説明

断熱パネル

【課題】表面に凹凸を付けずに、フラットな外観で強度の高い断熱パネルを提供する。
【解決手段】二枚の金属外皮1、2の間に芯材3を充填して成る断熱パネルにおいて、金属外皮1の芯材3側の面に補強材4を設ける。補強材4を金属外皮1の表面に突出しない状態で設けて断熱パネルの補強をする。さらに、補強材を断面U字状乃至V字状の本体部4aの両側部に固定片4bを突設した断面略ハット状に作成し、固定片を金属外皮の芯材側の面に固定することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁材、屋根材、天井材、間仕切り材などとして使用される断熱パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、二枚の金属外皮の間に芯材を充填することにより断熱パネルを製造することが行われている。このような断熱性を有するサンドイッチパネルは、パネル全体の強度を向上させるために、表面側の金属外皮を断面凹凸形状に形成するようにしている(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平10−196009号公報
【特許文献2】特開平11−293859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の従来例では断熱パネルの表面が凹凸に形成されるために、壁面や天井面等をフラットな外観にすることができないという問題があった。
【0004】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、フラットな外観で強度の高い断熱パネルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る断熱パネルは、二枚の金属外皮1、2の間に芯材3を充填して成る断熱パネルにおいて、金属外皮1の芯材3側の面に補強材4を設けて成ることを特徴とするものである。
【0006】
本発明の請求項2に係る断熱パネルは、請求項1において、補強材4を、断面U字状乃至V字状の本体部4aの両側部に固定片4b、4bを突設した断面略ハット状に形成し、固定片4bを金属外皮1、2の芯材3側の面に固定して成ることを特徴とするものである。
【0007】
本発明の請求項3に係る断熱パネルは、請求項2において、金属外皮1と補強材4の本体部4aとの間に芯材3を充填して成ることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の請求項4に係る断熱パネルは、請求項3において、補強材4の本体部4aに貫通孔5、5…を設け、この貫通孔5から金属外皮1、2と補強材4との間に芯材3を充填して成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、補強材4を金属外皮1の表面に突出しない状態で設けて断熱パネルの補強をすることができ、金属外皮1の表面のフラットな外観を損なわないようにして強度を高くすることができるものである。
【0010】
請求項2の発明では、平板状の補強材4に比べて、補強材4自体の強度を向上させることができ、強度をさらに向上させることができるものである。
【0011】
請求項3の発明では、金属外皮1と補強材4との空間を芯材3で埋めることができ、断熱性を損なわないようにすることができるものである。
【0012】
請求項4の発明では、芯材3を形成するための液状材料を貫通孔5を通して金属外皮1と補強材4との間に注入することができ、金属外皮1と補強材4との間に芯材3を容易に形成することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0014】
本発明の断熱パネルは所謂サンドイッチパネルであって、二枚の金属外皮1、2と芯材3及び補強材4を備えて形成されている。また、断熱パネルの一側端部には嵌合凸部20が全長にわたって形成されていると共に断熱パネルの他側端部には嵌合凹部21が全長にわたって設けられており、断熱パネルの嵌合凸部20と他の断熱パネルの嵌合凹部21とを互いに嵌合することによって、隣接する断熱パネルを接続することができるものである。嵌合凸部20と嵌合凹部21とは、嵌合凸部20の頂面と嵌合凹部21の底面との間に防水用のパッキンを介在させた状態で嵌合することができる。
【0015】
金属外皮1、2は例えば厚み0.27〜1.6mm程度の金属板をロール加工や折り曲げ加工するなどして形成することができる。この金属外皮1、2用の金属板としては、亜鉛めっき鋼板や塗装鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)などを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0016】
