレス情報の画像形成装置に対して印刷データを送信する印刷データ送信手段とを有する印刷指示装置である。
【0014】
請求項10に係る本発明は、複数の画像形成装置を出力先として指定する出力先指定手段と、
前記出力先指定手段によって指定された画像形成装置に対して、印刷データを送信する印刷データ送信手段とを有する印刷指示装置である。
【0015】
請求項11に係る本発明は、前記印刷データ送信手段が、前記画像形成装置内に前記印刷データを蓄積しておき、印刷実行指示を受けて前記印刷データを印刷する指示として、前記印刷データを送信することを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の印刷指示装置である。
【0016】
[画像形成システム]
請求項12に係る本発明は、複数の画像形成装置に対して印刷データを送信する印刷データ送信手段を有する印刷指示装置と、
受信した印刷データを蓄積する蓄積手段と、画像を出力するための画像出力手段と、前記蓄積手段に蓄積された印刷データに基づく印刷を実行する指示を受け付ける印刷実行指示受付手段と、前記印刷実行指示受付手段により印刷実行指示を受けた場合、前記蓄積手段に蓄積されていた印刷データに基づいた画像を出力するよう前記画像出力手段を制御する制御手段と、前記印刷データを蓄積している他の画像形成装置に画像を出力したことを通知する通知手段を有する画像形成装置とを備えた画像形成システムである。
【0017】
請求項13に係る本発明は、前記印刷指示装置が、複数の画像形成装置に対して印刷データの受け付けに関する問い合わせを送信する問い合わせ送信手段をさらに有し、
前記印刷データ送信手段は、当該問い合わせに対する応答に含まれるアドレス情報の画像形成装置に対して印刷データを送信し、
前記制御手段は、印刷指示装置から前記問い合わせを受信して、当該問い合わせを送信してきた印刷指示装置に対して自装置のアドレス情報を含めた応答をする請求項12に記載の画像形成システムである。
【0018】
[プログラム]
請求項14に係る本発明は、受信した印刷データを蓄積するステップと、
印刷実行指示を受けた場合、蓄積されていた印刷データに基づいた画像を出力するよう画像出力手段を制御するステップと、
前記印刷データに基づいた画像を出力したことを前記印刷データを蓄積している他の装置に通知するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0019】
請求項15に係る本発明は、不特定の宛先に対してデータを送信するための通信により、印刷データを受け付け可能か否かを問い合わせるための検索要求を送信するステップと、
当該検索要求に対して返信されてきた応答に含まれるアドレス情報の画像形成装置に対して印刷データを送信するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る本発明によれば、自装置で蓄積した文書データに基づく出力処理が実行されたことを、前記文書データを蓄積する他の装置に通知することが可能な文書処理装置を提供することができる。
【0021】
請求項2に係る本発明によれば、蓄積した印刷データに基づく印刷が実行されたことを、前記印刷データを蓄積する他の画像形成装置に通知することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0022】
請求項3に係る本発明によれば、蓄積した印刷データに基づく印刷の出力部数を他の画像形成装置に通知することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0023】
請求項4に係る本発明によれば、画像出力手段での出力部数が総部数に達した場合に機密に該当する可能性のある蓄積した印刷データを適切に消去することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0024】
請求項5に係る発明によれば、自装置の画像出力手段による出力だけでなく、他の画像形成装置での出力を含んで、必要な出力部数の画像出力がなされた場合に、蓄積した印刷データを消去することで機密に該当する可能性のある文書を適切に消去することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0025】
請求項6に係る発明によれば、一定時間経過した際に、機密に該当する可能性のある蓄積手段に蓄積された印刷データを消去することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0026】
