説明

断熱容器

【課題】 取っ手を有していても流通段階では嵩張ることなく、且つ空容器の積重ね性、切出し性がよく充填包装性に優れ、しかも取っ手を容器に強固に保持することができ、重い内容物を充填の容器であっても取っ手が剥がれ落ちる危険性がなく、さらに容器の形状変化や遊び性等に富んでいる断熱容器を得る。
【解決手段】 容器本体の胴部壁3外周に取り付けられた外套5を有し、該外套は、縦方向の一部を残して形成された縦方向ジッパー11、該縦方向ジッパーの端部から周方向に一部を残して形成された周方向ジッパー10、及び折曲用の罫線を有し、前記ジッパーを破断することによって、所定幅の周方向バンド部15と所定幅の縦方向バンド部16を残して複数の翼片に展開し、該翼片を前記罫線に沿って折曲して取っ手を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱容器、より詳しくは加熱して飲食できるインスタント食品等特に、熱湯を注いで又は電子レンジで加熱して飲食できるインスタント食品を包装する断熱カップ状容器やプラスチック成形容器等の断熱対策を施した断熱容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、容器内に熱湯を注ぐことにより飲食できるインスタントラーメン、味噌汁、コーヒー、スープ、お茶等の容器、あるいは電子レンジで容器ごと加熱して飲食する調理食品用のカップ状容器に、紙を主材とする又は合成樹脂製のカップ状容器(以下、単にカップ状容器という)またはトレー状等の断面非円形成形容器が多用されてきている。この種容器は、飲食時に内容物の熱から容器を把持する手を保護するために断熱対策を施している。従来知られている断熱対策としては、紙基材の表面に熱可塑性樹脂をラミネート若しくは含浸させて発泡処理したもの、容器本体(内カップ)の胴部壁外周部にサックを設けて胴部壁を2重壁構造とし、サックと容器本体との間に空気層を設けたもの(例えば、特許文献1、2、3参照)、あるいは容器外周部に起こすと取っ手となる取っ手片を連結したもの(例えば、特許文献4参照)が知られている。
【特許文献1】特開平4−201840号公報
【特許文献2】特開2000−281045号公報
【特許文献3】特許第3252478号掲載公報
【特許文献4】実開平3−23011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記断熱対策のうち、胴部壁を発泡処理したものは断熱効果が低く、熱湯を注いだ場合素手で把持すると非常に熱く感じられ、また、2重壁構造にして空気層を設けたものは一般に発泡処理を施したものと比べて断熱効果は高いが、このような断熱処理を施しても容器外面が65℃〜75℃に達し、素手で持つとかなり熱く感じられ、断熱効果は未だ満足するものではない。また、2重壁構造にして内部に空気層を設けるのは、壁厚方向に空間を形成する必要上、内部に波形状の中芯を設けたり、サック自体に複雑な罫線を形成して外部に膨らませた立体形状に成形しているので、製造工程が複雑であると共に、必然的に容器の胴部壁が厚くなり、容積が増大して製品の箱詰め等収納に不利である。さらに、容器への内容物の充填時には、空容器を筒状に重ねた状態で下部より切り出して供給されるが、胴部壁に空気層があると胴部壁が弾力性を増すため、積重ねた状態で上方のカップの自重により、容器同士の嵌合が強くなり、容器切り出し性が悪くなるという欠点もある。また、容器の胴部壁の外周部に取っ手片を設けるのは、その取っ手片が邪魔になり空容器の積重ね性、切出し性を阻害するという欠点がある。さらに、従来の取っ手付きカップは、取っ手になる部分を糊接着により固定するだけの構造であり、この接着部分でカップに注がれた飲み物等の内容物の重量を支えている。しかしながら、この方法では取っ手部の接着状態によりカップの保持力が左右されることとなり、接着状態が悪いものについては、剥がれ落ちる危険性を含んでいた。そのため、そのような取っ手付きのカップは、内容量の多い(あるいは重い)、インスタントラーメン、スープ、味噌汁等の容器には不向きであるとされていた。
