説明

文書管理システムおよびその管理方法

【課題】視認性および文書のデザインを保ち、低コスト化を可能にして、文書作成時の負荷が従来よりも小さい文書管理システムおよびその管理方法を提供。
【解決手段】文書管理システム10は、印章登録装置18で書類に記載された情報に含まれる印章のデータと書類に対するセキュリティのデータを設定し、これらのデータを組み合わせて登録データ38を生成し、登録し、セキュリティ判定装置20から印章のデータ50を文書管理装置14に出力し、文書管理装置14で出力を所望する書類に記載された情報に含まれる印章のデータとあらかじめ登録した登録データの印章データを照合し、照合して一致した場合、一致した登録データのセキュリティのデータ62をセキュリティ判定装置20に供給し、セキュリティ判定装置20でセキュリティのデータ46を基に以後の処理を許可するか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書管理システムおよびその管理方法に関し、とくに、画像検索の技術を適用し、各種文書や伝票におけるセキュリティを動的に変更して管理するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで、たとえば会社組織で作成された文書には、文書の内容に応じてセキュリティが設定される。この設定に応じて文書には、「機密」、「重要」といったスタンプ印が押されたり、文書中にセキュリティを示す意味の記号が印字されたりして、文書の管理レベルを分類してきた。文書の管理は、この分類に応じて閲覧や複写を禁止する目的で用いられてきた。
【0003】
しかしながら、文書の価値は期間や場所に相関関係があり、期間や場所の条件が変わると、文書の重要性は低下する場合が多い。このように文書情報は、時間や場所において賞味期限のような価値の変動があると考えられる。このため、文書のセキュリティが恒久的に同じであると、管理レベルの高い文書が増えるだけで文書管理が煩雑になるといった問題を有していた。
【0004】
この問題を改善する方法の一例としては、たとえば特許文献1および特許文献2が提案されている。特許文献1は、文書中にバーコードを印字し、そのバーコード情報を読み取ることで文書管理を可能にしているものである。特許文献2は、文書中にRFID(Radio Frequency IDentification)チップを付与して、文書管理を可能にしているものである。そこで、これらバーコード情報やRFID情報を用いれば、文書自身の電子的な管理は可能になることが想定できる。このため、上述の問題点は改善できると考えられる。
【特許文献1】特開2002−157392号公報
【特許文献2】特開2006−139568号公報
【非特許文献1】C. Harris and M. Stephens,“A combined corner and edge detector”, Proceedings of the Fourth Alvey VisionConference, Manchester,pp.147-151, 1988, [online]、[平成19年2月19日検索]、インターネット<URL:http://www.csse.uwa.edu.au/~pk/reseach/matlabfns/Spatial/Docs/Harris>
【非特許文献2】N. Sebe and M. S. Lew,“COMPARING SALIENT POINT DETECTORS”, Proc. IEEE Int. Conf. onMultimedia and Expo, pp.65-68, 2001, [online]、[平成19年2月19日検索]、インターネット<URL:http://citeseer.ist.psu.edu/sebe01comparing.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの方式では文書内にバーコードを印字したり、RFIDを埋め込んだりする特別な用紙や装置を用いることになる。このため、文書作成の処理が煩雑になる。この処理は、文書作成者に負担がかかるとともに、コスト的にも高くなってしまう。また、文書の内容と関係の無いたとえばバーコードの印刷は、文書のデザインを損ねる可能性もある。
【0006】
さらに、RFIDのようなものは、視認だけで文書のセキュリティを容易に確認できない。この場合、この確認にはあらかじめ特別な読取装置を用意することになることから、RFID添付の文書には使用上の問題もある。
【0007】