請求項7に係る発明によれば、問い合わせに応じて自装置の宛先を通知して印刷処理を実行することができる画像形成装置を提供することができる。
【0027】
請求項8に係る発明によれば、画像形成装置の宛先がわからない場合であっても、印刷処理を指示することができる印刷指示装置を提供することができる。
【0028】
請求項9に係る発明によれば、印刷データの受付が可能な複数の画像形成装置に対して、印刷処理を指示することができる印刷指示装置を提供することができる。
【0029】
請求項10に係る発明によれば、指定した複数の画像形成装置に対して、印刷処理を指示することができる印刷指示装置を提供することができる。
【0030】
請求項11に係る発明によれば、複数の画像形成装置に対して、印刷データを蓄積しておき、印刷実行指示がされることで印刷されるような印刷指示をすることができる印刷指示装置を提供することができる。
【0031】
請求項12に係る発明によれば、蓄積した印刷データに基づく印刷が実行されたことを、前記印刷データが蓄積された他の画像形成装置に通知することが可能な画像形成システムを提供することができる。
【0032】
請求項13に係る発明によれば、複数の画像形成装置から得られた応答に基づき、印刷処理を実行することができる画像形成システムを提供することができる。
【0033】
請求項14に係る発明によれば、蓄積した印刷指示に基づく印刷が実行されたことを、他の装置に通知することが可能なプログラムを提供することができる。
【0034】
請求項15に係る発明によれば、画像形成装置の宛先がわからない場合であっても、印刷処理を指示することができるプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態の画像形成システムの構成を示すシステム図である。
【0036】
本発明の一実施形態の画像形成システムは、図1に示されるように、ネットワーク30により相互に接続された画像形成装置11〜13、およびこれらの画像形成装置11〜13に対して印刷ジョブを送信可能な印刷指示装置である端末装置21、22により構成される。端末装置21、22は、印刷データを生成して、生成した印刷データをネットワーク30経由にて画像形成装置11〜13に対して送信する。画像形成装置11〜13は、端末装置21、22から送信されてきた印刷データを受け付けて、印刷データに応じた画像を用紙上に出力する。なお、画像形成11〜13は、印刷(プリント)機能、スキャン機能、複写(コピー)機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有するいわゆる複合機と呼ばれる装置であってもよいし、印刷機能のみを有するプリンタであってもよい。なお、印刷データには、印刷を行うための画像情報だけでなく、印刷を実行する際の出力仕様等の情報も含まれるものとする。
【0037】
また、図1に示した本実施形態の画像形成システムのシステム構成は一例であり、本発明は端末装置および画像形成装置の数に限定されるものではない。
【0038】
次に、本実施形態の画像形成システムにおける端末装置21、画像形成装置11のハードウェア構成を図2に示す。なお、図2では、端末装置21、画像形成装置11の構成のみを説明するが、端末装置22、画像形成装置12、13の構成も同様な構成となっている。
【0039】
端末装置21は、図2に示されるように、CPU31、ハードディスクドライブ(HDD)32、送受信部33、ROM34、RAM35、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース(UI)装置36を有する。
【0040】
CPU31は、ROM34、RAM35またはHDD32に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、端末装置21の動作を制御する。送受信部33は、ネットワーク30上の他の装置との間でデータを送受信するための機能を有する。
【0041】
また、画像形成装置11は、図2に示されるように、送受信部41、HDD42、CPU43、ROM44、RAM45、プリントエンジン46、UI装置47を有する。
【0042】
CPU43は、ROM44、RAM45またはHDD42に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、画像形成装置11の動作を制御する。送受信部41は、ネットワーク30上の他の装置との間でデータを送受信するための機能を有する。
【0043】