【0004】
さらに、従来のこの種容器は、断熱容器に限らず、胴部壁は所定の形状や状態に固定されており、使用時に外周面の壁構造が変化するなどのことはなく、変化や遊び性に欠けている。また、従来のこの種容器は、断熱性と保温性の向上という観点に基づいて上記のような種々の改良が加えられてきているが、例えば、カップラーメンの場合、食するときは手で把持する部分に断熱性があれば、容器全体としてはむしろ保温性よりも、食するラーメンが素早く食べ易い温度になるように放熱効果の高いものが望ましい。しかしながら、従来このような考え方に基づく容器はいまだ提供されていない。
【0005】
そこで、本発明は、上記用途に適用されるカップ状断熱容器の上記技術的課題を一挙に解決しようとするものであり、取っ手を有していても流通段階では嵩張ることなく、且つ
取っ手が邪魔になることがなく、空容器の積重ね性、切出し性がよく充填包装性に優れ、しかも取っ手を容器に強固に保持することができ、重い内容品や量の多い内容品を充填してある容器であっても取っ手が剥がれ落ちる危険性がなく、さらに容器の形状変化や遊び性等の意外性に富んでいる断熱容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために種々研究した結果、必ずしも容器を常に断熱構造にする必要はなく、実際に使用する段階、即ち消費者が内容品を食するときに手で保持する部分が集中的に断熱効果が高ければよく、流通段階では胴部壁に特別な断熱効果を持たさなければ、胴部壁を薄い構造にすることが可能であり、また使用に当って消費者によって胴部壁の断熱把持部分を断熱構造に変化させることができれば、容器に意外性と変化性を持たせることが可能であることを見出し、本発明に至ったものである。
【0007】
即ち、上記課題を解決する本発明のカップ状容器は、胴部壁と底部壁を有する容器本体、該容器本体の胴部壁外周に取り付けられた外套を有し、該外套は、縦方向の一部を残して形成された1又は複数の縦方向ジッパー、該縦方向ジッパーの端部から周方向に一部を残して形成された1又は複数の周方向ジッパー、及び折曲用の罫線を有し、前記縦方向ジッパー及び前記周方向ジッパーから前記外套を縦方向及び周方向に破断することによって、所定幅の周方向バンド部と所定幅の縦方向バンド部を残して複数の翼片に展開し、該翼片を前記罫線に沿って折曲して取っ手を形成するようにしてなることを特徴とするものである。
【0008】
前記周方向バンド部は、少なくとも外套の上端部又は下端部の1個所に形成すればよいが、必要に応じて前記外套の上端部と下端部の二個所に形成してもよい。また、前記縦方向バンド部も少なくとも1個所に形成すればよいが、必要に応じて前記外套の上端部と下端部の二個所に形成してもよい。1個所に形成する場合は、前記縦方向ジッパーが前記縦方向バンド部と反対側に設けられた1個所の縦方向ジッパーからなり、該縦方向ジッパーを破断することにより一対の翼片が形成され、該一対の翼片を互いに前記縦方向バンド部を挟んで反対側に折り返して、取っ手を形成する共に胴部壁に1重構造の放熱部を形成し、前記取っ手を把持して容器を持つようにしてなることを特徴とする。
【0009】
また、縦方向バンド部を2個所に設ける場合は、前記縦方向ジッパーが前記縦方向バンド部間に設けられた2個の縦方向ジッパーからなり、該縦方向ジッパーを破断することにより、前記2個所の縦方向ジッパーの両側に一対の翼片が形成され、該一対の翼片を前記縦方向バンド部を挟んで互いに反対側に折り返して、2個の取っ手を形成すると共に胴部壁1重構造の放熱部を形成し、前記取っ手を把持して容器を持つようにしてなることを特徴とする。
【0010】