本発明はこのような従来技術の欠点を解消し、視認性および文書のデザインを保ち、低コスト化を可能にして、文書作成時の負荷が従来よりも小さい文書管理システムおよびその管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上述の課題を解決するために、書類に記載された情報を画像として取り込む第1の画像入力手段、取り込んだ画像に含まれる印章領域の画像を抽出し、抽出した印章領域の画像から特徴点を特徴点データとして得る第1の特徴抽出手段、および書類に対するセキュリティを設定し、特徴点データおよびセキュリティを一組にした登録データを生成し、出力する第1の制御手段を含む印章登録装置と、判定を要する書類に記載された情報を画像として取り込む第2の画像入力手段、取り込んだ画像に含まれる印章領域の画像を抽出し、抽出した印章領域の画像から特徴点を特徴点データとして得る第2の特徴抽出手段、特徴点データを含み検索を要求する検索データを生成し、出力する検索制御手段、およびセキュリティを判定し、判定を要する書類における印刷の可否に応じた制御信号を生成する第2の制御手段を含むセキュリティ判定装置と、特徴点データおよびセキュリティを一組に扱って格納するストレージ手段、検索データと読み出した登録データの特徴点を照合する照合手段、および登録データの供給に応じてストレージ手段への書き込みを制御し、検索データの供給に応じてストレージ手段から登録データを読み出し、検索データの特徴点と読み出した登録データの特徴点との照合を制御し、照合の一致に応じてストレージ手段に対応する格納されたセキュリティを読み出して、セキュリティ判定装置に出力する第3の制御手段を含む文書管理装置を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上述の課題を解決するために、書類に記載された情報に含まれる印章のデータと前記書類に対するセキュリティのデータを設定し、印章データとセキュリティのデータを組み合わせて登録データを生成し、登録する第1の工程と、出力を所望する書類に記載された情報に含まれる印章のデータとあらかじめ登録した登録データの印章データを照合する第2の工程と、照合して一致した場合、一致した登録データのセキュリティのデータを基に以後の処理を許可するか否かを判定する第3の工程とを含み、第3の工程は、許可する判定結果に応じて許可制御信号を出力し、禁止する判定結果に応じて禁止制御信号を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る文書管理システムおよびその管理方法によれば、印章登録装置で書類に記載された情報に含まれる印章のデータと書類に対するセキュリティのデータを設定し、印章データとセキュリティのデータを組み合わせて登録データを生成し、登録し、セキュリティ判定装置から出力を所望する書類に記載された情報に含まれる印章のデータを文書管理装置に出力し、文書管理装置で出力を所望する書類に記載された情報に含まれる印章のデータとあらかじめ登録した登録データの印章データを照合し、照合して一致した場合、一致した登録データのセキュリティのデータをセキュリティ判定装置に供給し、セキュリティ判定装置で供給されたセキュリティのデータを基に以後の処理を許可するか否かを判定し、許可する判定結果に応じて許可制御信号を出力し、禁止する判定結果に応じて禁止制御信号を出力することにより、印章のデータと前記書類に対するセキュリティのデータを関連付けて管理し、セキュリティのデータを基に現状のセキュリティを判定でき、柔軟な文書管理を可能にする。また、文書管理システムおよびその管理方法は、登録した印章の意味を理解している人に対して視認性が高め、印章の意味を理解していない人に対しては文書のデザインを損ねることなく、文書管理上のセキュリティをレベルに応じて設定できる。また、文書内に特別なチップを埋め込まなくて済むことから、印章の押印や印刷だけでセキュリティをレベルに応じた管理が実現でき、低コストで実施することができる。さらに、バーコードやRFIDを文書作成時に付加せずに済むことから、付加する方法に比べ文書作成時の負荷を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に添付図面を参照して本発明による文書管理システムの実施例を詳細に説明する。