次に、CPU31において制御プログラムが実行されることにより実現される端末装置21の機能構成およびCPU43において制御プログラムが実行されることにより実現される画像形成装置11の機能構成を図3に示す。
【0044】
端末装置21は、図3に示されるように、送受信部33と、制御部51と、表示装置52と、データ格納部53とを備えている。
【0045】
データ格納部53は、印刷処理を実行しようとする印刷ジョブ等のデータを格納している。
【0046】
制御部51は、ブロードキャスト通信により、印刷処理を実行しようとする印刷ジョブを受け付け可能か否かを問い合わせるための検索要求を送信する機能と、この検索要求に対して返信されてきた応答に含まれるアドレス情報の画像形成装置に対して印刷ジョブを送信する機能とを有する。
【0047】
ここで、ブロードキャスト通信とは、不特定の宛先に対してデータを送信するための通信であり、各装置のアドレス情報を知らなくてもネットワーク内の全ての装置に対してデータを送信することが可能な通信である。
【0048】
なお、制御部51は、印刷ジョブを複数の画像形成装置に対して送信する際には、複数の宛先に対してデータを送信するための通信により印刷ジョブを送信するようにしても良いし、単一の宛先に対してデータを送信するための通信により印刷ジョブを送信するようにしても良い。
【0049】
表示装置52は、印刷ジョブを送信した画像形成装置の情報等の各種情報を表示する。
【0050】
また、ブロードキャスト通信により検索要求データを送信してその応答により印刷ジョブを送信する画像形成装置を特定する方法だけでなく、送信対象としての画像形成装置をユーザが直接指定することで、指定された画像形成装置に対して印刷データを送信するようにしてもよい。その場合には、表示装置52に図4に記載するような出力先指定画面を表示して、出力先の候補となる複数の画像形成装置から所望の画像形成装置を選択するようにすればよい。図4の出力先指定画面の表示例では、出力先としてのプリンタの候補を表示している。図4で候補として表示されるプリンタは、端末装置に登録されているプリンタを全て表示するようにしてあってもよいし、あるいは登録されているもののうちの一部を、選択対象として予め選定しておき、選定されたプリンタだけを候補として表示してもよい。また、同一のネットワーク内に接続されたプリンタのみを候補としてもよく、さらには同一のプリンタドライバによって印刷ジョブを生成可能なプリンタに限定することも可能である。
【0051】
出力先指定画面を表示するにあたり、端末装置とプリンタとの間でSNMP(Simple Network Management Protocol)を用いて、各プリンタから装置の構成情報や設置場所に関する情報を取得することも可能であり、図4の例ではプリンタ名とともに、各プリンタの設置場所および構成情報としての特徴を現す情報をともに表示している。あるいは予め各プリンタごとに設置場所や構成情報を登録しておいてもよく、設置場所等の情報ではなく、ユーザが識別可能となる情報を表示することも可能である。このように、設置場所あるいは構成情報等をともに表示することで、複数のプリンタから所望のプリンタを選択する際に選択がしやすくなる。
【0052】
出力先指定画面を表示して選択することで、ユーザは任意に出力対象として指定したい複数のプリンタを選択できる。たとえば図4の場合であれば、「プリンタA」、「プリンタC」、「プリンタN」といった3つのプリンタが選択されている例であり、選択されたプリンタはプリンタ名等の情報が反転表示される。またその時点での選択済みの台数を表示してもよい。
【0053】
最終的に、ユーザは出力候補としてのプリンタの選択が終わると、図4のOKボタンを押下することで、選択された複数のプリンタに印刷データが送信されることになる。
【0054】
また、画像形成装置11は、図3に示されるように、送受信部41と、データ蓄積部61と、制御部62と、印刷実行指示受付部63と、画像出力部64と、表示装置65とを備えている。
【0055】
制御部62は、不特定の宛先に対してデータを送信するための通信であるブロードキャスト通信により、印刷ジョブを受け付け可能か否かを問い合わせるための検索要求(印刷ジョブの受付に関する問い合わせ)を端末装置から受信して、その検索要求を受け付ける場合、自装置のアドレス情報を含めた応答を検索要求を送信してきた端末装置に対して返信する。
【0056】
ここで、検索要求を受け付けるか否かの判定には、受信した検索要求を受付可能か否かの判定と、検索要求を受け付けるように設定されているかの判定とが含まれる。
【0057】