前記各翼片には、指挿入穴形成用のスリットが形成されていることが望ましい。また、前記容器の形状は特に限定されるものではなく、カップ状容器あるいは断面非円形容器として形成することができ、カップ状容器の場合、前記外套は、両端部に糊代部を有する1枚の扇形ブランクから形成することができる。前記外套は、周方向バンド部又は縦方向バンド部の何れか又は両方を容器本体の胴部壁に接着して容器本体に一体に固定しておくことができる。しかながら、予め前記周方向バンド部を形成して容器本体に挿脱自在に形成し、容器胴部壁に単に嵌合するだけで構成してもよい。また、流通段階では、外套と胴部壁を別々にし、使用時に外套を容器と胴部壁に嵌合して使用することができるようにしてもよい。その場合、前記外套は容器ホルダーとして機能する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外套により取っ手を形成することにより、熱湯を入れた容器でも熱さを感じることなく素手で安全に持つことができ、且つ取っ手を容器胴部壁に装着する外套として構成しているので、通常の流通段階では取っ手を有しながら容器外周面を均一面に形成できて容器積重ね性および容器切出し性が良い。また、使用時にジッパーを破断して取っ手を形成するので、外套を容器胴部壁に一体に装着してある場合には、外套に覆われていた容器本体の胴部壁表面を使用時にはじめて見ることができ、胴部壁外周面に付加機能を印刷しておくことによって変化や遊び性等の意外性に富み、しかも使用する際には手で把持する部分(取っ手)は断熱性に優れ、他の胴部壁部分は放熱性が増す包装容器を得ることができる。特に、本発明によれば、食するときは容器本体の外周壁の大部分が外部に露出することになるので、放熱効果が高い。そして、本発明によれば、外套は少なくとも1つの周方向バンド部を有するので、該周方向バンド部で取っ手を容器に強固に保持することができ、重い内容品や量の多い内容品を充填してある容器であっても取っ手が剥がれ落ちる危険性が少なく安全に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下,本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る包装容器の実施形態を示し、本実施形態はカップ状の紙製容器に適用した場合である。ここで、紙製容器とは、必ずしも紙材のみで形成されているものに限らず、紙材に合成樹脂フィルムをラミネートしたもの、あるいは紙材に合成樹脂を含浸させたもの、さらには紙材と合成樹脂フィルムや金属箔を積層したものなど、紙を主材とする容器をさす。また、カップ状容器とは、胴部壁と底部壁を有する容器で、その大きさや深さ、胴部壁形状は特に限定されない。また、以下の実施形態では、紙製カップ状容器の例を示すが、カップ状容器本体は、必ずしも紙製容器に限らず、合成樹脂成形容器も適用でき、また外周面を包囲する外套も紙製に限らず、合成樹脂フィルム又は複合フィルムで形成することも可能である。
【0013】
本実施形態(第1実施形態)の紙製のカップ状容器1は、内面が耐水加工された胴部壁3と底部壁4を有するカップ状の容器本体2と外套5とから形成され、胴部壁3の外周部にほぼ全体を覆うように外套5が嵌装されている。外套5は、紙製又は合成樹脂ラミネート紙等の紙を基材とするシート材で、容器本体の胴部壁の外周面に沿って筒状に形成されている。なお、該外套5は、図示のようにその上端が胴部壁の上端部近傍に位置し、下端が胴部壁の足部下端部まで覆うように延びているのが望ましいが、上端部及び下端部は必ずしもその位置に達してなくても良い。
【0014】