図1を参照すると、本発明による文書管理システムの実施例は、印章登録装置18で書類に記載された情報に含まれる印章のデータと書類に対するセキュリティのデータを設定し、印章データとセキュリティのデータを組み合わせて登録データ38を生成し、登録し、セキュリティ判定装置20から出力を所望する書類に記載された情報に含まれる印章のデータ50を文書管理装置14に出力し、文書管理装置14で出力を所望する書類に記載された情報に含まれる印章のデータとあらかじめ登録した登録データの印章データを照合し、照合して一致した場合、一致した登録データのセキュリティのデータ62をセキュリティ判定装置20に供給し、セキュリティ判定装置20で供給されたセキュリティのデータ46を基に以後の処理を許可するか否かを判定し、許可する判定結果に応じて許可制御信号を出力し、禁止する判定結果に応じて禁止制御信号を出力する。これにより、文書管理システム10は、印章のデータと前記書類に対するセキュリティのデータを関連付けて管理し、セキュリティのデータを基に現状のセキュリティを判定でき、柔軟な文書管理を可能にする。
【0012】
本実施例は、本発明の文書管理システムを文書管理システム10に適用した場合である。本発明と直接関係のない部分について図示および説明を省略する。以下の説明で、信号はその現れる接続線の参照番号で指示する。
【0013】
文書管理システム10は、図1に示すように、端末装置12および文書管理装置14を含む。端末装置12および文書管理装置14は、それぞれ、たとえばインターネット16に接続され、インターネット16を介して、互いに通信する。
【0014】
端末装置12は、印章登録装置18およびセキュリティ判定装置20を含む。また、端末装置12は、印章登録装置18およびセキュリティ判定装置20のいずれか一方だけでもよい。印章登録装置18は、文書から印章を抽出し、文書管理装置14に送信する機能を有し、画像取得部22、特徴抽出部24、制御部26および通信部28を含む。画像取得部22は、たとえばCCD(Charge Coupled Device)型やC-MOS(Complimentary-Metal Oxide Semiconductor)型ディジタルカメラ/スキャナの光学機器を用いて、文書を撮影し、得られた画像データ30を格納する機能を有する。画像取得部22は、制御部26の制御に応じて画像データを入出力する。画像取得部22には、光学ディジタル化機能を含んでいてもよい。画像取得部22は、画像データ32を特徴抽出部24に出力する。
【0015】
特徴抽出部24は、供給される画像データ32から固有の特微量として、印章の画像データを抽出する機能を有する。特徴抽出部24は、制御部26の制御に応じて非特許文献1や非特許文献2の特徴抽出手法を用いて、印章形状の固有の特微量を抽出する。非特許文献1は、Harris関数などを用いて物体形状の局所的な突出点を検出する方法である。また、非特許文献2は、ウェーブレッドを用いて、物体形状の局所的な突出点を検出する方法である。特徴抽出部24は、局所的な特徴量の持つベクトル量を、たとえばユークリッド距離計算の手法を用いて、比較し、類似性のある画像データ同士の検索を可能にする。このような局所的な特微量の活用は、画像データ自体を検索対象とするよりも少ないデータ量で画像を検索することから、高速な処理を可能にする。特徴抽出部24は、制御部26に文書画像データおよび印章特徴量を示すデータ34を出力する。
【0016】
制御部26は、特徴抽出部24を制御し、文書画像データとともに、特徴抽出部24で検出されたデータ34を取得し、印章特徴量を示すデータに有効期限を含むセキュリティを設定し、登録を指示する制御信号を生成する機能を有する。また、制御部26は、文書画像データ36を図示しないモニタに供給する機能を有する。制御部26は、登録信号として登録データ38を通信部28に出力する。
【0017】
ここで、セキュリティとは、管理する期間および部門・部署を意味している。有効期限としてセキュリティ期間は、セキュリティ開始期日およびセキュリティ終了期日である。セキュリティレベルは、部門IDや部署IDである。セキュリティ期間や部門IDは、図示しない入力手段および表示手段を用いて、確認しながら、入力することが望ましい。
【0018】
通信部28は、インターネット16を介して、文書管理装置14と通信する機能を有する。通信部28は、登録データ38を登録データ40として文書管理装置14に送信する。
【0019】