画像形成装置11〜13は、それぞれ、複数の画像形成装置に対して印刷ジョブを送信して印刷処理を可能とするブロードキャスト印刷を受け付けるか拒否するかを設定できるようになっている。そして、各画像形成装置11〜13は、ブロードキャスト印刷を受け付けるよう設定されている場合には、端末装置から受信した検索要求を受け付け、ブロードキャスト印刷を受け付けないように設定されている場合には、端末装置から受信した検索要求を受け付けない。
【0058】
また、検索要求を受け付けるように設定されている場合であっても、印刷ジョブがカラー印刷であり、画像形成装置がモノクロ印刷しか対応できない場合には、この検索要求を受けることはできない。
【0059】
つまり、各画像形成装置では、検索要求を受け付けるように設定されており、かつ、検索要求を受付可能な場合にのみ、検索要求を送信してきた端末装置に対して、検索要求を受け付ける旨の応答を返信する。
【0060】
そして、データ蓄積部61は、自装置のアドレス情報に基づいて送信されてきた印刷ジョブを蓄積する。つまり、データ蓄積部61は、複数の宛先に対してデータを送信するための通信により送信され、送受信部41により受信された印刷ジョブを蓄積する。
【0061】
印刷実行指示受付部63は、ユーザの操作パネル等の操作により、データ蓄積部61に蓄積されている印刷ジョブに基づく印刷処理を実行する指示を受け付ける。
【0062】
制御部62は、印刷実行指示受付部63を介して印刷実行指示を受けた場合、データ蓄積部61に蓄積されていた印刷ジョブに基づいた画像を出力するよう画像出力部64を制御する。
【0063】
画像出力部64は、制御部62により制御に基づいて、印刷処理を実行するよう指示を受けた印刷ジョブに基づく画像を印刷用紙上に出力する。
【0064】
表示装置65は、データ蓄積部61に蓄積されている印刷ジョブの情報、印刷ジョブがデータ蓄積部61に蓄積された時刻情報等の各種情報を表示する。
【0065】
送受信部41により受信された印刷ジョブに印刷すべき総部数を示す総部数情報が含まれていた場合、制御部62は、受け付けた印刷実行指示に基づいて印刷データを実行すると、送受信部41を介して、当該印刷ジョブを蓄積している他の画像形成装置に当該印刷ジョブに基づいた画像を出力したことを通知する機能を有する。具体的には、制御部62は、送受信部41を介して、当該印刷ジョブに基づいた画像を出力した部数を、当該印刷ジョブを蓄積している他の画像形成装置に対して通知する機能を有する。そして、制御部62は、ある印刷ジョブについて、画像出力部64において印刷を実行した部数と他の画像形成装置から受信した情報に基づく印刷実行部数との合計が総部数に達した場合、この印刷ジョブをデータ蓄積部61から消去する。
【0066】
また、制御部62は、印刷ジョブを受信してから一定の時間が経過した場合、この印刷ジョブをデータ蓄積部61から消去するようにしてもよい。
【0067】
次に、本実施形態の画像形成システムの動作を図面を参照して詳細に説明する。
図5は、本実施形態の画像形成システムの動作を説明するためのシーケンスチャートである。
【0068】
以下の説明では、端末装置21が、ある印刷ジョブをブロードキャスト印刷により印刷しようとした場合を用いて説明する。また、画像形成装置11、12は、ブロードキャスト印刷を受理し、画像形成装置13は、ブロードキャスト印刷を拒否するように設定されているものとする。
【0069】
まず、端末装置21が、ある印刷ジョブの印刷処理を実行しようとした場合、自装置のアドレス情報と、これから印刷しようとする印刷ジョブに要求される機能の情報(カラー印刷かモノクロ印刷か、ステイプルの有無、両面印刷なのか片面印刷なのか)を含んだ検索要求データをブロードキャスト通信によりネットワーク30に配信する(ステップS101)。
【0070】
この端末装置21からの検索要求データは、画像形成装置11〜13により受信される。各画像形成装置11〜13では、ブロードキャスト通信により配信されてきた検索要求データに基づくブロードキャスト印刷を受理するか拒否するかを判定する。ここでは、画像形成装置13では、ブロードキャスト印刷を拒否するよう設定されている。そのため、画像形成装置11、12のみが、受信した検索要求に応じて、自装置のアドレス情報を含んだ応答データを端末装置21に返信する(ステップS102)。
【0071】