外套5は、図2に展開して図示されているように、1枚の扇形ブランク6をテーパー筒状に形成してなる。ブランク6の内部の図示において、実線はスリットを表し、破線は折曲用の罫線又は折込み線を表している。扇形ブランク6は、両端部に接合用のり代部7a、7bを有し、該のり代部の内側端縁に沿って、縦方向に上端部の一部を残して折曲用の罫線8a、8bが形成され、該罫線の上端部間を円弧状の周方向ジッパー10が形成されている。そして、該周方向ジッパーの中央部から、ブランク下端縁に至るように縦方向ジッパー11が形成されている。即ち、縦方向ジッパー11は縦方向上端部から後述する周方向バンド部15となる一部を残して形成され、周方向ジッパー10は縦方向バンド部16となる周方向の一部を残して形成されることになる。本実施形態では、周方向ジッパー10は、一条の間欠的な切込み線12から形成され、縦方向ジッパー11は所定間隔を持って配置された2条の間欠的な切込み線13a、13bから所定幅の筋状に形成されているが、周方向ジッパーは平行な2条の周方向切込み線で形成して、細幅の切り取り片で形成してもよく、また縦方向ジッパーは一条の切込み線で形成することも可能であり、ジッパーの構成は表示の形態に限らない。
【0015】
前記構成により、後述するように縦方向ジッパー11及び周方向ジッパー10から外套の一部を縦方向及び周方向に破断することによって、所定幅の周方向バンド部と所定幅の縦方向バンド部を残して第1罫線8a、8bを起点とする一対の翼片20a、20bが展開するが、該翼片により取っ手を形成するために、各翼片の中間部、すなわち第1罫線8aと縦方向ジッパー11の片側の切り込み線13aとの中間部、及び第1罫線8bと縦方向ジッパー11の片側の切り込み線13bとの中間部に、それぞれ周方向ジッパー10から下端部まで折曲用の第2罫線17a、17bがそれぞれ形成されている。そして、それぞれの翼片20a、20bに、折曲用の第2罫線17a、17bを線対称に一対の指挿入用穴21a、21b、形成用のスリット22が折曲部23を残して形成されている。
【0016】
以上のような形状からなる外套5は、容器本体2の胴部壁3の外周部に縦筋状に接合のり代部の一方の内面を容器本体の胴部壁3に接着し、その上に他方ののり代部を重ね合わせて接着する。また、同時に周方向バンド部10の内面も胴部壁3に接着する。これらの部位の接着は、必ずしも部位全体を接着する必要はなく、ポイント的に接着してもよい。それにより、縦方向バンド部16となる接合のり代部7、及び周方向バンド部15が容器に密着した状態となる。その結果、本実施形態の紙製カップ状容器1は、図1(a)のような外形形状を呈し、胴部壁が外套により覆われた状態となる。したがって、流通段階では容器本体2の胴部壁3の外周面は外部に露出することがなく、外部からは観察できないが、後述するように使用時には胴部壁3の外周面が始めて外部より観察されるようになるので、胴部壁に予め付加情報などを印刷しておくことによって、消費者が使用時に楽しみのある容器が得られる。
【0017】
以上のように形成された容器1は、通常は図1(a)(b)に示すように、胴部壁は容器本体の胴部壁3と外套5の二重壁となっているが、中間部に空気層などの空間部が存在しないので、容器本体の胴部壁と外套は直接接触した状態にあり、厚みがあまりなく嵩張らないし、収納容積を減らすことができ、且つ胴部壁同士を嵌合して積重ねた状態では、従来のこの種断熱容器と比べて積重ね性・切出し性が良好である。この状態から、内容物を食する場合、例えば内部に熱湯を注ぐ前、あるいは食べる時に、図3(a)に示すように、まず縦方向ジッパー11を下端から引き上げることによって、切込み線13a、13bに沿って判断されて周方向ジッパー10に達し、縦方向ジッパーを剥ぎ取り、次いで切込み線13a、13bの外側に位置する部位をそれぞれ左右に引き上げることによって、周方向ジッパーが破断して、図3(b)(c)に示すように、第1罫線8a、8bを基部とする2枚の翼片20a、20bに分割され、外套は周方向バンド部及び縦方向バンド部を除き容器本体の胴部壁3から剥離された状態となる。
【0018】
次いで、同図(d)に示すように各翼片20a、20bを第1罫線8a、8b及び第2罫線17a、17bから互いに反対側に折り曲げて重ね合わせることによって、翼片20aの指挿入用穴21aと翼片20bの指挿入用穴21bが重なり、翼片20aの指挿入穴21bと翼片20bの指挿入用穴21aがそれぞれ重なり、断面2枚の翼片が重なった断面略三角形状の取っ手25が形成される。この状態で、それぞれ指挿入用穴の位置にスリットにより形成されている舌片を内側に押しこむことによって、図3(d)に示すような指穴が形成され、指の挿入が可能な取っ手付きのカップ状容器が得られる。