セキュリティ判定装置20は、印章の入力および印章の判定機能を有し、画像取得部22、特徴抽出部24、制御部42、検索制御部44および通信部28を含む。制御部42は、図示しないが、画像取得部22、特徴抽出部24および検索制御部44を制御する機能を有する。また、制御部42は、照合結果の一致した特微量に付随したセキュリティを含む情報46を受け、セキュリティ情報46と制御部42が有する情報を比較判断し、指示制御信号48を生成し、出力する機能を有する。制御部42は、図示しないがタイマを有する。具体的に制御部42は、有効期限を示すセキュリティ情報46とタイマの情報とを比較し、指示制御信号48を生成する。制御部42は、セキュリティの有効期限が過ぎていると判断した場合、印刷文書の印刷を可能にする指示制御信号48を生成し、出力する。また、制御部42は、有効期限を過ぎていないと判断した場合、印刷を禁止する指示制御信号を生成し、出力する。制御部42は、単に印刷を禁止する指示制御信号を生成するのでなく、ユーザに対してたとえばパスワードを要求して、管理レベルを上げて、確認するようにして、制御してもよい。
【0020】
検索制御部44は、特徴抽出部34から印刷文書における画像データの局所的な特微量をデータ34として受け、データ34を検索データとして含む検索制御信号50を生成し、出力する機能を有する。また、検索制御部44は、通信部28を介して、照合結果であるデータ50を文書管理装置14から受け、照合結果を、セキュリティ情報46として制御部43に出力する機能を有する。このように検索制御部44は、検索制御信号50およびセキュリティ情報46を出力し、検索結果であるセキュリティ情報を含むデータ50を入力する。
【0021】
セキュリティ判定装置20における通信部28は、インターネット16を介して、データ52を文書管理装置14と通信する。文書管理装置14は、データ54を、インターネット16を介して印章登録装置18およびセキュリティ判定装置20と通信する。
【0022】
文書管理装置14は、管理サーバであり、通信部28、制御部56、データ格納部58、および照合部60を含む。文書管理装置14は、印章登録装置18およびセキュリティ判定装置20のそれぞれからの要求に応じて格納された印章データを管理する機能を有する。文書管理装置14は、とくに、印章登録装置18からの要求に応じてデータ54を登録する機能と、データ54と文書管理装置14に格納された印章データの特微量同士の類似性を照合する機能とも有する。
【0023】
制御部56は、通信部28を介して、供給されるデータ62をデータ格納部58および照合部60にそれぞれに出力する。制御部56は、供給されるデータ62に応じてデータ格納部58への登録を制御する機能を有する。制御部56は、供給されるデータ62が登録データ38である場合、データ格納部58にデータ64として出力する。また、制御部56は、供給されるデータ62に応じて照合部60を制御する機能を有する。制御部56は、供給されるデータ62が検索制御信号50である場合、照合部60にデータ66として出力する。
【0024】
データ格納部58は、ストレージであり、制御部56の制御に応じて設定されたセキュリティ情報を含む印章データ64を格納し、判定において格納した印章データ64を、制御部56を介して照合部60に読み出す機能を有する。照合部60は、制御部56の御信に応じてデータ62とデータ64からそれぞれ供給されるデータを、データ66として供給し、画像検索する機能を有する。照合部60は、前述した特徴抽出部24で記載した従来から既知のユークリッド距離計算手法を用いて、照合する。照合部60は、照合結果を示すデータ66を、制御部56に出力する。制御部56は、通信部28を介してセキュリティ判定装置20にデータ62を出力する。
【0025】
次に文書管理システム10における登録手順について、図2を参照しながら、記載する。印章登録装置18は、光学機器を用いて、供給される印章を含む文書70を撮影し、撮影した画像データを得て、画像取得部22に格納する(ステップS10)。文書70は、図3に示すように、印章72を含む。
【0026】
次に特徴抽出部24で画像取得部22から供給される画像データ32を基に印章形状の固有の特微量を抽出する(ステップS12)。
【0027】
次に制御部26で特徴抽出部24から検出した印章固有の特微量を示すデータ34にセキュリティを設定する(ステップS14)。セキュリティにはたとえば有効期限がある。制御部26は、有効期限が設定されたセキュリティおよび印章形状の固有の特微量を含む登録データ38を、通信部28を介して、文書管理装置14に送付する。
【0028】
次に文書管理装置14ではデータ38をデータ54として受信し、制御部56を介して、データ64をデータ格納部58に格納する(ステップS16)。制御部56は、データ62が登録データ38を示すか否か判断する。制御部56は、データ62が登録データ38を示すとき、設定されたセキュリティと、印章形状の固有の特微量である特徴点との一組のデータ64としてデータ格納部58に出力する。データ格納部58は、供給されるデータ64を格納する。この格納により印章の登録を終了する。
【0029】