端末装置21は、返信されてきた応答データから、自装置の印刷ジョブに応じることができるネットワーク30上の全ての画像形成装置11、12のアドレス情報を知ることができる。そのため、端末装置21は、応答データに含まれていたアドレス情報に対して、印刷ジョブを送信する(ステップS103)。あるいは、図4にて示したようなユーザが出力候補となる出力先を指定するような実施形態であれば、ユーザの出力先選択に基づいて対象となるプリンタが明確であり、それぞれのプリンタに設定された出力ポートや送信先アドレスが設定されているので、ユーザによって選択された複数のプリンタの各々に設定されたアドレスに対して印刷ジョブを送信すればよい。
【0072】
この印刷ジョブを受信した画像形成装置11、12では、印刷ジョブを蓄積する(ステップS104)。ただし、印刷ジョブを受信した画像形成装置11、12では、印刷ジョブを蓄積するもので、実際の印刷処理は実行しない。また、印刷ジョブを蓄積する際、印刷ジョブには総印刷部数に関する情報が含まれていて、その総印刷部数に関する情報を印刷管理に用いるようにする。あるいは、印刷ジョブとは別で送信される情報から総印刷部数に関する情報を抽出して印刷管理に用いてもよい。
【0073】
また、ブロードキャスト通信を使わず、図4に示すような、ユーザが出力先の対象となるプリンタを複数指定するような実施形態の場合には、端末装置から送信する印刷ジョブ内に、あるいは印刷ジョブと関連付けた別な情報として、図4の出力先指定画面によって選択した複数のプリンタに関する情報を送信するようにしておいてもよい。それによって、個々のプリンタでの出力状況、特に各プリンタで印刷が実行されたという情報、出力部数情報を、他の画像形成装置に通知する際の通知先を把握することが可能となる。もちろん。ブロードキャスト通信により印刷ジョブの送信先を決定するような場合においても、ステップS102で応答のあった画像形成装置のアドレス情報を、印刷ジョブとともに送信するように構成してもよく、その場合には他の画像形成装置に出力状況や出力部数を通知する際に再度ブロードキャスト通信によって通知先に対する問い合わせをする必要がなくなる。
【0074】
そして、ユーザが実際に画像形成装置11もしくは画像形成装置12に赴き、印刷実行指示(印刷開始指示)を行うと、印刷実行指示を受けた画像形成装置では印刷処理を実行する(ステップS105)。図5では、ユーザが画像形成装置11に対して印刷実行指示を行った場合を示している。なお、この印刷実行指示を行う際にユーザが予めパスワードを設定しておくことにより、パスワードが入力されたことを条件として、印刷処理を実行するようにしてもよい。
【0075】
そして、印刷処理を実行した画像形成装置11は、印刷処理を実行したことを他の画像形成装置12、13および画像形成装置21等にブロードキャスト通信にて通知する(ステップS106)。また、ブロードキャスト通信によって通知するだけでなく、上記したように、印刷ジョブとともに当該印刷ジョブを送信した出力先に関する情報が各画像形成装置に通知されている場合には、その情報に基づいて出力が実行されたことを通知するようにしてもよい。
【0076】
この通知を受け取った画像形成装置12、13では、これまでに受け取った印刷通知の合計数および自らの画像形成装置内で行った印刷部数の合計数から、実際に印刷処理が実行された部数が指定された総部数に達したかどうかを判定する。つまり、ネットワーク30上の全ての画像形成装置によって、この印刷ジョブに基づいた印刷が何部行われたかを算出し、指定された総部数に達しているか否が判定される。そして、印刷された部数の合計が総部数に達していた場合、もはやこの印刷ジョブは不要であるため、各画像形成装置は印刷ジョブを廃棄する。
【0077】
また、印刷された部数の合計が総部数に達しない場合でも、印刷ジョブを受信あるいは蓄積してから一定時間、例えば、12時間とか24時間、あるいは1週間というような時間が経過した場合、その印刷ジョブを廃棄する。
【0078】
なお、画像形成装置11の表示装置65では、図6に示すように、データ蓄積部61に蓄積されている印刷ジョブの情報を表示するようにしてもよい。図6に示した表示例では、印刷ジョブ名、その印刷ジョブのページ数、蓄積日時、送信ユーザ名、残部数/総部数が表示されている。ユーザは、このような表示画面を参照して、印刷実行指示を行う印刷ジョブを選択することができる。
【0079】
[変形例]
上記実施形態では、端末装置21から検索要求データをネットワーク上の他の装置にブロードキャスト通信により送信し、応答データが返信されてきた画像形成装置に対してのみ印刷ジョブを送信しているが、印刷ジョブを直接ブロードキャスト通信により送信するようにしてもよい。このような場合には、ブロードキャスト印刷を受け入れる画像形成装置では、受信した印刷ジョブを蓄積するようにし、ブロードキャスト印刷を拒否する画像形成装置では、受信した印刷ジョブを廃棄するようにすればよい。