【0019】
したがって、内容物を食する等の使用時には、取っ手25を把持することによって、熱湯を注いだ内容物であっても、熱さを感じることなく容器を素手で持つことができる。その際、本発明の容器は、従来のこの種紙製カップ状容器のように、単に取っ手の基部が容器本体の胴部壁に接着されているものと異なり、取っ手と外套が一体に形成され、且つ外套の上端部には周方向バンド部15が形成され、該周方向バンド部15が容器胴部壁の全周に嵌合保持された状態となっているので、縦方向バンド部16との相乗効果により、強固に容器胴部に保持され、内容物が重いものであっても取っ手が剥がれてしまう恐れがなく、安全に使用することができる。したがって、本実施形態のカップ状容器は、カップヌードル、スープ、味噌汁等従来のハンド付きカップ状容器より重い内容物の容器としても使用可能である。また、翼片を折り畳んで取っ手25を形成することによって、容器本体2の胴部壁3の多くの部分が露出することになり、その部分は胴部壁のみの1重壁となるため、その部分からの放熱性が増し、使用時の放熱効果が一段と優れた容器が得られるし、また、容器本体の胴部壁外周面の露出面積が増大することによって、その部分をディスプレー面としてより有効に活用できる。
【0020】
以上のように、容器を把持して内容物を容器から直接食するとき、指への熱の伝わりが弱く、熱さを感じることなく把持することができ、反面把持部以外の部分での放熱効果が高く内容物が食する最適温度に早く冷えて、快適に食することができる。そして、翼片を折り曲げた状態では、図1で外套で囲って見えなかった容器本体の胴部壁3の大部分が初めて露出するので、この部分又は外套の裏面に予め、料理レシピ、隠し情報や福引、占い、或は漫画やキャラクター等を印刷しておけば、内容物が加熱される時間消費者にそれを見る楽しみを提供することができ、外套形状の変化の斬新さばかりでなく、遊び性に富んだ容器を提供することができる。なお、外套に発泡処理を施すことによってより断熱効果をあげることができる。また、容器本体の保温性が高い方が望ましい場合は、容器本体の胴部壁を同様に発泡処理することによって保温性を上げることができる。
【0021】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明のカップ状容器は、上記実施形態に限らず種々の設計変更が可能である。例えば、上記実施形態では、周方向バンド部は、外套の上端部に形成されているが、必ずしも上端部に限らず下端部に形成することも可能である。また、上端部と下端部の両方に周方向バンド部を形成することによって、取っ手での保持力がより高い容器が得られる。また、上記実施形態は、カップ状容器に適用した場合について説明したが、本発明はカップ状容器に限らず断面円筒状容器、あるいは断面矩形状や楕円形状等、断面非円形容器にも同様にして適用可能である。また、本実施形態では、取っ手に指挿入穴を形成したが、容器の大きさ等に応じて必ずしも指挿入穴は形成しなくてもよい。また、前記実施形態では、取っ手を1個のみ設けた場合を示したが、図4及び図5に示すように取っ手を2個設けて両手把持用容器として形成することも可能である。この場合は、大きなカップ状容器や断面非円形容器等に特に好適である。
【0022】
図4及び図5は、取っ手を2個設けて両手把持用のカップ状容器を形成した場合の実施形態を示し、図4は、外套を形成するための扇形ブランク30を示している。前記実施形態と同様な部分は、同一符号を付し、相違点のみについて説明する。本実施形態での扇形ブランク30は、両端部ののり代部7a、7bで形成される第1縦方向バンド部31とブランクの中央部に形成される所定幅の第2縦方向バンド部32の2個の縦方向バンド部を形成できるようになっている。