次に文書管理システム10における照合および印章判定手順について、図3を参照しながら、記載する。文書を複写する場合においてセキュリティ判定装置20における画像取得部22でたとえば光学スキャナを用いて、印章を含む印刷文書の画像データ30を取得し、画像データ30を格納する(ステップS10)。次に特徴抽出部24で供給される画像データ32から局所的な特微量を抽出する(ステップS12)。
【0030】
次に検索制御部44で生成した検索制御信号50を文書管理装置14に送って、照合し、照合結果により得たデータ50のセキュリティを取得する(ステップS18)。検索制御部44は、特徴抽出部24からデータ34を受け取り、データ34と文書管理装置14内に格納された印章データの特微量同士の類似性を照合するように通信部28を介して、データ34を含む検索制御信号50を生成し、出力する。文書管理装置14における照合は、検索制御信号50に含まれる印章データの特徴量を示すデータとデータ格納部58から印章データの特微量を示すデータを照合部60で照合する。照合部60で照合が一致した場合、文書管理装置14は、一致したデータ格納部58から印章データの特微量を示すデータの組に対応するセキュリティを、通信部28を介して、データ50として検索制御部44に出力する。検索制御部44は、照合結果の一致した特微量に付随したセキュリティの情報であるデータ46を制御部42に送る。セキュリティのデータ46には、有効期限が含まれる。
【0031】
次にセキュリティとタイマの値を比較する(ステップS20)。制御部44では、受け取った有効期限と制御部44内に持つタイマの値を比較し、期限の判定処理に進む(ステップS22へ)。制御部44でタイマの値が得られたデータ46が有するセキュリティの有効期限より大きい、すなわちセキュリティの有効期限が、過ぎている場合(YES)、印刷文書の印刷の許可処理に進む(ステップS24へ)。また、タイマの値がまだ有効期限が過ぎていない場合(NO)、パスワードの要求に進む(ステップS26へ)。この要求により管理レベルを向上させる。
【0032】
次に印刷文書の印刷を許可する場合、制御部42は印刷許可信号48を生成し、図示しないプリンタに出力する(ステップS24)。この印刷許可後、判定手順を終了する。印刷許可信号48を受けたプリンタは、該当文書を印刷する。また、パスワードの要求で制御部42は図示しないディスプレイにパスワードを要求する旨の文字情報を送り、表示させる(ステップS26)。ユーザは、セキュリティ判定装置20の図示しないキーボードを介して、この表示に応じてパスワードを入力する。
【0033】
セキュリティ判定装置20は、セキュリティに対応したパスワードか否かを判定する(ステップS28)。入力されたパスワードがセキュリティに対応するパスワードに一致する場合(YES)、承認されたものと判定し、印刷文書の印刷の許可処理に進む(ステップS24へ)。入力されたパスワードがセキュリティに対応するパスワードに不一致の場合(NO)、否認されたものと判定し、印刷文書の印刷の禁止処理に進む(ステップS30へ)。印刷文書の印刷の禁止処理は、制御部42で印刷禁止信号48を図示しないプリンタに出力する(ステップS30)。この印刷禁止後、判定手順を終了する。印刷禁止信号48を受けたプリンタは、該当文書を印刷しない。
【0034】
このように構成し、動作させることにより、文書中の印章画像を取得し、検索キーデータとして扱い、このキーデータに文書管理上のたとえば有効期限のセキュリティ情報を付加し、セキュリティを設定して、文書管理装置14に登録する。判定において文書管理装置14での照合結果の一致に対応した印刷文書の登録セキュリティをセキュリティの閾値として扱い、この閾値とセキュリティ判定装置20が有する値を比較して印刷または複写の可否を判定する。これによりセキュリティに有効期限を設定した場合、有効期限内の情報は複写の制限を設けて、文書の有効期限を動的に変更し、印章画像を検索することができ、有効期限切れの情報は任意の複写が可能になり、情報の再利用が容易になって、情報共有の利便性が向上させることができる。
【0035】
次に文書管理システム10のセキュリティ判定装置20における他の構成例について図5を参照しながら、記載する。共通する構成要素には、同じ参照符号を付して説明を省略する。セキュリティ判定装置20は、セキュリティに位置情報を用いて、動的にこのセキュリティを変更する。本実施例では、会社内の各職場に配置されているプリンタ管理情報、すなわちプリンタID(IDentifwikation)と印刷文書内の印章情報を関連付けることで複写制限を設定する。セキュリティ判定装置20は、図1に示した構成要素に、さらに、プリンタID格納部74を含む。プリンタID格納部74は、メモリ機能を有するレジスタである。プリンタID格納部74は、メモリを用いてもよい。プリンタID格納部74は、制御部42の制御によりプリンタIDデータ76が書き込んだり、読み出したりされる。