【0080】
また、上記実施形態では、印刷指示装置としてユーザからの指示を受け付けるUI画面を表示するプリンタドライバ等がインストールされた装置が用いられた場合について説明しているが、本発明はこのような場合に限定されない。UI画面を表示するような表示装置を備えずに他の装置から印刷データを受信してプリンタ等の画像形成装置に転送するようなプリントサーバのような装置が印刷指示装置の場合でも、本発明は同様に適用可能である。
【0081】
さらに、上記実施の形態では、おもに印刷指示に関するシステムにおける実施形態によって説明をしたが、他の形態として印刷以外の文書処理装置として、たとえばサーバ装置であったり、文書読取装置に対して適用することも可能である。その場合、たとえば蓄積手段を具備するスキャナがスキャンした文書を自装置に蓄積するとともに、他の装置に転送して、それを受信した他のスキャナや文書管理装置では当該スキャン文書を蓄積するように構成することで、たとえば端末装置からのダウンロード等の出力数を管理するとともに他の装置にダウンロード等の処理が実行されたことを通知するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態の画像形成システムのシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態の画像形成システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態の画像形成システムの機能構成を示すブロック図である。
【図4】指定された画像形成装置に対して印刷データを送信する場合に、表示装置52に表示される出力先指定画面の一例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態の画像形成システムの動作を説明するためのシーケンスチャートである。
【図6】蓄積されている印刷ジョブの一覧を示す表示画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
11〜13 画像形成装置
21、22 端末装置
30 ネットワーク
31 CPU
32 HDD
33 送受信部
34 ROM
35 RAM
36 ユーザインタフェース(UI)装置
41 送受信部
42 HDD
43 CPU
44 ROM
45 RAM
46 プリントエンジン
47 ユーザインタフェース(UI)装置
51 制御部
52 表示装置
53 データ格納部
61 データ蓄積部
62 制御部
63 印刷実行指示受付部
64 画像出力部
65 表示装置
S101〜S106 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した文書データを蓄積する蓄積手段と、
文書データを出力するための文書データ出力手段と、
前記蓄積手段に蓄積された文書データに基づく出力を実行する指示を受け付ける出力実行指示受付手段と、
前記出力実行指示受付手段により出力指示を受けた場合、前記蓄積手段に蓄積されていた文書データを出力するよう前記文書データ出力手段を制御する制御手段と、
前記文書データを蓄積している他の装置に前記文書データに基づく出力をしたことを通知する通知手段と、
を有する文書処理装置。
【請求項2】
受信した印刷データを蓄積する蓄積手段と、
画像を出力するための画像出力手段と、
前記蓄積手段に蓄積された印刷データに基づく印刷を実行する指示を受け付ける印刷実行指示受付手段と、
前記印刷実行指示受付手段により印刷実行指示を受けた場合、前記蓄積手段に蓄積されていた印刷データに基づいた画像を出力するよう前記画像出力手段を制御する制御手段と、
前記印刷データを蓄積している他の画像形成装置に前記印刷データに基づいた画像を出力したことを通知する通知手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項3】
前記通知手段が、前記印刷データに基づいた画像を出力した部数を他の画像形成装置に対して通知することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記蓄積手段は、前記印刷データに対応した出力部数を示す総部数情報を記憶し、
前記制御手段は、前記蓄積手段に蓄積された前記印刷データに基づいて前記画像出力手段により画像出力を実行した部数が、前記蓄積手段に蓄積された前記総部数情報に達した場合、当該印刷データを前記蓄積手段から消去する請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