のり代部7aの内側に縦方向の一部を残して形成された第1罫線8aと第2縦方向バンド部32の側縁部に縦方向の上端部の一部を残して形成された第2罫線33aの上端部間を結んで第1周方向ジッパー35aが形成されている。同様に、のり代部7bの内側に縦方向の一部を残して形成された第1罫線8bと第2縦方向バンド部32の側縁部に縦方向の上端部の一部を残して形成された第2罫線33bの上端部間を結んで第1周方向ジッパー35bが形成されている。そして、第1周方向ジッパー35aの略中央部から縦方向下端部に至る第1縦方向ジッパー37が形成されている。同様に第2周方向ジッパー35bの略中央部から縦方向下端部に至る第2縦方向ジッパー38が形成されている。
【0023】
前記構成により、後述するように各ジッパーを破断することによって、図4において右側から順に所定幅の周方向バンド部39と所定幅の縦方向バンド部31、32を残して第1罫線8a、8bを起点とする一対の翼片40a、40bと、第2罫線33a、33bを基点とする一対の翼片41a、41bが展開する。各翼片には前記実施形態と同様に、線対称に一対の指挿入用穴42a、42b、及び43a、43bが形成されている。したがって、以上のように構成された扇形ブランク30を前記実施形態と同様に、容器本体2の胴部壁3の外周部に巻き付け、のり代部7a、7bを接合することによって、胴部壁3の外周に外套29が装着された2重壁構造のカップ状容器45が得られる。
【0024】
以上の構成からなるカップ状容器45は、使用に際して、第1縦方向ジッパー37、第2縦方向ジッパー38を破断し、次いで第1周方向ジッパー35a、第2周方向ジッパー35bを破断することによって、翼片40a、41a、41b、40bが展開する。それらを第1罫線8a、8b、第2罫線33a、33bから折り曲げることによって、図5に示すように、一対の取っ手46、47が形成される。したがって、該容器の場合は両手で把持して容器を持ち上げることができ、内容量が多く熱い内容物を充填した容器の取り扱いが容易となる。なお、本実施形態における取っ手を形成する各翼片には折曲用罫線は設けられてなく、1枚の翼片40aと40bで取っ手47を形成し、同様に1枚の翼片41aと41bで取っ手46を形成しているが、各翼片を例えば図2に示す翼片20a、20bのように中央部に罫線を設けてその両側に線対称に指挿入穴を設けることによって、それぞれが図3(d)に示す取っ手25と同様な2重に折り重なった取っ手構造に形成することもでき、その構成は特に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の断熱容器は、胴部壁外周に取っ手を有する容器でありながら、通常の流通段階では胴部壁に膨出部等がなく、使用時に把持部となる取っ手が形成されて把持部の断熱性を高めるので、紙製容器で形成できる環境に優しい高温内容物用の簡易容器を得ることができ、特に取っ手の保持力を向上させたので、重い内容物であっても取っ手が剥離するなどの危険性がなく、容器内に熱湯を注ぐことにより飲食できるインスタントラーメン、味噌汁、コーヒー、スープ、お茶等の容器、あるいは電子レンジで容器ごと加熱して飲食する調理食品用の包装容器に適用できるばかりでなく、熱い飲食物を食する使い捨てカップとしても利用可能性が高い。また、内容物が冷たい飲食物の容器にも適用可能である。さらに、外套は必ずしも容器と一体でなく、容器ホルダーとして容器と分離して流通するものにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係る紙製カップ状容器を示し、(a)は斜視図、(b)はそのA−A断面拡大図である。
【図2】その外套の展開図(扇形ブランク)である。
【図3】図1の紙製カップ状容器の使用時の工程を示す斜視図であり、(a)は未使用時の状態、(b)はジッパーを破断して一対の翼片を形成した状態、(c)はそれぞれの翼片を罫線に沿って折り曲げる状態、(d)は取っ手が完成した状態である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る断熱容器の外套の展開図(扇形ブランク)である。