【0036】
次にこの構成による登録、ならびに照合および印章判定手順について、図6および図7を参照しながら、記載する。印章登録装置18における画像取得部26での画像データ30の取得および格納手順、ならびに局所的な特微量の抽出手順は先の実施例に同じである(ステップS10および12)。
【0037】
本実施例で制御部26は、印章から特定できるたとえば部門名やID番号を管理情報として設定する(ステップS32)。制御部26は、文書画像データとともに、特徴抽出部24で検出されたデータ34を取得し、印章特徴量を示すデータに、たとえば管理情報を設定付与し、登録を指示する制御信号を生成する。また、制御部26は、文書画像データ36を図示しないモニタに供給する。制御部26は、管理情報が付与された登録信号として登録データ38を通信部28に出力する。印章登録装置18は、通信部28からデータ40を文書管理装置14に出力する。
【0038】
文書管理装置14における制御部56では、受信した登録データ62に応じて特徴量を示す特徴点と管理情報を一組に対応付けてデータ格納部58に供給し、格納する(ステップS34)。この格納により、印章データと管理情報が登録される。この格納後、登録手順を終了する。
【0039】
次にセキュリティ判定装置20における照合・判定手順を図7に示す。特徴点抽出までの手順はこれまでと同じであることから、記載を省略し、検索制御部44の動作について記述する。図5の検索制御部44において検索制御信号50は、特徴点を示すデータ34を含むデータである。検索制御部44は、生成した検索制御信号50を文書管理装置14に送って、照合し、照合結果により得たデータ50の管理情報を取得する(ステップS36)。
【0040】
ここで、検索制御部44は、特徴抽出部24からデータ34を受け取り、データ34と文書管理装置14内に格納された印章データの特微量同士の類似性を照合するように通信部28を介して、データ34を含む検索制御信号50を生成し、出力する。文書管理装置14における照合は、検索制御信号50に含まれる印章データの特徴量を示すデータとデータ格納部58から印章データの特微量を示すデータを照合部60で照合する。照合部60で照合が一致した場合、文書管理装置14は、一致したデータ格納部58から印章データの特微量を示すデータの組に対応する管理情報を、通信部28を介して、データ50として検索制御部44に出力する。検索制御部44は、照合結果の一致した特微量に付随した管理情報であるデータ46を制御部42に送る。セキュリティのデータ46には、たとえば読み込んだ文書の部門名や部門IDを示すプリンタIDが含まれている。
【0041】
具体的に管理情報は、図8に示す項目を有する。すなわち、登録画像78、特徴データ80、部門ID 82、セキュリティ期間84、86、ならびにパスワードの有無88およびパスワード90を含む。このように管理情報はセキュリティ期間84およびセキュリティレベル86も含むより有益な情報である。セキュリティレベルは、書類を扱える部門や人事レベルを表わす。管理情報には、上述した少なくとも一つの項目が含まれる。
【0042】
次に制御部42では、印章データに付随して格納されていた管理情報をデータ50として取得し、取得したこの情報とあらかじめプリンタID格納部74に格納したプリンタIDを読み出して、両者を比較する(ステップS38)。制御部42は、たとえばこの読み込んだ文書の部門IDとプリンタIDに含まれる部門IDを比較する。
【0043】
次に比較結果が一致して、印刷を承認するか否かを判断する(ステップS28)。承認する場合(YES)、印刷の許可処理に進む(ステップS24へ)。また、比較結果が不一致で、否認する場合(NO)、印刷の禁止処理に進む(ステップS30へ)。
【0044】
印刷許可処理は、制御部42にてたとえば図示しないプリンタやコピー機に対してこの読み込んだ文書の印刷または複写を許可する制御信号48を生成し、出力する(ステップS24)。また、印刷禁止処理は、制御部42にてたとえば図示しないプリンタやコピー機に対してこの読み込んだ文書の印刷または複写を禁止する制御信号48を生成し、出力する(ステップS30)。このように印刷許可または印刷禁止の制御後、判定手順を終了する。
【0045】