他の画像形成装置によって前記印刷データが出力された通知を受信する受信部をさらに有し、
前記制御手段は、前記画像出力手段により画像出力を実行した部数と、前記受信部が受信した他の画像形成装置による出力部数との合計が、前記総部数に達した場合、当該印刷データを前記蓄積手段から消去することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、印刷データを受信してから一定の時間が経過した場合、当該印刷データを前記蓄積手段から消去する請求項2乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、印刷指示装置からの印刷データの受け付けに関する問い合わせを受信して、当該問い合わせを送信してきた印刷指示装置に対して自装置のアドレス情報を含めた応答をすることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項8】
不特定の宛先に対してデータを送信するための通信により、印刷データの受け付けに関する問い合わせを送信する問い合わせ送信手段と、
当該問い合わせに対する応答に含まれるアドレス情報の画像形成装置に対して印刷データを送信する印刷データ送信手段とを有する印刷指示装置。
【請求項9】
複数の画像形成装置に対して、印刷データの受け付けに関する問い合わせを送信する問い合わせ送信手段と、
当該問い合わせに対する応答に含まれるアドレス情報の画像形成装置に対して印刷データを送信する印刷データ送信手段とを有する印刷指示装置。
【請求項10】
複数の画像形成装置を出力先として指定する出力先指定手段と、
前記出力先指定手段によって指定された画像形成装置に対して、印刷データを送信する印刷データ送信手段とを有する印刷指示装置。
【請求項11】
前記印刷データ送信手段が、前記画像形成装置内に前記印刷データを蓄積しておき、印刷実行指示を受けて前記印刷データを印刷する指示として、前記印刷データを送信することを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の印刷指示装置。
【請求項12】
複数の画像形成装置に対して印刷データを送信する印刷データ送信手段を有する印刷指示装置と、
受信した印刷データを蓄積する蓄積手段と、画像を出力するための画像出力手段と、前記蓄積手段に蓄積された印刷データに基づく印刷を実行する指示を受け付ける印刷実行指示受付手段と、前記印刷実行指示受付手段により印刷実行指示を受けた場合、前記蓄積手段に蓄積されていた印刷データに基づいた画像を出力するよう前記画像出力手段を制御する制御手段と、前記印刷データを蓄積している他の画像形成装置に画像を出力したことを通知する通知手段を有する画像形成装置と、
を備えた画像形成システム。
【請求項13】
前記印刷指示装置は、複数の画像形成装置に対して印刷データの受け付けに関する問い合わせを送信する問い合わせ送信手段をさらに有し、
前記印刷データ送信手段は、当該問い合わせに対する応答に含まれるアドレス情報の画像形成装置に対して印刷データを送信し、
前記制御手段は、印刷指示装置から前記問い合わせを受信して、当該問い合わせを送信してきた印刷指示装置に対して自装置のアドレス情報を含めた応答をする請求項12に記載の画像形成システム。
【請求項14】
受信した印刷データを蓄積するステップと、
印刷実行指示を受けた場合、蓄積されていた印刷データに基づいた画像を出力するよう画像出力手段を制御するステップと、
前記印刷データに基づいた画像を出力したことを前記印刷データを蓄積している他の装置に通知するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
不特定の宛先に対してデータを送信するための通信により、印刷データを受け付け可能か否かを問い合わせるための検索要求を送信するステップと、
当該検索要求に対して返信されてきた応答に含まれるアドレス情報の画像形成装置に対して印刷データを送信するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−276895(P2009−276895A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125854(P2008−125854)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】