【図5】図4に示す外套を装着した本発明の実施形態に係る容器の使用時における取っ手を完成させた状態での斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1、45 カップ状容器 2 容器本体
3 胴部壁 4 底部壁
5、29 外套 6、30 扇形ブランク
7a、7b 接合のり代部 8a、8b 第1罫線
10 周方向ジッパー 11 縦方向ジッパー
12、13a、13b 切込み線 15 周方向バンド部
16 縦方向バンド部 17a、17b 第2罫線
20a、20b、40a、40b、41a、41b 翼片
21a、21b、42a、42b、43a、43b 指挿入用穴
22a スリット 23 折曲部
25、46、47 取っ手 31 第1縦方向バンド部
32 第2縦方向バンド部 33a、33b 罫線
35a、35b 第1周方向ジッパー 37 第1縦方向ジッパー
38 第2縦方向ジッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部壁と底部壁を有する容器本体、該容器本体の胴部壁外周に取り付けられた外套を有し、該外套は、縦方向の一部を残して形成された1又は複数の縦方向ジッパー、該縦方向ジッパーの端部から周方向に一部を残して形成された1又は複数の周方向ジッパー、及び折曲用の罫線を有し、前記縦方向ジッパー及び前記周方向ジッパーから前記外套を縦方向及び周方向に破断することによって、所定幅の周方向バンド部と所定幅の縦方向バンド部を残して複数の翼片に展開し、該翼片を前記罫線に沿って折曲して取っ手を形成するようにしてなることを特徴とする断熱容器。
【請求項2】
前記周方向バンド部が、前記外套の上端部に形成されている請求項1に記載の断熱容器。
【請求項3】
前記周方向バンド部が、前記外套の上端部と下端部に形成されている請求項1に記載の断熱容器。
【請求項4】
前記縦方向バンド部が1個所にあり、前記縦方向ジッパーが前記縦方向バンド部と反対側に設けられた1個所の縦方向ジッパーからなり、該縦方向ジッパー及び周方向ジッパーを破断することにより、一対の翼片が形成され、該一対の翼片を互折り返して取っ手を形成する共に胴部壁が1重構造の放熱部を形成し、前記取っ手を把持して容器を持つようにしてなる請求項1〜3何れかに記載の断熱容器。
【請求項5】
前記縦方向バンド部が周方向に対称的に設けられた2個の縦方向バンド部からなり、前記縦方向ジッパーが前記縦方向バンド部間に設けられた2個の縦方向ジッパーからなり、該縦方向ジッパー及び前記周方向ジッパーを破断することにより、一対の翼片が形成され、該一対の翼片を前記縦方向バンド部を挟んで互いに反対側に折り返して、2個の取っ手を形成すると共に胴部壁が1重構造の放熱部を形成し、前記取っ手を把持して容器を持つようにしてなる請求項1〜3何れかに記載の断熱容器。
【請求項6】
前記翼片に指挿入穴形成用のスリットが形成されている請求項1〜5何れかに記載の断熱容器。
【請求項7】
前記容器がカップ状容器であり、前記外套は、両端部に糊代部を有する1枚の扇形ブランクから形成されている請求項1〜6の何れかに記載の断熱容器。
【請求項8】
前記容器が断面非円形の容器である請求項1〜6の何れかに記載の断熱容器。
【請求項9】
前記外套は、容器本体の胴部壁に挿脱自在に形成され、使用時に前記周方向バンド部を前記胴部壁に嵌合するようにしてなる請求項1〜8何れかに記載の断熱容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−282227(P2006−282227A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−104345(P2005−104345)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000223193)東罐興業株式会社 (90)
【Fターム(参考)】