芯材3としては厚み20〜120mm程度の断熱材を用いることができる。この断熱材としては、ウレタンフォームやスチレンフォームやフェノールフォームやポリイソシアヌレートフォームなどの常温で液状の樹脂材料を発泡させて形成される樹脂断熱材を用いることができる。尚、ロックウールやグラスウールなどの無機質断熱材も使用可能であるが、製造の容易さから上記の樹脂断熱材を用いるのが好ましい。
【0017】
補強材4は例えば厚み0.35〜3.2mm程度の金属板を折り曲げ加工することにより長尺部材として形成されている。また。補強材4は断面略ハット状に形成することができる。この断面略ハット状の形態としては、図2(a)に示すように、断面略U字状に形成された本体部4aの両端から外側に向けて固定片4b、4bを略全長にわたって突設して形成したものを例示することができる。また、本体部4aとしては図2(b)に示すように、断面略V字状に形成することもできる。さらに、補強材4の本体部4aにはその全長にわたって多数個の貫通孔5、5…が表裏に貫通して形成されている。貫通孔5の形状(開口形状)は特に限定されず、略真円であってもよいし長孔であってもよい。また、貫通孔5の配列も特に限定されず、ランダムであってもよいし一直線に並べてもよい。
【0018】
そして、本発明の断熱パネルを製造するにあたっては、以下のようにして行う。まず、金属外皮1、2に補強材4を取り付ける。補強材4は金属外皮1、2のそれぞれに一本または複数本取り付けることができる。また、補強材4は金属外皮1、2の芯材3側の面(断熱パネルの内側に向く面)に固定片4bを接着して固定することによって取り付けることができる。また、複数本の補強材4、4…を取り付ける場合は互いに平行になるように配置する。次に、補強材4を取り付けた金属外皮1、2を対向して配置する。このとき、金属外皮1、2の補強材4を設けた側の面を対向させるが、一方の金属外皮1に設けた補強材4と他方の金属外皮2に設けた補強材4とが向かい合わないようにする。従って、一方の金属外皮1に設けた隣接する補強材4、4の間に他方の金属外皮2に設けた補強材4が位置するように形成されている。次に、二枚の金属外皮1、2の間に液状の樹脂材料を注入した後、加熱等することにより液状の樹脂材料を発泡させると共に硬化させることによって芯材3を形成する。このようにして芯材3と各金属外皮1、2と接着して一体化することにより断熱パネルを形成することができる。このとき、液状の樹脂材料は貫通孔5を通じて金属外皮1、2と補強材4の本体部4aとの間に注入されて発泡する。従って、金属外皮1、2と本体部4aの空間にも芯材3が充填されることになり、補強材4が芯材3に埋設されることになり、補強材4を設けても芯材3の欠損が生じることがなく、断熱性が損なわれないようにすることができる。また、補強材4の長手方向は嵌合凸部20及び嵌合凹部21の長手方向と略平行にすることができるが、これに限らず、補強材4の長手方向は嵌合凸部20及び嵌合凹部21の長手方向と直交するようにしてもよい。また、補強材4は断熱パネルの全長にわたって設けることができる。
【0019】
そして、本発明の断熱パネルは、補強材4を金属外皮1、2の芯材3側の面に設けるので、金属外皮1、2の外面(表面)に補強材4による凹凸が形成されないようにすることができ、しかも、補強材4により金属外皮1、2及び芯材3を補強することができ、フラットな外観で曲げ強度等の高い断熱パネルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】同上の(a)は補強材の一例を示す一部の斜視図、(b)は補強材の他例を示す一部の斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
1 金属外皮
2 金属外皮
3 芯材
4 補強材
4a 本体部
4b 固定片
5 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二枚の金属外皮の間に芯材を充填して成る断熱パネルにおいて、金属外皮の芯材側の面に補強材を設けて成ることを特徴とする断熱パネル。
【請求項2】
補強材を、断面U字状乃至V字状の本体部の両側部に固定片を突設した断面略ハット状に形成し、固定片を金属外皮の芯材側の面に固定して成ることを特徴とする請求項1に記載の断熱パネル。
【請求項3】
金属外皮と補強材の本体部との間に芯材を充填して成ることを特徴とする請求項2に記載の断熱パネル。
【請求項4】
補強材の本体部に貫通孔を設け、この貫通孔から金属外皮と補強材の本体部との間に芯材を充填して成ることを特徴とする請求項3に記載の断熱パネル。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−59651(P2010−59651A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225023(P2008−225023)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000207436)日鉄住金鋼板株式会社 (178)
【Fターム(参考)】