なお、本発明に係る実施例は、印刷文書の複写を制限する場合について例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、たとえば印章と文書自身を関連付けることで、複写履歴をトレースすることもできる。また、先の実施例を応用して、セキュリティの有効期限に応じて複写の課金レベルを動的に変動することも可能である。
【0046】
また、セキュリティにおける有効期限は、入力手段および表示手段を介して、設定したが、この設定に限定されるものでなく、たとえば年度、月日を含む印章が取り込まれた場合、制御部26に数字認識機能を持たせることにより印章に含まれる数字を認識して、有効期限として設定するようにしてもよい。有効期限があらかじめ2年に設定されていると、印章登録装置18における制御部26は、2006年度や平成18年度の認識に応じてセキュリティ期間を2006年4月1日から2008年3月31日まで自動的に付与することも可能である。
【0047】
このように構成し、動作させることにより、文書中の印章画像を検索キーにし、この検索キーに印刷文書の所有者である職場名や職場IDを付与して、登録管理し、たとえ、印章画像の特徴を照合して一致しても、供給される管理情報を比較することにより管理情報が一致しない機器による印刷を禁止することができる。すなわち印刷文書を管理している職場が所有する複写機やプリンタ以外での印刷を禁止することから、機密文書を部門外に持ち出して、他部門の複写機での複写することを禁止できる。また、部門外で印刷を実施した場合、たとえば印刷履歴、使用者名を保存すると、通常と異なる場所で機密文書が複写された場合の状態や印刷者も管理することができる。
【0048】
したがって、この構成およびその動作は、印章のデータと前記書類に対するセキュリティのデータを関連付けて管理し、セキュリティのデータを基に現状のセキュリティを判定でき、柔軟な文書管理を可能にする。また、この構成およびその動作によれば、登録した印章の意味を理解している人に対して視認性が高め、印章の意味を理解していない人に対しては文書のデザインを損ねることなく、文書管理上のセキュリティをレベルに応じて設定できる。また、文書内に特別なチップを埋め込まなくて済むことから、印章の押印や印刷だけでセキュリティをレベルに応じた管理が実現でき、低コストで実施することができる。さらに、バーコードやRFIDを文書作成時に付加せずに済むことから、この付加する方法に比べ文書作成時の負荷を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る文書管理システムを適用した実施例における概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】図1の文書管理システムにおける印章登録の手順を説明するフローチャートである。
【図3】図1の文書管理システムが扱う文書および印章の例を示す図である。
【図4】図1の文書管理システムにおける印章の照合・判定の手順を説明するフローチャートである。
【図5】図1の文書管理システムにおいてセキュリティ判定装置における他の実施例の概略的な構成を示すブロック図である。
【図6】図5のセキュリティ判定装置を適用した文書管理システムにおける印章登録の手順を説明するフローチャートである。
【図7】図5のセキュリティ判定装置を適用した文書管理システムにおける印章の照合・判定の手順を説明するフローチャートである。
【図8】図5のセキュリティ判定装置を適用した文書管理システムが扱う管理情報の例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
10 文書管理システム
12 端末装置
14 文書管理装置
16 IPネットワーク
18 印章登録装置
20 セキュリティ判定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
書類に記載された情報を画像として取り込む第1の画像入力手段、
取り込んだ画像に含まれる印章領域の画像を抽出し、抽出した印章領域の画像から特徴点を特徴点データとして得る第1の特徴抽出手段、および
前記書類に対するセキュリティを設定し、前記特徴点データおよび前記セキュリティを一組にした登録データを生成し、出力する第1の制御手段を含む印章登録装置と、
判定を要する書類に記載された情報を画像として取り込む第2の画像入力手段、
取り込んだ画像に含まれる印章領域の画像を抽出し、抽出した印章領域の画像から特徴点を特徴点データとして得る第2の特徴抽出手段、
前記特徴点データを含み検索を要求する検索データを生成し、出力する検索制御手段、および
前記セキュリティを判定し、前記判定を要する書類における印刷の可否に応じた制御信号を生成する第2の制御手段を含むセキュリティ判定装置と、
前記特徴点データおよび前記セキュリティを一組に扱って格納するストレージ手段、
前記検索データと読み出した登録データの特徴点を照合する照合手段、および
前記登録データの供給に応じて前記ストレージ手段への書き込みを制御し、前記検索データの供給に応じて前記ストレージ手段から前記登録データを読み出し、前記検索データの特徴点と読み出した登録データの特徴点との照合を制御し、照合の一致に応じて前記ストレージ手段に対応する格納された前記セキュリティを読み出して、前記セキュリティ判定装置に出力する第3の制御手段を含む文書管理装置を含むことを特徴とする文書管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、該システムは、前記セキュリティの情報と前記印章の特徴点を関連付けて、前記判定を要する書類を管理することを特徴とする文書管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記セキュリティの情報は、有効期限、部門、人事レベル、パスワードの有無およびパスワードを少なくとも一つ含むことを特徴とする文書管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記セキュリティ判定装置は、前記セキュリティを管理する情報として、有効期限、部門、人事レベル、パスワードの有無およびパスワードを少なくとも一つ含み、該情報を記憶する手段を有することを特徴とする文書管理システム。
【請求項5】
書類に記載された情報に含まれる印章のデータと前記書類に対するセキュリティのデータを設定し、前記印章データと前記セキュリティのデータを組み合わせて登録データを生成し、登録する第1の工程と、
出力を所望する書類に記載された情報に含まれる印章のデータとあらかじめ登録した登録データの印章データを照合する第2の工程と、
照合して一致した場合、一致した登録データのセキュリティのデータを基に以後の処理を許可するか否かを判定する第3の工程とを含み、
第3の工程は、許可する判定結果に応じて許可制御信号を出力し、禁止する判定結果に応じて禁止制御信号を出力することを特徴とする文書管理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、第1の工程は、前記書類に記載された情報を画像として取り込み、取り込んだ画像に含まれる印章領域の画像を抽出し、抽出した印章領域の画像から特徴点を特徴点データとして求め、前記書類に対するセキュリティを設定し、前記特徴点データおよび前記セキュリティを一組にした登録データを生成し、登録する第4の工程を含むことを特徴とする文書管理方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法において、第2の工程は、前記出力を所望する書類に記載された情報を画像として取り込み、取り込んだ画像に含まれる印章領域の画像を抽出し、抽出した印章領域の画像から特徴点を特徴点データとして求め、前記特徴点データを含み検索を要求する検索データを生成し、前記検索データの特徴点と登録した登録データの特徴点とを照合する第5の工程を含むことを特徴とする文書管理方法。
【請求項8】
請求項5に記載の方法において、第3の工程は、前記照合して一致した場合、該当する登録データに応じて格納された前記セキュリティのデータを読み出して、前記セキュリティのデータを基に印刷を許可するか否かを判定する第6の工程を含むことを特徴とする文書管理方法。
【請求項9】
請求項5に記載の方法において、セキュリティのデータは、有効期限、部門、人事レベル、パスワードの有無およびパスワードを少なくとも一つ含むことを特徴とする文書管理方法。
【請求項10】
請求項5の方法において、第3の工程は、前記セキュリティのデータを基にした判定に応じて前記出力を所望する書類の出力に対する課金を変更することを特徴とする文書管理方法。
【請求項11】
請求項5の方法において、該方法は、あらかじめ書類に固有の印章を添付することで複写履歴を管理することを特徴とする文書管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−225631(P2008−225631A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60021(P2007−60021)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】